JP7258329B2 - 連続式振動流バッフル反応装置及び反応法 - Google Patents

連続式振動流バッフル反応装置及び反応法 Download PDF

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Description

本発明は、振動流バッフル反応器及び振動流バッフル晶析装置において、粒子の沈降による不良混合や詰まりの発生を防止する技術に関するものである。
半導体製造やメッキ業においては酸を利用することが多いが、消費された酸は、廃液として処理が必要となる。しかしながら、発生した廃液を処理業者に委託するとなると、大量の廃液輸送が必要となり、処理コストが高額となるという問題がある。そこで、低コストでの廃液処理を可能とするため、コンパクトな装置で、連続的に廃液を処理できる技術が望まれており、例えば、反応晶析を利用して廃水中のフッ素イオンをフッ化カルシウム(CaF)として回収する際の回収効率を高める技術が望まれている。また、ビニール袋に分散させて強度を高める目的等で利用される炭酸カルシウムを、反応晶析を利用して生成する際に、連続的に処理して生成効率を高める技術が望まれている。また、薬剤の晶析プロセスにおいても、反応晶析を利用して生成する際に、連続的に処理して生成効率を高める技術が望まれている。
一方、回分式撹拌槽が用いられるプロセスを、連続式(流通式)に転換する有力な反応装置として、振動流バッフル反応器(Oscillatory Baffled Reactor:OBR)がある。一般的に連続式の方が生産効率は高いが、原料や生成物の反応器内滞留時間に分布が生じるために、反応の進行に分布が生じる問題がある。このOBRは、他の連続式装置に比べ、押し出し流れ性能が高く、滞留時間に分布が生じにくいといった利点がある。
また、晶析プロセスも一般的に回分式撹拌槽が用いられるが、連続式晶析装置として、振動流バッフル晶析装置(Oscillatory Baffled Crystallizer:OBC)が開発されている。このOBCによれば、比較的一様に結晶成長させることが可能である。
ここで、バッフルとは、隔壁や邪魔板のことであり、主に流体の流れ方向に抗する位置に板などが設置されて、流体の流れを制御して、攪拌や混合に最適な流動状態を作りだすものである。
上記OBCを晶析プロセスに適用する際には、固液系の多相プロセスとなることから、重力による結晶の沈降を考慮する必要がある。すなわち、反応管内にトラップされた粒子は過剰に成長してしまうことや、沈降した粒子によって反応管内が詰まってしまうことなどの問題を回避しなければならず、結晶の成長を一様にするために、沈降によって反応管内に留まってしまう結晶を減らし、一様に結晶粒子を輸送する必要がある。
混合材料を生成し維持するための連続式混合装置として、環状バッフルが管状容器の側面から内側へ放射状に延設されるように略等間隔かつ平行に配置されている装置が知られている(特許文献1を参照)。しかしながら、特許文献1に開示された装置では、同心円の開孔を有する環状バッフルが用いられているため、粒子の沈降による不良混合や詰まりの発生が生じやすいという問題がある。
また、バッフルの開孔の適切な数値範囲を明らかにしたものとしては、ラジカル重合によるアニオン性ポリマーの連続製造のための方法が知られている(特許文献2を参照)。これは、管状反応器の管状部分において、複数の固定バッフルを備えるものであり、バッフルの外径を内径で除した値が1.2~5とするものである。しかしながら、特許文献2に開示された方法においても、環状のバッフルが用いられているため、やはり粒子の沈降による不良混合や詰まりの発生が生じやすいという問題がある。
また、バッフルの形状を工夫した技術として、バッフルカットが18~35%である複数のバッフルが反応器の内部に配置された反応器が知られている(特許文献3を参照)。これは、反応器の内部に流体経路が形成されるようにバッフルを設けたものであり、反応器内での粒子の滞留時間を長くすることを目的とするため、この反応器におけるバッフルは、粒子の沈降による不良混合や詰まりの発生を防止できるものではない。
特表2009-544465号公報 特表2017-537993号公報 特表2017-523039号公報
