JP7252953B2 - H1.0k180me2抗体、その作製および使用の方法 - Google Patents
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Description
本出願は、米国仮特許出願第62/577,041号(2017年10月25日出願。その内容は、その全体において本明細書に参考として援用される)への優先権を主張する。
本明細書とともに電子提出されたテキストファイルの内容は、それらの全体において本明細書に参考として援用される:配列表のコンピューター読み取り可能なフォーマット(ファイル名: ALNC_010_01WO_SeqList_ST25.txt(作成日:2018年10月23日、ファイルサイズ:27キロバイト)。
細胞クロマチンは、多くの構成が可能な、生理学的に関連する入力を受容するにつれて再モデル化および再構築する傾向にある動的ポリマーである。ヒストンタンパク質は、クロマチンの主要なタンパク質構成要素であり、2本鎖DNAは、ヒストンタンパク質の周りに巻き付けられている。ヒストンタンパク質の変化は、いくつかの遺伝子への転写機構のアクセスを差次的に変更させ得ると同時に、他の遺伝子へのアクセスをそのままにし得る。ヒストン翻訳後修飾(PTM)によって達成される差次的なクロマチン凝縮は、クロマチンのパッケージングの根底にある(Lunyak and Rosenfeld 92008) Hum. Mol. Genet., 17: R28-36;Jenuwein and Allis (2001) Science, 293: 1074-1080)。ヒストンPTM(例えば、メチル化)は、エピジェネティックコード(epigenetic code)として作用し得、発生、傷害、疾患および加齢に密接に関連した細胞応答の多くの局面において極めて重要な役割を果たし得る。
H1.0K180me2抗原を含むタンパク質またはそのペプチドに結合する抗体が本明細書で提供され、ここで上記抗体は、治療および診断に有用である。このような抗体を作製するための方法がまた提供される。
(a)表4のCDR-L1アミノ酸配列のうちのいずれか1つ;
(b)表5のCDR-L2アミノ酸配列のうちのいずれか1つ;および
(c)表6のCDR-L3アミノ酸配列のうちのいずれか1つ
を含む。
(a)表7のCDR-H1アミノ酸配列のうちのいずれか1つ;
(b)表8のCDR-H2アミノ酸配列のうちのいずれか1つ;および
(c)表9のCDR-H3アミノ酸配列のうちのいずれか1つ
を含む。
(a)配列番号10または配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(b)配列番号14または配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(c)配列番号18のアミノ酸配列を含むCDR-L3、
を含む。
(a)配列番号20、配列番号21、配列番号22または配列番号23のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(b)配列番号28、配列番号29、配列番号30または配列番号31のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(c)配列番号36または配列番号37のアミノ酸配列を含むCDR-H3、
を含む。
(a)上記個体の生物学的サンプルと本明細書に記載される抗体のうちのいずれか1つとを接触させる工程;および
(b)上記抗体に結合する上記サンプル中のH1.0K180me2抗原を含むタンパク質またはそのペプチドの濃度を決定する工程であって、ここでコントロールに対する上記濃度の減少は、上記個体がアルツハイマー病を有するか、その発症リスクにあることを示す工程、
を包含する。いくつかの実施形態において、上記方法は、上記個体が、アルツハイマー病を有するか、その発症リスクにあることが決定された場合、上記個体を、アルツハイマー病の薬物またはレジメンで処置する工程をさらに包含する。
(a)上記個体の生物学的サンプルと本明細書に記載される抗体のうちのいずれか1つとを接触させる工程;および
(b)上記抗体に結合する上記サンプル中のH1.0K180me2抗原を含むタンパク質またはそのペプチドの濃度を決定する工程;および
(c)コントロールに対する上記濃度の増大が存在する場合、上記個体が、上記処置から利益を受けるか、または上記処置から利益を受け続けることを決定する工程、
を包含する。いくつかの実施形態において、上記方法は、上記個体が上記処置から利益を受けるか、または上記処置から利益を受け続けることが決定される場合、上記個体を、アルツハイマー病の薬物またはレジメンで処置する工程をさらに包含する。
(a)上記個体に候補処置を投与する工程;
(b)上記候補処置の投与後の上記個体の生物学的サンプルと、本明細書に記載される抗体のうちのいずれか1つとを接触させる工程;ならびに
(c)上記抗体に結合する上記サンプル中の上記H1.0K180me2抗原を含むタンパク質もしくはそのペプチドの濃度および/または細胞内局在(subcellular localization)を決定する工程;ならびに
(d)コントロールに対する上記濃度の増大または細胞質の細胞内局在の減少が存在する場合、上記個体が、上記候補処置から利益を受けることを決定する工程、
を包含する。いくつかの実施形態において、上記処置は、APP合成インヒビター、β-セクレターゼインヒビター、γ-セクレターゼインヒビターおよびモジュレーター、Aβ凝集インヒビター、Aβ免疫療法、コレステロール低下薬、抗タウ薬、コリンエステラーゼインヒビター、N-メチルD-アスパラギン酸(NMDA)アンタゴニスト、非定型抗精神病薬、プロテインSニトロシル化の遮断薬、グルカゴン様ペプチド-1レセプターアゴニスト、ラパマイシン、ラパログ、エンドカンナビノイド、カンナビノイド(cannabionoid)、神経保護因子(neuroprotector)、カルシウム流入を制御する分子、抗酸化剤、抗炎症薬、グルタミン酸ホメオスタシス制御を制御する薬物(drug controlling control of glutamate homeostasis)、オートファジー誘導因子、ホルモン、ホルモン調節因子、スタチン、インスリン、インスリンキャリア、多官能性ナノキャリア、ビタミン、栄養補助剤(nutritional supplement)、小型RNA分子、ペプチド、および超音波療法からなる群より選択される。
(a)上記候補処置の投与後に上記個体から得られる生物学的サンプルを提供する工程;
(b)上記個体の生物学的サンプルと本明細書に記載される抗体のうちのいずれか1つとを接触させる工程;および
(c)上記抗体に結合する上記サンプル中のH1.0K180me2抗原を含むタンパク質またはそのペプチドの濃度および/または細胞内局在を決定する工程;ならびに
(d)コントロールに対する上記濃度の増大または細胞質の細胞内局在の減少が存在する場合、上記個体が、上記候補処置から利益を受けることを決定する工程、
