JP7261061B2 - 加熱装置及び炭素繊維の製造装置 - Google Patents

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Description

本発明は、マイクロ波を利用する加熱装置等に関する。
炭素繊維は、ポリアクリロニトリル系繊維、レーヨン系繊維、セルロース系繊維及び、ピッチ系繊維等から製造された前駆体繊維を加熱して製造される。例えば、ポリアクリロニトリル系繊維から製造された前駆体繊維の加熱は、酸素を含む雰囲気中(耐炎化炉内)で加熱する耐炎化工程、耐炎化工程を経た繊維(以下、「耐炎繊維」という)を不活性雰囲気中(炭素化炉)で加熱する炭素化工程を経て行われる。なお、上記加熱は、繊維が、耐炎化炉及び炭素化炉を通過(走行)することで行われる。また、ここでの繊維は、フィラメントが複数本集まった束状をしている。
前駆体繊維を炭素化するための加熱として、従来の電気ヒータ以外に、マイクロ波を利用した装置等が提案されている(例えば特許文献1~3)。
特許文献3に記載の装置(200)は、「一端が閉塞した円筒導波管からなる筒状炉体(27)であって、前記円筒導波管の前記一端に繊維導出口(27b)が形成されるとともに前記円筒導波管の他端に繊維導入口(27a)が形成されてなる筒状炉体(27)と、前記筒状炉体(27)内にマイクロ波を導入するマイクロ波発振器(21)と、一端が前記マイクロ波発振器(21)側に接続され、他端が前記筒状炉体(27)の一端に接続される接続導波管(22)と、を含んでなる。」とされている。
特許6063045号公報 特開2016-195021号公報 再表2015/152019号公報
しかしながら、特許文献3の技術において、マイクロ波発振器と筒状炉体とを接続導波管で接続し、接続導波管内でマイクロ波のモード変換が行われている。接続導波管内でモードの乱れが生じやすく、筒状炉体内で加熱ムラが生じる傾向にある。
本発明は、円形導波管タイプの加熱炉内におけるモードの乱れを少なくできる加熱装置及び炭素繊維の製造装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る加熱装置は、走行する前駆体繊維を加熱する加熱装置において、前記前駆体繊維が走行する方向に管軸を有する円形導波管からなる加熱管と、マイクロ波を発生するマイクロ波発振器と、前記マイクロ波発振器に接続された方形導波管と、一端が前記方形導波管に接続され且つ他端が前記加熱管に接続されると共に管内にマイクロ波を放出するアンテナ機能を有する同軸管とを備える。
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る炭素繊維の製造装置は、走行する前駆体繊維を加熱して炭素化する炭素繊維の製造装置において、前記前駆体繊維を加熱する加熱装置が上記の加熱装置である。
本発明の一態様に係る加熱装置及び炭素繊維の製造装置は、方形導波管と加熱管との接続に同軸管を用いているため、加熱管内でのモードの乱れを少なくできる。
実施形態に係る加熱装置の概略図である。 マイクロ波漏洩対策管を示す図であり、(a)は斜視図であり、(b)は断面図である。 加熱管内の電界・磁界の分布を示す図であり、(a)は加熱管の管軸と直交する方向から見た断面図であり、(b)は加熱管の管軸方向から見た図である。 電界調整機構による電界磁界強度の分布の変化の様子を示す説明図である。 炭素繊維の製造工程を示す概略図である。 加熱管内を示す概略図である。 比較例の加熱装置の概略図である。 加熱管内の2本の前駆体繊維の温度を示す図であり、(a)は実施例1の解析結果であり、(b)は比較例の解析結果である。 加熱管内の2本の前駆体繊維の電界強度を示す図であり、(a)は実施例1の解析結果であり、(b)は比較例の解析結果である。 加熱管内の電界強度の分布を示す図であり、(a)は実施例1の解析結果であり、(b)は比較例の解析結果である。 電界調整機構による電界強度と繊維表面温度の変化を示す説明図である。 マイクロ波漏洩対策管の別の実施形態を示す図である。
<概要>
本実施形態の一態様に係る加熱装置は、走行する前駆体繊維を加熱する加熱装置において、前記前駆体繊維が走行する方向に管軸を有する円形導波管からなる加熱管と、マイクロ波を発生するマイクロ波発振器と、前記マイクロ波発振器に接続された方形導波管と、一端が前記方形導波管に接続され且つ他端が前記加熱管に接続されると共に管内にマイクロ波を放出するアンテナ機能を有する同軸管とを備える。
なお、同軸管の一端は、同じ断面形状の連結管を介して方形導波管と接続されてもよいし、導波管におけるマイクロ波発振器と反対側端部を塞いだ方形導波管と接続されてもよい。
本実施形態の別態様に係る加熱装置において、前記加熱管内のマイクロ波のモードがTMモードである。これにより、前駆体繊維を同心円上の位置又は同心円上に近い位置で走行させることにより、前駆体繊維を均等に加熱できる。
本実施形態の別態様に係る加熱装置において、前記加熱管内の電界密度分布を調節する電界調整機構を備える。これにより、前駆体繊維の加熱条件を容易に変更(調整)できる。
