JP7262023B2 - 扁平形非水電解質二次電池 - Google Patents

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Description

本開示は、扁平形非水電解質二次電池に関する。
扁平形非水電解質二次電池は、従来から、様々な電子機器の電源などに用いられてきた。扁平形非水電解質二次電池の例には、巻回式の電極群を用いた電池と、ジグザグに折り曲げられた電極群を用いた電池とが含まれる。巻回式の電極群は、セパレータを正極板と負極板とで挟み、それらを巻回することによって形成される。ジグザグに折り曲げられた電極群を用いた電池は、たとえば特許文献1に開示されている。
特許文献1には、正極板が延びる方向と負極板が延びる方向とを90°ずらして配置し、それらを折り畳んで電極群を形成する例が開示されている(特許文献1の図2参照)。この例では、極板のうち、折り曲げられる部分には活物質層は形成されていない(特許文献1の図1参照)。
特開2016-76329号公報
ジグザグに折り曲げられた電極群において、電極板の折り曲げ部分に活物質層を形成しない場合、その部分は電池容量に貢献しない。一方、折り曲げ部分に活物質層を形成した場合、充放電の繰り返しによって、折り曲げ部分にリチウム金属が析出することがある。そのようなリチウム金属の析出は、電池の短絡や電池容量の低下を招く可能性がある。
このような状況において、本開示の目的の1つは、ジグザグに折り曲げられた電極群を用いた扁平形非水電解質二次電池であって、且つ、電池容量および信頼性が高い電池を提供することである。
検討した結果、本願発明者らは、特定の構造を採用することによって上記の課題を解決できることを見出した。本開示は、この新たな知見に基づくものである。
本開示の一局面は、扁平形非水電解質二次電池に関する。当該扁平形非水電解質二次電池は、扁平形のケースと、前記ケース内に配置された正極板、負極板、セパレータおよび非水電解質とを含む扁平形非水電解質二次電池であって、前記正極板は、一列に連なった3つ以上の正極単位を含み、前記負極板は、一列に連なった3つ以上の負極単位を含み、前記3つ以上の正極単位のそれぞれは、正極集電体と前記正極集電体上に配置された正極活物質層とを含み、前記3つ以上の負極単位のそれぞれは、負極集電体と前記負極集電体上に配置された負極活物質層とを含み、隣接する2つの前記正極単位の境界部のそれぞれを第1の折り曲げ部として前記正極板を逆方向に折り曲げることによって、前記正極板はジグザグに折り曲げられており、隣接する2つの前記負極単位の境界部のそれぞれを第2の折り曲げ部として前記負極板を逆方向に折り曲げることによって、前記負極板はジグザグに折り曲げられており、前記第1および第2の折り曲げ部上にはそれぞれ、前記正極活物質層および前記負極活物質層が配置されており、前記正極単位の前記正極活物質層と前記負極単位の前記負極活物質層とが前記セパレータを挟んで対向するように、且つ、前記第1の折り曲げ部と前記第2の折り曲げ部とが前記セパレータを挟んで対向するように、前記正極板、前記負極板、および前記セパレータが配置されており、前記正極単位が連なる方向における前記正極単位の長さXは、前記負極単位が連なる方向における前記負極単位の長さYよりも長い。
本開示の他の一局面は、他の扁平形非水電解質二次電池に関する。当該扁平形非水電解質二次電池は、扁平形のケースと、前記ケース内に配置された正極板、負極板、セパレータおよび非水電解質とを含む扁平形非水電解質二次電池であって、前記正極板は、一列に連なった3つ以上の正極単位を含み、前記負極板は、一列に連なった3つ以上の負極単位を含み、前記3つ以上の正極単位のそれぞれは、正極集電体と前記正極集電体上に配置された正極活物質層とを含み、前記3つ以上の負極単位のそれぞれは、負極集電体と前記負極集電体上に配置された負極活物質層とを含み、隣接する2つの前記正極単位の境界部のそれぞれを第1の折り曲げ部として前記正極板を逆方向に折り曲げることによって、前記正極板はジグザグに折り曲げられており、隣接する2つの前記負極単位の境界部のそれぞれを第2の折り曲げ部として前記負極板を逆方向に折り曲げることによって、前記負極板はジグザグに折り曲げられており、前記第1および第2の折り曲げ部上にはそれぞれ、前記正極活物質層および前記負極活物質層が配置されており、前記正極単位の前記正極活物質層と前記負極単位の前記負極活物質層とが前記セパレータを挟んで対向するように、且つ、前記第1の折り曲げ部と前記第2の折り曲げ部とが前記セパレータを挟んで対向するように、前記正極板、前記負極板、および前記セパレータが配置されており、前記負極板が前記正極板に包まれる部分における、前記第1の折り曲げ部の中心部の前記正極活物質層と前記第2の折り曲げ部の中心部の前記負極活物質層との間の距離L1は、前記正極板が前記負極板に包まれる部分における、前記第1の折り曲げ部の中心部の前記正極活物質層と前記第2の折り曲げ部の中心部の前記負極活物質層との間の距離L2よりも長い。
本開示によれば、ジグザグに折り曲げられた電極群を用いた扁平形非水電解質二次電池であって、且つ、電池容量および信頼性が高い電池が得られる。
本実施形態の二次電池の一例を模式的に示す断面図である。 図1に示した二次電池の電極群の一例を模式的に示す断面図である。 図2に示した電極群の正極板を展開したときの平面図である。 図3Aの線IIIB-IIIBにおける断面図である。 図2に示した電極群の負極板を展開したときの平面図である。 図4Aの線IVB-IVBにおける断面図である。 図2に示した電極群の構成部材の配置を説明するための模式図である。 容量ロス率の計算方法を説明するための模式図である。
以下、本開示の実施形態について説明する。なお、以下の説明では、本開示の実施形態について例を挙げて説明するが、本開示は以下で説明する例に限定されない。以下の説明では、具体的な数値や材料を例示する場合があるが、本開示の効果が得られる限り、他の数値や材料を適用してもよい。
(扁平形非水電解質二次電池)
本開示の一実施形態に係る第1の扁平形非水電解質二次電池、および、本開示の他の実施形態に係る第2の扁平形非水電解質二次電池について、以下に説明する。以下では、第1の扁平形非水電解質二次電池を「第1の二次電池」と称する場合があり、第2の扁平形非水電解質二次電池を「第2の二次電池」と称する場合がある。なお、1つの観点では、第1の二次電池と第2の二次電池は、本開示の電池を異なる観点から表したものである。したがって、第1の二次電池に含まれる電池の少なくとも一部と第2の二次電池に含まれる電池の少なくとも一部とは重複する。
(第1の二次電池および第2の二次電池に共通する事項)
