JP7254411B2 - 適応等化器および搬送波再生回路 - Google Patents

適応等化器および搬送波再生回路 Download PDF

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Description

本発明は、デジタル無線伝送において搬送波・受信波を再生するのに使用される適応等化器および、この適応等化器を備えた搬送波再生回路に関する。
近年、無線トラフィックが増々増加しており、周波数利用の高効率化の観点からデジタル無線伝送においては、高多値QAM(Quadrature Amplitude Modulation、直角位相振幅変調)方式による高速伝送の要求が高まっている。この高多値QAM方式では、送信装置や受信装置において生じる搬送波の位相ノイズ(位相誤差)などによって、復調性能が劣化する場合がある。このため、位相ノイズと熱雑音の影響度に基づいて復調性能(ビット誤り率)を向上させる、という搬送波再生回路が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
この搬送波再生回路は、位相誤差検出器が検出する位相誤差と振幅誤差検出器が検出する振幅誤差とに基づいて、ループフィルタ制御部がループフィルタの帯域幅を制御することで、位相ノイズや熱雑音に応じた適切な帯域幅に設定し、復調性能を向上させる、というものである。
特開2011-101177号公報
ところで、高多値化変調においては、搬送波・キャリア再生の位相誤差検出範囲が著しく狭くなる。すなわち、低多値の場合には、隣接する理想点間の距離が大きいため位相誤差検出範囲が広いが、高多値の場合には、隣接する理想点間の距離が小さいため位相誤差検出範囲が狭くなる。そして、位相誤差検出範囲が著しく狭くなるため、位相ノイズ環境下で位相ジッタ(位相の揺らぎ)が増加する状況になると、搬送波再生の同期外れに至る可能性がある。
この結果、従来の判定指向アルゴリズムによって、出力信号(または受信信号)を値が最も近い理想点に近づけるようにタップ係数を更新した場合に、意図しない信号点配置に収束してしまう事象が生じてしまう。例えば、図13に示すように、等間隔な格子状に出力信号と理想点とが重なって配置された理想的な状態から、図14に示すように、出力信号(図中黒丸)が位相回転して理想点の枠F1からはみ出でて、理想点の電力が出力信号の電力よりも小さくなるケースが増えたとする。この場合、図15に示すように、はみ出た部分P1の出力信号がこの枠F1に入るようにタップ係数が更新され、この結果、図16に示すように、出力信号群が小さく収束して等化器出力における信号の平均電力が低減する。そして、このようなタップ係数の更新を繰り返すことで、例えば図17に示すように、理想点を中心にして4つの出力信号が集約するように収束してしまう(信号点配置サイズが小さい状態で最適状態に陥る)事象が生じる。
一方、特許文献1に記載の搬送波再生回路では、熱雑音の軽減を優先するか、位相ノイズの軽減を優先するかによって、高多値時の搬送波再生ループの諸元を切り替えるものであり、高多値化に伴う位相誤差検出範囲の低下による不安定動作については考慮されていないため、低C/N環境における復調器の安定動作を実現することが困難であった。
そこで本発明は、高多値においても安定した高い復調性能を実現可能にする、適応等化器およびこれを備えた搬送波再生回路を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、入力信号の周波数特性を補償する適応等化部と、複素平面上に配置された複数の理想点と前記適応等化部の出力信号との誤差に基づくアルゴリズムで、前記適応等化部に対するタップ係数を更新するタップ更新部と、前記適応等化部の出力信号の平均電力を算出する電力算出部と、を備え、前記タップ更新部は、前記入力信号または前記適応等化部の出力信号が、前記複素平面上で前記複数の理想点の外縁以内に設けられた判定エリアの外側に位置する場合には、前記タップ係数の更新を行わ前記入力信号または前記適応等化部の出力信号が前記判定エリアの外縁近傍に位置する場合において、前記電力算出部で算出した平均電力に基づいてタップ係数の更新を行うか否かを判定する、ことを特徴とする適応等化器である。
