JP7241353B2 - 肺腺癌のサブタイピングのための方法 - Google Patents

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Description

相互参照
本出願は、2016年5月17日に出願された米国仮出願番号第62/337,591号、2016年5月17日に出願された米国仮出願番号第62/337,645号、2016年9月19日に出願された米国仮出願番号第62/396,587号、2016年11月11日に出願された米国仮出願番号第62/420,836号、および2016年11月23日に出願された米国仮出願番号第62/425,717号に基づく優先権を主張しており、これら仮出願の各々は、すべての目的のためにその全体が本明細書中に援用される。
発明の分野
本発明は、肺試料の腺癌サブタイプを判定するため、および特定のサブタイプの肺がんに苦しむ患者の処置に対する応答を予測するための方法に関する。
配列表に関する記載
本出願に関連する配列表は、紙コピーの代わりにテキスト形式で提供され、参照により本明細書に組み込まれている。配列表を含むテキストファイルの名称は、GNCN_009_01WO_SeqList_ST25.txtである。テキストファイルは194KBであり、2017年5月16日に作成され、EFS-Webによって電子的に提出されている。
発明の背景
肺がんは、米国および世界的規模の両方において、がんによる死亡原因の第1位である。2005年にはおよそ172,000件の肺腫瘍が診断され、推定死亡件数は結腸、乳房、および前立腺の合計を超える163,000件であった。患者の少なくとも75%は局所進行性疾患を示す。高解像度CTなどの技術を使用してスクリーニングを改善するために多くの試みが行われてきたが、これらの方法は偽陽性結果をもたらすことが多く、通常はアウトカムを変化させない。したがって、早期に検出される小さな腫瘍でさえ、ステージI肺がんの術後5年生存率が47~63パーセントと推定される患者に対しては多大な脅威となる。進行性疾患を有する患者の予後はより悪く、生存期間中央値は1年を優に下回る。概して、緩和療法は効果的であるが持続可能ではなく、全生存期間に対する影響の平均はおよそ3か月である。
集団レベルにおいて、肺がんの根底にある原因は明らかにタバコの使用であり、すべての肺がんの90%が喫煙に直接起因する。肺がんリスク因子としてはアスベスト、ラドン、およびいくつかの肺刺激物質が一般的に認められているものの、喫煙は肺がんと非常に密接に相関しているため、ほとんどの他のリスク因子との決定的な関連性と交絡する。遺伝的関連性が強く疑われるが、厳密な機構は、稀なメンデル型(Mendelian)がん症候群の選択群以外で今後判定される必要がある。多くの分類スキームおよび進行中の臨床治験があるにもかかわらず、臨床診断および治療学の分野における進歩は全体的に期待外れなものとなっている。
ほとんどの肺がんは、気道全体で生じるサブタイプを有する多様な群である非小細胞肺癌(NSCLC)(>85%)と分類される。NSCLCの2種の主なサブタイプである腺癌(AD)および扁平上皮癌(SCCまたはSQ)は、ほぼ等しい頻度で診断されるが、異なる場所で見出されることが多く、SCCがより中心で生じる。世界保健機関(WHO)により開発された肺がんのコンセンサス分類の第6版には、90以上の悪性の形態的クラスおよびバリアントが記載されている。とりわけ>1.5cmの大きな腫瘍では不均一性があることが多く、形態学的分類がより困難になり、腺扁平上皮癌などの名称につながり得る。さらに、組織診断再現性の研究は、病理学者中の一致率および病理学者間の一致率が限定されていることを示している。形態の変動性、限定された組織試料、および治療標的となるマーカーの増え続けるリストを査定する必要性は、現在の診断基準に対する課題をもたらす。これは、肺がんの種々の形態的サブタイプ間の区別が患者管理を進めるうえで必要不可欠であり得、さらなる分子試験を使用することで特異的な治療標的マーカーを特定することができるという考えによってさらに強調されている。
現在、遺伝子発現ベースの肺腺癌(AD)サブタイピングは主に、新鮮な冷凍肺腫瘍からのRNAの抽出に続いて500個を超える遺伝子の定量的遺伝子発現を使用した最近隣重心予測因子の適用を含む研究プロトコールに制限されている。遺伝子発現ベースの腺癌サブタイピングは、遺伝子発現、突然変異スペクトル、およびコピー数変化をはじめとするゲノムプロファイルが異なり得る、3種の生物学的に異なるサブタイプ(終末呼吸単位(TRU;旧称ブロンキオイド)、近位炎症性(PI;旧称スクアモイド)、および近位増殖性(PP;旧称マグノイド))に腺癌腫瘍を分類することが示されている。さらに、これら3種のサブタイプは、予後、喫煙者対非喫煙者における分布、EGFR変異、ALK再編成、TP53突然変異の発生率、血管新生の特徴、および免疫原性応答の特徴において異なり得る。ADサブタイピングによる予後および予測的な利益の証拠があるにもかかわらず、>500個の遺伝子の遺伝子発現の要件は、複雑な生物情報学解析と相まって、薬物開発および/または診療所におけるADサブタイピングの応用を妨げてきた。
がん免疫監視とは、免疫系が前がん性およびがん性細胞を特定し、これらの細胞が臨床的意義をもつ前にそれらを死滅させることができるという原理であり、これは免疫不全マウスモデルにおいて実証されている。自然および適応免疫応答は、がん増殖を促進または阻害するように連携する場合があり、免疫破壊の回避は、がんの新たな特質である。歴史的に、免疫刺激の方法は、診療所における肺がん患者に対して効果的ではなかった。腫瘍抗原発現および抗原提示細胞(APC)における提示の不全、免疫抑制細胞およびサイトカインの浸潤、ならびに効果的でないT細胞活性化は、腫瘍部位における免疫抑制をもたらし得る。がんおよび免疫系の理解が進み、肺がんなどの高度に発達した免疫回避法を有する腫瘍においても抗腫瘍応答を活性化する効果的な療法がもたらされている。しかしながら、患者における免疫活性化と免疫抑制とのバランスが繊細であるため、肺腫瘍により引き起こされる高い免疫抑制効果は、これらの進歩の有益な効果を限定する。例えばNSCLCでは、腫瘍のタイプ、疾患の進行期、および腫瘍量に関係すると示唆されている、免疫活性化を妨害する免疫抑制細胞の役割が大きい。
したがって、内因性の肺腺癌サブタイプを効果的に弁別する方法の開発は、臨床診断および疾患管理に重要である。したがって、免疫療法に応答する可能性が高いと考えられ得る集団をさらに定義するための新しい方法が必要とされている。本発明は、患者の腺癌サブタイプ(終末呼吸単位(TRU)、近位炎症性(PI)、近位増殖性(PP))に部分的に基づいて腺癌患者集団の予後または疾患アウトカムを判定するための当分野におけるこれらのおよび他の必要性に対処する。本発明の方法は、肺がんの細胞および分子起源を判定するための手段(例えば、ADのサブタイピング)を提供し、当技術分野で公知の診断法と比較してより正確な診断および適用可能な処置を提供し得る。
1つの態様では、本明細書において提供されるのは、患者から得られた肺組織試料の腺癌(AD)サブタイプを判定するための方法であって、前記方法が、表1の少なくとも1種の分類指標バイオマーカーの発現レベルを検出するステップを含み、前記分類指標バイオマーカーの前記発現レベルの前記検出が、終末呼吸単位(TRU)、近位増殖性(PP)、または近位炎症性(PI)ADサブタイプを特異的に特定する、方法である。一部の場合では、前記方法は、表1の前記少なくとも1種の分類指標バイオマーカーの前記検出された発現レベルを、少なくとも1種のサンプルトレーニングセットにおける表1の前記少なくとも1種の分類指標バイオマーカーの発現と比較するステップであって、前記少なくとも1種のサンプルトレーニングセットが、参照AD TRU試料からの表1の前記少なくとも1種の分類指標バイオマーカーの発現データ、参照AD PP試料からの表1の前記少なくとも1種の分類指標バイオマーカーの発現データ、参照AD PI試料からの表1の前記少なくとも1種の分類指標バイオマーカーの発現データ、またはそれらの組合せを含む、ステップと、前記比較するステップの結果に基づいて前記試料をTRU、PP、またはPIサブタイプに分類するステップとをさらに含む。一部の場合では、前記比較するステップが、前記試料から得られた前記発現データと、前記少なくとも1種のトレーニングセットからの前記発現データとの間の相関を判定することを含む、統計的アルゴリズムを適用することと、前記統計的アルゴリズムの結果に基づいて前記試料をTRU、PP、またはPIサブタイプに分類することとを含む。一部の場合では、前記分類指標バイオマーカーの前記発現レベルが、核酸レベルで検出される。一部の場合では、前記核酸レベルがRNAまたはcDNAである。一部の場合では、前記発現レベルを検出するステップが、定量的リアルタイム逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(qRT-PCR)、RNAseq、マイクロアレイ、遺伝子チップ、nCounter遺伝子発現アッセイ、遺伝子発現連続解析(SAGE)、遺伝子発現高速解析(RAGE)、ヌクレアーゼプロテクションアッセイ、ノーザンブロッティング、または任意の他の均等な遺伝子発現検出技術を行うことを含む。一部の場合では、前記発現レベルが、qRT-PCRを行うことにより検出される。一部の場合では、前記発現レベルの前記検出が、表1の少なくとも1種の分類指標バイオマーカーに特異的な少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマーを使用することを含む。一部の場合では、前記試料が、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)肺組織試料、新鮮なもしくは冷凍組織試料、エキソソーム、洗浄液、細胞ペレット、または前記患者から得られた体液である。一部の場合では、前記体液が、血液もしくはその画分、尿、唾液、または喀痰である。一部の場合では、前記少なくとも1種の分類指標バイオマーカーが、複数の分類指標バイオマーカーを含む。一部の場合では、前記複数の分類指標バイオマーカーが、表1の少なくとも2種の分類指標バイオマーカー、少なくとも8種の分類指標バイオマーカー、少なくとも16種の分類指標バイオマーカー、少なくとも24種の分類指標バイオマーカー、少なくとも32種の分類指標バイオマーカー、少なくとも40種の分類指標バイオマーカー、または少なくとも48種の分類指標バイオマーカーを含む。一部の場合では、前記少なくとも1種の分類指標バイオマーカーが、表1の分類指標バイオマーカーのすべてを含む。
別の態様では、本明細書において提供されるのは、肺がん細胞において特異的な発現パターンを有する分類指標バイオマーカーをコードする少なくとも1種の核酸分子の発現レベルを検出するステップを含む、患者から得られた肺組織試料の腺癌(AD)サブタイプを判定するための方法であって、前記分類指標バイオマーカーが、表1に記載されている分類指標遺伝子からなる群から選択され、前記方法が、(a)患者由来の肺組織試料から核酸物質を単離するステップと、(b)前記核酸物質を、前記分類指標バイオマーカーの核酸分子の一部分に対して実質的に相補的であるオリゴヌクレオチドと混合するステップと、(c)前記分類指標バイオマーカーの発現を検出するステップとを含む方法である。一部の場合では、前記方法は、表1の前記少なくとも1種の分類指標バイオマーカーの前記検出された発現レベルを、少なくとも1種のサンプルトレーニングセットにおける表1の前記少なくとも1種の分類指標バイオマーカーの発現と比較するステップであって、前記少なくとも1種のサンプルトレーニングセットが、参照AD TRU試料からの表1の前記少なくとも1種の分類指標バイオマーカーの発現データ、参照AD PP試料からの表1の前記少なくとも1種の分類指標バイオマーカーの発現データ、参照AD PI試料からの表1の前記少なくとも1種の分類指標バイオマーカーの発現データ、またはそれらの組合せを含む、ステップと、前記比較するステップの結果に基づいて前記試料をTRU、PP、またはPIサブタイプに分類するステップとをさらに含む。一部の場合では、前記比較するステップが、前記試料から得られた前記発現データと、前記少なくとも1種のトレーニングセットからの前記発現データとの間の相関を判定することを含む、統計的アルゴリズムを適用することと、前記統計的アルゴリズムの結果に基づいて前記試料をTRU、PP、またはPIサブタイプに分類することとを含む。一部の場合では、前記発現レベルを検出する前記ステップが、qRT-PCRまたは任意のハイブリダイゼーションベースの遺伝子アッセイを行うことを含む。一部の場合では、前記発現レベルが、qRT-PCRを行うことにより検出される。一部の場合では、前記発現レベルの前記検出が、表1の少なくとも1種の分類指標バイオマーカーに特異的な少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマーを使用することを含む。一部の場合では、前記方法は、前記分類指標バイオマーカーの前記検出された発現レベルに基づいて、肺腺癌(AD)のサブタイプを処置するための療法に対する応答を予測するステップをさらに含む。一部の場合では、前記療法が、化学療法、血管新生阻害剤、および/または免疫療法である。一部の場合では、肺ADの前記サブタイプがTRUであり、前記療法が化学療法または血管新生阻害剤である。一部の場合では、肺ADの前記サブタイプがPPであり、前記療法が化学療法である。一部の場合では、肺ADの前記サブタイプがPIであり、前記療法が免疫療法である。一部の場合では、前記試料が、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)肺組織試料、新鮮なもしくは冷凍組織試料、エキソソーム、洗浄液、細胞ペレット、または前記患者から得られた体液である。一部の場合では、前記体液が、血液もしくはその画分、尿、唾液、または喀痰である。一部の場合では、分類指標バイオマーカーをコードする前記少なくとも1種の核酸分子が、複数の分類指標バイオマーカーをコードする複数の核酸分子を含む。一部の場合では、前記複数の分類指標バイオマーカーが、表1の少なくとも2種の分類指標バイオマーカー、少なくとも5種の分類指標バイオマーカー、少なくとも10種の分類指標バイオマーカー、少なくとも20種の分類指標バイオマーカー、または少なくとも30種の分類指標バイオマーカーを含む。一部の場合では、前記少なくとも1種の分類指標バイオマーカーが、表1の分類指標バイオマーカーのすべてを含む。
なお別の態様では、本明細書において提供されるのは、患者から得られた肺組織試料中のバイオマーカーを検出する方法であって、増幅、ハイブリダイゼーション、および/または配列決定アッセイを使用して、表1から選択される複数のバイオマーカー核酸の発現レベルを測定するステップを含む方法である。一部の場合では、前記肺組織試料が腺癌であると過去に診断された。一部の場合では、前記過去の診断が組織学的検査によるものであった。一部の場合では、前記配列決定アッセイが、定量的リアルタイム逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(qRT-PCR)、RNAseq、マイクロアレイ、遺伝子チップ、nCounter遺伝子発現アッセイ、遺伝子発現連続解析(SAGE)、遺伝子発現高速解析(RAGE)、ヌクレアーゼプロテクションアッセイ、ノーザンブロッティング、または任意の他の均等な遺伝子発現検出技術を行うことを含む。一部の場合では、前記発現レベルが、qRT-PCRを行うことにより検出される。一部の場合では、前記発現レベルの前記検出が、表1から選択される前記複数のバイオマーカー核酸の各々あたり少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマーを使用することを含む。一部の場合では、前記試料が、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)肺組織試料、新鮮なもしくは冷凍組織試料、エキソソーム、洗浄液、細胞ペレット、または前記患者から得られた体液である。一部の場合では、前記体液が、血液もしくはその画分、尿、唾液、または喀痰である。一部の場合では、前記複数のバイオマーカー核酸が、表1の少なくとも2種のバイオマーカー核酸、少なくとも10種のバイオマーカー核酸、少なくとも20種のバイオマーカー核酸、少なくとも30種のバイオマーカー核酸、少なくとも40種のバイオマーカー核酸、少なくとも50種のバイオマーカー核酸、少なくとも60種のバイオマーカー核酸、または少なくとも70種のバイオマーカー核酸を含むか、それらから本質的になるか、またはそれらからなる。一部の場合では、前記複数のバイオマーカー核酸が、表1の分類指標バイオマーカー核酸のすべてを含むか、それらから本質的になるか、またはそれらからなる。
一つの態様では、本明細書において提供されるのは、患者から得られた肺組織試料中のバイオマーカーを検出する方法であって、増幅、ハイブリダイゼーション、および/または配列決定アッセイを使用して、表1から選択される複数のバイオマーカー核酸の発現レベルを測定するステップから本質的になる方法である。一部の場合では、前記肺組織試料が腺癌であると過去に診断された。一部の場合では、前記過去の診断が組織学的検査によるものであった。一部の場合では、前記配列決定アッセイが、定量的リアルタイム逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(qRT-PCR)、RNAseq、マイクロアレイ、遺伝子チップ、nCounter遺伝子発現アッセイ、遺伝子発現連続解析(SAGE)、遺伝子発現高速解析(RAGE)、ヌクレアーゼプロテクションアッセイ、ノーザンブロッティング、または任意の他の均等な遺伝子発現検出技術を行うことを含む。一部の場合では、前記発現レベルが、qRT-PCRを行うことにより検出される。一部の場合では、前記発現レベルの前記検出が、表1から選択される前記複数のバイオマーカー核酸の各々あたり少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマーを使用することを含む。一部の場合では、前記試料が、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)肺組織試料、新鮮なもしくは冷凍組織試料、エキソソーム、洗浄液、細胞ペレット、または前記患者から得られた体液である。一部の場合では、前記体液が、血液もしくはその画分、尿、唾液、または喀痰である。一部の場合では、前記複数のバイオマーカー核酸が、表1の少なくとも2種のバイオマーカー核酸、少なくとも10種のバイオマーカー核酸、少なくとも20種のバイオマーカー核酸、少なくとも30種のバイオマーカー核酸、少なくとも40種のバイオマーカー核酸、少なくとも50種のバイオマーカー核酸、少なくとも60種のバイオマーカー核酸、または少なくとも70種のバイオマーカー核酸を含むか、それらから本質的になるか、またはそれらからなる。一部の場合では、前記複数のバイオマーカー核酸が、表1の分類指標バイオマーカー核酸のすべてを含むか、それらから本質的になるか、またはそれらからなる。
別の態様では、本明細書において提供されるのは、患者から得られた肺組織試料中のバイオマーカーを検出する方法であって、増幅、ハイブリダイゼーション、および/または配列決定アッセイを使用して、表1から選択される複数のバイオマーカー核酸の発現レベルを測定するステップからなる方法である。一部の場合では、前記肺組織試料が腺癌であると過去に診断された。一部の場合では、前記過去の診断が組織学的検査によるものであった。一部の場合では、前記配列決定アッセイが、定量的リアルタイム逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(qRT-PCR)、RNAseq、マイクロアレイ、遺伝子チップ、nCounter遺伝子発現アッセイ、遺伝子発現連続解析(SAGE)、遺伝子発現高速解析(RAGE)、ヌクレアーゼプロテクションアッセイ、ノーザンブロッティング、または任意の他の均等な遺伝子発現検出技術を行うことを含む。一部の場合では、前記発現レベルが、qRT-PCRを行うことにより検出される。一部の場合では、前記発現レベルの前記検出が、表1から選択される前記複数のバイオマーカー核酸の各々あたり少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマーを使用することを含む。前記試料が、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)肺組織試料、新鮮なもしくは冷凍組織試料、エキソソーム、洗浄液、細胞ペレット、または前記患者から得られた体液である。一部の場合では、前記体液が、血液もしくはその画分、尿、唾液、または喀痰である。一部の場合では、前記複数のバイオマーカー核酸が、表1の少なくとも2種のバイオマーカー核酸、少なくとも10種のバイオマーカー核酸、少なくとも20種のバイオマーカー核酸、少なくとも30種のバイオマーカー核酸、少なくとも40種のバイオマーカー核酸、少なくとも50種のバイオマーカー核酸、少なくとも60種のバイオマーカー核酸、または少なくとも70種のバイオマーカー核酸を含むか、それらから本質的になるか、またはそれらからなる。一部の場合では、前記複数のバイオマーカー核酸が、表1の分類指標バイオマーカー核酸のすべてを含むか、それらから本質的になるか、またはそれらからなる。
別の態様では、本明細書において提供されるのは、腺癌患者が免疫療法に応答する可能性が高いかどうかを判定する方法であって、前記患者由来の肺組織試料の腺癌サブタイプを判定するステップであって、前記腺癌サブタイプが、スクアモイド(近位炎症性)、ブロンコイド(終末呼吸単位)、およびマグノイド(近位増殖性)からなる群から選択される、ステップと、前記サブタイプに基づいて、前記患者が免疫療法に応答する可能性が高いかどうかを査定するステップとを含む方法である。一部の場合では、前記免疫療法がチェックポイント阻害剤療法を含む。一部の場合では、前記チェックポイント阻害剤がPD-1またはPD-L1を標的とする。一部の場合では、前記チェックポイント阻害剤がCTLA-4を標的とする。一部の場合では、前記チェックポイント阻害剤が、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、またはそれらの抗原断片結合性断片である。一部の場合では、前記チェックポイント阻害剤が、イピリムマブまたはその抗原結合性断片である。一部の場合では、前記患者が腺癌を有することが試料の組織学的解析により初めに判定される。一部の場合では、前記患者の腺癌分子サブタイプが、スクアモイド(近位炎症性)、ブロンコイド(終末呼吸単位)、またはマグノイド(近位増殖性)から選択され、前記患者から得られた試料の組織学的解析によって判定される。一部の場合では、前記試料が、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)肺組織試料、新鮮なもしくは冷凍組織試料、エキソソーム、または前記患者から得られた体液である。一部の場合では、前記体液が、血液もしくはその画分、尿、唾液、または喀痰である。一部の場合では、前記腺癌サブタイプを判定する前記ステップが、複数の分類指標バイオマーカーの発現レベルを判定することを含む。一部の場合では、前記複数の分類指標バイオマーカーの前記発現レベルを判定することが、RNA配列決定、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、またはハイブリダイゼーションベースの解析を行うことにより核酸レベルでなされる。一部の場合では、前記腺癌サブタイプを判定するための前記複数の分類指標バイオマーカーが、公的に利用可能な肺腺癌データセットから選択される。一部の場合では、前記公的に利用可能な肺腺癌データセットが、TCGA肺AD RNAseqデータセットである。一部の場合では、前記腺癌サブタイプを判定するための前記複数の分類指標バイオマーカーが、表1から選択される。一部の場合では、前記RT-PCRが、定量的リアルタイム逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(qRT-PCR)である。一部の場合では、前記RT-PCRが、表1の前記複数の分類指標バイオマーカーに特異的なプライマーを用いて行われる。一部の場合では、前記方法は、表1の前記複数の分類指標バイオマーカーの前記検出された発現レベルを、少なくとも1種のサンプルトレーニングセットにおける表1の前記複数の分類指標バイオマーカーの発現と比較するステップであって、前記少なくとも1種のサンプルトレーニングセットが、参照腺癌TRU試料からの表1の前記複数の分類指標バイオマーカーの発現データ、参照腺癌PP試料からの表1の前記複数の分類指標バイオマーカーの発現データ、参照腺癌PI試料からの表1の前記複数の分類指標バイオマーカーの発現データ、またはそれらの組合せを含む、ステップと、前記比較するステップの結果に基づいて第1の試料をTRU、PP、またはPIに分類するステップとをさらに含む。一部の場合では、前記比較するステップが、前記試料から得られた前記発現データと、前記少なくとも1種のトレーニングセットからの前記発現データとの間の相関を判定することを含む、統計的アルゴリズムを適用することと、前記統計的アルゴリズムの結果に基づいて前記試料をTRU、PP、またはPIサブタイプに分類することとを含む。一部の場合では、前記複数の分類指標バイオマーカーが、表1に記載されている分類指標バイオマーカーの各々を含む。
なお別の態様では、本明細書において提供されるのは、免疫療法のための腺癌患者を選択するための方法であって、前記患者由来の肺組織試料の腺癌サブタイプを判定するステップと、前記サブタイプに基づいて、免疫療法のための前記患者を選択するステップとを含む方法である。一部の場合では、前記免疫療法がチェックポイント阻害剤療法を含む。一部の場合では、前記チェックポイント阻害剤がPD-1またはPD-L1を標的とする。一部の場合では、前記チェックポイント阻害剤がCTLA-4を標的とする。一部の場合では、前記チェックポイント阻害剤が、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、またはそれらの抗原断片結合性断片である。一部の場合では、前記チェックポイント阻害剤が、イピリムマブまたはその抗原結合性断片である。一部の場合では、前記患者が腺癌を有することが試料の組織学的解析により初めに判定される。一部の場合では、前記患者の腺癌分子サブタイプが、スクアモイド(近位炎症性)、ブロンコイド(終末呼吸単位)、またはマグノイド(近位増殖性)から選択され、前記患者から得られた試料の組織学的解析によって判定される。一部の場合では、前記試料が、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)肺組織試料、新鮮なもしくは冷凍組織試料、エキソソーム、または前記患者から得られた体液である。一部の場合では、前記体液が、血液もしくはその画分、尿、唾液、または喀痰である。一部の場合では、前記腺癌サブタイプを判定する前記ステップが、複数の分類指標バイオマーカーの発現レベルを判定することを含む。一部の場合では、前記複数の分類指標バイオマーカーの前記発現レベルを判定することが、RNA配列決定、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、またはハイブリダイゼーションベースの解析を行うことにより核酸レベルでなされる。一部の場合では、前記腺癌サブタイプを判定するための前記複数の分類指標バイオマーカーが、公的に利用可能な肺腺癌データセットから選択される。一部の場合では、前記公的に利用可能な肺腺癌データセットが、TCGA肺AD RNAseqデータセットである。一部の場合では、前記腺癌サブタイプを判定するための前記複数の分類指標バイオマーカーが、表1から選択される。一部の場合では、前記RT-PCRが、定量的リアルタイム逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(qRT-PCR)である。一部の場合では、前記RT-PCRが、表1の前記複数の分類指標バイオマーカーに特異的なプライマーを用いて行われる。一部の場合では、前記方法は、表1の前記複数の分類指標バイオマーカーの前記検出された発現レベルを、少なくとも1種のサンプルトレーニングセットにおける表1の前記複数の分類指標バイオマーカーの発現と比較するステップであって、前記少なくとも1種のサンプルトレーニングセットが、参照腺癌TRU試料からの表1の前記複数の分類指標バイオマーカーの発現データ、参照腺癌PP試料からの表1の前記複数の分類指標バイオマーカーの発現データ、参照腺癌PI試料からの表1の前記複数の分類指標バイオマーカーの発現データ、またはそれらの組合せを含む、ステップと、前記比較するステップの結果に基づいて第1の試料をTRU、PP、またはPIに分類するステップとをさらに含む。一部の場合では、前記比較するステップが、前記試料から得られた前記発現データと、前記少なくとも1種のトレーニングセットからの前記発現データとの間の相関を判定することを含む、統計的アルゴリズムを適用することと、前記統計的アルゴリズムの結果に基づいて前記試料をTRU、PP、またはPIサブタイプに分類することとを含む。一部の場合では、前記複数の分類指標バイオマーカーが、表1に記載されている分類指標バイオマーカーの各々を含む。
1つの態様では、本明細書において提供されるのは、対象において肺がんを処置する方法であって、前記対象から得られた肺がん試料中の少なくとも1種のバイオマーカー核酸の発現レベルを測定するステップであって、前記少なくとも1種のバイオマーカー核酸が、表1に列挙される一組のバイオマーカーから選択され、前記少なくとも1種のバイオマーカーの存在、非存在、および/またはレベルが、前記肺がんのサブタイプを示す、ステップと、前記肺がんの前記サブタイプに基づいて免疫療法剤を投与するステップとを含む、方法である。一部の場合では、前記肺がん試料が、腺癌の肺がん試料である。一部の場合では、前記一組のバイオマーカーから選択される前記少なくとも1種のバイオマーカー核酸が、表1の少なくとも2種のバイオマーカー核酸、少なくとも8種のバイオマーカー核酸、少なくとも16種のバイオマーカー核酸、少なくとも32種のバイオマーカー核酸、または48種のバイオマーカー核酸すべてを含むか、それらから本質的になるか、またはそれらからなる。一部の場合では、前記肺組織試料が腺癌であると過去に診断された。一部の場合では、前記過去の診断が組織学的検査によるものであった。一部の場合では、前記方法は、さらなる一組のバイオマーカーからの少なくとも1種のバイオマーカーの発現を測定するステップをさらに含む。一部の場合では、前記さらなる一組のバイオマーカーが、自然免疫細胞(IIC)、適応免疫細胞(AIC)、1つもしくは複数の個々の免疫バイオマーカー、1つもしくは複数のインターフェロン(IFN)遺伝子、1つもしくは複数の主要組織適合遺伝子複合体、クラスII(MHCII)遺伝子、またはそれらの組合せの遺伝子発現シグネチャーを含む。一部の場合では、前記さらなる一組のバイオマーカーが、表4A、4B、5、6、7、またはそれらの組合せから選択される遺伝子を含む。一部の場合では、AICの前記遺伝子発現シグネチャーが、表4Aから選択される。一部の場合では、IICの前記遺伝子発現シグネチャーが、表4Bから選択される。一部の場合では、前記1つまたは複数の個々の免疫バイオマーカーが、表5から選択される。一部の場合では、前記1つまたは複数のIFN遺伝子が、表6から選択される。一部の場合では、前記1つまたは複数のMHCII遺伝子が、表7から選択される。一部の場合では、前記発現レベルを測定する前記ステップが、増幅、ハイブリダイゼーション、および/または配列決定アッセイを使用して遂行される。一部の場合では、前記増幅、ハイブリダイゼーション、および/または配列決定アッセイが、定量的リアルタイム逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(qRT-PCR)、RNAseq、マイクロアレイ、遺伝子チップ、nCounter遺伝子発現アッセイ、遺伝子発現連続解析(SAGE)、遺伝子発現高速解析(RAGE)、ヌクレアーゼプロテクションアッセイ、ノーザンブロッティング、または任意の他の均等な遺伝子発現検出技術を行うことを含む。一部の場合では、前記発現レベルが、qRT-PCRを行うことにより検出される。一部の場合では、前記試料が、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)肺組織試料、新鮮なもしくは冷凍組織試料、エキソソーム、洗浄液、細胞ペレット、または前記患者から得られた体液である。一部の場合では、前記体液が、血液もしくはその画分、尿、唾液、または喀痰である。一部の場合では、前記対象の腺癌サブタイプが、スクアモイド(近位炎症性)、ブロンコイド(終末呼吸単位)、またはマグノイド(近位増殖性)から選択される。一部の場合では、前記肺がんサブタイプが近位炎症性であり、前記免疫療法剤がチェックポイント阻害剤を含む。一部の場合では、前記チェックポイント阻害剤がPD-1またはPD-L1を標的とする。一部の場合では、前記チェックポイント阻害剤がCTLA-4を標的とする。一部の場合では、前記チェックポイント阻害剤が、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、またはそれらの抗原断片結合性断片である。一部の場合では、前記チェックポイント阻害剤が、イピリムマブまたはその抗原結合性断片である。一部の場合では、前記少なくとも1種のバイオマーカー核酸が、複数のバイオマーカー核酸であり、前記複数のバイオマーカー核酸が、公的に利用可能な肺腺癌データセットからの1つまたは複数のバイオマーカー核酸と組み合わせた、表1に列挙される少なくとも1種のバイオマーカー核酸を含み、前記複数のバイオマーカー核酸の存在、非存在、および/またはレベルが、前記肺がんのサブタイプを示す。一部の場合では、前記少なくとも1種のバイオマーカー核酸が、複数のバイオマーカー核酸であり、前記複数のバイオマーカー核酸が、公的に利用可能な肺腺癌データセットからの1つまたは複数のバイオマーカー核酸と組み合わせた、表1に列挙される前記バイオマーカー核酸のすべてを含み、前記複数のバイオマーカー核酸の存在、非存在、および/またはレベルが、前記肺がんのサブタイプを示す。一部の場合では、前記公的に利用可能な肺腺癌データセットが、TCGA肺AD RNAseqデータセットである。
特定の実施形態では、例えば、以下が提供される:
(項目1)
患者から得られた肺組織試料の腺癌(AD)サブタイプを判定するための方法であって、前記方法が、表1の少なくとも1種の分類指標バイオマーカーの発現レベルを検出するステップを含み、前記分類指標バイオマーカーの前記発現レベルの前記検出が、終末呼吸単位(TRU)、近位増殖性(PP)、または近位炎症性(PI)ADサブタイプを特異的に特定する、方法。
(項目2)
