JP7261461B2 - 発電機能付半導体集積回路装置 - Google Patents

発電機能付半導体集積回路装置 Download PDF

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Description

この発明は、発電機能付半導体集積回路装置に関する。
近時、人工熱源が発する熱の有効利用が考えられている。人工熱源の1つとして、半導体集積回路装置がある。半導体集積回路装置は、動作時、高い熱を発する。この熱は、現状、ヒートシンク等を介して半導体集積回路装置の外へと発散されている。
特許文献1には、エミッタ電極層とコレクタ電極層とをサブミクロン間隔で離間する電気絶縁性の球状ナノビーズを備え、エミッタ電極層の仕事関数をコレクタ電極層の仕事関数よりも小さくし、エミッタ電極層とコレクタ電極層との中間の仕事関数を有し、かつ球状ナノビーズよりも粒子径が小さい金属ナノ粒子が分散された金属ナノ粒子分散液を、球状ナノビーズにより離間された電極間の空間に充填した熱電素子が開示されている。
特許第6147901号公報
特許文献1に開示された熱電素子では、エミッタ電極層の仕事関数を、コレクタ電極層の仕事関数よりも小さくし、金属ナノ粒子分散液を、球状ナノビーズで離間された電極間の空間に充填する。これにより、ゼーベック素子のように、熱電素子の電極間に温度差を生じさせるような機構がなくても、熱電素子は発電できる。
このような電極間に温度差を必要としない熱電素子により、半導体集積回路装置が発する熱エネルギーを収穫して発電することができれば、半導体集積回路装置が利用された電子機器の補助電源等として有望である。
しかしながら、熱電素子を回路基板等に搭載する必要があり、回路基板の大型化を助長する、という事情がある。
この発明は、上記事情に鑑みて為されたもので、その目的は、回路基板の大型化を抑制可能な発電機能付半導体集積回路装置を提供することにある。
第1発明に係る発電機能付半導体集積回路装置は、半導体集積回路装置と、前記半導体集積回路装置から放出された熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電素子と、を有する発電機能付半導体集積回路装置であって、前記半導体集積回路装置は、半導体集積回路チップを収容するパッケージを含み、前記半導体集積回路チップは、回路基板と対向される下面、及び前記下面と対向した上面を有し、前記熱電素子は、収容部を有する筐体部と、前記収容部内に設けられた第1電極部と、前記収容部内に設けられ、前記第1電極部と第1方向に離間して対向し、前記第1電極部とは異なった仕事関数を有する第2電極部と、前記収容部内の、前記第1電極部と前記第2電極部との間に設けられ、前記第1電極部の仕事関数と前記第2電極部の仕事関数との間の仕事関数を有するナノ粒子を含む中間部と、を含み、前記筐体部は、前記半導体集積回路チップの前記下面と、前記回路基板との間に設けられていることを特徴とする。
第2発明に係る発電機能付半導体集積回路装置は、第1発明において、前記熱電素子は、前記第1電極部と電気的に接続され、前記第1電極部を前記収容部の外に導出する第1接続配線と、前記第2電極部と電気的に接続され、前記第2電極部を前記収容部の外に導出する第2接続配線と、を、さらに含み、前記第1電極部と前記第1接続配線との第1電気的接点、並びに前記第2電極部と前記第2接続配線との第2電気的接点のそれぞれは、前記収容部内に設けられていることを特徴とする。
第3発明に係る発電機能付半導体集積回路装置は、第2発明において、前記筐体部は、第1主面と、前記第1主面と対向し、前記半導体集積回路チップの前記下面と向き合う第2主面と、を有する第1基板を含み、前記熱電素子は、前記第1接続配線と電気的に接続された第1外部端子と、前記第2接続配線と電気的に接続された第2外部端子と、を、さらに含み、前記第1外部端子及び前記第2外部端子のそれぞれは、前記第1基板の前記第1主面上に設けられていることを特徴とする。
第4発明に係る発電機能付半導体集積回路装置は、第1~第3発明のいずれか1つにおいて、前記熱電素子は、平行平板型熱電素子、及び櫛歯型熱電素子の少なくとも1つを含むことを特徴とする。
第5発明に係る発電機能付半導体集積回路装置は、第1~第4発明のいずれか1つにおいて、外部から供給される外部入力電力、及び前記熱電素子から供給される補助入力電力のそれぞれの入力が可能な、前記外部入力電力及び前記補助入力電力のそれぞれを半導体集積回路装置入力電力に変換し、前記半導体集積回路装置入力電力を前記半導体集積回路装置へ出力する電源回路を、さらに備えることを特徴とする。
第1発明に係る発電機能付半導体集積回路装置によれば、熱電素子の筐体部の収容部内に、第1電極部と、第1電極部とは異なった仕事関数を有する第2電極部と、第1電極部の仕事関数と第2電極部の仕事関数との間の仕事関数を有するナノ粒子を含む中間部と、を含む。これにより、熱電素子の中に温度差を生じさせなくても、熱電素子は発電できる。よって、低温材料や、低温材料を冷やすチラーが不要となる。さらに、熱電素子の筐体部は、半導体集積回路チップの下面と、回路基板との間に設ける。これにより、熱電素子を搭載するエリアを、例えば、回路基板に新たに増やさずに済み、回路基板の大型化を抑制することが可能となる。
第2発明に係る発電機能付半導体集積回路装置によれば、第1、第2電気的接点のそれぞれを、収容部内に設ける。これにより、発電機能付半導体集積回路装置を、2次製品に組み込む際、例えば、発電機能付半導体集積回路装置のハンドリング中や、発電機能付半導体集積回路装置の取り付け作業中等において、第1、第2電気的接点が破断したり、損傷したりすることを抑制できる。これにより、2次製品製造中に発生する可能性がある、発電機能付半導体集積回路装置のロスを減らすことができる。
第3発明に係る発電機能付半導体集積回路装置によれば、筐体部は、第1主面と、第1主面と対向し、半導体集積回路チップの前記下面と向き合う第2主面と、を有する第1基板を含む。そして、第1、第2外部端子のそれぞれを、第1基板の第1主面上に設ける。第1主面は、例えば、筐体部の側面と比較して、第1、第2外部端子のそれぞれに、広い面積を提供できる。また、筐体部の側面と比較して、作業者による視認、あるいは作業ロボットによるワークポイントの抽出がしやすい。これらにより、例えば、熱電素子と、2次製品との電気的な接続作業を容易化でき、例えば、2次製品のスループットを向上できる。また、発電機能付半導体集積回路装置を備えた、2次製品の組み立ての確実性も向上する。
第4発明に係る発電機能付半導体集積回路装置によれば、熱電素子は、平行平板型熱電素子、及び櫛歯型熱電素子のいずれか1つを含む。これにより、熱電素子の一構造例が、具現化される。
第5発明に係る発電機能付半導体集積回路装置によれば、電源回路を、さらに備える。電源回路は、外部から供給される外部入力電力、及び前記熱電素子から供給される補助入力電力のそれぞれを半導体集積回路装置入力電力に変換して半導体集積回路装置へ出力する。これにより、発電機能付半導体集積回路装置の消費電力を減らすことができる。
