JP7246731B2 - 膵癌の予後マーカー、膵癌の予後診断キット及び膵癌の予後を予測するための方法 - Google Patents

膵癌の予後マーカー、膵癌の予後診断キット及び膵癌の予後を予測するための方法 Download PDF

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Description

本発明は、膵癌患者の“予後”を予測できる癌マーカー、当該マーカーを検出するための膵癌の予後診断キット、並びに、当該マーカーを利用して膵癌の予後を予測するための方法に関するものである。
膵癌は近年増加傾向にあり、日本人の癌による死因では、肺癌、胃癌、大腸癌に次いで第4位であり、膵癌により年間3万9千人が死亡している。膵癌は、癌の中で最も予後が悪いと言われており、その原因としては、膵癌が後腹膜臓器であるために早期発見が困難であること、及び膵癌細胞の運動性がきわめて高いため、周囲の血管、消化管、神経などへすぐに浸潤し、また、近くのリンパ節に転移したり、肝臓などへ遠隔転移したりすること等が挙げられる。膵癌は難治性癌の代表であり、生存率を挙げるには早期発見による手術が唯一の方法である。
膵癌患者全体で見ると、5年生存率は、5~10%と極めて低い値である。一方で、参考資料1には、術後症例を含む膵癌の5年生存率が示されており、ステージIA:31-39%、ステージIB:22-27%、ステージIIA:16-25%、ステージIIB:8-10%、ステージIII:0-7%、ステージIV:0-4%である(参考資料1:Lancet Oncol 2013; 14: pp. 476-85)。このように、ステージIIAとステージIIBを境にして、5年生存率、すなわち膵癌患者の予後が急速に悪くなることが示されている。
ところで、癌を診断するには生体検査が正確であるが、生体検査は患者に苦痛を与える。そこで一般的には、予備的に癌診断マーカーを用いた検査が行われる。癌診断マーカーとは、癌により生体内で特異的に産生される物質であり、その体液中量を測定することにより癌の進行を評価することができる。例えば、特許文献1には、セクレトグロビン,ファミリー1D,メンバー2およびポドカリキシン様タンパク質からなる群より選択される1以上のタンパク質を含むことを特徴とする膵癌及び膵管内乳頭粘液性腫瘍の診断マーカーが開示されている。また非特許文献1には、PODXLが膵管腺癌の診断ツールになること等が記載されている。
国際公開第2017/098915号
TERESA J. et al., Podocalyxin-like protein 1 expression is useful to differentiate pancreatic ductal adenocaricinomas from adenocarcinomas of the biliary and gastrointertinal tracts, Hum. Pathol., 2017, Vol 38, pp. 359-364
癌の治療法としては、手術治療、化学療法、放射線治療などが代表的なものとして挙げられ、癌の種類、癌の進行度、初めての治療か否か、副作用の程度、更には患者の年齢、生活環境等も考慮に入れて、患者やその家族にとって最適と思われる治療法が選択される。癌患者にとって治療法を適切に選択することは、QOL(quality of life)を保つ上でも非常に重要である。
前述した通り、術後症例を含む膵癌の5年生存率は、ステージIIB以上では急激に低下する。しかし、現状では、手術適応症例のうち、ステージIIA、ステージIIB、ステージIIIの症例では、ステージに関わらず画一的な化学療法が実施されている。もし膵癌患者の予後を、ステージに基づく予測よりも更に高い精度で予測できる方法があれば、例えば、患者のニーズに応じて、予後良好群には更に強力な化学療法を選択し、予備不良群には副作用の少ない治療法を選択して、膵癌患者のQOLを保つことを優先する、という、医療の提供も可能となる。
このように、膵癌患者の症例を、高い精度で予後良好群と予後不良群に細分化できれば、患者のQOLを考慮した治療法の選択に極めて有用であるものの、それを可能にする技術は十分に提供されていない。例えば、従来から知られる上記診断マーカーは、癌の有無やステージを判定するためのものであり、未だ高い感度と特異性を有する“膵癌の予後マーカー”は実用化に至っていない。