第1および第2の二次電池(扁平形非水電解質二次電池)は、扁平形のケースと、ケース内に配置された正極板、負極板、セパレータおよび非水電解質とを含む。正極板は、一列に連なった3つ以上の正極単位を含む。負極板は、一列に連なった3つ以上の負極単位を含む。3つ以上の正極単位のそれぞれは、正極集電体と正極集電体上に配置された正極活物質層とを含む。3つ以上の負極単位のそれぞれは、負極集電体と負極集電体上に配置された負極活物質層とを含む。隣接する2つの正極単位の境界部のそれぞれを第1の折り曲げ部として正極板を逆方向に折り曲げることによって、正極板はジグザグに折り曲げられている。隣接する2つの負極単位の境界部のそれぞれを第2の折り曲げ部として負極板を逆方向に折り曲げることによって、負極板はジグザグに折り曲げられている。第1および第2の折り曲げ部上にはそれぞれ、正極活物質層および負極活物質層が配置されている。正極単位の正極活物質層と負極単位の負極活物質層とがセパレータを挟んで対向するように、且つ、第1の折り曲げ部と第2の折り曲げ部とがセパレータを挟んで対向するように、正極板、負極板、およびセパレータが配置されている。
ここで、極板(正極板、負極板)を逆方向に折り曲げるとは、極板を略180°折り曲げることを意味する。折り曲げ部において極板を逆方向に折り曲げることによって、極板は、ジグザグに折り曲げられる。
第1の二次電池では、正極単位が連なる方向における正極単位の長さXは、負極単位が連なる方向における負極単位の長さYよりも長い。ここで、正極単位が連なる方向における正極単位の長さXは、正極板に沿った長さを意味する。換言すれば、長さXは、正極板を平らに展開したときの、正極単位が連なる方向における正極単位の長さである。同様に、負極単位が連なる方向における負極単位の長さYは、負極板を平らに展開したときの、負極単位が連なる方向における負極単位の長さである。
第1の二次電池では、3つ以上の正極単位は、同じ平面形状(実質的に同じ平面形状を含む)を有する。すなわち、各正極単位の長さXは実質的に等しい。同様に、3つ以上の負極単位は、同じ平面形状(実質的に同じ平面形状を含む)を有する。すなわち、各負極単位の長さYは実質的に等しい。第2の二次電池の3つ以上の正極単位の平面形状は、通常は同じであるが、異なってもよい。同様に、第2の二次電池の3つ以上の負極単位の平面形状は、通常は同じであるが、異なってもよい。
第2の二次電池では、負極板が正極板に包まれる部分における、第1の折り曲げ部の中心部の正極活物質層と第2の折り曲げ部の中心部の負極活物質層との間の距離L1は、正極板が負極板に包まれる部分における、第1の折り曲げ部の中心部の正極活物質層と第2の折り曲げ部の中心部の負極活物質層との間の距離L2よりも長い。
なお、以下では、負極板が正極板に包まれる部分を「正極活物質過剰部」と称する場合がある。同様に、以下では、正極板が負極板に包まれる部分を「負極活物質過剰部」と称する場合がある。
ここで、正極活物質過剰部および負極活物質過剰部における折り曲げ部(第1および第2の折り曲げ部)の中心部とは、極板単位(正極単位および負極単位)がジグザグに連なる方向に沿った断面(すなわち後述する図2の断面)において、対象となる過剰部にある折り曲げ部のうちの最も外側に位置する部分を意味する。たとえば、正極活物質過剰部における第1の折り曲げ部の中心部とは、正極単位がジグザグに連なる方向に沿った断面(すなわち後述する図2の断面)において、その第1の折り曲げ部において最も外側に位置する部分を意味する。典型的な一例では、隣接する2つの正極単位の境界が第1の折り曲げ部の中心部となり、隣接する2つの負極単位の境界が第2の折り曲げ部の中心部となる。
第1および第2の二次電池では、第1および第2の折り曲げ部にも、活物質層が配置されている。そのため、電池の容量を高くすることが可能である。
正極板および負極板には、電池特性を考慮して、単位面積当たり所定の量の活物質が配置される。したがって、正極板と負極板とを平行に対向させる場合には、設計通りの理想的な量比で正極活物質と負極活物質とを対向させることができる。しかし、ジグザグに折り曲げられた電極群において、負極板が正極板に包まれる部分では、理想的な量比よりも正極活物質の量が多くなる。その場合に、充放電を繰り返すと、正極活物質層から放出されるリチウムイオンを負極活物質層が吸収しきれずに活物質層間にリチウム金属が析出しやすくなることを、本願発明者らは見出した。そのようなリチウム金属の析出は、電池の短絡や電池容量の低下を招く可能性がある。一方、正極板が負極板に包まれる部分では、理想的な量比よりも負極活物質の量が多くなる。その場合には、充放電を繰り返しても、活物質層間にリチウム金属が析出する可能性は小さい。
第1および第2の二次電池では、正極活物質過剰部における正極活物質層と負極活物質層との間の隙間を、負極活物質過剰部における正極活物質層と負極活物質層との間の隙間よりも大きくすることができる。この構成によれば、正極活物質過剰部分におけるリチウムイオンのやりとりを抑制できるため、当該部分におけるリチウム金属の析出を抑制できる。
第1および第2の二次電池では、通常、1枚の正極板に含まれる正極単位の数Nと、1枚の負極板に含まれる負極単位の数Mとは同じである。好ましい一例では、正極単位の数Nおよび負極単位の数Mは、同じであり且つ奇数であるが、それらの数は偶数であってもよい。
正極単位の平面形状は、ケースの形状に応じて選択できる。正極単位の平面形状は、多角形状または円形状であってもよい。ケースが角形である場合、正極単位の平面形状の好ましい一例は、矩形であり、たとえばケースの一主面よりも少し小さい矩形である。ケースがコイン形である場合、正極単位の平面形状の好ましい一例は、多角形状(たとえば六角形状や八角形状や十角形状など)または円形状である。正極単位は、上記の平面形状に、さらに折り曲げ部となる部分を付与した平面形状を有してもよい。
負極単位の平面形状は、上述した正極単位の平面形状と同様に選択することができる。好ましい一例では、正極単位の平面形状と負極単位の平面形状とは、正極活物質と負極活物質とが対応する面積が最大になるように選択される。たとえば、正極単位の平面形状と負極単位の平面形状とを、概ね類似した形状としてもよい。ただし、正極単位の平面形状と負極単位の平面形状とは、上記の長さXと長さYとの関係、および/または、上記の距離L1と距離L2との関係を満たすように選択される。
通常、1枚の正極板は、1枚の正極集電体と、その集電体上に配置された正極活物質層とを含む。好ましい一例では、正極集電体上に配置された正極活物質層は、途切れることなく連続している。通常、1枚の負極板は、1枚の負極集電体と、その集電体上に配置された負極活物質層とを含む。好ましい一例では、負極集電体上に形成される負極活物質層は、途切れることなく連続している。
第1および第2の二次電池において、上記の長さXと長さYとの差(X-Y)は、0.1~0.3mmの範囲にあってもよい。差(X-Y)をこの範囲とすることによって、電池容量のロスが少なく信頼性が高い二次電池が得られる。
