以下、図面を参照して、本発明による基板処理装置の実施形態を説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。なお、本願明細書では、発明の理解を容易にするため、互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を記載することがある。典型的には、X方向およびY方向は水平方向に平行であり、Z方向は鉛直方向に平行である。
図1を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。図1は、本実施形態の基板処理装置100の模式図である。
基板処理装置100は、基板Wを処理する。基板処理装置100は、基板Wに対して、エッチング、表面処理、特性付与、処理膜形成、膜の少なくとも一部の除去および洗浄のうちの少なくとも1つを行うように基板Wを処理する。
基板Wは、薄い板状である。典型的には、基板Wは、薄い略円板状である。基板Wは、例えば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、電界放出ディスプレイ(Field Emission Display:FED)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板および太陽電池用基板などを含む。
基板処理装置100は、処理液で基板Wを処理する。ここでは、基板処理装置100は、基板Wを処理液で1枚ごとに処理する。基板処理装置100は、チャンバー110と、基板保持部120と、ファンフィルタユニット130と、遮蔽部材140と、処理液供給部150と、ガス供給部160とを備える。
チャンバー110は、基板Wを収容する。チャンバー110は、内部空間を有する略箱形状である。ここでは、基板処理装置100は基板Wを1枚ずつ処理する枚葉型であり、チャンバー110には基板Wが1枚ずつ収容される。基板Wは、チャンバー110内に収容され、チャンバー110内で処理される。チャンバー110には、基板保持部120、遮蔽部材140、処理液供給部150およびガス供給部160のそれぞれの少なくとも一部が収容される。また、チャンバー110には、ファンフィルタユニット130の少なくとも一部が収容されてもよい。
チャンバー110には、開口部110aが設けられており、開口部110aには開口部110aを開閉するシャッター110sが設けられる。シャッター110sが開口部110aを開けた状態で、基板Wは、チャンバー110の外部から内部、または、内部から外部に搬送される。チャンバー110の開口部110aは、基板Wの搬送の出入口として機能する。
また、チャンバー110には、排気口が設けられる。ここでは、排気口は、チャンバー110の側部の下方に設けられる。なお、排気口は、チャンバー110の底部に設けられてもよい。
チャンバー110は、筐体112と、突出部114とを含む。筐体112は、内部空間を有する箱型形状である。例えば、筐体112の外形は、直方体形状である。筐体112の厚さはほぼ一定である。
筐体112は、上部112aと、側部112bと、底部112cとを含む。上部112aは、側部112bと連結しており、底部112cは、側部112bと連結している。側部112bは、基板保持部120の四方を囲む。上部112aは、基板保持部120の上方に位置する。基板保持部120は、底部112cの上に設置されてもよい。
チャンバー110の開口部110aは、筐体112の側部112bに設けられる。また、チャンバー110の排気口は、筐体112の側部112bの下方または底部112cに設けられる。
突出部114は、筐体112の側部112bから内側に向けて突出する。突出部114は、筐体112に取り付けられてもよい。あるいは、筐体112および突出部114は一体に成形されてもよい。
ここでは、突出部114は、筐体112の上部112aおよび側部112bのそれぞれと当接する。突出部114は、筐体112の側部112bの上方に取り付けられる。突出部114の上面は、筐体112の上部112aと当接する。突出部114の外周面は、筐体112の側部112bの上部と当接する。突出部114の内周面は突出部114の開口を規定する。
突出部114は、円筒柱状であってもよく、筒状直方体であってもよい。また、突出部114の内周面によって規定される開口の形状は、円柱状であってもよく、直方体状であってもよい。
基板保持部120は、基板Wを保持する。基板保持部120は、基板Wの上面Waを上方に向け、基板Wの裏面(下面)Wbを鉛直下方に向くように基板Wを水平に保持する。また、基板保持部120は、基板Wを保持した状態で基板Wを回転させる。
例えば、基板保持部120は、基板Wの端部を挟持する挟持式であってもよい。あるいは、基板保持部120は、基板Wを裏面Wbから保持する任意の機構を有してもよい。例えば、基板保持部120は、バキューム式であってもよい。この場合、基板保持部120は、非デバイス形成面である基板Wの裏面Wbの中央部を上面に吸着させることにより基板Wを水平に保持する。あるいは、基板保持部120は、複数のチャックピンを基板Wの周端面に接触させる挟持式とバキューム式とを組み合わせてもよい。
例えば、基板保持部120は、スピンベース121と、チャック部材122と、シャフト123と、電動モーター124とを含む。チャック部材122は、スピンベース121に設けられる。チャック部材122は、基板Wをチャックする。典型的には、スピンベース121には、複数のチャック部材122が設けられる。
シャフト123は、中空軸である。シャフト123は、回転軸AXに沿って鉛直方向に延びる。シャフト123の上端には、スピンベース121が結合されている。基板Wの裏面は、スピンベース121に接触し、基板Wは、スピンベース121の上方に載置される。
スピンベース121は、円板状であり、基板Wを水平に支持する。シャフト123は、スピンベース121の中央部から下方に延びる。電動モーター124は、シャフト123に回転力を与える。電動モーター124は、シャフト123を回転方向Rに回転させることにより、回転軸AXを中心に基板Wおよびスピンベース121を回転させる。ここでは、回転方向Rは、反時計回りである。
ファンフィルタユニット130は、チャンバー110の上部に配置される。チャンバー110の上部には開口が設けられる。典型的には、筐体112の上部112aには開口が設けられる。ファンフィルタユニット130は、チャンバー110の開口から外部の気体を吸い込み、気体を濾過してチャンバー110の内部に吹き出す。例えば、ファンフィルタユニット130は、チャンバー110の開口から外部の空気を吸い込み、空気を濾過してチャンバー110の内部に吹き出す。ファンフィルタユニット130による気体の流量は、例えば、1m3/min以上3m3/min以下である。
