以下、図面を参照して、実施形態に係るX線診断装置、画像処理装置、及び画像処理プログラムを説明する。なお、実施形態は、以下の実施形態に限られるものではない。また、一つの実施形態に記載した内容は、原則として他の実施形態にも同様に適用される。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るX線診断装置1の構成の一例を示す図である。図1に示すように、第1の実施形態に係るX線診断装置1は、X線撮像機構10と、画像処理装置100とを有する。
X線撮像機構10は、X線管球11と、検出器(Flat Panel Detector:FPD)12と、C型アーム13と、寝台14とを有し、インジェクター60が接続される。
インジェクター60は、被検体Pに挿入されたカテーテルから造影剤を注入するための装置である。ここで、インジェクター60からの造影剤注入開始は、後述する画像処理装置100を介して受信した注入開始指示に従って実行される場合であってもよいし、術者などの操作者が直接インジェクター60に対して入力した注入開始指示に従って実行される場合であってもよい。又は、造影剤の注入が注射器によって医師によって用手的に行われる場合であってもよい。
C型アーム13は、X線管球11と、X線管球11から照射されたX線を検出する検出器12とを支持する。C型アーム13は、図示しないモータにより、寝台14上に横臥する被検体Pの周りをプロペラのように高速回転する。ここで、C型アーム13は、直交する3軸であるXYZ軸に関してそれぞれ回転可能に支持され、図示しない駆動部によって各軸で個別に回転する。なお、C型アーム13は、支持機の一例である。
図2A及び図2Bは、第1の実施形態に係るC型アーム13の回転方向について説明するための図である。図2Aには、Z軸の正方向から被検体Pを見た図を例示し、図2Bには、X軸の正方向から被検体Pを見た図を例示する。
図2Aに示すように、Y軸からZ周りの被検体Pの左方向への回転は、LAO(Left Anterior Oblique)と呼ばれ、LAOの反対の回転は、RAO(Right Anterior Oblique)と呼ばれる。また、図2Bに示すように、XY平面からZ軸への回転は、CRA(CRANIAL)と呼ばれ、CRAの反対の回転は、CAU(CAUDAL)と呼ばれる。例えば、X線検出器12が正方向(つまり、患者正面)に位置する場合、C型アーム13の角度は、(RAO/LAO 0,CRA/CAU 0)と表される。これは、RAO/LAO角が0度であり、CRA/CAU角が0度であることを表す。
X線管球11は、図示しない高電圧発生器から供給される高電圧を用いてX線を発生するX線源である。検出器12は、被検体Pを透過したX線を検出するための複数のX線検出素子がマトリックス状に配列された装置である。この検出器12が有する各X線検出素子は、被検体Pを透過したX線を後述するA/D変換器21に出力する。
画像処理装置100は、図1に示すように、A/D(Analog/Digital)変換器21と、画像メモリ22と、サブトラクション回路23と、フィルタリング回路24と、アフィン変換回路25と、LUT(Look Up Table)26と、撮像制御回路27と、3次元再構成回路31と、3次元画像処理回路32と、処理回路33と、ディスプレイ40と、入力インターフェース50を有する。
ディスプレイ40は、画像処理装置100によって処理された各種画像や、GUI(Graphical User Interface)などの各種情報を表示する。例えば、ディスプレイ40は、CRT(Cathode Ray Tube)モニタや液晶モニタなどである。
ここで、ディスプレイ40は、左目用の画像データと右目用の画像データとに基づいて立体視することが可能な立体視画像を表示させることができる立体視専用のディスプレイである。例えば、ディスプレイ40は、表示面にかまぼこのような略半円筒形状のレンズを幾つも並べたようなレンチキュラーシートや、ハエの目のような多数のレンズからなるハエの目レンズを張り付けた構造をしており、立体視専用メガネを使用しなくてもレンズで光の軌跡を変更することにより裸眼で立体画像を観察することができる。なお、ディスプレイ40は、裸眼立体視専用のディスプレイでなくてもよい。かかる場合、ディスプレイ40は、立体視専用メガネと同期するディスプレイであり、左目用の画像データを表示している時間はメガネの左側だけ透過し、右側は不透過となる。逆に右目用の画像データを表示している時間はメガネの右側だけ透過し、左側は不透過となる。あるいは、ディスプレイ40は、表示面に偏光フィルタを張り付けた構造をしており、例えば偶数画素ラインには横偏光、奇数画素ラインには縦偏光を施す。立体視専用メガネの左目側では横偏光の光のみを、右目側では縦偏光の光のみを透過させるようになっており、偶数画素ラインに左目用の画像データ、奇数画素ラインに右目用の画像データを表示させる。このように立体視専用のメガネを用いることで、立体視可能なX線画像データを表示させる。なお、左目用の画像データ及び右目用の画像データは、視差角度によって規定される。
入力インターフェース50は、例えば、マウス、キーボード、ボタン、パネルスイッチ、タッチコマンドスクリーン、フットスイッチ、トラックボール、ジョイスティック等の入力装置に対応する。入力インターフェース50は、操作者からの各種指示を受け付け、受け付けた各種指示を画像処理装置100の各回路に対して適宜転送する。
また、例えば、入力インターフェース50には、X線の照射を指示するためのX線トリガーボタンが含まれる。X線トリガーボタンが操作者により押下されると、X線診断装置1は、X線画像データの撮像を開始する。また、例えば、入力インターフェース50には、X線の照射方向の変更を指示するための装置駆動ボタンが含まれる。装置駆動ボタンが操作者により押下されると、X線診断装置1は、予め設定された方向にC型アーム13を回転させることでX線の照射方向を変更する。
A/D変換器21は、検出器12に接続され、検出器12から入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換し、変換したデジタル信号をX線画像データとして画像メモリ22に格納する。
画像メモリ22は、X線画像データを記憶する。また、画像メモリ22は、後述する3次元再構成回路31によって再構成された再構成データ(ボリュームデータ)や、3次元画像処理回路32によって生成された3次元画像を記憶する。なお、画像メモリ22は、コンピュータによって実行可能なプログラムを記憶可能である。
サブトラクション回路23は、DSA(Digital Subtraction Angiography)画像データなどの差分画像データを生成する。例えば、サブトラクション回路23は、画像メモリ22に記憶されたマスク画像データ及びコントラスト画像データを用いてDSA画像データを、又は2つのボリュームデータを用いて血管構造を有するボリュームデータを生成する。ここで、マスク画像データは、造影剤が注入される前に撮像されたX線画像データ(非造影画像データ)に対応する。また、コントラスト画像データは、造影剤を注入しながら撮像されたX線画像データ(造影画像データ)に対応する。
フィルタリング回路24は、ハイパスフィルタリングやローパスフィルタリングなどの画像処理フィルタリングを行う。アフィン変換回路25は、画像の拡大や縮小、移動などを行う。LUT26は、階調変換を行うためのテーブルを記憶する。
撮像制御回路27は、後述する処理回路33の制御のもと、X線撮像機構10による撮像に係る各種処理を制御する。例えば、撮像制御回路27は、C型アーム13を回転させながら所定のフレームレートでX線画像を撮像する回転撮像を制御する。一例を挙げると、撮像制御回路27は、インジェクター60から造影剤注入開始時に出力される信号を契機として、単一の造影剤注入の後に複数回のX線画像データの回転撮像を制御する。ここで、撮像制御回路27は、単一の造影剤の注入開始時刻を起点とした経過時間により複数回の回転撮像のスタートを制御することで、各回転撮像の対象に造影剤が到達するタイミングに合わせた回転撮像を行う。
また、撮像制御回路27は、C型アーム13を回転制御している間、図示しない高電圧発生器を制御してX線管球11からX線を連続的又は断続的に発生させ、検出器12によって被検体Pを透過したX線を検出させるように制御する。ここで、撮像制御回路27は、後述する処理回路33によって回転撮像ごとに設定されるX線の発生条件に基づいて、X線管球11からX線を発生させる。言い換えると、撮像機構としてのX線撮像機構10は、X線を発生させるX線管とX線を検出する検出器とを含み、X線による観察方向が可変となるように少なくともX線管を移動可能に保持する。また、撮像制御部としての撮像制御回路27は、撮像機構による観察方向と、X線管及び検出器による撮像とを制御する。
3次元再構成回路31は、X線撮像機構10による回転撮像によって収集されたX線画像から再構成データ(ボリュームデータ)を再構成する。例えば、3次元再構成回路31は、サブトラクション回路23によってマスク画像データとしての回転X線画像データとコントラスト画像としての回転X線画像の中でマスク画像データと角度が略一致するX線画像とが差分され、画像メモリ22によって記憶されたサブトラクション後の投影データから血管構造を有するボリュームデータを再構成する。或いは、3次元再構成回路31は、画像メモリ22に記憶されたマスク画像データとしての回転X線画像データとコントラスト画像データとしての回転X線画像データとを用いて別々にボリュームデータを再構成し、2つのボリュームデータをサブトラクションすることで血管構造を有するボリュームデータを生成する。そして、3次元再構成回路31は、再構成したボリュームデータを画像メモリ22に格納する。
3次元画像処理回路32は、画像メモリ22によって記憶されたボリュームデータから3次元医用画像データを生成する。例えば、3次元画像処理回路32は、ボリュームデータからボリュームレンダリング画像データや、MPR(Multi Planar Reconstruction)画像データを生成する。そして、3次元画像処理回路32は、生成した3次元医用画像データを画像メモリ22に格納する。また、3次元画像処理回路32は、LUT26を参照して、3次元医用画像データの階調変換を行う。
