以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。なお、以下では、この発明の特徴的な構成について説明し、無線通信を行う際の従来と同様の仕組みについては説明を簡略にしたり省略したりする。
図1は、この発明の実施の形態における無線通信システム100の概略構成を示す図である。図1では、無線通信システム100の概略構成を示す(図1の上側)とともに、無線通信の送受信局のそれぞれに配置される無線通信装置101の概略構成の機能ブロックを示す(図1の下側)。
無線通信システム100を構成する無線通信の送受信局のそれぞれに、無線通信装置101およびアンテナ102が配置される(図1の上側参照)。無線通信装置101同士は、アンテナ102を介して無線回線103によって相互に接続される。
まず、この発明の実施の形態において無線受信装置1が適用されるベースの構成としての無線通信装置101の概略構成を説明する。
無線通信装置101は、送信用として、変調部120および送信部130を備えるとともに、受信用として、受信部150、判定帰還型等化器160、および復調部170を備え、さらに、インターフェース部110を備える(図1の下側参照)。
ここで、無線通信装置101は、送信用の機序と受信用の機序とを備えて送受信を行う装置であるところ、以下の説明では、送信用の機序を用いて送信に纏わる処理を行う場合の無線通信装置101のことを「送信側」と称し、受信用の機序を用いて受信に纏わる処理を行う場合の無線通信装置101のことを「受信側」と称する。
インターフェース部110は、主として、データ回線終端装置111(データ通信装置やデータ回線装置と呼ばれる機器を含む)を備える。インターフェース部110は、通信対象の伝送データの入力を受け、前記伝送データを、データ回線終端装置111を介して、変調部120へと出力する。
変調部120は、インターフェース部110から出力される伝送データの入力を受け、前記伝送データにフレーム同期信号を挿入して無線フレーム(送信信号)を生成し、さらに、前記無線フレーム(送信信号)に所定の周波数の搬送波信号を重畳させてデジタル変調して出力する。変調部120は、前記無線フレーム(送信信号)に、例えば400MHz程度の周波数の搬送波信号を重畳させてデジタル変調を行う。無線通信システム100における変調方式として、直角位相振幅変調が用いられる。なお、直角位相振幅変調は「QAM」とも表記される(QAM:Quadrature Amplitude Modulation の略)。
この発明では、無線通信装置101は、瞬時の伝搬路環境に応じて、無線フレームの変調方式のパラメータ、具体的には直角位相振幅変調の変調多値数の切り替えを行う(延いては、伝送容量を変更する)適応変調方式によって通信を行う。適応変調方式の具体的な仕法、言い換えると、瞬時の伝搬路環境に応じて変調多値数を切り替える仕法は、公知の手法が存在し、また、この発明では特定の手法には限定されないので、ここでは詳細の説明は省略する。
無線通信装置101は、例えば、フェージングが発生していないなどで伝搬路の状態が良好であるときには変調多値数を大きくして伝送容量を拡大させ、また、フェージングの影響があるものの大きくないなどで伝搬路の状態が中庸である(即ち、特別良好でもないものの特別不良でもない)ときには変調多値数を中位にして伝送容量と伝送品質とのバランスをとり、さらに、フェージングの影響が大きいなどで伝搬路の状態が不良であるときには変調多値数を小さくして伝送容量を縮小させる。
無線通信装置101は、無線フレームの変調方式として、具体的には例えば、あくまで一例として挙げると、伝搬路の状態が良好であるときには変調多値数が大きい変調方式として1024QAMから4096QAMまでの範囲のうちのいずれかを用い、また、伝搬路の状態が中庸であるときには変調多値数が中位の変調方式として128QAMから512QAMまでの範囲のうちのいずれかを用い、さらに、伝搬路の状態が不良であるときには変調多値数が小さい変調方式として4QAMから64QAMまでの範囲のうちのいずれかを用いる。なお、4QAMは「QPSK」とも表記される(QPSK:Quadrature Phase Shift Keying の略)。
送信部130は、変調部120から出力されるデジタル変調された無線フレーム(送信信号)の入力を受け、前記デジタル変調された無線フレーム(送信信号)を、D/A変換器でデジタル-アナログ変換した上で、局部発振器および混合器によって前記所定の周波数(例えば、400MHz程度)よりも高周波の信号(送信波信号)に変換する。送信部130は、前記デジタル変調された無線フレーム(送信信号)を、周波数が例えば10GHz程度の信号に変換する。
送信部130は、また、前記周波数変換した無線フレーム(送信波信号)を、所定の周波数帯域の信号のみを通過させる送信フィルタを通過させるとともにパワーアンプで増幅した上で出力する。
そして、変調部120においてデジタル変調されるとともに送信部130において周波数変換された無線フレーム(送信波信号)は、送信部130から分波器140を介してアンテナ102へと導かれ、アンテナ102から無線回線103を介して他方の(言い換えると、この通信では受信側になる)無線通信装置101のアンテナ102へと、電波として送信される。