を包含する。いくつかの実施形態において、上記処置は、APP合成インヒビター、β-セクレターゼインヒビター、γ-セクレターゼインヒビターおよびモジュレーター、Aβ凝集インヒビター、Aβ免疫療法、コレステロール低下薬、抗タウ薬、コリンエステラーゼインヒビター、N-メチルD-アスパラギン酸(NMDA)アンタゴニスト、非定型抗精神病薬、プロテインSニトロシル化の遮断薬、グルカゴン様ペプチド-1レセプターアゴニスト、ラパマイシン、ラパログ、エンドカンナビノイド、カンナビノイド、神経保護因子、カルシウム流入を制御する分子、抗酸化剤、抗炎症薬、グルタミン酸ホメオスタシス制御を制御する薬物、オートファジー誘導因子、ホルモン、ホルモン調節因子、スタチン、インスリン、インスリンキャリア、多官能性ナノキャリア、ビタミン、栄養補助剤、小型RNA分子、ペプチド、および超音波療法からなる群より選択される。
(a)上記個体の生物学的サンプルと候補処置とを接触させる工程;
(b)上記個体の生物学的サンプルと本明細書に記載される抗体のうちのいずれか1つとを接触させる工程;
(c)上記抗体に結合する上記サンプル中のH1.0K180me2抗原を含むタンパク質またはそのペプチドの濃度および/または細胞内局在を決定する工程;ならびに
(d)コントロールに対する上記濃度の増大またはコントロールに対する細胞質の細胞内局在の減少が存在する場合、上記個体が、上記候補処置から利益を受けることを決定する工程、
を包含する。いくつかの実施形態において、上記処置は、APP合成インヒビター、β-セクレターゼインヒビター、γ-セクレターゼインヒビターおよびモジュレーター、Aβ凝集インヒビター、Aβ免疫療法、コレステロール低下薬、抗タウ薬、コリンエステラーゼインヒビター、N-メチルD-アスパラギン酸(NMDA)アンタゴニスト、非定型抗精神病薬、プロテインSニトロシル化の遮断薬、グルカゴン様ペプチド-1レセプターアゴニスト、ラパマイシン、ラパログ、エンドカンナビノイド、カンナビノイド、神経保護因子、カルシウム流入を制御する分子、抗酸化剤、抗炎症薬、グルタミン酸ホメオスタシス制御を制御する薬物、オートファジー誘導因子、ホルモン、ホルモン調節因子、スタチン、インスリン、インスリンキャリア、多官能性ナノキャリア、ビタミン、栄養補助剤、小型RNA分子、ペプチド、および超音波療法からなる群より選択される。
(a)上記個体の生物学的サンプルと本明細書に記載される抗体のうちのいずれか1つとを接触させる工程;および
(b)上記抗体に結合する上記サンプル中のH1.0K180me2抗原を含むタンパク質またはそのペプチドの濃度を決定する工程であって、ここでコントロールに対する上記濃度の増大は、上記個体がDNA損傷因子に曝されていることを示す工程、
を包含する。いくつかの実施形態において、上記DNA損傷因子は放射線である。
(a)上記個体の生物学的サンプルと本明細書に記載される抗体のうちのいずれか1つとを接触させる工程;
(b)上記抗体に結合する上記サンプル中のH1.0K180me2抗原を含むタンパク質またはそのペプチドの濃度を決定する工程;および
(c)上記個体が処置に応答するか否かを決定する工程であって、ここでコントロールに対する上記濃度の減少は、上記個体が応答することを示す工程、
を包含する。
(a)本明細書に記載される抗体のうちのいずれか1つを含む基材;および
(b)複数のマイクロニードル、
を含む。
(a)サンプル収集ユニット;
(b)読み取り機;
(c)本明細書に記載される抗体のうちのいずれか1つを含むアッセイモジュール;および
(d)複数のマイクロニードル、
を含む。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
H1.0K180me2抗原を含むタンパク質またはそのペプチドに特異的に結合する抗体であって、ここで前記抗体の抗原結合ドメインは、
(a)表4のCDR-L1アミノ酸配列のうちのいずれか1つ;
(b)表5のCDR-L2アミノ酸配列のうちのいずれか1つ;および
(c)表6のCDR-L3アミノ酸配列のうちのいずれか1つ、
を含む、抗体。
(項目2)
H1.0K180me2抗原を含むタンパク質またはそのペプチドに特異的に結合する抗体であって、ここで前記抗体の抗原結合ドメインは、
(a)表7のCDR-H1アミノ酸配列のうちのいずれか1つ;
(b)表8のCDR-H2アミノ酸配列のうちのいずれか1つ;および
(c)表9のCDR-H3アミノ酸配列のうちのいずれか1つ、
を含む、抗体。
(項目3)
H1.0K180me2抗原を含むタンパク質またはそのペプチドに特異的に結合する抗体であって、ここで前記抗体の抗原結合ドメインは、表4、表5、および表6のCDR-Lアミノ酸配列のうちのいずれか1つを含み、表7、表8、および表9のCDR-Hアミノ酸配列のいずれか1つを含む、抗体。
(項目4)
前記抗体の抗原結合ドメインは、
(a)配列番号10または配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(b)配列番号14または配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(c)配列番号18のアミノ酸配列を含むCDR-L3、
を含む、項目1に記載の抗体。
(項目5)
前記抗体の抗原結合ドメインは、
(a)配列番号20、配列番号21、配列番号22または配列番号23のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(b)配列番号28、配列番号29、配列番号30または配列番号31のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(c)配列番号36または配列番号37のアミノ酸配列を含むCDR-H3
を含む、項目1または項目4に記載の抗体。
(項目6)
H1.0K180me2抗原を含むタンパク質またはそのペプチドに特異的に結合する抗体であって、ここで前記抗体の軽鎖可変ドメインは、配列番号8または配列番号9のアミノ酸配列を含む、抗体。
(項目7)
H1.0K180me2抗原を含むタンパク質またはそのペプチドに特異的に結合する抗体であって、ここで前記抗体の重鎖可変ドメインは、配列番号6または配列番号7のアミノ酸配列を含む、抗体。
(項目8)
H1.0K180me2抗原を含むタンパク質またはそのペプチドに特異的に結合する抗体であって、ここで前記抗体の重鎖可変ドメインは、配列番号6または配列番号7のアミノ酸配列を含み、前記抗体の軽鎖可変ドメインは、配列番号8または配列番号9のアミノ酸配列を含む、抗体。
(項目9)
前記抗体の重鎖可変ドメインは、配列番号6のアミノ酸配列を含み、前記抗体の軽鎖可変ドメインは、配列番号8のアミノ酸配列を含む、項目8に記載の抗体。
(項目10)
前記抗体の重鎖可変ドメインは、配列番号7のアミノ酸配列を含み、前記抗体の軽鎖可変ドメインは、配列番号9のアミノ酸配列を含む、項目8に記載の抗体。
(項目11)
前記抗体は、キメラであるかまたはヒト化されている、項目1~10のいずれか1項に記載の抗体。
(項目12)
前記抗体はモノクローナル抗体である、項目1~11のいずれか1項に記載の抗体。
(項目13)
