JP7247479B2 - 転写箔ならびにそれを用いたカード - Google Patents

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Description

本発明は、カード基材の表面を保護する保護層を設けるために用いられる転写箔と、この転写箔を用いて保護層が形成されてなるカードに関する。
クレジットカード、キャッシュカード、IDカードなどに代表されるプラスチックカードは、従来から広く使用されている。
使用されるカードに関する情報は、カード基材上に設けられた磁気テープや、カードに設けられたICチップなどに、カード発行時の初期情報が記録され、場合によって運用時の情報が可変情報として、随時記録される。
一般にカードの発行時には、カード発行機のカード供給部に複数枚のカードを重ね置きし、1枚毎にカードが搬送されて、カード券面への情報加工や磁気テープあるいはICチップへの情報印記録等が実施される。
この時、カード基材が静電気を帯びた場合には、カードをスムーズに搬送することができず、カード発行ができなくなる場合があった。
また、カード発行時以外にも、運用時にカードを取引端末内に挿入して取引を行う場合など、ゴムローラのようなものを用いて取引端末内にカードを搬送することが一般に行われている。
その際に、プラスチック素材からなるカードは絶縁体であり、同じく絶縁体であるゴムと接触することで帯電し、場合によっては数千ボルトの電圧に達して放電することがあり、状況によっては取引端末内において、発火などを引き起こす場合があった。
また、特にICチップを有するカードでは、ICチップが破壊される場合や、ノイズを発生するといった不具合が発生する場合などがあった。
このような問題を防止する目的で、例えば特許文献1では、架橋性を有する導電性ポリマーをカード等に用いることが提案されている。
また、特許文献2では、ICモジュールを内包するICカードにおいて、ICモジュール支持体の少なくとも片面に導電性ポリマー等からなる帯電防止層を設けることが提案されている。
特許第3722839号公報 特開2005-174220号公報
しかし、帯電防止剤として、導電性ポリマーを使用した場合には、材料の価格が高価であり、カードの製造コストが高くなってしまうという問題があった。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、その目的とするところは、カードとしての特性を維持しつつ、比較的低コストで、帯電防止効果を有するカードを提供しようとするものである。
前記目的を達成するための第1の発明は、基材上に、少なくとも保護層、接着層を剥離可能に順次設けてなる転写箔であって、前記保護層に、4級アンモニウム塩基を含有するポリマー型帯電防止剤を添加してなることを特徴とする転写箔である。
また、第2の発明は、前記保護層に、多孔質フィラーをさらに添加してなることを特徴とする請求項1に記載の転写箔である。
第3の発明は、前記多孔質フィラーが、二酸化ケイ素であることを特徴とする請求項2に記載の転写箔である。
第4の発明は、前記ポリマー型帯電防止剤において、その主鎖が、(メタ)アクリル主鎖であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の転写箔である。
第5の発明は、前記保護層において、前記ポリマー型帯電防止剤と、前記多孔質フィラーとの配合比率が、質量基準で前記ポリマー型帯電防止剤1対し、前記多孔質フィラーが2.0~2.7の範囲であることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれかに記載の転写箔である。
第6の発明は、少なくとも2層以上の積層体からなるカードであって、前記カードの表面または裏面の少なくともいずれかに、請求項1から請求項5のいずれかに記載の保護層を設けたことを特徴とするカードである。
本発明の転写箔によれば、静電気障害を防止するために必要な帯電防止性を有し、通常の使用に十分耐え得る高い耐久性を備えたカードのための転写箔、ならびにカードを安価に提供することができる。
転写箔の例を示す断面図である。 保護層の帯電防止効果の概念図である。 カードの例を示す断面図である。
以下に、本発明の実施の形態について詳細に説明する。以下の説明において適宜図面を参照するが、図面に記載された態様は本発明の例示であり、本発明はこれらの図面に記載された態様に制限されない。
なお、全ての図面を通じて、同様又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、転写箔の構成例を示す断面図である。