電極群を構成する部材(極板、集電体、セパレータ)の厚さを考慮しない場合、距離L1と距離L2との差(L1-L2)は、差(X-Y)と等しいとみなすことが可能である。そのため、差(X-Y)と同様に、差(L1-L2)を0.1~0.3mmの範囲としてもよい。電極群を構成する部材の厚さを考慮して、差(L1-L2)の値を、好ましい差(X-Y)の値よりもわずかに小さい値としてもよい。L2は小さいことが好ましく、たとえばセパレータの厚さと同程度であってもよい。なお、電極群が、異なる複数の距離L1、および/または、異なる複数の距離L2を有する場合、それらの距離L1および距離L2のすべてが上記関係を満たすことが好ましい。
正極単位が連なる方向に対して垂直な方向における正極単位の最大の長さを、幅WXとする。また、負極単位が連なる方向に対して垂直な方向における負極単位の最大の長さを、幅WYとする。正極単位が連なる方向に対して垂直な方向における正極単位の幅WXと、負極単位が連なる方向に対して垂直な方向における負極単位の幅WYとは、WX>WYの関係を満たしてもよいが、通常はWX≦WYの関係を満たす。また、1つの正極単位の面積SPと1つの負極単位の面積SNとは、SP>SNの関係を満たしてもよいが、通常はSP≦SNの関係を満たす。
第1および第2の二次電池において、セパレータの少なくとも一部は、負極板(負極活物質層)に固定されていてもよいし、正極板(正極活物質層)に固定されていてもよい。これらの構成によれば、電池の製造が容易になる。セパレータの固定方法に特に限定はなく、公知の技術を用いてもよい。たとえば、熱プレスなどによってセパレータを負極板に固定してもよい。あるいは、表面に接着層を有するセパレータを用いてもよい。接着層には、たとえば、ポリフッ化ビニリデンなどの樹脂を含む層を用いることができる。
第1および第2の二次電池は、正極板の数と負極板の数との合計が2または3となるように、少なくとも1つの正極板および少なくとも1つの負極板を含んでもよい。正極板および負極板の数と活物質層の配置に関する3つの例(第1~第3の配置例)について以下に説明する。
第1の配置例では、正極板の数および負極板の数がそれぞれ1である。この場合、正極集電体の片面のみに正極活物質層が配置され且つ負極集電体の片面のみに負極活物質層が配置されている。第2の配置例では、正極板の数が2であり、負極板の数は1である。この場合、正極集電体の片面のみに正極活物質層が配置され且つ負極集電体の両面に負極活物質層が配置されている。第2の配置例では、2つの正極板で1つの負極板を挟むように、正極板と負極板とが配置される。第3の配置例では、負極板の数が2であり、正極板の数は1である。この場合、正極集電体の両面に正極活物質層が配置され且つ負極集電体の片面のみに負極活物質層が配置されている。第3の配置例では、2つの負極板で1つの正極板を挟むように、正極板と負極板とが配置される。
第1および第2の二次電池では、正極板が負極板に包まれる部分(負極活物質過剰部)において、第1の折り曲げ部の正極活物質層および第2の折り曲げ部の負極活物質層はそれぞれセパレータに接触していてもよい。このような構成であっても、負極活物質過剰部ではリチウム金属が析出しにくい。
第1および第2の二次電池では、第1の折り曲げ部と第2の折り曲げ部との間(特に正極活物質過剰部におけるそれらの間)に、非水電解質の透過を防止する部材が存在しなくてもよいし、存在してもよい。非水電解質の透過を防止する部材(別の観点では、リチウムイオンの移動を防止する部材、または、非水電解液の移動を防止する部材)を第1の折り曲げ部と第2の折り曲げ部との間に配置することによって、その部分におけるリチウム金属の析出を抑制できる。しかし、第1および第2の二次電池は、正極活物質過剰部におけるリチウム金属の析出を抑制する構成を有するため、そのような部材を用いる必要性が低い。そのような部材を不要とすることによって、製造が容易になり、且つ、製造コストを低減できる。また、そのような部材を用いることによる空間のロスを防止できる。
本実施形態に特有の構成を用いることを除いて、第1および第2の二次電池の構成要素(ケース、正極板を構成する材料、負極板を構成する材料、セパレータ、非水電解質、およびその他の構成要素など)に特に限定はない。たとえば、第1および第2の電池は、電極群の周囲を絶縁する絶縁部材や、その他の部材を含んでもよい。本実施形態に特有の構成を有することを除いて、第1および第2の二次電池の構成要素には、公知の材料や公知の構成を適用してもよい。それらの構成要素について以下に例示するが、本実施形態は以下の例示に限定されない。
(正極板)
正極板は、正極集電体と正極活物質層とを含む。正極集電体の一部は、端子として機能するケースの一部(ケース本体または封口板)に電気的に接続される接続部を構成してもよい。その場合、接続部は、溶接(たとえば超音波溶接)などによってケースの一部に接続される。
正極集電体の例には、導電性材料(たとえば金属材料)で作られたシート状物(たとえば、箔、メッシュ、またはパンチングシート)などが含まれる。正極集電体を構成する金属材料の例には、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金、およびステンレス鋼などが含まれる。正極集電体の厚さは、たとえば、5~300μmの範囲にあってもよい。
正極活物質層は、正極活物質を含み、必要に応じて他の物質(結着剤、導電剤など)を含んでもよい。正極活物質の例には、リチウムイオンを可逆的に放出する物質、すなわち、リチウムイオンを放出および吸蔵する物質が含まれる。具体的には、正極活物質の例には、リチウムを含有する金属酸化物、リチウム-遷移金属リン酸化合物、リチウム-遷移金属硫酸化合物などが含まれる。リチウムを含有する金属酸化物の例には、リチウム遷移金属複合酸化物、およびリチウム-ニッケル-コバルト-アルミニウム複合酸化物などが含まれる。リチウム遷移金属複合酸化物の例には、リチウム-マンガン複合酸化物(たとえばLiMn)、リチウム-ニッケル複合酸化物(たとえばLiNiO)、リチウム-コバルト複合酸化物(たとえばLiCoO)、および、これらの遷移金属元素の一部を他の金属元素(典型金属元素および/または遷移金属元素)に置換した複合酸化物などが含まれる。
結着剤の例には、フッ素樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、およびゴム状重合体などが含まれる。フッ素樹脂の例には、ポリテトラフルオロエチレン、およびポリフッ化ビニリデンなどが含まれる。結着剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
導電剤の例には、炭素材料が含まれる。導電剤として用いられる炭素材料の例には、カーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラックなど)、カーボンナノチューブ、および黒鉛が含まれる。導電剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
(負極板)
負極板は、負極集電体と負極活物質層とを含む。負極集電体の一部は、端子として機能するケースの一部(ケース本体または封口板)に電気的に接続される接続部を構成してもよい。その場合、接続部は、溶接(たとえば超音波溶接)などによって、ケースの一部に接続される。