処理回路33は、X線診断装置1全体を制御する。具体的には、処理回路33は、X線撮像機構10によるX線画像データの撮像、表示画像の生成、ディスプレイ40における表示画像の表示などに係る各種処理を制御する。例えば、処理回路33は、X線撮像機構10による回転撮像や、回転撮像によって撮像されたX線画像データから3次元画像データを生成してディスプレイ40に表示させる。
また、処理回路33は、図1に示すように、パラメトリック画像生成機能333と、表示制御機能334とを実行する。ここで、例えば、図1に示す処理回路33の構成要素であるパラメトリック画像生成機能333と、表示制御機能334とが実行する各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態でX線診断装置1の記憶装置(例えば、画像メモリ22)に記録されている。処理回路33は、各プログラムを記憶装置から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路33は、図1の処理回路33内に示された各機能を有することとなる。
なお、図1に図示した内容は、一例に過ぎない。例えば、図1には、サブトラクション回路23、フィルタリング回路24、アフィン変換回路25、撮像制御回路27、3次元再構成回路31、3次元画像処理回路32、及び処理回路33の複数の回路(プロセッサ)を例示したが、これらの回路は必ずしも独立して構成されなくともよい。例えば、これらの回路のうち任意の回路を適宜組み合わせて構成されてもよい。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。更に、各図における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
以上、第1の実施形態に係るX線診断装置1の構成の一例を説明した。このような構成を有するX線診断装置1は、パラメトリックイメージングの立体視画像を容易に提供するために、処理回路33が、DSA画像生成機能331と、ワーピング処理機能332と、パラメトリック画像生成機能333と、表示制御機能334とを実行する。
すなわち、DSA画像生成機能331は、第1観察方向に対応する第1造影画像データから第1観察方向に対応する第1非造影画像データを差分して第1差分画像データを生成する。また、DSA画像生成機能331は、第1観察方向とは異なる第2観察方向に対応する第2造影画像データから第2観察方向に対応する第2非造影画像データを差分して第2差分画像データを生成する。なお、DSA画像生成機能331は、差分画像生成部の一例である。また、DSA画像生成機能331は、血管画像生成部の一例である。
続いて、ワーピング処理機能332は、第1差分画像データ及び第2差分画像データのうち基準となる基準画像データに描出される血管形状を基準として基準画像データ以外の画像データに描出される血管形状を変形させる変形処理を実行する。なお、ワーピング処理機能332は、画像処理部の一例である。
続いて、パラメトリック画像生成機能333は、変形処理後の画像データを用いて、第1観察方向に対応し、画素値の経時的変化に応じたカラーが割り当てられた第1カラー画像データと、第2観察方向に対応し、画素値の経時的変化に応じたカラーが割り当てられた第2カラー画像データとを生成する。なお、パラメトリック画像生成機能333は、カラー画像生成部の一例である。
そして、表示制御機能334は、第1カラー画像データ及び第2カラー画像データに基づく立体視画像を表示させる。これにより、X線診断装置1は、パラメトリックイメージングの立体視画像を容易に提供することができる。なお、表示制御機能334は、表示制御部の一例である。
なお、処理回路33が実行する各機能は、例えば、X線パラメトリックイメージング用撮像プログラム(以下、「撮像プログラム」とも表記する)として予め設定される。例えば、撮像プログラムには、視差角度が予め登録されている。視差角度は、ステレオ観察を行うために設定される2つの視点の位置(観察角度1、観察角度2)を決定するための角度である。
例えば、RAO30CRA0の角度にC型アーム13がセットされている場合には、RAO30CRA0が観察角度1、観察角度1から右に更に5度回転したRAO35CRA0が観察角度2となる。この回転方向は、観察したい血管の走行方向によって変化させるのが好適である。したがって、回転方向ごとに撮像プログラムを用意しても良いし、或いは撮像プログラムの中に方向を決定するGUIを備えておき、そのGUIを用いて回転方向を決定しても良い。一例を挙げると、C型アーム13は、ジョイスティックが右方向に傾けられるとLAO方向に、左方向に傾けられるとRAO方向に、上方向に傾けられるとCRA方向に、下方向に傾けられるとCAU方向に5度回転する(角度は変化せず回転方向が変化する)。具体的には、RAO30CRA0を起点としてジョイスティックが上方向に傾けられると、RAO30CRA0が観察角度1に設定され、RAO30CRA0から上方向に5度回転したRAO30CRA5が観察角度2に設定される。或いはRAO30CRA0を起点としてジョイスティックが右方向に傾けられると、RAO30CRA0が観察角度1に設定され、RAO30CRA0から左方向に5度回転したRAO25CRA0が観察角度2に設定される。なお、ここでは説明の明瞭化のために上下方向、或いは左右方向のいずれか一方にジョイスティックが傾けられる場合を説明したが、例えば、上方向と右方向とを組み合わせた複合的な任意の方向(斜め方向)が回転方向として指定されても良い。
図3は、第1の実施形態に係るX線診断装置1の処理手順を示すフローチャートである。図3に示す処理手順は、例えば、アンギオ(Angio)検査、或いはインターベンション治療において実行される。なお、第1の実施形態では、脳血管などのように、体動の影響が少ない部位を目的部位とする場合を説明する。
図3に示すように、処理回路33は、処理タイミングか否かを判定する(ステップS101)。例えば、処理回路33は、撮像プログラムを起動させる旨の指示が操作者によって入力されると、処理タイミングであると判定し、ステップS102以降の処理を実行する。なお、ステップS101が否定される場合には、処理回路33は、撮像を開始せず、以下の処理は待機状態である。
続いて、処理回路33は、C型アーム13を観察角度2へ移動させる(ステップS102)。次に、DSA画像生成機能331は、DSA画像生成処理を実行する(ステップS103)。このDSA画像生成処理は、第1DSA画像データと、第2DSA画像データとを生成する。第1DSA画像データとは、観察角度1に対応するDSA画像データを表す。また、第2DSA画像データとは、観察角度2に対応するDSA画像データを表す。なお、DSA画像データ(サブトラクション画像データ)は、差分画像データの一例である。また、DSA画像データは、血管画像データの一例である。
図4、図5A、及び図5Bを用いて、DSA画像生成処理について説明する。図4は、第1の実施形態に係るDSA画像生成処理の処理手順を示すフローチャートである。図4には、図3に示したステップS102のDSA画像生成処理に対応する処理手順を例示する。図5A及び図5Bは、第1の実施形態に係るDSA画像生成処理を説明するための図である。図5Aにおいて、横軸は時間に対応し、縦軸は造影剤の注入量に対応する。図5Bにおいて、横軸は時間に対応する。なお、図5Bにおいて、丸印は、その時点におけるDSA画像データを表す。
図4に示すように、DSA画像生成機能331は、X線撮像スイッチ(X線トリガーボタン)が押下されたか否かを判定する(ステップS201)。例えば、DSA画像生成機能331は、X線撮像スイッチが操作者により押下されると(ステップS201肯定)、ステップS202以降の処理を開始する。なお、X線トリガーボタンが押下されるまで(ステップS201否定)、DSA画像生成機能331は、ステップS202以降の処理を開始しない。また、この時点までに、操作者は、造影剤を注射器に充填しておくなど、造影剤を注入する準備を整えておくことが好ましい。
X線撮像スイッチが操作者により押下されると、DSA画像生成機能331は、第2マスク画像データを収集する(ステップS202)。第2マスク画像データとは、観察角度2に対応するマスク画像データを表す。例えば、DSA画像生成機能331は、X線管球11や検出器12などの撮像系機器を制御して、撮像プログラムに予め設定されている枚数の第2マスク画像データを収集する。第2マスク画像データの枚数は、1枚であっても、複数枚であっても良い。第2マスク画像データの枚数は、マスク画像データに要求されるノイズレベルに応じて設定される。第2マスク画像データの枚数は、撮像プログラムに予め設定される。そして、DSA画像生成機能331は、C型アーム13を観察角度1へ移動させる(ステップS203)。
そして、DSA画像生成機能331は、第1マスク画像データを収集する(ステップS204)。第1マスク画像データとは、観察角度1に対応するマスク画像データを表す。例えば、DSA画像生成機能331は、ステップS202の処理と同様の処理により第1マスク画像データを収集する。
そして、DSA画像生成機能331は、造影剤の注入開始を通知する(ステップ205。例えば、DSA画像生成機能331は、ディスプレイ40の画面上に注入開始タイミングを示すアイコンを表示することで、造影剤の注入開始を通知する。なお、これに限らず、注入開始の通知は、音声出力により行われても良いし、注入開始のタイミングを示すカウントダウンを表示させても良い。これにより、操作者は、注射器を用いて造影剤の注入を開始する。あるいは、インジェクター60を用い、第1マスク画像データの収集完了後、自動的に造影剤の注入を開始しても良い。
そして、DSA画像生成機能331は、所定のフレームレートで、複数時相の第1コントラスト画像データを収集する(ステップS206)。第1コントラスト画像データとは、観察角度1に対応するコントラスト画像データを表す。
