JP7244226B2 - 鉄配合飲料、その製造方法、及び鉄味軽減方法 - Google Patents
鉄配合飲料、その製造方法、及び鉄味軽減方法 Download PDFInfo
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上記目的を達成するために、本発明の一態様では、鉄化合物を含有する鉄配合飲料において、酸味料を含有し、前記鉄化合物の鉄量としての濃度(mg/100mL)に対する前記酸味料の含有量(g/L)の比率が0.6~2.7であり、pHが1.9~6であることを特徴とする鉄配合飲料が提供される。
酸味料は、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、フィチン酸、リン酸、及びコハク酸から選ばれる少なくとも一種であってもよい。
本発明の別の態様では、鉄化合物を含有する鉄配合飲料の鉄味軽減方法において、酸味料を配合するとともに、前記鉄化合物の鉄量としての濃度(mg/100mL)に対する前記酸味料の含有量(g/L)の比率を0.6~2.7に調整し、pHを1.9~6に調整することを特徴とする鉄配合飲料の鉄味軽減方法が提供される。
以下、本発明の鉄配合飲料を具体化した第1実施形態を説明する。本実施形態の鉄配合飲料に適用される鉄化合物の種類としては、特に限定されず、二価鉄であっても、三価鉄であってもよい。これらの中で、二価鉄は、鉄味が強いため、本発明の効果発現性に優れる観点から二価鉄が含有される鉄配合飲料に好ましく適用される。従来、鉄配合飲料において鉄味をあまり呈さない三価鉄が鉄化合物として使用されてきたが、飲料に酸化防止剤等の還元剤を加えると、三価鉄は速やかに二価鉄に還元され、鉄味が生ずる。本実施形態の鉄配合飲料は、三価鉄と酸化防止剤とを併用する飲料に対して、より好ましく適用される。
(1)本実施形態の鉄配合飲料では、酸味料を含有し、鉄化合物の鉄量としての濃度(mg/100mL)に対する酸味料の含有量(g/L)の比率を0.6~2.7とし、pHを1.9~6とした。したがって、鉄配合飲料の鉄味を軽減し、風味を向上することができる。また、酸味を軽減させ、鉄味の軽減効果と酸味軽減効果のバランスを図ることができる。
以下、本発明の鉄配合飲料の製造方法を具体化した第2実施形態を説明する。なお、第2実施形態について、下記の記載以外は、第1実施形態の鉄配合飲料と同様の構成が適用される。
(3)本実施形態の鉄配合飲料の製造方法では、鉄化合物の鉄量としての濃度(mg/100mL)に対する酸味料の含有量(g/L)の比率を0.6~2.7に調整し、pHを1.9~6に調整する工程が含まれる。したがって、鉄配合飲料の鉄味を軽減し、風味が向上した鉄配合飲料を容易に製造することができる。
以下、本発明の鉄配合飲料の鉄味軽減方法を具体化した第3実施形態を説明する。なお、第3実施形態について、下記の記載以外は、第1実施形態の鉄配合飲料と同様の構成が適用される。
(4)本実施形態の鉄配合飲料の鉄味軽減方法では、鉄化合物の鉄量としての濃度(mg/100mL)に対する酸味料の含有量(g/L)の比率を0.6~2.7に調整し、pHを1.9~6に調整される。したがって、かかる比率及びpHを調整する前の鉄配合飲料に比べて、鉄配合飲料の鉄味が軽減し、風味が向上している。また、容易な方法により鉄配合飲料の鉄味を軽減することができる。
・上記実施形態の鉄配合飲料の用途は、特に限定されず、粉末果実が含有された飲料、その他の飲食品、医薬品等の分野において使用することができる。また、飲食品の用途としては、特に限定されず、いわゆる一般食品、健康食品、機能性食品、栄養補助食品、サプリメント、特定保健用食品、機能性表示食品等として適用することができる。
・上記実施形態の鉄配合飲料は、他のミネラル分、例えばカルシウム等を配合することを妨げるものではない。しかしながら、飲料の安定性向上の観点から、カルシウムの配合量は少量、例えば1質量%以下であることが好ましく、添加しないことがより好ましい。
<試験例1:鉄量と酸味料の比率>
鉄化合物として三価鉄を含むサンアクティブ(太陽化学社製)を使用した。酸化防止剤としてビタミンCをさらに添加し、鉄味が発生した水溶液を調整した。表1に記載される所定量の各種酸味料を調整された水溶液に添加し、鉄と酸味料が溶解した各例の鉄配合飲料を純水にて調製した。表1において、飲料中の「酸味料/鉄」は、鉄量としての濃度(mg/100mL)に対する酸味料の含有量(g/L)の比率を示す(以降の表中の記載も同様)。飲料のpHは、25℃におけるpHを示す(以降の表中の記載も同様)。
(鉄味)
鉄味が非常に強い場合を1点、鉄味がやや強く感じる場合を2点、鉄味を感じるが強くない場合を3点、鉄味を少し感じる場合を4点、鉄味を感じない場合を5点とした。8名のパネラーの平均値を算出し、結果を表1に示す。
