JP7260367B2 - 模倣品知財対応システム、模倣品知財対応方法、およびプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、模倣品知財対応システム、模倣品知財対応方法、およびプログラムに関する。
近年、インターネット上でのショッピングサイトの充実に伴い、インターネットを通じた商品の購入(いわゆるネット通販)が急速に拡大している。これに伴い、デッドコピーを含む違法な模倣品がショッピングサイトを通じて販売される機会も増加している。このような模倣品が氾濫すると、市場の品位が低下し、商品の購入者が意図せず不利益を被る可能性が高まる。なお本明細書で「模倣品」とは、デッドコピーおよび一部のデザイン形状を変更した物品を含む。
ここで、立体形状で表される客体についての権利を侵害するか否かを検証できる侵害検証システムが提案されている(特許文献1参照)。また、互いに関連する意匠情報を表示する表示装置が提案されている(特許文献2参照)。
特開2018-116466号公報 特開2015-64836号公報
ところで、特許文献1に記載の技術は、製品の開発時から既存の特許権などを侵害するか否かを確認するためのものであり、ウェブサイトに掲載されたコピーに対して効果的に対応できるものではない。特許文献2に記載された技術も同様に、ウェブサイトに掲載されたコピーに対して効果的に対応できるものではない。
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、ウェブサイトに掲載された模倣品に対して効果的に対応可能な模倣品知財対応システム、模倣品知財対応方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
この発明に係る模倣品知財対応システム、模倣品知財対応方法、およびプログラムは、以下の構成を採用した。
(1):この発明の一態様は、ウェブサイトに掲載された模倣品を抽出する抽出部(200)と、前記抽出部(200)により抽出された模倣品と、意匠権が登録されている意匠とに基づき前記模倣品と前記意匠との近似度を算出し、算出した前記近似度に基づき前記意匠権に基づく類否に関する判定を行う判定部(300)と、を備える模倣品知財対応システムである。
(2):上記(1)の態様において、純正品装備率と、1つ以上のウェブサイトにおける模倣品掲載数とのうち少なくとも一方を監視し、前記純正品装備率と前記模倣品掲載数とのうち少なくとも一方に基づき前記抽出部(200)による抽出を行うか否かを判定する監視部(100)をさらに備えるものである。
(3):上記(2)の態様において、前記監視部(100)は、少なくとも前記純正品装備率を監視し、前記純正品装備率の現在値もしくは将来予想値が閾値未満になる場合、または、前記純正品装備率の減少量、前記純正品装備率の将来の予想減少量、前記純正品装備率の減少率、もしくは前記純正品装備率の将来の予想減少率が閾値以上になる場合に、前記抽出部(200)による抽出を行うことを決定するものである。
(4):上記(2)または(3)の態様において、前記監視部(100)は、少なくとも前記模倣品掲載数を監視し、前記模倣品掲載数の現在値もしくは将来予想値が閾値以上になる場合、または、前記模倣品掲載数の増加量、前記模倣品掲載数の将来の予想増加量、前記模倣品掲載数の増加率、もしくは前記模倣品掲載数の将来の予想増加率が閾値以上になる場合に、前記抽出部(200)による抽出を行うことを決定するものである。
(5):上記(2)から(4)のうちいずれか1つの態様において、前記監視部(100)は、前記純正品装備率に関する値と前記模倣品掲載数に関する値との組み合わせに基づき前記抽出部(200)による抽出を行うか否かを判定するものである。ここで、装備率に関する値は、例えば、現在の装備率、将来の予想値、減少量、将来の予想減少率であり、また、掲載数に関する値は、例えば、現在の掲載数、将来の予想値、増加量、将来の予想増加率である。
(6):上記(1)から(5)のうちいずれか1つの態様において、前記抽出部(200)は、前記ウェブサイトに掲載された模倣品に対して前記近似度よりも簡易な基準に基づく1次判定を行うことで、前記判定部(300)の判定対象として抽出される模倣品を絞り込むものである。
(7):上記(1)から(6)のうちいずれか1つの態様において、前記抽出部(200)は、前記ウェブサイトに掲載された模倣品と前記意匠とに対して、複数の位置それぞれにおける特定方向の長さ同士を比較するパターン比較を行い、前記パターン比較の結果が所定の条件を満たす場合に前記ウェブサイトに掲載された模倣品を前記判定部(300)の判定対象として抽出するものである。
(8):上記(7)の態様において、前記抽出部(200)は、前記意匠が部分意匠である場合に、前記特定方向に沿う走査線が横切る前記意匠の両端部のうち少なくとも一方の端部が前記部分意匠の実線部分である位置について、前記特定方向の長さ同士を比較するものである。
(9):上記(7)または(8)の態様において、前記抽出部(200)は、前記パターン比較を行う前に、前記ウェブサイトに掲載された模倣品の輪郭と前記意匠の輪郭とを合わせるために前記模倣品の輪郭と前記意匠の輪郭とのうち少なくとも一方の大きさを調整することを含むフィッティング処理を行い、前記フィッティング処理を行うことで前記模倣品の輪郭と前記意匠の輪郭との差異が閾値以下になる場合に、前記パターン比較を行うことなく前記ウェブサイトに掲載された模倣品を前記判定部の判定対象として抽出する、または、前記ウェブサイトに掲載された模倣品が前記意匠権に類似すると判定するものである。
(10):上記(1)から(9)のうちいずれか1つの態様において、前記抽出部(200)は、模倣品の画像の入力を受け付ける受付部(230)を有し、前記判定部(300)は、前記ウェブサイトに掲載された模倣品の画像が存在しない場合、前記受付部(230)により受け付けられた画像と前記意匠とに基づき前記近似度を算出し、算出した前記近似度に基づき前記意匠権と類否判定を行うものである。
(11):上記(1)から(10)のうちいずれか1つの態様において、前記判定部(300)は、前記近似度として、前記抽出部(200)により抽出された模倣品および前記意匠に対して周長の近似差と面積の近似差とをそれぞれ算出し、前記周長の近似差および前記面積の近似差に基づき前記意匠権と類否判定を行うものである。
(12):上記(11)の態様において、前記判定部(300)は、前記周長の近似差と前記面積の近似差との組み合わせに基づき前記意匠権に類似しているか否かを判定するものである。
(13):上記(11)または(12)の態様において、前記判定部(300)は、前記意匠が部分意匠である場合、前記部分意匠の実線部分に沿う長さの合計を前記意匠の周長として算出し、前記抽出部(200)により抽出された模倣品において前記部分意匠の実線部分に対応する部分の長さの合計を前記模倣品の周長として算出するものである。
(14):上記(1)から(13)のうちいずれか1つの態様において、前記判定部(300)は、前記意匠が部分意匠である場合、前記意匠の1つ以上の実線部分と、前記1つ以上の実線部分の複数の端部同士を結ぶ境界線とにより囲まれる特定領域の面積を前記意匠の面積として算出し、前記抽出部(200)により抽出された模倣品において前記特定領域に対応する領域の面積を前記模倣品の面積として算出するものである。
(15):上記(1)から(14)のうちいずれか1つの態様において、前記判定部(300)の判定結果を示す情報を出力する情報出力部(400)をさらに備え、前記判定部(300)は、前記抽出部(200)により抽出された模倣品と、意匠権が登録されている全体意匠とに基づき前記模倣品と前記全体意匠との近似度を算出し、算出した前記近似度に基づき、前記全体意匠の意匠権に類似しているか、前記全体意匠の意匠権に類似していないか、または前記全体意匠の意匠権に類似しているか否かかが未定であるかを判定し、前記情報出力部(400)は、前記全体意匠の意匠権に類似している、または、前記全体意匠の意匠権に類似していないと判定された場合に、前記判定部(300)の判定結果を示す情報を出力するものである。
(16):上記(15)の態様において、前記判定部(300)は、前記全体意匠を用いた判定では前記全体意匠の意匠権に類似しているか否かが未定であると判定された場合に、前記全体意匠を用いた判定の対象となった前記模倣品と、意匠権が登録されている部分意匠とに基づき前記模倣品と前記部分意匠との近似度を算出し、算出した前記近似度に基づき、前記部分意匠の意匠権に類似しているか、前記部分意匠の意匠権に類似していないかを判定するものである。
(17):上記(1)から(14)のうちいずれか1つの態様において、前記判定部(300)は、前記模倣品が対応する機種に基づき、前記近似度と前記意匠権の類似の有無との対応関係が予め前記機種毎に設定された複数の判定基準マップのなかから1つの判定基準マップを選択し、選択された前記判定基準マップに基づき前記意匠権の類似に関する判定を行うものである。
(18):上記(1)から(14)のうちいずれか1つの態様において、前記判定部(300)は、前記意匠権が登録された意匠と前記模倣品との差異部分に意匠の要部が含まれているか否かに基づき、前記近似度と前記意匠権の類似の有無との対応関係が前記意匠と前記模倣品との差異部分に意匠の要部が含まれているか否かによって予め設定された複数の判定基準マップのなかから1つの判定基準マップを選択し、選択された前記判定基準マップに基づき前記意匠権の類似に関する判定を行うものである。
(19):この発明の一態様は、1つまたは複数のコンピュータが、ウェブサイトに掲載された模倣品を抽出し、抽出された模倣品と意匠権が登録されている意匠とに基づき前記模倣品と前記意匠との近似度を算出し、算出した前記近似度に基づき前記意匠権の類似に関する判定を行う、模倣品知財対応方法である。
(20):この発明の一態様は、1または複数のコンピュータに、ウェブサイトに掲載された模倣品を抽出させ、抽出させた模倣品と意匠権が登録されている意匠とに基づき前記模倣品と前記意匠との近似度を算出させ、算出させた前記近似度に基づき前記意匠権の類似に関する判定を行わせる、プログラムである。
上記(1)、(19)、(20)の態様によれば、ウェブサイトに掲載された模倣品を抽出し、抽出した模倣品に対して意匠権の類似に関する判定を自動的に行うことができる。これにより、多くの模倣品に対して一度に高い効率で類否判定を行うことができるなど、ウェブサイトに掲載される模倣品に対して効果的に対応することができる。その結果、ウェブサイトに掲載される模倣品の減少を促すことができ、市場の品質向上を通じて、購入者が品質の低い商品を購入する機会を少なくすることができる。
上記(2)の態様によれば、純正品装備率と模倣品掲載数とのうち少なくとも一方を監視し、模倣品の販売量が一定以上に多くなる場合に必要な対応を行うことができる。これにより、販売量が多い模倣品に優先して模倣品知財対応システムの処理能力を割り当てることができ、その結果、模倣品に対してより効果的に対応することができる。
上記(3)の態様によれば、純正品装備率に基づき模倣品の販売状況を推定し、模倣品の販売量が多くなる場合に必要な対応を定期的または任意の時期に行うことができる。例えば、純正品装備率の将来予想値や、将来の予想減少量、将来の予想減少率など将来の値に基づき販売状況を推定する場合は、模倣品が実際に多く出回る前に必要な対応を行うことができ、購入者が品質の低い商品を購入する機会をより少なくすることができる。
上記(4)の態様によれば、模倣品掲載数に基づき模倣品の販売状況を推定し、模倣品の販売量が多くなる場合に必要な対応を行うことができる。例えば、模倣品掲載数の将来予想値や、将来の予想増加量、将来の予想増加率など将来の値に基づき販売状況を推定する場合は、模倣品が実際に多く販売される前に必要な対応を行うことができ、購入者が品質の低い商品を購入する機会をより少なくすることができる。
上記(5)の態様によれば、純正品装備率に関する値と模倣品掲載数に関する値との組み合わせに基づき、より適切に模倣品の販売状況を把握し推定することができる。これにより、対応の要否をより適切に求めることができる。
上記(6)の態様によれば、前記抽出部により1次判定が行われて判定部の判定対象として抽出される模倣品が絞り込まれることで、ウェブサイトに掲載される多くの模倣品の全てに対して近似度を用いた精緻な判定を行う場合と比べて、多くの模倣品に対して一度により高い効率で対応することができる。
上記(7)の態様によれば、抽出部により模倣品と意匠とのパターン比較が行われ、パターン比較の結果が所定の条件を満たす場合に模倣品が判定部の判定対象として抽出されることで、ウェブサイトに掲載される多くの模倣品に対して高い効率で対応することができる。例えば、特定方向の長さ同士を比較するパターン比較によれば、周長や面積を求める場合と比べて計算負荷が小さく、高効率に必要な判定を行うことができる。
上記(8)の態様によれば、意匠権が部分意匠に係る場合でも前記パターン比較を行い判定部の判定対象となる模倣品を絞り込むことができる。これにより、ウェブサイトに掲載される多くの模倣品に対してより高い効率で対応することができる。
上記(9)の態様によれば、フィッティング処理により模倣品の輪郭と意匠の輪郭との差異が閾値以下になる場合に所定の対応が行われることで、ウェブサイトに掲載される多くの模倣品に対して対応することができる。