図5Aに示すように、例えば、DSA画像生成機能331は、10fpsのフレームレートで第1コントラスト画像データの収集を開始する。そして、DSA画像生成機能331は、t1、t2、t3、t4、t5、t6、t7において、合計7枚の第1コントラスト画像データを撮像する。なお、第1コントラスト画像データを収集するためのフレームレートは、目的部位(ターゲット部位)の血流速度によって変更されるのが好適である。例えば、血流が速い部位では60fpsに設定され、血流が遅い部位では6fpsに設定される。
そして、DSA画像生成機能331は、複数時相の第1DSA画像データを生成する(ステップS207)。図5Bに示すように、例えば、DSA画像生成機能331は、サブトラクション回路23を制御して、t1~t7に対応する7枚の第1コントラスト画像データそれぞれから第1マスク画像データを差分(サブトラクション)することで、t1~t7に対応する7枚の第1DSA画像データを生成する。ここで、第1マスク画像データが複数枚存在する場合には、複数枚の第1マスク画像データを平均化して、ノイズを低減させた第1マスク画像データを生成しておくのが好適である。生成された第1DSA画像データは、表示制御機能334により略リアルタイムでディスプレイ40に表示される。
そして、DSA画像生成機能331は、C型アーム13を観察角度2へ移動させる(ステップS208)。例えば、操作者は、ディスプレイ40に表示される第1DSA画像データを観察しながら、血管(動脈)に未だ十分な造影剤が残っており、かつ、目的部位が造影されたタイミングで観察角度変更スイッチを押下する。これにより、DSA画像生成機能331は、X線照射を一旦中断し、C型アーム13を観察角度2へ移動させる。
そして、DSA画像生成機能331は、少なくとも1枚の第2コントラスト画像データを収集する(ステップS209)。図5Aに示すように、例えば、DSA画像生成機能331は、t8に対応する1枚の第2コントラスト画像データをC型アーム13の観察角度2への移動直後に撮像する。なお、第2コントラスト画像データは、血管形状が描出されていれば1枚で十分であるが、ノイズを低減させるために複数枚撮像されても良い。ただし、複数枚撮像する場合にも、3枚程度に抑えるのが好適である。なお、DSA画像生成機能331による撮像は、撮像制御回路27により制御される。つまり、撮像制御回路27は、撮像機構による観察方向を第1観察方向に設定した状態で時系列的な複数の第1造影画像データを撮像し、かつ、第1造影画像データの撮像の後に、第2観察方向で少なくとも一つの第2造影画像データを撮像する。例えば、撮像制御回路27は、造影剤の注入開始から所定時間の間に複数の第1造影画像データを撮像し、造影剤の注入開始から所定時間経過後に第2観察方向に移動させて、注入終了直後又は前に少なくとも一つの第2造影画像データを撮像する。
そして、DSA画像生成機能331は、第2DSA画像データを生成する(ステップS210)。図5Bに示すように、例えば、DSA画像生成機能331は、サブトラクション回路23を制御して、t8に対応する1枚の第2コントラスト画像データから第2マスク画像データを差分することで、t8に対応する1枚の第2DSA画像データを生成する。ここで、第2マスク画像データが複数枚存在する場合には、複数枚の第2マスク画像データを平均化して、ノイズを低減させた第2マスク画像データを生成しておくのが好適である。さらに、第2コントラスト画像データが複数枚存在する場合には、複数枚の第2コントラスト画像データを平均化して、ノイズを低減させた第2コントラスト画像データを生成しておくのが好適である。生成された第2DSA画像データは、表示制御機能334により略リアルタイムでディスプレイ40に表示される。
言い換えると、血管画像生成部としてのDSA画像生成機能331は、複数の第1造影画像データに基づいて複数の第1血管画像データを生成し、かつ、少なくとも一つの第2造影画像データに基づいて少なくとも一つの第2血管画像データを生成する。例えば、DSA画像生成機能331は、第1観察方向を観察方向とする第1非造影画像データを、複数の第1造影画像データそれぞれから減算することにより、複数の第1血管画像データを生成する。また、DSA画像生成機能331は、第2観察方向を観察方向とする第2非造影画像データを、少なくとも一つの第2造影画像データそれぞれから減算することにより、少なくとも一つの第2血管画像データを生成する。
そして、DSA画像生成機能331は、複数時相の第1DSA画像データと、第2DSA画像データとを画像メモリ22へ転送する(ステップS211)。例えば、DSA画像生成機能331は、t1~t7に対応する7枚の第1DSA画像データと、t8に対応する1枚の第2DSA画像データとを画像メモリ22へ転送(格納)する。
なお、図4に示した処理手順はあくまで一例であり、必ずしも図示の例に限定されるものではない。例えば、図4に示した処理手順は、処理内容に矛盾が生じない範囲で任意に順序を変更可能である。例えば、第1DSA画像データを生成する処理(ステップS207)は、第2DSA画像データを生成する処理(ステップS210)と同時に実行されてもよい。また、DSA画像データを転送する処理(ステップS211)は、DSA画像データを生成する処理(ステップS207,210)と並列して実行されてもよい。
また、図4では、造影剤注入後の観察角度の変更(ステップS208)が操作者からの指示(観察角度変更スイッチの押下)により行われる場合を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、造影剤の注入が終了した直後には、血管に十分な造影剤が残っており、かつ、目的部位が造影されていると考えられる。そこで、造影剤の注入開始の通知(ステップS205)が行われてから一定時間後(例えば5秒後など)に、C型アーム13を自動的に観察角度2へ移動させてもよい。ここで、造影剤の注入に要する時間は、注入される造影剤の量に概ね依存するため、造影剤の量や目的部位に応じて予め設定されていてもよい。また、インジェクター60を用いて造影剤を注入する場合、造影剤注入終了時間の一定時間前にC型アーム13を自動的に観察角度2へ移動させても良い。この一定時間は、目的部位(ターゲット部位)の血流速度によって変更されるのが好適である。例えば、血流が速い部位では3秒に設定され、血流が遅い部位では1秒に設定される。すなわち、DSA画像生成機能331は、造影剤の注入開始から複数時相の第1造影画像データを収集し、造影剤の注入終了から所定時間経過前に第2観察方向に移動して第2造影画像データを収集する。言い換えると、血管画像生成部としてのDSA画像生成機能331は、第1観察方向を観察方向とする時系列的な複数の第1血管画像データを生成するとともに、第2観察方向を観察方向とする少なくとも一つの第2血管画像データを生成する。例えば、撮像制御回路27は、造影剤の注入開始から複数時相の第1造影画像データを撮像し、造影剤の注入終了から所定時間経過前に第2観察方向に移動して第2造影画像データを撮像する。
また、図5A及び図5Bに示した内容はあくまで一例であり、必ずしも図示の例に限定されるものではない。例えば、生成される第1DSA画像データや第2DSA画像データの枚数は、図示の例に限定されるものではなく、任意の枚数に設定可能である。
図3の説明に戻る。第1DSA画像データ及び第2DSA画像データが生成されると、ワーピング処理機能332は、ワーピング処理を実行する(ステップS104)。このワーピング処理機能332は、第1DSA画像データ及び第2DSA画像データに描出された血管形状のうち基準となる血管形状に、他の画像データの血管形状を合わせるワーピング処理を実行する。なお、ワーピング処理は、変形処理の一例である。
図6、図7A、及び図7Bを用いて、ワーピング処理について説明する。図6は、第1の実施形態に係るワーピング処理の処理手順を示すフローチャートである。図6には、図3に示したステップS104のワーピング処理に対応する処理手順を例示する。図7A及び図7Bは、第1の実施形態に係るワーピング処理を説明するための図である。図7A及び図7Bにおいて、横軸は時間に対応する。また、図7A及び図7Bにおいて、白丸印は、その時点におけるDSA画像データを表し、黒丸印は、その時点における変形画像データを表す。なお、変形画像データとは、ワーピング処理により変形された画像データを表す。
図6及び図7Aに示すように、ワーピング処理機能332は、t7の第1DSA画像データと、t8の第2DSA画像データとを用いて、移動関数(移動ベクトル)を算出する(ステップS301)。ここで、移動関数とは、一方の画像データに描出される血管形状をもう一方の血管形状に合わせるために、各画素を移動させる位置関係を表す。例えば、ワーピング処理機能332は、t7の第1DSA画像データと、t8の第2DSA画像データとの間において、局所的なパターンマッチングを行うことで、移動関数を算出する。なお、移動関数には、視差角度に応じた最大移動量を決めておき、それを超えるマッチングの探索は行わないようにする。これにより計算時間の短縮を図れると同時に、あり得ないマッチング結果を予防することができる。
続いて、ワーピング処理機能332は、移動関数を用いて、各第1DSA画像データの血管形状を第2DSA画像データ(基準画像データ)の血管形状に合わせるように変形させる(ステップS302)。図7Bに示すように、例えば、ワーピング処理機能332は、算出した移動関数を用いて、t1~t7に対応する7枚の第1DSA画像データそれぞれを変形させることで、t1~t7に対応する7枚の変形画像データを生成する。言い換えると、ワーピング処理機能332は、複数の第1血管画像データのうちの少なくとも一つにおける血管形状と少なくとも一つの第2血管画像データのうちの少なくとも一つにおける血管形状とに基づいて複数の第1血管画像データのうちの複数を変形させることにより、第2観察方向を観察方向とし、かつ、複数の第1血管画像データのそれぞれの時相に対応する複数の第3血管画像データを生成する。なお、観察方向2に対応する変形画像データは、第3血管画像データの一例である。
そして、ワーピング処理機能332は、複数時相の変形画像データを画像メモリ22へ転送する(ステップS303)。例えば、ワーピング処理機能332は、t1~t7に対応する7枚の変形画像データそれぞれを画像メモリ22へ転送する。
