JP7240798B1 - 流体発電システム及びその設置構造 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、これらの流体発電システムでは、水深の深い洋上で使用する場合に、システムを設置するための莫大なコストや時間がかかるという問題がある。
すなわち、水深が深くなればなるほど、支持体の支柱を長くして、流体駆動装置の第1の回転体や第2の回転体等の装置の位置を高くする必要があり、しかも、水深が深くなればなるほど、支柱が大きな水流圧を受けるようになるので、支持体の水流圧に対する耐久性や第1の回転体や第2の回転体等の装置に対する安定性が必要となる。このような要求を満たすには、支持体の構造やその支柱自体を頑丈且つ丈夫な物に設定しなければならない。そのため、流体駆動装置自体に費やすコストが高くなってしまう。また、水深が深くなればなるほど、システムの設置作業に難易度が増すので、その分コスト増しに繋がる。
さらに、洋上では、満潮や干潮の現象によって、海面の位置が上下する。このため、安定した電力量を得るには、システムの高さを満潮や干潮の都度調整しなければならず、メインテナンス作業が面倒であるという問題がある。
かかる構成により、固定装置の固定体を流体の底等の地盤上に固設すると共に、固定体の上部に設けられた第1の連結部と支持体に設けられた第2の連結部とを、連結することにより、支持体によって支持された流体駆動装置と発電装置とを、所定深さの洋上に固定することができる。
このとき、無端ベルトのうち第1の回転体及び第2の回転体よりも下側の無端ベルト部分が、流体の深さ方向に略くの字状に湾曲するように設定されているので、第1の回転体及び第2の回転体を流体面の上方に位置させると共に、湾曲した下側の無端ベルト部分にある複数の第1の抵抗部材が流体内に完没するように、流体駆動装置を設置することができる。
これにより、流体内に完没した複数の第1の抵抗部材が、流体中で流体圧を受けると、無端ベルトが巻き付けられた第1の回転体と第2の回転体とが、流体圧方向に回転し、その回転力が流体駆動装置の出力軸に出力される。すると、この回転力は、発電機の回転軸に伝達され、発電機による発電動作が行われる。
つまり、この発明の流体発電システムによれば、支持体に設けられた第2の連結部を、固定体に設けられた第1の連結部に連結するだけで、流体発電システムを、水深が深い洋上に設置することができるので、システムの設置コストの低減を図ることができる。
かかる構成により、複数の第1の抵抗部材が、流体圧を効率的に確保することができ、この結果、極めて大きな電力を起こすことができる。
すなわち、上記下方に位置する補助回転体よりも上流側に位置する複数の第1の抵抗部材が、流体圧を強く受ける。そして、上記下方に位置する補助回転体よりも下流側に位置する複数の第1の抵抗部材が受ける流体圧は、弱い。
しかし、この発明では、複数の補助回転体のうち最下流に位置する補助回転体が、他の補助回転体よりも下方に位置している。このため、ほぼ全ての第1の抵抗部材が強い流体圧を効率的に受けることができ、その結果、極めて大きな電力を起こすことができる。
かかる構成により、上記下方に位置させた補助回転体よりも上流に位置する複数の第1の抵抗部材が、流体圧を受けて、第1の回転体と第2の回転体と無端ベルトが回転することになる。したがって、例えば、流体が左から右に流れている場合、下方に位置している補助回転体よりも左側に位置する複数の第1の抵抗部材がその流体圧を受け、右側に位置する複数の第1の抵抗部材は流体圧をほとんど受けない。しかし、流体が、右から左に流れるように変化した場合、下方に位置している補助回転体よりも右側に位置する複数の第1の抵抗部材が、その流体圧を受け、左側に位置する複数の第1の抵抗部材は、流体圧をほとんど受けない。このとき、複数の補助回転体のうち略中央に位置する補助回転体が、他の補助回転体よりも下方に位置されているので、補助回転体よりも左側に位置する第1の抵抗部材の数と補助回転体よりも右側に位置する第1の抵抗部材とは、ほぼ同数である。したがって、例えば、第7の発明ないし第9の発明のいずれかの第1の抵抗部材を適用することで、左方向からの流体圧によって得られる回転エネルギと右方向からの流体圧によって得られる回転エネルギとが、ほとんど同じになり、流体の方向が変化しても、常にほぼ同じ大きさの回転エネルギを得ることができる。
流体発電システムを、流体の流れ方向が変化しやすい場所に設置する場合には、第10の発明に用いられる回転方向変換器と、第7ないし第9の発明のいずれかに用いられる第1の抵抗部材を適用することが好ましい。
かかる構成により、ボルト孔をボルトに嵌めると共に、ボルトをナット締めして、第1の連結部と第2の連結部とを連結することにより、流体駆動装置と発電装置とが組み付けられた支持体を、所望の位置に簡単且つ容易に設置することができる。
かかる構成により、第1の抵抗部材が流体圧を受けると、線状溝が線状突起に嵌合した状態で、第1の回転体,第2の回転体及び複数の補助回転体と無端ベルトとが一体に回転する。つまり、無端ベルトを第1の回転体,第2の回転体及び複数の補助回転体に巻き付けただけの構成であると、流体の流れ方向によって、無端ベルトが横ずれを起こして、第1の回転体等から外れてしまうおそれがある。しかし、この発明では、無端ベルトが、第1の回転体,第2の回転体及び複数の補助回転体に巻き付けられているだけでなく、その線状突起が第1の回転体等の線状溝に嵌合しているので、無端ベルトは、どのような方向の流体圧を受けても、第1の回転体等から外れることはない。
かかる構成により、第1の抵抗部材は、流れに対向する受圧面部で流体圧を受けて、第1の回転体及び第2の回転体を回転させる。そして、流体の流れ方向が変わった場合には、可撓性素材で形成された受圧面部が、流れ方向に撓む。この結果、受圧面部が、流体圧を受けるので、第1の回転体及び第2の回転体が回転する。
