JP7242808B2 - 開閉装置用戻しばねの伸長装置及びその伸長作業方法 - Google Patents

開閉装置用戻しばねの伸長装置及びその伸長作業方法 Download PDF

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Description

本発明は、シャッターカーテン等の開閉体を開閉移動させるための回転軸の正逆回転のうち、開閉体が開き移動するときの回転を、巻き締めによって蓄圧されている戻しばね力により補助するコイルばねによる戻しばねを、本来の戻しばね力を得るために伸長させるために用いる開閉装置用戻しばねの伸長装置及びその伸長作業方法に係り、例えば、オーバースライディングドア装置等の開閉装置のための戻しばねに用いることができるものである。
下記の特許文献1には、開閉体であるシャッターカーテンにより出入口等の開口部を開閉するための開閉装置となっているオーバースライディングドア装置が示されている。このオーバースライディングドア装置は、シャッターカーテンを開閉移動させるために正逆回転する回転軸を備えており、この回転軸の外周には、コイルばねによる戻しばねが巻回配置され、この戻しばねの長さ方向の一方の端部は不動部材に連結されているとともに、他方の端部は回転軸に連結されており、戻しばねの巻き締めによって蓄圧される戻しばね力が、シャッターカーテンを開き移動させるための回転軸の回転力の少なくとも一部となっている。
特開2012-26131号公報
以上のように戻しばねの戻しばね力をシャッターカーテンを開き移動させるための回転軸の回転力の少なくとも一部とするために、オーバースライディングドア装置の施工作業時等において、この戻しばねを巻き締める作業が行われる。この作業を行うと、コイルばねである戻しばねには、回転軸の軸方向に並んでいるそれぞれのコイル線部同士が接触してしまい、これによると、戻しばね力がシャッターカーテンを開き移動させるための回転軸の回転力の少なくとも一部となるときに、戻しばね力に接触による損失が生ずるため、本来の戻しばね力を得られなくなる。
このため、従来において、戻しばねを巻き締めた後に、作業者が、戻しばねにおける回転軸の軸方向長さであるコイル軸方向長さを大きくするための伸長作業を手作業によって行うことにより、戻しばねの互いに接触しているコイル線部を離間させており、このときの戻しばねは巻き締められているため、この伸長作業は大きな伸長力を必要とする作業となり、このため、多くの労力と時間をかけてこの作業を行わなければならない。
本発明の目的は、開閉装置の回転軸に戻しばねが巻き締められて配置されても、この戻しばねのコイル軸方向長さを伸長させる作業を容易かつ迅速に行えるようになる開閉装置用戻しばねの伸長装置を提供するところにある。
本発明に係る開閉装置用戻しばねの伸長装置は、開閉装置の開閉体を開閉移動させるために正逆回転する回転軸の外周に巻回配置され、長さ方向の一方の端部が不動部材に連結されるとともに、他方の端部が前記回転軸に連結されるコイルばねとなっていて、巻き締めによって蓄圧される戻しばね力が前記開閉体を開き移動させるための前記回転軸の回転力の少なくとも一部となる戻しばねのコイル軸方向長さを伸長させるために用いられる開閉装置用戻しばねの伸長装置であって、前記回転軸又は前記戻しばねの前記一方の端部に、前記回転軸の軸方向に不動となって結合される結合部材と、この結合部材と連結されていて、前記戻しばねの前記他方の端部に係合され、この他方の端部に前記戻しばねの前記コイル軸方向長さを大きくする方向への荷重を付与する荷重付与部材とを備えていることを特徴とするものである。
このように本発明に係る開閉装置用戻しばねの伸長装置は、回転軸又は戻しばねの前記一方の端部に、回転軸の軸方向に不動となって結合される結合部材と、この結合部材と連結されていて、戻しばねの前記他方の端部に係合され、この他方の端部に戻しばねのコイル軸方向長さを大きくする方向への荷重を付与する荷重付与部材とを備えているため、結合部材を回転軸又は戻しばねの一方の端部に、回転軸の軸方向に不動に結合した後に、戻しばねの前記他方の端部に係合させた荷重付与部材により、この他方の端部に戻しばねのコイル軸方向長さを大きくする方向への荷重を付与することにより、戻しばねのコイル軸方向長さを大きくすることができて、戻しばねの互いに接触しているコイル線部を離間させることができ、このため、巻き締められた戻しばねのコイル軸方向長さを大きくするための作業を容易かつ迅速に行うことができる。
なお、本発明に係る開閉装置用戻しばねの伸長装置において、荷重付与部材に戻しばねのコイル軸方向長さを大きくするための荷重を与えることは、作業者の手作業により行ってもよく、あるいは、荷重付与部材に電動モータや油圧シリンダ等による駆動装置を接続し、この駆動装置からの駆動力により行ってもよい。
また、本発明に係る開閉装置用戻しばねの伸長装置は、巻き締めによって蓄圧される戻しばね力が開閉体を開き移動させるための回転軸の回転力の全部となる戻しばねに適用できるとともに、回転軸の回転力の一部となる戻しばねにも適用することができる。本発明に係る開閉装置用戻しばねの伸長装置が回転軸の回転力の一部となる戻しばねに適用される場合は、この戻しばねの戻しばね力は補助力となり、この補助力に人の操作力や電動モータ等の駆動装置からの駆動力が加わることにより、回転軸が回転して開閉体が開き移動する。本発明に係る開閉装置用戻しばねの伸長装置は、このような開閉装置に用いられる戻しばねにも適用することができる。
さらに本発明において、互いに連結されるものとなっている前記結合部材と前記荷重付与部材は、開閉装置用戻しばねの伸長装置の本体を介して連結されるものとしてもよい。
そして、このように結合部材と荷重付与部材を、開閉装置用戻しばねの伸長装置の本体を介して連結する場合には、この本体には、回転軸の軸方向における結合部材と荷重付与部材との間の間隔の大きさを調整可能とするための調整手段を設けることが好ましい。
