JP7243964B2 - フィルタエレメント - Google Patents

Description

本発明は、圧縮空気中に混入した液体や塵埃等の異物を除去するための空気圧フィルタに使用するフィルタエレメントに関するものである。

圧縮空気によって空気圧シリンダや空気圧モータ等の空気圧アクチュエータを作動させる場合、油分及び水分等の液体や塵埃が混入していない清浄な圧縮空気を使用することが要求される。このため、通常、前記空気圧アクチュエータに圧縮空気を供給する空気圧回路には、該圧縮空気から前記液体や塵埃等の異物を除去するため、例えば特許文献１に開示されているような空気圧フィルタが使用される。この種の空気圧フィルタは、一般に、図８に示すように、入口ポート４２及び出口ポート４３を有するフィルタケース４１の内部に、異物を除去するための中空のフィルタエレメント４４を有している。

前記フィルタエレメント４４は、円筒形のフィルタ本体４５と、該フィルタ本体４５の上端部に取り付けられた上部キャップ４６と、前記フィルタ本体４５の下端部に取り付けられた下部キャップ４７とを有している。
前記フィルタ本体４５は、中央空間４８を取り囲む円筒形の内側コア４９と、該内側コア４９の外周を取り囲む内側濾過部材５０と、該内側濾過部材５０の外周を取り囲む円筒形の外側コア５１と、該外側コア５１の外周を取り囲む外側濾過部材５２とで構成されている。
また、前記内側コア４９及び外側コア５１は、パンチングメタルにより形成されていて、コア全体に通気孔が均等に開設されている。

前記空気圧フィルタにおいて、圧縮空気が、前記フィルタケース４１の入口ポート４２から、上部キャップ４６のエア導入口５３を通じてフィルタ本体４５の中央空間４８内に導入されると、該圧縮空気は、図８及び図９に矢印で示すように、前記内側コア４９の各通気孔４９ａから内側濾過部材５０の内部に流入し、該内側濾過部材５０を通過したあと、前記外側コア５１の各通気孔５１ａを通って前記外側濾過部材５２の内部に流入し、該外側濾過部材５２を通過して前記フィルタエレメント４４の外部へと流出し、前記フィルタケース４１の出口ポート４３に向かって流れていく。このとき、前記圧縮空気中の油分や水分等の液体は、前記内側濾過部材５０及び外側濾過部材５２で捕集され、凝縮しながら次第に大きな液滴に成長し、自重で下方へと移動して前記フィルタケース４１の内部に落下する。

ところで、前記フィルタエレメント４４において、前記上部キャップ４６のエア導入口５３から中央空間４８内に導入された圧縮空気は、通常、該中央空間４８から、前記フィルタエレメント４４の外部に向けて、前記フィルタ本体４５の内部を最短のルートを通って流れる。この場合、前記内側コア４９及び外側コア５１の全面に通気孔４９ａ，５１ａが一様に形成されているため、前記中央空間４８内に導入された圧縮空気は、該中央空間４８から、前記内側コア４９の各通気孔４９ａ、内側濾過部材５０、外側コア５１の各通気孔５１ａ、及び外側濾過部材５２の内部を、ほぼ水平に横切るように流れる。このため、前記内側濾過部材５０及び外側濾過部材５２で一旦捕集された液滴が、前記圧縮空気の流れに乗って横に移動し、該圧縮空気と一緒に前記外側濾過部材５２から外部に再飛散して該圧縮空気中に混入し易いという問題があった。特に、前記中央空間４８の内部においては、上端部側（入口側）ほど空気圧が高いため、該中央空間４８の上端部側で液滴が再飛散する割合が高い。

実開昭６０－１６６０２０号公報

本発明の技術的課題は、フィルタエレメントの内部を流れる圧縮空気の流れをコントロールすることにより、凝集した液滴の外部への再飛散を防いで圧縮空気中への該液滴の混入を防止することにある。

