JP7262707B2 - ポリウレタン系歯科修復用材料 - Google Patents

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本発明は、ポリウレタン系歯科修復用材料に関する。詳しくは、歯科用CAD/CAMシステムを用いた切削加工により歯科用補綴物を製造するための切削加工用材料として好適に使用できるポリウレタン系歯科修復用材料に関する。
歯科治療において、インレー、アンレー、クラウン、ブリッジ、インプラント上部構造などの歯科用補綴物を作製する一手法として、歯科用CAD/CAMシステムを用いて切削加工する方法がある。歯科用CAD/CAMシステムとは、コンピュータを利用し三次元座標データに基づいて歯科用補綴物の設計を行い、切削加工機などを用いて歯冠修復物を作成するシステムである。切削加工用材料としては、ガラスセラミックス、ジルコニア、チタン、レジンなど様々な材料が用いられる。歯科切削加工用レジン系材料としては、シリカ等の無機充填材、メタクリレート樹脂などの重合性単量体、重合開始剤等を含有する硬化性組成物を硬化させることで得られる、ブロック形状、ディスク形状などの硬化物が提供されている。歯科切削加工用レジン系材料は、その作業性の高さ、審美性、強度の観点から関心が高まっている。
このような歯科切削加工用レジン系材料は、主に歯冠部で適用されており、大臼歯やブリッジとして使用される場合、より高強度が求められる。しかしながら、現在の歯科切削加工用レジン材料は、(メタ)アクリル樹脂がベースとなっており、その強度に限界がある。例えば特許文献1には、(メタ)アクリル系重合性単量体15~70重量部、0.9μm及び5~7μmのシリカ系充填材30~85重量部と触媒等を配合した歯科切削加工用レジン材料が開示されているが、その曲げ強さは、必ずしも十分とは言えない。
特許文献2には、ミルブランクとして用いられるポリアミドからなる歯科用組成物が開示されている。しかしながら、ポリアミドは不透明であるため、歯科治療に用いるにあたり、審美性が不十分であった。また、切削加工性に劣る、といった課題があった。
一方、ポリウレタン樹脂は、透明性及び高強度を有することが知られている。たとえば特許文献3には、ノルボルナン骨格、シクロヘキサン環骨格又はベンゼン環骨格を有するジイソシアネートと、(a)1分子中に1個以上の(ポリ)スルフィド結合を有していても良いポリチオール化合物の少なくとも1種と、(b)1分子中にヒドロキシル基を2個以上有するポリヒドロキシ化合物、および/又はヒドロキシル基を1個以上有し、チオール基を1個以上有する(ポリ)ヒドロキシ(ポリ)メルカプト化合物の少なくとも一種と、を含む重合性組成物の硬化体からなる樹脂が、透明性及び高強度が要求されるメガネレンズとして好適に使用できることが開示されている。
また、特許文献4には、「合成歯又は歯冠、インレー若しくは硬化性歯科材料を用いた他の歯牙パーツを製造するための2段階プロセスであって、第1段目は、(a)少なくとも1種の多官能イソシアネート化合物、(b)少なくとも1種のポリオール化合物、(c)少なくとも2つのヒドロキシル基を有するメタアクリレートモノマーの少なくとも1種、(d)熱または光によって前記メタアクリレートモノマーの重合を開始する触媒、並びに(e)前記(a)、(b)及び(c)からのポリウレタン形成を促進し、前記(c)のラジカル重合を触媒しない触媒、を含んでなる組成物を室温で硬化させることによってゴム的弾性を有するブランクを製造し、当該ブランクの成形及び機械的仕上げを行うプロセスを含んでなり、第2段目は、前記成形されたゴム的弾性を有するブランクを硬化させて前記した硬質な人工歯又は人口歯パーツを得るプロセスを含んでなる、前記二段階プロセス」が開示されている。
更に、特許文献5にも同様の2段階プロセスを用いた技術が開示されている。
特開2016-13997号公報 特開2017-48121号公報 特開2007-191598号公報 米国特許第4787850号明細書 特表2002-527588号公報
そこで本発明は、高強度で審美的な修復を行うことができる歯科用修復材料、より具体的には、歯科用CAD/CAMシステムを用いた切削加工により歯科用補綴物を製造するための切削加工用材料を提供することを目的とする。
前記した特許文献4又は特許文献5に記載された方法において第二段目の硬化によって得られる歯科材料は、ポリウレタン樹脂を主成分とするため、透明性及び強度の点で優れるものであると考えられる。しかし、これら特許文献に記載された方法は、(e)ポリウレタン形成を促進し、ラジカル重合を触媒しない触媒を含んでなる2段階プロセスからなるため、ポリウレタンの種類やその反応の進行度合いによっては、2段階目のラジカル重合が十分に進行せず、強度、特に耐水性に悪影響を及ぼすことが懸念される。また、硬質な人工歯等を得ようとする場合には、ゴム的弾性を有するブランクを成形してから更に硬化させるため、硬化中に起こる僅かな変形が避けられない。さらに、最終的な硬化体は弾性を有しないため弾性変形による適合化の余地もなくなるため、複雑な形状を有する歯冠やインレー等を得ようとする場合には硬化後の形状修正が必要になることが懸念される。
一方で、特許文献4又は5に記載の組成物で、1段階プロセスで硬化物を作製すると、反応性の制御が困難であり、作製した硬化物の均一性や生産性の低下といった点で問題があることが分かった。
また、ポリウレタン樹脂は、親水性の高いウレタン結合を有するため、口腔内のような親水環境下で使用した場合には、ポリウレタン樹脂の初期物性が大幅に低下することがあるが、前記特許文献4及び5に開示された硬化体がどの程度の耐水性を有するかは不明である。
本発明者らは、高強度で透明性及び耐水性を有するポリウレタン樹脂を含んでなる硬化体を、ポリウレタンの重付加を促進する触媒を用いることなく1段階で製造することができれば、たとえば当該硬化体を歯科用CAD/CAMシステムを用いて切削加工することにより複雑な形状を有するにも拘らず適合性の高い歯冠やインレー等を簡単に製造することができると考え、検討を行った。
その結果、ヒドロキシル基間の間隔(長さ)が適度なポリオール化合物、中でも分子内にアクリロイルオキシ基及び/又はメタクリロイルオキシ基(以下、「(メタ)アクリル基」ともいう。)等のラジカル重合性基を導入した上記ポリオール化合物は、ジイソシアネート化合物に対する相溶性が高く、触媒を用いない熱重合によっても容易に重合すること、及び当該熱重合により、或いは当該加熱重合と(メタ)アクリル基等のラジカル重合を並行して行うことにより、緻密な架橋構造が導入されたポリウレタン樹脂が得られることを見出すと共に、当該ポリウレタン樹脂は、高強度で透明性及び耐水性を有し、歯科用修復材として好適に使用できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、第一の本発明は、以下に示す特定の歯科用重合性組成物を1段階で加熱することによって、ウレタン結合の形成と、前記(B)のポリオール化合物が有するラジカル重合性基及び前記(C)のラジカル重合性単量体を更に含む場合における当該ラジカル重合性単量体が有するラジカル重合性基のラジカル重合と、を行うことによって重合硬化させることによって得られ、且つ