図1(a)は、第1実施形態に係る発電機能付半導体集積回路装置の一例を示す模式断面図であり、図1(b)は、第1実施形態に係る発電機能付半導体集積回路装置の一例を分解して示した模式分解断面図である。 図2(a)及び図2(b)は、第1実施形態に係る発電機能付半導体集積回路装置を用いた電子機器の一例を示す模式断面図である。 図3(a)は、熱電素子の一例を示す模式断面図であり、図3(b)は、図3(a)中のIIIB-IIIB線に沿う模式平面図である。 図4は、熱電素子の接合の一例を示す模式断面図である。 図5(a)は、中間部の一例を示す模式断面図であり、図5(b)は、中間部の他の例を示す模式断面図である。 図6(a)及び図6(b)は、第1変形例に係る熱電素子の一例を示す模式断面図であり、図6(c)は、図6(a)のVIC-VIC線に沿う模式平面図である。 図7は、第1変形例に係る熱電素子の接合の一例を示す模式断面図である。 図8は、スリットの一例を示す模式断面図である。 図9(a)及び図9(b)は、溶媒注入の一例を示す模式断面図である。 図10は、第2実施形態に係る発電機能付半導体集積回路装置の一例を示す模式ブロック図である。 図11は、第2実施形態に係る発電機能付半導体集積回路装置の一例を示す模式回路図である。 図12は、第2実施形態の第1変形例に係る発電機能付半導体集積回路装置の一例を示す模式回路図である。 図13は、第1実施形態に係る発電機能付半導体集積回路装置を用いた電子機器の他の例を示す模式断面図である。
以下、この発明の実施形態のいくつかを、図面を参照しながら説明する。なお、各図において、高さ方向を第1方向Zとし、第1方向Zと交差、例えば直交する1つの平面方向を第2方向Xとし、第1方向Z及び第2方向Xのそれぞれと交差、例えば直交する別の平面方向を第3方向Yとする。また、各図において、共通する部分については、共通する参照符号を付し、重複する説明は省略する。
(第1実施形態)
<発電機能付半導体集積回路装置>
図1(a)は、第1実施形態に係る発電機能付半導体集積回路装置の一例を示す模式断面図である。図1(b)は、第1実施形態に係る発電機能付半導体集積回路装置の一例を分解して示した模式分解断面図である。図2(a)及び図2(b)は、第1実施形態に係る発電機能付半導体集積回路装置を用いた電子機器の一例を示す模式断面図である。
図1及び図2に示すように、第1実施形態に係る発電機能付半導体集積回路装置(以下、半導体集積回路装置と略記)200は、パッケージ210と、熱電素子1と、を有する。
パッケージ210は、例えば、絶縁性樹脂製であり、内部には半導体集積回路チップ230が収容されている。なお、パッケージ210は、絶縁性樹脂製に限られることはない。また、半導体集積回路チップ230は、回路基板260と対向される下面、及び下面と対向した上面を有する。半導体集積回路チップ230の下面側には、外部端子220が複数設けられている。外部端子220は、半導体集積回路チップ230と回路基板260に設けられた電気的配線270とを電気的に接続する。
熱電素子1は、半導体集積回路装置200の、特に半導体集積回路チップ230から発せられた熱エネルギーを電気エネルギーに変換する。熱電素子1の詳細については後述するが、熱電素子1は例えば図3に示すように、収容部10dを有する筐体部10と、収容部10d内に設けられた第1電極部11と、収容部10d内に設けられ、第1電極部11と第1方向Zに離間して対向し、第1電極部11とは異なった仕事関数を有する第2電極部12と、収容部10d内の、第1電極部11と第2電極部12との間に設けられ、第1電極部11の仕事関数と第2電極部12の仕事関数との間の仕事関数を有するナノ粒子を含む中間部14と、を含む。筐体部10は、半導体集積回路チップ230の下面と、回路基板260との間に設けられている。なお、筐体部10の少なくとも一部は、例えばパッケージ210に収容されてもよい。また、例えば図2(b)に示すように、回路基板260に形成された凹部265の中に、熱電素子1が設けられてもよい。
熱電素子1は、第1電極部11と電気的に接続され、第1電極部11を収容部10dの外に導出する第1接続配線15aと、第2電極部12と電気的に接続され、第2電極部12を収容部10dの外に導出する第2接続配線16aと、を、さらに含む。第1接続配線15aは、回路基板260に設けられた電気的配線270aと電気的に接続される。第2接続配線16aは、回路基板260に設けられた電気的配線270bと電気的に接続される。
このような半導体集積回路装置200が、回路基板260上に、別の半導体集積回路装置200bとともに搭載されて電子機器、例えば、パーソナルコンピュータ等の電子機器用回路基板が構成される。なお、例えば図13に示すように、半導体集積回路チップ230の上面側には、ヒートシンク280が設けられてもよい。ヒートシンク280は、パッケージ210上に接して設けられる。
<<熱電素子:1>>
熱電素子1は、パッケージ210と電気的に絶縁され、パッケージ210と熱的に接続されている。熱電素子1は、半導体集積回路チップ230と、回路基板260との間に、1つ以上設けられる。
図3(a)及び図3(b)は、熱電素子1の一例を示す模式図である。図3(a)に示す模式断面は、図3(b)中のIIIA-IIIA線に沿う。図3(b)に示す模式断面は、図3(a)中のIIIB-IIIB線に沿う。図4は、熱電素子1の接合の一例を示す模式断面図である。図4は、図3(a)に示す模式断面に対応する。
図3(a)及び図3(b)に示すように、熱電素子1は、筐体部10と、第1電極部11と、第2電極部12と、中間部14と、を含む。熱電素子1は、半導体集積回路チップ230の下面側におけるパッケージ210の表面に、例えば、接着部材30によって接着される(図1(a)及び図1(b))。あるいは、筐体部10は、半導体集積回路チップ230の下面側におけるパッケージ210の表面に、はんだ等のろう材によって固着される。熱電素子1の第1方向Zに沿った厚さは、約20μm~約6mmである。
筐体部10は、熱電素子1では、第1基板10aと、第2基板10bと、を含む。第1、第2基板10a及び10bのそれぞれの第1方向Zに沿った厚さは、例えば10μm以上2mm以下である。第1、第2基板10a及び10bのそれぞれの材料としては、絶縁性を有する板状の材料を選ぶことができる。絶縁性の材料の例としては、シリコン、石英、パイレックス(登録商標)等のガラス、及び絶縁性樹脂等を挙げることができる。第1、第2基板10a及び10bは、薄板状であるほか、例えばフレキシブルなフィルム状でもよい。例えば、第1、第2基板10a又は10bを、フレキシブルなフィルム状とする場合には、例えばPET(polyethylene terephthalate)、PC(polycarbonate)、及びポリイミド等を用いることができる。また、第1、第2基板10a及び10bは、絶縁性でなくてもよい。半導体基板や金属基板の表面を、例えば、絶縁膜によって被覆してもよい。このような絶縁被膜付基板としては、例えば、シリコン(Si)基板の表面に、シリコン酸化物(例えば、SiO2)膜を形成したものを挙げることができる。