前記抗体は抗原結合フラグメントである、項目1~11のいずれか1項に記載の抗体。
(項目14)
前記抗体は、H1.0K180me2タンパク質またはペプチドが、K180以外のメチル化されている残基を含む場合に、前記H1.0K180me2タンパク質またはペプチドへの低減した結合を示す、項目1~13のいずれか1項に記載の抗体。
(項目15)
前記抗体は、前記H1.0K180me2タンパク質またはペプチドがヒトヒストンH1.0タンパク質のK166、K172、K174、K175、および/またはK177に相当するリジン残基においてメチル化リジン残基を含む場合に、結合しないか、または最小限にしか結合しない、項目1~14のいずれか1項に記載の抗体。
(項目16)
前記抗体は、標識に結合体化されている、項目1~15のいずれか1項に記載の抗体。
(項目17)
前記抗体は、固体表面に付着される、項目16に記載の抗体。
(項目18)
前記抗体は、ビーズ、カラム、樹脂、またはマイクロプレートに付着される、項目17に記載の抗体。
(項目19)
前記抗体は薬剤に結合体化される、項目1~15のいずれか1項に記載の抗体。
(項目20)
前記薬剤は、放射性核種、細胞毒、化学療法剤、薬物、プロドラッグ、毒素、酵素、免疫モジュレーター、アポトーシス促進剤、サイトカイン、ホルモン、オリゴヌクレオチド、アンチセンス分子、siRNA、および第2の抗体からなる群より選択される、項目19に記載の抗体。
(項目21)
個体がアルツハイマー病を有するか、その発症リスクにあるか否かを決定するための方法であって、前記方法は、
(a)前記個体の生物学的サンプルと項目1~18のいずれか1項に記載の抗体とを接触させる工程;および
(b)前記抗体に結合する前記サンプル中のH1.0K180me2抗原を含むタンパク質またはそのペプチドの濃度を決定する工程であって、ここでコントロールに対する前記濃度の減少は、前記個体がアルツハイマー病を有するか、その発症リスクにあることを示す工程、
を包含する、方法。
(項目22)
前記個体がアルツハイマー病を有するか、その発症リスクにあることを示すことが決定された場合、前記個体を、アルツハイマー病の薬物またはレジメンで処置する工程をさらに包含する、項目21に記載の方法。
(項目23)
アルツハイマー病と診断され、前記アルツハイマー病のための処置を受けている個体が、前記処置から利益を受けるか、または前記処置から利益を受け続けるか否かを決定するための方法であって、前記方法は、
(a)前記個体の生物学的サンプルと項目1~18のいずれか1項に記載の抗体とを接触させる工程;および
(b)前記抗体に結合する前記サンプル中のH1.0K180me2抗原を含むタンパク質またはそのペプチドの濃度を決定する工程;および
(c)コントロールに対する前記濃度の増大が存在する場合、前記個体が、前記処置から利益を受けるか、または前記処置から利益を受け続けることを決定する工程、
を包含する、方法。
(項目24)
前記個体が前記処置から利益を受けるか、または前記処置から利益を受け続けることが決定される場合、前記個体を、アルツハイマー病の薬物またはレジメンで処置する工程をさらに包含する、項目23に記載の方法。
(項目25)
アルツハイマー病と診断された個体が、候補処置から利益を受けるか否かを決定するための方法であって、ここで前記個体は前記処置を未だ開始しておらず、前記方法は、
(a)前記個体に候補処置を投与する工程;
(b)前記候補処置の投与後の前記個体の生物学的サンプルと、項目1~18のいずれか1項に記載の抗体とを接触させる工程;ならびに
(c)前記抗体に結合する前記サンプル中のH1.0K180me2抗原を含むタンパク質もしくはそのペプチドの濃度および/または細胞内局在を決定する工程;ならびに
(d)コントロールに対する前記濃度の増大または細胞質の細胞内局在の減少が存在する場合、前記個体が、前記候補処置から利益を受けることを決定する工程、
を包含する、方法。
(項目26)
アルツハイマー病と診断された個体が、候補処置から利益を得られるか否かを決定するための方法であって、ここで前記個体は前記処置を未だ開始しておらず、前記方法は、
(a)前記個体の生物学的サンプルと候補処置とを接触させる工程;
(b)前記個体の生物学的サンプルと項目1~18のいずれか1項に記載の抗体とを接触させる工程;
(c)前記抗体に結合する前記サンプル中のH1.0K180me2抗原を含むタンパク質もしくはそのペプチドの濃度および/または細胞内局在を決定する工程;ならびに
(d)コントロールに対する前記濃度の増大またはコントロールに対する細胞質の細胞内局在の減少が存在する場合、前記個体が、前記候補処置から利益を受けることを決定する工程、
を包含する、方法。
(項目27)
前記処置は、APP合成インヒビター、β-セクレターゼインヒビター、γ-セクレターゼインヒビターおよびモジュレーター、Aβ凝集インヒビター、Aβ免疫療法、コレステロール低下薬、抗タウ薬、コリンエステラーゼインヒビター、N-メチルD-アスパラギン酸(NMDA)アンタゴニスト、非定型抗精神病薬、プロテインSニトロシル化の遮断薬、グルカゴン様ペプチド-1レセプターアゴニスト、ラパマイシン、ラパログ、エンドカンナビノイド、カンナビノイド、神経保護因子、カルシウム流入を制御する分子、抗酸化剤、抗炎症薬、グルタミン酸ホメオスタシス制御を制御する薬物、オートファジー誘導因子、ホルモン、ホルモン調節因子、スタチン、インスリン、インスリンキャリア、多官能性ナノキャリア、ビタミン、栄養補助剤、小型RNA分子、ペプチド、および超音波療法からなる群より選択される、項目25~26のいずれか1項に記載の方法。
(項目28)
個体がDNA損傷因子に曝されているか否かを決定するための方法であって、前記方法は、
(a)前記個体の生物学的サンプルと項目1~18のいずれか1項に記載の抗体とを接触させる工程;および
(b)前記抗体に結合する前記サンプル中のH1.0K180me2抗原を含むタンパク質またはそのペプチドの濃度を決定する工程であって、ここでコントロールに対する前記濃度の増大は、前記個体がDNA損傷因子に曝されていることを示す工程、
を包含する、方法。
(項目29)
前記DNA損傷因子は放射線である、項目28に記載の方法。
(項目30)
ラパログでの処置を受けている個体が、このような処置に応答するか否かを決定するための方法であって、前記方法は、
(a)前記個体の生物学的サンプルと項目1~18のいずれか1項に記載の抗体とを接触させる工程;
(b)前記抗体に結合する前記サンプル中のH1.0K180me2抗原を含むタンパク質またはそのペプチドの濃度を決定する工程;および
(c)前記個体が処置に応答するか否かを決定する工程であって、ここでコントロールに対する前記濃度の減少は、前記個体が応答することを示す工程、
を包含する、方法。
(項目31)
前記減少は、最適な特異度および感度に関する受診者動作特性曲線分析によって確立される閾値を下回る、項目30に記載の方法。
(項目32)