上記(10)の態様によれば、模倣品の画像の入力を受け付ける受付部を備えることで、ウェブサイトに模倣品の画像が存在しない場合にも対応することができる。
上記(11)の態様によれば、周長の近似差および面積の近似差に基づき意匠権の類似に関する判定が行われる。ここで、二次元平面上に表れる外形に関して、周長と面積の両方が同じ場合は輪郭形状が同じになりやすい。このため、周長と面積の2つを判定要素として併せて用いることで、より高い精度で意匠権の類似に関する判定を行うことができる。また、抽出部による1次判定として特定方向の長さを用いて判定が行われる場合は、抽出部と判定部により「特定方向の長さ」、「周長」、および「面積」といった互いに異なる3つの要素に基づき類似に関する判定が行われることになる。このような場合は、さらに高い精度で意匠権の類似に関する判定が行われることになる。
上記(12)の態様によれば、周長の近似差と面積の近似差との組み合わせに基づくことで、意匠権に類似しているか否かをより高い精度で判定することができる。
上記(13)、(14)の態様によれば、意匠権が部分意匠に係る場合でも、周長の近似差および面積の近似差を用いてより高い精度で意匠権の類似に関する判定を行うことができる。
上記(15)の態様によれば、全体意匠(すなわち意匠の基本的構成態様)に基づき、模倣品が意匠権に類似しているか否かを判定することができる。
上記(16)の態様によれば、部分意匠(すなわち意匠の具体的構成態様)に基づき、模倣品が意匠権に類似しているか否かを判定することができる。例えば、全体意匠を用いた判定において全体意匠の意匠権に類似しているか否かが未定であると判定された場合に部分意匠を用いて判定を行うことで、比較対象の意匠の違いを把握した上で、より詳細に類否判定を、高い精度で実施可能である。
上記(17)の態様によれば、模倣品と意匠との近似度と意匠権の類似の有無との対応関係が予め機種毎に設定された複数の判定基準マップのなかから選択された判定基準マップを用いて類似に関する判定が行われるため、判定をより精度良く行うことができる。
上記(18)の態様によれば、前記近似度と前記意匠権の類似の有無との対応関係が前記意匠と前記模倣品との差異部分に意匠の要部が含まれているか否かによって予め設定された複数の判定基準マップのなかから選択された判定基準マップを用いて類似に関する判定が行われるため、判定をより精度良く行うことができる。
第1実施形態の模倣品知財対応システムの全体構成を示す図である。 第1実施形態の装備率履歴DBの内容の一例を示す図である。 第1実施形態の模倣品掲載数履歴DBの内容の一例を示す図である。 第1実施形態の模倣業者管理DBの内容の一例を示す図である。 第1実施形態の監視部の構成を示す図である。 第1実施形態の純正品装備率の監視処理の一例を説明するための図である。 第1実施形態の模倣品掲載数の監視処理の一例を説明するための図である。 第1実施形態の監視部による監視処理の別の一例を説明するための図である。 第1実施形態の抽出部の構成を示す図である。 第1実施形態のフィッティング部の処理の一例を説明するための図である。 第1実施形態のスキャニング部の処理の一例を説明するための図である。 第1実施形態のスキャニング部の処理の別の一例を説明するための図である。 第1実施形態のスキャニング部の処理の別の一例を説明するための図である。 第1実施形態の長さ比較部の処理の一例を示す図である。 第1実施形態のスキャニング部の処理の別の一例を説明するための図である。 第1実施形態のスキャニング部の処理の別の一例を説明するための図である。 第1実施形態のスキャニング部の処理の別の一例を説明するための図である。 第1実施形態の長さ比較部の処理の一例を示す図である。 第1実施形態の判定部の構成を示す図である。 第1実施形態の判定部の処理の一例を説明するための図である。 第1実施形態の判定部の処理の別の一例を説明するための図である。 第1実施形態の判定部の処理の別の一例を説明するための図である。 第1実施形態の類否判定部の処理の一例を説明するための図である。 第1実施形態のサーバ装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。 第1実施形態の変形例の第1判定の一例を説明するための図である。 第1実施形態の変形例の第2判定の一例を説明するための図である。 第1実施形態の変形例のサーバ装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。 第1実施形態の領域基準が可変である類否判定基準マップを説明するための図である。 第1実施形態の類否判定基準マップのバリエーションを説明するための図である。 第2実施形態の複数の類否判定基準マップを説明するための図である。 第2実施形態のサーバ装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。 第3実施形態の1つの類否判定基準マップを説明するための図である。 第3実施形態の別の1つの類否判定基準マップを説明するための図である。 第3実施形態の別の1つの類否判定基準マップを説明するための図である。 第3実施形態におけるパターン比較の一例を示す図である。 第3実施形態のサーバ装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。 第1から第3実施形態の変形例のスキャニング部の処理の一例を説明するための図である。
以下、図面を参照し、実施形態の模倣品知財対応システム、模倣品知財対応方法、およびプログラムについて説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。本明細書で「XXに基づく」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含む。また、「XXに基づく」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含む。「XX」は、任意の要素(例えば、任意の情報)である。本明細書において「模倣品」とは、純正品(正規品)に似せて作られた商品を広く意味し、知的財産権を侵害しない商品も含む意味で用いられる。また以下では、データベースを単に「DB」と表記する。本明細書における「マップ」とは、「判定基準」の一例である。
本明細書における「類似」は、登録意匠と模倣品との対比において、パターン比較や周長、面積などの関係により、一定の判定基準を満たすか否かによって決定される。その一定の基準をみたすときは、「類似」であり、その一定の基準をみたさないときは、「非類似」という。また、「類否判定」は、上記の基準により「類似」するか、または「非類似」であるかを判定することをいう。
以下に説明する実施形態では、模倣品知財対応システムの一例として、自動車のフロアマットの模倣品に対して意匠権の類否判定を行うシステムについて説明する。フロアマットは、「特定商品」と称されてもよい。ただし、以下に説明する模倣品知財対応システムは、自動車のフロアマットに限らず、他の自動車用品(車両を構成する部品も含む)や、自動車用品以外の商品に対しても幅広く適用可能である。
(第1実施形態)
まず、第1実施形態について説明する。第1実施形態は、後述する近似度の算出(図24のステップS108)の後、“〇(類似領域)”、“△(追加判定領域)”、“×(非類似領域)”を持つ類否判定基準マップを利用する手法(手法A)に対応する実施形態である。この手法Aでは、2段階で類否判定が行われ、1段階目の判定において“△(追加判定領域)”に位置すると判定された場合、別の手段による追加判定が行われる。この手法Aは、例えば、巧妙な模倣形態への対応などで用いられる。なお、上記追加判定は、特定の手法に限定されないが、例えば、後述する第2実施形態や第3実施形態で示すような条件ごとに応じて予め用意されたより精度の高いマップを用いる手法が一例として挙げられる。以下、このような第1実施形態について説明する。
[1.模倣品知財対応システムの全体構成]
まず、第1実施形態の模倣品知財対応システム1の全体構成について説明する。図1は、模倣品知財対応システム1の全体構成を示す図である。模倣品知財対応システム1は、例えば、サーバ装置10と、端末装置(管理者端末)20とを含む。
サーバ装置10は、模倣品知財対応システム1における主要な情報処理を行う。サーバ装置10は、ネットワークNWを介して、端末装置20、1つ以上のショッピングサイトのサーバ装置(例えば、ショッピングサイトA,B,C,…のサーバ装置SA,SB,SC,…)、および自社販売情報管理サーバ装置30と通信可能である。ネットワークNWは、例えば、インターネットやWAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)などを含む。ネットワークNWにおける一部または全部の通信は、無線で実現されてもよい。なお、サーバ装置10の詳細については、後述する。
端末装置20は、例えば、模倣品知財対応システム1の管理者が使用するパーソナルコンピュータであり、情報を表示する表示装置21と、情報の入力を受け付ける入力装置22とを有する。表示装置21には、サーバ装置10による情報処理の結果が表示される。
ショッピングサイトA,B,C,…の各々は、「ウェブサイト(ネットサイト)」の一例である。ショッピングサイトA,B,C,…は、模倣品知財対応システム1が取り締まり対象とする商品(例えばフロアマット)の模倣品が掲載される可能性があるサイトである。ここで「ショッピングサイト」とは、オークションサイトおよび各販売会社の自社運営サイトも含む。
自社販売情報管理サーバ装置30は、例えば系列の自動車販売会社の販売情報を管理するサーバ装置である。自社販売情報管理サーバ装置30は、販売情報DB31aを記憶する記憶部31を含む。販売情報DB31aは、例えば、自動車の車種別の新車販売台数と、車種別のフロアマットの純正品の販売数とが記憶されている。新車販売台数およびフロアマットの純正品の販売数は、それぞれ予め設定された期間毎(例えば1ヶ月毎)に集計されて販売情報DB31aに登録されている。販売情報DB31aは、後述する純正品装備率の情報を含んでもよい。言い換えると、後述する装備率監視部110は、サーバ装置10に代えて、自社販売情報管理サーバ装置30に設けられてもよい。
[2.模倣品知財対応システムのサーバ装置の構成]
次に、模倣品知財対応システム1のサーバ装置10の構成について説明する。
図1に示すように、サーバ装置10は、例えば、監視部100、抽出部200、判定部300、情報出力部400、および記憶部500を有する。
サーバ装置10の各機能部(監視部100、抽出部200、判定部300、および情報出力部400)は、例えば、CPU(Central Processing Unit)またはGPU(Graphics Processing Unit)などの1つ以上のハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。ただし、これらの機能部の一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。記憶部500は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの1つ以上の記憶装置により実現される。
ここで先に、サーバ装置10の概要について説明する。サーバ装置10の監視部100は、模倣品の販売状況(ウェブサイトの模倣品掲載数など)を監視する。抽出部200は、監視部100により監視される模倣品の販売状況が所定の条件を満たす場合に、ウェブサイトに掲載された模倣品に対して第1段階の判定(1次判定)を行い、ウェブサイトに掲載された模倣品のなかから所定の条件を満たす模倣品を抽出する。判定部300は、抽出部200により抽出された模倣品に対して、上記第1段階の判定よりも精緻な第2段階の判定(2次判定)を行い、模倣品に対して意匠権の類似に関する判定を行う。情報出力部400は、判定部300の判定結果に関する情報を端末装置20に出力する。
以下、サーバ装置10の構成について詳しく説明する。
[2.1 記憶部]
まず、記憶部500について説明する。記憶部500には、装備率履歴DB501、模倣品掲載数履歴DB502、登録意匠DB503、判定情報DB504、および模倣業者管理DB505が記憶されている。
装備率履歴DB501には、過去の各時点の純正品装備率の履歴が記憶されている。例えば、装備率履歴DB501には、後述する監視部100によって算出されたフロアマットの純正品装備率の値が車種別に記憶されている。「車種」は、模倣品が対応する製品の機種の一例である。このため本明細書では、「車種」は「機種」と読み替えられてもよい。
図2は、装備率履歴DB501の内容の一例を示す図である。図2に示すように、装備率履歴DB501では、過去の各時点において、車種別の新車販売台数と、車種別のフロアマットの純正品の販売数と、車種別のフロアマットの純正品装備率とが対応付けられて管理されている。
模倣品掲載数履歴DB502には、過去の各時点の模倣品掲載数の履歴が記憶されている。例えば、模倣品掲載数履歴DB502には、後述する監視部100によって算出されたショッピングサイトA,B,C,…におけるフロアマットの模倣品掲載数の値が車種別に記憶されている。
