JP7261619B2 - エチレン生産方法およびエチレン製造装置 - Google Patents

エチレン生産方法およびエチレン製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、エチレンを生産する方法に関する。より具体的には、細菌を用いてエチレンを生産する方法、特に、鉄酸化細菌Acidithiobacillus ferrooxidansを用いてエチレンを生産する方法に関する。本発明はまた、エチレン製造装置に関する。
エチレンは、二重結合をもつ炭化水素のうち最も単純なものであり、化学工業において、プラスチック、繊維、アルコール等の様々な有機物質を構築するための基本原料として広く用いられている化合物である。エチレンはまた、天然の植物ホルモンでもあり、農業において果実成熟を促進させるために使用されることもある。
エチレンは、上述したように、化学工業において他の物質を製造するための基本原料とされるが、エチレン自体も工業的に生産される。実際、世界で年間1億トンを超えると推定されるエチレンの工業生産量は、他のどの有機化合物の工業生産量よりも多い。そしてそのエチレンの工業生産量のほぼすべてが、化石資源(特に原油および天然ガス)に含まれる炭化水素をクラッキングすることから作られている。
しかしながら、化石資源の埋蔵量は有限である。また、化石資源に含まれる炭化水素をクラッキングする過程できわめて多量の温室効果ガスが放出されるという問題もある。従って、エチレン工業生産のための多量の化石資源の消費を少しでも減らすことが望まれる。
非化石資源の原料からエチレンを生産する試みも存在する。より一般的に、非化石資源の原料から微生物学的手段を用いて有用有機化合物を得る広範な試みが存在しており、これら微生物学的なエチレン生産の試みはその流れの一部であると言える。
例えば、特許文献1は、脂質、または農業廃棄物のような脂質含有有機物を原料として、土壌微生物の働きによってエチレンを生成する方法およびそのための装置を記載している。
また、例えば非特許文献1および2ならびに特許文献2は、シアノバクテリアであるSynechocystisまたはSynechococusにエチレン生成酵素(EFE)遺伝子を導入することによりこれらの細菌にエチレンを合成させることを記載している。糸状菌Trichoderma reeseiや出芽酵母Saccharomyces cerevisiaeにEFE遺伝子を導入し発現させてエチレンを産生したことも報告されている(非特許文献1中の引用文献参照)。
EFE遺伝子は、元来、Pseudomonas savastanoiあるいはPseudomonas syringaeのような植物病原菌が有する遺伝子であり、これらの病原菌が感染の際に植物宿主を弱らせるエチレンを合成することに使用される。EFE遺伝子産物は、α-ケトグルタル酸から単一ステップでエチレンを生成する反応を触媒する酵素タンパク質である。
光合成細菌であるシアノバクテリアは、光に由来するエネルギーを利用して、カルビン回路で二酸化炭素(CO)の炭素を有機物に固定し、さらに有機物をTCA回路で酸化する過程を経て化学的エネルギーを得る。より具体的には、カルビン回路の中間体である3-ホスホグリセリン酸が解糖系を経由してピルビン酸、そしてアセチルCoAに代謝され、これがTCA回路に引き渡される。α-ケトグルタル酸はTCA回路の中間体である。すなわち、シアノバクテリアにEFEを発現させてエチレンを合成させることは、光エネルギーと二酸化炭素(CO)からエチレンを生産することを意味する。
特開2006―87331号公報 特開平6―253820号公報
Energy Environ.Sci.,2015,5,8998-9006 Microb.Cell Fact.2017,16:34
本発明は、新規なエチレン生産方法およびエチレン製造装置を提供する。
本発明には、以下の実施形態が包含される。
[1]
エチレン生成酵素遺伝子が導入された鉄酸化細菌を培地と接触させて、二酸化炭素を含む雰囲気下で培養し、前記培地の上部空間からエチレン含有気体を回収することを含む、エチレン生産方法。
[2]
前記培地は鉄イオンを含む、[1]に記載の方法。
[3]
前記培地は液体培地である、[1]または[2]に記載の方法。
[4]
前記鉄酸化細菌の培養は、前記液体培地に電圧をかけながら行われる、[3]に記載の方法。
[5]
エチレン生成酵素遺伝子が導入された鉄酸化細菌を培地と接触させて収容する培養容器を有する培養装置と、前記培地の上部空間にある気体を覆って前記気体が外環境に拡散することを防ぐ覆いを有する気体捕捉装置とを含む、エチレン製造装置。
[6]
前記培地は液体培地であり、前記培養装置は、前記培地と接触し前記培地に電圧をかける一対の電極をさらに含む、[5]に記載のエチレン製造装置。
[7]
エチレン生成酵素遺伝子が導入されており二酸化炭素の存在下でエチレンを生産する、鉄酸化細菌。
本発明により、COからエチレンを生産することができる。このことにより、化石資源原料に依存することなく持続可能性で特徴づけられる態様でエチレンを生産することができるばかりでなく、化石資源の消費に伴うCO放出およびその結果としての地球温室化の問題の積極的な解決に資することができるという、きわめて有利な効果が提供される。また、COの炭素をエタノールや脂質に変換して得る他の微生物利用技術では、微生物から目的産物を回収することに手間とコストが掛かること、目的産物が当の微生物にとって有毒であるため生産効率が制限されること、あるいは、目的産物が当の微生物に食物として消費されて生産効率が制限されることといった欠点がある。それとは対照的に、エチレンは気体であって自ずと上部空間に放出され、かつ、微生物にとって無毒かつ非食物であるので、本発明では培養物からの目的産物の分離・回収を効率的かつ経済的に行なえる。