前記ラパログは、ラパマイシン、シロリムス、ラパミューン、エベロリムス、RA 001、アフィニトール、Zortress、テムシロリムス、CCI-779、トーリセル、リダフォロリムス、AP23573、MK-8669、デフォロリムス、ゾタロリムス、ABT-578、AZD8055、AZD2014、OSI-027、MLN0128、WYE-132、Torin 1、PI-103、P7170、PF-04691502、PF-05212384、PKI-587、GNE477、PKI-180、WJD008、XL765、SAR245409、NVP-BEZ235、BGT226、SF1126、GSK2126458、Ku-0063794、WYE-354、NVP-BEZ235、PF-05212384、XL765、Torin 2、WYE-125132、およびOSI-027からなる群より選択される、項目30に記載の方法。
(項目33)
前記濃度の増大または減少は、最適な特異度および感度に関する受診者動作特性曲線分析によって確立される閾値を上回るかまたは下回る、項目21~32のいずれか1項に記載の方法。
(項目34)
前記生物学的サンプルは、全血、血漿、血清、唾液、尿、滑液、脳脊髄液、気管支洗浄物、腹水、骨髄吸引物、胸水、組織、細胞、生検材料、間質液、およびリンパ液からなる群より選択される、項目21~33のいずれか1項に記載の方法。
(項目35)
皮下標的分子の濃度を測定するための経皮パッチであって、前記パッチは、
(a)項目1~18のいずれか1項に記載の抗体を含む基材;および
(b)複数のマイクロニードル
を含む、パッチ。
(項目36)
前記パッチは、経皮マイクロニードルアレイパッチである、項目35に記載のパッチ。
(項目37)
前記基材は弾性的に伸縮性である、項目35または36に記載のパッチ。
(項目38)
個体が放射線またはDNA損傷因子に曝露されているか否かを決定するための携帯式ユニットであって、前記ユニットは、
(a)サンプル収集ユニット;
(b)読み取り機;
(c)項目1~18のいずれか1項に記載の抗体を含むアッセイモジュール;および
(d)複数のマイクロニードル、
を含む、ユニット。
(項目39)
分析物のラテラルフローアッセイに適した試験ストリップであって、前記ストリップは、サンプル受容ゾーンを含み、ここで前記サンプル受容ゾーンは、項目1~18のいずれか1項に記載の抗体を含む、試験ストリップ。
(項目40)
個体においてメチル化H1.0関連疾患または状態を処置するための方法であって、前記方法は、前記個体に、治療上有効な量の項目1~20のいずれか1項に記載の抗体を投与する工程を包含する、方法。
(項目41)
前記疾患または状態は、アルツハイマー病、放射線曝露、遺伝毒性ストレッサーへの曝露、老化細胞の蓄積を含む疾患または状態、およびH1.0K180me2タンパク質またはペプチドの上昇したレベルが付随する疾患または状態からなる群より選択される、項目40に記載の方法。
(項目42)
個体においてH1.0K180me2を取り除くための方法であって、前記方法は、前記個体に、治療上有効な量の項目1~20のいずれか1項に記載の抗体を投与する工程を包含する、方法。
(項目43)
前記個体は、アルツハイマー病、放射線曝露、遺伝毒性物質への曝露、DNA損傷因子への曝露、および老化細胞の蓄積を含む状態からなる群より選択される疾患または状態に罹患している、項目42に記載の方法。
(項目44)
項目1~20のいずれか1項に記載の抗体、および薬学的に受容可能な賦形剤を含む、薬学的組成物。
(項目45)
治療上有効な量の項目1~18のいずれか1項に記載の抗体のうちのいずれか1つを含むキット。
(項目46)
項目1~20、および35~45に記載の組成物のうちのいずれか1つを含む、製造物品。
(項目47)
配列番号4の核酸を含む、H1.0K180me2抗原を含むタンパク質またはそのペプチドに特異的に結合する抗体をコードする、ベクター。
(項目48)
配列番号5の核酸を含む、H1.0K180me2抗原を含むタンパク質またはそのペプチドに特異的に結合する抗体をコードする、ベクター。
(項目49)
項目47~48のいずれか1項に記載のベクターを含む、細胞。
(項目50)
医薬としての使用のための、項目1~20のいずれか1項に記載の抗体、または項目44に記載の薬学的組成物。
(項目51)
メチル化H1.0関連疾患または状態の処置における使用のための、項目1~20のいずれか1項に記載の抗体、または項目44に記載の薬学的組成物であって、必要に応じて、前記疾患または状態は、アルツハイマー病、放射線曝露、遺伝毒性ストレッサーへの曝露、老化細胞の蓄積を含む疾患または状態、およびH1.0K180me2タンパク質またはペプチドの上昇したレベルが付随する疾患または状態からなる群より選択される、抗体または薬学的組成物。
(項目52)
処置の方法における使用のための、項目1~20のいずれか1項に記載の抗体、または項目44に記載の薬学的組成物であって、前記方法は、個体においてH1.0K180me2を取り除く工程を包含し;必要に応じて、前記個体は、アルツハイマー病、放射線曝露、遺伝毒性物質への曝露、DNA損傷因子への曝露、および老化細胞の蓄積を含む状態からなる群より選択される疾患または状態に罹患している、抗体または薬学的組成物。
H1.0K180me2抗体が、本明細書で提供される。これらの抗体は、治療および診断での使用に有用である。これらのH1.0K180me2抗体は、個体におけるメチル化H1.0関連疾患または状態の処置において使用され得る。これらのH1.0K180me2抗体はまた、複製老化、DNA損傷、遺伝毒性ストレス、放射線曝露、アルツハイマー病を検出するために、治療レジメン、患者層化、薬物スクリーニングをモニターするために、使用され得、システムにおいて生物学的加齢のマーカーとして働き得る。これらの組成物および方法は、以下でより詳細に記載される。
A. H1.0K180me2抗体
ジメチル化ヒストンH1.0抗原に特異的に結合する抗体が本明細書で提供され、ここでそのジメチル化ヒストンH1.0抗原は、ジメチル化リジン残基を含む、ヒストンH1.0タンパク質またはそのペプチドであり、そのリジン残基は、全長ヒトヒストンH1.0タンパク質(配列番号1)K180に相当し、そのジメチル化K180残基は、結合のために要求される。K180は、以下の表1の配列番号1においてK*で表される。
種々のイムノアッセイフォーマットが、H1.0K180me2と特異的に免疫反応性の抗体を選択するために使用され得る。例えば、固相ELISAイムノアッセイは、H1.0K180me2に特異的なモノクローナル抗体を選択するために使用され得る(特異的免疫反応性を決定するために使用され得るイムノアッセイフォーマットおよび条件の説明に関しては、例えば、Harlow and Lane (1988) Antibodies, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Publications, New Yorkを参照のこと)。
(a)表4のCDR-L1アミノ酸配列のうちのいずれか1つ;
(b)表5のCDR-L2アミノ酸配列のうちのいずれか1つ;および
(c)表6のCDR-L3アミノ酸配列のうちのいずれか1つ、
を含む。
(a)表7のCDR-H1アミノ酸配列のうちのいずれか1つ;
