以下、図面を参照して実施の形態について説明する。各図において共通または対応する要素には、同一の符号を付して、重複する説明を簡略化または省略する。本実施の形態では、湯の熱量を記述する場合、所定の基準給湯温度の湯が持っている熱量に換算したときの湯量[L]を単位として湯の熱量を記述する場合がある。基準給湯温度の値は、例えば42℃である。また本開示では、単に「水」または「湯」と記載した場合には、低温の水から、高温の湯まで、あらゆる温度の液体の水が含まれうる。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るヒートポンプ給湯機の全体構成を模式的に示す図である。図1に示されるように、本実施の形態に係るヒートポンプ給湯機は、ヒートポンプユニット100、タンクユニット200等を備えている。ヒートポンプユニット100及びタンクユニット200との間は、水が通る配管16a及び配管16kと、電気配線(図示省略)とを介して接続されている。本実施の形態のヒートポンプ給湯機は、例えば家庭用のものでもよいし、施設等で用いられるものでもよい。
ヒートポンプユニット100は、水を加熱する加熱手段であって、圧縮機1、水冷媒熱交換器2、膨張弁3及び空気熱交換器4等の機器を有している。これらの機器は配管等により環状に接続され、圧縮機1により冷媒を循環させる冷媒回路101を構成している。冷媒回路101は、水を加熱するヒートポンプサイクルに相当する。水冷媒熱交換器2は、水と冷媒との熱交換を行うもので、水の流入口及び流出口を有している。水冷媒熱交換器2は、流入口から流入した水を冷媒により加熱し、流出口から加熱水を流出させる。空気熱交換器4は、空気と冷媒との間で熱交換を行う。ヒートポンプユニット100は、外気を空気熱交換器に送風するファン5を更に備えている。以下の説明では、ヒートポンプユニット100により加熱された湯を「加熱水」と呼ぶ場合がある。
本実施の形態では、ヒートポンプユニット100の冷媒回路101による加熱能力の値を変更することができる。以下の説明では、ヒートポンプユニット100の冷媒回路101による加熱能力を単に「加熱能力」と呼ぶ場合がある。加熱能力は、ヒートポンプユニット100が時間当たりに水に与える熱量に相当する。加熱能力の単位は、例えばkW(キロワット)である。圧縮機1は、例えば、インバータ制御式のDCブラシレスモータ等を備えた駆動装置(図示せず)により駆動される。この場合には、この駆動装置により圧縮機1の回転数を調整することで、加熱能力の値を変更し、圧縮機1から吐出される冷媒の圧力及び温度を変化させたり、加熱能力を変更したりすることができる。ただし、本開示のヒートポンプ給湯機は、このような駆動装置を有するものに限られず、例えば、ヒートポンプユニット100に複数台の圧縮機を搭載し、そのなかで稼動させる圧縮機の台数を切換えることで、吐出される冷媒の圧力や温度を可変とし、加熱能力を変更できる構成としてもよい。
また、圧縮機1には、他の構造物が付加されていてもよい。他の構造部としては、例えば、吸込側に配置されて冷媒音を低減させるサクションマフラーのような容器と、圧縮機1の吐出側に流出した潤滑油を分離回収する油分離装置とが挙げられる。ヒートポンプユニット100の冷媒としては、例えば、二酸化炭素、R410A、プロパン、プロピレンなどのように、高温出湯が可能な冷媒を用いるのが好ましいが、本開示のヒートポンプ給湯機は、これらの冷媒に限定されるものではない。また、ヒートポンプユニット100として、例えば冷媒の圧力が臨界圧力以上となる超臨界ヒートポンプユニットだけでなく、臨界圧力以下で作動するヒートポンプユニットを用いたものであってもよい。この場合、冷媒として、フロンガス、アンモニア等が用いられるものであってもよい。
タンクユニット200には、貯湯タンク11、循環ポンプ6a、追焚用ポンプ6b、切替弁7、切替弁8、切替弁9、及び、混合弁10等が備えられている。循環ポンプ6aは、貯湯回路201及び追焚回路202の一部を構成している。循環ポンプ6aは、貯湯回路201及び追焚回路202に水(加熱水を含む)を循環させ、水冷媒熱交換器2の流入口に向けて水を送る。追焚用ポンプ6bは、追焚熱交換器12に向けて、浴槽(図示なし)の水を送る。貯湯タンク11は、加熱水を貯留する。貯湯タンク11の下部にある給水口11gは、配管16pを介して給水端に接続されている。給水端から供給される低温水が配管16pを通って、貯湯タンク11内に流入する。
切替弁7は、例えば、Aポート、Bポート、Cポート、及び、Dポートの4つのポートを有する電磁駆動式の四方弁である。切替弁7は、A-B、A-D、C-B、C-Dの何れかに、流路を切り替える。