また、本発明は、光合成細菌を用いた先行技術とは異なり、エチレン発生が酸素(光合成特有の産物)発生を伴わない。従ってエチレンと比較的高濃度の酸素が混在することに伴う酸化、炎上、ないし爆発の危険性および分離の手間を回避あるいは削減することができるという、さらなる重要な利点を有する。また、本発明は、光源も不要とし、培地内部に光が到達するように工夫する必要もないという点で、大型化および工業的生産により適し得る。
鉄酸化細菌にエチレンを合成させるという着想はこれまで知られておらず、そのことによる新しい利点(上述したものおよび以下の詳細な説明から明らかなものを含む)はこれまで認識されていなかった。
図1は、一実施形態に係るエチレン製造装置の概略を示す。 図2は、一実施形態に係るエチレン生産方法およびその産業的意義の概略を示す。 図3は、バイアル瓶中で培養したAF-WT(非組換え体)およびrAF-EF1(組換え体)鉄酸化細菌株の写真を示す。 図4の上は、rAF-EF1(組換え体)培養物ヘッドスペースガスのガスクロマトグラフを、下はAF-WT(非組換え体)培養物ヘッドスペースガスのガスクロマトグラフを示す。
一側面において、本発明の実施形態は、エチレン生成酵素遺伝子が導入された鉄酸化細菌を培地と接触させて、二酸化炭素を含む雰囲気下で培養し、培地の上部空間からエチレン含有気体を回収することを含む、エチレン生産方法に関する。
鉄酸化細菌Acidithiobacillus ferrooxidansは公知であり、天然の生息地も知られており、鉱業分野において従来から利用されている。また、購入することもできる。例えばATCC23270株、ATCC33020株、ATCC19859株はATCC(American Type Culture Collection)から購入することができる。
銅鉱業では、破砕した銅鉱石を山のように盛り、そこに硫酸をかけて空気に晒して、鉄酸化細菌に鉱石中のFe(II)をFe(III)に酸化させ、そのFe(III)が再びFe(II)に還元される際に、鉱石中のCu(I)がより溶解性の高いCu(II)に酸化し、結果として銅が酸性溶液中に回収されるという、「バイオリーチング」が行なわれている。鉄酸化細菌は再びFe(II)をFe(III)に酸化し、このバイオリーチングのサイクルは自動的に継続していく。チリ北部の銅鉱山では、上述のようなバイオリーチングに付される銅鉱石が、高さ126メートル、幅2キロメートル、長さ5キロメートルに渡って盛られている例もあり、これは世界最大の産業的バイオリアクターであるとも考えられる(Valdesら、BMC Genomics,2008,9:597)。
上記鉱山におけるバイオリーチングの例で示されるように、鉄酸化細菌を生存させ維持していくことは格別困難ではない。さらに、電気培養装置を用いて鉄酸化細菌を効率よく増殖することもできる(例えば特開2004-16023号公報参照)。さらに、鉄イオンが含まれず電気のみがエネルギー源となる環境で鉄酸化細菌を培養できることも見出されている(Front.Microbiol.,2015,6:994)。液体培地中での培養がより一般的であるが、固形培地上の培養も可能である(J.Gen.Appl.Microbiol.,1994,40,243-253)。
本実施形態においては、このような公知の鉄酸化細菌培養法を利用することができる。いずれの培養法も、鉄酸化細菌を培地と接触させることを少なくとも含む。液体培地中で培養することが、より効率的であり好ましい。当業者の通常の知識に基づいて、培地の撹拌、振とう、曝気、加温、通電、成分補充等を行ってもよい。
培養温度は例えば10~37℃であり得、好ましくは20~35℃、より好ましくは25~35℃、特に好ましくは28~32℃である。培養の継続時間は特に限定されないが、エチレンの収量を考慮すれば通常は10時間以上であり、好ましくは24時間以上、より好ましくは72時間以上、あるいは1週間以上もしくは1ヶ月以上であってもよい。理論上、培地成分を補給し続けることにより、半永久的に培養およびエチレンの収穫を行い続けることができると考えられる。液体培地に電圧を印加しながら、すなわち電流を流しながら培養を行う電気培養(例えば特開2004-16023号公報に記載されたもの)によって鉄酸化細菌を培養することが特に好ましい。印加電圧は例えば0.0~2.0Vであり、0.0~1.0Vが好まく、更に0.0~0.2Vがより好ましい。培地のpHは好ましくは5.0未満であり、より好ましくは4.0未満、さらに好ましくは1.0~3.0、最も好ましくは1.5~2.5である。
培地は鉄イオンを含むことが好ましい。鉄イオンは、酸化・還元状態によってFe2+またはFe3+となり得る。培地は、鉄イオンに加えて、または鉄イオンに代えて、イオウ化合物またはそのイオンを含んでいてもよい。その例としては、硫酸イオン、亜硫酸イオン、チオ硫酸イオン、四チオン酸イオン、および硫化水素イオンが挙げられる。培地が硫酸イオンを含むことが特に好ましい。
糖類、多糖類、タンパク質、およびアミノ酸のうちの1つ以上などの有機物を含む培地を使用してもよいが、有機物を含まない培地を使用することもできる。換言すると、本実施形態では、炭素源として二酸化炭素のみが存在する環境下でエチレン産生を行うことができる。