前記課題を解決するため、本発明のフィルタエレメントは、円筒形をしたフィルタ本体と、該フィルタ本体の上端に取り付けられた上部キャップと、前記フィルタ本体の下端に取り付けられた下部キャップとを有している。
前記フィルタ本体は、該フィルタ本体の内部を中心軸線に沿って延びる中央空間と、該中央空間を取り囲む円筒形の内側コアと、該内側コアの外周を取り囲む内側濾過部材と、該内側濾過部材の外周を取り囲む円筒形の外側コアと、該外側コアの外周を取り囲む外側濾過部材とを有している。
前記上部キャップは、前記中央空間の上端部に嵌合して該中央空間内に圧縮空気を導入するノズル部と、前記外側濾過部材の外周を取り囲む筒状のスカート部とを有し、
前記下部キャップは、前記中央空間の下端部を塞ぐ閉塞部を有し、前記中央空間の内部には、前記上部キャップに設けられた前記ノズル部の下端と、前記下部キャップに設けられた前記閉塞部の上端との間に、中央流路が形成されている。
また、前記内側コアには、前記中央流路に面する部分の全周に通気孔が形成され、前記外側コアは、通気孔が全周に形成されている有孔部と、通気孔が形成されていない無孔部とを有し、該無孔部が前記中央流路に沿って形成されている範囲は、該中央流路の上下方向中央位置より上方位置から、該中央流路の上端までの範囲であり、前記有孔部が前記中央流路に沿って形成されている範囲は、前記無孔部の下端から該中央流路の下端までの範囲である。

本発明において好ましくは、前記内側濾過部材の上部は、前記中央流路の上部において、通気孔を有する前記内側コアと、前記外側コアの無孔部との間に介在しており、それによって前記内側コアと前記外側コアの無孔部との間に、前記中央流路から前記内側コアの通気孔を通って該内側コアと前記外側コアとの間に流入した圧縮空気が前記内側濾過部材に沿って下向きに流れる下向き流路が形成されている。

また、本発明において好ましくは、前記外側コアの無孔部は、前記上部キャップに設けられた前記スカート部の下端より下方位置まで延在している。

更に、本発明において好ましくは、前記中央流路の上下方向長さに対して、前記外側コアに設けられた前記無孔部の上下方向長さが占める割合は、１０－３５％である。

また、本発明において好ましくは、前記上部キャップが、前記ノズル部に通じる空気流入口を有し、該空気流入口の内径は前記ノズル部及び中央流路の内径より大きく、前記ノズル部の内径は前記中央流路の内径より小さいことである。

本発明によれば、外側コアの上部に、通気孔が設けられていない無孔部を、中央流路の上部を取り囲むように形成し、該無孔部でフィルタエレメントの内部を通過する圧縮空気の流れの方向をコントロールするようにしたので、圧縮空気の流速が速い前記中央流路の上部において、凝集した液滴が圧縮空気の流れに乗って外部へ再飛散するのを防止し、圧縮空気中への該液滴の混入を防ぐことができる。

本発明に係るフィルタエレメントの一実施形態を示す斜視図である。 図１のフィルタエレメントの中央縦断面図である。 図１のフィルタエレメントの分解図である。 図１のフィルタエレメントの一部を破断した部分破断斜視図である。 図１のフィルタエレメントの他の一部を破断した部分破断斜視図である。 前記フィルタエレメントの外側濾過部材と上部キャップ及び下部キャップの一部とを破断した断面図である。 図２の部分拡大図であって、外側濾過部材を省略して示す図である。 公知の空気圧フィルタの断面図である。 図８の部分拡大図である。

図１－７には本発明に係るフィルタエレメント１の一実施形態が示されている。このフィルタエレメント１は、中空円筒形をしたフィルタ本体２と、該フィルタ本体２の中心軸線Ｌ方向の一端である上端に取り付けられた円形の上部キャップ３と、反対側の下端に取り付けられた円形の下部キャップ４とを有している。

前記フィルタ本体２は、該フィルタ本体２の内部を中心軸線Ｌに沿って上下に延びる中央空間５と、該中央空間５の回りを取り囲む多孔状をした円筒形の内側コア６と、該内側コア６の外周を取り囲む中空の内側濾過部材７と、該内側濾過部材７の外周を取り囲む多孔状をした円筒形の外側コア８と、該外側コア８の外周を取り囲む中空の外側濾過部材９とを有している。以下の説明において、「中心軸線方向」と「上下方向」とは、実質的に同じ意味である。