そこで本発明は、高い感度と特異性を有し、且つ、膵癌患者の“予後”を予測できる癌マーカーを提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、タンパク質ITGB1と、タンパク質PODXL及び/またはタンパク質BCL7Bとの組み合わせ、を含む予後マーカーであれば、ステージIII~IVにも勝る感度と特異性で、膵癌患者の予後を予測できることを見出し、本発明を完成した。
以下、本発明を示す。
[1] タンパク質ITGB1と、
タンパク質PODXL及び/またはタンパク質BCL7Bとの組み合わせ、を含むことを特徴とする膵癌の予後マーカー。
[2] 上記タンパク質ITGB1が、下記(1)~(3)の何れかのアミノ酸配列を有する[1]に記載の膵癌の予後マーカー。
(1)配列番号1に記載のアミノ酸配列;
(2)配列番号1に記載のアミノ酸配列において1以上、10以下のアミノ酸の欠失、置換および/または付加を有するアミノ酸配列;
(3)配列番号1に記載のアミノ酸配列に対して95%以上の相同性を有するアミノ酸配列。
[3] 上記タンパク質PODXLが、下記(4)~(6)の何れかのアミノ酸配列を有する[1]または[2]に記載の膵癌の予後マーカー。
(4)配列番号2に記載のアミノ酸配列;
(5)配列番号2に記載のアミノ酸配列において1以上、25以下のアミノ酸の欠失、置換および/または付加を有するアミノ酸配列;
(6)配列番号2に記載のアミノ酸配列に対して95%以上の相同性を有するアミノ酸配列。
[4] 上記タンパク質BCL7Bが、下記(7)~(9)の何れかのアミノ酸配列を有する[1]~[3]のいずれか1項に記載の膵癌の予後マーカー。
(7)配列番号3に記載のアミノ酸配列;
(8)配列番号3に記載のアミノ酸配列において1以上、10以下のアミノ酸の欠失、置換および/または付加を有するアミノ酸配列;
(9)配列番号3に記載のアミノ酸配列に対して95%以上の相同性を有するアミノ酸配列。
[5] タンパク質ITGB1に対する抗体と、
タンパク質PODXLに対する抗体及び/またはタンパク質BCL7Bに対する抗体と、を含むことを特徴とする膵癌の予後診断キット。
[6] 上記タンパク質ITGB1が、下記(1)~(3)の何れかのアミノ酸配列を有する[5]に記載の膵癌の予後診断キット。
(1)配列番号1に記載のアミノ酸配列;
(2)配列番号1に記載のアミノ酸配列において1以上、10以下のアミノ酸の欠失、置換および/または付加を有するアミノ酸配列;
(3)配列番号1に記載のアミノ酸配列に対して95%以上の相同性を有するアミノ酸配列。
[7] 上記タンパク質PODXLが、下記(4)~(6)の何れかのアミノ酸配列を有する[5]または[6]に記載の膵癌の予後診断キット。
(4)配列番号2に記載のアミノ酸配列;
(5)配列番号2に記載のアミノ酸配列において1以上、25以下のアミノ酸の欠失、置換および/または付加を有するアミノ酸配列;
(6)配列番号2に記載のアミノ酸配列に対して95%以上の相同性を有するアミノ酸配列。
[8] 上記タンパク質BCL7Bが、下記(7)~(9)の何れかのアミノ酸配列を有する[5]~[7]のいずれか1項に記載の膵癌の予後診断キット。
(7)配列番号3に記載のアミノ酸配列;
(8)配列番号3に記載のアミノ酸配列において1以上、10以下のアミノ酸の欠失、置換および/または付加を有するアミノ酸配列;
(9)配列番号3に記載のアミノ酸配列に対して95%以上の相同性を有するアミノ酸配列。
[9] 膵癌の予後を予測するための方法であって、
タンパク質ITGB1と、タンパク質PODXL及びタンパク質BCL7Bからなる群より選択される1以上のタンパク質の試料における免疫組織染色のスコアまたは濃度を測定する工程を含むことを特徴とする方法。
[10] 上記タンパク質ITGB1が、下記(1)~(3)の何れかのアミノ酸配列を有する[9]に記載の方法。
(1)配列番号1に記載のアミノ酸配列;
(2)配列番号1に記載のアミノ酸配列において1以上、10以下のアミノ酸の欠失、置換および/または付加を有するアミノ酸配列;
(3)配列番号1に記載のアミノ酸配列に対して95%以上の相同性を有するアミノ酸配列。
[11] 上記タンパク質PODXLが、下記(4)~(6)の何れかのアミノ酸配列を有する[9]または[10]に記載の方法。
(4)配列番号2に記載のアミノ酸配列;
(5)配列番号2に記載のアミノ酸配列において1以上、25以下のアミノ酸の欠失、置換および/または付加を有するアミノ酸配列;
