以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図に示す各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。また、本明細書または請求項中に「第1」、「第2」等の用語が用いられる場合には、特に言及がない限りこの用語はいかなる順序や重要度を表すものでもなく、ある構成と他の構成とを区別するためのものである。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
図1は、実施の形態に係る車両用灯具の正面図である。図2は、図1のA-A線に沿った断面図である。本実施の形態の車両用灯具1は、例えば車両後方に配置されるリアコンビネーションランプである。本実施の形態では説明の便宜上、灯具前後方向と車両用灯具1が搭載される車体の前後方向とを同一の方向とし、灯具左右方向を車体の車幅方向と同一の方向とする。
車両用灯具1は、車両前方側に開口を有するランプボディ2と、ランプボディ2の開口を覆う透光性のアウターカバー4と、を備える。ランプボディ2とアウターカバー4とで形成される灯室6内には、光源8と、導光体10と、エクステンション部材12と、が収容される。光源8、導光体10およびエクステンション部材12は、それぞれランプボディ2に固定される。
光源8は、例えばLED(発光ダイオード)である。なお、光源8は、LD(レーザーダイオード)、有機または無機EL(エレクトロルミネセンス)等の他の半導体発光素子や、白熱球、ハロゲンランプ、放電球等であってもよい。本実施の形態では、1つの導光体10に対し、第1光源8aおよび第2光源8bが設けられている。以下では、第1光源8aおよび第2光源8bを区別する必要がない場合、これらをまとめて光源8と称する。光源8は、ブラケット9を介してランプボディ2に固定される。ブラケット9は、例えばアルミニウムなどの熱伝導性材料で構成される。
導光体10は、透光性を有する樹脂部材である。導光体10に用いられる樹脂としては、例えばポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂等の、透明な熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂を挙げることができる。導光体10は、後述する樹脂の射出成形によって形成される。
導光体10は、互いに接続される導光部14および発光部16を有する。導光部14は、光源8の光が入射され、光源8の光を内部で導光しながら発光部16との接続部18において発光部16に出射する。発光部16は、光拡散材17(図4参照)を含有し、接続部18から入射する光源8の光を内部で導光しながら光拡散材17によって導光体10の外部に出射する。光拡散材17は、発光部16内で実質的に均一に分散している。接続部18は、導光体10において導光部14と発光部16との界面を含む領域である。
また、導光部14は棒状部20を有し、発光部16は板状部22を有する。本実施の形態において、導光部14は、棒状部20および薄膜部21(図4参照)で構成される。発光部16は、全体が板状部22で構成される。そして、接続部18において、棒状部20の周面と板状部22の側面とが接続される。棒状部20は、光源8の光が端面から入射され、光源8の光を内部で導光しながら周面から板状部22の側面に出射する。板状部22は、側面から入射する光源8の光を内部で導光しながら光拡散材17によって板状部22の主表面から出射する。好ましくは、棒状部20は板状部22の2つ以上の側面に接続される。
薄膜部21は、板状部22の両側の主表面を被覆する。薄膜部21は、実質的に導光機能を有しない。また、薄膜部21は、板状部22の主表面からの光の出射を阻害しない。したがって、導光部14は、実質的に棒状部20で構成される。導光部14は、薄膜部21を有しなくてもよく、また薄膜部21を有する場合であっても無視することができる。
本実施の形態の棒状部20は、灯具正面から見て略U字状であり、第1端面20aおよび第2端面20bと、第1端面20aおよび第2端面20bをつなぐ周面20cと、を有する。第1端面20aおよび第2端面20bは、車両用灯具1の車幅方向における一端側に配置され、互いに上下方向にずれている。端面とは、棒状部20の端部において延伸軸と交わる方向に延びる表面である。周面とは、棒状部材の延伸軸に沿って延びる表面である。
本実施の形態の板状部22は、灯具正面から見て略矩形状であり、第1側面22a、第2側面22b、第3側面22cおよび第4側面22dと、第1主表面22eおよび第2主表面22fと、を有する。第1側面22a~第4側面22dは、第1主表面22eおよび第2主表面22fをつなぐ面である。第1側面22aおよび第3側面22cは、車幅方向に延びるとともに互いに対向する。第2側面22bおよび第4側面22dは、鉛直方向に延びるとともに互いに対向する。第1主表面22eおよび第2主表面22fは互いに対向し、第1主表面22eは灯具後方を向き、第2主表面22fは灯具前方を向く。
