JP7252737B2 - 風力発電機のグリースの監視システムおよび方法 - Google Patents

風力発電機のグリースの監視システムおよび方法 Download PDF

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Description

本発明は、風力発電装置に係り、特に、ナセル内のグリースの維持管理に対応可能な風力発電装置に関する。
近年、地球温暖化防止のため自然エネルギーを利用した発電システムが注目を浴びており、中でも風力発電装置については幅広く普及されている。風力発電装置では、グリースおよび潤滑油を使用する部品が多数あり、大型で高価な部品がある。グリース潤滑を採用している代表的な部品に、主軸受,発電機,ヨー,ピッチ,などがある。
風力発電装置の保全・保守を行う上で、グリースの性状診断は重要な技術である。グリースの性状診断では、経時的な酸化劣化による基油の酸化や添加剤の消耗,基油のしみだしによる減少と固化,水、塵埃や摩耗粉などの外部混入物による汚染などを診断する。
基油の酸化や添加剤の消耗,基油のしみだしによる減少と固化により、グリースの潤滑性能が低下したり、グリースの酸性度上昇による部品の腐食や錆の発生が起こる。
グリースの汚染は、水、塵埃、回転部品から生じる摩耗粉などによって起こる。水混入は、潤滑油の粘度変化による潤滑性能低下、金属部品の腐食、錆、材料劣化の原因となる。塵埃は、そのものが致命的な故障の原因となることは少ないが、金属摩耗粉増加の原因となることがある。摩耗粉は、大きさによって、機械の致命的な故障原因となることが知られている。
風力発電装置で使用されるグリースは、予め定められた周期で微量を採取し、分析センタなどに送付して、汚染度、全酸価、金属濃度などの分析を行い、性状監視を行うことがある。また、特許文献1には,受変電設備で用いるグリースの経時変化によって油分が減少し,結果としてグリース表面の光反射率が増加することから,光反射率よりグリースの余寿命を推定することが記載されている。
特開2014-85193号公報
図1に本発明が対象とする風力発電装置の概略全体構成図を示す。図1では、ナセル3内に配される各機器を点線にて示している。図1に示すように、風力発電装置1は、風を受けて回転するブレード5、ブレード5を支持するハブ4、ナセル3、及びナセル3を回動可能に支持するタワー2を備える。
ナセル3内に、ハブ4に接続されハブ4と共に回転する主軸31、主軸31に連結されるシュリンクディスク32、シュリンクディスク32を介して主軸31に接続され回転速度を増速する増速機33、及びカップリング38を介して増速機33により増速された回転速度で回転子を回転させ、発電運転をする発電機34を備えている。
ブレード5の回転エネルギーを発電機34に伝達する部位は、動力伝達部と呼ばれ、本実施例では、主軸31、シュリンクディスク32、増速機33及びカップリング38が動力伝達部に含まれる。そして、増速機33及び発電機34は、メインフレーム35上に保持されている。また、メインフレーム35上には、動力伝達部の潤滑用にグリースを貯留するグリースタンク37が設置されている。
また、ナセル3内には、ナセル隔壁30よりも風上側にラジエータ36が配されている。図1に示す風力発電装置1は、一例として5MW級の風力発電装置を示している。これに対し、例えば、2MW級の風力発電装置では、ラジエータ36は、ナセル3の上面に設けられた外気導入口(図示せず)とナセル内空気排出口(図示せず)との間に配される。
風力発電機では、多くの回転部品でグリースが使用されている。図1において、主軸31、発電機34、ヨー、ピッチなどの軸受で使用されるグリースは、経時的な劣化と摩耗粉などの固形分による汚染による潤滑性能の低下が起こり、風力発電機の故障リスクが増大する。なお、風速に応じて翼の角度を変え、出力を制御するのが翼のピッチ制御であり、風向きに応じて首を振るのがヨー制御である。いずれも、可動部分については、グリースを供給する必要がある。
グリースは、JISによる定義によると、液体である潤滑油に、増ちょう剤,および酸化防止剤、摩耗防止剤,極圧剤など添加剤から構成される、半固体または固体の潤滑剤である。潤滑油は、潤滑特性を発揮させるために加えられる。増ちょう剤は、グリースを半固体または固体にするために添加される。
グリースと潤滑油は、それぞれの特徴を生かして、使い分けが行われている。潤滑油は、部品の冷却効果が大きいこと,給油と交換が容易であること,ごみのろ過が容易であること,などの特徴がある。一方、潤滑油は機械が大型になる,密封性が悪く,漏油の管理が面倒である,などの課題がある。
グリースは、耐衝撃荷重性が大きい,漏えいが少なく密封や防塵が容易,保守が容易で機械を小型化できる,などの特徴がある。一方,冷却効果は小さく、給脂と交換が面倒であるという課題がある。添加剤の中でも特に重要な極圧剤は、金属の二面の間の摩擦,摩耗の減少や、焼付の防止のために潤滑油に加えられるものである。
グリースの経時的な劣化とは、グリースの使用に伴う、物理化学的性質の経時変化のことを示し、具体的には、流動特性(せん断速度依存性および時間依存性),耐熱性,油分離性,酸化安定性,さび止め性などの性質である。流動特性は、グリースが軸受内の潤滑面にくまなく行きわたるために重要である。
グリースの長期使用にともない、潤滑油がすこしずつしみ出して部品の潤滑面で作用するが、次第にグリース中の油分が減少し、グリースが固化する傾向にある。また、使用中に潤滑油と増ちょう剤が分離して潤滑油が流出し、グリースとしての機能が低下することがある。また、酸化劣化が進むと、カルボン酸化合物や、酸性の添加剤の分解生成物の濃度が増加して腐食反応の触媒となるため、軸受の腐食が起こりやすくなる。