かかる状況に鑑みて、本発明は、内にバッフルを配置する連続式振動流バッフル反応装置において、粒子の沈降による不良混合や詰まりの発生を防止する装置及び方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決すべく、本発明の連続式振動流バッフル反応装置は、のみの開孔を有する環状のバッフルを管内に一定間隔で複数配置する連続式振動流バッフル反応装置において、バッフルの開孔を重力方向に偏心もしくはシフト、又は、バッフルの開口部を重力方向に偏らせたことを特徴とする。バッフルの開孔を重力方向に偏心もしくはシフト、又は、バッフルの開口部を重力方向に偏らせることにより、粒子の沈降による不良混合や詰まりの発生を防止することができる。
本発明の連続式振動流バッフル反応装置において、は、水平方向、又は略水平に設けられたことが好ましい。は、水平方向又は略水平に設けられると、流体を流通させた場合に重力方向に粒子の沈降が起こりやすくなるが、本発明の連続式振動流バッフル反応装置を用いることで、不良混合や詰まりの発生を防止することができる。
本発明の連続式振動流バッフル反応装置において、バッフルの開孔は、円形状又は楕円形状でもよい。バッフルの開孔が円形状又は楕円形状とされることにより、攪拌や混合の際の流動状態を安定化させることができる。
本発明の連続式振動流バッフル反応装置において、バッフルの開口部は、重力方向に位置する隔壁の一部の切欠きでもよい。バッフルの開口部が重力方向に位置する隔壁の一部の切欠きとされることで、粒子の沈降を効果的に防止することができる。
本発明の連続式振動流バッフル反応装置において、切欠き形状は、略扇形、又は、隔壁の一部を略半円、略半楕円もしくは水平方向に沿って直線状に切り取られた形状であることが好ましい。切欠き形状が、略扇形、又は、隔壁の一部を略半円、略半楕円もしくは水平方向に沿って直線状に切り取られた形状とされることで、攪拌や混合の際の流動状態を安定化させつつ、粒子の沈降を効果的に防止することができる。
本発明の連続式振動流バッフル反応法は、のみの開孔を有する環状のバッフルを管内に一定間隔で複数配置する連続式振動流バッフル反応法において、バッフルの開孔を重力方向に偏心もしくはシフト、又は、バッフルの開口部を重力方向に偏らせる。管は、水平方向、又は略水平に設けられたことが好ましい。また、バッフルの開孔は、円形状又は楕円形状でもよい。バッフルの開口部は、重力方向に位置する隔壁の一部の切欠きでもよい。バッフルの開口部の切欠き形状は、略扇形、又は、隔壁の一部を略半円、略半楕円もしくは水平方向に沿って直線状に切り取られた形状であることが好ましい。
本発明の連続式振動流バッフル反応装置及び反応法によれば、内で重力沈降を起こす粒子を適切に輸送でき、粒子の沈降による不良混合や詰まりの発生を防止できるといった効果がある。
固液系トレーサー応答実験に用いた装置の模式図 バッフルの斜視図 バッフルの正面図 堆積物発生の説明図 実施例1のステップ応答曲線の比較グラフ 実施例2の反応晶析実験に用いた装置の模式図 フッ化カルシウムの反応時間3.3分後における結晶収率を示したグラフ 実施例2の結晶粒径分布を示したグラフ 比較例及び実施例Aの振動1/4周期におけるバッフル1区画側断面の流線を可視化した図 実施例3の反応晶析実験に用いた装置の模式図 実施例3の反応晶析実験の結晶粒径分布を示したグラフ(比較例) 実施例3の反応晶析実験の結晶粒径分布を示したグラフ(実施例A) 実施例3の反応晶析実験の結晶粒径分布を示したグラフ(実施例B) 実施例3の反応晶析実験の結晶粒径分布を示したグラフ(実施例C) 収率の経時変化を示すグラフ 均一系トレーサー応答実験に用いた装置の模式図 実施例4のステップ応答曲線の比較グラフ
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照しながら詳細に説明していく。なお、本発明の範囲は、以下の実施例や図示例に限定されるものではなく、幾多の変更及び変形が可能である。
本実施例では、固液系トレーサー応答実験の結果について説明する。実験にはトレーサー粒子としてガラスビーズを使用している。使用したガラスビーズは、粒子径が38~53μmであり、炭酸カルシウムの粒子径より3倍程度大きいものの比重が2.5と炭酸カルシウムの比重に近いために採用したものである。なお、ガラスビーズ懸濁液の濃度は、2wt%である。