(b)表8のCDR-H2アミノ酸配列のうちのいずれか1つ;および
(c)表9のCDR-H3アミノ酸配列のうちのいずれか1つ、
を含む。
A. メチル化H1.0関連疾患および状態の処置
メチル化H1.0関連疾患または状態の処置のための治療用H1.0K180me2抗体が提供される。
加齢する間に、ヒトの脳組織には細胞質H1.0K180me2の蓄積の増大が存在する(図9B)。これらの所見は、血清学的検査において観察される循環H1.0K180me2抗原の加齢性の増大と相関する(図9C)。さらに、1ヶ月齢(若齢)および24ヶ月齢(老齢)のマウスに由来するマウス脳サンプルの全細胞溶解物を、抗H1.0K180me2、抗H1.0、抗γH2A.Xおよび抗β-アクチン抗体でのウェスタンブロット分析によって比較した場合、H1.0K180me2レベルは、その24ヶ月齢のマウスにおいて増大し、γH2A.Xの増大したレベルと相関した(図9A)。
DNA損傷因子の状況において、H1.0K180のジメチル化(H1.0K180me2)は、ブレオマイシン、化学療法剤での急性のDNA損傷後にクロマチンで観察される(図11A)。H1.0K180メチル化とDNA損傷との関係性を評価するために、DNA損傷因子であるブレオマイシンで2時間処理したSR hADSC(自己再生するヒト脂肪由来幹細胞)およびhADSCを溶解し、分画して、クロマチン結合画分を得た。H1.0K180me2抗体でのウェスタンブロット分析は、DNA損傷の際にクロマチン上のH1.0K180のメチル化を示す(図11A)。DNA二本鎖切断を誘導するためにSR hADSCをブレオマイシンで処理すると、H1.0K180me2は、細胞質に局在した。
放射線曝露の状況では、電離放射線への曝露は、血清中の循環H1.0 K180me2の増大したレベルを誘導する(図13Aおよび図13B)。血清中のH1.0K180me2レベルに対する電離放射線の効果を、試験した。血清を、7Gyの電離放射線に曝露する前、および曝露の2時間後または48時間後のいずれかに、野生型マウスから集めた。照射の2時間後(マウス1)または48時間後(マウス2)のH1.0K180me2血清レベルを、α-H1.0K180me2抗体でのスロットブロットおよびイムノブロッティングを使用して、処置前の最初のレベルと比較した(図13A)。各血清サンプル中のH1.0K180me2の濃度を、各分析に含まれるH1.0K180me2ペプチドの標準曲線を使用して計算した。マウス血清アルブミンを、ローディングコントロールとして使用した。H1.0K180me2ドットブロットバンドを定量化し、血清アルブミンによって正規化した。照射後のH1.0K180me2の相対的増大を示す(図13B)。α-H1.0K180me2抗体での等容積のマウス血清のウェスタンブロット分析も、照射後に増大したH1.0K180me2を示した(図13C)。
上記の節(I)(A)で考察されるように、H1.0K180me2エピトープを認識しかつ選択的におよび/または特異的に結合し、治療のために使用され得る抗体が、本明細書で提供される。
本明細書で提供される治療用H1.0K180me2抗体のうちのいずれかの投与は、H1.0メチル化において症状発現する疾患のための他の公知の薬物/処置と組み合わせて投与され得る。
本明細書に記載される治療用H1.0K180me2抗体のインビボ投与は、静脈内に、筋肉内に、皮下に、局所に、経口的に、経皮的に、腹腔内に、眼窩内に、移植によって、吸入によって、髄腔内に、脳室内に、または鼻内に行われ得る。その治療剤の有効量は、H1.0メチル化において症状発現する疾患または状態の処置のために投与され得る。その治療剤の適切な投与量は、処置されるべき疾患または障害のタイプ、その治療用抗体のタイプ、その疾患または状態の重篤度および経過、個体の臨床状態、その個体の病歴および処置に対する応答、ならびに主治医の裁量に基づいて決定され得る。例示的な実施形態において、本明細書で提供されるH1.0K180me2抗体のうちのいずれか1つは、静脈内投与される。
本出願は、治療用H1.0K180me2抗体を含む組成物(本明細書に記載される治療用抗体のうちのいずれか1またはこれより多くを含む薬学的組成物を含む)を提供する。その薬学的組成物は、1またはこれより多くの薬学的に受容可能な賦形剤をさらに含み得る。いくつかの実施形態において、その組成物は無菌である。
本出願は、本明細書に記載される治療用H1.0K180me2抗体組成物を含むキットを提供する。いくつかの実施形態において、そのキットは、二次抗体、免疫組織化学分析のための試薬、薬学的に受容可能な賦形剤および取扱説明書およびこれらの任意の組み合わせのうちのいずれかから選択される構成要素をさらに含む。いくつかの実施形態において、そのキットは、1またはこれより多くの薬学的に受容可能な賦形剤とともに、本明細書に記載される治療用組成物のうちのいずれか1つまたはこれより多くを含む。
A. H1.0K180me2抗原の検出
診断に有用な、H1.0K180me2抗原に特異的に結合する抗体が、本明細書で提供される。本明細書で提供されるH1.0K180me2抗体は、結合のためにK180残基のジメチル化を要する。H1.0K180me2抗体は、先のI(A)節においてより詳細に考察される。
アルツハイマー病に関して個体をスクリーニングすることにおける使用のための、個体がアルツハイマー病を発生させるリスクにあるか否かを同定することにおける使用のための、個体がアルツハイマー病を発生させるか否かの可能性を推定することにおける使用のための、アルツハイマー病の診断における使用のための、アルツハイマー病の早期検出における使用のための、アルツハイマー病の予後予測における使用のための、処置選択における使用のためにアルツハイマー病薬物もしくはレジメンでのアルツハイマー病処置に応答し得る個体を選択する/アルツハイマー病と診断された個体に関する処置選択肢を決定するための、アルツハイマー病と診断された個体の処置をモニターし、アルツハイマー病薬物もしくはレジメンでの進行中の処置を受けることにおける使用のための、またはアルツハイマー病薬物およびレジメンに関するスクリーニングにおける使用のための、(H1.0K180me2レベルを決定するために)H1.0K180me2抗体が本明細書で提供される。
アルツハイマー病薬物またはレジメンでのアルツハイマー病処置に応答し得る個体を選択するための方法における使用のための、アルツハイマー病と診断された個体のための処置選択における/処置選択肢を決定することにおける使用ための、アルツハイマー病と診断された個体の処置をモニターし、アルツハイマー病薬物もしくはレジメンでの進行中の処置を受けることにおける使用のための、またはアルツハイマー病薬物およびレジメンに関するスクリーニングにおける使用のための、(H1.0K180me2レベルを決定するための)H1.0K180me2抗体がまた、本明細書で提供される。
老化を検出することにおいて使用するための、H1.0K180me2抗体が本明細書で提供される。本明細書で提供される場合、老化は、複製老化(REP-SEN)、遺伝毒性ストレス誘導性老化および放射線誘導性老化と関連する。