ISO 6872による3点曲げ強さをBSA(単位:MPa)とし、JDMAS 245:2017による水中浸漬後の3点曲げ強さをBSW(単位:MPa)としたときに、下記条件IおよびII
条件I: BSA≧200(MPa)
条件II: 1>BSW/BSA≧0.70
を同時に満足する、架橋構造を有するポリウレタン樹脂を含む歯科用修復材料であって、
前記ポリウレタン樹脂単体によって構成されるか、又は当該架橋構造を有するポリウレタン樹脂からなるマトリックス材料中に強化材料が分散若しくは埋設されてなる複合材料によって構成される、ことを特徴とする前記歯科用修復材料である。
ここで、上記特定の歯科用重合性組成物とは、(A)多官能性イソシアネート化合物、及び(B)前記多官能性イソシアネート化合物に対して相溶性を有するポリオール化合物を含み、且つポリウレタンの重付加を促進する触媒を含まない、歯科用重合性組成物であって、
前記(A)の多官能性イソシアネート化合物は、1,3-ビス(2-イソシアナト-2-プロピル)ベンゼン、2,2-ビス(4-イソシアナトフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、4,4’-ジイソシアン酸メチレンジフェニル、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジイソシアナトビフェニル、4,4’-ジイソシアナト-3,3’-ジメチルビフェニル、ジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアナート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアナート、ノルボルナンジイソシアネート、ジイソシアン酸イソホロン、1,5-ジイソシアナトナフタレン、ジイソシアン酸1,3-フェニレン、トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、トリレン-2,4-ジイソシアナート、トリレン-2,6-ジイソシアナート、m-キシリレンジイソシアナート、リジントリイソシアネート、4,4’,4’’-メチリジントリス(イソシアナトベンゼン)、及びポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物からなり、
前記(B)のポリオール化合物は、
分子内にアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基からなるラジカル重合性基を有し、
当該ポリオール化合物の分子内に少なくとも2つ存在するヒドロキシル基のうち、最も離れた2つのヒドロキシル基間の距離を、当該2つのヒドロキシル基間に介在する2価の有機残基における主鎖を構成する原子(但し、前記主鎖が環構造を有する場合には、当該環構造の環を構成する全ての原子は、前記主鎖を構成する原子に含まれるものとする。)の数により表わしたときに、
(i)前記有機残基が主鎖に環構造を有しない場合における前記距離は、2~8であり、
(ii)前記有機残基が主鎖に環構造を有する場合における前記距離は、3~20であり、
前記(B)のポリオール化合物の分子内に存在する前記ラジカル重合性基による重合に対して活性を有する重合開始剤をさらに含む歯科用重合性組成物を意味し、該歯科用重合性組成物は、(C)アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基からなるラジカル重合性基を有するラジカル重合性単量体(分子内に2以上のヒドロキシル基を有するラジカル重合性単量体を除く。)を更に含んでいてもよい

第二の本発明は、前記歯科用修復材料からなる歯科切削加工用レジン材料である。
第三の本発明は、(A)多官能性イソシアネート化合物、及び(B)前記多官能性イソシアネート化合物に対して相溶性を有するポリオール化合物を含み、且つポリウレタンの重付加を促進する触媒を含まない、歯科用重合性組成物であって、
前記(A)の多官能性イソシアネート化合物は、1,3-ビス(2-イソシアナト-2-プロピル)ベンゼン、2,2-ビス(4-イソシアナトフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、4,4’-ジイソシアン酸メチレンジフェニル、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジイソシアナトビフェニル、4,4’-ジイソシアナト-3,3’-ジメチルビフェニル、ジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアナート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアナート、ノルボルナンジイソシアネート、ジイソシアン酸イソホロン、1,5-ジイソシアナトナフタレン、ジイソシアン酸1,3-フェニレン、トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、トリレン-2,4-ジイソシアナート、トリレン-2,6-ジイソシアナート、m-キシリレンジイソシアナート、リジントリイソシアネート、4,4’,4’’-メチリジントリス(イソシアナトベンゼン)、及びポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物からなり、
前記(B)のポリオール化合物は、
分子内にアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基からなるラジカル重合性基を有し、
当該ポリオール化合物の分子内に少なくとも2つ存在するヒドロキシル基のうち、最も離れた2つのヒドロキシル基間の距離を、当該2つのヒドロキシル基間に介在する2価の有機残基における主鎖を構成する原子(但し、前記主鎖が環構造を有する場合には、当該環構造の環を構成する全ての原子は、前記主鎖を構成する原子に含まれるものとする。)の数により表わしたときに、
(i)前記有機残基が主鎖に環構造を有しない場合における前記距離は、2~8であり、
(ii)前記有機残基が主鎖に環構造を有する場合における前記距離は、3~20であ
前記(B)のポリオール化合物の分子内に存在する前記ラジカル重合性基による重合に対して活性を有する重合開始剤をさらに含む、
ことを特徴とする前記歯科用重合性組成物である。

上記本発明の歯科用重合性組成物は、前記ポリウレタン樹脂の内部の架橋密度を高め、耐水性をより高くできるという観点から、(C)アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基からなるラジカル重合性基を有するラジカル重合性単量体(分子内に2以上のヒドロキシル基を有するラジカル重合性単量体を除く。)を更に含んでなることが好ましい。
