以下、本発明に係る内燃機関の制御システムを具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本発明に係る内燃機関の制御システムの概略構成について図1に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る内燃機関の制御システム1は、エアクリーナ5と、吸気流量検出装置6と、車両に搭載されたエンジン(例えば、ディーゼルエンジン)10と、主ターボチャージャ21と、副ターボチャージャ22と、制御装置(以下、「ECU」という。)80等から構成されている。エンジン10は、左バンク10Lと右バンク10Rを有する多気筒エンジンであり、左バンク10Lには主ターボチャージャ21が設けられ、右バンク10Rには副ターボチャージャ22が設けられている。
また、左バンク10Lには、ECU80の制御信号によって各気筒内に直接燃料を噴射可能な燃料噴射装置15Lが設けられている。右バンク10Rには、ECU80の制御信号によって各気筒内に直接燃料を噴射可能な燃料噴射装置15Rが設けられている。以下、エンジン10への吸気経路とエンジン10からの排気経路を説明しながら、各部材等を説明する。
エアクリーナ5は、外部から取得された空気(吸気)を浄化して、吸気管3に供給する。吸気管3は、途中で吸気管31L、31Rに分岐されている。また、エアクリーナ5の下流側には、エアクリーナ5から吸気管3が分岐されるまでの間に、吸気管3に供給される吸気流量を検出する吸気流量検出装置(例えば、エアフロメータ)6が配置されている。
吸気管31Lの下流側は主ターボチャージャ21の主コンプレッサ21Bの吸入口に接続されている。主コンプレッサ21Bの吐出口は、吸気管32Lの上流側に接続されている。また、吸気管31Rの下流側は副ターボチャージャ22の副コンプレッサ22Bの吸入口に接続されている。副コンプレッサ22Bの吐出口は、吸気管32Rの上流側に接続されている。そして、吸気管32L及び吸気管32Rの下流側は、吸気管33の上流側に接続されている。吸気管33の下流側は吸気マニホールド34の上流側に接続されている。吸気マニホールド34は、エンジン10の右バンク10Rの各気筒と、左バンク10Lの各気筒と、のそれぞれに吸気を供給する。
主コンプレッサ21Bは、排気ガスによって回転駆動される主タービン21Aにて回転駆動され、吸気管31Lから吸入した空気を圧縮して吸気管32L、33を経由して吸気マニホールド34へと吐出する。また、副コンプレッサ22Bの吐出口に上流側が接続された吸気管32Rには、吸気管32Rの開口と閉鎖を行う吸気切替弁51が設けられている。吸気切替弁51は、例えば、ダイヤフラム式アクチュエータによって駆動され、ECU80からの制御信号によって開閉されるようになっている。
また、吸気バイパス管36は、一端が副コンプレッサ22Bの吐出口と吸気切替弁51との間で、吸気管32Rに接続されていると共に、他端が、吸気流量検出装置6と副コンプレッサ22Bの吸入口との間で、吸気管31Rに接続されている。すなわち、吸気バイパス管36は、副コンプレッサ22Bの吐出口の下流側と副コンプレッサ22Bの吸入口の上流側とをバイパスする。また、吸気バイパス管36の両端の間には、吸気バイパス管36の開口と閉鎖を行う吸気バイパス弁52が設けられている。吸気バイパス弁52は、例えば、ダイヤフラム式アクチュエータによって駆動され、ECU80からの制御信号によって開閉されるようになっている。
従って、吸気切替弁51が吸気管32Rを開口し、且つ、吸気バイパス弁52が吸気バイパス管36を閉鎖した場合には、副コンプレッサ22Bは、排気ガスによって回転駆動される副タービン22Aにて回転駆動され、吸気管31Rから吸入した空気を圧縮して吸気管32R、33を経由して吸気マニホールド34へと吐出する。また、吸気管32Rの吸気切替弁51よりも下流側の位置に、過給圧センサ55が設けられている。また、吸気管32Rの吸気切替弁51と副コンプレッサ22Bの吐出口との間の位置に、好ましくは、吸気管32Rの吸気切替弁51と吸気バイパス管36の接続部との間の位置に、圧力センサ56が設けられている。
一方、吸気切替弁51が吸気管32Rを閉鎖し、且つ、吸気バイパス弁52が吸気バイパス管36を開口した場合には、副コンプレッサ22Bは、排気ガスによって回転駆動される副タービン22Aにて回転駆動され、吸気管31Rから吸入した空気を圧縮して吸気管32R及び吸気バイパス管36を経由して、吸気管31Rへと吐出する。つまり、副コンプレッサ22Bから吸気管32R、33を経由して吸気マニホールド34に吸気を供給できない。
エンジン10の左バンク10Lの排気側には、排気マニホールド41Lが接続され、右バンク10Rの排気側には、排気マニホールド41Rが接続されている。排気マニホールド41Lの下流側には排気管42Lの上流側が接続されている。排気管42Lの下流側には、主ターボチャージャ21の主タービン21Aの流入口(入口側)に接続された上流側主排気管43Lの上流側が接続されている。