棒状部20は、板状部22の第1側面22a、第2側面22bおよび第3側面22cに沿って延在する。そして、接続部18において、棒状部20の周面20cが板状部22の第1側面22a~第3側面22cに接続される。つまり、本実施の形態の棒状部20は、板状部22の3つの側面に接続される。また、棒状部20の第1端面20aの近傍には第1光源8aが配置され、棒状部20の第2端面20bの近傍には第2光源8bが配置される。第1光源8aは、その発光面が第1端面20aと対向するように配置される。第2光源8bは、その発光面が第2端面20bと対向するように配置される。
したがって、棒状部20は、第1光源8aの光が第1端面20aから入射され、第2光源8bの光が第2端面20bから入射される。第1端面20aから棒状部20に入射された第1光源8aの光は、棒状部20の内部で導光されながら、周面20cから主に板状部22の第1側面22aおよび第2側面22bに出射される。なお、第1光源8aの光の一部は、第3側面22cにも出射され得る。また、第2端面20bから棒状部20に入射された第2光源8bの光は、棒状部20の内部で導光されながら、周面20cから主に板状部22の第3側面22cおよび第2側面22bに出射される。なお、第2光源8bの光の一部は、第1側面22aにも出射され得る。
板状部22は、第1側面22a~第3側面22cから入射する光源8の光を内部で導光しながら光拡散材17によって第2主表面22fから出射する。光拡散材17としては、金属酸化物粒子、例えば二酸化チタン粒子を挙げることができる。二酸化チタン粒子の平均粒径は、例えば150~500nm、好ましくは160~450nm、より好ましくは170~450nm、さらに好ましくは200~400nm、特に好ましくは220~400nmである。光拡散材17の含有量は、発光部16の質量全体に対して例えば0.1~100質量ppm、好ましくは0.1~50質量ppm、より好ましくは0.1~10質量ppmである。
二酸化チタン粒子は、ルチル変態の割合が例えば50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。発光部16には、用いられる樹脂の主要モノマーと共重合可能な他のモノマーや、帯電防止剤、酸化防止剤、離型剤、難燃剤、潤滑剤、流動性改善剤、充填剤、光安定剤等の一般的な添加剤が含有されてもよい。なお、導光部14における光拡散材17の含有量は発光部16における含有量よりも少なく、本実施の形態の導光部14は光拡散材17を含有しない。
発光部16を構成する材料は、板厚4mmの平板として測定した場合に、少なくとも一部における板厚方向でのヘイズ値が7%超30%以下である。なお、導光部14を構成する材料は、同条件で測定した場合にヘイズ値が7%以下である。また、発光部16を構成する材料は、板厚4mmの平板として測定した場合に、少なくとも一部における板厚方向での可視光の透過率(一方の主表面の法線方向で当該主表面から入射する光の量に対する、他方の主表面から全方向に出射する光の量の割合)が60%以上92%以下である。
導光部14および発光部16のヘイズ値は、ヘーズメーターHZ-2(スガ試験機社製)を用いてJIS K7136に準拠して測定することができる。発光部16の可視光透過率は、ヘーズメーターHZ-2(スガ試験機社製)を用いてJIS K7361-1に準拠して測定することができる。
また、発光部16を構成する材料からなる平板材(以下では便宜上、この平板材を板状部22とする)は、2つの主要面をつなぐ側面から入射する光が主表面から出射される際の出射効率について、以下の条件を満たす。図3(A)および図3(B)は、板状部の光出射効率の測定方法を説明するための模式図である。図3(A)は、板状部22の寸法とLEDの配置とを示している。図3(B)は、固定枠Bが取り付けられた板状部22を光出射面C側から見た様子を示している。
図3(A)に示すように、上下方向の長さ100mm、左右方向の長さ190mm、厚さ3.2mmの直方体状の板状部22を用意する。この板状部22の側面Aを光源光の入射面とする。そして、側面Aの法線方向にLEDを配置する。LEDは、焦点Pが側面Aを向き、且つ焦点Pから側面Aまでの距離が1.85mmとなるように配置される。LEDの発光面からは、180°の範囲で光が拡散する。
また、図3(B)に示すように、用意した板状部22の周囲を固定枠Bで覆う。固定枠Bで覆われた状態で、板状部22の光出射面Cは、上下方向の長さが90mm、左右方向の長さが160mmとなる。固定枠Bは、表面および裏面ともに光を反射しない。また、光出射面Cの法線方向で光出射面Cから√10の距離に、受光面(図示せず)を配置する。