(6)配列番号2に記載のアミノ酸配列に対して95%以上の相同性を有するアミノ酸配列。
[12] 上記タンパク質BCL7Bが、下記(7)~(9)の何れかのアミノ酸配列を有する[9]~[11]のいずれか1項に記載の方法。
(7)配列番号3に記載のアミノ酸配列;
(8)配列番号3に記載のアミノ酸配列において1以上、10以下のアミノ酸の欠失、置換および/または付加を有するアミノ酸配列;
(9)配列番号3に記載のアミノ酸配列に対して95%以上の相同性を有するアミノ酸配列。
[13] タンパク質ITGB1と、タンパク質PODXL及び/またはタンパク質BCL7Bとの組み合わせの、膵癌の予後マーカーとしての使用。
[14] 上記タンパク質ITGB1が、下記(1)~(3)の何れかのアミノ酸配列を有する[13]に記載の使用。
(1)配列番号1に記載のアミノ酸配列;
(2)配列番号1に記載のアミノ酸配列において1以上、10以下のアミノ酸の欠失、置換および/または付加を有するアミノ酸配列;
(3)配列番号1に記載のアミノ酸配列に対して95%以上の相同性を有するアミノ酸配列。
[15] 上記タンパク質PODXLが、下記(4)~(6)の何れかのアミノ酸配列を有する[13]または[14]に記載の使用。
(4)配列番号2に記載のアミノ酸配列;
(5)配列番号2に記載のアミノ酸配列において1以上、25以下のアミノ酸の欠失、置換および/または付加を有するアミノ酸配列;
(6)配列番号2に記載のアミノ酸配列に対して95%以上の相同性を有するアミノ酸配列。
[16] 上記タンパク質BCL7Bが、下記(7)~(9)の何れかのアミノ酸配列を有する[13]~[15]のいずれか1項に記載の使用。
(7)配列番号3に記載のアミノ酸配列;
(8)配列番号3に記載のアミノ酸配列において1以上、10以下のアミノ酸の欠失、置換および/または付加を有するアミノ酸配列;
(9)配列番号3に記載のアミノ酸配列に対して95%以上の相同性を有するアミノ酸配列。
本発明によれば、高い感度と特異性を有し、且つ、膵癌患者の“予後”を予測できる癌マーカーが提供される。これにより、膵癌症例をより詳しく予後良好群と予後不良群に細分化でき、患者の状況に応じたよりきめ細やかな医療を提供できるようになり、結果として、膵癌患者の予後改善に貢献することが可能となる。また本発明は、膵癌の診療領域である消化器内科及び消化器外科において有益な臨床情報となり得る。
102例の膵癌術後症例の予後曲線を示す。 Vav3のカプランマイヤー曲線を示す。 Vav3の病理染色画像の一例(低発現)を示す。 Vav3の病理染色画像の一例(高発現)を示す。 PODXLのカプランマイヤー曲線を示す。 PODXLの病理染色画像の一例(低発現)を示す。 PODXLの病理染色画像の一例(高発現)を示す。 CCDC88Aのカプランマイヤー曲線を示す。 CCDC88Aの病理染色画像の一例(低発現)を示す。 CCDC88Aの病理染色画像の一例(高発現)を示す。 SCGB1D2のカプランマイヤー曲線を示す。 SCGB1D2の病理染色画像の一例(低発現)を示す。 SCGB1D2の病理染色画像の一例(高発現)を示す。 BCL7Bのカプランマイヤー曲線を示す。 BCL7Bの病理染色画像の一例(低発現)を示す。 BCL7Bの病理染色画像の一例(高発現)を示す。 ARHGEF4のカプランマイヤー曲線を示す。 ARHGEF4の病理染色画像の一例(低発現)を示す。 ARHGEF4の病理染色画像の一例(高発現)を示す。 WASF2のカプランマイヤー曲線を示す。 WASF2の病理染色画像の一例(低発現)を示す。 WASF2の病理染色画像の一例(高発現)を示す。 ITGB1のカプランマイヤー曲線を示す。 ITGB1の病理染色画像の一例(低発現)を示す。 ITGB1の病理染色画像の一例(高発現)を示す。
1.膵癌の予後マーカー
本発明に係る予後マーカーは、膵癌患者の予後を予測対象とする。前述の通り、膵癌患者の症例を、高い精度で予後良好群と予後不良群に細分化できれば、患者のQOLを考慮した治療法の選択に極めて有用であると考えられる。
本発明者が検討したところ、タンパク質ITGB1と、タンパク質PODXL及び/またはタンパク質BCL7Bとの組み合わせを含む予後マーカーは、驚くべきことに、膵癌患者の予後を、癌ステージに基づく予測よりも高い精度で予測できることが分かった。