図1では、転写箔(1)は、基材(10)の片面に、保護層(11)と接着層(12)とが、少なくとも設けられている。
基材(10)は、従来公知のある程度の耐熱性と機械的強度を有するものであれば、いずれも用いることができる。具体的には、コンデンサ紙などの紙類をはじめ、ポリエステルフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリサルホンフィルム、アラミドフィルム、ポリイミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、セロファン等のフィルムを例示することができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
このような基材(10)の厚さとしては、0.5~150μm程度であれば良く、さらに好ましくは、10~100μm程度とすることができる。
保護層(11)は、被転写体であるカード基材に対し、帯電防止機能を付与すると共に、カードの保護層として機能するため、機械的強度、耐摩擦性、耐薬品性等を備えた材料であることが望ましい。
このような保護層(11)に用いられる材料としては、従来公知の材料を用いることが可能であり、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩化ビニルや塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体などのビニル系樹脂、エポキシ系樹脂、ニトロセルロースやトリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂、フェノキシ系樹脂、ノルボルネン系樹脂などの各種樹脂を単独あるいは混合物や共重合体などとして用いることができる。
保護層(11)には、帯電防止効果を付与するために、帯電防止剤が添加される。帯電防止剤としては、4級アンモニウム塩基を含有するポリマー型帯電防止剤であれば、いずれも好適に用いることができるが、(メタ)アクリル主鎖からなるポリマー型帯電防止剤を好ましく用いることができる。
低分子量のカチオン型あるいはアニオン型の帯電防止剤を用いた場合には、帯電防止剤のブリードアウトが発生し、帯電防止効果を長期間保持することが困難である。
これに対し、ポリマー型の帯電防止剤を用いることにより、保護層(11)からのブリードアウトを抑制することが可能となり、帯電防止効果を長期間維持することが可能となる。
4級アンモニウム塩基を含有するポリマー型帯電防止剤は、ポリマー主鎖に設けられた4級アンモニウム塩基の親水基部が空気中の水分を吸収することにより、帯電防止効果を発現すると考えられる。
従って、転写箔(1)を用いて、被転写体であるカード基材に保護層(11)ならびに接着層(12)を転写した際に、保護層(11)の表面側にできるだけ多くの4級アンモニウム塩基が存在していることが望ましいと言える。
しかしながら、4級アンモニウム塩基を含有するポリマー型帯電防止剤を多量に添加すると、保護層(11)としての機械強度や耐性等が低下してしまうこととなり、帯電防止効果と保護層としての機能とを両立させることが困難となる。
そこで、保護層(11)に対して、多孔質フィラーを添加することによって帯電防止効果を高めながら、保護層としての機械強度や耐性等を保持することが可能となる。図2には、多孔質フィラーを添加した保護層(11)における帯電防止効果の概念図を示している。
ここで、多孔質フィラー(21)は、保護層(11)に用いられる上述の樹脂よりも少し比重の重い無機系の多孔質フィラーであることが望ましく、例えば、二酸化ケイ素、ゼオライト、炭酸カルシウムなどを例示することができるが、中でも二酸化ケイ素は、樹脂中に分散しても着色等が少なく、取扱いも容易であることから、好適に用いることができる。
上述のような多孔質フィラー(21)を保護層(11)に添加することにより、4級アンモニウム塩基含有のポリマー型帯電防止剤(22)が、多孔質フィラー(21)に吸着され、保護層塗布液を基材(10)に塗布した際に、多孔質フィラー(21)の比重を少し重くすることにより、保護層(11)中の基材(10)と接する面側に、より多く存在させることが可能となる。
これにより、転写箔(1)を被転写体であるカード基材に転写して基材(10)を剥離した際に、最表面となる保護層表面付近に、より多くの4級アンモニウム塩基を配置することが可能となる。
従って、4級アンモニウム塩基含有のポリマー型帯電防止剤(22)の添加量を抑えながら、効率よく帯電防止効果を発現させることが可能となる。
