以下、図面を参照して各実施形態について説明する。
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係るX線診断装置及び医用画像処理装置を含む医用情報処理システムの構成を示すブロック図であり、図2は、X線診断装置の構成を示すブロック図である。図3は、医用画像処理装置の構成を示すブロック図である。図1に示す医用情報処理システムは、互いにネットワークNwを介して通信可能なX線診断装置1及び医用画像処理装置90を備えている。なお、この医用情報処理システムは、これに限らず、X線診断装置1又は医用画像処理装置90を省略した構成に変形可能である。また、X線診断装置1としては、バイプレーン構造を例に挙げて述べるが、これに限らず、シングルプレーン構造を用いてもよい。Cアーム9及びΩアーム19は、撮像角度の違いを除いてほぼ同様に動作するので、主にCアーム9を用いた場合を例に挙げて説明する。
ここで、X線診断装置1は、撮像装置10及びコンソール装置70を備えている。撮像装置10は、高電圧発生装置3、第1X線管5、第1X線検出器7、Cアーム9、第1コリメータ11、第2X線管15、第2X線検出器17、Ωアーム19、第2コリメータ21、天板24、寝台25及び駆動部27を備えている。
高電圧発生装置3は、第1X線管5と第2X線管15とに供給する管電流と、第1X線管5と第2X線管15とに印加する管電圧とを発生する。高電圧発生装置3は、処理回路74に制御され、管電流を第1X線管5と第2X線管15とに供給し、管電圧を第1X線管5と第2X線管15とに印加する。
第1X線管5は、高電圧発生装置3から供給された管電流と、高電圧発生装置3により印加された管電圧とに基づいて、X線の焦点(以下、第1焦点と呼ぶ)においてX線(以下、第1X線と呼ぶ)を発生する。第1焦点から発生された第1X線は、第1X線管5の前面に設けられたX線放射窓を介して、被検体Pに照射される。なお、第1焦点から発生された第1X線の一部は、第1X線管5とX線放射窓との間に設けられた第1コリメータ11により遮蔽される。すなわち、入力インタフェース73から入力された第1照射範囲に従って第1コリメータ11が移動され、第1X線の照射範囲が限定される。
第1X線検出器7は、第1X線管5から発生され、被検体Pを透過した第1X線を検出する。例えば、第1X線検出器7は、フラットパネルディテクタ(Flat Panel Detector:以下、第1FPDと呼ぶ)を有する。第1FPDは、複数の半導体検出素子を有する。半導体検出素子には、直接変換形と間接変換形とがある。直接変換形とは、入射X線を直接的に電気信号に変換する形式である。間接変換形とは、入射X線を蛍光体で光に変換し、その光を電気信号に変換する形式である。
第1X線検出器7の後段には、図示しない投影データ生成回路及び投影データ記憶回路を備える。投影データ生成回路は、第1FPDから行単位あるいは列単位でパラレルに読み出された電荷を電圧に変換する電荷・電圧変換器と、この電荷・電圧変換器の出力をデジタル信号に変換するA/D変換器と、デジタル変換されたパラレル信号を時系列的なシリアル信号に変換するパラレル・シリアル変換器を備えている。投影データ生成回路は、このシリアル信号を時系列的な投影データとして投影データ記憶回路に供給する。投影データ記憶回路は、投影データ生成回路から供給される時系列的な投影データを順次保存して2次元投影データを生成する。この2次元投影データは、メモリ71に保存される。
Cアーム9は、第1X線管5と第1X線検出器7とを被検体P及び天板24を挟んで対向するように保持することで、天板24上の被検体PのX線撮影を行うことができる構成を有する。また、Cアーム9は、第1焦点と第1X線検出器7との距離(線源受像面間距離(Source Image Distance:以下、第1SIDとも呼ぶ))を変更可能に、第1X線管5と第1X線検出器7とを保持する。「第1SID」は、単に「SID」とも呼ぶ。なお、天板24は、当該天板24の長手方向、短軸方向及び鉛直方向に沿って移動可能に寝台25に設けられている。
具体的にはCアーム9は、天板24の長軸方向及び短軸方向に沿って移動可能となっている。また、Cアーム9は、保持部を介して支持アームに支持されている。支持アームは、略円弧形状を有し、天井に設けられたレールに対する移動機構に基端が取り付けられている。Cアーム9は、天板24に垂直なZ方向と、天板24の長軸方向に沿ったY方向との両者に直交するX方向の軸を中心に回転可能に保持部に保持されている。また、Cアーム9は、Y方向の軸を中心とした略円弧形状を有し、略円弧形状に沿ってスライド動作可能に保持部に保持されている。すなわち、Cアーム9は、Y方向の軸を回転中心としたスライド動作を行うことができる。また、Cアーム9は、保持部を中心としてX方向の軸を中心とした回転動作(以下、「主回転動作」と称する。)をすることができ、スライドとこの回転の組み合わせにより様々な角度方向(撮像角度)からX線画像を取得することを可能とする。さらに、Cアーム9は、Z方向の軸を中心にも回転することができ、これにより、例えば、上述のスライド動作の回転中心軸をX方向とすることができる。なお、第1X線管5の第1焦点と、第1X線検出器7の検出面中心とを通る撮影軸は、スライド動作の回転中心軸と、主回転動作の回転中心軸とに一点で交差するように設計されている。当該交点は、一般的には、アイソセンタと呼ばれている。アイソセンタは、Cアーム9が上述のスライド動作や主回転動作をしても変位しない。このため、アイソセンタに関心部位(例、動脈瘤)が位置した場合、Cアーム9のスライド動作又は主回転動作により得られた医用画像の動画像において、関心部位の観察が容易になる。
第2X線管15は、高電圧発生装置3から供給された管電流と、高電圧発生装置3により印加された管電圧とに基づいて、X線の焦点(以下、第2焦点と呼ぶ)においてX線(以下、第2X線と呼ぶ)を発生する。第2焦点から発生された第2X線は、第2X線管15の前面に設けられたX線放射窓を介して、被検体Pに照射される。なお、第2焦点から発生された第2X線の一部は、第2X線管15とX線放射窓との間に設けられた第2コリメータ21により遮蔽される。すなわち、入力インタフェース73から入力された第2照射範囲に従って第2コリメータ21が移動され、第2X線の照射範囲が限定される。
第2X線検出器17は、第2X線管15から発生され、被検体Pを透過したX線を検出する。例えば、第2X線検出器17は、第2FPDを有する。第2X線検出器17の後段には、図示しない投影データ生成回路及び投影データ記憶回路を備える。投影データ生成回路は、第2FPDから行単位あるいは列単位でパラレルに読み出された電荷を電圧に変換する電荷・電圧変換器と、この電荷・電圧変換器の出力をデジタル信号に変換するA/D変換器と、デジタル変換されたパラレル信号を時系列的なシリアル信号に変換するパラレル・シリアル変換器を備えている。投影データ生成回路は、このシリアル信号を時系列的な投影データとして投影データ記憶回路に供給する。投影データ記憶回路は、投影データ生成回路から供給される時系列的な投影データを順次保存して2次元投影データを生成する。この2次元投影データは、メモリ71に保存される。
Ωアーム19は、第2X線管15と第2X線検出器17とを天板24上の被検体Pを挟んで対向するように保持することで、被検体PのX線撮影を行うことができる構成を有する。また、Ωアーム19は、第2焦点と第2X線検出器17との距離(線源受像面間距離(Source Image Distance:以下、第2SIDとも呼ぶ))を変更可能に、第2X線管15と第2X線検出器17とを保持する。「第2SID」は、単に「SID」とも呼ぶ。
具体的にはΩアーム19は、天板24の長軸方向及び短軸方向に沿って移動可能となっている。また、Ωアーム19は、保持部を介して支持アームに支持されている。支持アームは、略円弧形状を有し、天井に設けられたレールに対する移動機構に基端が取り付けられている。Ωアーム19は、天板24に垂直なZ方向と、天板24の長軸方向に沿ったY方向の軸を中心に回転可能に保持部に保持されている。また、Ωアーム19は、Y方向の軸を中心とした略円弧形状を有し、略円弧形状に沿ってスライド動作可能に保持部に保持されている。すなわち、Ωアーム19は、Y方向の軸を回転中心としたスライド動作を行うことができる。また、Ωアーム19は、保持部を中心としてZ方向の軸を中心とした回転動作(以下、「主回転動作」と称する。)をすることができ、スライドとこの回転の組み合わせにより様々な角度方向(撮像角度)からX線画像を取得することを可能とする。なお、第2X線管15の第2焦点と、第2X線検出器17の検出面中心とを通る撮影軸は、スライド動作の回転中心軸と、主回転動作の回転中心軸とに一点で交差するように設計されている。当該交点は、一般的には、アイソセンタと呼ばれている。アイソセンタは、Ωアーム19が上述のスライド動作や主回転動作をしても変位しない。このため、アイソセンタに関心部位(例、動脈瘤)が位置した場合、Ωアーム19のスライド動作又は主回転動作により得られた医用画像の動画像において、関心部位の観察が容易になる。
このようなCアーム9及びΩアーム19は、レール下の支持アーム、X方向の軸、Y方向の軸及びZ方向の軸に係る動作を実現するための複数の動力源が該当する適当な箇所に備えられている。これらの動力源は駆動部27を構成する。
駆動部27は、システム制御機能741からの駆動信号を読み込んでCアーム9及びΩアーム19の各々をスライド運動、回転運動、直線運動させる。さらに、Cアーム9及びΩアーム19には、その角度(撮像角度)または姿勢や位置の情報を検出する状態検出器がそれぞれ備えられている。状態検出器は、例えば回転角や移動量を検出するポテンショメータや、位置検出センサであるエンコーダ等で構成される。エンコーダとしては、例えば磁気方式、刷子式、あるいは光電式等の、いわゆるアブソリュートエンコーダが使用可能となっている。また、状態検出器としては、回転変位をデジタル信号として出力するロータリエンコーダあるいは直線変位をデジタル信号として出力するリニアエンコーダなど、様々な種類の位置検出機構が適宜、使用可能となっている。
