JP6640550B2 - X線診断装置 - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、X線診断装置に関する。
従来、X線診断装置は、カテーテルやガイドワイヤーを患部まで進行させるインターベンションや血管造影検査において利用される。ここで、術者は、カテーテルやガイドワイヤーの操作が困難になると、ロードマップ画像を使用する。ロードマップ画像は、リアルタイムの透視画像に過去に撮像した血管画像を重畳した画像であり、この画像を観察しながら、カテーテル、ガイドワイヤーと血管との位置関係や方向を把握しながらカテーテルやガイドワイヤーを操作する。ロードマップ画像には、2次元血管画像を透視画像に重畳する2次元ロードマップ画像と、3次元画像データから血管画像を生成して透視画像に重畳する3次元ロードマップ画像がある。
また、X線診断装置では、簡便にX線画像を立体視する方法として、C型アームを往復運動させて右目用と左目用の視差画像を撮像する技術が知られている。
特開2013−233317号公報 特開2013−233318号公報 特開2013−233319号公報
本発明が解決しようとする課題は、立体視ロードマップ画像を短時間で作成することができるX線診断装置を提供することである。
実施形態のX線診断装置は、支持機と、生成部と、補正部と、表示制御部とを備える。支持機は、X線管と前記X線管から照射されたX線を検出するX線検出器とを支持する。生成部は、前記支持機が第1の角度に位置した時点において造影剤存在下で収集されたX線信号から第1の画像を生成し、前記支持機が第2の角度に位置した時点において造影剤存在下で収集されたX線信号から第2の画像を生成する。補正部は、前記第1の画像と前記第2の画像との差異に基づいて、前記第1の画像及び前記第2の画像の少なくとも一方の画素値を補正する。表示制御部は、前記補正部による補正処理後の前記第1の画像と前記第2の画像とを、立体視用に表示部に表示させる。
図1は、第1の実施形態に係るX線診断装置1の構成の一例を示す図である。 図2は、第1の実施形態に係るX線診断装置1による処理手順を示すフローチャートである。 図3は、第1の実施形態に係る血管情報用立体視画像収集処理の処理手順を示すフローチャートである。 図4は、第1の実施形態に係る血管情報用立体視画像収集処理を説明するための図である。 図5は、第1の実施形態に係る血管情報用立体視画像補正処理の処理手順を示すフローチャートである。 図6は、第1の実施形態に係る血管情報用立体視画像補正処理を説明するための図である。 図7は、第1の実施形態に係るロードマップ画像作成前処理の処理手順を示すフローチャートである。 図8は、第1の実施形態に係るロードマップ画像作成処理の処理手順を示すフローチャートである。 図9は、第1の実施形態に係る立体視ロードマップ画像作成処理の処理手順を示すフローチャートである。 図10は、第1の実施形態に係る血管情報用立体視画像補正処理の別例を説明するための図である。 図11は、第2の実施形態に係る血管情報用立体視画像収集処理の処理手順を示すフローチャートである。 図12は、第2の実施形態に係る血管情報用立体視画像収集処理を説明するための図である。 図13は、第3の実施形態に係る血管情報用立体視画像収集処理の処理手順を示すフローチャートである。 図14は、第3の実施形態に係る血管情報用立体視画像収集処理を説明するための図である。
以下、実施の形態に係るX線診断装置を説明する。なお、実施形態は、以下の実施形態に限られるものではない。また、一つの実施形態に記載した内容は、原則として他の実施形態にも同様に適用される。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るX線診断装置1の構成の一例を示す図である。図1に示すように、第1の実施形態に係るX線診断装置1は、X線撮像機構10と、画像処理装置100とを有する。
X線撮像機構10は、X線管球11と、検出器(FPD(Flat Panel Detector))12と、C型アーム13と、寝台14とを有し、インジェクター60が接続される。
インジェクター60は、被検体Pに挿入されたカテーテルから造影剤を注入するための装置である。ここで、インジェクター60からの造影剤注入開始は、後述する画像処理装置100を介して受信した注入開始指示に従って実行される場合であってもよいし、術者などの操作者が直接インジェクター60に対して入力した注入開始指示に従って実行される場合であってもよい。
C型アーム13は、X線管球11とX線管球11から照射されたX線を検出する検出器12とを支持する。C型アーム13は、図示しないモータにより、寝台14上に横臥する被検体Pの周りをプロペラのように高速回転する。ここで、C型アーム13は、直交する3軸であるXYZ軸に関してそれぞれ回転可能に支持され、図示しない駆動部によって各軸で個別に回転する。なお、C型アーム13のことを支持機とも言う。
X線管球11は、図示しない高電圧発生器から供給される高電圧を用いてX線を発生するX線源である。検出器12は、被検体Pを透過したX線を検出するための複数のX線検出素子がマトリックス状に配列された装置である。この検出器12が有する各X線検出素子は、被検体Pを透過したX線を後述するA/D変換器21に出力する。
画像処理装置100は、図1に示すように、A/D(Analog/Digital)変換器21と、画像メモリ22と、サブトラクション回路23と、フィルタリング回路24と、アフィン変換回路25と、LUT(Look Up Table)26と、撮像制御回路27と、3次元再構成回路31と、3次元画像処理回路32と、処理回路33と、ディスプレイ40と、入力インターフェース50を有する。また、画像処理装置100は、図示していないが、例えば、マウスやキーボード、トラックボール、ポインティングデバイスなど、X線診断装置1に対する各種操作を操作者から受け付ける入力部を有する。
ディスプレイ40は、画像処理装置100によって処理された各種画像や、GUI(Graphical User Interface)などの各種情報を表示する。例えば、ディスプレイ40は、CRT(Cathode Ray Tube)モニタや液晶モニタなどである。
ここで、ディスプレイ40は、左目用のX線画像データと右目用のX線画像データとに基づいて立体視することが可能な立体視画像を表示させることができる立体視専用のディスプレイである。例えば、ディスプレイ40は、表示面にかまぼこのような形状のレンズを幾つも並べたようなレンチキュラーシートや、ハエの目のような多数のレンズからなるハエの目レンズを張り付けた構造をしており、立体視専用メガネを使用しなくてもレンズで光の軌跡を変更することにより裸眼で立体画像を観察することができる。なお、ディスプレイ40は、裸眼立体視専用のディスプレイでなくてもよい。かかる場合、ディスプレイ40は、立体視専用メガネと同期するディスプレイであり、左目用のX線画像データを表示している時間はメガネの左側だけ透過し、右側は不透過となる。逆に右目用のX線画像データを表示している時間はメガネの右側だけ透過し、左側は不透過となる。あるいは、ディスプレイ40は、表示面に偏光フィルタを張り付けた構造をしており、例えば偶数画素ラインには横偏光、奇数画素ラインには縦偏光を施す。立体視専用メガネの左目側では横偏光の光のみを、右目側では縦偏光の光のみを透過させるようになっており、偶数画素ラインに左目用のX線画像、奇数画素ラインに右目用のX線画像を表示する。このように立体視専用のメガネを用いることで、立体視可能なX線画像を表示させる。
入力インターフェース50は、例えば、マウス、キーボード、ボタン、パネルスイッチ、タッチコマンドスクリーン、フットスイッチ、トラックボール、ジョイスティック等に対応する。入力インターフェース50は、操作者からの各種指示を受付け、受付けた各種指示を画像処理装置100の各回路に対して適宜転送する。
また、例えば、入力インターフェース50には、2次元のロードマップ画像作成前処理の指示を受付けるロードマップ前処理ボタンや、2次元のロードマップ画像表示の指示を受付けるロードマップ表示ボタン、立体視ロードマップ画像作成前処理の指示を受付ける立体視ロードマップ前処理ボタン、立体視ロードマップ画像表示の指示を受付ける立体視ロードマップ表示ボタンが備えられている。すなわち、ロードマップ画像の作成前処理用のスイッチ、ロードマップ画像の表示用のスイッチとしてそれぞれ2つボタンが備えられる。ここで、2次元ロードマップ用のロードマップ前処理ボタンが押されると、2次元ロードマップ画像の作成前処理が開始される。次に2次元ロードマップ用のロードマップ表示ボタンが押されると、2次元ロードマップ画像の表示が開始される。再度2次元ロードマップ用のロードマップ表示ボタンが押されると、2次元ロードマップ画像の表示は中断され、透視画像表示モードに戻る。