これによると、調整手段により、結合部材と荷重付与部材との間の間隔の大きさを調整することができるため、回転軸の軸方向長さであるコイル軸方向長さが異なっているそれぞれの戻しばねについて、本発明に係る開閉装置用戻しばねの伸長装置を適用できるようになる。
また、このように本体に結合部材と荷重付与部材との間の間隔の大きさを調整するための調整手段を設ける場合には、本体に粗調整手段と微調整手段の両方を設けることが好ましい。
これによると、粗調整手段により、結合部材と荷重付与部材との間の間隔を短時間で所定の大きさに近い大きさにすることができ、また、微調整手段により、結合部材と荷重付与部材との間の間隔を細かく正確な大きさに設定することができる。
また、本体に粗調整手段を設けるためには、この本体を、例えば、第1本体部材と第2本体部材とを含んで構成し、粗調整手段を、第1本体部材に対して回転軸の軸方向に移動自在となっている第2本体部材に回転軸の軸方向に複数個形成されている被係止部と、第1本体部材に設けられ、第2本体部材が回転軸の軸方向に移動することにより複数個の被係止部に順次係止可能となっている係止部材とを備えたものとしてもよい。
これによると、第2本体部材を第1本体部材に対して回転軸の軸方向に移動させることにより、第1本体部材に設けられた係止部材を、第2本体部材に回転軸の軸方向に複数個形成されている被係止部のそれぞれに順次係止させることにより、回転軸の軸方向における本体の長さ寸法を複数段階で調整できることになるため、結合部材と荷重付与部材との間の間隔を粗調整することができる。
また、本体に微調整手段を設けるためには、例えば、この微調整手段を、雌ねじ孔が設けられた雌ねじ部材と、この雌ねじ部材の雌ねじ孔に雄ねじが螺合した雄ねじ部材とを有し、雌ねじ部材と雄ねじ部材のうち、一方を回転させると他方が移動して回転軸の軸方向における本体の長さ寸法が変化するねじ機構によるものとしてもよい。
これによると、回転軸の軸方向における本体の長さ寸法を、ねじ機構により細かく調整することができるようになる。
また、粗調整手段を本体における回転軸の軸方向の途中箇所に設け、本体における回転軸の軸方向の両端箇所に2個の前記微調整手段を設け、これらの微調整手段を、本体を構成している本体部材を一方の方向に回転させると回転軸の軸方向における本体の長さ寸法が大きくなり、本体部材を前記一方の方向とは反対側に回転させると回転軸の軸方向における本体の長さ寸法が小さくなる右ねじ機構と左ねじ機構とによるものとしてもよい。
これによると、本体部材を一方の方向に回転させると回転軸の軸方向における本体の長さ寸法が大きくなり、本体部材を前記一方の方向とは反対側に回転させると回転軸の軸方向における本体の長さ寸法が小さくなるため、本体部材の回転方向の選択により、結合部材と荷重付与部材との間の間隔を細かく調整するために本体の長さ寸法を大きくしたり小さくしたりするための微調整作業を簡単に行える。
また、本発明に係る開閉装置用戻しばねの伸長装置に設けられる前記荷重付与部材については、一例として、この荷重付与部材を、荷重付与部材の長さ方向の途中部に設けられた連結部において、本体に回動自在に連結された棒状部材とするとともに、この棒状の荷重付与部材の一方の端部を、戻しばねの前記他方の端部に係合される係合部とし、また、荷重付与部材の他方の端部を、この荷重付与部材に荷重を作用させる荷重作用部とし、連結部と係合部との間の間隔を、連結部と荷重作用部との間の間隔よりも小さくしてもよい。
これによると、連結部と係合部との間の間隔が、連結部と荷重作用部との間の間隔よりも小さいため、荷重作用部に作用させた荷重は、てこの原理により、大きな荷重となって係合部に伝達され、このため、この係合部が係合している戻しばねの前記他方の端部に、巻き締められた戻しばねのコイル軸方向長さを充分に伸長させるために必要となる大きな荷重を付与することができるようになる。
なお、荷重作用部に作用させる荷重は、前述の説明から分かるように、作業者の手操作による荷重でもよく、電動モータや油圧シリンダ等による駆動装置からの荷重でもよい。
また、本発明において、戻しばねの前記他方の端部には、この戻しばねに連結されたフランジ部材を設け、このフランジ部材には、荷重付与部材が挿入係合される被係合部を設け、この被係合部に荷重付与部材が挿入係合されることにより、戻しばねの前記他方の端部に荷重付与部材が係合されるようにしてもよい。
さらに、フランジ部材の被係合部を、戻しばねを巻き締めるときに用いる巻き締め工具を挿入係合するためのものとしてもよい。
これによると、荷重付与部材を挿入係合するフランジ部材の被係合部は、戻しばねを巻き締めるときに用いる巻き締め工具を挿入係合するためにフランジ部材に予め設けられたものとなり、このため、フランジ部材に荷重付与部材を挿入係合するための特別の部分を設けなくても、荷重付与部材のこのフランジ部材への挿入係合を、この被係合部を利用して行えることになる。
以上説明した本発明に係る開閉装置用戻しばねの伸長装置は、回転軸の外周にコイルばねによる戻しばねが巻き締められて巻回配置される開閉装置であれば、任意の開閉装置に適用することができ、この開閉装置は、オーバースライディングドア装置でもよく、あるいは、開閉体であるシャッターカーテンが回転軸となっている巻取軸に繰り出し自在に巻き取られる窓や出入口等のためのシャッター装置でもよい。また、開閉体は、複数個のパネルが開閉移動方向に連設されたパネル式のものでもよく、あるいは、複数個のスラットが開閉移動方向に連設されたスラット式のものでもよく、あるいは、横方向を長さ方向とする複数本のパイプ等によるバー部材が開閉移動方向に連設されたバー式のものでもよく、あるいは、シートで形成されたシート式のものでもよく、あるいは、これらの開閉体構成部材のうち、複数種類の開閉体構成部材の複合により形成されたものでもよい。
本発明によると、開閉装置の回転軸に戻しばねが巻き締められて配置されても、この戻しばねのコイル軸方向長さを伸長させる作業を容易かつ迅速に行えるという効果を得られる。