請求項2に記載の発明は、入力信号の位相を回転する第1の位相回転器と、前記第1の位相回転器によって位相が回転された入力信号である位相回転信号の周波数特性を補償する、請求項1に記載の適応等化器と、前記適応等化器によって補償された位相回転信号に含まれる位相誤差を検出する位相誤差検出器と、前記位相誤差に基づいて位相回転制御信号を生成する回転信号生成部と、前記位相回転制御信号に基づいて前記入力信号の位相を回転する第2の位相回転器と、を備え、前記第1の位相回転器は、前記位相回転制御信号に基づいて前記入力信号の位相を回転する、ことを特徴とする搬送波再生回路である。
請求項1に記載の発明によれば、入力信号または適応等化部の出力信号が、複数の理想点の外縁よりも小さい判定エリアの外側に位置する場合には、タップ係数の更新を行わない。すなわち、適応等化部の入力信号または出力信号の電力が理想点群の電力よりも大きい(理想点群の電力が入力信号または出力信号の電力よりも小さい)可能性がある場合には、タップ係数の更新を行わないため、適応等化部の出力信号の平均電力が低減・減衰するのを防止する(平均電力を維持する)ことが可能となる。この結果、適応等化器から安定した出力を得ることが可能となり、高多値においても高精度かつ安定した復調性能・搬送波再生を実現することが可能となる。
また、請求項に記載の発明によれば、判定エリアの外縁近傍に位置する入力信号または適応等化部の出力信号に対しては、出力信号の平均電力に基づいてタップ係数の更新が行われたり行われなかったりする。このため、平均電力が小さい場合に判定エリアの外縁近傍に対するタップ係数の更新を行わないことで、平均電力を増加させたり、平均電力が大きい場合に判定エリアの外縁近傍に対するタップ係数の更新を行うことで、平均電力を減衰させたりして、平均電力をより維持することが可能となる。
請求項に記載の発明によれば、適応等化器で周波数特性が補償された位相回転信号の位相誤差に基づいて、位相回転制御信号が生成され入力信号の位相が回転されるため、フェージングによる波形歪がある場合でも、搬送波の位相ノイズを高精度に推定して高い復調性能・搬送波再生を実現することが可能となる。しかも、上記のように、安定した適応等化器出力が得られるため、より高精度かつ安定した復調性能・搬送波再生を実現することが可能となる。さらに、適応等化器で位相回転信号の周波数特性が補償されるため、熱雑音の影響も軽減することが可能となる。

この発明の実施の形態1に係る搬送波再生回路を示す概略構成ブロック図である。 図1の搬送波再生回路を備えるマイクロ波無線システムを示す概略構成図である。 図1の搬送波再生回路の適応等化器を示す概略構成ブロック図である。 図3の適応等化器における理想点と判定エリアとの関係を示す図である。 図3の適応等化器において、受信信号が位相回転した状態を示す図である。 図5に示す位相回転状態において、受信信号と判定エリアとの関係を示す図である。 図5に示す位相回転後の適応等化器出力を示す図である。 この発明の実施の形態2に係る適応等化器を示す概略構成ブロック図である。 この発明の実施の形態3に係る適応等化器を示す概略構成ブロック図である。 この発明において、C/Nが高い場合の受信信号の誤差状況(a)と、C/Nが低い場合の受信信号の誤差状況(b)とを示す図である。 図9の適応等化器において、電力減衰状態に変更する処理を示す説明図(a)と、電力増加状態に変更する処理を示す説明図(b)である。 図9の適応等化器において、中央部の信号処理を示す説明図である。 従来の適応等化器における受信信号と理想点の関係を示す図である。 従来の適応等化器において、受信信号が位相回転した状態を示す図である。 図14に示す位相回転状態において、タップ係数の更新方法を説明する図である。 図15に続く信号状態を示す概念図である。 図16に続く信号状態を示す概念図である。