また、ロードマップ作成前処理ボタンの代わりに立体視ロードマップ作成前処理ボタンが押されると、立体視ロードマップ画像の作成前処理が開始される。次に2次元ロードマップ用のロードマップ表示ボタンが押されると、2次元ロードマップ画像の表示が開始される。一方立体視ロードマップ用の立体視ロードマップ表示ボタンが押されると、立体視ロードマップ画像の表示が開始される。立体視ロードマップ画像の表示は一旦透視収集がオフされると、自動的に2次元ロードマップ画像の表示モードに移行する。2次元ロードマップ用のロードマップ表示ボタンが再度押されると、立体視ロードマップ画像あるいは2次元ロードマップ画像の表示は中断され、透視画像表示モードに戻る。
A/D変換器21は、検出器12に接続され、検出器12から入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換し、変換したデジタル信号をX線画像として画像メモリ22に格納する。
画像メモリ22は、X線画像を記憶する。また、画像メモリ22は、後述する3次元再構成回路31によって再構成された再構成データ(ボリュームデータ)や、3次元画像処理回路32によって生成された3次元画像を記憶する。なお、画像メモリ22は、コンピュータによって実行可能なプログラムを記憶可能である。
サブトラクション回路23は、DSA(Digital Subtraction Angiography)画像などの差分画像を生成する。例えば、サブトラクション回路23は、画像メモリ22に記憶されたマスク画像及びコントラスト画像を用いてDSA画像を、又は2つのボリュームデータを用いて血管構造を有するボリュームデータを生成する。ここでマスク画像は造影剤を注入される前に撮像されたX線画像を、コントラスト画像は造影剤を注入しながら撮像されたX線画像を示す。
フィルタリング回路24は、高周波強調フィルタリングなどを行う。アフィン変換回路25は、画像の拡大や縮小、移動などを行う。LUT26は、諧調変換を行うためのテーブルを記憶する。
撮像制御回路27は、後述する処理回路33の制御のもと、X線撮像機構10による撮像に係る各種処理を制御する。例えば、撮像制御回路27は、C型アーム13を回転させながら所定のフレームレートでX線画像を撮像する回転撮像を制御する。一例を挙げると、撮像制御回路27は、インジェクター60から造影剤注入開始時に出力される信号を契機として、単一の造影剤注入の後に複数回のX線画像の回転撮像を制御する。ここで、撮像制御回路27は、単一の造影剤の注入開始時刻を起点とした経過時間により複数回の回転撮像のスタートを制御することで、各回転撮像の対象に造影剤が到達するタイミングに合わせた回転撮像を行う。
また、撮像制御回路27は、C型アーム13を回転制御している間、図示しない高電圧発生器を制御してX線管球11からX線を連続的又は断続的に発生させ、検出器12によって被検体Pを透過したX線を検出させるように制御する。ここで、撮像制御回路27は、後述する処理回路33によって回転撮像ごとに設定されるX線の発生条件に基づいて、X線管球11からX線を発生させる。
3次元再構成回路31は、X線撮像機構10による回転撮像によって収集されたX線画像から再構成データ(ボリュームデータ)を再構成する。例えば、3次元再構成回路31は、サブトラクション回路23によってマスク画像としての回転X線画像とコントラスト画像としての回転X線画像の中でマスク画像と角度が略一致するX線画像とが差分され、画像メモリ22によって記憶されたサブトラクション後の投影データから血管構造を有するボリュームデータを再構成する。或いは、3次元再構成回路31は、画像メモリ22に記憶されたマスク画像としての回転X線画像とコントラスト画像としての回転X線画像とを用いて別々にボリュームデータを再構成し、2つのボリュームデータをサブトラクションすることで血管構造を有するボリュームデータを生成する。そして、3次元再構成回路31は、再構成したボリュームデータを画像メモリ22に格納する。
3次元画像処理回路32は、画像メモリ22によって記憶されたボリュームデータから3次元医用画像を生成する。例えば、3次元画像処理回路32は、ボリュームデータからボリュームレンダリング画像や、MPR(Multi Planar Reconstruction)画像を生成する。そして、3次元画像処理回路32は、生成した3次元医用画像を画像メモリ22に格納する。また、3次元画像処理回路32は、LUT26を参照して、3次元医用画像の諧調変換を行う。
処理回路33は、X線診断装置1全体を制御する。具体的には、処理回路33は、X線撮像機構10によるX線画像の撮像、表示画像の生成、ディスプレイ40における表示画像の表示などに係る各種処理を制御する。例えば、処理回路33は、X線撮像機構10による回転撮像や、回転撮像によって撮像されたX線画像から3次元画像を生成してディスプレイ40にて表示するように制御する。
また、処理回路33は、図1に示すように、生成機能33aと、補正機能33bと、表示制御機能33cとを実行する。ここで、例えば、図1に示す処理回路33の構成要素である生成機能33aと、補正機能33bと、表示制御機能33cとが実行する各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で画像メモリ22に記録されている。処理回路33は、各プログラムを画像メモリ22から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路33は、図1の処理回路33内に示された各機能を有することとなる。
以上、第1の実施形態に係るX線診断装置1の構成の一例を説明した。このような構成を有するX線診断装置1は、例えば、カテーテルを患部付近まで進行させ、患部付近のみの血管情報を強調したX線画像を元に診断するX線血管造影検査、あるいは、例えば、患部が狭窄を起こしている際は、狭窄部でカテーテルに付随したバルーンを広げるインターベンション治療に適用される。
ここで、カテーテルやガイドワイヤーを患部まで進行させる際、任意の血管分岐で進行が留まってしまったような際、予め造影剤を注入して撮像したX線画像と、透視画像とを重畳して表示する通常ロードマップ表示を行う。ロードマップはロードマップ前処理ボタン及びロードマップ表示ボタンを押すことにより動作し、以下に示す2つのステップで実行される。
第1のステップは、ロードマップ前処理ボタンを押すことにより開始される。第1のステップは、血管情報収集ステップである。このステップでは先ず透視(低い線量でのX線撮像)を開始し、最初の数フレームは造影剤の影響のない画像を収集する。その後カテーテルから造影剤を注入し、血管を造影剤が流れて行く状態を継続して透視収集する。透視を終了すると、血管情報作成処理が開始する。先ず造影剤の影響のない複数の画像のボトムトレースを行う。ボトムトレースは、ピクセル毎に透過X線の強度の最低値をピクセルの代表値として抽出する処理である。この処理によってノイズの影響の少ない、血管以外の人体構造を表した画像が作成される。
次に、造影剤注入後に収集した画像のボトムトレースを行う。この処理によってノイズの影響の少ない、血管情報を含む人体構造を表した画像が作成される。この2つの処理画像をサブトラクションすることで、血管情報のみが抽出される。
第2のステップは、ロードマップ表示ボタンを押すことにより開始される。第2のステップは、デバイス情報収集ステップである。再度透視(低い線量でのX線撮像)を開始し、最初の数フレームは動きのない画像を収集する。動きのない複数の画像は平均化処理(ピクセル毎に複数フレームの平均値を求める)を行うことでノイズの影響の少ない画像を作成する。
その後、カテーテル、あるいはガイドワイヤーを操作する。この時リアルタイムの透視画像を作成したノイズの影響の少ない画像からサブトラクションすると、カテーテル、あるいはガイドワイヤーの動き情報が抽出できる。
最後に抽出した血管情報のみの画像と、抽出したカテーテルやガイドワイヤーなどのデバイス情報の画像とを合成して表示すると、血管とカテーテル、あるいはガイドワイヤーとの相対的な関係を把握しながらカテーテル、あるいはガイドワイヤーの操作が可能となる。
しかし、血管情報は2次元情報である。このため、術者は、血管の進行方向を把握することができない場合がある。例えば、ロードマップ画像上で血管が右に進行している場合、術者は、血管が右奥に進行しているのか、あるいは右手前に進行しているのか、さらには奥行方向には全く変化しないで右に進行しているのかを把握することはできない。このため術者は、ロードマップ画像を使用していても、分岐血管にカテーテル、ガイドワイヤーを挿入するのに30分、あるいは1時間以上かかることがある。
このようなことから、第1の実施形態では、処理回路33が、生成機能33aと補正機能33bと表示制御機能33cとを実行することにより、立体視ロードマップ画像を短時間で作成し、カテーテルやガイドワイヤーの挿入をサポートする。
例えば、生成機能33aは、造影剤存在下において、C型アーム13が第1の角度に位置した時点で収集されたX線信号から第1の血管画像を生成し、C型アーム13が第2の角度に位置した時点で収集されたX線信号から第2の血管画像を生成する。