この状態で、LEDから光を出射させる。そして、光出射面Cの中心を通る法線と受光面との交点を中心として、受光面上の上下15°×左右25°の矩形領域に照射される光の光束を測定する。板状部22の場合、当該矩形領域に照射される光の光束は、LEDから出射される光の光束を1としたときに0.3%以上となる。
また、板状部22は、側面から光が入射されると、主表面からの単位面積当たりの出射光量の方が、光が入射した側面に背向する側面からの単位面積当たりの出射光量よりも多く、一方の主表面から光が入射されると、他方の主表面からの単位面積当たりの出射光量の方が側面からの単位面積当たりの出射光量よりも多い、という光学的特性を有する。
すなわち、板状部22は、側面から光が入射される場合と、主表面から光が入射される場合とのいずれであっても、主表面から出射される光の割合が側面から出射される光の割合より高い。ただし、板状部22は、側面からも所定量の光が出射される。したがって、板状部22は、任意の1つの側面を光入射面とした場合に、2つの主表面と他の側面とが発光部として視認される。
図1および図2に示すように、エクステンション部材12は、おおよそ中央に開口12aを有する枠状の部材であり、灯具前方から見て導光体10とアウターカバー4の周縁部との間を覆う。これにより、光源8およびブラケット9を灯具外部に対して隠すことができる。開口12aからは、導光体10のおおよそ全体が露出する。したがって、灯具外部からは発光部16だけでなく導光部14も視認される。
続いて、導光体10の形状について詳細に説明する。図4は、導光体10における接続部18を含む領域を拡大して示す断面図である。図5(A)は、図4のB-B線に沿った断面図である。図5(B)は、図4のC-C線に沿った断面図である。図5(C)は、図4のD-D線に沿った断面図である。
なお、図4には一例として、接続部18のうち第2側面22bと周面20cとが接続される部分を図示しているが、第1側面22aと第3側面22cとが接続される部分および第3側面22cと第3側面22cとが接続される部分も同様の構造を有する。また、以下の説明では、接続部18において導光部14および発光部16が並ぶ方向、言い換えれば棒状部20および板状部22が並ぶ方向を第1方向Xとする。また、第1方向Xと直交する方向を第2方向Yおよび第3方向Zとする。第2方向Yおよび第3方向Zは互いに直交する。
第2側面22bと周面20cとが接続される部分においては、第1方向Xは車幅方向であるが、第1側面22aと周面20cとが接続される部分および第3側面22cと周面20cとが接続される部分においては、第1方向Xは上下方向である。また、第1方向Xは、導光体10の内側から外側に向かう方向もしくは外側から内側に向かう方向と言うこともできる。
導光体10は、接続部18において導光部14と発光部16との割合が段階的または連続的に、徐々に変化する形状を有する。具体的には、接続部18における第1方向Xと直交する断面、つまり第2方向Yおよび第3方向Zに拡がるYZ平面上での導光部14および発光部16の割合は、発光部16側から導光部14側に向かうにつれて発光部16の割合が徐々に減少し、導光部14の割合が徐々に増加する。言い換えれば、導光体10の当該断面の全面積に占める発光部16の面積の比率は、導光部14に向かうにつれて徐々に減少する。つまり、導光部14と発光部16との界面は、第1方向Xと直交する断面と交わる方向に延びる部分を少なくとも一部に有する。このため、接続部18において、光拡散材17の量は発光部16から導光部14に向かって徐々に減少していく。
また、本実施の形態の板状部22は、接続部18において、板厚方向(つまり第3方向Z)の中央部が棒状部20に向かって突出して、棒状部20に嵌入する。つまり、板状部22の第1側面22a~第3側面22cは、XZ平面上において周面20cに向かって凸の湾曲形状を有する。第1側面22a~第3側面22cと、第1主表面22eおよび第2主表面22fとは、なだらかに連続する。また、第1側面22a~第3側面22cに接する周面20cは、第1側面22a~第3側面22cの湾曲形状に対応する凹の湾曲形状を有する。そして、第1側面22a~第3側面22cの凸部と、これらに接する周面20cの凹部とが互いに嵌合する。
車両用灯具1は、発光部16から光を出射することで、例えばストップランプ、テールランプ、ターンシグナルランプ、クリアランスランプ、デイタイムランニングランプ等として機能することができる。また、車両用灯具1は、車両前方に配置されてもよい。この場合、車両用灯具1は、発光部16から光を出射することで、ヘッドランプ、ターンシグナルランプ、クリアランスランプ、デイタイムランニングランプ等として機能することができる。
(導光体10の製造方法)