つまり、この発明によれば、流体の流れの向きの変化に応じて、第1の抵抗部材の受圧面部の向きが変わるので、流体の流れの向きが変わった場合に、流体発電システムを流れの向きに対応させて動かすことなく、流体発電システムの動作を継続させることができる。
かかる構成により、流体の流れが変わっても、流れの方向に対向する受圧面部を有する第1の抵抗部材が、流体圧を捉えるので、流体発電システムを流れの向きに対応させて動かすことなく、流体発電システムの動作を継続させることができる。
かかる構成により、流体の流れが変わっても、互いに背中合わせに接合された1対の受圧面部のうち、流れの方向に対向する受圧面部が流体を捉えるので、流体発電システムを流れの向きに対応させて動かすことなく、流体発電システムの動作を継続させることができる。
かかる構成により、流体の流れ方向に変化がない場合には、流体駆動装置の出力軸の回転方向に対する発電機の回転軸の回転方向を、回転方向変換器によって、例えば同一方向に設定することができる。そして、流体の流れ方向が逆転した場合には、流体駆動装置の出力軸の回転方向に対する発電機の回転軸の回転方向を、回転方向変換器によって、逆方向に設定することができる。つまり、この発明によれば、流体発電システムの向きを流体の流れ方向に合わせて動かすことなく、流体発電システムの動作を継続させることができる。
かかる構成により、流体内に完没した複数の第1の抵抗部材が、流体中で流体圧を受けると、無端ベルトが巻き付けられた第1の回転体と第2の回転体とが、流体圧方向に回転し、その回転力が流体駆動装置の出力軸に出力される。すると、この回転力が、発電装置における発電機の回転軸に伝達されて、発電機による発電動作が行われる。
また、第1の回転体及び第2の回転体が流体面の上方に位置しているので、流体面上にある第1の回転体と第2の回転体と無端ベルトの部分とが、流体による抵抗を受けない。この結果、第1の回転体と第2の回転体とが、効率的に回転する。
また、流体中に沈められる下側の無端ベルト部分が、上側の無端ベルト部分よりも長く設定されているので、より多くの第1の抵抗部材を用いて、発電することができる。
なお、流体発電システムを洋上等、干潮及び満潮の現象がある場所に設置した場合には、満潮時に、第1及び第2の回転体と無端ベルトとが、海中に完没してしまうおそれがある。かかるおそれがある場所に設置する場合には、支持体の高さを通常よりも高く設定しておくことで、満潮時においても、第1及び第2の回転体と無端ベルトとが、海中に完没しないようすることができる。
また、このような場所に設置すると、干満の影響による海面の上下変動が起こるので、流体駆動装置や発電装置は海面変動の作用を受ける。しかし、流体駆動装置や発電装置を支持する支持体が、固定装置によって固定されているので、流体駆動装置や発電装置は、海面の上下変動に影響されない。つまり、流体駆動装置や発電装置は、海面の上下動や波浪等によって横揺れ等を起こすことはなく、配置位置に位置し続けることになる。
かかる構成により、第2の連結部と第1の連結部との連結作業を、流体中でなく、流体面より上で行うことができる。このように、第2の連結部と第1の連結部との連結作業を流体面よりも上で行うようにすることで、連結作業を流体中よりも容易に行うことができ、システムの設置コストのさらなる低減を図ることができる。
具体的には、流体発電システムを、洋上等の水深が深い流体上に設置する場合には、固定装置の固定体を、予め設置位置の海底に固設しておき、流体駆動装置と発電装置が組み付けられた支持体を、設置位置迄運ぶ。そして、支持体下部の第2の連結部を固定体上部の第1の連結部に合わせて、これら第1及び第2の連結部を連結することで、流体駆動装置と発電装置とが組み付けられた支持体を洋上に簡単且つ固定的に設置することができる。この結果、流体発電システムを設置するためのコストや時間を低減することができる。
また、満潮や干潮の現象が起きる洋上に設置する場合には、流体駆動装置や発電装置を組み付ける支持体の高さを満潮時の流体面の高さに合わせて設定しておく。これにより、流体駆動装置や発電装置の高さを満潮や干潮の都度調整することなく、安定した電力量を得ることができるので、システムの維持管理が非常に容易である。
図1は、この発明の第1実施例に係る流体発電システムを示す分解斜視図であり、図2は、流体発電システムの平面図であり、図3は、流体発電システムの概略図である。
図1に示すように、この実施例の流体発電システム1は、流体駆動装置1Aと発電装置1Bと固定装置5を備えている。
この流体駆動装置1Aは、第1の回転体2Aと第2の回転体2Bと無端ベルト3Aと複数の第1の抵抗部材30と複数の補助回転体2C~2Hとを有しており、これらの部材は支持体10に組み付けられている。
そして、支柱11A,12Aと支柱13A~18Aが、水平な補強材10Aによって連結され、支柱11B,12Bと支柱13B~18Bが、水平な補強材10B(図示省略)によって連結されている。
第2の回転体2Bは、第1の回転体2Aと同形であり、第1の回転体2Aと同様に回転中心軸としてのシャフト部21を有している。そして、このシャフト部21の両端部が、支柱12A,12Bの上端部に回転自在に取り付けられている。
つまり、第1の回転体2Aと第2の回転体2Bとは、シャフト部20,21を平行にした状態で一定の間隔を保っており、無端ベルト3Aは、このような第1の回転体2Aと第2の回転体2Bとに巻き付けられている。
無端ベルト3Aは、幅広の帯状体であり、多層構造のゴム部材、合成樹脂、金属製チェーンベルト等で形成することができる。
図4は、第1の抵抗部材を示す斜視図であり、図5は、図4の矢視B-B断面図である。
これらの図に示すように、各第1の抵抗部材30は、受圧面部31と、この受圧面部31を保持する支持部材32とによって構成されている。