図3は、模倣品掲載数履歴DB502の内容の一例を示す図である。図3に示すように、模倣品掲載数履歴DB502では、過去の各時点において、ショッピングサイト毎フロアマットの模倣品掲載数が管理されている。この模倣品掲載数は、車種別に管理されている。
登録意匠DB503には、意匠権が登録されている1つ以上のフロアマットの意匠(以下、「登録意匠」と称する)が記憶されている。登録意匠DB503には、各登録意匠の意匠図面(例えば平面図)と、その登録意匠のフロアマットが対応する車種名などが関連付けられて登録されている。本明細書において「意匠」とは、特別な説明がない限り、通常の意匠に限定されず、意匠法で規定される部分意匠や組物の意匠、秘密意匠、関連意匠などのいずれでもよい。また本明細書では、部分意匠でない意匠を区別のため「全体意匠」と称する場合がある。
登録意匠DB503に登録されている登録意匠は、各車種のフロアマットの純正品の形状と同一形状を有する全体意匠と、純正品の形状の一部を権利化した部分意匠を含む。また、登録意匠DB503に登録されている登録意匠は、秘密意匠を含んでもよい。
判定情報DB504には、後述する監視部100、抽出部200、および判定部300による判定で用いられる各種閾値や、近似式、対応要否判定基準マップM1(図8参照)、類否判定基準マップM2A(図23参照)が記憶されている。
模倣業者管理DB505には、意匠権に類似する模倣品の製造業者(模倣業者)への対応状況などが登録されている。
図4は、模倣業者管理DB505の内容の一例を示す図である。図4に示すように、模倣業者管理DB505では、意匠権に類似する模倣品の製造業者、その模倣品が掲載されたショッピングサイトのサイト名、掲載日、対応日、対応状況、対応結果、該当意匠権の登録番号、該当意匠権が全体意匠の意匠権であるか、部分意匠の意匠権であるかを示す情報、後述する近似率、および対応の具体的内容などが管理されている。「対応」とは、例えば、模倣品の製造業者に対して意匠権と類似することを知らせる通知や販売の停止を求める申請、模倣品を掲載したショッピングサイトへの掲載の削除申請、税関への取り締まり申請などである。模倣業者管理DB505は、任意のタイミングで更新される。
[2.2 監視部]
次に、監視部100について説明する。
図5は、監視部100の構成を示す図である。監視部100は、模倣品の販売状況(ウェブサイトの模倣品掲載数など)を直接的または間接的に示す1つ以上の指標を監視する。監視部100は、模倣品の販売状況を直接的または間接的に示す指標が予め設定された所定の条件を満たす場合に、所定の知財対応フロー(後述する抽出部200による抽出および判定部300による判定)を実行することを決定する。監視部100は、例えば、装備率監視部110と、模倣品掲載数監視部120とを有する。
[2.2.1 装備率監視部]
まず、装備率監視部110について説明する。装備率監視部110は、例えば、情報取得部111と、装備率算出部112と、対応要否判定部113とを含む。
情報取得部111は、予め設定された期間毎(例えば1ヶ月毎)にネットワークNWを介して自社販売情報管理サーバ装置30と通信を行い、自社販売情報管理サーバ装置30の販売情報DB31aに登録されている最新情報を取得する。すなわち、情報取得部111は、ディーラーでの自動車の車種別の新車販売台数と、車種別のフロアマットの純正品の販売数との最新情報を取得する。
装備率算出部112は、情報取得部111により取得された情報に基づき、純正品装備率の最新値(現在値)を算出する。例えば、装備率算出部112は、所定期間の車種別のフロアマットの純正品の販売数を、同期間の車種別の新車販売台数で除算することで、各車種についてのフロアマットの純正品装備率を算出する。装備率算出部112は、算出した純正品装備率の最新値を装備率履歴DB501に追加登録するとともに、純正品装備率の最新値を対応要否判定部113に出力する。
図6は、対応要否判定部113による純正品装備率の監視処理の一例を説明するための図である。図6において「t1」は過去のある時点、「t2」は現在時点、「t3」は将来のある時点である。t1、t2、t3は、例えば一定の周期T1の間隔で設定される。図6において「E1」は、過去時点(t1)の純正品装備率、「E2」は、現在時点(t2)の純正品装備率、「E3」は、将来時点(t3)の純正品装備率を示す。
対応要否判定部113は、例えば、ある車種についてのフロアマットの純正品装備率の最新値(現在値)が閾値未満になる場合に、その車種のフロアマットについて所定の知財対応フローを実行することを決定する。なお、対応要否判定部113は、上記判定に代えてまたは上記判定に加えて、過去時点(t1)と現在時点(t2)との間の純正品装備率の減少量(ΔEq)および/または減少率(ΔEr)が閾値以上になる場合に、所定の知財対応フローを実行することを決定してもよい。ここで、減少量ΔEq=|E2-E1|、減少率ΔEr=|E2-E1|/E1×100%である。なお“||”は、絶対値を示す。過去時点(t1)の純正品装備率は、装備率履歴DB501から取得可能である。
また、対応要否判定部113は、上記判定に代えてまたは上記判定に加えて、純正品装備率の将来時点に関する値に基づき、所定の知財対応フローを実行することを決定してもよい。この場合、対応要否判定部113は、例えば1つ以上の過去時点と現在時点との間の純正品装備率の推移を近似する近似式を求める。この近似式は、1次式でもよく、多次元式でもよい。図6中に示す近似式F11は、1次式の近似式の一例であり、図6中に示す近似式F12は、多次元の近似式の一例である。
対応要否判定部113は、求めた近似式を用いて純正品装備率の将来予想値や、現在時点(t2)と将来時点(t3)との間の純正品装備率の予想減少量(ΔEqf)および/または予想減少率(ΔErf)を算出する。ここで、予想減少量ΔEqf=|E3-E2|、予想減少率ΔErf=|E3-E2|/E2×100%である。そして、対応要否判定部113は、純正品装備率の将来予想値が閾値未満になる場合、または、純正品装備率の将来の予想減少量もしくは予想減少率が閾値以上になる場合に、所定の知財対応フローを実行することを決定してもよい。
[2.2.2 模倣品掲載数監視部]
次に、模倣品掲載数監視部120について説明する。模倣品掲載数監視部120は、例えば、情報収集部121と、掲載数算出部122と、対応要否判定部123とを含む(図5参照)。
情報収集部121は、予め設定された期間毎(例えば1週間毎)にネットワークNWを介してショッピングサイトA,B,C,…のサーバ装置SA,SB,SCと通信を行い、ショッピングサイトA,B,C,…における車種別のフロアマットの模倣品掲載数を示す情報を収集する。例えば、情報収集部121は、ショッピングサイトA,B,C,…それぞれにおいて、「製品名(フロアマット)」と「メーカー名」と「車種名」とを組み合わせたキーワード検索を自動的に行い、ショッピングサイトA,B,C,…それぞれにおける車種別のフロアマットの模倣品掲載数を示す情報を収集する。情報収集部121は、収集した情報を掲載数算出部122に出力する。
掲載数算出部122は、情報収集部121により収集された情報に基づき、各車種についてのショッピングサイトA,B,C,…におけるフロアマットの模倣品掲載数の合計値を算出する。掲載数算出部122は、算出した模倣品掲載数の最新値(現在値)を模倣品掲載数履歴DB502に追加登録するとともに、模倣品掲載数の最新値を対応要否判定部123に出力する。
図7は、対応要否判定部123による模倣品掲載数の監視処理の一例を説明するための図である。図7において「t1」は過去のある時点、「t2」は現在の時点、「t3」は将来のある時点である。t1、t2、t3は、例えば一定の周期T2の間隔で設定される。周期T2は、純正品装備率に関する周期T1と同じでもよく、異なってもよい。図7において「N1」は、過去時点(t1)の模倣品掲載数、「N2」は、現在時点(t2)の模倣品掲載数、「N3」は、将来時点(t3)の模倣品掲載数を示す。
対応要否判定部123は、例えば、ある車種についてのフロアマットの模倣品掲載数の最新値(現在値)が閾値以上になる場合に、その車種のフロアマットについて所定の知財対応フローを実行することを決定する。なお、対応要否判定部123は、上記判定に代えてまたは上記判定に加えて、過去時点(t1)と現在時点(t2)との間の模倣品掲載数の増加量(ΔNq)および/または模倣品掲載数の増加率(ΔNr)が閾値以上になる場合に、所定の知財対応フローを実行することを決定してもよい。ここで、模倣品掲載数の増加量ΔNq=|N2-N1|、模倣品掲載数の増加率ΔNr=|N2-N1|/N1×100%である。過去時点(t2)の模倣品掲載数は、模倣品掲載数履歴DB502から取得可能である。なお、本閾値に関しては車種別にあらかじめ設定されている。
また、対応要否判定部123は、上記判定に代えてまたは上記判定に加えて、模倣品掲載数の将来時点に関する値に基づき、所定の知財対応フローを実行することを決定してもよい。この場合、対応要否判定部123は、例えば1つ以上の過去時点と現在時点との間の模倣品掲載数の推移を近似する近似式を求める。この近似式は、1次式でもよく、多次元式でもよく、線形式/非線形式は問わない。図7中に示す近似式F21は、1次式の近似式の一例であり、図7に示す近似式F22は、多次元の近似式の一例である。
対応要否判定部123は、求めた近似式を用いて模倣品掲載数の将来予想値や、現在時点(t2)と将来時点(t3)との間の模倣品掲載数の予想増加量(ΔNqf)および/または予想増加率(ΔNrf)を算出する。ここで、予想増加量ΔNqf=|N3-N2|、予想増加率ΔNrf=|N3-N2|/N2×100%である。そして、対応要否判定部123は、模倣品掲載数の将来予想値が閾値以上になる場合、または、模倣品掲載数の将来の予想増加量もしくは予想増加率が閾値以上になる場合に、所定の知財対応フローを実行することを決定してもよい。
以上の説明では、監視部100が純正品装備率と模倣品掲載数とのうち少なくとも一方に基づき所定の知財対応フローの実行の要否を判定する例について述べた。ただし、監視部100は、上記例に代えて、純正品装備率に関する値と模倣品掲載数に関する値との組み合わせに基づき所定の知財対応フローの実行の要否を判定する対応要否判定部130(図5参照)を備えてもよい。「純正品装備率に関する値」とは、例えば、上述した純正品装備率の現在値、将来予想値、減少量、将来の予想減少量、減少率、または将来の予想減少率のうちいずれか1つ以上である。同様に、「模倣品掲載数に関する値」とは、例えば、上述した模倣品掲載数の現在値、将来予想値、増加量、将来の予想増加量、増加率、または将来の予想増加率のうちいずれか1つ以上である。
図8は、対応要否判定部130による監視処理の一例を説明するための図である。対応要否判定部130は、例えば、純正品装備率と模倣品掲載数の増加率との組み合わせと、所定の知財対応フローの実行の要否とが対応付けられた対応要否判定基準マップM1に基づき、所定の知財対応フローの実行の要否を判定する。なお図8中において「0%未満」とは、模倣品掲載数の増加率がマイナス(掲載数が減少)を意味する。
対応要否判定基準マップM1では、例えば、純正品装備率が80%以上85%未満である場合と、模倣品掲載数の増加率が10%以上20%未満である場合との組み合わせに対して「〇:対応要(すなわち、所定の知財対応フローの実行が必要)」が対応付けられている。一方で、対応要否判定基準マップM1では、例えば、純正品装備率が95%以上である場合と、模倣品掲載数の増加率が0%以上5%未満である場合との組み合わせに対して「×:対応無(すなわち、所定の知財対応フローの実行が不要)」が対応付けられている。また、対応要否判定基準マップM1では、例えば、純正品装備率が85%以上90%未満である場合と、模倣品掲載数の増加率が5%以上10%未満である場合との組み合わせに対して「△:対応検討(別の手段による追加判定が必要)」が対応付けられている。対応要否判定部130は、対応要否判定基準マップM1を参照することで、純正品装備率と模倣品掲載数の増加率との組み合わせ毎に、所定の知財対応フローの実行の要否を判定する。
ここで、監視部100により用いられる各種閾値、近似式、および周期T1,T2は、例えば、車種や、自動車の形式(セダンやミニバンなど)、対象となる車種の販売開始からの経過年数などにより異なる値や式が用いられる。これら異なる値や式は、判定情報DB504に予め記憶されている。
[2.3 抽出部]
次に、抽出部200について説明する。
図9は、抽出部200の構成を示す図である。抽出部200は、監視部100により所定の知財対応フローの実行が必要と判定された場合に、後述する近似度よりも簡易な基準に基づく第1段階の判定(1次判定)を行い、ショッピングサイトA,B,C,…に掲載された模倣品のなかから所定の条件を満たす模倣品(意匠権との類似の可能性が一定程度ある模倣品)を抽出する。言い換えると、コピー抽出部は、第1段階の判定を行うことで、判定部300の判定対象として抽出される模倣品を絞り込む。抽出部200は、例えば、模倣品情報取得部210、報知部220、受付部230、フィッティング処理部240、パターン比較部250、および抽出要否判定部260を有する。
[2.3.1 模倣品情報取得部]
模倣品情報取得部210は、ネットワークNWを介してショッピングサイトA,B,C,…のサーバ装置SA,SB,SC,…と通信を行い、ショッピングサイトA,B,C,…に掲載されている模倣品の画像、およびその画像と関連付けられて掲載されている情報(例えば、模倣品のフロアマットが対応する車種名)などを取得する。模倣品の画像は、写真でもよく、図面でもよい。模倣品情報取得部210は、取得した画像および情報をフィッティング処理部240に出力する。