表1の前記少なくとも1種の分類指標バイオマーカーの前記検出された発現レベルを、少なくとも1種のサンプルトレーニングセットにおける表1の前記少なくとも1種の分類指標バイオマーカーの発現と比較するステップであって、前記少なくとも1種のサンプルトレーニングセットが、参照AD TRU試料からの表1の前記少なくとも1種の分類指標バイオマーカーの発現データ、参照AD PP試料からの表1の前記少なくとも1種の分類指標バイオマーカーの発現データ、参照AD PI試料からの表1の前記少なくとも1種の分類指標バイオマーカーの発現データ、またはそれらの組合せを含む、ステップと、前記比較するステップの結果に基づいて前記試料をTRU、PP、またはPIサブタイプに分類するステップとをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記比較するステップが、前記試料から得られた前記発現データと、前記少なくとも1種のトレーニングセットからの前記発現データとの間の相関を判定することを含む、統計的アルゴリズムを適用することと、前記統計的アルゴリズムの結果に基づいて前記試料をTRU、PP、またはPIサブタイプに分類することとを含む、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記分類指標バイオマーカーの前記発現レベルが、核酸レベルで検出される、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目5)
前記核酸レベルがRNAまたはcDNAである、項目4に記載の方法。
(項目6)
前記発現レベルを検出するステップが、定量的リアルタイム逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(qRT-PCR)、RNAseq、マイクロアレイ、遺伝子チップ、nCounter遺伝子発現アッセイ、遺伝子発現連続解析(SAGE)、遺伝子発現高速解析(RAGE)、ヌクレアーゼプロテクションアッセイ、ノーザンブロッティング、または任意の他の均等な遺伝子発現検出技術を行うことを含む、項目4または5に記載の方法。
(項目7)
前記発現レベルが、qRT-PCRを行うことにより検出される、項目6に記載の方法。
(項目8)
前記発現レベルの前記検出が、表1の少なくとも1種の分類指標バイオマーカーに特異的な少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマーを使用することを含む、項目7に記載の方法。
(項目9)
前記試料が、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)肺組織試料、新鮮なもしくは冷凍組織試料、エキソソーム、洗浄液、細胞ペレット、または前記患者から得られた体液である、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目10)
前記体液が、血液もしくはその画分、尿、唾液、または喀痰である、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記少なくとも1種の分類指標バイオマーカーが、複数の分類指標バイオマーカーを含む、前記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目12)
前記複数の分類指標バイオマーカーが、表1の少なくとも2種の分類指標バイオマーカー、少なくとも8種の分類指標バイオマーカー、少なくとも16種の分類指標バイオマーカー、少なくとも24種の分類指標バイオマーカー、少なくとも32種の分類指標バイオマーカー、少なくとも40種の分類指標バイオマーカー、または少なくとも48種の分類指標バイオマーカーを含む、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記少なくとも1種の分類指標バイオマーカーが、表1の分類指標バイオマーカーのすべてを含む、項目1から10のいずれかに記載の方法。
(項目14)
肺がん細胞において特異的な発現パターンを有する分類指標バイオマーカーをコードする少なくとも1種の核酸分子の発現レベルを検出するステップを含む、患者から得られた肺組織試料の腺癌(AD)サブタイプを判定するための方法であって、前記分類指標バイオマーカーが、表1に記載されている分類指標遺伝子からなる群から選択され、前記方法が、(a)患者由来の肺組織試料から核酸物質を単離するステップと、(b)前記核酸物質を、前記分類指標バイオマーカーの核酸分子の一部分に対して実質的に相補的であるオリゴヌクレオチドと混合するステップと、(c)前記分類指標バイオマーカーの発現を検出するステップとを含む方法。
(項目15)
表1の前記少なくとも1種の分類指標バイオマーカーの前記検出された発現レベルを、少なくとも1種のサンプルトレーニングセットにおける表1の前記少なくとも1種の分類指標バイオマーカーの発現と比較するステップであって、前記少なくとも1種のサンプルトレーニングセットが、参照AD TRU試料からの表1の前記少なくとも1種の分類指標バイオマーカーの発現データ、参照AD PP試料からの表1の前記少なくとも1種の分類指標バイオマーカーの発現データ、参照AD PI試料からの表1の前記少なくとも1種の分類指標バイオマーカーの発現データ、またはそれらの組合せを含む、ステップと、前記比較するステップの結果に基づいて前記試料をTRU、PP、またはPIサブタイプに分類するステップとをさらに含む、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記比較するステップが、前記試料から得られた前記発現データと、前記少なくとも1種のトレーニングセットからの前記発現データとの間の相関を判定することを含む、統計的アルゴリズムを適用することと、前記統計的アルゴリズムの結果に基づいて前記試料をTRU、PP、またはPIサブタイプに分類することとを含む、項目15に記載の方法。
(項目17)
前記発現レベルを検出する前記ステップが、qRT-PCRまたは任意のハイブリダイゼーションベースの遺伝子アッセイを行うことを含む、項目14から16のいずれかに記載の方法。
(項目18)
前記発現レベルが、qRT-PCRを行うことにより検出される、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記発現レベルの前記検出が、表1の少なくとも1種の分類指標バイオマーカーに特異的な少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマーを使用することを含む、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記分類指標バイオマーカーの前記検出された発現レベルに基づいて、肺腺癌(AD)のサブタイプを処置するための療法に対する応答を予測するステップをさらに含む、項目14から19のいずれかに記載の方法。
(項目21)
前記療法が、化学療法、血管新生阻害剤、および/または免疫療法である、項目20に記載の方法。
(項目22)
肺ADの前記サブタイプがTRUであり、前記療法が化学療法または血管新生阻害剤である、項目21に記載の方法。
(項目23)
肺ADの前記サブタイプがPPであり、前記療法が化学療法である、項目21に記載の方法。
(項目24)
肺ADの前記サブタイプがPIであり、前記療法が免疫療法である、項目21に記載の方法。
(項目25)
前記試料が、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)肺組織試料、新鮮なもしくは冷凍組織試料、エキソソーム、洗浄液、細胞ペレット、または前記患者から得られた体液である、項目14から24のいずれか一項に記載の方法。
(項目26)
前記体液が、血液もしくはその画分、尿、唾液、または喀痰である、項目25に記載の方法。
(項目27)
分類指標バイオマーカーをコードする前記少なくとも1種の核酸分子が、複数の分類指標バイオマーカーをコードする複数の核酸分子を含む、項目14から26のいずれかに記載の方法。
(項目28)
前記複数の分類指標バイオマーカーが、表1の少なくとも2種の分類指標バイオマーカー、少なくとも5種の分類指標バイオマーカー、少なくとも10種の分類指標バイオマーカー、少なくとも20種の分類指標バイオマーカー、または少なくとも30種の分類指標バイオマーカーを含む、項目27に記載の方法。
(項目29)
前記少なくとも1種の分類指標バイオマーカーが、表1の分類指標バイオマーカーのすべてを含む、項目14から26のいずれかに記載の方法。
(項目30)
患者から得られた肺組織試料中のバイオマーカーを検出する方法であって、増幅、ハイブリダイゼーション、および/または配列決定アッセイを使用して、表1から選択される複数のバイオマーカー核酸の発現レベルを測定するステップを含む方法。
(項目31)
前記肺組織試料が腺癌であると過去に診断された、項目30に記載の方法。
(項目32)
前記過去の診断が組織学的検査によるものであった、項目31に記載の方法。
(項目33)
前記配列決定アッセイが、定量的リアルタイム逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(qRT-PCR)、RNAseq、マイクロアレイ、遺伝子チップ、nCounter遺伝子発現アッセイ、遺伝子発現連続解析(SAGE)、遺伝子発現高速解析(RAGE)、ヌクレアーゼプロテクションアッセイ、ノーザンブロッティング、または任意の他の均等な遺伝子発現検出技術を行うことを含む、項目30から32のいずれかに記載の方法。
(項目34)
前記発現レベルが、qRT-PCRを行うことにより検出される、項目33に記載の方法。
(項目35)
前記発現レベルの前記検出が、表1から選択される前記複数のバイオマーカー核酸の各々あたり少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマーを使用することを含む、項目34に記載の方法。
(項目36)
前記試料が、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)肺組織試料、新鮮なもしくは冷凍組織試料、エキソソーム、洗浄液、細胞ペレット、または前記患者から得られた体液である、項目30から35のいずれかに記載の方法。
(項目37)
前記体液が、血液もしくはその画分、尿、唾液、または喀痰である、項目36に記載の方法。
(項目38)
前記複数のバイオマーカー核酸が、表1の少なくとも2種のバイオマーカー核酸、少なくとも10種のバイオマーカー核酸、少なくとも20種のバイオマーカー核酸、少なくとも30種のバイオマーカー核酸、少なくとも40種のバイオマーカー核酸、少なくとも50種のバイオマーカー核酸、少なくとも60種のバイオマーカー核酸、または少なくとも70種のバイオマーカー核酸を含むか、それらから本質的になるか、またはそれらからなる、項目30から37のいずれかに記載の方法。
(項目39)
前記複数のバイオマーカー核酸が、表1の分類指標バイオマーカー核酸のすべてを含むか、それらから本質的になるか、またはそれらからなる、項目30から37のいずれかに記載の方法。
(項目40)
患者から得られた肺組織試料中のバイオマーカーを検出する方法であって、増幅、ハイブリダイゼーション、および/または配列決定アッセイを使用して、表1から選択される複数のバイオマーカー核酸の発現レベルを測定するステップから本質的になる方法。
(項目41)
前記肺組織試料が腺癌であると過去に診断された、項目40に記載の方法。
(項目42)
前記過去の診断が組織学的検査によるものであった、項目41に記載の方法。
(項目43)
前記配列決定アッセイが、定量的リアルタイム逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(qRT-PCR)、RNAseq、マイクロアレイ、遺伝子チップ、nCounter遺伝子発現アッセイ、遺伝子発現連続解析(SAGE)、遺伝子発現高速解析(RAGE)、ヌクレアーゼプロテクションアッセイ、ノーザンブロッティング、または任意の他の均等な遺伝子発現検出技術を行うことを含む、項目40から42のいずれかに記載の方法。
(項目44)
前記発現レベルが、qRT-PCRを行うことにより検出される、項目43に記載の方法。
(項目45)
前記発現レベルの前記検出が、表1から選択される前記複数のバイオマーカー核酸の各々あたり少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマーを使用することを含む、項目44に記載の方法。
(項目46)
前記試料が、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)肺組織試料、新鮮なもしくは冷凍組織試料、エキソソーム、洗浄液、細胞ペレット、または前記患者から得られた体液である、項目40から45のいずれかに記載の方法。
(項目47)
前記体液が、血液もしくはその画分、尿、唾液、または喀痰である、項目46に記載の方法。
(項目48)
前記複数のバイオマーカー核酸が、表1の少なくとも2種のバイオマーカー核酸、少なくとも10種のバイオマーカー核酸、少なくとも20種のバイオマーカー核酸、少なくとも30種のバイオマーカー核酸、少なくとも40種のバイオマーカー核酸、少なくとも50種のバイオマーカー核酸、少なくとも60種のバイオマーカー核酸、または少なくとも70種のバイオマーカー核酸を含むか、それらから本質的になるか、またはそれらからなる、項目40から47のいずれかに記載の方法。
(項目49)
前記複数のバイオマーカー核酸が、表1の分類指標バイオマーカー核酸のすべてを含むか、それらから本質的になるか、またはそれらからなる、項目40から47のいずれかに記載の方法。
(項目50)
患者から得られた肺組織試料中のバイオマーカーを検出する方法であって、増幅、ハイブリダイゼーション、および/または配列決定アッセイを使用して、表1から選択される複数のバイオマーカー核酸の発現レベルを測定するステップからなる方法。
(項目51)
前記肺組織試料が腺癌であると過去に診断された、項目50に記載の方法。
(項目52)
前記過去の診断が組織学的検査によるものであった、項目51に記載の方法。
(項目53)
前記配列決定アッセイが、定量的リアルタイム逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(qRT-PCR)、RNAseq、マイクロアレイ、遺伝子チップ、nCounter遺伝子発現アッセイ、遺伝子発現連続解析(SAGE)、遺伝子発現高速解析(RAGE)、ヌクレアーゼプロテクションアッセイ、ノーザンブロッティング、または任意の他の均等な遺伝子発現検出技術を行うことを含む、項目50から52のいずれかに記載の方法。
(項目54)
前記発現レベルが、qRT-PCRを行うことにより検出される、項目53に記載の方法。
(項目55)
前記発現レベルの前記検出が、表1から選択される前記複数のバイオマーカー核酸の各々あたり少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマーを使用することを含む、項目54に記載の方法。
(項目56)
前記試料が、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)肺組織試料、新鮮なもしくは冷凍組織試料、エキソソーム、洗浄液、細胞ペレット、または前記患者から得られた体液である、項目50から55のいずれかに記載の方法。
(項目57)
前記体液が、血液もしくはその画分、尿、唾液、または喀痰である、項目56に記載の方法。
(項目58)
前記複数のバイオマーカー核酸が、表1の少なくとも2種のバイオマーカー核酸、少なくとも10種のバイオマーカー核酸、少なくとも20種のバイオマーカー核酸、少なくとも30種のバイオマーカー核酸、少なくとも40種のバイオマーカー核酸、少なくとも50種のバイオマーカー核酸、少なくとも60種のバイオマーカー核酸、または少なくとも70種のバイオマーカー核酸を含むか、それらから本質的になるか、またはそれらからなる、項目50から57のいずれかに記載の方法。
(項目59)
前記複数のバイオマーカー核酸が、表1の分類指標バイオマーカー核酸のすべてを含むか、それらから本質的になるか、またはそれらからなる、項目50から57のいずれかに記載の方法。
(項目60)
腺癌患者が免疫療法に応答する可能性が高いかどうかを判定する方法であって、
前記患者由来の肺組織試料の腺癌サブタイプを判定するステップであって、前記腺癌サブタイプが、スクアモイド(近位炎症性)、ブロンコイド(終末呼吸単位)、およびマグノイド(近位増殖性)からなる群から選択される、ステップと、
前記サブタイプに基づいて、前記患者が免疫療法に応答する可能性が高いかどうかを査定するステップと
を含む方法。
(項目61)
免疫療法のための腺癌患者を選択するための方法であって、前記患者由来の肺組織試料の腺癌サブタイプを判定するステップと、前記サブタイプに基づいて、免疫療法のための前記患者を選択するステップとを含む方法。
(項目62)
前記免疫療法がチェックポイント阻害剤療法を含む、項目60または61に記載の方法。
(項目63)
前記チェックポイント阻害剤がPD-1またはPD-L1を標的とする、項目62に記載の方法。
(項目64)
前記チェックポイント阻害剤がCTLA-4を標的とする、項目62に記載の方法。
(項目65)
前記チェックポイント阻害剤が、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、またはそれらの抗原断片結合性断片である、項目63に記載の方法。
(項目66)
前記チェックポイント阻害剤が、イピリムマブまたはその抗原結合性断片である、項目64に記載の方法。
(項目67)
前記患者が腺癌を有することが試料の組織学的解析により初めに判定される、項目60から66のいずれか一項に記載の方法。
(項目68)
前記患者の腺癌分子サブタイプが、スクアモイド(近位炎症性)、ブロンコイド(終末呼吸単位)、またはマグノイド(近位増殖性)から選択され、前記患者から得られた試料の組織学的解析によって判定される、項目60から67のいずれか一項に記載の方法。
(項目69)
前記試料が、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)肺組織試料、新鮮なもしくは冷凍組織試料、エキソソーム、または前記患者から得られた体液である、項目67から68のいずれか一項に記載の方法。
(項目70)
前記体液が、血液もしくはその画分、尿、唾液、または喀痰である、項目69に記載の方法。
(項目71)
前記腺癌サブタイプを判定する前記ステップが、複数の分類指標バイオマーカーの発現レベルを判定することを含む、項目60から70のいずれか一項に記載の方法。
(項目72)
前記複数の分類指標バイオマーカーの前記発現レベルを判定することが、RNA配列決定、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、またはハイブリダイゼーションベースの解析を行うことにより核酸レベルでなされる、項目71に記載の方法。
(項目73)
前記腺癌サブタイプを判定するための前記複数の分類指標バイオマーカーが、公的に利用可能な肺腺癌データセットから選択される、項目71または72に記載の方法。
(項目74)
前記公的に利用可能な肺腺癌データセットが、TCGA肺AD RNAseqデータセットである、項目73に記載の方法。
(項目75)
前記腺癌サブタイプを判定するための前記複数の分類指標バイオマーカーが、表1から選択される、項目72に記載の方法。
(項目76)
前記RT-PCRが、定量的リアルタイム逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(qRT-PCR)である、項目75に記載の方法。
(項目77)
前記RT-PCRが、表1の前記複数の分類指標バイオマーカーに特異的なプライマーを用いて行われる、項目76に記載の方法。
(項目78)
表1の前記複数の分類指標バイオマーカーの前記検出された発現レベルを、少なくとも1種のサンプルトレーニングセットにおける表1の前記複数の分類指標バイオマーカーの発現と比較するステップであって、前記少なくとも1種のサンプルトレーニングセットが、参照腺癌TRU試料からの表1の前記複数の分類指標バイオマーカーの発現データ、参照腺癌PP試料からの表1の前記複数の分類指標バイオマーカーの発現データ、参照腺癌PI試料からの表1の前記複数の分類指標バイオマーカーの発現データ、またはそれらの組合せを含む、ステップと、前記比較するステップの結果に基づいて第1の試料をTRU、PP、またはPIに分類するステップとをさらに含む、項目71から77のいずれか一項に記載の方法。
(項目79)
前記比較するステップが、前記試料から得られた前記発現データと、前記少なくとも1種のトレーニングセットからの前記発現データとの間の相関を判定することを含む、統計的アルゴリズムを適用することと、前記統計的アルゴリズムの結果に基づいて前記試料をTRU、PP、またはPIサブタイプに分類することとを含む、項目78に記載の方法。
(項目80)
前記複数の分類指標バイオマーカーが、表1に記載されている分類指標バイオマーカーの各々を含む、項目71から79のいずれかに記載の方法。
(項目81)
対象において肺がんを処置する方法であって、
前記対象から得られた肺がん試料中の少なくとも1種のバイオマーカー核酸の発現レベルを測定するステップであって、前記少なくとも1種のバイオマーカー核酸が、表1に列挙される一組のバイオマーカーから選択され、前記少なくとも1種のバイオマーカーの存在、非存在、および/またはレベルが、前記肺がんのサブタイプを示す、ステップと、
前記肺がんの前記サブタイプに基づいて免疫療法剤を投与するステップと
を含む、方法。
(項目82)
前記肺がん試料が、腺癌の肺がん試料である、項目81に記載の方法。
(項目83)
前記一組のバイオマーカーから選択される前記少なくとも1種のバイオマーカー核酸が、表1の少なくとも2種のバイオマーカー核酸、少なくとも8種のバイオマーカー核酸、少なくとも16種のバイオマーカー核酸、少なくとも32種のバイオマーカー核酸、または48種のバイオマーカー核酸すべてを含むか、それらから本質的になるか、またはそれらからなる、項目82に記載の方法。
(項目84)
前記肺組織試料が腺癌であると過去に診断された、項目81から83のいずれかに記載の方法。
(項目85)
前記過去の診断が組織学的検査によるものであった、項目84に記載の方法。
(項目86)
さらなる一組のバイオマーカーからの少なくとも1種のバイオマーカーの発現を測定するステップをさらに含む、項目81から85のいずれか一項に記載の方法。
(項目87)
前記さらなる一組のバイオマーカーが、自然免疫細胞(IIC)、適応免疫細胞(AIC)、1つもしくは複数の個々の免疫バイオマーカー、1つもしくは複数のインターフェロン(IFN)遺伝子、1つもしくは複数の主要組織適合遺伝子複合体、クラスII(MHCII)遺伝子、またはそれらの組合せの遺伝子発現シグネチャーを含む、項目86に記載の方法。
(項目88)
前記さらなる一組のバイオマーカーが、表4A、4B、5、6、7、またはそれらの組合せから選択される遺伝子を含む、項目87に記載の方法。
(項目89)
AICの前記遺伝子発現シグネチャーが、表4Aから選択される、項目87に記載の方法。
(項目90)
IICの前記遺伝子発現シグネチャーが、表4Bから選択される、項目87に記載の方法。
(項目91)
前記1つまたは複数の個々の免疫バイオマーカーが、表5から選択される、項目87に記載の方法。
(項目92)
前記1つまたは複数のIFN遺伝子が、表6から選択される、項目87に記載の方法。
(項目93)
前記1つまたは複数のMHCII遺伝子が、表7から選択される、項目87に記載の方法。
(項目94)
前記発現レベルを測定する前記ステップが、増幅、ハイブリダイゼーション、および/または配列決定アッセイを使用して遂行される、項目81から93のいずれかに記載の方法。
(項目95)
前記増幅、ハイブリダイゼーション、および/または配列決定アッセイが、定量的リアルタイム逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(qRT-PCR)、RNAseq、マイクロアレイ、遺伝子チップ、nCounter遺伝子発現アッセイ、遺伝子発現連続解析(SAGE)、遺伝子発現高速解析(RAGE)、ヌクレアーゼプロテクションアッセイ、ノーザンブロッティング、または任意の他の均等な遺伝子発現検出技術を行うことを含む、項目94に記載の方法。
(項目96)
前記発現レベルが、qRT-PCRを行うことにより検出される、項目95に記載の方法。
(項目97)
前記試料が、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)肺組織試料、新鮮なもしくは冷凍組織試料、エキソソーム、洗浄液、細胞ペレット、または前記患者から得られた体液である、項目81から96のいずれかに記載の方法。
(項目98)
前記体液が、血液もしくはその画分、尿、唾液、または喀痰である、項目97に記載の方法。
(項目99)
前記対象の腺癌サブタイプが、スクアモイド(近位炎症性)、ブロンコイド(終末呼吸単位)、またはマグノイド(近位増殖性)から選択される、項目81から98のいずれか一項に記載の方法。
(項目100)
前記肺がんサブタイプが近位炎症性であり、前記免疫療法剤がチェックポイント阻害剤を含む、項目99に記載の方法。
(項目101)
前記チェックポイント阻害剤がPD-1またはPD-L1を標的とする、項目100に記載の方法。
(項目102)
前記チェックポイント阻害剤がCTLA-4を標的とする、項目100に記載の方法。
(項目103)
前記チェックポイント阻害剤が、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、またはそれらの抗原断片結合性断片である、項目101に記載の方法。
(項目104)
前記チェックポイント阻害剤が、イピリムマブまたはその抗原結合性断片である、項目102に記載の方法。
(項目105)
前記少なくとも1種のバイオマーカー核酸が、複数のバイオマーカー核酸であり、前記複数のバイオマーカー核酸が、公的に利用可能な肺腺癌データセットからの1つまたは複数のバイオマーカー核酸と組み合わせた、表1に列挙される少なくとも1種のバイオマーカー核酸を含み、前記複数のバイオマーカー核酸の存在、非存在、および/またはレベルが、前記肺がんのサブタイプを示す、項目81に記載の方法。
(項目106)
前記少なくとも1種のバイオマーカー核酸が、複数のバイオマーカー核酸であり、前記複数のバイオマーカー核酸が、公的に利用可能な肺腺癌データセットからの1つまたは複数のバイオマーカー核酸と組み合わせた、表1に列挙される前記バイオマーカー核酸のすべてを含み、前記複数のバイオマーカー核酸の存在、非存在、および/またはレベルが、前記肺がんのサブタイプを示す、項目81に記載の方法。
(項目107)
前記公的に利用可能な肺腺癌データセットが、TCGA肺AD RNAseqデータセットである、項目105または106に記載の方法。
図1は、肺がんサブタイピングならびに扁平上皮癌(SCCまたはSQ)および腺癌(ACまたはAD)の生物学的サブタイプを例示する。
図2は、実施例1に記載される研究において使用した肺ADデータセットを例示する。
図3は、Cancer Genome Atlas(TCGA)の肺ADデータセットにおける免疫細胞シグネチャー発現(すなわち、実施例1のBindeaらによる参考文献)、他の免疫マーカー、および個々の免疫マーカーのヒートマップを例示する。TRUは終末呼吸単位であり、PPは近位増殖性であり、PIは近位炎症性である。
図4は、TCGAのADデータセットにおける免疫細胞シグネチャーを階層的クラスタリングによって並べたシグネチャーの相関行列を例示する。より濃い赤色は、一対の遺伝子がより強く正の相関を示すことを意味する。白色は、相関がないことを意味する。より濃い青色は、負の相関を意味する。
図5は、実施例1に記載される複数のADデータセット間のT細胞シグネチャー遺伝子発現サブタイプパターンの再現性を例示する。TRUは終末呼吸単位であり、PPは近位増殖性であり、PIは近位炎症性である。RNAseq(Illumina、San Diego、CA)ならびにAffymetrix(Santa Clara、CA)およびAgilent(Santa Clara、CA)の両方によるマイクロアレイ。 図5は、実施例1に記載される複数のADデータセット間のT細胞シグネチャー遺伝子発現サブタイプパターンの再現性を例示する。TRUは終末呼吸単位であり、PPは近位増殖性であり、PIは近位炎症性である。RNAseq(Illumina、San Diego、CA)ならびにAffymetrix(Santa Clara、CA)およびAgilent(Santa Clara、CA)の両方によるマイクロアレイ。 図5は、実施例1に記載される複数のADデータセット間のT細胞シグネチャー遺伝子発現サブタイプパターンの再現性を例示する。TRUは終末呼吸単位であり、PPは近位増殖性であり、PIは近位炎症性である。RNAseq(Illumina、San Diego、CA)ならびにAffymetrix(Santa Clara、CA)およびAgilent(Santa Clara、CA)の両方によるマイクロアレイ。
図6は、TCGAデータセットの腺癌(AD)評価におけるCD274(PD-L1)発現と適応免疫細胞(AIC)シグネチャーとの間の関連性(調整済み決定係数(adjusted R-squared))を例示する。関連性は、PD-L1よりもサブタイプに対して一貫して強かった。Tcmは、セントラルメモリーT細胞であり、Temは、エフェクターメモリーT細胞であり、Th1は、1型Tヘルパー細胞であり、Th2は、2型Tヘルパー細胞であり、TFHは、濾胞性ヘルパーT細胞であり、Th17は、Tヘルパー17細胞であり、Tregは、制御性T細胞であり、Tgdは、ガンマデルタT細胞である。
図7A~7Bは、実施例1に記載されるように、全体的およびサブタイプ別のシグネチャーと生存期間の関連性を例示する。層別coxモデルから算出されたハザード比(HR)および信頼区間(CI)は、正規化された免疫マーカーの単位増加に対応し、病理学的ステージに合わせて調整した。サブタイプ特有のHRはステージに合わせて調整し(全体はステージおよびサブタイプによって調整した)、少なくとも1種のサブタイプに対して有意な関連性(名目上p<0.05)を有する免疫特徴のみが示されている。ADは、腺癌であり、TRUは、終末呼吸単位であり、PPは、近位増殖性であり、PIは、近位炎症性であり、MHC IIは、主要組織適合性クラスII遺伝子シグネチャーであり、Th1は、1型Tヘルパー細胞であり、Th2は、2型Tヘルパー細胞であり、TFHは、濾胞性ヘルパーT細胞であり、Th17は、Tヘルパー17細胞であり、Tregは、制御性T細胞であり、DCは、樹状細胞であり、iDCは、未成熟樹状細胞である。図7A~7Bは、TCGAコホート(図7A)またはTGCA、Shedden、およびTomidaコホート(図7B)における、ADサブタイプによる免疫細胞シグネチャーおよびマーカーの生存期間関連性を示す。サブタイプ特有の免疫マーカーハザード比および95%信頼区間は、図7AのTCGAコホート(n=515 AD)における5年の全生存期間に対するものであった。 図7A~7Bは、実施例1に記載されるように、全体的およびサブタイプ別のシグネチャーと生存期間の関連性を例示する。層別coxモデルから算出されたハザード比(HR)および信頼区間(CI)は、正規化された免疫マーカーの単位増加に対応し、病理学的ステージに合わせて調整した。サブタイプ特有のHRはステージに合わせて調整し(全体はステージおよびサブタイプによって調整した)、少なくとも1種のサブタイプに対して有意な関連性(名目上p<0.05)を有する免疫特徴のみが示されている。ADは、腺癌であり、TRUは、終末呼吸単位であり、PPは、近位増殖性であり、PIは、近位炎症性であり、MHC IIは、主要組織適合性クラスII遺伝子シグネチャーであり、Th1は、1型Tヘルパー細胞であり、Th2は、2型Tヘルパー細胞であり、TFHは、濾胞性ヘルパーT細胞であり、Th17は、Tヘルパー17細胞であり、Tregは、制御性T細胞であり、DCは、樹状細胞であり、iDCは、未成熟樹状細胞である。図7A~7Bは、TCGAコホート(図7A)またはTGCA、Shedden、およびTomidaコホート(図7B)における、ADサブタイプによる免疫細胞シグネチャーおよびマーカーの生存期間関連性を示す。サブタイプ特有の免疫マーカーハザード比および95%信頼区間は、図7AのTCGAコホート(n=515 AD)における5年の全生存期間に対するものであった。
図8は、ADのサブタイピングのために含めるのに最適な遺伝子数を判定するために、RNASeq肺腺癌(AD)データセットに対してCancer Genome Atlas(TCGA)から行われた5分割交差検証研究を例示する。終末呼吸単位(TRU)は、旧称ブロンキオイドである。近位増殖性(PP)は、旧称マグノイドである。近位炎症性(PI)は、旧称スクアモイドである。
図9は、本明細書に記載されるAD予測因子の遺伝子シグネチャートレーニングのためのシルエットスコアによるプロトタイプ試料の選択を例示する。
図10は、ブロンキオイド試料(終末呼吸単位)を区別するために選択された48種の遺伝子分類指標のうち16種の遺伝子サブセットの遺伝子発現中央値を例示する。
図11は、マグノイド試料(近位増殖性)を区別するために選択された48種の遺伝子分類指標のうち16種の遺伝子サブセットの遺伝子発現中央値を例示する。
図12は、スクアモイド試料(近位炎症性)を区別するために選択された48種の遺伝子分類指標のうち16種の遺伝子サブセットの遺伝子発現中央値を例示する。
図13は、複数の検証データセットについて至適基準のサブタイプを定義するための506遺伝子分類指標を用いた本明細書において提供される48種の遺伝子シグネチャーによるADサブタイプ予測の一致率を例示する。至適基準(TCGA)との一致率は87%である。Shedden、Tomida、UNC、およびFFPEとの一致率は、それぞれ、87%、79%、92%、および84%である。
図14は、Cancer Genome Atlas(TCGA)の肺ADデータセットにおける免疫細胞シグネチャー(すなわち、実施例3のBindeaらによる参考文献)および他の免疫マーカーのヒートマップを例示する。
図15は、実施例3に記載される複数のADデータセット間のT細胞シグネチャー遺伝子発現サブタイプパターンの再現性を例示する。 図15は、実施例3に記載される複数のADデータセット間のT細胞シグネチャー遺伝子発現サブタイプパターンの再現性を例示する。 図15は、実施例3に記載される複数のADデータセット間のT細胞シグネチャー遺伝子発現サブタイプパターンの再現性を例示する。