またタンパク質ITGB1、タンパク質BCL7B、更には従来膵癌診断マーカーとして有効と考えられていたタンパク質PODXLでは、それぞれ単独でマーカーとして用いても、膵癌患者の予後の予測に対して癌ステージに勝る有意な結果が得られなかったものの、これらを組み合わせて初めて有意な結果が得られたことは、これまでの技術常識に反して意外なものである。
すなわち本発明に係る膵癌の予後マーカーは、タンパク質ITGB1(以下、「ITGB1」と略記する)と、タンパク質PODXL(以下、「PODXL」と略記する)及び/またはタンパク質BCL7B(以下、「BCL7B」と略記する)との組み合わせ、を含むことを特徴とする。当該タンパク質を検出対象とすることにより、高い感度と特異性をもって、膵癌患者の予後を予測することが可能となる。
本発明において「膵癌(患者)の予後」は、手術にて膵癌組織を摘出する前の膵癌術前の患者の予後、並びに手術にて膵癌組織を摘出した後の膵癌術後の患者の予後、を含む意味で用いる。本発明に係る膵癌の予後マーカー、膵癌の予後診断キット及び膵癌の予後を予測するための方法は、特に膵癌術後の患者の予後の予測に有用である。
本発明において上記「感度」とは、膵癌患者の予後に対する感度である。例えば、上記タンパク質を検出対象とした場合に、膵癌の予後が良好である患者では、予後が良好と判断される確率が高く、膵癌の予後が悪い患者では、予後が不良と判断される確率が高いことをいう。
また、本発明において上記「特異性」とは、膵癌患者の予後に対する特異性であって、上記タンパク質の量と膵癌患者の予後の有無との間に強い相関性がある一方で、上記タンパク質の量が、良性疾患や、膵癌以外の癌の手術を受けた患者の予後との相関性が無いか或いは低いことをいう。
膵癌の進行度合いを表す際、臨床現場では、癌ステージによる分類が広く用いられている。膵癌のステージ分類には、日本膵臓学会の膵癌取扱い規約に基づく分類と、国際的なUICC(国際対がん連合)分類の、2つの分類法があり、本明細書では、UICC分類を採用して議論することとする。前記2つの分類方法のいずれにおいても、膵癌のステージはI~IVの4段階に分かれており、前記ステージは、腫瘍の大きさ、隣接臓器(例えば、十二指腸、胆管、門脈系腹腔動脈、上腸間膜動脈等)への浸潤の有無、リンパ節転移の有無、遠隔転移の有無、等に基づき定められる。ステージは数字が増える程、膵癌がより進行していることを表し、例えば、膵癌が進行し遠隔転移がある症例は、ステージIVとなる。現在、癌ステージは、治療法の選択及び患者の予後予測因子として、最も重要な臨床情報として扱われているが、本発明に係る予後マーカーにより、この癌ステージに基づく予測よりも高い精度で膵癌患者の予後を予測できることは、当業界において極めて驚くべきことである。
ITGB1はインテグリンファミリーに属し、細胞表面の細胞接着受容体である。ITGB1は細胞外マトリックスと細胞内骨格をリンクしたり、細胞と細胞の接着に関与するが、癌細胞に対する特異的な機能は、膵癌を含めてほとんど解明されていない。
PODXLは、CD34関連ファミリーに属し、血液細胞の発育や分化、細胞の接着や形態形成の他、がん化の制御に関与する糖タンパク質である。ポドカリキシンは乳がん細胞や前立腺がん細胞の悪性表現型を増加させるとの報告もあり、がんの進行性マーカーとして用い得るとの報告もあるが、本発明者が把握している限り、膵癌患者の予後を予測対象とするマーカーとして有用であることが実験により証明されたことはない。
BCL7Bは、既知のドメインを持たず、機能が未知である。したがって、どのようなファミリーに属するかが不明であり、機能の推測も現時点では不可能である。本発明者の実施した膵癌細胞の新規浸潤・転移機構を解明する研究において同定され、現在機能解析中である。
上記ITGB1は配列番号1のアミノ酸配列を有し、上記PODXLは配列番号2のアミノ酸配列を有し、上記BCL7Bは配列番号3のアミノ酸配列を有する。
上記ITGB1、PODXL及びBCL7Bは、ヒトによっては一塩基多型といわれる変異を有する場合があり、かかる変異タンパク質も、本発明に係る予後マーカーとして有用である。即ち、本発明範囲には、上記予後マーカーが以下のアミノ酸配列を有する場合が含まれるものとする。
アミノ酸配列(1): 配列番号1に記載のアミノ酸配列;
アミノ酸配列(2): 配列番号1に記載のアミノ酸配列において1以上、10以下のアミノ酸の欠失、置換および/または付加を有し、且つ、膵癌患者の体液中に見出されるタンパク質のアミノ酸配列;
アミノ酸配列(3): 配列番号1に記載のアミノ酸配列に対して95%以上の相同性を有し、且つ、膵癌患者の体液中に見出されるタンパク質のアミノ酸配列;