受圧面部31は、流体圧を受けるための部分であり、断面弧状に凹んでいる。受圧面部31の長さは、無端ベルト3Aに余幅を残すように、無端ベルト3Aの幅よりも短く設定されている。受圧面部31の材質は任意であるが、この実施例では、凹状に湾曲された金属板を適用した。
支持部材32は、枠部32aと、この枠部32aの両端に形成された固定部32b,32bとを有している。枠部32aは、無端ベルト3Aの幅方向に沿って配置され、固定部32b,32bは、無端ベルト3Aにビス等により固定されている。
そして、受圧面部31が、枠部32a内に嵌められ、その上端31aと下端31bとが、枠部32aに固着されている。
つまり、凹状の受圧面部31を無端ベルト3Aの長さ方向に向けた状態で、複数の第1の抵抗部材30が、一定間隔で無端ベルト3Aの表面に立設されている。
図6は、各補助回転体2C(2D~2H)の取付状態を説明するための分解斜視図であり、図7は、各補助回転体2C(2D~2H)の取付状態を示す斜視図である。
具体的には、図6に示すように、支柱の上端~下端に向かう長孔24が、支持体10の支柱13A(14A~18A),13B(14B~18B)のそれぞれに形成されている。そして、各補助回転体2C(2D~2H)のシャフト部27c(27d~27h)の両端部が、長孔24にそれぞれ回転自在に嵌め込まれている。
そして、補強材10Aと各支柱13A(14A~18A)との連結が、スペーサ10Cを介して行われ、補強材10Bと各支柱13B(14B~18B)との連結が、スペーサ10Dを介して行われている。各スペーサ10C(10D)の突出長さは、摘み23の厚さよりも大きく設定されいる。つまり、図7に示すように、摘み23が通ることができる間隙Gが、補強材10Aと各支柱13A(14A~18A)との間や補強材10Bと各支柱13B(14B~18B)との間に形成されている。これにより、各補助回転体2C(2D~2H)が、補強材10A,10Bに邪魔されることなく、支柱13A,13B(14A,14B~18A,18B)に沿って自由に上下動することができるようになっている。
そして、摘み23,23を、長孔24から外方に突出したシャフト部27c(27d~27h)の両端部に締め付けることで、各補助回転体2C(2D~2H)を所定高さに固定することとができる。
すなわち、図3に示すように、補助回転体2C,2E,2Gが、それぞれ、支柱13A(13B),15A(15B),17A(17B)の最上位に固定され、無端ベルト3Aの上側部分の内面に圧接されている。そして、補助回転体2D,2F,2Hが、それぞれ、支柱14A(14B),16A(16B),18A(18B)の下側位置に固定され、無端ベルト3Aの下側部分の内面に圧接されている。
さらに、図に示すように、補助回転体2Fが、最下位置に固定されて、無端ベルト3Aの下側部分が、下方に略くの字状に湾曲されている。つまり、無端ベルト3Aの下側部分の長さが、上側部分の長さよりも長く設定されており、これによりより多くの第1の抵抗部材30が、無端ベルト3Aの下側部分に配置されるようになっている。
この実施例では、流体駆動装置1Aの出力軸21bと発電機6の回転軸60とを、連結部材61によって直結した例を示しているが、ギア機構やベルト機構等を、出力軸21bと回転軸60との間に設けて、出力軸21bの回転を変化させて回転軸60に伝えるようにすることもできる。
固定装置5は、固定体5Aと第1の連結部5Bと第2の連結部5Cとで構成されている。そして、第1の連結部5Bと第2の連結部5Cとが連結可能な構造になっている。
具体的には、固定体5Aは、海底等の地盤上に杭打ち等によって打ち込むことができる柱状体であり、高強度の部材で形成されている。この固定体5Aを海底等に打ち込んで立設する数は、任意であるが、4本以上が好ましい。そこで、この実施例では、固定体5Aの本数を4本に設定した。
第1の連結部5Bは、各固定体5Aの上部に設けられたフランジ状部材であり、複数本のボルト51が、その上面に上向きに突設されている。この実施例では、ボルト51の本数を6本に設定したが、その本数は任意である。要は、第1の連結部5Bと第2の連結部5Cとの連結強度が所望値以上になるように、ボルト51の本数を決めればよい。
第2の連結部5Cも、フランジ状部材であり、支持体10の支柱11A,11B,12A,12Bのそれぞれの下部に取り付けられている。第1の連結部5Bのボルト51に対応した数のボルト孔52が、この第2の連結部5Cの面の対応した位置に穿設されている。
固定装置5が、以上の構成をとることにより、図8に示すように、固定装置5の4本の固定体5Aを、杭打ち等によって海底等の地盤上に固設することができる。そして、支柱11A(11B,12A,12B)下部の第2の連結部5Cに穿設されているボルト孔52を、第1の連結部5Bのボルト51に嵌めて、第1及び第2の連結部5B,5Cを当接することができる。この状態で、ボルト51をナット53で締めることにより、第1及び第2の連結部5B,5Cを連結することができる。
このように、固定装置5の第1及び第2の連結部5B,5Cを連結することにより、支持体10によって支持された流体駆動装置1Aと発電装置1Bとを、所定深さの海底の所定の位置に固定することができる。
図9は、流体発電システムを洋上に設置する方法を説明するための概略図であり、図10は、流体発電システムを洋上に設置した状態を示す概略図である。
具体的には、図9に示すように、固定装置5の固定体5Aの長さを、海底Bから海面S迄の深さよりも長く設定して、4本の固定体5Aを、所望の設置箇所に固設し、固定体5A上部の第1の連結部5Bを、海面Sの上方に位置させておく。
一方、流体駆動装置1Aと発電装置1Bが組み付けられた支持体10においては、支柱11A,12A(11B,12B)の長さを支柱13A,13B(14A,14B~18A,18B)の長さよりも短めに設定して、4つの第2の連結部5Cを、最下位の補助回転体2Fよりも上方に位置させておく。