第1基板10aは、例えば、第1支持部13aを含む。第1支持部13aは、第1基板10aから第1方向Zに沿って第2基板10bに向かって延びる。第1支持部13aの平面形状は、第1方向Zから見て、第2方向X及び第3方向Yのそれぞれに延在したL字状である。第2基板10bは、例えば、第2支持部13bを含む。第2支持部13bは、第2基板10bから第1方向Zに沿って第1基板10aに向かって延びる。第2支持部13bの平面形状は、第1方向Zから見て、第2方向X及び第3方向Yのそれぞれに延在したL字状である。第1、第2支持部13a及び13bのそれぞれの第1方向Zに沿った厚さは、例えば10nm以上10μm以下である。第2支持部13bと、第1支持部13aとは、例えば、2つのスリット17a及び17bを介して離れている。
第1、第2支持部13a及び13bは、それぞれ、第1、第2基板10a及び10bと一体に設けられてもよいし、別々に設けられてもよい。一体に設ける場合、第1、第2支持部13a及び13bのそれぞれの材料は、第1、第2基板10a及び10bと同じ材料となる。別々に設ける場合、第1、第2支持部13a及び13bの材料の例としては、シリコン酸化物、及びポリマー等を挙げることができる。ポリマーの例としては、ポリイミド、PMMA(Polymethyl methacrylate)、及びポリスチレン等を挙げることができる。
スリット17a及び17bは、それぞれ、封止部材31a及び31bによって封止される。封止部材31a及び31bは、一体であってもよい。この場合、封止部材31aと封止部材31bとは、1つの封止部材31となり、第1、第2支持部13a及び13bのそれぞれの外側面に沿って、環状に設けられる。封止部材31a及び31bの材料の例としては、絶縁性樹脂を挙げることができる。絶縁性樹脂の例としては、フッ素系絶縁性樹脂を挙げることができる。
第1電極部11は、収容部10d内に設けられる。第1電極部11は、熱電素子1では、第1基板10a上に設けられる。第2電極部12は、収容部10d内に設けられる。第2電極部12は、熱電素子1では、第2基板10b上に設けられる。第1電極部11と、第2電極部12とは、1対の平行平板型電極対を構成する。熱電素子1は、平行平板型熱電素子である。
熱電素子1では、第1電極部11は、例えば白金(仕事関数:約5.65eV)を含む。第2電極部12は、例えばタングステン(仕事関数:約4.55eV)を含む。仕事関数が大きい電極部はアノードA(コレクタ電極)として機能し、仕事関数が小さい電極部はカソードK(エミッタ電極)として機能する。熱電素子1では、第1電極部11がアノードAであり、第2電極部12がカソードKである。このような熱電素子1では、仕事関数差を有する第1電極部11と第2電極部12との間に発生する、絶対温度による電子放出現象が利用される。このため、熱電素子1は、第1電極部11と第2電極部12との温度差が小さい場合であっても、熱エネルギーを電気エネルギーに変換できる。さらに、熱電素子1は、第1電極部11と第2電極部12との間に温度差がない場合であっても、熱エネルギーを電気エネルギーに変換することができる。なお、第1電極部11をカソードKとし、第2電極部12をアノードAとしてもよい。
第1、第2電極部11及び12のそれぞれの第1方向Zに沿った厚さは、例えば1nm以上1μm以下である。より好ましくは、1nm以上50nm以下である。第1、第2電極部11及び12のそれぞれの材料は、例えば、以下に示す金属から選ぶことができる。
白金(Pt)
タングステン(W)
アルミニウム(Al)
チタン(Ti)
ニオブ(Nb)
モリブデン(Mo)
タンタル(Ta)
レニウム(Re)
熱電素子1では、第1電極部11と第2電極部12との間に仕事関数差が生じればよい。したがって、第1電極部11及び12の材料には、上記以外の金属を選ぶことが可能である。また、第1、第2電極部11及び12の材料には、上記金属の他、合金、金属間化合物、及び金属化合物を選ぶことも可能である。金属化合物は、金属元素と非金属元素とが化合したものである。金属化合物の例としては、例えば六ホウ化ランタン(LaB6)を挙げることができる。
第1、第2電極部11及び12の材料として、非金属導電物を選ぶことも可能である。非金属導電物の例としては、シリコン(Si:例えばp型Si、あるいはn型Si)、及びグラフェン等のカーボン系材料等を挙げることができる。
第1、第2電極部11及び第2電極部12の材料として、高融点金属(refractory metal)以外の材料を選ぶと、以下に説明される利点を、さらに得ることができる。本明細書において、高融点金属は、例えば、W、Nb、Mo、Ta、及びReとする。第1電極部(アノードA)11に、例えばPtを用いた場合、第2電極部(カソードK)12には、Al、Si、Ti、及びLaB6の少なくとも1つを用いることが好ましい。
例えば、Al及びTiの融点は、上記高融点金属より低い。したがって、Al及びTiのそれぞれからは、上記高融点金属に比較して、加工しやすい、という利点を得ることができる。
例えば、Siは、上記高融点金属に比較して、その形成が、さらに容易である。したがって、Siからは、上記加工のしやすさに加え、熱電素子1の生産性がより向上する、という利点を、さらに得ることができる。
例えば、LaB6の融点は、Ti及びNbより高い。しかし、LaB6の融点は、W、Mo、Ta、及びReより低い。LaB6は、W、Mo、Ta、及びReに比較して加工しやすい。しかも、LaB6の仕事関数は、約2.5~2.7eVである。LaB6は、上記高融点金属に比較して電子を放出させやすい。したがって、LaB6からは、熱電素子1の発電効率の更なる向上が可能、という利点を、さらに得ることができる。
なお、第1電極部11、及び第2電極部12のそれぞれの構造は、上記材料を含む単層構造の他、上記材料を含む積層構造とされてもよい。
熱電素子1の第1接続配線15aは、収容部10d内において、第1電極部11と電気的に接続されている。これにより、第1電極部11と第1接続配線15aとの第1電気的接点11aは、収容部10d内に設けられる。第1支持部13aの基板接合面13aa上において、第1接続配線15aの平面形状は、第1方向Zから見て、第2方向X及び第3方向Yのそれぞれに延在したL字状である。これは、第1支持部13aの平面形状と、ほぼ同じである。第1接続配線15aは、第1支持部13aと、第2基板10bとの間において、第1接合金属18aと接合される。第1接合金属18aは、第2基板10b上に設けられている。第1接合金属18aの平面形状は、第1方向Zから見て、第2方向X及び第3方向Yのそれぞれに延在したL字状である。これは、基板接合面13aa上における第1接続配線15aの平面形状と、ほぼ同じである。
