JP7261563B2 - 熱交換媒体 - Google Patents

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本発明は、対象物との間で熱交換を行うことにより、例えば、対象物を冷却する液状の熱交換媒体に関する。
特許文献1には、エチレングリコールを含む冷却液が開示されている。具体的には、この冷却液は、凝固点降下剤、希釈水、腐食抑制剤、腐食抑制助剤、及び安定化剤からなり、凝固点降下剤がエチレングリコール又はプロピレングリコールであり、希釈水がイオン交換水であり、腐食抑制剤が3,5-ジメチルピラゾールであり、腐食抑制助剤がテトラエトキシシラン化合物であり、安定化剤が2-メルカプトチアゾリンである。
特許文献2には、ホルムアミド及び/又はメチルホルムアミドを主成分とした冷却液組成物が開示されている。具体的には、この冷却液組成物は、20~70重量%のホルムアミド及び/又はメチルホルムアミドと、80~30重量%の水と、0.1~10重量%の防錆剤とを含有する。
特開2014―203739号公報 特開2015―193765号公報
特許文献2によれば、特許文献1のようにエチレングリコールを用いると、冷却液の粘度が高くなってしまうことを考慮し、ホルムアミド及び/又はメチルホルムアミドを用いている。特許文献1,2によれば、熱交換媒体の成分として、エチレングリコール及び、ホルムアミド及び/又はメチルホルムアミドのいずれか一方を用いている。
本発明者によれば、熱交換媒体の成分として、アルキレングリコール類及びホルムアミド類を併用しても、優れた冷却性が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。そこで、本発明は、アルキレングリコール類及びホルムアミド等を併用して、冷却性に優れた熱交換媒体を提供することを目的とする。
本発明は、対象物との間で熱交換を行う液状の熱交換媒体であって、アルキレングリコール類及びホルムアミド類を含む。アルキレングリコール類のアルキレン基は、炭素数が1から4のアルキレン基である。ホルムアミド類は、ホルムアミド及びアルキル基の炭素数が1から3のアルキルホルムアミドのうちの少なくとも1種である。熱交換媒体の全量に対するアルキレングリコール類及びホルムアミド類の質量%の合計を100質量%としたとき、アルキレングリコール類が30~90質量%である。
熱交換媒体には水を含ませることができる。この場合において、水の量は、アルキレングリコール類及びホルムアミド類の質量の合計に対して2.5倍以下とすることができる。
熱交換媒体に水を含ませない場合、熱交換媒体の全量に対するアルキレングリコール類及びホルムアミド類の質量%の合計を、80~100質量%とすることができる。
熱交換媒体には、炭素数が1から5のアルコールを含ませることができる。アルキレングリコール類としてはエチレングリコールを用いることができ、ホルムアミド類としてはメチルホルムアミドを用いることができる。熱交換媒体には、金属塩を含ませることができる。
本発明によれば、冷却性に優れた熱交換媒体を提供することができる。
本実施形態の熱交換媒体は、液状の媒体であって、熱交換媒体及び対象物の間の熱交換によって、対象物を加温したり冷却したりするために用いられる。具体的には、熱交換媒体を加熱しておき、この熱交換媒体の熱を対象物に伝達すれば、対象物を加温することができる。また、熱交換媒体を冷却しておけば、対象物から熱交換媒体に熱を伝達して対象物を冷却することができる。このように対象物の加温又は冷却を行うときには、熱交換媒体を流動させればよく、熱交換媒体の流動には、例えば、金属製の流動管、層状電熱板等が用いられる。
対象物としては、例えば、車両のエンジン、燃料電池や二次電池といった電源が挙げられるが、これに限るものではなく、熱交換媒体を接触させて加温又は冷却させるものであればよい。
本実施形態の熱交換媒体は、アルキレングリコール類及びホルムアミド類を含む。