補正機能33bは、第1の血管画像と第2の血管画像との差異に基づいて、第1の血管画像及び第2の血管画像の少なくとも一方を補正する。
表示制御機能33cは、補正機能33bによる補正処理後の第1の血管画像と第2の血管画像とをそれぞれC型アーム13が第1の角度に位置した時点で収集された第1の透視画像と、C型アーム13が第2の角度に位置した時点で収集された第2の透視画像に重畳して、立体視用にディスプレイ40に表示させる。
以下では、処理回路33が実行する、生成機能33aと補正機能33bと表示制御機能33cとについて詳細に説明する。図2は、第1の実施形態に係るX線診断装置1による処理手順を示すフローチャートである。なお、図2では、X線診断装置1は、透視モードでの撮像を行う。かかる場合、術者は、透視モードで撮像されたX線画像を参照しながら、カテーテルやガイドワイヤーなどのデバイスを操作しているものとする。
図2に示すように、X線診断装置1は、立体視ロードマップ前処理ボタンのオンを受付けたか否かを判定する(ステップS1)。ここで、X線診断装置1は、立体視ロードマップ前処理ボタンのオンを受付けたと判定しなかった場合(ステップS1、No)、引き続きステップS1の判定処理を繰り返す。一方、X線診断装置1は、立体視ロードマップ前処理ボタンのオンを受付けたと判定した場合(ステップS1、Yes)、血管情報用立体視画像収集処理を実行する(ステップS2)。なお、ステップS2の詳細については後述する。
続いて、X線診断装置1は、血管情報用立体視画像補正処理を実行する(ステップS3)。なお、ステップS3の詳細については後述する。
そして、X線診断装置1は、ロードマップ画像作成前処理を実行する(ステップS4)。なお、ステップS4の詳細については後述する。
ステップS4の終了後、X線診断装置1は、ロードマップ表示ボタンのオンを受付けたか否かを判定する(ステップS5)。ここで、X線診断装置1は、ロードマップ表示ボタンのオンを受付けたと判定しなかった場合(ステップS5、No)、引き続きステップS5の判定処理を繰り返す。一方、X線診断装置1は、ロードマップ表示ボタンのオンを受付けたと判定した場合(ステップS5、Yes)、受付けたロードマップ表示ボタンが立体視ロードマップ表示ボタンか否かを反転する(ステップS6)。ここで、X線診断装置1は、立体視ロードマップ表示ボタンのオンを受付けたと判定しなかった場合(ステップS6、No)、2次元のロードマップ画像作成処理を実行する(ステップS8)。一方、X線診断装置1は、立体視ロードマップ表示ボタンのオンを受付けたと判定した場合(ステップS6、Yes)、立体視ロードマップ画像作成処理を実行する(ステップS7)。例えば、術者は、デバイスと血管との三次元的な位置関係が分かり難いと判断すると、立体視ロードマップ表示ボタンをオンにする。
X線診断装置1は、異なるロードマップ表示ボタンのオンを受付けたか否かを判定する(ステップS9)。ここで、X線診断装置1は、異なるロードマップ表示ボタンのオンを受付けたと判定した場合(ステップS9、Yes)、ステップ6に移行する。一方、X線診断装置1は、異なるロードマップ表示ボタンのオンを受付けたと判定しなかった場合(ステップS9、No)、X線診断装置1は、ロードマップ表示ボタンのオフを受付けたか否かを判定する(ステップS10)。ここで、X線診断装置1は、ロードマップ表示ボタンのオフを受付けたと判定した場合(ステップS10、Yes)、処理を終了し、透視モードでの撮像を行う。かかる場合、術者は、透視モードで撮像されたX線画像を参照しながら、カテーテルやガイドワイヤーなどのデバイスを操作する。一方、X線診断装置1は、ロードマップ表示ボタンのオフを受付けたと判定しなかった場合(ステップS10、No)、ステップ6に移行する。
図3は、第1の実施形態に係る血管情報用立体視画像収集処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、図3に示す血管情報用立体視画像収集処理は、図2に示すステップS2の処理に対応する。
図3に示すように、入力インターフェース50は、立体視ロードマップ準備ボタンの押下を受付ける(ステップS101)。続いて、入力インターフェース50は、透視収集ボタンの押下を受付ける(ステップS102)。そして、処理回路33は、撮像制御回路27を介してC型アーム13の往復運動を開始するように制御する(ステップS103)。
そして、X線撮像機構10は、各角度で透視画像の収集を開始する(ステップS104)。図4を用いてステップS104の処理について説明する。図4は、第1の実施形態に係る血管情報用立体視画像収集処理を説明するための図である。
図4では、C型アーム13が患者正面である位置を(RAO/LAO 0、CRA/CAU 0)とする。なお、(RAO/LAO 0、CRA/CAU 0)は、RAO/LAO角が0度であり、CRA/CAU角が0度であることを示す。このC型アーム13が患者正面である位置を図4中の中央に示す。そして、例えばカテーテルやガイドワイヤーが略体軸方向に進行している場合、X線撮像機構10は、C型アーム13をRAO/LAO方向(患者左右方向)に動かす。言い換えると、X線撮像機構10は、デバイスの進行方向に対して略垂直となる角度にC型アーム13を動かす。
例えば、X線撮像機構10は、視差角度が4度必要な場合、(RAO 4、CRA/CAU 0)である位置P1から(LAO 4、CRA/CAU 0)である位置P4までの8度分左右に動かす。ここでX線撮像機構10は、(RAO 4、CRA/CAU 0)である位置P1から(LAO 4、CRA/CAU 0)である位置P4までC型アーム13を移動させ、続いて、(LAO 4、CRA/CAU 0)である位置P4から(RAO 4、CRA/CAU 0)である位置P1までC型アーム13を移動させる往復運動である。
そして、X線撮像機構10は、この往復運動の中で、(RAO 2、CRA/CAU 0)である位置P2と(LAO 2、CRA/CAU 0)である位置P3の角度のみで透視を行う。すなわち、X線撮像機構10は、P1とP4との往復運動を繰り返す間、複数フレームの(RAO 2、CRA/CAU 0)である位置P2と(LAO 2、CRA/CAU0)である位置P3の角度のデータを収集する。なお、(LAO 2、CRA/CAU 0)である位置P3で撮像された画像のことを右目用画像と言い、(RAO 2、CRA/CAU 0)である位置P2で撮像された画像のことを左目用画像と言う。また、(LAO 2、CRA/CAU 0)である位置P3を第1の角度と言い、(RAO 2、CRA/CAU 0)である位置P2を第2の角度と言うものとする。すなわち、X線撮像機構10は、往復運動の中でC型アーム13が第1の角度に位置した時点と、C型アーム13が第2の角度に位置した時点とでX線信号を収集する。また、透視画像を収集する角度である第1の角度及び第2の角度のことを観察角度とも言う。
図3に戻る。処理回路33は、各角度で予め設定したフレーム数の透視画像を収集したか否かを判定する(ステップS105)。ここで、処理回路33は、各角度で予め設定したフレーム数の透視画像を収集したと判定しなかった場合(ステップS105、No)、各角度での透視画像の収集を継続しながら、引き続きステップS105の判定処理を繰り返す。
一方、処理回路33は、各角度で予め設定したフレーム数の透視画像を収集したと判定した場合(ステップS105、Yes)、ディスプレイ40を介して術者に造影剤の注入を通知する(ステップS106)。例えば、処理回路33は、造影剤注入を要求するメッセージあるいはグラフィックをディスプレイ40に表示させる。なお、処理回路33が、各角度で予め設定したフレーム数の透視画像を収集したと判定した以降も、X線撮像機構10は、引き続き各角度で透視画像を収集する。すなわち、この間も往復運動及び観察角度である(RAO 2、CRA/CAU 0)と(LAO 2、CRA/CAU 0)とでの透視画像収集は継続されている。
一方、入力インターフェース50は、透視収集ボタンの解放を受付ける(ステップS107)。そして、処理回路33は、X線撮像機構10を制御して、透視画像の収集を終了させる(ステップS108)。続いて、処理回路33は、C型アーム13の往復運動を終了するように制御する(ステップS109)。
図5は、第1の実施形態に係る血管情報用立体視画像補正処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、図5に示す血管情報用立体視画像補正処理は、図2に示すステップS3の処理に対応する。
図5に示すように、生成機能33aは、造影剤注入前の右目用画像及び左目用画像をボトムトレースする(ステップS201)。なお、ボトムトレースは、ピクセル毎に透過X線の強度の最低値をピクセルの代表値として抽出する処理である。この処理によってノイズの影響の少ない、血管以外の人体構造を表した画像が作成される。
