JP7238540B2 - 広帯域パルス光源装置、分光測定装置及び分光測定方法 - Google Patents
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Description
この出願の発明は、この知見に基づくものであり、高出力とした場合にも時間と波長との一意性が崩れることのない広帯域パルス光源装置を提供することを目的としている。
また、上記課題を解決するため、各伸長ファイバの出射端は、伸長されて出射する広帯域パルス光が同一の照射領域に重なって照射されるよう配置され得る。
また、上記課題を解決するため、各伸長ファイバの出射側には、伸長されて出射する広帯域パルス光を重ね合わせて同一の光路に沿って進ませる合波素子が配置され得る。
また、上記課題を解決するため、二つの伸長ファイバは、伸長された広帯域パルス光が時間的に分離されて出射する波長分散特性及び長さを有し得る。
また、上記課題を解決するため、二つの伸長ファイバは、伸長された広帯域パルス光が20ピコ秒以上の隔たりを持って出射する波長分散特性及び長さを有し得る。
また、上記課題を解決するため、二つの伸長ファイバは、伸長された広帯域パルス光の全体の波長帯域において、時間対波長の最も大きな傾きをaとし、時間対波長の最も小さな傾きをbとしたとき、a/bは2以下となる波長分散特性及び長さを有し得る。
また、上記課題を解決するため、広帯域パルス光源装置は、二つの伸長ファイバのうちの一つはシングルモードファイバであり、他の伸長ファイバは分散シフトファイバであるという構成を持ち得る。
また、上記課題を解決するため、広帯域パルス光源は、スーパーコンティニウム光源であり得る。
また、上記課題を解決するため、伸長されて出射する広帯域パルス光が時間的に重ならない時間範囲は、波長に対応させた場合に100nm以上であり得る。
また、上記課題を解決するため、この出願の発明に係る分光測定装置は、上記広帯域パルス光源装置と、この広帯域パルス光源装置から出射された広帯域パルス光が照射された対象物からの光を受光する受光器と、受光器からの出力信号をスペクトルに変換する処理を行う演算手段とを備えている。
また、上記課題を解決するため、分光測定装置は、広帯域パルス光源装置からの光路を測定用光路と参照用光路に分岐させる分岐素子が設けられており、受光器は、測定用光路を進んだ広帯域パルス光が照射された対象物からの光を受光する位置に配置されており、参照用光路上には、対象物を経ることなく広帯域パルス光を受光する参照用受光器が配置されており、演算手段は、参照用受光器からの出力信号をスペクトルに変換して基準スペクトルデータとする手段であるという構成を持ち得る。
また、上記課題を解決するため、この出願の発明に係る分光測定方法は、上記広帯域パルス光源装置から出射された広帯域パルス光を対象物に照射する照射ステップと、照射ステップにおいて広帯域パルス光が照射された対象物からの光を受光器で受光する受光ステップと、受光器からの出力信号を演算手段によりスペクトルに変換する処理を行う演算ステップとを備えている。
また、上記課題を解決するため、分光測定方法は、照射ステップが、広帯域パルス光源装置からの光を測定光と参照光に分割し、測定光を対象物に照射するステップであり、受光ステップが、測定光が照射された対象物からの光を受光器で受光するステップであり、参照光を対象物を経ることなく参照用受光器で受光する参照光受光ステップと、参照用受光器からの出力信号を演算手段によりスペクトルに変換して基準スペクトルデータとする基準スペクトルデータ取得ステップとを備えているという構成を持ち得る。
また、各伸長ファイバの出射端が、各広帯域パルス光が同一の照射領域に重なって照射されるよう配置されていると、同一の対象物に対して各広帯域パルス光を同時に照射するのが容易となる。
また、各伸長ファイバの出射側に、広帯域パルス光を重ね合わせて同一の光路に沿って進ませる合波素子が配置されていると、同一の対象物に対して各広帯域パルス光を同時に照射するのがさらに容易となる。