コンソール装置70は、メモリ71、ディスプレイ72、入力インタフェース73、処理回路74及びネットワークインタフェース76を備えている。
メモリ71は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)及び画像メモリなど電気的情報を記録するメモリ本体と、それらメモリ本体に付随するメモリコントローラやメモリインタフェースなどの周辺回路とを備えている。メモリ71は、例えば、処理回路74に実行されるプログラムと、第1X線検出器7及び第2X線検出器17から受けた検出データ(2次元投影データ)、処理回路74により生成された医用画像、処理回路74の処理に用いるデータ、各種テーブル、処理途中のデータ及び処理後のデータ等が記憶される。医用画像としては、例えば、X線画像(X線透視画像)、マスク画像(他のX線画像)、差分画像、デバイス画像、補間画像、強調画像、造影血管X線画像(DSA画像)、重畳画像などがある。プログラムは、例えば、コンピュータに、被検体をX線により撮像したX線画像を取得する取得機能、当該取得されたX線画像と他のX線画像とに基づいて、当該取得されたX線画像に描出されたデバイスを抽出したデバイス画像を生成するデバイス画像生成機能、当該生成されたデバイス画像の欠損部分を補間した補間画像を生成する補間画像生成機能、を実現させる。補足すると、このようなプログラムとしては、例えば、予めネットワーク又は非一過性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体からコンピュータにインストールされ、医用画像処理装置77の各機能を当該コンピュータに実現させるプログラムが用いられる。
ディスプレイ72は、医用画像などといった各種の情報を表示するディスプレイ本体と、ディスプレイ本体に表示用の信号を供給する内部回路、ディスプレイ本体と内部回路とをつなぐコネクタやケーブルなどの周辺回路から構成されている。内部回路は、処理回路74から供給される画像データに被検体情報や投影データ生成条件等の付帯情報を重畳して表示データを生成し、得られた表示データに対しD/A変換とTVフォーマット変換を行なってディスプレイ本体に表示する。例えば、ディスプレイ72は、処理回路74によって生成された医用画像や、操作者からの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を出力する。例えば、ディスプレイ72は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイである。また、ディスプレイ72は、表示部の一例である。また、ディスプレイ72は、デスクトップ型でもよいし、コンソール装置70本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。ディスプレイ72は表示部の一例である。
入力インタフェース73は、被検体情報の入力、X線条件の設定、撮像装置10の幾何学的情報、各種コマンド信号の入力等を行う。被検体情報は、例えば、被検体ID、被検体名、生年月日、年齢、体重、性別、検査部位等を含んでいる。なお、被検体情報は、被検体の身長を含んでもよい。撮像装置10の幾何学的情報は、例えば、Cアーム9による撮像角度及び第1SIDと、Ωアーム19による撮像角度及び第2SIDなどである。入力インタフェース73は、例えば、Cアーム9及びΩアーム19の移動指示、関心領域(ROI)の設定などを行うためのトラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、及び表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチパネルディスプレイ等によって実現される。入力インタフェース73は、処理回路74に接続されており、操作者から受け取った入力操作を電気信号へ変換し、処理回路74へと出力する。また、入力インタフェース73は、コンソール装置70本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。また、本明細書において入力インタフェース73はマウス、キーボードなどの物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路74へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース73の例に含まれる。
処理回路74は、メモリ71内のプログラムを呼び出し実行することにより、プログラムに対応するシステム制御機能741、画像処理機能742、デバイス画像生成機能743、補間画像生成機能744、強調画像生成機能745及び表示制御機能746を実現するプロセッサである。なお、処理回路74の説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU、GPU、或いは、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル論理デバイス等の回路を意味する。プログラマブル論理デバイスには、例えば、単純プログラマブル論理デバイス(SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)等がある。この種のプロセッサは、メモリ71内のプログラムを呼び出し実行する代わりに、当該プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。また、図2においては単一の処理回路74にてシステム制御機能741、画像処理機能742、デバイス画像生成機能743、補間画像生成機能744、強調画像生成機能745及び表示制御機能746が実現されるものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより各機能を実現するものとしても構わない。また、システム制御機能741、画像処理機能742、デバイス画像生成機能743、補間画像生成機能744、強調画像生成機能745及び表示制御機能746は、それぞれシステム制御回路、画像処理回路、デバイス画像生成回路、補間画像生成回路、強調画像生成回路及び表示制御回路と呼んでもよく、個別のハードウェア回路として実装してもよい。
システム制御機能741は、例えば、入力インタフェース73から入力された操作者によるコマンド信号、及び各種初期設定条件等の情報を一旦記憶した後、これらの情報を処理回路74の各処理機能に送信する。
また、システム制御機能741は、例えば、入力インタフェース73から入力されたCアーム9、Ωアーム19及び天板24の駆動に関する情報を用いて、駆動部27及び寝台25の制御を行う。例えば、システム制御機能741は、Cアーム9やΩアーム19の移動や回転、及び天板24の移動やチルトなどを制御する。
また、システム制御機能741は、例えば、各種初期設定条件等の情報を読み込んで、高電圧発生装置3における管電圧、管電流、照射時間などのX線条件の制御を行う。X線条件は、管電流と照射時間の積(mAs)を含んでもよい。
画像処理機能742は、例えば、メモリ71内の2次元投影データに対してフィルタリング処理等の画像処理を行ってX線画像を生成し、X線画像をメモリ71に保存する。ここで、第1X線検出器7の出力に基づくX線画像を第1X線画像と呼んでもよく、第2X線検出器17の出力に基づくX線画像を第2X線画像と呼んでもよい。第1X線画像及び第2X線画像は、互いに異なる2つの撮像角度で撮像されている。但し、以下の説明では、主に、Cアーム9のみを用いた場合を例に挙げて述べるので、「第1X線画像」を単に「X線画像」と呼ぶ。更に、画像処理機能742は、得られた複数のX線画像データに対し合成処理や減算(サブトラクション)処理等を行ない、得られた他のX線画像(マスク画像)や差分画像などをメモリ71に保存する。なお、造影剤を用いて得られたX線画像から、造影剤を用いずに得られたX線画像を減算処理して得られたX線画像については、造影血管X線画像又はDSA(Digital Subtraction Angiography)画像ともいう。第1X線管5、第1X線検出器7、メモリ71及び画像処理機能742は、X線診断装置1における取得部の一例であり、被検体をX線により撮像したX線画像を取得する。メモリ71及び画像処理機能742は、医用画像処理装置77における取得部の一例であり、被検体をX線により撮像したX線画像を取得する。
デバイス画像生成機能743は、当該取得されたX線画像と他のX線画像とに基づいて、当該取得されたX線画像に描出されたデバイスを抽出したデバイス画像を生成する。以下の説明中、他のX線画像は、マスク画像ともいう。デバイス画像は、欠損部分を含むデバイスを示す場合には、欠損画像と呼んでもよい。デバイス画像生成機能743は、デバイス画像生成部の一例である。
補間画像生成機能744は、当該生成されたデバイス画像の欠損部分を補間した補間画像を生成する。補間画像生成機能744は、補間画像生成部の一例である。
強調画像生成機能745は、当該生成された補間画像に基づいて、上記取得されたX線画像又は上記X線画像と上記他のX線画像との差分画像においてデバイスを強調した強調画像を生成する。例えば、強調画像生成機能745は、補間画像をX線画像又は差分画像に重畳することにより強調画像を生成してもよい。強調画像生成機能745は、強調画像生成部の一例である。また、強調画像生成機能745は、必須ではなく、省略してもよい。
表示制御機能746は、例えば、システム制御機能741からの信号を読み込んで、メモリ71から所望の医用画像データを取得してディスプレイ72に表示する制御などを行う。これに限らず、表示制御機能746は、各種画像や各種情報をディスプレイ72に表示させることが可能である。表示制御機能746は、表示制御部の一例である。