下記の組成を有する9K培地が、鉄酸化細菌を培養するために典型的に使用される:3.0g/Lの(NHSO、0.1g/LのKCl、0.5g/LのKHPO、0.5g/LのMgSO・7HO、0.01g/LのCa(NO、および44.22g/LのFeSO・7HO。この培地のpHは典型的には2.0である。特開2004-16023号公報は、10.5g/LのFe(SO、1.5g/LのNH(SO、0.25g/LのNaCl、0.5g/LのKHPO、0.6g/LのKHPO、0.2g/LのMgSO・7HO、0.01g/LのCaCl・7HO、0.01g/LのFeSO・7HO、および2mLの金属溶液を含み、この金属溶液は5mg/LのCuSO・5HO、5mg/LのMnCl・4HO、5mg/LのCoCl・HO、5mg/LのNiSO、5mg/LのNaMoO、および30mg/LのZnSOを含む、pH2.0の液体培地を用いて、鉄酸化細菌を嫌気的に電気培養している。同様の電気培養は好気的条件または微好気的条件で使用することもできる。嫌気的培養条件では、培養効率が下がる(すなわち、増殖速度が遅くなり、細胞収率が低くなる)と考えられるが、エチレン生産自体は行われ得る。
エチレンを回収する際の液体培地中には、例えば10細胞/mL以上、好ましくは10細胞/mL以上、より好ましくは10細胞/mL以上、さらに好ましくは10細胞/mL以上の鉄酸化細菌が含まれ得る。
培養は、少なくとも二酸化炭素を含む雰囲気下で行うことが好ましい。空気はその一例である。培養雰囲気には、空気中濃度またはそれを下回る濃度の酸素が含まれていてもよい。雰囲気中の酸素濃度は、好ましくは20.95体積%以下、より好ましくは20体積%未満、さらに好ましくは15体積%未満である。培養雰囲気中の酸素濃度は、好ましくは0体積%超10体積%以下であり、より好ましくは0.5~8体積%、さらに好ましくは1~5体積%である。水素を含む雰囲気下で培養を行ってもよい。これらの気体またはその混合物を液体培地の曝気に使用することもできる。
培養は、大気圧下で好ましく行うことができるが、大気圧超の圧力下(例えば1.1~2.0気圧、もしくは1.2~1.6気圧)、または大気圧未満の圧力下で行う培養も企図される。これら大気圧以外の圧力は、培養期間の全体に渡って、または培養期間の一部だけにおいて適用され得る。
培地の組成、pH、培養温度、培養時間、培養雰囲気、細胞密度等を含む培養条件は、当業者が通常の知識に基づいて適宜調節することができる。
上述したValdesらの論文は、鉄酸化細菌の全ゲノム解析を記述している。Valdesらは、「遺伝子操作のためのよく開発されたシステムの欠如(The lack of well-developed system for genetic manipulation)」について述べている。確かに、大腸菌ではルーチンであるような極めて高効率な形質転換(細胞が遺伝子を取り込む頻度、および形質転換にかかる時間と労力に関して)は鉄酸化細菌で利用可能ではないかもしれないが、これは鉄酸化細菌において遺伝子操作が不可能であることを意味するものではない。実際、Valdesらの論文でも引用されているように、接合によって、別の細菌(例えば大腸菌)から鉄酸化細菌に遺伝子配列を導入する手法が存在する。当業者に知られているように、接合とは、細胞同士の接触を介して、1つの細菌の細胞からもう1つの細菌の細胞へと遺伝物質(典型的にはプラスミド)が移されることである。このようにして導入された遺伝子配列を、鉄酸化細菌宿主内で発現させることができる。
また、導入された遺伝子配列を、鉄酸化細菌宿主ゲノムの改変に利用することもできる。鉄酸化細菌宿主ゲノムの改変の例としては、トランスポゾン活性を用いて外因的核酸配列をゲノム染色体に挿入すること、および、外因的核酸配列を鋳型とした相同組換えにより内因的核酸配列を改変(削除、置換、および外来配列の挿入を含む)することが挙げられる。すなわち、鉄酸化細菌に導入したEFE遺伝子は、プラスミドの形態のまま発現させることもできるし、鉄酸化細菌の染色体ゲノムの一部として発現させることもできる。なお、本明細書において、EFEまたはEFE遺伝子に関する「発現」とは、遺伝子DNAが転写され翻訳され酵素タンパク質が産生されることを意味する。
このように、頻度は低くとも、接合による形質転換は起こる。そして、形質転換された個体は、圧倒的多数の非形質転換個体の中からも容易にスクリーニングして単離することができ、単離後に安定に維持することができる。
ここで言及した、接合を介した鉄酸化細菌の遺伝子操作は、例えばJ.Bacteriol.,1994,176(10):2892-2897;J.Bacteriol.,2000,182(8):2269-2276;およびHydrometallurgy,2001,59:339-345に詳しく記述されている。
さらに、J.Bacteriol.,1992,174(20):6617-6623は、電気穿孔法により外因的遺伝子を鉄酸化細菌に導入することも可能であることを記載している。
本発明の実施形態では、これらのような公知の手法を利用してEFE遺伝子を導入した鉄酸化細菌にエチレンを生成させる。