続いて、生成機能33aは、造影剤注入後の右目用画像及び左目用画像をボトムトレースする(ステップS202)。この処理によってノイズの影響の少ない、血管情報を含む人体構造を表した画像が作成される。
続いて、生成機能33aは、サブトラクションを行う(ステップS203)。例えば、生成機能33aは、ステップS201でボトムトレース処理した造影剤注入前の右目用画像と、ステップS202でボトムトレース処理した造影剤注入後の右目用画像とをサブトラクションして、血管情報のみを抽出した右目用画像を生成する。また、生成機能33aは、ステップS201でボトムトレース処理した造影剤注入前の左目用画像と、ステップS202でボトムトレース処理した造影剤注入後の左目用画像とをサブトラクションして、血管情報のみを抽出した左目用画像を生成する。ここで、血管情報のみを抽出した右目用画像を第1の血管画像とし、血管情報のみを抽出した左目用画像を第2の血管画像とする。すなわち、生成機能33aは、造影剤存在下において、C型アーム13が第1の角度に位置した時点で収集されたX線信号から第1の血管画像を生成し、C型アーム13が第2の角度に位置した時点で収集されたX線信号から第2の血管画像を生成する。ここで、生成機能33aは、C型アーム13を所定の角度の範囲で往復運動をさせながら、C型アーム13が第1の角度に位置した時点で収集されたX線信号から第1の血管画像を生成し、C型アーム13が第2の角度に位置した時点で収集されたX線信号から第2の血管画像を生成する。なお、以下では、第1の血管画像のことを第1の画像と称し、第2の血管画像のことを第2の画像と称す。
ところで、左目用画像を撮像するタイミングと右目用画像を撮像するタイミングとがずれると、この間に造影剤の流れが変わる。かかる場合、左目用画像と右目用画像とで異なる血管が造影されることになる。そして、異なる血管が造影されている左目用画像と右目用画像とを用いて立体視させた場合、立体視が阻害されてしまう。そこで第1の実施形態では、補正機能33bは、造影剤信号を補正する(ステップS204)。
ここで、補正機能33bは、第1の画像と第2の画像との差異に基づいて、第1の画像及び第2の画像の少なくとも一方を補正する。例えば、補正機能33bは、第1の画像と第2の画像の差異を低減させる。図6は、第1の実施形態に係る血管情報用立体視画像補正処理を説明するための図である。
図6では、10枚の右目用画像と10枚の左目用画像とが生成されたうち、10枚目の右目用画像R10と、10枚目の左目用画像L10とを図示している。例えば、造影剤注入を要求するメッセージを表示した後、R1、L1、L2、R2、・・・、L10、R10の順で画像が撮像されたとする。R1〜R10は継続して造影剤を注入しているため、R1に含まれる血管情報はL1に含まれ、L2に含まれる血管情報はR2に含まれる。以下同様にL10に含まれる血管情報はR10に含まれる。
しかし、図6に示すように、R10にはL10までの画像には含まれない情報が含まれている可能性がある。このR10にのみ含まれる情報を補正しないと視差画像を観察する際に、立体視を阻害する要因となってしまう。
そこで、補正機能33bは、相関演算処理を用いて、第1の画像の画素と第2の画像の画素とを対応付け、対応する画素の画素値の差分値が所定の閾値以上である場合に、画素値が高い方の画素の画素値に1未満の所定の係数を乗算する。例えば、補正機能33bは、L10とR10とをまずは大領域に分割し、分割した大領域毎に相関を取って画素間の対応関係を同定する。次に小領域に分割し、大領域の対応関係を一定以上保持したままで分割した小領域毎に相関を取って画素間の対応関係を同定する。そして、補正機能33bは、対応する画素の画素値の差分値を算出し、差分値が所定の閾値以上である場合に、L10のみに含まれている造影情報と判定する。そして、補正機能33bは、図6に示すように、L10のみに含まれている造影情報を補正対象とする。補正機能33bは、補正対象の影響を排除するために、対応するサブトラクション画像、この場合右目用のサブトラクション画像における対象領域の画素の造影信号を0にする。なお、補正機能33bは、画素値に1未満の所定の係数を乗算して、コントラストを一定の割合で低減してもよい。例えば所定の係数は、1/10などである。
このようにして、補正機能33bは、R1からR9、L1からL10には含まれずR10にのみ含まれる血管情報を低減あるいは消去する。この結果、補正機能33bは、立体視を阻害する要因を低減することが可能になる。
続いて、図7を用いて、ロードマップ画像作成前処理について説明する。図7は、第1の実施形態に係るロードマップ画像作成前処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、図7に示すロードマップ画像作成前処理は、図2に示すステップS4の処理に対応する。
図7に示すように、入力インターフェース50は、透視収集ボタンの押下を受付ける(ステップS301)。そして、処理回路33は、撮像制御回路27を介してC型アーム13の往復運動を開始するように制御する(ステップS302)。
そして、X線撮像機構10は、各角度で透視画像を収集する(ステップS303)。ここで、例えば、X線撮像機構10は、図4と同様に、C型アーム13が第1の角度に位置した時点と、C型アーム13が第2の角度に位置した時点とでX線信号を収集する。
処理回路33は、各角度で予め設定したフレーム数の透視画像を収集したか否かを判定する(ステップS304)。ここで、処理回路33は、各角度で予め設定したフレーム数の透視画像を収集したと判定しなかった場合(ステップS304、No)、ステップS303に移行する。
一方、処理回路33は、各角度で予め設定したフレーム数の透視画像を収集したと判定した場合(ステップS304、Yes)、C型アーム13の往復運動を一時停止するように制御する(ステップS305)。ここで、C型アーム13は、観察角度のどちらか一方で一旦停止する。
続いて、生成機能33aは、平均化処理によりノイズの影響の少ない右目用画像及び左目用画像を生成する(ステップS306)。例えば、生成機能33aは、動きのない複数の画像をピクセル毎に複数フレームの平均値を求める平均化処理を行うことで、ノイズの影響の少ない画像を右目用画像と左目用画像とをそれぞれ別々に作成する。
なおここでは立体視ロードマップ作成前処理を独立して実施したが、独立して実施しなくても良い。具体的には、図2のステップS2で血管情報用立体視画像収集処理を行う。この中で造影開始前に収集した透視画像を平均化して立体視ロードマップ作成前処理用の画像を作成しても良い。あるいは後述の図2のステップS7で、透視画像の撮像と同時にC型アーム13の往復運動を開始し、各角度での透視画像の撮像及び立体視ロードマップ画像作成処理を開始する。しかし立体視ロードマップ表示ボタンのオンが受け付けられて最初の処理を開始する前、予め決められたフレーム数の透視画像を収集するまでは立体視ロードマップ作成前処理用の画像を収集しても良い。
続いて、図8を用いて、ロードマップ画像作成処理について説明する。図8は、第1の実施形態に係るロードマップ画像作成処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、図8に示すロードマップ画像作成処理は、図2に示すステップS8の処理に対応する。
図8に示すように、X線撮像機構10は、一定方向からの透視画像の収集を開始する(ステップS401)。この一定方向は、右目用画像を収集した角度、あるいは左目用画像を収集した角度のどちらか一方である。例えば、X線撮像機構10は、ステップS305において停止した2方向の内どちらか一方で透視画像の収集を開始する。このステップS401の後、術者は、デバイスを操作する。
続いて、生成機能33aは、ステップS401で収集した透視画像と、ステップS306で平均化処理した画像のうちステップS401と同じ方向から収集した画像とをサブトラクションする(ステップS402)。例えば、生成機能33aは、ステップS305で左目用画像を収集する位置で一旦停止した場合、ステップS401において収集した左目用画像と、ステップS306で平均化処理した左目用画像とをサブトラクションする。これにより、デバイスのみが描出された左目用画像が生成される。なお、生成機能33aは、ステップS305で右目用画像を収集する位置で一旦停止した場合、ステップS401において収集した右目用画像と、ステップS306で平均化処理した右目用画像とをサブトラクションすることで、デバイスのみが描出された右目用画像を生成する。なお、デバイスのみを抽出した右目用画像を第3の画像とし、デバイスのみを抽出した左目用画像を第4の画像とする。