図1は、本発明の一実施形態に係る伸長装置が適用される戻しばねが用いられた開閉装置であるオーバースライディングドア装置の概略斜視図である。 図2は、図1の一部拡大正面図であって、戻しばねの配置箇所の部分を示す正面図である。 図3は、巻き締められる前の戻しばねを示す正面図である。 図4は、巻き締められた後の戻しばねを示す正面図である。 図5は、本発明の一実施形態に係る伸長装置の全体を示す正面図である。 図6は、図5の伸長装置の全体を示す平面図である。 図7は、伸長装置の本体に設けられている粗調整手段を示す正断面図である。 図8は、伸長装置に設けられている結合部材を示す側面図である。 図9は、伸長装置の本体に設けられている粗調整手段と微調整手段により本体の長さ寸法が調整可能となっていることや、結合部材と荷重付与部材が本体に対して回動可能となっていることを示す図5と同様の図である。 図10は、伸長装置により戻しばねのコイル軸方向長さを大きくするための作業を示す正面図である。 図11は、結合部材が回転軸に、この回転軸の軸方向に不動となって結合されたときを示す図である。
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。図1には、本発明の一実施形態に係る開閉装置用戻しばねの伸長装置が適用される戻しばねが用いられた開閉装置が示されており、この開閉装置は、倉庫等の建築物の出入口に設置されているオーバースライディングドア装置である。図1において、オーバースライディングドア装置の開閉体となっているシャッターカーテン1は、複数個のパネル2をシャッターカーテン1の開閉移動方向である上下方向に連設することで形成されたパネル式のものであり、互いに上下隣接しているパネル2同士はヒンジ3により回動自在に連結されている。シャッターカーテン1の幅方向両側には、それぞれのパネル2同士の連結部において、バー部材4を介してガイドローラ5がシャッターカーテン1の幅方向に突出した状態で配置され、これらのガイドローラ5は、左右一対のガイドレール6のガイド溝に挿入されている。それぞれのガイドレール6は、鉛直成分を有して上下方向に延びる第1部分6Aと、この第1部分6Aの上端に湾曲した第2部分6Bを介して接続され、シャッターカーテン1の厚さ方向である前後方向に上下成分を有して又は有しないで延びている第3部分6Cとからなる。
このため、シャッターカーテン1は、それぞれのガイドローラ5が左右一対のガイドレール6で案内されることにより、これらのガイドレール6の形状に倣った開閉移動を行い、それぞれのガイドローラ5が、図1に示されているように、左右一対のガイドレール6の第1部分6Aに達しているときには、これらの第1部分6Aの間に形成されている前記建築物の出入口はシャッターカーテン1で閉鎖され、また、それぞれのガイドローラ5が第2部分6Bや第3部分6Cに達したときには、シャッターカーテン1は出入口を開放する。
出入口の上方には、回転軸7が水平に配置され、ブラケット8,9より回転自在に支持されているこの回転軸7の軸方向両端部には、2個の巻取ドラム10が取り付けられ、これらの巻取ドラム10には、巻取ドラム10に上端が結合されたワイヤー等による駆動用紐状部材11が繰り出し自在に巻かれており、これらの駆動用紐状部材11の下端は、シャッターカーテン1の下端部に連結されている。2個の巻取ドラム10のうち、一方の巻取ドラム10にはスプロケットホイール等の回転部材12が結合一体化され、この回転部材12に掛け回されているチェーン等による連動用無端紐状部材13は、回転部材14にも掛け回されている。この回転部材14には、操作用無端紐状部材16が掛け回されているプーリ等の回転部材15が結合一体されているため、人が操作用無端紐状部材16を操作して、回転部材15を正逆回転させ、この回転が回転部材14、連動用無端紐状部材13、回転部材12に伝達されて、巻取ドラム10及び回転軸7が正逆回転すると、巻取ドラム10による駆動用紐状部材11の巻き取り、繰り出しにより、シャッターカーテン1はガイドレール6に案内されて開閉移動する。
このようにシャッターカーテン1を開閉移動させるために正逆回転する回転軸7の外周には、コイルばねによる戻しばね20が巻回配置され、この戻しばね20の長さ方向であるコイル軸方向の一方の端部は不動部材となっているブラケット8に連結されているとともに、他方の端部は回転軸7に連結されている。このようにして回転軸7の外周に巻回配置された戻しばね20が巻き締められていると、戻しばね20には戻しばね力が蓄圧されているため、例えば、図1に示されているように、シャッターカーテン1が全閉位置に達しているときに、人が操作用無端紐状部材16の操作により回転軸7を回転させてシャッターカーテン1を上方へ開き移動させる作業は、この回転軸7の回転が戻しばね20の戻しばね力によって補助されることにより行われることになる。
人が操作用無端紐状部材16を上記操作とは逆操作すると、上方へ開き移動していたシャッターカーテン1は下方へ閉じ移動し、シャッターカーテン1がこの閉じ移動を行うときには、回転軸7は、シャッターカーテン1の開き移動時とは逆回転するため、戻しばね20には再び戻しばね力が蓄圧される。
以上で説明したオーバースライディングドア装置は、人が操作用無端紐状部材16を操作することで回転軸7が正逆回転してシャッターカーテン1が開閉移動する手動操作式のものであったが、後述する本発明の一実施形態に係る開閉装置用戻しばねの伸長装置は、電動モータ等による駆動装置からの駆動力により正逆回転する回転軸に配置された戻しばねにも適用することができる。また、本発明の一実施形態に係る開閉装置用戻しばねの伸長装置は、シャッターカーテンの重量をバランスウエイトでバランスさせ、シャッターカーテンの上下の開閉移動を手作業より容易に行えるようにしたバランス式オーバースライディングドア装置にも適用することができる。