また、排気マニホールド41Rの下流側には排気管42Rの上流側が接続されている。排気管42Rの下流側には、副ターボチャージャ22の副タービン22Aの流入口(入口側)に接続された上流側副排気管43Rの上流側が接続されている。また、連通配管45は、一端側が排気管42Lの下流側に接続されると共に、他端側が排気管42Rの下流側に接続されている。つまり、排気管42Lと排気管42Rは、連通配管45によって連通されている。
また、エンジン10には、エンジン回転数検出装置28等が設けられている。エンジン回転数検出装置28は、例えば、エンジン10のクランク軸の回転数(エンジン回転数)や、クランク軸の回転角度(例えば、各気筒の圧縮上死点タイミング)等を検出可能な回転角度センサである。ECU80は、エンジン回転数検出装置28からの検出信号に基づいて、エンジン10のクランク軸の回転数や回転角度等を検出することが可能である。
主タービン21Aは、上流側主排気管43Lから流入してくる排気ガスによって回転駆動され、直結された主コンプレッサ21Bを回転駆動する。副タービン22Aは、上流側副排気管43Rから流入してくる排気ガスによって回転駆動され、直結された副コンプレッサ22Bを回転駆動する。また、副ターボチャージャ22の連結軸の回転数を検出する副回転数検出装置23が設けられている。従って、副ターボチャージャ22は、主ターボチャージャ21に対して並列に接続されている。
また、上流側副排気管43Rには、上流側副排気管43Rの開口と閉鎖を行う排気切替弁53が設けられている。排気切替弁53は、例えば、ダイヤフラム式アクチュエータによって駆動され、ECU80からの制御信号によって開閉されるようになっている。これにより、吸気切替弁51と排気切替弁53が、両方とも開弁され、吸気バイパス弁52が閉弁されたときには、排気ガスが主タービン21Aと副タービン22Aに流入する。その結果、主ターボチャージャ21と副ターボチャージャ22が作動して、主コンプレッサ21Bと副コンプレッサ22Bによって吸気が過給される(以下、「ツインターボモード」と記載する場合もある。)。
一方、吸気切替弁51と排気切替弁53が、両方とも閉弁され、吸気バイパス弁52が開弁されたときには、排気ガスは主タービン21Aに流入するが、副タービン22Aへの流入が阻止される。その結果、主ターボチャージャ21が作動して、主コンプレッサ21Bによって吸気が過給されるが、副ターボチャージャ22が作動せず、副コンプレッサ22Bによる吸気の過給が行われない(以下、「シングルターボモード」と記載する場合もある。)。つまり、吸気切替弁51、吸気バイパス弁52及び排気切替弁53は、連動して開弁・閉弁を切り替えられる。尚、図1は、吸気切替弁51と排気切替弁53が、両方とも開弁され、吸気バイパス弁52が閉弁された際の吸気及び排気の流れを点線の矢印で示す。
また、主タービン21Aには、主タービン21Aへの排気ガスの流速を制御する主可変ノズル機構57が設けられている。主可変ノズル機構57は、複数の可変ノズル(VN:Variable Nozzle)57Aと、アクチュエータ57Bと、ノズル開度センサ57Cとを含む。複数の可変ノズル57Aは、タービンホイールの回転軸を中心とした周囲の排気流入部に配置され、上流側主排気管43Lから流入する排気ガスをタービンホイールに導く。
アクチュエータ57Bは、複数の可変ノズル57Aのそれぞれを回転させることによって隣接する可変ノズル57A間の隙間(以下の説明において、この隙間を「ノズル開度」と記載する。)を調整する。アクチュエータ57Bは、例えば、ステンピングモータ等で構成され、ECU80からの制御信号に応じて可変ノズル57Aのノズル開度を調整する。可変ノズル57Aを閉じる(ノズル開度を大きくする)ことによって、吸気の過給圧Pは上昇し、可変ノズル57Aを開く(ノズル開度を小さくする)ことによって、吸気の過給圧Pは減少する。また、ノズル開度センサ57Cは、可変ノズル57Aのノズル開度を検出して、ECU80に検出信号を出力する。
また、副タービン22Aには、副タービン22Aへの排気ガスの流速を制御する副可変ノズル機構58が設けられている。副可変ノズル機構58は、複数の可変ノズル(VN:Variable Nozzle)58Aと、アクチュエータ58Bと、ノズル開度センサ58Cとを含む。複数の可変ノズル58Aは、上記主可変ノズル機構57を構成する複数の可変ノズル57Aとほぼ同じ構成である。アクチュエータ58B、ノズル開度センサ58Cも、上記主可変ノズル機構57を構成するアクチュエータ57B、ノズル開度センサ57Cとほぼ同じ構成である。
従って、複数の可変ノズル58Aは、アクチュエータ58Bの駆動によりノズル開度が調整され、副タービン22Aに流入する排気ガスの流速を変化させる。これにより、可変ノズル58Aを閉じる(ノズル開度を大きくする)ことによって、吸気の過給圧Pは上昇し、可変ノズル58Aを開く(ノズル開度を小さくする)ことによって、吸気の過給圧Pは減少する。
