JP2018044057A - 粘度特性改良剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】冷却液に添加することによって、低温時及び高温時において、好適なせん断粘度を有する冷却液が調製できる粘度特性改良剤、及び該粘度特性改良剤を含有する冷却液用添加剤組成物を提供すること。【解決手段】炭素数6以上24以下のアルコール(成分A)からなる粘度特性改良剤、及びそれを含有する冷却液用添加剤組成物である。冷却液用添加剤組成物は、更にエチレングリコール及び水を含有することが好ましい。また、冷却液用添加剤組成物は、更にアルカリ金属塩及びアルカリ金属水酸化物から選ばれる1種以上を含有することが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、粘度特性改良剤、及び該粘度特性改良剤を含有する冷却液用添加剤組成物に関する。
自動車エンジン等の内燃機関を冷却するための冷却液としては様々なものが知られているが、その中でも、水はエンジン用冷却液基剤として冷却性能が高いため好ましい。しかし、真水は摂氏0℃以下になると凍結する。そこで、冷却液の不凍性を向上させるために、エチレングリコール等のグリコール類をベースにして、必要な凍結温度を得るように水で希釈し、更に必要によりエンジンやラジエーター等に使用される金属、ゴム及び樹脂等の劣化を防止するための各種添加剤を配合した冷却液が使用されてきた。
しかしながら、エチレングリコール等のグリコール類を使用した場合、特に低温において冷却液の粘度が著しく上昇するという問題があった。このため、従来の粘度特性改良技術においては、一般に、低温時の流動性を向上させるための低粘度化が行われてきた。
ところが、低粘度化を行うと、冷却液とシリンダーボア壁との温度境界層が薄くなり、また対流が起こりやすくなるため、冷却液がシリンダーボア壁から熱を奪いやすくなり、その結果、冷却損失が増大し、燃費悪化を招くという問題が新たに生じた。
一方、放熱性を低下させて冷却損失を低減させるために、エチレングリコール等のグリコール類の濃度を上げて低温時の冷却液の粘度を増大させると、高温時において冷却能力不足となり、オーバーヒートを招くという問題が生じた。
前記問題を解決する技術として、例えば特許文献1には、特定の範囲の動粘度を有する内燃機関用冷却液組成物、及びこれを用いた内燃機関の運転方法が開示されており、冷却液組成物の動粘度を特定の範囲とすることにより、低温時の冷却損失を低減させ、かつ高温時の冷却能力を維持することができるとされている。
特許文献2には、水と曇点を有する界面活性剤とを含む冷却液組成物が開示されており、曇点を有する界面活性剤を所定の割合で含有することにより、高い冷却性能と不凍性とを有する冷却液組成物が得られるとされている。
特許文献3〜5には、アルキルエーテルの1種〜3種と、水及び/又は水溶性有機溶剤を含有する冷却液組成物が開示されており、エンジン運転直後における冷却液の動粘度をより高くすることにより、冷却損失を低減し速やかにエンジンを最適温度まで上昇させることができ、また、定常運転時の動粘度をより低くすることにより、装置の運転をより円滑化させることができるとされている。
特許文献6には、粘度特性改良剤としての非イオン性界面活性剤と基剤を含有し、動粘度が、25℃で8.5mm/秒以上であり、かつ100℃で2.0mm/秒以下である冷却液組成物が開示されている。
国際公開第2013/183161号 特開2010−270256号公報 特開2014−189736号公報 特開2014−189737号公報 特開2015−74669号公報 特開2014−12831号公報
前記のように、従来技術において、冷却液の添加剤として各種の粘度特性改良剤が用いられてきたが、内燃機関の燃費を向上させるためには、更に、高温時の粘度をより低くし、高温時の冷却能力を維持したまま、低温時により増粘し、冷却損失を低減させて低温時の暖機性を向上させる必要があった。
本発明は、冷却液に添加することによって、低温時及び高温時において、好適なせん断粘度を有する冷却液が調製できる粘度特性改良剤、及び該粘度特性改良剤を含有する冷却液用添加剤組成物を提供することに関する。
本発明者らは、特定の炭素数を有するアルコールを冷却液に添加することにより、低温時及び高温時に冷却液のせん断粘度を好適な範囲に調整できることを見出した。
すなわち、本発明は以下の[1]及び[2]を提供する。
[1]炭素数6以上24以下のアルコール(成分A)からなる粘度特性改良剤。
[2]前記[1]に記載の粘度特性改良剤を含有する冷却液用添加剤組成物。