切替弁8は、例えばEポート、Fポート、Gポート、及び、Hポートの4つのポートを有する電磁駆動式の四方弁である。切替弁8は、E-F、E-G、E-Hの何れかに、流路を切り替える。
切替弁9は、例えば、Iポート、Jポート、及び、Kポートの3つのポートを有する電磁駆動式の三方弁である。切替弁9は、I-K、J-Kの何れかに流路を切り替える。
混合弁10は、Lポート、Mポート、及び、Nポートを有している。混合弁10は、貯湯タンク11の中間高さ部分にある中温水取出口11dから取り出される中温水と、水源に接続された給水端からの低温水とを混合又は択一し、給湯混合部15へ流出させる。
水冷媒熱交換器2の流出口は、配管16aを介して切替弁7のAポートに接続されている。切替弁7のBポートは、配管16bを介して切替弁8のEポートに接続されている。切替弁8のFポートは配管16cと配管16dを介して高温水取出口11aに接続されている。また、Fポートは、配管16cと配管16eを介して追焚熱交換器12の一次側流入口に接続されている。追焚熱交換器12の1次側の流出口は、配管16fを介して切替弁9のJポートと接続されている。また、追焚熱交換器12の1次側流出口は、配管16gを介して、中温水取出口11dと混合弁10のLポートとの間をつなぐ流路に接続されている。切替弁9のIポートは配管16hを介して取水口11fに接続されている。切替弁9のKポートは配管16jを介して循環ポンプ6aの吸込口に接続されている。循環ポンプ6aの吐出口は、配管16kを介して水冷媒熱交換器2の流入口に接続されている。また、循環ポンプ6aの吐出口は、配管16lを介して切替弁7のCポートと接続されている。切替弁7のDポートは配管16mを介して低温水戻し口11eに接続されている。切替弁8のHポートは、配管16nと配管16qを介して高温水取出口11bに接続されている。切替弁8のGポートは、配管16oを介して追焚戻し口11cに接続されている。給水口11gは配管16pを介して給水端と接続される。
循環ポンプ6a、貯湯タンク11、配管16a、16b、16h、16j、16k、16n、16q、及び、切替弁7、8、9は、水冷媒熱交換器2から流出する加熱水をタンク内に貯湯する貯湯回路201を構成している。また、循環ポンプ6a、貯湯タンク11、追焚熱交換器12、配管16b、16d、16e、16f、16j、16l、16o、及び、切替弁7、8、9は追焚熱交換器12により負荷側の加熱対象水を加熱する追焚回路202を構成している。図示を省略するが、追焚熱交換器12により加熱される加熱対象水は、浴槽水でも良いし、例えば、床暖房用の循環水であっても良い。循環ポンプ6aは、必ずしも、タンクユニット200に設置される必要はなく、ヒートポンプユニット100側に搭載されていてもよい。貯湯タンク11の高温水取出口11b、中温水取出口11d、配管16q、混合弁10、及び、給湯混合部15は、貯湯タンク11から温水を取出して、浴槽又は給湯端に給湯する給湯回路203を構成している。
次に、ヒートポンプ給湯機の制御系統について説明する。以下の説明では、水冷媒熱交換器2から流出する加熱水の温度を「沸上温度」と呼ぶ。ヒートポンプユニット100は、水冷媒熱交換器2に流入する水の温度を検出する入水温度センサ13aと、沸上温度を検出する出湯温度センサ13bと、ヒートポンプユニット100の周囲の外気温度を検出する外気温度センサ13cとを備えている。出湯温度センサ13bは、水冷媒熱交換器2の流出口近傍に配置されている。また、冷媒回路101は、圧縮機1から吐出される冷媒の温度を検出する吐出温度センサ13dと、圧縮機1に吸込まれる冷媒の温度を検出する吸込温度センサ13eと、空気熱交換器4の入口もしくは中間部となる位置で冷媒の温度を検出する蒸発温度センサ13fと、を備えている。
貯湯タンク11には、複数の貯湯温度センサ13g、13h、13i、13jが、高さを変えて設けられている。貯湯温度センサ13g、13h、13i、13jは、それぞれの設置場所で貯湯タンク11内の水温を検出する。また、タンクユニット200は、水源からの水の給水温度を検出する給水温度センサ13kと、給湯温度を検出する給湯温度センサ13l及び風呂給湯温度センサ13mと、給湯流量を検出する給湯流量センサ17a及び風呂給湯流量センサ17bと、を備えている。