図16は、実施例3に記載されるように、CD274(PD-L1)発現と適応免疫細胞(AIC)シグネチャーとの間の関連性(調整済み決定係数)をサブタイプおよびAICシグネチャーと対比して例示する。Tcmは、セントラルメモリーT細胞であり、Temは、エフェクターメモリーT細胞であり、Th1は、1型Tヘルパー細胞であり、Th2は、2型Tヘルパー細胞であり、TFHは、濾胞性ヘルパーT細胞であり、Th17は、Tヘルパー17細胞であり、Tregは、制御性T細胞であり、Tgdは、ガンマデルタT細胞である。
図17は、実施例3に記載されるように、全体的およびサブタイプ別のADシグネチャーと生存期間の関連性を例示する。ハザード比(HR)および信頼区間は、層別coxモデルから算出された。サブタイプ特有のHRはステージに合わせて調整し(全体はステージおよびサブタイプによって調整した)、有意な関連性(p<0.05)を有する免疫特徴のみが示されている。
図18は、ADによるすべての免疫細胞およびイムノマーカー(すなわち、IFN遺伝子、MHCII遺伝子、ならびに個々のイムノマーカーPDL1、PDL2、PDCD1、およびCTLA4)のボックスプロットを例示する。TRUは終末呼吸単位であり、PPは近位増殖性であり、PIは近位炎症性である。ACは腺癌である。 図18は、ADによるすべての免疫細胞およびイムノマーカー(すなわち、IFN遺伝子、MHCII遺伝子、ならびに個々のイムノマーカーPDL1、PDL2、PDCD1、およびCTLA4)のボックスプロットを例示する。TRUは終末呼吸単位であり、PPは近位増殖性であり、PIは近位炎症性である。ACは腺癌である。 図18は、ADによるすべての免疫細胞およびイムノマーカー(すなわち、IFN遺伝子、MHCII遺伝子、ならびに個々のイムノマーカーPDL1、PDL2、PDCD1、およびCTLA4)のボックスプロットを例示する。TRUは終末呼吸単位であり、PPは近位増殖性であり、PIは近位炎症性である。ACは腺癌である。 図18は、ADによるすべての免疫細胞およびイムノマーカー(すなわち、IFN遺伝子、MHCII遺伝子、ならびに個々のイムノマーカーPDL1、PDL2、PDCD1、およびCTLA4)のボックスプロットを例示する。TRUは終末呼吸単位であり、PPは近位増殖性であり、PIは近位炎症性である。ACは腺癌である。 図18は、ADによるすべての免疫細胞およびイムノマーカー(すなわち、IFN遺伝子、MHCII遺伝子、ならびに個々のイムノマーカーPDL1、PDL2、PDCD1、およびCTLA4)のボックスプロットを例示する。TRUは終末呼吸単位であり、PPは近位増殖性であり、PIは近位炎症性である。ACは腺癌である。
図19は、腺癌(AD)サブタイプ非サイレント突然変異量、ADにおけるSTK11不活性化(突然変異および/または欠失)、ならびにMHCクラスIIシグネチャーを、クラスカル-ウォリス関連性検定のp値とともに例示する。TRUは、終末呼吸単位であり、PPは、近位増殖性であり、PIは、近位炎症性であり、MHC IIは、主要組織適合性クラスII遺伝子シグネチャーである。
図20は、増殖、非サイレント突然変異量、ならびに肝要な薬物標的であるCD274(PD-L1)、PDCD1(PD-1)、およびCTLA4における腺癌(AD)サブタイプの有意差を例示する。ADは、実施例4に記載するように判定した。 図20は、増殖、非サイレント突然変異量、ならびに肝要な薬物標的であるCD274(PD-L1)、PDCD1(PD-1)、およびCTLA4における腺癌(AD)サブタイプの有意差を例示する。ADは、実施例4に記載するように判定した。 図20は、増殖、非サイレント突然変異量、ならびに肝要な薬物標的であるCD274(PD-L1)、PDCD1(PD-1)、およびCTLA4における腺癌(AD)サブタイプの有意差を例示する。ADは、実施例4に記載するように判定した。
図21は、臨床的な固形腫瘍突然変異パネル(表8に開示されている322種の遺伝子)における過半数の遺伝子に関するADサブタイプの薬物標的遺伝子発現の有意差を例示する。ADサブタイプでは、パネル遺伝子の65%が、有意に変化する発現(KWボンフェローニ閾値p<0.000155)を示した。ADサブタイピングは、実施例4に記載するように判定した。
図22は、臨床的な固形腫瘍突然変異パネル(表8に開示されている322種の遺伝子)における過半数の遺伝子に関するADの薬物標的遺伝子発現の有意差を例示する。ADサブタイプでは、パネル遺伝子の63%が、有意に変化する発現(KWボンフェローニ閾値p<0.000155)を示した。ADサブタイピングは、実施例5に記載するように判定した。
図23は、増殖における腺癌(AD)サブタイプの有意差を例示する。ADサブタイピングは、実施例5に記載するように判定した。
発明の詳細な説明
概説
本発明は、肺がんを特定または診断するためのキット、組成物、および方法を提供する。すなわち、本方法は、肺がん、特に肺腺癌(AD)のサブセットを分子的に定義するために有用であり得る。本方法は、治療応答の予後診断能および予測能を有し得る肺がんの分類を提供する。疫学的目的で有用な用語であるが、「肺がん」は特定の疾患を指さない場合があり、むしろ、肺、気管支、および胸膜の腫瘍の異種集合を表す場合がある。実用的な目的では、肺がんは概して、小細胞肺がん(SCLC)および非小細胞肺がん(NSCLC)の2種の組織学的サブタイプに分けることができる。これらの主な腫瘍タイプは、異なる頻度で提示される場合があり、異なる解剖学的位置を有する場合があり、異なる転移偏向を有する場合があり、療法への応答が異なる場合があり、異なる細胞先駆体に由来する可能性が高い場合がある。
「腺癌サブタイプを判定すること」には、例えば、肺腺癌の存在およびタイプを診断または検出すること、疾患の進行をモニタリングすること、ならびにサブタイプを示す細胞または試料を特定または検出することが含まれ得る。
一実施形態では、肺がんの状態は、1つまたは複数の対象試料における複数の分類指標遺伝子またはバイオマーカーの発現パターンまたはプロファイルの評価によって査定される。論述を目的として、対象または対象試料という用語は、健康および/または疾患状態を問わず個体を指す。対象は、本発明の文脈においては、試料が得られ査定される対象、研究参加者、対照対象、スクリーニング対象、または任意の他のクラスの個体であり得る。したがって、対象は、肺腺癌(そのサブタイプまたはグレードを含む)と診断されている場合があったり、肺ADがんの1つもしくは複数の症状、または肺がんの素因、例えば家族(遺伝的)もしくは病歴(医学的)因子を提示する場合があったり、肺がんの処置または療法を受けている場合があったりする。代替的には、対象は、前述の因子または基準のいずれに関しても健常であり得る。「健常」という用語は任意の絶対的な評価または状態に対応するよう定義することができないため、本明細書で使用される「健常」という用語は、肺がん状態に関するものであることが理解されよう。したがって、任意の規定の疾患または疾患基準に関して健常と定義される個体は、実際には任意の他の1つもしくは複数の疾患と診断されていたり、または1つもしくは複数の他のがんを含む任意の他の1つもしくは複数の疾患基準を呈したりする場合がある。
本明細書で使用される場合、「発現プロファイル」または「バイオマーカープロファイル」または「遺伝子シグネチャー」は、判別的または分類指標遺伝子またはバイオマーカーの発現の相対的な存在量、レベル、存在、または非存在の測定に対応する1つまたは複数の値を含む。発現プロファイルは、肺がんの診断の前もしくは後の対象に由来してもよく、処置もしくは療法の前もしくは後の1つもしくは複数の時点で対象から収集された生物学的試料に由来してもよく、処置もしくは療法が行われない(例えば、肺がんと診断されているかもしくはそのリスクがある対象における疾患の進行をモニタリングするため、もしくは疾患の発症を査定するため)1つもしくは複数の時点で対象から収集された生物学的試料に由来してもよく、または健常な対象から収集されてもよい。対象という用語は、患者と互換的に使用され得る。患者はヒト患者であり得る。本明細書において提供されるバイオマーカープロファイルの1つまたは複数のバイオマーカーは、表1の1つまたは複数のバイオマーカーから選択される。
本明細書で使用される場合、バイオマーカーまたは分類指標に関して使用される「発現レベルを判定すること」または「発現プロファイルを判定すること」または「発現レベルを検出すること」または「発現プロファイルを検出すること」という用語は、バイオマーカー(単数または複数)の量、例えばバイオマーカーポリペプチドまたはmRNA(またはそれに由来するcDNA)の量を定量的、半定量的、または定性的に確認または測定するために、プローブ、プライマー、もしくは抗体などのバイオマーカー特異的試薬および/または方法を、試料、例えば対象もしくは患者の試料および/または対照試料に適用することを意味する。例えば、バイオマーカーのレベルは、例えば、バイオマーカー検出剤、例えば抗体、例えば標識抗体がバイオマーカーに特異的に結合し、例えばポリペプチドバイオマーカーの量の相対的または絶対的な確認を可能にする、例えば免疫組織化学的検査、ELISA、ウエスタンブロット、免疫沈降などを含むイムノアッセイや、例えばマイクロアレイ解析、定量的RT-PCR(qRT-PCR)などのRT-PCR、遺伝子発現連続解析(SAGE)、ノーザンブロット、デジタル分子バーコード技術、例えばNanostring Counter解析、およびTaqMan定量的PCRアッセイを含む、例えばプローブベースおよび増幅ベースの方法を含む、プローブまたはプライマーもしくはプライマーセットを使用して核酸バイオマーカーの量を確認する、ハイブリダイゼーションおよびPCRプロトコールを含むいくつかの方法によって判定することができる。ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織試料または細胞におけるmRNAのin situハイブリダイゼーションなどの、mRNA検出および数量化の他の方法を適用してもよい。この技術は現在、QuantiGene ViewRNA(Affymetrix)によって提供されており、これは、増幅系に特異的に結合してハイブリダイゼーションシグナルを増幅するプローブセットを各mRNAに使用する;これらの増幅されたシグナルは、標準的な蛍光顕微鏡または撮像系を使用して可視化することができる。例えばこの系は、例えば同じ組織切片中に存在する正常および腫瘍細胞を試料が有する場合、不均一試料中の転写物レベルを検出および測定することができる。言及したように、組織試料中の遺伝子発現レベルを測定するために、TaqManプローブベースの遺伝子発現解析(PCRベース)を使用することもでき、この技術は、FFPE試料中のmRNAレベルを測定するのに有用であることが示されている。手短に述べると、TaqManプローブベースのアッセイは、mRNA標的と特異的にハイブリダイズするプローブを利用する。このプローブは、各末端に結合したクエンチャー色素およびレポーター色素(蛍光分子)を含み、mRNA標的との特異的なハイブリダイゼーションが起こったときにのみ蛍光が発せられる。増幅ステップ中、ポリメラーゼ酵素のエキソヌクレアーゼ活性がクエンチャーおよびレポーター色素をプローブから脱離させ、蛍光発光が生じ得る。検出系によってこの蛍光発光が記録され、シグナルが測定される;これらのシグナル強度を使用して、試料中の所与の転写物の存在量(遺伝子発現)を算出する。
一実施形態では、本明細書(例えば表1および2)に記載される遺伝子カセットまたは分類指標遺伝子に関連付けられる「発現プロファイル」または「バイオマーカープロファイル」または「遺伝子シグネチャー」は、正常試料と腫瘍試料とを弁別するのに有用であり得る。別の実施形態では、腫瘍試料は肺腺癌(AD)である。別の実施形態では、ADは、本明細書において提供される方法を使用して判定された発現プロファイルに基づいて、ブロンキオイド、スクアモイド、およびマグノイドにさらに分類され得る。腫瘍生検組織を使用したブロンキオイド、スクアモイド、およびマグノイド腺癌の特徴付けは、Hayesら(2006年)、J. Clin Oncol.、24巻(31号):5079~90頁に記載されている。本明細書(例えば表1)に開示される分類指標遺伝子を使用した発現プロファイルは、肺腺癌サブタイプを特異的に特定するため、および肺腺癌の処置における治療有効性を評価するために役立つ分子ツールを提供し得る。したがって、本発明は、分子ADサブタイプについて対象をスクリーニングおよび分類するための方法、ならびに肺ADのためのある特定の治療的処置の有効性をモニタリングするための方法を提供する。
一部の事例では、本明細書において提供される単一の分類指標遺伝子は、少なくとも約70%、少なくとも約71%、少なくとも約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、最大100%の予測成功率で肺腺癌のサブタイプを特定する能力を有する。
一部の事例では、本明細書において提供される単一の分類指標遺伝子は、少なくとも約70%、少なくとも約71%、少なくとも約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、最大100%の感度または特異度で肺腺癌サブタイプを判定する能力を有する。
本発明は、現在の方法を使用して検出することができない肺腺癌の種々のサブタイプを弁別する能力を有する系も包含する。この系は、多数の対象ならびに発現プロファイルおよび他の診断基準などの対象変数を処理する能力を有し得る。本明細書に記載される方法は、例えば、療法に対する応答の予測能を有するファーマコゲノミクスと同様に「ファーマコメタボノミクス(pharmacometabonomics)」のために使用することもできる。この実施形態では、「応答」の証拠としての発現プロファイルを使用して対象を「レスポンダー」および「非レスポンダー」に分けてもよく、次いで、発現プロファイルの特徴を使用して、特定の治療過程に応答する可能性が高い将来の対象を標的としてもよい。
発現プロファイルは、肺組織の組織学評価または形態計測評価を含む、組織化学的、免疫組織化学的、細胞学的、免疫細胞学的、および視覚的な診断法を含む、他の診断法と組み合わせて使用することができる。
本発明の種々の実施形態では、対象に由来する発現プロファイルは、参照発現プロファイルと比較される。「参照発現プロファイル」は、処置もしくは療法の前の対象に由来するプロファイルであってもよく、特定の時点(通常は処置もしくは療法の前もしくは後だが、肺がんの診断の前もしくは後の特定の時点を含む場合もある)において対象試料から生成されたプロファイルであってもよく、または健常な個体もしくは健常な個体からプールされた参照に由来してもよい。参照発現プロファイルは、肺がんに対して包括的であってもよく、または肺腺癌の異なるサブタイプに特異的であってもよい。
参照発現プロファイルは、試験発現プロファイルと比較され得る。「試験発現プロファイル」は、後の時点(例えば、参照発現プロファイルの収集から1日または複数日、数週間または数か月後)であることを除いては参照発現プロファイルと同じ対象に由来してもよく、または異なる対象に由来してもよい。まとめると、対象の任意の試験発現プロファイルが、TRU、PP、またはPIサブタイプを有する対象から過去に収集されたプロファイルと比較され得る。
本発明の分類指標バイオマーカーは、核酸(RNA、cDNA、およびDNA)およびタンパク質、ならびにそれらのバリアントおよび断片を含み得る。そのようなバイオマーカーには、バイオマーカーをコードする核酸配列またはかかる配列の相補体の全体または一部の配列を含むDNAが含まれ得る。本明細書に記載されるバイオマーカーは、目的の核酸配列のうちのいずれかの全体もしくは一部の配列を含むRNA、または逆転写反応においてin vitroで合成的に得られたその非天然cDNA産物を含む場合がある。バイオマーカー核酸は、目的の核酸配列の任意の発現産物またはその一部分を含む場合もある。バイオマーカータンパク質は、本発明のDNAバイオマーカーによってコードされる、またはそれに対応するタンパク質であってもよい。バイオマーカータンパク質は、バイオマーカータンパク質またはポリペプチドのいずれかの全体または一部のアミノ酸配列を含み得る。バイオマーカー核酸は、細胞から抽出される場合もあり、またはセルフリーである場合もあり、またはエキソソームなどの細胞外小胞実体から抽出される場合もある。
「分類指標バイオマーカー」または「バイオマーカー」または「分類指標遺伝子」は、組織または細胞内の発現レベルが正常または健常な細胞または組織のものと比較して変化している任意の遺伝子またはタンパク質であり得る。例えば、「分類指標バイオマーカー」または「バイオマーカー」または「分類指標遺伝子」は、組織または細胞内の発現レベルが特定の肺腺癌サブタイプにおいて変化している任意の遺伝子またはタンパク質であり得る。本発明のバイオマーカーの検出は、特定のサブタイプの判定を可能にし得る。「分類指標バイオマーカー」または「バイオマーカー」または「分類指標遺伝子」は、本明細書において提供される参照または対照と比べて上方制御された(例えば、発現が増加した)もの、または下方制御された(例えば、発現が減少した)ものであり得る。この参照または対照は、本明細書において提供される任意の参照または対照であり得る。一部の実施形態では、肺腺癌の特定のサブタイプにおいて上方制御または下方制御される遺伝子の発現値は、1つの遺伝子カセットにプールすることができる。各遺伝子カセットにおける全体的な発現レベルは、本明細書において「発現プロファイル」と呼ばれ、肺腺癌のサブタイプに従って試験試料を分類するために使用される。しかしながら、本明細書において開示される遺伝子の各々の発現の独立した評価を使用すれば、上方制御および下方制御される遺伝子を1つまたは複数の遺伝子カセットにグループ分けする必要なく、腫瘍サブタイプの分類が可能であることが理解される。一部の場合では、表2に示されるように、合計48種のバイオマーカーをADサブタイプ判定に使用することができる。各ADサブタイプについて、16種中8種のバイオマーカーは負の相関を示す遺伝子であり得、8種は、特定のADサブタイプの遺伝子シグネチャーとして選択され得る正の相関を示す遺伝子であり得る。
本発明の分類指標バイオマーカーは、本明細書上文に定義されるように、肺腺癌において選択的に発現される任意の遺伝子またはタンパク質を含む。サンプルバイオマーカー遺伝子を以下の表1または2に列挙する。表2中、表の第1の縦列は、終末呼吸単位(TRU)を弁別するために選択されるバイオマーカーのリストを表す。表の中央の縦列は、近位増殖性(PP)を弁別するために選択されるバイオマーカーのリストを表す。表の最後の縦列は、近位炎症性(PI)を弁別するために選択されるバイオマーカーのリストを表す。
肺ADサブタイピングのための分類指標バイオマーカーの本明細書に記載されるtsatにより表される相対的な遺伝子発現レベルを表1に示す。一実施形態では、肺腺癌サブタイピングのための分類指標バイオマーカーの遺伝子発現レベルは、表1に示されている。一実施形態では、ADのサブタイプを分類するために、48種すべての遺伝子を使用することができる。一実施形態では、最初の16種の遺伝子が、終末呼吸単位のための選択された遺伝子シグネチャーバイオマーカーであり、非TRU試料と比較して遺伝子番号1~8は上方制御され、遺伝子番号9~16は下方制御される。別の実施形態では、遺伝子番号17~32が、近位増殖性(PP)に特異的な選択された遺伝子シグネチャーバイオマーカーであり、非PP試料と比較して遺伝子番号17~24は上方制御され、遺伝子番号25~32は下方制御される。さらに別の実施形態では、遺伝子番号33~48が、近位炎症性(PI)に特異的な選択された遺伝子シグネチャーバイオマーカーであり、非PI試料と比較して遺伝子番号33~40は上方制御され、遺伝子番号41~48は下方制御される。
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Figure 0007241353000002
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*各GenBank受託番号は列挙される遺伝子の代表的または例示的なGenBank受託番号であり、その全体はあらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれている。さらに、列挙される代表的または例示的な各受託番号は、特定の受託番号に特許請求の範囲を限定するものと解釈されてはならない。
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診断的使用
一実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物は、腺癌の3種のサブタイプ:(1)終末呼吸単位(TRU)、旧称ブロンキオイド;(2)近位増殖性(PP)、旧称マグノイド;および(3)近位炎症性(PI)、旧称スクアモイドの区別を可能にし、当技術分野で公知の分子ADサブタイピング法よりも少ない遺伝子が必要とされる。
概して、本明細書において提供される方法は、特定の肺がんサブタイプ(例えば腺癌のサブタイプ)として肺がん試料を分類するために使用される。一実施形態では、本方法は、任意の公的に利用可能な肺AD発現データセットの分類指標バイオマーカーのうちの少なくとも1種の発現レベルを測定するステップ、検出するステップ、または判定するステップを含む。一実施形態では、本方法は、患者または対象から得られた肺がん試料中の、表1の分類指標バイオマーカーのうちの少なくとも1種の発現レベルを検出または判定するステップを含む。本明細書に記載される検出または区別方法のための肺がん試料は、過去に腺癌試料と判定または診断された試料であってもよい。過去の診断は、組織学的解析に基づき得る。組織学的解析は、1名または複数名の病理学者によって行われてよい。
一実施形態では、測定または検出するステップは、少なくとも1種の分類指標バイオマーカー(例えば表1の分類指標バイオマーカー)のcDNA分子の一部分に対して実質的に相補的であるオリゴヌクレオチドを用い、RNA-seq、RT-PCR、またはハイブリダイゼーションに好適な条件下でRNA-seq、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、またはハイブリダイゼーションアッセイを行うこと、および検出するステップに基づいて少なくとも1種の分類指標バイオマーカーの発現レベルを得ることにより、核酸レベルでなされる。次いで、分類指標バイオマーカーのうちの少なくとも1種の発現レベルが、少なくとも1種のサンプルトレーニングセットにおける分類指標バイオマーカー(例えば表1の分類指標バイオマーカー)のうちの少なくとも1種の参照発現レベルと比較される。少なくとも1種のサンプルトレーニングセットは、(i)少なくとも1種のバイオマーカーを過剰発現する試料からの少なくとも1種のバイオマーカーの発現レベル、(ii)参照スクアモイド(近位炎症性)、ブロンキオイド(終末呼吸単位)、もしくはマグノイド(近位増殖性)試料からの発現レベル、または(iii)腺癌不含肺試料からの発現レベル、および肺組織試料をスクアモイド(近位炎症性)、ブロンキオイド(終末呼吸単位)、またはマグノイド(近位増殖性)サブタイプに分類することを含み得る。次いで、比較するステップの結果に基づいて、腺癌のブロンキオイド、スクアモイド、またはマグノイドサブタイプに肺がん試料を分類することができる。一実施形態では、比較するステップは、肺組織またはがん試料から得られた発現データと、少なくとも1種のトレーニングセットからの発現データとの間の相関を判定するステップを含む、統計的アルゴリズムを適用するステップと、統計的アルゴリズムの結果に基づいて肺組織またはがん試料をスクアモイド(近位炎症性)、ブロンキオイド(終末呼吸単位)、またはマグノイド(近位増殖性)サブタイプに分類するステップとを含み得る。
一実施形態では、本方法は、患者から得られた肺がん試料中の、本明細書において提供される分類指標バイオマーカー、例えば表1の分類指標バイオマーカーのうちの少なくとも1種のレベルを、核酸レベルでプローブするステップを含む。肺がん試料は、過去に腺癌試料と判定または診断された試料であってもよい。過去の診断は、組織学的解析に基づき得る。組織学的解析は、1名または複数名の病理学者によって行われてよい。プローブするステップは、一実施形態では、試料を、本明細書において提供される少なくとも1種の分類指標バイオマーカー、例えば表1の分類指標バイオマーカーのcDNA分子の一部分に対して実質的に相補的である1つまたは複数のオリゴヌクレオチドと、1つまたは複数のオリゴヌクレオチドをそれらの相補体または実質的な相補体とハイブリダイズさせるのに好適な条件下で混合するステップと;1つまたは複数のオリゴヌクレオチドと、それらの相補体または実質的な相補体との間でハイブリダイゼーションが生じるかどうかを検出するステップと;検出するステップに基づいて少なくとも1種の分類指標バイオマーカーのハイブリダイゼーション値を得るステップとを含む。次いで、少なくとも1種の分類指標バイオマーカーのハイブリダイゼーション値は、少なくとも1種のサンプルトレーニングセットからの参照ハイブリダイゼーション値と比較される。例えば、少なくとも1種のサンプルトレーニングセットは、参照TRU腺癌、PP腺癌、および/またはPI腺癌試料からのハイブリダイゼーション値を含む。肺がん試料は、比較するステップの結果に基づいて、例えば、TRU、PP、またはPIと分類される。
肺組織試料は、ヒト対象または患者から単離された任意の試料であり得る。例えば、一実施形態では、パラフィンワックスに包埋された肺生検に対して解析が行われる。一実施形態では、試料は、新鮮な冷凍肺組織試料であり得る。別の実施形態では、試料は、患者から得られた体液であってよい。体液は、血液もしくはその画分(すなわち、血清、血漿)、尿、唾液、喀痰、または脳脊髄液(CSF)であり得る。試料は、本明細書において提供される方法で使用するための核酸の細胞源ならびに細胞外源を含有し得る。細胞外源は、セルフリーDNAおよび/またはエキソソームであり得る。一実施形態では、試料は、細胞ペレットまたは洗浄液であってもよい。本発明のこの態様は、小さな生検からであっても主要な組織学的タイプを正確に特定することにより、現在の診断学を改善する手段を提供する。本発明の方法は、RT-PCR法を含め、高感度、高精度であり、パラフィン包埋試料で使用するための多試料分析能(multi-analyte capability)を有する。例えば、参照により本明細書に組み込まれている、Croninら(2004年)、Am. J Pathol.、164巻(1号):35~42頁を参照されたい。
ホルマリン固定およびパラフィンワックスへの組織包埋は、光学顕微鏡評価の前に組織を処理するための普遍的手法である。ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)検体により得られる主な利点は、組織切片における細胞および構築的な形態的詳細の保存である(Foxら(1985年)、J Histochem Cytochem、33巻:845~853頁)。生検検体を処理する標準的な緩衝ホルマリン固定剤は、典型的には、37%のホルムアルデヒドおよび10~15%のメチルアルコールを含有する水溶液である。ホルムアルデヒドは、タンパク質-核酸間およびタンパク質-タンパク質間の架橋のin vitroでの形成をもたらす、反応性の高い双極性化合物である(Clarkら(1986年)、J Histochem Cytochem、34巻:1509~1512頁;McGheeおよびvon Hippel(1975年)、Biochemistry、14巻:1281~1296頁、それぞれ参照により本明細書に組み込まれている)。
一実施形態では、本明細書において使用される試料は個体から得られ、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織を含む。しかしながら、他の組織および試料タイプは本明細書における使用に適している。一実施形態では、他の組織および試料タイプは、新鮮な冷凍組織、洗浄液、または細胞ペレットなどであり得る。一実施形態では、試料は、個体から得られた体液であってよい。体液は、血液もしくはその画分(例えば、血清、血漿)、尿、喀痰、唾液、または脳脊髄液(CSF)であり得る。本明細書において提供されるバイオマーカー核酸は、細胞から抽出される場合もあり、またはセルフリーである場合もあり、またはエキソソームなどの細胞外小胞実体から抽出される場合もある。
FFPE組織からRNAを単離するための方法は、当技術分野で公知である。一実施形態では、参照により本明細書に組み込まれている、Bibikovaら(2004年)、American Journal of Pathology、165巻:1799~1807頁に記載されるように、全RNAがFFPE組織から単離され得る。同様に、High Pure RNA Paraffin Kit(Roche)が使用され得る。パラフィンは、キシレン抽出後にエタノール洗浄を行うことによって除去される。RNAは、MasterPure Purificationキット(Epicenter、Madison、Wis.)を使用して組織ブロックの切片から単離され得る;DNaseI処置ステップが含まれる。RNAは、Trizol試薬を供給元の説明(Invitrogen Life Technologies、Carlsbad、Calif.)に従って使用して冷凍試料から抽出してもよい。測定可能な残存するゲノムDNAを含む試料は、再度DNaseI処置にかけてDNA混入についてアッセイしてもよい。すべての精製、DNase処置、および他のステップは、製造元のプロトコールに従って行ってよい。全RNAの単離後、試料は、使用まで-80℃で保管することができる。
mRNA抽出の一般的な方法は当技術分野で周知であり、Ausubelら編、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons、New York、1987~1999年を含む、分子生物学の標準的な教本に開示されている。パラフィン包埋組織からRNAを抽出するための方法は、例えば、RuppおよびLocker(Lab Invest.、56巻:A67頁、1987年)ならびにDe Andresら(Biotechniques、18巻:42~44頁、1995年)において開示されている。特に、RNA単離は、Qiagen(Valencia、Calif.)などの商業的な製造元からの精製キット、バッファーセット、およびプロテアーゼを製造元の説明に従って使用して行うことができる。例えば、培養下の細胞の全RNAは、Qiagen RNeasyミニカラムを使用して単離することができる。他の市販のRNA単離キットとしては、MasterPure(商標)Complete DNA and RNA Purification Kit(Epicentre、Madison、Wis.)およびParaffin Block RNA Isolation Kit(Ambion、Austin、Tex.)が挙げられる。組織試料の全RNAは、例えば、RNA Stat-60(Tel-Test、Friendswood、Tex.)を使用して単離することができる。腫瘍から調製されたRNAは、例えば、塩化セシウム密度勾配遠心分離によって単離することができる。さらに、例えば、Chomczynskiの単一ステップRNA単離プロセス(米国特許第4,843,155号、その全体はあらゆる目的のために参照により組み込まれている)などの当業者に周知の技術を使用して、多数の組織試料を容易に処理することができる。
一実施形態では、試料は、肺組織試料、例えば、腺癌試料から採取された細胞を含む。細胞は、当技術分野で公知の標準的技術を使用して、生物学的試料から採取され得る。例えば、一実施形態では、細胞試料を遠心分離し、ペレット化された細胞を再懸濁することによって細胞が採取される。細胞は、リン酸緩衝食塩水(PBS)などの緩衝液中に再懸濁してよい。細胞懸濁液を遠心分離して細胞ペレットを得た後、細胞を溶解して、核酸、例えばメッセンジャーRNAを抽出することができる。対象から得られたすべての試料は、任意の種類のさらなる処理にかけたものを含め、対象から得られたものとみなされる。
この試料は、一実施形態では、本明細書に記載のバイオマーカーの組合せのバイオマーカーレベルの検出前に、さらに処理される。例えば、細胞または組織試料中のmRNAは、試料の他の成分から分離してもよい。mRNAがその天然の環境にない場合、mRNAをその非天然状態で単離するために、試料を濃縮および/または精製してもよい。例えば、mRNAのin vivoの高次構造は同じ配列のin vitro構造と異なることが研究により示されている(例えば、その全体があらゆる目的のために本明細書に組み込まれている、Rouskinら(2014年)、Nature、505巻、701~705頁を参照されたい)。
試料のmRNAは、一実施形態では、合成DNAプローブとハイブリダイズされ、合成DNAプローブは、一部の実施形態では、検出部分(例えば、検出可能な標識、捕捉配列、バーコード報告配列)を含む。したがって、これらの実施形態では、非天然mRNA-cDNA複合体が最終的に作製され、バイオマーカーの検出のために使用される。別の実施形態では、試料のmRNAは、検出可能な標識、例えばフルオロフォアで直接標識される。さらなる実施形態では、非天然の標識mRNA分子がcDNAプローブとハイブリダイズされ、複合体が検出される。
一実施形態では、mRNAが試料から得られると、mRNAは、ハイブリダイゼーション反応において相補的DNA(cDNA)に変換されるか、または、ハイブリダイゼーション反応において1つもしくは複数のcDNAプローブとともに使用される。cDNAはin vivoで存在せず、したがって非天然分子である。さらに、cDNA-mRNAハイブリッドは合成であり、in vivoで存在しない。cDNAは、in vivoで存在しないことに加え、デオキシリボ核酸を含み、リボ核酸を含まないため、cDNAはmRNAとは必然的に異なる。cDNAは次いで、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)または当業者に公知の他の増幅方法によって増幅される。例えば、用いることができる他の増幅方法としては、その全体があらゆる目的のために参照により組み込まれている、リガーゼ連鎖反応(LCR)(WuおよびWallace、Genomics、4巻:560頁(1989年)、Landegrenら、Science、241巻:1077頁(1988年)、その全体はあらゆる目的のために参照により組み込まれている)、転写増幅(Kwohら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、86巻:1173頁(1989年)、その全体はあらゆる目的のために参照により組み込まれている)、自家持続配列複製法(Guatelliら、Proc. Nat. Acad. Sci. USA、87巻:1874頁(1990年)、その全体はあらゆる目的のために参照により組み込まれている)、および核酸ベースの配列増幅(NASBA)が挙げられる。PCR増幅のためのプライマーを選択するための指針は、当業者には公知である。例えば、その全体があらゆる目的のために参照により組み込まれている、McPhersonら、PCR Basics: From Background to Bench、Springer-Verlag、2000年を参照されたい。この増幅反応の産物、すなわち、増幅されたcDNAもまた、必然的に非天然産物である。第1には、上述のように、cDNAは非天然分子である。第2に、PCRの場合、増幅プロセスは、出発物質の個々のcDNA分子すべてについて何億ものcDNAコピーを作出する役割を果たす。生成されるコピーの数は、in vivoで存在するmRNAのコピーの数とはかけ離れている。