本発明によれば、冷却液に添加することによって、低温時及び高温時において、好適なせん断粘度を有する冷却液が調製できる粘度特性改良剤、及び該粘度特性改良剤を含有する冷却液用添加剤組成物を提供することができる。
[粘度特性改良剤]
本発明の粘度特性改良剤は、炭素数6以上24以下のアルコール(成分A)からなる。
なお、本願明細書において、「粘度特性改良剤」、「冷却液用添加剤組成物」、「冷却液基剤」、「冷却液」、及び「濃縮冷却液」の用語の意義は以下のとおりである。
・粘度特性改良剤:冷却液に添加することによって、冷却液の粘度を、低温時には増粘させ、高温では無添加時と同程度に低粘度を維持させることができる化合物。
・冷却液用添加剤組成物:冷却液用の粘度特性改良剤を含有する組成物。
・冷却液基剤:冷却すべき対象物の温度を下げるために使用される水等の液状の媒体。以下、単に「基剤」ともいう。
・冷却液:冷却液基剤に各種の添加剤を添加した液体組成物。
・濃縮冷却液:各種添加剤や基剤を含有する冷却液の濃縮物。そのままでも冷却液として使用可能であるが、水などと混合、希釈して冷却液を作るために使用される液体組成物。
本発明によれば、粘度特性改良剤を冷却液に添加することによって、低温時及び高温時において冷却液が好適なせん断粘度を有する冷却液を調製することができる。なお、本発明において、低温とは25℃程度を意味し、高温とは100℃程度を意味する。
また、本発明によれば、低温時により増粘し、冷却損失を低減させて、低温時の暖気性を向上させるとともに、高温時の粘度をより低くし、高温時における冷却能力を維持することで、内燃機関の燃費を向上させることができる。
本発明に係る粘度特性改良剤における効果の作用メカニズムの詳細は定かではないが、以下のように考えられる。すなわち、炭素数6以上24以下のアルコール(成分A)からなる粘度特性改良剤を冷却液に添加すると、(i)冷却液中で成分Aが配向して存在するため、又は(ii)冷却液基剤と複合体を形成することで、冷却液中にある種の構造体を形成し、温度変化によって構造体が変化するため、冷却液の粘度特性を改良することができると考えられる。
<炭素数6以上24以下のアルコール(成分A)>
炭素数6以上24以下のアルコール(成分A)は、直鎖でも分岐鎖であってもよいが、低温時のせん断粘度を高くし、高温時のせん断粘度を低くして、内燃機関の燃費を向上させる観点から、直鎖であることが好ましい。
また、成分Aは、1価アルコールでも多価アルコールでもよいが、低温時のせん断粘度を高くし、高温時のせん断粘度を低くして、内燃機関の燃費を向上させる観点から、1価アルコールが好ましい。
また、成分Aの炭化水素鎖は、低温時のせん断粘度を高くし、高温時のせん断粘度を低くして、内燃機関の燃費を向上させる観点から、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基が好ましく、アルキル基、アルケニル基がより好ましく、アルキル基が更に好ましい。
炭化水素鎖の炭素数は、上記と同様の観点から、6以上であり、好ましくは16以上、より好ましくは18以上、更に好ましくは20以上であり、そして、24以下であり、好ましくは22以下である。すなわち、炭化水素鎖の炭素数は、好ましくは16以上22以下、より好ましくは18以上22以下、更に好ましくは20以上22以下である。
1価アルコールの炭化水素鎖の具体例としては、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、マルガリル基、イソステアリル基、2−ヘプチルウンデシル基、ステアリル基、アラキジル基、ベヘニル基、リグノセリル基等のアルキル基;オレイル基等のアルケニル基;フェニル基、ベンジル基等のアリール基が挙げられ、上記と同様の観点から、パルミチル基、ステアリル基、ベヘニル基が好ましく、ベヘニル基がより好ましい。
成分Aは、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
[冷却液用添加剤組成物]
本発明の冷却液用添加剤組成物は、本発明の粘度特性改良剤を含有する。
本発明の冷却液用添加剤組成物は、少なくとも、成分Aを含有していればよい。
本発明の冷却液用添加剤組成物において、含有させる各種の粘度特性改良剤は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
また、本発明の冷却液用添加剤組成物は、冷却液に不凍性や防食性等の各種効果を与える添加剤を含有することが好ましい。