本実施形態の別態様に係る加熱装置において、前記電界調整機構は、前記加熱管内のマイクロ波が伝播する円筒内空間の径方向の寸法を調節可能とされている。これにより、容易に電界調整機構を容易に実施できる。
本実施形態の別態様に係る加熱装置において、前記前駆体繊維は、前記加熱管の管軸から半径方向に半径の30%~95%の間の領域を走行する。これにより、電界調整機構を有効に機能させることができる。
本実施形態の別態様に係る加熱装置において、前記電界調整機構を前記加熱管の管軸方向に沿って複数個ある。これにより、走行する前駆体繊維の状態変化に合わせて加熱条件を調整できる。
本実施形態の別態様に係る加熱装置において、前記管軸方向に沿って複数個ある電界調整機構は、前記加熱管内に形成される定在波の1/2周期間隔で設けられている。これにより、マイクロ波のモードを満たすことなく、電界調整機構を設けることができる。
本実施形態の一態様の係る加熱装置は、走行する前駆体繊維をマイクロ波により加熱する加熱装置において、前記前駆体繊維が走行する方向に管軸を有する加熱管と、前記加熱管における前記前駆体繊維の導出口に設けられ且つ前記前駆体繊維の走行方向に沿って拡径する多段筒状体とを備える。これによりマイクロ波が前駆体繊維の導出口から漏洩するのを抑制できる。
本発明の一態様に係る炭素繊維の製造装置は、走行する前駆体繊維を加熱して炭素化する炭素繊維の製造装置において、前記前駆体繊維を加熱する加熱装置が上記の加熱装置である。
<実施形態1>
以下、加熱対象物が炭素繊維の前駆体繊維である場合を説明する。
1.加熱装置
図1は加熱装置Xの概略図である。
加熱装置Xは、加熱部100とマイクロ波導入部200とを有している。なお、前駆体繊維Yは加熱部100内を走行することで加熱される。
(1)加熱部
加熱部100は加熱管101を備える。ここでの加熱管101は円形導波管が利用されている。加熱部100は前駆体繊維Y用の導入口と導出口とを有している。導入口は加熱管101の管軸方向の一端に、導出口は加熱管101の管軸方向の他端に、それぞれ設けられている。
加熱部100は可変短絡板103を加熱管101の他端に有している。可変短絡板103は加熱管101の一端側から進行してきたマイクロ波を一端側に向けて反射させる。可変短絡板103は管軸方向に移動可能であり、マイクロ波の波長に合わせて移動させることで、加熱管101内に定在波を発生させる。これにより前駆体繊維Yを効率よく加熱できる。
加熱部100は、加熱管101の内部に不活性ガスを供給する供給管105と、前駆体繊維Yから発生したガスを排出する排出管107とを有する。不活性ガスとして、例えば、窒素を利用できる他、アルゴン等を利用できる。
加熱部100は、加熱管101の他端の導出口にマイクロ波漏洩対策管130を有している。マイクロ波漏洩対策管130は導出口からマイクロ波が漏洩するのを対策する。
マイクロ波漏洩対策管130は、図2に示すように、有蓋多段筒状体131と磁性体133とを備える。有蓋多段筒状体131は、ここでは、有蓋筒状部135と、筒状部137とを筒軸方向に連結して備える。有蓋筒状部135は、有蓋多段筒状体131における加熱管101と反対側に位置し、磁性体133を収容する。
有蓋筒状部135は筒状部137の直径よりも大きい。有蓋筒状部135の蓋部分には前駆体繊維Y用の貫通孔135aが設けられている。なお、有蓋筒状部135及び筒状部137の横断面形状は円形状をしている。
磁性体133は、例えば、フェライトコア等を利用できる。磁性体133は、円柱状をし、軸部分に前駆体繊維Y用の貫通孔133aを有している。磁性体133は、筒状部137内を進行してきたマイクロ波を吸収する。
なお、有蓋多段筒状体131は、2以上の筒状部を有すればよく、2段に限定されるものではない。
加熱部100は、図1に示すように、加熱管101の内部の電界密度分布を調節する電界調整機構120を備える。電界調整機構120は、マイクロ波が伝播する伝播空間(ここでは円形導波管(円筒)の内部空間であり、円筒内空間とする)の径方向(半径方向)の寸法を調節することで行われる。具体的には、電界調整機構120は、加熱管101に対して径方向に挿抜自在に支持された棒状部121と、棒状部121における加熱管101の内部に位置する端部に設けられた板状部123とを有する。なお、棒状部121を位置固定する図外の固定手段が設けられている。
板状部123は、図1に示すように管軸と直交する方向から見ると管軸と平行に延伸し、図3の(b)に示すように管軸方向から見ると管軸を中心とする円弧状をしている。
板状部123における管軸方向の長さは、加熱管101内のマイクロ波の定在波の波長(管内波長)の1/2波長の自然数倍に略等しい。
電界調整機構120は、図1に示すように軸方向に沿って多段(例えば3段)あり、図3の(b)に示すように周方向に4個ある。なお、電界調整機構120の個数は、加熱管101の全長、直径の他、前駆体繊維Yの投入本数等により適宜決定される。なお、板状部123はアルミニウム等の金属材料を利用することができる。
(2)マイクロ波導入部