鉄酸化細菌に導入されるEFE遺伝子は、Pseudomonas savastanoi由来のものが好ましい。しかしながら、鉄酸化細菌中でα-ケトグルタル酸からエチレンを生成する反応活性が維持される限り、他の微生物のホモログ、または、天然のEFEに対してアミノ酸残基の追加、削除、もしくは置換を行った酵素をコードするEFE遺伝子であってもよい。本実施形態において使用されるEFE遺伝子は、好ましくは、Pseudomonas savastanoi pv.PhaseolicolaのEFEのアミノ酸配列(GenBank登録番号AAD16440.1、配列番号2)に対して90%以上の配列同一性を有し、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上、特に好ましくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む酵素タンパク質をコードする遺伝子である。あるいは、本実施形態において使用されるEFE遺伝子は、好ましくは配列番号1中の第95塩基から第1144塩基までのORF(Open Reading Frame)の核酸配列に対して90%以上の配列同一性を有し、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上、特に好ましくは100%の配列同一性を有する核酸配列を含む遺伝子である。
Pseudomonas savastanoi由来のEFE遺伝子を、系統学的にきわめて遠縁である(すなわちPseudomonasとは門のレベルで異なる)シアノバクテリアに導入する際には、効率的に発現させるためにコード配列を改変する必要があった(非特許文献1)。有利なことに、本発明で使用される鉄酸化細菌は、Pseudomonasと同門、同綱に属する近縁であるため、コード配列の改変を省略し得る。しかしながら、発現効率をより改善させるために、コドン最適化等のコード配列改変を行ってもよい。コドン最適化は、例えば、鉄酸化細菌の全ゲノムにおける各コドンの使用頻度を集計して、使用頻度がより高いコドンをEFE遺伝子に適用することにより達成され得る。また、非特許文献1に記述されているように、突然変異のホットスポットとなり得るCTATGのヌクレオチド配列を、コードされるアミノ酸配列を変えることなく別のヌクレオチド配列に置換してもよい。
EFE遺伝子を導入・発現するためのプラスミドベクター、プロモータ、その他の転写制御エレメント、翻訳制御エレメント等は、当業者が公知の情報に基づいて適宜選択することができる。EFE遺伝子を含むプラスミドベクターは、接合等の形質転換によりそれを取り込んだ細胞、またはそれを染色体ゲノムに組み入れた細胞を選択するための、薬剤耐性遺伝子をさらに含むことが好ましい。そのような薬剤耐性遺伝子の例としては、カナマイシン耐性遺伝子、ストレプトマイシン耐性遺伝子、およびこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。プロモータは、恒常的に発現するものであってもよいし、発現誘導可能なものであってもよい。従って、本明細書における「EFE遺伝子が導入された鉄酸化細菌」等の表現は、その鉄酸化細菌があらゆる瞬間においてEFE遺伝子を発現していることは必ずしも意味せず、「EFE遺伝子を発現可能な鉄酸化細菌」という意味で解されるべきである。
鉄酸化細菌は、光合成は行わないものの、鉄の酸化を介してカルビン回路に電子を供給し、外環境由来のCOを有機物に固定する。さらに、Valdesらの全ゲノム解析で示されたように、鉄酸化細菌はカルビン回路に接続されたTCA回路を利用するが、これはα-ケトグルタル酸の産生の段階でサイクルが途絶された不完全TCA回路である。すなわち、鉄酸化細菌は、他の大多数の微生物のTCA回路を構成するα-ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼのE1-3サブユニットの遺伝子を欠いており、従って、TCA回路で産生されたα-ケトグルタル酸は、通常ならば次のTCA回路産物となるスクシニルCoAへの転換にリサイクルされない。いわば、鉄酸化細菌では、α-ケトグルタル酸はTCA回路に入り損ねる。本実施形態では、このようにTCA回路に入り損ねて残るα-ケトグルタル酸を基質として有効利用して、比較的に制御容易なシンプルな機構でエチレンを合成することができる。全体として、COから、すなわちCOを消費しながら、エチレンを生産することが達成される。
EFE酵素はもう1つの産物としてコハク酸を生じ得る(Biochem.Bioph.Res.Commun.,1992,188:483-489)。コハク酸は、通常のTCA回路と同様に不完全TCA回路の中間体でもあるため、そのままTCA回路の一部としてリサイクルされ得る。これらのことは、EFE酵素の導入により、鉄酸化細菌が本来有する代謝系が、新たな経路で効率的に活用され得ることを意味する。
鉄酸化細菌では、α-ケトグルタル酸はアミノ酸(グルタミン酸、グルタミン、プロリン、およびアルギニン)の合成には利用される(Valdesら)。これらのアミノ酸の1つ以上を培地に補足してもよい。
培養開始後、鉄酸化細菌により合成されたエチレンを含むエチレン含有気体が、培地の上部空間すなわちヘッドスペースから回収される。上部空間からエチレン含有気体を積極的に(例えばポンプを介して)引き抜くことにより、培地に接する上部空間のエチレン濃度が上昇しすぎないようにしながら、すなわち、エチレン濃度を事前に設定したレベル以下に維持しながら培養を行ってもよい。エチレンによる微生物への毒性やフィードバック阻害はこれまで報告されていないが、仮に高濃度のエチレンが毒性作用または阻害作用を有したとしても、このように上部空間のエチレンを積極的に引き抜き続けてある低濃度以下に抑えることにより、これらの潜在的な有害作用を回避することができる。吸引したエチレン含有気体の代わりに新鮮な培養雰囲気用気体(エチレン非含有気体)を補充し続けることもできることは言うまでもない。このようにして、培養雰囲気の所望の組成および圧力を維持することができる。エチレン含有気体の回収は、連続的に起こってもよいし、バッチごとに行ってもよい。