負極集電体の例には、導電性材料(たとえば金属材料)で作られたシート状物(たとえば、箔、メッシュ、またはパンチングシート)などが含まれる。負極集電体の金属材料は、リチウムと、合金および金属間化合物のいずれも形成しない材料であってもよい。負極集電体の金属材料の例には、銅、ニッケル、鉄、およびこれらの金属元素を含む合金(銅合金、ステンレス鋼など)などが含まれる。好ましい一例では、負極集電体の金属材料は、銅または銅合金である。負極集電体の厚さは、たとえば、5~300μmの範囲にあってもよい。
負極活物質層は、負極活物質を含み、必要に応じて他の物質(結着剤、導電剤、増粘剤など)を含んでもよい。負極活物質の例には、リチウムイオンを可逆的に吸蔵する物質、すなわち、リチウムイオンを吸蔵および放出する物質が含まれる。具体的には、負極活物質の例には、炭素材料、ケイ素、ケイ素化合物、およびリチウム合金などが含まれる。炭素材料の例には、黒鉛、コークス、黒鉛化途上炭素、黒鉛化炭素繊維、および非晶質炭素などが含まれる。
結着剤の例には、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのフッ素樹脂、ポリアクリル酸メチル、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体などのアクリル樹脂、スチレンブタジエンゴム、アクリルゴム、および、これらのゴムの変性体が含まれる。導電剤の例には、正極活物質層の説明で例示した導電剤が含まれる。増粘剤の例には、カルボキシル基を含む水溶性高分子(たとえばカルボキシメチルセルロース)が含まれる。
(セパレータ)
セパレータの例には、イオン透過性および絶縁性を有するシートが含まれる。なお、セパレータは、イオン透過性および絶縁性を有するシートを含む複数のシートを積層したものであってもよい。セパレータは、正極板と負極板とを絶縁するために必要なサイズを有する。
セパレータは、微多孔フィルム、織布、または不織布であってもよい。セパレータの材料の例には、絶縁性を有する高分子が含まれ、具体的には、ポリオレフィン系高分子、ポリアミド系高分子、セルロース系高分子などが含まれる。セパレータの厚さは、5~200μmの範囲にあってもよい。
(非水電解質)
非水電解質としては、リチウムイオン伝導性を有するものが使用される。典型的な非水電解質は、非水溶媒と、非水溶媒に溶解しているリチウムイオンおよびアニオンとを含む。非水電解質は、液状であってもよいし、ゲル状であってもよい。液状の非水電解質は、リチウム塩を非水溶媒に溶解させることによって調製できる。リチウム塩(リチウムイオンとアニオンとの塩)を非水溶媒に溶解させることによって、リチウムイオンおよびアニオンが生成される。
ゲル状の非水電解質は、液状の非水電解質と、マトリックスポリマーとを含む。マトリックスポリマーとしては、たとえば、非水溶媒を吸収してゲル化するポリマー材料が使用される。このようなポリマー材料の例には、フッ素樹脂、アクリル樹脂、およびポリエーテル樹脂などが含まれる。
リチウム塩のアニオンの例には、BF 、ClO 、PF 、CFSO 、CFCO 、イミド類のアニオン、オキサレート錯体のアニオンなどが含まれる。
非水溶媒の例には、エステル、エーテル、ニトリル、アミド、および、これらのハロゲン置換体(たとえばフッ化物)などが含まれる。非水電解質は、これらの非水溶媒を1種だけ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。
エステルの例には、炭酸エステル、カルボン酸エステルなどが含まれる。環状炭酸エステルの例には、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート(FEC)などが含まれる。鎖状炭酸エステルの例には、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどが含まれる。環状カルボン酸エステルの例には、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトンなどが含まれる。鎖状カルボン酸エステルの例には、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、フルオロプロピオン酸メチルなどが含まれる。
非水電解質中のリチウム塩の濃度は、たとえば、0.5mol/L~3.5mol/Lの範囲としてもよい。ここで、リチウム塩の濃度は、解離したリチウム塩の濃度と未解離のリチウム塩の濃度との合計である。非水電解質中のアニオンの濃度は、0.5mol/L~3.5mol/Lの範囲であってもよい。
(ケース)
扁平形のケースは、角形(直方体状)であってもよいし、コイン形(低い円柱状)であってもよい。すなわち、第1および第2の二次電池は、角形の電池であってもよいし、コイン形の電池であってもよい。コイン形のケースには、ボタン形と呼ばれるケースが含まれる。
典型的なケースは、ケース本体と、封口板と、ケース本体と封口板との間に配置されたガスケットとを含む。通常、ケース本体および封口板はそれぞれ、電極端子として機能する。たとえば、一般的なコイン形の電池の場合、ケース本体は正極端子として機能し、封口板は負極端子として機能する。ケース本体および封口板はそれぞれ、金属(たとえば導電性を有するステンレス鋼)を用いて形成できる。
以下では、第1および第2の二次電池およびその製造方法について、図面を参照して具体的に説明する。以下に示す図は模式図であり、実際の構造を正確に反映したものではない。なお、上述したように、第1および第2の二次電池の基本的な構造および製造方法は同じであるため、それらをまとめて実施形態1の二次電池として説明する。以下では、コイン形の電池の一例について説明するが、本開示は、以下で説明する例に限定されない。以下で説明する一例の構成要素は、上述した記載に基づいて変更できる。また、以下で説明する事項を、上記の実施形態に適用してもよい。
(実施形態1)
実施形態1の二次電池の断面図を、図1に模式的に示す。図1の二次電池10は、扁平形(コイン形)のケース20と、ケース20内に配置された電極群30および非水電解質(図示せず)とを含む。ケース20は、有底円筒形のケース本体21と、封口板22と、ガスケット23とを含む。ケース本体21は、封口板22およびガスケット23によって封口されている。
電極群30の断面図を図2に示す。図2は、正極単位および負極単位がジグザグに連なる方向に沿った断面である。電極群30は、正極板40、負極板50、および、それらの間に配置された1つのセパレータ60を含む。正極板40、負極板50、およびセパレータ60はそれぞれ、ジグザグに折り曲げられている。
(正極板)