マイクロ波導入部200は、マイクロ波発振器201、方形導波管(以下、単に「導波管」とする)203、アイソレータ205、EHチューナー207、連結管209及び同軸管211を備える。
マイクロ波発振器201で発生したマイクロ波は、導波管203を経由して同軸管211から加熱管101の内部へと伝送される。
マイクロ波発振器201は、例えば、クライストロン及びマグネトロン等のマイクロ波電子管や、ダイオード等を利用したマイクロ波半導体素子等を利用することができる。マイクロ波発振器201の出力は、加熱管101の内部を走行する前駆体繊維Yの本数、速度、加熱温度等により適宜選択できる。
導波管203の一端にはマイクロ波発振器201が接続される。導波管203の他端には連結管209が接続される。ここでの導波管203は方形導波管であり、当該導波管203内を伝播するマイクロ波はTEモードである。
導波管203には、アイソレータ205とEHチューナー207とが設けられている。アイソレータ205は、導波管203の他端(連結管209側の可変短絡板213)で反射してきたマイクロ波によって、マイクロ波発振器201が破損するのを防止するものである。EHチューナー207は、導波管203内のインピーダンス整合を調整するためのものである。なお、連結管209の可変短絡板213とEHチューナー207とにより導波管203内に定在波が形成される。これにより加熱管101へのマイクロ波の伝送が効率よく行われる。
連結管209は、所謂、同軸導波管変換器であり、他端に可変短絡板213を有する方形導波管とコネクタとを備える。連結管209の方形導波管の他端は導波管203に接続され、連結管209のコネクタは同軸管211に接続される。
同軸管211は、導波管203の内部を伝播するTEモード(TE01)のマイクロ波(定在波)をTMモード(TM01)に変換して加熱管(円形導波管)101の内部へと伝送させる。同軸管211におけるコネクタと接続される側と反対側は、加熱管101の内部へと先端部211aが延出するように加熱管101に接続されている。これにより、同軸管211の先端部211aは、マイクロ波を放出するアンテナとして機能する。
(3)加熱管内の電界分布及び磁気分布
(3-1)電界分布
加熱管101内のマイクロ波の電界分布は、図3の(b)の実線で示すように、加熱管(円形導波管)101の径方向に分布し、図3の(a)に示すように、加熱管101の管壁から管軸に向かい、その後に管軸に沿って進行し、その後、管壁に向かう。つまり、管壁から「U」字状に管軸側に張り出すように分布する。管壁から出て、管壁に戻るまでの管軸方向の長さは、管内波長の1/2である。
加熱管101内のマイクロ波の磁界分布は、図3の(b)の破線で示すように、電界成分と直交するように周方向に分布する。
図4は、加熱管101における管軸方向に並設する2個の電界調整機構120の電界強度及び磁界強度の分布を示している。電界強度及び磁界強度は管軸の延伸する方向(図では上方)が「+」側である。また、上側の電界調整機構120(板状部123)と下側の電界調整機構120(板状部123)の強度の違いが分かるように強度が「0」の横軸を各板状部123の下端に一致させている。なお、電界強度及び磁界強度は、電界調整機構120における管軸方向の中央部位での分布である。
電界強度に関しては、図4の実線で示すように、管軸に近いほど高く、管軸から離れるほど低くなっている。磁界強度に関しては、図4の破線で示すように、管軸に近いほど低く、管軸から離れるほど高くなっている。
2.電界調整機構
電界調整機構120による電界の調整は、マイクロ波が伝播する円筒内空間を形成する円筒の内周面の直径を変化させることで行われる。具体的には、板状部が円筒内空間の管軸と直交する方向、つまり、径方向に移動することで行われる。
板状部123が管軸に近づくと、マイクロ波が伝播している円筒内空間の直径が小さくなり、電界密度及び磁束密度が高まり、電界強度及び磁界強度が高くなる。逆に、板状部123が管軸から離れると、円筒内空間の直径が大きくなり、電界密度及び磁束密度が低くなり、電界強度及び磁界強度が低くなる。
図4を用いて、板状部123が管軸に近づいた状態を説明する。
ここでは、上の板状部123が下の板状部123よりも管軸に近づいた状態を示している。なお、上の板状部123を基準にすると、下側の板状部123が上の板状部123よりも管軸から離れた状態である。
下側の板状部123において、電界強度は、管軸から径方向に移るにしたがって低くなっている。一方、磁界強度は、管軸から径方向に移るにしたがって高くなっている。
上側の板状部123は、下側の板状部123よりも管軸に近いため、下側の板状部123に対して電界密度及び磁束密度が高くなる。これにより、電界強度と磁界強度が下側の板状部123の電界強度と磁界強度よりも大きくなる。なお、上側の板状部123では、管軸との距離が小さくなり、強度は高くなるが、マイクロ波のエネルギとしては下側の板状部123と同じである。
このように板状部123が管軸に近づくことにより、上側の板状部123の強度分布が下側の板状部123の強度分布に対して偏平な状態となる。つまり、管軸方向の中央周辺では、電界強度の高い領域が広くなると共に磁界強度の低い領域も広くなる。
