JP7252672B2 - 高分子化合物の製造方法、高分子化合物、組成物、エレクトロクロミック素子、表示装置、及び、調光装置 - Google Patents
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Description
また、非特許文献1に記載された合成方法によれば、一方はランタニドイオンであり、異なる遷移金属イオンが交互に導入された有機/金属ハイブリッドポリマーを合成することはできなかった。
本発明の他の目的は、新規な高分子化合物、組成物、エレクトロクロミック素子、表示装置、及び、調光装置を提供することである。
高分子化合物の製造方法であって、
第1有機配位子を第1金属イオンに配位させ、金属錯体を得ることであって、前記第1有機配位子は、前記第1金属イオンに配位可能な1つの配位性基LIG1およびクロスカップリング反応に関与し得る1つの置換基Aを有し、前記第1金属イオンは、前記LIG1の配位座の数のn倍以上の配位数(ここでnは2以上の整数である)を有することと、
前記置換基Aに対応してクロスカップリング反応に関与し得る1つの置換基B、および前記第1金属イオンとは異なる第2金属イオンに配位可能な1つの配位性基LIG2を有する配位子前駆体を、前記金属錯体とクロスカップリング反応させて、LIG2および前記第1金属イオンに配位した状態の前記LIG1を有する第2有機配位子を得ることと、
前記LIG2に、前記LIG2の配位座の数のm倍以上の配位数(ここでmは2以上の整数である)を有し、前記第1金属イオンとは異なる前記第2金属イオンを配位させ、前記第1金属イオンおよび前記第2金属イオンが前記第2有機配位子を介して交互に連結されてなる高分子化合物を得ることとを含む、高分子化合物の製造方法。
[2].上記第1有機配位子が、後述する式1で表される化合物である、前記[1]に記載の高分子化合物の製造方法。
[3].上記配位子前駆体が、後述する式2で表される、前記[1]又は[2]に記載の高分子化合物の製造方法。
[4].上記置換基Aが、ハロゲン原子である、前記[1]~[3]のいずれかに記載の高分子化合物の製造方法。
[5].異なる2種の金属イオンが、有機配位子と配位結合することにより、上記2種の金属イオンが上記有機配位子を介して交互に連結されてなる高分子化合物。
[6].上記有機配位子が含窒素配位子である、前記[5]に記載の高分子化合物。
[7].上記有機配位子が、ピリジン誘導体から水素原子を1つ以上除いた残基を有する、前記[5]に記載の高分子化合物。
[8].後述する式3で表される繰り返し単位を有する高分子化合物。
[9].前記[5]~[8]のいずれかに記載の高分子化合物と、対イオンとを含有する組成物。
[10].一対の電極と、上記電極間に配置された前記[9]に記載の組成物を含有する層とを有するエレクトロクロミック素子。
[11].上記一対の電極の少なくとも一方と、上記層との間に、更に、電解質層を有する前記[10]に記載のエレクトロクロミック素子。
[12].上記一対の電極の少なくとも一方と、上記層との間に、更に、対極層を有する、前記[10]又は[11]に記載のエレクトロクロミック素子。
[13].前記[10]~[12]のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子を有する表示装置。
[14].前記[10]~[12]のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子を有する調光装置。
また、本発明の他の態様によれば、新規な高分子化合物、組成物、エレクトロクロミック素子、表示装置、及び、調光装置を提供することができる。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施形態に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に制限されるものではない。
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。また、各式中、破線は配位結合を表す。
本発明の一実施形態に係る高分子化合物の製造方法は、
第1有機配位子を第1金属イオンに配位させ、金属錯体を得ることであって、前記第1有機配位子は、前記第1金属イオンに配位可能な1つの配位性基LIG1およびクロスカップリング反応に関与し得る1つの置換基Aを有し、前記第1金属イオンは、前記LIG1の配位座の数のn倍以上の配位数(ここでnは2以上の整数である)を有すること(以下、「工程a」という。)と、
