[第1実施形態]
図1において、検体検査装置10は、便懸濁液25(図2参照)を検体とし、便懸濁液25に対して、大腸癌の発症可能性等を調べる便潜血検査を実施する装置である。検体検査装置10の正面には、供給トレイ15、回収トレイ16、タンクトレイ17、およびタッチパネルディスプレイ(以下、単にタッチパネルという)18が設けられている。また、検体検査装置10には、検査機構19が内蔵されている。
供給トレイ15および回収トレイ16は、矢印で示すように引き出し収納式である。供給トレイ15には、細長な箱状のラック20がセットされる。供給トレイ15には、複数、例えば20個のラック20をセットすることが可能である。供給トレイ15にセットされたラック20は、供給トレイ15から検査機構19に搬入される。そして、検査機構19において便潜血検査が行われた後、検査機構19から回収トレイ16に搬出されて回収トレイ16に回収される。
タンクトレイ17も、矢印で示すように引き出し収納式である。タンクトレイ17には、洗剤が貯留される洗剤タンク21、純水が貯留される純水タンク22、および廃液が貯留される廃液タンク23が取り外し可能にセットされる。洗剤および純水は、本開示の技術に係る「消耗品」の一例である。また、廃液は、本開示の技術に係る「廃棄物」の一例である。
洗剤タンク21は、洗剤がなくなった場合、新品に交換補充される。純水タンク22も同様に、純水がなくなった場合、新品に交換補充される。廃液タンク23は、廃液が廃棄された後、再びタンクトレイ17にセットされて再利用される。
タッチパネル18は各種画面を表示する。また、タッチパネル18には、オペレータの指等による各種操作指示が入力される。
検体検査装置10の一側面には、開閉可能な蓋24が設けられている。蓋24は、第1試薬容器48Aおよび第2試薬容器48B(ともに図3参照)を新品に交換補充する際に開閉される。
図2に示すように、ラック20は、便懸濁液25が貯留された採便容器26を複数保持する。ラック20は、複数の採便容器26を一列に等間隔で保持する。図2では10個の採便容器26が収容されたラック20を例示している。
ラック20には、個々のラック20を識別するための識別情報(以下、ラック識別情報という)を表したバーコード27が貼り付けられている。同様に、採便容器26には、個々の採便容器26の便懸濁液25を提供した検査対象者を識別するための識別情報(以下、対象者識別情報という)を表したバーコード28が貼り付けられている。ラック20には、採便容器26のバーコード28をバーコードリーダ47(図3参照)で読み取るための窓29が形成されている。
図3において、検査機構19は、搬送部35、検体分注ノズル36、試薬収容部37、試薬分注ノズル38、反応部39、測定部40、および洗浄部41等を有する。
搬送部35は例えばベルトコンベアであり、供給トレイ15から押し出し搬入されたラック20を、回収トレイ16に向けて搬送する。搬送部35は、採便容器26が1個ずつ検体分注ノズル36の真下に配置されるよう、1個の採便容器26の幅分、ラック20を順送りする。搬送部35は、回収トレイ16の入口に到達したラック20を押し出して回収トレイ16に搬出する。
検体分注ノズル36は、搬送部35のラック20の採便容器26から便懸濁液25を吸引する。検体分注ノズル36は、吸引した便懸濁液25を、反応部39の反応容器45に注入する。検体分注ノズル36は、1個の採便容器26からの便懸濁液25の吸引、および便懸濁液25の反応容器45への注入が終わる度に、検体分注ノズル36用の洗浄部46で洗浄される。
検体分注ノズル36が便懸濁液25を吸引する位置には、バーコードリーダ47が設けられている。バーコードリーダ47は、ラック20のバーコード27および採便容器26のバーコード28を読み取る。これにより、検体検査装置10は、現在検査を行っているラック20のラック識別情報、および現在検査を行っている便懸濁液25を提供した検査対象者の対象者識別情報を認識することができる。
試薬収容部37には、第1試薬容器48Aおよび第2試薬容器48Bが収容されている。第1試薬容器48Aには第1試薬が、第2試薬容器48Bには第2試薬が、それぞれ貯留されている。試薬収容部37は、予め設定された冷却温度で第1試薬容器48Aおよび第2試薬容器48Bを保冷する。第1試薬および第2試薬は、前述の洗剤および純水と同じく、本開示の技術に係る「消耗品」の一例である。すなわち、本例においては、消耗品は複数種ある。なお、試薬としては、例えば金コロイド液等が挙げられる。
試薬分注ノズル38は、第1試薬容器48Aおよび第2試薬容器48Bから第1試薬および第2試薬を吸引する。試薬分注ノズル38は、吸引した第1試薬および第2試薬を、便懸濁液25が注入された反応部39の反応容器45に注入する。試薬分注ノズル38は、各試薬容器48Aおよび48Bからの各試薬の吸引、および各試薬の反応容器45への注入が終わる度に、試薬分注ノズル38用の洗浄部49で洗浄される。
反応部39は、複数の反応容器45が円環状に配置された回転円盤である。反応部39は、検体分注ノズル36、試薬分注ノズル38、測定部40、および洗浄部41の順に反応容器45が移動するよう回転する。図3では、検体分注ノズル36、試薬分注ノズル38、測定部40、および洗浄部41は、この順に時計回りに配置されているので、反応部39は時計回りに回転する。
反応部39では、反応容器45において、検体分注ノズル36からの便懸濁液25と試薬分注ノズル38からの各試薬とが混合され、呈色反応等の反応が起こる。測定部40は、便懸濁液25と各試薬の混合液の呈色反応の程度を測定する。
洗浄部41は、測定部40において測定が終了した反応容器45を洗浄する。洗浄部41において洗浄された反応容器45は、再利用される。
洗浄部41、検体分注ノズル36用の洗浄部46、および試薬分注ノズル38用の洗浄部49には、洗剤タンク21および純水タンク22から、図示しない供給管を介して、洗剤および純水が供給される。また、これら各洗浄部41、46および49において洗浄に使用された洗剤および純水は、図示しない回収管を介して、廃液タンク23に廃液として回収される。
図4において、検査機構19は、前述の各部に加えて、検知部55を有している。検知部55は、例えば液面検知センサであり、第1試薬容器48A内の第1試薬の残量、および第2試薬容器48B内の第2試薬の残量を検知する。また、検知部55は、洗剤タンク21内の洗剤の残量、および純水タンク22内の純水の残量を検知する。さらに、検知部55は、廃液タンク23内の廃液の量を検知する。検知部55は、各消耗品の残量および廃液の量の検知結果56を、後述する制御部70に出力する。
検体検査装置10は、ストレージデバイス60、メモリ61、およびCPU(Central Processing Unit)62を備える。これらストレージデバイス60、メモリ61、およびCPU62は、本開示の技術に係る「コンピュータ」の一例である。
ストレージデバイス60は、ハードディスクドライブ等である。ストレージデバイス60には、各種プログラム、および各種プログラムに付随する各種データが記憶されている。