また、他方の(言い換えると、この通信では送信側になる)無線通信装置101のアンテナ102から無線回線103を介して無線フレームが当該の(言い換えると、この通信では受信側になる)無線通信装置101のアンテナ102へと電波として送信されると、アンテナ102は、受信した無線フレームを電気信号(受信波信号)へと変換して出力する。
アンテナ102から出力される、電気信号に変換された無線フレーム(受信波信号)は、分波器140を介して受信部150へと導かれる。
受信部150は、無線フレーム(受信波信号)の入力を受け、前記無線フレーム(受信波信号)を、所定の周波数帯域の信号のみを通過させる受信フィルタを通過させるとともにプリアンプで増幅した上で、局部発振器および混合器によって前記高周波(例えば、10GHz程度)よりも低い周波数(例えば、400MHz程度)の信号に変換する。
受信部150は、さらに、前記周波数変換した信号をパワーアンプで増幅するとともにA/D変換器でアナログ-デジタル変換して、デジタル信号に変換された無線フレーム(受信信号)を出力する。
なお、受信部150では無線フレーム(受信波信号)に対して直交検波処理が施されて位相が相互に直交する同相成分(Ich)のベースバンド信号と直交成分(Qch)のベースバンド信号とが生成されるが、以降の説明では同相成分と直交成分とについて各々別々に着目する必要がある場合を除いて同相成分と直交成分とを特に区別することなくどちらにも共通する内容として説明し、また、図面では同相成分の信号と直交成分の信号とを1つの信号線で表す。
判定帰還型等化器160は、受信部150から出力される無線フレーム(受信信号)をシンボル判定器が判定した結果に対応する後続符号間干渉量を、帰還ループによって後続ビットへと帰還させて差引くことにより、符号間干渉を除去して出力する。
復調部170は、判定帰還型等化器160から出力される無線フレーム(受信信号)の入力を受け、前記無線フレーム(受信信号)を復調するとともに、前記復調した無線フレーム(受信信号)に挿入されているフレーム同期信号に基づいて無線フレーム(受信信号)から伝送データを取り出し、取り出した伝送データをインターフェース部110へと出力する。
上記の無線通信システム100では、上述のとおり、無線通信装置101は、瞬時の伝搬路環境に応じて、無線フレームの変調方式のパラメータ、具体的には直角位相振幅変調の変調多値数(例えば、4QAM(QPSK)~4096QAM)を切り替えながら無線通信を行う。しかしながら、従来の適応変調制御方法は、伝搬路環境を如何に正確に推定して変調方式を適切に切り替えるかに主眼が置かれており、伝搬路環境や無線装置の不完全性(具体的には、非線形歪、位相ノイズ、熱雑音)を考慮して変調方式に応じた等化器の最適動作を選択する、といった対応はしていない。このため、従来の適応変調制御方法では、変調多値数が低多値の変調方式が選択されている場合と変調多値数が高多値の変調方式が選択されている場合とで最適なパラメータの選択を行って等化器を適切に動作させることはできない、という問題がある。
そこで、この発明に係る無線受信装置1は、送受信される無線フレームについての変調方式の変調多値数の程度に応じて等化処理に纏わる動作を制御して変調方式に応じた等化処理の最適動作を選択するための仕組みを備えるようにしている。
(実施の形態1)
図2は、この発明の実施の形態1に係る無線受信装置1の概略構成を示す機能ブロック図である。なお、図2は、上記で説明した無線通信システム100における無線通信装置101のような構成(図1参照)をベースとしつつ、この発明の特徴的な構成を分かり易く示すことを考慮して、無線通信装置101の構成のうちの一部を省略している。図2は、具体的には、上記で説明した無線通信装置101の受信部150と復調部170との間の判定帰還型等化器160に相当する構成に対して適用される特徴的な構成を、特に受信に纏わる機序としての無線受信装置1として示している。
ここで、この発明では、上述のとおり、無線通信装置101は、瞬時の伝搬路環境に応じて、無線フレームの変調方式のパラメータ、具体的には直角位相振幅変調の変調多値数(例えば、4QAM(QPSK)~4096QAM)を切り替えながら無線通信を行う。そして、当該の通信において送信側となる無線通信装置101は、当該の通信において受信側となる無線通信装置101に対して、送信する無線フレームの変調方式のパラメータ、具体的には直角位相振幅変調の変調多値数を通知するための制御情報を送信する。
そして、この実施の形態に係る無線受信装置1は、受信した無線フレームについての変調方式の変調多値数の程度に関する変調多値数情報を出力する変調方式受信部2と、等化処理において用いられるタップ係数を計算し更新するタップ更新部5と、タップ更新部5へと供給するパラメータを切り替え可能なタップ制御スイッチ10と、を有し、タップ制御スイッチ10が、変調方式受信部2から出力される変調多値数情報に基づいてタップ更新部5へと供給する前記パラメータを切り替える、ようにしている。
この実施の形態に係る無線受信装置1は、また、タップ更新部5へと供給される上記パラメータが、タップ係数の更新量を決定づけるステップサイズである、ようにしている。