続いて、表示制御機能33cは、平面視ロードマップ画像を合成する(ステップS403)。例えば、表示制御部33cは、ステップS305で左目用画像を収集する位置で一旦停止した場合、ステップS402で生成したデバイスのみを抽出した左目用画像と、ステップS204で補正処理した血管情報のみを抽出した左目用画像とを合成して、左目用合成画像を生成する。一方、表示制御機能33cは、ステップS305で右目用画像を収集する位置で一旦停止した場合、ステップS402で生成したデバイスのみを抽出した右目用画像と、ステップS204で補正処理した血管情報のみを抽出した右目用画像とを合成して、右目用合成画像を生成する。
そして、表示制御機能33cは、平面視ロードマップ画像及び透視画像をディスプレイ40に表示させる(ステップS404)。例えば、表示制御機能33cは、ステップS305で左目用画像を収集する位置で一旦停止した場合、ステップS403で生成した左目用合成画像と、ステップS401で収集した左目用の透視画像とをディスプレイ40に表示させる。また、表示制御機能33cは、ステップS305で右目用画像を収集する位置で一旦停止した場合、ステップS403で生成した右目用合成画像と、ステップS401で収集した右目用の透視画像とをディスプレイ40に表示させる。なお、ステップS401からステップS404の処理を繰り返し実行することで、表示制御機能33cは、平面視ロードマップ画像及び透視画像をリアルタイムに更新してディスプレイ40に表示させる。このように、表示制御機能33cは、生成機能33aによって生成された第1の画像と第3の画像又は第2の画像と第4の画像とを合成して平面視用にディスプレイ40に表示させる。術者は、2次元ロードマップ画像に基づくデバイスの操作を終了した場合、透視画像の収集を終了する(ステップS405)。
続いて、図9を用いて、立体視ロードマップ画像作成処理について説明する。図9は、第1の実施形態に係る立体視ロードマップ画像作成処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、図9に示す立体視ロードマップ画像作成処理は、図2に示すステップS7の処理に対応する。例えば、術者が、デバイスと血管との三次元的な位置関係が分かり難いと判断し、立体視ロードマップボタンをオンにした場合に、図9に示す立体視ロードマップ画像作成処理が実行される。
図9に示すように、X線撮像機構10は、術者からの収集開始指示を受けるとC型アーム13を1方向へ移動させる(ステップS501)。例えば、ステップS404における平面視ロードマップ画像の表示と透視画像の収集とを一旦停止させて、例えば図4に示す(RAO 4、CRA/CAU 0)である位置P1にC型アーム13を移動した直後、位置P1から(LAO 4、CRA/CAU 0)である位置P4までC型アーム13の往復運動を開始する(ステップ502)。
また、X線撮像機構10は、各角度で透視画像の収集を開始する(ステップS503)。例えば、X線撮像機構10は、位置P1から位置P4まで移動させる間に、あるいは逆に位置P4から位置P1まで移動させる間(RAO 2、CRA/CAU 0)である位置P2と(LAO 2、CRA/CAU 0)である位置P3の角度のみで透視画像を収集する。
生成機能33aは、ステップS503で収集した透視画像とステップS306で平均化処理した画像とのサブトラクションによりデバイス情報を抽出する(ステップS504)。例えば、生成機能33aは、ステップS503で収集した右目用画像と、ステップS306で平均化処理した右目用画像とのサブトラクションにより、デバイスのみが描出された右目用画像(第3の画像)を生成する。また、生成機能33aは、ステップS503で収集した左目用画像と、ステップS306で平均化処理した左目用画像とのサブトラクションにより、デバイスのみが描出された左目用画像(第4の画像)を生成する。すなわち、生成機能33aは、造影剤非存在下において、C型アーム13が第1の角度に位置した時点で収集されたX線信号から第3の画像を生成し、C型アーム13が第2の角度に位置した時点で収集されたX線信号から第4の画像を生成する。
続いて、表示制御機能33cは、立体視ロードマップ画像を合成する(ステップS504)。例えば、表示制御機能33cは、第1の画像と第3の画像とを合成して、右目用合成画像を生成し、第2の画像と第4の画像とを合成して、左目用合成画像を生成する。
そして、表示制御機能33cは、立体視ロードマップ画像をディスプレイ40に表示させる(ステップS506)。例えば、表示制御機能33cは、右目用合成画像と、左目用合成画像とを立体視ロードマップ画像としてディスプレイ40に表示させる。すなわち、表示制御機能33cは、補正機能33bによる補正処理後の第1の画像を第3の画像と合成した合成画像と、補正機能33bによる補正処理後の第2の画像を第4の画像と合成した合成画像とを、立体視用にディスプレイ40に表示させる。なお、表示制御部33cは、第3の画像と第4の画像が新たに生成される度に更新される。具体的には、P1からP4に回転する際、P2の位置で第4の画像を生成し、P3の位置で第3の画像を生成する。しかし第4の画像が生成された時点では立体視用ディスプレイに画像を更新しない。第3の画像が生成されて、1つの回転に対する第3、第4の画像が揃った時点で立体視用ディスプレイに画像を更新する。同様に、P4からP1に回転する際は、P3の位置で第3の画像し、次にP2の位置で第4の画像を生成する。第4の画像が生成された後、時点で立体視用ディスプレイに画像を更新する。
術者が、透視画像の収集を終了するまでC型アーム13の往復運動、各角度での透視画像の収集、ステップ504からステップ506の処理は繰り返し実行される。これにより術者は、この立体視ロードマップ画像を観察しながら、カテーテルやガイドワイヤーをゆっくり操作する。この時カテーテルやガイドワイヤーを素早く操作すると、左右視差画像に誤差が発生し、立体視がぶれた様に観察される。これを防ぐために、例えば処理回路33は、立体視ロードマップボタンがオンである場合には、ディスプレイ40にカテーテルやガイドワイヤーをゆっくり操作するよう促すメッセージを表示してもよい。
また、術者が透視画像の収集を終了すると、X線撮影機構10は、C型アーム13を1方向へ移動させる。この1方向は、右目用画像を収集した角度、あるいは左目用画像を収集した角度のどちらか一方である。次に、処理回路33は、立体視ロードマップ表示ボタンのオフを受付けたか否かを判定する(ステップS507)。ここで、処理回路33は、立体視ロードマップ表示ボタンのオフを受付けたと判定しなかった場合(ステップS507、No)、ステップS501に移行する。すなわち、X線撮像機構10は、術者からの次の透視画像収集開始の指示を待機する。一方、処理回路33は、立体視ロードマップ表示ボタンのオフを受付けたと判定した場合(ステップS507、Yes)、立体視ロードマップ画像作成処理を終了する。
なお、立体視ロードマップ表示ボタンをオンにする操作は、1回だけ短時間押す操作と、更に一定時間以上押し続ける操作の2種類あるようにしてもよい。そして、X線撮像機構10は、立体視ロードマップボタンを1回だけ短時間押す操作が実行された場合、C型アーム13を、例えば図4に示す位置P1から位置P4まで移動させて、位置P2及び位置P3で撮像して透視画像の収集を停止して、位置P2に戻る。一方、X線撮像機構10は、立体視ロードマップボタンを一定時間以上押し続ける操作が実行された場合、C型アーム13を、図4に示す位置P1から位置P4まで往復運動させ、位置P2及び位置P3で撮像する。そして、X線撮像機構10は、立体視ロードマップ表示ボタンをオフにされると、透視画像の収集を停止して、位置P2に戻る。
上述したように、第1の実施形態では、造影剤を流しながらC型アーム13を振り子のようにゆらゆら回転させ、立体視用のロードマップ画像を収集する。また、造影剤の流れの影響による左右視差画像のミスマッチを低減する補正処理を行う。これにより、第1の実施形態によれば、立体視ロードマップ画像を短時間で作成することが可能になる。更に、第1の実施形態によれば、短時間で、血管が描出された画像を立体視させることが可能になる。
このようにすることで、術者は、インターベンション中に血管とカテーテル、ガイドワイヤーとの位置関係を立体的に把握できるようになる。この結果、術者は、分岐血管へのカテーテル、ガイドワイヤー挿入を短時間で行えるようになる。例えば、これまで30分から1時間かかっていた診断時間や治療時間を短縮できる。この結果、患者への被曝を低減することもできる。
なお、上述した第1の実施形態では、補正機能33bが、相関演算を用いてミスマッチ部を同定する場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、補正機能33bは、造影剤の流れを定式化するようにしてもよい。より具体的には、補正機能33bは、造影剤の信号強度の経時的な遷移を示す遷移情報(TDC:Time Density Curve)を画素ごとに生成する。そして、補正機能33bは、当該遷移情報において所定の時間範囲外にある、第1の画像の画素の画素値及び第2の画像の画素の画素値の少なくともいずれか一方に1未満の所定の係数を乗算する。