メモリ61は、CPU62が処理を実行するためのワークメモリである。CPU62は、ストレージデバイス60に記憶されたプログラムをメモリ61へロードして、プログラムにしたがった処理を実行することにより、検体検査装置10の各部を統括的に制御する。
ストレージデバイス60には、作動プログラム65が記憶されている。作動プログラム65は、コンピュータを検体検査装置10として機能させるためのプログラムである。すなわち、作動プログラム65は、本開示の技術に係る「検体検査装置の作動プログラム」の一例である。ストレージデバイス60には、作動プログラム65の他に、関連情報群66および判定条件67が記憶されている。なお、作動プログラム65は、図示しない外部記録媒体に記録されて配布され、その記録媒体からCPU62によりインストールされてもよい。または、作動プログラム65は、ネットワークに接続されたサーバ等に、外部からアクセス可能な状態で記憶され、要求に応じてCPU62によりストレージデバイス60やメモリ61にダウンロードされ、インストールおよび実行されてもよい。
作動プログラム65が起動されると、CPU62は、メモリ61等と協働して、制御部70、記憶制御部71、判定部72、表示制御部73、および受付部74として機能する。
制御部70は、検査機構19の搬送部35、検体分注ノズル36、試薬収容部37、試薬分注ノズル38、反応部39、測定部40、洗浄部41、バーコードリーダ47、検知部55等の動作を制御する。
また、制御部70は、測定部40の呈色反応の程度の測定結果を受け取る。制御部70は、バーコードリーダ47でバーコード27および28から読み取ったラック識別情報および対象者識別情報を受け取る。制御部70は、検知部55からの検知結果56も受け取る。制御部70は、測定結果と、ラック識別情報と、対象者識別情報と、検知結果56に基づき導出された関連情報群66とを、記憶制御部71および表示制御部73に出力する。
記憶制御部71は、ストレージデバイス60への各種データの記憶、およびストレージデバイス60内の各種データの読み出しを制御する。具体的には、記憶制御部71は、関連情報群66をストレージデバイス60に記憶する。また、記憶制御部71は、ストレージデバイス60の関連情報群66および判定条件67を読み出し、読み出した関連情報群66および判定条件67を判定部72に出力する。なお、記憶制御部71は、測定結果、ラック識別情報、および対象者識別情報の記憶および読み出しも行う。
判定部72は、関連情報群66および判定条件67に基づいて、検体検査装置10のシャットダウンを許可するか否かを判定する。判定部72は、シャットダウンを許可するか否かの判定結果75を、制御部70および表示制御部73に出力する。
表示制御部73は、各種画面をタッチパネル18に表示する制御を行う。受付部74は、タッチパネル18を介した各種画面に対するオペレータの各種操作指示を受け付ける。
図5に示すように、制御部70は導出部80を有する。導出部80は、検知部55から検知結果56を受け取る。検知結果56は、前述のように、各消耗品の残量および廃液の量を示す。導出部80は、検知結果56のうちの各消耗品の残量から、消耗品毎の、検体を検査することが可能な回数である個別検査可能回数81を導出する。また、導出部80は、検知結果56のうちの廃液の量から、廃液の個別検査可能回数81も導出する。個別検査可能回数81の最大値は、例えば一律300回である。各消耗品の個別検査可能回数81は、本開示の技術に係る「消耗品残量関連情報」の一例である。また、廃液の個別検査可能回数81は、本開示の技術に係る「廃棄物量関連情報」の一例である。
導出部80は、個別検査可能回数81に基づいて、トータルで検体を検査することが可能な回数であるトータル検査可能回数82を導出する。導出部80は、個別検査可能回数81のうちの最小値を、トータル検査可能回数82として導出する。図5では、個別検査可能回数81が、第1試薬が100回、第2試薬が150回、洗剤および純水が200回、廃液が300回であった場合を例示している。この場合、導出部80は、最小値の第1試薬の100回を、トータル検査可能回数82として導出する。なお、トータル検査可能回数82は、本開示の技術に係る「消耗品残量関連情報」および「廃棄物量関連情報」の一例である。
導出部80は、導出した個別検査可能回数81およびトータル検査可能回数82を、関連情報群66として記憶制御部71および表示制御部73に出力する。
図6において、判定条件67には、トータル検査可能回数82と大小を比較される設定回数が登録されている。図6では、設定回数として30回が設定された例を示している。
図7は、判定部72が出力する判定結果75のパターンを示す。図7Aは、トータル検査可能回数82が設定回数未満であった場合を示す。この場合、判定部72は、シャットダウンを許可しないと判定し、その旨の判定結果75を出力する。一方、図7Bは、トータル検査可能回数82が設定回数以上であった場合を示す。この場合、判定部72は、シャットダウンを許可すると判定し、その旨の判定結果75を出力する。
図8は、表示制御部73がタッチパネル18に表示させる各種画面の推移を示す。まず、検体検査装置10の電源が投入された場合、表示制御部73は、起動画面85をタッチパネル18に表示させる。次いで、検査開始指示がなされて検査が開始された場合、表示制御部73は、検査状態表示画面86(図12等参照)をタッチパネル18に表示させる。検査状態表示画面86には、検査の結果を少なくとも含む検査状態が表示される。
検査が終了し、シャットダウン移行指示がなされた場合、表示制御部73は、シャットダウン指示画面87(図15~図17参照)をタッチパネル18に表示させる。このシャットダウン指示画面87において、シャッドダウン指示がなされた場合、検体検査装置10の電源が落される。
図9において、起動画面85、検査状態表示画面86、およびシャットダウン指示画面87は、画面レイアウトが大体共通している。すなわち、これら各画面85~87は、大別して、左側の検査可能回数表示領域90、中央の主表示領域91、および右側のボタン表示領域92を有している。
図10に示すように、起動画面85およびシャットダウン指示画面87の検査可能回数表示領域90には、最上部にトータル検査可能回数82の表示区画100が設けられている。表示区画100の下部には、第1試薬、第2試薬、洗剤、純水、および廃液の個別検査可能回数81の表示区画101、102、103、104および105が設けられている。
各表示区画101~105には、各消耗品の残量および廃液の量を示すバー106が表示される。バー106は、各消耗品の残量および廃液の量に応じて上下する。バー106は、各消耗品および廃液の個別検査可能回数81が設定回数未満であった場合と、各消耗品および廃液の個別検査可能回数81が設定回数以上であった場合とで、表示形態が異なっている。例えば、バー106は、各消耗品および廃液の個別検査可能回数81が設定回数未満であった場合は黄色、各消耗品および廃液の個別検査可能回数81が設定回数以上であった場合は緑色で表示される。