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図1~図7は、この実施の形態を示し、図3は、この実施の形態に係る適応等化器3を示す概略構成ブロック図であり、図1は、この適応等化器3を備える搬送波再生回路1を示す概略構成ブロック図である。この搬送波再生回路1は、デジタル無線伝送において搬送波を再生する回路であり、図2に示すマイクロ波無線システムの受信装置102に設けられている。ここで、マイクロ波無線システムについてまず簡単に説明すると、送信装置101においてマッピングおよび変調された送信信号がアナログ変換され、搬送波W1で乗算されてアンテナから送信される。そして、マルチパスフェージング環境を経て受信装置102のアンテナで受信されると、搬送波W2で乗算されてデジタル変換され、搬送波再生回路1で復調されてデマッピングされるものである。
搬送波再生回路1は、主として、第1の位相回転器2と、適応等化器3と、位相誤差検出器4と、LPF5と、NCO(回転信号生成部)6と、第2の位相回転器7と、等化器8と、を備える。
第1の位相回転器2は、入力信号の位相を回転する回転器・乗算器であり、後述するNCO6の位相回転制御信号に基づいて入力信号の位相を回転する。具体的には、デジタル信号に変換されたIチャネルのベースバンド信号およびQチャネルのベースバンド信号の各々に対して、NCO6の位相回転制御信号の正弦波および余弦波に基づいて位相回転を行うものである。
適応等化器3は、第1の位相回転器2によって位相が回転された入力信号である位相回転信号の周波数特性を補償する、つまり、位相回転信号の波形歪やデータ誤りを解消する等化器である。ここで、適応等化器3は、判定帰還型等化器(DFE:Decision Feedback Equalizer)や線形等化器で構成され、後述するようにして、タップ係数を更新するようになっている。
位相誤差検出器4は、適応等化器3によって補償された位相回転信号に含まれる位相誤差を検出する検出器である。具体的な検出方法は周知の技術であり、例えば、送受信装置101、102間で用いられる変調方式の信号点配列のなかから、出力信号に応じた信号点を選択し、選択した信号点の座標と入力信号点の座標とを比較して、位相誤差値を算出する。
LPF5は、位相誤差検出器4で検出された位相誤差の高周波成分を、所定の帯域幅に応じて除去するフィルタであり、ローパスフィルタ(Low Pass Filter)で構成されている。
NCO6は、LPF5で高周波成分が除去された位相誤差に基づいて、位相回転制御信号を生成する生成部であり、NCO(Numerically Controlled Oscillator、数値制御発振器)で構成されている。具体的には、LPF5からの位相誤差に基づいて逆位相の正弦波および余弦波を生成し、第1の位相回転器2に出力することで、第1の位相回転器2による位相回転を制御するものである。さらに、生成した位相回転制御信号を第2の位相回転器7に出力する。
第2の位相回転器7は、入力信号の位相を回転する回転器・乗算器であり、NCO6からの位相回転制御信号に基づいて入力信号の位相を回転して、周波数特性を補償する等化器8に出力する。すなわち、適応等化器3によって周波数特性補償(波形歪等が解消)されて検出された位相誤差に基づくNCO6からの正弦波および余弦波に基づいて、入力信号の位相を回転する。このように、搬送波再生ループ(第1の位相回転器2、位相誤差検出器4、LPF5およびNCO6のループ)のなかに適応等化器3が実装されており、これにより、周波数特性を補償した後に推定した位相誤差値に基づいて、入力信号の位相ノイズをキャンセルする。
次に、適応等化器3におけるタップ係数の更新方法について説明する。適応等化器3は、図3に示すように、入力信号の周波数特性を補償する適応等化部(等化器本体、フィルタ)31と、適応等化部31に対するタップ係数を更新するタップ更新部32と、を備える。