ネットワークインタフェース76は、コンソール装置70をネットワークNwに接続して医用画像処理装置90等の他の装置と通信するための回路である。ネットワークインタフェース76としては、例えば、ネットワークインタフェースカード(NIC)が使用可能となっている。以下の説明では、他の装置との通信にネットワークインタフェース76が介在する旨の記載を省略する。
これらメモリ71、ディスプレイ72、入力インタフェース73、処理回路74の画像処理機能742、デバイス画像生成機能743、補間画像生成機能744、強調画像生成機能745及び表示制御機能746は、医用画像処理装置77を構成している。医用画像処理装置77は、X線診断装置1に内蔵されてもよく、X線診断装置1とは別の装置として、X線診断装置1の外部に設けてもよい。
一方、医用画像処理装置90は、図3に示すように、メモリ91、ディスプレイ92、入力インタフェース93、処理回路94及びネットワークインタフェース96を備えている。
メモリ91は、ROM、RAM、HDD及び画像メモリなど電気的情報を記録するメモリ本体と、それらメモリ本体に付随するメモリコントローラやメモリインタフェースなどの周辺回路とを備えている。メモリ91は、例えば、処理回路94に実行されるプログラム、X線診断装置1から受信した医用画像、処理回路94により生成された医用画像、処理回路94の処理に用いるデータ、各種テーブル、処理途中のデータ及び処理後のデータ等が記憶される。医用画像としては、例えば、X線画像(X線透視画像)、マスク画像(他のX線画像)、差分画像、デバイス画像、補間画像、強調画像、造影血管X線画像(DSA画像)、重畳画像などがある。プログラムは、例えば、コンピュータに、被検体をX線により撮像したX線画像を取得する取得機能、当該取得されたX線画像と他のX線画像とに基づいて、当該取得されたX線画像に描出されたデバイスを抽出したデバイス画像を生成するデバイス画像生成機能、当該生成されたデバイス画像の欠損部分を補間した補間画像を生成する補間画像生成機能、を実現させる。補足すると、このようなプログラムとしては、例えば、予めネットワーク又は非一過性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体からコンピュータにインストールされ、医用画像処理装置90の各機能を当該コンピュータに実現させるプログラムが用いられる。
ディスプレイ92は、医用画像などといった各種の情報を表示するディスプレイ本体と、ディスプレイ本体に表示用の信号を供給する内部回路、ディスプレイ本体と内部回路とをつなぐコネクタやケーブルなどの周辺回路から構成されている。内部回路は、処理回路94から供給される画像データに被検体情報や投影データ生成条件等の付帯情報を重畳して表示データを生成し、得られた表示データに対しD/A変換とTVフォーマット変換を行なってディスプレイ本体に表示する。例えば、ディスプレイ92は、処理回路94によって強調された医用画像や、操作者からの各種操作を受け付けるためのGUI等を出力する。例えば、ディスプレイ92は、液晶ディスプレイやCRTディスプレイである。また、ディスプレイ92は、表示部の一例である。また、ディスプレイ92は、デスクトップ型でもよいし、医用画像処理装置90本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。ディスプレイ92は表示部の一例である。
入力インタフェース93は、被検体情報の入力、撮像装置10の幾何学的情報、各種コマンド信号の入力等を行う。被検体情報は、例えば、被検体ID、被検体名、生年月日、年齢、体重、性別、検査部位等を含んでいる。なお、被検体情報は、被検体の身長を含んでもよい。撮像装置10の幾何学的情報は、例えば、Cアーム9による撮像角度及び第1SIDと、Ωアーム19による撮像角度及び第2SIDなどである。入力インタフェース93は、例えば、画像処理といった医用情報処理に関する指示、関心領域(ROI)の設定などを行うためのトラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、及び表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチパネルディスプレイ等によって実現される。入力インタフェース93は、処理回路94に接続されており、操作者から受け取った入力操作を電気信号へ変換し、処理回路94へと出力する。また、入力インタフェース93は、医用画像処理装置90本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。また、本明細書において入力インタフェース93はマウス、キーボードなどの物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路94へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース93の例に含まれる。
処理回路94は、メモリ91内のプログラムを呼び出し実行することにより、プログラムに対応する画像処理機能942、デバイス画像生成機能943、補間画像生成機能944、強調画像生成機能945及び表示制御機能946を実現するプロセッサである。なお、処理回路94の説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU、GPU、或いは、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル論理デバイス等の回路を意味する。プログラマブル論理デバイスには、例えば、単純プログラマブル論理デバイス(SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)等がある。この種のプロセッサは、メモリ91内のプログラムを呼び出し実行する代わりに、当該プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。また、図3においては単一の処理回路94にて画像処理機能942、デバイス画像生成機能943、補間画像生成機能944、強調画像生成機能945及び表示制御機能946が実現されるものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより各機能を実現するものとしても構わない。また、画像処理機能942、デバイス画像生成機能943、補間画像生成機能944、強調画像生成機能945及び表示制御機能946は、それぞれ画像処理回路、デバイス画像生成回路、補間画像生成回路、強調画像生成回路及び表示制御回路と呼んでもよく、個別のハードウェア回路として実装してもよい。
ここで、画像処理機能742は、例えば、メモリ91内の2次元投影データに対してフィルタリング処理等の画像処理を行ってX線画像を生成し、X線画像をメモリ91に保存する。ここで、第1X線検出器7の出力に基づくX線画像を第1X線画像と呼んでもよく、第2X線検出器17の出力に基づくX線画像を第2X線画像と呼んでもよい。第1X線画像及び第2X線画像は、互いに異なる2つの撮像角度で撮像されている。但し、以下の説明では、主に、Cアーム9のみを用いた場合を例に挙げて述べるので、「第1X線画像」を単に「X線画像」と呼ぶ。更に、画像処理機能942は、得られた複数のX線画像データに対し合成処理や減算(サブトラクション)処理等を行ない、得られた他のX線画像(マスク画像)や差分画像などをメモリ91に保存する。なお、造影剤を用いて得られたX線画像から、造影剤を用いずに得られたX線画像を減算処理して得られたX線画像については、造影血管X線画像又はDSA(Digital Subtraction Angiography)画像ともいう。メモリ91及び画像処理機能942は、医用画像処理装置90における取得部の一例であり、被検体をX線により撮像したX線画像を取得する。但し、取得部は、これに限定されない。例えば、X線診断装置1からX線画像が送信される場合には、当該X線画像を受信してメモリ91に保存するネットワークインタフェース96と、メモリ91とが取得部の一例となる。
デバイス画像生成機能943は、当該取得されたX線画像と他のX線画像とに基づいて、当該取得されたX線画像に描出されたデバイスを抽出したデバイス画像を生成する。以下の説明中、他のX線画像は、マスク画像ともいう。デバイス画像は、欠損部分を含むデバイスを示す場合には、欠損画像と呼んでもよい。デバイス画像生成機能943は、デバイス画像生成部の一例である。
補間画像生成機能944は、当該生成されたデバイス画像の欠損部分を補間した補間画像を生成する。補間画像生成機能944は、補間画像生成部の一例である。
強調画像生成機能945は、当該生成された補間画像に基づいて、上記取得されたX線画像又は上記X線画像と上記他のX線画像との差分画像においてデバイスを強調した強調画像を生成する。例えば、強調画像生成機能945は、補間画像をX線画像又は差分画像に重畳することにより強調画像を生成してもよい。強調画像生成機能945は、強調画像生成部の一例である。また、強調画像生成機能745は、必須ではなく、省略してもよい。
表示制御機能946は、例えば、入力インタフェース93の操作に応じて、メモリ91から所望の医用画像データを取得してディスプレイ92に表示する制御などを行う。これに限らず、表示制御機能946は、各種画像や各種情報をディスプレイ92に表示させることが可能である。表示制御機能946は、表示制御部の一例である。
ネットワークインタフェース96は、医用画像処理装置90をネットワークNwに接続してX線診断装置1等の他の装置と通信するための回路である。ネットワークインタフェース96としては、例えば、ネットワークインタフェースカード(NIC)が使用可能となっている。以下の説明では、他の装置との通信にネットワークインタフェース96が介在する旨の記載を省略する。