図1は、固液系トレーサー応答実験に用いた装置の模式図を示している。図1に示すように、反応装置1は、反応管2、インライン分光光度計3、振動発生器4、ポンプ5、及びガラスビーズ懸濁液6から成る。ガラスビーズ懸濁液6はポンプ5によって送り出され、ピストン方式の振動発生器4によって振動流れが発生し、反応管2へと供給される。振動流れとは、周期的に流体を吸い込んだり、押し出したりするときに発生する流れのことである。なお、流速は70mL/分で、滞留時間は1.5分である。
ガラスビーズの輸送性は、インライン分光光度計3を使用して、反応器出口の吸光度を測定することにより行った。ここで、反応管2の長さLは、800mmであり、反応管2の内部には複数のバッフル7が設けられているが、バッフル7同士の間隔はいずれも20mmである。
図2は、バッフルの斜視図であり、(1)は比較例のバッフル、(2)は実施例Aのバッフル、(3)は実施例Bのバッフル、(4)は実施例Cのバッフルを示している。
比較例のバッフルは、図2(1)に示すように、バッフル7aの中央に同心円孔である孔部71aが設けられている。
実施例Aのバッフルは、図2(2)に示すように、バッフル7bには、孔部71aと同じく円形状の孔部71bが設けられている。しかしながら、比較例のバッフル7aとは異なり、孔部71bの最下部とバッフル7bの最下部は近接した位置となるように偏心して設けられている。
実施例Bのバッフルは、図2(3)に示すように、バッフル7cには下部にカット部71cが設けられている。カット部71cは、カット部であるという点では後述するバッフル7dのカット部71dと同様であるが、上部が円弧形状となっており、バッフル7aやバッフル7bとも類似した形状となっている。
実施例Cのバッフルは、図2(4)に示すように、バッフル7dには下部にカット部71dが設けられている。
なお、バッフル(7a~7d)の厚みは、いずれも2mmに揃えている。
図3は、バッフルの正面図であり、(1)は比較例のバッフル、(2)は実施例Aのバッフル、(3)は実施例Bのバッフル、(4)は実施例Cのバッフルを示している。
図3に示すように、バッフル(7a~7d)の外形はいずれも円形状であり、直径Dは13mmとなっている。図3(1)に示すバッフル7aの孔部71aの直径Dと、図3(2)に示すバッフル7bの孔部71bの直径Dはいずれも6mmであり、両者の違いは孔部の設けられた位置が異なるのみである。また、図3(3)に示すカット部71cの高さHは、5mmであり、図3(4)に示すカット部71dの高さHは、3.05mmとなっている。バッフルの表面積に対する孔部(71a,71b)又はカット部(71c,71d)の面積割合は、バッフル(7a,7b,7d)が21%、バッフル7cが16%となっている。
図4は、堆積物発生の説明図を示している。図4に示すように、反応管2にはバッフル7aが設けられ、バッフル7aの中央には孔部71aが設けられている。図示しないが、懸濁液は全体として矢印9に示す方向に流れる。しかしながら、懸濁液が流通するに連れて、次第に堆積物8が発生する。この堆積物8の発生が装置の効率性を低下させる原因となる。
図5は、実施例1のステップ応答曲線の比較グラフであり、(1)は比較例のバッフル、(2)は実施例Aのバッフル、(3)は実施例Bのバッフル、(4)は実施例Cのバッフルを示している。(1)~(4)のグラフの縦軸は、いずれも検出された懸濁液粒子濃度であり、最大が2wt%となっている。また、グラフの横軸は、流通する液を、水から懸濁液に切り替えて反応器に導入してからの経過時間を示している。懸濁液の反応器滞留時間が約90秒であるので、90秒あたりから検出器に粒子が到達し始めたと推察する。
図5(1)に示すように、比較例のバッフルでは、ほとんどが堆積してしまい、1400秒の実験時間内では2wt%まで到達しなかったことが分かる。図5(2)に示すように、実施例Aのバッフルでは、100秒あたりから検出部の粒子濃度が上がってきたことが分かる。実施例Aのバッフルでは、上昇流によって沈降粒子の堆積が抑制され、2wt%まで到達している。図5(3)に示すように、実施例Bのバッフルでは、濃度の立ち上がりも鋭く、粒子の輸送が適切に行われたことが分かる。図5(4)に示すように、実施例Cのバッフルでは、最終的に2wt%程度まで上がるものの、堆積が多くみられたことが分かる。さらに濃度変動も起きている。