このような効果を発揮する多孔質フィラー(21)の添加量としては、質量基準において、4級アンモニウム塩基含有ポリマー型帯電防止剤(22)1質量部に対して、2~2.7質量部の範囲であることが望ましく、より好ましくは、2.1~2.6質量部の範囲である。
2質量部未満の場合には、多孔質フィラーの添加効果が十分に得られず、4級アンモニウム塩基含有ポリマー型帯電防止剤(22)を多く添加しないと、十分な帯電防止効果が得られない。
また2,7質量部を超える場合には、単位あたりの多孔質フィラーの表面に吸着される4級アンモニウム塩基含有ポリマー型帯電防止剤の量が低下し、かつ保護層表面付近に存在する多孔質フィラーの相対割合が低下することにより、十分な帯電防止効果を発揮することができなくなると考えられる。
上述のような保護層(11)には、耐摩擦性向上のために、例えば、シリコーンオイルのような滑剤や、動物ワックス、植物ワックス、モンタンワックスなどの鉱物ワックス、パラフィンワックスなどの石油ワックス、ポリエチレンワックスなどの合成ワックスといったワックス類や、高級脂肪酸、ステアリン酸亜鉛などの金属石鹸、フッ素樹脂フィラーやシリコン樹脂フィラーなどが添加されてあっても良い。
また、保護層(11)には、紫外線吸収剤や分散剤などの各種添加剤が添加されてあっても何ら問題ない。
基材(10)上に保護層(11)を設ける方法としては、従来公知の印刷法、コーティング法が使用可能であり、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法、ロールコーティング法、マイクログラビアコート法、ダイコート法、カーテンコート法、スピンコート法などを例示することができるが、これらに限定されるものではない。
接着層(12)は、被転写体であるカード基材と保護層(11)との密着性を確保する
ためのもので、カード基材の材質や表面状況などに応じて、任意に選定することが可能である。
具体的な材料の例としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノキシ系樹脂、オレフィン系樹脂や、ゴム系材料などを例示することができ、これらの材料を単独あるいは混合物や共重合体などの複合物として用いることができる。
接着層(12)には、箔の切れ性向上を目的として、例えば、二酸化ケイ素、タルク、酸化チタン、アクリル系やスチレン系などの樹脂フィラーなどのフィラー類が添加されてあっても良い。
接着層(12)を設ける方法としては、従来公知の印刷法、コーティング法を用いることが可能であり、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法、ロールコーティング法、マイクログラビアコート法、ダイコート法、カーテンコート法、スピンコート法などを例示することができるが、これらに限定されるものではない。
上述のような保護層(11)ならびに接着層(12)の厚さは、それぞれ0.1~5.0μm程度とすることができるが、望ましくは、保護層(11)と接着層(12)の総厚が、5,0μm以下程度であることが好ましく、さらに好ましくは、総厚で2μm以下程度である。
総厚で2μmを超えると、後述する被転写体であるカード基材に、磁気テープ等が設けられている場合に、磁気テープを覆うように保護層(11)ならびに接着層(12)を転写した際、磁気テープと磁気テープに記録された情報を読取る磁気ヘッドとの間に生じるギャップの影響で、磁気出力の規格を満たすことができなくなる可能性がある。
また、保護層(11)と接着層(12)とを薄くし過ぎると、機械的強度や耐性面などの低下を招く可能性がある。
以上、説明した転写箔(1)は、保護層(11)と接着層(12)との間に、セキュリティ印刷層や中間層などが別途設けられてあっても何ら問題ない。
セキュリティ印刷は、例えば、通常の環境下では無色透明で、特殊な光を照射した際に、照射された光とは波長の異なる光を発する材料や、特定波長域のみ吸収特性を有する材料、更には、パール顔料などのように観察する角度によって色が変化する色材などをパターン状に設けたものなどを例示することができる。
セキュリティ印刷を設ける場合には、従来公知の印刷方法を用いることが可能であり、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法などを例示することができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
次に、上述の転写箔(1)を用いて得られるカードについて、説明する。