[2.3.2 報知部]
報知部220は、ショッピングサイトA,B,C,…のいずれかにおいて模倣品が販売されているが、その模倣品の画像がウェブサイト上に存在しない場合、模倣品の画像が存在しないことを管理者に報知するための報知動作を行う。例えば、報知部220は、報知動作の一例として、模倣品の画像がウェブサイト上に存在しないこと示す情報を生成し、その情報を端末装置20に送信することで、その情報を端末装置20の表示装置21に表示させる。これにより、管理者は、画像が存在しない模倣品があることを知ることができる。管理者は、必要に応じて問題となる模倣品を実際に購入し、写真撮影を行うことで模倣品の画像を作成する。
[2.3.3 受付部]
受付部230は、ウェブサイト上に模倣品の画像が存在しない場合、実際に購入して写真撮影を行うことで作成された模倣品の画像と、その模倣品のフロアマットが対応する車種名の入力を受け付ける。サーバ装置10は、受付部230により受け付けられた画像を、模倣品情報取得部210により取得された画像と同等のものとして以下の処理を行う。
[2.3.4 フィッティング処理部]
フィッティング処理部240は、模倣品情報取得部210により取得された情報(例えば、模倣品と関連付けられて掲載されていた車種名)に基づき登録意匠DB503を参照し、その模倣品に対応する1つ以上の登録意匠を特定する。例えば、フィッティング処理部240は、模倣品のフロアマットが対応する車種と関連付けられて登録意匠DB503で管理されている一群の登録意匠を特定し、特定した登録意匠の図面(以下、「意匠図面」と称する)を登録意匠DB503から取得する。なお以下では、模倣品と1つの登録意匠とを比較する処理について説明するが、実際には特定された一群の登録意匠のそれぞれについて以下と同様の処理が実行される。
ここで、模倣品情報取得部210により取得された画像に表れる模倣品と、意匠図面に表れる登録意匠とは、大きさおよび角度位置などが異なる場合がある。このため、フィッティング処理部240は、以下に示すフィッティング処理を行う。
図10は、フィッティング処理の一例を説明するための図である。フィッティング処理部240は、模倣品情報取得部210により取得された画像に含まれる模倣品の輪郭C1と、意匠図面に含まれる登録意匠の輪郭C2とを合わせるために模倣品の輪郭C1と登録意匠の輪郭C2とのうち少なくとも一方の大きさおよび角度位置などを調整するフィッティング処理を行う。
具体的には、フィッティング処理部240は、模倣品の輪郭C1と登録意匠の輪郭C2とのうち少なくとも一方の大きさまたは角度位置などを変更する補正処理を行い、補正処理後の模倣品の輪郭C1と登録意匠の輪郭C2との差異量を算出する。差異量は、例えば、複数の位置それぞれにおける模倣品の輪郭C1と登録意匠の輪郭C2とのX方向のずれΔXの二乗値を前記複数の位置に関して合計したΣΔXと、複数の位置それぞれにおける模倣品の輪郭C1と登録意匠の輪郭C2とのY方向のずれΔYの二乗値を前記複数の位置に関して合計したΣΔYとの合計値(ΣΔX+ΣΔY)である。ただし、差異量の定義は、上記例に限らず、適宜設定可能である。例えば、差異量は、ΣΔX、ΣΔY、ΣΔX、またはΣΔYなどでもよい。フィッティング処理部240は、模倣品の輪郭C1と登録意匠の輪郭C2との差異量を最小化するように所定のアルゴリズムに従って上記補正処理を繰り返す。フィッティング処理部240は、模倣品の輪郭C1と登録意匠の輪郭C2との差異量が最小化された場合、上記差異量が最小化された模倣品の輪郭C1および登録意匠の輪郭C2を示す情報をパターン比較部250に出力する。
なお、フィッティング処理部240は、上記フィッティング処理を行うことで模倣品の輪郭C1と登録意匠の輪郭C2との差異(例えば上記差異量)が閾値以下になる場合に、後述するパターン比較を行うことなく、その模倣品を判定部300の判定対象として抽出してもよい。また別の例では、フィッティング処理部240は、上記フィッティング処理を行うことで模倣品の輪郭C1と登録意匠の輪郭C2との差異(例えば上記差異量)が閾値以下になる場合に、後述するパターン比較および判定部300の判定処理を行うことなく、その模倣品は意匠権に類似すると判定してもよい。
[2.3.5 パターン比較部]
パターン比較部250は、フィッティング処理部240により大きさおよび角度位置などが調整された模倣品の輪郭C1と登録意匠の輪郭C2とのパターン比較を行う。パターン比較部250は、例えば、スキャニング部251と、長さ比較部252とを含む(図9参照)。
<(a)全体意匠に対するパターン比較の第1例>
図11は、スキャニング部251によるスキャニング処理の一例を説明するための図である。図11は、助手席用のフロアマットの全体意匠に対するスキャニング処理を示す。
図11中の(a)は、模倣品に対するスキャニング処理を示す。このスキャニング処理では、模倣品の画像における任意の位置に原点P1が設定される。そして、模倣品に対してX方向(第1方向)に沿う走査線を用いてスキャニングが行われ、スキャニングが行われた位置での模倣品のX方向の長さ(X方向の幅)ΔLxが検出される。X方向は、「特定方向」の一例である。X方向のスキャニングは、予め設定された任意の間隔で互いに離れたY方向(第2方向)の複数の位置(Y0,Y1,Y2,…)それぞれについて行われる。「任意の間隔」は、Y方向において等間隔でもよく、不等間隔であってもよい。スキャニング部251は、模倣品に対して上記スキャニングを行うことで検出された複数の位置それぞれについてのX方向の長さΔLxを、長さ比較部252に出力する。
図11中の(b)は、登録意匠に対するスキャニング処理を示す。このスキャニング処理では、登録意匠の意匠図面において、模倣品の画像において設定された原点P1に対応する位置に原点P2が設定される。「対応する位置」とは、模倣品の輪郭C1と登録意匠の輪郭C2との差異量を最小化するように上記フィッティング処理が行われたときに互いに重なる位置である。なお上記に代えて、先に意匠図面において原点P2が設定され、それに対応する模倣品の画像の位置に原点P1が設定されてもよい。
そして、登録意匠に対してX方向に沿う走査線を用いてスキャニングが行われ、スキャニングが行われた位置での登録意匠のX方向の長さ(X方向の幅)ΔLxが検出される。X方向のスキャニングは、Y方向において、模倣品のスキャニングが行われた複数の位置と同じ複数の位置(Y0,Y1,Y2,…)それぞれについて行われる。スキャニング部251は、登録意匠に対して上記スキャニングを行うことで検出された複数の位置それぞれについてのX方向の長さΔLxを、長さ比較部252に出力する。
図11中の(c)は、長さ比較部252の処理を模式的に示す。長さ比較部252は、例えば、模倣品に対して検出された複数の位置(Y0,Y1,Y2,…)それぞれにおけるX方向の長さΔLxと、登録意匠に対して検出された複数の位置(Y0,Y1,Y2,…)それぞれにおけるX方向の長さΔLxとを、Y方向の検出位置毎に比較する。長さ比較部252は、パターン比較の結果として、Y方向の各検出位置での模倣品のX方向の長さΔLxと登録意匠のX方向の長さΔLxとの差を、抽出要否判定部260に出力する。
なお、スキャニング部251は、X方向に関するスキャニングに加えて、Y方向に関するスキャニングを行ってもよい。図12は、スキャニング部251によるY方向のスキャニング処理の一例を説明するための図である。Y方向に関するスキャニングは、上述したX方向に関するスキャニングの説明において「X方向」と「Y方向」とを互いに読み替え、「複数の位置(Y0,Y1,Y2,…)」を「複数の位置(X0,X1,X2,…)」と読み替えればよい。
X方向に関するスキャニングに加えて、Y方向に関するスキャニングが行われる場合、後述する抽出要否判定部260は、X方向に関するパターン比較と、Y方向に関するパターン比較との両方の比較結果が所定の条件を満たす場合にのみ、パターン比較の対象となった模倣品を判定部300の判定対象として抽出してもよい。この場合、抽出部200は、X方向およびY方向のそれぞれについて長さを比較することで、抽出部200による判定の精度を高めることができる。
<(b)全体意匠に対するパターン比較の第2例>
図13は、フロアマット全体の全体意匠(すなわち、運転席のフロアマット、助手席のフロアマット、および後席のフロアマットを含む全体意匠)に対するスキャニング処理の一例を示す。図13に示す例では、模倣品は、模倣品に含まれる第1領域R1と第2領域R2との間に、第1領域R1と第2領域R2とを分離する分離部S1を含む。同様に、登録意匠は、登録意匠に含まれる第1領域R3と第2領域R4との間に、第1領域R3と第2領域R4とを分離する分離部S2を含む。
この場合、模倣品に対するX方向のスキャニングは、分離部S1を除いて行われる。すなわち、模倣品に対するX方向のスキャニングでは、Y方向の複数の位置(Y0,Y1,Y2,…)において、模倣品の第1領域R1のX方向の長さΔLx1と、模倣品の第2領域R2のX方向の長さΔLx2とがそれぞれ検出され、第1領域R1のX方向の長さΔLx1と第2領域R2のX方向の長さΔLx2との合計が模倣品のX方向の長さΔLxとして取得される。
同様に、登録意匠に対するX方向のスキャニングは、分離部S2を除いて行われる。すなわち、登録意匠に対するX方向のスキャニングでは、Y方向の複数の位置(Y0,Y1,Y2,…)において、登録意匠の第1領域R3のX方向の長さΔLx3と、登録意匠の第2領域R4のX方向の長さΔLx4とがそれぞれ検出され、第1領域R3のX方向の長さΔLx3と第2領域R4のX方向の長さΔLx4との合計が登録意匠のX方向の長さΔLxとして取得される。
図14は、フロアマット全体の全体意匠に関する長さ比較部252の処理を模式的に示す図である。この場合、長さ比較部252は、Y方向の各検出位置(Y0,Y1,Y2,…)について、模倣品のX方向の長さΔLx(第1および第2の領域R1,R2の長さΔLx1,ΔLx2の合計)と、登録意匠のX方向の長さΔLx(第1および第2の領域R3,R4の長さΔLx3,ΔLx4の合計)とを比較する。なお、図14中の位置Y0~Y6は、図13中の位置Y0~Y6に対応する。
<(c)部分意匠に対するパターン比較の第1例>
図15は、助手席のフロアマットの部分意匠に対するスキャニング処理の一例を示す。抽出部200は、スキャニング対象の意匠が部分意匠である場合、特定方向に沿う走査線が横切る意匠の両端部のうち少なくとも一方の端部が部分意匠の実線部分である位置(図15に示す例ではY1~Y4)について、前記特定方向の長さ同士を比較する。
図15中の(b)に示す例では、部分意匠の意匠図面は、複数の実線部分SL1,SL2を含む。また、部分意匠の意匠図面は、複数の実線部分SL1,SL2の端部同士を結ぶ一点鎖線である境界線BL1,BL2を含んでもよい。「境界線」とは、意匠図面において、部分意匠として登録を受けようとする部分とその他の部分との境界を示す線である。ただし、部分意匠の意匠図面は、境界線BL1,BL2を含まなくてもよい。この場合、抽出部200は、意匠図面において、複数の実線部分SL1,SL2の端部同士を結ぶように境界線BL1,BL2を設定してもよい。一方で、抽出部200は、部分意匠の境界線BL1,BL2に対応する仮想線VL1,VL2を模倣品の画像上に設定する。
登録意匠に対するX方向のスキャニングは、走査線が実線部分SL1,SL2のうち少なくとも一方に重なる複数の位置(Y1~Y4)について行われる。登録意匠に対するX方向のスキャニングは、走査線が実線部分SL1,SL2のうち両方に重ならない位置については行われない。言い換えると、登録意匠に対するスキャニングは、実線部分SL1,SL2と境界線BL1,BL2とにより囲まれる領域に対してのみ行われる。
この場合、模倣品に対するX方向のスキャニングは、登録意匠に対してX方向のスキャニングが行われたY方向の複数の位置と同じ複数の位置(Y1~Y4)についてのみ行われる。言い換えると、模倣品に対するスキャニングは、模倣品の輪郭のなかで実線部分SL1,SL2に対応する部分と、仮想線VL1,VL2とにより囲まれる領域に対してのみ行われる。そして、長さ比較部252は、Y方向の各検出位置(Y1~Y4)について、模倣品のX方向の長さΔLxと、登録意匠のX方向の長さΔLxとを比較する。
<(d)部分意匠に対するパターン比較の第2例>
図16は、助手席のフロアマットの部分意匠に対するスキャニング処理の別の一例を示す。図16は、Y方向のスキャニングが行われる例である。図16に示すように、抽出部200は、特定方向に沿う走査線が横切る登録意匠の両端部のうち一方の端部が実線部分SL1,SL2であるが他方の端部が実線部分SL1,SL2でない場合、意匠図面に含まれる(または意匠図面に対して設定される)境界線BL1を起点または終点とする長さを、その検出位置での長さΔLyとして取得する。この場合、模倣品に対するY方向のスキャニングは、登録意匠と同様に、模倣品の画像に設定される仮想線VL1を起点または終点とする長さを、その検出位置での長さΔLyとして取得する。そして、長さ比較部252は、X方向の各検出位置(X1~X4)について、模倣品のY方向の長さΔLyと、登録意匠のY方向の長さΔLyとを比較する。なお、走査線が登録意匠の実線部分SL1,SL2を横切らない検出位置については、2つの境界線BL1,BL2や2つの仮想線VL1,VL2の間の長さΔLyの検出が行われて長さ同士が比較されてもよいし、これら長さの検出や比較が行われなくてもよい。