第四の本発明は、前記架橋構造を有するポリウレタン樹脂単体によって構成される前記本発明の歯科用修復材料からなる歯科切削加工用レジン材料を製造する方法であって、強化材料を含有しない請求項に記載の歯科用重合性組成物を注型した後に1段階の加熱を行い、当該加熱中にウレタン結合の形成と、前記ラジカル重合性基のラジカル重合と、を行うことによって重合硬化させる、ことを特徴とする前記方法であり、第五の本発明は、前記架橋構造を有するポリウレタン樹脂からなるマトリックス材料中に強化材料が分散若しくは埋設されてなる複合材料によって構成される請求項に記載の歯科用修復材料からなる歯科切削加工用レジン材料を製造する方法であって、強化材料を更に含有する前記本発明の歯科用重合性組成物を注型した後に1段階の加熱を行い、当該加熱中にウレタン結合の形成と、前記ラジカル重合性基のラジカル重合と、を行うことによって重合硬化させる、ことを特徴とする前記方法である
本発明の歯科用修復材料は、高い強度を有し、かつ口腔内のような親水環境下においても高い強度を維持する耐水性を有するばかりでなく。透明感をも有するという優れた特徴を有し、歯科用CAD/CAMシステムを用いた切削加工により歯科用補綴物を製造するための切削加工用材料として好適に使用することができる。
本発明の歯科用修復材料では、本体又はマトリックス部分を構成する材料として、本来、透明感を有し、高強度化が可能な材料としていられているポリウレタン樹脂を用いることに加え、透明性や靱性に大きな悪影響を与えないような架橋構造を比較的高い密度で内部に導入したポリウレタン樹脂を使用したため、耐水性が高くなったものと考えられる。
ポリウレタン樹脂内部に上記したような架橋構造が導入された作用機構は、必ずしも明らかではないが、本発明者らは次のように推定している。すなわち、前記(A)及び(B)に示される特定の原料化合物を用いたものであるため、架橋反応が起こり易くなっており、更にポリウレタンの重付加を促進する触媒を用いることなく熱重合により1時に硬化させるため、分子鎖中にウレタン結合が形成されることによる反応阻害が起こる前に(分子がフレキシビリティーを有する時間が長くなって、官能基同士の接触確率が高い状態で)架橋反応が起こるため、前記したような架橋構造の導入が可能になったものと推定している。
本発明の歯科用修復材料は、ポリウレタン樹脂単体からなるか、又はポリウレタン樹脂からなるマトリックス材料中に強化材料が分散若しくは埋設されてなる複合材料からなる歯科用修復材料であって、前記ポリウレタン樹脂は、ISO 6872による3点曲げ強さ(Bending Strength)をBS(単位:MPa)とし、JDMAS 245:2017による水中浸漬後の3点曲げ強さ(Bending Strength)をBS(単位:MPa)としたときに、下記条件IおよびIIを同時に満足するものであることを特徴とする。
条件I: BS≧200(MPa)
条件II: 1>BS/BS≧0.70。
ここで、ISO 6872による3点曲げ強さ:BSとは、乾燥状態の試料について曲げ試験を行ったときの曲げ強さであり、具体的には、次のようにして決定される値である。すなわち、まず、ポリウレタン樹脂を切削加工機等により切り出し、#2000の粗さの研磨紙で、幅4.0mm±0.2mm、厚さ1.2±0.2mm、長さ14.0mm以上の試験片に加工する。この試験片を10本用意し、幅、及び、厚さを0.01mmの精度で測定し、万能試験機(オートグラフ)により、クロスヘッドスピード1.0±0.3mm/min、支点間距離12.0mmの条件で測定する。そうして得られた最大点の曲げ荷重を用いて、下記式(1)より曲げ強さBSを算出する。試験片10本についてこのような測定を行い、得られた曲げ強さの平均値をBSとする。
BS=3PS/2WB 式(1)
なお、式中の記号は、P:最大点の曲げ荷重(N)、S:支点間距離(12mm)、W:試験片の幅(mm)、B:試験片の厚さ(mm)を意味する。
また、JDMAS 245:2017による水中浸漬後の3点曲げ強さ:BSとは、37℃水中に1週間曝した後での曲げ試験による曲げ強さであり、具体的には、次のようにして決定される値である。すなわち、まず、ポリウレタン樹脂を切削加工機等により切り出し、#2000の粗さの研磨紙で、幅4.0mm±0.2mm、厚さ1.2±0.2mm、長さ14.0mm以上の試験片に加工する。得られた10本の試験片を、互いが接触しないように、イオン交換水中に入れ、37℃で1週間保管する。これらの試験片を水中から取り出し、幅、及び、厚さを0.01mmの精度で測定し、万能試験機(オートグラフ)により、クロスヘッドスピード1.0±0.3mm/min、支点間距離12.0mmの条件で測定する。そうして得られた最大点の曲げ荷重を用いて、先と同様に前記式(1)より曲げ強さBSを算出したときの、試験片10本の平均値をBSとする。
なお、上記BS及びBSの測定は、歯科用修復材料がポリウレタン樹脂単体からなり、測定試料作製に十分な大きさを有する場合には、当該歯科用修復材料から直接作成した試料について行ってもよいが、通常は、本発明の歯科用修復材料を製造する際に用いる、ポリウレタン樹脂製造用の原料となる重合硬化性組成物(充填材などのポリウレタン樹脂そのものとはならない成分を除いた重合硬化性組成物)と同じ組成の重合硬化性組成物(以下、「ポリウレタン原料重合性組成物」ともいう。)を用いて別途作成した試料について行われる。すなわち、本発明の歯科用修復材料を製造する際に用いる、(A):多官能性イソシアネート化合物、及び(B):分子内に少なくとも2個のヒドロキシル基を有し、且つ前記多官能性イソシアネート化合物に対して相溶性を有するポリオール化合物であって、当該ポリオール化合物において最も離れた2つのヒドロキシル間の距離が、当該2つのヒドロキシル間に介在する2価の有機残基における主鎖を構成する原子の数により表わしたときに、前記有機残基が主鎖に環構造を有しない場合には2~8であり、前記有機残基が主鎖に環構造を有する場合には、当該環構造の環を構成する全ての原子を、主鎖を構成する原子に含めて、3~20であるポリオール化合物を必須成分として含み、更に必要に応じて添加される(C):ラジカル重合性基を有するラジカル重合性単量体、及び/又は必要に応じて添加される(D):ラジカル重合性基による重合に対して活性を有する重合開始剤を含み、これら成分(A)乃至(D)の量比が、本発明の歯科用修復材料を製造する際と同じである、重合性組成物を用いて別途作成した試料を用いて前記BS及びBSの測定を行うことが好ましい。なお、前記成分(A)乃至(D)の詳細については後述する。
本発明の歯科用修復材料で使用するポリウレタン樹脂は、前記条件I及び前記条件IIを同時に満足するものであれば、限定されない。前記条件IにおけるBSの上限値も特に限定されないが、通常は500(MPa)である。ポリウレタン樹脂の製造の容易性、加工の容易性などの観点から、本発明の歯科用修復材料で使用するポリウレタン樹脂は下記条件I及び条件IIを同時に満足することが好ましく、