本発明の冷却液用添加剤組成物は、冷却液を調製する際の作業性の観点から、更に溶媒(成分B)を含有することが好ましい。溶媒としては、成分Aと混合し、均一に溶解、分散できるものであればいずれのものでもよいが、濃縮冷却液に用いられる溶媒が好ましく、エチレングリコールがより好ましい。また、非危険物化する観点から、水を含有することが好ましい。水としては、特に限定されず、イオン交換水、逆浸透膜処理水(RO水)、蒸留水、純水、超純水等を用いることができる。これらの中では、入手容易性の観点、並びに長期保管時及び冷却液としての使用時における硬度成分の析出抑制の観点から、蒸留水、純水、イオン交換水が好ましく、イオン交換水がより好ましい。上記の観点から、成分Bとして、エチレングリコール及び水を含有することが好ましい。
成分Bとして、エチレングリコール及び水を併用する場合には、水に対するエチレングリコールの含有量の比(質量比)(エチレングリコール/水)は、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.4以上であり、好ましくは20以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは1.5以下である。
本発明の冷却液用添加剤組成物は、アルカリ金属塩及びアルカリ金属水酸化物から選ばれる1種以上(成分C)を更に含有することができる。
なお、成分Cは、予め、成分A及び/又は成分Bと混合して用いてもよい。
アルカリ金属塩及びアルカリ金属水酸化物に含まれるアルカリ金属は、低温時及び高温時において好適なせん断粘度とし、内燃機関の燃費を向上させる観点から、好ましくはリチウム、ナトリウム、及びカリウムから選ばれる1種以上であり、より好ましくはナトリウム及びカリウムから選ばれる1種以上であり、更に好ましくはカリウムである。
アルカリ金属塩としては、無機酸又は有機酸のアルカリ金属塩、及びトリアゾール又はチアゾールのアルカリ金属塩から選ばれる1種以上が好適に挙げられる。
無機酸のアルカリ金属塩としては、亜硝酸、硝酸、モリブテン酸、硫酸、炭酸、リン酸、ケイ酸、ホウ酸のアルカリ金属塩等が挙げられる。
有機酸のアルカリ金属塩としては、安息香酸、p−トルイル酸、p−tertブチル安息香酸等の芳香族カルボン酸のアルカリ金属塩;ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、オレイン酸等の脂肪族モノカルボン酸のアルカリ金属塩;アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、クエン酸等の脂肪族多価カルボン酸のアルカリ金属塩等が挙げられる。
トリアゾールやチアゾールのアルカリ金属塩としては、ベンゾトリアゾールのアルカリ金属塩等が挙げられる。
上記のアルカリ金属塩の中では、低温時及び高温時の冷却液のせん断粘度を好適な範囲とし、内燃機関の燃費を向上させる観点から、好ましくは脂肪族多価カルボン酸のアルカリ金属塩であり、より好ましくはセバシン酸のアルカリ金属塩、更に好ましくは、セバシン酸ジカリウム塩である。
本発明の冷却液用添加剤組成物に用いられるアルカリ金属水酸化物としては、特に限定されず、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムから選ばれる1種以上が好適に挙げられる。上記のアルカリ金属水酸化物の中では、低温時及び高温時の冷却液のせん断粘度を好適な範囲とし、内燃機関の燃費を向上させる観点、及び水を含有する際の保存安定性の観点から、水酸化カリウムが好ましい。
本発明の冷却液用添加剤組成物は、成分A及びその他の成分を混合し、必要に応じ加熱、撹拌することにより得ることができる。各成分を配合する順序は特に制限されない。
(各成分の含有量)
本発明の冷却液用添加剤組成物における成分Aの含有量は、低温時及び高温時の冷却液のせん断粘度を好適な範囲とし、内燃機関の燃費を向上させる観点から、冷却液用添加剤組成物中に、好ましくは10質量%以上であり、輸送効率及び貯蔵効率の観点から、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、より更に好ましくは80質量%以上である。また、冷却液として調製する際の作業性の観点から、好ましくは100質量%以下、より好ましくは98質量%以下、更に好ましくは95質量%以下である。
本発明の冷却液用添加剤組成物は、上述したように粘度特性改良剤の成分として炭素数6以上24以下のアルコールを含むことにより、冷却液のせん断粘度を好適な範囲とし、内燃機関の燃費を向上させることが可能となる。
25℃におけるせん断粘度を高くしたい場合には、粘度特性改良剤の含有量を増加させる方法、アルカリ金属塩及び/又はアルカリ金属水酸化物の含有量を調整する方法等により達成することができ、また100℃におけるせん断粘度を低くしたい場合には、粘度特性改良剤の含有量を減少させる方法、アルカリ金属塩及び/又はアルカリ金属水酸化物の含有量を調整する方法等により達成することができる。