各表示区画101~105には、更新ボタン107が設けられている。各消耗品を交換補充、または廃液を廃棄して、更新ボタン107を選択すると、検知部55が稼働して各消耗品の残量、または廃液の量が検知し直される。また、導出部80によって個別検査可能回数81およびトータル検査可能回数82が導出し直される。表示制御部73は、各表示区画101~105の個別検査可能回数81の表示を更新する。トータル検査可能回数82が前回導出した値から変わっていた場合は、表示制御部73は、表示区画100のトータル検査可能回数82の表示も更新する。
図11に示すように、検査状態表示画面86の検査可能回数表示領域90は、図10で示した起動画面85およびシャットダウン指示画面87の検査可能回数表示領域90と比べて、横方向の表示幅が狭く表示される情報が少ない。すなわち、表示区画100には、トータル検査可能回数82を示す数字のみが表示される。また、表示区画101~105には、個別検査可能回数81および更新ボタン107は表示されず、バー106のみが表示される。検査状態表示画面86の検査可能回数表示領域90の横方向の表示幅は、図10で示した起動画面85およびシャットダウン指示画面87の検査可能回数表示領域90の横方向の表示幅の、例えば1/2である。なお、検査状態表示画面86の検査可能回数表示領域90は、例えば表示区画100を選択することで、図10で示した起動画面85およびシャットダウン指示画面87の検査可能回数表示領域90と同じ表示形態に表示を切り替えることが可能である。
図示は省略するが、起動画面85の主表示領域91には、その日に予定されている検査数(以下、予定検査数)等が表示される。また、起動画面85のボタン表示領域92には、検査開始指示を行うための検査開始ボタンが設けられている。検査開始ボタンが選択された場合、受付部74において検査開始指示が受け付けられる。そして、制御部70の制御の下、検査機構19により検査が開始される。表示制御部73は、起動画面85から検査状態表示画面86に画面を遷移させる。なお、予定検査数は、例えば、臨床検査情報システム(Laboratory Information System)からネットワーク経由で提供される。
図12において、検査状態表示画面86の主表示領域91には、検査状態一覧110が表示される。検査状態一覧110は、ラック20別の検査状態を示す、細長短冊状のラック別表示区画111を、縦方向に複数並べた構成である。図12では、10個のラック別表示区画111を並べた例を示している。なお、検査状態一覧110に表示するラック別表示区画111の個数を切り替え可能に構成してもよい。
検査状態一覧110の最上段に配されるのは、現在検査中のラック20のラック別表示区画111である。検査が終了したラック20のラック別表示区画111は、検査が終了した順に、最上段の下に配される。このため、最も過去に検査が終了したラック20のラック別表示区画111は、検査状態一覧110の最下段に配される。検査状態一覧110に表示されるラック別表示区画111は、ボタン表示領域92の上スクロールボタン112および下スクロールボタン113を操作することで切り替えることができる。
各ラック別表示区画111には、10個の採便容器26の便懸濁液25に対応する10個のセル115が配されている。セル115内には、検査状態を示す文字情報等が表示される。
ラック別表示区画111は、詳細表示と概要表示の切り替えが可能である。詳細表示においては、詳細表示のスペースを確保するためにラック別表示区画111の縦方向の表示幅が広げられる。対して概要表示においては、ラック別表示区画111の縦方向の表示幅が狭められる。詳細表示におけるラック別表示区画111の縦方向の表示幅は、概要表示におけるラック別表示区画111の縦方向の表示幅の、例えば2倍である。
詳細表示するラック別表示区画111は、検査状態一覧110を構成する複数のラック別表示区画111のうちの1つに限られる。図12は、最上段の現在検査中のラック20のラック別表示区画111の縦方向の表示幅が広げられて詳細表示された例を示している。検査状態表示画面86のデフォルトの表示状態においては、最上段の現在検査中のラック20のラック別表示区画111が詳細表示される。
対して図13は、現在検査中のラック20のラック別表示区画111の代わりに、検査が終了したラック20のラック別表示区画111の縦方向の表示幅が広げられて詳細表示された例を示している。このラック別表示区画111の詳細表示と概要表示の切り替え指示は、例えば、ラック別表示区画111のラック識別情報(RK0011~RK0020)の表示枠を選択指示することで行われる。
検査状態表示画面86のボタン表示領域92には、前述の上スクロールボタン112および下スクロールボタン113に加えて、シャットダウン移行ボタン116と検査中断ボタン117が設けられている。シャットダウン移行ボタン116は、シャットダウン移行指示を行う場合に選択される。シャットダウン移行ボタン116が選択された場合、受付部74においてシャットダウン移行指示が受け付けられる。表示制御部73は、検査状態表示画面86からシャットダウン指示画面87に画面を遷移させる。検査中断ボタン117は、各消耗品を交換補充したり、廃液を廃棄したりするために、検査を中断したい場合に選択される。
図14は、セル115の意味を示した表120である。まず、文字情報等の表示がないセル115は、当該セル115に対応する採便容器26の便懸濁液25の検査が行われていないことを意味する。このセル115の表示色は灰色である。
「1min」といった残り時間を示す数字とバーが表示されたセル115は、当該セル115に対応する採便容器26の便懸濁液25が検査中であることを意味する。概要表示においてはバーは表示されず、数字のみが表示される。このセル115の表示色は白色である。
「-(マイナス)」と「100」等の測定結果の数値が表示されたセル115は、当該セル115に対応する採便容器26の便懸濁液25の検査が終了し、その結果が陰性であることを意味する。概要表示においては数値は表示されず、「-」のみが表示される。このセル115の表示色は白色である。
「+(プラス)」と「250」等の測定結果の数値が表示されたセル115は、当該セル115に対応する採便容器26の便懸濁液25の検査が終了し、その結果が陽性であることを意味する。結果が陰性の場合と同様に、概要表示においては数値は表示されず、「+」のみが表示される。このセル115の表示色は黄色である。
「×(バツ印)」と「ER01」等のエラー番号が表示されたセル115は、当該セル115に対応する採便容器26の便懸濁液25の検査でエラーが発生したことを意味する。概要表示においてはエラー番号は表示されず、「×」のみが表示される。このセル115の表示色は赤色である。なお、エラーには、バーコードリーダ47の読み取りエラー、便懸濁液25の分注量不足、試薬の分注量不足等がある。
検査状態表示画面86には、図11で示した検査可能回数表示領域90が表示される。検査可能回数表示領域90には、前述のように、トータル検査可能回数82を示す数字等が表示される。トータル検査可能回数82は、これも前述のように、本開示の技術に係る「消耗品残量関連情報」の一例である。このため、検査可能回数表示領域90および検査状態一覧110によって、検査状態表示画面86には、検査の結果を少なくとも含む検査状態と併せて消耗品残量関連情報が表示されていることになる。