図3は、カードの構成例として、オーバープリントカードの構成例を示す断面図であり、必ずしもこの構成に限定されるものではない。
図3に示した構成では、カード(3)は、積層体からなるカード基材(30)に対して、印刷層(33)を設け、その上に転写箔(1)を用いて転写形成された接着層(12)と保護層(11)が設けられている。
印刷層(33)は、絵柄などを含む任意の画像を設けることが可能で、従来公知の印刷法を用いて形成することが可能であり、印刷法としては、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、湿式あるいは乾式の静電印刷法などを例示することができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
印刷層(33)に用いられるインキは、採用される印刷方式に応じて任意のインキを選定することが可能で、紫外線硬化型インキや酸化重合型インキ、浸透型インキ、加熱乾燥インキ、蒸発乾燥インキ、熱定着インキなど、いずれのインキが用いられてあっても良い。
また、印刷層(33)は隠蔽層などが更に設けられてあっても良い。隠蔽層を設ける場合には、従来公知の隠蔽層をいずれも用いることができるが、例えば、カーボンブラックや酸化チタンに代表される顔料を含むインキ層を設ける方法や、アルミニウム、金、銀、銅、ニッケルなどの金属を鱗片状あるいは微粉末状にしたものを含むインキ層を設ける方法、さらにはアルミニウム、金、銀、銅、ニッケルなどの金属材料を堆積させた金属薄膜層を形成する方法などを例示することができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
隠蔽層として、インキ層を形成する場合には、従来公知の印刷法を用いて形成することが可能であり、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法などを例示することができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
また、隠蔽層として金属薄膜層を設ける場合には、金属材料を堆積させる方法として、従来公知の塗布法や気相堆積法などを用いることができる。
塗布法としては、例えばスプレー塗布法などを挙げることができる。気相堆積法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、化学蒸着法(CVD法)などを挙げることができる。中でも、真空蒸着法やスパッタリング法などが好適に用いられる。
カード基材(30)は、複数の層からなる積層体として構成されており、コアシート(31)の裏面側に印刷層(33)を設け、オーバーシート(32)によって両面が積層されており、オーバーシート(32)の表面には、磁気テープ(34)が設けられている。
コアシート(31)は、単層であっても良いし、2層以上の多層構成からなっていても良い。また、コアシートには、ICチップやアンテナを含むインレットが内包されてあっても良い。
コアシート(31)は、カードに用いられる従来公知の材料であれば、いずれも用いることができ、例えば、紙類をはじめ、塩化ビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリ乳酸などの生分解性樹脂などの各種熱可塑性樹脂を例示することができる。
また、コアシート(31)は、酸化チタンや硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、カオリンなどの体質顔料や、気泡、亀裂などのボイドなどを含んでいても良い。
オーバーシート(32)には、典型的には透明な熱可塑性樹脂であればいずれも用いることができ、例えば、塩化ビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネ
ート樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリ乳酸などの生分解性樹脂などを例示することができる。
コアシート(31)とオーバーシート(32)の間に設けられる印刷層(33)は、先に説明したカード基材(30)上に設けられた印刷層(33)と同様である。
磁気テープ(34)は、熱転写によりベースフィルムが剥離できるタイプで、ポリエチレンテレフタレートやポリプロピレンなどからなるプラスチックのベースフィルム上に少なくとも磁気層と接着層が従来公知の印刷法あるいはコーティング法によって形成されたものを、オーバーシート(32)表面に転写することにより形成される。