塵埃や鉄などの摩耗粉のようなグリース中の固形分は、グリースの潤滑面に入り込むと、軸受の摩耗を促進し、さらにグリース中の摩耗粉が増え,部品の摩耗が加速される。特に、数十ミクロン以上の硬質金属粒子は、軸受の致命的な故障の原因となることが知られている。
水がグリース中に混入すると、部品と水が接触することにより、部品の焼き付きの原因となったり、部品の腐食や錆発生の原因となることが知られている。
従って、通常、風力発電機で使用されているグリースは、たとえば半年毎に、人間が少量を採取して、上記物理化学的性質や摩耗粉などの固形分濃度を計測したり、新品のグリースを補充することによって部品の状態を管理している。グリース補充の際に,古いグリースが排出され,新しいグリースに置き換わる。
しかし、グリースは、経年劣化により油分が減少して流動性が低下したり固化するので、古いグリースが軸受内で流動性を失うと、新しいグリースを補充しても、新品グリースが古いグリースと置き換わらなかったり、新しいグリースがそのままグリース排出口から出てきてしまうことがある。
グリースは半固体性状であるため,部品の保守の際に、グリースを交換することが困難である。また、センサによるグリース性状の監視手段が無いという課題がある。潤滑油の場合は、オイルセンサを用いることにより、光学的に、色で性状を診断したり、汚染粒子を遠隔で計測することが可能であるが、グリースは可視光をほとんど透過しないため、遠隔監視する方法が無い。
グリースは、数年間にわたって使用されるが、物理化学的性質の経時変化は、初期では変化が小さく、酸化劣化の進行とともに次第に加速し、末期には非常に加速されるため、半年毎の点検では予兆を発見できないことがある。また、予防的に過剰な頻度でグリースアップやグリース交換を行うことは、保守コスト増大につながる。
また、摩耗粉による軸受故障は、数週間から数分の間に症状が進行することがあるため、半年毎の点検では予兆を把握できないことがある。例えば、振動センサなどで軸受けの異常を検出しようと場合、検出できるのは異常そのものであり、異常の予兆ではない場合がある。
最近では、風力発電機が大型化し、部品が高額なため、故障時の保守コストが増加している。今後は洋上風車も増加するため、リアルタイム遠隔監視技術の需要が高まっている。グリース保守の効率化のために、自動給脂装置を搭載し、グリース補充の自動化が行われることがある。
特許文献1には、グリース表面の波長400nmから600nmの光反射率と離油度の相関から、グリースの余寿命を診断できることが記載されている。離油度は、油の分離傾向を表す指標であり、劣化により値が高くなることが知られている。しかし、風力発電機の場合、主軸受や発電機などで用いるグリースは定期的に補充して古いグリースを新しいグリースで置き換えていることから、離油はグリースの余寿命を支配しない。また、風力発電機で使用されるグリースでは、摩耗故障と給脂状態を診断することが重要であり、新しい診断技術が必要とされていた。
以上のように、風力発電機の、主軸、発電機、ヨー、ピッチなどの重要な回転部品(軸受など)で使用されるグリースの定常的な監視および予兆診断が重要となる。
本発明の好ましい一側面は、風力発電機の機械的駆動部に供給されるグリースの監視システムである。このシステムは、入力装置、処理装置、記憶装置、および出力装置を備える。入力装置は、グリースの可視光反射特性を計測する光学式センサから得られる、測定データが入力される。処理装置は、測定データからグリースの物性パラメータを生成する。記憶装置は、物性パラメータを時系列的に格納する。処理装置は、時系列的な物性パラメータに基づいて、物性パラメータの監視もしくは将来的な予測を行なう。
本発明の好ましい他の一側面は、風力発電機のグリースの監視方法である。この方法では、風力発電機は光学式センサを備えた風力発電機であって、光学式センサが風力発電機の部品で使用されるグリースの反射光から光学的特性を測定するものである。そして、光学式センサからの測定データを受信する第1のステップ、測定データからグリースの物性パラメータを得る第2のステップ、物性パラメータを記憶する第3のステップ、物性パラメータに基づいて、物性パラメータの現在のデータを監視し、または、将来のデータを予測する第4のステップ、を実行する。
風力発電機の、主軸、発電機、ヨー、ピッチなどの重要な回転部品(軸受)で使用されるグリースの定常的な監視および予兆診断が可能となる。
風力発電装置の概略全体構成図。 グリース自動供給デバイスを有する風力発電機の概略図。 グリース自動供給デバイス、光学式センサを備えた軸受部品の概略図。 グリースの表面反射光検出の説明概念図。 光学式センサによるグリース劣化診断フロー図。 グリースの物性値の変化を示すグラフ図。 グリースの反射率の変化を示すグラフ図。 グリースの物性値の変化を示す表図。 グリースの物性値の変化を示すグラフ図。 グリース自動供給デバイスおよび光学センサを有する風力発電機の構成図。 光学式センサによる物性値の変化を示すグラフ図。 光学式センサによる物性値の変化を示すグラフ図。 光学式センサによるグリース劣化予想フロー図。 光学式センサによるグリース劣化予想フロー図。
以下、実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。本発明の思想ないし趣旨から逸脱しない範囲で、その具体的構成を変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。
以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、重複する説明は省略することがある。