また、伸長された広帯域パルス光が20ピコ秒以上の隔たりを持って出射する波長分散特性及び長さを二つの伸長ファイバが有していると、時間対波長の一意性を失ってしまうのを十分な安全を見込んで防止することができる。
また、伸長された広帯域パルス光の全体の波長帯域において、時間対波長の最も大きな傾きをaとし、時間対波長の最も小さな傾きをbとしたとき、a/bは2以下となる波長分散特性及び長さを二つの伸長ファイバが有していると、光源装置の評価がより高くなる。
また、二つの伸長ファイバのうちの一つはシングルモードファイバであり、他の伸長ファイバは分散シフトファイバであると、SN比も改善された優れた広帯域パルス光源装置が提供される。
また、広帯域パルス光源がスーパーコンティニウム光源であると、より広い帯域で連続したスペクトルのパルス光が出射されるので、種々の用途に利用可能な光源装置が提供される。
また、伸長されて出射する広帯域パルス光が時間的に重ならない時間範囲が、波長に対応させた場合に100nm以上であると、より実用的な広帯域パルス光源装置が提供される。
また、このような広帯域パルス光源装置からの広帯域パルス光を対象物に照射してその対象物からの光を受光器で受光する分光測定装置又は分光測定方法によれば、高速で精度の高い分光測定が行える。この際、時間対波長の一意性を失うことなく高照度の広帯域パルス光を対象物に照射することができるので、吸収の多い対象物について分光測定する場合、特に優位性が発揮される。
また、広帯域パルス光源装置からの光を測定光と参照光に分割し、測定光を対象物に照射しつつ参照光を参照用受光器で受光し、参照用受光器からの出力信号を演算手段によりスペクトルに変換して基準スペクトルデータとするようにすると、基準スペクトルデータを別途取得することが不要なので、測定作業全体の能率が高くなる。
まず、広帯域パルス光源装置の発明の実施形態について説明する。図1は、実施形態の広帯域パルス光源装置の概略図である。図1に示す広帯域パルス光源装置は、広帯域パルス光源1と、伸長ファイバモジュール2とを備えている。伸長ファイバモジュール2は、1パルス内の経過時間と光の波長との関係が1対1になるよう広帯域パルス光源1からの光をパルス伸長させるモジュールである。
少なくとも10nm、50nm又は100nmの波長幅に亘って連続したスペクトルの光とは、典型的にはSC光である。したがって、この実施形態では、広帯域パルス光源1は、SC光源となっている。但し、SLD(Superluminescent Diode)光源のような他の広帯域パルス光源が使用される場合もある。
図3に結果を示す実験では、中心波長1064nm、パルス幅2ナノ秒のマイクロチップレーザ光を非線形素子としてのフォトニッククリスタルファイバに入れてSC光とし、長さ5kmのシングルモードファイバを伸長ファイバとして使用してパルス伸長させた。シングルモードファイバは、1100nm~1200nmの範囲で正常分散のファイバである。この際、シングルモードファイバへの入射SC光のエネルギーを、0.009μJ、0.038μJ、0.19μJ、0.79μJと変化させた。
二つのファイバで分けてパルス伸長すると、一つのファイバ中を伝搬する光のエネルギーを小さくできるので、上述したような意図しない非線形光学効果を抑制することができる。このため、高出力を達成しつつも、時間対波長の一意性が高く保持された広帯域パルス光源装置が実現できる。実施形態の装置は、このような考えに基づいている。
二つの伸長ファイバ22,23は、分散特性が異なるものとなっている。即ち、実施形態の装置は、広帯域パルス光源1からの光を波長に応じて分散特性の異なる二つのファイバ22,23でパルス伸長する構成を採用している。
実施形態の広帯域パルス光源装置は、このような通信用のファイバを流用するものの、使用波長帯域は光通信とは異なり、900~1300nm程度となっている。即ち、光通信よりも短波長域において広帯域パルス光を出射させる光源となっている。