ファンフィルタユニット130がチャンバー110内に気体を吹き出すことにより、チャンバー110内に浮遊物が浮遊することを抑制できる。ファンフィルタユニット130からチャンバー110に吹き出された気体は、チャンバー110の内部を通過して、排気口に向かって流れる。本明細書において、ファンフィルタユニット130をFFU130と記載することがある。
FFU130は、ファンと、フィルタとを有する。FFU130において、ファンおよびフィルタはFFU130の筐体内に配置される。FFU130のフィルタは、ファンによって気体を吹き出す側に配置されている。フィルタは、通過する気体から浮遊物を濾過する。
FFU130は、筐体112の上部112aに設置され、FFU130の吹出口は、筐体112の底部112cに向いている。このため、FFU130から吹き出された気体は、鉛直下方に向かって流れる。したがって、チャンバー110には、FFU130によってダウンフローが形成される。
ここでは、FFU130は、突出部114の開口と整合するように配置されている。このため、FFU130の水平方向に沿った断面の面積は、突出部114の開口面積とほぼ等しい。したがって、FFU130から供給される気体は、突出部114の開口に沿って鉛直下方に進行する。
図1に示した基板処理装置100では、FFU130は、筐体112の内側の上部に配置されており、ファンフィルタユニット130は、突出部114の内周面に囲まれた領域に配置される。ただし、FFU130は、筐体112の外側の上部に配置されてもよい。
遮蔽部材140は、基板保持部120の上方に位置する。遮蔽部材140は、基板Wを遮蔽可能である。ここでは、遮蔽部材140の少なくとも一部の水平方向に沿った外径は、突出部114の内周面の内径とほぼ等しい。
遮蔽部材140は、近接位置と退避位置との間で、基板Wに対して移動する。遮蔽部材140が近接位置に位置する場合、遮蔽部材140は、下降して基板Wの上面に所定間隔をあけて近接する。近接位置では、遮蔽部材140は、基板Wの表面を覆って、基板Wの上方を遮蔽する。遮蔽部材140が退避位置に位置する場合は、遮蔽部材140は近接位置よりも鉛直上方に離れた場所に位置する。遮蔽部材140が近接位置から退避位置に変化するとき、遮蔽部材140は上昇して基板Wから離間する。
遮蔽部材140は、遮蔽板142と、支軸144と、ノズル146とを含む。支軸144は、シャフト123の回転軸AXの線上に位置する。遮蔽板142は、支軸144から水平方向に延びる。ここでは、遮蔽板142は、水平方向に延びた形状を有している。例えば、遮蔽板142は、略円板状である。
遮蔽板142の外径は、例えば、基板Wの外径と略同一である。ただし、遮蔽板142の外径は、基板Wの外径よりも若干小さくてもよいし、若干大きくてもよい。また、ここでは、遮蔽板142の水平方向に沿った外径は、突出部114の内周面の内径とほぼ等しい。ノズル146は、遮蔽板142および支軸144にわたって鉛直方向に延びた貫通孔の一部として設けられる。
基板保持部120が回転する場合、遮蔽部材140の遮蔽板142も回転してもよい。この場合、遮蔽板142は、スピンベース121と連結して、電動モーター124の回転に伴って回転することが好ましい。ただし、遮蔽板142が回転する場合でも、遮蔽部材140の支軸144は、遮蔽板142とは異なり回転しないことが好ましい。
基板処理装置100は、遮蔽部材140を移動させる移動部148をさらに備える。ここでは、移動部148は、突出部114に取り付けられる。例えば、移動部148は、ボールねじ機構と、ボールねじ機構に駆動力を与える昇降モーターとを含む。昇降モーターは、例えば、サーボモーターである。移動部148は、近接位置と退避位置との間で、基板Wに対して遮蔽部材140を上昇または下降させる。
処理液供給部150は、処理液ノズル152と、供給管154と、バルブ156とを含む。処理液ノズル152は、基板Wの上面Waに向いており、基板Wの上面Waに向けて処理液を吐出する。供給管154は、ノズル152に結合される。ノズル152は、供給管154の先端に設けられる。供給管154には、供給源から処理液が供給される。バルブ156は、供給管154に設けられる。バルブ156は、供給管154内の流路を開閉する。本明細書において、処理液ノズル152を単にノズル152と記載することがある。
供給管154は、チャンバー110の内部と外部とを連絡する。供給管154は、突出部114および筐体112の側部112bを介して外部と連絡してもよい。あるいは、供給管154は、筐体112の上部112aから外部と連絡してもよい。供給管154の少なくとも一部は、伸縮可能である。供給管154は、鉛直方向に沿って伸縮可能であることが好ましい。
ガス供給部160は、不活性ガスをチャンバー110に供給する。例えば、ガス供給部160は、不活性ガスとして窒素ガスをチャンバー110に供給する。あるいは、ガス供給部160は、不活性ガスとして希ガスをチャンバー110に供給してもよい。
ガス供給部160がガスをチャンバー110に供給することにより、チャンバー110内の酸素濃度を低減できる。また、ガス供給部160が不活性ガスをチャンバー110に供給することにより、チャンバー110内に不活性ガスが多少残存したしても、チャンバー110内での処理に用いられる薬液が残存ガスと反応することを抑制できる。
なお、本実施形態の基板処理装置100では、チャンバー110内の酸素濃度は測定しない。基板処理装置100では、基板Wを処理液で処理することから、酸素濃度計が処理液で汚染されるおそれがあるためである。ただし、処理液の種類によっては、チャンバー110内に酸素濃度計を設置し、チャンバー110内の酸素濃度を測定してもよい。この場合、チャンバー110内の基板Wの周囲の酸素濃度を測定し、測定結果に基づいてプロセスを制御することが好ましい。
また、ガス供給部160から供給される不活性ガス内の酸素含有量は、FFU130から供給される気体内の酸素含有量も小さい。例えば、ガス供給部160から供給される不活性ガス内の酸素含有量は1%以下であり、FFU130から供給されるガス内の酸素含有量は約20%程度である。
ガス供給部160は、ガスノズル162と、供給管164と、バルブ166とを含む。ガスノズル162は、基板Wの上面Waに向いており、基板Wの上面Waに向けて不活性ガスを吐出する。供給管164は、ノズル162に結合される。ノズル162は、供給管164の先端に設けられる。供給管164には、供給源から不活性ガスが供給される。典型的には、不活性ガスは、窒素ガスを含む。バルブ166は、供給管164に設けられる。バルブ166は、供給管164内の流路を開閉する。本明細書において、ガスノズル162を単にノズル162と記載することがある。