より具体的には、補正機能33bは、画素毎にTDCを作成し、このTDCを高次関数あるいは1次関数で補間処理して連続的なTDCを作成する。そして、補正機能33bは、TDCから流入時間を同定する。図10は、第1の実施形態に係る血管情報用立体視画像補正処理の別例を説明するための図である。
図10では、図6と同様に造影剤注入を要求するメッセージを表示した後、R1、L1、L2、R2、・・・、L10、R10の順で画像が撮像されたとする。それぞれの撮像時刻はt1〜t20である。ここで、それぞれの撮像時間は以下のような関係にある。t2=t1+0.2sec、t3=t2+0.5sec、t4=t3+0.2sec、t5=t4+0.5sec・・・。
補正機能33bは、一定範囲外の流入時間を有する画素を消去する。図10に示す例では、補正機能33bは、流入時間がt5〜t18までの範囲に入るものは何も行わない。補正機能33bは、流入時間がt2〜t5のものは信号に対し、それぞれt2でコントラストが0倍、t5でコントラストが1倍になるように係数を補間して作成し、この係数と画素値(DSA値)とを掛け算したものを画素のDSA値とする。一方、補正機能33bは、流入時間がt18〜t19のものは信号に対し、それぞれt19でコントラストが0倍、t18でコントラストが1倍になるように係数を補間して作成し、この係数と画素値(DSA値)とを掛け算したものを画素のDSA値とする。なお、補正機能33bは、一定範囲外の流入時間を有する画素に1未満の所定の係数を乗算してコントラストを低減させても良い。
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、第1の実施形態と異なる方法で血管情報用の立体視画像収集処理を行う場合について説明する。なお、第2の実施形態に係るX線診断装置の全体構成は、図1に示した構成例と同様であるので、ここでは説明を省略する。
第2の実施形態に係る生成機能33aは、造影剤存在下において、C型アーム13が第1の角度に位置した時点で収集されたX線信号から第1の画像を生成し、C型アーム13が第2の角度に位置した時点で収集されたX線信号から第2の画像を生成する。ここで例えば、第2の実施形態に係る生成機能33aは、C型アーム13を第1の角度に固定して収集されたX線信号から第1の画像を生成した後にC型アーム13を第2の角度に移動させ、C型アーム13を第2の角度に固定して収集されたX線信号から第2の画像を生成する。
また、第2の実施形態に係る生成機能33aは、造影剤非存在下において、C型アーム13が第1の角度に位置した時点で収集されたX線信号から第3の画像を生成し、C型アーム13が第2の角度に位置した時点で収集されたX線信号から第4の画像を生成する。
第2の実施形態に係る補正機能33bは、第1の実施形態に係る補正機能33bと同様である。すなわち、第2の実施形態に係る補正機能33bは、第1の画像と第2の画像との差異に基づいて、第1の画像及び第2の画像の少なくとも一方を補正する。
第2の実施形態に係る表示制御機能33cは、第1の実施形態に係る表示制御機能33cと同様である。すなわち、第2の実施形態に係る表示制御機能33cは、補正機能33bによる補正処理後の第1の画像と第2の画像とを、立体視用にディスプレイ40に表示させる。また、第2の実施形態に係る表示制御機能33cは、補正機能33bによる補正処理後の第1の画像を第3の画像と合成した合成画像と、補正機能33bによる補正処理後の第2の画像を第4の画像と合成した合成画像とを、立体視用にディスプレイ40に表示させる。
図11は、第2の実施形態に係る血管情報用立体視画像収集処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、図11に示す血管情報用立体視画像収集処理は、図2に示すステップS2の処理に対応する。
図11に示すように、入力インターフェース50は、立体視ロードマップ前処理ボタンの押下を受付ける(ステップS601)。そして、処理回路33は、撮像制御回路27を介してC型アーム13を所定の方向に移動するように制御する(ステップS602)。図12を用いてステップS602の処理について説明する。図12は、第2の実施形態に係る血管情報用立体視画像収集処理を説明するための図である。
図12では、図4と同様にC型アーム13が患者正面である位置を(RAO/LAO 0、CRA/CAU 0)とする。そして、例えばカテーテルやガイドワイヤーが略体軸方向に進行している場合、X線撮像機構10は、C型アーム13をRAO/LAO方向(患者左右方向)に動かす。言い換えると、X線撮像機構10は、デバイスの進行方向に対して略垂直となる角度にC型アーム13を動かす。例えば、X線撮像機構10は、視差角度が4度必要な場合、(RAO 2、CRA/CAU 0)である位置P2と、(LAO 2、CRA/CAU 0)である位置P3とで画像を撮像する。ここで、第2の実施形態に係るX線撮像機構10は、C型アーム13を往復運動させずに、位置P2又は位置P3いずれか一方の方向にC型アーム13を移動させる。図12では、X線撮像機構10は、C型アーム13を位置P2に移動させるものとして説明する。
図11に戻る。続いて、入力インターフェース50は、透視収集ボタンの押下を受付ける(ステップS603)。X線撮像機構10は、各角度で透視画像の収集を開始する(ステップS604)。そして、処理回路33は、各角度で予め設定したフレーム数の透視画像を収集したか否かを判定する(ステップS605)。ここで、処理回路33は、各角度で予め設定したフレーム数の透視画像を収集したと判定しなかった場合(ステップS605、No)、各角度での透視画像の収集を継続しながら、引き続きステップS605の判定処理を繰り返す。
一方、処理回路33は、各角度で予め設定したフレーム数の透視画像を収集したと判定した場合(ステップS605、Yes)、ディスプレイ40を介して術者に造影剤の注入を通知する(ステップS606)。例えば、処理回路33は、造影剤注入を要求するメッセージあるいはグラフィックをディスプレイ40に表示させる。なお、処理回路33が、各角度で予め設定したフレーム数の透視画像を収集したと判定した以降も、X線撮像機構10は、引き続き設定された観察角度で透視画像を収集する。すなわち、ステップS603で位置P2にC型アームを移動させた場合、(RAO 2、CRA/CAU 0)での透視画像収集は継続されている。
そして、術者はマニュアルで注射器のような造影剤注入器を用いて造影剤を患者の血管内に注入する。そして、術者は、注目する血管が適切に造影されたと判断した時点で、透視収集ボタンを解放することで透視画像の収集を中止する(ステップS607)。続いて、処理回路33は、全ての方向で透視画像を収集したか否かを判定する(ステップS608)。ここで、処理回路33は、全ての方向で透視画像を収集したと判定しなかった場合(ステップS608、No)、ステップS602に移行する。かかる場合、X線撮像機構10は、透視画像を収集していない観察角度にC型アーム13を移動させる。例えば、X線撮像機構10は、位置P2で透視画像を収集した場合には、C型アーム13を位置P3に移動させる。
一方、処理回路33は、全ての方向で透視画像を収集したと判定した場合(ステップS608、Yes)、言い換えると、位置P2及び位置P3とで透視画像を収集した場合、血管情報用立体視画像収集処理を終了する。
上述したように、第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様に立体視ロードマップ画像を短時間で作成することができる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、第1の実施形態と異なる方法で血管情報用の立体視画像収集処理を行う場合について説明する。なお、第3の実施形態に係るX線診断装置の全体構成は、図1に示した構成例と同様であるので、ここでは説明を省略する。
第3の実施形態に係る生成機能33aは、造影剤存在下において、C型アーム13が第1の角度に位置した時点で収集されたX線信号から第1の画像を生成し、C型アーム13が第2の角度に位置した時点で収集されたX線信号から第2の画像を生成する。ここで例えば、第3の実施形態に係る生成機能33aは、第1の角度と第2の角度との視差角度に対して所定数倍以上の角度の範囲で支持機を高速に回転させながら、C型アーム13が第1の角度に位置した時点で収集されたX線信号から第1の画像を生成し、C型アーム13が第2の角度に位置した時点で収集されたX線信号から第2の画像を生成する。
また、第3の実施形態に係る生成機能33aは、造影剤非存在下において、C型アーム13が第1の角度に位置した時点で収集されたX線信号から第3の画像を生成し、C型アーム13が第2の角度に位置した時点で収集されたX線信号から第4の画像を生成する。
第3の実施形態に係る補正機能33bは、第1の実施形態に係る補正機能33bと同様である。すなわち、第3の実施形態に係る補正機能33bは、第1の画像と第2の画像との差異に基づいて、第1の画像及び第2の画像の少なくとも一方を補正する。