前記置換基Aに対応してクロスカップリング反応に関与し得る1つの置換基B、および前記第1金属イオンとは異なる第2金属イオンに配位可能な1つの配位性基LIG2を有する配位子前駆体を、前記金属錯体とクロスカップリング反応させて、LIG2および前記第1金属イオンに配位した状態の前記LIG1を有する第2有機配位子を得ること(以下、「工程b」という。)と、
本工程で使用される第1有機配位子は、LIG1を分子内に1つだけ有しているので、第1金属イオンに配位させた際に、反応が連鎖的に進行するのが抑制される。一方で、第1金属は、LIG1の配位座の数のn倍以上の配位数(nは2以上の整数)を有するため、第1金属の第1金属イオンには、第1有機配位子が2つ以上配位する。
本発明の一実施形態に係る高分子化合物の製造方法は、LIG1を第1金属イオンに配位させた状態で、第1有機配位子にLIG2を導入すること(後述する工程b)、その後、LIG2と第2金属イオンとを配位結合させること(工程c)を含む。このようにすることで、第1金属イオンと第2金属イオンとが有機配位子(後述する第2有機配位子)を介して交互に連結した高分子化合物が得られる。
また、第1金属の配位数としては、LIG1の配位座の数のn倍(nは2以上の整数)であれば特に制限されないが、2~12が好ましく、4~8がより好ましく、4~6が更に好ましい。
なお、使用可能な遷移金属以外の第1金属としては、Mg,Al等、例えばMg(II)、Al(III)等が挙げられる。
LIG1の配位座の数としては特に制限されないが、1~6が好ましく、2~4がより好ましい。LIG1の配位座の数は、第1金属との配位数との関係で、1つの第1金属イオンと、2つ以上の第1有機配位子とが配位結合を形成できるように選択されればよい。
置換基Aは、後述する金属錯体と配位子前駆体とのクロスカップリング反応に関与し得る置換基である。置換基Aとしては、特に制限されないが、ハロゲン原子、ボロン酸基、ボロン酸誘導体基、ハロゲン化金属基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基(*-Otf)、及び、トリアルキルスズ基等が挙げられる。
また、トリアルキルスズ基としては、特に制限されないがトリメチルスズ基、トリエチルスズ基、及び、トリブチルスズ基等が挙げられる。
なかでも、得られる金属錯体がより優れた安定性を有し、かつ、後述する工程bにおいて、第1金属イオンがより解離しにくい条件で反応を進めやすい点で、置換基Aとしては、ハロゲン原子であることが好ましい。
有機溶媒としては特に制限されないが、エチレングリコール、エタノール、メタノール、クロロホルム、NMP(N-メチル-2-ピロリドン)、ジメチルホルムアミド、及び、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
反応温度としては特に制限されないが、通常50℃~250℃であってよく、60~200℃が好ましい。
反応時間としては特に制限されないが、通常5~50時間であってよく、6~36時間が好ましい。
そのため、後述する工程b及び工程cを経て、第1金属イオンと第2金属イオンが配位子を介して交互に連結された高分子化合物が得られる。
第1金属イオンが、Mg(II)、Al(III)、Cr(III)、Mn(II)、Mn(III)、Fe(II)、Fe(III)、Co(III)、及び、Pt(IV)等の配位数が6の金属の金属イオンであって、LIG1が2座の配位性基である場合(言い換えれば、第1有機配位子の配位座の数が2である場合)、以下の式1Bで表される金属錯体が得られる。なお、式1BにおけるM1は第1金属イオンを表し、各記号は、式1中の各記号と同義である。
金属錯体を下記式1Bで表される形態とすると、後述する工程(b)及び(c)を経て得られる高分子化合物は、第1金属イオンを架橋点とした2次元の架橋構造を有する。
カウンターアニオンとしては特に制限されないが、塩化物イオン等のハロゲン化物イオン、水酸化物イオン、酢酸イオン、過塩素酸イオン、炭酸イオン、四フッ化ホウ素イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、(CF3SO2)2Nイオン、ポリオキシメタレート、及び、これらの組み合わせ等が挙げられる。
例えば、第1金属イオンがOs2+(配位数6)であって、第1有機配位子がターピリジン誘導体(3座)である場合、反応溶液中のOs2+の含有量に対する、第1有機配位子の含有量の含有モル比が、1.9~3.0となるように調整されることが好ましい。