主タービン21Aの吐出口(出口側)には排気管46Lの上流側が接続されている。また、副タービン22Aの吐出口(出口側)には排気管46Rの上流側が接続されている。排気管46Lの下流側と排気管46Rの下流側とは、排気管47の上流側に接続されている。また、排気管46Lには、主タービン21Aの出口側の第1排気ガス温度を検出する第1温度検出装置(例えば、温度検出センサ)25が設けられている。また、排気管46Rには、副タービン22Aの出口側の第2排気ガス温度を検出する第2温度検出装置(例えば、温度検出センサ)26が設けられている。
排気管47の下流側は、排気ガス浄化装置61の流入口に接続されている。排気ガス浄化装置61の内部には、上流側から、酸化触媒(DOC:Diesel Oxidation Catalyst)62、DPF(Diesel Particulate Filter)63が設けられている。酸化触媒62は、排気ガスに含まれる一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)等を酸化して除去する。DPF63は、セラミックス材料等からなる多孔質な部材によって円柱状等に形成され、上流側から各小孔に流入する排気ガスを多孔質材料に通すことで粒子状物質(PM:Particulate Matter)を捕集し、排気ガスのみを下流側へと流出させる。そして、排気ガス浄化装置61の流出口には、排気管48の上流側が接続されている。
ECU80は、CPU、EEPROM、RAM、タイマ、不図示のバックアップRAM等を備えた公知のものである。CPUは、EEPROMに記憶された各種プログラムや各種パラメータに基づいて、種々の演算処理を実行する。また、RAMは、CPUでの演算結果や各検出装置から入力されたデータ等を一時的に記憶し、バックアップRAMは、例えば、エンジン10の停止時にその保存すべきデータ等を記憶する。
ECU80は、燃料噴射装置15L、15R、副回転数検出装置23、第1温度検出装置25、第2温度検出装置26、エンジン回転数検出装置28、吸気切替弁51、吸気バイパス弁52、排気切替弁53、過給圧センサ55、圧力センサ56、アクチュエータ57B、58B、ノズル開度センサ57C、58C、アクセルペダル踏込量検出装置(例えば、アクセルペダル踏込角度センサ)71等が、電気的に接続されている。
ECU80には、吸気流量検出装置6、副回転数検出装置23、第1温度検出装置25、第2温度検出装置26、エンジン回転数検出装置28、過給圧センサ55、圧力センサ56、ノズル開度センサ57C、58C、アクセルペダル踏込量検出装置71の検出信号が入力される。ECU80は、吸気流量検出装置6からの検出信号に基づいて、エンジン10が吸入した吸気流量を検出することができる。
ECU80は、過給圧センサ55からの検出信号に基づいて、主コンプレッサ21Bの出口圧力P1を検出することができる。ECU80は、圧力センサ56からの検出信号に基づいて、副コンプレッサ22Bの出口圧力P2を検出することができる。ECU80は、副回転数検出装置23からの検出信号に基づいて、副ターボチャージャ22の回転数を検出することができる。ECU80は、第1温度検出装置25からの検出信号に基づいて、主タービン21Aの出口側の第1排気ガス温度を検出することができる。ECU80は、第2温度検出装置26からの検出信号に基づいて、副タービン22Aの出口側の第2排気ガス温度を検出することができる。
ECU80は、エンジン回転数検出装置28からの検出信号に基づいて、エンジン10のクランク軸の回転数や回転角度等を検出することが可能である。エンジン回転数検出装置28は、例えば、エンジン10のクランク軸の回転数や、クランク軸の回転角度(例えば、各気筒の圧縮上死点タイミング)等を検出可能な回転角度センサである。ECU80は、ノズル開度センサ57C、58Cからの検出信号に基づいて、複数の可変ノズル57A、58Aのノズル開度を検出することができる。
ECU80は、アクセルペダル踏込量検出装置71からの検出信号に基づいて、運転者によるアクセルペダルの踏込量(運転者の加速要求、減速要求)を検出することが可能である。アクセルペダル踏込量検出装置71は、例えば、アクセルペダル踏込角度センサであり、アクセルペダルに設けられている。
また、ECU80は、吸気切替弁51、吸気バイパス弁52、及び、排気切替弁53を運転状態に応じて開弁させる開弁信号又は閉弁させる閉弁信号を出力する。また、ECU80は、ノズル開度センサ57C、58Cの検出信号に基づいてアクチュエータ57B、58Bを駆動する駆動信号を出力して、複数の可変ノズル57A、58Aのそれぞれのノズル開度を調整する。また、ECU80は、エンジン回転数検出装置28とアクセルペダル踏込量検出装置71等の検出信号に基づいて、燃料噴射装置15L、15Rを駆動する制御信号を出力して、各気筒内に直接噴射する燃料噴射量を制御する。