条件I:400(MPa)≧BS≧220(MPa) 且つ
条件II:1>BS/BS≧0.75
下記条件I及び条件IIを同時に満足することが更に好ましい。
条件I:350(MPa)≧BS≧250(MPa) 且つ
条件II:1>BS/BS≧0.80。
本発明の歯科用修復材料においては、合成が容易で、確実に前記条件を満足できるという観点から、ポリウレタン樹脂としては、下記(A)成分及び(B)成分を含んでなり、ポリウレタンの重付加を促進する触媒を含まない重合性組成物(ポリウレタン原料重合性組成物)の硬化体からなるものを用いることが好ましい。
(A)成分:多官能性イソシアネート化合物
(B)成分:分子内に少なくとも2個のヒドロキシル基を有し、且つ前記多官能性イソシアネート化合物に対して相溶性を有するポリオール化合物であって、当該ポリオール化合物において最も離れた2つのヒドロキシル間の距離が、当該2つのヒドロキシル間に介在する2価の有機残基における主鎖を構成する原子の数により表わしたときに、前記有機残基が主鎖に環構造を有しない場合には2~8原子あり、前記有機残基が主鎖に環構造を有する場合には、当該環構造の環を構成する全ての原子を、主鎖を構成する原子に含めて、3~20原子であるポリオール化合物。
以下、これら成分について詳しく説明する。
(A)多官能性イソシアネート化合物
上記多官能性イソシアネート化合物とは、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物を意味する。該多官能性イソシアネート化合物としては、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物であれば、特に限定されず、公知のものを自由に組み合わせて用いることができる。当該イソシアネート化合物を具体的に例示すると、以下に示す次に示す2官能イソシアネート化合物及び3官能以上のイソシアネート化合物を挙げることができる。これらの多官能性イソシアネート化合物は、単独で、もしくは組み合わせて使用することができる。
(A1)2官能イソシアネート化合物
1,3-ビス(2-イソシアナト-2-プロピル)ベンゼン、2,2-ビス(4-イソシアナトフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、4,4‘-ジイソシアン酸メチレンジフェニル、3,3’-ジクロロ-4,4‘-ジイソシアナトビフェニル、4,4’-ジイソシアナト-3,3‘-ジメチルビフェニル、ジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアナート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアナート、ノルボルナンジイソシアネート、ジイソシアン酸イソホロン、1,5-ジイソシアナトナフタレン、ジイソシアン酸1,3-フェニレン、トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、トリレン-2,4-ジイソシアナート、トリレン-2,6-ジイソシアナート、m-キシリレンジイソシアナートなどを挙げることができる。
(A2)3官能以上のイソシアネート化合物
リジントリイソシアネート、4,4‘,4’‘-メチリジントリス(イソシアナトベンゼン)、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートなどを挙げることができる。
(B)ポリオール化合物
(B)成分であるポリオール化合物は、下記条件1)~3)を全て満足するものであれば、公知のポリオール化合物が特に制限なく使用できる。
1) 分子内に少なくとも2個のヒドロキシル基を有する。
2) 前記多官能性イソシアネート化合物に対して相溶性を有する。
3) 分子内で最も離れた2つのヒドロキシル間の距離が、当該2つのヒドロキシル間に介在する2価の有機残基における主鎖を構成する原子の数により表わしたときに、前記有機残基が主鎖に環構造を有しない場合には2~8であり、前記有機残基が主鎖に環構造を有する場合には、当該環構造の環を構成する全ての原子を、主鎖を構成する原子に含めて、3~20である。
前記条件1)は、(A)成分と重付加反応を起こしてウレタン結合により各成分ユニットが連結されたポリウレタン樹脂を形成するために必須条件である。形成されたポリウレタン樹脂が十分な分子量を有し、高密度に物理架橋、及び/又は、化学架橋を発現する点、及び、形成したポリウレタン樹脂中に残存するおそれのあるヒドロキシル基を低減できる点から、分子内に含まれるヒドロキシル基の数は、2~6であることが好ましい。ヒドロキシル基が多すぎる場合には、反応の過程において増粘し、ヒドロキシル基が残存して耐水性が低くなる傾向がある。ポリオール化合物のヒドロキシル基の数は2~4であることが特に好ましい。
前記条件2)における相溶性とは、重合性組成物としたときに室温(好ましくは25℃)において(A)成分と(B)成分とが均一な液体状態となり得ることを意味する。したがって、(A)成分及び(B)成分の少なくとも一方は、常温(好ましくは25℃)において液状である必要がある。現実的な反応時間で硬化が完了し、硬化中に意図しない重付加反応が起こり難く、高い強度の硬化体が得られるという観点から、上記相溶性は、室温下(好ましくは25℃において)、実際に使用する量比で(A)成分と(B)成分とを混合し、3時間撹拌した時に完全混和して均一溶液を形成するという相溶性であることが好ましい。ポリオール化合物が前記条件2)を満足しない場合には、重付加の進行が阻害され、高い強度、及び/又は、耐水性を有する歯科用修復材料を得ることが困難となる。
前記条件3)を満足することにより、前記条件2)を満足し易くなるばかりでなく、硬化体(ポリウレタン樹脂)の透明性や靱性に大きな悪影響を与えないような架橋構造を比較的高い密度で内部に導入することが可能となる。前記有機残基が主鎖に環構造を有しない場合の前記距離(主鎖構成原子数)が1の場合、重付加によるウレタン結合の生成後の嵩高さにより、別のイソシアネート化合物の反応が阻害され、結果としてウレタン結合の生成が阻害される。また、前記距離(主鎖構成原子数)が8を超える場合には、硬化体中の架橋密度が小さくなるために、耐水性が低下してしまう。この場合における前記距離(主鎖構成原子数)は、2~6であることが好ましく、2~4であることがより好ましい。
一方、前記有機残基が主鎖に環構造を有する場合の前記距離(主鎖構成原子数)は必然的に3以上となるが、上限値である20を越える場合には、上記と同様に硬化体中の架橋密度が小さくなり、耐水性が低下してしまう。なお、当該2つのヒドロキシル間に介在する2価の有機残基が芳香環及び/又は脂環式構造を有する場合、これら芳香環及び/又は脂環式構造に起因した相互作用が働くため、前記有機残基が主鎖にこれら環構造を有しない場合と比べて前記主鎖の構成原子数が多くても耐水性を得ることが可能となる。この場合における前記距離(主鎖構成原子数)は、3~15であることが好ましく、3~10であることがより好ましい。