また、ヒートポンプ給湯機は、リモコン51を備えている。リモコン51は、ユーザーインターフェースの例である。リモコン51は、情報を表示する表示部51aと、使用者等の人間(即ち、ユーザー)による操作入力を受け付ける操作部51bとを有する。リモコン51は、表示部51a及び操作部51bの両方の機能を有するタッチスクリーンを備えてもよい。ユーザーは、リモコン51の操作部51bを操作することで、ヒートポンプ給湯機を遠隔操作したり、各種の設定などを行ったりすることができる。表示部51aは、ユーザーに情報を報知する報知手段としての機能を有する。本実施の形態におけるリモコン51は、表示部51aを報知手段として備えるが、変形例として、例えば音声案内装置のような他の報知手段を備えてもよい。リモコン51は、例えば台所、リビング、浴室などの壁に設置されたものでもよい。または、例えばスマートフォンのような携帯情報端末がリモコン51のようなユーザーインターフェースとしての機能を有するように構成してもよい。また、ヒートポンプ給湯機は、複数のリモコン51を有するものであってもよい。
本実施の形態に係るヒートポンプ給湯機は、制御装置14を備えている。制御装置14は、メモリ及びプロセッサを有するマイクロコンピュータ等を備えている。本実施の形態では、説明の便宜上、1つの制御装置14をヒートポンプユニット100内に備え、この制御装置14により、以下の各処理が実行される場合について説明する。しかしながら、本開示のヒートポンプ給湯機は、この構成に限られず、例えば、ヒートポンプユニット100内とタンクユニット200内とのそれぞれに通信可能に接続された制御装置を備え、2つの制御装置の連携により、各制御が実行される構成としてもよい。また、互いに通信可能に接続された3以上の制御装置の連携により各制御が実行される構成であってもよい。
制御装置14とリモコン51との間は、有線通信または無線通信により双方向に通信可能である。制御装置14とリモコン51とがネットワークを介して通信可能でもよい。制御装置14には、ユーザーにより操作されるリモコン51の操作内容等が入力される。なお、制御装置14に代えて、例えば、リモコン51が各処理を実行する構成としてもよい。その場合にはリモコン51が制御装置としても機能する。
制御装置14には、上述した各温度センサの出力が入力される。制御装置14は、リモコン51及び各種センサ等からの入力情報に基づいて、各ユニット100及び200の動作を制御する。具体的には、制御装置14は、圧縮機1、循環ポンプ6a、及び、追焚用ポンプ6bの運転状態、膨張弁3の開度、及び、切替弁7、8、9、混合弁10の流路方向(切換位置)等を制御する。
制御装置14は、給湯により使用された熱量(即ち、使用熱量)を演算する機能を有している。制御装置14は、給水温度センサ13kが検出する給水温度、給湯温度センサ13l及び風呂給湯温度センサ13mが検出する給湯温度、給湯流量センサ17a及び風呂給湯流量センサ17bが検出する給湯流量を用いて、使用熱量Qsを演算することができる。
図2は、ヒートポンプ給湯機の沸上運転時の流路を示す図である。沸上運転中、ヒートポンプユニット100側では、圧縮機1から吐出された高温高圧のガス冷媒が水冷媒熱交換器2を流通する水に放熱しながら温度低下する。このとき、高圧側冷媒圧力が臨界圧以下であれば、冷媒は液化しながら放熱する。また、水冷媒熱交換器2から流出した高圧低温の冷媒は、膨張弁3を通過することにより低圧気液二相の状態に減圧される。この冷媒は、空気熱交換器4内を流通しつつ外気から吸熱することにより、蒸発してガス化される。空気熱交換器4から流出した低圧冷媒は、圧縮機1に吸込まれて循環するので、この循環により冷凍サイクルが形成される。
沸上運転時、タンクユニット200側では、切替弁7のAポートとBポートとが接続され、切替弁8のEポートとHポートとが接続され、切替弁9のIポートとKポートとが接続された状態とされ、貯湯回路201に切換えられる。この状態で循環ポンプ6aが作動すると、貯湯タンク11の下部の取水口11fから取り出された水が、配管16h、16j、16kを介して水冷媒熱交換器2に導入され、ガス冷媒により加熱され沸き上げられる。水冷媒熱交換器2から流出される加熱水は、配管16a、16b、16n、16qを通過して高温水取出口11bから貯湯タンク11の上部に流入する。運転が実行されると、貯湯タンク11の上部が高温水となり下部が低温水となる温度分布状態を維持しつつ、貯湯される。
制御装置14は、沸上運転時に加熱水の温度制御、及び、冷媒回路101の加熱能力の制御を行う。温度制御では、出湯温度センサ13bにより検出される水冷媒熱交換器2の出湯温度が目標出湯温度と一致するように、循環ポンプ6aの回転数のフィードバック制御が行われる。このフィードバック制御は、一定の時間間隔t2で周期的に実行される。沸上運転では、目標出湯温度を、所定の貯湯目標出湯温度に設定した状態で貯湯タンク11への貯湯が実行される。目標出湯温度は、リモコン51のユーザーによる操作内容等に基づいて設定されるか、又は、過去の給湯使用量から算出される必要な蓄熱量(貯湯量)を確保できるように設定される。目標出湯温度は、所定の温度範囲内に収まるように設定される。所定の温度範囲は、予め設定された範囲であり、一例として65℃~90℃程度である。なお目標出湯温度の設定は、制御装置14とリモコン51とのどちらで行われる構成であってもよい。