また、カード(3)は、ザグリ部などを設け、接触式の電極部を有するICチップなどが設けられてあっても何ら問題ない。
カード基材として、白色塩化ビニルシートをコアシートとし、その両面に透明な塩化ビニルシートを積層して、熱圧を加えてラミネート加工した後、カード形状に抜き加工することによって、試験用のカード基材(30)を得た。
(実施例1)
透明なポリエチレンテレフタレートフィルムからなる基材上に、下記の保護層用塗布液1を塗布、乾燥して保護層(乾燥膜厚=約1.5μm)を設けた後、この保護層上に、下記の接着層用塗布液を塗布、乾燥して接着層(乾燥膜厚=約0.5μm)を設けて、転写箔サンプル1を得た。
得られた転写箔サンプル1を、上記試験用のカード基材と対向配置し、熱圧を加えて保護層ならびに接着層を転写した後、基材であるポリエチレンテレフタレートを剥離して、評価用カードサンプルを得た。
<保護層用塗布液1>
アクリル系樹脂(主剤) … 100質量部
帯電防止剤(アクリット 1SX-1090) … 5質量部
(大成ファインケミカル株式会社製)
二酸化ケイ素 … 0質量部
<接着層塗布液>
塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体 … 100質量部
(実施例2)
下記の保護層用塗布液2を用いた以外は、実施例1と同様にして、評価用カードサンプルを得た。
<保護層用塗布液2>
アクリル系樹脂(主剤) … 100質量部
帯電防止剤(アクリット 1SX-1090) … 10質量部
(大成ファインケミカル株式会社製)
二酸化ケイ素 … 0質量部
(実施例3)
下記の保護層用塗布液3を用いた以外は、実施例1と同様にして、評価用カードサンプルを得た。
<保護層用塗布液3>
アクリル系樹脂(主剤) … 100質量部
帯電防止剤(アクリット 1SX-1090) … 12.5質量部
(大成ファインケミカル株式会社製)
二酸化ケイ素 … 0質量部
(実施例4)
下記の保護層用塗布液4を用いた以外は、実施例1と同様にして、評価用カードサンプルを得た。
<保護層用塗布液4>
アクリル系樹脂(主剤) … 100質量部
帯電防止剤(アクリット 1SX-1090) … 15質量部
(大成ファインケミカル株式会社製)
二酸化ケイ素 … 0質量部
(実施例5)
下記の保護層用塗布液5を用いた以外は、実施例1と同様にして、評価用カードサンプルを得た。
<保護層用塗布液5>
アクリル系樹脂(主剤) … 100質量部
帯電防止剤(アクリット 1SX-1090) … 20質量部
(大成ファインケミカル株式会社製)
二酸化ケイ素 … 0質量部
(実施例6)
下記の保護層用塗布液6を用いた以外は、実施例1と同様にして、評価用カードサンプルを得た。
<保護層用塗布液6>
アクリル系樹脂(主剤) … 100質量部
帯電防止剤(アクリット 1SX-1090) … 10質量部
(大成ファインケミカル株式会社製)
二酸化ケイ素 … 20質量部
(実施例7)
下記の保護層用塗布液7を用いた以外は、実施例1と同様にして、評価用カードサンプルを得た。
<保護層用塗布液7>
アクリル系樹脂(主剤) … 100質量部
帯電防止剤(アクリット 1SX-1090) … 10質量部
(大成ファインケミカル株式会社製)
二酸化ケイ素 … 21質量部
(実施例8)
下記の保護層用塗布液8を用いた以外は、実施例1と同様にして、評価用カードサンプルを得た。
<保護層用塗布液8>
アクリル系樹脂(主剤) … 100質量部
帯電防止剤(アクリット 1SX-1090) … 10質量部
(大成ファインケミカル株式会社製)
二酸化ケイ素 … 25質量部
(実施例9)
下記の保護層塗布液9を用いた以外は、実施例1と同様にして、評価用カードサンプルを得た。
<保護層用塗布液9>
アクリル系樹脂(主剤) … 100質量部
帯電防止剤(アクリット 1SX-1090) … 10質量部
(大成ファインケミカル株式会社製)
二酸化ケイ素 … 26質量部
(実施例10)
下記の保護層用塗布液10を用いた以外は、実施例1と同様にして、評価用カードサンプルを得た。
<保護層用塗布液10>
アクリル系樹脂(主剤) … 100質量部
帯電防止剤(アクリット 1SX-1090) … 10質量部
(大成ファインケミカル株式会社製)
二酸化ケイ素 … 27質量部
(実施例11)
下記の保護層用塗布液11を用いた以外は、実施例1と同様にして、評価用カードサンプルを得た。
<保護層用塗布液11>
アクリル系樹脂(主剤) … 100質量部
帯電防止剤(アクリット 1SX-1090) … 10質量部