なお、図6に示した処理手順はあくまで一例であり、必ずしも図示の例に限定されるものではない。例えば、変形画像データを転送する処理(ステップS303)は、変形画像データを生成する処理(ステップS302)と並列して実行されてもよい。
図3の説明に戻る。複数時相の変形画像データが生成されると、パラメトリック画像生成機能333は、視点が異なる2つのパラメトリック画像データを生成する(ステップS105)。例えば、パラメトリック画像生成機能333は、第1血管画像データと第3血管画像データとをそれぞれ用いて、第1パラメトリック画像データと、第2パラメトリック画像データとを生成する。第1パラメトリック画像データとは、観察方向1に対応するパラメトリック画像データを表す。また、第2パラメトリック画像データとは、観察方向2に対応するパラメトリック画像データを表す。なお、パラメトリック画像データは、カラー画像データの一例である。
例えば、パラメトリック画像生成機能333は、t1~t7に対応する7枚の第1DSA画像データを用いて、第1パラメトリック画像データを生成する。また、パラメトリック画像生成機能333は、t1~t7に対応する7枚の変形画像データを用いて、第2パラメトリック画像データを生成する。
具体的には、パラメトリック画像生成機能333は、t1~t7に対応する7枚の第1DSA画像データを用いて、流入時間を同定する。ここで、流入時間は、DSA画像データの各位置における画素値の変化を造影剤濃度の変化と見なし、各画素値の時系列変化に基づいて定義されるパラメータである。流入時間の同定方法としては、TTP(Time-to-Peak)及びTTA(Time-to-Arrival)のうち任意の同定方法が選択可能である。例えば、TTPは、画素値の時間変化が最大となる時間を流入時間として同定する方法である。また、TTAは、画素値の時間変化が所定値に到達する時間、若しくは、画素値の時間変化における最大値に対して所定割合に到達する時間を流入時間として同定する方法である。
流入時間が同定されると、パラメトリック画像生成機能333は、各画素位置に対して流入時間に応じたカラーを割り当てることで、静止画としての第1パラメトリック画像データを生成する。なお、第2パラメトリック画像データを生成する処理は、t1~t7に対応する7枚の変形画像データを用いて流入時間を同定する点を除き、第1パラメトリック画像データを生成する処理と同様であるので、説明を省略する。あるいは7枚の変形画像データを作成する代わりに、第1DSA画像データから求めた流入時間を、移動関数を用いて、第2DSA画像データから求められる流入時間に割り当てても良い。この場合、ワーピング処理は1回で済むため、処理時間短縮が可能となる。すなわち、パラメトリック画像生成機能333は、複数時相の第1DSA画像データを用いて、第1パラメトリック画像データを生成する。そして、ワーピング処理機能332は、基準画像データとしての第2DSA画像データに描出される血管形状を基準とする変形処理を第1パラメトリック画像データに対して実行することで、第2観察方向に対応する前記第2パラメトリック画像データを生成する。
このように、パラメトリック画像生成機能333は、第1パラメトリック画像データ及び第2パラメトリック画像データを生成する。言い換えると、パラメトリック画像生成機能333は、少なくとも複数の第1血管画像データのうちの複数を用いて、第1観察方向を観察方向とする、造影剤の流れを反映した第1カラー画像データを生成するとともに、少なくとも複数の第3血管画像データのうちの複数を用いて、第2観察方向を観察方向とする、造影剤の流れを反映した第2カラー画像データを生成する。なお、第1パラメトリック画像データ及び第2パラメトリック画像データは、静止画に限らず、動画として生成されても良い。例えば、パラメトリック画像生成機能333は、例えば、特許文献1(特開2014-200339)に記載されるような、パラメトリックイメージングの動画表示方法により、動画としての第1パラメトリック画像データ及び第2パラメトリック画像データを生成してもよい。
そして、表示制御機能334は、視点が異なる2つのパラメトリック画像データを用いて、立体視画像を表示させる(ステップS106)。例えば、表示制御機能334は、第1パラメトリック画像データ及び第2パラメトリック画像データを用いて、ディスプレイ40上に立体視画像を表示させる。
なお、視差角度が患者左右方向でない場合、第1パラメトリック画像データ及び第2パラメトリック画像データを表示する際、アフィン変換回路25を用いた第1パラメトリック画像データ及び第2パラメトリック画像データの回転処理が必要になる。回転処理は回転軸の投影方向が上下方向になるように行われる。例えば上下方向に回転する場合、具体的には第1観察角度がRAO30CRA0であり、第2観察角度がRAO30CRA5である場合、第1パラメトリック画像データ及び第2パラメトリック画像データは右に90度、あるいは左に90度回転した様態で表示される。さらに例えば患者右下方向から患者左上方向に回転する場合、具体的には第1観察角度がRAO2CRA2であり、第2観察角度がLAO2CAU2である場合、第1パラメトリック画像データ及び第2パラメトリック画像データは右に45度、あるいは左に135度回転した様態で表示される。すなわち、パラメトリック画像生成機能333は、第1観察方向から第2観察方向に移動する時の回転軸を、それぞれの観察方向から撮影した時のX線管球の焦点位置からその時の検出器位置であたかも撮影したかの如く投影してできる回転軸投影像を求め、この回転軸投影像が上下方向を向くように第1カラー画像データと第2カラー画像データとを生成する。
ここではパラメトリック画像データを回転する例を説明したが、パラメトリック画像データを回転する代わりに同様のパラメトリック画像が得られるようにFPDを回転させても良い。すなわち、DSA画像生成機能331は、第1観察方向から第2観察方向に移動する時の回転軸を、それぞれの観察方向から撮影した時のX線管球の焦点位置からその時の検出器位置であたかも撮影したかの如く投影してできる回転軸投影像を求め、この回転軸投影像が上下方向を向くように検出器を回転させて2方向の造影画像データと2方向の非造影画像データを生成する。つまり、DSA画像生成機能331は、この回転軸投影像が上下方向を向くように検出器を回転させて、第1造影画像データ、第1非造影画像データ、第2造影画像データ、及び第2非造影画像データを生成する。
上述してきたように、第1の実施形態に係るX線診断装置1において、DSA画像生成機能331は、造影剤の注入開始からの間に複数枚収集された複数時相の第1コントラスト画像データから第1マスク画像データをそれぞれ差分して複数時相の第1DSA画像データを生成する。また、DSA画像生成機能331は、前記第1造影画像データの収集後に収集された少なくとも1枚の第2コントラスト画像データから第2マスク画像データを差分して少なくとも1枚の第2DSA画像データを生成する。ワーピング処理機能332は、基準画像データとしての第2DSA画像データに描出される血管形状を基準とする変形処理を複数時相の第1DSA画像データに対して実行することで、第2観察方向に対応する複数時相の変形画像データを生成する。パラメトリック画像生成機能333は、複数時相の第1DSA画像データを用いて、第1パラメトリック画像データを生成し、複数時相の変形画像データを用いて、第2パラメトリック画像データを生成する。又は、パラメトリック画像生成機能333は、第1パラメトリック画像データを変形することで、第2パラメトリック画像データを生成する。
すなわち、第1の実施形態に係るX線診断装置1は、一方の観察方向の時系列DSA画像データから、もう一方の観察方向の時系列DSA画像データを擬似的に生成するためのワーピング処理を実行する。これによれば、第1の実施形態に係るX線診断装置1は、パラメトリックイメージングの立体視画像を容易に提供することができる。例えば、X線診断装置1は、視点が異なる2つのパラメトリック画像データを、1度の造影剤の注入により生成することができるので、立体視画像を容易に提供することができる。
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態では、脳血管などのように、体動の影響が少ない部位を目的部位とする場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、X線診断装置1は、腹部血管や心臓のように、体動のある部位を目的部位とすることも可能である。そこで、第2の実施形態では、体動のある部位を目的部位とする場合を説明する。
第2の実施形態に係るX線診断装置1は、図1に例示したX線診断装置1と同様の構成を備え、DSA画像生成機能331、ワーピング処理機能332、及びパラメトリック画像生成機能333の処理の一部が相違する。そこで、第2の実施形態では、第1の実施形態と相違する点を中心に説明することとし、第1の実施形態において説明した構成と同様の機能を有する点については、説明を省略する。
すなわち、DSA画像生成機能331は、第1観察方向と第2観察方向との切り替えが繰り返し行われる間に、体動により血管以外の構造が変化する部位から収集された複数時相の第1マスク画像データ及び複数時相の第2マスク画像データを収集し、その後造影剤を注入しながら体動により血管以外の構造及び血管形状両方が変化する部位から収集された複数時相の第1造影画像データ及び複数時相の第2造影画像データを収集する。その後、複数時相の第1差分画像データ及び複数時相の第2差分画像データを生成する。この時、複数時相の第1造影画像データは複数時相の第1マスク画像データの中から最適な画像を選択し、差分処理が実施される。最適な画像は、心電図や呼吸波形などを元に決定されても良いし、あるいは特開2004-112469、特開2005-198330、特開2007-215925などに示す方法で最適な画像を同定しても良い。同様に、複数時相の第2造影画像データは複数時相の第2マスク画像データの中から最適な画像を選択し、差分処理が実施される。