供給管164は、チャンバー110の内部と外部とを連絡する。供給管164は、突出部114および筐体112の側部112bを介して外部と連絡してもよい。あるいは、供給管164は、筐体112の上部112aから外部と連絡してもよい。供給管164の少なくとも一部は、伸縮可能である。供給管164は、鉛直方向に沿って伸縮可能であることが好ましい。
ここでは、遮蔽部材140のノズル146として、処理液供給部150のノズル152およびガス供給部160のノズル162が設けられる。このため、遮蔽部材140は、ノズル146から処理液を吐出する。また、遮蔽部材140は、ノズル162から不活性ガスを吐出する。このため、遮蔽部材140は、チャンバー110内に処理液および/または不活性ガスを供給できる。
基板処理装置100は、カップ180をさらに備える。カップ180は、基板Wから飛散した液体を回収する。カップ180は、基板Wを処理する際に、基板Wの側方にまで鉛直上方に上昇する。また、カップ180は、基板Wを処理した後に、基板Wの側方から鉛直下方に下降してもよい。
基板処理装置100は、制御装置101をさらに備える。制御装置101は、基板処理装置100の各種動作を制御する。
制御装置101は、制御部102と、記憶部104とをさらに備える。制御部102は、プロセッサを含む。プロセッサは、例えば、中央処理演算機(Central Processing Unit:CPU)を有する。または、プロセッサは汎用演算機を有してもよい。例えば、制御部102は、基板保持部120、FFU130、移動部148、処理液供給部150、ガス供給部160および/またはカップ180を制御する。一例では、制御部102は、電動モーター124、FFU130のファン、移動部148、バルブ156、バルブ166および/またはカップ180を制御する。
記憶部104は、データおよびコンピュータプログラムを記憶する。記憶部104は、主記憶装置と、補助記憶装置とを含む。主記憶装置は、例えば、半導体メモリである。補助記憶装置は、例えば、半導体メモリおよび/またはハードディスクドライブである。記憶部104はリムーバブルメディアを含んでいてもよい。制御部102は、記憶部104の記憶しているコンピュータプログラムを実行して、基板処理動作を実行する。
なお、記憶部104には、予め手順の定められたコンピュータプログラムが記憶されている。基板処理装置100は、コンピュータプログラムに定められた手順に従って動作する。
なお、図1に示した基板処理装置100では、処理液は、ノズル152の搭載された遮蔽部材140から供給されたが、本実施形態はこれに限定されない。処理液は、遮蔽部材140とは別に配置された処理液供給部から供給されてもよい。処理液供給部は、遮蔽部材140とは独立して動作する。例えば、処理液供給部は、筐体112の底部112cに設置されてもよい。あるいは、処理液供給部は、突出部114に設置されてもよい。
次に、図2を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。図2(a)は、遮蔽部材140が近接位置に位置する場合の基板処理装置100の模式図であり、図2(b)は、遮蔽部材140が退避位置に位置する場合の基板処理装置100の模式図である。
図2(a)に示すように、遮蔽部材140が近接位置に位置する場合、遮蔽部材140は、基板保持部120に保持された基板Wと近接して対向する。基板Wは、遮蔽部材140が近接位置に位置した状態で処理液Lによって処理される。基板Wを処理液Lで処理する場合、遮蔽部材140は、基板Wに処理液Lを供給する。
また、基板Wを処理液Lで処理する場合、または、基板Wを乾燥させる場合、遮蔽部材140は、基板Wに不活性ガスGを供給する。このとき、遮蔽部材140は、下面から不活性ガスGを供給する。
FFU130は、チャンバー110内に気体を供給する。FFU130から下方に供給された気体Fは、遮蔽部材140と衝突することで方向を変え、基板Wに衝突することなくチャンバー110の下方から排気される。なお、遮蔽部材140から下方に供給された不活性ガスGは基板Wに向けて進行して遮蔽部材140と基板Wとの間で低酸素雰囲気を形成する。
ガス供給部160からのガスの流量は、FFU130からの気体の流量よりも小さい。例えば、ガス供給部160によるガスの流量は、100L/min以上200L/min以下であり、FFU130からの気体の流量は、1m3/min以上3m3/min以下である。
図2(b)に示すように、遮蔽部材140が退避位置に位置する場合、遮蔽部材140は、突出部114に隣接する。遮蔽部材140の少なくとも一部は、突出部114と対向する。ここでは、遮蔽部材140は、突出部114の側方に隣接する。
なお、遮蔽部材140と突出部114との隙間は小さいことが好ましい。例えば、遮蔽部材140と突出部114との隙間は0.1mm以上10mm以下である。あるいは、遮蔽部材140は突出部114と当接してもよい。
遮蔽部材140が退避位置に位置する場合、基板処理装置100は、FFU130を含む上方領域110Uと、基板保持部120を含む下方領域110Dとに分離される。上方領域110Uと下方領域110Dとは、遮蔽部材140によって分断される。上方領域110Uは、FFU130と突出部114の内周面と遮蔽部材140とによって囲まれる。上方領域110Uには、FFU130が位置している。
下方領域110Dは、遮蔽部材140と突出部114の下面と筐体112の側部112bおよび底部112cによって囲まれる。下方領域110Dには、基板保持部120およびカップ180が位置している。
遮蔽部材140は、突出部114に隣接しているため、上方領域110UのFFU130から供給される気体は、突出部114と遮蔽部材140とによって遮蔽される。このため、FFU130からの気体は、上方領域110U内にとどまり、下方領域110Dにはほとんど達しない。一方、遮蔽部材140は、下面から不活性ガスGを供給する。このため、下方領域110Dには、遮蔽部材140から不活性ガスGが供給される。下方領域110Dは、チャンバー110のうちの上方領域110Uを除いた領域であり、下方領域110Dの容積は、チャンバー110の容積よりも小さいため、遮蔽部材140によって供給される不活性ガスの流量が比較的少量であっても、下方領域110Dの酸素濃度は効率的に低減できる。