沸上運転時の温度制御では、水冷媒熱交換器2に出入りする加熱水の流量が制御されるだけである。従って、温度制御により実現される出湯温度の最高値は、ヒートポンプユニット100の冷媒回路101の加熱能力に依存している。このためヒートポンプユニット100には、目標出湯温度が設定範囲内の最大値に設定された場合であっても、その目標出湯温度を実現できるだけの加熱能力が必要となる。
加熱能力制御では、貯湯タンク11内の湯量(即ち、残湯量)、外気温度、給水温度等に基づいて、目標出湯温度を実現できる加熱能力の目標値(以下「目標加熱能力」とも称する)が設定される。そして、ヒートポンプニット100の実際の加熱能力が設定された目標加熱能力と一致するように、圧縮機1の回転数等が制御される。加熱能力を制御することで、目標出湯温度の設定値及び外部条件等が変化した場合でも、給湯機として要求される目標温度の湯を安定的に確保することができる。なお、加熱能力制御は、一定の時間間隔t1で周期的に実行される。また、圧縮機1の回転数には、耐久性の観点から上限回転数及び下限回転数が設けられている。
制御装置14は、夜間時間帯に、貯湯タンク11内に目標蓄熱量の蓄熱を行う沸上運転を実行する。なお、本実施の形態において、夜間時間帯は、他の時間帯に比べて電気料金単価が割安な時間帯である。夜間時間帯は、例えば23時から翌朝7時までの時間帯である。昼間時間帯は、夜間時間帯以外の時間帯である。ただし、深夜時間帯及び昼間時間帯は、この例に限定されず、それらの開始時刻及び終了時刻は、電力供給事業者との契約などに応じて変化し得るものである。制御装置14は、深夜時間帯及び昼間時間帯の開始時刻及び終了時刻の情報を記憶している。制御装置14は、タイマー機能を有しており、現在の時刻が深夜時間帯にあるか昼間時間帯にあるかを判別できる。また、制御装置14は、リモコン51または外部機器から、深夜時間帯及び昼間時間帯の開始時刻及び終了時刻の情報を取得してもよい。
夜間時間帯の沸上運転は、通常、ヒートポンプユニット100の定格の加熱能力(以下「定格能力」とも称する)で実行される。定格の加熱能力とは、例えばJISによる性能評価条件で運転する加熱能力に相当する。夜間時間帯の沸上運転は、ヒートポンプユニット100を定格能力で運転した場合に、夜間時間帯の終了時刻又は終了時刻の第一時間前の時刻に完了するように開始される。なお、以下では、沸上運転を完了させる時刻、即ち、夜間時間帯の終了時刻又は終了時刻の第一時間前の時刻を「目標完了時刻」とも称することとする。具体的に、第一時間は例えば15分とされる。この場合、例えば夜間時間帯終了時刻が7:00であれば目標完了時刻は6:45となる。なお、目標完了時刻を夜間時間帯終了時刻の第一時間前とするのは余裕を持って沸き上げを完了するためであるが、夜間時間帯終了時刻を目標完了時刻としてもよい。また第一時間は15分に限定されるものでなく、他の時間であってもよい。第一時間を、ユーザーがリモコン51から設定できる構成としてもよい。
夜間時間帯の沸上運転の開始時刻は、目標完了時刻から、必要な熱量の沸き上げに要する時間を引いた時刻に設定される。沸き上げに要する時間は、現在の貯湯タンク11内の熱量と目標蓄熱量との差分を、定格能力で沸き上げるのに要する時間である。しかし、夜間時間帯の沸上運転の実行中であっても、貯湯タンク11内の湯が、給湯、湯はり、又は、浴槽内の湯の保温又は追い焚き等によって使用される場合がある。この場合、使用熱量分だけ沸き上げに要する時間が増加する。このためその使用熱量の大きさ次第では、沸上運転が夜間時間帯に完了しなくなる虞がある。
そこで制御装置14は、夜間時間帯の沸上運転の動作中にも、ヒートポンプユニット100の加熱能力を変更できるように構成されている。加熱能力の変更により、沸き上げに要する時間を短縮することができ、夜間時間帯のうちに目標蓄熱量の沸き上げを完了することができる。
しかしながら、ヒートポンプユニット100の加熱能力の上昇を開始してから、実際に加熱能力が設定された能力に上昇するまでには、一定の時間を要する。このため、夜間時間帯の終了時刻付近で加熱能力を上昇させた場合、ヒートポンプユニット100が意図した加熱能力になる前に、夜間時間帯が終了してしまう場合がある。そこで、本実施の形態に係る制御装置14は、以下の通り、ヒートポンプユニット100の加熱能力の変更による利益が得られる場合に限り、加熱能力の変更を行うとともに、加熱能力を変更する場合には、加熱能力の変更を開始する時刻を決定して、決定された時刻になった時点で加熱能力の変更を行う。以下、これについて具体的に説明する。