酸味が非常に強い場合を1点、酸味がやや強く感じる場合を2点、酸味を感じるが強くない場合を3点、酸味が弱い場合を4点、酸味が非常に弱い場合を5点とした。8名のパネラーの平均値を算出し、結果を表1に示す。
鉄味と酸味とのバランスは、鉄味と酸味のバランスがとれ、風味が良いか否かを評価基準とした。悪い場合を1点、やや悪い場合を2点、普通の場合を3点、やや良い場合を4点、良い場合を5点とした。8名のパネラーの平均値を算出し、結果を表1に示す。
鉄化合物として三価鉄を含むサンアクティブ(太陽化学社製)を使用した。酸化防止剤としてビタミンCをさらに添加し、鉄味が発生した水溶液を調整した。表2に記載される所定量の各種酸味料を調整された水溶液に添加し、鉄と酸味料が溶解した各例の鉄配合飲料を調製した。
鉄化合物として三価鉄を含むサンアクティブ(太陽化学社製)を使用した。酸化防止剤としてビタミンCをさらに添加し、鉄味が発生した水溶液を調整した。表3~5に記載される所定量の各種酸味料を調整された水溶液に添加し、鉄と酸味料が溶解した各例の鉄配合飲料を調製した。
実施例12,13は、比較例6の鉄配合飲料を基準として、鉄味が軽減していると答えたパネラーの人数から効果認識率を求めた。結果を表3に示す。
実施例16~18は、比較例3の鉄配合飲料を基準として、鉄味が軽減していると答えたパネラーの人数から効果認識率を求めた。結果を表5に示す。
表5に示されるように飲料のpHが所定の範囲において鉄味の軽減効果が得られることが確認された。
Claims (5)
- 二価鉄、ピロリン酸第二鉄、リン酸第二鉄、水酸化第二鉄、及び酸化第二鉄から選ばれる少なくとも一種の鉄化合物を鉄量の濃度として2~8mg/100mL含有する鉄配合飲料において、
酸味料を含有し、前記鉄化合物の鉄量としての濃度(mg/100mL)に対する前記酸味料の含有量(g/L)の比率が0.6以上12/4.84以下であり、
pHが1.9~6であることを特徴とする鉄配合飲料(トレハロースを含有する鉄組成物、シクロフラクタンを含有する鉄化合物含有飲食品、鉄化合物及びイソマルトオリゴ糖を含有し、pHが2.5~4.0である鉄化合物含有飲食品、又は鉄分含量1.2%のピロリン酸第二鉄製剤0.292g/50mL及びクエン酸0.4g/50mL含有するpH3.3の液体飲料を除く)。 - 前記酸味料は、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、フィチン酸、リン酸、及びコハク酸から選ばれる少なくとも一種である請求項1に記載の鉄配合飲料。
- 二価鉄、ピロリン酸第二鉄、リン酸第二鉄、水酸化第二鉄、及び酸化第二鉄から選ばれる少なくとも一種の鉄化合物を鉄量の濃度として2~8mg/100mL配合する鉄配合飲料の製造方法において、
酸味料を配合するとともに、前記鉄化合物の鉄量としての濃度(mg/100mL)に対する前記酸味料の含有量(g/L)の比率を0.6以上12/4.84以下に調整し、pHを1.9~6に調整することを特徴とする鉄配合飲料(トレハロースを含有する鉄組成物、シクロフラクタンを含有する鉄化合物含有飲食品、鉄化合物及びイソマルトオリゴ糖を含有し、pHが2.5~4.0である鉄化合物含有飲食品、又は鉄分含量1.2%のピロリン酸第二鉄製剤0.292g/50mL及びクエン酸0.4g/50mL含有するpH3.3の液体飲料を除く)の製造方法。 - 前記鉄化合物としてピロリン酸第二鉄、リン酸第二鉄、水酸化第二鉄、及び酸化第二鉄から選ばれる少なくとも一種の三価鉄化合物、並びに酸化防止剤が添加される請求項3に記載の鉄配合飲料の製造方法。
- 鉄化合物を鉄量の濃度として2~8mg/100mL含有する鉄配合飲料の鉄味軽減方法において、
酸味料を配合するとともに、前記鉄化合物の鉄量としての濃度(mg/100mL)に対する前記酸味料の含有量(g/L)の比率を0.6~2.7に調整し、pHを1.9~6に調整することを特徴とする鉄配合飲料(クエン酸鉄アンモニウム、クエン酸、及びクエン酸ナトリウムを含み、pHを3.5に調整された内服液剤、トレハロースを含有する鉄組成物、シクロフラクタンを含有する鉄化合物含有飲食品、鉄化合物及びイソマルトオリゴ糖を含有し、pHが2.5~4.0である鉄化合物含有飲食品、又は鉄分含量1.2%のピロリン酸第二鉄製剤0.292g/50mL及びクエン酸0.4g/50mL含有するpH3.3の液体飲料を除く)の鉄味軽減方法。
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食品と科学,2000年,Vol.42,No.2,pp.86-91 |
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