工程bは、上記置換基Aに対応してクロスカップリング反応に関与し得る1つの置換基B、および上記第1金属イオンとは異なる第2金属イオンに配位可能な1つの配位性基LIG2を有する配位子前駆体を、上記金属錯体とクロスカップリング反応させて、LIG2および上記第1金属イオンに配位した状態のLIG1を有する第2有機配位子を得る工程である。
第2金属イオンは、第1金属イオンとは異なる金属イオンであればよく、その形態は特に制限されない。第2金属イオンとしては、例えば、第1金属イオンとしてすでに説明した金属イオンが使用でき、その形態も同様である。
なお、本明細書において金属イオンが異なるとは、元素の種類が異なること(例えば、OsとFe)、及び、価数が異なること(例えば、同一元素で価数が異なるCr(II)とCr(III)のような場合も含む)のいずれか又は両方を意味する。第1金属イオンと第2金属イオンとの間で、少なくとも元素の種類が異なることが好ましい。
遷移金属イオンとしては特に制限されず、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、Ni(ニッケル)、Co(コバルト)、Cu(銅)、Zn(亜鉛)、Mo(モリブデン)、Ru(ルテニウム)、Rh(ロジウム)、Ag(銀)、Sn(スズ)、W(タングステン)、Re(レニウム)、Os(オスミウム)、Ir(イリジウム)、Pt(プラチナ)、及び、Au(金)等の金属イオンが好ましい。
なお、使用可能な遷移金属以外の第2金属としては、Mg,Al等、例えばMg(II)、Al(III)等が挙げられる。
なかでも、より効率的に反応が進行する点で、置換基Bとしては、ボロン酸基、及び、ボロン酸誘導体基が好ましい。なお、各置換基の形態は、置換基Aと同様である。
また、L3の2価の基としては、式1中のL2の2価の基として説明したのと同様の基が挙げられ、好適形態も同様である。
特に制限されないが、クロスカップリング反応には、Pd(PPh3)4、Pd(PPh3)2Cl2、NiCl2(dppe)、Pd(OAc)2、Pd2(dba)3、Cu(OAc)2、及び、CuI等の遷移金属触媒を使用することができる。
更に、BINAP、ジ-tert-ブチルホスフィノビフェニル、ジシクロヘキシルホスフィノビフェニル、トリtert-ブチルホスフィン、XANTPHOS、及び、トリフェニルアルシン等のリガンドを加えてもよい。
具体的な方法としては、例えば、Miyaura,N.;Suzuki,A.Chem.Rev.1995,95,2457-2483、Dai,C.;Fu,G.C.J.Am.Chem.Soc.,2001,123,2719-2724、Littke,A.F.;Fu,G.C.Angew.Chem.Int.Ed.1999,38,6,2411-2413等の記載を参照することができる。
本工程における反応例として、第1金属イオンM1に第1有機配位子が2つ配位するように配位数、及び、配位座の数が選択される場合、以下の式2Aで表される反応が進行する。
工程cは、上記LIG2に、上記LIG2の配位座の数のm倍以上の配位数(ここでmは2以上の整数である)を有し、上記第1金属イオンとは異なる第2金属イオンを配位させ、第1金属イオンおよび第2金属イオンが第2有機配位子を介して交互に連結されてなる高分子化合物を得る工程である。
第2金属イオンに第2有機配位子が有するLIG2を配位させる方法としては特に制限されないが、工程aにおいて第1金属イオンに第1有機配位子が有するLIG1を配位させる方法と同様の方法および条件を使用することができる。具体的には、第2金属イオンと第2有機配位子を溶媒中で混合し、室温もしくは加熱条件下で撹拌することができる。溶媒としては、酢酸、メタノール、塩化メチレン、クロロホルム、DMSOなどの極性溶媒、またはそれらを混合したものを用いることができる。反応温度は、室温から用いる溶媒の沸点温度までの温度域の中で、配位結合が進行する温度を選択することができる。
LIG1、M1、M2、LIG2、L1、L2、L3、及び、L4は式1及び2における各記号と同義であり、好適形態も同様である。
配位数が6である金属としては、例えば、Mg、Al、Cr、Mn、及び、Fe等を使用することができる。この金属イオンとして、より具体的には、Mg(II)、Al(III)、Cr(III)、Mn(II)、Mn(III)、Fe(II)、及び、Fe(III)、及び、Os(II)、Os(III)等が挙げられる。
また、配位数が4及び6のいずれも取り得る金属としては式3A中のM16の金属としてすでに説明したとおりである。
また、式3B中のL1~L4は、式3A中の同記号と同義であり、好適形態も同様である。