無端ベルト3Aの下側部分の海中深度が、支柱11A,12A(11B,12B)の長さによって決まるので、支柱11A,12A(11B,12B)の長さは、流体発電システムの設置条件に応じて決定される。
かかる状態では、第1の回転体2A及び第2の回転体2Bが、海面Sの上方に位置すると共に、くの字状に湾曲した無端ベルト3Aの下側部分が、海中に没する。
この結果、海中に没している複数の第1の抵抗部材30が、海水による流体圧を受けるので、第1の回転体2Aと第2の回転体2Bとが、海水の流れ方向に回転する。このとき、上記したように、第1の回転体2A及び第2の回転体2Bは、海面Sの上方に配置されているので、海面S上にある第1の回転体2Aと第2の回転体2Bと無端ベルト3Aの部分とが、海水による抵抗を受けることなく回転する。
この回転は、出力軸21b(図2参照)を通じて発電機6の回転軸60に伝達され、発電機6による発電動作が行われる。
特に、この実施例では、第1の連結部5Bと第2の連結部5Cとの連結作業を、海中でなく、海面よりも上の位置で行うことができるので、流体発電システムの設置作業をより簡単且つ容易に行うことができ、この結果、設置作業のコストや時間を大きく低減することができる。
流体発電システムを干満の差が大きな洋上に設置する場合には、図11に示すように、干潮時の海面S1が無端ベルト3Aの下側部分の位置に来るように、そして、満潮時の海面S2が第1の回転体2A及び第2の回転体2Bよりも下方に位置するように、支持体10の支柱11A,11B~18A,18Bの高さを通常よりも高く設定しておく。
かかる設定により、干満時における不具合を防止することができる。
ここで、固定装置の第1変形例について説明する。
図12は、固定装置の第1変形例を示す斜視図であり、図12の(a)は、第1の連結部と第2の連結部との連結前の状態を示し、図12の(b)は、連結後の状態を示す。
図12の(a)に示すように、この変形例では、固定装置5において、複数のボルト孔52が、固定体5Aの上部に設けられた第1の連結部5Bに穿設されている。そして、第1の連結部5Bのボルト孔52に対応した数のボルト51が、支柱11A(11B,12A,12B)に取り付けられた第2の連結部5Cに対応した位置に下向きに突設されている。
次に、固定装置の第2変形例について説明する。
図13は、固定装置の第2変形例を示す斜視図であり、図13の(a)は、第1の連結部と第2の連結部との連結前の状態を示し、図13の(b)は、連結後の状態を示す。
図13の(a)に示すように、この変形例では、固定装置5が、固定体5Aと、固定体5Aの上部に設けられた第1の連結部5Bと、支柱11A(11B,12A,12B)に取り付けられた第2の連結部5Cと、別体のボルト51’とナット53とを備えている。
具体的には、複数のボルト孔52が、第1の連結部5Bと第2の連結部5Cとにそれぞれ穿設されている。これら第1の連結部5Bのボルト孔52と第2の連結部5Cのボルト孔52は、それぞれ対応する位置に穿設されており、それぞれのボルト孔52同士を一致させるように、第1の連結部5Bと第2の連結部5Cとを当接することができる。
さらに、固定装置の第3及び第4変形例について説明する。
図14は、固定装置の第3及び第4変形例を示す斜視図であり、図14の(a)は、第3変形例を示し、図14の(b)は、第4変形例を示す。
第3変形例は、図14の(a)に示すように、固定装置5において、固定体5Aの上面に突設された複数のボルト51を、第1の連結部5Bとしている。そして、第1の連結部5Bのボルト51に対応した数のボルト孔52が、支柱11A(11B,12A,12B)に取り付けられた第2の連結部5Cに穿設されている。
第4変形例は、図14の(b)に示すように、固定装置5において、支柱11A(11B,12A,12B)の下面に突設されたに複数のボルト51を、第2の連結部5Cとしている。そして、固定体5Aの上部に取り付けられた第1の連結部5Bには、第2の連結部5Cであるボルト51に対応した数のボルト孔52が、穿設されている。
次に、この発明の第2実施例について説明する。
図15は、この発明の第2実施例に係る流体発電システムの設置構造を示す概略図である。
図15に示すように、この実施例の設置構造では、流体発電システムにおいて、最も下側に位置させる補助回転体を特定した点が、上記第1実施例と異なる。
具体的には、補助回転体2C,2E,2Gを、無端ベルト3Aの上側部分に接触させると共に、補助回転体2D,2Fを、無端ベルト3Aの下側部分に接触させた。そして、最下流に位置する補助回転体2Hを、他の補助回転体2C~2Gよりも下側位置に固定して、流体発電システム全体を洋上に設置した。
図16は、この実施例の作用及び効果を説明するための概略図である。
なお、理解を容易にするため、図16において、支持体10の支柱11A,~18A(11B~18B)と補強材10A(10B)の記載、そして、固定装置5の固定体5Aと第1の連結部5Bと第2の連結部5Cの記載は省略した。
図16に示すように、任意の補助回転体2Fを最下位に位置させた状態で、流体発電システムを設置した場合には、補助回転体2Fよりも上流側に位置する第1の抵抗部材30群(図中、領域L1内にある複数の第1の抵抗部材30)が受ける流体圧は、非常に強い。これに対して、補助回転体2Fよりも下流側に位置する第1の抵抗部材30群(図中、領域L2内にある複数の第1の抵抗部材30)が受ける流体圧は、弱い。
したがって、この設置構造では、全ての第1の抵抗部材30が強い流体圧を効率的に受けているとは、言えない。
つまり、この実施例の設置構造によれば、可能な限り多くの第1の抵抗部材30によって水流の力を得ることができ、この結果、水流による流体圧を効率的に確保することができ、極めて大きな電力を起こすことができる。
その他の構成,作用及び効果は上記第1実施例と同様であるので、それらの記載は省略する。