以上より、カット部の形状を、実施例Bのカット部71cのような円形に近い形状として、渦流を発生させることが適切な粒子輸送に効果的であることが分かった。
図6は、実施例2の反応晶析実験に用いた装置の模式図を示している。図6に示すように、反応装置11は、反応管2、振動発生器4、ポンプ5、濾過装置10、フッ化ナトリウム水溶液61、及び塩化カルシウム水溶液62から成る。反応管2の長さLは、1200mmである。反応管2の内部に設けられたバッフル7同士の間隔は、実施例1と同様にいずれも20mmである。
フッ化ナトリウム水溶液61及び塩化カルシウム水溶液62は、それぞれポンプ5によって送り出され、ピストン方式の振動発生器4によって振動流れが発生し、反応管2へと供給される。なお、フッ化ナトリウム水溶液61の流速は30mL/分で、塩化カルシウム水溶液62の流速は15mL/分である。また、フッ化ナトリウム水溶液61及び塩化カルシウム水溶液62の濃度はいずれも15mmol/Lであり、滞留時間はいずれも3.3分である。
図7は、フッ化カルシウムの反応時間3.3分後における結晶収率を示したグラフであり、攪拌槽を用いた場合、比較例のバッフル及び実施例Aのバッフルを用いた場合について比較したものである。図7の棒グラフにおいて、左3つの棒グラフは低動力の場合、右3つの棒グラフは高動力の場合を示している。ここで、収率の測定は、サンプルを濾紙上で乾燥し、重量を測る重量測定法により行った。図7に示すように、実施例Aのバッフルの場合の収率は、攪拌槽には及ばないが、比較例のバッフルの場合の収率を上回ることが確認できた。
なお、低動力の場合、攪拌槽のレイノルズ数(Re)は9546、比較例及び実施例Aの振動レイノルズ数(Re)は309であり、高動力の場合、攪拌槽のレイノルズ数(Re)は19924、比較例及び実施例Aの振動レイノルズ数(Re)は615であった。振動レイノルズ数(Re)とは、流体の慣性力と粘性力の比を表す無次元量のことである。
図8は、実施例2の結晶粒径分布を示したグラフであり、(1)は攪拌槽を用いた場合と比較例のバッフルを用いた場合、(2)は比較例のバッフルを用いた場合と実施例Aのバッフルを用いた場合を比較したものである。粒子径分布の測定には、レーザー回折式粒度分布測定装置SALD-300V(株式会社島津製作所製)を用いた。図8(1)及び(2)に示すように、いずれにおいても粒径の大きな粒子が堆積することが、反応管を詰まらせる原因となっていることが確認できた。
図9(1)~(4)は、比較例のバッフルを用いた場合及び実施例Aのバッフルを用いた場合の振動1/4周期におけるバッフル1区画側断面の流線を可視化した図である。図9(1)は振動レイノルズ数が309の比較例のバッフルを用いた場合、図9(2)は振動レイノルズ数が309の実施例Aのバッフルを用いた場合、図9(3)は振動レイノルズ数が615の比較例のバッフルを用いた場合、図9(4)は振動レイノルズ数が615の実施例Aのバッフルを用いた場合を示している。
図9(1)及び(3)に示すように、比較例のバッフルを用いた場合においては、より高動力になるほど停滞が起こりやすくなることが分かる。これに対して図9(2)及び(4)に示すように、実施例Aのバッフルを用いた場合においては、より高動力になるほど混合が進みやすくなることが分かる。
実施例3として、比重が2.7である炭酸カルシウムを得る連続式の反応晶析実験を行った。
図10は、実施例3の反応晶析実験に用いた装置の模式図を示している。図10に示すように、反応装置12は、反応管2、振動発生器4、ポンプ5、濾過装置10、炭酸アンモニウム水溶液63、及び硫酸カルシウム水溶液64から成る。反応管2の長さLは、800mmである。反応管2の内部に設けられたバッフル7同士の間隔は、実施例1と同様にいずれも20mmである。
炭酸アンモニウム水溶液63及び硫酸カルシウム水溶液64は、それぞれポンプ5によって送り出され、ピストン方式の振動発生器4によって振動流れが発生し、反応管2へと供給される。なお、炭酸アンモニウム水溶液63及び硫酸カルシウム水溶液64のいずれも、流速は35mL/分、振動レイノルズ数は820、振幅は6.3mm、振動数は1.6Hz、ストローハル数(St)は0.16となっている。ここで、ストローハル数とは、流れにある振動現象の周波数を表す無次元量のことである。