配位数が6である金属、並びに、配位数が4及び6のいずれも取り得る金属としては、式3AのM16の金属としてすでに説明したとおりである。配位数が6である金属としては、例えば、Mg、Al、Cr、Mn、及び、Fe等が挙げられる。この金属イオンとして、より具体的には、Mg(II)、Al(III)、Cr(III)、Mn(II)、Mn(III)、Fe(II)、及び、Fe(III)、及び、Os(II)、Os(III)等が挙げられる。
また、配位数が4及び6のいずれも取り得る金属についてもM16としてすでに説明したとおりである。
また、式3C中のL1~L4は、式3A中の同記号と同義であり、好適形態も同様である。
式3F中、M14は第1金属イオンを表す。このM14は、式3B中のM14と同義であり、好適形態も同様である。また、M24は第2金属イオンを表す。このM24は、式3B中のM24と同義であり、好適形態も同様である。また、L1~L4は、式3A中のL1~L4と同義であり、好適形態も同様である。なお、*は結合位置を表す。
本発明の一実施形態に係る異なる金属イオンが交互に導入された高分子化合物は、その特性に因り、各種のエレクトロクロミック素子、表示装置、及び、調光装置等に好適に使用することができる。
本発明の一実施形態に係る組成物は、すでに説明した高分子化合物と、対イオンとを含有する組成物である。
対イオンとしては特に制限されないが、すでに説明した高分子化合物の製造方法において、工程aにおける第1金属イオンを塩として反応系に添加した場合の対イオン、及び/又は、第2金属イオンを塩として反応系に添加する際の対イオンが挙げられる。
本組成物における高分子化合物と対イオンとのモル比は、例えば、2:1~1:2の範囲内、好ましくは1.5:1~1:1.5の範囲内、より好ましくは約1:1であってよい。
本組成物は上記以外にも溶媒等を含有していてもよい。溶媒としては特に制限されないが、水、及び/又は、有機溶剤等が挙げられる。組成物の固形分の量は用途に応じて適宜調整できる。
本発明の一実施形態に係るエレクトロクロミック素子は、一対の電極と、上記電極間に配置された上記組成物を含有する層(以下、「エレクトロクロミック層」ともいう。)とを有するエレクトロクロミック素子である。
図1は、本発明の実施形態に係るエレクトロクロミック素子の非限定的な一形態の模式的な断面図である。
エレクトロクロミック層102は、上記高分子化合物、及び、対イオンのみから形成されていてよい。
ここで、イオン液体は、特に制限されないが、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロフォスフェート、ビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミド、及び、ビス(ペンタフルオロエチルスルフォニル)イミドからなる群から選択される少なくとも1種のアニオンと、イミダゾリウム、ピロリジニウム、及び、テトラアルキルアンモニウムからなる群から選択される少なくとも1種のカチオンとの組み合わせが挙げられる。
ゲル化高分子化合物のネットワークに支持塩及び任意選択でさらに可塑剤を含ませてゲル状の電解質層130を構成することにより、フレキシブルなエレクトロクロミック素子を提供することができる。
このようにしてゲル化高分子化合物、支持塩、および任意選択でさらに可塑剤が均一に分散して存在した電解質層を構成することによって、有利にもエレクトロクロミック素子特性の向上と安定化を得ることができる。
また、イオン蓄積材料としては、フェロセン、プルシアンブルー、及び、ポルフィリン等も使用できる。
対極層104は、例えば、エレクトロクロミック層102とは逆反応をすることでそれぞれの電気化学反応を安定化させ、エレクトロクロミック反応に必要な電位差を小さくする効果等を有する。
例えば、エレクトロクロミック層102が酸化発色型の場合、対極層104としては還元反応できる材料であることが好ましい。
対極層は、酸化還元反応に伴う可視光域での光吸収帯の変化が小さい(色変化がより少ない)エレクトロクロミック材料も使用できる。このような機能を与える無機化合物としては、例えば、酸化アンチモン錫、フッ素ドープ酸化錫、酸化ニッケル、酸化チタン、酸化亜鉛、及び、酸化錫等が挙げられる。
また、対極物質としては、K3Fe(CN)6、及び、フェロセン等も使用できる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
導電性粒子、及び、半導体性粒子としては、特に制限されないが、例えば、金属酸化物が使用できる。
また、エレクトロクロミック素子100を複数組み合わせてマトリクス状に配置して用いてもよい。