アミノ酸配列(4): 配列番号2に記載のアミノ酸配列;
アミノ酸配列(5): 配列番号2に記載のアミノ酸配列において1以上、25以下のアミノ酸の欠失、置換および/または付加を有し、且つ、膵癌患者の体液中に見出されるタンパク質のアミノ酸配列;
アミノ酸配列(6): 配列番号2に記載のアミノ酸配列に対して95%以上の相同性を有し、且つ、膵癌患者の体液中に見出されるタンパク質のアミノ酸配列;
アミノ酸配列(7): 配列番号3に記載のアミノ酸配列;
アミノ酸配列(8): 配列番号3に記載のアミノ酸配列において1以上、10以下のアミノ酸の欠失、置換および/または付加を有し、且つ、膵癌患者の体液中に見出されるタンパク質のアミノ酸配列;
アミノ酸配列(9): 配列番号3に記載のアミノ酸配列に対して95%以上の相同性を有し、且つ、膵癌患者の体液中に見出されるタンパク質のアミノ酸配列。
上記アミノ酸配列(2)において、欠失、置換および/または付加の数としては、好ましくは8以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは3以下、より更に好ましくは1または2である。
上記アミノ酸配列(5)において、欠失、置換および/または付加の数としては、20以下、15以下または10以下が好ましく、8以下、6以下、5以下または4以下がより好ましく、1または2がよりさらに好ましい。
上記アミノ酸配列(8)において、欠失、置換および/または付加の数としては、好ましくは8以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは3以下、より更に好ましくは1または2である。
上記アミノ酸配列(3)における配列同一性としては、96%以上または98%以上が好ましく、99.0%以上、99.2%以上または99.5%以上がより好ましく、99.6%以上または99.8以上がよりさらに好ましい。
上記アミノ酸配列(6)における配列同一性としては、96%以上または98%以上が好ましく、99.0%以上、99.2%以上または99.5%以上がより好ましく、99.6%以上または99.8以上がよりさらに好ましい。
上記アミノ酸配列(9)における配列同一性としては、96%以上または98%以上が好ましく、99.0%以上、99.2%以上または99.5%以上がより好ましく、99.6%以上または99.8以上がよりさらに好ましい。
上記アミノ酸配列(2)、(3)、(5)、(6)、(8)及び(9)において、欠失、置換および/または付加の有無や位置、並びに配列同一性は、配列の直接の比較によって解析することが可能であり、具体的には、市販の配列解析ソフトウェア等を用いて解析することができる。
但し、これまでITGB1、PODXL、及びBCL7Bが、それぞれ、配列番号1、配列番号2、及び配列番号3のアミノ酸配列以外のアミノ酸配列を有するとの報告が無いため、前記ITGB1、PODXL、及びBCL7Bのアミノ酸配列は、それぞれ、配列番号1のアミノ酸配列、配列番号2のアミノ酸配列、及び配列番号3のアミノ酸配列からなることが好ましい。
本発明の膵癌の予後マーカーとしては、ITGB1とPODXLの組み合わせを含むもの、或いは、ITGB1とBCL7Bの組み合わせを含むものが好ましい。これらの組み合わせであれば、膵癌のステージIII・IVにも勝るハザード比を示すため、感度や特異性がより一層向上する。
2.膵癌の予後の診断方法
次に、上記膵癌の予後マーカーを検出対象とする膵癌の予後の診断方法を、工程毎に説明する。
(1) 試料の取得工程
本工程では、被験者から試料を取得する。ここでの試料とは、手術にて摘出した膵癌組織、血液、リンパ液、尿など被験者の体液に加えて、血清や血漿など、採取した体液を処理したものをいう。本工程で用いる試料としては、手術にて摘出した膵癌組織が好ましい。
(2) ITGB1と、PODXL及び/またはBCL7Bの測定工程
本工程では、ITGB1と、PODXL及びBCL7Bからなる群より選択される1以上のタンパク質の試料(好ましくは、手術にて摘出した膵癌組織)における免疫組織染色による染色スコアまたは濃度を測定する。
測定する量としては、所定量の試料における、ITGB1と、PODXL及びBCL7Bからなる群より選択される1以上のタンパク質の絶対量のみならず、試料におけるこれらのタンパク質の免疫組織染色による染色スコアまたは濃度であってもよい。