(B)成分のポリオール化合物は、分子内にラジカル重合性基を有することが好ましい。ここで、ラジカル重合性基とは、ラジカルを発生させる開始剤により、反応し、重合する官能基を意味する。好ましいラジカル重合性基としては、ビニル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、及び、スチリル基を挙げることができる。分子内にこれらラジカル重合性基を有する場合には、これらラジカル重合性基間の反応により架橋が形成され、架橋密度をより高くし、耐水性を高めることが可能となる。分子内における当該ラジカル重合性基の数は、1~4であり、特に1~2であることが好ましい。ラジカル重合性基が、4を超えて多すぎる場合には、反応時の収縮が大きくなる傾向がある。
本発明で好適に使用できる(B)成分のポリオール化合物を例示すれば、前記主鎖に環構造を有しないポリオール化合物としては、α,ω-アルカンジオール(ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール)、2,3-ブタンジオール、2-ブテン1,4-ジオール、ネオペンチルグリコール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオール、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルの酸((メタ)アクリル酸やビニル安息香酸)開環物、ペンタエリトリトールモノ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。また、前記主鎖に環構造を有するポリオール化合物としては、1,3-ビス(ヘキサフルオロ-α-ヒドロキシイソプロピル)ベンゼン、2-ベンジルオキシ-1,3-プロパンジオール、アダマンタンジオール1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロペンタンジオール、トリシクロデカンジメタノール、3-フェノキシ-1,2-プロパンジオール、ビスフェノールAジグリシジルエーテルの酸((メタ)アクリル酸やビニル安息香酸)開環物、アダマンタントリオール等を挙げることができる。これらは、単独で、又は異なる種類のものを混合して使用することができる。
ポリウレタン原料重合性組成物は、硬化体の内部に架橋構造を導入しやすくするためにポリウレタンの重付加を促進する触媒(以下、「ウレタン重合触媒」ともいう。)を含まない。ポリウレタン原料重合性組成物がウレタン重合触媒を含む場合には、急激にウレタン結合形成反応が進行して分子のフレキシビリティーも急激に失われるため、十分な架橋を形成することができなくなる。ポリウレタン原料重合性組成物に含まれない前記ウレタン重合触媒を具体的に例示すれば、ジブチル錫ジアセテートやジブチル錫ジラウレートのような錫触媒、トリエチレンジアミンのようなアミン触媒、ジルコニウムアセチルアセトナート等を挙げることができる。
ポリウレタン原料重合性組成物における(A)成分と(B)成分の量比は、(A)成分に由来するイソシアネート基の総当量数(E)に対する(B)成分に由来するヒドロキシル基の総当量数(E)の比(E/E)が0.8~1.4、特に0.9~1.2となる量比であることが好ましい。
ポリウレタン原料重合性組成物は、任意成分として、(C):ラジカル重合性基を有するラジカル重合性単量体(分子内に2つ以上のヒドロキシル基を有するラジカル重合性単量体を除く。)及び/又は(D):前記ラジカル重合性基による重合に対して活性を有する重合開始剤を更に含んでいてもよい。これら成分を添加することにより、硬化体であるポリウレタン樹脂の物性を調整することが可能となる。特に上記(C)成分は、ウレタン結合形成反応が進行しても分子のフレキシビリティーの低下が起こり難いため、当該成分を添加することにより、架橋密度をより高くすることが可能となる。そのため、上記(C)成分は、常温25℃で、液体であることが好ましい。
上記(C)成分として好適に使用できるラジカル重合性単量体としては、酢酸ビニル、アクリロニトリル、メチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアクリルアミド、スチレン、ブタジエン、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ビス(メタクリルエチルオキシカルボニルアミノ)-2,2-4-トリメチルヘキサン、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等を例示することができる。これら成分(C)の配合量は、適宜決定すればよいが、通常、ポリウレタン原料重合性組成物の総質量の1~20質量%であり、より好ましくは2~10質量%である。なお、前記(B)として分子内にラジカル重合性基を有するものを使用する場合には、前記(C)成分は、(B)成分が有するラジカル重合性基と同じラジカル重合性基を有するものを使用することが好ましい。
上記(D)成分は、これを添加することで、前記ラジカル重合性基を確実に反応させて、架橋密度を高めることが可能となる。重合開始剤としては、公知の熱重合開始剤、及び/又は、光重合開始剤を制限なく用いることができる。より深部まで均一に硬化させることができる点から、熱重合開始剤を用いることが好ましい。好適な開始剤を具体的に例示すると、ベンゾイルパーオキサイドやtert-ブチルパーオキシラウレートなどのような過酸化物開始剤、アゾビスブチロニトリルやアゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)などのようなアゾ系の開始剤などを挙げることができる。
これら重合開始剤は、添加量は、通常、ポリウレタン原料重合性組成物の総質量の0.005~1.0質量%であり、0.01~0.5質量%、特に0.01~0.1質量%であることが好ましい。
これら熱重合開始剤としては、取り扱い易さや安定性の観点から10時間半減期温度が40~150℃の範囲、特に50~100℃の範囲であるものを選択して使用することが好ましい。10時間半減期温度が低すぎる場合には、意図せずラジカル重合反応が進行してしまう可能性があり、高すぎる場合には、反応温度を高くしなければならず副反応や着色が発生する可能性が生じる。
本発明の歯科用修復材料は、ポリウレタン樹脂単体から成っていてもよい。この場合、前記ポリウレタン原料重合性組成物を、そのまま本発明の歯科用修復材料を得るための歯科用重合性組成物として、重合硬化させればよい。 また、本発明の歯科用修復材料は、前記ポリウレタン樹脂をマトリックス材料とし、当該トリックス材料中に強化材料を分散若しくは埋設した複合材料からなるものであってもよい。このような複合材料とすることにより、機械的強度の向上、耐摩耗性の向上、耐水性の向上などを図ることが可能となる。なお、上記複合材料からなる本発明の歯科用修復材料についても曲げ強さ及び耐水性は優れたものとなり、通常、前記I及びIIの条件を満足する。