一実施形態では、断片上にさらなるDNA配列(例えば、アダプター、レポーター、捕捉配列または部分、バーコード)を導入するプライマーを用いて(例えば、アダプター特異的プライマーを使用して)cDNAが増幅されるか、または、さらなる配列(例えば、アダプター、レポーター、捕捉配列または部分、バーコード)を含むcDNAプローブに直接mRNAもしくはcDNAバイオマーカー配列がハイブリダイズされる。したがって、mRNAの増幅および/またはcDNAプローブへのハイブリダイゼーションは、さらなる配列を導入し、非天然ハイブリッドを形成することにより、非天然の一本鎖cDNAまたはmRNAから非天然の二本鎖分子を作出する役割を果たす。さらに、当業者には公知であるように、増幅手順は、それに関連した誤差率を有する。したがって、増幅は、さらなる修飾をcDNA分子に導入する。一実施形態では、アダプター特異的プライマーを用いた増幅中、検出可能な標識、例えばフルオロフォアが一本鎖cDNA分子に付加される。したがって、増幅は、天然に生じないDNA複合体を作出する役割も果たし、それは少なくとも(i)cDNAはin vivoで存在しない、(i)アダプター配列がcDNA分子の末端に付加されて、in vivoで存在しないDNA配列が作られる、(ii)増幅に関連した誤差率が、in vivoで存在しないDNA配列をさらに作出する、(iii)cDNA分子の構造は天然に存在するものと比較して異なる、そして(iv)検出可能な標識がcDNA分子に化学的に付加されるからである。
一部の実施形態では、目的のバイオマーカーの発現は、非天然cDNA分子の検出により核酸レベルで検出される。
一部の実施形態では、肺がんADサブタイピングのための方法は、分類指標バイオマーカーセットの発現レベルを検出するステップを含む。一部の実施形態では、この検出するステップは、核酸レベルまたはタンパク質レベルにおける表1の分類指標バイオマーカーのすべてを含む。別の実施形態では、表1のうち単一の分類指標バイオマーカーまたはそれらのサブセット、例えば、約8種~約16種が検出される。例えば、一実施形態では、肺がんADサブタイプを判定する方法において、表1のバイオマーカーのうち約5種~約10種、約5種~約15種、約5種~約20種、約5種~約25種、約5種~約30種、約5種~約35種、約5種~約40種、約5種~約45種、約5種~約48種が検出される。別の実施形態では、肺がんサブタイプを判定する方法において、表1のバイオマーカーの各々が検出される。別の実施形態では、表1のバイオマーカーのうち16種が、特定の肺がんADサブタイプの遺伝子シグネチャーとして選択される。
検出するステップは、RNA-seq、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、マイクロアレイハイブリダイゼーションアッセイ、または別のハイブリダイゼーションアッセイ、例えば、NanoStringアッセイ、例えば、分類指標バイオマーカーに特異的なプライマーおよび/もしくはプローブを用いるもの、ならびに/または同様のものを含むがこれらに限定されない、任意の好適な技術によって行うことができる。一部の場合では、増幅方法(例えば、RT-PCRまたはqRT-PCR)に有用なプライマーは、表1に列挙された分類指標バイオマーカーなどの本明細書において提供される分類指標遺伝子に結合するのに好適な任意のフォワードおよびリバースプライマーである。
本明細書に記載されるバイオマーカーは、目的の核酸配列のうちのいずれかの全体もしくは一部の配列を含むRNA、または逆転写反応においてin vitroで合成的に得られたその非天然cDNA産物を含む。「断片」という用語は、少なくとも10、15、20、50、75、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、800、900、1,000、1,200、もしくは1,500個の連続したヌクレオチド、または最大で本明細書において開示される全長バイオマーカーポリヌクレオチドに存在する数のヌクレオチドを概して含むポリヌクレオチドの一部分を指すよう意図される。バイオマーカーポリヌクレオチドの断片は、概して、少なくとも15、25、30、50、100、150、200、もしくは250個の連続したアミノ酸、または最大で本発明の全長バイオマーカータンパク質に存在する総数のアミノ酸をコードする。
一部の実施形態では、例えばRNA転写物またはその発現産物などの過剰発現は、すべて試料中の測定された転写物(もしくはそれらの産物)、またはRNA転写物(もしくはそれらの非天然cDNA産物)の特定の参照セットであり得る、参照RNA転写物またはそれらの発現産物のレベルに対する正規化によって判定される。正規化は、アッセイしたRNAもしくはcDNAの量と、使用したRNAもしくはcDNAの質の変動性との両方の差を補正するか、または正規化により除去するために行われる。したがって、アッセイは典型的に、例えばGAPDHおよび/またはβ-アクチンなどの周知のハウスキーピング遺伝子を含むある特定の正規化遺伝子の発現を測定し、それを組み込む。代替的には、正規化は、アッセイされるバイオマーカーのすべてまたはそれらの大きなサブセットのシグナルの平均値または中央値に基づいてもよい(大域的正規化手法)。
単離されたmRNAは、サザンまたはノーザン解析、PCR解析およびプローブアッセイ、NanoStringアッセイを含むがこれらに限定されない、ハイブリダイゼーションまたは増幅アッセイにおいて使用することができる。mRNAレベルの検出のための1つの方法は、単離されたmRNAまたは合成されたcDNAを、検出される遺伝子によってコードされるmRNAとハイブリダイズし得る核酸分子(プローブ)と接触させるステップを含む。核酸プローブは、例えば、cDNA、またはその一部分、例えば、少なくとも7、15、30、50、100、250、または500ヌクレオチドの長さで、ストリンジェントな条件下で本発明の非天然cDNAまたはmRNAバイオマーカーと特異的にハイブリダイズするのに十分なオリゴヌクレオチドであり得る。
上記で説明したように、一実施形態では、mRNAが試料から得られると、mRNAは、ハイブリダイゼーション反応において相補的DNA(cDNA)に変換される。mRNAからcDNAへの変換は、特定のmRNAの一部分に対して相補的である配列を含むオリゴヌクレオチドまたはプライマーを用いて行うことができる。mRNAからcDNAへの変換は、ランダム配列を含むオリゴヌクレオチドまたはプライマーを用いて行ってもよい。mRNAからcDNAへの変換は、mRNAのポリ(A)テールに対して相補的である配列を含むオリゴヌクレオチドまたはプライマーを用いて行ってもよい。cDNAはin vivoで存在せず、したがって非天然分子である。さらなる実施形態では、cDNAは次いで、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)または当業者に公知の他の増幅方法によって増幅される。PCRは、本明細書において提供される分類指標遺伝子、例えば表1の分類指標バイオマーカーの少なくとも一部分に対して相補的な配列を含むフォワードおよび/またはリバースプライマーを用いて行うことができる。この増幅反応の産物、すなわち、増幅されたcDNAは、必然的に非天然産物である。上述のように、cDNAは非天然分子である。第2に、PCRの場合、増幅プロセスは、出発物質の個々のcDNA分子すべてについて何億ものcDNAコピーを作出する役割を果たす。生成されるコピーの数は、in vivoで存在するmRNAのコピーの数とはかけ離れている。
一実施形態では、断片上にさらなるDNA配列(アダプター配列)を導入するプライマーを用いて(アダプター特異的プライマーを使用して)cDNAが増幅される。アダプター配列は、テール配列がcDNAに対して相補的でないテールであってよい。例えば、本明細書において提供される分類指標遺伝子、例えば表1の分類指標バイオマーカーの少なくとも一部分に対して相補的な配列を含むフォワードおよび/またはリバースプライマーは、テール配列を含み得る。したがって、増幅は、すでに非天然のcDNAにバーコード、アダプター、および/またはレポーター配列を導入することにより、非天然の一本鎖cDNAから非天然の二重鎖分子を作出する役割を果たす。一実施形態では、アダプター特異的プライマーを用いた増幅中、検出可能な標識、例えばフルオロフォアが一本鎖cDNA分子に付加される。したがって、増幅は、天然に生じないDNA複合体を作出する役割も果たし、それは少なくとも(i)cDNAはin vivoで存在しない、(ii)アダプター配列がcDNA分子の末端に付加されて、in vivoで存在しないDNA配列が作られる、(iii)増幅に関連した誤差率が、in vivoで存在しないDNA配列をさらに作出する、(iv)cDNA分子の構造は天然に存在するものと比較して異なる、そして(v)検出可能な標識がcDNA分子に化学的に付加されるからである。
一実施形態では、合成されたcDNA(例えば、増幅されたcDNA)は、例えばマイクロアレイによるプローブを用いたハイブリダイゼーションにより、固体表面上に固定化される。別の実施形態では、cDNA産物は、cDNA産物とハイブリダイズする蛍光プローブの導入により、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって検出される。例えば、一実施形態では、バイオマーカーの検出は、定量的蛍光発生RT-PCRにより(例えば、TaqMan(登録商標)プローブを用いて)査定される。PCR解析に関しては、解析に使用するプライマー配列の判定のための周知の方法が当技術分野で利用可能である。
一実施形態において本明細書に提供されるバイオマーカーは、捕捉プローブおよび/またはレポータープローブを用いるハイブリダイゼーション反応により検出される。例えば、ハイブリダイゼーションプローブは、ビーズ、ガラス、またはシリコン基質などの固体表面に誘導体化されたプローブである。別の実施形態では、捕捉プローブは溶液中に存在し、患者の試料と混合され、その後、例えばビオチン-アビジン相互作用により(例えば、ビオチンが捕捉プローブの一部であり、アビジンが表面上にある場合)、表面にハイブリダイゼーション産物が結合する。ハイブリダイゼーションアッセイは、一実施形態では、捕捉プローブとレポータープローブとの両方を用いる。レポータープローブは、捕捉プローブまたはバイオマーカー核酸のいずれともハイブリダイズすることができる。例えばレポータープローブは、次いで、試料中のバイオマーカーのレベルを判定するために計数され、検出される。捕捉および/またはレポータープローブは、一実施形態では、検出可能な標識、および/または表面への官能基付与を可能にする基を含有する。
例えば、nCounter遺伝子解析系(例えば、その全体があらゆる目的のために参照により組み込まれている、Geissら(2008年)、Nat. Biotechnol.、26巻、317~325頁を参照されたい)は、本明細書において提供される方法で使用するのに適している。
開示内容の全体があらゆる目的のために参照により組み込まれている、米国特許第7,473,767号および同第8,492,094号に記載されているハイブリダイゼーションアッセイは、本明細書において提供される方法で使用するのに、すなわち、本明細書に記載されるバイオマーカーおよびバイオマーカーの組合せを検出するのに適している。
バイオマーカーレベルは、膜ブロット(例えば、ノーザン、サザン、ドットなどのハイブリダイゼーション解析で使用されるもの)、またはマイクロウェル、試料管、ゲル、ビーズ、もしくは繊維(または結合した核酸を含む任意の固体支持体)を使用してモニタリングすることができる。例えば、それぞれそれらの全体が参照により組み込まれている、米国特許第5,770,722号、同第5,874,219号、同第5,744,305号、同第5,677,195号、および同第5,445,934号を参照されたい。
一実施形態では、バイオマーカーレベルを検出するためにマイクロアレイが使用される。マイクロアレイは、異なる実験間で再現性があるため、この目的にとりわけ適している。DNAマイクロアレイは、多数の遺伝子の発現レベルの同時測定のための1つの方法を提供する。各アレイは、固体支持体に結合した再現可能なパターンの捕捉プローブからなる。標識されたRNAまたはDNAがアレイ上の相補的プローブとハイブリダイズされ、次いでレーザー走査により検出され、アレイ上の各プローブのハイブリダイゼーション強度が判定され、相対的な遺伝子発現レベルを表す定量的値に変換される。例えば、それぞれそれらの全体が参照により組み込まれている、米国特許第6,040,138号、同第5,800,992号、および同第6,020,135号、同第6,033,860号、および同第6,344,316号を参照されたい。試料中の多数のRNAの遺伝子発現プロファイルを判定するためには、高密度オリゴヌクレオチドアレイが特に有用である。
機械的合成方法を使用してこれらのアレイを合成するための技術は、例えば、米国特許第5,384,261号に記載されている。平面的なアレイ表面が一般的に使用されるが、アレイは、事実上いかなる形状の表面またはさらには多重の表面上にも製作することができる。アレイは、ビーズ、ゲル、ポリマー表面、繊維(例えば光学繊維)、ガラス、または任意の他の適切な基質上の核酸(またはペプチド)であり得る。例えば、それぞれそれらの全体が参照により組み込まれている、米国特許第5,770,358号、同第5,789,162号、同第5,708,153号、同第6,040,193号、および同第5,800,992号を参照されたい。アレイは、包括的なデバイスの診断または他の操作を可能にするような様式でパッケージングされていてもよい。例えば、それぞれそれらの全体が参照により組み込まれている、米国特許第5,856,174号および同第5,922,591号を参照されたい。
一実施形態では、本明細書に記載される方法において、遺伝子発現連続解析(SAGE)が用いられる。SAGEは、各転写物に対して個々のハイブリダイゼーションプローブを準備する必要なく、多数の遺伝子転写物を同時かつ定量的に解析することを可能にする方法である。まず、タグが各転写物中の一意的な位置から得られることを条件として、転写物を一意的に特定するのに十分な情報を含有する短い配列タグ(約10~14bp)を生成する。次いで、多くの転写物をひとつにつなげて長い連続的な分子を形成し、これの配列決定を行うことで、複数のタグの同一性を同時に明らかにすることができる。個々のタグの存在量を判定し、各タグに対応する遺伝子を特定することにより、転写物の任意の集団の発現パターンを定量的に評価することができる。その全体が参照により組み込まれている、Velculescuら、Science、270巻:484~87頁、1995年;Cell、88巻:243~51頁、1997年を参照されたい。
核酸レベルにおけるバイオマーカーレベル解析のさらなる方法は、配列決定法、例えば、RNAseq、次世代配列決定、およびBrennerら(Nat. Biotech.、18巻:630~34頁、2000年、その全体は参照により組み込まれている)により記載されている超並列シグネチャー配列決定(MPSS)の使用である。これは、ゲルに基づかないシグネチャー配列決定を、5μm直径の別々のマイクロビーズ上での数百万の鋳型のin vitroクローニングと組み合わせた、配列決定手法である。まず、in vitroクローニングにより、DNA鋳型のマイクロビーズライブラリーを構築する。これには、高い密度における(典型的には3.0×10マイクロビーズ/cmを超える)フローセル内の鋳型含有マイクロビーズの平面的アレイのアセンブリが続く。DNA断片の分離を必要としない蛍光に基づくシグネチャー配列決定法を使用して、各マイクロビーズ上のクローニングした鋳型の遊離末端を同時に解析する。この方法は、酵母cDNAライブラリーから単回の作業において数十万の遺伝子シグネチャー配列を同時かつ正確に提供することが示されている。
核酸レベルでのバイオマーカーレベル解析の別の方法は、例えば、RT-PCRまたは定量的RT-PCR(qRT-PCR)などの増幅方法の使用である。試料中のバイオマーカーmRNAのレベルを判定するための方法は、例えば、RT-PCR(Mullis、1987年、米国特許第4,683,202号に記載されている実験的実施形態)、リガーゼ連鎖反応(Barany(1991年)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、88巻:189~193頁)、自家持続配列複製法(Guatelliら(1990年)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、87巻:1874~1878頁)、転写増幅系(Kwohら(1989年)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、86巻:1173~1177頁)、Q-ベータレプリカーゼ(Lizardiら(1988年)、Bio/Technology、6巻:1197頁)、ローリングサークル複製(Lizardiら、米国特許第5,854,033号)、または任意の他の核酸増幅方法による核酸増幅のプロセスに続き、当業者に周知の技術を使用する増幅された分子の検出を含み得る。数多くの異なるPCRまたはqRT-PCRプロトコールは、当技術分野において公知であり、試料中の判別的遺伝子の発現の検出および/または数量化のために本明細書に記載される組成物を使用して直接適用するか、または使用のために適合させることができる。例えば、参照により本明細書に組み込まれている、Fanら(2004年)、Genome Res.、14巻:878~885頁を参照されたい。一般的に、PCRにおいては、標的ポリヌクレオチド配列を、少なくとも1種のオリゴヌクレオチドプライマーまたは一対のオリゴヌクレオチドプライマーとの反応によって増幅する。プライマーが標的核酸の相補性領域とハイブリダイズし、DNAポリメラーゼがプライマーを伸長して標的配列を増幅する。ポリメラーゼベースの核酸増幅産物をもたらすのに十分な条件下では、1つのサイズの核酸断片が反応産物(増幅産物である標的ポリヌクレオチド配列)の大半を占める。増幅サイクルを繰り返して、単一の標的ポリヌクレオチド配列の濃度を増加させる。この反応は、PCRのために一般的に使用されている任意のサーモサイクラーで行ってよい。
定量的RT-PCR(qRT-PCR)(リアルタイムRT-PCRとも呼ばれる)は、定量的測定のみならず時間および混入の低減ももたらすため、一部の状況下で好ましい。本明細書で使用される場合、「定量的PCR」(または「リアルタイムqRT-PCR」)とは、反応産物のサンプリングを繰り返す必要なしに、PCR増幅が起こっている際にその進行を直接的にモニタリングすることを指す。定量的PCRでは、シグナルがバックグラウンドレベルを超えて上昇した後、しかし反応がプラトーに達する前に反応産物が生成および追跡されるとき、シグナル伝達機構(例えば蛍光)によって反応産物をモニタリングすることができる。蛍光の検出可能なまたは「閾値」レベルを達成するために要求されるサイクル数は、PCRプロセスの開始時の増幅可能な標的の濃度に正比例して変化するため、試料中の標的核酸の量の尺度をリアルタイムで提供するシグナル強度の測定が可能である。DNA結合色素(例えば、SYBRグリーン)または標識プローブを使用することで、PCR増幅により生成された伸長産物を検出することができる。本発明の配列を含む標識プローブを利用する任意のプローブフォーマットを使用してよい。
本発明のバイオマーカーのレベルを検出するには、免疫組織化学的検査法も好適である。試料は、後の調製のために冷凍してもよいし、または直ちに固定剤溶液に入れてもよい。組織試料は、ホルマリン、グルタルアルデヒド(gluteraldehyde)、メタノールなどの試薬での処置により固定し、パラフィンに包埋してもよい。ホルマリン固定パラフィン包埋組織試料から免疫組織化学的解析のためのスライドを調製するための方法は、当技術分野で周知である。
一実施形態では、本明細書において提供されるバイオマーカー、例えば表1の分類指標バイオマーカー(またはそれらのサブセット、例えば8~16、16~32、または32~48種のバイオマーカー)のレベルは、すべてのRNA転写物もしくはそれらの非天然cDNA発現産物、または試料中のタンパク質産物、またはRNA転写物の参照セットもしくはそれらの非天然cDNA発現産物の参照セット、または試料中のそれらのタンパク質産物の参照セットの発現レベルに対して正規化される。
一実施形態では、肺腺癌サブタイプは、本明細書において提供される分類指標遺伝子、例えば表1に列挙される分類指標バイオマーカーのうちの1つまたは複数のタンパク質発現レベルを使用して評価することができる。タンパク質発現レベルは、免疫学的検出法を使用して測定してもよい。本明細書において使用され得る免疫学的検出法としては、例えばウエスタンブロット、ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、沈降素反応、ゲル拡散沈降素反応、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体固定アッセイ、免疫放射線アッセイ、蛍光イムノアッセイ、プロテインAイムノアッセイなどの技術を使用した競合および非競合アッセイ系が挙げられるが、これらに限定されない。このようなアッセイは当技術分野では日常的かつ周知である(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、Ausubelら編、1994年、Current Protocols in Molecular Biology、I巻、John Wiley & Sons, Inc.、New Yorkを参照されたい)。
一実施形態では、身体試料中のバイオマーカータンパク質の発現を検出するために、バイオマーカータンパク質に特異的な抗体が利用される。本方法は、患者または対象から身体試料を得るステップと、身体試料を肺がん細胞内で選択的に発現されるバイオマーカーに対する少なくとも1種の抗体と接触させるステップと、抗体の結合を検出して、患者試料中でバイオマーカーが発現されているかどうかを判定するステップとを含む。本発明の好ましい態様は、肺がんサブタイプを診断するための免疫細胞化学技術を提供する。本明細書以下に記載される免疫細胞化学法が、手作業で行われてもよいし、または自動化された様式で行われてもよいことは、当業者には認識されよう。
随所に提示されるように、本明細書に記載の方法は、患者の肺がんADサブタイプを判定するための方法を提供する。バイオマーカーレベルが、例えば非天然cDNAバイオマーカーレベルまたは非天然mRNA-cDNAバイオマーカー複合体を測定することによって判定されたら、このバイオマーカーレベルが、例えば統計学的方法の使用または検出されたレベルの直接的な比較によって参照値または参照試料と比較されて、肺がんの分子的ADサブタイプの判定が行われる。この比較に基づいて、患者の肺がん試料が、例えばTRU、PP、またはPIにAD分類される。
一実施形態では、本明細書において提供される少なくとも1種の分類指標バイオマーカー、例えば表1の分類指標バイオマーカーの発現レベル値が、少なくとも1種のサンプルトレーニングセットからの参照発現レベル値と比較され、ここで、少なくとも1種のサンプルトレーニングセットは、参照試料からの発現レベル値を含む。さらなる実施形態では、少なくとも1種のサンプルトレーニングセットは、近位炎症性(スクアモイド)、近位増殖性(マグノイド)、終末呼吸単位(ブロンキオイド)試料、またはそれらの組合せからの、本明細書において提供される少なくとも1種の分類指標バイオマーカー、例えば表1の分類指標バイオマーカーの発現レベル値を含む。
別個の実施形態では、本明細書において提供される少なくとも1種の分類指標バイオマーカー、例えば表1の分類指標バイオマーカーのハイブリダイゼーション値が、少なくとも1種のサンプルトレーニングセットからの参照ハイブリダイゼーション値と比較され、ここで、少なくとも1種のサンプルトレーニングセットは、参照試料からのハイブリダイゼーション値を含む。さらなる実施形態では、少なくとも1種のサンプルトレーニングセットは、近位炎症性(スクアモイド)、近位増殖性(マグノイド)、終末呼吸単位(ブロンキオイド)試料、またはそれらの組合せからの、本明細書において提供される少なくとも1種の分類指標バイオマーカー、例えば表1の分類指標バイオマーカーのハイブリダイゼーション値を含む。バイオマーカーの検出されたレベルを参照値および/または参照試料と比較するための方法は、本明細書において提供される。この比較に基づいて、一実施形態では、対象の試料から得られたバイオマーカーレベルと参照値との間の相関が得られる。次いで、肺がんADサブタイプの査定が行われる。
患者から得られたバイオマーカーレベルと、例えば、少なくとも1種のサンプルトレーニングセットからの参照バイオマーカーレベルとの比較を支援するためには、種々の統計学的方法を使用することができる。
一実施形態では、教師ありパターン認識法が用いられる。教師ありパターン認識法の例としては、最近隣重心法(Dabney(2005年)、Bioinformatics、21巻(22号):4148~4154頁およびTibshiraniら(2002年)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、99巻(10号):6576~6572頁);クラス解析のソフト独立モデリング(SIMCA)(例えば、Wold、1976年を参照されたい);部分最小二乗法解析(PLS)(例えば、Wold、1966年;Joreskog、1982年;Frank、1984年;Bro, R.、1997年を参照されたい);線形判別分析(LDA)(例えば、Nillson、1965年を参照されたい);K最近傍解析(KNN)(例えば、Brownら、1996年を参照されたい);人工ニューラルネットワーク(ANN)(例えば、Wasserman、1989年;Ankerら、1992年;Hare、1994年を参照されたい);確率ニューラルネットワーク(PNN)(例えば、Parzen、1962年;Bishop、1995年;Speckt、1990年;Broomheadら、1988年;Patterson、1996年を参照されたい);規則帰納(RI)(例えば、Quinlan、1986年を参照されたい);およびベイズ法(例えば、Bretthorst、1990年a、1990年b、1988年を参照されたい)を挙げることができるが、これらに限定されない。一実施形態では、遺伝子発現データに基づいて腫瘍サブタイプを特定するための分類指標は、Mullinsら(2007年)、Clin Chem.、53巻(7号):1273~9頁に記載されている重心ベースの方法であり、これらは各々、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
他の実施形態では、教師なしトレーニング手法が用いられ、したがってトレーニングセットは使用されない。
教師あり学習手法のサンプルトレーニングセットに再度言及すると、一部の実施形態では、サンプルトレーニングセットは、腺癌試料由来の分類指標バイオマーカーのうちの複数またはすべて(例えば、表1の分類指標バイオマーカーのすべて)の発現データを含み得る。複数の分類指標バイオマーカーは、表1のうち少なくとも2種の分類指標バイオマーカー、少なくとも8種の分類指標バイオマーカー、少なくとも16種の分類指標バイオマーカー、少なくとも24種の分類指標バイオマーカー、少なくとも32種の分類指標バイオマーカー、少なくとも40種の分類指標バイオマーカー、または少なくとも48種の分類指標バイオマーカーを含み得る。一部の実施形態では、サンプルトレーニングセットは、サンプル間のばらつきを除去するために正規化される。
一部の実施形態では、比較することは、例えば、パラメトリックでもノンパラメトリックでもよい任意の好適な多変量統計解析モデルなどの統計的アルゴリズムを適用することを含み得る。一部の実施形態では、統計的アルゴリズムを適用することは、ヒト肺組織試料から得られた発現データと、腺癌トレーニングセットからの発現データとの間の相関を判定することを含み得る。一部の実施形態では、(例えば)一個抜き交差検証(LOOCV)などの交差検証が行われる。一部の実施形態では、統合相関(integrative correlation)が行われる。一部の実施形態では、スピアマン相関が行われる。一部の実施形態では、その全体が参照により本明細書に組み込まれているMullinsら(2007年)、Clin Chem.、53巻(7号):1273~9頁に記載されている統計的アルゴリズムに関し、および遺伝子発現データに基づいて、重心に基づく方法が用いられる。
対象由来の試料(試験試料)に対して行われた遺伝子発現の結果は、正常であることが既知であるかまたは正常であると思われる生物学的試料または生物学的試料に由来するデータ(「参照試料」または「正常試料」、例えば非腺癌試料)と比較され得る。一部の実施形態では、参照試料または参照遺伝子発現データは、腺癌(adenocarcimona)の特定の分子サブタイプ、すなわち、スクアモイド(近位炎症性)、ブロンキオイド(終末呼吸単位)、またはマグノイド(近位増殖性)を有することが既知である個体から得られるか、またはそれに由来する。
参照試料は、試験試料と同時にまたはそれと異なる時点でアッセイしてもよい。代替的には、参照試料からのバイオマーカーレベル情報は、データベースまたは後日アクセスするための他の手段に記憶してもよい。
試験試料に対するアッセイのバイオマーカーレベル結果は、参照試料に対する同じアッセイの結果と比較され得る。一部の場合では、参照試料に対するアッセイの結果は、データベースまたは参照値から得られる。一部の場合では、参照試料に対するアッセイの結果は、既知の、または当業者に一般的に許容される値または値の範囲である。一部の場合では、比較は定性的である。他の場合では、比較は定量的である。一部の場合では、定性的または定量的比較は、蛍光値、スポット強度、吸光度値、化学発光シグナル、ヒストグラム、臨界閾値、統計的有意値、本明細書に記載される遺伝子の発現レベル、mRNAコピー数のうちの1つまたは複数を比較することを含み得るが、これらに限定されない。
一実施形態では、各バイオマーカーレベルパネル測定に関し、オッズ比(OR)が算出される。ここでORとは、患者のバイオマーカー測定値と、アウトカム、例えば肺腺癌サブタイプとの間の関連性の尺度である。例えば、その全体があらゆる目的のために参照により組み込まれている、J. Can. Acad. Child Adolesc. Psychiatry、2010年;19巻(3号):227~229頁を参照されたい。
一実施形態では、肺がんサブタイプに関する信頼レベルを提供するために、規定の統計的信頼レベルが判定され得る。例えば、90%超の信頼レベルが肺がんサブタイプの有用な予測因子であり得ると判定される場合がある。他の実施形態では、多かれ少なかれストリンジェントな信頼レベルが選択されてもよい。例えば、約または少なくとも約50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97.5%、99%、99.5%、または99.9%の信頼レベルが選択され得る。提供される信頼レベルは、一部の場合では、試料の質、データの質、解析の質、使用される具体的な方法、および/または解析される遺伝子発現値の数(すなわち遺伝子の数)に関係することがある。応答の尤度を提供するための規定の信頼レベルは、予想される偽陽性数または偽陰性数に基づいて選択され得る。規定の信頼レベルを達成するためまたは診断能力のあるマーカーを特定するためのパラメータを選択するための方法としては、受信者動作特性(ROC)曲線解析、従法線ROC、主成分解析、オッズ比解析、部分最小二乗法解析、特異値分解、最小絶対収縮および選択演算子解析、最小角回帰、ならびに閾値勾配正則化法が挙げられるが、これらに限定されない。
一部の場合では、肺腺癌サブタイプを判定することは、遺伝子発現データを正規化するためおよび/またはその信頼度を改善するためにデザインされたアルゴリズムの適用によって改善することができる。本発明の一部の実施形態では、データ解析において多数の個々のデータ点が処理されるため、本明細書に記載される種々のアルゴリズムを適用するためにコンピュータまたは他のデバイス、機械もしくは装置が利用される。「機械学習アルゴリズム」とは、例えば肺腺癌サブタイプを判定するために遺伝子発現プロファイル(単数または複数)を特徴付けるために用いられる、当業者には「分類指標」としても公知である計算ベースの予測方法論を指す。例えばマイクロアレイベースのハイブリダイゼーションアッセイ、配列決定アッセイ、NanoStringアッセイなどにより判定されるバイオマーカーレベルは、一実施形態では、プロファイルを分類するためにアルゴリズムにかけられる。教師あり学習は、概して、スクアモイド(近位炎症性)陽性、ブロンキオイド(終末呼吸単位)陽性、またはマグノイド(近位増殖性)陽性などのサブタイプ間の差別を認識するよう分類指標を「トレーニング」することと、次いで独立した試験セットで分類指標の正確度を「試験」することとを含む。したがって、新しい未知の試料についてこの分類指標を使用して、例えば、試料が属するクラス(例えば、スクアモイド対ブロンキオイド対マグノイド)を予測することができる。
一部の実施形態では、ロバストマルチアレイ平均(RMA)法を使用して、生データを正規化してもよい。RMA法は、いくつかのマイクロアレイ上の各マッチセルに関してバックグラウンド補正後の強度を計算することから始まる。一実施形態では、その全体があらゆる目的のために参照により組み込まれているIrizarryら(2003年)、Biostatistics、4月、4巻(2号):249~64頁によって記載されているように、バックグラウンド補正後の値は正値に制限される。バックグラウンド補正後、次いで、各々のバックグラウンド補正後のマッチセル強度の2を底とする対数が得られる。次いで、各マイクロアレイ上の、バックグラウンド補正後、対数変換後のマッチした強度が、分位正規化法を使用して正規化される。分位正規化法では、各入力アレイおよび各プローブ値についてアレイパーセンタイルプローブ値がすべてのアレイパーセンタイル点の平均に置き換えられる。この方法は、その全体が参照により組み込まれている、Bolstadら、Bioinformatics、2003年によって、より全面的に記載されている。分位正規化後、正規化されたデータを次いで線形モデルに当てはめ、各マイクロアレイ上の各プローブに関する強度基準を得ることができる。次いで、Tukeyの中央値洗練アルゴリズム(Tukey, J. W.、Exploratory Data Analysis、1977年、その全体はあらゆる目的のために参照により組み込まれている)を使用して、正規化されたプローブセットデータに関する対数スケールの強度レベルを判定してもよい。