続いて、導光部14と発光部16とを有する導光体10の製造方法について説明する。図6(A)は、実施の形態に係る導光体10の製造方法で用いられる金型の断面図である。図6(B)は、図6(A)のE-E線に沿った断面図である。金型100は、複数の型によって導光体10に対応するキャビティ(成形空間)102を形成する。本実施の形態のキャビティ102は、全体が均一な厚みを有する。
本実施の形態の金型100は、第1型104と、第2型106と、ゲート型108と、を有する。第1型104は固定型であり、第2型106は可動型である。第1型104は、導光体10の形状に対応する凹部110を有する。第2型106は、凹部110の開口を塞ぐ第1面112を有する。ゲート型108は、キャビティ102に溶融樹脂を注入するためのゲート114を有する。ゲート114は、凹部110に接続される。また、ゲート型108は、樹脂流路116を有する。樹脂流路116は、ゲート114に接続される。
樹脂流路116には、第1樹脂122(図5(A)参照)を射出する第1ノズル118と、第2樹脂124(図5(B)参照)を射出する第2ノズル120と、が接続される。第1樹脂122は導光部14を構成する樹脂であり、第2樹脂124は発光部16を構成する樹脂である。第1樹脂122は光拡散材17の含有量が相対的に少なく、第2樹脂124は光拡散材17の含有量が相対的に多い。本実施の形態の第1樹脂122は光拡散材17を含有しない。
図7(A)、図7(B)および図7(C)は、導光体10の製造工程を模式的に示す図である。なお、図7(A)~図7(C)では、第1ノズル118および第2ノズル120の図示を省略している。図7(A)に示すように、まず第1型104、第2型106およびゲート型108を型締めする。樹脂流路116には、第1ノズル118および第2ノズル120が接続される。第1樹脂122および第2樹脂124は、所定の溶融温度に加熱される。そして、金型100を所定温度に保った状態で、溶融した第1樹脂122を所定の射出圧でゲート114からキャビティ102内に向けて射出する。これにより、キャビティ102内に溶融した第1樹脂122が徐々に充填されていく。
続いて、図7(B)に示すように、キャビティ102内の第1樹脂122が未硬化の状態で、溶融した第2樹脂124をキャビティ102内に射出する。第2樹脂124は、第1樹脂122と同じゲート114からキャビティ102に射出される。第2樹脂124の射出開始とともに、第1樹脂122の射出は停止される。第2樹脂124の射出は、第1樹脂122の射出量が最終的に形成される導光部14の大きさに相当する量になったときに開始される。したがって、当然に第2樹脂124の射出は、キャビティ102内が第1樹脂122で充満していない状態で開始される。
続いて、図7(C)に示すように、第2樹脂124の射出を継続し、キャビティ102内を第1樹脂122および第2樹脂124で満たす。先に射出された第1樹脂122は、後に射出された第2樹脂124によってキャビティ102の周縁部に押しやられる。したがって、キャビティ102の周縁部に第1樹脂122が延在し、キャビティ102の中央部に第2樹脂124が延在する。所定時間が経過した後、金型100を型開きする。また、ニッパー、ヒートニッパー、はさみ、ギロチン切断機、レーザー、手折り等の公知の手段でゲートカットが施される。これにより、図1に示すように、発光部16の3方が導光部14で囲まれた導光体10が得られる。
溶融した第1樹脂122の射出と、溶融した第2樹脂124の射出とを連続して実施することで、導光部14と発光部16との接続部18において、発光部16の板厚方向における中央部を導光部14に嵌入させることができる。つまり、接続部18において導光部14および発光部16の割合が徐々に変化する形状が自ずと形成される。なお、ゲート114の配置、形状、数や、第1樹脂122の射出量等を調整することで、導光部14および発光部16の形状や大きさを調整することができる。
以上説明したように、本実施の形態に係る車両用灯具1は、光源8と、互いに接続される導光部14および発光部16を有する導光体10と、を備える。導光部14は、光源8の光が入射され、光源8の光を内部で導光しながら発光部16との接続部18において発光部16に出射する。発光部16は、光拡散材17を含有し、接続部18から入射する光源8の光を内部で導光しながら光拡散材17によって導光体10の外部に出射する。そして、接続部18における導光部14および発光部16が並ぶ第1方向Xと直交する断面での導光部14および発光部16の割合は、発光部16側から導光部14側に向かうにつれて発光部16の割合が徐々に減少し、導光部14の割合が徐々に増加する。