次に、上記のように構成された内燃機関の制御システム1において、シングルターボモードからツインターボモードへ切り替える際に、ECU80(弁切替制御装置)によって実行される処理であって、吸気切替弁51、吸気バイパス弁52、及び、排気切替弁53を開弁状態又は閉弁状態に切り替える「第1弁切替処理」について図2乃至図4に基づいて説明する。ECU80は、起動されると所定時間間隔(例えば、数ミリ秒~数10ミリ秒間隔)にて、図2に示す処理を起動し、ステップS11へと処理を進める。尚、図2にフローチャートで示されるプログラムは、ECU80のEEPROMに予め記憶されている。
図2に示すように、先ず、ステップS11において、ECU80は、シングルターボモードからツインターボモードへ切り替えるか否かを判定する。つまり、ECU80は、吸気切替弁51と排気切替弁53を、両方とも閉弁し、吸気バイパス弁52を開弁しており、且つ、エンジン10の回転数及び要求トルク(燃料噴射量)によって定まる動作領域マップ82(図3参照)での動作点が「ツインターボモード」であるか否かを判定する。
具体的には、ECU80は、先ず、吸気切替弁51に開弁信号を出力した旨を表す吸気切替開弁フラグと、排気切替弁53に開弁信号を出力した旨を表す排気切替開弁フラグと、吸気バイパス弁52に開弁信号を出力した旨を表す吸気バイパス開弁フラグをRAMから読み出す。
尚、ECU80は、吸気切替弁51に開弁信号を出力した際に、吸気切替開弁フラグをONに設定してRAMに記憶し、吸気切替弁51に閉弁信号を出力した際に、吸気切替開弁フラグをOFFに設定してRAMに記憶する。ECU80は、吸気バイパス弁52に開弁信号を出力した際に、吸気バイパス開弁フラグをONに設定してRAMに記憶し、吸気バイパス弁52に閉弁信号を出力した際に、吸気バイパス開弁フラグをOFFに設定してRAMに記憶する。ECU80は、排気切替弁53に開弁信号を出力した際に、排気切替開弁フラグをONに設定してRAMに記憶し、排気切替弁53に閉弁信号を出力した際に、排気切替開弁フラグをOFFに設定してRAMに記憶する。
また、ECU80は、起動時に、吸気切替弁51と排気切替弁53に閉弁信号を出力して、吸気切替開弁フラグと排気切替開弁フラグをOFFに設定してRAMに記憶する。また、ECU80は、起動時に、吸気バイパス弁52に開弁信号を出力して、吸気バイパス開弁フラグをONに設定してRAMに記憶する。つまり、ECU80は、起動時に、「シングルターボモード」に設定する。
そして、吸気切替開弁フラグと排気切替開弁フラグが共にONに設定され、吸気バイパス開弁フラグがOFFに設定されていると判定した場合、つまり、吸気切替弁51と排気切替弁53を両方とも開弁し、吸気バイパス弁52を閉弁していると判定した場合には、ECU80は、ツインターボモードであると判定して(S11:NO)、当該処理を終了する。
一方、吸気切替開弁フラグと排気切替開弁フラグが共にOFFに設定され、吸気バイパス開弁フラグがONに設定されていると判定した場合、つまり、吸気切替弁51と排気切替弁53を両方とも閉弁し、吸気バイパス弁52を開弁している「シングルターボモード」であると判定した場合には、ECU80は、エンジン回転数検出装置28とアクセルペダル踏込量検出装置71等の検出信号に基づいて、エンジン回転数と要求トルク(燃料噴射量)を取得する。そして、ECU80は、エンジン10の回転数及び要求トルク(燃料噴射量)によって定まる動作領域マップ82(図3参照)での動作点が「ツインターボモード」であるか否かを判定する。
ここで、動作領域マップ82の一例について図3に基づいて説明する。図3に示すように、動作領域マップ82では、横軸はエンジン回転数を示し、縦軸は要求トルク(燃料噴射量)を示している。実線82Aは、「シングルターボモード」の動作特性を示し、破線82Bは、「ツインターボモード」の動作特性を示す。
エンジン回転数及び要求トルク(燃料噴射量)によって定まる動作点が実線82Aよりも下側にある場合、エンジン10は「シングルターボモード」で動作する。また、エンジン回転数及び要求トルクが増加し、動作点が実線82Aよりも上側の領域に入った場合、エンジン10は「ツインターボモード」で動作する。即ち、動作点が破線82Cで囲まれた切替ラインより下側にある場合は、「シングルターボモード」が選択され、上側にある場合は「ツインターボモード」が選択される。
従って、動作領域マップ82の動作点が実線82Aよりも下側にある場合は、ECU80は、動作点が「シングルターボモード」であると判定して(S11:NO)、当該処理を終了する。一方、動作領域マップ82の動作点が破線82Cで囲まれた切替ラインよりも上側にある場合には、ECU80は、動作点が「ツインターボモード」である、つまり、「シングルターボモード」から「ツインターボモード」へ切り替えると判定して(S11:YES)、ステップS12に進む。
ステップS12において、ECU80は、吸気切替弁51の閉弁状態と、吸気バイパス弁52の開弁状態を維持する。一方、ECU80は、排気切替弁53に開弁信号を出力して、閉弁状態から開弁状態に設定する。また、ECU80は、排気切替開弁フラグをRAMから読み出し、ONに設定して、再度RAMに記憶した後、ステップS13に進む。