種々の他のソフトウェアプログラムを実施してもよい。ある特定の方法において、特徴選択およびモデル推定は、glmnetを使用してlassoペナルティを用いるロジスティック回帰により行うことができる(Friedmanら(2010年)、Journal of statistical software、33巻(1号):1~22頁、その全体は参照により組み込まれている)。生のリードは、TopHatを使用してアラインすることができる(Trapnellら(2009年)、Bioinformatics、25巻(9号):1105~11頁、その全体は参照により組み込まれている)。諸方法において、e1071ライブラリー(Meyer D.、Support vector machines: the interface to libsvm in package e1071、2014年、その全体は参照により組み込まれている)を使用して、線形サポートベクターマシン(SVM)(Suykens JAK、Vandewalle J.、Least Squares Support Vector Machine Classifiers、Neural Processing Letters、1999年;9巻(3号):293~300頁、その全体は参照により組み込まれている)をトレーニングするために、トップフィーチャ(10~200の範囲のN)が使用される。信頼区間は、一実施形態では、pROCパッケージ(Robin X、Turck N、Hainard Aら、pROC: an open-source package for R and S+ to analyze and compare ROC curves、BMC bioinformatics、2011年;12巻:77頁、その全体は参照により組み込まれている)を使用して計算される。
加えて、疑わしいとみなされ得るデータを除去するためにデータをフィルタリングしてもよい。一実施形態では、約4、5、6、7、または8より少ないグアノシン+シトシンヌクレオチドを有するマイクロアレイプローブに由来するデータは、それらの異常なハイブリダイゼーション傾向または二次構造の問題に起因して信頼できないとみなされる場合がある。同様に、約12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、または22より多くのグアノシン+シトシンヌクレオチドを有するマイクロアレイプローブに由来するデータは、一実施形態では、それらの異常なハイブリダイゼーション傾向または二次構造の問題に起因して信頼できないとみなされる場合がある。
本発明の一部の実施形態では、プローブセットからのデータは、それらが検出可能なレベル(バックグラウンドを超える)で特定されない場合は解析から除外される場合がある。
本開示の一部の実施形態では、分散を呈さない、または低分散を呈するプローブセットは、さらなる解析から除外される場合がある。低分散プローブセットは、カイ二乗検定によって解析から除外される。一実施形態では、プローブセットは、その変換後の分散が自由度(N-1)のカイ二乗分布の99パーセント信頼区間の左側にある場合、低分散であるとみなされる。(N-1)*プローブセット分散/(遺伝子プローブセット分散)。Chi-Sq(N-1)について、式中、Nは、入力CELファイルの数であり、(N-1)は、カイ二乗分布の自由度であり、「遺伝子のプローブセット分散」は、遺伝子全部のプローブセット分散の平均である。本発明の一部の実施形態では、所与のmRNAまたはmRNA群のプローブセットに含まれる、GC含量、信頼度、分散などに関してこれまでに記載されているフィルタステップを通過するプローブの数が最小数に満たない場合、これらはさらなる解析から除外され得る。例えば、一部の実施形態では、所与の遺伝子または転写物クラスターのプローブセットは、それらが約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15個未満、または約20個未満のプローブを含む場合、さらなる解析から除外されてよい。
バイオマーカーレベルのデータ解析方法は、一実施形態では、本明細書において提供される特徴選択アルゴリズムの使用をさらに含む。本発明の一部の実施形態では、特徴選択は、LIMMAソフトウェアパッケージ(Bioinformatics and Computational Biology Solutions using R and Bioconductor、R. Gentleman、V. Carey、S. Dudoit、R. Irizarry、W. Huber(編)、Springer、New York、397~420頁のSmyth, G. K.(2005年)Limma: linear models for microarray data、その全体はあらゆる目的のために参照により組み込まれている)の使用によって行われる。
バイオマーカーレベルのデータ解析方法は、一実施形態では、予備分類(pre-classifier)アルゴリズムの使用を含む。例えば、アルゴリズムは、特異的な分子指紋を使用して、試料の組成に従って試料を予備分類し、次いで補正/正規化係数を適用することができる。次いで、このデータ/情報を最終分類アルゴリズムに供給することができ、最終分類アルゴリズムは、最終診断を支援するためにこの情報を組み込む。
バイオマーカーレベルのデータ解析方法は、一実施形態では、本明細書において提供される分類指標アルゴリズムの使用をさらに含む。本発明の一実施形態では、マイクロアレイデータの分類のために、対角線形判別解析(diagonal linear discriminant analysis)、k最近傍アルゴリズム、サポートベクターマシン(SVM)アルゴリズム、線形サポートベクターマシン、ランダムフォレストアルゴリズム、もしくは確率モデルに基づく方法、またはそれらの組合せが用いられる。一部の実施形態では、試料(例えば、バイオマーカーレベルプロファイルが異なるもの、および/または腺癌の分子サブタイプ(例えば、スクアモイド、ブロンキオイド、マグノイド)が異なるもの)を弁別する特定されたマーカーは、目的のクラス間のバイオマーカーレベルの差の統計的有意性に基づいて選択される。一部の場合では、統計的有意性は、Benjamin Hochberg法または別の偽発見率(FDR)補正法を適用することにより調整される。
一部の場合では、分類指標アルゴリズムは、その全体があらゆる目的のために参照により組み込まれている、FishelおよびKaufmanら、2007年、Bioinformatics、23巻(13号):1599~606頁に記載されているものなどのメタ解析手法で補完されてもよい。一部の場合では、分類指標アルゴリズムは、反復性解析などのメタ解析手法で補完されてもよい。
事後確率を求めこれをバイオマーカーレベルのデータ解析に適用するための方法は、当技術分野で公知であり、例えば、その全体があらゆる目的のために参照により組み込まれている、Smyth, G. K.、2004年、Stat. Appi. Genet. Mol. Biol.、3巻:論文3に記載されている。一部の場合では、事後確率は、分類指標アルゴリズムによりもたらされるマーカーのランク付けのために本発明の方法において使用される場合がある。
バイオマーカーレベルプロファイリング結果の統計的評価は、腺癌の分子サブタイプ(スクアモイド、ブロンキオイド、またはマグノイド);特定の治療介入、例えば血管新生阻害剤療法、化学療法、または免疫療法の成功の尤度のうちの1つまたは複数を示す定量的値(単数または複数)を提供し得る。一実施形態では、このデータは、患者ケアの指針とするために最も有用な形態で医師に直接提示されるか、または臨床治験における患者集団もしくは所与の医薬のための患者集団を定義するために使用される。分子プロファイリングの結果は、スチューデントT検定、両側T検定、ピアソン順位和解析、隠れマルコフモデル解析、q-qプロットの解析、主成分解析、一元配置分散分析、二元配置分散分析、LIMMAなどを含むがこれらに限定されない、当技術分野に公知のいくつかの方法を使用して統計的に評価することができる。
一部の場合では、正確度は、元の診断の正確度を判定するために経時的に対象を追跡することによって判定され得る。他の場合では、正確度は、決定論的に確立されてもよく、または統計学的方法を使用して確立されてもよい。例えば、特定レベルの正確度、特異度、陽性予測値、陰性予測値、および/または偽発見率を達成するために最適なアッセイパラメータを判定するために、受信者動作特性(ROC)解析が使用され得る。
一部の場合では、バイオマーカーレベルプロファイリングアッセイの結果は、分子プロファイリング事業、個人、医療提供者、または保険提供者の代表または代理人がアクセスできるようデータベースに入力される。一部の場合では、アッセイ結果は、医療従事者などの事業の代表、代理人、またはコンサルタントによる試料分類、特定、または診断を含む。他の場合では、コンピュータまたはアルゴリズムによるデータ解析が自動的に提供される。一部の場合では、分子プロファイリング事業は、行った分子プロファイリングアッセイ、コンサルティングサービス、データ解析、結果報告、またはデータベースアクセスのうちの1つまたは複数について、個人、保険提供者、医療提供者、研究者、または政府機関に対価請求する場合がある。
本発明の一部の実施形態では、バイオマーカーレベルプロファイリングアッセイの結果は、コンピュータスクリーンでのレポートとして提示されるか、または紙による記録として提示される。一部の実施形態では、レポートには、これらに限定されないが、参照試料または参照値と比較した(例えば、コピー数または蛍光強度などによって報告される)バイオマーカーのレベル;バイオマーカーレベル値および肺腺癌サブタイプならびに提案される療法に基づいて対象が特定の療法に応答する尤度のうちの1つまたは複数のような情報が含まれ得る。
一実施形態では、遺伝子発現プロファイリングの結果は、スクアモイド(近位炎症性)陽性、ブロンキオイド(終末呼吸単位)陽性、マグノイド(近位増殖性)陽性、スクアモイド(近位炎症性)陰性、ブロンキオイド(終末呼吸単位)陰性、マグノイド(近位増殖性)陰性;血管新生阻害剤、免疫療法、もしくは化学療法に応答する可能性が高い;血管新生阻害剤、免疫療法、もしくは化学療法に応答する可能性が低い;またはそれらの組合せのうちの1つまたは複数に分類され得る。
本発明の一部の実施形態では、トレーニングされたアルゴリズムを使用して結果が分類される。本発明のトレーニングされたアルゴリズムには、遺伝子発現値が既知の参照セット、および/または正常試料、例えば、腺癌の特定の分子サブタイプと診断された個体からの試料を使用して開発されたアルゴリズムが含まれる。一部の場合では、遺伝子発現値が既知の参照セットは、腺癌の特定の分子サブタイプと診断されたことがあり、かつ血管新生阻害剤療法に応答すること(または応答しないこと)が既知の個体から得られる。一部の場合では、遺伝子発現値が既知の参照セットは、腺癌の特定の分子サブタイプと診断されたことがあり、かつ免疫療法に応答すること(または応答しないこと)が既知の個体から得られる。一部の場合では、遺伝子発現値が既知の参照セットは、腺癌の特定の分子サブタイプと診断されたことがあり、かつ化学療法に応答すること(または応答しないこと)が既知の個体から得られる。
試料のカテゴリー化に好適なアルゴリズムとしては、k最近傍アルゴリズム、サポートベクターマシン、線形判別解析、対角線形判別解析、上下調整、単純ベイズアルゴリズム、ニューラルネットワークアルゴリズム、隠れマルコフモデルアルゴリズム、遺伝子アルゴリズム、またはそれらの任意の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
二項分類指標を実際の真値(例えば、生物学的試料由来の値)と比較すると、典型的には、可能性のあるアウトカムは4種ある。予測からのアウトカムがpであり(ここで「p」は欠失または重複症候群の存在などの陽性の分類指標出力である)、実際値もまたpである場合、これは真陽性(TP)と呼ばれる;しかしながら、実際値がnである場合、これは偽陽性(FP)と言われる。逆に、予測アウトカムおよび実際値の両方がnである(ここで「n」は欠失または重複症候群の不在などの陰性の分類指標出力である)場合に真陰性が生じ、偽陰性は、予測アウトカムはnであるが実際値がpであるときである。一実施形態では、ある人物が血管新生阻害剤療法に応答する可能性が高いかまたは低いかを判定しようとする検定を考慮されたい。この場合の偽陽性は、この人物が試験で陽性を示すが実際には応答するときに生じる。一方で偽陰性は、この人物が試験で陰性を示し、応答する可能性が低いことが示唆されるものの、実際には応答する可能性が高いときに生じる。肺がんサブタイプを分類する際にも同じことが言える。
陽性予測値(PPV)、または精度率、または疾患の検査後確率とは、陽性試験結果を有する対象で、応答する可能性が高いもしくは低いと正しく診断されたもの、または正しい肺がんサブタイプを診断されたもの、またはそれらの組合せの割合である。これは、試験されている基礎状態を陽性試験が反映する確率を反映する。しかしながら、その値は、様々であり得る疾患の有病率に依存する。一例では、次の特徴が提供される:FP(偽陽性);TN(真陰性);TP(真陽性);FN(偽陰性)。偽陽性率(α)=FP/(FP+TN)-特異度;偽陰性率(β)=FN/(TP+FN)-感度;検出力(Power)=感度=1-β;正の尤度比=感度/(1-特異度);負の尤度比=(1-感度)/特異度。陰性予測値(NPV)は、正しく診断されている陰性試験結果を有する対象の割合である。
一部の実施形態では、本方法によるバイオマーカーレベル解析の結果は、所与の診断が正しい統計的信頼レベルを提供する。一部の実施形態では、そのような統計的信頼レベルは、少なくとも約85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%もしくはそれを超える値であるか、または約85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%もしくはそれを超える値よりも高い。
一部の実施形態では、この方法は、試料中のバイオマーカーレベルと、例えば少なくとも1種のトレーニングセットに存在する参照バイオマーカーレベルとの比較に基づいて、肺組織試料を特定の肺がんサブタイプに分類するステップをさらに含む。一部の実施形態では、比較の結果が、例えば、最小一致パーセント、(例えば)カッパ統計量などの一致百分率に基づいて算出された統計量の値、最小の相関(例えばピアソンの相関)、および/または同様のものなどの1つまたは複数の基準を満たす場合、肺組織試料が特定のサブタイプに分類される。
本明細書に記載される方法は、ソフトウェア(メモリに記憶されたものおよび/もしくはハードウェアで実行されるもの)、ハードウェア、またはそれらの組合せによって行われ得ることが意図される。ハードウェアモジュールは、例えば、汎用プロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、および/または特定用途向け集積回路(ASIC)を含み得る。ソフトウェアモジュール(ハードウェアで実行されるもの)は、Unix(登録商標)ユーティリティ、C、C++、Java(登録商標)、Ruby、SQL、SAS(登録商標)、Rプログラミング言語/ソフトウェア環境、Visual Basic(商標)、および他のオブジェクト指向言語、プロシージャ言語、または他のプログラミング言語を含む様々なソフトウェア言語(例えばコンピュータコード)ならびに開発ツールにおいて表現され得る。コンピュータコードの例としては、マイクロコードまたはマイクロ命令、機械命令、例えばコンパイラにより生成されるもの、ウェブサービスを作成するために使用されるコード、およびインタープリターを使用してコンピュータにより実行される高レベル命令を含むファイルが挙げられるが、これらに限定されない。コンピュータコードのさらなる例としては、制御信号、暗号化コード、および圧縮コードが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書に記載される一部の実施形態は、コンピュータにより実施される種々の操作および/または本明細書に開示される方法を行うための命令またはコンピュータコードを有する非一時的コンピュータ可読媒体(非一時的プロセッサ可読媒体またはメモリと呼ばれる場合もある)を備えたデバイスに関する。コンピュータ可読媒体(またはプロセッサ可読媒体)は、それ自体が一時的伝搬信号(例えば、空間またはケーブルなどの伝送媒体で情報を伝える伝搬電磁波)を含まないという意味で非一時的である。この媒体およびコンピュータコード(コードと呼ばれる場合もある)は、特定の目的(単数または複数)のためにデザインされ構築されたものであってもよい。非一時的コンピュータ可読媒体の例としては、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、および磁気テープなどの磁気記憶媒体;コンパクトディスク/デジタルビデオディスク(CD/DVD)、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、およびホログラフィックデバイスなどの光学式記憶媒体;光ディスクなどの磁気光学式記憶媒体;搬送波信号処理モジュール;ならびにプログラムコードを記憶し実行するように特別に構成されたハードウェアデバイス、例えば特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、読み取り専用メモリ(ROM)、およびランダムアクセスメモリ(RAM)デバイスが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に記載される他の実施形態は、例えば、本明細書で論じられる命令および/またはコンピュータコードを含み得るコンピュータプログラム製品に関する。
一部の実施形態では、単一のバイオマーカー、または約5~約10、約8~約16、約5~約15、約5~約20、約5~約25、約5~約30、約5~約35、約5~約40、約5~約45、約5~約48種のバイオマーカー(例えば、表1に開示されるもの)が、少なくとも約70%、少なくとも約71%、少なくとも約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、最大100%、およびこの間のすべての値の予測成功率で、肺腺癌のサブタイプを分類することができる。一部の実施形態では、本明細書(例えば、表1)に開示されるバイオマーカーの任意の組合せを使用して、少なくとも約70%、少なくとも約71%、少なくとも約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、最大100%、およびこの間のすべての値の予測成功率を得ることができる。
一部の実施形態では、単一のバイオマーカー、または約5~約10、約8~約16、約5~約15、約5~約20、約5~約25、約5~約30、約5~約35、約5~約40、約5~約45、約5~約48種のバイオマーカー(例えば、表1に開示されるもの)が、少なくとも約70%、少なくとも約71%、少なくとも約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、最大100%、およびこの間のすべての値の感度または特異度で、肺腺癌サブタイプを分類することができる。一部の実施形態では、本明細書に開示されるバイオマーカーの任意の組合せを使用して、少なくとも約70%、少なくとも約71%、少なくとも約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、最大100%、およびこの間のすべての値の感度または特異度を得ることができる。
分類指標遺伝子の選択
一実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物は、一組のバイオマーカーの発現を解析することによって患者由来の試料(例えば、肺組織試料)のADサブタイプを判定するのに有用であり、一組のバイオマーカーは、肺ADサブタイプを分子的に分類するための当技術分野で公知の方法よりも少ない数のバイオマーカーを含む。一部の場合では、一組のバイオマーカーは、250、240、230、220、210、200、150、100、95、または90個未満のバイオマーカーである。一部の場合では、一組のバイオマーカーは、50個未満のバイオマーカーである。一部の場合では、一組のバイオマーカーは、表1に列挙される48種一組のバイオマーカーである。一部の場合では、一組のバイオマーカーは、表1に列挙されるバイオマーカーのサブセットである。本明細書において提供される方法および組成物において有用なバイオマーカーまたは分類指標遺伝子は、1つまたは複数のデータベースからの1つまたは複数の肺腺癌データセットから選択してよい。データベースは、公開データベースであってもよい。一実施形態では、肺腺癌サブタイプを検出または診断するための本明細書において提供される方法および組成物において有用な分類指標遺伝子(例えば、表1および表2に列挙される1つまたは複数の遺伝子)は、The Cancer Genome Atlas(TCGA)の肺腺癌RNAseqデータセットから選択された。一実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物に有用な分類指標遺伝子、例えば表1のものは、対象から得られた試料のADサブタイプを判定するために発現プロファイルが使用され得る遺伝子の最小数を判定するために、分類指標遺伝子の大きなセットをin silicoベースのプロセスにかけることによって選択される。一部の場合では、分類指標遺伝子の大きなセットは、例えば、TCGAなどからの肺AD RNAseqデータセットであり得る。一部の場合では、分類指標遺伝子の大きなセットは、本明細書に記載される506遺伝子分類指標であってもよく、この506遺伝子分類指標は、至適基準サブタイプを定義する役割を果たし得る。本明細書において提供される、患者由来の試料の肺ADサブタイプを判定するための遺伝子カセットを選択するためのin silicoプロセスは、各サブタイプに対して負の相関を示す遺伝子および正の相関を示す遺伝子を同数選択するように改変された最近隣重心へのアレイ分類(CLaNC)アルゴリズムを標準的な506分類指標遺伝子に適用または使用することを含み得る。シグネチャーに含める遺伝子の最適な数(例えば、表1に示されるようにサブタイプ当たり16個)の判定に関し、このプロセスは、本明細書において提供されるTCGA肺腺癌データセットを使用した5分割交差検証を行って、図8に示されるような交差検証曲線を作成することをさらに含み得る。遺伝子分類指標の最終的なリストを得るために、この方法は、図9に示されるように、至適基準サブタイプ予測強度が最も低い試料の20%を全体から差し引いたTCGAデータセットに、最近隣重心へのアレイ分類(CLaNC)を適用するステップと、各サブタイプから同数を除去するステップとをさらに含み得る。
一実施形態では、この方法は、遺伝子分類指標を検証するステップをさらに含む。検証は、いくつかの新鮮冷凍された公的に利用可能なアレイおよびRNAseqデータセットにおいて分類指標の発現を試験し、前記発現レベルに基づいてサブタイプをコールし、その後この発現を、過去に公開されている506遺伝子シグネチャーにより定義される至適基準サブタイプコールと比較することを含み得る。次いで、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)腺癌試料のアーカイブから新たに収集されたRNAseqデータセットにおいて遺伝子シグネチャー(例えば表1)の最終検証を行って、FFPE試料における同等の性能を確かめることができる。一実施形態では、表1の分類指標バイオマーカーは、本明細書に記載されるin silicoのCLaNCプロセスに基づいて選択された。遺伝子略号および公式遺伝子名をそれぞれ縦列2および縦列3に列挙する。
一実施形態では、本発明の方法は、TRU、PP、またはPI肺腺癌サブタイプを特定するために、患者から得られた肺がん細胞試料における、発現が変化した少なくとも1種、少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種、少なくとも5種、少なくとも6種、少なくとも7種、少なくとも8種、少なくとも9種、少なくとも10種、少なくとも11種、少なくとも12種、少なくとも13種、少なくとも14種、少なくとも15種、または最大16種の分類指標バイオマーカーの検出を必要とする。本明細書において提供される他の分類指標遺伝子発現データセットについても同じことが当てはまる。
別の実施形態では、本発明の方法は、TRU、PP、またはPI肺腺癌サブタイプを特定するために、患者から得られた肺がん細胞試料(例えば、肺AD試料)における、表1の48種の遺伝子バイオマーカーのうち合計で少なくとも1種、少なくとも2種、少なくとも5種、少なくとも8種、少なくとも10種、少なくとも16種、少なくとも20種、少なくとも30種、少なくとも32種、または最大48種の分類指標バイオマーカーの検出を必要とする。本明細書において提供される他の分類指標遺伝子発現データセットについても同じことが当てはまる。
一実施形態では、表1のうちの少なくとも1種、少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種、少なくとも5種、少なくとも6種、少なくとも7種、または最大8種のバイオマーカーが、肺腺癌の特定のサブタイプにおいて「上方制御」される。別の実施形態では、表1のうちの少なくとも1種、少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種、少なくとも5種、少なくとも6種、少なくとも7種、または最大8種のバイオマーカーが、肺腺癌の特定のサブタイプにおいて「下方制御」される。本明細書において提供される他の分類指標遺伝子発現データセットについても同じことが当てはまる。
一実施形態では、本明細書において提供される「上方制御される」バイオマーカーの発現レベルは、約0.5倍、約1倍、約1.5倍、約2倍、約2.5倍、約3倍、約3.5倍、約4倍、約4.5倍、約5倍、およびこの間の任意の値だけ上昇する。別の実施形態では、本明細書において提供される「下方制御される」バイオマーカーの発現レベルは、約0.8倍、約1.4倍、約2倍、約2.6倍、約3.2倍、約3.6倍、約4倍、およびこの間の任意の値だけ低下する。
本発明の実践においては、さらなる遺伝子またはタンパク質が使用され得ることが認識されている。例えば、中間径フィラメントタンパク質ファミリーのメンバーであるビメンチンを使用すると、腺癌サブタイプの近位増殖性(マグノイド)を特定することができ、SMAを使用すると、近位炎症性(スクアモイド)のサブタイプを特定することができる。概して、肺腺癌のサブタイプを分類する際に有用な遺伝子は、正常と腫瘍、または異なるクラスもしくはグレードの肺がんの間の弁別を独立して行うことができるものを含む。遺伝子は、受信者動作特性(ROC)曲線下面積がおよそ1である場合、サブタイプ間の弁別を高信頼性で行うことができるとみなされる。
臨床的/治療的使用
一実施形態では、がんを患う患者の疾患アウトカムまたは予後を判定するための方法が本明細書において提供される。一部の場合では、がんは肺がんである。疾患アウトカムまたは予後は、一定期間または間隔(例えば、0~36か月または0~60か月)にわたって全生存期間を検査することにより測定することができる。一実施形態では、生存期間は、サブタイプ(例えば、肺がんの場合、腺癌(TRU、PI、およびPP))の関数として解析される。無再発生存期間および全生存期間は、標準的なカプラン・マイヤープロットならびにCox比例ハザードモデリングを使用して査定することができる。
一実施形態では、患者の肺がんサブタイプが判定されたら、この患者は、好適な療法、例えば化学療法、または血管新生阻害剤を用いた薬物療法、または免疫療法のために選択される。一実施形態では、患者の肺がんサブタイプが判定されたら、この患者には、好適な治療剤、例えば化学療法剤、または血管新生阻害剤、または免疫療法剤が投与される。一実施形態では、療法は免疫療法であり、免疫療法剤は、チェックポイント阻害剤、モノクローナル抗体、生体応答修飾因子、治療用ワクチン、または細胞免疫療法である。
本発明の方法はまた、療法に対する臨床応答を評価するのに加えて、新しい療法の有効性の臨床治験におけるエンドポイントにも有用である。順次の診断的発現プロファイルが正常に向かって移動する程度は、候補療法の有効性の1つの尺度として使用することができる。
一実施形態では、本発明の方法はまた、異なる次数の療法に対する応答を肺腺癌(AD)のサブタイプに基づいて予測する際に役立つ。例えば、化学療法応答は、腫瘍サブタイプをより正確に割り当てることにより改善され得る。同様に、処置レジメンは、腫瘍サブタイプに基づいて処方され得る。例えば、VEGF阻害剤であるベバシズマブがNSCLCの処置において有効であり得る有力な証拠が臨床治験により示されている。
一実施形態では、終末呼吸単位(TRU)サブタイプは、EGFR阻害剤およびペメトレキセドに対して向上した応答を有し得る。別の実施形態では、近位増殖性(PP)は、化学療法に対して向上した応答を有し得る。別の実施形態では、近位炎症性(PI)は、免疫療法に対して向上した応答を有し得る。別の実施形態では、すべてのサブタイプが、化学療法、血管新生阻害剤処置、および免疫療法に対して向上した応答を有し得る。
血管新生阻害剤
一実施形態では、患者の肺腺癌サブタイプが判定されたら、この患者は、血管新生阻害剤を用いた薬物療法のために選択される。
一実施形態では、血管新生阻害剤は、血管内皮増殖因子(VEGF)阻害剤、VEGF受容体阻害剤、血小板由来増殖因子(PDGF)阻害剤、またはPDGF受容体阻害剤である。
各バイオマーカーパネルは、腺癌患者が血管新生阻害剤療法に応答する可能性が高いかどうかを査定するため;血管新生阻害剤療法のための腺癌患者を選択するため;「低酸素スコア」を判定するため、および/または腺癌試料をスクアモイド(近位炎症性とも呼ばれる)、ブロンキオイド(終末呼吸単位とも呼ばれる)、もしくはマグノイド(近位増殖性とも呼ばれる)の分子サブタイプにサブタイピングするために分類指標(「分類指標バイオマーカー」とも呼ばれる)により使用可能な、1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、またはそれよりも多くのバイオマーカーを含み得る。本明細書で使用される場合、「分類指標」という用語は、統計的分類のための任意のアルゴリズムを指し得、これは、ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの組合せにおいて実施され得る。分類指標には、2レベル、3レベル、4レベル、またはそれよりも高次の分類を行う能力があり得、これは、分類されるエンティティの性質に依存し得る。本明細書に開示される態様を達成するためには、1つまたは複数の分類指標を用いてよい。
概して、腺癌患者が血管新生阻害剤療法に応答する可能性が高いかどうかを判定する方法、または血管新生阻害剤療法のための腺癌患者を選択する方法が、本明細書において提供される。一実施形態では、この方法は、本明細書に記載される方法を使用して患者の腺癌サブタイプがスクアモイド(近位炎症性)、ブロンキオイド(終末呼吸単位)、またはマグノイド(近位増殖性)であるかどうかを査定するステップ(例えば、表1の1つまたは複数の分類指標バイオマーカーの発現を査定するステップ)と、RRAGD、FABP5、UCHL1、GAL、PLOD、DDIT4、VEGF、ADM、ANGPTL4、NDRG1、NP、SLC16A3、およびC14ORF58(表3参照)からなる群から選択される少なくとも5種のバイオマーカーのレベルについて患者由来の腺癌試料を核酸レベルでプローブするステップとを含む。さらなる実施形態では、プローブするステップは、試料を、少なくとも5種のバイオマーカーの核酸分子の一部分に対して実質的に相補的である5種またはそれよりも多くのオリゴヌクレオチドと、5種またはそれよりも多くのオリゴヌクレオチドをそれらの相補体または実質的な相補体とハイブリダイズさせるのに好適な条件下で混合するステップと、5種またはそれよりも多くのオリゴヌクレオチドと、それらの相補体または実質的な相補体との間でハイブリダイゼーションが生じるかどうかを検出するステップと、検出するステップに基づいて試料のハイブリダイゼーション値を得るステップとを含む。試料のハイブリダイゼーション値は、次いで、少なくとも1種のサンプルトレーニングセットからの参照ハイブリダイゼーション値と比較され、ここで、少なくとも1種のサンプルトレーニングセットは、(i)少なくとも5種のバイオマーカーを過剰発現するか、もしくは少なくとも5種のバイオマーカーのサブセットを過剰発現する試料からの少なくとも5種のバイオマーカーのハイブリダイゼーション値、(ii)参照スクアモイド(近位炎症性)、ブロンキオイド(終末呼吸単位)もしくはマグノイド(近位増殖性)試料からの少なくとも5種のバイオマーカーのハイブリダイゼーション値、または(iii)腺癌不含肺試料からの少なくとも5種のバイオマーカーのハイブリダイゼーション値を含む。次いで、患者が血管新生阻害剤療法に応答する可能性が高いかどうかの判定、または血管新生阻害剤のための患者の選択が、(i)患者の腺癌サブタイプおよび(ii)比較の結果に基づいて行われる。
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前述の13種一組のバイオマーカーまたはそれらのサブセットは、本明細書では「低酸素プロファイル」とも呼ばれる。
一実施形態では、本明細書において提供される方法は、対象から得られた腺癌試料中の、RRAGD、FABP5、UCHL1、GAL、PLOD、DDIT4、VEGF、ADM、ANGPTL4、NDRG1、NP、SLC16A3、およびC14ORF58から選択される少なくとも5種のバイオマーカー、少なくとも6種のバイオマーカー、少なくとも7種のバイオマーカー、少なくとも8種のバイオマーカー、少なくとも9種のバイオマーカー、もしくは少なくとも10種のバイオマーカー、または5~13、6~13、7~13、8~13、9~13、もしくは10~13種のバイオマーカーのレベルを判定するステップを含む。一部の事例では、バイオマーカー発現は、試料中のすべてのRNA転写物もしくはそれらの発現産物の発現レベルに対して、またはRNA転写物もしくはそれらの発現産物の参照セットに対して正規化され得る。随所で説明される参照セットは、腺癌試料と並行して試験される実際の試料であってもよいし、またはデータベースもしくは記憶されているデータセットの値の参照セットであってもよい。発現レベルは、一実施形態では、コピー数、相対的な蛍光値、または検出された蛍光値として報告される。低酸素プロファイルのバイオマーカーの発現レベルは、本明細書において提供される方法を使用して判定された腺癌サブタイプと併せて、患者が血管新生阻害剤療法に応答する可能性が高いかどうかを判定するために、本明細書に記載される方法において使用することができる。