図1で示されている回転軸7は、継手部材17で接続された左右2本の回転軸部材7A,7Bにより構成され、これらの回転軸部材7A,7Bのそれぞれがブラケット8,9で回転自在に支持されているとともに、回転軸部材7A,7Bのそれぞれに巻取ドラム10と戻しばね20が配置されている。
図2には、回転軸部材7A,7Bのうち、回転軸部材7Aと、この回転軸部材7Aに配置された巻取ドラム10と戻しばね20とが拡大されて示されており、また、図2には、前述した建築物の出入口の上方に配置され、ブラケット8,9が取り付けられている梁等の不動部材18が二点鎖線で示されている。また、図3には、戻しばね20がさらに拡大されて示されている。この図3に示されているように、回転軸7を構成する回転軸部材7Aの外周に巻回配置されたコイルばねとなっている戻しばね20のコイル軸方向両端部には、フランジ部材21,22が配置されており、これらのフランジ部材21,22には、戻しばね20の内部に挿入された挿入部21A,22Aが設けられている。これらの挿入部21A,22Aのうち、挿入部21Aには孔21Bが形成され、この孔21Bに、戻しばね20の折り曲げられた一方の端部20Aが挿入係止されているとともに、挿入部22Aにも孔22Bが形成され、この孔22Bには、戻しばね20の折り曲げられた他方の端部20Bが挿入係止されている。これにより、2個のフランジ部材21,22は戻しばね20に連結されている。
図2及び図3に示されているように、2個のフランジ部材21,22のうち、一方のフランジ部材21は、ブラケット8にボルト及びナットによる止着具23で止着されており、このため、回転軸7の軸方向となっている戻しばね20の長さ方向の一方の端部は、フランジ部材21及びブラケット8を介して、上述した梁等の不動部材18に連結されている。また、他方のフランジ部材22には、止めねじとなっているボルト24がフランジ部材22の外周面から内部へ螺入されて配置され、フランジ部材22の円周方向に複数個設けられているボルト24が締め付けのための回転操作されて、これらのボルト24の先端部が回転軸部材7Aに強く当接することにより、フランジ部材22は回転軸部材7Aに連結されるため、戻しばね20の長さ方向の他方の端部は、フランジ部材22を介して回転軸7の構成部材となっている回転軸部材7Aに連結されている。
図2及び図3には、前述した戻しばね力を生じされるための巻き締め作業が実施される以前の戻しばね20が示されている。このときには、戻しばね20はコイルばねであるため、回転軸7の軸方向に並んでいるそれぞれのコイル線部20C同士は、回転軸7の軸方向に、言い換えると、コイル軸方向に離間している。
戻しばね20の巻き締め作業を行うときには、止めねじとなっているボルト24を緩め、次いで、図3に示されているように、フランジ部材22の外周面に等間隔で複数個形成されている孔又は窪み部等による被係合部25にバー状の巻き締め工具26の先端部を作業者が順次挿入係合して、この巻き締め工具26の操作によってフランジ部材22を回転軸部材7Aを中心に回転させることにより、戻しばね20は巻き締められ、この巻き締め後において、ボルト24の締め付け作業を行うことにより、フランジ部材22、及びこのフランジ部材22に連結されている戻しばね20の端部は、回転軸部材7Aに連結される。
図4は、このようにして巻き締められた戻しばね20が示されており、このときの戻しばね20のそれぞれのコイル線部20C同士は接触しているとともに、巻き締めによってコイル径が減少して巻回数が増加することにより、戻しばね20のコイル軸方向長さは大きくなっている。
なお、戻しばね20の巻き締め作業は、図1に示されているように、オーバースライディングドア装置を倉庫等の建築物に設置して、シャッターカーテン1を全閉位置に降ろしたときに行われる。そして、このときの戻しばね20の巻き締め量は、シャッターカーテン1が全開位置に達しても、戻しばね20に戻しばね力が残り、この残された戻しばね力によりシャッターカーテン1が自重により降下しない大きな巻き締め量に設定される。
このため、戻しばね20に対して実施する巻き締め作業は大きな巻き締め力をもって行われることになり、戻しばね20のそれぞれのコイル線部20Cには大きな接触力が生じている。このように戻しばね20のそれぞれのコイル線部20Cには大きな接触力が生じているときに、前述したように戻しばね20の戻しばね力を補助力にしてシャッターカーテン1を上方へ開き移動させるようとすると、上記大きな接触力が、それぞれのコイル線部20Cが戻しばね20を緩める方向である回転軸部材7Aの円周方向にずれ回動することを阻害することになるため、戻しばね20に本来の適正な戻しばね力を生じさせることができず、シャッターカーテン1を上方へ所定どおり開き移動させることは困難になる。
このため、戻しばね20に本来の適正な戻しばね力を生じさせることができるようにするために、巻き締められた戻しばね20のコイル軸方向長さを伸長させ、接触していたコイル線部20C同士を離間させる作業を行うために、図5及び図6に示した本発明の一実施形態に係る伸長装置30が用いられる。図5は、伸長装置30の全体正面図であり、図6は、伸長装置30の全体平面図である。なお、以下では、この伸長装置30を図3で示した戻しばね20について使用する場合について説明するが、この伸長装置30を左右逆とすることにより、回転軸7の軸方向に対称的に配置されている図1の2個の戻しばね20について使用することができる。
図5及び図6に示されているように、伸長装置30は、回転軸7の長さ方向の長さを有する本体31と、この本体31の長さ方向の一方の端部に連結された結合部材32と、本体31の長さ方向の他方の端部に連結された荷重付与部材33とを備えたものになっている。また、本体31は、それぞれが回転軸7の軸方向の長さを有するものとなっている第1本体部材34と第2本体部材35とを含んで構成され、本実施形態では、第1本体部材34は大径のパイプ材によるものであり、第2本体部材35は小径のパイプ材によるものであり、第1本体部材34の内部に第2本体部材35の一部がスライド自在に挿入されていることにより、これらの本体部材34,35のうち、一方は他方に対して回転軸7の軸方向に移動可能となっており、このため、本体31の長さ寸法、及び結合部材32と荷重付与部材33との間の間隔が調整可能となっている。また、第1本体部材34の外周には、作業者が本体31を把持するための把持部材36が取り付けられている。