同一あるいは同様な機能を有する要素が複数ある場合には、同一の符号に異なる添字を付して説明する場合がある。ただし、複数の要素を区別する必要がない場合には、添字を省略して説明する場合がある。
本明細書等における「第1」、「第2」、「第3」などの表記は、構成要素を識別するために付するものであり、必ずしも、数、順序、もしくはその内容を限定するものではない。また、構成要素の識別のための番号は文脈毎に用いられ、一つの文脈で用いた番号が、他の文脈で必ずしも同一の構成を示すとは限らない。また、ある番号で識別された構成要素が、他の番号で識別された構成要素の機能を兼ねることを妨げるものではない。
図面等において示す各構成の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、形状、範囲などに限定されない。
発明者らは、可視光によるグリースの表面における反射特性より、経年劣化と汚染を計測できることを見い出した。グリースの酸化劣化や添加剤の消耗のような化学的な劣化は、化学反応が起こる官能基による光の吸収特性を利用して計測できる。たとえば、グリースの基油成分や添加剤が酸化すると、一般に,黄色から赤色の色味が強くなる。これは、劣化で生成する化合物が、青色付近の波長の光をよく吸収するためである。したがって、グリースの可視光反射特性を計測すると、対応した波長域の反射率が変化する。一方、グリースの油分減少のような性状劣化は、可視光全域の光透過率が低下するが、光反射率はほとんど増加しない。
グリースに鉄や銅などの金属摩耗粉が混入すると、可視光全域の光透過率が著しく低下し、かつ、光反射率が顕著に上昇する。これは、金属光沢と呼ばれる現象に由来する。金属中では、自由電子がプラズマ振動を行っており、自由電子は光の振動数にしたがって振動する。このとき、光のエネルギーは自由電子の振動に使われるが、自由電子はもとの光と同じ振動数の光を再放出する。結果的に、光は金属内に入っていくことができず、自由電子によって跳ね返される。これが金属光沢である。
風力発電機に使用するグリースの監視で特に重要なのは、金属摩耗粉の増加である。金属摩耗粉の増加は、部品の摩耗が進行していることを意味する。本実施例によれば、グリース表面の光反射率を計測することにより、グリース中の摩耗粉増加を検知することができる。
また、点検時に、新品のグリースを補充しても、新品グリースが軸受などの部品内に行きわたらず、排出部から排出されるという、給脂不良の問題に対しても、グリース表面での可視光の反射特性を新品の反射特性と比較することにより、給脂不良の部品を検出できる。給脂不良の場合には、グリースがそのまま排出されるため、新品の反射特性とあまり変化がみられない。
一つの実施例は、風力発電機の機械的駆動部に供給されるグリースの監視システムである。当該システムは、基本的に入力装置、処理装置、記憶装置、および出力装置を備えるサーバ等で構成される。入力装置は、グリースの経路の少なくとも一部に配置された光学式センサから得られる、測定データが入力され、また、必要な場合には、風力発電機の運転パラメータが入力される。処理装置は、測定データからグリースの物性パラメータを生成する。記憶装置は、物性パラメータを時系列的に格納する。処理装置は、時系列的な物性パラメータに基づいて、物性パラメータの監視もしくは将来的な予測を行なうものである。また、運転パラメータを利用するさらに具体的な例では、時系列的な物性パラメータと、運転パラメータに基づいて、物性パラメータの将来的な予測を行なうことができる。
他の実施例は、風力発電機のグリースの監視方法である。この方法が対象とする風力発電機は、光学式センサを備えた風力発電機であって、光学式センサが風力発電機の部品で使用されるグリースの光学的特性、とりわけ、可視光反射特性を測定するものである。監視方法は、基本的に入力装置、処理装置、記憶装置、および出力装置を備えるサーバ等で実行される。処理の内容は、光学式センサからの測定データを受信する第1のステップ、測定データからグリースの物性パラメータを生成する第2のステップ、物性パラメータを記憶する第3のステップ、物性パラメータに基づいて、物性パラメータの現在のデータを監視し、または、将来のデータを予測する第4のステップを実行する。さらに具体的な例では、風力発電機の運転パラメータを受信する第5のステップを実行し、第4のステップでは、物性パラメータの過去のデータと、運転パラメータの過去および将来のデータに基づいて、物性パラメータの将来のデータを予測する。
実施例で説明される技術の概要を説明する。実施例の風力発電機は、グリースの自動供給デバイスと、グリースの排出流路を備えた軸受部品を有する。グリース排出流路中には、排出されるグリース表面の光反射特性を計測する光学式センサを設置し、光学式センサによって取得されるグリース物性値(色度や反射率)に基づいて、風力発電機のグリースを監視、診断する。軸受部品において生じた金属摩耗粉は、グリースに混入し、グリースは排出流路を経由して流れる。したがって、排出流路中でグリースの特性を測定すれば、混入する金属摩耗粉の評価が可能であり、間接的には軸受部品の状態の評価も可能となる。
色差によるグリースの診断は以下のように行う。色差測定により、グリースの酸化劣化度と、摩耗粉などの固形粒子による汚染を診断する。色差センサによる測定で、グリースの色を、光の三原色(R・G・B)で定量的に表す。
本実施例では、定量化の指標として、ΔERGBとMCDを用いている(定義は後述)。グリースの酸化劣化が進行している場合には、三原色座標のうち、B値が大きく低下し、MCD値が大きくなる。鉄などの摩耗粉以外の固形粒子,水による汚染が進行している場合には、三原色座標の値が三色ともに減少し、ΔERGB が減少するとともにMCD値は微増もしくは微減である。鉄などの摩耗粉による汚染が進行している場合には,新品グリースに対して、ΔERGBがわずかに減少するとともにMCD値は大幅に減少する。また上述のように、金属磨耗分の混入は反射率の測定により判定できる。