図11~14は、実施例3の反応晶析実験の結晶粒径分布を示したグラフであり、図11は比較例のバッフルを用いた場合、図12は実施例Aのバッフルを用いた場合、図13は実施例Bのバッフルを用いた場合、図14は実施例Cのバッフルを用いた場合を示している。また、それぞれ(1)は実験開始から35分経過後1分間サンプリングを行った結果、(2)は実験開始から65分経過後1分間サンプリングを行った結果を示している。なお、粒子径分布の測定方法は実施例2と同様である。ここで、図のグラフにおける横軸は粒径(μm)を示し、棒グラフの縦軸は頻度(%)、折れ線グラフの縦軸は累積頻度(%)を示している。
図11に示すように、比較例においては、30μm付近にピークが現れ、堆積していた結晶が遅れて出口まで輸送された。これは、粒子が適切に輸送されなかったことを示している。これに対して、図12に示すように、実施例Aにおいては、30μm付近にピークは見られなかった。右に尾をひくような分布となり、堆積していた結晶が遅れて出てきたことが推察される。図13に示すように、実施例Bにおいては、他の例と比べ極めてシャープな粒径分布となっている。図14に示すように、実施例Cの場合は、他の例と比較して、幅広い粒径分布となっており、また、小さな結晶が見られた。これは、反応液が十分に混合されずに反応管内を流通してしまったことによる影響が考えられる。
下記表1は、比較例のバッフルを用いた場合、実施例Aのバッフルを用いた場合、実施例Bのバッフルを用いた場合、及び実施例Cのバッフルを用いた場合における5点(17.5~77.5分)での平均収率(%)を示している。
Figure 0007258329000001
上記表1に示すように、比較例のバッフルを用いた場合の平均収率は17.0%、実施例Aのバッフルを用いた場合の平均収率は21.1%、実施例Bのバッフルを用いた場合の平均収率は19.6%、実施例Cのバッフルを用いた場合の平均収率は26.9%となっており、かかるデータからは、実施例Cのバッフルを用いた場合の収率が最も高いといえる。しかしながら、初期においては安定化していないため、平均収率だけで評価するのは妥当ではない。
図15は、収率の経時変化を示すグラフであり、縦軸は収率(%)、横軸は経過時間(分)を示している。図15に示すように、実施例Aのバッフルを用いた場合及び実施例Cのバッフルを用いた場合については、ある程度収率が安定化していることが分かる。また、比較例のバッフルを用いた場合では、約45分以降で安定化していることが分かる。実施例Cのバッフルを用いた場合については、不安定であり、初期の高収率は信用できないといえる。
本実施例では、均一系トレーサー応答実験の結果について説明する。図16は、均一系トレーサー応答実験に用いた装置の模式図を示している。図16に示すように、反応装置13は、反応管2、導電率計31、振動発生器4、ポンプ5、及び塩化ナトリウム水溶液65から成る。塩化ナトリウム水溶液65はポンプ5によって送り出され、ピストン方式の振動発生器4によって振動流れが発生し、反応管2へと供給される。なお、流速は70mL/分で、滞留時間は1.5分である。
実験は30mmol/Lの塩化ナトリウム水溶液65を1mol/Lの塩化ナトリウム水溶液65に切り替えて、導電率計31により塩化ナトリウムの電導度を測定することで行った。
評価方法としては、F関数及びE関数を用いた。ここで、F関数とは、階段的に原料濃度が切り替わった(濃くなった)場合に、反応器の出口ではどのように濃度が上昇するかを測定したものであり、原料濃度で規格化しているため、最小値は0で、最大値は1となる。階段状の入力が入っても、反応器内で前後の混合が起こるため、たとえばS字状の応答曲線が得られる。また、E関数とは、インパルス状(理想的にはデルタ関数)にトレーサーを注入した場合に出口で得られる関数のことであり、面積は規格化して1になる。F関数を微分するとE関数になる。E関数は、F関数に比べて、視覚的に前後への混合が分かりやすいという利点がある。
