JP7251657B2 - 前処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、前処理方法に関し、ポリエステルまたはポリエステル分解物からなる試料のサイズ排除クロマトグラフ測定を実施する前に行う試料の前処理方法に関する。
熱可塑性を有するポリエステル(熱可塑性ポリエステル)は、強度と柔軟性の両方を有し、エンジニアリングプラスチックとして様々な用途に利用されている。例えば、熱可塑性ポリエステルであるポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate:PET)は、フィルム、繊維、飲料用ボトルなどで利用されており、これら一部はリサイクルも実施されている。熱可塑性ポリエステルは、熱や光により劣化が進行するが、この劣化の状態を把握することは、工業上重要となる。上述した劣化の状態把握は、例えば、分子量分布の測定により実施できる。
熱可塑性ポリエステルは、熱や光により分子鎖切断反応および架橋反応が進行する。分子鎖切断の進行や架橋構造の生成は、熱可塑性ポリエステルの強度等の機械的特性に大きく影響を与え、強度の低下などの性能低下を生じる。これが、熱可塑性ポリエステルの劣化となる。従って、分子量分布の測定により、上述した分子鎖切断の進行や架橋構造の生成が把握でき、熱可塑性ポリエステルの劣化の状態が評価できる。この分子量分布の測定に、サイズ排除クロマトグラフィー(Size Exclusion Chromatography)が用いられる(非特許文献1参照)。
サイズ排除クロマトグラフィーは、分子の大きさの違いによってカラムを通過する時間が異なることを利用し、分析試料の分離・精製をする方法である。サイズ排除クロマトグラフィーを用いた分析では、他のクロマトグラフィーと同様に、カラムの排出先に検出器を配置し、カラムを通過してきた物質は、検出器で、当該物質の濃度に対応した信号(クロマトグラム)として検出されて出力される。
ところで、この種の分析においては、カラムの詰まりを防ぐため、分析試料を調製する段階でフィルタによる濾過を行い、分析試料より不溶成分を除去している。熱可塑性ポリエステルの場合、一般には、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール(HFIP)に、トリフルオロ酢酸ナトリウムなどの塩を1-10mmol/L程度添加した溶液を溶離液として用い、分析試料を調製している。分析試料の調製では、熱可塑性ポリエステルの試料を上述した溶離液に溶かして室温で数時間静置した後に、フィルタ(ポアサイズ例.0.2μm)で濾過して不溶成分を除去している。この濾液を分析試料として測定を実施する。
劣化した熱可塑性ポリエステルで架橋構造を多く含む試料では、溶離液に溶解しない不溶成分があり、これらの不溶成分が、上述した濾過で除去され、分析試料には含まれなくなる。従って、上述した不溶成分は、分子量分布の測定結果には含まれない。しかしながら、熱可塑性ポリエステルの劣化の状態把握のためには、上述した不溶成分も含めた状態で、分子量に関する分析(評価)をすることが重要となる。
溶離液に溶解しない成分について分子量に関する情報を得るためには、前処理として不溶成分に含まれる特定の分子構造を分解して溶離液に溶解させ、サイズ排除クロマトグラフ測定を実施することが考えられる。この前処理では、ポリエステルにおけるエステル結合などの、分子鎖の繰り返し単位に含まれる分子構造は分解しないことが望ましい。
前述したように、劣化の指標の1つに分子鎖切断があり、分子鎖の繰り返し単位に含まれる分子構造の一部を分解して分子鎖を切断すると、これが、前処理によるものか劣化によるものか、切り分けが行えず、測定結果の解釈が困難となる。また、分子鎖の繰り返し単位の分子構造の分解の進行度を制御することは容易でなく、再現性の確保が困難となる。
光や熱により劣化した熱可塑性ポリエステルには、よく知られているように、酸無水物構造が含まれる状態となる。エステル結合を分解せずに、この無水酸化物を選択的に分解することができれば、上述した問題が解消する。無水酸化物は、エステル結合よりも塩基による分解されやすいため、例えば、試料となる熱可塑性ポリエステルをHFIPに溶解し、ここに有機塩基を添加すれば、酸無水物構造を分解することができるものと考えられる。
B. Trathnigg, "Size-exclusion Chromatography of Polymers", Encyclopedia of Analytical Chemistry, R. A. Meyers (Ed.), pp. 8008-8034, John Wiley & Sons Ltd, Chichester, 2000.