そして、ワーピング処理機能332は、複数時相の第1差分画像データと、複数時相の第2差分画像データとの間の類似度に基づいて、複数時相の第1差分画像データのうち基準となる第1基準画像データと、複数時相の第2差分画像データのうち基準となる第2基準画像データとを基準画像データとして決定する。そして、ワーピング処理機能332は、決定した第1基準画像データに描出される血管形状を基準とする変形処理を複数時相の第1差分画像データに対して実行することで、第1観察方向に対応する複数時相の第1変形画像データを生成する。また、ワーピング処理機能332は、決定した第2基準画像データに描出される血管形状を基準とする変形処理を複数時相の第2差分画像データに対して実行することで、第2観察方向に対応する複数時相の第2変形画像データを生成する。
そして、パラメトリック画像生成機能333は、複数時相の第1変形画像データを用いて、第1パラメトリック画像データと第1カラー画像データを生成し、複数時相の第2変形画像データを用いて、第2パラメトリック画像データと第2カラー画像データを生成する。
第2の実施形態に係るX線診断装置1の処理手順は、図3に例示した処理手順と同様であるが、ステップS103,S104の各処理が相違する。以下、第2の実施形態に係るX線診断装置1の処理手順について説明する。
図8及び図9を用いて、第2の実施形態に係るDSA画像生成処理について説明する。図8は、第2の実施形態に係るDSA画像生成処理の処理手順を示すフローチャートである。図8には、図3に示したステップS103のDSA画像生成処理に対応する処理手順を例示する。図9は、第2の実施形態に係るDSA画像生成処理を説明するための図である。図9において、横軸は時間に対応する。また、図9において、丸印は、その時点におけるDSA画像データを表す。
図8に示すように、DSA画像生成機能331は、C型アーム13の往復運動を開始する(ステップS401)。この往復運動は、観察角度1と観察角度2との間のみを交互に移動する場合であっても良いし、観察角度1と観察角度2とにそれぞれオーバーラン分を考慮しても良い。つまり、観察角度1がRAO30CRA0であり、観察角度2がRAO35CRA0である場合には、RAO25CRA0からRAO40CRA0の間を往復運動しても良い。観察角度1と観察角度2との間のみを往復運動する場合には、画像収集に要する時間が短縮する。一方、オーバーラン分を考慮する場合には、画像撮像時に、急停止によりC型アーム13が振動する可能性が低減される。
C型アーム13の往復運動を開始すると、DSA画像生成機能331は、第1マスク画像データ及び第2マスク画像データを収集する(ステップS402)。そして、DSA画像生成機能331は、所定時間収集したと判定するまで(ステップS403否定)、ステップS402の収集を繰り返し実行する。ここで、収集時間(所定時間)は、目的部位の移動時間(体動の周期)と撮像間隔によって決定される。例えば、収集時間は、体動の周期に対して十分な枚数の画像データを収集すること、及び、様々な状態(位相)の画像データを収集することを考慮の上、決定される。具体的には、呼吸性移動(体動)であれば、5秒程度で体動による影響は元の状態(位相)に戻る。撮影間隔が0.5秒に1回だとすると、元の位置に戻ってくるまでに10枚の画像を収集できる。したがって、呼吸性移動の場合には、最低1周期分のマスク画像データを収集するのが良い。また、心拍の場合には、1秒で元の位置(位相)に戻る。この場合、撮影間隔(フレームレート)を0.5秒に設定すると、常に同じ位相の心臓を撮像することになる。そこで、回転速度を調整し(遅くし)、0.6秒間隔に設定する。これにより、約3秒間で5,6枚の異なる位相の画像を収集することができる。収集時間は、例えば、目的部位ごとに撮像プログラムに予め登録されていても良いし、その都度操作者により指定されても良い。
所定時間収集したと判定すると(ステップS403肯定)、DSA画像生成機能331は、造影剤の注入開始を通知する(ステップS404)。例えば、DSA画像生成機能331は、ディスプレイ40の画面上に注入開始タイミングを示すアイコンを表示することで、造影剤の注入開始を通知する。なお、これに限らず、注入開始の通知は、音声出力により行われても良いし、注入開始のタイミングを示すカウントダウンを表示させても良い。これにより、操作者は、注射器を用いて造影剤の注入を開始する。又は、造影剤の注入が注射器によって医師によって用手的に行われる場合であってもよい。
そして、DSA画像生成機能331は、第1コントラスト画像データ及び第2コントラスト画像データを収集する(ステップS405)。そして、DSA画像生成機能331は、撮像が終了するまで(ステップS406否定)、ステップS405の収集を繰り返し実行する。ここで、収集時間とフレームレートは、ステップS402の収集と同様であるので、説明を省略する。また、収集された第1コントラスト画像データ及び第2コントラスト画像データは、表示制御機能334により略リアルタイムでディスプレイ40に表示される。そして、例えば、操作者は、ディスプレイ40に表示されるコントラスト画像データを観察しながら、血管(動脈)に未だ十分な造影剤が残っており、かつ、目的部位が造影されたタイミングで撮像を終了させ、収集したコントラスト画像データを画像メモリ22に転送する。なお、コントラスト画像データの転送は、収集と同時に並行して行われても良い。
撮像が終了すると(ステップS406肯定)、DSA画像生成機能331は、複数時相の第1DSA画像データ及び複数時相の第2DSA画像データを生成する(ステップS407)。例えば、DSA画像生成機能331は、同じ観察角度1で収集された第1コントラスト画像データと第1マスク画像データとを用いて、第1DSA画像データを生成する。このとき、DSA画像生成機能331は、同様の組織位置を有する第1コントラスト画像データと第1マスク画像データとの組み合わせを用いて、第1DSA画像データを生成する。
具体的な方法の一例をここで紹介すると、先ず、複数時相の第1マスク画像データと複数時相の第1コントラスト画像データからそれぞれMinIP画像を作成する。第1マスク画像データのMinIP画像は、画素毎に複数時相の第1マスク画像データの中での最小値を求め、その最小値を画素値とした画像のことである。第1コントラスト画像データのMinIP画像も同様に計算すると、第1コントラスト画像データのMinIP画像と第1マスク画像データのMinIP画像とで差分画像データを生成する。この差分画像データは血管の動きを表した画像となる。この差分画像データに対し、閾値処理を行って血管の動く領域を抽出する。次に、複数時相の第1コントラスト画像データの各画像データに対し、最適な時相のマスク画像データを複数時相の第1マスク画像データの中から同定する。例えば特定の時相の第1コントラスト画像データと複数時相の第1マスク画像データから複数の差分画像データを生成する。この差分画像データの各画素値の二乗総和を、先に同定した血管の動く領域以外で算出する。算出した二乗総和がもっとも小さい第1マスク画像データが目的の時相の第1コントラスト画像データの最適な第1マスク画像データとなる。同様の処理を全ての時相の第1コントラスト画像データについて処理することにより、第1DSA画像データが生成される。
そして、DSA画像生成機能331は、複数時相の第1DSA画像データ及び複数時相の第2DSA画像データを画像メモリ22へ転送する(ステップS408)。なお、第1DSA画像データ及び第2DSA画像データの転送は、第1DSA画像データ及び第2DSA画像データの生成と同時に並行して行われても良い。言い換えると、血管画像生成部としてのDSA画像生成機能331は、第1観察方向を観察方向とする時系列的な複数の第1血管画像データを生成するとともに、第2観察方向を観察方向とする時系列的な複数の第2血管画像データを生成する。
ここで、DSA画像生成機能331により生成された各時相のDSA画像データは、体動による誤差は残存した状態である。例えば、図9に示すように、t1、t2、t3、t4、t5、t6、t7、t8の各時相のDSA画像データは動きによる動きアーチファクト(サブトラクションにより生じるアーチファクト)は低減されている。しかしながら、t1のDSA画像データと、t3のDSA画像データとの間では、血管の位置ずれは低減されておらず、各画像データに描出される血管形状が位置ずれを含んだ状態と言える。そこで、同一観察角度における複数時相間での位置ずれを低減させるために、次のワーピング処理を実行する。
図10、図11A、図11B、及び図11Cを用いて、第2の実施形態に係るワーピング処理について説明する。図10は、第2の実施形態に係るワーピング処理の処理手順を示すフローチャートである。図10には、図3に示したステップS103のワーピング処理に対応する処理手順を例示する。図11A、図11B、及び図11Cは、第2の実施形態に係るワーピング処理を説明するための図である。図11A、図11B、及び図11Cにおいて、横軸は時間に対応する。また、図11A、図11B、及び図11Cにおいて、白丸印は、その時点におけるDSA画像データを表し、黒丸印は、その時点における変形画像データを表す。
図10及び図11Aに示すように、ワーピング処理機能332は、複数時相の第1DSA画像データと、複数時相の第2DSA画像データとの間の類似度に基づいて、第1基準画像データ及び第2基準画像データを決定する(ステップS501)。これにより、ワーピング処理機能332は、観察角度1と観察角度2との間で血管形状が揃っているDSA画像データの組み合わせを抽出する。
具体的には、ワーピング処理機能332は、「t1」と「t2」との間のDSA画像データの類似度、「t1」と「t4」との間のDSA画像データの類似度、「t1」と「t6」との間のDSA画像データの類似度、「t1」と「t8」との間のDSA画像データの類似度をそれぞれ算出する。また、ワーピング処理機能332は、「t3」と「t2」との間のDSA画像データの類似度、「t3」と「t4」との間のDSA画像データの類似度、「t3」と「t6」との間のDSA画像データの類似度、「t3」と「t8」との間のDSA画像データの類似度をそれぞれ算出する。また、ワーピング処理機能332は、「t5」と「t2」との間のDSA画像データの類似度、「t5」と「t4」との間のDSA画像データの類似度、「t5」と「t6」との間のDSA画像データの類似度、「t5」と「t8」との間のDSA画像データの類似度をそれぞれ算出する。また、ワーピング処理機能332は、「t7」と「t2」との間のDSA画像データの類似度、「t7」と「t4」との間のDSA画像データの類似度、「t7」と「t6」との間のDSA画像データの類似度、「t7」と「t8」との間のDSA画像データの類似度をそれぞれ算出する。