アルキレングリコール類のアルキレン基は、炭素数が1から4であるアルキレン基である。アルキレン基の炭素数が1から4のアルキレングリコール(以下、単にアルキレングリコールという)としては、メチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコールが挙げられる。これらのアルキレングリコールについては、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ホルムアミド類とは、ホルムアミド及び、アルキル基の炭素数が1から3のアルキルホルムアミドのうちの少なくとも1種である。このアルキルホルムアミドのアルキル基としては、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。このアルキルホルムアミドの具体例としては、N-メチルホルムアミド、N-エチルホルムアミド、N-プロピルホルムアミド、N-イソプロピルホルムアミドが挙げられる。
また、熱交換媒体には、炭素数が1から5のアルコールを含めることができる。炭素数が1から5のアルコールとしては、直鎖状又は分岐鎖状のアルコールや、飽和アルコール又は不飽和アルコールが挙げられ、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノールが挙げられる。これらのアルコールについては、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。このアルコールとしては、公知の変性剤を添加した変性アルコールを用いることができる。
炭素数が1から5のアルコールを用いることにより、熱交換媒体の凝固点や沸点を調整することができる。このため、熱交換媒体に要求される凝固点や沸点を考慮して、炭素数が1から5のアルコールの含有量を決めることができる。なお、熱交換媒体には、上述した成分(アルキレングリコール類、ホルムアミド類、炭素数が1から5のアルコール)の他に、各種の添加剤を適宜添加することができる。
さらに、熱交換媒体には水を含めることができる。水としては、例えば、イオン交換水を用いることができる。水は、熱交換媒体に予め含ませておくこともできるし、熱交換媒体を使用するときに添加することもできる。熱交換媒体を使用するときに水を添加する場合には、水を添加した後におけるアルキレングリコール類及びホルムアミド類の質量%が、熱交換媒体に水を予め含ませたときのアルキレングリコール類及びホルムアミド類の質量%と等しくすればよい。この点を考慮して、水を含まない熱交換媒体の各成分の質量%と、この熱交換媒体に添加される水の質量%とを決めることができる。
アルキレングリコール類及びホルムアミド類の質量%の合計を100質量%としたとき、アルキレングリコール類は30~90質量%である。すなわち、下記式(1)で表されるアルキレングリコール比率Ragが下記式(2)に示す条件を満たす。言い換えると、下記式(3)で表されるホルムアミド比率Rfが下記式(4)に示す条件を満たす。
Figure 0007261563000001
上記式(1)において、Magは、熱交換媒体の全量に対するアルキレングリコール類の質量%であり、Mfは、熱交換媒体の全量に対するホルムアミド類の質量%である。アルキレングリコール比率Ragは、アルキレングリコール類及びホルムアミド類の質量%の合計(Mag+Mf)を100質量%としたときに、アルキレングリコール類の質量%(Mag)が占める割合[%]である。アルキレングリコール比率Ragについて、本実施形態では小数点以下を四捨五入している。
Figure 0007261563000002
上記式(3)において、Magは、熱交換媒体の全量に対するアルキレングリコール類の質量%であり、Mfは、熱交換媒体の全量に対するホルムアミド類の質量%である。ホルムアミド比率Rfは、アルキレングリコール類及びホルムアミド類の質量%の合計値(Mag+Mf)を100質量%としたときに、ホルムアミド類の質量%(Mf)が占める割合[%]である。ホルムアミド比率Rfについて、本実施形態では小数点以下を四捨五入している。
上述したアルキレングリコール比率Ragを30~90%の範囲内とすることにより、金属製の流動管に対する腐食を抑制したり、熱交換媒体による冷却性を向上させたり、熱交換媒体の安定性を確保したりすることができる。熱交換媒体の安定性とは、後述する実施例で述べるように、熱交換媒体の変色や分解に関する安定性である。
上述したように、アルキレングリコール類として2種以上のアルキレングリコールを用いるとき、上記式(1)又は上記式(3)に示すアルキレングリコール類の質量%(Mag)は、熱交換媒体の全量に対する2種類以上のアルキレングリコールの質量%を合計した値となる。また、ホルムアミド類として、2種以上のホルムアミド又は/及びアルキルホルムアミドを用いるとき、上記式(1)又は上記式(3)に示すホルムアミド類の質量%(Mf)は、熱交換媒体の全量に対する2種以上のホルムアミド又は/及びアルキルホルムアミドの質量%を合計した値となる。