熱電素子1の第2接続配線16aは、収容部10d内において、第2電極部12と電気的に接続されている。これにより、第2電極部12と第2接続配線16aとの第2電気的接点12aは、収容部10d内に設けられる。第2支持部13bの基板接合面13ba上において、第2接続配線16aの平面形状は、第1方向Zから見て、第2方向X及び第3方向Yのそれぞれに延在したL字状である。これは、第2支持部13bの平面形状と、ほぼ同じである。第2接続配線16aは、第2支持部13bと、第1基板10aとの間において、第2接合金属18bと接合される。第2接合金属18bは、第1基板10a上に設けられている。第2接合金属18bの平面形状は、第1方向Zから見て、第2方向X及び第3方向Yのそれぞれに延在したL字状である。これは、基板接合面13ba上における第2接続配線16aの平面形状と、ほぼ同じである。
第1、第2接合金属18a及び18bは、第1、第2接続配線15a及び16aと接合可能な、例えば、金属を含む。これにより、例えば、図4に示すように、第2基板10bは、第1接続配線15aと第1接合金属18aとの接合、並びに第2接続配線16aと第2接合金属18bとの接合によって、第1基板10aと接合することができる。そして、筐体部10には、収容部10dが得られる。第1、第2接続配線15a及び16a、並びに第1、第2接合金属18a及び18bのそれぞれに、例えば、Auを用いた場合には、第1、第2接続配線15a及び16aを、それぞれ、第1、第2接合金属18a及び18bと熱圧着によって接合することができる。第1、第2接続配線15a及び16a、並びに第1、第2接合金属18a及び18bのそれぞれには、金以外にも、例えば、熱圧着、共晶接合等が可能な金属、又は合金であれば用いることができる。
なお、第1、第2接続配線15a及び16a、並びに第1、第2接合金属18a及び18bのそれぞれに用いた金属、又は合金の仕事関数は、第1電極部11の仕事関数と、第2電極部12の仕事関数との間にあることが、例えば、発電効率の低下を抑制する観点から好ましい。また、共晶接合等、金属どうしの接合によって、接合部分に金属間化合物が生成される場合には、生成された金属間化合物の仕事関数についても、第1電極部11の仕事関数と、第2電極部12の仕事関数との間にあることが好ましい。
第1接続配線15aは、第1支持部13aの内側面上、基板接合面13aa上、及び第1支持部13aの外側面上のそれぞれに、さらに設けられている。第1接続配線15aは、第1電極部11を収容部10dの外に導出する。第2接続配線16aは、第2支持部13bの内側面上、及び基板接合面13aa上のそれぞれに、さらに設けられている。第2接続配線16aは、第2電極部12を収容部10dの外に導出する。
第1基板10aは、第1主面10afと、第2主面10abと、を有する。第2主面10abは、第1主面10afと対向し、半導体集積回路チップ230の下面と向き合う。第2主面10abは、例えば、接着部材30によって、半導体集積回路チップ230の下面側におけるパッケージ210の表面に接着される。あるいは、第2主面10abは、例えば、ろう材によって、半導体集積回路チップ230の下面側におけるパッケージ210の表面に固着される。第1外部筐体端子101及び第2外部筐体端子102のそれぞれは、第1基板10aの第1主面10af上に設けられている。第1外部筐体端子101は、第1接続配線15aと電気的に接続されている。第2外部筐体端子102は、第2接続配線16aと電気的に接続されている。第1主面10afは、例えば、第1、第2支持部13a及び13bのそれぞれから外側に張り出した部分を有する。第1外部筐体端子101は、例えば、第1主面10afの第1支持部13aから外側に張り出し部分に設けられる。第2外部筐体端子102は、例えば、第1主面10afの第2支持部13bから外側に張り出した部分に設けられる。熱電素子1では、第1外部筐体端子101は、第1接続配線15aのパターンを利用し、第1接続配線15aと同じ導電物で得ている。また、第2外部筐体端子102は、第2接合金属18bのパターンを利用し、第2接合金属18bと同じ導電物で得ている。
図5(a)は、中間部14の一例を示す模式断面図である。図5(b)は、中間部14の他の例を示す模式断面図である。
図5(a)に示すように、中間部14は、収容部10d内の、第1電極部11と第2電極部12との間に設けられている。中間部14は、第1電極部11の仕事関数と第2電極部12の仕事関数との間の仕事関数を有するナノ粒子141を含む。中間部14は、例えば、第2電極部(カソードK)12から放出された電子eを、第1電極部(アノードA)11へと移動させる部分である。
第1電極部11と第2電極部12との間には、第1方向Zに沿って電極間ギャップGが設定される。熱電素子1では、電極間ギャップGは、第1、第2支持部13a及び13bのそれぞれの第1方向Zに沿った厚さによって設定される。電極間ギャップGの幅の一例は、例えば、10μm以下の有限値である。電極間ギャップGの幅は狭いほど、電子eを第2電極部(カソードK)12から効率よく放出させることができ、かつ、第2電極部12から第1電極部(アノードA)11へ、効率よく移動させることができる。このため、熱電素子1の発電効率が向上する。また、電極間ギャップGの幅は狭いほど、熱電素子1の第1方向Zに沿った厚さを薄くできる。このため、例えば、電極間ギャップGの幅は狭い方がよい。電極間ギャップGの幅は、例えば、10nm以上100nm以下であることがより好ましい。なお、電極間ギャップGの幅と、第1、第2支持部13a及び13bの、第1方向Zに沿った厚さとは、ほぼ等価である。
中間部14は、例えば、複数のナノ粒子141と、溶媒142と、を含む。複数のナノ粒子141は、溶媒142内に分散されている。中間部14は、例えば、ナノ粒子141が分散された溶媒142を、ギャップ部140内に充填することで得られる。ナノ粒子141の粒子径は、電極間ギャップGよりも小さい。ナノ粒子141の粒子径は、例えば、電極間ギャップGの1/10以下の有限値とされる。ナノ粒子141の粒子径を、電極間ギャップGの1/10以下とすると、ギャップ部140内に、ナノ粒子141を含む中間部14を形成しやすくなる。これにより、熱電素子1の生産に際し、作業性が向上する。
ナノ粒子141は、例えば導電物を含む。ナノ粒子141の仕事関数の値は、例えば、第1電極部11の仕事関数の値と、第2電極部12の仕事関数の値との間にある。例えば、ナノ粒子141の仕事関数の値は、3.0eV以上5.5eV以下の範囲とされる。これにより、中間部14に放出された電子eを、ナノ粒子141を介して、例えば、第2電極部12から第1電極部11へと移動させることができる。これにより、中間部14内にナノ粒子141がない場合に比較して、電気エネルギーの発生量を、さらに増加させることが可能となる。