一実施形態では、13種のバイオマーカー(または上述のようにそれらのサブセット、例えば5種またはそれよりも多く、約5種~約13種)の発現レベルは、すべてのRNA転写物もしくはそれらの非天然cDNA発現産物、または試料中のタンパク質産物、またはRNA転写物の参照セットもしくはそれらの非天然cDNA発現産物の参照セット、または試料中のそれらのタンパク質産物の参照セットの発現レベルに対して正規化される。
一実施形態では、血管新生阻害剤処置としては、インテグリンアンタゴニスト、セレクチンアンタゴニスト、接着分子アンタゴニスト、細胞間接着分子(ICAM)-1、ICAM-2、ICAM-3、血小板内皮接着分子(PCAM)、血管細胞接着分子(VCAM))のアンタゴニスト、リンパ球機能関連抗原1(LFA-1)のアンタゴニスト、塩基性線維芽細胞増殖因子アンタゴニスト、血管内皮増殖因子(VEGF)調節因子、血小板由来増殖因子(PDGF)調節因子(例えば、PDGFアンタゴニスト)が挙げられるが、これらに限定されない。
対象がインテグリンアンタゴニストに応答する可能性が高いかどうかを判定する一実施形態では、インテグリンアンタゴニストは、小分子インテグリンアンタゴニスト、例えば、Paolilloら(Mini Rev Med Chem、2009年、12巻、1439~1446頁、その全体は参照により組み込まれている)に記載されているアンタゴニスト、または、その全体が参照により組み込まれている米国特許第6,524,581号に記載されている白血球接着誘導性サイトカインもしくは増殖因子アンタゴニスト(例えば、腫瘍壊死因子α(TNF-α)、インターロイキン-1β(IL-1β)、単球走化性タンパク質-1(MCP-1)および血管内皮増殖因子(VEGF))である。
本明細書において提供される方法は、対象が、次の血管新生阻害剤:インターフェロンガンマ1β、インターフェロンガンマ1β(Actimmune(登録商標))とピルフェニドン、ACUHTR028、αVβ5、アミノ安息香酸カリウム、アミロイドP、ANG1122、ANG1170、ANG3062、ANG3281、ANG3298、ANG4011、抗CTGF RNAi、Aplidin、astragalus membranaceus抽出物とsalviaおよびschisandra chinensis、動脈硬化プラーク遮断薬、Azol、AZX100、BB3、結合組織増殖因子抗体、CT140、ダナゾール、Esbriet、EXC001、EXC002、EXC003、EXC004、EXC005、F647、FG3019、フィブロコリン(Fibrocorin)、フォリスタチン、FT011、ガレクチン-3阻害剤、GKT137831、GMCT01、GMCT02、GRMD01、GRMD02、GRN510、Heberon Alfa R、インターフェロンα-2β、ITMN520、JKB119、JKB121、JKB122、KRX168、LPA1受容体アンタゴニスト、MGN4220、MIA2、マイクロRNA 29aオリゴヌクレオチド、MMI0100、ノスカピン、PBI4050、PBI4419、PDGFR阻害剤、PF-06473871、PGN0052、Pirespa、Pirfenex、ピルフェニドン、プリチデプシン、PRM151、Px102、PYN17、PYN22とPYN17、Relivergen、rhPTX2融合タンパク質、RXI109、セクレチン、STX100、TGF-β阻害剤、形質転換増殖因子、β-受容体2オリゴヌクレオチド、VA999260、XV615、またはそれらの組合せのうちの1つまたは複数に応答する可能性が高いかどうかを判定するのにも有用である。
別の実施形態では、対象が1つまたは複数の内在性血管新生阻害剤に応答する可能性が高いかどうかを判定するための方法が提供される。さらなる実施形態では、内在性血管新生阻害剤は、エンドスタチン、XVIII型コラーゲンに由来する20kDa C末端断片、アンジオスタチン(プラスミンの38kDa断片)、トロンボスポンジン(TSP)タンパク質ファミリーのメンバーである。さらなる実施形態では、血管新生阻害剤は、TSP-1、TSP-2、TSP-3、TSP-4、およびTSP-5である。次の血管新生阻害剤:可溶性VEGF受容体、例えば、可溶性VEGFR-1およびニューロピリン1(NPR1)、アンジオポエチン-1、アンジオポエチン-2、バソスタチン、カルレティキュリン、血小板因子-4、組織メタロプロテイナーゼ阻害剤(TIMP)(例えば、TIMP1、TIMP2、TIMP3、TIMP4)、軟骨由来血管新生阻害剤(例えば、ペプチドトロポニンIおよびコンドロモジュリン(chrondomodulin)I)、トロンボスポンジンモチーフを有するディスインテグリンおよびメタロプロテイナーゼ1、インターフェロン(IFN)、(例えば、IFN-α、IFN-β、IFN-γ)、ケモカイン、例えば、C-X-Cモチーフを有するケモカイン(例えば、CXCL10、別称インターフェロンガンマ誘導性タンパク質10または低分子誘導性サイトカインB10)、インターロイキンサイトカイン(例えば、IL-4、IL-12、IL-18)、プロトロンビン、アンチトロンビンIII断片、プロラクチン、TNFSF15遺伝子によりコードされるタンパク質、オステオポンチン、マスピン、カンスタチン、プロリフェリン関連タンパク質のうちの1つまたは複数に対する尤度を判定するための方法も提供される。
一実施形態では、次の血管新生阻害剤:アンジオポエチン-1、アンジオポエチン-2、アンジオスタチン、エンドスタチン、バソスタチン、トロンボスポンジン、カルレティキュリン、血小板因子4、TIMP、CDAI、インターフェロンα、インターフェロンβ,血管内皮増殖因子阻害剤(VEGI)メタ-1、メタ-2、プロラクチン、VEGI、SPARC、オステオポンチン、マスピン、カンスタチン、プロリフェリン関連タンパク質(PRP)、レスチン、TSP-1、TSP-2、インターフェロンガンマ1β、ACUHTR028、αVβ5、アミノ安息香酸カリウム、アミロイドP、ANG1122、ANG1170、ANG3062、ANG3281、ANG3298、ANG4011、抗CTGF RNAi、Aplidin、astragalus membranaceus抽出物とsalviaおよびschisandra chinensis、動脈硬化プラーク遮断薬、Azol、AZX100、BB3、結合組織増殖因子抗体、CT140、ダナゾール、Esbriet、EXC001、EXC002、EXC003、EXC004、EXC005、F647、FG3019、フィブロコリン(Fibrocorin)、フォリスタチン、FT011、ガレクチン-3阻害剤、GKT137831、GMCT01、GMCT02、GRMD01、GRMD02、GRN510、Heberon Alfa R、インターフェロンα-2β、ITMN520、JKB119、JKB121、JKB122、KRX168、LPA1受容体アンタゴニスト、MGN4220、MIA2、マイクロRNA 29aオリゴヌクレオチド、MMI0100、ノスカピン、PBI4050、PBI4419、PDGFR阻害剤、PF-06473871、PGN0052、Pirespa、Pirfenex、ピルフェニドン、プリチデプシン、PRM151、Px102、PYN17、PYN22とPYN17、Relivergen、rhPTX2融合タンパク質、RXI109、セクレチン、STX100、TGF-β阻害剤、形質転換増殖因子、β-受容体2オリゴヌクレオチド、VA999260、XV615、またはそれらの組合せのうちの1つまたは複数に対する応答の尤度を判定するための方法が提供される。
さらに別の実施形態では、血管新生阻害剤は、パゾパニブ(Votrient)、スニチニブ(Sutent)、ソラフェニブ(Nexavar)、アキシチニブ(Inlyta)、ポナチニブ(Iclusig)、バンデタニブ(Caprelsa)、カボザンチニブ(Cometrig)、ラムシルマブ(Cyramza)、レゴラフェニブ(Stivarga)、ziv-アフリベルセプト(Zaltrap)、モテサニブ、またはそれらの組合せを含み得る。別の実施形態では、血管新生阻害剤はVEGF阻害剤である。さらなる実施形態では、VEGF阻害剤は、アキシチニブ、カボザンチニブ、アフリベルセプト、ブリバニブ、チボザニブ、ラムシルマブ、またはモテサニブである。なおもさらなる実施形態では、血管新生阻害剤はモテサニブである。
一実施形態では、本明細書において提供される方法は、対象が、血小板由来増殖因子(PDGF)ファミリーのメンバーのアンタゴニスト、例えば、PDGF受容体(PDGFR)のシグナル伝達および/または活性を阻害、低減、または調節する薬物に対して応答する尤度を判定することに関する。例えば、PDGFアンタゴニストは、一実施形態では、抗PDGFアプタマー、抗PDGF抗体もしくはその断片、抗PDGFR抗体もしくはその断片、または小分子アンタゴニストである。一実施形態では、PDGFアンタゴニストは、PDGFR-αまたはPDGFR-βのアンタゴニストである。一実施形態では、PDGFアンタゴニストは、抗PDGF-βアプタマーE10030、スニチニブ、アキシチニブ、ソラフェニブ(sorefenib)、イマチニブ、イマチニブメシル酸塩、ニンテダニブ、パゾパニブHCl、ポナチニブ、MK-2461、ドビチニブ、パゾパニブ、クレノラニブ、PP-121、テラチニブ、イマチニブ、KRN633、CP673451、TSU-68、Ki8751、アムバチニブ、チボザニブ、マシチニブ、モテサニブ二リン酸塩、ドビチニブ二乳酸、リニファニブ(ABT-869)である。
患者が血管新生阻害剤療法に応答する可能性が高いかどうかの判定、または血管新生阻害剤療法のための患者の選択が行われたら、一実施形態では、患者に血管新生阻害剤が投与される。血管新生阻害剤は、本明細書に記載される血管新生阻害剤のうちのいずれでもよい。
免疫療法
一実施形態では、患者から得られた試料のADのサブタイプを判定し、AD肺がんサブタイプに基づいて、患者が免疫療法に応答する可能性が高いかどうかを査定することによる、腺癌(AD)肺がん患者が免疫療法に応答する可能性が高いかどうかを判定するための方法が、本明細書において提供される。別の実施形態では、患者由来の試料のADサブタイプを判定し、ADサブタイプに基づいて、免疫療法のための患者を選択することによる、ADを患う患者を免疫療法のために選択する方法が、本明細書において提供される。患者から得られた試料のADサブタイプの判定は、当技術分野で公知の任意のADサブタイピング方法を使用して行うことができる。一実施形態では、患者から得られた試料はADであると過去に診断されており、本明細書において提供される方法が試料のADサブタイプを判定するために使用される。過去の診断は、組織学的解析に基づき得る。組織学的解析は、1名または複数名の病理学者によって行われてよい。一実施形態では、発現プロファイルを生成するためのバイオマーカーのセットもしくはパネルまたはそれらのサブセットの遺伝子発現解析によってADサブタイピングが行われる。遺伝子発現解析は、本明細書に記載される公的に利用可能な肺がんデータベースおよび/または本明細書において提供される表1から選択される1つまたは複数のバイオマーカーの存在、非存在、または発現レベルを判定するために、患者から得られた肺がん試料(例えば、肺がんAD試料)に行われ得る。ADサブタイプは、スクアモイド(近位炎症性)、ブロンコイド(終末呼吸単位)、およびマグノイド(近位増殖性)からなる群から選択され得る。免疫療法は、本明細書において提供される任意の免疫療法であってよい。一実施形態では、免疫療法は、1つまたは複数のチェックポイント阻害剤を投与することを含む。チェックポイント阻害剤は、本明細書において提供される任意のチェックポイント阻害剤、例えば、PD-1、PD-LI、またはCTLA4を標的とするチェックポイント阻害剤であり得る。
本明細書において開示されるように、バイオマーカーパネルまたはそのサブセットは、任意の公的に利用可能なAD遺伝子発現データセット(単数または複数)において開示されているものであってよい。一実施形態では、肺がんはADであり、バイオマーカーパネルまたはそのサブセットは、例えば、The Cancer Genome Atlas(TCGA)の肺AD RNAseq遺伝子発現データセット(n=515)である。一実施形態では、肺がんはADであり、バイオマーカーパネルまたはそのサブセットは、例えば、Sheddenら(Nat Med、2008年;14巻(8号):822~827頁)に開示されているAD遺伝子発現データセット(n=442)であり、この文献の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。一実施形態では、肺がんはADであり、バイオマーカーパネルまたはそのサブセットは、例えば、Tomidaら(J Clin Oncol、2009年;27巻(17号):2793~2799頁)に開示されているAD遺伝子発現データセット(n=117)であり、この文献の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。一実施形態では、肺がんはADであり、バイオマーカーパネルまたはそのサブセットは、例えば、Wilkersonら(PLoS One、2012年;7巻(5号):e36530頁)に開示されているAD遺伝子発現データセット(n=116)であり、この文献の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。一実施形態では、肺がんはADであり、バイオマーカーパネルまたはそのサブセットは、例えば、表1に開示されているAD遺伝子発現データセットである。一実施形態では、肺がんはADであり、バイオマーカーパネルまたはそのサブセットは、例えば、公的に利用可能なAD発現データセットからの1つまたは複数のバイオマーカーと組み合わせた、表1に開示されているAD遺伝子発現データセットである。表2中、表の第1の縦列は、終末呼吸単位(TRU)を弁別するためのバイオマーカーのリストを表す。表の中央の縦列は、近位増殖性(PP)を弁別するためのバイオマーカーのリストを表す。表の最後の縦列は、近位炎症性(PI)を弁別するためのバイオマーカーのリストを表す。一部の場合では、表2に示されるように、合計48種のバイオマーカーをADサブタイプ判定に使用することができる。各ADサブタイプについて、16種中8種のバイオマーカーは負の相関を示す遺伝子であり得、8種は、特定のADサブタイプの遺伝子シグネチャーとして選択され得る正の相関を示す遺伝子であり得る。
一部の実施形態では、肺がんサブタイピング(例えば、ADサブタイピング)のための方法は、分類指標バイオマーカーセットの発現レベルを検出するステップを含む。分類指標バイオマーカーセットは、公的に利用可能なデータベースからの一組のバイオマーカー、例えば、TCGA肺AD RNASeq遺伝子発現データセットまたは本明細書において提供される任意の他のデータセットなどであり得る。一部の実施形態では、この検出するステップは、核酸レベルまたはタンパク質レベルにおける表1または本明細書において提供される任意の他のデータセットの分類指標バイオマーカーのすべてを含む。別の実施形態では、表1のうち単一の分類指標バイオマーカーまたは表1もしくは本明細書において提供される任意の他のデータセットの分類指標バイオマーカーのサブセット、例えば、約5種~約20種が検出される。別の実施形態では、表1のうち単一の分類指標バイオマーカーまたは表1および/もしくは本明細書において提供される任意の他のデータセットの分類指標バイオマーカーのサブセット、例えば、約16種~約48種が検出される。別の実施形態では、表1または本明細書において提供される任意の他のデータセットの分類指標バイオマーカーのすべてが検出される。別の実施形態では、表1の分類指標バイオマーカーのうちの少なくとも1種またはすべてが、本明細書において提供される任意の他のADデータセットの1つまたは複数の分類指標バイオマーカーと組み合わせて検出される。検出するステップは、RNA-seq、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、マイクロアレイハイブリダイゼーションアッセイ、または別のハイブリダイゼーションアッセイ、例えば、NanoStringアッセイ、例えば、分類指標バイオマーカーに特異的なプライマーおよび/もしくはプローブを用いるもの、および/または同様のものを含むがこれらに限定されない、任意の好適な技術によって行うことができる。一部の場合では、増幅方法(例えば、RT-PCRまたはqRT-PCR)に有用なプライマーは、単独または組合せで本明細書において提供されるデータセットからの分類指標遺伝子と結合するのに好適な任意のフォワードおよびリバースプライマーである。
一実施形態では、例えば、AD肺試料に関する表1を含め、本明細書において提供されるAD遺伝子発現データセットのうちのいずれかにおけるバイオマーカーのうちの約1~約5種、約5~約10種、約5~約15種、約5~約20種、約5~約25種、約5~約30種、約5~約35種、約5~約40種、約5~約45種、約5~約50種、約5~約55種、約5~約60種、約5~約65種、約5~約70種、約5~約75種、または約5~約80種が、本明細書において提供される肺がんサブタイプを判定する方法において検出される。別の実施形態では、例えば、AD肺試料に関する表1を含め、本明細書において提供されるAD遺伝子発現データセットのうちのいずれか1つからのバイオマーカーの各々が、本明細書において提供される肺がんサブタイプを判定する方法において検出される。
一実施形態では、本明細書において提供される方法は、ADサブタイプにおける免疫活性化の存在、非存在、またはレベルを判定するステップをさらに含む。免疫細胞活性化の存在またはレベルは、患者から得られた試料(例えば、肺がん試料)中の各ADサブタイプに関連する、自然免疫細胞および/または適応免疫細胞に関連する1つまたは複数のバイオマーカーの発現プロファイルを作出すること、またはそれらの発現を検出することによって判定することができる。一実施形態では、ADサブタイプに関連する免疫細胞活性化は、Bindeaら(Immunity、2013年;39巻(4号);782~795頁)の免疫細胞シグネチャーをモニタリングすることによって判定され、この文献の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。一実施形態では、この方法は、単一遺伝子免疫バイオマーカー、例えば、CTLA4、PDCD1およびCD274(PD-LI)、PDCDLG2(PD-L2)ならびに/またはIFN遺伝子シグネチャーを測定するステップをさらに含む。ADサブタイプに関連する免疫活性化(自然および/または適応)の存在または検出可能なレベルは、前記ADサブタイプを有する患者が免疫療法に適している可能性があることを示すか、または予測することができる。免疫療法は、本明細書において提供されるチェックポイント阻害剤を用いた処置であり得る。一実施形態では、PIサブタイプのADは免疫発現を有する。一実施形態では、患者から得られた試料(例えば、肺がんAD試料)中の、本明細書において提供される少なくとも1種の分類指標バイオマーカーの発現を検出するための本明細書において提供される方法は、本明細書において提供される前記試料中の免疫活性化の検出後に免疫療法剤を投与するステップをさらに含む。
一実施形態では、この方法は、肺がんAD試料のサブタイプを判定し、その後、前記サブタイプの免疫細胞活性化のレベルを判定するステップを含む。一実施形態では、サブタイプは、本明細書に記載される配列決定(例えば、RNASeq)、増幅(例えば、qRT-PCR)、またはハイブリダイゼーションアッセイ(例えば、マイクロアレイ解析)を使用して1つまたは複数の分類指標バイオマーカーの発現レベルを判定することによって判定される。1つまたは複数のバイオマーカーは、公的に利用可能なデータベース(例えば、TCGA肺AD RNASeq遺伝子発現データセットまたは本明細書において提供される任意の他の公的に利用可能なAD遺伝子発現データセット)から選択してよい。一部の実施形態では、表1のバイオマーカーを使用して、患者から得られたAD肺試料のサブタイプを特異的に判定することができる。一実施形態では、免疫細胞活性化のレベルは、イムノマーカーの遺伝子発現シグネチャーを測定することにより判定される。イムノマーカーは、本明細書に記載される肺がん試料のサブタイピングを行うために使用されるものと同じ試料および/または異なる試料中で測定され得る。測定され得るイムノマーカーは、自然免疫細胞(IIC)および/または適応免疫細胞(AIC)遺伝子シグネチャー、インターフェロン(IFN)遺伝子シグネチャー、個々のイムノマーカー、主要組織適合抗原クラスII(MHCクラスII)遺伝子、またはそれらの組合せを含むか、それらからなるか、またはそれらから本質的になる場合がある。IICおよびAICの両方に関する遺伝子発現シグネチャーは、当技術分野で公知の前記細胞型に関するいずれの公知の遺伝子シグネチャーであってもよい。例えば、免疫遺伝子シグネチャーは、Bindeaら(Immunity、2013年、39巻(4号);782~795頁)に記載のものであってもよい。一実施形態では、本明細書において提供される方法で使用するためのイムノマーカーは、表4Aおよび/または表4Bから選択される。個々のイムノマーカーは、CTLA4、PDCD1、およびCD274(PD-L1)であり得る。一実施形態では、本明細書において提供される方法で使用するための個々のイムノマーカーは、表5から選択される。イムノマーカーは、1つまたは複数のインターフェロン(INF)遺伝子であり得る。一実施形態では、本明細書において提供される方法で使用するためのイムノマーカーは、表6から選択される。イムノマーカーは、1つまたは複数のMHCII遺伝子であり得る。一実施形態では、本明細書において提供される方法で使用するためのイムノマーカーは、表7から選択される。さらに別の実施形態では、本明細書において提供される方法で使用するためのイムノマーカーは、表4A、4B、5、6、7、またはそれらの組合せから選択される。
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一実施形態では、患者のAD肺がんサブタイプの判定が、本明細書において提供される方法および分類指標バイオマーカーパネルまたはそのサブセットのいずれかを使用して単独で、または、本明細書において提供される1つもしくは複数の免疫細胞マーカーの発現の判定と組み合わせて行われたら、その患者は、免疫療法剤を用いた処置のために選択されるか、またはこれを投与される。免疫療法剤は、チェックポイント阻害剤、モノクローナル抗体、生体応答修飾因子、治療用ワクチン、または細胞免疫療法であり得る。
別の実施形態では、免疫療法剤はチェックポイント阻害剤である。一部の場合では、1つまたは複数のチェックポイント阻害剤に対する応答の尤度を判定するための方法が提供される。一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、PD-1/PD-LIチェックポイント阻害剤である。PD-1/PD-LIチェックポイント阻害剤は、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、ランブロリズマブ、またはアベルマブであり得る。一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、CTLA-4チェックポイント阻害剤である。CTLA-4チェックポイント阻害剤は、イピリムマブまたはトレメリムマブであり得る。一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、例えば、1つまたは複数のCTLA-4チェックポイント阻害剤と組み合わせて使用される1つまたは複数のPD-1/PD-LIチェックポイント阻害剤の組合せなどの、チェックポイント阻害剤の組合せである。
一実施形態では、免疫療法剤はモノクローナル抗体である。一部の場合では、1つまたは複数のモノクローナル抗体に対する応答の尤度を判定するための方法が提供される。モノクローナル抗体は、腫瘍細胞に対するもの、または腫瘍産物に対するものであり得る。モノクローナル抗体は、パニツムマブ、マツズマブ、ネシツムマブ(necitumunab)、トラスツズマブ、アマツキシマブ、ベバシズマブ、ラムシルマブ、バビツキシマブ、パトリツマブ、リロツムマブ、セツキシマブ、immu-132、またはデミシズマブであってもよい。
さらに別の実施形態では、免疫療法剤は治療用ワクチンである。一部の場合では、1つまたは複数の治療用ワクチンに対する応答の尤度を判定するための方法が提供される。治療用ワクチンは、ペプチドまたは腫瘍細胞ワクチンであり得る。ワクチンは、MAGE-3抗原、NY-ESO-1抗原、p53抗原、サバイビン抗原、またはMUC1抗原を標的とし得る。治療用がんワクチンは、GVAX(GM-CSF遺伝子をトランスフェクトした腫瘍細胞ワクチン)、ベラゲンプマツセル-L(TGF-ベータ2アンチセンスプラスミドで修飾し、放射線照射した4種のNSCLC細胞株を用いて作製された同種腫瘍細胞ワクチン)、MAGE-A3ワクチン(MAGE-A3タンパク質およびアジュバントAS15からなる)、(l)-BLP-25抗MUC-1(腫瘍細胞で発現するMUC-1を標的とする)、CimaVax EGF(担体タンパク質にコンジュゲートされたヒト組換え上皮増殖因子(EGF)からなるワクチン)、WT1ペプチドワクチン(4種のウィルムス腫瘍抑制遺伝子アナログペプチドからなる)、CRS-207(ヒトメソテリンをコードする生弱毒化Listeria monocytogenesベクター)、Bec2/BCG(抗GD3抗体を誘導する)、GV1001(ヒトテロメラーゼ逆転写酵素を標的とする)、テルゲンプマツセル-L(tergenpumatucel-L)(免疫系が強く応答するマウス遺伝子を含むように遺伝子修飾されたヒト肺がん細胞からなる)、TG4010(MUC1抗原を標的とする)、ラコツモマブ(複数のヒトがんにおいて発現するNGcGM3ガングリオシドを模倣する抗イディオタイプ抗体)、テセモチド(リポソームBLP25;MUC1のタンデムリピート領域から作製されたリポソームベースのワクチン)、またはDRibble(9つのがん抗原に加えてTLRアジュバントから作製されたワクチン)であり得る。
一実施形態では、免疫療法剤は生体応答修飾因子である。一部の場合では、1つまたは複数の生体応答修飾因子に対する応答の尤度を判定するための方法が提供される。生体応答修飾因子は、例えば、PF-3512676(CpG 7909)(toll様受容体9アゴニスト)、CpG-ODN 2006(Tregを下方制御する)、Bacillus Calmette-Guerin(BCG)、mycobacterium vaccae(SRL172)(現在アジュバントとして頻繁に試験されている非特異的免疫刺激薬)など、炎症を誘発し得る。生体応答修飾因子は、例えば、IL-2+腫瘍壊死因子アルファ(TNF-アルファ)またはインターフェロンアルファ(T細胞増殖を誘導する)、インターフェロンガンマ(腫瘍細胞アポトーシスを誘導する)、またはMda-7(IL-24)(Mda-7/IL-24は、腫瘍細胞アポトーシスを誘導し、腫瘍血管新生を阻害する)などのサイトカイン療法であってもよい。生体応答修飾因子は、例えば顆粒球コロニー刺激因子などのコロニー刺激因子であってもよい。生体応答修飾因子は、例えば、マルチターゲットVEGFR:サリドマイドおよびアナログ、例えばレナリドマイドおよびポマリドミド、シクロホスファミド、シクロスポリン、デニロイキンジフチトクス、タラクトフェリン、トラベクテジン(trabecetedin)または全トランス型レチノイン酸(retinmoic acid)などの多面的エフェクターであってもよい。
一実施形態では、免疫療法は細胞免疫療法である。一部の場合では、1つまたは複数の細胞治療剤に対する応答の尤度を判定するための方法が提供される。細胞免疫療法剤は、樹状細胞(DC)(腫瘍抗原が負荷されたex vivoで生成されたDCワクチン)、T細胞(ex vivoで生成されたリンホカイン活性化キラー細胞;サイトカイン誘導性キラー細胞;活性化T細胞;ガンマデルタT細胞)、またはナチュラルキラー細胞であり得る。
一部の場合では、特定のサブタイプのADは、異なるレベルの免疫活性化(例えば、自然免疫および/または適応免疫)を有するため、免疫活性化(例えば、自然免疫および/または適応免疫)が上昇しているまたは検出可能であるサブタイプが、本明細書に記載される1つまたは複数の免疫療法剤による処置のために選択される。一実施形態では、PPサブタイプのADは、他のADサブタイプまたは肺がんサブタイプと比較して低い免疫活性化(例えば、自然免疫および/または適応免疫)を有する。一部の場合では、特定のサブタイプのADは、高レベルまたは上昇したレベルの免疫活性化を有する。一部の場合では、PIサブタイプのADは、他のADサブタイプまたは肺がんサブタイプと比較して上昇したレベルの免疫活性化(例えば、自然免疫および/または適応免疫)を有する。一実施形態では、免疫活性化(例えば、自然免疫および/または適応免疫)のレベルが低いかまたは全くないADサブタイプは、本明細書に記載される1つまたは複数の免疫療法剤による処置のために選択されない。
検出法
一実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物は、対象から得られた肺がん試料(例えば腺癌の肺がん試料)中の少なくとも1種の核酸の検出を可能にする。少なくとも1種の核酸は、本明細書において提供される分類指標バイオマーカーであり得る。一実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物を使用して検出される少なくとも1種の核酸は、表1から選択される。一実施形態では、対象から得られた肺がん試料中の核酸(例えば、分類指標バイオマーカー)を検出する方法は、本明細書において提供される方法のうちのいずれかを使用して少なくとも1種または複数のバイオマーカーの発現レベルを測定するステップを含むか、それからなるか、またはそれから本質的になる。バイオマーカーは、表1から選択され得る。一部の場合では、複数のバイオマーカー核酸は、表1の少なくとも2種のバイオマーカー核酸、少なくとも8種のバイオマーカー核酸、少なくとも16種のバイオマーカー核酸、少なくとも24種のバイオマーカー核酸、少なくとも32種のバイオマーカー核酸、または48種すべてのバイオマーカー核酸を含むか、それらから本質的になるか、またはそれらからなる。検出は、核酸レベルでなされてもよい。検出は、本明細書に開示される任意の増幅、ハイブリダイゼーション、および/または配列決定アッセイを使用することによりなされてもよい。
別の実施形態では、本明細書において提供される方法および組成物は、対象から得られた肺がん試料(例えば腺癌の肺がん試料)中の少なくとも1種の核酸または複数の核酸の検出を可能にし、その結果、少なくとも1種の核酸または複数の核酸は、表1に列挙されるバイオマーカーから選択され、存在、非存在、および/または発現レベルが免疫活性化を示す一組のバイオマーカーから少なくとも1種のバイオマーカーの検出が行われる。免疫活性化を示す一組のバイオマーカーは、適応免疫細胞(AIC)(例えば、表4A)および/または自然免疫細胞(IIC)(例えば、表4B)、個々の免疫バイオマーカー(例えば、表5)、インターフェロン遺伝子(例えば、表6)、主要組織適合抗原クラスII(MHC II)遺伝子(例えば、表7)、またはそれらの組合せであり、かつ/またはこれらの遺伝子発現シグネチャーであってもよい。IICおよびAICの両方の遺伝子発現シグネチャーは、例えば、Bindeaら(Immunity、2013年;39巻(4号);782~795頁)に列挙されている遺伝子シグネチャーなど、当技術分野で公知の任意の遺伝子シグネチャーであってよい。検出は、核酸レベルでなされてもよい。検出は、本明細書に開示される任意の増幅、ハイブリダイゼーション、および/または配列決定アッセイを使用することによりなされてもよい。
キット
本発明の方法を実践するためのキットがさらに提供され得る。「キット」には、本発明のバイオマーカーの発現を特異的に検出するための少なくとも1種の試薬、例えば抗体、核酸プローブまたはプライマーなどを含む任意の製造品(例えば、パッケージまたは容器)が包含され得る。このキットは、本発明の方法を行うためのユニットとして宣伝されても、配布されても、または販売されてもよい。さらにこのキットは、キットおよびその使用のための方法を説明する添付文書を含んでいてもよい。
一実施形態では、本発明の方法を実践するためのキットが提供される。かかるキットには、手動および自動の両方の免疫細胞化学技術(例えば細胞染色)との適合性がある。これらのキットは、目的のバイオマーカーに対する少なくとも1種の抗体と、バイオマーカーに結合する抗体の検出のための化学物質と、対比染色液と、任意選択で、陽性染色細胞の特定を容易にするための青味剤とを含む。本発明の実践においては、抗原-抗体の結合を検出する任意の化学物質を使用してよい。これらのキットは、本発明の方法で使用するための、少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種、少なくとも5種、少なくとも6種、少なくとも7種、少なくとも8種、少なくとも9種、少なくとも10種、またはそれよりも多くの抗体を含み得る。
以下の実施例を参照することにより本発明をさらに例示する。しかしながら、これらの実施例は上述の実施形態のように例示的であり、本発明の範囲をいかようにも制限するものと解釈されてはならないことに留意されたい。
(実施例1)
肺腺癌内因性サブタイプ間の免疫細胞活性化の差およびCD274(PD-L1)発現との変動のある相関。
序論
肺腺癌(AD)における遺伝子発現ベースのサブタイピングは、変動のある生物学的および臨床的特徴を有する異なるサブタイプにAD腫瘍を分類する。遺伝子発現ベースのサブタイピングは、肺ADの3種の異なる生物学的タイプである終末呼吸単位(TRU)、旧名ブロンキオイド、近位増殖性(PP)、旧名マグノイド、および近位炎症性(PI)、旧名スクアモイド(1、2)を一貫して特定した(図1参照)。ADサブタイプは、ゲノム変化、腫瘍ドライバー、予後、および種々の療法に対する可能性の高い応答における肝要な差を明示する(1~2)。
方法