第3の実施形態に係る表示制御機能33cは、第1の実施形態に係る表示制御機能33cと同様である。すなわち、第3の実施形態に係る表示制御機能33cは、補正機能33bによる補正処理後の第1の画像と第2の画像とを、立体視用にディスプレイ40に表示させる。また、第3の実施形態に係る表示制御機能33cは、補正機能33bによる補正処理後の第1の画像を第3の画像と合成した合成画像と、補正機能33bによる補正処理後の第2の画像を第4の画像と合成した合成画像とを、立体視用にディスプレイ40に表示させる。
図13は、第3の実施形態に係る血管情報用立体視画像収集処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、図13に示す血管情報用立体視画像収集処理は、図2に示すステップS2の処理に対応する。
図13に示すように、入力インターフェース50は、立体視ロードマップ前処理ボタンの押下を受付ける(ステップS701)。そして、処理回路33は、撮像制御回路27を介してC型アーム13を視差画像観察方向から十分に離れた角度、例えば10度離れた角度に移動するように制御する(ステップS702)。図14を用いてステップS702の処理について説明する。図14は、第3の実施形態に係る血管情報用立体視画像収集処理を説明するための図である。
図14では、C型アーム13が患者正面である位置を(RAO/LAO 0、CRA/CAU 0)とする。このC型アーム13が患者正面である位置を図14中の中央に示す。そして、例えばカテーテルやガイドワイヤーが略体軸方向に進行している場合、X線撮像機構10は、C型アーム13をRAO/LAO方向(患者左右方向)に動かす。言い換えると、X線撮像機構10は、デバイスの進行方向に対して略垂直となる角度にC型アーム13を動かす。X線撮像機構10は、視差角度が4度必要な場合、例えば、視差角度の3倍以上の角度である(RAO15、CRA/CAU 0)である位置P21にC型アーム13を移動させる。
図13に戻る。続いて、入力インターフェース50は、透視収集ボタンの押下を受付ける(ステップS703)。X線撮像機構10は、図14に示す位置P21から(LAO15、CRA/CAU 0)である位置P24に向かって、C型アーム13高速に回転させる(ステップS704)。
そして、X線撮像機構10は、観察角度で透視画像を収集する(ステップS705)。ここで、X線撮像機構10は、観察角度で通常の透視より強いX線を照射して2枚の造影情報のない画像を収集する。図14に示す例では、X線撮像機構10は、(RAO 2、CRA/CAU 0)である位置P22と(LAO 2、CRA/CAU 0)である位置P23の角度で透視を行う。なお、(LAO 2、CRA/CAU 0)である位置P23で撮像された画像のことを右目用画像と言い、(RAO 2、CRA/CAU 0)である位置P22で撮像された画像のことを左目用画像と言う。また、(LAO 2、CRA/CAU 0)である位置P23を第1の角度と言い、(RAO 2、CRA/CAU 0)である位置P22を第2の角度と言うものとする。すなわち、生成機能33aは、X線撮像機構10を制御して、第1の角度と第2の角度との視差角度に対して所定数倍以上の角度の範囲でC型アーム13を高速に回転させながら、C型アーム13が第1の角度に位置した時点で収集されたX線信号から第1の画像を生成し、C型アーム13が第2の角度に位置した時点で収集されたX線信号から第2の画像を生成する。
また、例えば、X線撮像機構10は、(RAO15、CRA/CAU 0)から(RAO5、CRA/CAU 0)の間はC型アーム13を加速させ、(LAO5、CRA/CAU 0)から(LAO15、CRA/CAU 0)の間はC型アーム13を減速させる。このように、第3の実施形態に係るX線撮像機構10は、右目用画像と左目用画像との差異を少なくするために、観察角度で回転速度が最大値となるように、C型アーム13を回転させる。
次に、処理回路33は、ディスプレイ40を介して術者に造影剤の注入を通知する(ステップS706)。例えば、処理回路33は、造影剤注入を要求するメッセージあるいはグラフィックをディスプレイ40に表示させる。そして、X線撮像機構10は、造影剤注入後、一定時間が経過した時点で、C型アーム13を高速に逆回転させる(ステップS707)。例えば、X線撮像機構10は、(LAO15、CRA/CAU 0)から(RAO15、CRA/CAU 0)に向かって高速にC型アーム13を回転させる。すなわち、ステップS704の1回目の回転とステップS707の2回目の回転とが逆の回転方向である。第3の実施形態に係るX線撮影機構10は、右目用血管画像と左目用血管画像との差異を少なくするために、第1の実施形態に比べて回転角度の範囲を大きめにし、かつ、C型アーム13を高速に回転させる。
続いて、X線撮像機構10は、造影剤存在下において各観察角度で透視画像を収集する(ステップS708)。ここで、X線撮像機構10は、観察角度で通常の透視より強いX線を照射して2枚の注目血管が造影された画像を収集する。図14に示す例では、X線撮像機構10は、(LAO 2、CRA/CAU 0)である位置P23と(RAO 2、CRA/CAU 0)である位置P22の角度で透視を行う。また、例えば、X線撮像機構10は、(LAO15、CRA/CAU 0)から(LAO5、CRA/CAU 0)の間はC型アーム13を加速させ、(RAO5、CRA/CAU 0)から(RAO15、CRA/CAU 0)の間はC型アーム13を減速させる。
そして、透視ボタンを解放することによって(ステップ709)、血管情報用立体視画像収集処理を終了する。
上述したように、第3の実施形態では、生成機能33aは、X線撮像機構10を制御して、第1の角度と第2の角度との視差角度に対して所定数倍以上の角度の範囲でC型アーム13を高速に回転させながら、C型アーム13が第1の角度に位置した時点で収集されたX線信号から第1の画像を生成し、C型アーム13が第2の角度に位置した時点で収集されたX線信号から第2の画像を生成する。
ここで、生成機能33aは、C型アーム13を角度の範囲で往復運動をさせる際に、1回目の回転では、造影剤非存在下において、C型アーム13が第1の角度に位置した時点で収集されたX線信号から第1のマスク画像を生成し、C型アーム13が第2の角度に位置した時点で収集されたX線信号から第2のマスク画像を生成する。また、生成機能33aは、2回目の回転では、造影剤存在下において、C型アーム13が第1の角度に位置した時点で収集されたX線信号から第1の造影画像を生成し、C型アーム13が第2の角度に位置した時点で収集されたX線信号から第2の造影画像を生成する。そして、生成機能33aは、第1の造影画像と第1のマスク画像とを差分することで第1の画像を生成し、第2の造影画像と第2のマスク画像とを差分することで第2の画像を生成する。これにより、第3の実施形態では、第1の実施形態と同様に立体視ロードマップ画像を短時間で作成することができる。
なお、図13に示す例では、ステップS707においてC型アーム13の往復運動(ステップS704とは逆方向の回転)で血管情報を収集する場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、ステップS707を実行する前に、C型アーム13を図14に示す位置P21まで戻すようにしてもよい。すなわち、ステップS704の1回目の回転とステップS707の2回目の回転とが同じ回転方向である。このようにするとC型アーム13の回転方向が同じになるので、非血管情報を高精度にサブトラクションすることができる。
また、上述した第3の実施形態では、右目用画像と左目用画像との差異を少なくするために、第1の実施形態に比べて回転角度の範囲を大きめにし、かつ、C型アーム13を高速に回転させる。また、第3の実施形態では、右目用画像と左目用画像との差異を少なくするために、観察角度で回転速度が最大値となるように、C型アーム13を回転させる。これにより、第3の実施形態では、右目用画像と左目用画像とで立体視を阻害する要因が予め低減されている。このようなことから、第3の実施形態では、補正機能33bによる補正処理を省略してもよい。