この実施の形態に係る無線受信装置1は、デジタル無線伝送において等化処理を行う回路であり、主として、変調方式受信部2と、FF等化部3と、FB等化部4と、タップ更新部5と、タップ制御スイッチ10とを含む機序として構成される。
変調方式受信部2は、送信側の無線通信装置101から送信される無線フレームについての変調方式のパラメータ、具体的には直角位相振幅変調の変調多値数を通知するための制御情報を、送信側の無線通信装置101から受信する。
変調方式受信部2は、上記の制御情報に基づいて、受信した無線フレームの変調方式の変調多値数が低多値、中多値、および高多値のうちのいずれであるのかを、所定の区分・振り分けに従って判別する。そして、変調方式受信部2は、タップ制御スイッチ10に対して、無線フレームの変調方式の変調多値数が低多値であるときは低多値変調信号を出力し、無線フレームの変調方式の変調多値数が中多値であるときは中多値変調信号を出力し、また、無線フレームの変調方式の変調多値数が高多値であるときは高多値変調信号を出力する。
変調方式受信部2から出力される、受信した無線フレームについての変調方式の変調多値数の程度に関する情報のことを「変調多値数情報」と呼ぶ。変調多値数情報は、ここでは、具体的には低多値変調信号、中多値変調信号、および高多値変調信号のことである。
なお、変調方式受信部2が、送信側の無線通信装置101から送信される無線フレームの変調方式、具体的には直角位相振幅変調の変調多値数を自動的に判別するようにしてもよい。この場合、変調方式受信部2は、送信側の無線通信装置101から送信される無線フレームの供給を受け、前記無線フレームの変調方式を識別するとともに、識別した変調方式の変調多値数が低多値、中多値、および高多値のうちのいずれであるのかを、所定の区分・振り分けに従って判別する。そして、変調方式受信部2は、タップ制御スイッチ10に対して、無線フレームの変調方式の変調多値数が低多値であると識別・判別したときは低多値変調信号を出力し、無線フレームの変調方式の変調多値数が中多値であると識別・判別したときは中多値変調信号を出力し、また、無線フレームの変調方式の変調多値数が高多値であると識別・判別したときは高多値変調信号を出力する。
FF等化部3は、受信部150から出力されるアナログ-デジタル変換された無線フレーム(受信信号)にフィードフォワード等化を適用するための仕組みであり、すなわちセンタータップからみて現在あるいは未来のデータを合成するタップ(フィードフォワードタップ)であり、タップ係数可変のトランスバーサルフィルタを用いて構成され、フィードフォワード等化器として機能する(FF:Feed Forward の略)。FF等化部3は、タップ更新部5から出力されるタップ係数に従って等化処理を行う。
FB等化部4は、デジタルサンプルにフィードバック等化を適用するための仕組みであり、すなわちセンタータップからみて過去のデータを合成するタップ(フィードバックタップ)であり、タップ係数可変のトランスバーサルフィルタを用いて構成され、シンボル判定部8の判定結果を受けるフィードバック等化器として機能する(FB:Feed Back の略)。FB等化部4は、タップ更新部5から出力されるタップ係数に従って等化処理を行う。
加算器7は、FF等化部3の出力とFB等化部4の出力とを足し合わせる。シンボル判定部8は、加算器7からの出力についてシンボル判定を行う。誤差計算部9は、シンボル判定部8から出力される信号について、理想シンボルと受信シンボルとの間の位相誤差を計算する。誤差計算部9は、具体的には減算器によって構成される。
タップ更新部5は、FF等化部3およびFB等化部4のタップ係数を計算・更新し、前記計算・更新したタップ係数をFF等化部3とFB等化部4とのそれぞれに対して出力する。タップ更新部5は、下記の数式1で表されるLMSアルゴリズムを適応アルゴリズムとして用いてタップ係数の計算・更新処理を行う(LMS:Least Mean Squares の略)。
(数1) h(n+1)=h(n)+μenx(n)
ここに、h(n+1):時刻n+1のタップ係数ベクトル
h(n):時刻nのタップ係数ベクトル
μ:ステップサイズパラメータ
en:理想シンボルと受信シンボルとの間の誤差
x(n):入力信号
数式1における、誤差enは誤差計算部9によって計算されてタップ更新部5へと入力され、入力信号x(n)は受信部150から出力されてタップ更新部5へと入力される。また、数式1におけるステップサイズパラメータμは、LMSアルゴリズムによる係数の更新量を決定づけて適応動作の収束速度と推定精度との間のバランスを調節するパラメータであり、μ>0である。この発明の説明では、LMSアルゴリズムにおけるステップサイズパラメータであって、等化処理において用いられるタップ係数を計算し更新する際のステップサイズパラメータのことを単に「ステップサイズ」と呼ぶ。
タップ更新部5は、タップ制御スイッチ10から供給されるステップサイズを用いてタップ係数の計算・更新処理を行う。