これにより、上流側副排気管43Rを介して副タービン22Aの流入口(入口側)に排気ガスが流入して、副タービン22A及び副コンプレッサ22Bが回転駆動される。そして、副コンプレッサ22Bは、吸気管31Rから吸入した空気を圧縮して吸気管32Rへ吐出する。この吸気管32Rへ吐出された空気は、吸気バイパス管36を介して、吸気管31Rへ流入し、副コンプレッサ22Bの吸入口に流入する。
ステップS13において、ECU80は、主コンプレッサ21Bの出口圧力P1を過給圧センサ55からの検出信号に基づいて検出して、RAMに記憶する。また、ECU80は、副コンプレッサ22Bの出口圧力P2を圧力センサ56からの検出信号に基づいて検出して、RAMに記憶した後、ステップS14に進む。
ステップS14において、ECU80は、副コンプレッサ22Bの出口圧力P2から主コンプレッサ21Bの出口圧力P1を減算した負の差圧ΔP1(第1差圧)が吸気切替弁開閾値A1(例えば、-20kPa)以上になったか否かを判定する。尚、吸気切替弁開閾値A1は、実機試験、又は、CAE(Computer Aided Engineering)解析により予め取得され、EEPROMに予め記憶されている。
そして、副コンプレッサ22Bの出口圧力P2から主コンプレッサ21Bの出口圧力P1を減算した負の差圧ΔP1(第1差圧)が吸気切替弁開閾値A1(例えば、-20kPa)未満であると判定した場合には(S14:NO)、ECU80は、再度、ステップS13以降の処理を実行する。つまり、主コンプレッサ21Bの出口圧力P1に対する副コンプレッサ22Bの出口圧力P2の差圧ΔP1が吸気切替弁開閾値A1未満であると判定した場合には(S14:NO)、ECU80は、再度、ステップS13以降の処理を実行する。
一方、副コンプレッサ22Bの出口圧力P2から主コンプレッサ21Bの出口圧力P1を減算した負の差圧ΔP1(第1差圧)が吸気切替弁開閾値A1(例えば、-20kPa)以上になったと判定した場合には(S14:YES)、ECU80は、ステップS15に進む。つまり、主コンプレッサ21Bの出口圧力P1に対する副コンプレッサ22Bの出口圧力P2の差圧ΔP1(第1差圧)が吸気切替弁開閾値A1以上になったと判定した場合には(S14:YES)、ECU80は、ステップS15に進む。
ステップS15において、ECU80は、排気切替弁53の開弁状態と、吸気バイパス弁52の開弁状態を維持する。一方、ECU80は、吸気切替弁51に開弁信号を出力して、閉弁状態から開弁状態に設定する。また、ECU80は、吸気切替開弁フラグをRAMから読み出し、ONに設定して、再度RAMに記憶した後、ステップS16に進む。
これにより、主コンプレッサ21Bから圧縮されて吐出された空気は、吸気管32R及び吸気切替弁51を介して吸気バイパス管36に流入する。この吸気バイパス管36に流入した空気は、吸気管31Rへ流入し、副コンプレッサ22Bの吸入口に流入する。従って、副コンプレッサ22Bの吐出口から吸気管32Rへ吐出された空気が、副コンプレッサ22Bの吐出口へ逆流するのを防止できる。
ステップS16において、ECU80は、主コンプレッサ21Bの出口圧力P1を過給圧センサ55からの検出信号に基づいて検出して、RAMに記憶する。また、ECU80は、副コンプレッサ22Bの出口圧力P2を圧力センサ56からの検出信号に基づいて検出して、RAMに記憶した後、ステップS17に進む。
ステップS17において、ECU80は、副コンプレッサ22Bの出口圧力P2から主コンプレッサ21Bの出口圧力P1を減算した差圧ΔP2(第2差圧)が吸気バイパス弁閉閾値A2(第1閉閾値)(例えば、0kPa)以上になったか否かを判定する。ここで、吸気バイパス弁閉閾値A2(第1閉閾値)(例えば、0kPa)は、吸気切替弁開閾値A1(例えば、-20kPa)よりも少ない差圧値に設定されている。尚、吸気バイパス弁閉閾値A2は、実機試験、又は、CAE(Computer Aided Engineering)解析により予め取得され、EEPROMに予め記憶されている。
そして、副コンプレッサ22Bの出口圧力P2から主コンプレッサ21Bの出口圧力P1を減算した差圧ΔP2(第2差圧)が吸気バイパス弁閉閾値A2(第1閉閾値)(例えば、0kPa)未満である判定した場合には(S17:NO)、ECU80は、再度、ステップS16以降の処理を実行する。つまり、主コンプレッサ21Bの出口圧力P1に対する副コンプレッサ22Bの出口圧力P2の差圧ΔP2が吸気バイパス弁閉閾値A2(第1閉閾値)未満であると判定した場合には(S17:NO)、ECU80は、再度、ステップS16以降の処理を実行する。
一方、副コンプレッサ22Bの出口圧力P2から主コンプレッサ21Bの出口圧力P1を減算した差圧ΔP2(第2差圧)が吸気バイパス弁閉閾値A2(第1閉閾値)(例えば、0kPa)以上になったと判定した場合には(S17:YES)、ECU80は、ステップS18に進む。つまり、主コンプレッサ21Bの出口圧力P1に対する副コンプレッサ22Bの出口圧力P2の差圧ΔP2(第2差圧)が吸気バイパス弁閉閾値A2(第1閉閾値)(例えば、0kPa)以上になったと判定した場合には(S17:YES)、ECU80は、ステップS18に進む。