遮蔽部材140が退避位置に位置する場合のガス供給部160(遮蔽部材140)からの不活性ガスの流量は、遮蔽部材140が近接位置に位置する場合のガス供給部160(遮蔽部材140)からの不活性ガスの流量よりも増加してもよい。例えば、遮蔽部材140が退避位置に位置する場合のガス供給部160によるガスの流量は、100L/min以上1000L/min以下である。
あるいは、遮蔽部材140が退避位置に位置する場合のガス供給部160からのガスの流量は、遮蔽部材140が近接位置に位置する場合のガス供給部160からのガスの流量と等しくてもよい。
次に、図1~図3を参照して、本実施形態の基板処理方法のフローを説明する。図3は、本実施形態の基板処理方法を説明するためのフロー図である。
ステップS102において、FFU130の駆動を開始する。FFU130は、1m3/min以上3m3/min以下の流量で気体をチャンバー110に供給する。
ステップS104において、遮蔽部材140は退避位置に移動する。例えば、移動部148は、遮蔽部材140を退避位置に移動させる。このとき、遮蔽部材140の少なくとも一部は、突出部114と隣接する。遮蔽部材140と突出部114との隙間は小さいことが好ましい。あるいは、遮蔽部材140の少なくとも一部は、突出部114と当接してもよい。
遮蔽部材140が退避位置に移動すると、基板処理装置100は、上方領域110Uと下方領域110Dとに分離される。このとき、FFU130からの気体は、遮蔽部材140によって遮蔽されて上方領域110U内にとどまり、下方領域110Dにはほとんど達しない。
ステップS106において、ガス供給部160は不活性ガスの供給を開始する。例えば、ガス供給部160は、100L/min以上1000L/min以下の流量で不活性ガスを供給する。
ガス供給部160が不活性ガスを供給することにより、チャンバー110内の酸素濃度を低減できる。ガス供給部160が不活性ガスを所定時間供給することにより、チャンバー110内の酸素濃度を500ppm以下にまで低減できる。例えば、ガス供給部160は、次のステップS108の開始までに、不活性ガスを30秒以上5分以下の期間にわたって供給する。
ステップS108において、基板Wをチャンバー110に搬入する。基板Wは、ロボットによって搬入されてもよい。例えば、基板Wの搬入時間は0.5秒以上5秒以下である。
チャンバー110のシャッター110sが移動してチャンバー110の開口部110aが露出する。基板Wは、チャンバー110の開口部110aを通過してチャンバー110内に搬入される。搬入した基板Wは、基板保持部120に装着される。なお、このとき、チャンバー110には、ガス供給部160が不活性ガスを供給しているため、チャンバー110内の酸素濃度は低い。したがって、基板Wを搬入する際の基板Wの酸化を抑制できる。
ステップS110において、遮蔽部材140は近接位置に移動する。例えば、移動部148は、遮蔽部材140を近接位置に移動させる。遮蔽部材140が近接位置に移動することにより、FFU130によってチャンバー110内に供給される気体は、遮蔽部材140によって遮蔽されて上方領域110Uにおいて滞留することなくチャンバー110の下方に流れる。また、遮蔽部材140が近接位置に移動することにより、基板Wは、基板保持部120と遮蔽部材140とによって囲まれる。遮蔽部材140が不活性ガスを供給することにより、基板Wの周囲の環境は、低酸素雰囲気となる。
ステップS112において、基板Wを処理する。基板Wを処理する際に、処理液供給部150は基板Wに処理液を供給する。また、基板Wを処理する際に、ガス供給部160は基板Wに不活性ガスを供給する。
このとき、遮蔽部材140が近接位置に位置しているため、チャンバー110内部には、FFU130によってダウンフローが形成される。ただし、FFU130から供給される気体の酸素濃度は比較的高い一方で、遮蔽部材140は基板Wに不活性ガスを供給する。このため、基板Wの周囲を低酸素濃度できる。したがって、基板Wを低酸素雰囲気下で処理できる。なお、基板Wを処理する際に、チャンバー110の開口からの排気圧を増大させてもよい。
ステップS114において、遮蔽部材140は退避位置に移動する。例えば、移動部148は、遮蔽部材140を退避位置に移動させる。遮蔽部材140が退避位置に移動することにより、FFU130によってチャンバー110に流入する気体は、遮蔽部材140によって遮蔽されて突出部114と遮蔽部材140とで囲まれた上方領域110U内にとどまる。また、遮蔽部材140は下方領域110Dに不活性ガスを供給する。このため、下方領域110Dの酸素濃度を低く維持できる。
ステップS116において、基板Wはチャンバー110から外部に搬出される。基板Wは、ロボットによって搬出されてもよい。基板Wは、基板保持部120から脱着された後、ロボットによって支持されて、チャンバー110から外部に搬出される。例えば、基板Wの搬出時間は0.5秒以上5秒以下である。
以上のようにして、基板処理装置100は基板処理を終了する。本実施形態の基板処理装置100によれば、ステップS112においてFFU130によるダウンフローを利用しており、基板Wを処理する際の不活性ガスの使用量を抑制できる。また、ステップS108および/またはステップS116において基板Wを搬送する際にFFU130からの気体が基板Wに直接的に達することを抑制して基板Wに不活性ガスを供給するため、基板Wの酸化を抑制できる。このため、基板処理装置100によれば、基板Wを処理する際の不活性ガスの使用量を抑制するとともに、基板Wの搬送時における基板Wの酸化を抑制できる。
次に、図1~図6を参照して本実施形態の基板処理方法のフローを説明する。図4~図6は、本実施形態の基板処理方法を説明するための模式図である。
図4(a)に示すように、FFU130の駆動を開始する。FFU130は、1m3/min以上3m3/min以下の流量で気体Fをチャンバー110に供給する。FFU130の駆動により、チャンバー110内にはダウンフローが形成される。
図4(b)に示すように、遮蔽部材140は退避位置に移動する。このとき、遮蔽部材140の少なくとも一部は、突出部114と隣接する。遮蔽部材140と突出部114との隙間は小さいことが好ましい。あるいは、遮蔽部材140の少なくとも一部は、突出部114と当接してもよい。
遮蔽部材140が退避位置に移動すると、基板処理装置100は、上方領域110Uと下方領域110Dとに分離される。このとき、FFU130からの気体Fは、遮蔽部材140によって遮蔽されて上方領域110U内にとどまり、下方領域110Dにはほとんど達しない。