本発明の冷却液用添加剤組成物における溶媒(成分B)の含有量は、冷却液に調製する際の作業性の観点から、冷却液用添加剤組成物中に、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、輸送効率及び貯蔵効率の観点から、好ましくは90質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは30質量%以下、より更に好ましくは15質量%以下である。
アルカリ金属塩及び/又はアルカリ金属水酸化物(成分C)の含有量は、用いる粘度特性改良剤との組み合わせにおいて、低温時及び高温時の冷却液のせん断粘度を好適な範囲とし、内燃機関の燃費を向上させる観点、及び溶媒として水を含有する際の保存安定性の観点から、冷却液用添加剤組成物中に、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上、更に好ましくは0.05質量%以上、より更に好ましくは0.1質量%以上であり、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、更に好ましくは6質量%以下である。
また、アルカリ金属塩及び/又はアルカリ金属水酸化物(成分C)を含有することにより、冷却液用添加剤組成物のpHを調整することができ、溶媒として水を含有する際の保存安定性の観点から、25℃におけるpHは、好ましくは8以上、より好ましくは9以上であり、そして、好ましくは11以下、より好ましくは10以下である。
(防錆剤等)
本発明の冷却液用添加剤組成物には、エンジン冷却液経路に使用されている金属の腐食を効果的に抑制するため、少なくとも1種以上の防錆剤を冷却液の粘度に影響を与えない範囲で含ませることができる。防錆剤としては、リン酸及びその塩、脂肪族カルボン酸及びその塩、芳香族カルボン酸及びその塩、トリアゾール類、チアゾール類、ケイ酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、ホウ酸塩、モリブテン酸塩、及びアミン塩から選ばれる1種又は2種以上の混合物が挙げられる。防錆剤の含有量は、冷却液用添加剤組成物中の成分Aの含有量100質量部に対して、好ましくは0質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは20質量部以上、より更に好ましくは25質量部以上であり、そして、好ましくは100質量部以下、より好ましくは80質量部以下、更に好ましくは50質量部以下、より更に好ましくは40質量部以下である。
本発明の冷却液用添加剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、更にその他の添加剤を配合することができる。その他の添加剤としては、例えば、増粘剤、pH調整剤、消泡剤、着色剤、苦味剤等が挙げられる。
増粘剤としては、高分子多糖類や水溶性樹脂等が好ましい。高分子多糖類としては、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、キサンタンガム等が挙げられ、水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、アラビアゴム等が挙げられる。
消泡剤としては、シリコーン系又はポリエーテル系のもの等が挙げられる。
前記その他の添加剤の合計配合量は、冷却液用添加剤組成物100質量部に対して、通常10質量部以下、好ましくは5質量部以下である。
本発明の冷却液用添加剤組成物は、車両、船舶、航空機、発電機、冷暖房システムの内燃機関及び電池スタック等の冷却液に用いることができる。これらの中では、内燃機関用の冷却液に用いることが好ましい。
ここで、内燃機関とは、燃料をシリンダー内で燃焼させ、燃焼ガスを直接作動流体として用いて、その熱エネルギーによって仕事をする原動機であり、容積型のピストンエンジンやロータリーエンジン、速度型のガスタービンエンジンやジェットエンジン等が挙げられる。これらの中では、自動車のピストンエンジンやロータリーエンジン用であることが好ましい。
[冷却液基剤、冷却液]
本発明の冷却液用添加剤組成物の冷却液への添加量は、低温時及び高温時の冷却液のせん断粘度を好適な範囲とし、内燃機関の燃費を向上させる観点から、冷却液100質量部に対し、炭素数6以上24以下のアルコール(成分A)の含有量が、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.02質量部以上、更に好ましくは0.05質量部以上、より更に好ましくは0.1質量部以上、より更に好ましくは0.2質量部以上、より更に好ましくは0.4質量部以上であり、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは7質量部以下、更に好ましくは5質量部以下、より更に好ましくは3質量部以下、より更に好ましくは2質量部以下となるように、冷却液に冷却液用添加剤組成物を添加することが好ましい。