過去に公開されているBindeaら(3)の免疫細胞遺伝子シグネチャー(合計24種)およびADサブタイピング遺伝子発現シグネチャー(1~2)を使用し、ADサブタイプに関連する免疫細胞の特徴について、いくつかの公的に利用可能な肺ADデータセット(2、4、および5)、ならびに最近収集された1つの遺伝子発現データセット(図2参照)を検査した。このサブタイプによる免疫の差の精査では、各々異なる数の遺伝子を有し、適応または自然免疫細胞シグネチャーと分類されたBindeaら[3]の24種の免疫細胞遺伝子シグネチャー(表4A~4B参照)を使用した。適応免疫細胞(AIC)シグネチャー(表4A)は、T細胞、セントラルメモリーT細胞(Tcm)、エフェクターメモリーT細胞(Tem)、Tヘルパー細胞(Th)、1型Tヘルパー細胞(Th1)、2型Tヘルパー細胞(Th2)、濾胞性ヘルパーT細胞(Tfh)、Tヘルパー17細胞(Th17)、制御性T細胞(Treg)、ガンマデルタT細胞(Tgd)、CD8 T細胞、細胞傷害性T細胞、B細胞を含み、自然免疫細胞(IIC)シグネチャー(表4B)は、ナチュラルキラー(NK)、NK CD56dim細胞、NK CD56bright細胞、樹状細胞(DC)、未成熟樹状細胞(iDC)、樹状細胞(pDC)、活性化樹状細胞(aDC)、マスト細胞、好酸球、マクロファージ、および好中球を含んだ。自然免疫細胞(IIC)および適応免疫細胞(AIC)の両方の遺伝子発現シグネチャーに加えて、13遺伝子IFNシグネチャー(IFN;表6)、13遺伝子MHCクラスIIシグネチャースコア(Forero[6];表7)、ならびに表5の単一遺伝子免疫バイオマーカー(CTLA4、PDCD1、CD274(PD-L1)、およびPDCDLG2(PD-L2))を3種のADサブタイプ(TRU、PP、およびPI)において検査した。
ADデータセットは、上述したいくつかの公的に利用可能な肺がん遺伝子発現データセットと、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)肺腫瘍試料(n=88)から新たに収集された腺癌データセットとを含んだ。88個のホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)試料から新たに収集されたADデータセットは、University of North Carolina at Chapel Hill(UNC-CH)にて認可済みのIRBプロトコールのもと収集された残存肺腫瘍試料のアーカイブであった。FFPE試料切片(3種の10μm切片)のマイクロダイセクションを行ってからRNA抽出を行った。100ng/試料のインプットを用い、IlluminaのRNA-Accessキット(San Diego、CA)を使用して、トランスクリプトームエンリッチメントRNAseqを行った。hg19を参照として使用して配列データをアラインし、cufflinks(Trapnell、2010年)を使用してトランスクリプトーム(transciptome)を構築した。Cuff compareを使用してトランスクリプトームのアノテーションを行い、遺伝子発現計数を算出した。
ADについては、患者試料合計1278個の肺腺癌試料の4種の公開データセットおよび1つの最近収集された遺伝子発現データセット(すなわち、GeneCentric発現データセット)を使用した。公開データセットは、新鮮冷凍検体由来のTCGA[2]、Sheddenら[4]、Tomidaら[5]、およびWilkersonら[1]を含んだ。GeneCentric発現データセットはホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)検体由来であった。TCGAについては、上位分位点正規化RSEMデータをFirehoseからダウンロードし、log2変換した。Sheddenら[4]によるAffymetrix CelファイルをcaIntegratorウェブサイトからダウンロードし、RのAffyパッケージを使用してロバストマルチアレイ平均による発現測定値を生成した。Tomidaら[5](GSE13213)およびWilkersonら[1](GSE26939)に関しては、正規化されたAgilentアレイデータをGene Expression Omnibus(GEO)のウェブサイトからダウンロードした。
腺癌サブタイプ(TRU、PP、およびPI)を判定するために、過去にWilkersonら[1]において記載された公開されている506遺伝子最近隣重心分類指標を使用した。シグネチャー中の遺伝子の中央値センタリングを行った後、相関(ピアソン)が最大であった重心に対応するサブタイプを各試料に割り当てた。
腺癌のTCGAデータを使用し、マーカーを階層的クラスタリングにより順序付けしたペアワイズのスピアマン順位相関係数行列をプロットすることにより、30種のマーカー間の相関を査定した(図4参照)。サブタイプによる全体的な免疫性マーカーの傾向を精査するため、試料をサブタイプにより並べ、Bindeaら[3]における順序付けに従ってマーカーをグループ分けした発現ヒートマップをプロットした(図3参照)。サブタイプ間の免疫性マーカーの差の再現性を評価するため、各データセットで正規化されたT細胞シグネチャーをサブタイプ別にプロットした(図5参照)。
線形回帰を使用し、腫瘍サブタイプおよびCD274発現との免疫細胞シグネチャーの関連性を評価した。より明確に述べると、免疫マーカーの予測因子としてのサブタイプの予測強度をPD-L1のものと比べて査定するために、サブタイプを唯一の予測因子とし、そしてまたPD-L1を唯一の予測因子として、各シグネチャーの線形回帰モデルをTCGAデータセットに当てはめた。PD-L1発現は、各群内で等しい割合の低/中/高のカテゴリー変数として扱った。PD-L1が予測因子である場合にサブタイプが調整済み決定係数に対する予測因子であるときの調整済み決定係数の散布プロットを、全体的な傾向について調べた(図6参照)。
TCGA腺癌の補足情報(Lawrence、2013年)において入手可能なMb当たりの非サイレント突然変異量データを使用し、突然変異量-T細胞発現の関連性を、それぞれクラスカルウォリス検定およびスピアマン相関係数を使用して精査した。TCGA腺癌については、STK11 CNVおよび突然変異のステータスをFirehoseからダウンロードし、フィッシャー正確検定を使用してSTK11不活性化-サブタイプの関連性を評価した。ここでは、試料が欠失および/または突然変異と報告された場合、これを不活性とした。ADのSTK11がサブタイプに合わせた調整後に関連性の証拠を示したかどうかを試験するため、ADの不活性STK11を唯一の予測因子として用いたT細胞発現の線形モデルの当てはめを行い、サブタイプに合わせた調整後に再度行った。
リスト(表7)中のすべての遺伝子の平均として算出された、13遺伝子MHCクラスIIシグネチャー[Forero[6];表7]とサブタイプおよび免疫シグネチャーの関連性を、クラスカル-ウォリス検定を使用して精査した。免疫シグネチャー-MHCクラスIIの関連性については、スピアマン相関係数を算出した。
免疫シグネチャーの階層的クラスタリングおよびペアワイズのシグネチャーの相関も解析した。各データセットにおいて異なるベースラインハザードを可能にする層別cox比例ハザードモデルを用い、ステージI~III試料の生存期間とシグネチャーの関連性を評価した。より明確に述べると、Cox比例ハザードモデルを使用して、TCGAデータセットにおける免疫マーカー-生存期間の関連性を、全体的に、また各サブタイプ内で別々に試験した。平均0および分散1となるように免疫マーカーのセンタリングおよびスケーリングを行い、ステージIV患者は除外した。特定のサブタイプ内の評価はステージに合わせて調整し、全体的評価はステージおよびサブタイプの両方に合わせて調整した。各シグネチャーについてハザード比および信頼区間を示すフォレストプロットを作成した(図7Aおよび7B参照)。統計解析はすべて、R 3.2.0ソフトウェア(http://www.R-project.org)を使用して遂行した。
結果
免疫細胞遺伝子シグネチャーのヒートマップ解析および教師なし階層的クラスタリングにより、ADの内因性サブタイプが分離された(図3および4参照)。免疫細胞遺伝子シグネチャー(AICおよびIICの両方)ならびに個々の免疫遺伝子マーカーの検査により、ADサブタイプ間の明らかな差が明らかになった(図3参照)。ADにおける免疫発現は、検査したほとんどの細胞型で、PPサブタイプにおいて一貫して低かった。ほとんどのT細胞における発現はTRUおよびPIで同様であったが、一部の自然免疫細胞(樹状細胞、NK CD56bright、マスト細胞、好酸球)およびいくつかの適応免疫細胞(B細胞、TFH、Tcm、Th17、CD8 T細胞)の発現はTRUサブタイプにおいてより高く、一方でPIサブタイプはより高いTh1およびTh2、Treg、細胞傷害性T細胞、ならびにNKCD56dim細胞の発現を示したことにより、TRUとPIとで区別可能であった(ADサブタイプによるすべての免疫細胞およびマーカーのボックスプロットは図18で確認することができる)。免疫療法の標的であるCTLA4およびCD274(PD-L1)は、複数のデータセット間でPIサブタイプにおいて一貫して高い発現を明示した(図18の補足的なボックスプロット)。PP腫瘍では、適応免疫細胞および自然免疫細胞の両方の発現、ならびに免疫療法標的の発現が、他のADと比べて抑制された(図18)。
全体的に、免疫活性化は、自然免疫細胞ならびに適応免疫細胞の両方の活性化を明示したPIサブタイプのADにおいて最も顕著であった。対照的に、PPサブタイプのADは、より低い免疫活性化を明示した。
階層的クラスタリングを使用すると、相関行列により、適応免疫細胞および自然免疫細胞のクラスタリングが明らかになった(図4参照)。ADでは、T細胞、細胞傷害性細胞、CD8細胞、Th1細胞、PDCD1、CTLA4、およびTregなどの適応免疫特徴は高いペアワイズの相関を有し、iDC、DC、マクロファージ、好中球、マスト細胞、および好酸球を含む自然免疫細胞も同様に相関している(図4)。
適応免疫細胞シグネチャーとCD274(PD-L1)発現の関連性強度をADサブタイプと比較した。図6に示されるように、ADサブタイプに関する関連性強度(調整済み決定係数)はまちまちであり、CD274関連性は一部の細胞(B細胞、T細胞、Th1、Treg、細胞傷害性細胞、Tヘルパー、Tem、Tgd)で高い一方、ADサブタイプ関連性は他の細胞(TFH、Th2、CD8、Th17、およびTcm)に関して高いことが示された。
免疫細胞シグネチャーは、TCGAデータセットにおいて主に評価したが、免疫細胞シグネチャーにより測定されたADサブタイプの免疫の差は複数のデータセット間で極めて再現性が高いことが見出された(図5参照)。ADサブタイプ別のT細胞における免疫細胞シグネチャー発現のサブタイプ別差は、冷凍試料およびFFPE試料の両方に由来する様々な遺伝子発現データセット間で、またRNAseq(Illumina、San Diego、CA)ならびにAffymetrix(Santa Clara、CA)およびAgilent(Santa Clara、CA)の両方のマイクロアレイを含む様々な遺伝子発現プラットフォームを用いて、再現性が非常に高かった。全体的に、免疫細胞シグネチャー遺伝子発現パターンは、複数のAD(図5参照)データセット間で一貫していた。
TCGA ADデータにおける非サイレント突然変異量はサブタイプ毎に異なり、PIが最も高い量を示し、TRUが最も低い量を示した(図19)。TP53突然変異が集中しているPIサブタイプは免疫細胞発現の上昇に関連していたが、TRUは、比較的高い免疫発現を有しながらも最も低い突然変異量を有した。突然変異量は、ADデータセットにおけるT細胞免疫細胞発現と強い相関を示さなかった(ADにおけるスピアマン相関=-0.07)。
ADにおけるSTK11の欠損(Cao[7]、Shabath[8]、Koyama[9])などのいくつかの他のゲノム特徴が、NSCLCにおける免疫応答の低減に寄与する可能性のある因子として示唆されている。STK11不活性化は、免疫応答の低い腺癌PPサブタイプに集中していた。ADにおけるSTK11不活性化はより低い免疫細胞発現に関連していたが、線形回帰を使用してサブタイプに合わせて調整した後のSTK11は有意な予測因子ではなかった(サブタイプに合わせた調整後のADにおけるSTK11 p=0.0007~p=0.43)。
公開されている13遺伝子MHCクラスIIシグネチャー(Forero[6])を使用し、AD肺がんにおける免疫細胞発現のMHCクラスII遺伝子との関連性を精査した。MHCクラスII遺伝子発現は、T細胞発現(ADにおけるスピアマン相関=0.66)、B細胞発現(ADにおけるスピアマン相関=0.5)、およびDC発現(ADにおけるスピアマン相関=0.69)を含め、ADにおけるいくつかの免疫細胞と強い相関を示した。MHCクラスII遺伝子発現は、腫瘍と比較して、腫瘍に隣接した正常な肺組織において著しく高く、腫瘍サブタイプ間で発現に差があった(図19)。T細胞免疫細胞発現の予測因子としてのMHCクラスIIシグネチャーの線形モデルでは、MHCクラスIIは、ADサブタイプに合わせた調整後にも依然として有意であった(MHC IIに対するp<1E-50)。
cox比例ハザードモデルを使用し、発現増大の1単位当たりのサブタイプ特異的ハザード比(HR)を算出した。サブタイプ特異的HRを病理学的ステージに合わせて調整し、信頼区間(CI)を算出した。少なくとも1種のサブタイプに対して有意(名目p値<0.05)であったマーカーに関するハザード比および信頼区間を図7A~7Bに示す。サブタイプのうちの1つまたは複数に対して有意な生存期間の関連性を示した細胞シグネチャーまたは遺伝子のHRおよびCIを図7A~7Bに示す。ADサブタイプについては、多くの自然および適応免疫細胞、CD274(PD-L1)MHCクラスIIシグネチャー、ならびにCTLA4の発現における1単位の増大は、PIサブタイプのADにおける生存期間の改善と有意な関連性を示したが、他のサブタイプではこれを示さなかった(図7A~7B)。全体的に、免疫細胞シグネチャーの生存期間解析は、Tヘルパー17および濾胞性ヘルパーT免疫細胞がADにおける生存期間の改善を予測したことを示唆した(p<0.001)(図7A~7B参照)。
結論
肺AD遺伝子発現サブタイプはそれらの免疫ランドスケープにおいて異なる。内因性の生物学的ADサブタイプは免疫細胞活性化における肝要な差を明らかにし、これはCD274発現と常に相関するとは限らず、生存期間との変動のある関連性を明示した。AD PPサブタイプは最小限の免疫浸潤(抑制された免疫細胞発現)を示し、immunoRXに対する応答の低減が示唆された。AD PIサブタイプは、生存期間の改善と関連する免疫特徴の発現を示した。さらに、非サイレント突然変異量は、サブタイプをまたいだ免疫細胞発現との相関を示さなかったが、MHCクラスII遺伝子発現は高い相関を示した。免疫およびMHC II遺伝子発現の増大は、TRUおよびPIサブタイプのADにおける生存期間の改善と関連していた。
参照による組み込み
以下の参考文献は、参照によりそれらの全体があらゆる目的のために組み込まれている。
1.) Wilkerson MDら、PLoS One 2012; 7(5): e36530. PMID 22590557
2.) TCGA Lung AdenoC. Nature 2014; 511(7511): 543-550. PMID 25079552
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(実施例2)
肺腺癌サブタイピングシグネチャーの開発および検証
背景
いくつかのゲノム研究により、遺伝子発現、突然変異スペクトル、およびコピー数変化を含むゲノムプロファイルが異なり得る3種の異なる内因性肺腺癌サブタイプが明示された[1~3]。この3種の生物学的ADサブタイプ、TRU、PP、およびPIは、それらのゲノム特徴が異なるのみならず、潜在的に重要な臨床的特徴の差も明示する[1~4]。ADの遺伝子発現サブタイプは、腫瘍分化度の有意差、遠隔再発の尤度、ステージ特異的生存期間、根底にある腫瘍ドライバーおよび炎症応答を明示し得[1~4]、標準的な形態学ベースの技術(顕微鏡法および免疫組織化学的検査)では容易に弁別可能でない場合がある。化学療法[2]、ペメトレキセド[5]、および/またはEGFR阻害剤療法に対する応答に差がある可能性も示唆されている[2]。終末呼吸単位(TRU)サブタイプにおいてはEGFR過剰発現のエンリッチメントが明示された[2、3]。LKB1/STK11欠失と組み合わさったKRAS突然変異の頻度上昇は、近位増殖性(PP)サブタイプにおいてより可能性が高い[2、3]。TP53突然変異および免疫遺伝子の活性化は近位炎症性(PI)サブタイプの特質である[2~4]。予備データは、TRUサブタイプにおいてEGFR阻害剤に対する応答が向上する可能性、PPサブタイプにおいて化学療法に対する応答が向上する可能性、TRUサブタイプにおいてペメトレキセドへの応答が向上する可能性、およびPIサブタイプにおける免疫療法への応答の可能性を明示し得る[2~6]。新たに得られたデータは、遺伝子発現サブタイプによるAD分類により、薬物標的突然変異試験を補完し、肺がん患者管理のための情報を与える有益な情報が提供され得ることを示唆する。
目的
肺腺癌(AD)サブタイピングは主に、新鮮な冷凍肺腫瘍からのRNAの抽出に続いて500個を超える遺伝子の定量的遺伝子発現を使用した最近隣重心予測因子の適用を含む研究プロトコールに制限されている。腺癌サブタイピングによる予後および予測的な利益の証拠があるにもかかわらず、新鮮冷凍組織の必要性や、>500個の遺伝子の遺伝子発現の要件は、複雑な生物情報学解析と相まって、薬物開発および/または診療所におけるADサブタイピングの応用を妨げてきた。この研究の目標は、腺癌の3種のサブタイプ(終末呼吸単位(TRU);旧称ブロンキオイド、近位増殖性(PP);旧称マグノイド、および近位炎症性(PI);旧称スクアモイド)を区別するためのロバストで効率的な(より少ない遺伝子を必要とする)遺伝子シグネチャーを開発することであった。新しい効率的な遺伝子シグネチャーは、新鮮冷凍またはFFPE腫瘍試料からADを高信頼性でサブタイピングするのに役立ち得るため、利用可能な定量的RNAプラットフォーム(qRT-PCR、RNAseq、AffymetrixまたはAgilentアレイ)のうち任意のものを使用した診断用途および/または薬物開発に適している。腺癌のサブタイプを区別するための48遺伝子シグネチャーの開発は、本明細書の方法において記載したように行った。
方法
トレーニングのための515の肺腺癌のThe Cancer Genome Atlas(TCGA)RNAseqデータセットと、至適基準サブタイプを定義するための506遺伝子分類指標とを使用して、いくつかの独立した試験セットに適用したときに低い誤分類率を維持する48遺伝子シグネチャーを開発した。標準的な506分類指標遺伝子から開始し、各サブタイプについて負の相関を示す遺伝子および正の相関を示す遺伝子を同数選択するように改変された最近隣重心へのアレイ分類(CLaNC)[7]アルゴリズムを使用した。TCGA肺腺癌データセットを使用して行った5分割交差検証曲線(図8参照)に基づいて、シグネチャーに含める遺伝子の最適な数(サブタイプ当たり16個)を選択した。予測因子のトレーニングのためのプロトタイプ試料の選択を図9に示す。ここでは、48種の遺伝子の最終的なリストを得るために、至適基準サブタイプ予測強度が最も低い試料の20%を全体から差し引いたTCGAデータセットにCLaNCを適用し、各サブタイプから同数を除去した(図9)。次いで、いくつかの新鮮冷凍された公的に利用可能なアレイおよびRNAseqデータセット[2、8、9]において48遺伝子シグネチャーを試験し、この結果を、過去に公開されている506遺伝子シグネチャー[2]により定義される至適基準サブタイプコールと比較した。次いで、FFPE腺癌試料のアーカイブから新たに収集されたRNAseqデータセットにおいて48遺伝子シグネチャー(表1)の最終検証を行って、FFPE試料における同等の性能を確かめた。
選択された48遺伝子シグネチャーの一貫した性能を検証するため、新たに収集されたFFPE試料は、University of North Carolina in Chapel Hill、NCにてIRB認可済みのプロトコールのもと収集された肺腺癌(AD)の残存するアーカイブ試料(主に外科的試料)であった。病理学者により試料を腫瘍細胞について点検し、3種の10μm組織切片のマイクロダイセクションを行ってから腫瘍細胞を集中させるための抽出を行った。RNAを定量化し、試料毎に100ngをインプットした。トランスクリプトームを集中させるIllumina RNA-Accessキットを使用して配列決定ライブラリーを構築した。配列決定ライブラリーはBAアナライザーを使用することによる品質管理下におき、qPCRを使用して数量化した。Illumina HiSeqプラットフォーム(50bp PE、2千万~3千万リード)において配列データを生成し、fastQCを使用することによる品質管理下においた。STARアライナーを使用して配列結果をhg19参照配列に対してアラインし、Cufflinks[10]を使用してトランスクリプトームを構築した。Cuffcompareを使用してトランスクリプトームのアノテーションを行い、発現した種々の遺伝子の計数を算出した。RSEM発現計数推定値の上位分位点正規化を行い、Cancer Genome Atlas肺腺癌解析において使用された手法に従ってlog2変換した[3、11]。
結果
この研究において開発した48遺伝子シグネチャー遺伝子リストは表2に示されており、各ADサブタイプに関する48遺伝子シグネチャー遺伝子リストのT統計量は表1で確認することができる。各ADサブタイプ(ブロンキオイド、マグノイド、スクアモイド)について選択された16種の遺伝子の遺伝子発現中央値を、それぞれ図10、11、および12に示す。図13には、いくつかの異なる試験データセットにおける、48遺伝子シグネチャーを使用したサブタイプコールと、公開されている506遺伝子シグネチャーサブタイプコールとの一致率を示す。新たに開発された48遺伝子シグネチャーは、新たに収集されたFFPEデータセットにおいては0.84、そして他の3種の新鮮冷凍試験データセットにおいては0.79~0.92の範囲の一致率を明示した。以下は、試験データセット、RNAプラットフォームのタイプ、および使用した腺癌試料の数の要旨である。
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結論
ADサブタイピングのための効率的な48遺伝子シグネチャーの開発および検証について記載した。結果として得られた48遺伝子シグネチャーは、いくつかの独立した試験セットに適用したとき、低い誤分類率を維持する。したがって、この新しいシグネチャーは、新鮮冷凍またはFFPE腫瘍試料からADを高信頼性でサブタイピングし、RNAseqおよびアレイを含む様々なプラットフォームから生成された遺伝子発現データを使用して高信頼性で機能することができる。
参照による組み込み
以下の参考文献は、参照によりそれらの全体があらゆる目的のために組み込まれている。
1.) Hayes DN, Monti S, Parmigiani Gら、Gene expression profiling reveals reproducible human lung adenocarcinoma subtypes in multiple independent patient cohorts. J Clin Oncol 2006. 24(31): 5079-5090.
2.) Wilkerson M, Yin X, Walter Vら、Differential pathogenesis of lung adenocarcinoma subtypes involving sequence mutations, copy number, chromosomal instability, and methylation. PLoS ONE. 2012; 7(5) e36530. Doi:10.1371/journal.pone.0036530.
3.) Cancer Genome Atlas Research Network. Comprehensive molecular profiling of lung adenocarcinoma. Nature 511.7511 (2014): 543-550.
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6.) Skoulidis F, Byers LA, Diao L, Papadimitrakopoulou VA, Tong Pら、Co-occuring genomic alterations define major subsets of KRAS-mutant lung adenocarcinoma with distinct biology, immune profiles, and therapeutic vulnerabilities. Cancer Discov 2015; Aug 5(8): 860-77.
7.) Dabney AR. ClaNC: Point-and-click software for classifying microarrays to nearest centroids. Bioinformatics. 2006;22: 122-123. doi:10.1093/bioinformatics/bti756
8.) Shedden K, Taylor JMG, Enkemann SAら、Gene expression-based survival prediction in lung adenocarcinoma: a multi-site, blinded validation study: director’s challenge consortium for the molecular classification of lung adenocarcinoma. Nat Med 2008. 14(8): 822-827. doi: 10.1038/nm.1790.
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(実施例3)
実施例2の肺腺癌サブタイピング48遺伝子シグネチャーを使用して判定された肺腺癌内因性サブタイプ間の免疫細胞活性化の差。
方法
過去に公開されているBindeaら(3)の免疫細胞遺伝子シグネチャー(合計24種)および実施例2に記載したADのサブタイピングのための肺ADサブタイピング遺伝子シグネチャーを使用し、実施例2に記載した肺AD遺伝子シグネチャーを使用して判定されたADサブタイプに関連する免疫細胞の特徴について、いくつかの公的に利用可能な肺ADデータセット(1~2、4~5;図2参照)を検査した。自然免疫細胞(IIC)および適応免疫細胞(AIC)の両方の遺伝子発現シグネチャー、13遺伝子IFNシグネチャー(IFN)、ならびに単一遺伝子免疫バイオマーカー(CTLA4、PDCD1、およびCD274(PD-L1)、PDCDLG2(PD-L2))を3種のADサブタイプ(TRU、PP、およびPI)において検査した。線形回帰を使用し、腫瘍サブタイプおよびCD274発現との免疫細胞シグネチャーの関連性を評価した。免疫シグネチャーの階層的クラスタリングおよびペアワイズのシグネチャーの相関も解析した。各データセットにおいて異なるベースラインハザードを可能にする層別cox比例ハザードモデルを用い、ステージI~III試料の生存期間とシグネチャーの関連性を評価した。
結果
TCGA ADデータセットおよび実施例2の48遺伝子ADサブタイピングシグネチャーを使用すると、免疫細胞遺伝子シグネチャーのヒートマップ解析および教師なし階層的クラスタリングにより、実施例1で観察されたものと同様の様式でADの内因性サブタイプが分離された(図3および図14参照)。さらに、免疫細胞シグネチャー遺伝子発現パターンは、実施例1で観察されたものと同様(図5参照)、複数のAD(図15参照)データセット間で一貫していた。適応免疫細胞シグネチャーとCD274(PD-L1)発現の関連性強度をADサブタイプと比較した。図16に示されるように(実施例1の図6と同様)、ADサブタイプに関する関連強度(調整済み決定係数)はまちまちであり、CD274関連性は一部の細胞(B細胞、T細胞、Th1、Treg、細胞傷害性細胞、Tヘルパー、Tem、Tgd)で高い一方、ADサブタイプ関連性は他の細胞(TFH、Th2、CD8、Th17、およびTcm)に関して高いことが示された。実施例1のように、免疫活性化はPIサブタイプのADにおいて最も顕著であり、一方でPPサブタイプのADはより低い免疫活性化を明示し、ADサブタイプおよびCD274発現は同様にAIC発現の予測能を有した(図6および図16参照)。
cox比例ハザードモデルを使用し、発現増大の1単位当たりのサブタイプ特異的ハザード比を算出した。サブタイプ特異的HRを病理学的ステージに合わせて調整し、信頼区間を算出した。サブタイプのうちの1つまたは複数に対して有意な生存期間の関連性を示した細胞シグネチャーまたは遺伝子のHRおよびCIを図17に示す。ADサブタイプについては、実施例1のように、多くの自然および適応免疫細胞、CD274(PD-L1)、ならびにCTLA4の発現における1単位の増大は、PIサブタイプのADにおける生存期間の改善と有意な関連性を示したが、他のサブタイプではこれを示さなかった(図7A~7Bおよび17参照)。全体的には実施例1のように、免疫細胞シグネチャーの生存期間解析は、Tヘルパー17および濾胞性ヘルパーT免疫細胞がADにおける生存期間の改善を予測したことを示唆した(p<0.001)(図7A~7Bおよび17参照)。
結論
実施例2に記載したADサブタイピングのための48遺伝子シグネチャーは、肺ADサブタイプの免疫ランドスケープがどのように異なるかを示すという点で、実施例1で使用したADサブタイピング遺伝子シグネチャーと同様の結果を示す。実施例1のADサブタイピング遺伝子シグネチャーと一致して、この実施例で使用したADサブタイピング遺伝子シグネチャーは、肺AD遺伝子発現サブタイプが免疫ランドスケープにおいて異なることを示す。内因性の生物学的ADサブタイプは免疫細胞活性化における肝要な差を明らかにし、これはCD274発現と常に相関するとは限らず、生存期間との変動のある関連性を明示した。AD PPサブタイプは最小限の免疫浸潤を示し、immunoRXに対する応答の低減が示唆された。AD PIサブタイプは、生存期間の改善と関連する免疫特徴の発現を示した。
参照による組み込み
以下の参考文献は、参照によりそれらの全体があらゆる目的のために組み込まれている。
1.) Wilkerson MDら、PLoS One 2012; 7(5): e36530. PMID 22590557
2.) TCGA Lung AdenoC. Nature 2014; 511(7511): 543-550. PMID 25079552
3.) Bindeaら、Immunity 2013; 39(4): 782-95. PMID 24138885
4.) Shedden Kら、Nat Med 2008; 14(8): 822-827. PMID 18641660
5.) Tomida Sら、J Clin Oncol 2009; 27(17): 2793-99. PMID 19414676
6.) Lee ESら、Cancer Res 2008; 14(22): 7397-7404. PMID 19010856
7.) Raponi Mら、Cancer Res 2006; 66(7): 466-72. PMID 16885343
(実施例4)
肺腺癌の発現サブタイプは異なる免疫ランドスケープおよび独特の体細胞遺伝学的特徴を明らかにし、複数の薬物標的に対する差次的な応答を示唆する
導入:肺腺癌(AD)における遺伝子発現ベースのサブタイピングは、変動のあるアウトカムおよび療法への応答の可能性を有する異なるサブタイプにAD腫瘍を分類する。遺伝子発現ベースのサブタイピングは、肺ADの3種の異なる生物学的タイプである終末呼吸単位(TRU)、旧名ブロンキオイド、近位増殖性(PP)、旧名マグノイド、および近位炎症性(PI)、旧名スクアモイド(1、2)を一貫して特定した(図1参照)。ADサブタイプは、ゲノム変化、腫瘍ドライバー、予後、および種々の療法に対する可能性の高い応答における肝要な差を明示する(1~2)。
方法:実施例1において遂行した実験のフォローアップとして、図2に示したTCGA肺がん遺伝子発現データセット(AD n=515)を使用して判定された、実施例1の肺ADサブタイプにおける差次的な薬物標的遺伝子発現を評価した。過去に公開されているADサブタイプ(TRU、PP、およびPI)は、実施例1で遺伝子発現パターンを使用して定義した。この実施例では、実施例1で行った免疫細胞遺伝子シグネチャー(Bindeaらの24種の免疫細胞タイプ)、単一免疫遺伝子バイオマーカー(CTLA4、PDCD1(PD-1)、およびCD274(PD-L1))の発現、増殖(11遺伝子シグネチャー;表9参照)、および非サイレント突然変異量の検査への補足として、臨床腫瘍学固形腫瘍突然変異パネル(322遺伝子、表8参照)からの遺伝子の変動のある発現を実施例1のADサブタイプとの関連で検査した。差次的遺伝子発現は、ボンフェローニ補正を用いたクラスカル-ウォリス(KW)検定を使用して査定し、非サイレント突然変異量、腫瘍サブタイプ、およびCD274(PD-L1)発現の免疫細胞発現との関連性を評価するためには線形回帰およびスピアマン相関を使用した。
結果:図21に示されるように、ADサブタイプにおいて208/322の腫瘍パネル遺伝子(65%)の変動のある発現が観察された(KWボンフェローニ閾値p<0.000155)。ADにおいてAURKA、CHEK1、ROS1、CD274(PD-L1)、CSF1RおよびERBB4を含むがこれらに限定されないほとんどの薬物標的遺伝子がサブタイプ間で強い差次的発現を呈した(p<1E-28)。さらに、ADサブタイプ間で差次的遺伝子発現を示す臨床腫瘍学固形腫瘍突然変異パネルの322種の遺伝子のうち上位25種の遺伝子は、表10で確認することができる。免疫細胞発現も、サブタイプ間で高度に変動があった(図3参照)。PIサブタイプのADは最も高い免疫細胞発現を明示し、一方でPPサブタイプのADは免疫細胞の低発現を明示した(図3参照)。非サイレント突然変異量は、免疫細胞発現と強い相関を示さなかった(ADにおけるスピアマン相関=-0.07)が、TP53突然変異が集中しているPIサブタイプのADは、上昇した免疫細胞発現および高い突然変異量に関連していた(図20参照)。全体的に、図20に示されるように、増殖、非サイレント突然変異量、および肝要な薬物標的のCD274(PD-L1)、PDCD1(PD-1)、およびCTLA4において、ADサブタイプの有意差が存在した。
結論:肺ADの分子サブタイプは、臨床的固形腫瘍配列決定パネルに含まれる肝要な薬物標的遺伝子の過半数の発現において異なる。肺ADの分子サブタイプは、宿主免疫応答および免疫標的の差次的発現を明らかにした。薬物感受性の潜在的なバイオマーカーとしてのサブタイプの評価は、単独で、また免疫細胞特徴および肝要な突然変異標的との組合せで精査されるべきである。
参照による組み込み
以下の参考文献は、参照によりそれらの全体があらゆる目的のために組み込まれている。
1.) Wilkerson MDら、PLoS One 2012; 7(5): e36530. PMID 22590557
2.) TCGA Lung AdenoC. Nature 2014; 511(7511): 543-550. PMID 25079552
3.) Foundation Medicine Solid Tumor Mutation Panel accessed October 2014.