本発明の歯科用修復材料が上記複合材料である場合には、前記ポリウレタン原料重合性組成物に強化材を添加したものを本発明の歯科用修復材料を得るための歯科用重合性組成物として、重合硬化させればよい。
強化材料としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、あるいは、それらの複合物、ガラスのような無機粒子からなる無機充填材を用いることが好ましい。このような、無機粒子を具体的に例示すれば、非晶質シリカ、シリカ-ジルコニア、シリカ-チタニア、シリカ-チタニア-ジルコニア、石英、アルミナなどの球形状粒子あるいは不定形状粒子を挙げることができる。なお、本発明の歯科用修復材料においては、口腔内環境において溶解の虞がある、炭酸カルシウムなどの無機塩類を含まないことが好ましい。
本発明の歯科用修復材料における強化材料の好ましい配合量は、ポリウレタン樹脂マトリックス100質量部に対して10~1000質量部の割合であり、より好ましくは25~600質量部である。
本発明の歯科用修復材料では、審美性の観点から、前記強化材料となる無機充填材は、マトリックスであるポリウレタン樹脂の屈折率と近似した屈折率を有することが好ましい。具体的には、無機充填材の屈折率が1.2~1.8であることが好ましく、1.4~1.6であることがより好ましい。そのためには、屈折率がこの範囲となる非晶質シリカ、シリカ-ジルコニア、シリカ-チタニア、シリカ-チタニア-ジルコニア、石英などを使用することが好ましい。
強化材料の形状は、耐摩耗性、表面滑沢性、光沢持続性に特に優れた歯科用修復材料が得られることから、球形状であることが特に好適である。ここでいう球形状とは、走査型や透過型の電子顕微鏡の撮影像の画像解析において求められる平均均斉度が0.6以上であることを意味する。平均均斉度は0.7以上であることがより好ましく、0.8以上であることが更に好ましい。平均均斉度は走査型や透過型の電子顕微鏡の撮影像の画像解析において、粒子の数(n)、粒子の最大径である長径(Li)、該長径に直行する径である短径(Bi)を求め、下記式により算出される。
Figure 0007262707000001
これらの値を算出する場合、測定精度を保つためには少なくとも40個以上の粒子を測定する必要があり、100個以上の粒子について測定することが望ましい。
前記該強化材料の平均粒子径は、耐摩耗性、表面滑沢性、光沢持続性の観点から0.001~100μmであることが好ましく、0.01~20μmであることがより好ましい。
前記強化材料は、ポリウレタン原料重合性組成物、延いてはポリウレタン樹脂マトリックスとのなじみをよくし、機械的強度や耐水性を向上させるために、表面処理を行うのが好ましい。表面処理剤としては、一般的にシランカップリング剤が用いられ、特にシリカをベースとする無機粒子系の強化材料においてはシランカップリング剤による表面処理の効果が高い。表面処理の方法は公知の方法で行えばよく、シランカップリング剤としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(3-トリエトキシシリルプロピル)-4-ヒドロキシブチルアミド、N-(3-トリエトキシシリルプロピル)-O-ポリエチレンオキシドウレタン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどが好適に用いられる。上記シランカップリング剤は、1種類あるいは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の歯科用修復材料は、歯科切削加工用レジン材料、床用レジン材料、矯正用材料、マウスガード用材料に用いることができる。特に、歯科切削加工用レジン材料に好適に用いることができる。
本発明の歯科用修復材料は、前記成分(A)及び成分(B)を含んでなり、且つポリウレタンの重付加を促進する触媒を含まない、本発明の歯科用重合性組成物を重合硬化させることにより好適に製造することができる。当該本発明の歯科用重合性組成物としては、前記したように本発明の歯科用修復材料の態様に応じて、本発明の歯科用修復材料がポリウレタン樹脂単体からなる場合には、基本的に前記ポリウレタン原料重合性組成物と同じ組成のものが使用され、本発明の歯科用修復材料が前記複合材料から成る場合には、基本的に前記ポリウレタン原料重合性組成物に強化材を添加したものが使用される。このとき、何れの場合においても、目的に応じた任意の成分を添加することができる。このような成分としては、蛍光剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料、抗菌材、X線造影剤など挙げることができ、その添加量は目的に応じて適宜決定すればよい。
前記重合性組成物は、必要量の各成分を混合することにより製造することができる。混合方法は特に限定されず、強化材料を含まない場合には、マグネチックスターラー、撹拌羽、遠心混合機などを用いて、撹拌混合する方法等が好適に用いられる。無機充填材等の強化材料を含む場合には、上記の方法等で予め調製した(強化材料を含まない組成物からなる)混合物に強化材料を加え、ライカイ機、プラネタリーミキサー、遠心混合機等を用いて混合し、重合性組成物を調製してもよいし、(B)成分であるポリオール化合物に強化材料を添加して上記のようにして混合した後に、(A)成分であるイソシアネート化合物を添加し、混合してもよい。イソシアネート化合物の反応性の観点からは、後者の方法を採用することが好ましい。このようにして調製された重合性組成物は、重合硬化させる前に、脱泡処理を施し、内部に含まれる気泡を無くしておくことが好ましい。脱泡の方法としては公知の方法が用いられ、加圧脱泡、真空脱泡、遠心脱泡等の方法を任意に用いることができる。
前記本発明の歯科用重合性組成物を重合硬化させて本発明の歯科用修復材料を製造する方法は特に限定されないが、本発明の歯科用修復材料歯科切削加工用レジン材料である場合には、高い耐水性が付与された高強度な歯科用修復材料を得ることができるという理由から、歯科用重合性組成物としては、(B)成分としてのラジカル重合性基を有するポリオール化合物及び/又は前記(C)成分を含むものを使用し、次のような方法で製造することが好適である。すなわち、上記本発明の歯科用重合性組成物を注型した後に加熱を行い、当該加熱中にウレタン結合の形成と、前記ラジカル重合性基のラジカル重合と、を行うことによって重合硬化させる方法を採用することが好ましい。
注型の際に用いる型は特に限定されず、製品形態ごとにあらかじめ想定している形状に応じて、角柱、円柱、角板、円板状のものが適宜使用される。また、その大きさは、収縮率等を考慮して、重合後のものがそのまま想定形状となるようなものであってもよく、また、重合後の加工を想定し、加工代を見込んだ大きめのものであってもよい。