グリース新品の測定値と、使用により劣化したグリースまたは、酸化試験や強制的に汚染させたグリースサンプルとの測定値より診断の閾値を定め、閾値を超えた場合に、グリース補充や軸受点検などのメンテナンスを行うことができる。
また、グリースの状態の変化は、風力発電機の運転状況にも依存する。このため、風力発電機の運転状況を示す種々のパラメータを同時に取得し、これらのパラメータを用いて、グリースの将来的な特性変化を予測する。
(1.システム全体構成)
図2により、実施例1の酸化劣化と粒子汚染の診断を行うシステムを説明する。図2には説明のため、図1の風力発電装置1のナセル3部分を抽出して示している。ナセル3内部には、主軸31、増速機33、発電機34、図示しないヨー、ピッチなどの軸受があり、これらにはグリースタンク37からグリースが供給される。
図2に示すように、風力発電装置1は通常複数が同一敷地内に設置され、これをまとめてファーム200aなどと呼ばれる。それぞれの風力発電装置1には、グリースの供給系統にセンサが設置され、グリースの状態を反映したセンサ信号は、ナセル3内のサーバ210に集約される。また、各風力発電装置1のサーバ210から得られるセンサ信号は、ファーム200ごとに配置される集約サーバ220に送られる。集約サーバ220からのデータは、ネットワーク230を介して中央サーバ240へ送られる。中央サーバ240へは、他のファーム200bや200cからのデータも送られる。また、中央サーバ240は、集約サーバ220やサーバ210を介して、各風力発電装置1に指示を送ることができる。
(2.センサ配置)
図3は、グリースの供給系統に配置されたセンサの模式図である。グリースは、グリース自動供給デバイス301から軸受部品302に供給される。グリース自動供給デバイス301は、グリースタンク37に接続されてグリースの供給を受ける。軸受部品302は、例えば増速機33その他の機械的な接触が生じる部位一般であり、特に制限するものではない。
軸受部品302に供給されたグリースは、所定期間使用された後、例えば図中矢印のように、グリース排出部(ドレイン)303から排出される。排出は自動もしくは手動で行われる。グリース排出部付近には光学式センサ304が配置されており、グリースの特性を光学的に検出する。ドレイン303はグリース経路の末端付近に位置するので、この付近のグリースは、最も劣化が進んでいると考えられ、ドレインの周辺に光学式センサ304を配置しておくのが望ましい。グリースタンク37内ではなく、グリース経路の末端にセンサを配置することで、上述の給脂不良や金属摩耗粉の混入の状態を評価することができる。
図4を用いて、光学式センサ304について説明する。光学式センサ304は、可視光域の光源と、光源からの光501がグリース500の表面で反射された、グリース表面の正反射光502を検出する検出器を備えている。このような光学式センサ304は風力発電機の機械的駆動部で使用されるグリース500表面の可視光反射特性を計測する。
グリース500は、使用により品質が劣化し、初期の機能を果たさなくなる。このため、品質の劣化状況に応じて、交換等のメンテナンスを行う必要がある。このようなメンテナンスのタイミングを、遠隔地で知ることができるようにすることは、保守管理の効率上有用である。光学式センサの具体例としては、市販の分光測色計を利用可能である。分光測色計で色の成分を測定することができる他、正反射率を測定することもできる。光学式センサは一つあるいは複数のセンサで構成することができる。
(3.グリース診断のフロー)
図5は、光学式センサによるグリース診断の色度測定のフロー図である。図5で示す処理は、図2のサーバ210,集約サーバ220,中央サーバ240のいずれで行ってもよい。すなわち、本実施例では計算や制御等の機能は、サーバの記憶装置に格納されたソフトウェアがプロセッサによって実行されることで、定められた処理を他のハードウェアと協働して実現される。なお、ソフトウェアで構成した機能と同等の機能は、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのハードウェアでも実現できる。
最初にグリースの光学的測定の準備を行う(S901)。測定は例えば1日1回のように定点観測で行う。あるいは、中央サーバ240から随時測定指示を行って任意のタイミングで行ってもよい。
つぎに、光学式センサはグリースの反射光により色度測定を行う(S902)。光学式センサによるグリースの色度測定については、例えば、分光測色計によりグリースの反射光のRGB成分を検出する。周知のように、色の表現法のひとつとして、赤 (Red)、緑 (Green)、青 (Blue) (RGB成分)の三つの原色を混ぜて色彩を表現することができる。また、L表色法など、他の表色法を用いてもよい。次に物性値の計算処理ではΔERGB、MCDの値を計算する(S903)。
光学式センサ394で得られた測定値は、処理を行うサーバ(サーバ210,集約サーバ220,中央サーバ240のいずれでもよい)に送信される。グリースの色彩は、RGB成分の其々を軸とした3次元空間上の座標として示すことができる(色座標表現)。ここで、ΔERGBというパラメータは、以下のように定義できる。
ΔERGB=√(R+G2+B2