DNA損傷、例えば、急性のDNA損傷を検出することにおいて使用するためのH1.0K180me2抗体が本明細書で提供される。
放射線曝露を検出することにおける使用のための、H1.0K180me2抗体が本明細書で提供される。
哺乳動物ラパマイシン標的(mTOR)は、有望な治療標的として出現した。ラパマイシンおよびいくつかのラパマイシン誘導体、ラパマイシンアナログ、および他のmTORインヒビターは、ある種の疾患状態の処置のためにFDAに承認された薬物である。
生物学的加齢を検出することにおける使用のためのH1.0K180me2抗体が本明細書において提供される。本明細書において提供される場合、加齢は大部分の生物の基本的性質であることから、生物学的加齢マーカーまたは加齢の生体マーカーは、生物学的研究において多くの使用を見出すことが予測される。
H1.0K180me2の検出に有用なキットが本明細書において提供される。いくつかの実施形態において、そのキットは、本明細書に記載される1種またはこれより多くのH1.0K180me2抗体を含む。ある種の実施形態において、抗体。さらに、そのキットは、必要に応じて、本明細書に記載される方法のうちのいずれかを実施するための説明資料を含み得る。その説明資料は、代表的には、書面によるまたは印刷された資料を含むが、このようなものに限定されない。このような説明書を保存し、これらをエンドユーザーに伝えることができる任意の媒体が本明細書において企図される。このような媒体としては、電子保存媒体(例えば、磁気ディスク、テープ、カートリッジ、チップ)、光学媒体(例えば、CD ROM)などが挙げられるが、これらに限定されない。このような媒体は、このような説明資料を提供するインターネットサイトへのアドレスを含み得る。
本発明は、以下の挙げられる例示的な実施形態への言及によって規定され得る。
-表4のCDR-L1アミノ酸配列のうちのいずれか1つ;
-表5のCDR-L2アミノ酸配列のうちのいずれか1つ;および
-表6のCDR-L3アミノ酸配列のうちのいずれか1つ
を含む、抗体。
-表7のCDR-H1アミノ酸配列のうちのいずれか1つ;
-表8のCDR-H2アミノ酸配列のうちのいずれか1つ;および
-表9のCDR-H3アミノ酸配列のうちのいずれか1つ、
を含む、抗体。
-配列番号10または配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
-配列番号14または配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
-配列番号18のアミノ酸配列を含むCDR-L3、
を含む、実施形態1に記載の抗体。
-配列番号20、配列番号21、配列番号22または配列番号23のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
-配列番号28、配列番号29、配列番号30または配列番号31のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
-配列番号36または配列番号37のアミノ酸配列を含むCDR-H3、
を含む、実施形態1に記載の抗体。
-上記個体の生物学的サンプルと実施形態1~18のいずれか1つに記載の抗体とを接触させる工程;および
-上記抗体に結合する上記サンプル中のH1.0K180me2抗原を含むタンパク質またはそのペプチドの濃度を決定する工程であって、ここでコントロールに対する上記濃度の減少は、上記個体がアルツハイマー病を有するか、その発症リスクにあることを示す工程、
を包含する、方法。
-上記個体の生物学的サンプルと実施形態1~18のいずれか1つに記載の抗体とを接触させる工程;および
-上記抗体に結合する上記サンプル中のH1.0K180me2抗原を含むタンパク質またはそのペプチドの濃度を決定する工程;および
-コントロールに対する上記濃度の増大が存在する場合、上記個体が、上記処置から利益を受けるか、または上記処置から利益を受け続けることを決定する工程、
を包含する、方法。
-上記個体に候補処置を投与する工程;
-上記候補処置の投与後の上記個体の生物学的サンプルと、実施形態1~18のいずれか1つに記載の抗体とを接触させる工程;および
-上記抗体に結合する上記サンプル中のH1.0K180me2抗原を含むタンパク質またはそのペプチドの濃度および/または細胞内局在を決定する工程;ならびに
-コントロールに対する上記濃度の増大または細胞質の細胞内局在の減少が存在する場合、上記個体が、上記候補処置から利益を受けることを決定する工程、
を包含する、方法。
-上記個体の生物学的サンプルと候補処置とを接触させる工程;
-上記個体の生物学的サンプルと実施形態1~18のいずれか1つに記載の抗体とを接触させる工程;
-上記抗体に結合する上記サンプル中のH1.0K180me2抗原を含むタンパク質またはそのペプチドの濃度および/または細胞内局在を決定する工程;ならびに
-コントロールに対する上記濃度の増大またはコントロールに対する細胞質の細胞内局在の減少が存在する場合、上記個体が、上記候補処置から利益を受けることを決定する工程、
を包含する、方法。
-上記個体の生物学的サンプルと実施形態1~18のいずれか1つに記載の抗体とを接触させる工程;および
-上記抗体に結合する上記サンプル中のH1.0K180me2抗原を含むタンパク質またはそのペプチドの濃度を決定する工程であって、ここでコントロールに対する上記濃度の増大は、上記個体がDNA損傷因子に曝されていることを示す工程、
を包含する、方法。
-上記個体の生物学的サンプルと、実施形態1~18のいずれか1つに記載の抗体とを接触させる工程;
-上記抗体に結合する上記サンプル中のH1.0K180me2抗原を含むタンパク質またはそのペプチドの濃度を決定する工程;および
-上記個体が処置に応答するか否かを決定する工程であって、ここでコントロールに対する上記濃度の減少は、上記個体が応答することを示す工程、
を包含する、方法。
-実施形態1~18のいずれか1つに記載の抗体を含む基材;および
-複数のマイクロニードル、
を含む、パッチ。
-サンプル収集ユニット;
-読み取り機;
-実施形態1~18のいずれか1つに記載の抗体を含むアッセイモジュール;および
-複数のマイクロニードル、
を含む、ユニット。
図1に示される抗体開発パイプラインを、4つの段階(段階I~IV)に分けた。段階Iでは、2羽のNew Zealandウサギを、抗体生成のために免疫化した。完全フロイントアジュバント(CFA)または不完全フロイントアジュバント(IFA)中で、キーホールリンペット・ヘモシアニン(KLH)結合体化H1.0K180me2ペプチド(KLH-CAKPVKASKPKKAKPVK(me2)PK(配列番号72))のエマルジョンとして、注射を皮下投与した(SQ)。初回免疫化を、10箇所のSQ部位において、CFA中の0.5mgの抗原((KLH)結合体化H1.0K180me2ペプチド)で行った。6回のその後のブースター免疫化を、10~11週間の期間にわたる慣用的な間隔で行った。ブースターは、4箇所のSQ部位におけるIFA中の0.25mg抗原からなった。ウサギから、6週間目および8週間目に採血した。その免疫化の力価を、免疫化前および免疫化後の採血を比較することによってELISAを使用して評価した。その免疫化した抗原に対して適切なELISA陽性力価が一旦記録されたら、末梢血単核細胞(PBMC)を、一方または両方のウサギから集めた。B細胞を、その後、ウサギlgGのみを確実にする二重スクリーニングプロトコルを使用するフローサイトメトリー選別によって単離し、抗原特異的B細胞を単離した。