接続部18において導光部14および発光部16の割合を徐変させることで、導光部14と発光部16との接触面積を増大させることができる。これにより、第1樹脂122で構成される導光部14と第2樹脂124で構成される発光部16との接続強度を高めることができる。よって、導光体10が破損するおそれを低減することができ、車両用灯具1の信頼性を高めることができる。
また、接続部18において導光部14および発光部16の割合が徐々に変化するため、光拡散材17の量は発光部16から導光部14に向かって徐々に減少していく。これにより、光源8を点灯した際の発光部16の明るさを導光部14に近づくにつれて徐々に暗くしていくことができる。つまり、接続部18における明暗の境界をぼかすことができる。
発光部16と導光部14との明暗差が明瞭であると、光源8を点灯した際に導光部14がはっきりと視認されやすい。この場合、意匠上の要請からエクステンション部材12で接続部18および導光部14を覆い隠すことがあった。しかしながら、エクステンション部材12で接続部18および導光部14を覆うと、発光部16の周縁部も覆われてしまうため、光利用率の低下につながる。
これに対し、本実施の形態によれば、接続部18における明暗の境界をぼかすことで、光源8を点灯した際に導光部14がはっきりと視認されることを抑制することができる。このため、少なくとも接続部18を灯具外部に対して露出させることができる。つまり、導光体10において灯具外部に対して目隠しされる領域を小さくすることができる。この結果、車両用灯具1における光利用率の低下を抑制することができる。
また、本実施の形態の発光部16は板状部22を有し、導光部14は棒状部20を有する。そして、接続部18において棒状部20の周面20cと板状部22の第1側面22a~第3側面22cとが接続される。棒状部20は、光源8の光が第1端面20aまたは第2端面20bから入射され、光源8の光を内部で導光しながら周面20cから板状部22の第1側面22a~第3側面22cに出射する。板状部22は、第1側面22a~第3側面22cから入射する光源8の光を内部で導光しながら光拡散材17によって第2主表面22fから出射する。
本実施の形態では、板状部22に入射した光を光拡散材17によって出射している。このため、板状部の側面から入射した光を灯具内側の主表面に設けたステップ等の反射要素により反射して灯具外側の主表面から出射させる導光体に比べて、より均一に板状部22を面発光させることができる。また、導光体10は、高い透明性を有するとともに、光源8の光を板状部22の第2主表面22fから均一に出射することができる。すなわち、光源8の非点灯時は導光体10は透明に見え、光源8の点灯時は板状部22が均一に発光して見える。よって、車両用灯具1の意匠性、見映えを向上させることができる。
また、板状部22は、光拡散材17によって第2主表面22fが発光する。このため、反射要素を用いて発光させる場合に必要となる、反射面の角度調節といった光学制御が不要である。したがって、導光体10をより簡単に成形することができ、製造コストを削減することができる。また、光源8の光は、棒状部20内を内面反射しながら進み、その過程で周面20cから板状部22側に漏れ入る。したがって、光源8の光は、棒状部20内を進行する過程で徐々に板状部22側に進入する。これにより、板状部22をより均一に面発光させることができる。
また、板状部22の大きさを調整することで、より具体的には、均一に面発光できる大きさよりも大きくすることで、棒状部20から離れるにつれて発光部16の明るさを徐々に低減させることができる。本実施の形態では、板状部22の三方が棒状部20で囲まれている。このため、上下方向については板状部22の中央部に近づくにつれて、車幅方向については第4側面22dに近づくにつれて、明るさが徐々に低下するグラデーション発光を実現することができる。これにより、奥行き感のある見映えを有する車両用灯具1を提供することができる。
また、本実施の形態の導光体10では、接続部18において板状部22の板厚方向の中央部が棒状部20に向かって突出して棒状部20に嵌入している。これにより、導光部14と発光部16との接触面積をより増大させることができ、両者の接続強度をより高めることができる。よって、車両用灯具1の信頼性をより高めることができる。
また、棒状部20は、板状部22の2つ以上の側面に接続される。本実施の形態では、棒状部20は第1側面22a~第3側面22cの3つの側面に接続される。これにより、棒状部20から板状部22への入光量を増やすことができる。よって、発光部16の出射光量あるいは発光強度を高めることができる。また、車両用灯具1における光利用率を高めることができる。