アルキレングリコール比率Ragが90%よりも高いと、言い換えれば、ホルムアミド比率Rfが10%よりも低いと、熱交換媒体の冷却性が低下しやすくなる。
アルキレングリコール比率Ragが30%よりも低いと、言い換えれば、ホルムアミド比率Rfが70%よりも高いと、熱交換媒体の安定性が低下しやすくなる。
なお、アルキレングリコール比率Ragは、好ましくは、40~80%であり、より好ましくは60~75%である。言い換えれば、ホルムアミド比率Rfは、好ましくは、20~60%であり、より好ましくは25~40%である。
熱交換媒体に予め水を含ませる場合には、水の量は、アルキレングリコール類及びホルムアミド類の質量の合計に対して2.5倍以下、好ましくは2.0倍以下、より好ましくは1.5倍以下とすることができる。水を含む熱交換媒体において、この熱交換媒体の全量に対するアルキレングリコール類、ホルムアミド類及び水の質量%の合計値は80~100質量%であることが好ましい。ここで、アルキレングリコール類、ホルムアミド類及び水の質量%の合計値が100質量%未満であるとき、残部は上述した添加剤になる。一方、水を含まない熱交換媒体において、この熱交換媒体の全量に対するアルキレングリコール類及びホルムアミド類の質量%の合計値は80~100質量%であることが好ましい。アルキレングリコール類及びホルムアミド類の質量%の合計値が100質量%未満であるとき、残部は上述した添加剤になる。
炭素数が1から5のアルコールを熱交換媒体に含める場合において、熱交換媒体の沸点を水の沸点(100℃)以上とするためには、下記式(5)で表されるアルコール比率Ralが下記式(6)に示す条件を満たすことが好ましい。
Figure 0007261563000003
上記式(5)において、Magは、熱交換媒体の全量に対するアルキレングリコール類の質量%であり、Mfは、熱交換媒体の全量に対するホルムアミド類の質量%であり、Malは、熱交換媒体の全量に対するアルコールの質量%である。アルコール比率Ralは、アルキレングリコール類及びホルムアミド類の質量%の合計値(Mag+Mf)に対する上記アルコールの質量%(Mal)の比率である。アルコール比率Ralについて、本実施形態では小数点以下を四捨五入している。上記アルコールとして、2種以上のアルコールを用いるとき、上記式(5)に示すアルコールの質量%(Mal)は、熱交換媒体の全量に対する2種以上のアルコールの質量%を合計した値となる。
本実施形態の熱交換媒体には、金属塩を含めることができる。熱交換媒体を使用する環境によっては、遷移金属の塩化物等が熱交換媒体に含まれることがある。例えば、熱交換媒体の流路を形成する部材(以下、流路部材という)に沿って熱交換媒体を流動させたとき、熱交換媒体の水に含まれる塩素と、流路部材の材料となる銅とが反応することにより、塩化銅(遷移金属の塩化物)が生成され、この塩化銅が熱交換媒体に含まれてしまうことがある。この場合には熱交換媒体が変色してしまうことがあるが、熱交換媒体に金属塩を含有させておくことにより、熱交換媒体の変色を抑制することができる。
金属塩としては、特に限定されないが、例えば、アルカリ性金属塩、具体的にはリン酸二ナトリウム及びモリブデン酸ナトリウム等が挙げられる。アルカリ性金属塩とは、0.01質量%の金属塩を水に添加したとき、この金属塩の水溶液がアルカリ性を示すものである。金属塩の含有量は、熱交換媒体を100質量%としたとき、0.01~2質量%、好ましくは、0.05~1質量%とすることができる。また、この範囲内において、熱交換媒体における水の含有量が少ないほど、金属塩の含有量を多くすることが好ましい。これにより、遷移金属の塩化物等によって熱交換媒体が変色することを抑制しやすくなる。
以下、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
アルキレングリコール類としてエチレングリコールを用い、ホルムアミド類としてメチルホルムアミドを用いた。エチレングリコール、メチルホルムアミド及びイオン交換水を混合して、熱交換媒体を製造した。エチレングリコールを39質量%(Mag)とし、メチルホルムアミドを7質量%(Mf)とし、残部をイオン交換水とした。アルキレングリコール比率Ragは85であり、ホルムアミド比率Rfは15であった。