第1本体部材34における第2本体部材35とは反対側の端部には、雌ねじ孔が設けられた雌ねじ部材となっているナット37が結合され、このナット37の雌ねじ孔に雄ねじ部材となっているボルト軸38の雄ねじが螺合することにより、このボルト軸38の一部がナット37及び第1本体部材34の内部に挿入されている。ナット37から突出しているボルト軸38の端部には、二股状のブラケット39がピン39Aを中心に回動自在に連結され、このブラケット39に棒状の延長部材40を介して上述の結合部材32が取り付けられている。
図8には、結合部材32の側面図が示されている。図5及び図8から分かるように、板材によって形成されている結合部材32には、回転軸7の軸方向と直交する方向に開口した開口部32Aが形成され、図8に示されているように、この開口部32Aの奥に、開口部32Aと連続していて、開口部32Aよりも幅寸法が小さくなった半円状又は略半円状の結合用欠部32Bが設けられている。結合部材32には、中心軸41Aを中心に蓋部材41が回動自在に取り付けられており、この蓋部材41が中心軸41Aを中心に回動することにより、結合部材32の開口部32Aは開閉され、中心軸41Aを中心に自重で回動じた蓋部材41は、この蓋部材41に設けられたストップ部41Bが結合部材32に当接することにより、蓋部材41は開口部32Aを閉じた状態を維持する。
なお、図8に示されているように、結合部材32に設けられている結合用欠部32Bの幅寸法は、回転軸7の直径寸法よりも少し大きい寸法になっている。
図5及び図6に示されているように、前述した第2本体部材35における第1本体部材34とは反対側の端部には、雌ねじ孔が設けられた雌ねじ部材となっているナット45が結合され、このナット45の雌ねじ孔に雄ねじ部材となっているボルト軸46の雄ねじが螺合することにより、このボルト軸46の一部がナット45及び第2本体部材35の内部に挿入されている。ナット45から突出しているボルト軸46の端部には、二股状のブラケット47がピン47Aを中心に回動自在に連結され、このブラケット47に棒状の部材となっている前述の荷重付与部材33が取り付けられ、このブラケット47による荷重付与部材33のボルト軸46への取り付けは、荷重付与部材33の長さ方向の途中箇所で行われている。そして、ブラケット47の配置箇所は、このブラケット47によるボルト軸46と荷重付与部材33との連結部48となっている。
荷重付与部材33の長さ方向における一方の端部は、図3で示した戻しばね20の端部に連結されているフランジ部材22の被係合部25に挿入係合可能となっている部分であって、この被係合部25に荷重付与部材33からの荷重を付与できる係合部33Aとなっており、他方の端部は、作業者が荷重付与部材33に荷重を作用させるための荷重作用部33Bとなっている。本実施形態では、この荷重作用部33Bは、作業者が握りやすいようにするために、大径の部材を荷重付与部材33の外周に取り付けることにより形成されている。
また、図5に示されているように、連結部48と係合部33Aとの間の間隔はL1であり、また、連結部48と荷重作用部33Bとの間の間隔はL2である。間隔L1は、間隔L2よりも小さくなっている。
図5及び図6に示されているように、第1本体部材34における第2本体部材35とは反対側の端部の外周には、保持部材50が第1本体部材34に固定されて設けられ、この保持部材50には、図7に示されているように、保持部材50に回転不能に結合された軸51により係止部材52が保持され、この係止部材52は軸51を中心に回動自在となっている。軸51の外周にはねじりコイルばね53が巻回配置され、このねじりコイルばね53の一方の端部53Aは係止部材52に当接し、他方の端部53Bは、保持部材50に結合固定された軸51に係止されているため、係止部材52は、軸51を中心にねじりコイルばね53のばね力により、図7における右方向に常に弾性付勢されている。係止部材52における本体31の長さ方向の一方の端部は、この弾性付勢によって第2本体部材35側へ押圧されている係止部52Aとなっており、他方の端部は、作業者が係止部材52を、軸51を中心にねじりコイルばね53のばね力に抗して図7における左方向に回動させるための押圧部52Bとなっている。
第2本体部材35には、以上のようにして第1本体部材34に保持部材50によって配置されている係止部材52と対向する箇所において、係止部材52の係止部52Aが係止可能及び離脱可能となっている被係止部35Aが形成されており、第2本体部材35に形成された凹部や孔等となっているこの被係止部35Aは、回転軸7の軸方向である第2本体部材35の長さ方向に等間隔で複数個設けられている。
このため、作業者が、係止部材52の押圧部52Bを押圧してこの係止部材52を軸51を中心に図7における左方向に回動させた後に、第1本体部材34に対して第2本体部材35を、回転軸7の軸方向である本体31の長さ方向に移動させ、押圧部52Bの押圧を解除することで、係止部材52の係止部52Aを複数個の被係止部35Aのうちの1個の被係止部35Aに係止することにより、本体31の長さ寸法は変更されることになる。そして、被係止部35Aは、本体31の長さ方向でもある第2本体部材35の長さ方向に等間隔で複数個設けられているため、第2本体部材35を第1本体部材34に対して回転軸7の軸方向に移動させることにより、係止部材52の係止部52Aを複数個の被係止部35Aに順次係止させることができ、これにより、本体31の長さ寸法を、言い換えると、回転軸7の軸方向における結合部材32と荷重付与部材33との間の間隔の大きさを、複数段階に被係止部35A同士の間隔分だけ粗調整することができる。