そして、ワーピング処理機能332は、算出した類似度同士を比較する。ここで、例えば、「t3」と「t6」との間のDSA画像データの類似度が最も高い場合には、これらの画像データに描出される血管形状が揃っていると考えられる。この場合、ワーピング処理機能332は、t3の第1DSA画像データを第1基準画像データとして決定し、t6の第2DSA画像データを第2基準画像データとして決定する。
続いて、ワーピング処理機能332は、図11Bに示すように、各第1DSA画像データと、第1基準画像データとを用いて、移動関数をそれぞれ算出する(ステップS502A)。具体的には、ワーピング処理機能332は、「t1」と「t3」との間の移動関数と、「t3」と「t5」との間の移動関数と、「t3」と「t7」との間の移動関数とをそれぞれ算出する。
そして、ワーピング処理機能332は、図11Cに示すように、それぞれの移動関数を用いて、各第1DSA画像データの血管形状を第1基準画像データの血管形状に合わせるように変形させる(ステップS503A)。具体的には、ワーピング処理機能332は、「t1」と「t3」との間の移動関数を用いて、「t1」の第1DSA画像データを変形させることで、「t1」の変形画像データを生成する。また、ワーピング処理機能332は、「t3」と「t5」との間の移動関数を用いて、「t5」の第1DSA画像データを変形させることで、「t5」の変形画像データを生成する。また、ワーピング処理機能332は、「t3」と「t7」との間の移動関数を用いて、「t7」の第1DSA画像データを変形させることで、「t7」の変形画像データを生成する。
このように、ワーピング処理機能332は、複数時相の第1変形画像データを生成する。第1変形画像データとは、観察方向1に対応する変形画像データを表す。これにより、観察角度1におけるt1、t3、t5、及びt7の各DSA画像データに描出される血管形状が揃う。言い換えると、画像処理部としてのワーピング処理機能332は、複数の第1血管画像データのうちの少なくとも一つを基準として、複数の第1血管画像データのうちの他の画像データを変形することにより、第1観察方向を観察方向とする時系列的な複数の第3血管画像データを生成する。つまり、t3の第1DSA画像データ、及び、t1、t5、及びt7の第1変形画像データは、時系列的な複数の第3血管画像データの一例である。
そして、ワーピング処理機能332は、複数時相の第3血管画像データを画像メモリ22へ転送させる(ステップS504A)。なお、第3血管画像データの転送は、第3血管画像データの生成と同時に並行して行われても良い。
そして、ステップS502B~ステップS504Bにおいて、画像処理部としてのワーピング処理機能332は、複数の第2血管画像データのうちの少なくとも一つを基準として、複数の第2血管画像データのうちの他の画像データを変形することにより、第2観察方向を観察方向とする時系列的な複数の第4血管画像データを生成する。つまり、図11Cにおいて、t6の第2DSA画像データ、及び、t2、t4、及びt8の第2変形画像データは、時系列的な複数の第4血管画像データの一例である。なお、ステップS502B~ステップS504Bの各処理は、観察角度2に対応する画像データに関する処理である点を除き、ステップS502A~ステップS504Aの各処理と同様であるので、説明を省略する。
このように、ワーピング処理機能332は、t1~t8の各DSA画像データ(変形画像データ)に描出される血管形状を揃える。
そして、パラメトリック画像生成機能333は、t1~t8の各DSA画像データ(変形画像データ)を用いて、視点が異なる2つのパラメトリック画像データを生成する。例えば、パラメトリック画像生成機能333は、t1、t3、t5、t7の各時相の第3血管画像データ(第1変形画像データ)を用いて、第1パラメトリック画像データを生成する。また、パラメトリック画像生成機能333は、t2、t4、t6、t8の各時相の第4血管画像データ(第2変形画像データ)を用いて、第2パラメトリック画像データを生成する。言い換えると、カラー画像生成部としてのパラメトリック画像生成機能333は、複数の第3血管画像データに基づいて、第1観察方向を観察方向とする、造影剤の流れを反映した第1カラー画像データを生成する。また、パラメトリック画像生成機能333は、複数の第4血管画像データに基づいて、第2観察方向を観察方向とする、造影剤の流れを反映した第2カラー画像データを生成する。
このように、第2の実施形態に係るX線診断装置1は、それぞれの観察角度において異なる血管形状を擬似的に揃えるためのワーピング処理を実行する。これにより、第2の実施形態に係るX線診断装置1は、周期的な動きのある部位を目的部位とする場合においても、視点が異なる2つのパラメトリック画像データを1度の造影剤の注入により生成することができるので、立体視画像を容易に提供することができる。
なお、第2の実施形態では、周期性のある動きを例に挙げて説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、第2の実施形態に係るX線診断装置1は、周期性のない動きの影響を受ける部位であっても、十分な枚数のコントラスト画像データやマスク画像データを収集することにより、立体視画像を提供することができる。
(第2の実施形態の変形例)
また、第2の実施形態では、各第1DSA画像データ、各第2DSA画像データの血管形状を第1基準画像データ、第2基準画像データの血管形状にそれぞれ合わせるように変形させる。しかし、第2の実施形態に係るX線診断装置1は、各第1DSA画像データと各第2DSA画像データの血管形状を、第2基準画像データと第1基準画像データのそれぞれの血管形状に付加的に変形させても良い。この処理により、ワーピング処理は倍になり時間がかかることになるが、2つのパラメトリック画像データを生成する上では時間分解能を向上させることができる。
図12を用いて、第2の実施形態の変形例に係るX線診断装置1の処理について説明する。図12は、第2の実施形態の変形例に係るX線診断装置1の処理を説明するための図である。第2の実施形態の変形例に係るX線診断装置1は、図11A~図11Cにて説明した処理に加えて、図12にて説明する処理を実行する。
図12に示すように、X線診断装置1において、ワーピング処理機能332は、各第2DSA画像データと、第1基準画像データとを用いて、移動関数をそれぞれ算出する。具体的には、ワーピング処理機能332は、「t2」と「t3」との間の移動関数と、「t3」と「t4」との間の移動関数と、「t3」と「t6」との間の移動関数と、「t3」と「t8」との間の移動関数とをそれぞれ算出する。
そして、ワーピング処理機能332は、それぞれの移動関数を用いて、各第2DSA画像データの血管形状を第1基準画像データの血管形状に合わせるように変形させる。具体的には、ワーピング処理機能332は、「t2」と「t3」との間の移動関数を用いて、「t2」の第2DSA画像データを変形させることで、観察角度1に対応する「t2」の変形画像データを生成する。また、ワーピング処理機能332は、「t3」と「t4」との間の移動関数を用いて、「t4」の第2DSA画像データを変形させることで、観察角度1に対応する「t4」の変形画像データを生成する。また、ワーピング処理機能332は、「t3」と「t6」との間の移動関数を用いて、「t6」の第2DSA画像データを変形させることで、観察角度1に対応する「t6」の変形画像データを生成する。また、ワーピング処理機能332は、「t3」と「t8」との間の移動関数を用いて、「t8」の第2DSA画像データを変形させることで、観察角度1に対応する「t8」の変形画像データを生成する。これにより、ワーピング処理機能332は、t1、t2、t3、t4、t5、t6、t7、t8のそれぞれについて、観察角度1に対応する画像データ(DSA画像データ若しくは変形画像データ)を生成することができる。
同様に、ワーピング処理機能332は、観察角度2に対応するDSA画像データを生成する。つまり、ワーピング処理機能332は、各第1DSA画像データと、第2基準画像データとを用いて、移動関数をそれぞれ算出する。そして、ワーピング処理機能332は、それぞれの移動関数を用いて、各第1DSA画像データの血管形状を第2基準画像データの血管形状に合わせるように変形させる。これにより、ワーピング処理機能332は、t1、t2、t3、t4、t5、t6、t7、t8のそれぞれについて、観察角度2に対応する画像データを生成することができる。
すなわち、ワーピング処理機能332は、決定した第1基準画像データに描出される血管形状を基準とする変形処理を複数時相の第1差分画像データ及び第2差分画像データに対して実行することで、第1観察方向に対応する複数時相の第1変形画像データを生成する。また、ワーピング処理機能332は、決定した第2基準画像データに描出される血管形状を基準とする変形処理を複数時相の第1差分画像データ及び第2差分画像データに対して実行することで、第2観察方向に対応する複数時相の第2変形画像データを生成する。
このように、第2の実施形態の変形例に係るX線診断装置1は、時間分解能を向上させることができる。例えば、図11A~図11Cでは、それぞれの観察方向において、4時相分の画像データ(DSA画像データ若しくは変形画像データ)が生成される場合を説明した。第2の実施形態の変形例に係るX線診断装置1は、図11A~図11Cにて説明した処理に加えて、図12にて説明した処理を実行することで、それぞれの観察方向において、8時相分の画像データを生成する。このため、第2の実施形態の変形例に係るX線診断装置1は、時間分解能を向上させることができる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、C型アーム13の振動により観察角度1及び観察角度2のX線画像データを収集する場合を説明する。