ところが、上述した熱可塑性ポリエステルのサイズ排除クロマトグラフ測定における前処理により、エステル結合が分解せずに酸無水物構造が分解されていることを調査したところ、エステル結合も分解されていることが判明した。劣化した熱可塑性ポリエステルを試料とし、これを有機塩基が含まれるHFIPに溶解させると、酸無水物構造を分解できるが、このとき、添加する有機塩基の量を適切に設定し、また、長時間の加熱を行わなければ、エステル結合の分解は、ほとんど進行しないはずである。
ここで、サイズ排除クロマトグラフ測定を実施するためには、上述したように、試料を適切な量の有機塩基が含まれるHFIPに溶解させ、適切な時間加熱して酸無水物構造を分解したあと、この溶液より溶媒を除去して試料の固体を得、得られた固体を溶離液に溶解することになる。この溶離液に溶解させるために得た固体について、エステル結合の状態を分析したところ、上述した有機塩基を用いた前処理では分解しないはずのエステル結合の分解が確認された。このように、単純に有機塩基を用いる上述した前処理では、エステル結合が分解されてしまうという問題があった。
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、サイズ排除クロマトグラフ測定を実施するためのポリエステルまたはポリエステル分解物からなる試料の前処理における、エステル結合の分解の抑制を目的とする。
本発明に係る前処理方法は、ポリエステルまたはポリエステル分解物からなる試料のサイズ排除クロマトグラフ測定を実施する前の試料の前処理方法であって、試料を、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノールに溶解して第1溶液とする第1工程と、第1溶液に、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノールより沸点が低い有機塩基を添加して第2溶液とする第2工程と、第2溶液を加熱して、試料の中の酸無水物構造が分解した物質を得る第3工程と、第3工程に続いて、第2溶液にクロロホルムを加えて第3溶液とする第4工程と、第3溶液より溶媒を除去して上記物質からなる固体試料を得る第5工程とを備える。
以上説明したように、本発明によれば、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノールより沸点が低い有機塩基を添加するので、サイズ排除クロマトグラフ測定を実施するためのポリエステルまたはポリエステル分解物からなる試料の前処理における、エステル結合の分解が抑制できる。
図1は、本発明の実施の形態に係る前処理方法を説明するためのフローチャートである。 図2は、劣化したポリエチレンテレフタレートの分子構造を示す構成図である。 図3は、本発明を適用したサイズ排除クロマトグラフィーの測定の結果を示す特性図である。
以下、本発明の実施の形態に係る前処理方法について図1を参照して説明する。この前処理方法は、ポリエステルまたはポリエステル分解物(劣化した熱可塑性ポリエステル)からなる試料のサイズ排除クロマトグラフ測定を実施する前の試料の前処理に関するものである。熱可塑性ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリネオペンチルテレフタレート、ポリシクロヘキシルテレフタレート、ポリジシクロヘキシルメチルテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリプロピレンイソフタレート、ポリブチレンイソフタレート、ポリネオペンチルイソフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートなどである。また、これら熱可塑性ポリエステルの共重合体も含まれる。また、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66)やポリアセタールと、熱可塑性ポリエステルとの共重合体も含まれる。
まず、第1工程S101で、試料を、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール(HFIP)に溶解して第1溶液とする。