タップ制御スイッチ10は、低多値用出力部11、中多値用出力部12、および高多値用出力部13の各々から出力される信号のうちのいずれかを選択してタップ更新部5へと供給する機能を備える。タップ制御スイッチ10は、変調方式受信部2から出力される変調多値数情報に従って低多値用出力部11、中多値用出力部12、および高多値用出力部13のうちのいずれかとの接続を切り替える。
低多値用出力部11には、無線フレームの変調方式の変調多値数が低多値である場合に用いられることにより、タップ更新部5を適切に動作させ、延いては等化器の性能を最善とすることを可能とするようなステップサイズ(「低多値用ステップサイズ」と呼ぶ)が記憶されている。
中多値用出力部12には、無線フレームの変調方式の変調多値数が中多値である場合に用いられることにより、タップ更新部5を適切に動作させ、延いては等化器の性能を最善とすることを可能とするようなステップサイズ(「中多値用ステップサイズ」と呼ぶ)が記憶されている。
上記の「変調多値数が中多値である」とは、上記の「変調多値数が低多値である」よりも変調方式の変調多値数が大きいことをいう。そして、中多値用ステップサイズは、低多値用ステップサイズよりもステップサイズの値が小さくなるように設定される。
高多値用出力部13には、無線フレームの変調方式の変調多値数が高多値である場合に用いられることにより、タップ更新部5を適切に動作させ、延いては等化器の性能を最善とすることを可能とするようなステップサイズ(「高多値用ステップサイズ」と呼ぶ)が記憶されている。
上記の「変調多値数が高多値である」とは、上記の「変調多値数が中多値である」よりも変調方式の変調多値数が大きいことをいう。そして、高多値用ステップサイズは、中多値用ステップサイズよりもステップサイズの値が小さくなるように設定される。
タップ制御スイッチ10は、変調方式受信部2から出力される変調多値数情報として低多値変調信号が入力されると、低多値用出力部11と接続して、タップ更新部5に対して、タップ更新部5へと供給するパラメータとして低多値用ステップサイズを供給する。この場合、タップ更新部5は、タップ制御スイッチ10から供給される低多値用ステップサイズを用いてタップ係数の計算・更新処理を行う。
タップ制御スイッチ10は、また、変調方式受信部2から出力される変調多値数情報として中多値変調信号が入力されると、中多値用出力部12と接続して、タップ更新部5に対して、タップ更新部5へと供給するパラメータとして中多値用ステップサイズを供給する。この場合、タップ更新部5は、タップ制御スイッチ10から供給される中多値用ステップサイズを用いてタップ係数の計算・更新処理を行う。
タップ制御スイッチ10は、さらに、変調方式受信部2から出力される変調多値数情報として高多値変調信号が入力されると、高多値用出力部13と接続して、タップ更新部5に対して、タップ更新部5へと供給するパラメータとして高多値用ステップサイズを供給する。この場合、タップ更新部5は、タップ制御スイッチ10から供給される高多値用ステップサイズを用いてタップ係数の計算・更新処理を行う。
ここで、無線フレームの変調方式として例えば4QAM(QPSK)から4096QAMまでの範囲が想定される場合に、各変調方式の変調多値数が低多値、中多値、および高多値のうちのいずれであるのかは、特定の区分・振り分けには限定されないとともに、変調方式の変調多値数の程度である低多値、中多値、および高多値のそれぞれと対応づけられる、タップ係数の計算・更新処理において用いられるステップサイズ(即ち、低多値用ステップサイズ、中多値用ステップサイズ、および高多値用ステップサイズ)は特定の値には限定されない。
変調方式の変調多値数の区分・振り分けは、具体的には例えば、あくまで一例として挙げると、下記のように設定されてもよい。
低多値:4QAM(QPSK)~64QAM
中多値:128QAM~512QAM
高多値:1024QAM~4096QAM
低多値用ステップサイズと中多値用ステップサイズとの間の大小関係については、具体的には例えば、あくまで一例として挙げると、低多値用ステップサイズが中多値用ステップサイズの1.5~3倍程度に設定されてもよい。また、中多値用ステップサイズと高多値用ステップサイズとの間の大小関係については、具体的には例えば、あくまで一例として挙げると、高多値用ステップサイズが中多値用ステップサイズの1/3~2/3倍程度に設定されてもよい。
なお、低多値用ステップサイズ、中多値用ステップサイズ、および高多値用ステップサイズの各々としての、等化処理において用いられるタップ係数を計算し更新する際のステップサイズパラメータは、それぞれ、特定の値に限定されるものではなく、無線通信装置101(特に、判定帰還型等化器160)の特性や所望の精度が考慮されて適当な値に設定されたり、実機を用いた試験の結果に基づいて適切な値に設定されたり、或いは、シミュレーションの結果に基づいて適正な値に設定されたりすることが考えられる。また、低多値用ステップサイズ、中多値用ステップサイズ、および高多値用ステップサイズは、予め固定的に設定されて低多値用出力部11、中多値用出力部12、および高多値用出力部13のそれぞれに格納されているようにしてもよく、或いは、低多値用出力部11、中多値用出力部12、および高多値用出力部13のそれぞれに対してユーザが適宜設定可能であるようにしてもよい。