<(e)部分意匠に対するパターン比較の第3例>
図17は、後席のフロアマットの部分意匠に対するスキャニング処理の別の一例を示す。図17に示す例では、模倣品は、模倣品に含まれる第1領域R5と第2領域R6との間に、第1領域R5と第2領域R6とを分離する分離部S3を含む。同様に、登録意匠(部分意匠)は、登録意匠に含まれる第1領域R7と第2領域R8との間に、第1領域R7と第2領域R8とを分離する分離部S4を含む。この場合、抽出部200は、上述した「(b)全体意匠に対するパターン比較の第2例」と同様に、分離部S3,S4を除いてスキャニングを行うことで、模倣品と部分意匠との長さ同士を比較する。
この場合、部分意匠の意匠図面は、複数の実線部分SL1,SL2,SL3,SL4の端部同士を結ぶ一点鎖線である境界線BL1,BL2,BL3,BL4を含んでもよい。ただし、部分意匠の意匠図面は、境界線BL1,BL2,BL3,BL4を含まなくてもよい。この場合、抽出部200は、意匠図面において、複数の実線部分SL1,SL2,SL3,SL4の端部同士を結ぶように境界線BL1,BL2,BL3,BL4を設定してもよい。境界線BL1,BL2,BL3,BL4の各々は、例えば、X方向またはY方向に沿う1つ以上の直線により設定される。ただし、境界線BL1,BL2,BL3,BL4の各々は、X方向またはY方向に対して傾いて延びる直線により設定されてもよい。そして、部分意匠の登録意匠に対するスキャニングは、実線部分SL1,SL2,SL3,SL4と境界線BL1,BL2,BL3,BL4とにより囲まれる領域に対してのみ行われる。
一方で、抽出部200は、部分意匠の境界線BL1,BL2,BL3,BL4に対応する仮想線VL1,VL2,VL3,VL4を模倣品の画像上に設定する。そして、模倣品に対するスキャニングは、模倣品の輪郭のなかで実線部分SL1,SL2,SL3,SL4に対応する部分と、仮想線VL1,VL2,VL3,VL4とにより囲まれる領域に対してのみ行われる。
図18は、図17に示された登録意匠と模倣品に関する長さ比較部252の処理を模式的に示す。長さ比較部252は、パターン比較の結果として、Y方向の検出位置(例えば、図17に示す、Y3,Y4)での模倣品のX方向の長さΔLxと登録意匠のX方向の長さΔLxとの差を、抽出要否判定部260に出力する。
[2.3.6 抽出要否判定部]
抽出要否判定部260は、パターン比較の対象となった模倣品を、判定部300の判定対象として抽出するべきか否かを判定する。例えば、抽出要否判定部260は、長さ比較部252によるパターン比較の結果が所定の条件を満たす場合に、パターン比較の対象となった模倣品を上記判定対象として抽出する。上記所定の条件は、例えば、パターン比較の結果において、Y方向の全ての検出位置において、模倣品のX方向の長さΔLxと登録意匠のX方向の長さΔLxとの差が閾値以下の場合である。
例えば、図11中の(c)に示す例では、Y方向の検出位置の一部において模倣品のX方向の長さΔLxと登録意匠のX方向の長さΔLxとが大きく異なる。このため、図11中の(c)に示す例では、パターン比較の対象となった模倣品は、判定部300の判定対象としては抽出されない。
[2.4 判定部]
判定部300は、抽出部200により抽出された模倣品と登録意匠とに基づき模倣品と登録意匠との近似度を算出し、算出した近似度に基づき意匠権の類似に関する判定を行う。判定部300は、例えば、周長算出部310、面積算出部320、および類否判定部330を含む。なお、模倣品が対応する製品の機種(車種)を示す情報は、例えば、抽出部200の模倣品情報取得部210により取得されて判定部300に出力されている。
[2.4.1 周長算出部および面積算出部]
周長算出部310は、例えば画像解析により、模倣品の周長LCと、登録意匠の周長LDとをそれぞれ算出する。模倣品の周長LCとは、模倣品の輪郭C1の長さである。登録意匠の周長LDとは、登録意匠の輪郭C2の長さである。なお、登録意匠が部分意匠である場合における周長の算出については後述する。
面積算出部320は、例えば画像解析により、模倣品の面積SCと、登録意匠の面積SDとをそれぞれ算出する。模倣品の面積SCとは、模倣品の輪郭C1の内側の面積である。登録意匠の面積SDとは、登録意匠の輪郭C2の内側の面積である。なお、登録意匠が部分意匠である場合における面積の算出については後述する。
図20は、周長算出部310および面積算出部320による周長LC,LDおよび面積SC,SDの算出の一例を示す図である。登録意匠が全体意匠である場合、周長算出部310および面積算出部320は、模倣品および登録意匠の輪郭C1,C2に基づき、模倣品の周長LCおよび面積SCと、登録意匠の周長LDおよび面積SDとをそれぞれ算出する。
次に、登録意匠が部分意匠である場合の周長および面積の算出について説明する。
図21、図22は、周長算出部310および面積算出部320による周長LC,LDおよび面積SC,SDの算出のそれぞれ一例を示す図である。登録意匠が部分意匠である場合、周長算出部310は、部分意匠の実線部分SL11,SL12,SL13,SL14に沿う長さの合計を、登録意匠の周長LDとして算出する。
一方で、周長算出部310は、模倣品に対して、部分意匠の実線部分SL11,SL12,SL13,SL14に対応する部分CL11,CL12,CL13,SL14の長さの合計を、模倣品の周長LCとして算出する。すなわち、周長算出部310は、部分意匠の境界線BL11,BL12,BL13,BL14に対応する仮想線VL11,VL12,VL13,VL14を模倣品の画像上に設定する。そして、周長算出部310は、模倣品の輪郭を抽出し、仮想線VL11,VL12,VL13,VL14に基づいて模倣品の輪郭のなかで部分意匠の実線部分SL11,SL12,SL13,SL14に対応する部分を特定し、それら特定された部分の長さの合計を模倣品の周長LCとして算出する。なお、図21中の(c)に示すように、登録意匠(または模倣品)に複数の部材(複数の領域)の接続部分がある場合、周長算出部310は、この接続部分の周長は除外して取り扱ってよい。
また、登録意匠が部分意匠である場合、面積算出部320は、部分意匠の実線部分SL11,SL12,SL13,SL14と、実線部分SL11,SL12,SL13,SL14の複数の端部同士を結ぶ境界線BL11,BL12,BL13,BL14とにより囲まれる特定領域SR1の面積を、登録意匠の面積SDとして算出する。また、面積算出部320は、模倣品に対して、部分意匠の特定領域SR1に対応する領域の面積SR2を、模倣品の面積SCとして算出する。
[2.4 類否判定部]
類否判定部330は、周長算出部310により算出された模倣品の周長LCと登録意匠の周長LDとに基づき、周長の近似差を算出する。例えば、類否判定部330は、登録意匠の周長LDを模倣品の周長LCで除算して1を減算した値の絶対値をパーセントに直したもの(|(LD/LC)-1|×100)を、周長の近似差(周長差近似度)として算出する。周長の近似差は、模倣品と登録意匠との「近似度」の一例である。
類否判定部330は、面積算出部320により算出された模倣品の面積SCと登録意匠の面積SDとに基づき、面積の近似差を算出する。例えば、類否判定部330は、登録意匠の面積SDを模倣品の面積SCで除算して1を減算した値の絶対値をパーセントに直したもの(|(SD/SC)-1|×100)を、面積の近似差(面積差近似度)として算出する。面積の近似差は、模倣品と登録意匠との「近似度」の別の一例である。
そして、類否判定部330は、周長の近似差と面積の近似差とに基づき意匠権の類似に関する判定を行う。ここで「意匠権の類似に関する判定」とは、類似または非類似のいずれであるかを決める判定に限定されず、類似の蓋然性(類似の可能性の程度)を示す判定でもよい。本実施形態では、類否判定部330は、周長の近似差と面積の近似差との組み合わせに基づき、複数の段階(類似/追加判定要/非類似)で類似の蓋然性を判定する。
図23は、類似判定部330による類似の蓋然性を判定する処理の一例を説明するための図である。類否判定部330は、例えば、周長の近似差と面積の近似差との組み合わせと、類似の蓋然性とが対応付けられた類否判定基準マップM2Aに基づき、類似の蓋然性を判定する。例えば、類否判定基準マップM2Aでは、周長の近似差が0%以上5%未満の場合と、面積の近似差が0%以上5%未満である場合との組み合わせに対して「〇:類似」が対応付けられている。一方で、例えば、類否判定基準マップM2Aでは、周長の近似差が20%以上40%未満の場合と、面積の近似差が20%以上40%未満である場合との組み合わせに対して「×:非侵類似」が対応付けられている。
また、類否判定基準マップM2Aでは、周長の近似差が5%以上10%未満の場合と、面積の近似差が5%以上10%未満である場合との組み合わせに対して「△:追加判定要」が対応付けられている。追加判定が必要と判定された場合、類否判定部330は、例えばより精緻なパターンマッチングを行うなどしてサーバ装置10により追加判定を行ってもよい。類否判定部330は、類否判定部330の判定結果を情報出力部400に出力する。
なお、類否判定部330の判定に用いられる「近似度」は、周長および面積に限定されない。例えば、類否判定部330は、原点P1に対する模倣品の輪郭C1上の複数位置の座標と、原点P2に対する登録意匠の輪郭C2上の複数位置の座標との違いに基づき近似度を算出してもよい。
[2.4 情報出力部]
情報出力部400は、類否判定部330の判定結果に基づき、端末装置20の表示装置21に表示させる情報を生成し、端末装置20に送信する。これにより、端末装置20の表示装置21には、類否判定部330の判定結果(模倣品ごとの類似の蓋然性)が表示される。
[3.処理の流れの一例]
次に、サーバ装置10の処理の流れの一例について説明する。
図24は、サーバ装置10の処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、監視部100は、純正品装備率と、ショッピングサイトA,B,C,…における模倣品掲載数をそれぞれ一定の周期T1,T2で算出する(ステップS101)。監視部100は、純正品装備率に関する値および模倣品掲載数に関する値が所定の条件を満たすか否かを判定する(ステップS102)。例えば、監視部100は、対応要否判定基準マップM1において純正品装備率および模倣品掲載数の増加率が「〇:対応要」の領域に存在する場合、上記所定の条件を満たすと判定する。
監視部100は、上記所定の条件が満たされない場合(ステップS102:NO)、ステップS101の処理に戻る。一方で、監視部100は、上記所定の条件が満たされる場合(ステップS102:YES)、所定の条件が満たされたことを示す信号を抽出部200に出力する。抽出部200は、上記信号を受信した場合、まず、ショッピングサイトから模倣品の画像を取得する。そして、抽出部200は、取得した模倣品と登録意匠とのフィッティング処理を行う(ステップS103)。
抽出部200は、フィッティング処理を行った後、模倣品の輪郭C1と登録意匠の輪郭C2の差異量が閾値以下であるか否かを判定する(ステップS104)。抽出部200は、模倣品の輪郭C1と登録意匠の輪郭C2との差異量が閾値以下である場合(ステップS104:YES)、ステップS105,S106のパターン判定に関する処理を行うことなく、ステップS107の近似度の算出に進む。なお、フィッティング処理部240は、模倣品の輪郭C1と登録意匠の輪郭C2との差異量が閾値以下である場合、この時点で意匠権と類似していると判定してもよい。この場合、フィッティング処理部240の判定結果は、情報出力部400に出力される。なお、「差異量が閾値以下」とは、例えば、ΣΔX、ΣΔY、ΣΔX、ΣΔY、Σ(ΔX+ΣY)などのうち1つまたは複数の値が、対応する閾値以下である場合を意味する。
抽出部200は、模倣品の輪郭C1と登録意匠の輪郭C2との差異量が閾値よりも大きい場合(ステップS104:NO)、パターン比較部250によるパターン比較を行う(ステップS105)。そして、抽出部200は、パターン比較の結果が所定の条件を満たすか否かを判定する(ステップS106)。例えば、抽出部200は、模倣品と登録意匠に対して複数の位置について特定方向の長さ同士を比較し、特定方向の長さ同士の差が閾値以下の場合である場合に、上記所定の条件を満たすと判定する。
抽出部200は、ステップS106の所定の条件が満たされない場合(ステップS106:NO)、その旨を示す信号を情報出力部400に出力する。この場合、情報出力部400は、模倣品が非類似であることを示す情報を端末装置20に送信する(ステップS115)。
一方で、抽出部200は、ステップS106の所定の条件が満たす場合(ステップS106:YES)、パターン比較が行われた模倣品を判定部300の判定対象として抽出する(ステップS107)。そして、判定部300は、抽出部200により抽出された模倣品と登録意匠との近似度(例えば周長差近似度および面積差近似度)を算出する(ステップS108)。