ナノ粒子141の材料の例としては、金及び銀の少なくとも1つを選ぶことができる。なお、ナノ粒子141の仕事関数の値は、第1電極部11の仕事関数の値と、第2電極部12の仕事関数の値との間にあればよい。したがって、ナノ粒子141の材料には、金及び銀以外の導電性材料を選ぶことも可能である。
ナノ粒子141の粒子径は、例えば、電極間ギャップGの1/10以下の有限値とされる。具体的には、ナノ粒子141の粒子径は、2nm以上10nm以下である。また、ナノ粒子141は、例えば、平均粒径(例えばD50)3nm以上8nm以下の粒子径を有してもよい。平均粒径は、例えば粒度分布計測器を用いることで、測定することができる。粒度分布計測器としては、例えば、レーザー回折散乱法を用いた粒度分布計測器(例えばMicrotracBEL製Nanotrac WaveII-EX150等)を用いればよい。
ナノ粒子141は、その表面に、例えば絶縁膜141aを有する。絶縁膜141aの材料の例としては、絶縁性金属化合物及び絶縁性有機化合物の少なくとも1つを選ぶことができる。絶縁性金属化合物の例としては、例えば、シリコン酸化物及びアルミナ等を挙げることができる。絶縁性有機化合物の例としては、アルカンチオール(例えばドデカンチオール)等を挙げることができる。絶縁膜141aの厚さは、例えば20nm以下の有限値である。このような絶縁膜141aをナノ粒子141の表面に設けておくと、電子eは、例えば、第2電極部(カソードK)12とナノ粒子141との間、並びにナノ粒子141と第1電極部(アノードA)11との間を、トンネル効果を利用して移動できる。このため、例えば、熱電素子1の発電効率の向上が期待できる。
溶媒142には、例えば、沸点が60℃以上の液体を用いることができる。このため、室温(例えば15℃~35℃)以上の環境下において、熱電素子1を用いた場合であっても、溶媒142の気化を抑制することができる。これにより、溶媒142の気化に伴う熱電素子1の劣化を抑制することができる。液体の例としては、有機溶媒及び水の少なくとも1つを選ぶことができる。有機溶媒の例としては、メタノール、エタノール、トルエン、キシレン、テトラデカン、及びアルカンチオール等を挙げることができる。なお、溶媒142は、電気的抵抗値が高く、絶縁性である液体がよい。
また、図5(b)に示すように、中間部14は、溶媒142を含まず、ナノ粒子141のみを含むようにしてもよい。中間部14が、ナノ粒子141のみを含むことで、例えば、熱電素子1を、高温環境下で用いる場合であっても、溶媒142の気化を考慮する必要が無い。これにより、高温環境下における熱電素子1の劣化を抑制することが可能となる。
<熱電素子1の動作>
熱エネルギーが熱電素子1に与えられると、例えば、第2電極部(カソードK)12から中間部14に向けて電子eが放出される。放出された電子eは、中間部14から第1電極部(アノードA)11へと移動する。電流は、第1電極部11から第2電極部12に向かって流れる。このようにして、熱エネルギーが電気エネルギーに変換される。
このような半導体集積回路装置200であると、熱電素子1は、筐体部10の収容部10d内に、第1電極部11と、第1電極部11とは異なった仕事関数を有する第2電極部12と、第1電極部11の仕事関数と第2電極部12の仕事関数との間の仕事関数を有するナノ粒子141を含む中間部14と、を含む。これにより、熱電素子1の中に温度差を生じさせなくても、熱電素子1は発電できる。熱電素子1では、ゼーベック素子のように、低温材料や、低温材料を冷やすチラーは、不要である。低温材料、及び低温材料を冷やすチラーが不要となる結果、半導体集積回路装置200の製造コストの増大、及び半導体集積回路装置200のサイズの大型化のそれぞれは、抑制される。
さらに、半導体集積回路装置200によれば、以下のような利点を、さらに得ることができる。
(1) 熱電素子1の筐体部10は、半導体集積回路チップ230の下面と、回路基板260との間に設ける。これにより、熱電素子1を搭載するエリアを、回路基板260に新たに確保せずに済み、回路基板260のサイズの増大を抑制できる。
(2) 回路基板260のサイズの増大を抑制できるため、半導体集積回路装置200を用いた2次製品、例えば、電子機器用回路基板のサイズの増大も抑制できる。
(3) 第1、第2電気的接点11a及び12aのそれぞれを、収容部10d内に設ける。これにより、半導体集積回路装置200を、2次製品に組み込む際、例えば、半導体集積回路装置200のハンドリング中や、半導体集積回路装置200の取り付け作業中等において、第1、第2電気的接点11a及び12aが破断したり、損傷したりすることを抑制できる。これにより、2次製品製造中に発生する可能性がある、半導体集積回路装置200のロスを減らすことができる。
(4) 筐体部10は、第1主面10afと、第1主面10afと対向し、半導体集積回路チップ230の下面と向き合う第2主面10abと、を有する第1基板10aを含む。そして、第1、第2外部筐体端子101及び102のそれぞれを、第1基板10aの第1主面10af上に設ける。第1主面10afは、例えば、筐体部10の側面と比較して、第1、第2外部筐体端子101及び102のそれぞれに、広い面積を提供できる。また、筐体部10の側面と比較して、作業者による視認、あるいは作業ロボットによるワークポイントの抽出がしやすい。これらにより、例えば、熱電素子1と、2次製品との電気的な接続作業を容易化でき、例えば、2次製品のスループットを向上できる。また、半導体集積回路装置200を備えた、2次製品の組み立ての確実性も向上する。
(第1実施形態:第1変形例)
次に、第1実施形態の第1変形例を説明する。第1変形例は、熱電素子の変形に関する。
図6(a)~図6(c)は、第1変形例に係る熱電素子1の一例を示す模式図である。図6(a)に示す模式断面は、図6(c)中のVIA-VIA線に沿う。図6(b)に示す模式断面は、図6(c)中のVIB-VIB線に沿う。図6(c)に示す模式断面は、図6(a)及び図6(b)中のVIC-VIC線に沿う。図7は、接合の一例を示す模式断面図である。図7は、図6(b)に示す模式断面に対応する。
図6(a)~図6(c)に示すように、第1変形例に係る熱電素子1bが、熱電素子1と異なるところは、第1電極部11の第1方向Zから見た平面形状、及び第2電極部12の第1方向Zから見た平面形状のそれぞれが、櫛歯型であることである。
第1、第2電極部11及び12のそれぞれの櫛歯部は、第3方向Yに沿って延びる。櫛歯の向きは、第1電極部11と第2電極部12とで、互いに反対である。第1電極部11の櫛歯部と、第2電極部12の櫛歯部とは、互いに離間しながら噛み合う。これにより、第1電極部11の櫛歯部と、第2電極部12の櫛歯部との間に、電極間ギャップGが規定される。熱電素子1bにおいて、電極間ギャップGが規定される方向は、第2方向X(電極間ギャップGx)と、第3方向Y(電極間ギャップGy)との2方向になる(図6(c))。
熱電素子には、平行平板型電極を持つ熱電素子1の他、櫛歯型電極を持つ熱電素子1bを用いることもできる。