測定手段としては、試料におけるITGB1、PODXL、及びBCL7Bの量を測定できるものであれば特に制限されない。例えば、手術にて摘出した膵癌組織を用いた免疫組織染色による染色スコアや、紫外吸収法、Bradford法、Lowry法、BCA法といった分光光度分析法も用い得る。しかし、これら分光光度分析法は、試料に含まれる他成分の影響を受けるおそれがあるため、ITGB1、PODXL、またはBCL7Bに特異的に結合する抗体を用いたELISA法を用いることが好ましい。
(3) 判断工程
上記工程で得られた手術にて摘出した膵癌組織を用いた免疫組織染色による標的タンパク質の染色スコアまたは標的タンパク質量から、膵癌患者の予後を予測する。実際には、膵癌患者および非膵癌患者、さらには様々な進行度の膵癌患者から試料を得、同一条件で試料に含まれるITGB1、PODXL、及びBCL7Bの免疫組織染色による標的タンパク質の染色スコアまたは標的タンパク質量を測定しておき、データを蓄積しておく。かかる蓄積データと測定結果を照らし合わせ、膵癌被験者の予後を判断する。
3. 膵癌の予後診断キット
本発明に係る膵癌の予後診断キットは、タンパク質ITGB1に対する抗体と、タンパク質PODXLに対する抗体及び/またはタンパク質BCL7Bに対する抗体を含む。当該キットは、免疫組織染色による標的タンパク質のスコア化またはELISA法を用いた上記本発明方法で用いることができる。
より詳しくは、例えば、抗ITGB1抗体、並びに抗PODXL抗体及び/または抗BCL7B抗体により摘出膵癌組織に対して免疫組織染色を行い、発現量をスコア化する。スコア化により、ITGB1と、PODXL及びBCL7Bからなる群より選択される1以上の試料における発現量をスコア化することができる。また、抗ITGB1抗体、並びに抗PODXL抗体及び/または抗BCL7B抗体を結合させたプレートに被験者から得た試料を添加し、洗浄することにより、試料に含まれるITGB1と、PODXL及び/またはBCL7Bを特異的に結合させる。
次いで、プレートに結合させたITGB1と、PODXL及び/またはBCL7Bを、標識基を結合させた二次抗体などで検出し、当該標識基に応じた発色の強度などでITGB1と、PODXL及びBCL7Bからなる群より選択される1以上の試料における量を測定することができる。
本願は、2017年7月27日に出願された日本国特許出願第2017-145884号に基づく優先権の利益を主張するものである。2017年7月27日に出願された日本国特許出願第2017-145884号の明細書の全内容が、本願に参考のため援用される。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
(1) 被験者の選定
1999年から2014年の間に、高知大学医学部附属病院(高知県)および松山市民病院(愛媛県)で切除した膵癌症例102例を対象とした(表1)。高知大学医学部および松山市民病院の倫理委員会の承認を得た説明文書を用いて、患者本人から文書による同意を得てから症例登録を行った。手術にて膵癌組織を摘出後、速やかにホルマリン固定し、パラフィンブロックに包埋した。パラフィンブロックから作製したスライドを用いて各標的タンパク質に特異的な抗体を用いて免疫組織染色を行った。被験者102名の特徴を表1にまとめる。
Figure 0007246731000001
(2) 染色試験
本発明者は膵癌細胞の浸潤・転移機構の解明するための研究を行っている。独自に行った研究の成果として、膵癌細胞の浸潤・転移に関わっている8種のタンパク質(Vav3,PODXL,CCDC88A,SCGB1D2,BCL7B,ARHGEF4,WASF2,ITGB1)を同定した。これらの8種のタンパク質それぞれに対して特異的な市販抗体を用いて免疫組織染色を行い、下記の基準に基づき、染色結果をスコア化した。具体的には、切片上の腫瘍組織に占める陽性細胞の範囲(「1」<50%;「2」50-80%;「3」>80%)と、染色の強弱(「1」ランゲルハンス島より弱い;「2」ランゲルハンス島と同程度;「3」ランゲルハンス島より強い)のスコアを加算した値とした。スコア4以上を「高発現」、スコア3以下を「低発現」と判定した。膵癌患者102例の発現レベルの結果を下記表に示す。また各タンパク質の病理染色画像の一例を、図2-2、図2-3、図3-2、図3-3、図4-2、図4-3、図5-2、図5-3、図6-2、図6-3、図7-2、図7-3、図8-2、図8-3、図9-2、図9-3に示す。