図15~図17は、シャットダウン指示画面87を示す。シャットダウン指示画面87のボタン表示領域92には、シャットダウンボタン125およびキャンセルボタン126が設けられている。シャットダウンボタン125は、シャットダウン指示を行う場合に選択される。シャットダウンボタン125が選択された場合、受付部74においてシャットダウン指示が受け付けられる。制御部70はシャットダウン処理を実行し、検体検査装置10の電源を落とす。キャンセルボタン126は、シャットダウンをやめる場合に選択される。キャンセルボタン126が選択された場合、表示制御部73は、シャットダウン指示画面87から検査状態表示画面86に画面を戻す。
図15および図16は、判定部72においてシャットダウンを許可しないと判定した場合のシャットダウン指示画面87を示す。この場合、主表示領域91には、消耗品が不足しているためシャットダウンができない旨、および/または廃液が溜まっているためシャットダウンができない旨と、消耗品の交換補充を促す旨、および/または廃液の廃棄を促す旨のメッセージ130が表示される。また、この場合、シャットダウンボタン125は、グレーアウトされる等して、選択不可な状態で表示される。なお、図15は、純水の個別検査可能回数81が28回で、設定回数未満であった場合を例示している。図16は、廃液の個別検査可能回数81が22回で、設定回数未満であった場合を例示している。
図15および図16に示すシャットダウン指示画面87のボタン表示領域92には、強制シャットダウンを指示するための強制シャットダウンボタン131が設けられている。強制シャットダウンボタン131が選択された場合、制御部70は、シャットダウン処理を実行し、検体検査装置10の電源を落とす。
対して図17は、判定部72においてシャットダウンを許可すると判定した場合のシャットダウン指示画面87を示す。この場合、主表示領域91には、シャットダウンが可能である旨のメッセージ132が表示される。また、この場合、シャットダウンボタン125は選択可能な状態で表示される。
シャットダウン指示画面87の主表示領域91には、メッセージ130または132の他に、その日に行った検査数、およびその日にエラーが原因で再検査した検査数が表示される。また、シャットダウン指示画面87の主表示領域91には、翌日の予定検査数が表示される。
図18に示すように、判定部72においてシャットダウンを許可しないと判定してから、シャットダウンの禁止が開始される。そして、オペレータにより消耗品が交換補充されて、および/またはオペレータにより廃液が廃棄されて、判定部72においてシャットダウンを許可すると判定するまで、シャットダウンの禁止が続けられる。すなわち、シャットダウンが禁止される期間は、判定部72においてシャットダウンを許可しないと判定してから、シャットダウンを許可すると判定するまでの間である。シャットダウンを禁止する具体的な方法は、図15および図16で示した通り、シャットダウンボタン125を選択不可な状態で表示することである。
なお、個別検査可能回数81が複数種同時に設定回数未満となる場合もある。例えば第1試薬および第2試薬の個別検査可能回数81が設定回数未満となる場合、あるいは、洗剤および廃液の個別検査可能回数81が設定回数未満となる場合である。こうした場合、判定部72は、全ての個別検査可能回数81が設定回数以上となった場合に、シャットダウンを許可すると判定する。
次に、上記構成による作用について、図19に示すフローチャートを参照して説明する。まず、検体検査装置10の電源が投入されて作動プログラム65が起動されると、図4で示したように、CPU62が制御部70、記憶制御部71、判定部72、表示制御部73、および受付部74として機能される。
まず、表示制御部73により起動画面85がタッチパネル18に表示される。起動画面85において検査開始指示がなされた場合、制御部70の制御の下、検査機構19の各部が動作されて検査が開始される。表示制御部73により、起動画面85から検査状態表示画面86に画面が遷移される。
検査状態表示画面86のシャットダウン移行ボタン116が選択されてシャットダウン移行指示がなされた場合(ステップST100でYES)、判定部72において、関連情報群66および判定条件67に基づき、シャットダウンを許可するか否かが判定される(ステップST110)。具体的には、トータル検査可能回数82が設定回数未満であった場合は、判定部72においてシャットダウンを許可しないと判定される。一方、トータル検査可能回数82が設定回数以上であった場合は、判定部72においてシャットダウンを許可すると判定される。この判定結果75は、判定部72から制御部70および表示制御部73に出力される。なお、ステップST110は、本開示の技術に係る「判定ステップ」の一例である。
判定部72においてシャットダウンを許可しないと判定された場合(ステップST120でNO)、表示制御部73により、図15および図16で示したような、シャットダウンができない旨のメッセージ130付きのシャットダウン指示画面87がタッチパネル18に表示される(ステップST130)。なお、ステップST130は、本開示の技術に係る「表示制御ステップ」の一例である。
シャットダウンができない旨のメッセージ130付きのシャットダウン指示画面87では、シャットダウンボタン125が選択不可な状態で表示される。これによりシャットダウンが禁止される(ステップST140)。このシャットダウンが禁止された状態は、強制シャットダウンボタン131が選択されて、強制シャットダウンがなされるか(ステップST150でYES)、オペレータにより消耗品が交換補充されて、および/またはオペレータにより廃液が廃棄されて、判定部72においてシャットダウンを許可すると判定される(ステップST160でYES)まで続けられる。
判定部72においてシャットダウンを許可すると判定された場合(ステップST120でYES、またはステップST160でYES)、表示制御部73により、図17で示したような、シャットダウンが可能である旨のメッセージ132付きのシャットダウン指示画面87がタッチパネル18に表示される(ステップST170)。このシャットダウンが可能である旨のメッセージ132付きのシャットダウン指示画面87においては、シャットダウンボタン125が選択可能な状態で表示される。なお、ステップST170も、ステップST130と同じく、本開示の技術に係る「表示制御ステップ」の一例である。
シャットダウンが可能である旨のメッセージ132付きのシャットダウン指示画面87において、シャットダウンボタン125が選択されてシャットダウン指示がなされた場合(ステップST180でYES)、制御部70によりシャットダウン処理が実行され、検体検査装置10の電源が落される。