本発明の冷却液用添加剤組成物を含有する冷却液は、低温時の冷却損失を抑制する観点から、25℃におけるせん断粘度が5mPa・s以上であることが好ましく、内燃機関冷却用のウォーターポンプへの負荷を低減し、内燃機関の燃費悪化を抑制する観点から、25℃におけるせん断粘度が200mPa・s以下であることが好ましい。これらの観点から、冷却液の25℃におけるせん断粘度は、好ましくは5mPa・s以上、より好ましくは8mPa・s以上、更に好ましくは10mPa・s以上、より更に好ましくは12mPa・s以上、より更に好ましくは15mPa・s以上であり、そして、好ましくは200mPa・s以下、より好ましくは100mPa・s以下、更に好ましくは80mPa・s以下、より更に好ましくは60mPa・s以下、より更に好ましくは50mPa・s以下である。
本発明の冷却液用添加剤組成物を含有する冷却液は、高温時の冷却能力が維持され、オーバーヒートを防ぐ観点から、100℃におけるせん断粘度が2mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは2.0mPa・s以下、更に好ましくは1.8mPa・s以下、より更に好ましくは1.6mPa・s以下であり、そして、好ましくは0.5mPa・s以上、より好ましくは0.8mPa・s以上、更に好ましくは1.0mPa・s以上である。
冷却液、特に内燃機関用冷却液に用いられる基剤は、好ましくは、一価アルコール、二価アルコール、三価アルコール等のアルコール及びグリコールモノアルキルエーテルから選ばれる少なくとも1種のアルコール類及び/又は水からなる。
内燃機関用冷却液は、不凍性を有する基剤を含むことが好ましいが、不凍性が必要とされない場合には、基剤は水単独であってもよい。
一価アルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール等の好ましくは炭素数1〜5、より好ましくは1〜3の一価アルコールが挙げられ、これらの中から選ばれる1種又は2種以上の混合物が挙げられる。
二価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール等の好ましくは炭素数2〜5、より好ましくは2〜3の二価アルコールが挙げられ、これらの中から選ばれる1種又は2種以上の混合物が挙げられる。
三価アルコールとしては、例えばグリセリン、トリメチロールエタン等の好ましくは炭素数3〜5、より好ましくは3の三価アルコールが挙げられ、これらの中から選ばれる1種又は2種以上の混合物が挙げられる。
グリコールモノアルキルエーテルのアルキル基の炭素数は1〜4が好ましく、1〜2がより好ましく、グリコールの炭素数は2〜6が好ましく、2がより好ましい。グリコールモノアルキルエーテルとしては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられ、これらの中から選ばれる1種又は2種以上の混合物が挙げられる。
前記基剤の中でも、取り扱い性、価格、入手容易性の観点から、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、及び水から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、エチレングリコールと水とを含むことがより好ましい。
前記基剤として用いる水としてはイオン交換水が好ましい。
(配合組成)
冷却液、特に内燃機関用冷却液100質量部中、基剤の含有量は、冷却液として機能させる観点から、好ましくは50質量部以上、より好ましくは75質量部以上、更に好ましくは80質量部以上、より更に好ましくは90質量部以上である。
冷却液、特に内燃機関用冷却液100質量部中、前記アルコール類、好ましくはエチレングリコールの含有量は、不凍性の観点から、好ましくは1質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは25質量部以上であり、好ましくは99.85質量部以下、より好ましくは95質量部以下、更に好ましくは89質量部以下、より更に好ましくは74質量部以下である。
冷却液、特に内燃機関用冷却液100質量部中、水の含有量は、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上、更に好ましくは10質量部以上、より更に好ましくは25質量部以上であり、好ましくは99.85質量部以下、より好ましくは95質量部以下、更に好ましくは74質量部以下、より更に好ましくは65質量部以下である。