また、本実施の形態に係る導光体10の製造方法は、光拡散材17の含有量が相対的に少ない第1樹脂122で構成される導光部14と、光拡散材17の含有量が相対的に多い第2樹脂124で構成される発光部16と、を有する導光体10の製造方法であって、溶融した第1樹脂122を金型100のキャビティ102内に射出する工程と、キャビティ102内の第1樹脂122が未硬化の状態で、溶融した第2樹脂124をキャビティ102内に射出する工程と、を含む。本実施の形態の製造方法によれば、接続部18において導光部14および発光部16の割合が徐々に変化する形状を簡単に形成することができる。したがって、導光部14と発光部16との接続強度を簡単に高めることができ、車両用灯具1の信頼性を簡単に高めることができる。
また、本実施の形態において、第1樹脂122および第2樹脂124は、同じゲート114からキャビティ102に射出される。これにより、導光体10の製造に用いる装置の構造を簡略化することができる。このため、導光体10ひいては車両用灯具1の製造コストを削減することができる。なお、実施の形態に係る導光体10は、上述した製造方法以外の方法で製造されてもよい。例えば、導光部14と発光部16とを別々に成形した後、導光部14と発光部16とを合体させてもよい。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明した。前述した実施の形態は、本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施の形態の内容は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。設計変更が加えられた新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態および変形それぞれの効果をあわせもつ。前述の実施の形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「本実施の形態の」、「本実施の形態では」等の表記を付して強調しているが、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。以上の構成要素の任意の組み合わせも、本発明の態様として有効である。図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
(変形例1)
図8(A)は、変形例1に係る導光体10の正面図である。本変形例に係る導光体10において、棒状部20は板状部22の第2側面22bに接続される部分を有しない。したがって、棒状部20は、第1側面22aおよび第3側面22cの2つの側面に接続される。言い換えれば、本変形例の導光体10は、平行に延びる2本の直線状の棒状部20を有する。実施の形態と同様に、上側の棒状部20と下側の棒状部20のそれぞれに光源8の光が入射される。このような導光体10は、実施の形態に係る導光体10を形成した後に、棒状部20における第2側面22bに接続される部分を切断することで簡単に得ることができる。
(変形例2)
図8(B)は、変形例2に係る導光体10の正面図である。本変形例に係る導光体10において、棒状部20は板状部22の第4側面22dに接続される部分を有する。したがって、棒状部20は、第1側面22a~第4側面22dの4つの側面に接続される。言い換えれば、本変形例の導光体10は、板状部22の外周を囲う枠状の棒状部20を有する。棒状部20には、実施の形態と同様に光源8の光が入射される。
(変形例3)
図9(A)は、変形例3に係る導光体10の正面図である。本変形例に係る導光体10は、2つの棒状部20と2つの板状部22とが交互に配列された構造を有する。これにより、面状の発光部(板状部22)と線状の非発光部(棒状部20)とが交互に並ぶ導光体10が得られる。2つの棒状部20の太さや2つの板状部22の大きさは、同一であっても異なっていてもよい。
(変形例4)
図9(B)は、変形例4に係る導光体10の正面図である。本変形例に係る導光体10は、3つの棒状部20と3つの板状部22とが交互に配列された構造を有する。これにより、変形例3と同様に、面状の発光部と線状の非発光部とが交互に並ぶ導光体10が得られる。なお、棒状部20および板状部22の繰り返しの回数は4以上であってもよい。
(その他)
実施の形態では、第1側面22a~第3側面22cが凸の湾曲形状を有し、これらの側面と接する周面20cが凹の湾曲形状を有するが、特にこの形状に限定されない。例えば、板状部22の側面と棒状部20の周面20cとがそれぞれテーパー状の平面であり、この平面どうしが接続されてもよい。また、凸の屈曲形状と凹の屈曲形状との組み合わせであってもよい。また、実施の形態の板状部22は角柱状であるが、板状部22は円柱状等であってもよい。また、実施の形態の導光体10は平坦形状を有するが、導光体10は湾曲形状や屈曲形状を有してもよい。また、実施の形態では固定型である第1型104に凹部110が設けられているが、可動型である第2型106に凹部110が設けられてもよい。