なお、医用画像処理装置90内の画像処理機能942、デバイス画像生成機能943、補間画像生成機能944、強調画像生成機能945及び表示制御機能946は、X線診断装置1内の画像処理機能742、デバイス画像生成機能743、補間画像生成機能744、強調画像生成機能745及び表示制御機能746と同様の機能である。すなわち、医用情報処理システムとしては、医用画像処理装置90の処理回路94の各機能、又はX線診断装置1の処理回路74の各機能(但し、システム制御機能741を除く)、のいずれかの動作が実行される。
次に、以上のように構成された医用画像処理装置の動作について図4のフローチャート並びに図5及び図6の模式図を用いて説明する。なお、X線診断装置1の処理回路74、及び医用画像処理装置90の処理回路94は、画像処理機能、デバイス画像生成機能、補間画像生成機能、強調画像生成機能及び表示制御機能に関し、ほぼ同様の動作を実行する。これに伴い、重複した文言の繰り返しを避けて理解を容易にする観点から、以下の説明では、当該各機能の動作について、医用画像処理装置90の処理回路94を代表例に挙げて述べる。このような代表例の説明は、適宜、装置名及び参照符号などを読み替えることにより、X線診断装置1及び医用画像処理装置77の処理回路74の動作の説明に適用することができる。このことは、以下の各実施形態でも同様である。
始めに、X線診断装置1の処理回路74は、操作者による入力インタフェース73の操作に応じて、撮像装置10を制御してCアーム9の撮像角度やSIDを調整し、X線透視撮像を開始する。これにより、被検体PのX線画像が動画として得られる。このX線画像は、X線透視撮像中、X線診断装置1から医用画像処理装置90に送信される。
ステップST10において、医用画像処理装置90は、X線診断装置1からX線画像を取得し、当該X線画像をメモリ91に保存する一方、ディスプレイ92に表示させる。このX線透視下において、コイル塞栓術が開始される。コイル塞栓術では、術者がリアルタイムで表示されるX線画像を視認しながら、カテーテル及びガイドワイヤを血管内に挿入して動脈瘤まで進行させ、動脈瘤にコイル(デバイス)を充填していく。なお、リアルタイムでの表示は、厳密に、撮像された瞬間に表示する処理を意味するのではなく、X線診断装置1側でX線画像が順次取得される処理に並行して、医用画像処理装置90側で当該X線画像が順次表示される処理を意味する。
ステップST10の後、ステップST20において、医用画像処理装置90の処理回路94は、操作者による入力インタフェース93の操作に応じて、取得したX線画像をマスク画像にするか否かを判定する。例えば、処理回路94は、マスク画像の取得指示を入力する操作に応じた電気信号を入力インタフェース93から受け付けると、X線画像をマスク画像にすることを判定し、ステップST30に移行する。この種のマスク画像の取得指示は、例えば、一本のコイルを動脈瘤に留置する毎に、操作者の操作によって入力される。一方、判定結果が否の場合、ステップST40に移行する。
ステップST20の後、ステップST30において、処理回路94は、ステップST10で取得したX線画像をマスク画像として取得し、メモリ91に保存する。メモリ91内のマスク画像は、マスク画像の取得指示が入力される毎に、更新される。マスク画像は、撮像装置10の幾何学的情報に関連づけて保存されてもよい。幾何学的情報は、例えば、取得されたX線画像の付帯情報に含まれている。
ステップST30の後、ステップST40において、処理回路94は、当該取得されたX線画像とマスク画像(他のX線画像)とに基づいて、当該取得されたX線画像に描出されたデバイスを抽出したデバイス画像を生成する。具体的には例えば、図5に示すように、処理回路94は、X線画像gxからマスク画像gmを減算して差分画像gsを求める。差分画像gsは、ブランクロードマップ(BRM)画像と呼んでもよい。また、処理回路94は、差分画像gsから留置中のデバイスを抽出してデバイス画像gdを求める。ここで、留置中のデバイスを抽出する場合、例えば図6に示すように、差分画像gsから第1閾値以下の黒色画素を抽出する閾値処理により、デバイスとアーチファクトとを示す黒色画像gbsを得る。また、差分画像gsから第2閾値以上の白色画素を抽出する閾値処理により、アーチファクトを示す白色画像gwsを得る。次に、黒色画像gbsと、白色画像gwsとの位置合わせを行い、2つの画像を重畳した位置合わせ画像gd_rを得る。この位置合わせ画像gd_rは、例えば、黒色画像gbs及び白色画像gwsのうち、一方の画像については固定し、他方の画像については、回転行列による回転処理や並進ベクトルによる平行移動を施すことにより、得てもよい。次に、位置合わせ画像gd_rにおいて、白色画像gwsの白色画素領域を少し膨張させた領域(白色画素の近傍領域)を背景色で塗りつぶす。これにより、位置合わせ画像gd_rからアーチファクトが消去され、差分画像gsからデバイスのみを抽出したデバイス画像gdが生成される。このデバイス画像gdは、マスク画像gm内で留置済みのコイルの数が増えてきた場合、X線画像gxからマスク画像gmを減算する処理に起因して、留置中のコイルが部分的に欠損して表現される。
ステップST40の後、ステップST50において、処理回路94は、図5に示すように、当該生成されたデバイス画像gdの欠損部分を補間した補間画像giを生成する。欠損部分は、直線又は曲線のいずれで補間してもよい。
ステップST50の後、ステップST60において、処理回路94は、当該生成された補間画像giに基づいて、上記取得されたX線画像gx又は上記差分画像gsにおいてデバイスを強調した強調画像geを生成する。例えば図5に示すように、処理回路94は、補間画像giを差分画像gsに重畳することにより強調画像geを生成する。
ステップST60の後、ステップST70において、処理回路94は、生成した強調画像geをディスプレイ92に表示させる。このとき、処理回路94は、取得したX線画像gxを強調画像geと共に、ディスプレイ92に表示させることが好ましい。但し、補間画像giをX線画像gxに重畳して強調画像geを生成した場合には、X線画像gxを省略し、強調画像geのみを表示しても構わない。術者は、X線画像gxと共に、リアルタイムに表示される留置中のコイル(デバイス)を強調して示す強調画像geを視認しながらコイルの充填を進めていく。このリアルタイムでの表示は、前述同様に、X線診断装置1側でX線画像が順次取得される処理に並行して、医用画像処理装置90側で当該X線画像から生成された強調画像geが順次表示される処理を意味する。
ステップST70の後、ステップST80において、術者は、ディスプレイ92を視認しながらコイルの充填が完了したか否かを判断する。この判断の結果、否の場合には(ST80:No)、ステップST10に戻り、ステップST10~ST80の動作が継続される。一方、ステップST80の判断の結果、コイルの充填が完了した場合には(ST80:Yes)、コイル塞栓術を終了する。これにより、動脈瘤内を血栓化させて動脈瘤の破裂を防ぐことができる。
上述したように第1の実施形態によれば、被検体をX線により撮像したX線画像を取得する。当該取得されたX線画像と他のX線画像とに基づいて、当該取得されたX線画像に描出されたデバイスを抽出したデバイス画像を生成する。当該生成されたデバイス画像の欠損部分を補間した補間画像を生成する。このように、デバイス画像の欠損部分を補間した補間画像を生成する構成により、留置済みのデバイスの数が増えてきた場合に、デバイス画像の視認性の低下を阻止することができる。補足すると、第1の実施形態によれば、留置済みコイルの陰に隠れてしまい断片的にしか見えていなかった留置中コイルの形状の視認性を向上させることが可能となる。また、その結果として、コイル充填の精度の向上を期待することができる。
また、第1の実施形態によれば、生成された補間画像に基づいて、当該取得されたX線画像又は当該X線画像と当該他のX線画像との差分画像においてデバイスを強調した強調画像を生成してもよい。この場合、X線画像又は差分画像内のデバイスを強調した強調画像が得られるので、前述した効果に加え、X線画像又は差分画像の背景を視認することができる。
また、第1の実施形態によれば、補間画像をX線画像又は差分画像に重畳することにより強調画像を生成してもよい。この場合、X線画像又は差分画像内のデバイス部分の画素値を変更して強調画像を生成する処理に比べ、容易に強調画像を生成することができる。
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態に係る医用画像処理装置について説明する。以下の説明は、前述した図面と同一部分については同一符号を付してその詳しい説明を省略し、主に、異なる部分について述べる。このことは、以下の各実施形態についても同様である。
第2の実施形態は、第1の実施形態の処理回路74,94における補間画像生成機能744,944が学習済みモデルを用いる形態である。すなわち、処理回路74,94の補間画像生成機能744,944は、欠損部分を含むデバイスを示す入力画像に基づいて、当該欠損部分を補間したデバイスを示す出力画像を生成する学習済みモデルに対して、デバイス画像を入力することで補間画像を生成する。当該学習済みモデルは、AI(人工知能)ソフトウエアの一部であるプログラムモジュールとしての利用が想定される。但し、ASICやFPGA等のように、学習済みモデルが処理回路74,94内に実装されていてもよい。本実施形態では、処理回路74,94が学習済みモデルをメモリ71,91から読み込んで動作させる場合を例に挙げて述べる。