以上説明したように、検体検査装置10は、判定部72と表示制御部73とを備える。判定部72は、検体の検査に必要な消耗品の残量に関する消耗品残量関連情報であるトータル検査可能回数82に基づいて、シャットダウンを許可するか否かを判定する。表示制御部73は、判定部72の判定結果75に基づくメッセージ130または132付きのシャットダウン指示画面87を表示する制御を行う。シャットダウンができない旨のメッセージ130付きのシャットダウン指示画面87の表示を解消するためには、消耗品を交換補充、および/または廃液を廃棄することが必要となる。つまり、オペレータは、強制シャットダウンボタン131を選択しない限り、消耗品を交換補充、および/または廃液を廃棄しないで翌日に持ち越すことができない。このため、翌日の検査が、消耗品の交換補充等のために起動後すぐに中断されることが避けられる。したがって、検査を円滑に進行させることが可能となる。
また、図18で示したように、判定部72においてシャットダウンを許可しないと判定してから、シャットダウンを許可すると判定するまでの間、シャットダウンが禁止される。このため、オペレータは、消耗品を交換補充、および/または廃液を廃棄しないで翌日に持ち越すことがさらにできなくなる。したがって、検査を円滑に進行させることが可能という効果を、より確実に発揮することができる。
判定部72は、複数種の消耗品毎の個別検査可能回数81に基づいて導出されたトータル検査可能回数82が予め設定された設定回数未満であった場合、シャットダウンを許可しないと判定し、消耗品が交換補充されてトータル検査可能回数が設定回数以上となった場合、シャットダウンを許可すると判定する。したがって、複数種の消耗品の残量を総合的に考慮した判定を下すことができる。
判定部72は、消耗品残量関連情報に加えて、廃棄物量関連情報に基づいて、シャットダウンを許可するか否かを判定する。したがって、消耗品の残量に加えて廃棄物(ここでは廃液)の量も考慮した判定を下すことができる。
表示制御部73は、図12および図13で示した検査状態表示画面86によって、検査の結果を少なくとも含む検査状態一覧110と併せて、消耗品残量関連情報を含む検査可能回数表示領域90を表示する。したがって、オペレータは、検査状態と消耗品残量関連情報を同時に確認することができる。
また、表示制御部73は、図9および図10で示したように、検査状態表示画面86だけでなく、起動画面85およびシャットダウン指示画面87にも検査可能回数表示領域90を表示する。このため、検体検査装置10の電源を投入してから電源を落とすまで、常に消耗品残量関連情報がオペレータの目に触れることになる。したがって、どの消耗品をどのタイミングで交換補充すれば効率がよいかといった最適な検査計画を、常にオペレータに意識させることができる。
表示制御部73は、図11~図13で示したように、検査状態表示画面86の場合、個別検査可能回数81は表示せず、トータル検査可能回数82のみを表示する。これにより、検査可能回数表示領域90の表示面積を比較的小さくすることができ、その分、検査状態一覧110の表示面積を確保することができる。検査状態表示画面86においてオペレータが知りたい情報は、あくまでも検査状態である。そして、オペレータが最低限知りたい情報はトータル検査可能回数82である。このため、検査状態表示画面86の検査可能回数表示領域90にはトータル検査可能回数82さえ表示しておけば足りる。個別検査可能回数81を表示しないことによる影響は少ないと考えられる。
なお、強制シャットダウンボタン131といった強制シャットダウンを指示するためのGUI(Graphical User Interface)は、必ずしも設けなくてもよい。強制シャットダウンを指示するためのGUIを設けず、強制シャットダウンを指示することができなくすれば、判定部72においてシャットダウンを許可しないと判定した場合に、オペレータは、消耗品を交換補充、および/または廃液を廃棄しないで翌日に持ち越すことが絶対にできなくなる。したがって、検査を円滑に進行させることが可能という効果を、さらにより確実に発揮することができる。
ただし、検体検査装置10の使い勝手を考えれば、強制シャットダウンを指示するためのGUIはあったほうがよい。というのは、判定部72においてシャットダウンを許可しないと判定されたが、止むを得ず消耗品を交換補充、および/または廃液を廃棄しないで翌日に持ち越したい場合に対応することができるからである。
何らかの操作をした場合に限り、強制シャットダウンを指示するためのGUIを出現させる等して、強制シャットダウンの指示を簡単にできないようにしてもよい。
メッセージ130および132を、主表示領域91ではなく、シャットダウン指示画面87上に別画面でポップアップ表示させてもよい。
判定部72においてシャットダウンを許可しないと判定した場合のシャットダウン指示画面87の主表示領域91に、不足している消耗品の交換補充手順、および/または溜まっている廃液の廃棄手順を表示してもよい。この場合、手順を分かりやすくするために、イラストを交えて表示することが好ましい。
[第2実施形態]
上記第1実施形態では、トータル検査可能回数82と大小を比較する設定回数は固定であったが、これに限らない。図20および図21に示す第2実施形態では、検体の予定検査数に応じて、設定回数を変更する。
図20に示すように、第2実施形態の判定条件140には、予定検査数に対応した設定回数が登録されている。具体的には、予定検査数が2000回以上の場合は設定回数として30回が、予定検査数が1回以上2000回未満の場合は、設定回数として10回が、それぞれ登録されている。すなわち、予定検査数が予め設定された閾値である2000回以上の場合は高い設定回数が登録され、予定検査数が2000回未満の場合は、予定検査数が2000回以上の場合よりも低い設定回数が登録されている。
図21において、第2実施形態の判定部145は、臨床検査情報システムから提供される予定検査数情報146を受け取る。判定部145は、予定検査数情報146に登録された予定検査数に対応した設定回数を、判定条件140から取得する。判定部145は、判定条件140から取得した設定回数を用いて、シャットダウンを許可するか否かの判定を行う。図21では、予定検査数情報146に登録された予定検査数が1200回であった場合を例示している。この場合、判定部145は、設定回数を10回として、シャットダウンを許可するか否かの判定を行う。
このように、第2実施形態では、判定部145は、検体の予定検査数に応じて、設定回数を変更する。したがって、予定検査数が多い場合と少ない場合とに適した設定回数でシャットダウンを許可するか否かを判定することができる。
図20および図21で例示したように、予定検査数が閾値以上の場合は設定回数を高くし、予定検査数が閾値未満の場合は、予定検査数が閾値以上の場合よりも設定回数を低くすることが好ましい。というのは、予定検査数が閾値以上で比較的多い場合に設定回数を高くすれば、消耗品の残量が比較的多く残っていたり、廃液の量が比較的少ない場合でも、シャットダウン時に積極的に消耗品の交換補充、および/または廃液の廃棄が行われる。その分、翌日の検査において消耗品の交換補充、および/または廃液を廃棄する回数を減らすことができ、より検査を円滑に進行させることができる。