前記内側濾過部材７は、前記外側濾過部材９よりも圧縮空気の流れの上流側に位置し、主として、該圧縮空気中に含まれる塵埃と、ミスト状あるいは液滴状をした油分や水分等の液体とを捕集するものである。この内側濾過部材７は、蛇腹状に折曲した濾材を円筒状に丸めることにより形成したもので、この内側濾過部材７が、折山部７ａを前記中心軸線Ｌと平行に向けた姿勢で前記内側コア６と外側コア８との間に介設されている。
前記内側濾過部材７は、蛇腹状に折曲されているため、平坦なシート状の濾材を円筒状に丸めて形成したものに比べ、濾過面積が大きい。

一方、前記外側濾過部材９は、前記内側濾過部材７よりも圧縮空気の流れの下流側に配置され、主として、前記内側濾過部材７で捕集された油分や水分等の液体を、前記圧縮空気から分離して前記下部キャップ４まで導く役目を果たすものであり、前記外側コア８の外周に、該外側コア８を介して前記内側濾過部材７の外周を取り囲むように配設されている。従って、該外側濾過部材９は、液体と圧縮空気とを分離するための分離層と呼ぶこともできる。

前記内側濾過部材７及び外側濾過部材９は、例えば、直径が数μｍ－数十μｍ程度の微細な化学繊維を、規則的にあるいは不規則に積層して形成した繊維シートや、積層した化学繊維を接着剤や融着あるいは絡着等の方法で接合して形成した不織布、セラミック製微細粒子の集合体、あるいは合成樹脂製多孔質シート等により形成することができる。また、前記内側濾過部材７は、前記外側濾過部材９より細径の繊維を使用して空隙率（目の粗さ）を小さくすることにより、微細な塵埃や、油分あるいは水分等の細かいミストを確実に捕集することができる程度に緻密に形成されている。これに対して前記外側濾過部材９は、前記内側濾過部材７より太径の繊維を使用して空隙率（目の粗さ）を大きくすることにより、前記内側濾過部材７が捕集した油分や水分等の液体を下部キャップ４まで速やかに導くことができるように形成されている。従って、前記内側濾過部材７は細目の濾過部材であり、前記外側濾過部材９は粗目の濾過部材であるということができる。

前記上部キャップ３は、前記フィルタ本体２の上端部のうち前記中央空間５以外の部分を塞ぐ円環形の蓋部１２と、該蓋部１２の外周を取り囲むリング状のフランジ部１３とを有し、該フランジ部１３と前記蓋部１２とは、放射状に位置する複数の連結部１４で相互に連結されている。

前記蓋部１２の中央には、圧縮空気が流入する円筒形の空気流入口１５と、該空気流入口１５に連通する円筒形のノズル部１６とが、中心軸線Ｌに沿って同軸状に形成され、前記空気流入口１５は、前記蓋部１２の上方に突出し、前記ノズル部１６は、前記蓋部１２の下方に突出して、前記フィルタ本体２の中央空間５の上端部に嵌合している。

前記空気流入口１５の内径は、該空気流入口１５の全長に渡って一定であり、前記ノズル部１６の内径も、該ノズル部１６の全長に渡って一定である。また、前記空気流入口１５の内径は、前記ノズル部１６及び中央空間５の内径より大きく、図示した例で、前記空気流入口１５の内径は、前記ノズル部１６の内径の約２倍の大きさに形成されている。このため、前記空気流入口１５とノズル部１６とが連なる位置に、円錐面状をした傾斜段部１７が形成されている。また、前記ノズル部１６の内径は、前記中央空間５の内径より小さい。

また、前記蓋部１２の外周には、前記外側濾過部材９の上端部外周を取り囲む筒状のスカート部１８が、下向きに突出するように形成されており、該スカート部１８の下端１８ａと前記ノズル部１６の下端１６ａとは、上下方向の同位置を占めている。しかし、前記スカート部１８の下端１８ａは、前記ノズル部１６の下端１６ａより下方に延出していても良い。

前記下部キャップ４は、前記フィルタ本体２の下端部を塞ぐもので、前記中央空間５の下端部に嵌合して該中央空間５の下端を塞ぐ短円柱形をした閉塞部２０と、該閉塞部２０を取り囲むように形成された円環状の凹溝部２１と、前記外側濾過部材９の下端部外周を取り囲む外周壁２２とを有し、前記凹溝部２１の内部に、前記内側コア６、内側濾過部材７、外側コア８、及び外側濾過部材９の下端部が嵌合している。