正極板40を平らに展開したときの平面図を図3Aに示し、図3Aの線IIIB-IIIBにおける断面図を図3Bに示す。正極板40は、正極集電体41と、正極集電体41上に配置された正極活物質層42とを含む。正極板40は、一列に連なった5つの正極単位40aを含む。それぞれの正極単位40aは、正極集電体41と正極活物質層42とを含む。それぞれの正極単位40aは、同じ平面形状を有する。具体的には、図3Aに示した一例の正極単位40aは、八角形の平面形状を有する。図3Aでは、隣接する2つの正極単位40aの境界40bを点線で示す。図3Aに示すように、正極単位40aが連なる方向PD(長手方向)におけるそれぞれの正極単位40aの長さを、長さXとする。また、方向PDに垂直な方向におけるそれぞれの正極単位40aの最大の長さを、幅WXとする。5つの正極単位40aのそれぞれの長さXは等しく、5つの正極単位40aのそれぞれの幅WXは等しい。
正極板40はさらに、正極板40をケース本体21に電気的に接続するための接続部43を含む。接続部43は、一列に連なった正極単位40aの端に接続されており、図示する一例では、正極単位40aが連なる方向に連なっている。
図示する一例では、接続部43は、1つの正極単位40aの正極集電体41と概ね同じ形状を有する。接続部43は、ケース本体21に接続される部分であり、たとえば溶接等によってケース本体21に接続される。図示するように、1枚の正極集電体41の一部が接続部43を構成し、他の一部が正極単位40aの集電体を構成している。接続部43は、正極集電体41上に正極合剤が塗布されない、正極合剤の未塗布部である。なお、正極集電体41をケース本体21に電気的に接続できる限り、接続部43の構造に特に限定はない。
隣接する2つの正極単位40aの境界部のそれぞれを第1の折り曲げ部40abとして正極板40を逆方向に折り曲げることによって、正極板40は、図2に示すようにジグザグに折り曲げられている。1つの観点では、正極単位40aは、第1の折り曲げ部40abと、第1の重ね合わせ部40aaとを含む。第1の重ね合わせ部40aaは、電極群30の積層方向SD(図2参照)に沿って重ね合わせられる部分である。
なお、図2および後述する図5に示すように、接続部43と正極単位40aとの境界部も、折り曲げ部として折り曲げられる。
正極板40の表面であって負極板50と対抗する側の表面のうち、接続部43の部分を除いた部分には正極活物質層42が形成されている。すなわち、第1の重ね合わせ部40aaおよび第1の折り曲げ部40abの両方に正極活物質層42が形成されている。
(負極板)
負極板50を平らに展開したときの平面図を図4Aに示し、図4Aの線IVB-IVBにおける断面図を図4Bに示す。負極板50は、負極集電体51と、負極集電体51上に配置された負極活物質層52とを含む。負極板50は、一列に連なった5つの負極単位50aを含む。それぞれの負極単位50aは、負極集電体51と負極活物質層52とを含む。それぞれの負極単位50aは、同じ平面形状を有する。具体的には、図4Aに示した一例の負極単位50aは、八角形の平面形状を有する。図4Aでは、隣接する2つの負極単位50aの境界50bを点線で示す。図4Aに示すように、負極単位50aが連なる方向ND(長手方向)におけるそれぞれの負極単位50aの長さを、長さYとする。また、方向NDに垂直な方向におけるそれぞれの負極単位50aの最大の長さを、幅WYとする。5つの負極単位50aのそれぞれの長さYは等しく、5つの負極単位50aのそれぞれの幅WYは等しい。
負極板50はさらに、負極板50をケース本体21に電気的に接続するための接続部53を含む。接続部53は、一列に連なった負極単位50aの端に接続されており、図示する一例では、負極単位50aが連なる方向に連なっている。
図示する一例では、接続部53は、1つの負極単位50aの負極集電体51と概ね同じ形状を有する。接続部53は、封口板22に電気的に接続される部分であり、たとえば溶接等によって封口板22に接続される。図示するように、1枚の負極集電体51の一部が接続部53を構成し、他の一部が負極単位50aの集電体を構成している。接続部53は、負極集電体51上に負極合剤が塗布されない、負極合剤の未塗布部である。なお、負極集電体51を封口板22に電気的に接続できる限り、接続部53の構造に特に限定はない。
隣接する2つの負極単位50aの境界部のそれぞれを第2の折り曲げ部50abとして負極板50を逆方向に折り曲げることによって、負極板50は、図2に示すようにジグザグに折り曲げられている。1つの観点では、負極単位50aは、第2の折り曲げ部50abと、第2の重ね合わせ部50aaとを含む。第2の重ね合わせ部50aaは、電極群30の積層方向SD(図2参照)に沿って重ね合わせられる部分である。
なお、図2および後述する図5に示すように、接続部53と負極単位50aとの境界部も、折り曲げ部として折り曲げられる。
負極板50の片面のうち、接続部53の部分を除いた部分には負極活物質層52が形成されている。すなわち、第2の重ね合わせ部50aaおよび第2の折り曲げ部50abの両方に負極活物質層52が形成されている。
正極板40、負極板50、およびセパレータ60の配置を説明するための模式図を図5に示す。図5は、図2に示した電極群30の折り曲げ部を少しだけ広げて各部材を離した状態を模式的に示す。なお、図5では、接続部43および53を点線で示す。
図5に示すように、正極板40の第1の折り曲げ部40abと、負極板50の第2の折り曲げ部50abとは、セパレータ60を挟んで対向している。また、図2に示すように、正極活物質層42と負極活物質層52とは、セパレータ60を挟んで対向している。これらの構成を満たすように、正極板40、負極板50、およびセパレータ60は配置されている。
なお、図2の電極群30において、正極集電体41および/または負極集電体51がケース20と接触すると短絡する。そのような短絡を防止するための絶縁部材(たとえば絶縁テープ)が、電極群30の周囲に配置されてもよい。たとえば、正極集電体41および負極集電体51のそれぞれの折り曲げ部の外側に、それらの集電体がケース20と接触することを防止するための絶縁部材が配置されてもよい。
図2に示すように、正極単位40aの正極活物質層42と負極単位50aの負極活物質層52とがセパレータ60を挟んで対向するように、且つ、第1の折り曲げ部40abと第2の折り曲げ部50abとがセパレータ60を挟んで対向するように、正極板40、負極板50、およびセパレータ60が配置されている。
正極単位40aの長さXは、負極単位50aの長さYよりも長い。長さXと長さYとの差(X-Y)は、上述した範囲としてもよい。また、正極単位の幅WXと、負極単位の幅WYとは、通常、WX≦WYの関係を満たす。
図2に示すように、負極板50が正極板40に包まれる部分(正極活物質過剰部A)における、第1の折り曲げ部40abの中心部の正極活物質層42と第2の折り曲げ部50abの中心部の負極活物質層52との間の距離を、距離L1とする。また、正極板40が負極板50に包まれる部分(負極活物質過剰部B)における、第1の折り曲げ部40abの中心部の正極活物質層42と第2の折り曲げ部50abの中心部の負極活物質層52との間の距離を、距離L2とする。距離L1は、距離L2よりも長い。これは、たとえば、長さXを長さYよりも長くすることによって達成できる。