第3の実施形態に係るX線診断装置1は、図1に例示したX線診断装置1と同様の構成を備え、加速度センサを更に備える点と、DSA画像生成機能331、ワーピング処理機能332、及びパラメトリック画像生成機能333の処理の一部が相違する。そこで、第3の実施形態では、第1の実施形態と相違する点を中心に説明することとし、第1の実施形態において説明した構成と同様の機能を有する点については、説明を省略する。
すなわち、DSA画像生成機能331は、X線管球11とX線検出器12とを支持するC型アーム13の振動により第1観察方向と第2観察方向とが繰り返し切り替わる間に収集された複数時相の第1造影画像データ及び複数時相の第2造影画像データを用いて、複数時相の第1差分画像データ及び複数時相の第2差分画像データを生成する。
そして、ワーピング処理機能332は、複数時相の第1差分画像データのうち基準となる第1基準画像データと、複数時相の第2差分画像データのうち基準となる第2基準画像データとを基準画像データとして決定する。そして、ワーピング処理機能332は、決定した第1基準画像データに描出される血管形状を基準とする変形処理を複数時相の第1差分画像データに対して実行することで、第1観察方向に対応する複数時相の第3血管画像データを生成する。また、ワーピング処理機能332は、決定した第4結果画像データに描出される血管形状を基準とする変形処理を複数時相の第2差分画像データに対して実行することで、第2観察方向に対応する複数時相の第2変形画像データを生成する。
そして、パラメトリック画像生成機能333は、複数時相の第1変形画像データを用いて、第1カラー画像データを生成し、複数時相の第2変形画像データを用いて、第2カラー画像データを生成する。
図13A、図13B、図13C、及び図13Dを用いて、第3の実施形態に係るX線診断装置1の処理について説明する。図13A、図13B、図13C、及び図13Dは、第3の実施形態に係るX線診断装置1の処理を説明するための図である。図13A、図13B、図13C、及び図13Dにおいて、横軸は時間に対応し、白丸印は、その時点におけるDSA画像データを表し、黒丸印は、その時点における変形画像データを表す。
図13Aに示すように、DSA画像生成機能331は、C型アーム13の振動により観察角度1及び観察角度2のX線画像データを交互に収集する。例えば、DSA画像生成機能331は、C型アーム13の回転にブレーキをかけたまま回転用のモータを駆動させることで、C型アーム13を振動させる。若しくは、DSA画像生成機能331は、C型アーム13を高速に回転させる間に急停止を行うことにより、C型アーム13を振動させる。
振動が発生すると、C型アーム13に備えられた加速度センサは、振動の山と谷を検出する。例えば、加速度センサは、C型アーム13の加速度が0(若しくは極小)となる位置を山及び谷として同定する。そして、DSA画像生成機能331は、同定した山及び谷において、マスク画像データを収集する。言い換えると、撮像制御回路27は、撮像機構による観察方向を、第1観察方向と第2観察方向との間で繰り返し変更させながら撮像を行うことにより、時系列的な複数の第1造影画像データと時系列的な複数の第2造影画像データを撮像する。具体的には、撮像制御回路27は、撮像機構を振動させることにより、撮像機構による観察方向を、第1観察方向と前記第2観察方向との間で繰り返し変更させながら撮像を行う。
なお、振動の山と谷を検出する方法は、加速度センサに限定されるものではない。例えば、角度センサや位置センサによって振動の山と谷を検出してもよい。例えば、角度センサや位置センサは、例えば、0.1秒間隔などの短い間隔で変化量を計測し、計測した変化量が一定の値以下になった時にほぼ静止(振動の谷と山)と判定する。マスク画像データの収集が完了すると、DSA画像生成機能331は、造影剤の注入開始を通知する。これにより、操作者は、造影剤の注入を開始する。そして、DSA画像生成機能331は、C型アーム13の振動が続いている状態で、コントラスト画像データを収集する。そして、操作者は、ディスプレイ40に表示されるコントラスト画像データを観察しながら、血管(動脈)に未だ十分な造影剤が残っており、かつ、目的部位が造影されたタイミングで撮像を終了させ、収集したコントラスト画像データを画像メモリ22に転送する。なお、コントラスト画像データの転送は、収集と同時に並行して行われても良い。
撮像が終了すると、DSA画像生成機能331は、同じ観察角度1で収集された第1コントラスト画像データと第1マスク画像データとを用いて、第1DSA画像データを生成する。このとき、DSA画像生成機能331は、振動による誤差が少ない第1コントラスト画像データと第1マスク画像データとの組み合わせを用いて、第1DSA画像データを生成する。振動による誤差が少ない第1コントラスト画像データと第1マスク画像データとの組み合わせ同定方法は第2の実施形態で説明しているので、ここでは説明を割愛する。また第1コントラスト画像データとマッチする第1マスク画像データを同定した後、さらにアーチファクトを低減する目的で、マッチする第1マスク画像データを第1コントラスト画像データと比較し、移動関数(移動ベクトル)を算出した上でマッチする第1マスク画像データを変形した上で第1DSA画像データを生成しても良い。これによりアーチファクトの影響の少ないパラメトリック画像が作成できるため、観察が容易になると言うメリットがある。第2DSA画像データの生成も同様に行う。言い換えると、血管画像生成部としてのDSA画像生成機能331は、複数の第1造影画像データに基づいて複数の第1血管画像データを生成し、かつ、複数の第2造影画像データに基づいて複数の第2血管画像データを生成する。DSA画像生成機能331は、複数の第1造影画像データのそれぞれから、第1造影画像データに対応する非造影画像データを減算して複数の第1血管画像データを生成し、複数の第2造影画像データのそれぞれから、第2造影画像データに対応する非造影画像データを減算して複数の第2血管画像データを生成する。
図13Aに示すように、DSA画像生成機能331は、t1、t3、t5、t7の各時相において、第1DSA画像データを収集するとともに、t2、t4、t6、t8の各時相において、第2DSA画像データを収集する。ここで、これらのDSA画像データは、C型アーム13が振動している間に収集されたものであるので、振動が減弱するなどの影響により、観察角度の僅かな変化が血管形状の変形を生む。言い換えると、血管画像生成部としてのDSA画像生成機能331は、第2血管画像データを時系列的に複数生成する。
そして、図13Bに示すように、DSA画像生成機能331は、第1基準画像データ及び第2基準画像データを決定する。例えば、操作者は、第1DSA画像データのうち動脈が最も適切に描出されているフレームと、第2DSA画像データのうち動脈が最も適切に描出されているフレームとを選択する。DSA画像生成機能331は、操作者により選択されたフレームの画像データを、第1基準画像データ及び第2基準画像データとして決定する。なお、第1基準画像データ及び第2基準画像データは、画像データのフーリエ変換により高周波成分の強度をチェックすることによりぼけが少ないと推定される画像データが自動的に決定されても良い。
そして、図13Cに示すように、ワーピング処理機能332は、各第1DSA画像データと、第1基準画像データとを用いて、移動関数をそれぞれ算出する。具体的には、ワーピング処理機能332は、「t1」と「t5」との間の移動関数と、「t3」と「t5」との間の移動関数と、「t5」と「t7」との間の移動関数とをそれぞれ算出する。
そして、図13Dに示すように、ワーピング処理機能332は、それぞれの移動関数を用いて、各第1DSA画像データの血管形状を第1基準画像データの血管形状に合わせるように変形させる。具体的には、ワーピング処理機能332は、「t1」と「t5」との間の移動関数を用いて、「t1」の第1DSA画像データを変形させることで、「t1」の変形画像データを生成する。また、ワーピング処理機能332は、「t3」と「t5」との間の移動関数を用いて、「t3」の第1DSA画像データを変形させることで、「t3」の変形画像データを生成する。また、ワーピング処理機能332は、「t5」と「t7」との間の移動関数を用いて、「t7」の第1DSA画像データを変形させることで、「t7」の変形画像データを生成する。
このように、ワーピング処理機能332は、複数時相の第1変形画像データを生成する。これにより、観察角度1におけるt1、t3、t5、及びt7の各DSA画像データに描出される観察角度が揃う。なお、第2変形画像データについても第1変形画像データと同様の処理により生成する。言い換えると、画像処理部としてのワーピング処理機能332は、複数の第1血管画像データに変形処理を施すことにより第3血管画像データを生成し、複数の第2血管画像データに変形処理を施すことにより第4血管画像データを生成する。
そして、ワーピング処理機能332は、複数時相の第1変形画像データ及び複数時相の第2変形画像データを画像メモリ22へ転送させる。なお、変形画像データの転送は、変形画像データの生成と同時に並行して行われても良い。
そして、パラメトリック画像生成機能333は、t1、t3、t5、t7の各時相の第3血管画像データ(第1変形画像データ)を用いて、第1パラメトリック画像データを生成する。また、パラメトリック画像生成機能333は、t2、t4、t6、t8の各時相の第4血管画像データ(第2変形画像データ)を用いて、第2パラメトリック画像データを生成する。
(第3の実施形態の変形例)
また、第3の実施形態では、第2の実施形態の変形例と同様に、各第1DSA画像データと第2DSA画像データの血管形状を、第1基準画像データと第2基準画像データの血管形状に変形させても良い。この処理により、ワーピング処理は倍になり時間がかかることになるが、2つのパラメトリック画像データを生成する上では時間分解能を向上させることができる。
図14を用いて、第3の実施形態の変形例に係るX線診断装置1の処理について説明する。図14は、第3の実施形態の変形例に係るX線診断装置1の処理を説明するための図である。第3の実施形態の変形例に係るX線診断装置1は、図13A~図13Dにて説明した処理に加えて、図14にて説明する処理を実行する。