このような学習済みモデルは、学習用データに基づいて、機械学習モデルに機械学習を行わせることにより、学習済みの機械学習モデルである学習済みモデルとして作成可能となっている。ここで、学習用データは、欠損部分を含むデバイスを示す入力画像を入力データとし、当該欠損部分を補間したデバイスを示す出力画像を出力データとした、入力データと出力データとの組である。機械学習モデルは、欠損部分を含むデバイスを示す差分画像gs又はデバイス画像gdを入力とし、当該欠損部分を補間したデバイスを示す差分画像gs又は補間画像gdを出力する、複数の関数が合成されたパラメータ付き合成関数である。パラメータ付き合成関数は、複数の調整可能な関数及びパラメータの組合せにより定義される。本実施形態に係る機械学習モデルは、上記の要請を満たす如何なるパラメータ付き合成関数であっても良いが、多層のネットワークモデル(以下、多層化ネットワークと呼ぶ)であるとする。多層化ネットワークを用いる学習済みモデルは、欠損部分を含むデバイスを示す入力画像を入力する入力層と、当該欠損部分を補間したデバイスを示す出力画像を出力する出力層と、入力層と出力層との間に設けられる少なくとも1層の中間層とを有する。このような多層化ネットワークとしては、例えば、深層学習(Deep Learning)の対象となる多層ニューラルネットワークである深層ニューラルネットワーク(Deep Neural Network:DNN)を用いている。DNNとしては、例えば、再帰型ニューラルネットワーク(Recurrent Neural Network:RNN)や畳込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network:CNN)を用いてもよい。この種のCNNは、DCNN(Deep CNN)ともいう。本実施形態では、学習済みモデルとしてDCNNを用いている。CNNについては、例えば、前述した「イアン・グッドフェロー(Ian Goodfellow)、外2名、「第9章 畳み込みネットワーク(Chapter 9 Convolutional Networks)」、ディープラーニング(Deep learning)、エムアイティー・プレス(MIT press)、2016年、p.330-372、インターネット <URL:http://www.deeplearningbook.org>」に記載されている。また、RNNは、長・短期記憶(Long Short-Term Memory:LSTM)を含んでもよい。以上の当該多層化ネットワークに関する説明は、以下の全ての機械学習モデル及び学習済みモデルにも該当する。
これに伴い、処理回路74,94は、メモリ71,91内のプログラムに基づき、前述した機能に加え、図7及び図8に示すように、学習済みモデルを生成するための学習制御機能747,947を実行可能となっている。学習制御機能747,947は、学習用データに基づいて、メモリ71,91内の機械学習モデルに機械学習を行わせることにより、学習済みの機械学習モデルである学習済みモデルを生成する。なお、学習済みモデルは、学習済みモデルが出力した成果物に対してユーザがフィードバックを与えることにより、学習済みモデルの内部アルゴリズムを更に更新する「自己学習するモデル」を含む。
ここで、学習用データは、外部からメモリ71,91に書き込まれた入力画像と出力画像との複数のペアであってもよい。この場合、例えば、入力画像は、欠損部分を含む直線又は曲線を示す画像としてもよく、欠損部分を含む図形を示す画像としてもよい。出力画像は、入力画像の欠損部分を補間した画像である。
あるいは、学習用データは、学習制御機能747,947により作成された入力画像と出力画像との複数のペアであってもよい。学習用データとしては、1枚の元画像から入力画像と出力画像とのペアを作成してもよく、2枚の元画像から入力画像と出力画像とのペアを作成してもよい。
1枚の元画像からペアを作成する場合、元画像としては、欠損部分を含まないデバイスを示す差分画像gsとし、出力画像としては当該元画像を用い、入力画像としては当該元画像が示すデバイスに欠損部分を加工して形成した差分画像gsとしてもよい。また、1枚の元画像からペアを作成する場合、上記出力画像である差分画像gsからデバイスを抽出した補間画像giを出力画像とし、上記入力画像である差分画像gsからデバイスを抽出したデバイス画像gdを入力画像としてもよい。すなわち、学習用データとしては、欠損部分を含まない差分画像gsと欠損部分を含む差分画像gsとのペアを用いてもよく、デバイス画像gdと補間画像giとのペアを用いてもよい。
また、2枚の元画像からペアを作成する場合、第1の元画像としては、欠損部分を含むデバイスを示す差分画像gsとし、第2の元画像としては、欠損部分を含むデバイスを示す差分画像gsとしてもよい。このような第1の元画像及び第2の元画像は、例えば、撮像条件を変えた撮像により取得可能となっている。この場合、入力画像としては第1の元画像である差分画像gsを用い、出力画像としては第2の元画像である差分画像gsとしてもよい。また同様に、2枚の元画像からペアを作成する場合、上記出力画像である差分画像gsからデバイスを抽出した補間画像giを出力画像とし、上記入力画像である差分画像gsからデバイスを抽出したデバイス画像gdを入力画像としてもよい。
また、メモリ71,91は、前述した構成に加え、機械学習モデル及び学習済みモデルを記憶する。また、メモリ71,91内のプログラムは、処理回路74,94のプロセッサにより実行され、前述した機能に加え、学習制御機能747,947をコンピュータに実現させる。但し、補間画像生成機能744,944が学習済みモデルを用いる場合でも、機械学習モデルの記憶とその学習制御機能747,947は、必須ではなく省略してもよい。補足すると、学習済みモデルを用いる場合、医用画像処理装置77,90が機械学習モデルの学習により学習済みモデルを生成する必要はなく、外部から取得した学習済みモデルを用いてもよい。例えば、メモリ71、91は、X線診断装置1の工場出荷前に予め学習済みモデルを記憶してもよく、あるいはX線診断装置1の工場出荷後に、図示しないサーバ装置などから取得した学習済みモデルを記憶してもよい。また、メモリ71,91は、AIに基づく学習済みモデルに限らず、AIに基づかない既存の補間画像生成プログラムを記憶してもよい。このことは、以下の各実施形態でも同様である。
他の構成は、第1の実施形態と同様である。
次に、以上のように構成された医用画像処理装置の動作について図9のフローチャート並びに図10及び図11の模式図を用いて説明する。以下の説明は、機械学習モデルの学習制御に関する動作(図9及び図10)及び学習済みモデルを用いた補間画像の生成に関する動作(図9及び図11)の順に述べる。
(学習制御に関する動作:図9及び図10)
始めに、ステップST1において、処理回路94は、予め準備された学習データセットから機械学習に用いる量の学習用データを順次、用いて機械学習モデルmd1に機械学習を行わせる。このとき、機械学習モデルmd1は、学習用データのうち、欠損部分を含む直線又は曲線を示す入力画像に基づいて、当該直線又は曲線に含まれる欠損部分を補間した出力画像を出力する。また、処理回路94は、機械学習モデルmd1から出力された出力画像が、学習用データ内の出力画像に近づくように、機械学習モデルmd1のパラメータ等を調整し、機械学習モデルmd1に機械学習を行う。機械学習の終了により、処理回路94は、パラメータ等を調整済みの機械学習モデルmd1を得る。
続いて、処理回路94は、転移学習を行う。すなわち、処理回路94は、学習用データのうち、欠損部分を含むデバイスを示すデバイス画像gdを機械学習モデルmd1に入力し、当該欠損部分を補間した補間画像を機械学習モデルmd1から出力させる。また、処理回路94は、機械学習モデルmd1から出力された補間画像が、学習用データ内の補間画像giに近づくように、機械学習モデルmd1のパラメータ等を調整し、機械学習モデルmd1に機械学習を行う。機械学習の終了により、処理回路94は、パラメータ等を調整済みの機械学習モデルmd1を得る。
このような転移学習により、処理回路94は、学習済みの機械学習モデルmd1として、学習済みモデルmd2を作成する。作成された学習済みモデルmd2は、欠損部分を含むデバイスを示す入力画像に基づいて、当該欠損部分を補間したデバイスを示す出力画像を生成するように機能付けられている。処理回路94は、作成した学習済みモデルmd2をメモリ91に保存する。これにより、ステップST1が終了する。なお、転移学習は、必須ではなく、省略してもよい。すなわち、機械学習のうち、欠損部分を含む直線又は曲線を示す入力画像と、当該欠損部分を補間した出力画像とを用いる前半のサブステップは、省略してもよい。この場合、機械学習としては、デバイス画像gd及び補間画像giなどの実データセットを用いる後半のサブステップのみが実行される。なお、後半のサブステップとしては、デバイス画像gd及び補間画像giに代えて、欠損部分を含む差分画像gsと、当該欠損部分を補間した差分画像gsとを用いてもよい。
(補間画像の生成に関する動作:図9及び図11)
ステップST1の終了後、前述同様にステップST10~ST40が実行され、欠損部分を含むデバイス画像gdが生成される。
ステップST40の後、ステップST50において、処理回路94は、欠損部分を含むデバイスを示す入力画像に基づいて、当該欠損部分を補間したデバイスを示す出力画像を生成する学習済みモデルmd2に対して、デバイス画像gdを入力することで補間画像giを生成する。
ステップST50の後、ステップST60において、処理回路94は、当該生成された補間画像giに基づいて、上記取得されたX線画像gx又は上記差分画像gsにおいてデバイスを強調した強調画像geを生成する。例えば図11の右側中段に示すように、処理回路94は、補間画像giを差分画像gsに重畳することにより強調画像geを生成する。あるいは、処理回路94は、例えば図11の右側下段に示すように、補間画像giを着色し、当該着色した補間画像giをX線画像gxに重畳することにより強調画像geを生成してもよい。
ステップST60の後、前述同様にステップST70が実行され、強調画像geがディスプレイ92に表示される。なお、ステップST40~ST70の処理をX線透視の収集間隔以内に行うことで、リアルタイムで、術者は、補間されたコイルを強調画像ge上で観察することができる。