なお、正極活物質過剰部Aにおいて、第1の折り曲げ部40abの中心部とは、図2の断面において正極活物質過剰部Aにある第1の折り曲げ部40abのうち最も外側に位置する部分を意味し、第2の折り曲げ部50abの中心部とは、図2の断面において正極活物質過剰部Aにある第2の折り曲げ部50abのうち最も外側に位置する部分を意味する。同様に、負極活物質過剰部Bにおいて、第1の折り曲げ部40abの中心部とは、図2の断面において負極活物質過剰部Bにある第1の折り曲げ部40abのうち最も外側に位置する部分を意味し、第2の折り曲げ部50abの中心部とは、図2の断面において負極活物質過剰部Bにある第2の折り曲げ部50abのうち最も外側に位置する部分を意味する。正極活物質過剰部Aにおいて、第1の折り曲げ部40abの中心部と第2の折り曲げ部50abの中心部は、セパレータ60を介して対向する。負極活物質過剰部Bにおいて、第1の折り曲げ部40abの中心部と第2の折り曲げ部50abの中心部も、セパレータ60を介して対向する。
正極活物質過剰部Aでは、通常、正極活物質層42とセパレータ60との間、および/または、負極活物質層52とセパレータ60との間に隙間Sができる。一方、負極活物質過剰部Bでは、正極活物質層42と負極活物質層52とがそれぞれ、隙間なくセパレータ60と接触していてもよい。
実施形態1の二次電池によれば、上述したように、正極活物質過剰部Aにおけるリチウム金属の析出(たとえばデンドライト状のリチウム金属の析出)を抑制できる。その結果、信頼性が高い電池が得られる。また、実施形態1の二次電池では、折り曲げ部にも活物質が配置されているため、高容量化が可能である。
なお、実施形態1では、電極群を構成する正極板、負極板、およびセパレータがそれぞれ1つのみである場合について説明した。しかし、正極板および負極板の一方が1つのみであり他方が2つであってもよい。その場合、1つのみの極板の両面に活物質層が形成され、他方の2つの極板のそれぞれの片面に活物質層が形成される。さらに、その場合、2つのセパレータが用いられる。正極板が1つのみであり負極板が2つである場合には、1つの正極板、2つの負極板、および2つのセパレータは、負極集電体/負極活物質層/セパレータ/正極活物質層/正極集電体/正極活物質層/セパレータ/負極活物質層/負極集電体、という順になるように配置され且つジグザグに折り畳まれる。同様に、負極板が1つのみであり正極板が2つである場合には、2つの正極板、1つの負極板、および2つのセパレータは、正極集電体/正極活物質層/セパレータ/負極活物質層/負極集電体/負極活物質層/セパレータ/正極活物質層/正極集電体、という順になるように配置され且つジグザグに折り畳まれる。正極板(または負極板)の両面に活物質層が形成される場合、1つの正極単位(または1つの負極単位)は、正極集電体(または負極集電体)と、その両面に配置された正極活物質層(または負極活物質層)とを含む。
(扁平形非水電解質二次電池の製造方法)
本実施形態の二次電池の製造方法の一例について説明する。以下では、実施形態1で説明した二次電池10の製造方法の一例について説明する。以下で説明する製造方法で、第1および第2の二次電池を製造できる。以下で説明する製造工程には、公知の技術を適用することができる。なお、本実施形態の二次電池の製造方法は、以下の製造方法に限定されない。
まず、正極板40および負極板50を準備する。正極板40の好ましい作製方法の一例では、まず、正極活物質層42を構成する材料を混合して正極合剤を調製する。次に、その正極合剤を、正極集電体41となる導電性シート(たとえば金属箔)上に塗布することによって、正極活物質層42を形成する。このようにして、正極板40が作製される。正極板40は、上述した構造(平面形状)を有するように作製する。大面積の導電性シートの所定の領域に正極活物質層42を形成した後に、導電性シートおよび正極活物質層42を打ち抜き型を用いて一緒に打ち抜くことによって、正極板40を作製することができる。
極板を折り曲げる部分に活物質層を形成しない特許文献1に記載の電池とは異なり、本実施形態では、第1および第2の折り曲げ部40abおよび50abにも活物質層を形成する。この場合、折り曲げ部とそれ以外の部分とで活物質層を塗り分ける必要がない。そのため、本実施形態で用いられる正極板は、製造が容易である(負極板についても同様である)。
負極板50の好ましい作製方法の一例では、まず、負極活物質層52を構成する材料を混合して負極合剤を調製する。次に、その負極合剤を、負極集電体51となる導電性シート(たとえば金属箔)上に塗布することによって、負極活物質層52を形成する。このようにして、負極板50が作製される。負極板50は、上述した構造(平面形状)を有するように作製する。大面積の導電性シートの所定の領域に負極活物質層52を形成した後に、導電性シートおよび負極活物質層52を打ち抜き型を用いて一緒に打ち抜くことによって、負極板50を作製することができる。
次に、正極活物質層42と負極活物質層52とがセパレータ60を挟んで対向するように、正極板40と負極板50とセパレータ60とを配置する。そして、それらを一緒にジグザグに折り曲げて電極群を作製する。なお、正極板40と負極板50とセパレータ60とを折り曲げてから、それらを組み合わせて電極群30を作製してもよい。また、電極群30の作製において、極板を折り曲げる前に、正極板40または負極板50に、セパレータの少なくとも一部を固定しておいてもよい。セパレータを固定しておくことによって、電極群の作製が容易になる。セパレータの固定は、上述した方法で行うことができる。
次に、接続部43をケース本体21に電気的に接続する。同様に、接続部53を封口板22に電気的に接続する。これらの電気的な接続は、たとえば溶接(超音波溶接など)によって実施できる。なお、必要に応じて、接続部の接続の前または後に、電極群30の周囲を絶縁部材で保護する。
次に、電極群30および非水電解質をケース本体21内に配置する。次に、封口板22およびガスケット23を用いてケース本体21を封口する。このようにして、実施形態1の二次電池10が得られる。
実施例によって、本開示をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
実施例1では、図1に示した二次電池10と同様の構造を有する電池を作製した。ここで、正極単位および負極単位の数は、それぞれ5とした。正極単位および負極単位の平面形状はそれぞれ、略正八角形とした。そして、長さXおよび長さYの値を変えて複数の電池を作製した。なお、極板の長手方向に垂直な方向の幅WXおよびWYは、正極単位および負極単位のいずれも5.7mmとした。
正極活物質層を構成する正極合剤は、正極活物質であるコバルト酸リチウム(LiCoO)と、導電剤であるアセチレンブラックと、結着剤であるポリフッ化ビニリデンとを、9:0.1:0.1の質量比で混合することによって調製した。正極集電体には、アルミニウム箔(厚さ13μm)を用いた。