なお、255階調の色座標では、(0,0,0)が黒、(255,255,255)が白となり、(0,255,255)がシアン、(0,255,0)が緑、(255,255,0)が黄、(255,0,0)が赤、(255,0,255)がマゼンダとなる。ΔERGBは、測定したグリースの色と黒との色座標上の距離に相当する。ΔERGBが小さくなるということは、グリースの色が黒に近づくことを示す。グリースの色が黒に近づく場合には、摩耗粉などの固形粒子による汚染の可能性がある。
また、最大色差MCDというパラメータを導入する。MCDは、RGB値における最大値と最小値の差であり、色味の変化を知ることができる。最大色差MCDが小さくなると、色味は灰色がかってくる。
診断のための情報として、風力発電機の運転状況に関する情報を取得しても良い(S904)、また、ΔERGB、MCDの値を時系列に蓄積し(S905)、過去データにもとづいて行なう将来予想に反映しても良い(S906)。
本実施例のグリース診断では、上記ΔERGBと最大色差MCDを用いる。まず、ΔERGBが所定の閾値を超えたかどうかを判定(S903)した後,最大色差MCDが閾値を越えたかどうかを判定する(S908)。これにより、グリースの劣化と汚染を検出することができる。粒子汚染の原因としては、塵埃や,部品の磨耗によりグリースに混入する鉄粉などがある。
図6は、縦軸に最大色差MCD、横軸にΔERGBをプロットした場合の判定手法の一例である。このようなグラフは表示処理において表示するとよい(S907)。図6において、特に、ΔERGBとMCDのマップ表示した場合に、NG領域601に入っている場合は、グリース表面における可視光反射率が増加していることを意味し、鉄などの金属摩耗粉の混入が疑われる状態である。あらかじめ設定した閾値を超えた場合(S908)は、グリースのメンテナンスを行うようにオペレータに指示する(S909)。図6については、後に再度説明する。なお、閾値の設定については、新品のグリースと劣化後のグリースのΔERGB値、MCD値、および金属磨耗粉の量を比較するなどして決めればよい。例えば、図6ではNG領域601と「A.給脂不良」「E.油分減少」の領域をNGとしている。このような領域は予め実験的に測定し、ΔERGB値、MCD値と関連付けてデータベースとして記憶しておく。
図7は、グリース表面の可視光反射特性を計測し、横軸に波長、縦軸に反射率をとり、新品のグリースの反射率503と、サンプルのグリースの反射率505を比較したものである。既に述べたように、グリースに金属磨耗粉が混入すると、グリースの光透過率が下がり、金属光沢を生じるようになり反射率が上昇する。このようなデータを実測し、閾値504を設定することができる。例えば、分光測色計を用いると、波長毎の反射率を測定することができる。反射率についても、ΔERGB値、MCD値と関連付けてデータベースとして記憶しておくとよい。反射率の数値を直接利用する例は、後の実施例で説明する。
(4.グリース診断結果例1)
風力発電装置A(風車A),風力発電装置B(風車B),風力発電装置C(風車C)について、主軸受にグリース自動供給デバイス301を設置し、24時間毎に,新品グリースを補充した。グリースのドレイン303に、グリース表面の可視光反射率を計測する光学式センサ304をそれぞれ設置した。風力発電装置Aと風力発電装置Bについて、ドレイン303から排出されたグリースを、光学式センサ304で24時間毎に計測した。新品グリースは鮮やかな赤色であり、補充グリースが軸受内に正常に行きわたったのちに排出された場合には、1か月程度を経過すると暗赤色~黒赤色のグリースが排出される。グリースは、交換せずに風力発電装置を定格運転した。計測した値は、白色板と黒色板で校正し、255階調表現した値である。
図8に、新品グリースを光学式センサ304で計測した値と、運転開始から2年経過後の風車A,B,Cの計測値を示す。図6を参照しつつグリースを判定すると、風力発電装置Aでは、ΔERGBがわずかに減少し、かつ、最大色差がわずかに減少しているが、新品グリースから殆ど変化しなかったことから、給脂不良が発生し、補充グリースが軸受内に回らずに排出されていたことを確認した。風力発電装置Aの排出グリースの色調は新品に近い、鮮やかな赤色であり、それを採取して鉄の濃度を元素分析により計測したところ、鉄の濃度は0ppmであったことから、給脂不良が裏付けられた。
また、風力発電装置Bでは、ΔERGBが37減少し、最大色差MCDは12であったことから、鉄摩耗粒子汚染の疑いがあることを確認した。風力発電装置Bの排出グリースの色調はMCDが小さく灰色であるが黒くはならず金属光沢がある。排出グリースを採取して鉄の濃度を元素分析により計測したところ、鉄の濃度は3500ppmであったことから、鉄摩耗粉増加が裏付けられた。
風力発電装置Cの排出グリースは,正常な劣化傾向を示した。排出グリースは、暗赤色であり、元素分析によって鉄濃度を計測したところ、150ppmであり、正常であることを確認した。
以上のように図6の知見を用いると、ΔERGBと最大色差MCDを用いることにより、グリースの状態が推測できる。また、反射光を検出していることから、金属磨耗粉の混入に起因する金属光沢を評価することができる。一般的なグリースの色の変化は、図6の劣化曲線により推定が可能であるが、金属磨耗粉の混入に起因する金属光沢は、ΔERGBとMCDのマップ上、劣化曲線から離れた領域で生じる。すなわち、ΔERGBの値が、ΔERGBとMCDが正の相関を持つ劣化曲線より大きくなる領域で、グリースへの金属摩耗粉の混入を知ることができる。この領域は、本来ΔERGBが減少するべき(すなわち黒化すべき)劣化曲線からはずれ、ΔERGBがより大きな領域に位置する。図6のNG領域601は結局、金属光沢によりグリースが実際の色よりも白っぽく見えている領域である。よって、本実施例によればNG領域601を判定に用いることにより、グリースへの金属磨耗粉の混入を検知することができる。この例では、NG領域601はΔERGBとMCDのマップから得ているが、直接反射率を測定して閾値により判定をするようにしてもよい。