有利なことに、鉄酸化細菌を培養した培地の上部空間では、光合成細菌の培養の場合とは異なり、酸素濃度の上昇がない。すなわち、酸素が比較的高濃度になっていない環境のもとで、産物としてのエチレンを収穫することができる。このことにより、エチレンの酸化、炎上、および/または爆発の危険性を最小限にとどめることができる。またこれは、収穫されるエチレンの純度が高くなることも意味し得る。
エチレンは、培地の上部空間から収穫される気体から、公知の方法を用いて分離することができる。本実施形態に係るエチレン生産方法は、培養後の培地の上部空間から回収されたエチレン含有気体からエチレンを分離することをさらに含み得る。エチレン分離方法の例としては、低温蒸留法、ゼオライト等の吸着材を用いた圧力変動吸着法、および膜分離法が挙げられるが、これらに限定されない。
別の側面において本発明の実施形態は、エチレン生成酵素遺伝子が導入された鉄酸化細菌を培地と接触させて収容する培養容器を有する培養装置と、前記培地の上部空間にある気体を覆って前記気体が外環境に拡散することを防ぐ覆いを有する気体捕捉装置とを含む、エチレン製造装置に関する。鉄酸化細菌と培地の詳細は、エチレン生産方法の実施形態について上述した通りである。エチレンの回収を始める前の初期状態において、培地の上部空間は少なくとも二酸化炭素を含むことが好ましい。培養雰囲気の詳細についてはエチレン生産方法の実施形態について上述した通りである。
培養装置は、培地と鉄酸化細菌を収容するための培養容器を少なくとも有する。特に液体培地の場合は、培地と接触し培地に電圧をかけるための一対の電極をさらに有していてもよい。電極はさらに、電源に接続されていてもよい。培養容器内で両電極間にイオン交換体(例えば一価陽イオン交換体)の隔膜を設けて、鉄酸化細菌および鉄イオンを含む区画と他方の区画とに培養容器を分割するようにしてもよい。培養装置はまた、培養容器内の培地を撹拌するための撹拌装置、培地を振とうするための振とう装置、培地を曝気するための曝気装置、培地(または培地と上部空間の気体)を加温するための加温装置のうちの1つ以上を有していてもよい。培養装置はまた、培地に培地成分の一部または全部を供給する培地供給装置、および/または、培地の上部空間に新鮮な培養雰囲気用気体を供給する気体供給装置を含み得る。この培養雰囲気用気体はエチレンを含まず二酸化炭素を含むことが好ましい。培養容器に接続されたこれらの供給装置は、対応する培地成分または気体を貯蔵する貯蔵容器を有し得、さらに、培地成分または気体を送り入れるためのポンプを有し得る。
気体捕捉装置は、培地の上部空間にある気体すなわちエチレン含有気体が外環境に拡散することを防ぐとともにその気体を閉鎖環境内に配置/回収するものである。例えば、気体捕捉装置は、培地の上部空間を囲む覆いおよびその上部空間から気体を引き抜く吸引装置を含み得る。吸引装置は気体吸引ポンプを有し得る。吸引装置は、例えば、気体捕捉装置の一部であり得るエチレン含有気体貯蔵器に接続されていてもよく、あるいは、後述するエチレン分離装置に接続されてもよい。別の態様では、気体捕捉装置は、吸引装置を伴わずに、上部空間を囲む覆いそのものでエチレン含有気体をその場で捕捉し貯蔵するものであってもよい。例えば、エチレンを含んだまま覆いによってふさがれた培養容器をエチレン使用の現場に輸送する態様も企図される。エチレン製造装置は、気体捕捉装置により捕捉された気体からエチレンを分離するエチレン分離装置、例えば低温蒸留装置、圧力変動吸着装置、または膜分離装置をさらに含み得る。
本実施形態に係るエチレン製造装置の一例の概略を図1に示す。この例において、エチレン製造装置1は、培養装置2と気体捕捉装置3とを有し、培養装置2は、培養容器4中に、エチレン生成酵素遺伝子が導入された鉄酸化細菌5および液体培地6を含んでいる。液体培地6には、電源7に接続された一対の電極8A、Bが挿入されており、電圧が印加されるようになっている。培養容器4中の液体培地6はイオン交換体の隔膜9で区画化されており、鉄酸化細菌5がいる区画に含まれる鉄イオンが他方の区画へ流出しないようになっている。
図1に示されるエチレン製造装置の例において、気体捕捉装置3は、培地6から上部空間に放出されるエチレン含有気体10が外環境11に拡散することを防ぐ覆い12を有し、さらに、吸引装置13を有する。吸引装置13は、気体吸引ポンプ14を介してエチレン含有気体10を吸引してエチレン含有気体貯蔵器15に回収する。培養装置2の培養容器4には、新鮮なエチレン非含有気体16が気体供給ポンプ17を介して供給されるため、培地の上部空間が適切な圧力および気体組成を維持することができる。
これらのエチレン製造装置は、上述した実施形態に係るエチレン生産方法を実施するために使用することができる。
本発明のエチレン生産方法の一実施形態およびその産業的意義の概略を図2に示す。本発明は、化石資源を原料とせず、しかも、COを捕獲しかつ利用するCCU(CO Capture&Utilization)技術を体現し得る。本発明は炭素循環利用社会の実現に貢献することができると考えられる。
[材料と方法]
1.鉄酸化細菌の培養
鉄酸化細菌としては、Acidithiobacillus ferrooxidans ATCC19859(JCM3863)株を使用した。培養には9K改良型培地(佐藤ら、2008)を使用した。培地組成を表1に示す。培地成分を水に溶解しpHを調整し、この水溶液を濾過滅菌して液体培地を作製した。寒天培地の場合は、表1に記載のものの2倍濃度の液体培地をまず作製し濾過滅菌し、そこへ、オートクレーブ滅菌した3%Agar溶液を等量加えて寒天培地を作製した。
Figure 0007261619000001