次に、第2工程S102で、第1溶液に、HFIPより沸点の低い有機塩基を添加して第2溶液とする。第2溶液における有機塩基の濃度は、0.05[mmol/L]より多く、0.4[mmol/L]未満とする。有機塩基は、HFIPおよびクロロホルムより沸点の低いものを用いることもできる。HFIPおよびクロロホルムより沸点の低い有機塩基として、例えば、エチルアミン、ジエチルアミン、n-プロピルアミン、i-プロピルアミン(イソプロピルアミン)、t-ブチルアミン、およびジメチルエチルアミンなどを用いることができる。
次に、第3工程S103で、第2溶液を加熱して、試料の中の酸無水物構造が分解した物質を得る。この物質は、この段階では第2溶液に溶解している。
引き続き、第4工程S104で、第2溶液にクロロホルムを加えて第3溶液とする。第3溶液は、HFIPの量a[ml]とクロロホルムの量V[mL]との比を、0<V/aとする。
この後、第5工程S105で、第3溶液より溶媒を除去して、試料の酸無水物構造が分解した物質からなる固体試料を得る。例えば、加熱することで溶媒を気化させることで除去することができる。また、減圧濃縮により、第3溶液より溶媒を除去して固体試料を得ることもできる。
なお、上述したことにより、固体試料を得た後、サイズ排除クロマトグラフ測定においては、得られた固体試料をサイズ排除クロマトグラフ測定のための溶媒(溶離液)に溶解する(第6工程)。
ここで、熱可塑性ポリエステルの劣化について説明する。熱可塑性ポリエステルでは、熱(加熱)や光(受光)により劣化が進行すると、分子鎖切断反応および架橋反応が進行し、強度劣化などの性能低下を生じる。分子鎖切断に至る反応の過程は、「Norrish II」反応などの光のみで分子鎖切断に至る経路がある。
また、以下の化学構造式(1)に示す分子構造が、光酸化反応によって、化学構造式(2)に示す分子構造となり、雰囲気の酸素によって、化学構造式(3)に示す分子構造となり、水に弱い分子構造である酸無水物構造が生成する。この後、加水分解によって、化学構造式(4)に示すように、分子鎖切断に至る経路がある。
Figure 0007251657000001
また、架橋構造が生成する反応過程としては、以下の化学構造式(5)に示す分子構造が、化学構造式(6)に示すように、ラジカルR・によって水素ラジカルが引き抜かれて化学構造式(7)に示す分子構造となり、2つの化学構造式(7)が、ラジカルによって架橋構造を生成して化学構造式(8)に示す分子構造となる。このような反応過程により架橋構造が増加すると、熱可塑性ポリエステルは、不溶化する。
Figure 0007251657000002
例えば、熱可塑性ポリエステルであるポリエチレンテレフタレート(PET)は、劣化すると、図2に示すように、分子鎖101の途中に、酸無水物構造102が形成され、また、例えば、隣り合う2つの分子鎖101の間を結合する架橋構造103が形成される。このような、酸無水物構造102を含む架橋構造103による網目構造が形成されることが、不溶化の要因となる。劣化によるこのような分子構造において、酸無水物構造102を分解することで、網目構造が疎になり、可溶化する。
以下、実験の結果を用いて、本発明についてより詳細に説明する。まず、HFIPより沸点の低い有機塩基を添加することについて検証した。この検証では、条件を変えた前処理方法で固体試料を作製し、各条件で作製した固体試料におけるエステル結合の状態、および酸無水物構造の状態を分析した。
エステル結合の状態についは、核磁気共鳴(NMR)測定により、固体試料におけるエステル結合の分解によって生成する水酸基末端の増加を分析(定量)することで、エステル結合の減少を評価した。より詳細には、Varian社の核磁気共鳴装置Oxfordを用い、1H NMR(300MHz)を測定した。
試料は、重クロロホルム[Me4Si,0.03%(v/v)含有]CDCl3と、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール-2d(HFIP-2d)とを体積比1:1で混合した溶媒に溶解させた。
また、測定は、温度条件50℃で実施した。また、測定では、重クロロホルム[Me4Si0.03%(v/v)含有]CDCl3のMe4Siピークを0ppmとした。
芳香環上のプロトンのピーク(δ8.10ppm)と、エステル結合の分解で生じる水酸基末端のメチレン基上のプロトンのピーク(δ4.05ppm)の強度比から、繰り返し単位に対する水酸基末端の濃度COHを求めた。