クローンA(RW24)
クローンB(RW6)
クローンC(RW37)
クローンD(RW28)
クローンE(RW36)
H1.0K180me2ペプチドに対するその組換えウサギ抗H1.0K180me2モノクローナルIgG抗体クローンの特異性を、図2AにおいてELISAを使用して決定した。ウェルを、H1.0K180me2ペプチドで被覆した;50μlのペプチド溶液(5ug/ml)を使用して、各ウェルを被覆した。100μlの各クローン抗体を、2×希釈系列においてウェルに添加した。各ペプチドの曲線を、450nmで測定されたO.Dに対して抗体濃度をプロットすることによって生成した。その種々のクローンの結合効率を直接比較するために、クローン力価測定曲線(titration curve)の各々の直線範囲で交わる閾値カットオフを選択した(O.D. 1.5での水平の破線)。その閾値O.Dに交わるために必要とされる抗体の濃度を、各クローンについて比較し、図の凡例で示した。クローンA(RW24)は、H1.0K180me2ペプチドに対して最高の結合親和性を有する。
上記で生成した組換えウサギ抗H1.0K180me2モノクローナルIgG抗体クローンの特異性を、図3に示されるようにスロットブロット分析を使用して決定した。ヒストンH1.0ペプチド(非改変、K180me1、K180me2)を、希釈系列(100pmol、50pmol、25pmol)において真空マニホールドスロットブロットを使用して、膜へ転写した。次いで、その膜を、その抗体クローンを使用して免疫ブロットして、非改変またはモノメチル化H1.0ペプチドとの潜在的な交差反応性を同定した。クローンA、BおよびCは、低濃度であってもH1.0K180me2に対して特異性が高かった。非改変またはH1.0K180me1ペプチドのいずれに対しても、これらのクローンについては、交差反応性は認められなかった。クローンDおよびEはともに、H1.0K180me2に加えて、H1.0K180me1ペプチドを検出できた。これは、H1.0K180me2に対する抗体特異性の欠如を示唆する。
図4Aは、インビトロメチル化アプローチの概観を示す。そのメチル化反応は、組換えG9A(メチルトランスフェラーゼ)、非標識メチルドナー(S-アデノシル-L-メチオニン)、および組換えヒトH1.0タンパク質を含み、これらを、37℃で1時間インキュベートした。このインキュベーションの間に、G9Aは、K180me2の追加を含め、全長H1.0タンパク質をメチル化し得る。H1.0K180me2をその後、抗H1.0K180me2ウサギポリクローナル抗体を使用して同定して、メチル化を確認し得る。
目的のクローンを配列決定した。
Chothia(抗体の構成を予測するプログラム)を用いたクローンA重鎖およびクローンA軽鎖の分析が、図7Aおよび7B(左パネル)に示される。その重鎖または軽鎖の各残基を、上のボックスの中に示し、残基番号を、各々の相当する残基の下のボックスの中にChothiaによって割り当てる。クローンA重鎖または軽鎖の予測フレームワーク領域が、薄い灰色で示される。予測CDRが濃い灰色で示される。星は、予測CK2リン酸化部位を示す。矢印は、各位置の通常でない残基を示す。
Claims (20)
- H1.0K180me2抗原を含むタンパク質またはそのペプチドに特異的に結合する抗体であって、
前記抗体の抗原結合ドメインは、
(i)配列番号10のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-L2;
配列番号18のアミノ酸配列を含むCDR-L3;
配列番号20のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
配列番号28のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
配列番号36のアミノ酸配列を含むCDR-H3;または
(ii)配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2;
配列番号19のアミノ酸配列を含むCDR-L3;および
配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン
を含む、抗体。 - (a)前記抗体の重鎖可変ドメインは、配列番号6のアミノ酸配列を含み、前記抗体の軽鎖可変ドメインは、配列番号8のアミノ酸配列を含む;または
(b)前記抗体の重鎖可変ドメインは、配列番号7のアミノ酸配列を含み、前記抗体の軽鎖可変ドメインは、配列番号9のアミノ酸配列を含む
請求項1(vi)に記載の抗体。 - 前記抗体は、
(a)キメラであるかまたはヒト化されている;
(b)モノクローナル抗体である;
(c)抗原結合フラグメントである;
(d)H1.0K180me2タンパク質またはペプチドが、K180以外のメチル化されている残基を含む場合に、前記H1.0K180me2タンパク質またはペプチドへの低減した結合を示す;
(e)前記H1.0K180me2タンパク質またはペプチドがヒトヒストンH1.0タンパク質のK166、K172、K174、K175、および/またはK177に相当するリジン残基においてメチル化リジン残基を含む場合に、結合しないか、または最小限にしか結合しない;または
(f)標識に結合体化されている、
請求項1または2に記載の抗体。 - 前記抗体は、固体表面に付着される、請求項3に記載の抗体。
- 前記抗体は、ビーズ、カラム、樹脂、またはマイクロプレートに付着される、あるいは薬剤に結合体化される、請求項3に記載の抗体。
- 前記薬剤は、放射性核種、細胞毒、化学療法剤、薬物、プロドラッグ、毒素、酵素、免疫モジュレーター、アポトーシス促進剤、サイトカイン、ホルモン、オリゴヌクレオチド、アンチセンス分子、siRNA、および第2の抗体からなる群より選択される、請求項5に記載の抗体。
- 請求項1~6のいずれか1項に記載の抗体に結合するH1.0K180me2抗原を含むタンパク質またはそのペプチドの濃度を、個体がアルツハイマー病を有するか、その発症リスクにあるか否かの指標とする方法であって、前記方法は、
(a)前記個体の生物学的サンプルと請求項1~6のいずれか1項に記載の抗体とを接触させる工程;および
(b)前記抗体に結合する前記サンプル中のH1.0K180me2抗原を含むタンパク質またはそのペプチドの濃度を決定する工程であって、ここでコントロールに対する前記濃度の減少は、前記個体がアルツハイマー病を有するか、その発症リスクにあることを示す工程、
を包含する、方法。 - 請求項1~6のいずれか1項に記載の抗体に結合するH1.0K180me2抗原を含むタンパク質またはそのペプチドの濃度を、