上側の板状部123が管軸に近づくことで、電界・磁界とも円筒内空間が小さくなり、高密度となると共に、電界強度と磁界強度とが同じになる位置(電界強度の分布線と磁界強度の分布線と交点)が管軸側へ移動する。
図4において、前駆体繊維Yは管軸と平行に走行している。前駆体繊維Yは、下側の板状部123では電界強度が磁界強度よりも強い強電界領域内を走行し、上側の板状部123では磁界強度が電界強度よりも強い強磁界領域内を走行する。
なお、強電界領域での加熱モードは電界加熱が主となり、強磁界領域で加熱モードは磁界加熱が主となる。
このように、電界調整機構120の板状部123の径方向の移動により、電界及び磁界の強度分布が変わり、前駆体繊維Yの位置によっては加熱モードが変わる。
したがって、加熱により前駆体繊維Yの性質が変移するような場合、例えば、絶縁性の前駆体繊維Yを電界加熱し、当該前駆体繊維Yが加熱により導電性を有するように変移する場合、前駆体繊維Yの走行方向の途中で電界調整機構120を利用して電界加熱から磁界加熱へと移行できる。この場合、前駆体繊維Yを磁界加熱させたい円筒内空間(ここでは、上側の板状部123である)の半径の1/2よりも板状部123側を走行するように前駆体繊維Yと投入すればよい。
逆に、電界加熱から磁界加熱に変更する必要がない場合、前駆体繊維Yを電界加熱させたい円筒内空間(ここでは、上側の板状部123である)の半径の1/2よりも管軸側を走行するように前駆体繊維Yと投入すればよい。
<実施形態2>
1.全体
以下、マイクロ波加熱を利用した炭素繊維の製造装置及び方法について図5を用いて説明する。
炭素繊維はプリカーサを用いて製造される。1本のプリカーサは、複数本、例えば、24,000本のフィラメントが束になったものである。
プリカーサ1aは、アクリロニトリルを90質量%以上含有する単量体を重合した紡糸溶液を湿式紡糸法又は乾湿式紡糸法において紡糸した後、水洗・乾燥・延伸して得られる。なお、共重合する単量体としては、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、アクリル酸、アクリルアミド、イタコン酸、マレイン酸等が利用される。
通常、プリカーサ1aを製造する速さと、プリカーサ1aを炭素化して炭素繊維を製造する速さが異なる。このため、製造されたプリカーサ1aは、一旦、カートンに収容されたり、ボビンに巻き取られたりする。
プリカーサ1aは、例えばボビン30から引き出され、下流側に向かって走行し、その途中で、各種の処理がなされて、炭素繊維1gとしてボビン39に巻き取られる。
炭素繊維1gは、プリカーサ1aを耐炎化する耐炎化工程と、耐炎化された繊維(以下、「耐炎繊維」という)1bを延伸させながら炭素化する炭素化工程と、炭素化された繊維1dの表面を改善する表面処理工程と、表面が改善された繊維1eに樹脂を付着させるサイジング工程と、樹脂が付着した繊維1fを乾燥させる乾燥工程とを経て製造される。
乾燥された繊維1gは、炭素繊維1gとしてボビン39に巻き取られる。なお、各工程を終えた繊維を、例えば耐炎繊維1bのように、区別しているが、単に「繊維」として説明する際の符号は、「1」を用いる。
(1)耐炎化工程
耐炎化工程は、炉内が200[℃]~350[℃]の酸化性雰囲気に設定された耐炎化炉3を利用して行う。具体的には、耐炎化は、空気雰囲気中の耐炎化炉3内をプリカーサ1aが複数回通過することで行われる。なお、酸化性雰囲気は、酸素、二酸化窒素等を含んでいてもよい。
耐炎化工程中のプリカーサ1aは、製造する炭素繊維に合わせて所定の張力で延伸される。耐炎化工程での延伸倍率は、例えば、0.7~1.3の範囲内である。プリカーサ1aの延伸は、耐炎化炉3の入口の2個のローラ5,7や出口の3個のローラ9,11,13により行われる。
(2)炭素化工程
炭素化工程は、耐炎繊維1bを加熱することで熱分解反応を生じさせて炭素化を行う工程である。炭素化は、耐炎繊維1bが第1の炭素化炉15を通過し、さらに、第1の炭素化炉15を通過した繊維1cが第2の炭素化炉17を通過することで行われる。ここでの炭素化は、少なくとも第1の炭素化炉15と第2の炭素化炉17を通過することで行われる。
ここで、第1の炭素化炉15で行われる炭素化を「第1の炭素化」とし、この工程を第1の炭素化工程とする。同様に、第2の炭素化炉17で行われる炭素化を「第2の炭素化」とし、この工程を第2の炭素化工程とする。
複数個の炭素化炉は、互いに独立した形態で設けられている。ここでは、第1の炭素化炉15と第2の炭素化炉17とは互いに独立して設けられ、第1の炭素化炉15と第2の炭素化炉17の間には繊維1の張力を調整する調整手段を設けることができる。
第1の炭素化炉15の外であって入口側にはローラ19が、第1の炭素化炉15と第2の炭素化炉17との間にはローラ21が、第2の炭素化炉17の外側であって出口側にはローラ23がそれぞれ設けられている。
