JP7246292B2 - コンクリート床版及びコンクリート床版の形成方法 - Google Patents
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Description
このコンクリート床版は、プレキャストコンクリートからなる複数のパネルを桁上に配列したものであり、橋梁の一径間毎に3つのパネルからなる緊張定着用パネル群が設けられている。緊張定着用パネル群は、2つの定着パネルとこれらの間に配置される1つの連結パネルで構成され、複数の緊張定着用パネル群の間には複数の通常パネルが配列されている。緊張材は接続具によって接続され、順次に緊張力が導入されているが、一連の通常パネルとこれらの両側で隣接する2つの定着パネルとに連続するプレストレスを導入して、これらの両端に定着具が装着されている。したがって、連結パネルを撤去しても、その両側にある定着パネルと通常パネルのプレストレスは維持される。これにより、2つの緊張定着用パネル群の連結パネルを撤去し、2つの連結パネルとこれらの間にある一連の通常パネル及びこれに隣接する定着パネルとを撤去して、取り替えることができるものとなっている。
プレキャストコンクリートからなるパネルの一部に損傷が生じ、これを取り替えようとするときに、少なくとも2つの定着パネルと2つの連結パネルと、2つの定着パネルの間にある一連の通常パネルとを取り替えなければならない。このため、取り替えるパネルの数を最小限に抑えて補修の費用を低減しようとする要請に、充分に対応できるものではない。また、コンクリート床版を設置するときに、定着パネルにはキャップケーブルの定着用ブロックをあらかじめ設けておく必要がある。キャップケーブルはパネルの取り替え後に緊張定着用パネル群にプレストレスを導入するために用いられるものであり、コンクリート床版の設置時には使用しない定着用ブロックを、補修時に新たに配置するキャップケーブルのために設けておくことになる。
このように2つの中間定着具が対にして配置された任意の位置間でプレキャスト版の取り替えによる補修が可能となり、プレキャスト版に損傷が生じた範囲が小さいときにも、取り替えるプレキャスト版の数を限定して補修をすることができる。
また、コンクリート床版の新設時には、複数のプレキャスト版に連続した緊張材を挿通し、効率よくプレストレスを導入することができる
図1は、本発明のコンクリート床版を有する橋梁の構成を示す概略斜視図である。また、図2は、本発明のコンクリート床版を有する橋梁の一例を示す概略断面図、及び本発明のコンクリート床版の拡大断面図である。
この橋梁は、道路橋として用いられるものであり、橋台2又は橋脚3に支持された橋桁1の上にプレキャスト版10を配列し、これらを連結するとともに橋桁1に固定してコンクリート床版4としたものである。そして、それぞれのプレキャスト版10には橋桁1の軸線方向に複数のダクト11が設けられており、これらに挿通した緊張材12を緊張及び定着することによってコンクリート床版4には橋桁1の軸線方向のプレストレスが導入されている。
なお、上記第2の径間に配置されるプレキャスト版は、本発明の連続部プレキャスト版であり、第2の径間に配置される緊張材12bは、本発明の連続部緊張材である。そして、本実施の形態では緊張材12は径間ごとに配置されるものとなっているが、一つの径間を複数に分割してそれぞれについて緊張材を配置し、緊張及び定着を行うものであってもよい。また、複数の径間にわたって連続する緊張材を配置するものであってもよい。
一方、橋桁が単径間に架け渡されているときには、径間の全域に連続する緊張材を用いるのが望ましいが、複数に分割して緊張材を配置するものであってもよい。
くさび保持部材21の中空孔は内径が軸線方向へ徐々に縮小されており、緊張材12とくさび保持部材21との間にくさび22が押し入れられることによって緊張材12がくさび保持部材21に把持される。そして、くさび保持部材21が支圧板23に当接され、緊張材12の緊張力12がくさび保持部材21から支圧板23を介してプレキャスト版10に作用するものである。
なお、所定の数のプレキャスト版毎に配置される上記中間定着具14は、本実施の形態では3つのプレキャスト版毎に配置されているが、3つより多い数のプレキャスト版毎に設けられるものであってもよい。また、3つより少ない数のプレキャスト版毎に設けられるものであってもよく、各プレキャスト版の接合部毎に設けられるものであってもよい。