タップ更新部32は、複素平面上に配置された複数の理想点(基準信号)Rと適応等化部31の出力信号との誤差に基づくアルゴリズム(判定指向アルゴリズム)で、適応等化部31に対するタップ係数を更新する(先のタップ係数を更新する)更新部である。すなわち、所定の等間隔で格子状に複数の理想点Rが配置され、最小平均二乗誤差(MMSE:Minimum Mean Square Error)を規範とする判定指向アルゴリズムを利用して、出力信号と理想点Rとの誤差電力が最小になるように(出力信号を値が最も近い理想点Rに近づけるように)タップ係数を算出、更新するものであり、判定指向アルゴリズムとして、LMS(Least Mean Square)アルゴリズムやRLS(Recursive Least Square)アルゴリズムが採用される。
このタップ更新部32は、受信信号(入力信号)Sが複素平面上に設けられた判定エリアCの内側に位置する場合に、タップ係数の更新を行い、受信信号Sが判定エリアCの外側に位置する場合には、タップ係数の更新を行わない。ここで、判定エリアCは、複素平面上で複数の理想点Rの外縁(外枠F1)以内に設けられたエリアであり、この実施の形態では、図4に示すように、複素平面上の原点を中心とする正四角形の領域内に所定の等間隔で格子状に複数の理想点Rが配置されている。なお、図4では、受信信号Sが理想点Rに重なった理想的な状態を示す。
この理想点R群の外縁つまり正四角形の外枠F1の領域内に、複素平面上の原点を中心とする円状の判定エリアCが設けられ、この判定エリアCの直径は、理想点R群の正四角形の一辺と略同寸法に設定されている。すなわち、できるだけ多くの理想点Rを包囲できるように大きな円状の判定エリアCが設けられ、これにより、コンスタレーション(複素平面上の信号点配置図、信号空間ダイヤグラム)を保って電力の大きさを維持できるとともに、できるだけ多くの受信信号S(出力信号)に対してタップ係数の更新を行えるようになっている。
そして、更新制御部321は、受信信号Sが判定エリアCの内側に位置するか外側に位置するかを判定し、内側に位置する場合には、「更新可」をLMS更新部322に伝送し、外側に位置する場合には、「更新不可」をLMS更新部322に伝送する。次に、LMS更新部322は、「更新可」を受けた場合は、理想点Rと適応等化部31の出力信号とのタップ更新用誤差に基づいて判定指向アルゴリズムでタップ係数を算出、更新して、適応等化部31に入力する。一方、LMS更新部322は、「更新不可」を受けた場合には、この受信信号S(出力信号)に基づくタップ係数の算出、更新を行わない。
これにより、図5に示すように、受信信号S群が位相回転した場合、判定エリアCの内側に位置する受信信号Sに対してタップ係数の更新を行い、判定エリアCの外側つまり図6のはみ出た部分P2に位置する受信信号Sに対してはタップ係数の更新を行わない。このため、はみ出た部分P2の受信信号Sが理想点R群の外枠F1内に入るようにタップ更新されることがなく、図7に示すように、等化器出力における信号の平均電力が低減することがない。
以上のように、この適応等化器3によれば、理想点R群の外縁よりも小さい判定エリアCの外側に受信信号(入力信号)Sが位置する場合には、タップ係数の更新を行わない。すなわち、受信信号Sの電力が判定エリアC内の理想点Rの電力よりも大きい(判定エリアC内の理想点Rの電力が受信信号Sの電力よりも小さい)場合には、タップ係数の更新を行わないため、適応等化部31の出力信号の平均電力が低減・減衰するのを防止する(平均電力を維持する)ことが可能となる。この結果、適応等化器3から安定した出力を得ることが可能となり、高多値においても高精度かつ安定した復調性能・搬送波再生を実現することが可能となる。