第1の炭素化炉15は、マイクロ波プラズマ、電気ヒータ等を利用する。第2の炭素化炉17は、第1の炭素化工程で加熱した繊維1cを延伸しながらマイクロ波を利用して加熱する。ここでの第2の炭素化炉17は、第1の実施形態で説明した加熱装置を利用している。
(3)表面処理工程
表面処理工程は、炭素化後の繊維1dが表面処理装置25内を通過することで行われる。表面処理装置25の出口にはローラ26が設けられている。なお、表面処理することで、炭素繊維1gを利用して複合材料とした場合、炭素繊維1gとマトリックス樹脂との親和性や接着性が向上する。
表面処理は繊維(1d)の表面を酸化することにより行われる。表面処理として、例えば、液相中又は気相中の処理がある。液相中での処理は、酸化剤に繊維1dを浸漬することによる化学酸化や、繊維1dが浸漬する電解液中で通電することによる陽極電解酸化等が工業的に用いられる。
気相中での処理は、繊維1dを酸化性気体の中を通過させたり、放電等によって発生した活性種を吹き付けたりすることにより行うことができる。
(4)サイジング工程
サイジング工程は、繊維1eが樹脂液29内を通過することで行われる。樹脂液29は樹脂浴27に貯留されている。なお、サイジング工程により繊維1eの収束性が高まる。
サイジング工程中の繊維1eは、樹脂浴27の内部や樹脂浴27の周辺に配された複数のローラ31,33等により走行方向を変更しながら樹脂液29内を通過する。樹脂液29は、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等を溶剤に溶解させた液やエマルション液が利用される。
(5)乾燥工程
乾燥工程は、乾燥炉35内を繊維1fが通過することで行われる。なお、乾燥した繊維1gは、乾燥炉35の下流側のローラ37を介してボビン39に巻き取られる(巻取工程である)。
2.実施例
以下、一実施例について説明する。
加熱装置Xを第2の炭素化炉17として、耐炎繊維1bから炭素繊維1gを製造した。加熱装置Xに供給された前駆体繊維Yは、第1の炭素化工程を終えた繊維(予備炭素化繊維)1cであり、その密度は1.56[g/cm]である。加熱装置Xの加熱管101への前駆体繊維Yの供給は、図6に示すように4本である。4本の前駆体繊維Yは、円筒状の加熱管101内を、周方向に等角度(ここでは90[°]である)をおいて且つ管軸に対して1/2半径離れた同心円上を管軸と平行に走行する。前駆体繊維Yのフィラメント数は、24,000[本]である。
加熱管101の加熱方式はマイクロ波である。加熱管101内を伝播するマイクロ波はTMモードであり、波長が0.120[m]~0.125[m]の範囲内に、周波数が2,400[MHz]~2,500[MHz]の範囲内にそれぞれある。
マイクロ波発振器で発信するマイクロ波の出力は、0.1[kW]~1000[kW]の範囲内である。前駆体繊維Yの走行速度は、0.01[m/min]~50[m/min]の範囲内である。
加熱管101内は、窒素雰囲気下で、91,000[Pa]~122,000[Pa]に保たれている。第2の炭素化工程では、第1の炭素化工程を終えた繊維1cである前駆体繊維Yを、密度が例えば1.70[g/cm]~1.85[g/cm]になるまで炭素化する。
(1)実施例1
実施例1では、前駆体繊維Yの走行速度は0.5[m/min]である。前駆体繊維Y(第1の炭素化工程を終えた繊維1d)の投入本数は4本である。この場合の加熱管101の内部の前駆体繊維Yの滞留時間は約1[分]である。マイクロ波の出力(マイクロ波発振器201)は、1.2[kW]、周波数は2,450[MHz]である。
加熱管101と、マイクロ波導入部200の連結管209との接続に同軸管211を利用した。加熱管101を伝播するマイクロ波はTMモードの定在波である。なお、実施例1では、電界調整機構120のすべての板状部123の位置は同じであり、電界・磁界の分布等は調整していない。
上記条件により製造された炭素繊維1gの炭素化度(炭素含有率)は90[%]~91[%]であり、十分に炭素化されていた(表1において、炭素化判定「〇」である)。前駆体繊維Yの加熱中、つまり、第2の炭素化工程中は、繊維の切断等も発生せず、第2の炭素化工程は安定していた(表1において、工程安定化「〇」である)。なお、上記の結果を表1に示している。
(2)実施例2
実施例2は、実施例1に対して電界調整機構120を機能させている。ここでは、最も上流側に位置する電界調整機構120を1段目とし、2段目の電界調整機構120の板状部123を1段目の電界調整機構120の板状部123よりも管軸に5[%]近づけ、3段目の電界調整機構120の板状部123を2段目の電界調整機構120の板状部123よりも管軸に10[%]近づけている。なお、本例では、1段目の電界調整機構120の内周面が加熱管の内周面となり、1段目の電界調整機構120の内周面を基準にすると、3段目の電界調整機構120の板状部123は管軸に14.5[%]近づけたことになる。
上記条件により製造された炭素繊維1gの炭素化度(炭素含有率)は93[%]~94[%]であり、十分に炭素化されていた(表1において、炭素化判定「〇」である)。前駆体繊維Yの加熱中、つまり、第2の炭素化工程中は、繊維の切断等も発生せず、第2の炭素化工程は安定していた(表1において、工程安定化「〇」である)。なお、上記の結果を表1に示している。