酸無水物構造の状態は、赤外分光(FT-IR)測定により、固体試料における酸無水物構造の残存の有無を分析(定量)した。より詳細には、PerkinElmer社製FT-IR分析装置Frontier Goldを用い、1回反射ダイヤモンドATRプレートによる反射ATR法で測定した。1785cm-1の吸光度(酸無水物構造による吸光)を1016cm-1の吸光度(芳香環による吸光)で規格化したA1785/A1016により酸無水物構造の残存を確認した。
ΔA1785/A1016=(劣化した試料に対して前処理を実施したA1785/A1016)-(未劣化の試料のA1785/A1016
[試料]
劣化した熱可塑性ポリエステルとして、光劣化したPET(約10mg)を用いた。
[有機塩基]
以下に示すいずれかの有機塩基を用いた。
・イソプロピルアミン(沸点34℃)
・ジエチルアミン(沸点56℃)
・n-ブチルアミン(沸点78℃)
・トリエチルアミン(沸点89℃)
[溶媒]
HFIP(沸点59℃)およびクロロホルム(沸点61℃)を用いた。
[検証1]
検証1として、光劣化したPET(10mg)をHFIP(2mL)に溶解させ(第1溶液)、この溶液に、前述した有機塩基をCmmol/Lとなるように添加し(第2溶液)、次いで50℃で1h加温した。この溶液(第2溶液)を少量採取し、NMR測定を実施し、「溶媒除去前ΔCCH2OH」を算出した。この後、溶媒を除去して固体試料を得た。得られた固体試料についてNMR測定を実施し、「溶媒除去後ΔCCH2OH」を算出した。算出した結果を以下の表1に示す。
Figure 0007251657000003
表1に示すように、いずれも、溶媒を除去する前は、水酸基末端は増加しておらず、エステル結合は分解していなかった。一方、溶媒を除去した後は、水酸基末端が増加しており、溶媒除去の過程でエステル結合の分解が進行したことが確認された。
[検証2]
検証2として、光劣化したPET(10mg)をHFIP(2mL)に溶解させ(第1溶液)、この溶液に、前述した有機塩基をCmmol/Lとなるように添加し(第2溶液)、次いで50℃で1h加温した。この溶液(第2溶液)に、クロロホルムをvmL加えてよく撹拌した(第3溶液)。この後、得られた溶液を加熱することで溶媒を除去して固体試料を得た。得られた固体試料についてNMR測定を実施し、「溶媒除去後ΔCCH2OH」を算出した。また、得られた固体試料についてFT-IR測定を実施し、「ΔA1785/A1016」を算出した。各々の算出した結果を以下の表2に示す。
Figure 0007251657000004
表2に示すように、トリエチルアミン、n-ブチルアミンでは、溶媒除去後に水酸基末端が増加しており、エステル結合の分解が進行していた。これは、クロロホルム、HFIPよりもこれらの塩基の沸点が高く、溶媒を除去して濃縮する時に塩基濃度が高まりやすかったためと考えられる。クロロホルムおよびHFIPよりも沸点が低いジエチルアミン、イソプロピルアミンでは、塩基の添加量が0.40mmol/L以上では、水酸基末端が増加しており、エステル結合の分解の進行が確認された。一方、これら塩基の添加濃度が、0.10-0.30mmol/L添加では、水酸基末端は増加しておらず、エステル結合の分解は進行していないことが確認された。
なお、イソプロピルアミン0.05mmol/L添加では、ΔA1785/A1016>0となり、有機塩基の添加量が少ないと酸無水物構造の分解が完了しないことが分かった。また、クロロホルムの添加量が0.2mLであるものは水酸基が増加しており、エステル結合の分解が確認された。
以上の結果より、まず、有機塩基は、クロロホルム、HFIPよりも沸点の低いものが好適であることが判明した。また、有機塩基の添加濃度は、0.05<c<0.4が好適であることが判明した。また、HFIPの量をamLとすると、クロロホルムの添加量VmLは、0.2<V、すなわち、試料の溶解に用いたHFIPをamLとすると、「0.1<V/a」の関係となっていることが望ましいことがわかる。
[実験結果]
以下、本発明の前処理方法を実施してサイズ排除クロマトグラフィーの測定を実施した結果について説明する。この実験では、光劣化したPET(10mg)をHFIP(2mL)に溶解させ(第1溶液)、有機塩基としてイソプロピルアミンを0.25mmol/Lとなるように添加し(第2溶液)、50℃で1h加温した。この後、クロロホルム0.5mLを加えてよく撹拌した後(第3溶液)、得られた溶液を加熱することで溶媒を除去して固体試料を得た。得られた固体試料について、サイズ排除クロマトグラフィーの測定を実施した。
[測定機器]