本工程により電極上に組成物層が形成され、上記組成物層はすでに説明したエレクトロクロミック層として機能する。
電極上に組成物層を形成する方法としては特に制限されないが、電極上に組成物を付与する方法、及び、フィルム状の組成物層を電極上に貼付する方法、及び、仮基板上に組成物層を配置し、電極上に組成物層を転写する方法等が挙げられる。
なかでも、本工程は、電極上に組成物を付与して組成物層を形成する方法が好ましい。必要に応じて組成物層を乾燥させて溶媒等を除去する工程を更に有していてもよい。
組成物層の厚みが上記範囲であると、組成物層中に十分な量の本発明の一実施形態に係る高分子化合物が含有されるので、より高いエレクトロクロミック特性が発揮されやすい。
本工程は前の工程で形成された組成物層上に電解質層を積層する工程である。組成物層上に電解質層を積層する方法としては特に制限されないが、組成物層上に電解質層形成用組成物(ゲル化高分子化合物、支持塩、及び、溶媒等を含有する)を塗布して電解質層を形成する方法、他方の電極(任意選択で対極層が形成されている)上に電解質層形成用組成物を塗布して電解質層を形成し、その後、組成物層を有する一方の電極と、電解質層を有する他方の電極とを、組成物層と電解質層とが向かい合うようにして積層する方法等が挙げられる。
なお、電解質層の厚みとしては特に制限されないが、一般に10nm~10mmが好ましい。
本発明の一実施形態に係る表示装置は、すでに説明したエレクトロクロミック素子を有する表示装置である。図2には、上記表示装置を有する機器として、電子書籍リーダの非限定的な一形態に係る概略構造を示した。
表示装置201は、タッチパネル付きの表示パネル211、タッチパネルドライバ212、表示コントローラ213、VRAM(Video RAM)214を有している。
また、表示パネル211は、タッチパネルを備えていなくてもよい。タッチパネルではない他の入力手段がある場合は、他の入力手段を、表示パネル211に備えればよい。表示パネル211がタッチパネルを備えていない場合は、タッチパネルドライバ212は不要である。
表示コントローラ213は、所定のタイミング毎に、VRAM214に格納されている表示データを読み出し、該表示データに応じて、表示パネル211に含まれる複数の画素の表示色を個別に制御する。表示コントローラ213は、発色させる画素を特定するための画素選択信号と、色を特定するための色指定信号とを表示パネル211に出力する。
メインコントローラ202は、ROM203に格納されているプログラムに従って、RAM204、フラッシュメモリ205、キャラクタジェネレータ206、インターフェース207、VRAM214等の各部を統括的に制御する。
また、ユーザがインターネットを介したコンテンツの購入を要求した場合には、メインコントローラ202は、インターフェース207を介して所定の購入サイトに接続し、通常のブラウザとして機能する。
RAM204は、作業用のメモリである。
フラッシュメモリ205は、コンテンツである書籍の電子データ等を格納する。キャラクタジェネレータ206は、各種キャラクタデータに対応するドットデータを格納する。
インターフェース207は、外部機器との接続を制御する。前記インターフェース207は、メモリカード、パソコン、公衆回線を接続することが可能である。なお、パソコン及び公衆回線への接続は、有線、無線いずれも可能である。
本発明の一実施形態に係る調光装置は、すでに説明したエレクトロクロミック素子を有する調光装置である。
図3は本発明の一実施形態に係る調光装置における制御系の構成を示すブロック図である。
図3において、屋外照度測定部301、屋内照度測定部302、及び、入射角度測定部303は演算部304に接続されている。屋外照度測定部301で屋外照度を測定し、また、屋内照度測定部302で屋内照度を測定し、更に入射角度測定部303で太陽の入射角度を測定し、これらの情報S1~S3により演算部304で演算プログラムに基づいて最適な各エレクトロクロミック素子の透過率を演算する。
また、身長の高さまでのエレクトロクロミック素子の透過率を小さくすることにより、更衣時に窓の外から視線を遮断することができる。また、縞状に透過率の高低を設定するようにすることにより、ブラインド装置を模すこともできる。
また、使用者が室内状況を判断して透過率を設定する必要がなく、刻々変化する屋内外の光環境や太陽の入射角度をセンシングすることによって昼光をより効率良く自動制御できるものである。
また、以下の実施例、及び、図面において、特に断らない限り単位の「V」とあるのは、「V,vs. Ag/Ag+」を意味するものとする。