前記外周壁２２の上部内周には、該外周壁２２の上端２２ａより低い位置に、環状の支持段部２３が形成され、該支持段部２３上に、前記外側濾過部材９の下端部が当接している。前記支持段部２３の上面と前記閉塞部２０の上端２０ａとは、上下方向の同位置にある。従って、前記外周壁２２の上端２２ａは、前記閉塞部２０の上端２０ａより高い位置にあり、前記外側濾過部材９の下端も、前記内側コア６、内側濾過部材７、及び外側コア８の下端より高い位置にある。

前記外周壁２２の内部には、前記支持段部２３の上面から該外周壁２２の下面２２ｂまで貫通する複数の排出口２４が、前記中心軸線Ｌの回りに放射状に形成され、前記外側濾過部材９の内部を流下した液滴（ドレン）と、前記内側濾過部材７で濾過されて前記凹溝部２１内に溜まったドレンとが、該排出口２４を通じてフィルタエレメント１の外部に排出されるようになっている。

このようにして前記フィルタ本体２の上端及び下端に前記上部キャップ３及び前記下部キャップ４を取り付けることにより、前記中央空間５の内部には、前記上部キャップ３に設けられた前記ノズル部１６の下端１６ａと、前記下部キャップ４に設けられた前記閉塞部２０の上端２０ａとの間に、圧縮空気が導入される中央流路１０が形成されている。

前記内側コア６及び外側コア８は、多数の通気孔２５，２６を打ち抜いたパンチングメタルを円筒形に丸めることによって形成されたもので、前記フィルタ本体２の強度を保つ役目を果たすものである。

前記内側コア６には、前記中央流路１０に面する部分の全周に、前記通気孔２５が均等に形成されている。
一方、前記外側コア８は、通気孔２６が全周に均等に形成されている有孔部８ｂと、通気孔が全く形成されていない無孔部８ａとを有している。
前記無孔部８ａが前記中央流路１０の長さ方向（上下方向）に形成されている範囲は、図６に示すように、該中央流路１０の長さＡの中央位置Ｃより上方の位置から、該中央流路１０の上端（ノズル部１６の下端１６ａ）までの範囲である。また、該無孔部８ａは、前記スカート部１８の下端１８ａより下方位置まで延在している。
これに対し、前記有孔部８ｂが前記中央流路１０の長さ方向に形成されている範囲は、前記無孔部８ａの下端から、前記中央流路１０の下端（閉塞部２０の上端２０ａ）までの範囲である。

これにより、前記内側濾過部材７の上部は、前記中央流路１０の上部において、通気孔２５を有する前記内側コア６と、前記外側コア８の無孔部８ａとの間に介在し、前記外側濾過部材９の上部内周面は、前記外側コア８の無孔部８ａで覆われていることになる。
なお、前記内側コア６に形成された通気孔２５の孔径と、前記外側コア８に形成された通気孔２６の孔径とは、互いに等しく、前記内側コア６における前記通気孔２５の形成密度と、前記外側コア８における通気孔２６の形成密度も、互いに等しい。

前記構成を有するフィルタエレメント１は、図２に鎖線で示すような、浄化前の圧縮空気が流入する入口ポート３１と浄化後の圧縮空気が流出する出口ポート３２とを有するフィルタケース３０の内部に収容される。そして、前記入口ポート３１からの圧縮空気が、前記上部キャップ３の空気流入口１５からノズル部１６を通じて前記中央流路１０内に導入されると、該圧縮空気は、前記内側コア６の通気孔２５から、前記内側濾過部材７、外側コア８の通気孔２６、及び外側濾過部材９を次々に通過し、その間に、前記内側濾過部材７及び外側濾過部材９によって油分や水分等の液体や塵埃等が分離されたあと、前記フィルタケース３０の出口ポート３２から流出して不図示の流体圧機器に供給される。