図3は、夜間時間帯の沸上運転の制御動作を示すフローチャートである。図3の制御動作は、例えば、毎日、夜間時間帯開始時刻(例えば23:00)に達すると開始される。図3の制御が開始されると、ステップS1(以下「ステップ」の記載を省略する)では、過去数日分の給湯負荷から目標蓄熱量Qwが算出される。ここで、過去何日分の給湯負荷のデータが用いられるかについては、予め定められ、制御装置14に記憶されている。
次に、S2では、沸上目標温度Toが算出される。沸上目標温度Toは、目標蓄熱量Qwと、給水温度センサ13kにより検出される給水温度Twとに基づき算出される。また、沸上目標温度Toは、所定の温度範囲内の温度とされる。次に、S3では、貯湯温度センサ13g~13jによる検出温度から貯湯タンク200内の残湯量Ltが算出されると共に、現在の貯湯タンク11内の貯湯熱量Qtが算出される。
次に、S4では、必要沸上時間Hが算出される。必要沸上時間Hの算出に際しては、まず、必要沸上量Lwが算出される。必要沸上量Lwは、次式の通り、貯湯タンク11の容量Lから残湯量Ltを差し引いた値である。
必要沸上量Lw=貯湯タンク容量L-残湯量Lt
次に、算出された必要沸上量Lwを沸上目標温度Toに沸き上げるのに必要な必要沸上熱量Qhが算出される。必要沸上熱量Qhは、次式に従って、算出される。
必要沸上熱量Qh=必要沸上量Lw×(沸上目標温度To-給水温度Tw)
必要沸上時間Hは、算出された必要沸上熱量Qhと、ヒートポンプユニット100の定格の加熱能力Wa1を用いて、次式に従って算出される。なお、次式の、加熱効率α1は、ヒートポンプユニット100の固定値であり、例えば0.9である。
必要沸上時間H=必要沸上熱量Qh/(860×加熱能力Wa1×加熱効率α1)
次に、S5に進み、沸き上げが、目標完了時刻に終了するように、沸上開始時刻Hsが算出される。具体的に、次式に示されるように、沸上開始時刻Hsは、目標完了時刻から必要沸上時間Hを引いた時刻に設定される。
沸上開始時刻Hs=目標完了時刻-必要沸上時間H
ここで、S1~S5の処理による沸上開始時刻Hsの算出の一例を示す。例えば、S1で算出される目標蓄熱量Qwを25900kcal、給水温度Twを10℃、S2で算出される沸上目標温度Toを80℃、S3で算出される残湯量Ltを100L、貯湯タンク11内の現在の貯湯熱量Qtは7000kcal、貯湯タンク200の容量Lを370Lとすると、必要沸上量Lwは、上記式から、270Lとなる。また、必要沸上熱量Qhは、18900kcalとなる。更に、ヒートポンプユニット100の定格の加熱能力Wa1を4.5kW、加熱効率α1を0.9とすれば、必要沸上時間Hは約5.4時間(即ち、5時間24分)となる。夜間時間帯終了時刻をAM7:00、第一時間を15分とし、目標完了時刻をAM6:45とすると、沸上開始時刻HsはAM1:21となる。
次に、S6で、現在時刻が沸上開始時刻Hsになったかどうかが判別される。S6で、現在時刻が沸上開始時刻Hs前であり、NOと判別された場合、処理はS3に戻され、現在時刻が沸上開始時刻Hsとなるまで、S3~S6の処理が繰り返される。S6で、現在時刻が沸上開始時刻Hsに達し、YESと判別された場合、S7に進む。
S7では、沸上運転の開始指令が出される。この制御指令によりタンクユニット200の循環ポンプ6aは駆動され、切替弁7、8、9により流路が貯湯回路201に切り替えられる。沸上運転の開始時のヒートポンプユニット100の加熱能力Waは、定格能力Wa1(例えば4.5kW)とされている。以下、ヒートポンプユニット100の定格能力Wa1での沸上運転を「定格運転」とも称することとする。また、これに対し、以下の処理で、加熱能力を定格能力Wa1より高い加熱能力Wa2で行われる沸上運転を「上昇運転」とも称することとする。
定格運転中、S8では、貯湯タンク11内の湯水が、第一基準熱量Qb1より多く使用されたか否かが判別される。貯湯タンク11内の湯水の使用熱量Qsは、給湯流量センサ17a又は風呂給湯流量センサ17bによって検出された給湯量と給湯設定温度とに基づいて算出される。第一基準熱量Qb1は、予め設定され、制御装置14に記憶されている。第一基準熱量Qb1は、例えば、シャワー2回分程度の給湯量70Lに基づいて設定される。第一基準熱量Qb1は、制御装置14によって、過去の給湯使用実績に基づいて設定される構成としてもよい。