50mL二口丸底フラスコ中で4’-ブロモ-2,2’:6’,2’ ’-ターピリジン(825mg、2.64mmol)、及び、(NH4)2O5Cl6(528mg、1.2mmol)を窒素雰囲気下に置いた。ここに、脱水、及び、脱気されたエチレングリコール(12mL)を加えた後、混合物を180℃で6時間撹拌した。
反応後、上記混合物を室温に冷却し、過剰のTHFを加えて沈殿を生成させた。次に、沈殿物を濾別して黒色粉末を得て、これをカラムクロマトグラフィーで精製した(Al2O3を充填したカラムでDCM/MeOH(5:1)で溶出した)。
金属錯体1[Os(4-Brtpy)2]Cl2は、黒色の固体として得られた(930mg、収率87%)。反応式を以下に示した。
8.72(d、4H)、7.86(t、4H)、7.43(d、4H)、7.21(t、4H)。金属錯体1の1H NMRの結果を図5に示した。
50mLの二口丸底フラスコに、上記で合成した金属錯体1(204mg、0.23mmol)、化合物2(500.6mg、1.15)、K2CO3(80.2mg、0.58mmol)を窒素下で20mLのDMSO(ジメチルスルホキシド、無水)に溶解し、反応混合物を調製した。
次に、Pd(PPh3)4(40mg、0.034mmol、15%)を反応混合物に加え、100℃で36時間加熱した。
次に、DMSOを真空下で除去し、得られた固体をカラムクロマトグラフィーによって精製(SiO2を充填したカラムで、DCM/MeOH(4:1、vol/vol)で溶出させて溶出)した。反応式を以下に示した。
25mL丸底フラスコ中で、OsL1(30mg、0.023mmol)、及び、Fe(OAc)2(4mg、0.023mmol)を10mLのCHCl3/MeOH/酢酸(1:1:6、vol/vol/vol)に溶解し、反応混合物を得た。次に、反応混合物を24時間還流した。次に、反応混合物を25℃に冷却し、続いて濾過した。次に、濾液を集めそして溶媒を蒸発させ、濃い紫色の固体としてpolyFeOsを得た(31.2mg、92%の収率)。RALS(光散乱)測定により、polyFeOsをメタノールに溶解させた溶液中での分子量は、1.37×106Daであった。反応式を以下に示した。
上記で得られたpolyFeOsのエレクトロクロミック特性を評価するための試料は以下の手順により作製した。まず、polyFeOsをメタノールに溶解させ、4mg/mLの溶液を調製した。次に、調製した溶液を、ITO基板上にスプレーコートして、1.5cm×1.5cmの面積のフィルムを得た。
サイクリックボルタンメトリー(Cyclic voltammetry、CV)は、ALS/CHI電気化学ワークステーション(CHインスツルメンツ社製)を用いて測定した。
CV測定には、支持電解質として0.1M LiClO4/CH3CNを用いた、従来の3電極システムを採用した。なお、3電極は、ITO上に配置されたポリマーを作用電極(WE;working electrode)、プラチナ電極(platinum flag)を対電極、0.1M TBAP+ 0.01 M AgNO3を含むアセトニトリル中のAg/Ag+電極を参照電極とした。
印加電圧の範囲は、50mV/sの走査速度で0~+1.1Vとした。polyFeOsのサイクリックボルタンメトリーの結果を図11及び図12に示した。
CV測定と同様の実験設定で、in situ UV-vis測定を行った。に使用した。ITO上のポリマーフィルムの吸収を、0V、及び、0.1Vの増分で0.6~+1.2Vの印加電位範囲で記録した。結果を図13~図14に示した。
なお、OsL1溶液は、褐色透明であり、polyFeOs溶液は薄紫色透明であった。
図14に示した写真は、印加電圧が0.0Vから+1.2Vに変化するとき、0.0Vの紫色から、0.9Vにかけて徐々に紫色が薄くなっていき、1.0V~1.2Vにかけて、灰色~青みがかったベージュ色に変化する様子を示したものである。また、吸光度の変化も上記の色の変化と符合する結果であった。
polyFeOsのエレクトロクロミズム(EC)測定は、Ocean Opticsモジュラー分光計でのクロノアンペロメトリー測定時にITO上のフィルムの透過光強度の変化をモニターすることによって行った。0V、0.7V、及び、1Vの3つの異なる電圧をCVによって印加し、そしてポリマーフィルムの対応する透過光強度の変化を記録した。最後に、ポリマーフィルムのEC耐久性を、0V、及び、+1Vを印加することによって透過率スペクトルの変化を測定した。
101 :第1の電極
102 :エレクトロクロミック層
103 :電解質層
104 :対極層
105 :第2の電極
106 :支持基板
107 :支持基板