図4(c)に示すように、ガス供給部160は不活性ガスGの供給を開始する。ガス供給部160が不活性ガスGを供給することにより、下方領域110Dの酸素濃度を低減できる。上方領域110Uの酸素濃度は約20%であるのに対して、下方領域110Dの酸素濃度は上方領域110Uの酸素濃度よりも低くできる。ガス供給部160が不活性ガスGを所定時間供給することにより、下方領域110D内の酸素濃度を500ppm以下にまで低減できる。例えば、ガス供給部160は不活性ガスGを30秒以上5分以下の期間にわたって供給する。
図5(a)に示すように、基板Wをチャンバー110に搬入する。基板Wがチャンバー110に搬入する前に、シャッター110sが開いて開口部110aが露出する。シャッター110sが開いた後、基板Wは、開口部110aからチャンバー110内に搬入される。その後、基板Wは、基板保持部120に装着される。
図5(b)に示すように、遮蔽部材140は近接位置に移動する。このとき、遮蔽部材140は、基板Wと対向する。FFU130と基板Wとの間に遮蔽部材140が位置しているため、FFU130から下方に供給された気体Fは、遮蔽部材140と衝突することで方向を変え、基板Wに衝突することなくチャンバー110の下方から排気される。また、遮蔽部材140から下方に供給された不活性ガスGは基板Wに向けて進行して遮蔽部材140と基板Wとの間で低酸素雰囲気を形成する。
また、遮蔽部材140を近接位置に移動させる際に、カップ180は基板Wの側方にまで上昇する。カップ180が基板Wの側方に位置するため、遮蔽部材140、基板Wおよびカップ180により、低酸素雰囲気が形成される。
図5(c)に示すように、基板Wを処理する。基板Wを処理する際には、遮蔽部材140は、下面から不活性ガスGを供給したまま、下面から処理液Lを供給する。このため、基板Wは、低酸素雰囲気下において処理液Lで処理される。
基板Wを処理する際には、カップ180は基板Wの側方のまま維持する。カップ180は、基板Wから飛散した処理液Lを回収する。
FFU130から下方に供給された気体Fは、遮蔽部材140と衝突することで基板Wに達することなく進行方向を変えてチャンバー110の下方から排気される。このため、基板Wおよび基板保持部120から飛散した不活性ガスGおよび処理液Lの雰囲気はチャンバー110の下方から排気される。
図6(a)に示すように、遮蔽部材140は退避位置に移動する。このとき、遮蔽部材140は、処理液Lの供給を停止する一方で、不活性ガスGを供給し続ける。
図6(b)に示すように、基板Wをチャンバー110から外部に搬出する。基板Wをチャンバー110から外部に搬出する前に、シャッター110sが移動して開口部110aが開く。また、カップ180は、鉛直下方に移動する。シャッター110sが開いた後、基板Wは、チャンバー110の内部から開口部110aを介して外部に搬出される。
以上のようにして、基板Wをチャンバー110に搬送して、チャンバー110内にて基板Wを処理した後で、基板Wをチャンバー110から搬送できる。本実施形態によれば、基板Wを処理する際に、ガス供給部160から基板Wに向けて酸素濃度の比較的低い不活性ガスを供給する一方で、FFU130からは酸素濃度の比較的高いガスを供給する。このため、低酸素濃度雰囲気下において基板Wを処理する一方で、処理後の処理液Lおよび不活性ガスGを速やかに排出できる。また、本実施形態によれば、基板Wを搬送する際に、FFU130からのガスは遮蔽部材140において遮蔽されて上方領域110Uにとどまる一方で、ガス供給部160からの不活性ガスで下方領域110Dを低酸素雰囲気にできるため、低酸素雰囲気下で基板Wを搬送できる。
なお、図4~図6を参照して上述した説明では、FFU130は、図5(c)の基板Wを処理する場合以外でも、気体Fをチャンバー110内に供給していたが、本実施形態はこれに限定されない。FFU130は、図5(c)の基板Wを処理する場合以外では、駆動を停止してもよい。
また、図1~図6を参照して上述した説明では、基板Wは、チャンバー110の開口部110aを介して筐体112内に搬送されたが、本実施形態はこれに限定されない。基板Wは、開口部110aおよび突出部114を通過して筐体112内に搬送されてもよい。
次に、図7を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。図7は、本実施形態の基板処理装置100の模式図である。なお、図7の基板処理装置100は、突出部114の形状が異なるとともに突出部114に搬送路114rおよび搬送路ガス供給部114gが設けられる点を除いて、図1を参照して上述した基板処理装置100と同様の構成を有しており、冗長を避けるために重複する記載を省略する。
基板処理装置100において、突出部114は、遮蔽部材140の側方に位置するとともに、基板保持部120の側方に位置する。突出部114は、筐体112の上部112a、側部112bおよび底部112cのそれぞれと当接する。突出部114には、基板Wが通過するための搬送路114rが設けられる。搬送路114rの水平方向の長さ(Y方向に沿った長さ(幅))は、基板Wの直径(少なくとも短径)よりも大きく、搬送路114rの鉛直方向の長さ(高さ)は、基板Wの厚さよりも大きい。搬送路114rは、基板保持部120のスピンベース121とほぼ同じ高さであって、水平方向に延びるように設けられる。
突出部114は、上部114aと、下部114bとを有する。上部114aは、下部114bの上方に位置する。下部114bは上部114aを支持する。上部114aは、下部114bに取り付けられてもよい。あるいは、上部114aおよび下部114bは一体に成形されてもよい。ここでは、下部114bのうちの上部114aと対向する領域の搬送方向(X方向)に沿った長さは、上部114aのうちの下部114bと対向する領域の搬送方向(X方向)に沿った長さとほぼ等しい。
上部114aは、筐体112の上部112aおよび側部112bのそれぞれと当接する。上部114aは、筐体112の側部112bの上方に取り付けられる。上部114aの上面は、筐体112の上部112aと当接する。上部114aの外周面は、筐体112の側部112bと当接する。上部114aの内周面は上部114aの開口を規定する。
下部114bは、基板保持部120の側方を囲む。下部114bの高さは、基板保持部120の高さとほぼ等しい。
下部114bは、筐体112の側部112bおよび底部112cのそれぞれと当接する。下部114bは、筐体112の側部112bの下方に取り付けられる。下部114bの外周面は、筐体112の側部112bの下方と当接する。下部114bの下面は、筐体112の底部112cと当接する。下部114bの内周面は下部114bの開口を規定する。下部114bの開口の面積は上部114aの開口の面積よりも大きい。