次に、この発明の第3実施例について説明する。
図17は、この発明の第3実施例に係る流体発電システムの設置構造を示す概略図である。
なお、図17において、固定装置5の第1の連結部5Bと第2の連結部5Cの記載は省略した。
図17に示すように、この実施例の設置構造では、複数の補助回転体2C~2Iのうち略中央に位置する補助回転体2Fを、他の補助回転体2C~2E,2G~2Iよりも下方に位置させた点が、上記第1及び第2実施例と異なる。
そして、中央の補助回転体2Fを、最下位に位置させて、支柱16A(16B)に固定した。
また、補助回転体2C,2E,2G,2Iは、無端ベルト3Aの上側部分に接触させた状態で、支柱13A(13B),15A(15B),17A(17B)19A(19B)に固定し、補助回転体2D,2Hは、無端ベルト3Aの下側部分に接触させた状態で、支柱14A(14B),18A(18B)に固定した。
なお、この実施例では、理解を容易にするため、奇数個の補助回転体2C~2Iを、複数の補助回転体として適用した例を示すが、補助回転体の数は、奇数に限定されない。偶数の補助回転体を適用して、そのほぼ中央の補助回転体を最下位に位置決めした構造のものも、この実施例の設置構造として適用することができる。
図18に示すように、この実施例に適用される第1の抵抗部材30は、可撓性素材で形成された受圧面部31Aと、受圧面部31Aを支持する支持部材32とで構成されている。
受圧面部31Aは、可撓性素材で形成されていればよく、布製、合成繊維製、合成樹脂性等、その種類は任意である。この実施例では、受圧面部31Aとして、布製のものを適用した。
流体圧が、1点鎖線で示す矢印方向から実線で示す受圧面部31Aに加わると、受圧面部31Aは、流体圧により1点鎖線で示すように撓んで、ヨットの帆のように、流体圧を受ける。また、流体圧の方向が、2点鎖線で示す方向に変化すると、1点鎖線状態の受圧面部31Aが、2点鎖線で示すように、流体圧方向に撓み、ヨットの帆のように、流体圧を受ける。
図19に示すように、この実施例の設置構造では、回転方向変換器6Aが、流体駆動装置1Aと発電装置1Bとの間に設けられている。
具体的には、回転方向変換器6Aは、流体駆動装置1Aの出力軸21bと発電機6の回転軸60との間に設けられている。この回転方向変換器6Aは、流体駆動装置1Aの出力軸21bの回転方向と発電機6の回転軸60の回転方向とを同一方向又は逆方向に手動で変換することができる。このような回転方向変換器6Aとして、全ての周知の変換器を適用することができるので、ここでは、記載を省略する。
図20は、流体発電システムの設置構造が示す動作を説明するための概略図であり、図20の(a)は、流水方向が図の右方向の場合の動作を示し、図20の(b)は、流水方向が図の左方向の場合の動作を示す。
なお、図20において、支持体10の補強材10A(10B)の記載、そして、固定装置5の第1の連結部5Bと第2の連結部5Cの記載は省略した。
この場合には、補助回転体2Fよりも右側(下流)に位置する第1の抵抗部材30群は、流体圧をほとんど受けない。したがって、この設置構造に適用された流体発電システムが得る回転エネルギは、補助回転体2Fよりも左側(上流)に位置する第1の抵抗部材30群に因る。
しかし、流水方向が図の左方向に変化した場合には、補助回転体2Fよりも右側に位置する第1の抵抗部材30群が、流体圧を受けることとなる。
この場合には、第1の抵抗部材30の受圧面部31が流体圧を受ける向きと逆向きになるため、流水方向が変化した場合に得る回転エネルギは、非常に小さい。
そして、図20の(b)に示すように、流水方向が左方向に変化した場合には、第1の抵抗部材30の受圧面部31Aの向きが、左方に撓み、補助回転体2Fよりも右側に位置する第1の抵抗部材30群(図中、領域L2内にある複数の第1の抵抗部材30)が、流体圧を確実に受ける。
この場合には、補助回転体2Fよりも左側に位置する第1の抵抗部材30群は、流体圧をほとんど受けないので、この設置構造の流体発電システムが得る回転エネルギは、補助回転体2Fよりも右側に位置する第1の抵抗部材30群に因る。
したがって、補助回転体2Fよりも左側に位置する第1の抵抗部材30に因って得られる回転エネルギと補助回転体2Fよりも右側に位置する第1の抵抗部材30に因って得られる回転エネルギは、ほぼ同じである。
つまり、この実施例の設置構造によれば、流水方向が変化しても、常にほぼ同じ大きさの回転エネルギを得ることができる。
しかも、図19に示す回転方向変換器6Aを用いることで、第1の抵抗部材30が得た回転エネルギを発電機6によって常に電気に変換することができる。
その他の構成、作用及び効果は、上記第1及び第2実施例と同様であるので、それらの記載は省略する。
次に、この発明の第4実施例について説明する。
図21は、この発明の第4実施例に係る流体発電システムの要部を示す斜視図であり、図21の(a)は、第1の回転体2A及び第2の回転体2Bを示し、図21の(b)は、補助回転体2C~2Hを示し、図21(c)は、無端ベルト3Aを示す。また、図22は、線状溝と線状突起とを示す断面図である。
これらの図に示すように、この実施例の流体発電システムでは、1対の線状溝2aを第1及び第2の回転体2A,2Bに設け、1対の線状溝2bを補助回転体2C~2Hに設けると共に、1対の線状突起3aを無端ベルト3Aに設けた点が、上記第1ないし第3実施例と異なる。
一方、図21の(a)に示すように、1対の線状溝2aは、第1の回転体2A(第2の回転体2B)の外周面であって且つ1対の線状突起3aの突設位置に対応した位置に凹設されている。また、1対の線状溝2bも、図21の(b)に示すように、各補助回転体2C(2D~2H)の外周面であって且つ1対の線状突起3aの突設位置に対応した位置に凹設されている。
図22に示すように、これらの線状溝2a,2bは、線状突起3aと同形状の断面コ字状に形成されている。