S8で使用熱量Qsが第一基準熱量Qb1を超えていると判別された場合、次にS9に進む。S9では、現在の時刻が、能力変更禁止時刻H3より前か否かが判別される。ここで、能力変更禁止時刻H3の設定について説明する。図4は定格運転を継続した場合と、加熱能力を、途中で、加熱能力Wa2に上昇させて上昇運転を行った場合の積算熱量を示す図である。図4の横軸は、加熱能力を変更した時点からの運転時間を示し、縦軸は、加熱能力を変更した時点からの積算熱量を示している。また、図4において、破線аは、定格運転を継続した場合の積算熱量を示し、実線bは、上昇運転に切り替えた場合の積算熱量を示している。
図4に示されるように、加熱能力Wa2への変更初期は、上昇運転の場合の積算熱量のほうが、定格運転の場合の積算熱量よりも低くなっている。これは、上昇運転では、ヒートポンプユニット100の各アクチュエータの切り替え後、立ち上がりに時間を要するためである。図4に示されるように、第二時間Cが経過した時点で、上昇運転の積算熱量(実線b)が定格運転の積算熱量(破線a)に到達し、その後は、上昇運転の場合のほうが、積算熱量が高くなる。このことから、加熱能力Wa2への変更後、第二時間Cが経過する前に沸上運転の終了時刻が来る場合、加熱能力を上昇させることによる利益が得られないと考えられる。
そこで、本実施の形態の制御では、目標完了時刻よりも第二時間C前の時刻を、能力変更禁止時刻H3として設定し、これ以降、沸上運転中のヒートポンプユニットの加熱能力の変更を禁止する。具体的に、例えば上述の例で、沸上運転終了時刻が6時45分に設定されており、第二時間Cが30分であれば、能力変更禁止時刻H3は、6時15分とされる。なお、第二時間をCとして30分を例示したが、これは一例である。第二時間Cは、実験又はシミュレーション等に基づき設定され、制御装置14に記憶された値である。なお、この第二時間Cは、ヒートポンプユニット100の冷凍サイクルを適切に設計することで、ゼロに近づけることができる。第二時間Cをゼロに近づけることで、能力変更禁止時H3を目標完了時刻に近づけることができ、加熱能力の変更が禁止される時間を短くすることができる。
S9で、現在の時刻が能力変更禁止時刻H3以降であると判別された場合には、S20に進み、定格運転が継続される。また、同様に、S8で、使用熱量Qsが第一基準熱量Qb1以下であると判別された場合にも、S20に進み、定格運転が継続される。その後、S21で沸き上げが完了したか否かが判別される。沸き上げが完了したか否かの判断は、例えば、貯湯温度センサ13g~13jの検出結果から算出される貯湯タンク11の蓄熱量が、目標蓄熱量Qwに達したか否かに基づいて行われる。あるいは、複数ある貯湯温度センサ13g~13jの中で最下部に設けられた貯湯温度センサ13jが検出する検出温度が、予め設定された沸き上げ停止温度以上の温度を検出したか否かに基づいて判断される構成としてもよい。また、目標完了時刻となった場合には、目標蓄熱量Qwの沸き上げが完了していなくても、沸き上げ完了と判定される構成を追加することもできる。
S21で、沸き上げが完了したと判別された場合、沸上運転が終了とされる。制御装置14はヒートポンプユニット100及び循環ポンプ6aを停止して沸上運転を停止し、沸き上げ制御を終了する。一方、S21で沸き上げが完了していないと判別された場合、処理はS8に戻される。
S9で現在の時刻が、能力変更禁止時刻H3より前であると判別された場合、S30以降の、上昇運転の開始時刻の演算に移行する。なお、S9による上昇運転をするかしないかの判定のタイミングと、上昇運転の開始時刻は必ずしも一致しない。なぜなら上昇運転の開始時刻は、夜間時間帯終了時刻に上昇運転がちょうど終了するように制御されて実施されるからである。
上昇運転の開始時刻の演算では、まずS30で、貯湯温度センサ13g~13jによる検出温度に基づき、現在の貯湯タンク11の残湯量Lt2及び貯湯熱量Qt2が算出される。次に、S31で、必要沸上時間H2が算出される。必要沸上時間H2の算出は、定格運転の場合の算出方法と同様である。具体的に、まず、以下の通り、必要沸上量Lw2が残湯量Lt2から算出され、算出された必要沸上量Lw2を用いて、必要沸上熱量Qh2が算出される。
必要沸上量Lw2=貯湯タンクの容量L-残湯量Lt2
必要沸上熱量Qh2=必要沸上量Lw2×(沸上目標温度To-給水温度Tw)
次に、必要沸上熱量Qh2を用いて、必要沸上時間H2が次式により算出される。本実施の形態では、加熱能力を上昇させる場合、目標蓄熱量Qwは、定格運転での目標蓄熱量Qwより第一基準熱量Qb1分小さな値に設定される。従って、次式の必要沸上時間の算出では、必要沸上熱量として、算出された必要沸上熱量Qh2から第一基準熱量Qb1を差し引いた熱量(Qh2-Qb1)が用いられる。また、上述したように、ヒートポンプユニット100の加熱能力を切り替えると、一時的に加熱能力が低下する。本実施の形態では、加熱能力の一時的な低下分は、加熱効率α2に吸収させ、加熱効率α2の値を、加熱能力切り替え時の能力低下分を加味した値に設定する。これにより、算出される必要沸上時間H2は、加熱能力の一時的な低下分を踏まえた値となる。