かかる場合、生成機能33aは、C型アーム13を第1の角度と第2の角度との視差角度に対して所定数倍以上の角度の範囲で高速に回転させながら、造影剤存在下において、C型アーム13が第1の角度に位置した時点で収集されたX線信号から第1の画像を生成し、C型アーム13が第2の角度に位置した時点で収集されたX線信号から第2の画像を生成する。また、生成機能33aは、C型アーム13を第1の角度と第2の角度との視差角度に対して所定数倍以上の角度の範囲で高速に回転させながら、造影剤非存在下において、C型アーム13が第1の角度に位置した時点で収集されたX線信号から第3の画像を生成し、C型アーム13が第2の角度に位置した時点で収集されたX線信号から第4の画像を生成する。そして、表示制御機能33cは、第1の画像と第2の画像とを、立体視用にディスプレイ40に表示させる。また、表示制御機能33cは、補正機能33bによる補正処理後の第1の画像を第3の画像と合成した合成画像と、補正機能33bによる補正処理後の第2の画像を第4の画像と合成した合成画像とを、立体視用にディスプレイ40に表示させる。透視ボタンを押下している間、C型アーム13は高速回転の往復運動、撮像、表示を繰り返す。なお第1、第2の画像撮像と第3、第4の画像撮像を異なる撮像方法で実施しても良い。具体的には第1、第2の画像は時間差の少ない血管情報を収集するため、第1の角度と第2の角度との視差角度に対して所定数倍以上の角度の範囲で高速に回転させながら撮像する。しかし第3、第4の画像はカテーテルやガイドワイヤーなどのリアルタイムでの操作に利用するため、実施例1に示すような第1の角度と第2の角度との視差角度に対して倍程度の角度の範囲を短時間で往復運動させながら撮像を繰り返す。
(第3の実施形態の変形例1)
ところで、C型アーム13を高速に回転させることによって、C型アーム13にたわみが発生する。このため、生成機能33aは、C型アーム13に発生するたわみを考慮するようにX線撮像機構10を制御してもよい。例えば、生成機能33aは、1回目の回転時においてX線信号を収集する第1の角度及び第2の角度と、2回目の回転時においてX線信号を収集する第1の角度及び第2の角度とが実質的に一致するように、X線信号を収集する角度を調整する。
より具体的には、撮像角度は(RAO2、CRA/CAU 0)、(LAO2、CRA/CAU 0)ではなく、回転方向と重心バランスなどにより多少ずらす必要がある。例えば、最初の回転では(RAO1.8、CRA/CAU 0)、(LAO1.8、CRA/CAU 0)を観察角度とし、2回目の回転では(RAO2.2、CRA/CAU 0)、(LAO2.2、CRA/CAU 0)を観察角度とする。例えば、ファントム上に複数個重ならないようにマーカーを配置し、観察角度で撮像した際に、回転時にどのくらいずれるかを事前に同定しておくことで観察角度の補正値を算出することができる。
(その他の実施形態)
実施形態は、上述した実施形態に限られるものではない。
上述した実施形態においては、右目用画像を第1の画像とし、左目用画像を第2の画像とするものとして説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、左目用画像を第1の画像とし、右目用画像を第2の画像としてもよい。また、C型アームの回転方向については、RAO方向からLAO方向としてもよく、あるいは、LAO方向からRAO方向としてもよい。
上記の実施形態の説明において、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
また、上記の実施形態で説明した制御方法は、予め用意された制御プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この制御プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この制御プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、立体視ロードマップ画像を短時間で作成することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1 X線診断装置
10 X線撮像機構
13 C型アーム
33 処理回路
33a 生成機能
33b 補正機能
33c 表示制御機能
100 画像処理装置

Claims (13)

  1. X線管と前記X線管から照射されたX線を検出するX線検出器とを支持する支持機と
    記支持機が第1の角度に位置した時点において造影剤存在下で収集されたX線信号から第1の画像を生成し、前記支持機が第2の角度に位置した時点において造影剤存在下で収集されたX線信号から第2の画像を生成する生成部と、
    前記第1の画像と前記第2の画像との差異に基づいて、前記第1の画像及び前記第2の画像の少なくとも一方の画素値を補正する補正部と、
    前記補正部による補正処理後の前記第1の画像と前記第2の画像とを、立体視用に表示部に表示させる表示制御部と、
    を備える、X線診断装置。
  2. 前記補正部は、前記第1の画像と前記第2の画像の差異を低減させる、請求項1に記載のX線診断装置。
  3. 前記補正部は、相関演算処理を用いて、前記第1の画像の画素と前記第2の画像の画素とを対応付け、対応する画素の画素値の差分値が所定の閾値以上である場合に、画素値が高い方の画素の画素値に1未満の所定の係数を乗算する、請求項2に記載のX線診断装置。
  4. 前記補正部は、造影剤の信号強度の経時的な遷移を示す遷移情報を画素ごとに生成し、当該遷移情報において所定の時間範囲外にある、前記第1の画像の画素の画素値及び前記第2の画像の画素の画素値の少なくともいずれか一方に1未満の所定の係数を乗算する、請求項2に記載のX線診断装置。
  5. 前記生成部は、前記支持機が前記第1の角度に位置した時点において造影剤非存在下で収集されたX線信号から第3の画像を生成し、前記支持機が前記第2の角度に位置した時点において造影剤非存在下で収集されたX線信号から第4の画像を生成し、
    前記表示制御部は、前記補正部による補正処理後の前記第1の画像を前記第3の画像と合成した合成画像と、前記補正部による補正処理後の前記第2の画像を前記第4の画像と合成した合成画像とを、立体視用に表示部に表示させる、請求項1〜4のいずれか一つに記載のX線診断装置。
  6. 前記合成画像を立体視用に前記表示部に表示させる指示を受付ける受付部を更に備え、
    前記生成部は、立体視表示させる指示を受付けていない場合には、前記第1の画像と前記第3の画像又は前記第2の画像と前記第4の画像を生成し、立体視表示させる指示を受付けた場合には、前記第1の画像及び前記第2の画像と、前記第3の画像及び前記第4の画像とを生成し、
    前記表示制御部は、立体視表示させる指示を受付けていない場合には、前記生成部によって生成された前記第1の画像と前記第3の画像又は前記第2の画像と前記第4の画像を合成して平面視用に表示部に表示させ、立体視表示させる指示を受付けた場合には、2つの前記合成画像を表示部に立体視表示させる請求項5に記載のX線診断装置。
  7. 前記生成部は、前記支持機を所定の角度の範囲で往復運動をさせながら、前記支持機が前記第1の角度に位置した時点で収集されたX線信号から前記第1の画像を生成し、前記支持機が前記第2の角度に位置した時点で収集されたX線信号から前記第2の画像を生成する、請求項1〜6のいずれか一つに記載のX線診断装置。
  8. 前記生成部は、前記支持機を前記第1の角度に固定して収集されたX線信号から前記第1の画像を生成した後に前記支持機を前記第2の角度に移動させ、前記支持機を前記第2の角度に固定して収集されたX線信号から前記第2の画像を生成する、請求項1〜6のいずれか一つに記載のX線診断装置。
  9. 前記生成部は、前記第1の角度と前記第2の角度とを含む角度の範囲で前記支持機を回転させながら、前記支持機が前記第1の角度に位置した時点で収集されたX線信号から前記第1の画像を生成し、前記支持機が前記第2の角度に位置した時点で収集されたX線信号から前記第2の画像を生成する、請求項1〜6のいずれか一つに記載のX線診断装置。
  10. 前記生成部は、前記支持機を前記角度の範囲で複数回回転させる際に、1回目の回転では、前記支持機が前記第1の角度に位置した時点において造影剤非存在下で収集されたX線信号から第1のマスク画像を生成し、前記支持機が第2の角度に位置した時点において造影剤非存在下で収集されたX線信号から第2のマスク画像を生成し、2回目の回転では、前記支持機が第1の角度に位置した時点において造影剤存在下で収集されたX線信号から第1の造影画像を生成し、前記支持機が第2の角度に位置した時点において造影剤存在下で収集されたX線信号から第2の造影画像を生成して、前記第1の造影画像と前記第1のマスク画像とを差分することで前記第1の画像を生成し、前記第2の造影画像と前記第2のマスク画像とを差分することで前記第2の画像を生成する、請求項9に記載のX線診断装置。
  11. 前記生成部は、前記1回目の回転時においてX線信号を収集する前記第1の角度及び前記第2の角度と、前記2回目の回転時においてX線信号を収集する前記第1の角度及び前記第2の角度とが実質的に一致するように、X線信号を収集する角度を調整する、請求項10に記載のX線診断装置。
  12. 前記1回目の回転と前記2回目の回転とが同じ回転方向である、請求項10又は11に記載のX線診断装置。
  13. 前記1回目の回転と前記2回目の回転とが逆の回転方向である、請求項10又は11に記載のX線診断装置。
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