つまり、無端ベルト3Aを第1の回転体2A,第2の回転体2B,補助回転体2C~2Hとに巻き付けると、無端ベルト3Aの1対の線状突起3aが、第1の回転体2A及び第2の回転体2Bの1対の線状溝2aと補助回転体2C~2Hの線状溝2bとに嵌合するように設定されている。
線状溝2a,2bや無端ベルト3Aをこのような部材で形成する場合には、部材として、部材同士が接触すると吸盤の働きをする合成ゴムや樹脂等を用いることが好ましい。
その他の構成作用及び効果は、上記第1ないし第3実施例と同様であるので、その記載は省略する。
図23は、線状溝と線状突起の変形例を示す断面図であり、図23の(a)は、U字状の断面を示し、図23の(b)は、V字状の断面を示す。
線状溝2a,2bと線状突起3aの断面形状は、任意である。したがって、上記実施例では、断面コ字状の線状溝2a,2bと線状突起3aとを例示したが、これに限定されない。
例えば、図23の(a)及び(b)に示すように、断面U字状のものや断面V字状のものも線状溝2a,2b及び線状突起3aとして適用することができる。
次に、この発明の第5実施例について説明する。
図24は、この発明の第5実施例に係る流体発電システムの要部を示す斜視図であり、図24の(a)は、第1の回転体2A及び第2の回転体2Bを示し、図24の(b)は、補助回転体2C~2Hを示し、図24(c)は、無端ベルト3Aを示す。
これらの図に示すように、この実施例の流体発電システムでは、上記実施例に適用された線状溝2aの代わりに、列状の複数の穴2cを、第1の回転体2A(第2の回転体2B)の外周面に設けた。また、線状突起3aの代わりに、列状の複数の突起物3bを、無端ベルト3Aの内周面に設けた。そして、補助回転体2C(2D~2H)においては、上記実施例と同様に、1対の線状溝2bを、補助回転体2C(2D~2H)の外周面に設けている。
第1の回転体2A(第2の回転体2B)の穴2cの断面形状と無端ベルト3Aの突起物3bの断面形状は同形状に設定されており、突起物3bを穴2cに嵌合させると共に、補助回転体2C(2D~2H)の線状溝2bに嵌合させることで、無端ベルト3Aが第1の回転体2A等から外れるたりする事態を防止することができる。
その他の構成作用及び効果は、上記第1ないし第4実施例と同様であるので、その記載は省略する。
次に、この発明の第6実施例について説明する。
図25は、この発明の第6実施例に係る流体発電システムの設置構造の要部を示す概略図である。
この実施例の設置構造に適用される流体発電システムでは、第1の抵抗部材30の取付構造が上記第3実施例の第1の抵抗部材30の取付構造と異なる。
これにより、補助回転体2Fよりも左側に位置し且つ左向きの受圧面部31を有した第1の抵抗部材30が、実線矢印で示す方向の流体圧を受け、補助回転体2Fよりも右側に位置し且つ右向きの受圧面部31を有した第1の抵抗部材30が、2点鎖線矢印で示す方向の流体圧を受けることができる。
その他の構成、作用及び効果は、上記第3実施例と同様であるので、それらの記載は省略する。
次に、この発明の第7実施例について説明する。
図26は、この発明の第7実施例に係る設置構造に適用される第1の抵抗部材を示す斜視図であり、図27は、第7実施例に係る流体発電システムを示す概略図である。
この実施例の設置構造に適用される流体発電システムでは、流体駆動装置1Aにおける第1の抵抗部材の構造が、上記6実施例と異なる。
そして、補助回転体2Fよりも右側に位置する第1の抵抗部材30’において、2点鎖線矢印で示す流体圧を、右側の抵抗部材30Aで受けるできる。
これにより、流れが変化するような場所で使用する場合においても、流体発電システム全体の向きを流水方向の変化に合わせて変えることなく、動作を継続させることができる。
その他の構成、作用及び効果は、上記第6実施例と同様であるので、それらの記載は省略する。
次に、この発明の第8実施例について説明する。
図28は、この発明の第8実施例に係る設置構造を示す概略図である。
海域の状況等によっては、固定装置5の第1の連結部5Bと第2の連結部5Cとを海中で連結する構造を採用しなければならない場合がある。
すなわち、図28に示すように、第1の連結部5Bと第2の連結部5Cとの連結部位Cを海面Sの下方に位置させる必要がある場合には、4本の固定体5Aを、第1の連結部5Bが水中に位置するように、海底Bに固設しておく。このとき、支持体10の支柱11A(11B,12A,12B)の長さを、長めに設定して、第2の連結部5Cを海中の第1の連結部5Bに連結することができるようにしておく。
そして、設置場所において、支持体10をクレーン等で持ち上げ、支持体10を海中に沈めながら、4つの第2の連結部5Cと海中の4つの第1の連結部5Bとの位置合わせを行う。以後は、第1の連結部5Bと第2の連結部5Cとの連結作業を海中にて行うことで、流体発電システムの設置作業を完了する。
具体的には、1対の直方体状のタンク55が平行に並べられ、これら1対のタンク55の前端部と後端端部とが、1対の板体56でそれぞれ連結されている。
そして、図30に示すように、その設置場所にて、海水Wを、図示しない注水口を通じて浮体具5Dの空洞内に注入する。海水Wが空洞内に注入されるに従い、流体駆動装置1Aと発電装置1Bが組み付けられた支持体10が海中に少しずつ沈んでいく。位置調整をしながら、この支持体10を固定体5Aの真上迄下降させた後、浮体具5Dへの海水Wの注入を止める。そして、図31に示すように、4つの第2の連結部5Cと海中の4つの第1の連結部5Bとの位置合わせを行った後、第1の連結部5Bと第2の連結部5Cとを連結する。