負極活物質層を構成する負極合剤は、負極活物質である黒鉛と、増粘剤であるカルボキシメチルセルロースと、結着剤であるスチレンブタジエンゴムとを、9:0.1:0.1の質量比で混合することによって調製した。負極集電体には、銅箔(厚さ6μm)を用いた。
セパレータには、ポリオレフィン製の微多孔膜(厚さ14μm)を用いた。非水電解質は、非水溶媒にLiPFを溶解させることによって調製した。非水溶媒には、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとを、30:1:61の体積比で混合することによって調製した。
上記の正極板、負極板、およびセパレータを用いて上述した方法で電極群を作製した。ここで、負極活物質過剰部の折り曲げ部では、正極活物質層とセパレータとの間、および、負極活物質層とセパレータとの間に、実質的に隙間がないように電極群を作製した。そして、その電極群と非水電解質とコイン形のケースとを用いて、上述した方法でコイン形の非水電解質二次電池を作製した。得られた二次電池のサイズは、外形が9.0mmで、高さが2.0mmであった。
この実施例では、長さXおよび長さYを変えて5種類(サンプル1~4および比較サンプル1)の二次電池を作製した。そして、その5種類の二次電池について、20℃で充放電サイクル試験を行った。充放電サイクル試験では、充電と放電とを1サイクルとして、充放電サイクルを1000サイクル繰り返した。なお、充放電サイクル試験において、充電は4.35Vで6mAの条件で行い、放電は3.0Vで6mAの条件で行った。そして、充放電サイクル試験を行う前(初期)、充放電サイクル試験の途中および終了後に、各サンプルの電池容量を測定した。
また、5種類の二次電池について、上記の充放電サイクルを500サイクル行った後に、二次電池を分解した。そして、極板間にリチウム金属が析出しているか否かを目視で確認した。
作製した5種類の二次電池における長さXおよび長さYの値、および、上記の評価の結果を表1に示す。表1のサイクル数nは、電池容量が初期の電池容量の80%に到達するサイクル数である。さらに、表1には、長さXと長さYとの差の部分が電池容量に寄与しないと仮定した場合の、容量ロス率R(%)の計算結果を示す。なお、この計算結果は、後述する仮定に基づく計算である。この値が大きいほど容量のロスが大きいことを示すため、この値は小さい方が好ましい。この容量ロス率Rは、長さXと長さYとが等しい場合には0%となる。
Figure 0007262023000001
サンプル1~4は、長さXが長さYよりも長いため、上述した第1の二次電池に該当する。また、長さXを長さYよりも長くすることによって、距離L1は距離L2よりも長い。したがって、サンプル1~4は、上述した第2の二次電池に該当する。
表1に示すように、長さXを長さYよりも長くしたサンプル1~4では、充放電サイクル試験後に、リチウム金属の析出が見られなかった。一方、長さXと長さYとが等しい比較サンプル1では、充放電サイクル試験後に、正極活物質過剰部でリチウム金属の析出が見られた。そのため、比較サンプル1は、サンプル1~4と比較して、充放電を繰り返すことによって、短絡や容量低下を生じる可能性が高い。
さらに、表1に示すように、サンプル1~4の二次電池は、1000サイクル経過後も、初期容量の80%よりも高い電池容量を維持していた。それに対して、比較サンプル1の二次電池の電池容量は、750サイクルで初期容量の80%となった。この結果は、サンプル1~4の二次電池は、充放電の繰り返しによる劣化が小さいことを示している。
一方、表1に示すように、長さXと長さYとの差(X-Y)の値が大きくなると、容量ロス率も大きくなる。そのため、差(X-Y)は、一定の値以下とすることが好ましい。容量ロス率Rの値を考慮すると、差(X-Y)の値は0.3以下(たとえば0.1~0.3の範囲)であることが好ましい。なお、比較サンプル1とサンプル1~4とは長さXの値が異なる。そのため、(比較サンプル1の容量ロス率)<(サンプル1~4の容量ロス率)という結果が、(比較サンプル1の電池容量)>(サンプル1~4の電池容量)ということを示しているわけではない。また、正極活物質過剰部の折れ曲がり部の活物質層のすべてが電池容量に寄与しないと仮定しても、負極活物質過剰部の折れ曲がり部の活物質層は電池容量の増大に寄与する。そのため、本実施形態の電池によれば、従来の電池に比べて電池容量を増大させることが可能である。
(容量ロス率R)
容量ロス率Rの計算方法について、図6を参照して説明する。図6には、一例として、5つの正極単位40aを示す。長さXが長さYよりも長い場合、正極活物質過剰部となる部分では、図6に示す4つの台形部分Tにおいて、正極活物質が負極活物質と対向しないとみなすことが可能である。正極単位40aの数をN(奇数)とすると、台形部分Tの数は(N-1)個である。
図6に、幅WX、幅WL、および長さD1を示す。幅WXは、正極単位40aの幅方向の長さ(この実施例では5.7mm)である。幅WLは、隣接する2つの正極単位40aの境界部分における幅方向の長さであり、すなわち、その部分における正極単位(八角形)の一辺の長さである。長さD1は、八角形の一辺(台形部分Tの斜辺を含む一辺)の長さであって、正極単位40aが連なる方向PDにおける長さである。
台形部分Tのサイズは、以下の式で表される。
上底:WL
高さ:(X-Y)
下底:WL+(WX-WL)×(X-Y)/D1
面積ST:{(WL+(WX-WL)×(X-Y)/D1)+WL}×(X-Y)/2
すべての台形部分の面積の合計:ST×(N-1)
長さXおよび幅WXが共に5.7mmである正八角形の正極単位のサイズは、以下の通りである。
面積:26.9mm
D1:1.670mm
WL:2.361mm
なお、XおよびYが変化してもD1およびWLの数値が変化しないものと仮定すると、WXが5.7mmである場合の台形部分Tのサイズは、以下のように表される。
上底:2.361mm
高さ:(X-Y)
下底:2.361+(5.7-2.361)×(X-Y)/1.670
面積ST:{(2.361+(5.7-2.361)×(X-Y)/1.670)+2.361}×(X-Y)/2
上記の容量ロス率Rは、正極単位の全面積に占める台形部分Tの全面積の割合と等しいとみなすことができる。そのため、容量ロス率Rは以下の式で表される。なお、以下の式のSPは、1つの正極単位の面積である。表1の容量ロス率Rは、このようにして求めた値である。
容量ロス率R(%)=100×ST×(N-1)/(N×SP)
本開示は、扁平形非水電解質二次電池に利用できる。
10 二次電池(扁平形非水電解質二次電池)
20 ケース
30 電極群
40 正極板
40a 正極単位
40ab 第1の折り曲げ部
41 正極集電体
42 正極活物質層
50 負極板
50a 負極単位
50ab 第2の折り曲げ部
51 負極集電体
52 負極活物質層
60 セパレータ
X,Y 長さ
L1,L2 距離

Claims (14)