熱電素子1bでは、第1、第2電極部11及び12を櫛歯型とするので、平行平板型の熱電素子1と比較して、半導体集積回路チップ230の熱による電極間ギャップGの変動が、より少なくなる。これにより、例えば、熱電素子1bは、熱電素子1と比較して、発電効率の微小な変動を抑制しやすい、という利点を、さらに得ることができる。
さらに、熱電素子1bにおいては、下記のさらなる工夫がなされている。
・筐体部10が、第1基板10aと、蓋体10cと、を含むこと
・第1電極部11、第2電極部12、第1接続配線15a、及び第2接続配線16aのそれぞれが、第1主面10af上に設けられていること
以下、熱電素子1bについて、より詳細に説明する。
蓋体10cは、第3支持部13cを含む。第3支持部13cは、蓋体10cから第1方向Zに沿って第1基板10aに向かって延びる。第3支持部13cの平面形状は、第1方向Zから見て、枠状である。蓋体10cは、第3支持部13cと、一体に設けられてもよいし、別々に設けられてもよい。
第1、第2電極部11及び12のそれぞれは、収容部10d内に設けられる。収容部10dは、第2方向X及び第3方向Yに広がる平面を蓋体10cによって囲み、第2方向X及び第3方向Yのそれぞれに沿って第3支持部13cによって囲むことで、筐体部10に得られる。
第1接続配線15aは、収容部10d内において、第1電極部11と電気的に接続されている。これにより、第1電極部11と第1接続配線15aとの第1電気的接点11aは、収容部10d内に設けられる。第2接続配線16aは、収容部10d内において、第2電極部12と電気的に接続されている。これにより、第2電極部12と第2接続配線16aとの第2電気的接点12aは、収容部10d内に設けられる。
第3支持部13cの基板接合面13ca上において、第1接続配線15aの平面形状は、第1方向Zから見て、第2方向X及び第3方向Yのそれぞれに延在したL字状である。第1接続配線15aは、第3支持部13cと、第1基板10aとの間において、第1接合金属18aと接合される。第1接合金属18aは、蓋体10cの基板接合面13ca上に設けられている。第1接合金属18aの平面形状は、第1方向Zから見て、第2方向X及び第3方向Yのそれぞれに延在したL字状である。これは、基板接合面13ca上における第1接続配線15aの平面形状と、ほぼ同じである。
第3支持部13cの基板接合面13ca上において、第2接続配線16aの平面形状は、第1方向Zから見て、第2方向X及び第3方向Yのそれぞれに延在したL字状である。第2接続配線16aは、第3支持部13cと、第1基板10aとの間において、第2接合金属18bと接合される。第2接合金属18bは、蓋体10cの基板接合面13ca上に設けられている。第2接合金属18bの平面形状は、第1方向Zから見て、第2方向X及び第3方向Yのそれぞれに延在したL字状である。これは、基板接合面13ca上における第2接続配線16aの平面形状と、ほぼ同じである。
これにより、例えば、図7に示すように、蓋体10cは、第1接続配線15aと第1接合金属18aとの接合、並びに第2接続配線16aと第2接合金属18bとの接合によって、第1基板10aと接合することができる。そして、筐体部10には、収容部10dが得られる。
第1接続配線15aと、第2接続配線16aとは、第1主面10af上において、互いに接触しないようにスリット17a及び17bを介して離れている。第1、第2接合金属18a及び18bは、それぞれ、第1、第2接続配線15a及び16aと電気的に接続されることがある。このような場合には、図6(c)に示したように、第1接合金属18aと、第2接合金属18bとを、互いに接触しないように、スリット17a及び17bを介して離しておけばよい。これにより、第1、第2接合金属18a及び18bを介した、第1接続配線15aと、第2接続配線16aとの短絡を抑制することができる。
図8は、スリットの一例を示す模式断面図である。図8に示す模式断面は、図6(c)中のVIII-VIII線に沿う。
図8に示すように、スリット17a及び17bは、熱電素子1bに微小なすきま17cを生じさせる。このため、ギャップ部140に注入された溶媒142が、微小なすきまから漏れる可能性がある。そこで、図6(c)に示すように、第1基板10aと蓋体10cとの間に封止部材31a及び31bを設け、スリット17a及び17bを、それぞれ、封止部材31a及び31bで塞いでもよい。これにより、スリット17a及び17bを介した、溶媒142の漏れを抑制することができる。
熱電素子1bでは、さらに、第1電極部11と蓋体10cとの間に、第1方向Zに沿ったギャップGel1を設け、第2電極部12と蓋体10cとの間に、ギャップGel2設けている。ギャップGel1及びGel2を設けることにより、蓋体10cと第1基板10aとの間にすきまを生じさせることなく、第1、第2電極部11及び12のそれぞれを、収容部10d内に収容することが可能となる。ギャップGel1の長さと、ギャップGel2の長さとは、互いに等しくなるように設定されてもよいし、互いに異なるように設定されてもよい。後者の場合は、例えば、第1電極部11の仕事関数と、第2電極部12の仕事関数との差を大きくするために、いずれか一方の電極部の表面に、コーティングや、表面改質等の表面処理が行われた場合に見られる。あるいは、互いに材料が異なる第1電極部11と、第2電極部12とを、1つのエッチング工程によって、同時に形成した場合に見られる。また、各ギャップGel1、Gel2を設けることで、第1電極部11の上面及び第2電極部12の上面が、中間部14と接する。このため、各電極部11、12の対向する面に加え、各電極部11、12の上部(特に上面や、上面の角部)を介した電子eの移動を実現することが可能となる。これにより、電気エネルギーの発生量の増大を図ることが可能となる。
図9(a)及び図9(b)は、溶媒注入の一例を示す模式断面図である。図9(a)に示す模式断面は、図6(a)に示す模式断面に対応する。図9(b)に示す模式断面は、図6(b)に示す模式断面に対応する。
図9(a)及び図9(b)に示すように、蓋体10cには、第1充填孔71a及び第2充填孔71bを設けることもできる。第1、第2充填孔71a及び71bは、例えば、ギャップ部140内への溶媒142の注入に利用される。溶媒142の注入に、第1、第2充填孔71a及び71bを利用するとき、ギャップGel1及びGel2がギャップ部140内にあると、溶媒142が、ギャップGel1及びGel2を介して、第1電極部11と第2電極部12との間に廻り込むようになる。これにより、第1電極部11と第2電極部12との間に、溶媒142を充填しやすくなる、という利点を得ることができる。
溶媒142は、例えば、第1充填孔71aから、ギャップ部140内へ注入される。このとき、もう1つの第2充填孔71bは、例えば、エア抜きの孔として利用される。また、第2充填孔71bを介して、ギャップ部140内を真空引きしながら、第1充填孔71aから溶媒142を注入してもよい。