対して、予定検査数が閾値未満で比較的少ない場合は、予定検査数の検査を終了するまでに掛かる時間が、予定検査数が比較的多い場合よりは短い。このため、翌日の検査において消耗品の交換補充、および/または廃液を廃棄する回数を減らすことよりも、資源の無駄をなくすことに重きを置いて、設定回数を低くする。こうすれば、消耗品をほぼ最後まで使い切ることができ、資源を有効利用することができる。
図20および図21に示す例では、予定検査数に対応した設定回数を2種としたが、これに限らない。予定検査数を2個以上に閾値で3段階以上に分け、3種以上の設定回数を設定してもよい。
[第3実施形態]
図22~図24に示す第3実施形態では、オペレータによる変更指示に応じて、設定回数を変更する。
図22に示す設定回数入力画面150は、オペレータが設定回数の変更指示を行うための画面である。設定回数入力画面150には、表示区画151、152、153、154および155が設けられている。表示区画151は第1試薬の設定回数の入力用、表示区画152は第2試薬の設定回数の入力用である。表示区画153は洗剤の設定回数の入力用、表示区画154は純水の設定回数の入力用である。表示区画155は廃液の設定回数の入力用である。
各表示区画151~155には、各消耗品の残量および廃液の量を示すバー156が表示される。そして、バー156の横には、第1入力ボックス157Aおよび第2入力ボックス157Bが設けられている。第1入力ボックス157Aおよび第2入力ボックス157Bには、オペレータの手で設定回数が入力される。第1入力ボックス157Aには予定検査数が比較的多い場合の設定回数が、第2入力ボックス157Bには予定検査数が比較的少ない場合の設定回数が、それぞれ入力される。
第1入力ボックス157Aおよび第2入力ボックス157Bに設定回数が入力されて、OKボタン158が選択される。この場合、第3実施形態の判定部(図示せず)は、第1入力ボックス157Aおよび第2入力ボックス157Bに入力された設定回数を用いて、シャットダウンを許可するか否かを判定する。なお、キャンセルボタン159が選択された場合は、設定回数入力画面150の表示が消される。
あるいは図23および図24に示すように、オペレータに設定回数モードを選択させることで、設定回数を変更してもよい。
図23に示す設定回数モード選択画面165は、予め設定された設定回数モードをオペレータに選択させるための画面である。設定回数モード選択画面165には、2つの設定回数モードを選択するためのラジオボタン166Aおよび166Bが設けられている。ラジオボタン166Aおよび166Bは択一式のボタンである。ラジオボタン166Aは、交換補充回数を少なくするモードの選択用、ラジオボタン166Bは、資源を有効利用するモードの選択用である。ラジオボタン166Aおよび166Bのいずれかが選択されて、OKボタン167が選択された場合、設定回数モードの選択指示が受付部74において受け付けられる。なお、キャンセルボタン168が選択された場合は、設定回数モード選択画面165の表示が消される。
交換補充回数を少なくするモードは、上記第2実施形態の予定検査数が比較的多い場合と同様に、翌日の検査において消耗品の交換補充、および/または廃液を廃棄する回数を減らすためのモードである。対して、資源を有効利用するモードは、上記第2実施形態の予定検査数が比較的少ない場合と同様に、翌日の検査において消耗品の交換補充、および/または廃液を廃棄する回数を減らすことよりも、資源の無駄をなくすことに重きを置くモードである。なお、「交換補充回数」という用語は、前述のように、消耗品の交換補充の回数だけでなく、廃液を廃棄する回数も含む概念である。
図24に示すように、第3実施形態の判定条件170には、設定回数モードに応じた設定回数が登録されている。具体的には、交換補充回数を少なくするモードの場合は設定回数として30回が、資源を有効利用するモードの場合は設定回数として10回が、それぞれ登録されている。
設定回数モード選択画面165において、ラジオボタン166Aが選択されてOKボタン167が選択された場合、判定部は、設定回数を30回として、シャットダウンを許可するか否かの判定を行う。一方、ラジオボタン166Bが選択されてOKボタン167が選択された場合、判定部は、設定回数を10回として、シャットダウンを許可するか否かの判定を行う。
このように、第3実施形態では、判定部は、オペレータによる変更指示に応じて、設定回数を変更する。したがって、設定回数をオペレータが望む値とすることができる。
検体の検査数の過去の実績に応じて、設定回数を変更してもよい。例えば、過去の検査数に対応した設定回数が登録された判定条件を用意する。一方で、過去の実際の検査数を月毎に集計し、月毎の過去の検査数の代表値(例えば平均値)を算出しておく。判定部は、判定条件から読み出した、検査する月の平均値に対応した設定回数を用いて、シャットダウンを許可するか否かの判定を行う。
[第4実施形態]
図25~図27に示す第4実施形態では、翌日に想定される交換補充回数と、1日で許容できる交換補充回数との比較によって、シャットダウンを許可するか否かを判定する。
図25に示すように、第4実施形態では、交換補充回数条件180が設定される。交換補充回数条件180には、1日で許容できる交換補充回数が登録されている。交換補充回数条件180は、ストレージデバイス60に記憶される。図25では、1日で許容できる交換補充回数として3回が登録された例を示している。
図26において、第4実施形態の判定部185には、関連情報群66、予定検査数情報146、および交換補充回数条件180が入力される。判定部185は、関連情報群66のトータル検査可能回数82、および予定検査数情報146の予定検査数に基づいて、翌日に想定される交換補充回数が、交換補充回数条件180の1日で許容できる交換補充回数を超えるか否かを検証する。そして、この検証結果によって、シャットダウンを許可するか否かを判定する。翌日の想定される交換補充回数が、交換補充回数条件180の1日で許容できる交換補充回数を超えた場合、判定部185は、シャットダウンを許可しないと判定する。対して、翌日の想定される交換補充回数が、交換補充回数条件180の1日で許容できる交換補充回数以下の場合、判定部185は、シャットダウンを許可すると判定する。
図26では、トータル検査可能回数82が50回、予定検査数が1000回、1日で許容できる交換補充回数が3回であった場合を例示している。この場合、詳しくは図27で示すように、翌日の想定される交換補充回数が、交換補充回数条件180の1日で許容できる交換補充回数を超えるため、判定部185は、シャットダウンを許可しないと判定する。
図27は、図26の例において判定部185がシャットダウンを許可しないと判定した根拠を示す。図27Aは、前日に交換補充または廃棄しなかった場合を示す。この場合、翌日に想定される交換補充回数は4回となり、1日で許容できる交換補充回数の3回を超えてしまう。一方、図27Bは、前日に交換補充または廃棄した場合を示す。この場合、翌日に想定される交換補充回数は3回となり、1日で許容できる交換補充回数の3回を超えない。したがって、判定部185は、シャットダウンを許可しないと判定し、交換補充を促す。なお、図26および図27は、個別検査可能回数81の最大値が300回である場合を例示している。