4.) Bindeaら、Immunity 2013; 39(4): 782-95. PMID 24138885
5.) Neilson TOら、Clin Cancer Res 2010; 16(21): 522-5232. PMID 20837693.
(実施例5)
肺腺癌の発現サブタイプは異なる免疫ランドスケープおよび独特の体細胞遺伝学的特徴を明らかにし、複数の薬物標的に対する差次的な応答を示唆する
導入:ちょうど実施例4のように、この実施例の目的は、過去に定義された腺癌(AD)の遺伝子発現サブタイプ間での臨床的に重要な遺伝子の差次的発現を査定することであった。実施例1に記載したTCGA肺がん遺伝子発現データセット(AD n=515)を使用してADおよび遺伝子発現ベースのサブタイピングを行った実施例4とは対照的に、この実施例における遺伝子発現ベースのADサブタイピングは、実施例2に記載した48遺伝子セットを使用して行った。さらに、臨床的に重要な遺伝子は、治療管理に影響するゲノム変化の特定および/または標的薬物臨床治験への適格性の判定のために腫瘍学患者の管理に使用される臨床的固形腫瘍突然変異配列決定パネルを構成した322種の遺伝子(表8参照)であった。ちょうど実施例4のように、11遺伝子増殖シグネチャー(表9参照)を使用してADサブタイプ間の腫瘍増殖の差も査定した。
方法:TCGA肺がん遺伝子発現データセット(腺癌(AD)n=515)を使用し、肺ADサブタイプにおける差次的な薬物標的遺伝子発現を評価した。これまでに記載したClanc48 ADサブタイパー(実施例2および本明細書の記載を参照のこと)(最近隣重心予測)を使用してADのサブタイプを定義した。終末呼吸単位(TRU)、近位増殖性(PP)、および近位炎症性(PI)のADサブタイプを検査した。臨床腫瘍学固形腫瘍突然変異パネル(322種の遺伝子)からの遺伝子の変動のある発現を、ADとの関連において検査した。差次的遺伝子発現は、ボンフェローニ補正を用いたクラスカル-ウォリス(KW)検定を使用して査定した。さらに、11遺伝子PAM50増殖シグネチャーにおいて利用可能な遺伝子の平均発現(log2(RSEM+1))として増殖スコアを算出した。クラスカル-ウォリス検定を使用してサブタイプ-増殖の関連性を試験した。
結果:図21と同様に、図22は、観察されたADサブタイプ間の203/322の腫瘍パネル遺伝子(63%)の変動のある発現を示した(KWボンフェローニ閾値p<0.000155)。さらに、ちょうど図20の実施例4のように、増殖におけるADサブタイプの有意差が存在した(図23参照)。さらに、表11に見られるADサブタイプ間で差次的遺伝子発現を示す臨床腫瘍学固形腫瘍突然変異パネルの322種の遺伝子のうち上位25種の遺伝子は、表10に見られるものと酷似している。
結論:ちょうど実施例4のように、肺ADの分子サブタイプは、臨床的固形腫瘍配列決定パネルに含まれる肝要な薬物標的遺伝子の過半数の発現において異なる。肺ADの分子サブタイプは、宿主免疫応答および免疫標的の差次的発現を明らかにした。
参照による組み込み
以下の参考文献は、参照によりそれらの全体があらゆる目的のために組み込まれている。
1.) TCGA Lung AD. Nature 2014; 511(7511): 543-550. PMID 25079552
2.) Wilkerson MDら、PLoS One 2012; 7(5): e36530. PMID 22590557
3.) Foundation Medicine Solid Tumor Mutation Panel accessed October 6, 2014.
4.) Neilson TO, Parker JS, Leung Sら、Clin Cancer Res 2010; 16(21): 5222-5232. PMID 20837693
Figure 0007241353000036
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上述の種々の実施形態は、さらなる実施形態を提供するように組み合わせることができる。本明細書において言及され、かつ/または出願データシートに列挙される米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、および非特許公開文献はすべて、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれている。種々の特許、出願、および公開文献の概念を用いて、なおもさらなる実施形態を提供するために必要な場合は、諸実施形態の態様を改変してもよい。
上記の詳細な記載を踏まえ、これらのおよび他の変更を諸実施形態に行うことができる。概して、続く特許請求の範囲において、使用される用語は、本明細書および特許請求の範囲において開示される特定の実施形態に特許請求の範囲を限定するものと解釈されてはならず、かかる特許請求の範囲が権利とする均等物の全範囲と併せて可能性のあるすべての実施形態を含むものと解釈されるべきである。したがって、特許請求の範囲は本開示によって限定されない。

Claims (24)

  1. 患者から得られた肺組織試料の腺癌(AD)サブタイプを判定するための方法における使用のための試薬またはキットであって、前記試薬またはキットが、C-fos-誘導性増殖因子(FIGF)、カテプシンH(CTSH)、セクレチン受容体(SCTR)、チトクロムP450ファミリー4サブファミリーBメンバー1(CYP4B1)、Gタンパク質共役受容体116(GPR116)、アルコールデヒドロゲナーゼ1B(クラスI)(ADH1B)、クロモボックス7(CBX7)、肝白血病因子(HLF)、中心体タンパク質55(CEP55)、Tpx2,微小管関連(TPX2)、BUB1有糸分裂チェックポイントセリン/スレオニンキナーゼB(BUB1B)、キネシンファミリーメンバー4A(KIF4A)、サイクリンB2(CCNB2)、キネシンファミリーメンバー14(KIF14)、母系胚性ロイシンジッパーキナーゼ(MELK)、キネシンファミリーメンバー11(KIF11)、フィブリノーゲン様1(FGL1)、PDZ結合キナーゼ(PBK)、熱ショックタンパク質ファミリーD(Hsp60)メンバー1(HSPD1)、チミンDNAグリコシラーゼ(TDG)、細胞質分裂タンパク質制御因子1(PRC1)、二重特異性ホスファターゼ4(DUSP4)、GTP結合タンパク質4(GTPBP4)、ZW10相互作用動原体タンパク質(ZWINT)、Toll様受容体2(TLR2)、CD74分子(CD74)、主要組織適合抗原,クラスII,DPベータ1(HLA-DPB1)、主要組織適合抗原,クラスII,DPアルファ1(HLA-DPA1)、主要組織適合抗原,クラスII,DRアルファ(HLA-DRA)、インテグリンサブユニットベータ2(ITGB2)、Fas細胞表面死受容体(FAS)、主要組織適合抗原,クラスII,DRベータ1(HLA-DRB1)、プラスミノーゲン活性化因子,ウロキナーゼ(PLAU)、グアニル酸結合タンパク質1(GBP1)、デルマタン硫酸エピメラーゼ(DSE)、コイルドコイルドメイン含有109B(CCDC109B)、形質転換増殖因子ベータ誘導性(TGFBI)、C-X-Cモチーフケモカインリガンド10(CXCL10)、可溶性ガラクトシド結合レクチン1(LGALS1)、チューブリンベータ6クラスV(TUBB6)、Gapジャンクションタンパク質ベータ1(GJB1)、RAP1GTPアーゼ活性化タンパク質(RAP1GAP)、カルシウム電位開口型チャネル補助サブユニットアルファ2デルタ2(CACNA2D2)、セレン結合タンパク質1(SELENBP1)、転写因子CP2様1(TFCP2L1)、ソルビンおよびSH3ドメイン含有2(SORBS2)、Unc-13ホモログB(UNC13B)および形質転換酸性コイルドコイル含有タンパク質2(TACC2)からなる分類指標バイオマーカーの群から選択される分類指標バイオマーカーの一部分に対して各々実質的に相補的である複数のオリゴヌクレオチドを含み、前記方法が、FIGF、CTSH、SCTR、CYP4B1、GPR116、ADH1B、CBX7、HLF、CEP55、TPX2、BUB1B、KIF4A、CCNB2、KIF14、MELK、KIF11、FGL1、PBK、HSPD1、TDG、PRC1、DUSP4、GTPBP4、ZWINT、TLR2、CD74、HLA-DPB1、HLA-DPA1、HLA-DRA、ITGB2、FAS、HLA-DRB1、PLAU、GBP1、DSE、CCDC109B、TGFBI、CXCL10、LGALS1、TUBB6、GJB1、RAP1GAP、CACNA2D2、SELENBP1、TFCP2L1、SORBS2、UNC13BおよびTACC2からなる前記分類指標バイオマーカーの群からのすべての分類指標バイオマーカーの発現レベルを検出するステップを含み、すべての前記分類指標バイオマーカーの前記発現レベルの前記検出が、終末呼吸単位(TRU)、近位増殖性(PP)、または近位炎症性(PI)ADサブタイプを特異的に特定する、試薬またはキット。
  2. 前記方法が、FIGF、CTSH、SCTR、CYP4B1、GPR116、ADH1B、CBX7、HLF、CEP55、TPX2、BUB1B、KIF4A、CCNB2、KIF14、MELK、KIF11、FGL1、PBK、HSPD1、TDG、PRC1、DUSP4、GTPBP4、ZWINT、TLR2、CD74、HLA-DPB1、HLA-DPA1、HLA-DRA、ITGB2、FAS、HLA-DRB1、PLAU、GBP1、DSE、CCDC109B、TGFBI、CXCL10、LGALS1、TUBB6、GJB1、RAP1GAP、CACNA2D2、SELENBP1、TFCP2L1、SORBS2、UNC13BおよびTACC2からなる前記分類指標バイオマーカーの群からのすべての分類指標バイオマーカーの前記検出された発現レベルを、少なくとも1種のサンプルトレーニングセットにおける、FIGF、CTSH、SCTR、CYP4B1、GPR116、ADH1B、CBX7、HLF、CEP55、TPX2、BUB1B、KIF4A、CCNB2、KIF14、MELK、KIF11、FGL1、PBK、HSPD1、TDG、PRC1、DUSP4、GTPBP4、ZWINT、TLR2、CD74、HLA-DPB1、HLA-DPA1、HLA-DRA、ITGB2、FAS、HLA-DRB1、PLAU、GBP1、DSE、CCDC109B、TGFBI、CXCL10、LGALS1、TUBB6、GJB1、RAP1GAP、CACNA2D2、SELENBP1、TFCP2L1、SORBS2、UNC13BおよびTACC2からなる前記分類指標バイオマーカーの群からのすべての分類指標バイオマーカーの発現と比較するステップであって、前記少なくとも1種のサンプルトレーニングセットが、参照AD TRU試料からの、FIGF、CTSH、SCTR、CYP4B1、GPR116、ADH1B、CBX7、HLF、CEP55、TPX2、BUB1B、KIF4A、CCNB2、KIF14、MELK、KIF11、FGL1、PBK、HSPD1、TDG、PRC1、DUSP4、GTPBP4、ZWINT、TLR2、CD74、HLA-DPB1、HLA-DPA1、HLA-DRA、ITGB2、FAS、HLA-DRB1、PLAU、GBP1、DSE、CCDC109B、TGFBI、CXCL10、LGALS1、TUBB6、GJB1、RAP1GAP、CACNA2D2、SELENBP1、TFCP2L1、SORBS2、UNC13BおよびTACC2からなる前記分類指標バイオマーカーの群からのすべての分類指標バイオマーカーの発現データ、参照AD PP試料からの、FIGF、CTSH、SCTR、CYP4B1、GPR116、ADH1B、CBX7、HLF、CEP55、TPX2、BUB1B、KIF4A、CCNB2、KIF14、MELK、KIF11、FGL1、PBK、HSPD1、TDG、PRC1、DUSP4、GTPBP4、ZWINT、TLR2、CD74、HLA-DPB1、HLA-DPA1、HLA-DRA、ITGB2、FAS、HLA-DRB1、PLAU、GBP1、DSE、CCDC109B、TGFBI、CXCL10、LGALS1、TUBB6、GJB1、RAP1GAP、CACNA2D2、SELENBP1、TFCP2L1、SORBS2、UNC13BおよびTACC2からなる前記分類指標バイオマーカーの群からのすべての分類指標バイオマーカーの発現データ、参照AD PI試料からの、FIGF、CTSH、SCTR、CYP4B1、GPR116、ADH1B、CBX7、HLF、CEP55、TPX2、BUB1B、KIF4A、CCNB2、KIF14、MELK、KIF11、FGL1、PBK、HSPD1、TDG、PRC1、DUSP4、GTPBP4、ZWINT、TLR2、CD74、HLA-DPB1、HLA-DPA1、HLA-DRA、ITGB2、FAS、HLA-DRB1、PLAU、GBP1、DSE、CCDC109B、TGFBI、CXCL10、LGALS1、TUBB6、GJB1、RAP1GAP、CACNA2D2、SELENBP1、TFCP2L1、SORBS2、UNC13BおよびTACC2からなる前記分類指標バイオマーカーの群からのすべての分類指標バイオマーカーの発現データ、またはそれらの組合せを含む、ステップと、前記比較するステップの結果に基づいて前記試料をTRU、PP、またはPIサブタイプに分類するステップとをさらに含む、請求項1に記載の試薬またはキット。
  3. 前記比較するステップが、前記試料から得られた前記発現レベルデータと、前記少なくとも1種のトレーニングセットからの前記発現レベルデータとの間の相関を判定することを含む、統計的アルゴリズムを適用することと、前記統計的アルゴリズムの結果に基づい
    て前記試料をTRU、PP、またはPIサブタイプに分類することとを含む、請求項2に記載の試薬またはキット。
  4. 前記分類指標バイオマーカーの各々の発現レベルが、核酸レベルで検出される、請求項1~3のいずれか一項に記載の試薬またはキット。
  5. 前記核酸レベルがRNAまたはcDNAである、請求項4に記載の試薬またはキット。
  6. 前記発現レベルを検出するステップが、定量的リアルタイム逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(qRT-PCR)、RNAseq、マイクロアレイ、遺伝子チップ、nCounter遺伝子発現アッセイ、遺伝子発現連続解析(SAGE)、遺伝子発現高速解析(RAGE)、ヌクレアーゼプロテクションアッセイ、またはノーザンブロッティングを行うことを含む、請求項4または5に記載の試薬またはキット。
  7. 前記発現レベルが、qRT-PCRを行うことにより検出される、請求項6に記載の試薬またはキット。
  8. 前記発現レベルの前記検出が、FIGF、CTSH、SCTR、CYP4B1、GPR116、ADH1B、CBX7、HLF、CEP55、TPX2、BUB1B、KIF4A、CCNB2、KIF14、MELK、KIF11、FGL1、PBK、HSPD1、TDG、PRC1、DUSP4、GTPBP4、ZWINT、TLR2、CD74、HLA-DPB1、HLA-DPA1、HLA-DRA、ITGB2、FAS、HLA-DRB1、PLAU、GBP1、DSE、CCDC109B、TGFBI、CXCL10、LGALS1、TUBB6、GJB1、RAP1GAP、CACNA2D2、SELENBP1、TFCP2L1、SORBS2、UNC13BおよびTACC2からなる前記分類指標バイオマーカーの群からの分類指標バイオマーカーの各々に特異的な少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマーを使用することを含む、請求項7に記載の試薬またはキット。
  9. 前記肺組織試料が、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)肺組織試料、新鮮なもしくは冷凍肺組織試料、エキソソーム、洗浄液、細胞ペレット、または前記患者から得られた体液である、請求項1~8のいずれか一項に記載の試薬またはキット。
  10. 前記体液が、血液もしくはその画分、尿、唾液、または喀痰である、請求項9に記載の試薬またはキット。
  11. 患者から得られた肺組織試料の腺癌(AD)サブタイプを判定するための方法における使用のための試薬またはキットであって、前記試薬またはキットが、FIGF、CTSH、SCTR、CYP4B1、GPR116、ADH1B、CBX7、HLF、CEP55、TPX2、BUB1B、KIF4A、CCNB2、KIF14、MELK、KIF11、FGL1、PBK、HSPD1、TDG、PRC1、DUSP4、GTPBP4、ZWINT、TLR2、CD74、HLA-DPB1、HLA-DPA1、HLA-DRA、ITGB2、FAS、HLA-DRB1、PLAU、GBP1、DSE、CCDC109B、TGFBI、CXCL10、LGALS1、TUBB6、GJB1、RAP1GAP、CACNA2D2、SELENBP1、TFCP2L1、SORBS2、UNC13BおよびTACC2からなる分類指標バイオマーカーの群から選択される分類指標バイオマーカーの一部分に対して各々実質的に相補的である複数のオリゴヌクレオチドを含み、前記方法が、FIGF、CTSH、SCTR、CYP4B1、GPR116、ADH1B、CBX7、HLF、CEP55、TPX2、BUB1B、KIF4A、CCNB2、KIF14、MELK、KIF11、FGL1、PBK、HSPD1、TDG、PRC1、DUSP4、GTPBP4、ZWINT
    、TLR2、CD74、HLA-DPB1、HLA-DPA1、HLA-DRA、ITGB2、FAS、HLA-DRB1、PLAU、GBP1、DSE、CCDC109B、TGFBI、CXCL10、LGALS1、TUBB6、GJB1、RAP1GAP、CACNA2D2、SELENBP1、TFCP2L1、SORBS2、UNC13BおよびTACC2からなる前記分類指標バイオマーカーの群から選択されるすべての分類指標バイオマーカーの核酸発現レベルを検出するステップを含み、前記方法が、(a)前記患者から得られた前記肺組織試料から核酸物質を単離するステップと、(b)前記核酸物質を、前記複数のオリゴヌクレオチドと混合するステップと、(c)FIGF、CTSH、SCTR、CYP4B1、GPR116、ADH1B、CBX7、HLF、CEP55、TPX2、BUB1B、KIF4A、CCNB2、KIF14、MELK、KIF11、FGL1、PBK、HSPD1、TDG、PRC1、DUSP4、GTPBP4、ZWINT、TLR2、CD74、HLA-DPB1、HLA-DPA1、HLA-DRA、ITGB2、FAS、HLA-DRB1、PLAU、GBP1、DSE、CCDC109B、TGFBI、CXCL10、LGALS1、TUBB6、GJB1、RAP1GAP、CACNA2D2、SELENBP1、TFCP2L1
    、SORBS2、UNC13BおよびTACC2からなる前記分類指標バイオマーカーの群からのすべての分類指標バイオマーカーの発現を検出するステップとを含む試薬またはキット。
  12. 前記方法が、FIGF、CTSH、SCTR、CYP4B1、GPR116、ADH1B、CBX7、HLF、CEP55、TPX2、BUB1B、KIF4A、CCNB2、KIF14、MELK、KIF11、FGL1、PBK、HSPD1、TDG、PRC1、DUSP4、GTPBP4、ZWINT、TLR2、CD74、HLA-DPB1、HLA-DPA1、HLA-DRA、ITGB2、FAS、HLA-DRB1、PLAU、GBP1、DSE、CCDC109B、TGFBI、CXCL10、LGALS1、TUBB6、GJB1、RAP1GAP、CACNA2D2、SELENBP1、TFCP2L1、SORBS2、UNC13BおよびTACC2からなる前記分類指標バイオマーカーの群からのすべての分類指標バイオマーカーの前記検出された発現レベルを、少なくとも1種のサンプルトレーニングセットにおける、FIGF、CTSH、SCTR、CYP4B1、GPR116、ADH1B、CBX7、HLF、CEP55、TPX2、BUB1B、KIF4A、CCNB2、KIF14、MELK、KIF11、FGL1、PBK、HSPD1、TDG、PRC1、DUSP4、GTPBP4、ZWINT、TLR2、CD74、HLA-DPB1、HLA-DPA1、HLA-DRA、ITGB2、FAS、HLA-DRB1、PLAU、GBP1、DSE、CCDC109B、TGFBI、CXCL10、LGALS1、TUBB6、GJB1、RAP1GAP、CACNA2D2、SELENBP1、TFCP2L1、SORBS2、UNC13BおよびTACC2からなる前記分類指標バイオマーカーの群からのすべての分類指標バイオマーカーの発現と比較するステップであって、前記少なくとも1種のサンプルトレーニングセットが、参照AD TRU試料からの、FIGF、CTSH、SCTR、CYP4B1、GPR116、ADH1B、CBX7、HLF、CEP55、TPX2、BUB1B、KIF4A、CCNB2、KIF14、MELK、KIF11、FGL1、PBK、HSPD1、TDG、PRC1、DUSP4、GTPBP4、ZWINT、TLR2、CD74、HLA-DPB1、HLA-DPA1、HLA-DRA、ITGB2、FAS、HLA-DRB1、PLAU、GBP1、DSE、CCDC109B、TGFBI、CXCL10、LGALS1、TUBB6、GJB1、RAP1GAP、CACNA2D2、SELENBP1、TFCP2L1、SORBS2、UNC13BおよびTACC2からなる前記分類指標バイオマーカーの群からのすべての分類指標バイオマーカーの発現データ、参照AD PP試料からの、FIGF、CTSH、SCTR、CYP4B1、GPR116、ADH1B、CBX7、HLF、CEP55、TPX2、BUB1B、KIF4A、CCNB2、KIF14、MELK、KIF11、FGL1、PBK、HSPD1、TDG、PRC1、DUSP4、GTPBP4、ZWINT、TLR2、CD74、HLA-DPB1、HLA-DPA1、HLA-DRA、ITGB2、FAS、HLA-DRB1、PLAU、GBP1、DSE、CCDC109B、TGFBI、CXCL10、LGALS1、TUBB6、GJB1、RAP1GAP、CACNA2D2、SELENBP1、TFCP2L1、SORBS2、UNC13BおよびTACC2からなる前記分類指標バイオマーカーの群からのすべての分類指標バイオマーカーの発現データ、参照AD PI試料からの、FIGF、CTSH、SCTR、CYP4B1、GPR116、ADH1B、CBX7、HLF、CEP55、TPX2、BUB1B、KIF4A、CCNB2、KIF14、MELK、KIF11、FGL1、PBK、HSPD1、TDG、PRC1、DUSP4、GTPBP4、ZWINT、TLR2、CD74、HLA-DPB1、HLA-DPA1、HLA-DRA、ITGB2、FAS、HLA-DRB1、PLAU、GBP1、DSE、CCDC109B、TGFBI、CXCL10、LGALS1、TUBB6、GJB1、RAP1GAP、CACNA2D2、SELENBP1、TFCP2L1、SORBS2、UNC13BおよびTACC2からなる前記分類指標バイオマーカーの群からのすべての分類指標バイオマーカーの発現データ、またはそれらの組合せを含む、ステップと、前記比較するステップの結果に基づいて前記試料をTRU、PP、またはPIサブタイプに分類するステップとをさらに含む、請求項11に記載の試薬またはキット。
  13. 前記比較するステップが、前記試料から得られた前記発現データと、前記少なくとも1種のトレーニングセットからの前記発現データとの間の相関を判定することを含む、統計的アルゴリズムを適用することと、前記統計的アルゴリズムの結果に基づいて前記試料をTRU、PP、またはPIサブタイプに分類することとを含む、請求項12に記載の試薬またはキット。
  14. 前記発現レベルを検出する前記ステップが、qRT-PCRを行うことを含む、請求項11から13のいずれか一項に記載の試薬またはキット。
  15. 前記発現レベルの前記検出が、FIGF、CTSH、SCTR、CYP4B1、GPR116、ADH1B、CBX7、HLF、CEP55、TPX2、BUB1B、KIF4A、CCNB2、KIF14、MELK、KIF11、FGL1、PBK、HSPD1、TDG、PRC1、DUSP4、GTPBP4、ZWINT、TLR2、CD74、HLA-DPB1、HLA-DPA1、HLA-DRA、ITGB2、FAS、HLA-DRB1、PLAU、GBP1、DSE、CCDC109B、TGFBI、CXCL10、LGALS1、TUBB6、GJB1、RAP1GAP、CACNA2D2、SELENBP1、TFCP2L1、SORBS2、UNC13BおよびTACC2からなる前記分類指標バイオマーカーの群からの分類指標バイオマーカーの各々に特異的な少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマーを使用することを含む、請求項14に記載の試薬またはキット。
  16. 前記方法が、すべての前記分類指標バイオマーカーの前記検出された発現レベルに基づいて、肺腺癌(AD)のサブタイプを処置するための療法に対する応答を予測するステップをさらに含む、請求項11から15のいずれか一項に記載の試薬またはキット。
  17. 前記療法が、化学療法、血管新生阻害剤、および/または免疫療法である、請求項16に記載の試薬またはキット。
  18. 肺ADの前記サブタイプがTRUであり、前記療法が化学療法または血管新生阻害剤である、請求項17に記載の試薬またはキット。
  19. 肺ADの前記サブタイプがPPであり、前記療法が化学療法である、請求項17に記載の試薬またはキット。
  20. 肺ADの前記サブタイプがPIであり、前記療法が免疫療法である、請求項17に記載の試薬またはキット。
  21. 前記肺組織試料が、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)肺組織試料、新鮮なもしくは冷凍肺組織試料、エキソソーム、洗浄液、細胞ペレット、または前記患者から得られた体液である、請求項11から20のいずれか一項に記載の試薬またはキット。
  22. 前記体液が、血液もしくはその画分、尿、唾液、または喀痰である、請求項21に記載の試薬またはキット。
  23. FIGF、CTSH、SCTR、CYP4B1、GPR116、ADH1B、CBX7、HLF、CEP55、TPX2、BUB1B、KIF4A、CCNB2、KIF14、MELK、KIF11、FGL1、PBK、HSPD1、TDG、PRC1、DUSP4、GTPBP4、ZWINT、TLR2、CD74、HLA-DPB1、HLA-DPA1、HLA-DRA、ITGB2、FAS、HLA-DRB1、PLAU、GBP1、DSE、CCDC109B、TGFBI、CXCL10、LGALS1、TUBB6、GJB1、RAP1GAP、CACNA2D2、SELENBP1、TFCP2L1、SORBS2、UNC13BおよびTACC2からなる分類指標バイオマーカーの群から選択される分類指標バイオマーカーの一部分に対して各々実質的に相補的である複数のオリゴヌクレオチドの使用であって、前記使用が、患者から得られた肺組織試料の腺癌(AD)サブタイプを判定するための方法において使用するための試薬またはキットの製造における使用であり、前記方法が、FIGF、CTSH、SCTR、CYP4B1、GPR116、ADH1B、CBX7、HLF、CEP55、TPX2、BUB1B、KIF4A、CCNB2、KIF14、MELK、KIF11、FGL1、PBK、HSPD1、TDG、PRC1、DUSP4、GTPBP4、ZWINT、TLR2、CD74、HLA-DPB1、HLA-DPA1、HLA-DRA、ITGB2、FAS、HLA-DRB1、PLAU、GBP1、DSE、CCDC109B、TGFBI、CXCL10、LGALS1、TUBB6、GJB1、RAP1GAP、CACNA2D2、SELENBP1、TFCP2L1、SORBS2、UNC13BおよびTACC2からなる前記分類指標バイオマーカーの群からのすべての分類指標バイオマーカーの核酸発現レベルを検出するステップを含み、FIGF、CTSH、SCTR、CYP4B1、GPR116、ADH1B、CBX7、HLF、CEP55、TPX2、BUB1B、KIF4A、CCNB2、KIF14、MELK、KIF11、FGL1、PBK、HSPD1、TDG、PRC1、DUSP4、GTPBP4、ZWINT、TLR2、CD74、HLA-DPB1、HLA-DPA1、HLA-DRA、ITGB2、FAS、HLA-DRB1、PLAU、GBP1、DSE、CCDC109B、TGFBI、CXCL10、LGALS1、TUBB6、GJB1、RAP1GAP、CACNA2D2、SELENBP1、TFCP2L1、SORBS2、UNC13BおよびTACC2からなる前記分類指標バイオマーカーの群からのすべての分類指標バイオマーカーの前記核酸発現レベルの前記検出が、終末呼吸単位(TRU)、近位増殖性(PP)、または近位炎症性(PI)ADサブタイプを特異的に特定する、使用。
  24. FIGF、CTSH、SCTR、CYP4B1、GPR116、ADH1B、CBX7、HLF、CEP55、TPX2、BUB1B、KIF4A、CCNB2、KIF14、MELK、KIF11、FGL1、PBK、HSPD1、TDG、PRC1、DUSP4、GTPBP4、ZWINT、TLR2、CD74、HLA-DPB1、HLA-DPA1、HLA-DRA、ITGB2、FAS、HLA-DRB1、PLAU、GBP1、DSE、CCDC109B、TGFBI、CXCL10、LGALS1、TUBB6、GJB1、RAP1GAP、CACNA2D2、SELENBP1、TFCP2L1、SORBS2、UNC13BおよびTACC2からなる分類指標バイオマーカーの群から選択される分類指標バイオマーカーの一部分に対して各々実質的に相補的である複数のオリゴヌクレオチドの使用であって、前記使用が、患者から得られた肺組織試料の腺癌(AD)サブタイプを判定するための方法において使用するための試薬またはキットの製造における使用であり、前記方法が、FIGF、CTSH、SCTR、CYP4B1、GPR116、ADH1B、CBX7、HLF、CEP55、TPX2、BUB1B、KIF4A、CCNB2、KIF14、MELK、KIF11、FGL1、PBK、HSPD1、TDG、PRC1、DUSP4、GTPBP4、ZWINT、TLR2、CD74、HLA-DPB1、HLA-DPA1、HLA-DRA、ITGB2、FAS、HLA-DRB1、PLAU、GBP1、DSE、CCDC109B、TGFBI、CXCL10、LGALS1、TUBB6、GJB1、RAP1GAP、CACNA2D2、SELENBP1、TFCP2L1、SORBS2、UNC13BおよびTACC2からなる前記分類指標バイオマーカーの群からのすべての分類指標バイオマーカーの核酸発現レベルを検出するステップを含み、前記方法が、(a)前記患者から得られた前記肺組織試料から核酸物質を単離するステップと、(b)前記核酸物質を、前記分類指標バイオマーカーの前記一部分に対して実質的に相補的である前記複数のオリゴヌクレオチドと混合するステップと、(c)すべての前記分類指標バイオマーカーの発現を検出するステップとを含む、使用。
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