必要沸上時間H2=Qh2-Qb1/(860×加熱能力Wa2×加熱効率α2)
次に、S32に進み、能力変更時刻Hs2が算出される。能力変更時刻Hs2は、以下の式により算出される。
能力変更時刻Hs2=目標完了時刻―必要沸上時間H2
次に、S33では、使用熱量Qsが増加していないか否か、即ち、さらなる給湯使用がなかったかが判別される。S33で、使用熱量の増加があったと判別された場合、処理は、S30に戻り、S30~S32による能力変更禁止時刻Hs2の再演算がなされる。
一方、S33で使用熱量Qs2が増加していないと判別された場合、次にS34に進み、現在時刻が能力変更時刻Hs2となったか否かが判別される。S34で、現在時刻が能力変更時刻Hs2に達していないと判別された場合、処理はS34に戻される。その後、現在時刻が沸上変更時刻Hs2となるまで、S34の判別処理が繰り返される。
一方、S34で現在時刻が能力変更時刻Hs2となったと判別された場合、次にS35に進み、上昇運転に切り替えられる。ここでは圧縮機1の周波数を変更するなどして加熱能力がWa1からWa2に変更されて、沸上運転が行われる。
次に、S36で、沸き上げが完了したか否かが判別される。上昇運転では、目標蓄熱量を、定格運転時の目標蓄熱量Qwから第一基準熱量Qb1分差し引いた熱量とされる。ここでは、貯湯温度センサ13g~13jの検出結果から算出される貯湯タンク11の蓄熱量が、目標蓄熱量(Qw-Qb1)に達したか否かに基づいて判断される。なお、目標蓄熱量(Qw-Qb1)に応じて上昇運転時の沸き上げ停止温度を設定し、貯湯温度センサ13jにより検出する温度が、この上昇運転時の沸き上げ停止温度に達したか否かに基づいて、沸き上げの完了を判断する構成としてもよい。また、目標完了時刻となった場合には、目標蓄熱量の沸き上げが完了していなくても、沸き上げ完了と判定される構成を追加することもできる。
S36で、沸き上げが完了しないと判別された場合、処理はS36に戻され、沸き上げ完了と判別されるまでの間、上昇運転が継続される。一方、沸き上げが完了したと判別された場合には、今回の処理は終了とされる。
図5は、本実施の形態の制御により上昇運転が行われた場合の貯湯タンク11の熱量の変化を示す図である。図5において、縦軸は、貯湯タンク11の熱量であり、横軸は時刻である。また、実線аは、上昇運転に切り替えた場合の熱量の推移を示し、二点鎖線bは、給湯が使用されず定格運転が継続された場合の熱量の予測を示す。図5に示される例では、沸上開始時刻Hsに定格能力での沸き上げが開始され、その後、時刻T1に、第一基準熱量Qb1より大きな使用熱量Qsの給湯使用が発生している。このため、能力変更時刻Hs2で沸き上げ能力の変更が成されている。その後、蓄熱量が上昇運転時の目標蓄熱量(Qw-Qb1)に達した段階で、沸き上げが終了している。
以上説明したように、本実施の形態によれば、給湯使用があった場合にも、その使用熱量Qsが第一基準熱量Qb1に達しない場合には、定格運転での沸き上げが継続される。これにより、少量の給湯使用で不必要に加熱能力が変更されるのを抑制することができ、省エネルギー化を図ることができる。また、本実施の形態の制御では、能力変更禁止時刻H3以降の加熱能力の変更が禁止される。これにより、加熱能力の変更によって定格運転の場合よりも高い熱量を得られる場合に限り、上昇運転が行われる。従って、加熱能力の変更が無駄となる不利益を回避しつつ、給湯が使用された場合でも可能な範囲で夜間時間帯に目標蓄熱量の貯湯を行うことができる。
また、本実施の形態では、上昇運転時の目標蓄熱量を、定格運転時の目標蓄熱量Qwよりも第一基準熱量Qb1だけ小さな熱量とされる場合について説明した。これにより、加熱能力を上げた状態での沸き上げ量を少なく抑えることができるため、省エネルギー化に寄与することができる。
但し、上昇運転時の目標蓄熱量は、これに限られず、定格運転時の目標蓄熱量Qwと同一であってもよい。図6に、上昇運転時の目標蓄熱量を定格運転時の目標蓄熱量Qwと同一にした場合の例を示す。図6における、縦軸、横軸、実線a、二点鎖線bは、図5と同様である。
図6に示される例の場合、目標蓄熱量は、定格運転の場合と同一の蓄熱量となる。従って、必要沸上時間H2は、以下の式により算出される。
H2=必要沸上熱量Qh2/(860×Wa2×α2)