上部114aの開口は段差を有しており、上部114aの開口径は2段階に変化する。上部114aの上方の開口径は、上部114aの下方の開口径よりも小さい。ここでは、上部114aの上方の開口径は、遮蔽部材140の遮蔽板142の外径とほぼ等しい。
また、突出部114の上部114aのうちの開口部110aおよびシャッター110sに対応する領域に搬送路114rとして貫通孔が設けられる。搬送路114rは、基板Wを搬送する経路として機能する。
基板処理装置100は、搬送路ガス供給部114gをさらに備える。搬送路ガス供給部114gは、突出部114の搬送路114rに配置されている。搬送路ガス供給部114gは、搬送路114rに向けて不活性ガスを供給する。搬送路ガス供給部114gは、基板Wが搬送路114rを搬送する前または搬送中に不活性ガスを搬送路114rに供給する。例えば、搬送路ガス供給部114gは、基板Wが搬送路114rの搬送を開始する1分前から不活性ガスの供給を開始し、基板Wが搬送路114rおよび開口部110aを通過して搬送された後に不活性ガスの供給を終了する。
なお、図7に示した基板処理装置100では、搬送路ガス供給部114gは、突出部114の上部114aに設けられたが、本実施形態はこれに限定されない。搬送路ガス供給部114gは、突出部114の下部114bに設けられてもよい。
また、図7に示した基板処理装置100では、搬送路114rは、突出部114の上部114aに設けられたが、本実施形態はこれに限定されない搬送路114rは、突出部114の下部114bに設けられてもよい。
また、図7に示した基板処理装置100では、下部114bのうちの上部114aと対向する領域の搬送方向(X方向)に沿った長さは、上部114aのうちの下部114bと対向する領域の搬送方向(X方向)に沿った長さとほぼ等しかったが、本実施形態はこれに限定されない。下部114bのうちの上部114aと対向する領域の搬送方向(X方向)に沿った長さは、上部114aのうちの下部114bと対向する領域の搬送方向(X方向)に沿った長さよりも小さくてもよい。
図7に示した基板処理装置100では、搬送路114rの断面は、基板Wを搬送可能な幅および高さを有するとともに、搬送路114rのシャッター110s側の断面は、搬送路114rの基板保持部120側の断面とほぼ同じであったが、本実施形態はこれに限定されない。搬送路114rの基板保持部120側の断面積は搬送路114rのシャッター110s側の断面積よりも小さくてもよい。
なお、突出部114に、基板Wを搬送するための搬送路114rを設ける場合、基板Wを処理する際に、カップ180は、搬送路114rを覆うことが好ましい。
次に、図8を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。図8は、本実施形態の基板処理装置100の模式図である。なお、図8の基板処理装置100は、カップ180が搬送路114rを覆う点を除いて、図7を参照して上述した基板処理装置100と同様の構成を有しており、冗長を避けるために重複する記載を省略する。
図8に示すように、カップ180は、搬送路114rを覆う位置にまで上昇する。例えば、基板Wを処理する際に、カップ180が搬送路114rを覆う。これにより、基板Wを処理する際の処理液Lまたは処理液Lの雰囲気が搬送路114rに付着することを抑制できる。また、カップ180が搬送路114rを覆うことにより、FFU130からの気体が搬送路114rにとどまり、浮遊物が搬送路114r内で滞留することを抑制できる。
なお、図1~図8を参照して上述した説明では、遮蔽板142は、水平方向に延びた形状を有していたが、本実施形態はこれに限定されない。遮蔽板142は、水平方向に延びるとともに鉛直方向に延びてもよい。
次に、図9を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。図9は、本実施形態の基板処理装置100の模式図である。なお、図9の基板処理装置100は、遮蔽板142が水平方向に延びるとともに鉛直方向に延びる点を除いて、図1の基板処理装置100と同様の構成を有している。このため、冗長を避けるために重複する記載を省略する。
図9に示すように、遮蔽板142が水平方向に延びるとともに鉛直方向に延びる。ここでは、遮蔽板142の一部が、鉛直下方に延びる。
遮蔽板142は、本体部142aと、突起部142bとを有する。本体部142aは、例えば、略円板状である。本体部142aの直径は、例えば、基板Wの直径と略同一である。ただし、本体部142aの直径は、基板Wの直径よりも若干小さくてもよいし、若干大きくてもよい。本体部142aは、下面が略水平になるように配置されている。
突起部142bは、本体部142aの水平方向外側端部において、鉛直下方を向くように本体部142aに設けられる。突起部142bは、円環形状である。突起部142bの内径は、基板Wの外径とほぼ等しいか、基板Wの外径よりも若干大きい。このため、遮蔽部材140が近接位置に位置する場合に、本体部142aは、基板Wと対向する一方で、突起部142bは基板Wの周囲を覆う。
本実施形態の基板処理装置100では、遮蔽部材140が近接位置に位置する場合に遮蔽部材140から不活性ガスを供給しても、突起部142bにより、不活性ガスが離散しにくい。このため、遮蔽部材140から供給される不活性ガスの流量が比較的少なくても、低酸素雰囲気下において基板Wを効率的に処理できる。
なお、図1~図9を参照して上述した基板処理装置100では、遮蔽部材140が退避位置に位置するときに、遮蔽部材140は突出部114の側方に隣接したが、本実施形態はこれに限定されない。遮蔽部材140が退避位置に位置するときに、遮蔽部材140の少なくとも一部が突出部114の下方に隣接してもよい。あるいは、遮蔽部材140が退避位置に位置するときに、遮蔽部材140の少なくとも一部が突出部114の下面と対向してもよい。
次に、図10を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。なお、図10の基板処理装置100は、遮蔽部材140が封止板149をさらに含む点を除いて、図1を参照して上述した基板処理装置100と同様の構成を有しており、冗長を避けるために重複する記載を省略する。
図10に示すように、基板処理装置100において、遮蔽部材140は、遮蔽板142、支軸144およびノズル146に加えて、封止板149をさらに含む。遮蔽部材140は、遮蔽板142から不活性ガスを供給する。
封止板149は、支軸144に取り付けられる。封止板149は、支軸144から水平方向に延びる。封止板149は、遮蔽板142よりも鉛直方向上部において、支軸144に取り付けられている。