Figure 0007246731000002
上記染色結果と、臨床病理学的因子を比較検討した。各タンパク質の発現と臨床病理学的パラメーターとの相関を表3~10に示す。
Figure 0007246731000003
Figure 0007246731000004
Figure 0007246731000005
Figure 0007246731000006
Figure 0007246731000007
Figure 0007246731000008
Figure 0007246731000009
Figure 0007246731000010
上記結果が示すように、PODXLには膵癌細胞の組織型との相関が認められたものの(P<0.05)、各タンパク質は概ね臨床病理学的因子との強い関連が認められなかった。すなわち、上記8種のタンパク質は、臨床病理学的因子との関連性が見出されないため、これら8種のタンパク質は、臨床ステージから独立した因子であるという知見が得られた。
(3) 8種のタンパク質と生存率との関係
まずカプランマイヤー法による全膵癌患者の生存率を示す(図1)。手術から最終観察までの期間は18カ月から192カ月であった(中央値64カ月)。全102症例の生存期間中央値は26カ月(95%信頼区間,23-33)、3年生存率は35.1%(95%信頼区間,25.6-44.8)、5年生存率は25.9%(95%信頼区間,17.2-35.5)であった。
次に、カプランマイヤー法を用いて、Vav3(図2-1),PODXL(図3-1),CCDC88A(図4-1),SCGB1D2(図5-1),BCL7B(図6-1),ARHGEF4(図7-1),WASF2(図8-1),ITGB1(図9-1)の高発現群と低発現群の生存率を比較した。いずれのタンパク質においても、高発現群の生存率は低発現群に比較して有意に低かった(P<0.05)。
また単変量・多変量解析では、いずれのタンパク質も膵癌患者の予後を規定する独立因子であった(P<0.05;表11)。
Figure 0007246731000011
これらの結果から、膵癌細胞における上記8種のタンパク質の発現は、膵癌患者の予後を予測し得る予後マーカーであることが明らかとなった。
(4) Cox比例ハザードモデルの検証
統計解析ソフトウェアとして、R version 3.3.1.‘survival’,and‘party’Packagesを使用した。
<主要評価項目>
回数で使用した変数アウトカムは、手術~最終観察日までの期間と生死である。
<予測因子>
・手術時の年齢;連続量とした。
・性別
・ステージ;ステージ0は2例しかないため、ステージ0とステージIを合わせた。ステージIIAとステージIIBを合わせてReferenceとした。またステージIIIとステージIVを合わせた。
・組織型;中分化型+低分化型と、PanIN-1+PanIN-2+高分化型の2つのカテゴリーに分けた。
・脈管侵襲;強弱(0+1と、2+3)の2つのカテゴリーに分けた。
・リンパ管侵襲;強弱(0+1と、2+3)の2つのカテゴリーに分けた。
・神経侵襲;強弱(0+1と、2+3)の2つのカテゴリーに分けた。
・8種のタンパク質(Vav3,PODXL,CCDC88A,SCGB1D2,BCL7B,ARHGEF4,WASF2,ITGB1);各タンパク質の染色スコアを3以下と4以上の2つのカテゴリーに分けた。
表12にCox proportional hazards regression modelによる単変量解析の結果を示す。上記8種のタンパク質では、オッズ比が1.80から2.89の範囲にあった。また臨床病理学因子の中で最もオッズ比が高かったものはステージIIIとステージIVを合わせた2.56であった。
Figure 0007246731000012
更に、Cox proportional hazards regression modelを用いた変数減少法による多変量解析の結果を表13に、同モデルの変数減増法による多変量解析の結果を表14に示す。
Figure 0007246731000013
Figure 0007246731000014
2つの変数選択法を用いた結果から、膵癌の予後を予測し得るCox比例ハザードモデルのハザードとしては、ステージ,PODXL,BCL7B,ITGB1,ARHGEF4が同定された。
(5) 効率的な組み合わせの選定