このため、本実施形態では、第1本体部材34に配置された係止部材52と、第2本体部材35に複数個設けられた被係止部35Aとにより、回転軸7の軸方向であって、本体31の長さ方向における結合部材32と荷重付与部材33との間の間隔の大きさを複数段階に粗調整するための粗調整手段60が構成されている。
また、本実施形態では、図5及び図6で示したボルト軸38,46も、第1及び第2本体部材34,35と同様に、本体31を構成する部材となっている。これらのボルト軸38,46のうち、ボルト軸38は、このボルト軸38の外周に形成された雄ねじが左ねじとなっていて、このボルト軸38が螺入されている前述のナット37も雌ねじ孔が雌左ねじ孔となっているため、本体31には、左ねじ機構61が設けられていることになる。また、ボルト軸46は、このボルト軸46の外周に形成された雄ねじが右ねじとなっていて、このボルト軸46が螺入されている前述のナット45も雌ねじ孔が雌右ねじ孔となっているため、本体31には、右ねじ機構62も設けられていることになる。
このため、本体31の長さ方向両端部に配置されている結合部材32と荷重付与部材33が本体31を中心に回転することを阻止した状態で、第1本体部材34に設けられた把持部材36を把持した手により本体31の第1本体部材34と、この第1本体部材34に粗調整手段60で連結されている第2本体部材35とを、本体31の軸線を中心に一方の方向に回転させると、雌ねじ部材であるナット37,45も雄ねじ部材となっているボルト軸38,46に対してこの一方の方向に回転し、ボルト軸38,46は送り作用で回転軸7の軸方向である本体31の長さ方向外側へ移動するため、左ねじ機構61と右ねじ機構62とにより、回転軸7の軸方向長さである本体31の長さ寸法を大きくして、結合部材32と荷重付与部材33との間の間隔を大きくできる。また、第1本体部材34と第2本体部材35を、本体31の軸線を中心に逆の方向に回転させると、ナット37,45もこの逆の方向に回転し、ボルト軸38,46は送り作用で本体31の長さ方向内側へ移動するため、左ねじ機構61と右ねじ機構62とにより、本体31の長さ寸法を小さくして、結合部材32と荷重付与部材33との間の間隔を小さくできる。
このため、左ねじ機構61と右ねじ機構62により、本体31の長さ寸法を細かく微調整することができるため、これらの左ねじ機構61と右ねじ機構62は、回転軸7の軸方向であって、本体31の長さ方向となっている結合部材32と荷重付与部材33との間の間隔の大きさを微調整するために、本体31に2個設けられた微調整手段63となっている。
そして、本実施形態では、粗調整手段60は、本体31における回転軸7の軸方向の途中箇所に設けられ、本体31における回転軸7の軸方向の両端箇所には、2個の微調整手段63が設けられていることになる。
また、本実施形態に係る伸長装置30では、図9に示されているように、前述した結合部材32は、本体31に対してブラケット39のピン39Aを中心に回動自在となっており、また、荷重付与部材33も、本体31に対してブラケット47のピン47Aを中心に回動自在となっている。
次に、図3で説明したように、バー状の巻き締め工具26の操作によって巻き締められて回転軸7の外周に配置された戻しばね20のコイル軸方向長さを本実施形態に係る伸長装置30により伸長させるための作業、すなわち、コイル軸方向長さを大きくするための作業について説明する。なお、このときには、戻しばね20の一方の端部は、図2等で説明したように、この一方の端部に連結されたフランジ部材21がブラケット8を介して不動部材18に結合されているため、この不動部材18に連結されている。また、戻しばね20の他方の端部は、この端部に連結されたフランジ部材22が止めねじであるボルト24により回転軸7に結合されているため、この回転軸7に連結されている。
回転軸7の外周に巻き締められて配置された戻しばね20のコイル軸方向長さを本実施形態に係る伸長装置30により伸長させるためには、最初に伸長装置30の本体31の長さ寸法を粗調整手段60により、図10に示されているように、2個のフランジ部材21,22を含む戻しばね20全体の長さ寸法より少し大きい寸法に設定する。次いで、結合部材32に対して中心軸41Aを中心に回動自在となっている蓋部材41を開き回動させて、結合部材32に形成されている開口部32Aから回転軸7を挿入し、この回転軸7を、図8に示されているように、結合部材32の結合用欠部32Bの内部に遊合状態で嵌入する。この遊合嵌入作業を行った後には、蓋部材41は、自重で中心軸41Aを中心に回動して結合部材32の開口部32Aを閉じ、回転軸7が結合用欠部32B及び開口部32Aから抜け出ることが防止される。
この後に、図10に示されているように、本体31を、この本体31の長さ方向にずらし移動させることにより、板材で形成されている結合部材32の姿勢を、ブラケット39のピン39Aを中心にして、回転軸7の軸方向と直交する方向に対して傾ける。これにより、図11に示されているように、結合用欠部32Bにおける回転軸7の軸方向に離れた2箇所であって、回転軸7の直径方向にも離れた2箇所の角部32C,32Dが回転軸7に当接する。これにより、伸長装置30に設けられている結合部材32は、戻しばね20が配置されている回転軸7に、この回転軸7の軸方向に不動となって結合されることになる。
そして、このときには、伸長装置30に設けられている荷重付与部材33の先端部の係合部33Aを、戻しばね20の端部に連結されているフランジ部材22の被係合部25に挿入係合しておく。この後に、本体31を、この本体31に取り付けられている把持部材36により、本体31の軸線を中心に一方の方向や、反対側の方向に回転させ、これにより、前述した左ねじ機構61と右ねじ機構62による2個の微調整手段63によって本体31の長さ寸法を細かく調整して、荷重付与部材33を、図10に示されているように、本体31及び回転軸7に対して直角又は略直角とする。