ここで、送信側の無線通信装置101において変調多値数が低多値の変調方式が選択される場合は、等化器の性能としては信号再生上の理論的等化限界が高いので、高速なフェージング変動に追従可能な動作パラメータで等化器が動作した方が有利である。一方で、送信側の無線通信装置101において変調多値数が高多値の変調方式が選択される場合は、等化器の性能としては信号再生上の理論的等化限界が低いので、フェージングによる性能劣化をできる限り抑えるために、安定動作を保証する動作パラメータで等化器が動作することが要求される。
そして、この実施の形態に係る無線受信装置1によれば、受信した無線フレームについての変調方式の変調多値数(即ち、同相I-直交Q平面におけるシンボル点/信号点の数)の程度に基づいてタップ更新部5へと供給するパラメータを切り替えるようにしているので、送信側の無線通信装置101において選択された無線フレームの変調方式に対応させてタップ更新部5を適切に動作させ、延いては等化器を適切に動作させることが可能となる。この実施の形態に係る無線受信装置1によれば、したがって、伝搬路環境に応じて無線フレームの変調方式の変調多値数を切り替えることに加えて変調方式の変調多値数に応じて性能が最善となるようにタップ更新部5/等化器に関係するパラメータを切り替えるようにしているので、等化性能を相乗的に向上させることが可能となる。
この実施の形態に係る無線受信装置1によれば、特に、タップ係数を更新する際のステップサイズを、無線フレームの変調方式の変調多値数の程度に基づいて切り替えるようにしているので、送信側の無線通信装置101において選択された無線フレームの変調方式に応じて最適なステップサイズの選択を行うことができ、タップ更新部5を適切に動作させ、延いては等化器を適切に動作させることが可能となる。
この実施の形態に係る無線受信装置1によれば、また、変調多値数が大きい場合のステップサイズの方が、変調多値数が小さい場合のステップサイズよりも小さいようにしているので、送信側の無線通信装置101において選択された無線フレームの変調方式に対して性能が最善となるようにステップサイズを切り替えてタップ更新部5を適切に動作させ、延いては等化器を適切に動作させることが可能となる。
(実施の形態2)
図3は、この発明の実施の形態2に係る無線受信装置1の概略構成を示す機能ブロック図である。なお、図3は、上記で説明した無線通信システム100における無線通信装置101のような構成(図1参照)をベースとしつつ、この発明の特徴的な構成を分かり易く示すことを考慮して、無線通信装置101の構成のうちの一部を省略している。図3は、具体的には、上記で説明した無線通信装置101の受信部150と復調部170との間の判定帰還型等化器160に相当する構成に対して適用される特徴的な構成を、特に受信に纏わる機序としての無線受信装置1として示している。
ここで、この発明では、上述のとおり、無線通信装置101は、瞬時の伝搬路環境に応じて、無線フレームの変調方式のパラメータ、具体的には直角位相振幅変調の変調多値数(例えば、4QAM(QPSK)~4096QAM)を切り替えながら無線通信を行う。そして、当該の通信において送信側となる無線通信装置101は、当該の通信において受信側となる無線通信装置101に対して、送信する無線フレームの変調方式のパラメータ、具体的には直角位相振幅変調の変調多値数を通知するための制御情報を送信する。
そして、この実施の形態に係る無線受信装置1は、受信した無線フレームについての変調方式の変調多値数の程度に関する変調多値数情報を出力する変調方式受信部2と、等化処理において用いられるタップ係数を計算し更新するタップ更新部5と、タップ更新部5へと供給するパラメータを切り替え可能なタップ制御スイッチ10と、を有し、タップ制御スイッチ10が、変調方式受信部2から出力される変調多値数情報に基づいてタップ更新部5へと供給する前記パラメータを切り替える、ようにしている。
この実施の形態に係る無線受信装置1は、また、タップ更新部5へと供給される上記パラメータが、タップ係数を計算し更新する処理においてシンボル点の誤差検出の対象とするシンボル点の範囲である、ようにしている。
この実施の形態に係る無線受信装置1は、デジタル無線伝送において等化処理を行う回路であり、主として、変調方式受信部2と、FF等化部3と、FB等化部4と、タップ更新部5と、ホールド制御部6と、タップ制御スイッチ20とを含む機序として構成される。
実施の形態2は、ホールド制御部6を有している点、タップ制御スイッチ(実施の形態1では符号10、実施の形態2では符号20)に纏わる構成、およびタップ更新部5における処理内容において上述の実施の形態1と異なる。一方で、変調方式受信部2、FF等化部3、FB等化部4、加算器7、シンボル判定部8、および誤差計算部9については、実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。
タップ更新部5は、FF等化部3およびFB等化部4のタップ係数を計算・更新し、前記計算・更新したタップ係数をFF等化部3とFB等化部4とのそれぞれに対して出力する。タップ更新部5は、上記の数式1で表されるLMSアルゴリズムを適応アルゴリズムとして用いてタップ係数の計算・更新処理を行う。タップ更新部5は、タップ制御スイッチ20からホールド制御部6を介して供給されるステップサイズを用いてタップ係数の計算・更新処理を行う。