図14に示すように、X線診断装置1において、ワーピング処理機能332は、各第2DSA画像データと、第1基準画像データとを用いて、移動関数をそれぞれ算出する。具体的には、ワーピング処理機能332は、「t2」と「t5」との間の移動関数と、「t4」と「t5」との間の移動関数と、「t5」と「t6」との間の移動関数と、「t5」と「t8」との間の移動関数とをそれぞれ算出する。
そして、ワーピング処理機能332は、それぞれの移動関数を用いて、各第2DSA画像データの血管形状を第1基準画像データの血管形状に合わせるように変形させる。具体的には、ワーピング処理機能332は、「t2」と「t5」との間の移動関数を用いて、「t2」の第2DSA画像データを変形させることで、観察角度1に対応する「t2」の変形画像データを生成する。また、ワーピング処理機能332は、「t4」と「t5」との間の移動関数を用いて、「t4」の第2DSA画像データを変形させることで、観察角度1に対応する「t4」の変形画像データを生成する。また、ワーピング処理機能332は、「t5」と「t6」との間の移動関数を用いて、「t6」の第2DSA画像データを変形させることで、観察角度1に対応する「t6」の変形画像データを生成する。また、ワーピング処理機能332は、「t5」と「t8」との間の移動関数を用いて、「t8」の第2DSA画像データを変形させることで、観察角度1に対応する「t8」の変形画像データを生成する。これにより、ワーピング処理機能332は、t1、t2、t3、t4、t5、t6、t7、t8のそれぞれについて、観察角度1に対応する第3血管画像データ(DSA画像データ若しくは変形画像データ)を生成することができる。なお、観察角度1に対応する「t2」、「t4」、「t6」、及び「t8」の変形画像データは、第3血管画像データの一例である。つまり、画像処理部としてのワーピング処理機能332は、複数の第1血管画像データのうちの少なくとも一つにおける血管形状と複数の第2血管画像データのうちの少なくとも一つにおける血管形状とに基づいて、複数の第1血管画像データのうちの複数を変形させることにより、第1観察方向を観察方向とし、かつ、複数の第1血管画像データのそれぞれの時相に対応する複数の第4血管画像データを生成する。
同様に、ワーピング処理機能332は、観察角度2に対応する第4血管画像データを生成する。つまり、ワーピング処理機能332は、各第1DSA画像データと第2基準画像データとの間の移動関数と、各第2DSA画像データと第2基準画像データとの間の移動関数とをそれぞれ算出する。そして、ワーピング処理機能332は、それぞれの移動関数を用いて、各第1DSA画像データと第2DSA画像データの血管形状を第2基準画像データと第1基準画像データの血管形状に合わせるようにそれぞれ変形させる。これにより、ワーピング処理機能332は、t1、t2、t3、t4、t5、t6、t7、t8のそれぞれについて、観察角度2に対応する画像データを生成することができる。なお、観察角度2に対応する「t1」、「t3」、「t5」、及び「t7」の変形画像データは、第3血管画像データの一例である。つまり、画像処理部としてのワーピング処理機能332は、複数の第1血管画像データのうちの少なくとも一つにおける血管形状と複数の第2血管画像データのうちの少なくとも一つにおける血管形状とに基づいて、複数の第1血管画像データのうちの複数を変形させることにより、第2観察方向を観察方向とし、かつ、複数の第1血管画像データのそれぞれの時相に対応する複数の第3血管画像データを生成する。
すなわち、ワーピング処理機能332は、決定した第1基準画像データに描出される血管形状を基準とする変形処理を複数時相の第1差分画像データ及び第2差分画像データに対して実行することで、第1観察方向に対応する複数時相の第1変形画像データを生成する。また、ワーピング処理機能332は、決定した第2基準画像データに描出される血管形状を基準とする変形処理を複数時相の第1差分画像データ及び第2差分画像データに対して実行することで、第2観察方向に対応する複数時相の第2変形画像データを生成する。
このように、第3の実施形態の変形例に係るX線診断装置1は、時間分解能を向上させることができる。例えば、図11A~図11Cでは、それぞれの観察方向において、4時相分の画像データが生成される場合を説明した。第2の実施形態の変形例に係るX線診断装置1は、図11A~図11Cにて説明した処理に加えて、図12にて説明した処理を実行することで、それぞれの観察方向において、8時相分の画像データを生成する。このため、第2の実施形態の変形例に係るX線診断装置1は、時間分解能を向上させることができる。
つまり、カラー画像生成部としてのパラメトリック画像生成機能333は、複数の第3血管画像データのうちの複数に基づいて第1カラー画像データを生成する。また、パラメトリック画像生成機能333は、複数の第4血管画像データのうちの複数に基づいて第2カラー画像データを生成する。
さらに、第3の実施形態では、撮影時間が十分短く、振動の減弱が起こる前に撮影が終了する場合、ワーピング処理を行わないでも良い。これにより処理時間を大幅に短縮できるメリットがある。
このように、第3の実施形態に係るX線診断装置1は、C型アーム13の振動により観察角度1及び観察角度2のX線画像データを収集する場合においても、立体視画像を容易に提供することができる。
(その他の実施形態)
上述した実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてもよい。
(血管画像データ)
上述した実施形態では、DSA画像データを利用してパラメトリックイメージングが行われる場合を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、上述した実施形態は、血管画像データを利用してパラメトリックイメージングが行われる場合にも適用可能である。なお、DSA画像データは、血管画像データの一例である。
例えば、処理回路33は、DSA画像生成機能331に代えて血管画像生成機能を実行する。血管画像生成機能は、以下の2つの方法のいずれかにより、血管画像データを生成する。なお、血管画像生成機能は、血管画像生成部の一例である。
第1の方法は、機械学習により血管画像データを生成する方法である。機械学習では、コントラスト画像データを入力とし、DSA画像データを出力とする学習用データを用いた教師あり学習により、入力から出力を得るための学習済みモデルが生成される。この学習済みモデルは、コントラスト画像データが入力されると、コントラスト画像データから血管(造影剤)以外の背景成分(骨組織、軟組織等)が除去された血管画像データを生成する。第1の方法が利用される場合、血管画像生成機能は、上記の学習済みモデルを備える。つまり、血管画像生成機能は、観察角度1に対応する第1コントラスト画像データを学習済みモデルに入力することで、観察角度1に対応する第1血管画像データを生成する。また、血管画像生成機能は、観察角度2に対応する第2コントラスト画像データを学習済みモデルに入力することで、観察角度2に対応する第2血管画像データを生成する。生成された第1血管画像データ及び第2血管画像データは、上述した実施形態の第1DSA画像データ及び第2DSA画像データに代えて利用可能である。
第2の方法は、コントラスト画像データから高周波成分を抽出することで血管画像データを生成する方法である。この場合、血管画像生成機能は、コントラスト画像データに対してローパスフィルタを適用することで(フィルタ処理)、コントラスト画像データの低周波成分(軟組織等)が抽出された低周波成分画像データを生成する。そして、血管画像生成機能は、元のコントラスト画像データから低周波成分画像データを減算することで(減算処理)、コントラスト画像データの高周波成分(造影剤成分)が抽出された高周波成分画像データを生成する。高周波成分画像データは、血管画像データとして利用可能である。つまり、血管画像生成機能は、観察角度1に対応する第1コントラスト画像データに対して上記のフィルタ処理及び減算処理を実行することで、観察角度1に対応する第1血管画像データを生成する。また、血管画像生成機能は、観察角度2に対応する第2コントラスト画像データに対して上記のフィルタ処理及び減算処理を実行することで、観察角度2に対応する第2血管画像データを生成する。生成された第1血管画像データ及び第2血管画像データは、上述した実施形態の第1DSA画像データ及び第2DSA画像データに代えて利用可能である。
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
また、上記の実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行なうこともでき、或いは、手動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行なうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
また、上記の実施形態で説明した画像処理方法は、予め用意された画像処理プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この画像処理プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この画像処理プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
また、上記の実施形態において、略リアルタイムとは、処理対象となる各データが発生するたびに、即時に各処理を行うことを指す。つまり、リアルタイムとは、被検体が撮像される時刻と画像が表示される時刻とが完全に一致する場合に限らず、画像生成処理に要する時間によって画像がやや遅れて表示される場合を含む。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、パラメトリックイメージングの立体視画像を容易に提供することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。