2.接合伝達による鉄酸化細菌の遺伝子組換え
GenBank登録番号AAD16440.1にアミノ酸配列が示されている、プロテオバクテリア門γプロテオバクテリア綱の細菌であるPseudomonas savastanoi pv. phaseolicola由来のEFE遺伝子を基に、コドン使用頻度データベース(http://www.kazusa.or.jp/codon/cgi-bin/showcodon.cgi?species=920)を参考にして、核酸配列をAcidithiobacillus ferrooxidansに最適化した。最適化した核酸配列を有する人工遺伝子を合成した。最適化したこのEFE遺伝子の上流に、広宿主域ベクターpJRD215(Davison、1987)由来の異種プロモーター配列、下流にストレプトマイシン耐性遺伝子を配置し、EFE遺伝子がストレプトマイシン耐性遺伝子と共発現するように設計した。より具体的には、pJRD215のEcoRIおよびSacIサイトに、これらの制限酵素で消化した上記合成遺伝子(EF1)を挿入することによって、コドン最適化EFE遺伝子を保持した接合伝達用シャトルベクター(pJRD-EF1)を構築した。
このシャトルベクターを用いて、宿主大腸菌DH5α株を形質転換した。カナマイシン耐性およびストレプトマイシン耐性を指標に形質転換体をスクリーニングした。MonoFas BAC抽出キットV(GLサイエンス社製)を用いて、形質転換体から接合伝達用シャトルベクター(pJRD-EF1)を抽出精製し、EF1遺伝子内部の塩基配列をPCRプライマーとして利用してPCR増幅を行って、シャトルベクター中に目的の合成遺伝子がクローニングされていることを確認した。
接合伝達用大腸菌株であるS17-1(ATC47055)を宿主として、pJRD-EF1を用いて形質転換を行い、カナマイシン耐性を指標にスクリーニングをした。pJRD-EF1を保持するS17-1株(S17-1/pJRD-EF1)を得て、これを接合伝達供与株とした。
十分に生育させたAcidithiobacillus ferrooxidans ATCC19859株を接合伝達受容株とし、Peng(1994)に記載の方法に準じて接合伝達を行い、鉄酸化細菌の遺伝子組換えを行った。
3.生成エチレンガスの検出
100mL容バイアル瓶に9K改良型培地を20mL入れ、非組換え鉄酸化細菌または上記組換え鉄酸化細菌を含む培養液を1mL添加した。ブチルゴム栓およびアルミシールでバイアル瓶を密閉した。5%COを含んだ圧縮空気を用いて気相を置換した。この培養バイアル瓶を30℃恒温槽中に暗所静置することにより培養を行った(図3)。
培養開始13日後に、培養物のヘッドスペースガスを吸引して採取し、GC-FID(ガスクロマトグラフ/水素炎イオン化型検出器)によりエチレンガスの有無を確認した。GC-FIDの分析条件を表2に示す。
Figure 0007261619000002
[結果]
1.鉄酸化細菌に導入する人工遺伝子
合成した人工遺伝子EF1の核酸配列(上述したEcoRIサイトGAATTCからSacIサイトGAGCTCまで)(配列番号1)および遺伝子産物のアミノ酸配列(配列番号2)を、それぞれ下記表3および表4に示す。枠で囲った部分が、Acidithiobacillus ferrooxidansに最適化したEFE遺伝子の読み枠(終始コドンまで含めたORF)である。斜体太字部分の配列をPCRプライマーとして利用し、挿入遺伝子の確認を行った。
Figure 0007261619000003
Figure 0007261619000004
2.組換え鉄酸化細菌
大腸菌(S17-1/pJRD-EF1)を供与株、鉄酸化細菌(Acidithiobacillus ferrooxidans ATCC19859、以下AF-WTと呼ぶ)を受容株として接合伝達を行うことにより、鉄酸化細菌の遺伝子組換えを行い、カナマイシン耐性を指標にしてスクリーニングをした。カナマイシン含有9K寒天培地上において、接合実験の3~4日後にコロニーが出現し、上記合成遺伝子(EF1)をもつ組換型鉄酸化細菌(rAF)である、組換え鉄酸化細菌(以下rAF-EF1と呼ぶ)を取得することができた。
3.組換え鉄酸化細菌によるエチレン生産
CO存在下でAF-WT(非組換え体)およびrAF-EF1(組換え体)を静置培養した後のヘッドスペースを、GC-FIDで分析した結果を図4に示す。
rAF-EF1培養物のヘッドスペースガスの測定結果では、保持時間2.147分の位置に明確なピークが認められた(図4上)。一方、AF-WT培養物のヘッドスペースガスには明確なピークは認められなかった(図4下)。別途、既知量のエチレンを窒素中に含む基準ガス試料について同様のGC-FID分析を行ったところ、上記のものと実質的に一致する保持時間2分過ぎの位置に明瞭かつ単一のエチレンピークが検出された(図示していない)。この基準試料から得られたクロマトグラフとのピーク面積の比較から、rAF-EF1培養物のヘッドスペースガスには、エチレンが約25ppm含まれていると算出された。以上のことから、9K改良型培地を用いたごく単純な静置培養でありかつ非常に小規模の実験でありながら、COを含む環境下でrAF-EF1を用いてエチレンガスを生産できることが実証された。
[実施例の参考文献]
Davison J., et al., (1987) Vectors with restriction site banks v. pJRD215, a wide-host-range cosmid vector with multiple cloning sites. Gene, 51, 275-280.