次いで、フランジ部材22を回転軸7に止めねじとして結合していたボルト24を緩める。これにより、巻き締められている戻しばね20には、ばね反発力によりコイル軸方向長さが大きくなる拡張力が生ずるため、荷重付与部材33の後端部に設けられている荷重作用部33Bに、作業者がこの拡張力に対抗する操作力を作用させることにより、戻しばね20が拡張することを阻止する。また、この阻止によっても、フランジ部材22が戻しばね20の巻き戻し力により回転軸7を中心に回転してしまうことを阻止することができ、戻しばね20の巻き締め状態を維持できる。
この後に、作業者は、荷重付与部材33の荷重作用部33Bに、この荷重作用部33Bをブラケット47のピン47Aを中心にして結合部材32側へ回動させるための操作力を作用させる。これにより、荷重付与部材33は、図10の二点鎖線で示されているように、本体31及び回転軸7に対して傾くことになり、また、伸長装置30の本体31の長さ方向の一方の端部に設けられている結合部材32が、回転軸7に、この回転軸7の軸方向に不動となって結合されているため、荷重付与部材33の係合部32Aからフランジ部材22の被係合部25に上記操作力が付与された戻しばね20は、巻き締め状態を維持したまま、コイル軸方向長さが大きくなって伸長されることになり、これにより、戻しばね20における回転軸7の軸方向に並んで互いに接触していたそれぞれのコイル線部20Cは、回転軸7の軸方向に離間することになる。この後に、フランジ部材22をボルト24の締め付け作業によって回転軸7に結合する作業を行う。
これにより、図1で説明した操作用無端紐状部材16を操作し、巻き締められた戻しばね20の戻しばね力を補助力にして、シャッターカーテン1を開き移動させるための回転軸7の回転が行われる際に、戻しばね20のそれぞれのコイル線部20Cは接触していないため、これらのコイル線部20Cには接触による損失が生ずることはなく、このため、戻しばね20に本来の適正となった戻しばね力を生じさせることができる。
以上説明した本実施形態に係る伸長装置30によると、この伸長装置30には、回転軸7に、この回転軸7の軸方向に不動となって結合される結合部材32と、戻しばね20に連結されたフランジ部材22に係合する荷重付与部材33とが設けられているため、この荷重付与部材33により、巻き締められている戻しばね20のコイル軸方向長さを大きくする作業を容易かつ迅速に行え、作業効率を向上させることができる。
また、伸長装置30の本体31には、この本体の長さ方向における結合部材32と荷重付与部材33との間隔の大きさを調整することができる調整手段60,63が設けられているため、コイル軸方向長さが異なる各種の戻しばねについて本実施形態に係る伸長装置30を適用することができる。
また、本体31に設けられている調整手段60,63には、粗調整手段60があり、この粗調整手段60によると、本体31の長さ寸法を複数段階に粗調整できるため、結合部材32と荷重付与部材33との間隔の大きさを適切な大きさに近い寸法に調整する作業を短時間で行える。
さらに、本体31に設けられている調整手段60,63には、ねじ機構61,62による微調整手段63があり、この微調整手段63によると、結合部材32と荷重付与部材33との間の間隔を細かく正確な大きさに設定することができる。
また、微調整手段63は2個あり、これら微調整手段63は、左ねじ機構61と右ねじ機構62とによるものとなっているため、本体31の第1及び第2本体部材34,35を一方の方向に回転させると回転軸7の軸方向における本体31の長さ寸法が大きくなり、第1及び第2本体部材34,35を逆側に回転させると回転軸7の軸方向における本体31の長さ寸法が小さくなるため、第1及び第2本体部材34,35の回転方向の選択により、結合部材32と荷重付与部材33との間の間隔を細かく調整するために、本体31の長さ寸法を大きくしたり小さくしたりする微調整作業を簡単に行える。
さらに、図5で説明したように、本体31を構成しているボルト軸46と荷重付与部材33とを連結されている連結部48と、戻しばね20のフランジ部材22の被係合部25に荷重付与部材33からの荷重を付与するための係合部33Aとの間の間隔は、L1であり、また、連結部48と、作業者が荷重付与部材33に操作力による荷重を作用させるための荷重作用部33Bとの間の間隔は、L2であり、間隔L1は、間隔L2よりも小さくなっているため、作業者が荷重作用部33Bに作用させた操作力は、てこの原理により、係合部33Aが係合しているフランジ部材22の被係合部25には、大きな荷重となって付与され、このため、強く巻き締められた戻しばねでも充分に伸長させるために必要となる大きな荷重を戻しばね20に付与することができる。
また、荷重付与部材33の係合部33Aが挿入係合するフランジ部材22の被係合部25は、戻しばね20を巻き締めするときに用いる図3の巻き締め工具26を挿入係合する箇所にもなっているため、この被係合部25をそのまま使用して、戻しばね20のコイル軸方向長さを荷重付与部材33により大きくすることができ、戻しばね20又はフランジ部材22に、荷重付与部材33を係合させるための特別の部分を形成しなくてもよい。
なお、以上説明した実施形態の伸長装置30の結合部材32は、回転軸7に、この回転軸7の軸方向に不動となって結合されるものとなっていたが、結合部材を、戻しばね20におけるフランジ部材21が設けられている側の端部に、回転軸7の軸方向に不動となって結合されるものとしてもよい。また、ここでいう戻しばね20におけるフランジ部材21が設けられている側の端部には、フランジ部材21や、このフランジ部材21が結合されているブラケット8、不動部材18が含まれる。
本発明は、例えば、オーバースライディングドア装置等のように、開閉体を開閉移動させるために正逆回転する回転軸にコイルばねによる戻しばねを巻き締めして配置する開閉装置に利用することができる。