そして、判定部300は、算出した近似度が第1の条件を満たすか否かを判定する(ステップS109)。例えば、判定部300は、算出した近似度が類否判定基準マップM2Aにおいて「〇:類似」の領域に入る場合、第1の条件を満たすと判定する。判定部300は、第1の条件が満たされる場合(ステップS109:YES)、意匠権と類似すると判定し(S110)、その旨を示す信号を情報出力部400に出力する。この場合、情報出力部400は、模倣品が意匠権と類似することを示す情報を端末装置20に送信して表示させる(ステップS115)。
一方で、判定部300は、第1の条件が満たされない場合(ステップS109:NO)、第2の条件が満たされるか否かを判定する(S111)。例えば、判定部300は、算出した近似度が類否判定基準マップM2Aにおいて「△:追加判定要」の領域に入る場合、第2の条件を満たすと判定する。判定部300は、第2の条件が満たされる場合(ステップS111:YES)、追加判定が必要であると判定し(S112)、追加判定を行う(S113)。なお、「追加判定を行う」とは、上述したように、例えばより精緻なパターンマッチングを行うなどしてサーバ装置10により追加判定が行われてもよいし、例えば後述する第2実施形態や第3実施形態で示すような条件ごとに応じて予め用意されたより精度の高いマップを用いる判定が行われてもよい。そして、判定部300は、追加判定の結果を示す信号(類似または非類似を示す信号)を情報出力部400に出力する。この場合、情報出力部400は、追加判定の結果を示す情報を端末装置20に送信して表示させる(ステップS115)。
また、判定部300は、第2の条件が満たされない場合(ステップS111:NO)、意匠権と類似しないと判定し(S114)、その旨を示す信号を情報出力部400に出力する。この場合、情報出力部400は、模倣品が意匠権と類似しないことを示す情報を端末装置20に送信して表示させる(ステップS115)。
以上により、模倣品知財対応システム1の処理の1つのフローが終了する。なお、上述したステップS103からS114までの処理は、模倣品のフロアマットが対応する車種と関連付けられて管理されている一群の登録意匠のそれぞれについて実行される。これら登録意匠は、1つ以上の秘密意匠を含む。
このような構成によれば、ウェブサイトにおける模倣品の掲載を減少させることができる。すなわち、模倣品知財対応システム1による処理フローを実行することで、ウェブサイト上に掲載された、知財権に対して近似している模倣品に対して、常時、高効率な類否判定を行うことができ、その結果に応じて適切な削除対応や模倣品の輸入差し止めが可能となる。これにより、市場やユーザに対して高品質の純正品の普及を促すことができ、ユーザの利益の向上を図ることができる。
本実施形態(手法A)では、例えば、2段階で類否判定が行われ、1段階目の判定において“△(追加判定領域)”に位置すると判定された場合、別の手段による追加判定が行われる。このような構成によれば、1つまたは少数の類否判定基準マップM2Aにより類似に関する判定を行うことができる。これにより、記憶部500が保持する必要があるデータ容量を小さくすることができる。
(変形例)
次に、第1実施形態の変形例について説明する。本変形例では、類否判定部330は、全体意匠の意匠権に基づく第1判定を行い、その後、部分意匠の意匠権に基づく第2判定を行う点で上記実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、上記実施形態と同様である。
[4.1 第1判定(全体意匠に基づく判定)]
図25は、全体意匠に基づいて類似の有無を判定する第1判定の一例を説明するための図である。類否判定部330は、例えば、抽出部200により抽出された模倣品と、意匠権が登録された全体意匠とに基づき、模倣品と全体意匠との近似度を算出する。言い換えると、類否判定部330は、意匠の基本的構成態様に基づき、模倣品の類似に関する判定を行う。例えば、類否判定部330は、全体意匠に関して周長の近似差と面積の近似差との組み合わせと、類似の蓋然性とが対応付けられた類否判定基準マップM2A-1に基づき、類似の蓋然性を判定する。例えば、類否判定部330は、類否判定基準マップM2A-1に基づき、模倣品が全体意匠の意匠権に類似しているか、全体意匠の意匠権に類似していないか、または全体意匠の意匠権に類似しているか否かかが未定であるかを判定する。
例えば、類否判定基準マップM2A-1では、周長の近似差が0%以上5%未満の場合と、面積の近似差が0%以上5%未満である場合との組み合わせに対して「〇:類似」が対応付けられている。一方で、例えば、類否判定基準マップM2A-1では、周長の近似差が20%以上40%未満の場合と、面積の近似差が20%以上40%未満である場合との組み合わせに対して「×:非類似」が対応付けられている。また、類否判定基準マップM2A-1では、周長の近似差が5%以上10%未満の場合と、面積の近似差が5%以上10%未満である場合との組み合わせに対して「△:追加判定要(類似の有無が未定)」が対応付けられている。なお、類否判定部330は、「△:追加判定要」が対応付けられている場合においても、模倣品と登録意匠との差異部分に要部が含まれているか否かによって類似または非類似を判定する。
類否判定部330は、類否判定基準マップM2A-1に基づく判定の結果、模倣品が全体意匠の意匠権に類似している場合(マップM2A-1における「〇」の場合)、または全体意匠の意匠権に類似していない場合(マップM2A-1における「×」の場合)、類否判定部330の判定結果を情報出力部400に出力し、類否判定の処理を終了する。一方で、類否判定部330は、類否判定基準マップM2A-1に基づく判定の結果、模倣品が全体意匠の意匠権に類似しているか否かが未定の場合(マップM2A-1における「△」の場合)、部分意匠に基づいて類似の有無を判定する第2判定を行う。
[4.2 第2判定(部分意匠に基づく判定)]
図26は、部分意匠に基づいて類似の有無を判定する第2判定の一例を説明するための図である。類否判定部330は、全体意匠を用いた判定では全体意匠の意匠権に類似しているか否かが未定であると判定された場合に、全体意匠を用いた判定の対象となった模倣品と、意匠権が登録された部分意匠とに基づき、模倣品と部分意匠との近似度を算出する。言い換えると、類否判定部330は、意匠の具体的構成態様に基づき、模倣品の類似に関する判定を行う。例えば、類否判定部330は、部分意匠に関して周長の近似差と面積の近似差との組み合わせと、類似の有無とが対応付けられた類否判定基準マップM2A-2に基づき、類似の有無を判定する。例えば、類否判定部330は、類否判定基準マップM2A-2に基づき、模倣品が部分意匠の意匠権に類似しているか、部分意匠の意匠権に類似していないかを判定する。
例えば、類否判定基準マップM2A-2では、周長の近似差が0%以上5%未満の場合と、面積の近似差が0%以上5%未満である場合との組み合わせに対して「〇:類似」が対応付けられている。一方で、例えば、類否判定基準マップM2A-2では、周長の近似差が5%以上10%未満の場合と、面積の近似差が5%以上10%未満である場合との組み合わせに対して「×:非類似」が対応付けられている。なお、類否判定基準マップM2A-2では、「△:追加判定要(類似の有無が未定)」が設定されておらず、周長または面積がある程度異なる領域には、「×:非類似」が対応付けられている。
類否判定部330は、類否判定基準マップM2A-2に基づく判定の結果を情報出力部400に出力し、類否判定の処理を終了する。
[4.3 情報出力部]
情報出力部400は、上述した第1判定の結果、「全体意匠の意匠権に類似している」または「全体意匠の意匠権に類似していない」のいずれかの判定がされた場合に、類否判定部330の判定結果を示す情報を端末装置20に出力する。これにより、端末装置20の表示装置21には、類否判定部330の判定結果が表示される。
一方で、情報出力部400は、上述した第1判定の結果、「全体意匠の意匠権に類似しているか否かが未定(追加判定要の場合)」である場合、類否判定部330の第1判定の判定結果を示す情報は端末装置20に出力しない。この場合、情報出力部400は、上述した第2判定の結果、「全体意匠の意匠権に類似している」または「全体意匠の意匠権に類似していない」のいずれかが判定された場合に、類否判定部330の判定結果を示す情報を端末装置20に出力する。これにより、端末装置20の表示装置21には、類否判定部330の判定結果が表示される。
図27は、本変形例のサーバ装置10の処理の流れの一例を示すフローチャートである。本変形例では、上述した実施形態のフローにおいて、ステップS109~S114が行われる代わりに、第1判定の処理(ステップS201)と、第2判定の処理(ステップS202)とを含む判定処理(ステップS200)が行われる。
ステップS201では、類否判定部330は、類否判定基準マップM2A-1に基づく判定を行い、模倣品が全体意匠の意匠権に類似している場合(「〇:類似」の場合)、または全体意匠の意匠権に類似していない場合(「×:非類似」の場合)は、ステップS202を飛ばして、ステップS114に進む。類否判定部330は、模倣品が全体意匠の意匠権を類似している否か未定の場合(「△:追加判定要」の場合)、ステップS202に進む。
ステップS202では、類否判定部330は、類否判定基準マップM2A-2に基づく判定を行い、模倣品が部分意匠の意匠権に類似している場合(「〇:類似」の場合)、または部分意匠の意匠権に類似していない場合(「×:非類似」の場合)のいずれの場合もステップS114に進む。
このような構成によれば、まず、意匠の基本的構成態様に基づく第1判定を行い、第1判定で類似の判定が未定な場合に、意匠の具体的構成態様に基づく第2判定を行うことができる。これにより、まずは、基本構成態様に基づきラフに似ているか似ていないかの判定を行い、その結果に基づいて必要な場合に、具体的構成態様に基づく詳細な判定を行うことができる。これにより類似の判定をより効率的に行うことができる。
以上、第1実施形態および変形例について説明した。なお、類否判定基準マップM2Aおよび類否判定基準マップM2A-1,M2A-2は、上述した例に限定されない。類否判定基準マップM2Aおよび類否判定基準マップM2A-1,M2A-2は、以下に説明するようなマップでもよい。
例えば、類否判定基準マップM2Aおよび類否判定基準マップM2A-1,M2A-2における領域基準(“〇”、“△”、“×”の区切り)は、予め決められた固定なものでもよく、車種(機種)と前提条件(例えば、車両のどの部分に配置されるフロアマットであるか、意匠全体に占める意匠の要部の割合など)とのうち少なくとも一方の条件に応じたパラメータにより可変であってもよい。また前提条件は、例えば、意匠権と模倣品との差異部分に意匠の要部が含まれているか否かが特定されている場合であることなどを含む。
図28は、領域基準が可変である類否判定基準マップM2Aを説明するための図である。図28に示すように、領域基準が可変である類否判定基準マップM2Aは、例えば、車種と前提条件とのうち少なくとも一方を示すパラメータや類似案件の抽出精度結果によって、“△”に対応する領域(追加判定領域)と“×”に対応する領域(非類似領域)との境界K2が変更される。なお、これに代えてまたはこれに加えて、車種と前提条件とのうち少なくとも一方を示すパラメータによって、“〇”に対応する領域(類似領域)と“△”に対応する領域(追加判定領域)との境界K1が変更されてもよい。なお、図28に示す例は、類否判定基準マップM2A-1,M2A-2に適用されてもよい。例えば、類否判定基準マップM2A-2に適用される場合は、車種と前提条件とのうち少なくとも一方を示すパラメータによって、“〇”に対応する領域(類似領域)と“×”に対応する領域(非類似領域)との境界が変更される。
また、類否判定基準マップM2Aおよび類否判定基準マップM2A-1,M2A-2の領域基準は、図23、図25、図26に示すようなステップ型に限定されず、以下に示すような種々のタイプでもよい。
図29は、類否判定基準マップM2Aのバリエーションを説明するための図である。図中の(a)は、図23、図25、図26のように領域基準がマトリクス(行列)により規定されるステップ型に設定されている。これに代えて、類否判定基準マップM2Aは、Y=AX+Bのような数式で規定される線形型(図中の(b)参照)でもよいし、Y=AX+BXn-1+…のような数式で規定される指数型(図中の(c)参照)でもよいし、Y=logXのような数式で規定される対数型(図中の(d)参照)などでもよい。なお、図29に示す例は、類否判定基準マップM2A-1,M2A-2に適用されてもよい。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1実施形態における近似度の算出(図24のステップS108)の後、“〇(類似領域)”および“×(非類似領域)”のみを持つ類否判定基準マップを利用する手法(手法B)である点で、第1実施形態とは異なる。この手法Bでは、例えば、予め用意された複数の類否判定基準マップM2B-1~M2B-N(Nは任意の整数)のなかから条件に応じて選択された1つの類否判定基準マップM2B-X(Xは、1~Nに含まれる整数)を用いて類否判定が行われる。この手法Bは、例えば、車種が特定されており、且つ、類否対象となる意匠が全体意匠であるか部分意匠であるかが特定されている場合、車種が特定されており、且つ、意匠権と模倣品の差異部分に意匠の要部が含まれているか否かが特定されているときに行われる。また、手法Bは、例えば、デッドコピーへの対応などで用いられる。以下、このような第2実施形態について説明する。