Cox proportional hazards regression modelを用いた変数減少法による多変量解析を行い、効率的な組み合わせを求めた。解析に際しては、上記「(4)Cox比例ハザードモデルの検証」で同定されたPODXL、BCL7B、ITGB1、及びARHGEF4の4つの中から、2つのタンパク質の組み合わせを全て選定し、上記「(2)染色試験」で求めた染色スコアを乗じた値を使用した。すなわち本項では、染色スコアの積が入ったモデルを考えることにより検証を行った。
解析に組み入れた因子は以下の通りである。
<因子>
・ステージ;ステージ0とステージIを合わせたものと、ステージIIIとステージIVを合わせたもの
・神経侵襲
・PODXL、BCL7B、ITGB1、ARHGEF4の染色スコア・神経侵襲のスコアと、各PODXL、BCL7B、ITGB1、ARHGEF4の染色スコアの積
・PODXL、BCL7B、ITGB1、及びARHGEF4の4つの中から、2つのタンパク質の組み合わせを全て選定し、各染色スコア同士の積
結果を表15に示す。
Figure 0007246731000015
表15が示すように、ITGB1とPODXLとの組み合わせ、或いは、ITGB1とBCL7Bとの組み合わせ、を含む因子は、5年生存率が低いステージIII~IV(3.0460)にも勝るハザード比を示していることが分かる。特にITGB1とPODXLの組み合わせでは、ハザード比が6.2670と極めて高いことが分かる。解析には、PODXL、BCL7B、ITGB1単独の染色スコアも因子として組み入れていたものの、変数減少法により解析途中で除外される結果となった。すなわち予後マーカーが、ITGB1とPODXLとの組み合わせ、或いは、ITGB1とBCL7Bとの組み合わせ、を含むことにより、優れた感度と特異性で、膵癌患者、特に膵癌術後の患者の予後を予測できることが分かった。
なお上記の評価に使用したタンパク質は、以下の配列番号のアミノ酸配列を有する。
Vav3;配列番号4
CCDC88A;配列番号5
SCGB1D2;配列番号6
ARHGEF4;配列番号7
WASF2;配列番号8
本発明に係る予後マーカーによれば、臨床の現場において、ステージ分類に勝る膵癌患者の“予後”の予測が可能となるため、膵癌患者に対して、膵癌患者の予後を考慮した適切な治療法の選定が可能となる。

Claims (6)

  1. タンパク質ITGB1と、
    タンパク質PODXL及び/またはタンパク質BCL7Bとの組み合わせ、を含むことを特徴とする膵癌の予後マーカー。
  2. タンパク質ITGB1に対する抗体と、
    タンパク質PODXLに対する抗体及び/またはタンパク質BCL7Bに対する抗体と、を含むことを特徴とする膵癌の予後診断キット。
  3. 上記タンパク質ITGB1が、下記(1)~(3)の何れかのアミノ酸配列を有する請求項に記載の膵癌の予後診断キット。
    (1)配列番号1に記載のアミノ酸配列;
    (2)配列番号1に記載のアミノ酸配列において1または2のアミノ酸の欠失、置換および/または付加を有するアミノ酸配列;
    (3)配列番号1に記載のアミノ酸配列に対して99.8%以上の相同性を有するアミノ酸配列。
  4. 上記タンパク質PODXLが、下記(4)~(6)の何れかのアミノ酸配列を有する請求項またはに記載の膵癌の予後診断キット。
    (4)配列番号2に記載のアミノ酸配列;
    (5)配列番号2に記載のアミノ酸配列において1または2のアミノ酸の欠失、置換および/または付加を有するアミノ酸配列;
    (6)配列番号2に記載のアミノ酸配列に対して99.8%以上の相同性を有するアミノ酸配列。
  5. 上記タンパク質BCL7Bが、下記(7)~(9)の何れかのアミノ酸配列を有する請求項のいずれか1項に記載の膵癌の予後診断キット。
    (7)配列番号3に記載のアミノ酸配列;
    (8)配列番号3に記載のアミノ酸配列において1のアミノ酸の欠失、置換および/または付加を有するアミノ酸配列;
    (9)配列番号3に記載のアミノ酸配列に対して99.8%以上の相同性を有するアミノ酸配列。
  6. 膵癌の予後を予測するための方法であって、
    タンパク質ITGB1と、タンパク質PODXL及びタンパク質BCL7Bからなる群より選択される1以上のタンパク質の試料における免疫組織染色のスコアまたは濃度を測定する工程を含むことを特徴とする方法。
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