(大成ファインケミカル株式会社製)
二酸化ケイ素 … 30質量部
(評価方法)
上述の様にして得られた各評価用カードサンプルにつき、表面抵抗値の測定ならびに、耐薬品性の評価を実施した。
<表面抵抗値の測定>
各評価用カードサンプルにつき、23℃、55%Rhの環境下で、表面抵抗値の測定を実施した。尚、評価結果のうち、1×1012以下の値を示したものを良好な表面抵抗値と判断した。
<耐薬品性の評価>
各評価用カードサンプルにつき、60%エタノールに1時間浸漬した後、評価用カード
サンプルの表面状態を目視観察により評価した。
評価基準は、以下の通りとしたが、いずれも実用上は問題ないものと判断した。
〇 … 特に変化なし
△ … 表面にやや荒れが発生
× … 表面に荒れが発生
各評価結果を表1に示した。
Figure 0007247479000001
表1に示した実施例1から実施例5の結果より、4級アンモニウム塩基含有ポリマー型帯電防止剤の添加量を増やしていくに従い、表面抵抗値が低下していくことが判った。
また、同様に実施例1から実施例5の結果より、主剤であるアクリル系樹脂100質量部に対して、4級アンモニウム塩基含有ポリマー型帯電防止剤を12.5質量部以上添加していくと、徐々に耐薬品性が低下していく傾向が確認された。
実施例2ならびに、実施例6から実施例10の結果より、4級アンモニウム塩基含有ポリマー型帯電防止剤のみを添加した場合に、表面抵抗値が1×1012Ω/□よりも大きい値を示していたものであっても、4級アンモニウム塩基が入ポリマー型帯電防止剤1質量部に対して、多孔質フィラーである二酸化ケイ素を2~2.7質量部の範囲で添加することにより、1×1012Ω/□以下の表面抵抗値を示すようにできることが判った。
これは、4級アンモニウム塩基含有ポリマー型帯電防止剤が、多孔質フィラーである二酸化ケイ素表面に吸着されるとともに、二酸化ケイ素が主剤であるアクリル系樹脂よりも比重が重いために、基材であるポリエチレンテレフタレートに保護層用塗布液を塗布した際に、二酸化ケイ素が基材側付近に集まることによって、カード基材に転写した際に、保護層表面付近に4級アンモニウム塩基が効率良く集められ、空気中の水分を吸収しやすくなったためであると考えることができる。
また、実施例11の結果より、二酸化ケイ素の添加量が多すぎると、表面抵抗値が1×1012Ω/□よりも大きな値を示すことが判った。
これは、単位あたりの多孔質フィラーの表面に吸着される4級アンモニウム塩基含有ポリマー型帯電防止剤の量が低下し、かつ保護層表面付近に存在する多孔質フィラーの相対割合が低下することにより、十分な帯電防止効果を発揮することができなくなったためと考えられる。
以上のように本発明の転写箔によれば、静電気障害を防止するために必要な帯電防止性を有し、通常の使用に十分耐え得る高い耐久性を備えたカードのための転写箔、ならびにカードを安価に提供することができる。
1 … 転写箔
10 … 基材
11 … 保護層
12 … 接着層
21 … 二酸化ケイ素
22 … 4級アンモニウム塩基含有ポリマー型帯電防止剤
3 … カード
30 … カード基材
31 … コアシート
32 … オーバーシート
33 … 印刷層
34 … 磁気テープ

Claims (4)

  1. 基材上に、少なくとも保護層、接着層を剥離可能に順次設けてなる転写箔であって、
    前記保護層の(メタ)アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、エポキシ系樹脂、セルロース系樹脂、フェノキシ系樹脂、ノルボルネン系樹脂の単独あるいは混合物や共重合の樹脂に4級アンモニウム塩基を含有するポリマー型帯電防止剤と、
    さらに、前記保護層に用いられる樹脂よりも比重の重い二酸化ケイ素である多孔質フィラーを添加してなることを特徴とする転写箔。
  2. 前記ポリマー型帯電防止剤において、その主鎖が、(メタ)アクリル主鎖であることを特徴とする請求項1に記載の転写箔。
  3. 前記保護層において、前記ポリマー型帯電防止剤と、前記多孔質フィラーとの配合比率が、質量基準で前記ポリマー型帯電防止剤対し、前記多孔質フィラーが2.0~2.7の範囲であることを特徴とする請求項1または請求項に記載の転写箔。
  4. 少なくとも2層以上の積層体からなるカードであって、前記カードの表面または裏面の少なくともいずれかに、請求項1から請求項のいずれかに記載の保護層を設けたことを特徴とするカード。
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