Peng J-B., (1994) Plasmid and Transposon Transfer to Thiobacillus ferrooxidans. J. Bacteriol. 176, 2892-2897.
佐藤宏ら (2008) 電気による微生物の制御(その10) ―電気培養技術の汎用化に向けた培養装置の開発- 電力中央研究所報告, V07011
1 エチレン製造装置
2 培養装置
3 気体捕捉装置
4 培養容器
5 エチレン生成酵素遺伝子が導入された鉄酸化細菌
6 液体培地
7 電源
8A,8B 一対の電極
9 イオン交換体の隔膜
10 エチレン含有気体
11 外環境
12 覆い
13 吸引装置
14 気体吸引ポンプ
15 エチレン含有気体貯蔵器
16 エチレン非含有気体
17 気体供給ポンプ

Claims (10)

  1. α-ケトグルタル酸を産生した段階でサイクルが途絶された不完全TCA回路を有し且つエチレン生成酵素遺伝子が導入された鉄酸化細菌を培地と接触させて、二酸化炭素を含む雰囲気下で培養し、前記培地の上部空間からエチレン含有気体を回収することを含む、エチレン生産方法。
  2. 前記培地は鉄イオンを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記培地は液体培地である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記鉄酸化細菌の培養は、前記液体培地に電圧をかけながら行われる、請求項3に記載の方法。
  5. 前記エチレン生成酵素遺伝子は下記に示す核酸配列
    GAATTCGAATTCTCATGTTTGACAGCTTATCATCGATAAGCTTTAATGCGGTAGTTTATCACAGTTAAATTGCTAACGCAGTCAGGCACCGTGTATGACGAATCTGCAGACCTTTGAGCTTCCCACCGAAGTCACCGGTTGTGCAGCGGACATTTCGCTAGGTAGAGCGCTGATTCAGGCCTGGCAGAAAGACGGTATCTTCCAGATCAAGACCGACAGCGAACAGGATCGCAAAACCCAGGAAGCGATGGCTGCGAGTAAGCAGTTCTGCAAAGAACCCCTCACCTTTAAGTCGTCTTGCGTCAGCGACCTTACGTATTCCGGCTATGTCGCCTCTGGTGAGGAGGTCACTGCGGGGAAACCGGATTTCCCGGAAATCTTCACCGTGTGCAAAGATCTGAGTGTAGGCGATCAACGCGTTAAGGCCGGATGGCCCTGTCATGGACCTGTCCCTTGGCCCAACAATACGTACCAGAAGAGCATGAAGACCTTCATGGAGGAACTGGGCTTGGCAGGAGAACGTCTCCTGAAGTTAACTGCGTTGGGCTTCGAGTTGCCCATTAACACGTTTACGGACCTGACCCGTGATGGCTGGCATCACATGCGTGTGTTGCGGTTTCCGCCGCAGACATCCACACTGAGTCGGGGCATAGGTGCTCACACGGATTATGGGCTTCTGGTGATTGCCGCCCAGGACGATGTGGGTGGCCTGTACATCCGACCTCCGGTTGAAGGCGAGAAACGCAATCGCAACTGGTTGCCAGGGGAATCGTCAGCCGGGATGTTCGAGCATGACGAACCATGGACCTTCGTGACCCCTACGCCCGGAGTATGGACGGTGTTTCCGGGCGATATCCTCCAGTTTATGACCGGCGGTCAACTCCTGAGCACACCCCACAAAGTGAAGCTCAATACCCGGGAACGCTTTGCCTGTGCCTACTTCCACGAACCGAACTTTGAGGCTTCCGCGTATCCGCTGTTCGAGCCATCCGCCAATGAACGGATCCATTACGGGGAGCATTTTACCAACATGTTCATGCGCTGCTATCCGGATCGCATCACTACCCAACGCATCAACAAGGAGAACAGGCTGGCACACCTGGAAGACCTGAAGAAGTACAGCGACACACGTGCGACGGGCTCCTGATGAATCGAACTAATATTTTTTTTGGTGAATCGCATTCTGACTGGTTGCCTGTCAGAGGCGGAGAATCTGGTGATTTTGTTTTTCGACGTGGTGACGGGCATGCCTTCGCGAAAATCGCACCTGCTTCCCGCCGCGGTGAGCTC
    を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. α-ケトグルタル酸を産生した段階でサイクルが途絶された不完全TCA回路を有し且つエチレン生成酵素遺伝子が導入された鉄酸化細菌と、培地とを含んで、前記鉄酸化細菌を前記培地と接触させて収容している培養容器を有する培養装置と、前記培地の上部空間にある気体を覆って前記気体が外環境に拡散することを防ぐ覆いを有する気体捕捉装置とを含む、エチレン製造装置。
  7. 前記培地は液体培地であり、前記培養装置は、前記培地と接触し前記培地に電圧をかける一対の電極をさらに含む、請求項に記載のエチレン製造装置。
  8. 前記エチレン生成酵素遺伝子は下記に示す核酸配列