ホールド制御部6は、等化の目的である線形歪等化とは異なる劣化要素である非線形歪や位相ノイズの影響が特に大きいために誤差が特に大きいと考えられる場合に、タップ係数の計算・更新の処理を行わないようにする機能を備える。この場合、タップ係数は、更新されず、同じタップ係数が用いられて等化処理が行われる。ホールド制御部6は、例えば検出された誤差の大きさに基づいて、タップ係数の計算・更新の処理を行うか否かを判断するようにしてもよい。なお、ホールド制御部6を有することは、本発明において必須の構成ではない。
タップ制御スイッチ20は、低多値用出力部21、中多値用出力部22、および高多値用出力部23の各々から出力される信号のうちのいずれかを選択してホールド制御部6へと供給する機能を備える。タップ制御スイッチ20は、変調方式受信部2から出力される変調多値数情報に従って低多値用出力部21、中多値用出力部22、および高多値用出力部23のうちのいずれかとの接続を切り替える。
低多値用出力部21には、無線フレームの変調方式の変調多値数が低多値である場合に用いられることにより、タップ更新部5を適切に動作させ、延いては等化器の性能を最善とすることを可能とするような、タップ係数の計算・更新を行う際にシンボル点の誤差検出の対象とするシンボル点の範囲(「低多値用検出対象範囲」と呼ぶ)が記憶されている。低多値用検出対象範囲は、無線フレームの変調方式の変調多値数が低多値である場合に、同相I-直交Q平面(別言すると、複素平面)上に割り当てられたシンボル点(「理想シンボル点」などとも呼ばれる)のうち、タップ更新部5におけるタップ係数の計算・更新処理においてシンボル点の誤差検出の対象とするシンボル点の範囲の定義であり、言い換えると、タップ更新部5におけるタップ係数の計算・更新処理においてシンボル点の誤差検出の対象から除外するシンボル点の範囲の定義である。低多値用検出対象範囲は、無線フレームの変調方式の変調多値数が低多値である場合に、等化の目的である線形歪等化とは異なる劣化要素である非線形歪や位相ノイズの影響が大きいために誤差が大きいと推察されるシンボル点の検出誤差に基づくタップ係数の計算・更新を回避し得るように設定される。なお、シンボル点の誤差検出の対象から除外されたシンボルについても、低多値用検出対象範囲内のシンボル点の検出誤差に基づいて更新されたタップ係数が用いられて等化処理が行われる。
中多値用出力部22には、無線フレームの変調方式の変調多値数が中多値である場合に用いられることにより、タップ更新部5を適切に動作させ、延いては等化器の性能を最善とすることを可能とするような、タップ係数の計算・更新を行う際にシンボル点の誤差検出の対象とするシンボル点の範囲(「中多値用検出対象範囲」と呼ぶ)が記憶されている。中多値用検出対象範囲は、無線フレームの変調方式の変調多値数が中多値である場合に、同相I-直交Q平面(別言すると、複素平面)上に割り当てられたシンボル点(「理想シンボル点」などとも呼ばれる)のうち、タップ更新部5におけるタップ係数の計算・更新処理においてシンボル点の誤差検出の対象とするシンボル点の範囲の定義であり、言い換えると、タップ更新部5におけるタップ係数の計算・更新処理においてシンボル点の誤差検出の対象から除外するシンボル点の範囲の定義である。中多値用検出対象範囲は、無線フレームの変調方式の変調多値数が中多値である場合に、等化の目的である線形歪等化とは異なる劣化要素である非線形歪や位相ノイズの影響が大きいために誤差が大きいと推察されるシンボル点の検出誤差に基づくタップ係数の計算・更新を回避し得るように設定される。なお、シンボル点の誤差検出の対象から除外されたシンボルについても、中多値用検出対象範囲内のシンボル点の検出誤差に基づいて更新されたタップ係数が用いられて等化処理が行われる。
上記の「変調多値数が中多値である」とは、上記の「変調多値数が低多値である」よりも変調方式の変調多値数が大きいことをいう。
高多値用出力部23には、無線フレームの変調方式の変調多値数が高多値である場合に用いられることにより、タップ更新部5を適切に動作させ、延いては等化器の性能を最善とすることを可能とするような、タップ係数の計算・更新を行う際にシンボル点の誤差検出の対象とするシンボル点の範囲(「高多値用検出対象範囲」と呼ぶ)が記憶されている。高多値用検出対象範囲は、無線フレームの変調方式の変調多値数が高多値である場合に、同相I-直交Q平面(別言すると、複素平面)上に割り当てられたシンボル点(「理想シンボル点」などとも呼ばれる)のうち、タップ更新部5におけるタップ係数の計算・更新処理においてシンボル点の誤差検出の対象とするシンボル点の範囲の定義であり、言い換えると、タップ更新部5におけるタップ係数の計算・更新処理においてシンボル点の誤差検出の対象から除外するシンボル点の範囲の定義である。高多値用検出対象範囲は、無線フレームの変調方式の変調多値数が高多値である場合に、等化の目的である線形歪等化とは異なる劣化要素である非線形歪や位相ノイズの影響が大きいために誤差が大きいと推察されるシンボル点の検出誤差に基づくタップ係数の計算・更新を回避し得るように設定される。なお、シンボル点の誤差検出の対象から除外されたシンボルについても、高多値用検出対象範囲内のシンボル点の検出誤差に基づいて更新されたタップ係数が用いられて等化処理が行われる。