封止板149は、円環形状である。封止板149の径方向の外径は、遮蔽板142の径方向の外径よりも大きい。また、ここでは、封止板149の水平方向に沿った外径は、突出部114の内周面の内径よりも大きい。
なお、基板保持部120が回転する場合、遮蔽部材140の遮蔽板142も回転してもよい。この場合、遮蔽板142は、スピンベース121と連結して、電動モーター124の回転に伴って回転することが好ましい。ただし、遮蔽板142が回転する場合でも、遮蔽部材140の支軸144および封止板149は、遮蔽板142とは異なり回転しないことが好ましい。
なお、遮蔽部材140は、遮蔽板142から不活性ガスを供給したが、本実施形態はこれに限定されない。遮蔽部材140は、遮蔽板142だけでなく、封止板149から不活性ガスを供給してもよい。また、封止板149から不活性ガスを供給する場合、封止板149のうちの遮蔽板142とは重ならない領域から鉛直下方に不活性ガスを供給することが好ましい。あるいは、封止板149から不活性ガスを供給する場合、封止板149の側部から水平方向に不活性ガスを供給してもよい。
次に、図11を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。図11(a)は、遮蔽部材140が近接位置に位置する場合の基板処理装置100の模式図であり、図11(b)は、遮蔽部材140が退避位置に位置する場合の基板処理装置100の模式図である。
図11(a)に示すように、遮蔽部材140が近接位置に位置する場合、遮蔽部材140は、基板保持部120に保持された基板Wと対向する。基板Wを処理液Lで処理する場合、遮蔽部材140は、基板Wに処理液Lを供給する。また、基板Wを処理液Lで処理する場合、または、基板Wを乾燥させる場合、遮蔽部材140は、基板Wに不活性ガスGを供給する。
図11(b)に示すように、遮蔽部材140が退避位置に位置する場合、封止板149は、突出部114に隣接する。封止板149の上面は、突出部114の下面と対向する。封止板149の上面と突出部114の下面との間の隙間は小さいことが好ましい。あるいは、封止板149の上面は、突出部114の下面と当接してもよい。これにより、FFU130からの気体が下方領域110Dに流入することを抑制できる。
なお、図10および図11に示した基板処理装置100では、基板Wは、チャンバー110の開口部110aを介して筐体112内に搬送されるが、本実施形態はこれに限定されない。基板Wは、開口部110aおよび突出部114内を通過して筐体112内に搬送されてもよい。
次に、図12を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。なお、図12の基板処理装置100は、突出部114の形状が異なるとともに突出部114が上部114a、下部114bおよび搬送路114rを含む点を除いて、図10および図11を参照して上述した基板処理装置100と同様の構成を有しており、冗長を避けるために重複する記載を省略する。
図12に示すように、突出部114は、上部114a、下部114bおよび搬送路114rを含む。上部114aは、下部114bの上方に位置する。下部114bは上部114aを支持する。上部114aは、下部114bに取り付けられてもよい。あるいは、上部114aおよび下部114bは一体に成形されてもよい。
上部114aは、筐体112の上部112aおよび側部112bのそれぞれと当接する。上部114aは、筐体112の側部112bの上方に取り付けられる。
下部114bは、基板保持部120の側方を囲む。下部114bの高さは、基板保持部120の高さとほぼ等しい。下部114bは、筐体112の側部112bおよび底部112cのそれぞれと当接する。下部114bは、筐体112の側部112bの下方に取り付けられる。
搬送路114rは、突出部114の上部114aのうちの開口部110aおよびシャッター110sに対応する領域に貫通孔として設けられる。搬送路114rは、基板Wを搬送する経路として機能する。
図12に示すように、基板Wを処理する際に、遮蔽部材140は近接位置に位置する。また、基板Wを処理する際に、カップ180が搬送路114rを覆う。これにより、基板Wを処理する際の処理液または処理液の雰囲気が搬送路114rに付着することを抑制できる。また、カップ180が搬送路114rを覆うことにより、FFU130からの気体Fが搬送路114rにとどまり、浮遊物が搬送路114r内で滞留することを抑制できる。
また、遮蔽部材140は近接位置に位置する場合、上昇したカップ180の鉛直上方の端部180sが遮蔽部材140の封止板149と対向することが好ましい。例えば、端部180sと封止板149との隙間は、0.5mm以上30mm以下である。この場合、基板Wは、基板保持部120と遮蔽部材140とカップ180とによって囲まれるため、遮蔽部材140が不活性ガスを供給することにより、基板Wの周囲に低酸素雰囲気を効率的に形成できる。
なお、図1~図12に示した基板処理装置100では、遮蔽部材140の遮蔽板142は、水平方向に延びるか、水平方向および鉛直下方に延びていたが、本実施形態はこれに限定されない。遮蔽板142は、水平方向に延びるとともに鉛直上方に延びてもよい。
次に、図13を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。なお、図13の基板処理装置100は、遮蔽板142は、水平方向に延びるとともに鉛直上方に延びる点を除いて、図1を参照して上述した基板処理装置100と同様の構成を有しており、冗長を避けるために重複する記載を省略する。
図13に示すように、遮蔽部材140は、遮蔽板142と、支軸144と、ノズル146とを含む。遮蔽板142は、水平方向に延びるとともに鉛直上方に延びる。
遮蔽板142は、本体部142sと、接続部142tと、延伸部142uとを含む。遮蔽部材140は、本体部142sから不活性ガスを供給する。本体部142sと延伸部142uとは、接続部142tを介して接続されている。
本体部142sは、支軸144と連結する。本体部142sは、支軸144から水平方向に延びる。本体部142sは、支軸144から円周方向にわたって径方向に広がるように延びる。
接続部142tは、本体部142sの水平方向外側端部に配置される。接続部142tは、鉛直方向に沿って延びる。接続部142tは、本体部142sと接続されており、本体部142sから鉛直上方に延びる。
延伸部142uは、円環状の薄板である。延伸部142uは、接続部142tと接続されている。延伸部142uは、接続部142tの鉛直方向端部に配置される。延伸部142uは、水平方向に沿って延びる。このため、延伸部142uの水平方向端部は、本体部142sの水平方向端部よりも支軸144に対して水平方向外側に位置する。また、延伸部142uの外径は、突出部114の内周面の内径よりも大きい。