反応管2の長さLは、800mmであり、反応管2の内部には複数のバッフル7が設けられているが、バッフル7同士の間隔はいずれも20mmである。また、振動レイノルズ数は820、振幅は6.3mm、振動数は1.6Hz、ストローハル数(St)は0.27である。
均一系トレーサー応答実験においては、図2及び図3で説明したバッフル(7a~7d)と同様のバッフルを用いて実験を行った。
図17は、実施例4のステップ応答曲線の比較グラフであり、図17(1)はF関数による比較グラフ、図17(2)はE関数による比較グラフを示している。図17(1)のグラフの縦軸はF関数により得られた数値であり、図17(2)のグラフの縦軸はE関数により得られた数値である。また、図17(1)及び(2)のグラフの横軸はいずれも経過時間(秒)を示している。図17(1)に示すように、F関数により得られた数値では、比較例、実施例A、実施例B、及び実施例Cのいずれについても大きな差は確認できなかった。また、図17(2)に示すように、E関数により得られた数値においても、大きな差は確認できなかったが、比較例では分散値がわずかに大きく、実施例Cでは逆に分散値がわずかに小さいことが分かった。また、実施例A及び実施例Bについては、比較例と実施例Cの間くらいでほぼ同じであることが分かった。
以上より、均一系トレーサーを用いた場合では、比較例、実施例A、実施例B、及び実施例Cのいずれのバッフルを用いた場合でも、固液系トレーサーを用いた場合に見られたような大きな差は見られなかった。
本発明は、ガラス基板などのエッチングの際に排出されるフッ素含有廃水を反応晶析によって除去するというプロセスの連続化に有用である。また、医薬品産業において、薬剤を結晶として取り出す回分式晶析プロセスを連続化する際にも利用可能である。
1,11~13 反応装置
2 反応管
3 インライン分光光度計
4 振動発生器
5 ポンプ
6 ガラスビーズ懸濁液
7,7a~7d バッフル
8 堆積物
9 矢印
10 濾過装置
31 導電率計
61 フッ化ナトリウム水溶液
62 塩化カルシウム水溶液
63 炭酸アンモニウム水溶液
64 硫酸カルシウム水溶液
65 塩化ナトリウム水溶液
71a,71b 孔部
71c,71d カット部
D 直径
H 高さ
L 長さ

Claims (8)

  1. のみの開孔を有する環状のバッフルを管内に一定間隔で複数配置する連続式振動流バッフル反応装置において、前記バッフルの前記開孔を重力方向に偏心もしくはシフトした位置に設け、又は、前記バッフルの開口部を重力方向に位置する隔壁の一部の切欠き形状とし、渦流を発生させることを特徴とする連続式振動流バッフル反応装置。
  2. 前記管が、水平方向、又は略水平に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の連続式振動流バッフル反応装置。
  3. 前記バッフルの前記開孔は、円形状又は楕円形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の連続式振動流バッフル反応装置。
  4. 前記切欠き形状は、略扇形、又は、隔壁の一部を略半円、略半楕円もしくは水平方向に沿って直線状に切り取られた形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の連続式振動流バッフル反応装置。
  5. のみの開孔を有する環状のバッフルを管内に一定間隔で複数配置する連続式振動流バッフル反応法において、前記バッフルの前記開孔を重力方向に偏心もしくはシフトした位置に設け、又は、前記バッフルの開口部を重力方向に位置する隔壁の一部の切欠き形状とし、渦流を発生させることを特徴とする連続式振動流バッフル反応法。
  6. 前記管が、水平方向、又は略水平に設けられたことを特徴とする請求項5に記載の連続式振動流バッフル反応法。
  7. 前記バッフルの前記開孔は、円形状又は楕円形状であることを特徴とする請求項5又は6に記載の連続式振動流バッフル反応法。
  8. 前記切欠き形状は、略扇形、又は、隔壁の一部を略半円、略半楕円もしくは水平方向に沿って直線状に切り取られた形状であることを特徴とする請求項5又は6に記載の連続式振動流バッフル反応法。
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