つまり、この方法によれば、流体駆動装置1Aと発電装置1Bが組み付けられた支持体10を、浮体具5Dを利用して、設置場所まで曳航することができる。そして、海水Wを浮体具5Dの空洞内に徐々に注入していくことで、支持体10の横揺れを防止しながら、固定体5Aの真上迄少しずつ下降させることができる。このとき、クレーン等の重機による吊り下げと異なり、支持体10の横揺れが、ほとんど生じないので、4つの第2の連結部5Cと海中の4つの第1の連結部5Bとの位置合わせを、容易に行うことができる。この結果、第1の連結部5Bと第2の連結部5Cとの連結作業を、正確に行うことができる。
その他の構成、作用及び効果は、上記第1ないし第7実施例と同様であるので、その記載は省略する。
図32は、この発明の第9実施例に係る流体発電システムを示す分解斜視図であり、図33は、この実施例の流体発電システムを設置した状態を示す斜視図である。
この実施例では、第1実施例の流体発電システムを用水路に適用した例を示す。
農業用の水W’が、これら1対の側壁5A’の間に流れており、流体駆動装置1Aと発電装置1Bとが組み付けられた支持体10が、この水W’上に設置されている。
具体的には、4つの第1の連結部5Bが、支持体10の第2の連結部5Cに対応するように、1対の側壁5A’の上面に固定されている。
一方、支持体10においては、第2の連結部5Cが取り付けられた支柱11A,11B(12A,12B)間の幅が、用水路を跨ぐ第1の連結部5B,5B間の幅と同じに設定され、これら支柱11A,11B(12A,12B)を除く支持体10の幅が、側壁5A’,5A’間の幅以下に設定されている。
その他の構成、作用及び効果は、上記第1実施例と同様であるので、それらの記載は省略する。
次に、この発明の第10実施例について説明する。
この実施例では、流体発電システムの発電量を調整する方法を例示する。
なお、理解を容易にするため、以下の図34~図40において、支持体10の支柱11A,12A(11B,12B)と補強材10A(10B)と固定装置5の記載は省略した。
図34は、この実施例に適用される流体発電システムの概略図である。
図34に示すように、この実施例の流体発電システムにおいては、支柱13A’(13B’)~18A’(18B’)が、上記第1実施例の流体発電システムの支柱13A(13B)~18A(18B)よりも長く設定されている。
具体的には、無端ベルト3Aの下側部分を水平にした位置(2点鎖線の位置)から最下位の補助回転体2F迄の距離を、D1とし、無端ベルト3Aの水平な上側部分から各支柱13A’(13B’)(14A’(14B’)~18A’(18B’))の上端(1点鎖線の位置)迄の距離を、D2とした場合、距離D2は距離D1以上になるように設定される。
図34に示す状態では、無端ベルト3Aの下側部分にあるほとんどの第1の抵抗部材30が、海面S下に完没しているので、流体発電システムが作り出す発電量は、極めて大きい。
この状態から、補助回転体2C~2H全体を、支柱13A’(13B’)~18A’(18B’)に沿って上昇させていくと、海中にある第1の抵抗部材30のうち、第1及び第2の回転体2A,2Bに近い第1の抵抗部材30から海面S上に引き上げられていく。そして、第1の抵抗部材30が海面S上に引き上げられるに従って、流体圧を受ける第1の抵抗部材30の数が、減少していく。このため、流体発電システムが作り出す発電量は、補助回転体2C~2H全体の上昇に伴って、ゆっくり減少していく。
そして、図35に示すように、最下位の補助回転体2Fが海面S上にくる迄,補助回転体2C~2Hを上昇させることで、海中に完没する第1の抵抗部材30の数が、1つになり、流体発電システムによる発電量が、ほぼ最小量に減少する。
流体発電システムの発電量を、図35に示した状態迄減少させた後、発電量を増加させる場合には、図35に示した状態から、補助回転体2C~2H全体を、下降させていく。すると、海上にある第1の抵抗部材30が海中に順次完没していく。そして、第1の抵抗部材30が海中に完没していくに従って、流体圧を受ける第1の抵抗部材30の数が、増加していく。このため、流体発電システムが作り出す発電量は、補助回転体2C~2H全体の下降に伴って、増加していく。
したがって、図36に示すように、補助回転体2C~2Hを下降させて、海中に完没する第1の抵抗部材30の数を、増加させることにより、流体発電システムによる発電量を、所望量に迄増加させることができる。
この流体発電システムの発電動作を停止させる場合には、例えば、図37に示すように、全ての補助回転体2C~2Hを、図34に示した1点鎖線の位置よりも上方に上昇させる。
これにより、無端ベルト3Aの下側部分は水平にすることができ、全ての第1の抵抗部材30が、海面Sから離脱して、最終的に流体発電システムの発電動作が、停止する。
ところで、第1の回転体2Aと第2の回転体2Bとの間の距離が、短い場合は、補助回転体2C~2Hの一部の補助回転体(例えば、補助回転体2C,2E,2G)を、上昇させると、無端ベルト3Aの下側部分は、水平になる可能性が高い。しかし、第1の回転体2Aと第2の回転体2Bとの間の距離が、長い場合は、図38に示すように、無端ベルト3Aの下側部分が下方に弛んで、水平にならない可能性が高い。このため、一部の第1の抵抗部材30が、海中に完没し、発電動作が、停止しないおそれがある。
このような場合には、図38に示す磁石36と図39に示す磁性体3eとでなる弛み防止機構を備えるのが好ましい。
なお、上記磁石36は、電磁石でも永久磁石でもよいが、この実施例では、磁石36として電磁石を適用した。
補助回転体2C~2Hのうちの一部の補助回転体を上昇させたときに、図38に示したように、無端ベルト3Aの下側部分が下方に弛んでいる場合には、弛み防止機構を駆動させる。すなわち、図示しない電源を磁石36に通電する。これにより、無端ベルト3Aが、持ち上げられて、磁性体3eが、磁石36に吸着される。この結果、図40に示すように、無端ベルト3Aの下側部分が、水平に保持され、流体発電システムの発電動作が、停止する。
しかし、弛み防止機構を設けることにより、流体発電システムの発電動作を確実に停止させることができる。