型への歯科用重合性組成物の注入方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。本発明の歯科修復用材料中への気泡の混入は、強度、及び、審美性の観点から好ましくないため、歯科用重合組成物に含まれる気泡は、除去されることが好ましい。そのため、加圧注型、真空注型によって行われることが好適である。
歯科用重合性組成物は、ウレタン重合触媒を含まないため、注型後の重合加熱によって硬化が行われる。重合時には反応熱により発熱するため、加熱に際しては、温度(硬化温度)を制御することが好ましい。具体的には、工業的に許容できる速度で重合硬化が進行し、且つ急激な反応進行により硬化体中に歪やクラックを発生させず、さらにモノマー劣化を起こしにくいという観点から、150℃を越えないように制御することが好ましい。
加熱により重合硬化させる際には、気泡に起因するボイドが硬化体中に形成されるのを抑制するために、加圧しても良い。加圧の方法に制限はなく、機械的に加圧しても良いし、窒素等の気体による加圧を行っても良い。
前記加熱重合によって得られた硬化体は、型から取り出された後に、必要に応じて、残留応力を緩和させるための熱処理、必要とする形状やより使いやすい形状に修正するための切削加工、研磨などの処理等の後処理や加工等を行った後、更にCAD/CAM装置に保持するためのピン等の固定具を接合し、歯科切削加工用レジン系ブロックとされる。
以下、本発明を具体的に説明するために、実施例および比較例を挙げて説明するが、本発明はこれらにより何等制限されるものではない。以下に、各実施例および比較例のサンプルの作製に用いた物質の略称・略号およびその構造式または物質名と、各種サンプルの調整方法と、各種の評価方法とについて説明する。
後述する実施例、比較例のサンプルについての3点曲げ強さ評価、及び、水中浸漬後の3点曲げ強さ評価は、以下の通りである。
1.曲げ強さ評価
後述の方法で得られた歯科用樹脂組成物の硬化体(歯科用修復材料)を低速のダイヤモンドカッター(Buehler社製)で切り出し、#2000の耐水研磨紙を用いて、1.2mm×4.0mm×14.0mmの角柱状に整えることで試験片を得た。前記試験片をオートグラフ(島津製作所製)に装着し、支点間距離12.0mm、クロスヘッドスピード1.0mm/minの条件で3点曲げ試験を行った。
曲げ強さBSは以下に示す式(1)により算出した。なお、前記試験片は実施例および比較例ごとに10本作製し、その平均値を歯科用修復材料の曲げ強さとした。これら歯科用修復材料の曲げ強さを後掲表2に示す。
BS=3PS/2WB 式(1)
P:最大点の曲げ荷重(N)、S:支点間距離(12.0mm)、W:幅(約4.0mmで実測値)、B:厚さ(約1.2mmで実測値)
2.水中浸漬後の曲げ強さ評価
後述の方法で得られた歯科用修復材料を低速のダイヤモンドカッター(Buehler社製)で切り出し、#2000の耐水研磨紙を用いて、1.2mm×4.0mm×14.0mmの角柱状に整えることで試験片を得た。前記試験片をイオン交換水中、37℃に1週間保管した。試験片を取り出し、表面の水分を除去した後、前記条件で3点曲げ試験を行った。
<歯科用樹脂組成物の原材料>
1.イソシアネート化合物
TDI:トリレンジイソシアネート(2,4-約80%,2,6-約20%)(分子量=174、官能基数2)
XDI:m-キシリレンジイソシアナート(分子量=188、官能基数2)
2.ポリオール化合物
GLM:グリセロールモノメタクリレート(分子量=160、官能基数2、メタクリロイロキシ基含有)
bis-GMA:ビスフェノールAグリシジルジメタクリレート(分子量=513、官能基数2、メタクリロイロキシ基含有)
40EM:エチレングリコールグリシジルジメタクリレート(分子量=346、官能基数2、メタクリロイロキシ含有)
GTP:グリセロールトリプロポキシレート(平均分子量=266、官能基数3)
TMP:トリメチロールプロパン(分子量=134、官能基数3)
3.無機充填材
F:シリカ(球状 平均粒径1.0μm、3-アミノプロピルトリメトキシシラン表面処理物)
4.ラジカル重合触媒
PBL:t-ブチルパーオキシラウレート(10時間半減期温度98℃)
V65:2,2´-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(10時間半減期温度51℃)
5.ラジカル重合性単量体
NPG:ネオペンチルグリコールジメタクリレート
(実施例1)
GLMを8.5g、PBLを0.02g、マグネチックスターラーにより混合した後、そこへXDIを10g加え、撹拌した。縦12×横18×厚さ14(mm)の金型に注型した。33℃にて窒素加圧下(0.3MPa)で15時間静置した。その後、加圧したまま80℃に昇温し、3時間保持し、さらに120℃に3時間保持した。その後、金型より取り出し、歯科用修復材料(ポリウレタン樹脂単独から成る)を得た。得られた歯科用修復材料(ポリウレタン樹脂単独から成る)の曲げ強さ、水中浸漬後の曲げ強さを表1に示した。
(実施例2)
PBLの代わりにV65を用いて行うこと以外は、実施例1と同様の方法で作製した。得られた歯科用修復材料(ポリウレタン樹脂単独から成る)の曲げ強さ、水中浸漬後の曲げ強さを表1に示した。
(実施例3)
GLM8.5gの代わりにGLM7.1g、TMP0.8gを用いて行うこと以外は、実施例1と同様の方法で作製した。得られた歯科用修復材料(ポリウレタン樹脂単独から成る)の曲げ強さ、水中浸漬後の曲げ強さを表1に示した。
(実施例4)
GLM8.5gの代わりにbis-GMA3.8g、GLM4.6gを用いて行うこと以外は、実施例1と同様の方法で作製した。得られた歯科用修復材料(ポリウレタン樹脂単独から成る)の曲げ強さ、水中浸漬後の曲げ強さを表1に示した。
(実施例5)
GLM8.5gの代わりに40EM13.7g、XDIの代わりにTDI6.5gを用いて行うこと以外は、実施例1と同様の方法で作製した。得られた歯科用修復材料(ポリウレタン樹脂単独から成る)の曲げ強さ、水中浸漬後の曲げ強さを表1に示した。
(実施例6)
GLM8.5g、PBL0.02g、NPG0.9gマグネチックスターラーにより混合した後、そこへXDIを10g加え、撹拌した。以降は、実施例1と同様の方法で作製した。得られた歯科用修復材料(ポリウレタン樹脂単独から成る)の曲げ強さ、水中浸漬後の曲げ強さを表1に示した。
(実施例7)
始めに、撹拌容器にGLMを6.2g、Fを8.9g投入し、自転公転ミキサー(クラボウ社製)にて混練した。続いて、XDIを7.2g、PBLを0.01g投入し、自転公転ミキサーにより混練した。得られた組成物を縦12×横18×厚さ14(mm)の金型に充填した後、33℃にて窒素加圧下(0.3MPa)で15時間静置した。その後、加圧したまま80℃に昇温し、3時間保持し、さらに120℃に3時間保持した。その後、金型より取り出し、歯科用樹脂組成物の硬化体からなる修復材料(ポリウレタン樹脂マトリックス中にFが分散した複合材料から成る)を得た。得られた歯科用修復材料(ポリウレタン樹脂マトリックス中にFが分散した複合材料から成る)の曲げ強さ、水中浸漬後の曲げ強さを表1に示した。なお、F1を添加しない他は同様にして得た硬化体(ポリウレタン樹脂単独から成る)の曲げ強さを別途測定したとろ、BSは261MPaであり、BSは215MPaであった。