(実施例2)
アルキレングリコール類としてエチレングリコールを用い、ホルムアミド類としてメチルホルムアミドを用いた。エチレングリコール、メチルホルムアミド及びイオン交換水を混合して、熱交換媒体を製造した。エチレングリコールを19質量%(Mag)とし、メチルホルムアミドを27質量%(Mf)とし、残部をイオン交換水とした。アルキレングリコール比率Ragは41であり、ホルムアミド比率Rfは59であった。
(実施例3)
アルキレングリコール類としてエチレングリコールを用い、ホルムアミド類としてメチルホルムアミドを用いた。エチレングリコール、メチルホルムアミド及びイオン交換水を混合して、熱交換媒体を製造した。エチレングリコールを31質量%(Mag)とし、メチルホルムアミドを15質量%(Mf)とし、残部をイオン交換水とした。アルキレングリコール比率Ragは67であり、ホルムアミド比率Rfは33であった。
(実施例4)
アルキレングリコール類としてエチレングリコールを用い、ホルムアミド類としてメチルホルムアミドを用い、炭素数が1から5のアルコールとしてエタノールを用いた。エチレングリコール、メチルホルムアミド、エタノール及びイオン交換水を混合して、熱交換媒体を製造した。エチレングリコールを26.5質量%(Mag)とし、メチルホルムアミドを19.5質量%(Mf)とし、エタノールを3.5質量%(Mal)とし、残部をイオン交換水とした。アルキレングリコール比率Ragは58であり、ホルムアミド比率Rfは42であり、アルコール比率Ralは8であった。
(実施例5)
アルキレングリコール類としてエチレングリコールを用い、ホルムアミド類としてメチルホルムアミドを用いた。エチレングリコール、メチルホルムアミド及びイオン交換水を混合して、熱交換媒体を製造した。エチレングリコールを27質量%(Mag)とし、メチルホルムアミドを13質量%(Mf)とし、残部をイオン交換水とした。アルキレングリコール比率Ragは68であり、ホルムアミド比率Rfは32であった。
(実施例6)
アルキレングリコール類としてエチレングリコールを用い、ホルムアミド類としてメチルホルムアミドを用いた。エチレングリコール、メチルホルムアミド及びイオン交換水を混合して、熱交換媒体を製造した。エチレングリコールを43質量%(Mag)とし、メチルホルムアミドを17質量%(Mf)とし、残部をイオン交換水とした。アルキレングリコール比率Ragは72であり、ホルムアミド比率Rfは28であった。
(実施例7)
アルキレングリコール類としてエチレングリコールを用い、ホルムアミド類としてメチルホルムアミドを用い、炭素数が1から5のアルコールとしてメタノールを用いた。エチレングリコール、メチルホルムアミド、メタノール及びイオン交換水を混合して、熱交換媒体を製造した。エチレングリコールを20質量%(Mag)とし、メチルホルムアミドを19質量%(Mf)とし、メタノールを7質量%(Mal)とし、残部をイオン交換水とした。アルキレングリコール比率Ragは51であり、ホルムアミド比率Rfは49であり、アルコール比率Ralは18であった。
(実施例8)
アルキレングリコール類としてエチレングリコールを用い、ホルムアミド類としてメチルホルムアミドを用い、炭素数が1から5のアルコールとしてエタノールを用いた。エチレングリコール、メチルホルムアミド、エタノール及びイオン交換水を混合して、熱交換媒体を製造した。エチレングリコールを20質量%(Mag)とし、メチルホルムアミドを19質量%(Mf)とし、エタノールを11質量%(Mal)とし、残部をイオン交換水とした。アルキレングリコール比率Ragは51であり、ホルムアミド比率Rfは49であり、アルコール比率Ralは28であった。
(実施例9)
アルキレングリコール類としてエチレングリコールを用い、ホルムアミド類としてメチルホルムアミドを用いた。実施例2と同様に、エチレングリコールを19質量%(Mag)とし、メチルホルムアミドを27質量%(Mf)とした。また、エチレングリコール及びメチルホルムアミドに対して、金属塩として、0.2質量%のリン酸二ナトリウムを添加し、残部をイオン交換水として、熱交換媒体を製造した。アルキレングリコール比率Ragは41であり、ホルムアミド比率Rfは59であった。
(比較例1)