図4(a)に示すように橋桁1の第1の径間上にプレキャスト版10を配列する。配列したプレキャスト版10には、2つの中間定着具14が装着される位置Bに、図6(a)に示すように隣り合うプレキャスト版の双方に切り欠き10aが設けておく。これらの切り欠き10a内には、緊張材12aを挿通するためのダクト11が開口している。このダクト11の開口部には、中間定着具14の支圧板23をプレキャスト板10に固定しておく。また、緊張材12を挿通する前にくさび保持部材21も支圧板23に仮固定しておくのが望ましい。
これらのプレキャスト版のそれぞれの間には無収縮モルタル18を充填してプレキャスト版10が連続するコンクリート版とする。
この緊張材12aは、図5(a)に示すようにジャッキ17により緊張力を導入し、橋台2及び橋脚3の上で定着具16,15により定着する。緊張力が導入された後、切り欠き10a内に2つの支圧板23及びくさび保持部材21を配置した部分では、くさび保持部材21の仮固定を解放し、図6(c)に示すようにくさび保持部材21を支圧板23に当接した状態で、円筒状のくさび保持部材21の内周面と緊張材12との間にくさび22を押し入れる。くさび22はジャッキ等を用いて強く押し入れるのが望ましい。これにより、緊張材12aの緊張力を、支圧板23を介してプレキャスト版10に定着することが可能な状態となる。
2つの中間定着具14を装着した切り欠き10a内及び接続具13によって緊張材12a,12bの接続操作を行った切り欠き10b内にはコンクリートを充填して上面を平坦に仕上げる。
橋桁が3径間以上に連続するものであるときは、同様にプレキャスト版10の配列、緊張材12の挿入、緊張及び定着を順次に行い、橋桁1の全長にわたってコンクリート床版4を形成することができる。
この補修方法は、図7(a)中に示すC部に損傷が生じたとき、この損傷部分Cの両側で2つの中間定着具14が装着されている位置D,E間のプレキャスト版を撤去し、図7(b)に示すように新たなプレキャスト版20に取り替えて補修するものである。
損傷したプレキャスト版の撤去に当たり、損傷部分Cの両側にわたって連続して配置されている緊張材12は、図8(a)に示すように装着されている2つの中間定着具14の間で切断する。そして、取り替える部分に配置されている緊張材12cを撤去する。このとき、取り替える部分の両側に連続して配置されている緊張材12の緊張力は、残存させる方向に定着面14aを向けて装着されている中間定着具14によって、残存させる部分のプレキャスト版10に定着される。
新たに配置するプレキャスト版20のうちのほぼ中央部にあるプレキャスト版には、新たに配置する緊張材を定着するためのアンカー部材51が埋め込まれているものとする。上記アンカー部材51は、金属からなる2つの筒状部52が一体に結合されたものであり、それぞれの筒状部52の一端は、プレキャスト版内で反対側からこのアンカー部材51に向かって上面とほぼ平行に設けられた2つのダクト53と連通するものとなっている。それぞれの筒状部52の他端は、斜め下方に向けて開口しており、プレキャスト版20の下面に形成された切り欠き54内で露出している。
アンカー部材51と連通するダクト53の他端は、新たに配列されたプレキャスト版20の端部に設けられた切り欠き42内で開口しており、これらの開口の位置は切断した緊張材12の位置と対応している。
接続具56は、接続するそれぞれの緊張材12,55に装着されるくさび保持部材61と、くさび62と、を有するものである。2つのくさび保持部材61は筒状の連結部材63によって互いに連結されるものである。連結部材63は内周面に雌ねじが形成されるとともに外周面には雄ねじが形成されている。双方のくさび保持部材61の外周面には雄ねじが形成されており、連結部材63の雌ねじに双方のくさび保持部材61をねじり合わせて互いに連結するものとなっている。一方、連結部材63の外周面にはナット64がねじり合わされており、このナット64は図9(a)に示すように、連結部材63及びくさび保持部材61より新たな緊張材55が伸長される側に突き出すことができるものである。
新たなプレキャスト版20と残存させたプレキャスト版10との接合部の切り欠き42及びアンカー部材51が露出した切り欠き54にはコンクリート又はモルタルを充填する。
定着用突起71は、両側の残存する部分に配置されている緊張材12と接続した2つの新たな緊張材72が、橋桁の軸線方向で重複するように設ける。そして、図10(a)に示すように定着用突起71に開口するダクトから新たな緊張材72を挿入し、残存させた部分に配置されている緊張材73に接続具74を介して接続する。コンクリート床版の残存させた部分75と新たなプレキャスト版30との間にはコンクリート又はモルタルを充填してこれらを連続するものとし、図10(b)に示すように新たな緊張材72は定着突起71から突き出している部分を把持して緊張力を導入する。その後、新たな緊張材と72残存させた部分に配置されている緊張材73との接合部に設けられた切り欠き76には、コンクリート77を充填して接続具を埋め込む。