(比較例1)
GTPを8.5g、XDIを10g加え、マグネチックスターラーにより撹拌した。縦12×横18×厚さ14(mm)の金型に注型した。33℃にて窒素加圧下(0.3MPa)で15時間静置した。その後、加圧したまま80℃に昇温し、3時間保持し、さらに120℃に3時間保持した。その後、金型より取り出し、歯科用修復材料(ポリウレタン樹脂単独から成る)を得た。得られた歯科用修復材料(ポリウレタン樹脂単独から成る)の曲げ強さ、水中浸漬後の曲げ強さを表1に示した。
(比較例2)
TMPを5.0g、XDIを10g加え、マグネチックスターラーにより撹拌した。30℃で3時間撹拌を行ったが、相溶しなかった。
Figure 0007262707000002
実施例1~7と比較例1の比較から、本発明のポリウレタン樹脂からなる歯科修復材料は、JDMAS 245:2017による水中浸漬後の3点曲げ強さが200MPa以上であり、高い耐水性を有することが分かる。実施例1と実施例3との比較から、ポリウレタン形成時に化学架橋を導入できる組成の方が、高い曲げ強さを示すことが分かる。実施例1と6の比較から、ラジカル重合性単量体を含む方が、高い曲げ強さを示すことが分かる。実施例7から、無機充填材を配合した場合でもマトリックスとなるポリウレタン樹脂の特徴が反映されて、高い耐水性が得られることが分かる。また、実施例7で用いたポリウレタン単独のBS及びBSとの比較から、無機充填材を添加することでこれらの値が高くなることが分かる。
本発明により、口腔内で高強度、かつ、審美的なポリウレタン樹脂からなる歯科用樹脂組成物は、歯科修復材料として、好適に用いることができる。

Claims (7)

  1. (A)多官能性イソシアネート化合物、及び(B)前記多官能性イソシアネート化合物に対して相溶性を有するポリオール化合物を含み、且つポリウレタンの重付加を促進する触媒を含まない、歯科用重合性組成物であって、
    前記(A)の多官能性イソシアネート化合物は、1,3-ビス(2-イソシアナト-2-プロピル)ベンゼン、2,2-ビス(4-イソシアナトフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、4,4´-ジイソシアン酸メチレンジフェニル、3,3´-ジクロロ-4,4´-ジイソシアナトビフェニル、4,4´-ジイソシアナト-3,3´-ジメチルビフェニル、ジシクロヘキシルメタン4,4´-ジイソシアナート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアナート、ノルボルナンジイソシアネート、ジイソシアン酸イソホロン、1,5-ジイソシアナトナフタレン、ジイソシアン酸1,3-フェニレン、トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、トリレン-2,4-ジイソシアナート、トリレン-2,6-ジイソシアナート、m-キシリレンジイソシアナート、リジントリイソシアネート、4,4´,4´´-メチリジントリス(イソシアナトベンゼン)、及びポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物からなり、
    前記(B)のポリオール化合物は、
    分子内にアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基からなるラジカル重合性基を有し、
    当該ポリオール化合物の分子内に少なくとも2つ存在するヒドロキシル基のうち、最も離れた2つのヒドロキシル基間の距離を、当該2つのヒドロキシル基間に介在する2価の有機残基における主鎖を構成する原子(但し、前記主鎖が環構造を有する場合には、当該環構造の環を構成する全ての原子は、前記主鎖を構成する原子に含まれるものとする。)の数により表わしたときに、
    (i)前記有機残基が主鎖に環構造を有しない場合における前記距離は、2~8であり、
    (ii)前記有機残基が主鎖に環構造を有する場合における前記距離は、3~20であり、
    前記(B)のポリオール化合物の分子内に存在する前記ラジカル重合性基による重合に対して活性を有する重合開始剤をさらに含む、
    ことを特徴とする前記歯科用重合性組成物。
  2. (C)アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基からなるラジカル重合性基を有するラジカル重合性単量体(分子内に2以上のヒドロキシル基を有するラジカル重合性単量体を除く。)を更に含んでなる、ことを特徴とする請求項1に記載の歯科用重合性組成物。
  3. 請求項1に記載された歯科用重合性組成物を1段階で加熱することによって、ウレタン結合の形成と、前記(B)のポリオール化合物が有するラジカル重合性基のラジカル重合と、を行うことによって重合硬化させることによって得られ、且つ
    ISO 6872による3点曲げ強さをBSA(単位:MPa)とし、JDMAS 245:2017による水中浸漬後の3点曲げ強さをBSW(単位:MPa)としたときに、下記条件IおよびII
    条件I: BS≧200(MPa)
    条件II: 1>BS/BS≧0.70
    を同時に満足する、架橋構造を有するポリウレタン樹脂単体によって構成されるか、又は当該架橋構造を有するポリウレタン樹脂からなるマトリックス材料中に強化材料が分散若しくは埋設されてなる複合材料によって構成される、
    ことを特徴とする科用修復材料。
  4. 前記架橋構造を有するポリウレタン樹脂からなるマトリックス材料中に無機紛体からなる強化材料が分散若しくは埋設されてなる複合材料からなる、請求項3に記載の歯科用修復材料。
  5. 請求項3に記載の歯科用修復材料からなる歯科切削加工用レジン材料。
  6. 前記架橋構造を有するポリウレタン樹脂単体によって構成される請求項3に記載の歯科用修復材料からなる歯科切削加工用レジン材料を製造する方法であって、
    強化材料を含有しない請求項1に記載の歯科用重合性組成物を注型した後に1段階の加熱を行い、当該加熱中にウレタン結合の形成と、前記ラジカル重合性基のラジカル重合と、を行うことによって重合硬化させる、ことを特徴とする前記方法。
  7. 前記架橋構造を有するポリウレタン樹脂からなるマトリックス材料中に強化材料が分散若しくは埋設されてなる複合材料によって構成される請求項3に記載の歯科用修復材料からなる歯科切削加工用レジン材料を製造する方法であって、
    強化材料を更に含有する請求項1に記載の歯科用重合性組成物を注型した後に1段階の加熱を行い、当該加熱中にウレタン結合の形成と、前記ラジカル重合性基のラジカル重合と、を行うことによって重合硬化させる、ことを特徴とする前記方法。
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