ステップS18において、ECU80は、排気切替弁53の開弁状態と、吸気切替弁51の開弁状態を維持する。一方、ECU80は、吸気バイパス弁52に閉弁信号を出力して、開弁状態から閉弁状態に設定する。また、ECU80は、吸気バイパス開弁フラグをRAMから読み出し、OFFに設定して、再度RAMに記憶した後、当該処理を終了する。
これにより、副コンプレッサ22Bの吐出口から吸気管32Rへ吐出された空気は、吸気切替弁51を介して吸気マニホールド34に流入する。また、主コンプレッサ21Bの吐出口から吸気管32Lへ吐出された空気も、吸気マニホールド34に流入する。従って、主コンプレッサ21Bと副コンプレッサ22Bによって吸気が過給される「ツインターボモード」に切り替わる。
ここで、ECU80が第1弁切替処理を実行して、シングルターボモードからツインターボモードへ切り替えた一例について図4に基づいて説明する。図4に示すように、縦軸は主コンプレッサ21Bの出口圧力P1に対する副コンプレッサ22Bの出口圧力P2の差圧(P2-P1)[kPa]を示し、横軸は時間[msec]を示している。
実線85は、過給圧上昇の速い副ターボチャージャ22を用いて測定した、シングルターボモードからツインターボモードへ切り替わる際の差圧(P2-P1)の変化の一例を示している。また、破線86は、過給圧上昇の遅い副ターボチャージャ22を用いて測定した、シングルターボモードからツインターボモードへ切り替わる際の差圧(P2-P1)の変化の一例を示している。
実線85で示すように、副ターボチャージャ22の過給圧上昇が速い場合には、差圧(P2-P1)が、吸気切替弁開閾値A1(例えば、-20kPa)に達した際に、ECU80は、排気切替弁53と吸気バイパス弁52と吸気切替弁51を全て開弁状態に設定する。そして、時間T1[msec]経過後、差圧(P2-P1)が、吸気バイパス弁閉閾値A2(例えば、0kPa)に達した際に、ECU80は、排気切替弁53と吸気切替弁51の開弁状態を継続すると共に吸気バイパス弁52を開弁状態から閉弁状態に設定する。これにより、エンジン10は、シングルターボモードからツインターボモードへ切り替わる。
破線86で示すように、副ターボチャージャ22の過給圧上昇が遅い場合には、差圧(P2-P1)が、吸気切替弁開閾値A1(例えば、-20kPa)に達した際に、ECU80は、排気切替弁53と吸気バイパス弁52と吸気切替弁51を全て開弁状態に設定する。そして、時間T1[msec]よりも長い時間T2[msec]経過後、差圧(P2-P1)が、吸気バイパス弁閉閾値A2(例えば、0kPa)に達した際に、ECU80は、排気切替弁53と吸気切替弁51の開弁状態を継続すると共に吸気バイパス弁52を開弁状態から閉弁状態に設定する。これにより、エンジン10は、シングルターボモードからツインターボモードへ切り替わる。
従って、ECU80は、吸気バイパス弁52を開弁状態から閉弁状態に設定するタイミングを、主コンプレッサ21Bの出口圧力P1に対する副コンプレッサ22Bの出口圧力P2の差圧(P2-P1)[kPa]が、吸気バイパス弁閉閾値A2に達したタイミングで決定する。これにより、ECU80は、運転負荷の大小や、副ターボチャージャ22の過給上昇性能のバラツキ等を考慮しないで、吸気バイパス弁52を開弁状態から閉弁状態に設定するタイミングを決定することができる。つまり、ECU80は、シングルターボモードからツインターボモードへの切り替え時における動力低下及び副コンプレッサ22Bの空気の逆流を効果的に抑制することができる。
ここで、ECU80は、弁切替制御装置、第1判定部、開弁設定部、パラメータ取得部、閉弁設定部、第2判定部の一例として機能する。過給圧センサ55は、主出口圧力取得装置の一例として機能する。圧力センサ56は、副出口圧力取得装置の一例として機能する。
尚、本発明は前記実施形態に限定されることはなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形、追加、削除が可能であることは勿論である。例えば、以下のようにしてもよい。尚、以下の説明において上記図1~図4の前記実施形態に係るエンジン10等と同一符号は、前記実施形態に係るエンジン10等と同一あるいは相当部分を示すものである。
[他の第1実施形態]
(A)例えば、図1に破線で示すように、主ターボチャージャ21の連結軸の回転数を検出する主回転数検出装置91を設けるようにしてもよい。また、ECU80は、主回転数検出装置91が電気的に接続され、主回転数検出装置91からの検出信号に基づいて、主ターボチャージャ21の回転数を検出することができるようにしてもよい。
また、ECU80は、上記第1弁切替制御処理に替えて、図5に示す第2弁切替制御処理を実行するようにしてもよい。ここで、第2弁切替制御処理について図5に基づいて説明する。図5に示すように、第2弁切替制御処理は、上記第1弁切替制御処理とほぼ同じ制御処理である。但し、ECU80は、上記ステップS15の処理を実行した後、上記ステップS16及びステップS17の処理に替えて、ステップS111及びステップS112の処理を実行する点で異なっている。