なお、第2実施形態の模倣品知財対応システム1の構成および近似度の算出(図24のステップS108)までの処理は、第1実施形態と同様である。このため、第1実施形態と重複する内容については説明を省略する。また第2実施形態において、以下に説明する以外の構成や機能は、第1実施形態と同様である。
図30は、第2実施形態で用いられる複数の類否判定基準マップM2B-1~M2B-Nを説明するための図である。類否判定基準マップM2B-1~M2B-Nの各々は、第1実施形態の類否判定基準マップM2Aと同様に、周長の近似差と面積の近似差との組み合わせと、類似の有無とが対応付けられたマップである。ただし、類否判定基準マップM2B-1~M2B-Nの各々は、例えば、「〇:類似」に対応する領域は有しない。したがって、判定に要する時間の大幅な短縮が可能となる。例えば、電子計算機を利用したシステムの場合、判定処理時間が短くなる。
複数の類否判定基準マップM2B-1~M2B-Nでは、例えば、領域基準(“〇”、“×”の区切り)が互いに異なる。複数の類否判定基準マップM2B-1~M2B-Nは、例えば、車種と前提条件(例えば、車両のどの部分に配置されるフロアマットであるか、意匠全体に占める意匠の要部の割合など)とのうち少なくとも一方の条件ごとに設定されている。なお、複数の類否判定基準マップM2B-1~M2B-Nは、図29に示されるようなステップ型、線形型、指数型、および対数型のうち1つ以上の類否判定基準マップを含んでよい。
図31は、第2実施形態のサーバ装置10の処理の流れの一例を示すフローチャートである。本実施形態では、第1実施形態のフローにおいて、ステップS109~S114が行われる代わりに、ステップS300の判定処理が行われる。この判定処理において、類否判定部330は、車種と前提条件とのうち少なくとも一方に基づき、複数の類否判定基準マップM2B-1~M2B-Nのなかから、上記車種や前提条件に応じた1つの類否判定基準マップM2B-Xを選択し、選択した類否判定基準マップM2B-Xに基づき、模倣品が登録意匠に類似しているか否かを判定する。類否判定部330は、類否判定部330の判定結果を情報出力部400に出力する。情報出力部400は、類否判定部330の判定結果を示す情報を端末装置20に送信して表示させる(ステップS115)。
このような構成によれば、第1実施形態と同様に、ウェブサイトにおける模倣品の掲載を減少させることができる。また第2実施形態(手法B)によれば、車種毎の全体意匠、部分意匠に応じて選択された類否判定基準マップM2B-Xに基づいて類似に関する判定が行われるため、判定をより精度良く行うことができる。また第2実施形態(手法B)によれば、模倣品に対してより簡便な処理により判定に要する時間を大幅に短縮し、類似の有無を判定することができる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態は、第1実施形態における近似度の算出(図24のステップS108)の後、“△(追加判定要)”および“×(非類似領域)”のみを持つ類否判定基準マップを利用する手法(手法C)である点で、第1実施形態とは異なる。この手法Cでは、例えば、登録意匠と前記模倣品との差異部分に意匠の要部が含まれているか否かを判定し、前記近似度と意匠権の類似の有無との対応関係が意匠権と模倣品との差異部分に意匠の要部が含まれているか否かによって予め設定された複数の類否判定基準マップM2C-1,M2C-2から1つのマップが選択され、選択されたマップに基づき意匠権の類似に関する判定が行われる。また本実施形態では、類否判定部330は、意匠権の類似の蓋然性を判定する第1判定を行い、第1判定で“△(追加判定要)”と判定された模倣品に対して複数の類否判定基準マップM2C-1,M2C-2から選択された1つのマップに基づき意匠権の類似に関する第2判定が行われる。以下、このような第3実施形態について説明する。
なお、第3実施形態の模倣品知財対応システム1の構成および近似度の算出(図24のステップS108)までの処理は、第1実施形態と同様である。このため、第1実施形態と重複する内容については説明を省略する。また第3実施形態において、以下に説明する以外の構成や機能は、第1実施形態と同様である。
図32は、第3実施形態の第1判定で用いられる類否判定基準マップM2Cを説明するための図である。類否判定基準マップM2Cは、第1実施形態の類否判定基準マップM2Aと同様に、周長の近似差と面積の近似差との組み合わせと、類否の有無とが対応付けられたマップである。ただし、類否判定基準マップM2C、例えば、「△:追加判定要」に対応する領域と、「×:非類否」に対応する領域のみを有し、「〇:類否」に対応する領域は有しない。類否判定基準マップM2Cは、意匠権の類似の蓋然性を判定するために用いられる。
図33は、第3実施形態の第2判定で用いられる類否判定基準マップM2C-1を説明するための図である。類否判定基準マップM2C-1は、第1実施形態の類否判定基準マップM2Aと同様に、周長の近似差と面積の近似差との組み合わせと、類似の有無とが対応付けられたマップである。類否判定基準マップM2C-1は、例えば、「〇:類似」に対応する領域と、「×:非類似」に対応する領域のみを有し、「△:追加判定要」に対応する領域は有しない。類否判定基準マップM2C-1は、登録意匠と前記模倣品との差異部分に意匠の要部が含まれていないと判定された場合に対応して予め設定されたマップである。
図34は、第3実施形態の第2判定で用いられる類否判定基準マップM2C-2を説明するための図である。類否判定基準マップM2C-2は、類否判定基準マップM2C-1と同様に、周長の近似差と面積の近似差との組み合わせと、類似の有無とが対応付けられたマップである。類否判定基準マップM2C-2、例えば、「〇:類似」に対応する領域と、「×:非類似」に対応する領域のみを有し、「△:追加判定要」に対応する領域は有しない。類否判定基準マップM2C-2は、登録意匠と前記模倣品との差異部分に意匠の要部が含まれていると判定された場合に対応して予め設定されたマップである。類否判定基準マップM2C-2は、類否判定基準マップM2C-1と比べて、「〇:類似」に対応する領域が狭く設定されている。
ここで、登録意匠と模倣品との差異部分に意匠の要部が含まれているか否かの判定方法の一例について説明する。本実施形態では、各登録意匠に対して、要部領域MR(図37参照)が設定されている。要部領域MRは、意匠の要部に対応する領域である。要部領域MRは、例えば、個々の登録意匠に対して設計とテスト結果などにより予め決定され、設定されている。そして、各登録意匠の要部領域MRを示す情報は、登録意匠と関連付けられて登録意匠DB503に登録されている。なお、要部領域MRは、各登録意匠に対して、サーバ装置10によって自動的に付与されてもよい。この場合、サーバ装置10は、例えば、登録意匠と周知意匠や公知意匠とを対比し、登録意匠のなかでありふれていない領域を要部領域MRとして設定する。サーバ装置10により設定された要部領域MRを示す情報は、登録意匠と関連付けられて登録意匠DB503に登録される。
そして、類否判定部330(またはパターン比較部250)は、パターン比較部250による上記パターン比較のなかで登録意匠と模倣品との差異部分を特定する。例えば、類否判定部330(またはパターン比較部250)は、ΣΔX、ΣΔY、ΣΔX、ΣΔY、Σ(ΔX+ΣY)などのうち1つまたは複数の値が対応する閾値以上である領域が存在する場合、その領域を差異部分として特定する。類否判定部330(またはパターン比較部250)は、第1実施形態の<(c)部分意匠に対するパターン比較の第1例>、<(d)部分意匠に対するパターン比較の第2例>、および<(e)部分意匠に対するパターン比較の第3例>と同様の方法によりΔLx、ΔLyを検出してもよい。この場合、上記に関連した第1実施形態の説明中における「部分意匠」との表現は、「要部領域MR」と読み替えられてもよい。
そして、類否判定部330(またはパターン比較部250)は、特定した差異部分に要部領域MRの少なくとも一部(または、例えば半分以上)が含まれる場合、登録意匠と模倣品との差異部分に意匠の要部が含まれていると判定する。一方で、類否判定部330(またはパターン比較部250)は、特定した差異部分に要部領域MRが含まれない場合、登録意匠と模倣品との差異部分に意匠の要部が含まれていないと判定する。
図35は、第3実施形態におけるパターン比較の一例を示す図である。なお図35中の(a)の2点鎖線は、対応する登録意匠(部分意匠)の形状を示す。図35に示す例は、図中の矢印で示すように、登録意匠と模倣品との差異部分に意匠の要部が含まれている場合を示す例である。このため、図35に示す模倣品は、類否判定基準マップM2C-2を用いて類似の有無が判定されることになる。
図36は、第3実施形態のサーバ装置10の処理の流れの一例を示すフローチャートである。本実施形態では、第1実施形態のフローにおいて、ステップS109~S114が行われる代わりに、以下に説明する判定処理が行われる。なお、登録意匠と模倣品との差異部分に意匠の要部が含まれているか否かの判定は、例えば、ステップS105(図24参照)のパターン比較のなかで予め行われる。
まず、類否判定部330は、類否判定基準マップM2Cを用いて第1判定を行う(ステップ401)。この第1判定では、類否判定基準マップM2Cに基づいて、追加の判定が必要か(「△:追加判定要」に該当するか)、模倣品が意匠権に類似していないか(「×:非類似」に該当するか)が判定される。この判定で模倣品が意匠権を類似していないと判定された場合、以下に説明するステップS402~S404を行うことなく、ステップS115に進む。
次に、類否判定部330は、上記第1判定で追加の判定が必要と判定された場合、登録意匠と模倣品との差異部分に意匠の要部が含まれているか否かを判定する(ステップS402)。
類否判定部330は、登録意匠と模倣品との差異部分に意匠の要部が含まれている場合(ステップS402:YES)、類否判定基準マップM2C-2を用いて第2判定を行う(ステップS403)。この第2判定では、類否判定基準マップM2C-2に基づいて、模倣品が意匠権に類似しているか(「〇:類似」に該当するか)、模倣品が意匠権に類似していないか(「×:非類似」に該当するか)が判定される。そして、ステップS115に進む。
一方で、類否判定部330は、登録意匠と模倣品との差異部分に意匠の要部が含まれていない場合(ステップS402:NO)、類否判定基準マップM2C-1を用いて第2判定を行う(ステップS404)。この第2判定では、類否判定基準マップM2C-1に基づいて、模倣品が意匠権を類似しているか(「〇:」に該当するか)、模倣品が意匠権を類似していないか(「×:非類似」に該当するか)が判定される。そして、ステップS115に進む。
このような構成によれば、第1実施形態と同様に、ウェブサイトにおける模倣品の掲載を減少させることができる。また第3実施形態(手法C)によれば、前記近似度と意匠権の類似の有無との対応関係が意匠権と模倣品との差異部分に意匠の要部が含まれているか否かによって予め設定された複数の類否判定基準マップM2C-1,M2C-2に基づき意匠権の類似に関する判定を行うことができる。これにより、判定を短時間且つより精度良く行うことができる。
本実施形態では、類否判定基準マップM2Cを用いて第1判定が行われ、その後、類否判定基準マップM2C-1またはM2C-2を用いて第2判定が行われる。このような構成によれば、類否判定基準マップM2Cを用いて意匠全体の類似度に基づく第1判定を行い、登録意匠に対して意匠全体の類似度が高い模倣品(第1判定で「△:追加判定要」の模倣品)について、意匠の要部を考慮した第2判定を行うことができる。これにより、意匠権の類似に関する判定をさらに高い精度で行うことができる。
ここで、第1実施形態および第2実施形態の観点は、全体意匠か部分意匠かということであり、一方で、第3実施形態の観点は、差異部分に意匠の要部が含まれるか否かということである。例えば、第2実施形態の類否判定基準マップM2A-2(部分意匠に関するマップ:図26)と、第3実施形態の類否判定基準マップM2C-2(図34)は同じ内容である。これは「部分意匠はその意匠の要部を必ず含む」という考えに基づくものである。ただし、その意匠の要部の一部を含むときのように、すべての要部が部分意匠とは限らない。
なお、第3実施形態の類否判定基準マップM2C、M2C-1、M2C-2の各々は、第1実施形態の変形例と同様の考え方で、図28および図29を参照して説明したマップと同様に、“△”に対応する領域(追加判定領域)と“×”に対応する領域(非類似領域)との境界、および“〇”に対応する領域(類似領域)と“×”に対応する領域(非類似領域)との境界が設定されてもよい。
(第1から第3実施形態の変形例)
次に、上記第1から第3実施形態の変形例について説明する。本変形例では、抽出部200の処理および判定部300の処理に関して、登録意匠の要部に対して重み付けが行われて処理される点で上記実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、上記実施形態と同様である。