1 開閉体であるシャッターカーテン
7 回転軸
8,9 不動部材であるブラケット
18 梁等の不動部材
20 戻しばね
25 被係合部
26 巻き締め工具
30 伸長装置
31 本体
32 結合部材
32B 結合用欠部
33 荷重付与部材
33A 係合部
33B 荷重作用部
39 結合部材と本体を連結するブラケット
48 連結部
60 粗調整手段
63 微調整手段
L1,L2 間隔

Claims (14)

  1. 開閉装置の開閉体を開閉移動させるために回転する回転軸の回転を、巻き締めによって蓄圧されている戻しばね力により前記開閉体が開き移動するときに補助するコイルばねとなっていて、長さ方向の一方の端部が不動部材に連結されるとともに、他方の端部が前記回転軸に連結される戻しばねのコイル軸方向長さを伸長させるために用いられる開閉装置用戻しばねの伸長装置であって、
    前記回転軸に結合される結合部材と、前記戻しばねの前記他方の端部に係合され、この他方の端部に前記戻しばねの前記コイル軸方向長さを大きくする方向への荷重を付与する荷重付与部材と、前記結合部材と前記荷重付与部材を連結する本体と、を備え、
    前記結合部材は前記本体に対して運動可能となっていて、この運動により前記結合部材は、前記回転軸にこの回転軸の軸方向に不動となって結合されることを特徴とする開閉装置用戻しばねの伸長装置。
  2. 請求項1に記載の開閉装置用戻しばねの伸長装置において、前記運動は、前記結合部材が前記回転軸の軸方向と直交する方向に対して傾く運動であることを特徴とする開閉装置用戻しばねの伸長装置。
  3. 請求項2に記載の開閉装置用戻しばねの伸長装置において、前記結合部材は、前記本体に回動自在に取り付けられていることを特徴とする開閉装置用戻しばねの伸長装置。
  4. 請求項2又は3に記載の開閉装置用戻しばねの伸長装置において、前記結合部材には、前記回転軸が内部に嵌入される結合用欠部が設けられていることを特徴とする開閉装置用戻しばねの伸長装置。
  5. 請求項4に記載の開閉装置用戻しばねの伸長装置において、前記結合用欠部の大きさは、前記回転軸が遊合状態で嵌入されるものとなっていることを特徴とする開閉装置用戻しばねの伸長装置。
  6. 請求項1~5のいずれかに記載の開閉装置用戻しばねの伸長装置において、前記本体には、前記回転軸の軸方向における前記結合部材と前記荷重付与部材との間の間隔の大きさを調整可能とするための調整手段が設けられていることを特徴とする開閉装置用戻しばねの伸長装置。
  7. 請求項6に記載の開閉装置用戻しばねの伸長装置において、前記調整手段には、粗調整手段と微調整手段とがあることを特徴する開閉装置用戻しばねの伸長装置。
  8. 請求項1~7のいずれかに記載の開閉装置用戻しばねの伸長装置において、前記荷重付与部材は、この荷重付与部材の長さ方向の途中部に設けられた連結部において、前記本体に回動自在に連結された棒状部材となっていることを特徴とする開閉装置用戻しばねの伸長装置。
  9. 請求項8に記載の開閉装置用戻しばねの伸長装置において、前記荷重付与部材の一方の端部は、前記戻しばねの前記他方の端部に係合される係合部となっているとともに、前記荷重付与部材の他方の端部は、この荷重付与部材に荷重を作用させる荷重作用部となっており、前記連結部と前記係合部との間の間隔は、前記連結部と前記荷重作用部との間の間隔よりも小さくなっていることを特徴とする開閉装置用戻しばねの伸長装置。
  10. 開閉装置の開閉体を開閉移動させるために回転する回転軸の回転を、巻き締めによって蓄圧されている戻しばね力により前記開閉体が開き移動するときに補助するコイルばねとなっていて、長さ方向の一方の端部が不動部材に連結されるとともに、他方の端部が前記回転軸に連結される戻しばねのコイル軸方向長さを伸長させるための開閉装置用戻しばねの伸長作業方法であって、
    前記戻しばねを巻き締めるための第1作業工程と、
    前記戻しばねの前記コイル軸方向長さを伸長させるための第2作業工程と、
    を含み、
    前記第2作業工程は、結合部材と荷重付与部材とを有する伸長装置により行われる作業工程であって、前記結合部材を前記回転軸に結合して、前記戻しばねの前記他方の端部に係合した前記荷重付与部材に、前記戻しばねの前記コイル軸方向長さを大きくする方向への荷重を付与して行う作業工程となっていることを特徴とする開閉装置用戻しばねの伸長作業方法。
  11. 請求項10に記載の開閉装置用戻しばねの伸長作業方法において、前記伸長装置は、前記結合部材と前記荷重付与部材を連結する本体を備え、前記結合部材は前記本体に対して運動可能となっていて、この運動を前記結合部材に行わせることにより、この結合部材を、前記回転軸にこの回転軸の軸方向に不動となって結合させることを特徴とする開閉装置用戻しばねの伸長作業方法。
  12. 請求項10又は11に記載の開閉装置用戻しばねの伸長作業方法において、前記第1作業工程により、前記戻しばねのコイル線部同士は接触しており、前記第2作業工程により、前記コイル線部同士が離間することを特徴とする開閉装置用戻しばねの伸長作業方法。
  13. 請求項10~12のいずれかに記載の開閉装置用戻しばねの伸長作業方法において、前記第1作業工程は、前記開閉体を全閉位置にして行われることを特徴とする開閉装置用戻しばねの伸長作業方法。
  14. 請求項10~13のいずれかに記載の開閉装置用戻しばねの伸長作業方法において、前記結合部材と前記荷重付与部材との間隔は調整可能となっており、前記第2作業工程は、前記結合部材と前記荷重付与部材との間隔を、この第2作業工程が実施される前記戻しばねの前記コイル軸方向長さに調整して行われることを特徴とする開閉装置用戻しばねの伸長作業方法。
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