11:ダクト, 12:緊張材, 12a:第1の径間に配置された緊張材, 12b:第2の径間に配置された緊張材, 13:接続具, 14:中間定着具, 14a:中間定着具の定着面, 15:定着具, 16:定着具, 17:ジャッキ, 18:無収縮モルタル,
20:新たなプレキャスト版,
21:くさび保持部材, 22:くさび, 23:支圧板,
30:新たなプレキャスト版,
31,32:くさび, 33,34:くさび保持部材, 35:連結部材, 36:ナット, 37:支圧板,
41:新たに配置したプレキャスト版20と残存させたプレキャスト版との間隙, 42:新たなプレキャスト版20と残存させたプレキャスト版との接合部の切り欠き,
51:アンカー部材, 52:アンカー部材の筒状部, 53:ダクト, 54:新たなプレキャスト版に設けられた切り欠き, 55:新たな緊張材, 56:接続具,
61:くさび保持部材, 62:くさび, 63:連結部材, 64:ナット, 65:支圧板,
71:定着用突起, 72:新たな緊張材, 73:残存させた部分に配置されている緊張材, 74:接続具, 75:コンクリート床版の残存させた部分, 76:新たなプレキャスト版20と残存させたプレキャスト版との接合部の切り欠き, 77:切り欠きに充填したコンクリート
Claims (5)
- 橋桁の上に複数のプレキャスト版を配列し、前記橋桁の軸線方向にプレストレスを導入して複数の前記プレキャスト版を接合したコンクリート床版であって、
複数の前記プレキャスト版を連続して貫通する緊張材が配置され、
該緊張材は、緊張力が導入された状態で両端部が前記プレキャスト版に定着されており、
複数の前記プレキャスト版の内の所定数のプレキャスト版毎の接合部に、2つの中間定着具が連続する前記緊張材の中間部分に装着され、
2つの前記中間定着具は、前記緊張材の緊張力をプレキャスト版に伝達することができる定着面を互いに反対方向に向け、前記定着面の背後の面が互いに対向するように配置されていることを特徴とするコンクリート床版。 - 前記中間定着具は、前記緊張材が内側に挿通される円筒状のくさび保持部材と、前記くさび保持部材の内側で前記緊張材との間に介挿されるくさび、とを有するものであり、
緊張力が導入されている前記緊張材の中間部分と前記くさび保持部材との間に前記くさびが圧入されていることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート床版。 - 前記緊張材が配置された複数のプレキャスト版に隣接して他の複数の連続部プレキャスト版が配列され、
複数の前記連続部プレキャスト版を貫通するように連続部緊張材が配置され、
前記連続部緊張材は、前記プレキャスト版に定着された前記緊張材の端部に接続具を介して接続され、
前記接続具は、前記連続部プレキャスト版に前記連続部緊張材の緊張力を定着することが可能な状態に装着されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコンクリート床版。 - 橋桁の上に複数のプレキャスト版を配列する工程と、
前記プレキャスト版のそれぞれについて前記橋桁の軸線方向に形成されたダクト内に、連続する緊張材を挿通するとともに、複数の前記プレキャスト版の内の所定数のプレキャスト版毎に、前記プレキャスト版の接合部に形成された切り欠き内で2つの中間定着具に前記緊張材を挿通させる工程と、
前記緊張材に緊張力を導入し、両端部を前記プレキャスト版に定着する工程と、
前記緊張材が挿通された2つの前記中間定着具は、前記緊張材の緊張力をプレキャスト版に伝達することができる定着面を互いに反対方向に向け、前記定着面の背後の面が互いに対向するように配置し、前記定着面を介して前記緊張材の緊張力を定着することが可能に装着する工程と、
前記切り欠き内にコンクリート又はモルタルを充填し、前記中間定着具を埋め込む工程と、を有することを特徴とするコンクリート床版の形成方法。 - 前記中間定着具は、緊張材が内側に挿通される円筒状のくさび保持部材と、前記くさび保持部材の内側で前記緊張材を保持するくさび、とを有するものを用い、
前記くさび保持部材又は前記くさび保持部材と該くさび保持部材が当接される支圧板とを、前記プレキャスト版の前記ダクトの開口部分に固定した状態で、前記緊張材を前記ダクト内に挿通することを特徴とする請求項4に記載のコンクリート床版の形成方法。
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