なお、図13に示した基板処理装置100では、遮蔽部材140は、本体部142sから不活性ガスを供給したが、本実施形態はこれに限定されない。遮蔽部材140は、本体部142sだけでなく、接続部142tおよび/または延伸部142uから不活性ガスを供給してもよい。例えば、接続部142tから不活性ガスを供給する場合、不活性ガスは、水平方向外側に向かって吐出されてもよい。また、延伸部142uから不活性ガスを供給する場合、不活性ガスは、鉛直下方に吐出されてもよい。
次に、図14を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。図14(a)は、遮蔽部材140が近接位置に位置する場合の基板処理装置100の模式図であり、図14(b)は、遮蔽部材140が退避位置に位置する場合の基板処理装置100の模式図である。
図14(a)に示すように、遮蔽部材140が近接位置に位置する場合、遮蔽部材140は、基板保持部120に保持された基板Wと対向する。基板Wを処理液Lで処理する場合、遮蔽部材140は、基板Wに処理液Lを供給する。また、基板Wを処理液Lで処理する場合、または、基板Wを乾燥させる場合、遮蔽部材140は、基板Wに不活性ガスGを供給する。
図14(b)に示すように、遮蔽部材140が退避位置に位置する場合、遮蔽部材140の遮蔽板142は、突出部114に隣接する。詳細には、遮蔽板142の延伸部142uは、突出部114に隣接する。延伸部142uの上面は、突出部114の下面と対向する。延伸部142uの上面と突出部114の下面との間の隙間は小さいことが好ましい。あるいは、延伸部142uの上面と突出部114の下面と当接してもよい。これにより、FFU130からの気体が下方領域110Dに流入することを抑制できる。
なお、図14に示した基板処理装置100では、基板Wは、チャンバー110の開口部110aを介して筐体112内に搬送されるが、本実施形態はこれに限定されない。基板Wは、開口部110aを通過して突出部114内を通過して筐体112内に搬送されてもよい。
次に、図15を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。なお、図15の基板処理装置100は、突出部114の形状が異なるとともに突出部114が上部114a、下部114bおよび搬送路114rを含む点を除いて、図10および図11を参照して上述した基板処理装置100と同様の構成を有しており、冗長を避けるために重複する記載を省略する。
図15に示すように、突出部114は、上部114a、下部114bおよび搬送路114rを含む。上部114aは、下部114bの上方に位置する。下部114bは上部114aを支持する。上部114aは、下部114bに取り付けられてもよい。あるいは、上部114aおよび下部114bは一体に成形されてもよい。
上部114aは、筐体112の上部112aおよび側部112bのそれぞれと当接する。上部114aは、筐体112の側部112bの上方に取り付けられる。
下部114bは、基板保持部120の側方を囲む。下部114bの高さは、基板保持部120の高さとほぼ等しい。下部114bは、筐体112の側部112bおよび底部112cのそれぞれと当接する。下部114bは、筐体112の側部112bの下方に取り付けられる。
搬送路114rは、突出部114の上部114aのうちの開口部110aおよびシャッター110sに対応する領域に貫通孔として設けられる。搬送路114rは、基板Wを搬送する経路として機能する。
図15に示すように、基板Wを処理する際に、遮蔽部材140は近接位置に位置する。また、基板Wを処理する際に、カップ180が搬送路114rを覆う。これにより、基板Wを処理する際の処理液Lまたは処理液Lの雰囲気が搬送路114rに付着することを抑制できる。また、カップ180が搬送路114rを覆うことにより、FFU130からの気体Fが搬送路114rにとどまり、浮遊物が搬送路114r内で滞留することを抑制できる。
また、遮蔽部材140は近接位置に位置する場合、上昇したカップ180の鉛直上方の端部180sが遮蔽部材140の延伸部142uと対向することが好ましい。例えば、端部180sと延伸部142uとの隙間は、0.5mm以上30mm以下である。この場合、基板Wは、基板保持部120と遮蔽部材140とカップ180とによって囲まれるため、遮蔽部材140が不活性ガスを供給することにより、基板Wの周囲に低酸素雰囲気を効率的に形成できる。
次に、図16を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。本実施形態の基板処理装置100は複数のチャンバー110を備える点で、上述した基板処理装置100とは異なる。ただし、冗長な説明を避ける目的で重複する記載を省略する。
図16は、基板処理装置100の模式的な平面図である。図16に示すように、基板処理装置100は、成分液キャビネット100Aと、複数の流体ボックス100Bと、複数のチャンバー110と、複数のロードポートLPと、インデクサーロボットIRと、センターロボットCRと、制御装置101とを備える。制御装置101は、ロードポートLP、インデクサーロボットIRおよびセンターロボットCRを制御する。制御装置101は、制御部102および記憶部104を含む。
ロードポートLPの各々は、複数枚の基板Wを積層して収容する。インデクサーロボットIRは、ロードポートLPとセンターロボットCRとの間で基板Wを搬送する。センターロボットCRは、インデクサーロボットIRとチャンバー110との間で基板Wを搬送する。チャンバー110の各々は、基板Wに処理液を吐出して、基板Wを処理する。処理液は、薬液、リンス液および/または有機溶剤を含む。流体ボックス100Bの各々は流体機器を収容する。成分液キャビネット100Aは、処理液を収容する。
具体的には、複数のチャンバー110は、平面視においてセンターロボットCRを取り囲むように配置された複数のタワーTW(図16では4つのタワーTW)を形成している。各タワーTWは、上下に積層された複数のチャンバー110(図16では3つのチャンバー110)を含む。複数の流体ボックス100Bは、それぞれ、複数のタワーTWに対応している。成分液キャビネット100A内の処理液は、いずれかの流体ボックス100Bを介して、流体ボックス100Bに対応するタワーTWに含まれる全てのチャンバー110に供給される。
以上、図面を参照して本発明の実施形態を説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。