このように、第4実施形態では、判定部185は、翌日に想定される交換補充回数と、1日で許容できる交換補充回数との比較によって、シャットダウンを許可するか否かを判定する。したがって、翌日の交換補充回数を、確実に1日で許容できる交換補充回数以下とすることができる。
1日で許容できる交換補充回数を、予定検査数に応じて変更することが好ましい。具体的には、予定検査数が増えるにつれ、1日で許容できる交換補充回数も増やす。また、1日で許容できる交換補充回数を、消耗品の種類に応じて変更してもよい。例えば、交換補充に時間が掛かる消耗品の場合は、1日で許容できる交換補充回数を少なくする。
[第5実施形態]
図28~図30に示す第5実施形態では、翌日に想定される検査コストと、1日で許容できる検査コストとの比較によって、シャットダウンを許可するか否かを判定する。
第5実施形態では、図28に示すように、交換補充回数条件180の代わりに検査コスト条件190が設定される。検査コスト条件190には、1日で許容できる検査コストが登録されている。検査コストは、1個の検体の1回の検査に掛かる費用である。検査コスト条件190は、ストレージデバイス60に記憶される。図28では、1日で許容できる検査コストとして15円/回が登録された例を示している。
図29において、第5実施形態の判定部195には、交換補充回数条件180の代わりに検査コスト条件190が入力される。判定部195は、関連情報群66のトータル検査可能回数82、および予定検査数情報146の予定検査数に基づいて、翌日に想定される検査コストが、検査コスト条件190の1日で許容できる検査コストを超えるか否かを検証する。そして、この検証結果によって、シャットダウンを許可するか否かを判定する。翌日の想定される検査コストが、検査コスト条件190の1日で許容できる検査コストを超えた場合、判定部195は、シャットダウンを許可しないと判定する。対して、翌日の想定される検査コストが、検査コスト条件190の1日で許容できる検査コストを超えなかった場合、判定部195は、シャットダウンを許可すると判定する。
図29では、図26と同じく、トータル検査可能回数82が50回、予定検査数が1000回であった場合を例示している。そして、交換補充または廃棄がなされる毎に、検査コストが5円/回ずつアップする場合を例示している。この場合、詳しくは図30で示すように、翌日の想定される検査コストが、検査コスト条件190の1日で許容できる検査コストを超えるため、判定部195は、シャットダウンを許可しないと判定する。
図30は、図29の例において判定部195がシャットダウンを許可しないと判定した根拠を示す。図30Aは、前日に交換補充または廃棄しなかった場合を示す。この場合、翌日に想定される検査コストは20円/回となり、1日で許容できる検査コストの15円/回を超えてしまう。一方、図30Bは、前日に交換補充または廃棄した場合を示す。この場合、翌日に想定される検査コストは15円/回となり、1日で許容できる検査コストの15円/回を超えない。したがって、判定部195は、シャットダウンを許可しないと判定し、交換補充を促す。なお、図29および図30も、図26および図27の場合と同じく、個別検査可能回数81の最大値が300回である場合を例示している。
このように、第5実施形態では、判定部195は、翌日に想定される検査コストと、1日で許容できる検査コストとの比較によって、シャットダウンを許可するか否かを判定する。したがって、翌日の検査コストを、確実に1日で許容できる検査コスト以下とすることができる。
上記第4実施形態の1日で許容できる交換補充回数と同様に、1日で許容できる検査コストを、予定検査数に応じて変更することが好ましい。具体的には、予定検査数が増えるにつれ、1日で許容できる検査コストも増やす。また、1日で許容できる検査コストを、消耗品の種類に応じて変更してもよい。例えば、単価が比較的高い消耗品の場合は、1日で許容できる検査コストを低くする。
[第6実施形態]
図31~図33に示す第6実施形態では、消耗品を交換補充した場合に想定される翌日の検査コストアップ値と、許容できない翌日の検査コストアップ値との比較によって、シャットダウンを許可するか否かを判定する。
第6実施形態では、図31に示すように、検査コスト条件200が設定される。検査コスト条件200には、許容できない翌日の検査コストアップ値が登録されている。検査コストアップ値は、1個の検体の1回の検査に掛かる費用のコストアップ分である。検査コスト条件200は、ストレージデバイス60に記憶される。図31では、許容できない翌日の検査コストアップ値として2円/回が登録された例を示している。
図32および図33において、第6実施形態の判定部205には、検査コスト条件200が入力される。判定部205は、関連情報群66の消耗品(図32および図33では第1試薬)の個別検査可能回数81、予定検査数情報146の予定検査数、および消耗品のコストに基づいて、当該消耗品を交換補充した場合に想定される翌日の検査コストアップ値を算出する。次いで、算出した検査コストアップ値が、検査コスト条件200の許容できない翌日の検査コストアップ値を超えるか否かを検証する。そして、この検証結果によって、シャットダウンを許可するか否かを判定する。
図32は、算出した検査コストアップ値が、検査コスト条件200の許容できない翌日の検査コストアップ値以下であった場合を示している。この場合、判定部205は、シャットダウンを許可しないと判定する。対して、図33は、算出した検査コストアップ値が、検査コスト条件200の許容できない翌日の検査コストアップ値よりも高かった場合を示している。この場合、判定部205は、シャットダウンを許可すると判定する。
図32では、第1試薬の個別検査可能回数81が30回、予定検査数が1000回であった場合を例示している。そして、第1試薬のコストが10円/回であった場合を例示している。この場合、第1試薬を交換補充した場合に想定される翌日の検査コストアップ値は、(10円/回×30回)/1000回=0.3円/回で、許容できない翌日の検査コストアップ値の2円/回以下である。このため、判定部205は、シャットダウンを許可しないと判定する。
一方、図33では、第1試薬の個別検査可能回数81は図32と同じ30回であるが、予定検査数が1000回ではなく100回であった場合を例示している。この場合、第1試薬を交換補充した場合に想定される翌日の検査コストアップ値は、(10円/回×30回)/100回=3円/回で、許容できない翌日の検査コストアップ値の2円/回よりも高い。このため、判定部205は、シャットダウンを許可すると判定する。