(i)アルツハイマー病と診断され、前記アルツハイマー病のための処置を受けている個体が、前記処置から利益を受けるか、または前記処置から利益を受け続けるか否かの指標として使用するために取得するin vitro方法であって、前記方法は、
(a)前記個体の生物学的サンプルと請求項1~6のいずれか1項に記載の抗体とを接触させる工程;および
(b)前記抗体に結合する前記サンプル中のH1.0K180me2抗原を含むタンパク質またはそのペプチドの濃度を決定する工程
を包含し、コントロールに対する前記濃度の増大は、前記個体が、前記処置から利益を受けるか、または前記処置から利益を受け続けることを示す、
方法;
(ii)アルツハイマー病と診断された個体が、候補処置から利益を受けるか否かの指標として使用するために取得するin vitro方法であって、ここで前記個体は前記処置を未だ開始しておらず、前記方法は、
(a)前記個体の生物学的サンプルと、請求項1~6のいずれか1項に記載の抗体とを接触させる工程であって、前記個体は前記候補処置が投与されている、工程;ならびに
(b)前記抗体に結合する前記サンプル中のH1.0K180me2抗原を含むタンパク質もしくはそのペプチドの濃度および/または細胞内局在を決定する工程
を包含し、コントロールに対する前記濃度の増大または細胞質の細胞内局在の減少は、前記個体が、前記候補処置から利益を受けることを示す、
方法;あるいは
(iii)アルツハイマー病と診断された個体が、候補処置から利益を得られるか否かの指標として使用するために取得するin vitro方法であって、ここで前記個体は前記処置を未だ開始しておらず、前記方法は、
(a)前記個体の生物学的サンプルと候補処置とを接触させる工程;
(b)前記個体の生物学的サンプルと請求項1~6のいずれか1項に記載の抗体とを接触させる工程;ならびに
(c)前記抗体に結合する前記サンプル中のH1.0K180me2抗原を含むタンパク質もしくはそのペプチドの濃度および/または細胞内局在を決定する工程
を包含し、コントロールに対する前記濃度の増大またはコントロールに対する細胞質の細胞内局在の減少は、前記個体が、前記候補処置から利益を受けることを示す、
方法。 - 前記処置は、APP合成インヒビター、β-セクレターゼインヒビター、γ-セクレターゼインヒビターおよびモジュレーター、Aβ凝集インヒビター、Aβ免疫療法、コレステロール低下薬、抗タウ薬、コリンエステラーゼインヒビター、N-メチルD-アスパラギン酸(NMDA)アンタゴニスト、非定型抗精神病薬、プロテインSニトロシル化の遮断薬、グルカゴン様ペプチド-1レセプターアゴニスト、ラパマイシン、ラパログ、エンドカンナビノイド、カンナビノイド、神経保護因子、カルシウム流入を制御する分子、抗酸化剤、抗炎症薬、グルタミン酸ホメオスタシス制御を制御する薬物、オートファジー誘導因子、ホルモン、ホルモン調節因子、スタチン、インスリン、インスリンキャリア、多官能性ナノキャリア、ビタミン、栄養補助剤、小型RNA分子、ペプチド、および超音波療法からなる群より選択される、請求項8(ii)および8(iii)のいずれか1項に記載の方法。
- 請求項1~6のいずれか1項に記載の抗体に結合するH1.0K180me2抗原を含むタンパク質またはそのペプチドの濃度を、個体がDNA損傷因子に曝されているか否かの指標とする方法であって、前記方法は、
(a)前記個体の生物学的サンプルと請求項1~6のいずれか1項に記載の抗体とを接触させる工程;および
(b)前記抗体に結合する前記サンプル中のH1.0K180me2抗原を含むタンパク質またはそのペプチドの濃度を決定する工程であって、ここでコントロールに対する前記濃度の増大は、前記個体がDNA損傷因子に曝されていることを示す工程、
を包含する、方法。 - 前記DNA損傷因子は放射線である、請求項10に記載の方法。
- 請求項1~6のいずれか1項に記載の抗体に結合するH1.0K180me2抗原を含むタンパク質またはそのペプチドの濃度を、ラパログでの処置を受けている個体が、このような処置に応答するか否かの指標とする方法であって、前記方法は、
(a)前記個体の生物学的サンプルと請求項1~6のいずれか1項に記載の抗体とを接触させる工程;
(b)前記抗体に結合する前記サンプル中のH1.0K180me2抗原を含むタンパク質またはそのペプチドの濃度を決定する工程
を包含し、コントロールに対する前記濃度の減少が存在する場合、前記個体が処置に応答する、方法。 - 前記減少は、最適な特異度および感度に関する受診者動作特性曲線分析によって確立される閾値を下回るか、あるいは前記ラパログは、ラパマイシン、シロリムス、ラパミューン、エベロリムス、RA 001、アフィニトール、Zortress、テムシロリムス、CCI-779、トーリセル、リダフォロリムス、AP23573、MK-8669、デフォロリムス、ゾタロリムス、ABT-578、AZD8055、AZD2014、OSI-027、MLN0128、WYE-132、Torin 1、PI-103、P7170、PF-04691502、PF-05212384、PKI-587、GNE477、PKI-180、WJD008、XL765、SAR245409、NVP-BEZ235、BGT226、SF1126、GSK2126458、Ku-0063794、WYE-354、NVP-BEZ235、PF-05212384、XL765、Torin 2、WYE-125132、およびOSI-027からなる群より選択される、請求項12に記載の方法。
- (a)前記濃度の増大または減少は、最適な特異度および感度に関する受診者動作特性曲線分析によって確立される閾値を上回るかまたは下回る;あるいは
(b)前記生物学的サンプルは、全血、血漿、血清、唾液、尿、滑液、脳脊髄液、気管支洗浄物、腹水、骨髄吸引物、胸水、組織、細胞、生検材料、間質液、およびリンパ液からなる群より選択される
請求項7~13のいずれか1項に記載の方法。 - 皮下標的分子の濃度を測定するための経皮パッチであって、前記パッチは、
(a)請求項1~6のいずれか1項に記載の抗体を含む基材;および
(b)複数のマイクロニードル
を含む、パッチ。 - 前記パッチは、経皮マイクロニードルアレイパッチである、または前記基材は弾性的に伸縮性である、請求項15に記載の経皮パッチ。
- 個体が放射線またはDNA損傷因子に曝露されているか否かを決定するための携帯式ユニットであって、前記ユニットは、
(a)サンプル収集ユニット;
(b)読み取り機;
(c)請求項1~6のいずれか1項に記載の抗体を含むアッセイモジュール;および
(d)複数のマイクロニードル、
を含む、ユニット。 - 分析物のラテラルフローアッセイに適した試験ストリップであって、前記ストリップは、サンプル受容ゾーンを含み、ここで前記サンプル受容ゾーンは、請求項1~6のいずれか1項に記載の抗体を含む、試験ストリップ。
- (a)配列番号4および(b)配列番号5の核酸を含む、H1.0K180me2抗原を含むタンパク質またはそのペプチドに特異的に結合する抗体をコードする、ベクター。
- 請求項19に記載のベクターを含む、細胞。
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