また、この搬送波再生回路1によれば、適応等化器3で周波数特性が補償(波形歪等が解消)された位相回転信号の位相誤差に基づいて、位相回転制御信号が生成され入力信号の位相が回転されるため、フェージングによる波形歪がある場合でも、搬送波の位相ノイズを高精度に推定(位相誤差検出器4で検出)して高い復調性能・搬送波再生を実現することが可能となる。しかも、上記のように、安定した適応等化器出力が得られるため、より高精度かつ安定した復調性能・搬送波再生を実現することが可能となる。さらに、適応等化器3で位相回転信号の周波数特性が補償されるため、熱雑音の影響も軽減することが可能となる。
(実施の形態2)
図8は、この実施の形態に係る適応等化器3を示す概略構成ブロック図である。この実施の形態では、適応等化部31の出力信号が、判定エリアCの内側に位置する場合にタップ係数の更新を行い、判定エリアCの外側に位置する場合にはタップ係数の更新を行わない点で、実施の形態1と構成が異なり、実施の形態1と同等の構成については、同一符号を付することで、その説明を省略する。
すなわち、更新制御部321は、適応等化部31の出力信号が判定エリアCの内側に位置するか外側に位置するかを判定し、内側に位置する場合には、「更新可」をLMS更新部322に伝送し、外側に位置する場合には、「更新不可」をLMS更新部322に伝送する。そして、LMS更新部322は、「更新可」を受けた場合は、理想点Rと適応等化部31の出力信号とのタップ更新用誤差に基づいてタップ係数を算出、更新して、適応等化部31に入力する。一方、LMS更新部322は、「更新不可」を受けた場合には、この出力信号に基づくタップ係数の算出、更新を行わない。
このように、この実施の形態によれば、適応等化部31の出力信号が、理想点R群の外縁よりも小さい判定エリアCの外側に位置する場合には、タップ係数の更新を行わないため、実施の形態1と同様に、適応等化部31の出力信号の平均電力が低減・減衰するのを防止することが可能となる。この結果、適応等化器3から安定した出力を得ることが可能となり、高多値においても高精度かつ安定した復調性能・搬送波再生を実現することが可能となる。しかも、適応等化部31の出力信号の位置つまり電力に基づいて、タップ係数の更新を行うか否かを判定するため、適応等化部31の出力信号の平均電力が低減・減衰するのをより適正に防止することが可能となる。
(実施の形態3)
図9~図12は、この実施の形態を示し、図9は、この実施の形態に係る適応等化器3を示す概略構成ブロック図である。この実施の形態では、受信信号(入力信号)または適応等化部31の出力信号が判定エリアCの外縁近傍(縁の近くの外側)に位置する場合において、適応等化部31の出力信号の平均電力に基づいてタップ係数の更新を行うか否かを判定する点で、実施の形態1と構成が異なり、実施の形態1と同等の構成については、同一符号を付することで、その説明を省略する。
この実施の形態では、図10に示すように、判定エリアCが理想点Rの外縁(外枠F1)と同じであり、受信信号(図中○は理想点R)の位置に基づいてタップ更新の要否を判定する場合について説明する。まず、熱雑音の影響について説明すると、C/Nが高い場合には図10(a)に示すように、熱雑音による振幅範囲Eが小さく全受信信号が外枠F1(判定エリアC)内に位置し、硬判定結果と受信信号の誤差の平均はゼロになり、電力は維持される。一方、C/Nが低い場合には図10(b)に示すように、熱雑音による振幅範囲Eが大きく外枠F1の外側F2に受信信号が位置し、硬判定結果と受信信号の誤差の平均はゼロ以上になり、その結果、適応等化部31が電力を減衰させるようにタップ係数を更新する。
これに対してこの実施の形態では、まず、適応等化部31の出力信号の平均電力を算出する電力算出部323を備える。また、更新制御部321は、受信信号が外枠F1の外縁近傍に位置する場合において、電力算出部323で算出した平均電力に基づいて電力減衰状態と電力増加状態とを切り替える。