このように、第6実施形態では、判定部205は、消耗品を交換補充した場合に想定される翌日の検査コストアップ値と、許容できない翌日の検査コストアップ値との比較によって、シャットダウンを許可するか否かを判定する。したがって、図32で示したように、予定検査数が比較的多く、シャットダウン時に消耗品を交換補充したとしても翌日の検査コストアップ値を比較的低く抑えられる場合は、シャットダウンを許可しないと判定して、積極的に消耗品の交換補充を促すことができる。一方、図33で示したように、予定検査数が比較的少なく、シャットダウン時に消耗品を交換補充すると翌日の検査コストアップ値が比較的高くなってしまう場合は、シャットダウンを許可すると判定して、消耗品をできるだけ最後まで使い切らせることができる。
許容できない翌日の検査コストアップ値を、消耗品の種類に応じて変更することが好ましい。例えば、単価が比較的高い消耗品の場合は、許容できない翌日の検査コストアップ値を低くする。
[第7実施形態]
図34および図35に示す第7実施形態では、予め設定された時刻に起動するタイマー起動を実行する。
図34に示すタイマー起動設定画面210は、タイマー起動の設定指示を行うための画面である。タイマー起動設定画面210には、タイマー起動の時と分(以下、タイマー起動時刻)を設定するためのプルダウンメニュー211Aおよび211Bが設けられている。プルダウンメニュー211Aおよび211Bで所望のタイマー起動時刻が設定された後、OKボタン212が選択された場合、タイマー起動時刻を含むタイマー起動の設定指示が受付部74で受け付けられる。第7実施形態の制御部(図示せず)は、タイマー起動時刻に検体検査装置10を起動させる。なお、キャンセルボタン213が選択された場合は、タイマー起動設定画面210の表示が消される。
図35は、第7実施形態の制御部による処理の手順を示す。タイマー起動時刻となった場合(ステップST200でYES)、制御部の制御の下、第7実施形態の判定部(図示せず)によって、トータル検査可能回数82が設定回数以上であるか否かが判定される。
判定部においてトータル検査可能回数82が設定回数以上であると判定された場合(ステップST210でYES)は、制御部によりタイマー起動が実行される(ステップST220)。一方、判定部においてトータル検査可能回数82が設定回数未満であると判定された場合(ステップST210でNO)は、制御部によりタイマー起動が実行されない。
このように、第7実施形態では、トータル検査可能回数82が設定回数以上の場合に限り、タイマー起動が実行される。これは、逆をいえば、前日に判定部においてシャットダウンを許可しないと判定されて、メッセージ130付きのシャットダウン指示画面87が表示されたにも関わらず、メッセージ130を無視して消耗品の交換補充等をせずに強制シャットダウンを指示した場合には、翌日にはタイマー起動は実行されないということである。タイマー起動が実行されないと、予定していた時刻に検査を開始することができなくなってしまう。したがって、オペレータに、なるべく前日のうちに消耗品の交換補充等をするモチベーションが働き、検査を円滑に進行させることが可能という効果を、より確実に発揮することができる。
予定検査数に、過去の実績から考慮した、エラーで再検査する回数を含めてもよい。
検体は例示した便懸濁液25に限らず、検査も例示した便潜血検査に限らない。血液、尿等を検体とし、生化学検査等を検査として行ってもよい。
検査機構19は、図3に例示した構成に限らない。例えば、反応容器45に分注された検体と試薬を攪拌する機能を備えていてもよい。また、洗剤タンク21、純水タンク22、廃液タンク23といったタンク類は、タンクトレイ17に集約して収容するのではなく、別々の場所に収容してもよい。
上記各実施形態において、例えば、制御部70、第7実施形態の制御部、記憶制御部71、判定部72、145、185、195および205、第3実施形態の判定部、第7実施形態の判定部、表示制御部73、および受付部74といった各種の処理を実行する処理部(Processing Unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(Processor)を用いることができる。各種のプロセッサには、ソフトウェアを実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPU62に加えて、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、および/またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
1つの処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせ、および/または、CPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアントおよびサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路(Circuitry)を用いることができる。
以上の記載から、以下の付記項1に記載の発明を把握することができる。
[付記項1]
プロセッサを備え、
プロセッサは、
検体の検査に必要な消耗品の残量に関する消耗品残量関連情報に基づいて、シャットダウンを許可するか否かを判定し、
判定プロセッサの判定結果に基づくメッセージを表示する制御を行う、
検体検査装置。
本開示の技術は、上述の種々の実施形態および/または種々の変形例を適宜組み合わせることも可能である。また、上記各実施形態に限らず、要旨を逸脱しない限り種々の構成を採用し得ることはもちろんである。さらに、本開示の技術は、プログラムに加えて、プログラムを非一時的に記憶する記憶媒体にもおよぶ。
以上に示した記載内容および図示内容は、本開示の技術に係る部分についての詳細な説明であり、本開示の技術の一例に過ぎない。例えば、上記の構成、機能、作用、および効果に関する説明は、本開示の技術に係る部分の構成、機能、作用、および効果の一例に関する説明である。よって、本開示の技術の主旨を逸脱しない範囲内において、以上に示した記載内容および図示内容に対して、不要な部分を削除したり、新たな要素を追加したり、置き換えたりしてもよいことはいうまでもない。また、錯綜を回避し、本開示の技術に係る部分の理解を容易にするために、以上に示した記載内容および図示内容では、本開示の技術の実施を可能にする上で特に説明を要しない技術常識等に関する説明は省略されている。
本明細書において、「Aおよび/またはB」は、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」と同義である。つまり、「Aおよび/またはB」は、Aだけであってもよいし、Bだけであってもよいし、AおよびBの組み合わせであってもよい、という意味である。また、本明細書において、3つ以上の事柄を「および/または」で結び付けて表現する場合も、「Aおよび/またはB」と同様の考え方が適用される。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願および技術規格は、個々の文献、特許出願および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。