基剤が水とアルコール類を含む場合、水とアルコール類の配合割合については、不凍性、引火性を考慮し、任意に調整できる。基剤中の水とアルコール類の質量割合は、引火点を発生することを回避する観点から、好ましくは20:80〜90:10(水:アルコール類)、より好ましくは40:60〜75:25である。
冷却液、特に内燃機関用冷却液は、基剤、本発明の粘度特性改良剤、必要により防錆剤、並びに必要により防錆剤以外のその他の添加剤を混合して得られるものが好ましい。その他の添加剤としては、pH調整剤、消泡剤、着色剤等が挙げられ、動粘度等に影響を与えない範囲で適宜添加することができる。冷却液、特に内燃機関用冷却液は、各成分を混合後、好ましくは60℃以上、より好ましくは80℃以上、そして、好ましくは100℃以下に、加熱し、必要に応じ攪拌し、溶解させた後、室温(20℃)まで、冷却することで得られるものであることがより好ましい。
上述した実施形態に関し、本発明は更に以下の粘度特性改良剤及び冷却液用添加剤組成物を開示する。
<1> 炭素数6以上24以下のアルコール(成分A)からなる粘度特性改良剤。
<2> 成分Aが炭素数6以上24以下の直鎖のアルコールである、前記<1>に記載の粘度特性改良剤。
<3> 成分Aが1価のアルコールである、前記<1>又は<2>に記載の粘度特性改良剤。
<4> 成分Aの炭化水素鎖が、好ましくはアルキル基、アルケニル基、アリール基、及びアラルキル基から選ばれ、より好ましくはアルキル基及びアルケニル基から選ばれ、更に好ましくはアルキル基である、前記<1>〜<3>のいずれかに記載の粘度特性改良剤。
<5> 成分Aの炭素数が、好ましくは16以上、より好ましくは18以上、更に好ましくは20以上であり、そして、好ましくは22以下である、前記<1>〜<4>のいずれかに記載の粘度特性改良剤。
<6> 成分Aの有する炭化水素基が、好ましくはヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、マルガリル基、イソステアリル基、2−ヘプチルウンデシル基、ステアリル基、アラキジル基、ベヘニル基、リグノセリル基等のアルキル基;オレイル基等のアルケニル基;及びフェニル基、ベンジル基等のアリール基から選ばれ、より好ましくはパルミチル基、ステアリル基及びベヘニル基から選ばれ、更に好ましくはベヘニル基である、前記<1>〜<5>のいずれかに記載の粘度特性改良剤。
<7> 前記<1>〜<6>のいずれかに記載の粘度特性改良剤を含有する冷却液用添加剤組成物。
<8> 冷却液用添加剤組成物における成分Aの含有量が、好ましくは10質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、より更に好ましくは80質量%以上であり、そして、好ましくは100質量%以下、より好ましくは98質量%以下、更に好ましくは95質量%以下である、前記<7>に記載の冷却液用添加剤組成物。
<9> 更に溶媒(成分B)として、エチレングリコール及び水を含有する、前記<7>又は<8>に記載の冷却液用添加剤組成物。
<10> 冷却液用添加剤組成物における溶媒(成分B)の含有量が、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは30質量%以下、より更に好ましくは15質量%以下である、前記<9>に記載の冷却液用添加剤組成物。
<11> 更にアルカリ金属塩及びアルカリ金属水酸化物から選ばれる1種以上(成分C)を含有する、前記<7>〜<10>のいずれかに記載の冷却液用添加剤組成物。
<12> アルカリ金属塩が、好ましくは無機酸又は有機酸のアルカリ金属塩、及びトリアゾール又はチアゾールのアルカリ金属塩から選ばれる1種以上、より好ましくは脂肪族多価カルボン酸のアルカリ金属塩、更に好ましくはセバシン酸のアルカリ金属塩、より更に好ましくはセバシン酸ジカリウム塩であり、アルカリ金属水酸化物が、好ましくは水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムから選ばれる1種以上である、前記<11>に記載の冷却液用添加剤組成物。
<13> 冷却液用添加剤組成物中の成分Cの含有量が、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上、更に好ましくは0.05質量%以上、より更に好ましくは0.1質量%以上であり、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、更に好ましくは6質量%以下である、前記<11>又は<12>に記載の冷却液用添加剤組成物。