このとき、前記内側濾過部材７で捕集された液体は、最初は微細な粒子であったものが次第に凝集して大きな粒子になっていき、それに伴い、重力の作用により前記内側濾過部材７及び外側濾過部材９に沿って下方に移動し、移動する間に互いに結合して更に大きな液体粒子となり、前記下部キャップ４に達する。そして、前記内側濾過部材７に沿って流下した液体は、前記下部キャップ４の凹溝部２１内に達したあと、前記支持段部２３をオーバーフローして前記排出口２４からフィルタケース３０の内部に落下する。一方、前記外側濾過部材９に沿って流下した液体は、前記支持段部２３に到達したあと、前記排出口２４からフィルタケース３０の内部に落下する。該フィルタケース３０の内部に溜まったドレンは、排出口３４から適宜排出される。

このときの前記圧縮空気の流れについて、図７により詳細に説明する。この図７においては、外側コア８の通気孔２６の配置を分かり易くするため、前記内側濾過部材７の記載は省略され、該内側濾過部材７は鎖線で示されている。

前記図７において、圧縮空気は、大径の前記空気流入口１５から小径のノズル部１６に流入することにより流量を絞られて流速を高められたあと、該ノズル部１６から、該ノズル部１６より大径の前記中央流路１０内に拡散状態（乱流状態）で導入される。
前記中央流路１０内に導入された圧縮空気は、前記中央流路１０から前記外側濾過部材９の外部に向けて、前記フィルタ本体２の内部を最短のルートを通って流れようとする。この場合、前記中央流路１０の内部では、その上部（入口）側の空気圧が下部側より高いため、通常では、該上部側において圧縮空気の流速は速くなる。

しかし、前記外側コア８の上部には前記無孔部８ａが形成されているため、前記中央流路１０の上部において、前記内側コア６の通気孔２５から内側濾過部材７の内部に流入した圧縮空気は、前記無孔部８ａに遮られてその位置で前記外側コア８を横向き（水平方向）に通過することができず、該無孔部８ａに沿って下向きに流れを変える。そして、一部の圧縮空気は前記内側濾過部材７に沿って真下に向けて流れ、残りの圧縮空気は斜め下方に向けて流れる。このため、前記内側濾過部材７で捕集された液体は、自重と、前記圧縮空気の下向きの流れによる推進力との作用により、下方へと速やかに移動する。

そして、前記圧縮空気の下向きの流れが、前記外側コア８の有孔部８ｂに達すると、該圧縮空気は、前記外側コア８の通気孔２６から前記外側濾過部材９の内部を斜め下向きに流通し、前記フィルタエレメント１の外部に流出したあと、前記フィルタケース３０の出口ポート３２から流出する。このとき、凝集した液体は、前記外側濾過部材９の内部で、前記圧縮空気によって斜め下向きの推進力を受けるため、この下向きの推進力と自重とにより、前記外側濾過部材９の内部を速やかに下方に移動して前記圧縮空気から分離され、該圧縮空気の流れに乗って再飛散するのが防止される。

従って、前記内側コア６と前記外側コア８の無孔部８ａとの間には、前記中央流路１０から前記内側コア６の通気孔２５を通って流入した圧縮空気が前記内側濾過部材７に沿って下向きに流れる下向き流路２８が形成されているということができる。

また、前記圧縮空気中に含まれる慣性力の大きい塵埃等のドレン粒子は、該圧縮空気の流速が前記ノズル部１６で高められることにより、慣性力によって該前記中央空間５の奥即ち下方位置まで送り込まれ、主として前記内側濾過部材７及び外側濾過部材９の下部で捕集される。これにより、前記ドレン粒子が内側濾過部材７及び外側濾過部材９の上部で捕集された場合のように、該ドレン粒子が前記内側濾過部材７及び外側濾過部材９に沿って下方に移動する途中で圧縮空気の流れに乗って再飛散するのが防止される。

本発明者が行った実験によると、凝集した液滴の再飛散を防止するのに非常に有効であると認められる前記無孔部８ａの割合、即ち、図６において、前記中央流路１０の中心軸線Ｌ方向長さＡに対して、前記無孔部８ａの中心軸線Ｌ方向長さＢが占める割合は、１０－３５％の範囲内であり、より好ましい範囲は１５－３０％であった。