エチレングリコール、メチルホルムアミド及びイオン交換水を混合して、熱交換媒体を製造した。エチレングリコールを43質量%(Mag)とし、メチルホルムアミドを3質量%(Mf)とし、残部をイオン交換水とした。アルキレングリコール比率Ragは93であり、ホルムアミド比率Rfは7であった。
(比較例2)
エチレングリコール、メチルホルムアミド及びイオン交換水を混合して、熱交換媒体を製造した。エチレングリコールを13質量%(Mag)とし、メチルホルムアミドを33質量%(Mf)とし、残部をイオン交換水とした。アルキレングリコール比率Ragは28であり、ホルムアミド比率Rfは72であった。
(比較例3)
エチレングリコール及びイオン交換水を混合して、熱交換媒体を製造した。エチレングリコールを46質量%(Mag)とし、残部をイオン交換水とした。比較例3では、メチルホルムアミドを省略した。アルキレングリコール比率Ragは100であり、ホルムアミド比率Rfは0であった。
(比較例4)
メチルホルムアミド及びイオン交換水を混合して、熱交換媒体を製造した。メチルホルムアミドを46質量%(Mf)とし、残部をイオン交換水とした。比較例4では、エチレングリコールを省略した。アルキレングリコール比率Ragは0であり、ホルムアミド比率Rfは100であった。
上述した実施例1~8及び比較例1~4の熱交換媒体について、腐食性、冷却性及び安定性を評価した。以下、これらの評価内容について説明する。
腐食性の評価では、アルミニウム鋳物、鋼及び鋳鉄でそれぞれ形成された試験片を用い、金属腐食性試験(JIS K2234)に準拠して、実施例1~8及び比較例1~4の熱交換媒体のそれぞれに試験片を浸漬させた。ここで、熱交換媒体に浸漬させる前の試験片の質量m1[mg]を測定し、熱交換媒体の温度は60℃とした。そして、浸漬を開始してから336時間が経過した後、熱交換媒体から試験片を取り出し、試験片の質量m2[mg]を測定した。
上述した測定結果に基づいて、試験片の質量変化値を算出した。質量変化値は、下記式(7)に基づいて算出した。
Figure 0007261563000004
上記式(7)において、Cは試験片の質量変化値[mg/cm]であり、m1は試験前の試験片の質量[mg]であり、m2は試験後の試験片の質量[mg]であり、Sは試験前の試験片の全表面積[cm]である。
上述した質量変化値Cに基づいて腐食性を評価した。ここで、質量変化値Cが大きいほど、試験片の腐食が進行していることになる。そこで、質量変化値Cが予め定めた閾値C_th以下であるとき、腐食性の評価をAとし、質量変化値Cが閾値C_thよりも大きいとき、腐食性の評価をCとした。また、質量変化値Cが閾値C_th以下であっても、質量変化値C及び閾値C_thの差ΔCが所定値以下であるときには、腐食性の評価をBとした。腐食性の評価では、C、B、Aの順で耐腐食性に優れていることを示す。
冷却性の評価では、約150℃に加熱したアルミニウム鋳物を、約25.0℃に設定された実施例1~8及び比較例1~4の熱交換媒体(190ml)のそれぞれに浸漬させることにより、アルミニウム鋳物を冷却した。熱交換媒体に浸漬した直後におけるアルミニウム鋳物の温度T1と、浸漬してから10秒が経過したときのアルミニウム鋳物の温度T2とを測定した。そして、温度T1及び温度T2の差(温度差)ΔTを算出し、この温度差ΔTに基づいて、冷却性を評価した。ここで、温度差ΔTが大きいほど、冷却性が優れていることになる。そこで、温度差ΔTが31℃以上であるときの評価をAとし、温度差ΔTが31℃未満であって29℃以上であるときの評価をBとし、温度差ΔTが29℃未満であるときの評価をCとした。冷却性の評価では、C、B、Aの順で冷却性に優れていることを示す。
安定性の評価では、実施例1~8及び比較例1~4の熱交換媒体のそれぞれを約90℃に加熱した後、この熱交換媒体に空気を送りこむことにより、熱交換媒体の変色や分解の状態を評価した。ここで、熱交換媒体の変色については、変色の有無を目視によって確認した。また、熱交換媒体の分解については、熱交換媒体から発生する臭気の有無を嗅覚によって確認した。熱交換媒体にメチルホルムアミドが含まれる場合には、メチルホルムアミドの分解によって臭気を伴うガスが発生するが、この臭気の有無を嗅覚によって確認した。
熱交換媒体の変色及び分解の両方が確認できないときの評価を〇とし、熱交換媒体の変色及び分解の少なくとも一方を確認できたときの評価を×とした。