    GAATTCGAATTCTCATGTTTGACAGCTTATCATCGATAAGCTTTAATGCGGTAGTTTATCACAGTTAAATTGCTAACGCAGTCAGGCACCGTGTATGACGAATCTGCAGACCTTTGAGCTTCCCACCGAAGTCACCGGTTGTGCAGCGGACATTTCGCTAGGTAGAGCGCTGATTCAGGCCTGGCAGAAAGACGGTATCTTCCAGATCAAGACCGACAGCGAACAGGATCGCAAAACCCAGGAAGCGATGGCTGCGAGTAAGCAGTTCTGCAAAGAACCCCTCACCTTTAAGTCGTCTTGCGTCAGCGACCTTACGTATTCCGGCTATGTCGCCTCTGGTGAGGAGGTCACTGCGGGGAAACCGGATTTCCCGGAAATCTTCACCGTGTGCAAAGATCTGAGTGTAGGCGATCAACGCGTTAAGGCCGGATGGCCCTGTCATGGACCTGTCCCTTGGCCCAACAATACGTACCAGAAGAGCATGAAGACCTTCATGGAGGAACTGGGCTTGGCAGGAGAACGTCTCCTGAAGTTAACTGCGTTGGGCTTCGAGTTGCCCATTAACACGTTTACGGACCTGACCCGTGATGGCTGGCATCACATGCGTGTGTTGCGGTTTCCGCCGCAGACATCCACACTGAGTCGGGGCATAGGTGCTCACACGGATTATGGGCTTCTGGTGATTGCCGCCCAGGACGATGTGGGTGGCCTGTACATCCGACCTCCGGTTGAAGGCGAGAAACGCAATCGCAACTGGTTGCCAGGGGAATCGTCAGCCGGGATGTTCGAGCATGACGAACCATGGACCTTCGTGACCCCTACGCCCGGAGTATGGACGGTGTTTCCGGGCGATATCCTCCAGTTTATGACCGGCGGTCAACTCCTGAGCACACCCCACAAAGTGAAGCTCAATACCCGGGAACGCTTTGCCTGTGCCTACTTCCACGAACCGAACTTTGAGGCTTCCGCGTATCCGCTGTTCGAGCCATCCGCCAATGAACGGATCCATTACGGGGAGCATTTTACCAACATGTTCATGCGCTGCTATCCGGATCGCATCACTACCCAACGCATCAACAAGGAGAACAGGCTGGCACACCTGGAAGACCTGAAGAAGTACAGCGACACACGTGCGACGGGCTCCTGATGAATCGAACTAATATTTTTTTTGGTGAATCGCATTCTGACTGGTTGCCTGTCAGAGGCGGAGAATCTGGTGATTTTGTTTTTCGACGTGGTGACGGGCATGCCTTCGCGAAAATCGCACCTGCTTCCCGCCGCGGTGAGCTC
    を有する、請求項6または7に記載のエチレン製造装置。
  9. α-ケトグルタル酸を産生した段階でサイクルが途絶された不完全TCA回路を有し且つエチレン生成酵素遺伝子が導入されており、二酸化炭素の存在下でエチレンを生産する、鉄酸化細菌。
  10. 前記エチレン生成酵素遺伝子は下記に示す核酸配列
    GAATTCGAATTCTCATGTTTGACAGCTTATCATCGATAAGCTTTAATGCGGTAGTTTATCACAGTTAAATTGCTAACGCAGTCAGGCACCGTGTATGACGAATCTGCAGACCTTTGAGCTTCCCACCGAAGTCACCGGTTGTGCAGCGGACATTTCGCTAGGTAGAGCGCTGATTCAGGCCTGGCAGAAAGACGGTATCTTCCAGATCAAGACCGACAGCGAACAGGATCGCAAAACCCAGGAAGCGATGGCTGCGAGTAAGCAGTTCTGCAAAGAACCCCTCACCTTTAAGTCGTCTTGCGTCAGCGACCTTACGTATTCCGGCTATGTCGCCTCTGGTGAGGAGGTCACTGCGGGGAAACCGGATTTCCCGGAAATCTTCACCGTGTGCAAAGATCTGAGTGTAGGCGATCAACGCGTTAAGGCCGGATGGCCCTGTCATGGACCTGTCCCTTGGCCCAACAATACGTACCAGAAGAGCATGAAGACCTTCATGGAGGAACTGGGCTTGGCAGGAGAACGTCTCCTGAAGTTAACTGCGTTGGGCTTCGAGTTGCCCATTAACACGTTTACGGACCTGACCCGTGATGGCTGGCATCACATGCGTGTGTTGCGGTTTCCGCCGCAGACATCCACACTGAGTCGGGGCATAGGTGCTCACACGGATTATGGGCTTCTGGTGATTGCCGCCCAGGACGATGTGGGTGGCCTGTACATCCGACCTCCGGTTGAAGGCGAGAAACGCAATCGCAACTGGTTGCCAGGGGAATCGTCAGCCGGGATGTTCGAGCATGACGAACCATGGACCTTCGTGACCCCTACGCCCGGAGTATGGACGGTGTTTCCGGGCGATATCCTCCAGTTTATGACCGGCGGTCAACTCCTGAGCACACCCCACAAAGTGAAGCTCAATACCCGGGAACGCTTTGCCTGTGCCTACTTCCACGAACCGAACTTTGAGGCTTCCGCGTATCCGCTGTTCGAGCCATCCGCCAATGAACGGATCCATTACGGGGAGCATTTTACCAACATGTTCATGCGCTGCTATCCGGATCGCATCACTACCCAACGCATCAACAAGGAGAACAGGCTGGCACACCTGGAAGACCTGAAGAAGTACAGCGACACACGTGCGACGGGCTCCTGATGAATCGAACTAATATTTTTTTTGGTGAATCGCATTCTGACTGGTTGCCTGTCAGAGGCGGAGAATCTGGTGATTTTGTTTTTCGACGTGGTGACGGGCATGCCTTCGCGAAAATCGCACCTGCTTCCCGCCGCGGTGAGCTC
    を有する、請求項9に記載の鉄酸化細菌。
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