(3)比較例
比較例では、前駆体繊維Yの投入本数、加熱管内の走行位置は実施例1と同じである。前駆体繊維Yの走行速度は0.3[m/min]である。マイクロ波の出力(マイクロ波発振器201)は、TMモードであり、1.25[kW]、周波数は2,450[MHz]である。
加熱管901は、図7に示すように、上流側(図の下側である)端が上流側導波管903に、下流側端が下流側導波管905にそれぞれ接続されている。加熱管901は、上流側導波管903を介してマイクロ波導入部200(図1参照)に接続されている。なお、図中の矢印はマイクロ波伝播方向を示している。
ここでは加熱管901内の定在波は、マイクロ波導入部200のEHチューナー207(図1参照)と、下流側導波管905に設けられた可変短絡板909とにより生成されている。
なお、比較例の加熱管901は電界調整機構120を備えていない。また、上流側導波管903内にも可変短絡板907が設けられ、加熱管901内に導入させるマイクロ波を定在波にするために利用される。
上記条件により製造された炭素繊維1gの炭素化度(炭素含有率)は85[%]~92[%]であり、炭素化されていない場合があった(表1において、炭素化判定「×」である)。前駆体繊維Yの加熱中、つまり、第2の炭素化工程中は、繊維の切断等も発生せず、第2の炭素化工程は安定していた(表1において、工程安定化「〇」である)。なお、上記の結果を表1に示している。
Figure 0007261061000001
(4)比較
(4-1)接続方法
加熱管101とマイクロ波導入部200の連結管209との接続に、実施例1及び実施例2では同軸管(同軸アンテナ)211を使用し、比較例では導波管を使用している。
(4-1-1)温度状態
図8は、加熱管内の前駆体繊維A,Bの温度を示す解析結果であり、(a)は実施例1の解析結果であり、(b)は比較例の解析結果である。なお、横軸は、加熱管101,901の入り口からの距離を示している。
図8に示すように、同軸管を使用した実施例1では前駆体繊維A,Bの温度差が小さく、加熱管101内における繊維の温度のバラつきが小さいことが分かる。また、実施例1の前駆体繊維A,Bの温度差は、導波管を使用した比較例での前駆体繊維A,Bの温度差よりも小さい。つまり、実施例1の方が、比較例よりも前駆体繊維の加熱ムラを小さくできるといえる。
(4-1-2)電界強度状態
図9は、加熱管内の前駆体繊維A,Bの電界強度を示す解析結果であり、(a)は実施例1の解析結果であり、(b)は比較例の解析結果である。なお、横軸は、加熱管101,901の入り口からの距離を示している。
図9に示すように、実施例1では前駆体繊維A,Bが受ける電界強度の差が小さく、加熱管101内における繊維が受ける電界強度のバラつきが小さいことが分かる。また、実施例1の前駆体繊維A,Bの電界強度の差は、比較例での前駆体繊維A,Bの電界強度の差よりも小さい。つまり、実施例1の方が、比較例よりも加熱管内の電界ムラを小さくできといえる。
(4-1-3)電界分布状態
図10は、加熱管内の電界分布を示す解析結果であり、(a)は実施例1の解析結果であり、(b)は比較例の解析結果である。なお、図に向かって左側の繊維が「繊維A」であり、右側の繊維が「繊維B」である。
図10において、上流側から2番目の縦長の楕円状をした部分1b,2bにおいて電界強度が最も高く、上流側に最も近い楕円状をした部分1a,2aの電界強度が低くなっている。実施例1では、電界強度が最も高い部分1bよりも下流側に急激な電界強度の変化は見られないが、比較例では、電界強度が最も高い部分2bよりも下流側部分2cに急激な電界強度(電界強度が低くなっている)の変化がみられる。
図10に示すように、実施例1における電界分布は、加熱管101の中心軸(図示省略)を基準にして、その左右が略線対称となっており、電界分布の歪が小さいことが分かる。
一方、比較例における電界分布は、加熱管901の中心軸を基準にして左右が線対称となっておらず、電界分布の歪が大きいことが分かる。
加熱管101,901の上流側の接続部分に着目すると、比較例の方で電界分布の乱れ(歪んだ形状)があるのに対して、実施例1では上流側の接続部分に電界分布の乱れが見られない。なお、比較例において、繊維Bでは下流側の分布の乱れが生じている部分2cを通過しておらず、繊維Aは乱れが生じている部分2cを通過している。この影響により、図8及び図9で示すように、繊維Aと繊維Bの温度と電界強度との差が、下流側において、大きくなっていると考えられる。
(4-1-4)まとめ
上述のように、温度、電界強度及び電界分布を示す図8から図10により、加熱管と連結管とを同軸管で接続することで、円形導波管タイプの加熱管内におけるマイクロ波の伝播時のモードの乱れを少なくできる。
(4-2)電界調整機構
電界調整機構の効果について、図11を用いて説明する。
図11は、実施形態で説明した加熱装置Xにおける加熱管101内の電界強さ、前駆体繊維の表面温度及び電界調整機構(板状部)の位置を示しており、(a)は電界調整なしの場合であり、(b)は電界調整ありの場合である。