図37は、本変形例のスキャニング部の処理の一例を説明するための図である。本変形例では、登録意匠に対して、要部領域MRが設定される。要部領域MRは、意匠の要部に対応する領域である。要部領域MRは、個々の登録意匠に対して予め設定される。そして、各登録意匠の要部領域MRを示す情報は、登録意匠と関連付けられて登録意匠DB503に登録されている。なお、要部領域MRは、各登録意匠に対して、サーバ装置10によって自動的に付与されてもよい。この場合、サーバ装置10は、例えば、登録意匠と周知意匠や公知意匠とを対比し、登録意匠のなかでありふれていない領域を要部領域MRとして設定する。サーバ装置10により設定された要部領域MRを示す情報は、登録意匠と関連付けられて登録意匠DB503に登録される。
本変形例では、抽出部200は、要部領域MRに対して重み付けを行ってパターン比較を行う。例えば、抽出部200は、Y方向の複数の位置それぞれについてX方向の長さを検出する場合に、要部領域(第1領域)MRをX方向に通る走査線のY方向の間隔g1を、要部領域MRを外れた領域(第2領域)URをX方向に通る走査線のY方向の間隔g2よりも小さく設定する。この場合、抽出部200は、模倣品のなかで登録意匠の要部領域MRに対応する領域に対しては、登録意匠の要部領域MRの場合と同じ間隔で走査線のY方向の間隔を設定する。これにより、抽出部200は、パターン比較における判定精度をさらに高め、模倣品を抽出する正確性を高めることができる。
また本変形例では、判定部300は、要部領域MRに対して重み付けを行って近似度を用いた判定を行う。例えば、判定部300は、登録意匠の周長LDの算出において、要部領域MRに沿う輪郭部分の長さを、例えば任意の重み付け係数を掛け合わせて大きくして加えるなど重み付けを行ってもよい。この場合、判定部300は、模倣品のなかで登録意匠の要部領域MRに対応する領域に沿う輪郭部分の長さを、要部領域MRと同じ重み付け係数を掛け合わせて大きくして加える。
また、判定部300は、上記に代えてまたは上記に加えて、登録意匠の面積SDの算出において、要部領域MRの面積を、例えば任意の重み付け係数を掛け合わせて大きくして加えるなど重み付けを行ってもよい。この場合、判定部300は、模倣品のなかで登録意匠の要部領域MRに対応する領域の面積を、要部領域MRと同じ重み付け係数を掛け合わせて大きくして加える。これにより、判定部300は、近似度を用いた判定の精度をさらに高めることができる。
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
1…模倣品知財対応システム
10…サーバ装置
20…端末装置
100…監視部
200…抽出部
230…受付部
300…判定部
400…情報出力部
500…記憶部

Claims (19)

  1. ウェブサイトに掲載された模倣品を抽出する抽出部と、
    前記抽出部により抽出された模倣品と、意匠権が登録されている意匠とに基づき前記模倣品と前記意匠との近似度を算出し、算出した前記近似度に基づき前記意匠権の類似に関する判定を行う判定部と、
    を備え、
    前記抽出部は、前記ウェブサイトに掲載された模倣品に対して前記近似度よりも簡易な基準に基づく1次判定を行うことで、前記判定部の判定対象として抽出される模倣品を絞り込む、
    とを特徴とする模倣品知財対応システム。
  2. ウェブサイトに掲載された模倣品を抽出する抽出部と、
    前記抽出部により抽出された模倣品と、意匠権が登録されている意匠とに基づき前記模倣品と前記意匠との近似度を算出し、算出した前記近似度に基づき前記意匠権の類似に関する判定を行う判定部と、
    純正品装備率と、1つ以上のウェブサイトにおける模倣品掲載数とのうち少なくとも一方を監視し、前記純正品装備率と前記模倣品掲載数とのうち少なくとも一方に基づき前記抽出部による抽出を行うか否かを判定する監視部と、
    を備えることを特徴とする模倣品知財対応システム。
  3. 前記監視部は、少なくとも前記純正品装備率を監視し、前記純正品装備率の現在値もしくは将来予想値が閾値未満になる場合、または、前記純正品装備率の減少量、前記純正品装備率の将来の予想減少量、前記純正品装備率の減少率、もしくは前記純正品装備率の将来の予想減少率が閾値以上になる場合に、前記抽出部による抽出を行うことを決定することを特徴とする請求項2に記載の模倣品知財対応システム。
  4. 前記監視部は、少なくとも前記模倣品掲載数を監視し、前記模倣品掲載数の現在値もしくは将来予想値が閾値以上になる場合、または、前記模倣品掲載数の増加量、前記模倣品掲載数の将来の予想増加量、前記模倣品掲載数の増加率、もしくは前記模倣品掲載数の将来の予想増加率が閾値以上になる場合に、前記抽出部による抽出を行うことを決定することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の模倣品知財対応システム。
  5. 前記監視部は、前記純正品装備率に関する値と前記模倣品掲載数に関する値との組み合わせに基づき前記抽出部による抽出を行うか否かを判定することを特徴とする請求項2から請求項4のうちいずれか1項に記載の模倣品知財対応システム。
  6. ウェブサイトに掲載された模倣品を抽出する抽出部と、
    前記抽出部により抽出された模倣品と、意匠権が登録されている意匠とに基づき前記模倣品と前記意匠との近似度を算出し、算出した前記近似度に基づき前記意匠権の類似に関する判定を行う判定部と、
    を備え、
    前記抽出部は、前記ウェブサイトに掲載された模倣品と前記意匠とに対して、複数の位置それぞれにおける特定方向の長さ同士を比較するパターン比較を行い、前記パターン比較の結果が所定の条件を満たす場合に前記ウェブサイトに掲載された模倣品を前記判定部の判定対象として抽出する、
    ことを特徴とする模倣品知財対応システム。
  7. 前記抽出部は、前記意匠が部分意匠である場合に、前記特定方向に沿う走査線が横切る前記意匠の両端部のうち少なくとも一方の端部が前記部分意匠の実線部分である位置について、前記特定方向の長さ同士を比較することを特徴とする請求項に記載の模倣品知財対応システム。
  8. 前記抽出部は、前記パターン比較を行う前に、前記ウェブサイトに掲載された模倣品の輪郭と前記意匠の輪郭とを合わせるために前記模倣品の輪郭と前記意匠の輪郭とのうち少なくとも一方の大きさを調整することを含むフィッティング処理を行い、前記フィッティング処理を行うことで前記模倣品の輪郭と前記意匠の輪郭との差異が閾値以下になる場合に、前記パターン比較を行うことなく前記ウェブサイトに掲載された模倣品を前記判定部の判定対象として抽出する、または、前記ウェブサイトに掲載された模倣品が前記意匠権に類似すると判定することを特徴とする請求項または請求項に記載の模倣品知財対応システム。
  9. 前記抽出部は、模倣品の画像の入力を受け付ける受付部を有し、
    前記判定部は、前記ウェブサイトに掲載された模倣品の画像が存在しない場合、前記受付部により受け付けられた画像と前記意匠とに基づき前記近似度を算出し、算出した前記近似度に基づき前記意匠権の類似に関する判定を行うことを特徴とする請求項1から請求項のうちいずれか1項に記載の模倣品知財対応システム。
  10. 前記判定部は、前記近似度として、前記抽出部により抽出された模倣品および前記意匠に対して周長の近似差と面積の近似差とをそれぞれ算出し、前記周長の近似差および前記面積の近似差に基づき前記意匠権の類似に関する判定を行うことを特徴とする請求項1から請求項のうちいずれか1項に記載の模倣品知財対応システム。
  11. 前記判定部は、前記周長の近似差と前記面積の近似差との組み合わせに基づき前記意匠権に類似しているか否かを判定することを特徴とする請求項10に記載の模倣品知財対応システム。
  12. 前記判定部は、前記意匠が部分意匠である場合、前記部分意匠の実線部分に沿う長さの合計を前記意匠の周長として算出し、前記抽出部により抽出された模倣品において前記部分意匠の実線部分に対応する部分の長さの合計を前記模倣品の周長として算出することを特徴とする請求項10または請求項11に記載の模倣品知財対応システム。
  13. 前記判定部は、前記意匠が部分意匠である場合、前記意匠の1つ以上の実線部分と、前記1つ以上の実線部分の複数の端部同士を結ぶ境界線とにより囲まれる特定領域の面積を前記意匠の面積として算出し、前記抽出部により抽出された模倣品において前記特定領域に対応する領域の面積を前記模倣品の面積として算出することを特徴とする請求項10から請求項12のうちいずれか1項に記載の模倣品知財対応システム。
  14. 前記判定部の判定結果を示す情報を出力する情報出力部をさらに備え、
    前記判定部は、前記抽出部により抽出された模倣品と、意匠権が登録されている全体意匠とに基づき前記模倣品と前記全体意匠との近似度を算出し、算出した前記近似度に基づき、前記全体意匠の意匠権に類似しているか、前記全体意匠の意匠権類似していないか、または前記全体意匠の意匠権に類似しているか否かかが未定であるかを判定し、
    前記情報出力部は、前記全体意匠の意匠権に類似していると判定された場合、または前記全体意匠の意匠権に類似していないと判定された場合に、前記判定部の判定結果として前記模倣品の類似の蓋然性を含む情報を出力することを特徴とする請求項1から請求項13のうちいずれか1項に記載の模倣品知財対応システム。
  15. ウェブサイトに掲載された模倣品を抽出する抽出部と、
    前記抽出部により抽出された模倣品と、意匠権が登録されている意匠とに基づき前記模倣品と前記意匠との近似度を算出し、算出した前記近似度に基づき前記意匠権の類似に関する判定を行う判定部と、
    前記判定部の判定結果を示す情報を出力する情報出力部と、
    を備え、
    前記判定部は、前記抽出部により抽出された模倣品と、意匠権が登録されている全体意匠とに基づき前記模倣品と前記全体意匠との近似度を算出し、算出した前記近似度に基づき、前記全体意匠の意匠権に類似しているか、前記全体意匠の意匠権に類似していないか、または前記全体意匠の意匠権に類似しているか否かかが未定であるかを判定し、
    前記情報出力部は、前記全体意匠の意匠権に類似していると判定された場合、または前記全体意匠の意匠権に類似していないと判定された場合に、前記判定部の判定結果として前記模倣品の類似の蓋然性を含む情報を出力し、
    前記判定部は、前記全体意匠を用いた判定では前記全体意匠の意匠権に類似しているか否かが未定であると判定された場合に、前記全体意匠を用いた判定の対象となった前記模倣品と、意匠権が登録されている部分意匠とに基づき前記模倣品と前記部分意匠との近似度を算出し、算出した前記近似度に基づき、前記部分意匠の意匠権に類似しているか、前記部分意匠の意匠権に類似していないかを判定する、
    とを特徴とする模倣品知財対応システム。
  16. ウェブサイトに掲載された模倣品を抽出する抽出部と、
    前記抽出部により抽出された模倣品と、意匠権が登録されている意匠とに基づき前記模倣品と前記意匠との近似度を算出し、算出した前記近似度に基づき前記意匠権の類似に関する判定を行う判定部と、
    を備え、
    前記判定部は、前記模倣品が対応する機種に基づき、前記近似度と前記意匠権の類似の有無との対応関係が予め前記機種毎に設定された複数の判定基準マップのなかから1つの判定基準マップを選択し、選択された前記判定基準マップに基づき前記意匠権の類似に関する判定を行う、
    ことを特徴とする模倣品知財対応システム。
  17. ウェブサイトに掲載された模倣品を抽出する抽出部と、
    前記抽出部により抽出された模倣品と、意匠権が登録されている意匠とに基づき前記模倣品と前記意匠との近似度を算出し、算出した前記近似度に基づき前記意匠権の類似に関する判定を行う判定部と、
    を備え、
    前記判定部は、前記意匠権が登録された意匠と前記模倣品との差異部分に意匠の要部が含まれているか否かに基づき、前記近似度と前記意匠権の類似の有無との対応関係が前記意匠と前記模倣品との差異部分に意匠の要部が含まれているか否かによって予め設定された複数の判定基準マップのなかから1つの判定基準マップを選択し、選択された前記判定基準マップに基づき前記意匠権の類似に関する判定を行う、
    ことを特徴とする模倣品知財対応システム。
  18. 1つまたは複数のコンピュータが、
    ウェブサイトに掲載された模倣品を抽出し、
    抽出された模倣品と意匠権が登録されている意匠とに基づき前記模倣品と前記意匠との近似度を算出し、
    算出した前記近似度に基づき前記意匠権の類似に関する判定を行う、
    ことを含み、
    前記模倣品を抽出することは、前記ウェブサイトに掲載された模倣品に対して前記近似度よりも簡易な基準に基づく1次判定を行うことで、前記判定の対象として抽出される模倣品を絞り込むことを含む、
    ことを特徴とする模倣品知財対応方法。
  19. 1または複数のコンピュータに、
    ウェブサイトに掲載された模倣品を抽出させ、
    抽出させた模倣品と意匠権が登録されている意匠とに基づき前記模倣品と前記意匠との近似度を算出させ、
    算出させた前記近似度に基づき前記意匠権の類似に関する判定を行わせ、
    前記模倣品を抽出させることは、前記ウェブサイトに掲載された模倣品に対して前記近似度よりも簡易な基準に基づく1次判定を行わせ、前記判定の対象として抽出される模倣品を絞り込ませることを含む、
    ことを特徴とするプログラム。
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