上述したように第2の実施形態によれば、欠損部分を含むデバイスを示す入力画像に基づいて、当該欠損部分を補間したデバイスを示す出力画像を生成する学習済みモデルに対して、デバイス画像を入力することで補間画像を生成する。これにより、第1の実施形態の効果に加え、機械学習の精度に応じて、補間画像の視認性の向上を図ることができる。また、機械学習モデルを機械学習させるときに転移学習を用いる場合には、学習用データとして準備する差分画像、デバイス画像及び補間画像などといった実データセット数を低減させることが可能となる。
<第3の実施形態>
第3の実施形態は、第1及び第2の実施形態の変形例であり、処理回路74,94における補間画像生成機能744,944が欠損部分を曲線で補間する形態である。
すなわち、処理回路74,94の補間画像生成機能744,944は、デバイス画像gd内の欠損部分を曲線で補間することにより補間画像giを生成する。具体的には例えば、処理回路74,94の補間画像生成機能744,944は、デバイス画像gdの収集順に、当該デバイス画像gd内の欠損部分を曲線で補間する補間処理を実行する。
他の構成は、第1及び第2の実施形態と同様である。
以上のような構成によれば、図12に示すように、ステップST50において、処理回路94は、デバイス画像gd内の欠損部分を曲線で補間することにより補間画像giを生成する。これにより、欠損部分を曲線で補間する構成により、実際のデバイス(コイル)の曲線形状とも整合し易くなるので、第1又は第2の実施形態のうち、直線で補間した場合に比べ、補間画像の視認性を向上させることができる。また、収集したデバイス画像の順に、当該デバイス画像内の欠損部分を補間するため、欠損部分を実際のデバイスとは異なる形状に補間するエラーを抑制でき、補間画像の精度の向上を図ることができる。
<第4の実施形態>
第4の実施形態は、第1乃至第3の各実施形態の変形例であり、処理回路74,94における補間画像生成機能744,944が補間する領域を、過去の補間画像におけるデバイスを示す画素の周辺の領域に制限する形態である。
具体的には、処理回路74,94の補間画像生成機能744,944は、過去の補間画像giにおけるデバイスの位置に基づいてデバイス画像gd内のデバイス近傍領域を設定し、当該設定したデバイス近傍領域内の前記欠損部分を補間することにより、新たな補間画像giを生成する。より具体的には、補間画像生成機能744,944は、過去の補間画像giにおけるデバイスを示す画素からの距離が閾値以下であるデバイス近傍領域に基づいてデバイス画像gd内のデバイス近傍領域を設定する。当該距離が閾値以下であるデバイス近傍領域は、例えば、過去に抽出及び補間されたデバイスを示す画素からの距離が閾値以下(マージン以下)の領域とすればよく、この領域をデバイス画像に割り当てて、補間処理の実行範囲を示すデバイス近傍領域とすればよい。例えば、デバイスを示す画素をp1とした場合、当該画素p1を中心とした、一辺が(2n+1)画素の正方形領域をデバイス近傍領域としてもよい。この場合、「n」が閾値に相当する。あるいは、当該画素p1を中心とした、半径m画素の略円形領域をデバイス近傍領域としてもよい。この場合、「m」が閾値に相当する。ここで、閾値の大きさについては、例えば、SIDや天板高さに基づいて決定してもよい。すなわち、Cアーム9、Ωアーム19、寝台25等の機構系の配置に基づいて、閾値の大きさを決定することにより、幾何的拡大率に応じた適切なデバイス近傍領域を設定できる。また、「デバイス近傍領域」の用語は、「デバイス周辺領域」又は「補間対象領域」などのように、適宜、別の名称に読み替えてもよい。
他の構成は、第1乃至第3の各実施形態と同様である。
以上のような構成によれば、図13に示すように、ステップST50において、処理回路94は、時系列に沿った各フレームのデバイス画像gdの欠損部分を補間し、各フレームの補間画像giを生成する。ここで、現在のフレームをTとして説明する。
処理回路94は、フレームT-1の過去の補間画像gi(T-1)におけるデバイスを示す画素からの距離が閾値以下であるデバイス近傍領域r1に基づいて、フレームTの現在のデバイス画像gd内のデバイス近傍領域r1を設定する。具体的には、過去の補間画像gi(T-1)内のデバイス近傍領域r1を、現在のデバイス画像gd(T)にデバイス近傍領域r1として当てはめる。
しかる後、処理回路94は、現在のデバイス画像gd(T)において、デバイス近傍領域r1内の欠損部分を補間することにより、新たな補間画像gi(T)を生成する。これにより、現在のデバイス画像gd(T)にノイズnsがある場合でも、ノイズnsを無視して欠損部分を補間するので、第1乃至第3の各実施形態の効果に加え、より一層、補間画像の視認性の低下を阻止することができる。
補足すると、第1の実施形態のようにデバイス近傍領域r1を用いない場合、図14に示すように、現在のデバイス画像gd(T)にノイズnsがあると、ノイズnsを含めて欠損部分を補間する。この場合、現在の補間画像gi(T)内のデバイス形状が大きく歪んでしまい、隣接フレーム間でデバイス形状が大きく変化し、補間画像の視認性が低下する可能性がある。
<第5の実施形態>
第5の実施形態は、第1乃至第3の各実施形態の変形例であり、処理回路74,94における補間画像生成機能744,944が補間画像を修正する形態である。
具体的には、処理回路74,94の補間画像生成機能744,944は、生成した補間画像giを、過去の補間画像giに整合するように修正することにより、新たな補間画像giを生成する。
他の構成は、第1乃至第3の各実施形態と同様である。
以上のような構成によれば、図15に示すように、ステップST50において、処理回路94は、時系列に沿った各フレームのデバイス画像gdの欠損部分を補間し、各フレームの補間画像giを生成する。ここで、現在のフレームをTとして説明する。
処理回路94は、フレームTの現在のデバイス画像gd(T)の欠損部分を補間した補間画像gi(T)を生成する。このとき、現在のデバイス画像gd(T)にノイズnsがあると、ノイズnsを含めて欠損部分を補間するので、図15の中央に示すように、歪んだデバイス形状の現在の補間画像gi(T)を生成する。この補間画像gi(T)は、過去の補間画像gi(T-1)との整合を確認していない段階のため、ディスプレイ92に表示しない。
次に、処理回路94は、生成した現在の補間画像gi(T)と、過去の補間画像gi(T-1)とを位置合わせして比較し、対応の取れなかった断片領域r_nsを無視して、再度、補間処理を実行する。ここで、対応を取る手法としては、例えば、DP(Dynamic programming)マッチング等の任意のマッチング手法が、適宜、使用可能となっている。いずれにしても、再度の補間処理により、処理回路94は、新たな補間画像gi(T+1)を生成する。
このように、生成した補間画像giを、過去の補間画像giに整合するように修正することにより、新たな補間画像giを生成するので、第1乃至第3の各実施形態の効果に加え、より一層、補間画像の視認性の低下を阻止することができる。
<第6の実施形態>
第6の実施形態は、第4及び第5の各実施形態を組み合わせた例であり、処理回路74,94における補間画像生成機能744,944が、補間画像を修正する処理と、補間する領域を設定する処理とを並列に実行し、好ましい方の補間画像を出力する形態である。
具体的には、処理回路74,94の補間画像生成機能744,944は、第1生成処理、第2生成処理及び出力処理を実行する。ここで、第1生成処理は、生成した補間画像を、過去の補間画像に整合するように修正することにより、第1補間画像を生成する。第2生成処理は、過去の補間画像におけるデバイスの位置に基づいてデバイス画像内のデバイス近傍領域を設定し、当該設定したデバイス近傍領域内の欠損部分を補間することにより、第2補間画像を生成する。より具体的には、補間画像生成機能744,944は、過去の補間画像におけるデバイスを示す画素からの距離が閾値以下であるデバイス近傍領域に基づいてデバイス画像内のデバイス近傍領域を設定する。出力処理は、第1補間画像と第2補間画像とのうち、過去の補間画像に近い方の補間画像を、生成した補間画像として出力する。ここで、補間画像生成機能744,944は、第1生成部、第2生成部及び出力部の一例である。
他の構成は、第1乃至第3の各実施形態と同様である。
以上のような構成によれば、図16に示すように、ステップST50において、処理回路94は、ステップST51A,ST52Aからなる第1生成処理のスレッド(#1)と、ステップST51B,ST52Bからなる第2生成処理のスレッド(#2)とを並列に実行する。例えば、処理回路94は、ステップST51A、ST51B、ST52A、ST52Bの順に各ステップを実行することにより、2つのスレッドを並列に実行する。
すなわち、スレッド(#1)のステップST51Aにおいて、処理回路94は、デバイス画像gdから補間画像giを生成する。
スレッド(#2)のステップST51Bにおいて、処理回路94は、過去の補間画像におけるデバイスを示す画素からの距離が閾値以下であるデバイス近傍領域に基づいて、デバイス画像gdのデバイス近傍領域を設定する。
スレッド(#1)のステップST52Aにおいて、処理回路94は、ステップST51Aで生成した補間画像giを過去の補間画像giに基づいて修正し、第1補間画像giを生成する。
スレッド(#2)のステップST52Bにおいて、処理回路94は、ステップST51Bで設定したデバイス近傍領域内で補間を実行し、第2補間画像giを生成する。
なお、これに限らず、処理回路94が2つのプロセッサを有する場合には、第1プロセッサがスレッド(#1)のステップST51A,ST52Aを順に実行し、これに並行して、第2プロセッサがスレッド(#2)のステップST51B,ST52Bを順に実行すればよい。