なお、図中の横軸は、左側が前駆体繊維の入口側であり、右側が前駆体繊維の出口側である。
電界調整機構は、(b)に示すように、出口側に近づくにしたがって中心軸(図中の上側である)に近づくように板状部を挿入させている。
これにより、電界調整なしの場合、出口側に移るにしたがって電界強度が低下するのに対し、電界調整機構を機能させることで電界強度の低下を抑制することができる。
これは、電界調整機構を挿入させることで、図4に示すように、電界密度が高くなり、電界強度が高められたためと考えられる。
前駆体繊維を炭素化する場合、加熱炉へ進入してしばらくの間(図中の「a」と「b」の範囲である)は導電性が低く、マイクロ波が前駆体繊維に吸収されにくい。これにより、前駆体繊維の表面温度は、「a」と「b」の領域では上昇する。なお、電界調整機構を機能させると、「a」、「b」の領域で電界強度の低下が少なくなり、前駆体繊維の表面温度の上昇(傾き)は電界調整機構を機能させない場合に比べて大きくなる。
前駆体繊維を炭素化する場合、加熱炉へ進入して、炭素化度が進む(図中の「c」の範囲である)と導電性が高くなり、マイクロ波が前駆体繊維に吸収されやすい。これにより、「c」の領域では電界強度の低下が「a」や「b」の領域での電界強度の低下より大きくなる。
しかしながら、電界調整機構を機能させると、図4に示すように、電界密度の向上に加えて、繊維に吸収されにくい磁界強度(磁界加熱である)が高まり、電界加熱から磁界加熱へシフトしたためと考えられる。
(4-3)マイクロ波漏洩対策管
マイクロ波漏洩対策管130の効果について、表1を用いて説明する。
実施例1及び実施例2では、加熱管101の導出口にマイクロ波漏洩対策管130が設けられている。マイクロ波の漏洩量を測定した結果、実施例1では0.5[mW/cm]であり、実施例2では0.8[mW/cm]であった。
これに対し、マイクロ波漏洩対策管130を設けていない比較例1の漏洩量は3[mW/cm]であり、実施例1及び実施例2よりも大きな漏洩値となっている。
このように多段筒状体構造のマイクロ波漏洩対策管130を利用することで、マイクロ波が、多段筒状体内で反射を繰り返しながら減衰し、さらに磁性体133により吸収され、加熱管101から漏洩するのを規制できる。
なお、漏洩量の測定方法は、CEM Instrument社製のマイクロ波検知器DT-2Gを用い、加熱管101の導出口又はマイクロ波漏洩対策管の出口において、前駆体繊維Yの走行方向に10[cm]離れた位置で測定した。
総務省の「電波利用における人体の防護指針」では、作業環境管理下でのマイクロ波の漏洩量が5[mW/cm]以下と示されており、実施例1及び2でのマイクロ波の漏洩値が非常に少ないと言える。
<変形例>
以上説明したが、本発明は実施形態に限られない。例えば、以下で説明する実施形態や変形等の何れかを適宜組み合わせてもよいし、複数の変形例を適宜組み合わせてもよい。
1.前駆体繊維
実施形態では、フィラメント数が24,000本の耐炎繊維について説明したが、フィラメント数が3,000本、6,000本、12,000本、36,000本等の他の本数の耐炎繊維にも適用できる。
実施形態では、炭素化工程を含んだ炭素繊維の製造方法について説明したが、例えば、さらに、黒鉛化工程を表面処理工程前に行ってもよい。つまり、実施形態では、汎用品(弾性率240[GPa])の炭素繊維の製造において、第2の炭素化に本発明の加熱装置を用いたが、本加熱装置等は、高弾性品の黒鉛化繊維、中弾性高強度品等の高性能品の炭素繊維用の前駆体繊維に対して利用できる。
2.加熱装置
(1)構造
実施形態では、マイクロ波導入部200の連結管209と加熱部100の加熱管101との接続に同軸管211を利用し、加熱管101に電界調整機構120が設けられていたが、両者を備える装置に限定するものではない。
つまり、加熱装置は、方形導波管内のTEモードのマイクロ波を円形導波管にTMモードのマイクロ波として伝送する際、モード変換による不整合による加熱斑を問題にしない場合などは、従来通りの導波管により接続してもよい。
また、加熱装置は、前駆体繊維が加熱により特性が変化せず、例えば、電界加熱から磁界加熱に変更する必要がない場合や、磁界加熱から電界加熱に変更する必要がない場合は、電界調整機構を備えなくてよい。
(2)マイクロ波
方形導波管内及び円形導波管内を伝播するマイクロ波は定在波であったが、進行波であってもよい。但し、エネルギ効率を考慮すると、定在波の方が好ましい。
(3)電界調整機構
(3-1)段数
実施形態において、電界調整機構120は、加熱管101の管軸方向に3段あったが、複数段あればよく、4段以上であってもよい。
実施形態では、加熱管101の前駆体繊維Yの投入本数と、1段中の電界調整機構120の数とが同じ4本であったが、前駆体繊維Yに対して1個の電界調整機構を設けなくてもよい。例えば、前駆体繊維Yの投入本数が8本で、1段の電界調整機構が4個であってもよい。
(3-2)長さ