実施例1~8及び比較例1~4の熱交換媒体の成分と、上述した比率Rf,Rag,Ralと、上述した評価の結果とを下記表1にまとめた。
Figure 0007261563000005
冷却性の評価について、実施例1~8の評価はAであり、比較例1~3の評価(B又はC)よりも高かった。このため、実施例1~8の熱交換媒体は、比較例1~3の熱交換媒体よりも冷却性に優れていることが分かった。ここで、比較例4の評価(A)は、実施例1~8の評価(A)と同等であるが、実施例1~8によれば、エチレングリコール及びメチルホルムアミドを併用した熱交換媒体であっても、エチレングリコールを用いずにメチルホルムアミドだけを用いた熱交換媒体と同等の冷却性が得られた。
ここで、熱交換媒体が冷却性に優れている場合には、加温性にも優れていることが理解できる。すなわち、熱交換媒体によって対象物を加温したり冷却したりする場合には、いずれの場合であっても熱の伝達が要因となるため、冷却性に優れている場合には、加温性にも優れているといえる。
一方、腐食性の評価によれば、実施例1~8の評価はAであったが、比較例4の評価はBであった。このため、腐食性に着目すれば、実施例1~8の熱交換媒体は、比較例4の熱交換媒体よりも優れていることが分かった。
安定性の評価によれば、実施例1~8の評価は〇であり、比較例2,4の評価(×)よりも高かった。したがって、実施例1~8の熱交換媒体は、比較例2,4の熱交換媒体よりも安定性に優れていることが分かった。冷却性、腐食性及び安定性のすべてに着目すると、実施例1~8の熱交換媒体は、比較例1~4の熱交換媒体よりも優れていることが分かった。
一方、実施例4,7,8の熱交換媒体について沸点を測定したところ、実施例4の熱交換媒体の沸点は102.8℃であり、実施例7の熱交換媒体の沸点は100.5℃であり、実施例8の熱交換媒体の沸点は97.5℃であった。この測定結果によれば、熱交換媒体の沸点を水の沸点(100℃)以上とするためには、アルコール比率Ralを20以下とすればよいことが分かる。
実施例2,9の熱交換媒体については、熱交換媒体の使用環境での安定性(変色)を評価するために、熱交換媒体の使用環境で発生し得る遷移金属の塩化物である塩化銅(I)及び塩化銅(II)を熱交換媒体に添加した。塩化銅(I)の添加量は、100質量%の熱交換媒体に対して0.002質量%(外数)とし、塩化銅(II)の添加量は、100質量%の熱交換媒体に対して0.002質量%(外数)とした。
塩化銅(I)及び塩化銅(II)を添加した熱交換媒体を90℃で10日間放置した後、変色の有無を目視によって確認した。実施例2の熱交換媒体については、無色から黄色への変色を確認した。実施例9の熱交換媒体については、無色のままであり、変色を確認できなかった。したがって、塩化銅が熱交換媒体に含有される環境下においては、熱交換媒体に金属塩(ここではリン酸二ナトリウム)を含有させておくことにより、塩化銅の含有に伴う熱交換媒体の変色を抑制できることが分かった。

Claims (5)

  1. 対象物との間で熱交換を行う液状の熱交換媒体であって、
    アルキレン基の炭素数が1から4のアルキレングリコール類と、
    アルキル基の炭素数が1から3のモノアルキルホルムアミドと、
    水と、を含み、
    前記アルキレングリコール類及び前記モノアルキルホルムアミドの質量%の合計を100質量%としたとき、前記アルキレングリコール類が30~90質量%であり、
    前記熱交換媒体の全量に対する、前記水、前記アルキレングリコール類及び前記モノアルキルホルムアミドの質量%の合計が80~100質量%であることを特徴とする熱交換媒体。
  2. 前記熱交換媒体が、炭素数が1から5のアルコールを含むことを特徴とする請求項1に記載の熱交換媒体。
  3. 前記水の量は、前記アルキレングリコール類及び前記モノアルキルホルムアミドの質量の合計に対して2.5倍以下であることを特徴とする請求項に記載の熱交換媒体。
  4. 前記熱交換媒体が金属塩を含むことを特徴とする請求項1からのいずれか1つに記載の熱交換媒体。
  5. 前記アルキレングリコール類がエチレングリコールであり、
    前記モノアルキルホルムアミドがメチルホルムアミドであることを特徴とする請求項1からのいずれか1つに記載の熱交換媒体。
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