第1変形例のように、熱電素子には、平行平板型電極を持つ熱電素子1の他、櫛歯型電極を持つ熱電素子1bを用いることもできる。
(第2実施形態)
第2実施形態は、第1実施形態に係る半導体集積回路装置200に使用可能な電源回路300の例に関する。
図10は、第2実施形態に係る発電機能付半導体集積回路装置200の一例を示す模式ブロック図である。
図10に示すように、電源回路300は、例えば、回路基板320(回路基板320については、上述の回路基板260と同一のものであってもよい)上に設けられる。回路基板320上には、例えば、第1外部端子331a~第6外部端子331fが設けられている。第1外部端子331a及び第2外部端子331bは、外部電源、例えば、商用電源310と電気的に接続される。これにより、電源回路300には、第1、第2外部端子331a及び331bを介して、外部入力電力Pinが入力される。第3外部端子331c及び第4外部端子331dは、熱電素子1と電気的に接続される。これにより、電源回路300には、第3、第4外部端子331c及び331dを介して、補助入力電力Pinaが入力される。第3外部端子331cは、熱電素子1のカソードKと電気的に接続されている。第4外部端子331dは、熱電素子1のアノードAと電気的に接続されている。第5外部端子331e及び第6外部端子331fは、パッケージ210と電気的に接続される。これにより、電源回路300は、第5、第6外部端子331e及び331fを介して、LSI入力電力Pout(半導体集積回路装置入力電力)を出力する。
図11は、第2実施形態に係る発電機能付半導体集積回路装置200の一例を示す模式回路図である。
図11に示すように、電源回路300は、コンバータ332を含む。外部電源が商用電源310である場合、コンバータ332は、AC-DCコンバータ(整流回路)となる。外部電源が電池である場合には、コンバータ332は、DC-DCコンバータとなる。コンバータ332がAC-DCコンバータである場合、交流電力を直流電力に整流する。整流された直流電力は、電流制限回路333に供給される。電流制限回路333は、直流電流を制限してLSI入力電力Poutを生成し、出力する。
コンバータ332の高電位側出力ノードN1は、電流制限回路333の高電位側入力ノードN2と、第1スイッチ334を介して電気的に結合されている。第1スイッチ334と高電位側入力ノードN2との接続ノードN3は、電源回路300の低電位側配線335と、コンデンサ336とを介して電気的に結合されている。コンデンサ336は、平滑コンデンサである。また、コンデンサ336には、抵抗337が並列に接続されている。抵抗337は、放電用抵抗である。接続ノードN3は、第2スイッチ338を介して熱電素子1のカソードKと電気的に結合されている。第1、第2スイッチ334及び338には、例えば、トランジスタが使用される。電流制限回路333の高電位側出力ノードN4は、パッケージ210の高電位側電源端子(便宜上Aと表示)と電気的に結合される。パッケージ210の低電位側端子(便宜上Kと表示)、及び熱電素子1のアノードAは低電位側配線335と電気的に結合されている。
パッケージ210内の半導体集積回路チップ230を動作させるとき、第1スイッチ334をオン、第2スイッチ338をオフさせる。高電位側出力ノードN1は、コンデンサ336の一方電極と電気的に接続され、コンデンサ336が充電される。コンデンサ336の充電完了後、高電位側出力ノードN1は、高電位側入力ノードN2と電気的に接続される。コンバータ332は、電流を電流制限回路333に供給する。電流制限回路333は、供給された電流を制限してLSI入力電力Poutを生成し、出力する。これにより、パッケージ210内の半導体集積回路チップ230は、動作する。
半導体集積回路チップ230が動作すると、半導体集積回路チップ230は発熱する。熱は、熱電素子1へ伝わる。やがて、熱電素子1は、発電可能な状態、例えば、コンデンサ336を充電可能な電流を生成可能な状態となる。熱電素子1が発電可能な状態となった後、第2スイッチ338をオンさせる。熱電素子1のカソードKは、コンデンサ336の一方電極と電気的に接続される。熱電素子1は、コンバータ332とともに、電流を電流制限回路333に供給する。これにより、半導体集積回路チップ230は、動作を続ける。
また、第1スイッチ334、及び第2スイッチ338によって、コンデンサ336の一方電極に、高電位側出力ノードN1を結合するか、熱電素子1のカソードKを結合するかのいずれかを選択することもできる。
例えば、半導体集積回路チップ230を動作させるとき、第1スイッチ334をオン、第2スイッチ338をオフさせて、半導体集積回路チップ230を、外部入力電力Pinを用いて動作させる。外部入力電力Pinを用いて動作された状態を、便宜上、通常エネルギーモードと呼ぶ。
動作後、例えば、熱電素子1が、コンデンサ336を充電可能な電流を生成可能な状態となったら、第1スイッチ334をオフ、第2スイッチ338をオフさせる。電力の供給元は、外部入力電力Pinから、補助入力電力Pinaに切り替わる。これにより、半導体集積回路チップ230の動作モードは、通常エネルギーモードから、熱電素子1からの補助入力電力Pinaを用いた省エネルギーモードへと切り替わる。通常エネルギーモードから省エネルギーモードへの切り替えは、自動、もしくは手動により行うことができる。省エネルギーモードは、一般的には、商用電源、もしくは電池の消費電力を下げることをいう。しかし、第2実施形態における省エネルギーモードは、通常エネルギーモードとは別の補助入力電力Pinaに切り替えることをいう。
また、コンデンサ336には、電源回路300中に設けられている平滑コンデンサを利用することもできる。平滑コンデンサを利用した場合には、電源回路300中の既存回路素子を利用して、熱電素子1を電源回路300に接続できる。これにより、電源回路300に必要な回路素子や電子部品330の増加を抑制できる。
(第2実施形態:第1変形例)
図12は、第2実施形態の第1変形例に係る発電機能付半導体集積回路装置200の一例を示す模式回路図である。
熱電素子1が発生する電力では、半導体集積回路チップ230を動作させるのに、十分な電圧を確保できない場合も想定される。このような場合には、熱電素子1を、昇圧回路350を介して、電源回路300と接続するようにしてもよい。図12には、昇圧回路350の一例を示す模式回路が示されている。
図12に示すように、昇圧回路350は、例えば、ダイオード351と、コイル352と、第3スイッチ353と、を含む。ダイオード351のカソードは、第2スイッチ338を介してコンデンサ336の一方電極と電気的に結合されている。ダイオード351のアノードは、コイル352を介して熱電素子1のカソードKに電気的に結合されている。コイル352は、チョークコイルである。ダイオード351のアノードと、コイル352との接続ノードN5は、低電位側配線335と、第3スイッチ353を介して電気的に結合されている。第3スイッチ353には、例えば、トランジスタが使用される。