200 :電子書籍リーダ
201 :表示装置
202 :メインコントローラ
203 :ROM
204 :RAM
205 :フラッシュメモリ
206 :キャラクタジェネレータ
207 :インターフェース
211 :表示パネル
212 :タッチパネルドライバ
213 :表示コントローラ
214 :VRAM
300 :調光装置
301 :屋外照度測定部
302 :屋内照度測定部
303 :入射角度測定部
304 :演算部
305 :コントロール部
306 :直流電源部
307a :エレクトロクロミック素子
307b :エレクトロクロミック素子
307z :エレクトロクロミック素子
401 :操作部
Claims (9)
- 高分子化合物の製造方法であって、
2つ以上の第1有機配位子を第1金属イオンに配位させ、金属錯体を得ることであって、前記第1有機配位子は、前記第1金属イオンに配位可能な1つの配位性基LIG1およびクロスカップリング反応に関与し得る1つの置換基Aを有し、前記第1金属イオンは、前記LIG1の配位座の数のn倍以上の配位数(ここでnは2以上の整数である)を有することと、
前記置換基Aに対応してクロスカップリング反応に関与し得る1つの置換基B、および前記第1金属イオンとは異なる第2金属イオンに配位可能な1つの配位性基LIG2を有する配位子前駆体を、前記金属錯体とクロスカップリング反応させて、LIG2および前記第1金属イオンに配位した状態の前記LIG1を有する第2有機配位子を得ることと、
前記LIG2に、前記LIG2の配位座の数のm倍以上の配位数(ここでmは2以上の整数である)を有し、前記第1金属イオンとは異なる前記第2金属イオンを配位させ、前記第1金属イオンおよび前記第2金属イオンが前記第2有機配位子を介して交互に連結されてなる高分子化合物を得ることとを含み、
前記第1有機配位子が、以下の式1で表される化合物であり、
前記配位子前駆体が、以下の式2で表される化合物であり、
前記配位性基LIG 1 及び前記配位性基LIG 2 が、それぞれ、2,2’,2’’-ターピリジン構造に由来する基、又は2,2’-ビピリジン構造に由来する基である、高分子化合物の製造方法。
(式1中、L1は、単結合、又は、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、若しくは、これらを組み合わせた基を表し、L2は単結合を表し、Xは前記置換基Aを表し、LIG1は第1金属イオンに配位可能な前記配位性基LIG1を表す。)
(式2中、Yは前記置換基Bを表し、L4は、単結合、又は、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、若しくは、これらを組み合わせた基を表し、LIG2は第2金属イオンに配位可能な前記配位性基LIG2を表し、L3は単結合を表す。) - 前記置換基Aが、ハロゲン原子である、請求項1に記載の高分子化合物の製造方法。
- 異なる2種の金属イオンが、有機配位子と配位結合することにより、前記2種の金属イオンが前記有機配位子を介して交互に連結されてなり、
下記式3で表される繰り返し単位を有する、高分子化合物。
(式3中、M1は第1金属イオンを表し、M2は、M1とは異なる第2金属イオンを表し、
LIG1はM1に配位可能な配位性基を表し、LIG2はM2に配位可能な配位性基を表し、LIG1及びLIG2は同一であり、LIG 1 及びLIG 2 は、2,2’,2’’-ターピリジン構造に由来する基、又は2,2’-ビピリジン構造に由来する基であり、
L1及びL4はそれぞれ独立に単結合、又は、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、若しくは、これらを組み合わせた基を表し、互いに同一でも異なってもよく、
L2及びL3はそれぞれ独立に単結合を表す。) - 請求項3に記載の高分子化合物と、対イオンとを含有する組成物。
- 一対の電極と、前記電極間に配置された請求項4に記載の組成物を含有する層とを有するエレクトロクロミック素子。
- 前記一対の電極の少なくとも一方と、前記層との間に、更に、電解質層を有する請求項5に記載のエレクトロクロミック素子。
- 前記一対の電極の少なくとも一方と、前記層との間に、更に、対極層を有する、請求項5又は6に記載のエレクトロクロミック素子。
- 請求項5~7のいずれか1項に記載のエレクトロクロミック素子を有する表示装置。
- 請求項5~7のいずれか1項に記載のエレクトロクロミック素子を有する調光装置。
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