前記無孔部８ａの割合が１０％より小さくなると、ある程度の再飛散防止効果は認められるが、効果の度合いは小さく、前記割合が小さくなるほど、前記内側濾過部材７及び外側濾過部材９で一旦捕集された液滴が、前記圧縮空気の流れに乗って前記外側濾過部材９から外部に再飛散し、該圧縮空気中に混入し易くなった。

また、前記無孔部８ａの割合が３５％より大きくなると、前記有孔部８ｂの範囲が狭くなって外側コア８の開口率が減少するため、通気孔２６が絞りとなり、前記中央流路１０内の空気圧が、前記有孔部８ｂに対応する部分で高くなる。その結果、前記外側コア８の各通気孔２６を通過する圧縮空気の流速が速くなるため、前記内側濾過部材７及び外側濾過部材９で捕集された液滴が、流速の速い空気流に乗って再飛散する度合いは大きくなる。特に、前記無孔部８ａの割合が５０％を超えると、液滴が再飛散するのを防止する効果の向上を殆ど期待することができないことが分かった。

１ フィルタエレメント
２ フィルタ本体
３ 上部キャップ
４ 下部キャップ
５ 中央空間
６ 内側コア
７ 内側濾過部材
８ 外側コア
８ａ 無孔部
８ｂ 有孔部
９ 外側濾過部材
１０ 中央流路
１５ 空気流入口
１６ ノズル部
１６ａ 下端
２０ 閉塞部
２０ａ 上端
２４ 排出口
２５，２６ 通気孔
２８ 下向き流路
Ａ 中央流路の長さ
Ｂ 無孔部の長さ
Ｃ 中央位置
Ｌ 中心軸線

Claims (5)

1. 円筒形をしたフィルタ本体と、該フィルタ本体の上端に取り付けられた上部キャップと、前記フィルタ本体の下端に取り付けられた下部キャップとを有し、
   前記フィルタ本体は、該フィルタ本体の内部を中心軸線に沿って延びる中央空間と、該中央空間を取り囲む円筒形の内側コアと、該内側コアの外周を取り囲む内側濾過部材と、該内側濾過部材の外周を取り囲む円筒形の外側コアと、該外側コアの外周を取り囲む外側濾過部材とを有し、
   前記上部キャップは、前記中央空間の上端部に嵌合して該中央空間内に圧縮空気を導入するノズル部と、前記外側濾過部材の外周を取り囲む筒状のスカート部とを有し、
   前記下部キャップは、前記中央空間の下端部を塞ぐ閉塞部を有し、
   前記中央空間の内部には、前記上部キャップに設けられた前記ノズル部の下端と、前記下部キャップに設けられた前記閉塞部の上端との間に、中央流路が形成され、
   前記内側コアには、前記中央流路に面する部分の全周に通気孔が形成され、
   前記外側コアは、通気孔が全周に形成されている有孔部と、通気孔が形成されていない無孔部とを有し、該無孔部が前記中央流路に沿って形成されている範囲は、該中央流路の上下方向中央位置より上方位置から、該中央流路の上端までの範囲であり、前記有孔部が前記中央流路に沿って形成されている範囲は、前記無孔部の下端から該中央流路の下端までの範囲である、
   ことを特徴とするフィルタエレメント。
2. 前記内側濾過部材の上部は、前記中央流路の上部において、通気孔を有する前記内側コアと、前記外側コアの無孔部との間に介在しており、それによって前記内側コアと前記外側コアの無孔部との間に、前記中央流路から前記内側コアの通気孔を通って該内側コアと前記外側コアとの間に流入した圧縮空気が前記内側濾過部材に沿って下向きに流れる下向き流路が形成されていることを特徴とする請求項１に記載のフィルタエレメント。
3. 前記外側コアの無孔部は、前記上部キャップに設けられた前記スカート部の下端より下方位置まで延在していることを特徴とする請求項１又は２に記載のフィルタエレメント。
4. 前記中央流路の上下方向長さに対して、前記外側コアに設けられた前記無孔部の上下方向長さが占める割合は、１０－３５％であることを特徴とする請求項１又は２に記載のフィルタエレメント。
5. 前記上部キャップは、前記ノズル部に通じる空気流入口を有し、該空気流入口の内径は前記ノズル部及び中央流路の内径より大きく、前記ノズル部の内径は前記中央流路の内径より小さいことを特徴とする請求項１又は２に記載のフィルタエレメント。

Images