上昇運転での目標蓄熱量を、定格運転時の目標蓄熱量と同一に設定することで、当初の予定通りの量を夜間時間帯中に沸き上げることができる。これにより夜間給湯があった場合でも、夜間給湯が無かった場合と変わらない貯湯量を確保することができる。
また、上昇運転時の目標蓄熱量は、定格運転の場合の目標蓄熱量より大きな値としてもよい。図7に目標蓄熱量を定格運転より大きく設定する場合の例を示す。図7における、縦軸、横軸、実線a、二点鎖線bは、図5と同様である。この場合、必要沸上時間は以下の式により算出される。
H2=(必要沸上熱量Qh2+第二基準熱量Qb2)/(860×Wa2×α2)
目標蓄熱量を、定格運転時の目標蓄熱量Qwとマージンである第二基準熱量Qb2との合計とすることで、沸き上げ開始時点の目標蓄熱量よりも貯湯量を多めに確保することができる。夜間も給湯された日は、突発的に湯の使用が多い日である可能性が高い。従って、目標貯湯量を大きく設定する構成として、夜間時間帯に多めの湯を確保することで、翌日に多めの湯が使用された場合の湯切れの発生を抑制することができる。これにより昼間時間帯の追加の沸き上げを効果的に抑制することができる。なお、ここでマージンとして使用される第二基準熱量Qb2の一例としては、シャワー一回に相当する35Lの給湯量に基づく熱量である。第二基準熱量Qb2はこれに限られず、適宜設定することができる。
また、本実施の形態のヒートポンプ給湯機は、リモコン51が、ユーザーによる貯湯量を増加させる指示の操作を受け付けた場合、能力変更禁止時刻H3以降であっても、最大能力で沸き上げる構成を有するものとしてもよい。ここで「貯湯量を増加させる指示」としては、具体的に例えば、貯湯量を現在の設定値よりも多めとする設定、貯湯量の具体的な指示ができる機能を有する場合には、現在の目標貯湯量からより多い貯湯量への変更、又は、沸き上げ温度が指定できる機能を有する場合には、現在の目標沸上温度から、より高い温度への変更、などが挙げられる。
ユーザーの要求で、貯湯量を増加させる指示に関する操作がなされた場合は、ユーザーは省エネルギーよりも瞬間的に高加熱能力を要求していると推定される。従って、ユーザーの要求を優先することで、ユーザーの意図と給湯機の挙動とを一致したものとすることができる。これにより、ユーザーが給湯機の挙動に違和感を持ち、給湯機の不調との誤認するのを抑制することができる。
また、本実施の形態のヒートポンプ給湯機は、リモコン51が、ユーザーにより、貯湯タンク11の全量の水を目標温度とする「満タン」の指示の操作を受け付けた場合、能力変更禁止時刻H3以降であっても、加熱能力を最大能力に変更する構成としてもよい。ここで、満タンは、貯湯タンク11の貯湯量を基準以上に維持するモードである。満タンは、一度選択されると、常時貯湯量を監視して、常に貯湯タンク11に満量の湯を確保する追加沸き上げを前提とした仕様である。従って、ユーザーが満タンの設定をした場合、ユーザーは、省エネ性よりも瞬間的な高加熱能又は常に高貯湯量であることを要求していると推定される。従って、満タンの設定がされた場合には、加熱能力を最大能力とすることで、ユーザーの要求と給湯機の挙動とを一致したものとすることができる。これにより、ユーザーが給湯機の挙動に違和感をもち、給湯機の不調との誤認するのを抑制することができる。また、満タンが設定されている間は、常時、上昇させた加熱能力Wa2で上昇運転が行われる構成としてもよい。
また、本実施の形態のヒートポンプ給湯機は、上昇運転に切り替えた場合に、高加熱能力による沸き上げ中である旨をユーザーに報知する構成を有するものとしてもよい。図8に、リモコン51の表示部への表示による報知例を示す。図8の例では、上昇運転中は、表示部に「高能力運転中」との表示が表示される。これにより、ユーザーは、給湯機の運転状態を把握でき、給湯機の挙動に対する違和感を持つことなく給湯機を使用することができる。また、高加熱能力となっていることを報知することで、ユーザーの省エネ意識を高めることができる。なお、ユーザーへの報知の手段は、図8に示されるような表示に限らず、他の表示による報知であってもよいし、例えば、音声による報知であってもよい。
また、本実施の形態のヒートポンプ給湯機は、夜間時間帯の加熱能力の変更の許可又は禁止を、ユーザーが設定できる構成を有するものであってもよい。ユーザーにより夜間時間帯の加熱能力の変更禁止が設定された場合、その設定は優先され、夜間時間帯の給湯使用の有無に関わらず、上昇運転への切り替えを禁止するものとする。ユーザーが、加熱能力の変更の許可又は禁止を選択することができるようにすることで、例えば、製品検定時等に加熱能力が不用意に変更することを防止することができる。