例えば、上記実施例では、固定装置5の第2の連結部5Cを支持体10の支柱11A,11B,12A,12Bのそれぞれの下部に設けることにより、この第2の連結部5Cを海中に立設されている固定体5A上部の第1の連結部5Bに連結する構造の固定装置5を例示したが、固定装置の構造はこれに限定されるものではない。第2の連結部5Cを、支持体10の支柱11A(11B,12A,12B)の下部ではなく、支持体10の底部や側部等、任意の箇所に設けて、固定体5A上部の第1の連結部5Bに連結する構造にすることもできることは勿論である。
Claims (5)
- 流体圧に対応した回転力を出力可能な出力軸を有する流体駆動装置と、当該流体駆動装置の出力軸の回転力を受けて発電動作を行う発電装置と、所定の支持体に組み付けられたこれら流体駆動装置と発電装置とを流体上に固定するための固定装置とを備え、
上記流体駆動装置は、
第1の回転体と、
上記第1の回転体と所定間隔を保ち且つその回転中心軸が上記第1の回転体の回転中心軸と平行な第2の回転体と、
上記第1の回転体と第2の回転体とに巻き付けられた無端ベルトと、
各抵抗部材が流体圧を受けるための凹状の受圧面部を有し且つ上記無端ベルトの表面に所定の間隔で立設された複数の第1の抵抗部材と、
その回転中心軸が上記第1及び第2の回転体の回転中心軸と平行な状態で、上記第1の回転体と第2の回転体と無端ベルトとの間に配設され、且つ、上記支持体により上下動自在に支持された複数の補助回転体と
を備え、
上記発電装置は、
上記流体駆動装置の出力軸の回転力を回転軸で受けて発電動作を行う発電機を備え、
上記固定装置は、
流体の底等の地盤上に固設するための固定体と、
上記固定体の上部に設けられた第1の連結部と、
上記支持体に設けられ且つ上記第1の連結部と連結可能な第2の連結部と
を備え、
上記複数の補助回転体の中の1つ以上の補助回転体が、他の補助回転体よりも下方に位置決めされることにより、上記無端ベルトのうち第1の回転体及び第2の回転体よりも下側の無端ベルト部分が、流体の深さ方向に略くの字状に湾曲されて、当該下側の無端ベルト部分の長さが、上側の無端ベルト部分の長さよりも長く設定されている
流体発電システムの設置構造であって、
上記支持体を、上記第1の回転体及び第2の回転体が流体面の上方に位置し且つ上記湾曲した下側の無端ベルト部分に位置する複数の第1の抵抗部材が当該流体内に完没するように、流体上に配置し、
上記固定装置の固定体を、柱状体に設定して、その下端部を水深が深い洋上等における流体の底等の地盤上に固定することにより、流体中に立設し、
当該固定体の上端部に設けられている第1の連結部を、上記支持体に設けられている上記第2の連結部に連結することで、当該支持体を、上記配置位置に固定し、
上記第1の連結部と第2の連結部との連結部位が、流体面の上方である、
ことを特徴とする流体発電システムの設置構造。 - 流体圧に対応した回転力を出力可能な出力軸を有する流体駆動装置と、当該流体駆動装置の出力軸の回転力を受けて発電動作を行う発電装置と、所定の支持体に組み付けられたこれら流体駆動装置と発電装置とを流体上に固定するための固定装置とを備え、
上記流体駆動装置は、
第1の回転体と、
上記第1の回転体と所定間隔を保ち且つその回転中心軸が上記第1の回転体の回転中心軸と平行な第2の回転体と、
上記第1の回転体と第2の回転体とに巻き付けられた無端ベルトと、
各抵抗部材が流体圧を受けるための凹状の受圧面部を有し且つ上記無端ベルトの表面に所定の間隔で立設された複数の第1の抵抗部材と、
その回転中心軸が上記第1及び第2の回転体の回転中心軸と平行な状態で、上記第1の回転体と第2の回転体と無端ベルトとの間に配設され、且つ、上記支持体により上下動自在に支持された複数の補助回転体と
を備え、
上記発電装置は、
上記流体駆動装置の出力軸の回転力を回転軸で受けて発電動作を行う発電機を備え、
上記固定装置は、
地盤上に固設するための固定体と、
上記固定体の上部に設けられた第1の連結部と、
上記支持体に設けられ且つ上記第1の連結部と連結可能な第2の連結部と
を備え、
上記複数の補助回転体の中の1つ以上の補助回転体が、他の補助回転体よりも下方に位置決めされることにより、上記無端ベルトのうち第1の回転体及び第2の回転体よりも下側の無端ベルト部分が、流体の深さ方向に略くの字状に湾曲されて、当該下側の無端ベルト部分の長さが、上側の無端ベルト部分の長さよりも長く設定されている
流体発電システムの設置構造であって、
上記支持体を、上記第1の回転体及び第2の回転体が用水路の上方に位置し且つ上記湾曲した下側の無端ベルト部分に位置する複数の第1の抵抗部材が当該用水路内に完没するように、流体上に配置し、
上記用水路の側壁を固定装置の固定体として適用し、
上記支持体に設けられている第2の連結部を、当該用水路の上記側壁の上部に設けた上記第1の連結部に連結することで、当該支持体を、上記配置位置に固定した、
ことを特徴とする流体発電システムの設置構造。 - 請求項1又は請求項2に記載の流体発電システムの設置構造において、
上記複数の補助回転体のうち最下流に位置する補助回転体を、他の補助回転体よりも下方に位置させた、
ことを特徴とする流体発電システムの設置構造。 - 請求項1又は請求項2に記載の流体発電システムの設置構造において、
上記複数の補助回転体のうち略中央に位置する補助回転体を、他の補助回転体よりも下方に位置させた、
ことを特徴とする流体発電システムの設置構造。 - 請求項1又は請求項2に記載の流体発電システムの設置構造において、
上記第1及び第2の連結部の一方がボルトを有すると共に、他方がボルト孔を有し、
上記ボルト孔を上記ボルトに嵌めて、当該ボルトをナット締めすることにより、第1の連結部と第2の連結部とが連結される、
ことを特徴とする流体発電システムの設置構造。
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