具体的には、図5に示すように、ECU80は、上記ステップS11~ステップS15の処理を実行した後、ステップS111に進む。ステップS111において、ECU80は、主コンプレッサ21Bの出口圧力P1に関連する主ターボチャージャ21の回転数R1を主回転数検出装置91からの検出信号に基づいて検出して、RAMに記憶する。また、ECU80は、副コンプレッサ22Bの出口圧力P2に関連する副ターボチャージャ22の回転数R2を副回転数検出装置23からの検出信号に基づいて検出して、RAMに記憶した後、ステップS112に進む。
ステップS112において、ECU80は、副ターボチャージャ22の回転数R2から主ターボチャージャ21の回転数R1を減算した回転数差ΔR2が吸気バイパス弁閉閾値B2(第2閉閾値)(例えば、0rpm)以上になったか否かを判定する。ここで、吸気バイパス弁閉閾値B2(第2閉閾値)(例えば、0rpm)は、上記吸気切替弁開閾値A1に対応する主ターボチャージャ21の回転数R1に対する副ターボチャージャ22の回転数R2の回転数差ΔR1(例えば、100rpm)よりも少ない回転数差に設定されている。尚、吸気バイパス弁閉閾値B2は、実機試験、又は、CAE(Computer Aided Engineering)解析により予め取得され、EEPROMに予め記憶されている。
そして、副ターボチャージャ22の回転数R2から主ターボチャージャ21の回転数R1を減算した回転数差ΔR2が吸気バイパス弁閉閾値B2(第2閉閾値)(例えば、0rpm)未満であると判定した場合には(S112:NO)、ECU80は、再度、ステップS111以降の処理を実行する。つまり、主ターボチャージャ21の回転数R1に対する副ターボチャージャ22の回転数R2の回転数差ΔR2が吸気バイパス弁閉閾値B2(第2閉閾値)未満であると判定した場合には(S112:NO)、ECU80は、再度、ステップS111以降の処理を実行する。
一方、副ターボチャージャ22の回転数R2から主ターボチャージャ21の回転数R1を減算した回転数差ΔR2が吸気バイパス弁閉閾値B2(第2閉閾値)(例えば、0rpm)以上であると判定した場合には(S112:YES)、ECU80は、ステップS18に進む。つまり、主ターボチャージャ21の回転数R1に対する副ターボチャージャ22の回転数R2の回転数差ΔR2が吸気バイパス弁閉閾値B2(第2閉閾値)以上であると判定した場合には(S112:YES)、ECU80は、ステップS18に進み、上記ステップS18の処理を実行した後、当該処理を終了する。
これにより、副コンプレッサ22Bの吐出口から吸気管32Rへ吐出された空気は、吸気切替弁51を介して吸気マニホールド34に流入する。また、主コンプレッサ21Bの吐出口から吸気管32Lへ吐出された空気も、吸気マニホールド34に流入する。従って、エンジン10は、主コンプレッサ21Bによって吸気が過給される「シングルターボモード」から、主コンプレッサ21Bと副コンプレッサ22Bによって吸気が過給される「ツインターボモード」に切り替わる。
従って、ECU80は、吸気バイパス弁52を開弁状態から閉弁状態に設定するタイミングを、主ターボチャージャ21の回転数R1に対する副ターボチャージャ22の回転数R2の回転数差(R2-R1)[rpm]が、吸気バイパス弁閉閾値B2に達したタイミングで決定する。これにより、ECU80は、運転負荷の大小や、副ターボチャージャ22の過給上昇性能のバラツキ等を考慮しないで、吸気バイパス弁52を開弁状態から閉弁状態に設定するタイミングを決定することができる。つまり、ECU80は、シングルターボモードからツインターボモードへの切り替え時における動力低下及び副コンプレッサ22Bの空気の逆流を効果的に抑制することができる。
ここで、ECU80は、弁切替制御装置、第1判定部、開弁設定部、パラメータ取得部、閉弁設定部、第3判定部の一例として機能する。主回転数検出装置91は、主回転数取得装置の一例として機能する。副回転数検出装置23は、副回転数取得装置の一例として機能する。
[他の第2実施形態]
(B)例えば、図1に破線で示すように、主コンプレッサ21Bの吸入口に接続された吸気管31Lに、主コンプレッサ21Bの吸入口に流入する空気流量を検出する主空気流量検出装置95を設けてもよい。また、副コンプレッサ22Bの吸入口に接続された吸気管31Rに、副コンプレッサ22Bの吸入口に流入する空気流量を検出する副空気流量検出装置96を設けてもよい。
また、ECU80は、主空気流量検出装置95が電気的に接続され、主空気流量検出装置95からの検出信号に基づいて、主コンプレッサ21Bの吸入口に流入する空気流量を検出することができるようにしてもよい。ECU80は、副空気流量検出装置96が電気的に接続され、副空気流量検出装置96からの検出信号に基づいて、副コンプレッサ22Bの吸入口に流入する空気流量を検出することができるようにしてもよい。