昇圧回路350の動作は、以下のようにして、補助入力電力Pinaの電圧を昇圧する。まず、第2スイッチ338をオンさせて、熱電素子1のカソードKを、コンデンサ336の一方電極と電気的に結合させる。この状態で、第3スイッチ353をオンさせる。熱電素子1のカソードKから、電流がコイル352を介して低電位側配線335に流れる。次いで、第3スイッチ353をオフさせる。コイル352からの電流は、すぐにはゼロにはならない。このため、コイル352から、ダイオード351、及び第2スイッチ338を介して、接続ノードN3に電流が、一気に流れる。ダイオード351は、接続ノードN3からの電流の逆流を防ぐ。このように第3スイッチ353のオンとオフとを繰り返すことで、補助入力電力Pinaの電圧は、昇圧される。
このように、熱電素子1を、昇圧回路350を介して、電源回路300と接続するようにしてもよい。なお、昇圧回路は、図12に示した昇圧回路350に限られるものでもない。昇圧回路には、例えば、トランス等、周知の昇圧回路を用いることができる。また、昇圧回路は、電源回路300中に設けることができる。
以上、この発明の実施形態のいくつかを説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。例えば、これらの実施形態は、適宜組み合わせて実施することが可能である。また、この発明は、上記いくつかの実施形態の他、様々な新規な形態で実施することができる。したがって、上記いくつかの実施形態のそれぞれは、この発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更が可能である。このような新規な形態や変形は、この発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明、及び特許請求の範囲に記載された発明の均等物の範囲に含まれる。
1、1b :熱電素子
10 :筐体部
10a :第1基板
10af :第1主面
10ab :第2主面
10b :第2基板
10c :蓋体
10d :収容部
11 :第1電極部
11a :第1電気的接点
12 :第2電極部
12a :第2電気的接点
13a :第1支持部
13aa :基板接合面
13b :第2支持部
13ba :基板接合面
13c :第3支持部
13ca :基板接合面
14 :中間部
15a :第1接続配線
16a :第2接続配線
17a :スリット
17b :スリット
18a :第1接合金属
18b :第2接合金属
30 :接着部材
31 :封止部材
71a :第1充填孔
71b :第2充填孔
101 :第1外部筐体端子
102 :第2外部筐体端子
140 :ギャップ部
141 :ナノ粒子
141a :絶縁膜
142 :溶媒
200 :発電機能付半導体集積回路装置
210 :パッケージ
220 :外部端子
230 :半導体集積回路チップ
260 :回路基板
265 :凹部
270 :電気的配線
280 :ヒートシンク
300 :電源回路
310 :商用電源
320 :回路基板
330 :電子部品
331a :第1外部端子
331b :第2外部端子
331c :第3外部端子
331d :第4外部端子
331e :第5外部端子
331f :第6外部端子
332 :コンバータ
333 :電流制限回路
334 :第1スイッチ
335 :低電位側配線
336 :コンデンサ
337 :抵抗
338 :第2スイッチ
350 :昇圧回路
351 :ダイオード
352 :コイル
353 :第3スイッチ
G :電極間ギャップ
Gel1 :ギャップ
Gel2 :ギャップ
Gx :電極間ギャップ
Gy :電極間ギャップ
Pin :外部入力電力
Pina :補助入力電力
Pout :LSI入力電力
Z :第1方向
X :第2方向
Y :第3方向

Claims (5)

  1. 半導体集積回路装置と、前記半導体集積回路装置から放出された熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電素子と、を有する発電機能付半導体集積回路装置であって、
    前記半導体集積回路装置は、半導体集積回路チップを収容するパッケージを含み、
    前記半導体集積回路チップは、回路基板と対向される下面、及び前記下面と対向した上面を有し、
    前記熱電素子は、
    収容部を有する筐体部と、
    前記収容部内に設けられた第1電極部と、
    前記収容部内に設けられ、前記第1電極部と第1方向に離間して対向し、前記第1電極部とは異なった仕事関数を有する第2電極部と、
    前記収容部内の、前記第1電極部と前記第2電極部との間に設けられ、前記第1電極部の仕事関数と前記第2電極部の仕事関数との間の仕事関数を有するナノ粒子を含む中間部と、
    を含み、
    前記筐体部は、前記半導体集積回路チップの前記下面と、前記回路基板との間に設けられていること
    を特徴とする発電機能付半導体集積回路装置。
  2. 前記熱電素子は、
    前記第1電極部と電気的に接続され、前記第1電極部を前記収容部の外に導出する第1接続配線と、
    前記第2電極部と電気的に接続され、前記第2電極部を前記収容部の外に導出する第2接続配線と、
    を、さらに含み、
    前記第1電極部と前記第1接続配線との第1電気的接点、並びに前記第2電極部と前記第2接続配線との第2電気的接点のそれぞれは、前記収容部内に設けられていること
    を特徴とする請求項1記載の発電機能付半導体集積回路装置。
  3. 前記筐体部は、第1主面と、前記第1主面と対向し、前記半導体集積回路チップの前記下面と向き合う第2主面と、を有する第1基板を含み、
    前記熱電素子は、
    前記第1接続配線と電気的に接続された第1外部端子と、
    前記第2接続配線と電気的に接続された第2外部端子と、
    を、さらに含み、
    前記第1外部端子及び前記第2外部端子のそれぞれは、前記第1基板の前記第1主面上に設けられていること
    を特徴とする請求項2記載の発電機能付半導体集積回路装置。
  4. 前記熱電素子は、平行平板型熱電素子、及び櫛歯型熱電素子の少なくとも1つを含むこと
    を特徴とする請求項1~3のいずれか1項記載の発電機能付半導体集積回路装置。
  5. 外部から供給される外部入力電力、及び前記熱電素子から供給される補助入力電力のそれぞれの入力が可能な、前記外部入力電力及び前記補助入力電力のそれぞれを半導体集積回路装置入力電力に変換し、前記半導体集積回路装置入力電力を前記半導体集積回路装置へ出力する電源回路
    を、さらに備えること
    を特徴とする請求項1~4のいずれか1項記載の発電機能付半導体集積回路装置。
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