いずれにしても2つのスレッドの実行後、ステップST53において、処理回路94は、第1補間画像giと第2補間画像giとのうち、過去の補間画像に近い方の補間画像を、生成した補間画像として出力する。以下、前述同様に、ステップST60以降の処理が実行される。
従って、第6の実施形態によれば、第4の実施形態の補間する領域を設定する処理と、第5の実施形態の補間画像を修正する処理とを並列に実行し、好ましい方の補間画像を出力するので、第4又は第5の実施形態の効果を交替的に得ることができる。
<第7の実施形態>
第7の実施形態は、第2及び第3の各実施形態を組み合わせた例であり、処理回路74,94における補間画像生成機能744,944が、学習済みモデルを用いる処理と、欠損部分を曲線で補間する処理とを並列に実行し、好ましい方の補間画像を出力する形態である。
具体的には、処理回路74,94の補間画像生成機能744,944は、第3生成処理、第4生成処理及び出力処理を実行する。ここでいう「第3生成処理」及び「第4生成処理」の名称は、前述した「第1生成処理」及び「第2生成処理」とは異なる処理を表す形式的な名称であり、先行する第1生成処理及び第2生成処理を持たない。言い換えると、「第3生成処理」及び「第4生成処理」の名称は、他の名称に変更してもよい。このことは、「第3補間画像」及び「第4補間画像」の名称についても同様である。
ここで、第3生成処理は、欠損部分を含むデバイスを示す入力画像に基づいて、当該欠損部分を補間したデバイスを示す出力画像を生成する学習済みモデルに対して、デバイス画像を入力することで第3補間画像を生成する。第4生成処理は、欠損部分を曲線で補間することにより第4補間画像を生成する。出力処理は、第3補間画像と第4補間画像とのうち、過去の補間画像に近い方の補間画像を、生成した補間画像として出力する。ここで、補間画像生成機能744,944は、第3生成部、第4生成部及び出力部の一例である。
他の構成は、第1乃至第3の各実施形態と同様である。
以上のような構成によれば、図17に示すように、ステップST50において、処理回路94は、ステップST51C,ST52Cからなる第1生成処理のスレッド(#1)と、ステップST52Dからなる第2生成処理のスレッド(#2)とを並列に実行する。例えば、処理回路94は、ステップST51C、ST52Cの処理と、ステップST52Dの処理とを並列に実行することにより、2つのスレッドを並列に実行する。
すなわち、スレッド(#1)のステップST51Cにおいて、処理回路94は、デバイス画像を学習済みモデルに入力する。
スレッド(#1)のステップST52Cにおいて、処理回路94は、ステップST51Cで入力したデバイス画像に基づいて、学習済みモデルにより第3補間画像giを生成する。
一方、スレッド(#2)のステップST52Dにおいて、処理回路94は、デバイス画像の欠損部分を曲線で補間して第4補間画像giを生成する。
なお、これに限らず、処理回路94が2つのプロセッサを有する場合には、第1プロセッサがスレッド(#1)のステップST51C,ST52Cを順に実行し、これに並行して、第2プロセッサがスレッド(#2)のステップST52Dを実行すればよい。
いずれにしても2つのスレッドの実行後、ステップST53Dにおいて、処理回路94は、第3補間画像giと第4補間画像giとのうち、過去の補間画像に近い方の補間画像を、生成した補間画像として出力する。以下、前述同様に、ステップST60以降の処理が実行される。
従って、第7の実施形態によれば、第2の実施形態の学習済みモデルを用いる処理と、第3の実施形態の欠損部分を曲線で補間する処理とを並列に実行し、好ましい方の補間画像を出力するので、第2又は第3の実施形態の効果を交替的に得ることができる。
<第8の実施形態>
第8の実施形態は、第2又は第7の実施形態の変形例であり、学習済みモデルに入力されるデバイス画像gdを加工する形態である。
具体的には、処理回路74,94の補間画像生成機能744,944は、過去の補間画像giにおけるデバイスの位置に基づいてデバイス画像内でデバイス近傍領域とは異なる領域の画素値を実質的に0に修正し、当該修正後のデバイス画像を学習済みモデルに入力する。より具体的には、補間画像生成機能744,944は、過去の補間画像giにおけるデバイスを示す画素からの距離が閾値以下であるデバイス近傍領域に基づいてデバイス画像内のデバイス近傍領域を設定する。当該デバイス近傍領域は、例えば、過去に抽出及び補間されたデバイスを示す画素からの距離が閾値以下(マージン以下)の領域として、設定すればよい。閾値の大きさについては、前述同様に、第1SID、第2SID、天板24の高さに基づいて決定してもよい。すなわち、Cアーム9、Ωアーム19、寝台25等の機構系の配置に基づいて、閾値の大きさを決定することにより、幾何的拡大率に応じた適切なデバイス近傍領域を設定できる。また、ここでいう「実質的に0」は、ゼロ値でもよく、差分画像gsの背景値でもよい。
他の構成は、第2又は第7の実施形態と同様である。
以上のような構成によれば、図18に示すように、ステップST50(又はST51C,ST52C)において、処理回路94は、時系列に沿った各フレームのデバイス画像gdに対し、過去の補間画像giに基づいて当該デバイス画像gd内でデバイス近傍領域r1とは異なる領域の画素値を実質的に0に修正する。しかる後、処理回路94は、当該修正後のデバイス画像gdを学習済みモデルに入力することで、各フレームの補間画像giを生成する。ここで、現在のフレームをTとして説明する。
処理回路94は、フレームT-1の過去の補間画像gi(T-1)に基づいて、フレームTの現在のデバイス画像gd内のデバイス近傍領域r1以外の領域の画素値を0値に修正する。具体的には、過去の補間画像gi(T-1)内のデバイス近傍領域r1を、現在のデバイス画像gd(T)にデバイス近傍領域r1として当てはめ、デバイス近傍領域r1とは異なる領域の画素値を実質的に0に修正し、修正後のデバイス画像gd(T)を得る。
しかる後、処理回路94は、修正後のデバイス画像gd(T)を学習済みモデルに入力することで、デバイス近傍領域r1内の欠損部分を補間することにより、新たな補間画像gi(T)を生成する。これにより、現在のデバイス画像gd(T)にノイズnsがある場合でも、ノイズnsの画素を0値に修正して欠損部分を補間するので、第2又は第7の実施形態の効果に加え、学習済みモデルの精度の向上を図ることができる。
<第9の実施形態>
第9の実施形態は、第1乃至第8の各実施形態の変形例であり、前述した補間画像gi又は強調画像geに対し、血管の輪郭を示す輪郭画像を重畳表示する形態である。以下の説明は、第1の実施形態に組み合わせた場合を例に挙げて述べるが、これに限らず、第2乃至第8の実施形態に組み合わせてもよい。
これに伴い、処理回路74,94の画像処理機能742,942は、造影剤が注入された被検体をX線により撮像した造影画像を更に取得し、当該造影画像内の血管の輪郭を抽出した輪郭画像を生成する。例えば、処理回路74,94は、時系列に沿って、造影剤を用いて得られたX線画像から、造影剤を用いずに得られたX線画像gxを減算処理してDSA画像を得る。また、処理回路74,94は、時系列のDSA画像から造影箇所の加算画像を求め、当該加算された造影箇所の輪郭を抽出することにより、血管の輪郭を示す輪郭画像を生成する。メモリ71,91及び画像処理機能742,942は、医用画像処理装置77,90における輪郭抽出部の一例である。
また、処理回路74,94の表示制御機能746は、当該輪郭画像と補間画像とを重畳してディスプレイ72,92に表示させる。
他の構成は、第1乃至第8の各実施形態と同様である。
次に、以上のように構成された医用画像処理装置の動作について図19のフローチャート及び図20の模式図を用いて説明する。以下の動作は、第1の実施形態に組み合わせた場合を例に挙げて述べるが、これに限らず、第2乃至第8の実施形態に組み合わせてもよい。
ステップST2において、処理回路94は、図20に示すように、造影剤を用いて得られたX線画像から、造影剤を用いずに得られたX線画像gxを減算処理してDSA画像g_dsaを得る。また、処理回路74,94は、時系列のDSA画像g_dsaから造影箇所を加算した加算画像g_aを求め、当該加算された造影箇所の輪郭を抽出することにより、血管の輪郭を示す輪郭画像gcを生成する。
ステップST2の後、前述同様にステップST10~ST50が実行され、デバイス画像gdから補間画像giが生成される。
ステップST50の後、ステップST71において、処理回路94は、ステップST2で生成された輪郭画像gcと、ステップST50で生成された補間画像giとを重畳してディスプレイ92に表示させる。なお、輪郭画像gcは、補間画像giに限らず、強調画像geに重畳して表示してもよい。
以下、前述同様に、ステップST80以降の処理が実行される。
上述したように第9の実施形態によれば、造影剤が注入された被検体をX線により撮像した造影画像を更に取得する。当該造影画像内の血管の輪郭を抽出した輪郭画像を生成する。当該輪郭画像と補間画像とを重畳して表示部(ディスプレイ)に表示させる。これにより、第1乃至第8の各実施形態の効果に加え、輪郭画像を重畳させる構成により、補間画像又は強調画像の視認性の向上を図ることができる。
補足すると、例えば図5及び図6に示したように、補間処理により、差分画像gs内にあるアーチファクトが削除され、補間画像giには、留置中のデバイスのみが示される。このような補間画像giを表示する場合には、デバイスの挿入先の位置を把握しにくいため、過去のDSA画像g_dsa画像から得た輪郭画像gcを重畳表示することで、視認性を向上させることができる。
<第10の実施形態>
第10の実施形態は、第1乃至第8の各実施形態の変形例であり、前述した補間画像gi又は強調画像geに対し、過去の補間画像を重畳表示する形態である。
これに伴い、処理回路74,94の表示制御機能746は、補間画像と、当該補間画像とは異なる色を用いた過去の補間画像とを重畳してディスプレイ72,92に表示させる。
他の構成は、第1乃至第8の各実施形態と同様である。