具体的には、図11(a)に示すように、外枠F1の外縁(外側)近傍E2に位置する受信信号に対して、タップ係数の更新を行う状態を電力減衰状態とする。この状態では、隣接範囲E1の受信信号(小さい矢印)に比べて、外縁近傍E2の受信信号(大きい矢印)が大きく縮小方向にタップ更新されるため、電力が減衰する。一方、図11(b)に示すように、外枠F1の外縁近傍に位置する受信信号に対して、タップ係数の更新を行わない状態を電力増加状態とする。この状態では、外枠F1の内縁近傍(縁の近くの内側)の理想点Rに対しては隣接範囲E1の受信信号のみに対して、拡大方向にタップ更新されるため、電力が増加する。なお、外枠F1の中央部においては、図12に示すように、互いに隣接する隣接範囲E1の受信信号の理想点Rに対する更新距離(矢印)が同等である(電力変動が均衡している)と考えられるため、通常通りタップ更新する。
そして、電力算出部323で算出した平均電力が第1の閾値を超える場合には、更新制御部321は電力減衰状態に切り替え、外枠F1の外縁近傍に位置する受信信号のタップ更新を行うように、「更新可」をLMS更新部322に伝送する。また、電力算出部323で算出した平均電力が第2の閾値(<第1の閾値)よりも小さい場合には、更新制御部321は電力増加状態に切り替え、外枠F1の外縁近傍に位置する受信信号のタップ更新を行わないように、「更新不可」をLMS更新部322に伝送する。
この実施の形態によれば、判定エリアC(外枠F1)の外縁近傍に位置する入力信号または適応等化部31の出力信号に対しては、出力信号の平均電力に基づいてタップ係数の更新が行われたり行われなかったりする。このため、平均電力が小さい場合に判定エリアCの外縁近傍に対するタップ係数の更新を行わないことで、平均電力を増加させたり、平均電力が大きい場合に判定エリアCの外縁近傍に対するタップ係数の更新を行うことで、平均電力を減衰させたりして、平均電力をより維持することが可能となる。
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の実施の形態では、円状の判定エリアCを設けているが、その他の形状の判定エリアCを設けてもよい。例えば、理想点R群の外縁・外枠F1の形状(正四角形)と略同じ形状であってもよいし、図7に示すように、受信信号S群が45°位相回転した場合に、理想点R群と受信信号S群とが重なる略正八角形状の形状であってもよい。
1 搬送波再生回路
2 第1の位相回転器
3 適応等化器
31 適応等化部
32 タップ更新部
321 更新制御部
322 LMS更新部
323 電力算出部
4 位相誤差検出器
5 LPF
6 NCO(回転信号生成部)
7 第2の位相回転器
8 等化器
S 受信信号(出力信号)
R 理想点

Claims (2)

  1. 入力信号の周波数特性を補償する適応等化部と、
    複素平面上に配置された複数の理想点と前記適応等化部の出力信号との誤差に基づくアルゴリズムで、前記適応等化部に対するタップ係数を更新するタップ更新部と、
    前記適応等化部の出力信号の平均電力を算出する電力算出部と、
    を備え、前記タップ更新部は、前記入力信号または前記適応等化部の出力信号が、前記複素平面上で前記複数の理想点の外縁以内に設けられた判定エリアの外側に位置する場合には、前記タップ係数の更新を行わず、
    前記入力信号または前記適応等化部の出力信号が前記判定エリアの外縁近傍に位置する場合において、前記電力算出部で算出した平均電力に基づいてタップ係数の更新を行うか否かを判定する、
    ことを特徴とする適応等化器。
  2. 入力信号の位相を回転する第1の位相回転器と、
    前記第1の位相回転器によって位相が回転された入力信号である位相回転信号の周波数特性を補償する、請求項1に記載の適応等化器と、
    前記適応等化器によって補償された位相回転信号に含まれる位相誤差を検出する位相誤差検出器と、
    前記位相誤差に基づいて位相回転制御信号を生成する回転信号生成部と、
    前記位相回転制御信号に基づいて前記入力信号の位相を回転する第2の位相回転器と、
    を備え、前記第1の位相回転器は、前記位相回転制御信号に基づいて前記入力信号の位相を回転する、
    ことを特徴とする搬送波再生回路。
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