実施形態の板状部の管軸方向の長さは、加熱管101内のマイクロ波の1/2波長であったが、マイクロ波の1/2の自然数倍であればよい。
(4)前駆体繊維の位置
実施形態では、前駆体繊維Yの投入位置を、加熱管101の管軸から1/2半径の距離が離れた同心円上としていたが、前駆体繊維Yの投入位置は、図6に示すように、AからBの範囲の円環領域内にあればよい。
ここで、Aは、加熱管101において内周面の半径に対して、30[%]以上であり、好ましくは35[%]以上であり、より好ましくは40[%]以上である。Bは、加熱管101内の内周面の半径に対して、95[%]以下であり、好ましくは90[%]以下であり、より好ましくは88[%]以下である。
前駆体繊維Yの投入位置を上記の円環領域内とすることで、電界調整機構による効果を受けることができる。
なお、前駆体繊維Yは、管軸に平行に投入されているが、管軸に対して傾斜するように投入されてもよい。
前駆体繊維の加熱を電界加熱から磁界加熱に変更するような場合、Bは90[%]以下が好ましく、85[%]以下がより好ましい。この範囲を前駆体繊維が通過することで、電界加熱と磁界加熱との比率を調整できる。
(5)漏洩対策管
漏洩対策管は、実施形態のように有蓋多段筒状体131内に磁性体133を収容していたが、他の構造であってもよい。
以下、図12を用いて説明する。
漏洩対策管230は、同図の(a)に示すように、大径筒状部233と小径筒状部235とを有する多段筒状体231により構成される。大径筒状部233は、前駆体繊維Yの導出側の端壁239と、小径筒状部235と接続する端壁241とを有している。端壁239,241には、それぞれ貫通孔239a,241aが設けられている。
大径筒状部233は、内部に筒軸の方向に間隔をおいて筒軸に向かって延伸する仕切壁243,245を筒壁237に有している。仕切壁243,245は複数枚(ここでは2枚)ある。仕切壁243,245は筒軸を含む中央部分に貫通孔243a,245aを有している。
仕切壁243,245の貫通孔243a,245aは、仕切壁が小径筒状部235から離れるにしたがって孔径が小さくなるように設けられている。これにより、大径筒状部233内に進入したマイクロ波が、仕切壁243と端壁241との間及び仕切壁243,245間で多重反射を繰り返し、端壁239の貫通孔239aからマイクロ波が漏洩するのを防止できる。
漏洩対策管330は、同図の(b)に示すように、上記の多段筒状体231の内部に磁性体331を備える。具体的には、大径筒状部233の端壁241と仕切壁243の間に磁性体333を、仕切壁243,245間に磁性体335を、仕切壁245と端壁239との間に磁性体337をそれぞれ収容している。
1 繊維
1a プリカーサ
1c 第1の炭素化繊維(前駆体繊維)
16 第2の炭素化炉(加熱装置)
100 加熱部
120 電界調整機構
200 マイクロ波導入部
211 同軸管
X 加熱装置
Y 前駆体繊維

Claims (9)

  1. 走行する前駆体繊維を加熱する加熱装置において、
    前記前駆体繊維が走行する方向に管軸を有する円形導波管からなる加熱管と、
    マイクロ波を発生するマイクロ波発振器と、
    前記マイクロ波発振器に接続された方形導波管と、
    一端が前記方形導波管に接続され且つ他端が前記加熱管に同軸状に接続されると共に管内にマイクロ波を放出するアンテナ機能を有する同軸管と
    を備える
    加熱装置。
  2. 前記加熱管内のマイクロ波のモードがTMモードである
    請求項1に記載の加熱装置。
  3. 前記加熱管の径方向に移動可能な板部材によって前記加熱管内の電界密度分布を調節する電界調整機構を備える
    請求項1又は2に記載の加熱装置。
  4. 前記電界調整機構は、前記板部材によって前記加熱管内のマイクロ波が伝播する円筒内空間の径方向の寸法を調節可能とされている
    請求項3に記載の加熱装置。
  5. 前記前駆体繊維は、前記加熱管の管軸から半径方向に半径の30%~95%の間の領域を走行する
    請求項4に記載の加熱装置。
  6. 前記電界調整機構を前記加熱管の管軸方向に沿って複数個ある
    請求項4又は5に記載の加熱装置。
  7. 前記管軸方向に沿って複数個ある電界調整機構は、前記加熱管内に形成される定在波の1/2周期間隔で設けられている
    請求項6に記載の加熱装置。
  8. 走行する前駆体繊維をマイクロ波により加熱する加熱装置において、
    前記前駆体繊維が走行する方向に管軸を有する加熱管と、
    前記加熱管における前記前駆体繊維の導出口に設けられ且つ前記前駆体繊維の走行方向に沿って拡径する多段筒状体と
    前記多段筒状体における前記加熱管と反対側の筒部に収容される磁性体と
    を備える加熱装置。
  9. 走行する前駆体繊維を加熱して炭素化する炭素繊維の製造装置において、
    前記前駆体繊維を加熱する加熱装置が請求項1~8の何れか1項に記載の加熱装置である
    炭素繊維の製造装置。
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