(5.グリース診断結果例2)
2MW風力発電装置27基の主軸受にグリース自動供給デバイス301を設置し、主軸受グリースのドレイン303に、グリース表面の可視光反射光を計測する光学式センサ304をそれぞれ設置して、10日に1回、計測した。
図9は、6か月以上,定格で連続運転した後のΔERGB値とMCD値をプロットしたものである。
Aで示す領域のデータを持つ風力発電装置2基が、新品グリースに非常に近い色調であり給脂不良のためグリース交換を行なった。
Cで示す領域のデータを持つ3基が鉄濃度過多(鉄が3000ppm以上)であり、反射率が上昇している。このため要点検の判断となった。
Bで示す領域のデータを持つ2基が鉄濃度がやや高く要注意(鉄が1000ppm以上3000ppm未満)であった。
Eで示す領域のデータを持つ7基がグリース中油分減少(油分減少)のため給脂量増で新品グリースに置き換える保守対応を実施した。
Dで示す領域のデータを持つ残りの風力発電装置のグリースは正常であった。
以上のように、ΔERGBとMCDのマップ上、所定の領域はグリースの鉄濃度と相関関係が見られる。よって、予め実測データを採取しておけば、ΔERGBとMCDで規定される範囲に対してグリースの鉄濃度を関連付けることが可能である。また、ΔERGBとMCDで規定される範囲に対して、給脂不良、あるいは油分減少の状態を関連付けることも可能である。
(6.グリース診断結果例3)
2MW風力発電装置10基の発電機にグリース自動供給デバイス301を設置し、発電機グリースのドレイン303に、グリース表面の可視光反射率を計測する光学式センサ304を設置して、グリース診断結果例2と同様な計測を実施した。1基で鉄摩耗粉過多、別の1基で給脂不良が検出されたため、それぞれ適切な処置を実施した。
(7.グリース診断結果例4)
グリース自動供給デバイス301を設置していない2MW風力発電装置15基の主軸受グリースについて、半年毎に手動でグリースを補充し、ドレインから排出されるグリースを約100g採取している。運転開始から1年時の点検で採取した主軸受グリースについて、実験室で、グリース表面の可視光反射率を計測する光学式センサ304による計測を実施した。ΔERGB値とMCD値により、2基で鉄摩耗粉過多、別の2基で給脂不良が検出された。
(8.グリース診断結果例5)
以上で説明した例では、ΔERGBとMCDのデータを用いてグリースの判定をしており、グリースの反射率は間接的に推定している。しかし、グリースの反射率は別途直接に測定することも可能である。2MW風力発電装置10基の発電機にグリース自動供給デバイス301を設置し、発電機グリースのドレイン303に,グリース表面の可視光反射率を計測する光学式センサ304を設置して、排出グリース表面の光反射率計測を実施した。先に図7で説明したように、新品グリースの反射率503を1.0としたときに、予め閾値を1.09と定めておき、計測したサンプルの反射率505は、閾値を超えていたため、サンプルを採取し、鉄粉濃度分析とフェログラフィ分析を実施した。その結果、鉄粉濃度は2.5%と異常な高濃度であり、フェログラフィ分析結果より、異常摩耗の兆候を確認した。
以上のように、実施例1~5によると光学式のセンサを用いてグリースの異常を早期検出できるため、風力発電装置の異常を未然あるいは早期に発見することができる。これは、例えば振動センサ等では、装置の異常が顕在化してからでないと発見が困難であるのに比べて、顕著な利点である。また、光学式のセンサからのデータは、ネットワークを介して遠隔地のサーバに送信することで、遠隔地からのモニタが可能となり、作業効率が向上する。
実施例2では、光学式センサからえられた時系列データを用いて、メンテナンス時期の予測を行う例を示す。
図10は、図2と同様、図1の風力発電装置1のナセル3部分を抽出して示している。同じ構成は同じ符号を付して説明を省略する。ナセル3内部の各駆動部、例えば増速機33、発電機34、ピッチベアリング41、旋回ベアリング45には、グリース自動供給デバイス301が設置されて、グリースを供給する。またグリースの排出を行うドレイン303に、光学式センサ304が配置されており、グリースの色情報を検出している。
図10のシステムを用いて、ドレイン303から排出されたグリースを、光学式センサ304で、24時間毎に計測した。
再度図6を参照する。図6は新品グリース、6か月経過後の排出グリース、12か月経過後の排出グリースのΔERGB計測値とMCD計測値を、丸と三角でプロットしたものである。計測値プロットの運転時間に対する推移から近似曲線を設定した。近似曲線からは、さらに18か月経過後に領域E(油分減少のエリア)に移行すると予測された。グリースは軸受内に行きわたっているため,18か月経過後にグリースの大量補充を実施し,新品グリースに置き換えることにした。
計測値を用いて同様な推移予測を行い、図6の給脂不良エリア(A),鉄濃度増大エリア(BおよびC),油分減少エリア(E)に移行すると予測された場合と、計測値が以上のAからE(Dをのぞく)のエリアに入った場合には、結果を発電事業者や風力発電装置保守会社に通知し、それぞれ、適切な保守を実施した。
図11Aおよび図11Bは、ΔERGB計測値とMCD計測値をそれぞれ、時間変化をプロットしたグラフである。それぞれ、時間変化の傾向から、緊急でグリースの保守を実施する必要が無いと判定した。推移予測については、公知の種々の手法を用いてよい。このように、第1の軸に物性パラメータを表示し、第2の軸に時間を表示したグラフ形式で、物性パラメータの将来的な予測の結果を表示することが有益である。