次に、以上のように構成された医用画像処理装置の動作について図21のフローチャート及び図22の模式図を用いて説明する。
いま、前述同様にステップST10~ST50が実行され、デバイス画像gdから補間画像giが生成されたとする。
ステップST50の後、ステップST72において、処理回路94は、互いに色を変えた過去の補間画像を準備する。例えば、処理回路94は、1本のコイルを留置完了する毎に、入力インタフェース93の操作に応じて、留置完了したコイルの補間画像を、過去の補間画像としてメモリ91に保存しておく。そして、処理回路94は、メモリ91内の過去の補間画像を読み出して、互いに色を変える。図22に示す例では、処理回路94は、3枚の過去の補間画像giを読み出して、過去の補間画像gi内のデバイス部分をそれぞれ赤色、緑色及び青色に着色することにより、着色後の過去の補間画像g_r,gi_g,gi_bを準備する。
ステップST72の後、ステップST73において、処理回路94は、着色後の過去の補間画像g_r,gi_g,gi_bを合成することにより、合成画像g_rgbを生成する。
ステップST73の後、ステップST74において、処理回路94は、生成された合成画像g_rgbと、ステップST50で生成された補間画像giとを重畳してディスプレイ92に表示させる。なお、輪郭画像gcは、補間画像giに限らず、強調画像geに重畳して表示してもよい。
以下、前述同様に、ステップST80以降の処理が実行される。
上述したように第10の実施形態によれば、補間画像と、当該補間画像とは異なる色を用いた過去の補間画像とを重畳して表示部(ディスプレイ)に表示させる。これにより、第1乃至第8の各実施形態の効果に加え、過去の補間画像を重畳させる構成により、留置済みのデバイス留置状況についても、術者に視認させることができる。補足すると、補間処理により、差分画像gs内にあるアーチファクトが削除され、補間画像giには、留置中のデバイスのみが示される。このような補間画像giを表示する場合には、デバイスの挿入先の位置を把握しにくいため、過去の補間画像giを重畳表示することで、手技の精度の向上を図ることができる。
なお、第10の実施形態は、第9の実施形態と同時に実行してもよい。すなわち、処理回路74,94の表示制御機能746,946は、輪郭画像と、補間画像と、当該補間画像とは異なる色を用いた過去の補間画像とを重畳してディスプレイ72,92に表示させてもよい。この場合、第9及び第10の実施形態の効果を同時に得ることができる。
<第11の実施形態>
第11の実施形態は、第1乃至第10の各実施形態の変形例であり、X線画像の撮像時の幾何学的情報と、他のX線画像(マスク画像gm)に対応する幾何学的情報とが一致する場合にデバイス画像を生成する形態である。以下の説明は、第9の実施形態に組み合わせた場合を例に挙げて述べるが、これに限らず、第1乃至第8の各実施形態又は第10の実施形態に組み合わせてもよい。
これに伴い、メモリ71,91は、図23に示すように、X線画像gxを撮像するX線診断装置1における他のX線画像(マスク画像gm)を撮像したときの幾何学的情報と、他のX線画像(マスク画像gm)とを対応付けて記憶する。ここで、幾何学的情報は、Cアーム9の場合、例えば、Cアーム9による撮像角度や前述した第1SIDが使用可能となっている。Ωアーム19の場合、同様に、Ωアーム19による撮像角度や前述した第2SIDが使用可能となっている。なお、マスク画像gmと、X線診断装置1の幾何学的情報とは、例えば、処理回路74,94の画像処理機能742,942により、互いに対応付けてメモリ71,91に書き込まれる。また、メモリ71,91は、さらに、当該幾何学的情報及びマスク画像gmと、過去の補間画像giと、輪郭画像gcとを対応付けて記憶してもよい。同様に、当該幾何学的情報及びマスク画像gmと、過去の補間画像giと、輪郭画像gcとは、例えば、処理回路74,94の画像処理機能742,942により、互いに対応付けてメモリ71,91に書き込まれる。なお、輪郭画像gcを用いない第1乃至第8の各実施形態に組み合わせる場合、輪郭画像gcは省略される。メモリ71,91は、記憶部の一例である。
また、処理回路74,94のデバイス画像生成機能743,943は、X線画像gxが撮像されたときのX線診断装置の幾何学的情報と、当該記憶されたマスク画像gm(他のX線画像)に対応する幾何学的情報とが一致する場合に、当該X線画像gxと当該マスク画像gmとに基づいてデバイス画像gdを生成する。補足すると、当該幾何学的情報が一致しない場合には、X線画像gxとマスク画像gmとの差分画像gsにアーチファクトが発生するので、差分画像gs(やデバイス画像gd)を生成しない。なお、差分画像gsやデバイス画像gdを生成しない場合、例えば、処理回路74,94の表示制御機能746,946は、取得したX線画像gxをディスプレイ72,92に表示させる。
他の構成は、第9の実施形態と同様である。
次に、以上のように構成された医用画像処理装置の動作について図24のフローチャートを用いて説明する。
いま、戦術同様にステップST2が実行され、輪郭画像gcが生成される。
ステップST2の後、ステップST3において、処理回路94は、輪郭画像gcと、輪郭画像gcに対応するX線画像を撮像したときのX線診断装置1の幾何学的情報とを対応付けてメモリ91に保存する。この例では、幾何学的情報は、Cアームによる撮像角度であるとする。
ステップST3の後、前述同様にステップST10~ST20が実行され、取得したX線画像をマスク画像にするか否かが判定される。ここで、X線画像をマスク画像にすることを判定した場合、前述同様に、ステップST30に移行する。一方、判定結果が否の場合、前述とは異なり、ステップST32に移行する。
ステップST20の後、ステップST30~ST31において、処理回路94は、ステップST10で取得したX線画像をマスク画像として取得し、当該マスク画像と、当該マスク画像を撮像したときの幾何学的情報とを対応付けてメモリ91に保存する。
ステップST31の後、ステップST32において、処理回路94は、ステップST10で取得されたX線画像gxが撮像されたときのX線診断装置の幾何学的情報と、メモリ91内のマスク画像gmに対応する幾何学的情報とが一致するか否かを判定する。ステップST32の判定の結果、2つの幾何学的情報が一致した場合、処理回路94は、前述同様に、ステップST40以降の処理を実行する。なお、ステップST40以降の処理において、処理回路94は、当該幾何学的情報に基づいてメモリ91を検索し、得られた輪郭画像gcをステップST71の重畳表示に用いてもよい。また、ステップST71の重畳表示中、ステップST10で取得されるX線画像(ライブ画像)に対し、拡大処理、縮小処理、回転処理又は並進処理を施したとき、対応するマスク画像gm及び輪郭画像gcについても同様の拡大処理、縮小処理、回転処理又は並進処理を施す。これにより、拡大処理、縮小処理、回転処理又は並進処理に対応する補間画像及び輪郭画像を重畳表示させる。なお、ここでいう拡大処理、縮小処理としては、画像処理による方法と、SIDを変える方法とが適宜、使用可能となっている。SIDを変える場合には、ステップST32の判定に用いる幾何学的情報を撮像角度とし、SIDを判定に用いない。また、回転処理は、撮影角度を一定とした状態における平面上の回転を意味する。並進処理としては、天板24やCアーム9の平行移動による方法と、画像処理による方法とが適宜、使用可能となっている。すなわち、前述したX線画像(ライブ画像)に対する拡大処理、縮小処理、回転処理又は並進処理に対応する補間画像及び輪郭画像の重畳表示は、撮像角度が一定である場合(ST32;Yes)に実行される。言い換えると、撮像角度を変えた場合には、ステップST40~ST71は実行されず、ステップST33に移行する。
一方、ステップST32の判定の結果、否の場合、ステップST33に移行する。ここで、否の場合とは、マスク画像gmの撮像の後、Cアーム9による撮像角度又は第1SIDを変更した状況に対応する。例えば、手技によっては、一時的にCアーム9による撮像角度又は第1SIDを変更した後、元の撮像角度や第1SIDに戻す場合がある。このように、一時的に幾何学的情報を変更した場合には、ステップST33に移行することにより、ステップST40~ST71を実行しない。
ステップST32の後、ステップST33において、処理回路94は、ステップST10で取得したX線画像をディスプレイ92に表示させ、ステップST80に移行する。
以下、前述同様に、ステップST80以降の処理が実行される。
上述したように第11の実施形態によれば、取得部における撮像時の幾何学的情報と、他のX線画像とを対応付けて記憶する。X線画像が取得されたときの取得部の幾何学的情報と、当該記憶された他のX線画像に対応する幾何学的情報とが一致する場合に、当該X線画像と当該他のX線画像とに基づいてデバイス画像を生成する。このように、撮像時の幾何学的情報が同一であるX線画像と他のX線画像とに基づいてデバイス画像を生成するので、補間画像の元となるデバイス画像に対し、アーチファクトの発生を抑制することができる。
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、被検体をX線により撮像したX線画像を取得する。当該取得されたX線画像と他のX線画像とに基づいて、当該取得されたX線画像に描出されたデバイスを抽出したデバイス画像を生成する。当該生成されたデバイス画像の欠損部分を補間した補間画像を生成する。このように、デバイス画像の欠損部分を補間した補間画像を生成する構成により、留置済みのデバイスの数が増えてきた場合に、デバイス画像の視認性の低下を阻止することができる。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図2、図3、図7又は図8における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。