測定においては、Waters社のSEC装置AQUICTY APCを用いた。また、カラムとして、APC-XT、186006995、186006998、186007003、186007254を用いた。
[標準試料]
市販のポリメタクリル酸メチル(PMMA)標準試料の、ピークトップ分子量が、102500、56900、24400、10900、8350、4250である6種類を使用して測定を実施し、3次較正曲線を作成した。
[試料調製]
前処理により得られた固体試料を、トリフルオロ酢酸ナトリウム10mmol/L含有1、HFIPに1mg/1mLによる溶離液に溶解させ、得られた溶液のサンプル瓶に蓋をして一晩静置し、孔径0.2μmのPTFE製シリンジフィルタを用いて、測定用バイアルへ投入して濾過し、測定に供した。
[測定条件]
・溶離液:トリフルオロ酢酸ナトリウム10mmol/L含有HFIP
・カラム温度:40℃ 流速:0.25mL/min
・試料濃度:1mg/mL
・注入量:0.2μL/回
・検出器:RI検出器(40℃)
測定結果を、図3に示す。図3において、線201は、前処理をしていない未劣化のPETの測定結果である。また、線202は、本発明の前処理をした未劣化のPETの測定結果である。また、線203は、前処理をしていない光劣化したPETの測定結果である。また、線204は、本発明の前処理をした光劣化したPETの測定結果である。
以上説明したように、本発明によれば、HFIPより沸点の低い有機塩基を添加するようにしたので、サイズ排除クロマトグラフ測定を実施するためのポリエステルまたはポリエステル分解物からなる試料の前処理における、エステル結合の分解が抑制できる。
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。
101…分子鎖、102…酸無水物構造、103…架橋構造、201,202,203,204…線。

Claims (5)

  1. ポリエステルまたはポリエステル分解物からなる試料のサイズ排除クロマトグラフ測定を実施する前の前記試料の前処理方法であって、
    前記試料を、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノールに溶解して第1溶液とする第1工程と、
    前記第1溶液に、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノールより沸点が低い有機塩基を添加して第2溶液とする第2工程と、
    前記第2溶液を加熱して、前記試料の酸無水物構造が分解した物質を得る第3工程と、
    前記第3工程に続いて、前記第2溶液にクロロホルムを加えて第3溶液とする第4工程と、
    前記第3溶液より溶媒を除去して前記物質からなる固体試料を得る第5工程と
    を備える前処理方法。
  2. 請求項1記載の前処理方法において、
    前記固体試料をサイズ排除クロマトグラフ測定のための溶媒に溶解する第6工程をさらに備えることを特徴とする前処理方法。
  3. 請求項1または2記載の前処理方法において、
    前記第溶液は、有機塩基の濃度が、0.05[mmol/L]より多く、0.4[mmol/L]未満とされている
    ことを特徴とする前処理方法。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載の前処理方法において、
    前記第3溶液は、1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノールの量a[ml]とクロロホルムの量V[mL]との比が、01<V/aとされていることを特徴とする前処理方法。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載の前処理方法において、
    前記有機塩基は、エチルアミン,n-プロピルアミン,i-プロピルアミン,t-ブチルアミン,ジエチルアミン,ジメチルエチルアミンのいずれかであることを特徴とする前処理方法。
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石井梓ほか,ポリエチレンテレフタレートのキセノンランプ式促進耐候性試験と屋外暴露試験における劣化挙動の比較,防錆防食技術発表大会講演予稿集,2018年,Vol.38,pages 121 to 126,ISSN 0913-6398

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