実際には風力発電装置1の運転状況は一定ではなく、さまざまな要因で状況が変化する。例えば、人為的な運転状況の変動としては、点検のための装置の停止期間や、発電量調整のための運転調整がある。これらの変動パラメータは、風力発電装置1の制御パラメータとして取得することができる。
また、自然界に起因する運転状況の変動要因としては、風速をはじめとする天候、温度、湿度、などがある。これらの運転状況の変動要因は、それぞれ各種センサで測定することができる。従って、これらの運転状況を反映することで、より正確にグリースの状態を判定および予測することができる。
これらの温度センサや湿度センサは、グリース自動供給デバイス301周囲やナセル3内など、グリースに近い環境に設置されることが望ましく、光学式センサ304と同様に、サーバ210を介して、集約サーバ220や中央サーバ240に送信される。また、風力発電装置1の制御パラメータは、当該制御を行う、サーバ210、集約サーバ220あるいは中央サーバ240から得ることができる。
図12は、運転状況を反映したグリース状態予測方法のフロー図である。説明を単純化するために、この例では、軸受け部へのグリースの供給機構を対象とし、光学センサからの信号は物性パラメータのひとつのΔERGB値として、主に摩耗粒子汚染に着目することとした。また、運転状況を示す運転パラメータとしては、軸の回転数R(rpm)の制御パラメータを用いることにした。物性パラメータや運転パラメータはこれに制限されるものではなく、他の種々のものを利用可能である。
本例では、定期的に光学式センサ304で測定を行うものとし、測定時間になると(S901)、光学式センサ304は色度を測定する(S902)。本実施例では、各種センサのデータは中央サーバ240へ集約し、ここで一括処理することにしたが、これに限るものではない。
中央サーバ240では、光学センサのデータからΔERGBを計算し(S903)、また、軸の回転数Rのパラメータを取得する(S904)。Rの時間的分解能は光学センサのデータ周期と同じでもよいし、それより短くてもよい。これらのデータは、記憶装置に時間データとともに格納する(S905)。S903で得られたΔERGBと軸の回転数Rとの相関から,ΔERGBが閾値に達する軸の回転数Rを予測し,中央サーバのモニタに表示する。このように、時系列的な物性パラメータと、運転パラメータに基づいて、物性パラメータの将来的な予測を行なうことができる。
図13は、反射率の値を基に、グリース状態予測を行うフロー図である。説明を単純化するために、この例では、軸受け部へのグリースの供給機構を対象とし、光学センサからの信号は物性パラメータのひとつのΔERGB値として、主に摩耗粒子汚染に着目することとした。また、運転状況を示す運転パラメータとしては、軸の回転数R(rpm)の制御パラメータを用いることにした。物性パラメータや運転パラメータはこれに制限されるものではなく、他の種々のものを利用可能である。
本例では、定期的に光学式センサ304で測定を行うものとし、測定時間になると(S911)、光学式センサ304は色度を測定する(S912)。本実施例では、各種センサのデータは中央サーバ240へ集約し、ここで一括処理することにしたが、これに限るものではない。
中央サーバ240では、光学センサのデータからグリース表面の反射率を計算し(S913)、また、軸の回転数Rのパラメータを取得する(S914)。Rの時間的分解能は光学センサのデータ周期と同じでもよいし、それより短くてもよい。これらのデータは、記憶装置に時間データとともに格納する(S915)。なお、グリース表面の反射率は、専用のセンサを用いて直接得ても良い。
S913で得られたΔERGBと軸の回転数Rとの相関から、ΔERGBが閾値に達する軸の回転数Rを予測し、中央サーバのモニタに表示した(S917)。反射率の閾値を、あらかじめ定めておき、測定した反射率が閾値を超えてNG判定となった場合(S918)には、グリース補充,グリース交換,部品点検などの対策を通知(S919)し、終了する。
運転状況を表すパラメータのうち、例えば運転時間や発電目標値のように、人為的にコントロールができるものについては、運転スケジュール等に従って、将来のデータを準備することができる。このため、運転状況を表すパラメータを、グリース品質を示す物性パラメータの予測に用いることにより、予測制度を高めることができる。
また、天候や温度のように人為的にコントロールができないものについては、過去の実績データから将来のデータを予想することができる。このため、同様に運転状況を表すパラメータを、グリース品質を示す物性パラメータの予測に用いることにより、予測制度を高めることができる。
以上のように、本実施例では風力発電機の、主軸、発電機、ヨー、ピッチなどの重要な回転部品(軸受)で使用されるグリースの適切な監視を行うため、グリースの自動供給機構に備わるグリース排出部にセンサを設置することで、定常的に監視を行う。また、風力発電機の運転状況のパラメータをモニタすることで、正確な予測診断が可能となる。さらに、ネットワークを介して、風力発電機のグリースの常時遠隔監視が可能になる。このため、早期に軸受の予兆が判り、風力発電機の停止時間が短縮するため、保守コストが低減し、発電量が向上する。
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることが可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の実施例の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
風力発電装置1、タワー2、ナセル3、ハブ4、ブレード5

Claims (13)