上記の「変調多値数が高多値である」とは、上記の「変調多値数が中多値である」よりも変調方式の変調多値数が大きいことをいう。
タップ制御スイッチ20は、変調方式受信部2から出力される変調多値数情報として低多値変調信号が入力されると、低多値用出力部21と接続して、ホールド制御部6に対して、タップ更新部5へと供給するパラメータとして低多値用検出対象範囲を供給する。この場合、タップ更新部5は、タップ制御スイッチ20からホールド制御部6を介して供給される低多値用検出対象範囲に従ってタップ係数の計算・更新処理を行う。すなわち、タップ更新部5は、低多値用検出対象範囲において定義されているシンボル点の範囲内の理想シンボル点(および、当該の理想シンボル点に対応する受信シンボル点)のみを取り上げてタップ係数の計算・更新処理を行う。
タップ制御スイッチ20は、また、変調方式受信部2から出力される変調多値数情報として中多値変調信号が入力されると、中多値用出力部22と接続して、ホールド制御部6に対して、タップ更新部5へと供給するパラメータとして中多値用検出対象範囲を供給する。この場合、タップ更新部5は、タップ制御スイッチ20からホールド制御部6を介して供給される中多値用検出対象範囲に従ってタップ係数の計算・更新処理を行う。すなわち、タップ更新部5は、中多値用検出対象範囲において定義されているシンボル点の範囲内の理想シンボル点(および、当該の理想シンボル点に対応する受信シンボル点)のみを取り上げてタップ係数の計算・更新処理を行う。
タップ制御スイッチ20は、さらに、変調方式受信部2から出力される変調多値数情報として高多値変調信号が入力されると、高多値用出力部23と接続して、ホールド制御部6に対して、タップ更新部5へと供給するパラメータとして高多値用検出対象範囲を供給する。この場合、タップ更新部5は、タップ制御スイッチ20からホールド制御部6を介して供給される高多値用検出対象範囲に従ってタップ係数の計算・更新処理を行う。すなわち、タップ更新部5は、高多値用検出対象範囲において定義されているシンボル点の範囲内の理想シンボル点(および、当該の理想シンボル点に対応する受信シンボル点)のみを取り上げてタップ係数の計算・更新処理を行う。
ここで、無線フレームの変調方式として例えば4QAM(QPSK)から4096QAMまでの範囲が想定される場合に、各変調方式の変調多値数が低多値、中多値、および高多値のうちのいずれであるのかは、特定の区分・振り分けには限定されないとともに、変調方式の変調多値数の程度である低多値、中多値、および高多値のそれぞれと対応づけられる、タップ係数の計算・更新処理においてシンボル点の誤差検出の対象とするシンボル点の範囲(即ち、低多値用検出対象範囲、中多値用検出対象範囲、および高多値用検出対象範囲)は特定の範囲には限定されない。
変調方式の変調多値数の区分・振り分けは、具体的には例えば、あくまで一例として挙げると、下記のように設定されてもよい。
低多値:4QAM(QPSK)~64QAM
中多値:128QAM~512QAM
高多値:1024QAM~4096QAM
また、タップ係数の計算・更新処理においてシンボル点の誤差検出の対象とするシンボル点の範囲(「タップ計算対象範囲」とも呼ぶ)に関連して、無線通信装置101の不完全性として非線形歪や位相ノイズが挙げられ、このような不完全性が影響を及ぼしてシンボル点が劣化する領域(言い換えると、劣化する領域に含まれるシンボル点)は変調方式/変調多値数によって異なる。不完全性が影響を及ぼしてシンボル点が劣化する領域(「劣化領域」と呼ぶ)は、同相I-直交Q平面(別言すると、複素平面)の各象限において同相成分(Ich)についても直交成分(Qch)についても振幅の絶対値が大きい4つの領域となる(図4参照)。このため、例えば、変調方式が256QAMである場合には、図4(A)に示すように、同相I-直交Q平面の各象限の劣化領域に10個ずつ含まれる合計40個のシンボル点を除く216個の理想シンボル点(および、当該の理想シンボル点に対応する受信シンボル点)のみを取り上げてタップ係数の計算・更新処理を行うことが考えられ、一方、変調方式が16QAMである場合には、図4(B)に示すように、同相I-直交Q平面の各象限の劣化領域に1個ずつ含まれる合計4個のシンボル点を除く12個の理想シンボル点(および、当該の理想シンボル点に対応する受信シンボル点)のみを取り上げてタップ係数の計算・更新処理を行うことが考えられる。ただし、図4に示す、不完全性が影響を及ぼしてシンボル点が劣化する領域(即ち、劣化領域)や、前記劣化領域に基づいてタップ係数の計算・更新処理においてシンボル点の誤差検出の対象から除くシンボル点の範囲は、あくまでも一例であり、図4に示す例に限定されるものではない。
不完全性が影響を及ぼしてシンボル点が劣化する領域に関連して、特に位相ノイズによるシンボル点の劣化について説明を加えると、図5に示すように、同じ角度の位相ジッタであっても、同相I-直交Q平面において同相成分(Ich)についても直交成分(Qch)についても振幅の絶対値が大きいほどシンボル点の揺らぎ幅が大きくなってより一層劣化する。