<14> 冷却液が内燃機関用冷却液である、前記<7>〜<13>のいずれかに記載の冷却液用添加剤組成物
<15> 前記<1>〜<6>のいずれかに記載の粘度特性改良剤、又は前記<7>〜<14>のいずれかに記載の冷却液用添加剤組成物を含有する、冷却液。
<16> 前記<15>に記載の冷却液を用いる、内燃機関の冷却方法。
<17> 前記<15>に記載の冷却液を内燃機関の冷却液として用いる、内燃機関の運転方法。
以下の合成例、実施例、比較例、及び応用例において、特記しない限り「%」は「質量%」を意味する。
実施例1〜7、比較例1〜3(冷却液用添加剤組成物1〜10の製造)
炭素数6以上24以下のアルコール(成分A)からなる粘度特性改良剤、エチレングリコール、イオン交換水、及び増粘剤等を表1に示す有効分になるように配合し、冷却液用添加剤組成物1〜10を製造した。
なお、表1中の各成分の詳細は以下のとおりである。
ベヘニルアルコール:1−ドコサノール(東京化成工業株式会社製)
ステアリルアルコール:1−オクタデカノール(東京化成工業株式会社製)
セチルアルコール:1−ヘキサデカノール(東京化成工業株式会社製)
ラウリルアルコール:1−ドデカノール(和光一級、和光純薬工業株式会社製)
ブタノール:1−ブタノール(試薬特級、和光純薬工業株式会社製)
増粘剤1:キサンタンガム(東京化成工業株式会社製)
増粘剤2:ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、クラレポバール PVA−117、重合度1700)
セバシン酸:セバシン酸(小倉合成工業株式会社製)
水酸化カリウム:水酸化カリウム(株式会社大阪ソーダ製、47%希釈品)
エチレングリコール:エチレングリコール(丸善石油化学株式会社製)
水:純水装置G−10DSTSET(オルガノ株式会社製)で製造した1μS/cm以下の純水
応用例1〜9、比較応用例1〜4
(1)濃縮冷却液の製造
セバシン酸4.00質量部、水酸化カリウム(47%希釈品)4.26質量部、エチレングリコール90.00質量部及び水1.74質量部を室温で混合し、濃縮冷却液を得た。なお、使用した各成分は、表1にて使用した各成分と同様である。
(2)冷却液の製造
上記(1)で得られた濃縮冷却液と、実施例1〜7、比較例1〜3で得られた冷却液用添加剤組成物1〜10、エチレングリコール及び水を用いて、表2に示す割合で混合し、90℃で1時間静置後、撹拌を行いながら室温まで冷却して、冷却液を得た。得られた冷却液のせん断粘度を下記に示す方法で測定した。結果を表2に示す。
<せん断粘度の測定>
応用例及び比較応用例で調製した冷却液を用いて、測定温度に設定した恒温槽で1時間静置させた後に、アントンパール社製レオメーター(MCR−302形)、アタッチメント(CP50−1)を用いて、回転速度22/s又は100/sで測定(測定時間:5秒、測定温度:25℃又は100℃)し、せん断粘度を測定した。
表2から、本発明の粘度特性改良剤及び冷却液用添加剤組成物を含有する冷却液(応用例1〜9)は、低温(25℃)におけるせん断粘度が5mPa・s以上、特に10mPa・s以上であるため、内燃機関等への負荷を低減し、内燃機関の燃費悪化を抑制することができることが分かる。また、高温(100℃)におけるせん断粘度が2mPa・s以下、特に1.5mPa・s以下であるため、高温時の冷却能力が維持され、オーバーヒートを防ぐことができる。
本発明の粘度特性改良剤及び冷却液用添加剤組成物は、自動車、作業用車両(トラック、重機等)等の車両、船舶、航空機、発電機、冷暖房システムの内燃機関(ハイブリッドシステムを含む)及び電池スタックの冷却に好適に使用される。

Claims (5)

  1. 炭素数6以上24以下のアルコール(成分A)からなる粘度特性改良剤。
  2. 請求項1に記載の粘度特性改良剤を含有する冷却液用添加剤組成物。
  3. 更にエチレングリコール及び水を含有する、請求項2に記載の冷却液用添加剤組成物。
  4. 更にアルカリ金属塩及びアルカリ金属水酸化物から選ばれる1種以上を含有する、請求項2又は3に記載の冷却液用添加剤組成物。
  5. 冷却液が内燃機関用冷却液である、請求項2〜4のいずれかに記載の冷却液用添加剤組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114058336A (zh) * 2021-11-05 2022-02-18 中煤科工集团沈阳研究院有限公司 矿用冷却服用蓄冷剂及其制备方法

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