  1. 風力発電機の機械的駆動部に供給されるグリースの監視システムであって、
    入力装置、処理装置、記憶装置、および出力装置を備え、
    前記入力装置は、
    前記グリースの可視光反射特性を計測する光学式センサから得られる、測定データが入力され、
    前記処理装置は、
    前記測定データから前記グリースの物性パラメータを生成するものであり、
    前記記憶装置は、
    前記物性パラメータを時系列的に格納するものであり、
    前記処理装置は、
    時系列的な前記物性パラメータに基づいて、前記物性パラメータの監視もしくは将来的な予測を行なうものであり、
    前記グリースの可視光反射特性を計測する光学式センサは、前記機械的駆動部で使用されるグリースの経路の少なくとも一部に配置されており、
    前記物性パラメータは、前記グリース表面の可視光反射特性に基づいて得られるΔERGBとMCDを含み、
    測定開始から所定時間経過しても前記ΔERGBとMCDが所定以上の変化を示さない場合に、給脂不良と判定することを特徴とする、
    風力発電機のグリースの監視システム。
  2. 前記グリースの可視光反射特性を計測する光学式センサは、
    前記機械的駆動部で使用されるグリース表面の可視光反射特性を計測することを特徴とする、
    請求項1に記載の風力発電機のグリースの監視システム。
  3. 前記物性パラメータは、前記グリース表面の可視光反射特性に基づいて、
    金属摩耗粉,給脂不良,油分減少,の全てを識別して診断することを特徴とする、
    請求項1に記載の風力発電機のグリースの監視システム。
  4. 前記ΔERGBの値が、前記ΔERGBとMCDが正の相関を持つ劣化曲線より大きくなる領域で、グリースへの金属摩耗粉の混入を判定し、
    前記ΔERGBとMCDの値が、測定開始から所定時間経過しても前記劣化曲線上で測定開始時のΔERGBとMCDの値から所定以上離れていない場合に給脂不良と判定し、
    前記ΔERGBとMCDの値が、前記劣化曲線上で測定開始時のΔERGBとMCDの値から所定以上離れた場合に油分減少と判定することを特徴とする、
    請求項3に記載の風力発電機のグリースの監視システム。
  5. 前記物性パラメータは、前記グリース表面の可視光反射率を含むことを特徴とする、
    請求項1に記載の風力発電機のグリースの監視システム。
  6. 前記可視光反射率の値が、所定閾値より大きくなる領域で、グリースへの金属摩耗粉の混入を判定することを特徴とする、
    請求項5に記載の風力発電機のグリースの監視システム。
  7. 前記入力装置は、
    さらに、前記風力発電機の運転パラメータが入力され、
    前記処理装置は、
    時系列的な前記物性パラメータと、前記運転パラメータに基づいて、前記物性パラメータの将来的な予測を行なうものである、
    請求項1記載の風力発電機のグリースの監視システム。
  8. 前記処理装置は、
    前記物性パラメータの将来的な予測を行なう際に、予め設定された閾値を前記物性パラメータが超える時間を予測するものである、
    請求項1記載の風力発電機のグリースの監視システム。
  9. 前記出力装置は、
    第1の軸に前記物性パラメータを表示し、第2の軸に時間を表示したグラフ形式で、前記物性パラメータの将来的な予測の結果を表示する、
    請求項1記載の風力発電機のグリースの監視システム。
  10. 前記光学式センサは、
    前記グリースの経路の末端付近に配置される、
    請求項1記載の風力発電機のグリースの監視システム。
  11. 前記光学式センサは、
    前記グリースの供給系統の排出部に配置される、
    請求項1記載の風力発電機のグリースの監視システム。
  12. 風力発電機のグリースの監視方法であって、
    前記風力発電機は光学式センサを備えた風力発電機であって、前記光学式センサが前記風力発電機の部品で使用されるグリースの反射光から光学的特性を測定するものであり、
    前記光学式センサからの測定データを受信する第1のステップ、
    前記測定データから前記グリースの物性パラメータを得る第2のステップ、
    前記物性パラメータを記憶する第3のステップ、
    前記物性パラメータに基づいて、前記物性パラメータの現在のデータを監視し、または、将来のデータを予測する第4のステップ、
    を実行し、
    前記物性パラメータは、前記グリース表面の可視光反射特性に基づいて得られるΔERGBとMCDを含み、
    前記第4のステップでは、
    前記ΔERGBの値が、前記ΔERGBとMCDが正の相関を持つ劣化曲線より大きくなる領域で、グリースへの金属摩耗粉の混入を判定し、
    前記ΔERGBとMCDの値が、測定開始から所定時間経過しても前記劣化曲線上で測定開始時のΔERGBとMCDの値から所定以上離れていない場合に給脂不良と判定し、
    前記ΔERGBとMCDの値が、前記劣化曲線上で測定開始時のΔERGBとMCDの値から所定以上離れた場合に油分減少と判定することを特徴とする、
    風力発電機のグリースの監視方法。
  13. 前記第1のステップから第4のステップに加え、前記風力発電機の運転パラメータを受信する第5のステップを実行し、
    前記第4のステップでは、
    前記物性パラメータの過去のデータと、前記運転パラメータの過去および将来のデータ
    に基づいて、前記物性パラメータの将来のデータを予測する、
    請求項12記載の風力発電機のグリースの監視方法。
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