また、ECU80は、上記第1弁切替制御処理に替えて、図6に示す第3弁切替制御処理を実行するようにしてもよい。ここで、第3弁切替制御処理について図6に基づいて説明する。図6に示すように、第3弁切替制御処理は、上記第1弁切替制御処理とほぼ同じ制御処理である。但し、ECU80は、上記ステップS15の処理を実行した後、上記ステップS16及びステップS17の処理に替えて、ステップS121及びステップS122の処理を実行する点で異なっている。
具体的には、図6に示すように、ECU80は、上記ステップS11~ステップS15の処理を実行した後、ステップS121に進む。ステップS121において、ECU80は、主コンプレッサ21Bの出口圧力P1に関連する主コンプレッサ21Bの吸入口に流入する空気流量Q1を主空気流量検出装置95からの検出信号に基づいて検出して、RAMに記憶する。また、ECU80は、副コンプレッサ22Bの出口圧力P2に関連する副コンプレッサ22Bの吸入口に流入する空気流量Q2を副空気流量検出装置96からの検出信号に基づいて検出して、RAMに記憶した後、ステップS122に進む。
ステップS122において、ECU80は、副コンプレッサ22Bの吸入口に流入する空気流量Q2から、主コンプレッサ21Bの吸入口に流入する空気流量Q1を減算した流量差ΔQ2が吸気バイパス弁閉閾値C2(第3閉閾値)(例えば、0g)以上になったか否かを判定する。ここで、吸気バイパス弁閉閾値C2(第3閉閾値)(例えば、0g)は、上記吸気切替弁開閾値A1に対応する主コンプレッサ21Bの吸入口に流入する空気流量Q1に対する副コンプレッサ22Bの吸入口に流入する空気流量Q2の流量差ΔQ1(例えば、10g)よりも少ない流量差に設定されている。尚、吸気バイパス弁閉閾値C2は、実機試験、又は、CAE(Computer Aided Engineering)解析により予め取得され、EEPROMに予め記憶されている。
そして、副コンプレッサ22Bの吸入口に流入する空気流量Q2から、主コンプレッサ21Bの吸入口に流入する空気流量Q1を減算した流量差ΔQ2が、吸気バイパス弁閉閾値C2(第3閉閾値)(例えば、0g)未満であると判定した場合には(S122:NO)、ECU80は、再度、ステップS121以降の処理を実行する。つまり、主コンプレッサ21Bの吸入口に流入する空気流量Q1に対する副コンプレッサ22Bの吸入口に流入する空気流量Q2の流量差ΔQ2が吸気バイパス弁閉閾値C2(第3閉閾値)未満であると判定した場合には(S122:NO)、ECU80は、再度、ステップS121以降の処理を実行する。
一方、副コンプレッサ22Bの吸入口に流入する空気流量Q2から、主コンプレッサ21Bの吸入口に流入する空気流量Q1を減算した流量差ΔQ2が、吸気バイパス弁閉閾値C2(第3閉閾値)(例えば、0g)以上であると判定した場合には(S122:YES)、ECU80は、ステップS18に進む。つまり、主コンプレッサ21Bの吸入口に流入する空気流量Q1に対する副コンプレッサ22Bの吸入口に流入する空気流量Q2の流量差ΔQ2が吸気バイパス弁閉閾値C2(第3閉閾値)以上であると判定した場合には(S122:YES)、ECU80は、ステップS18に進み、上記ステップS18の処理を実行した後、当該処理を終了する。
これにより、副コンプレッサ22Bの吐出口から吸気管32Rへ吐出された空気は、吸気切替弁51を介して吸気マニホールド34に流入する。また、主コンプレッサ21Bの吐出口から吸気管32Lへ吐出された空気も、吸気マニホールド34に流入する。従って、エンジン10は、主コンプレッサ21Bによって吸気が過給される「シングルターボモード」から、主コンプレッサ21Bと副コンプレッサ22Bによって吸気が過給される「ツインターボモード」に切り替わる。
従って、ECU80は、吸気バイパス弁52を開弁状態から閉弁状態に設定するタイミングを、主コンプレッサ21Bの吸入口に流入する空気流量Q1に対する副コンプレッサ22Bの吸入口に流入する空気流量Q2の流量差(Q2-Q1)[g]が、吸気バイパス弁閉閾値C2に達したタイミングで決定する。これにより、ECU80は、運転負荷の大小や、副ターボチャージャ22の過給上昇性能のバラツキ等を考慮しないで、吸気バイパス弁52を開弁状態から閉弁状態に設定するタイミングを決定することができる。つまり、ECU80は、シングルターボモードからツインターボモードへの切り替え時における動力低下及び副コンプレッサ22Bの空気の逆流を効果的に抑制することができる。
ここで、ECU80は、弁切替制御装置、第1判定部、開弁設定部、パラメータ取得部、閉弁設定部、第4判定部の一例として機能する。主空気流量検出装置95は、主空気流量取得装置の一例として機能する。副空気流量検出装置96は、副空気流量取得装置の一例として機能する。
(C)前記実施形態と前記他の第1実施形態と前記他の第2実施形態の説明に用いた数値は一例であり、この数値に限定されるものではない。また、以上(≧)、以下(≦)、より大きい(>)、未満(<)等は、等号を含んでも含まなくてもよい。