なお、低多値用検出対象範囲、中多値用検出対象範囲、および高多値用検出対象範囲の各々としての、タップ係数の計算・更新処理においてシンボル点の誤差検出の対象とするシンボル点の範囲は、それぞれ、特定の範囲に限定されるものではなく、無線通信装置101(特に、判定帰還型等化器160)の特性や所望の精度が考慮されて適当な範囲に設定されたり、実機を用いた試験の結果に基づいて適切な範囲に設定されたり、或いは、シミュレーションの結果に基づいて適正な範囲に設定されたりすることが考えられる。また、低多値用検出対象範囲、中多値用検出対象範囲、および高多値用検出対象範囲は、予め固定的に設定されて低多値用出力部21、中多値用出力部22、および高多値用出力部23のそれぞれに格納されているようにしてもよく、或いは、低多値用出力部21、中多値用出力部22、および高多値用出力部23のそれぞれに対してユーザが適宜設定可能であるようにしてもよい。
この実施の形態に係る無線受信装置1によれば、受信した無線フレームについての変調方式の変調多値数(即ち、同相I-直交Q平面におけるシンボル点/信号点の数)の程度に基づいてタップ更新部5へと供給するパラメータを切り替えるようにしているので、送信側の無線通信装置101において選択された無線フレームの変調方式に対応させてタップ更新部5を適切に動作させ、延いては等化器を適切に動作させることが可能となる。この実施の形態に係る無線受信装置1によれば、したがって、伝搬路環境に応じて無線フレームの変調方式の変調多値数を切り替えることに加えて変調方式の変調多値数に応じて性能が最善となるようにタップ更新部5/等化器に関係するパラメータを切り替えるようにしているので、等化性能を相乗的に向上させることが可能となる。
この実施の形態に係る無線受信装置1によれば、特に、タップ係数の計算・更新処理においてシンボル点の誤差検出の対象とするシンボル点の範囲(即ち、タップ計算対象範囲)を、無線の変調方式の変調多値数の程度に基づいて切り替えるようにしているので、送信側の無線通信装置101において選択された無線フレームの変調方式に応じて最適なタップ計算対象範囲の選択を行うことができ、非線形歪や位相ノイズによる等化性能の劣化を回避して、タップ更新部5を適切に動作させ、延いては等化器を適切に動作させることが可能となる。
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。具体的には、上記の実施の形態ではこの発明に係る無線受信装置1が適用されるベースの構成として図1に示す無線通信装置101を挙げたが、この発明が適用され得る無線通信装置の構成は、図1に示す無線通信装置101に限定されるものではなく、上記で説明したような無線受信装置1の構成が受信に纏わる機序として適用することができる(言い換えると、受信に纏わる機序に組込むことができる)無線通信装置であればどのような構成でもよい。付け加えると、上記の実施の形態では等化器として判定帰還型等化器160が用いられるようにしているが、本発明が適用され得る等化器は、判定帰還型の等化器に限定されるものではなく、タップ係数の計算・更新処理を行う回路を備える等化器であればどのような構成の等化器であってもよい。
また、上記の実施の形態1では無線フレームの変調方式の変調多値数の程度に応じて3種類のステップサイズを使い分けるようにしているが、実施の形態1の要点は変調多値数の程度に応じて複数種類のステップサイズを使い分けることであり、変調多値数の程度に応じて使い分けるステップサイズの種類は、2種類でもよく、また、4種類以上でもよい。付け加えると、無線通信システム100において送受信される無線フレームの変調方式として想定される変調多値数ごとに、ステップサイズが設定されるようにしてもよい。その上で、実施の形態1では、変調多値数が大きいほど、ステップサイズの値が小さくなるように設定される。
また、上記の実施の形態2では無線フレームの変調方式の変調多値数の程度に応じて3種類のタップ計算対象範囲を使い分けるようにしているが、実施の形態2の要点は、変調多値数の程度に応じて複数種類のタップ計算対象範囲を使い分けることであり、変調多値数の程度に応じて使い分けるタップ計算対象範囲は、2種類でもよく、また、4種類以上でもよい。付け加えると、無線通信システム100において送受信される無線フレームの変調方式として想定される変調多値数ごとに、タップ計算対象範囲が設定されるようにしてもよい。
また、上記の実施の形態1や実施の形態2ではタップ更新部5におけるタップ係数の計算・更新処理において適応アルゴリズムとしてLMSアルゴリズムが用いられるようにしているが、この発明において用いられる適応アルゴリズム(別言すると、波形等化アルゴリズム)は、LMSアルゴリズムに限定されるものではなく、ステップサイズパラメータ或いはステップサイズパラメータに相当するパラメータを用いるアルゴリズムであればどのようなアルゴリズムであってもよい。タップ更新部5におけるタップ係数の計算・更新処理において用いられる適応アルゴリズムとして、例えば、CMA(Constant Modulus Algorithm の略)が用いられてもよい。