  1. 扁平形のケースと、前記ケース内に配置された正極板、負極板、セパレータおよび非水電解質とを含む扁平形非水電解質二次電池であって、
    前記正極板は、一列に連なった3つ以上の正極単位を含み、
    前記負極板は、一列に連なった3つ以上の負極単位を含み、
    前記3つ以上の正極単位のそれぞれは、正極集電体と前記正極集電体上に配置された正極活物質層とを含み、
    前記3つ以上の負極単位のそれぞれは、負極集電体と前記負極集電体上に配置された負極活物質層とを含み、
    隣接する2つの前記正極単位の境界部のそれぞれを第1の折り曲げ部として前記正極板を逆方向に折り曲げることによって、前記正極板はジグザグに折り曲げられており、
    隣接する2つの前記負極単位の境界部のそれぞれを第2の折り曲げ部として前記負極板を逆方向に折り曲げることによって、前記負極板はジグザグに折り曲げられており、
    前記第1および第2の折り曲げ部上にはそれぞれ、前記正極活物質層および前記負極活物質層が配置されており、
    前記正極単位の前記正極活物質層と前記負極単位の前記負極活物質層とが前記セパレータを挟んで対向するように、且つ、前記第1の折り曲げ部と前記第2の折り曲げ部とが前記セパレータを挟んで対向するように、前記正極板、前記負極板、および前記セパレータが配置されており、
    前記正極単位が連なる方向における前記正極単位の長さXは、前記負極単位が連なる方向における前記負極単位の長さYよりも長い、扁平形非水電解質二次電池。
  2. 前記長さXと前記長さYとの差(X-Y)が、0.1~0.3mmの範囲にある、請求項1に記載の扁平形非水電解質二次電池。
  3. 前記正極単位が連なる方向に対して垂直な方向における前記正極単位の幅WXと、前記負極単位が連なる方向に対して垂直な方向における前記負極単位の幅WYとが、WX≦WYの関係を満たす、請求項1または2に記載の扁平形非水電解質二次電池。
  4. 前記セパレータの少なくとも一部は前記負極板に固定されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の扁平形非水電解質二次電池。
  5. 前記正極板の数および前記負極板の数がそれぞれ1である場合には、前記正極集電体の片面のみに前記正極活物質層が配置され且つ前記負極集電体の片面のみに前記負極活物質層が配置されており、
    前記正極板の数が2である場合には、前記正極集電体の片面のみに前記正極活物質層が配置され且つ前記負極集電体の両面に前記負極活物質層が配置されており、
    前記負極板の数が2である場合には、前記正極集電体の両面に前記正極活物質層が配置され且つ前記負極集電体の片面のみに前記負極活物質層が配置されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の扁平形非水電解質二次電池。
  6. 前記正極板が前記負極板に包まれる部分において、前記第1の折り曲げ部の前記正極活物質層および前記第2の折り曲げ部の前記負極活物質層はそれぞれ前記セパレータに接触している、請求項1~5のいずれか1項に記載の扁平形非水電解質二次電池。
  7. 前記第1の折り曲げ部と前記第2の折り曲げ部との間に、前記非水電解質の透過を防止する部材が存在しない、請求項1~6のいずれか1項に記載の扁平形非水電解質二次電池。
  8. 扁平形のケースと、前記ケース内に配置された正極板、負極板、セパレータおよび非水電解質とを含む扁平形非水電解質二次電池であって、
    前記正極板は、一列に連なった3つ以上の正極単位を含み、
    前記負極板は、一列に連なった3つ以上の負極単位を含み、
    前記3つ以上の正極単位のそれぞれは、正極集電体と前記正極集電体上に配置された正極活物質層とを含み、
    前記3つ以上の負極単位のそれぞれは、負極集電体と前記負極集電体上に配置された負極活物質層とを含み、
    隣接する2つの前記正極単位の境界部のそれぞれを第1の折り曲げ部として前記正極板を逆方向に折り曲げることによって、前記正極板はジグザグに折り曲げられており、
    隣接する2つの前記負極単位の境界部のそれぞれを第2の折り曲げ部として前記負極板を逆方向に折り曲げることによって、前記負極板はジグザグに折り曲げられており、
    前記第1および第2の折り曲げ部上にはそれぞれ、前記正極活物質層および前記負極活物質層が配置されており、
    前記正極単位の前記正極活物質層と前記負極単位の前記負極活物質層とが前記セパレータを挟んで対向するように、且つ、前記第1の折り曲げ部と前記第2の折り曲げ部とが前記セパレータを挟んで対向するように、前記正極板、前記負極板、および前記セパレータが配置されており、
    前記負極板が前記正極板に包まれる部分における、前記第1の折り曲げ部の中心部の前記正極活物質層と前記第2の折り曲げ部の中心部の前記負極活物質層との間の距離L1は、前記正極板が前記負極板に包まれる部分における、前記第1の折り曲げ部の中心部の前記正極活物質層と前記第2の折り曲げ部の中心部の前記負極活物質層との間の距離L2よりも長い、扁平形非水電解質二次電池。
  9. 前記正極単位が連なる方向における前記正極単位の長さXと、前記負極単位が連なる方向における前記負極単位の長さYとの差(X-Y)が、0.1~0.3mmの範囲にある、請求項8に記載の扁平形非水電解質二次電池。
  10. 前記正極単位が連なる方向に対して垂直な方向における前記正極単位の幅WXと、前記負極単位が連なる方向に対して垂直な方向における前記負極単位の幅WYとが、WX≦WYの関係を満たす、請求項8または9に記載の扁平形非水電解質二次電池。
  11. 前記セパレータの少なくとも一部は前記負極板に固定されている、請求項8~10のいずれか1項に記載の扁平形非水電解質二次電池。
  12. 前記正極板の数および前記負極板の数がそれぞれ1である場合には、前記正極集電体の片面のみに前記正極活物質層が配置され且つ前記負極集電体の片面のみに前記負極活物質層が配置されており、
    前記正極板の数が2である場合には、前記正極集電体の片面のみに前記正極活物質層が配置され且つ前記負極集電体の両面に前記負極活物質層が配置されており、
    前記負極板の数が2である場合には、前記正極集電体の両面に前記正極活物質層が配置され且つ前記負極集電体の片面のみに前記負極活物質層が配置されている、請求項8~11のいずれか1項に記載の扁平形非水電解質二次電池。
  13. 前記正極板が前記負極板に包まれる部分において、前記第1の折り曲げ部の前記正極活物質層および前記第2の折り曲げ部の前記負極活物質層はそれぞれ前記セパレータに接触している、請求項8~12のいずれか1項に記載の扁平形非水電解質二次電池。
  14. 前記第1の折り曲げ部と前記第2の折り曲げ部との間に、前記非水電解質の透過を防止する部材が存在しない、請求項8~13のいずれか1項に記載の扁平形非水電解質二次電池。
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