このような分散特性の異なる二つのファイバを用いて波長に応じて分けてパルス伸長をすると、意図しない非線形光学効果を抑制する作用に加え、波長分解能の違いを小さく抑える作用も発揮される。この点を示したのが、図5及び図6である。
5(2)は、波長ごとの波長分解能の違い(波長分解能の波長特性)を示す。すなわち、伸長特性とは、パルス内における時間対波長の関係や、波長ごとの波長分解能の波長特性など、伸長ファイバでパルス伸長されたパルス光の特性をいう。
図4に示すように、シングルモードファイバの場合、1100nmあたりから長波長側になってくると、ゼロ分散に近づいてくるので、分散値(絶対値)がかなり少なくなってくる。分散値が小さいということは、時間の変化に対して各波長の光の群遅延の違いが小さくなる(即ち、各波長の光波の重なりが多い)ことを意味し、波長分解能が低くなることを意味する。シングルモードファイバのみの場合、図5(2)に示すように、波長分解能が長波長側でかなり悪化する。
シングモードファイバと分散シフトファイバで分けてパルス伸長した場合、図6に示すように、波長分解能の違いは小さく抑えられる。この例では、1050nmを境にして光は分割され、それより短い波長の光はシングルモードファイバでパルス伸長され、長い波長の光は分散シフトファイバでパルス伸長されている。
つまり、伸長ファイバとしては、分散値は使用波長範囲において一定の大きな値であることが好ましいが、そのような理想的なファイバは現実には実現が難しいので、波長範囲に応じてファイバを使い分け、絶対値が大きく且つフラットな(波長による違いの小さい)波長分散を必要な波長範囲で達成するという技術思想となっている。
図7は、実施形態の広帯域パルス光源装置で使用された各伸長ファイバの減衰特性を概略的に示した図である。図7(1)はシングルモードファイバの減衰特性を示し、図7(2)は分散シフトファイバの減衰特性を示す。
各伸長ファイバは光の伝搬の過程でノイズを発生させるし、広帯域パルス光源1も僅かながらノイズを発生させる。図8に結果を示すシミュレーションでは、これらノイズの条件を同じにした場合、どの程度SN比に違いが出るかを確認した。
尚、特に高出力とする必要がない場合でも、伸長ファイバモジュール2は、分散特性の異なる二つの伸長ファイバ22,23を備え得る。高出力とする必要がない場合でも、波長分解能の違いを小さくしたり、SN比を改善したりする必要がある場合があるからである。
伸長後の二つのパルスが重ならないようにするには、短波長側を担当させるファイバ(本実施例ではシングルモードファイバ)を長くし、全体として群遅延を大きくすれば良い。分散特性において逆転が生じている波長幅に応じて適宜長さの差異をつけると、図9(2)に示すように、二つのパルスP1,P2は時間的に分離されるため、二つのパルスが時間的に重ならない。分割波長λsにおいて全体として十分な群遅延の差があれば、二つのパルスP1,P2は十分に分離される。
二つのパルスP1,P2の時間的な離間の幅(図9(2)にτで示す)は、安全を見込んで、40ピコ秒以上、より好ましくは80ピコ秒以上とすることが好ましい。
但し、実用的には完全に分離される必要はない。部分的に重なっていても、重なっていない波長域では時間対波長の一意性が確保でき、その波長域を利用できるからである。重ならない部分は、波長に対応させた場合に100nm以上とするとより実用的な装置となるので好ましい。また、重ならない部分は広帯域パルス光の全体の波長幅の1/2以上とすることが好ましく、2/3以上とすることがより好ましく、3/4以上とすることがさらに好ましい。
図10は、第一の実施形態の分光測定装置の概略図である。図10に示す分光測定装置は、広帯域パルス光源装置10と、広帯域パルス光源装置10から出射された広帯域パルス光を対象物Sに照射する照射光学系3と、広帯域パルス光が照射された対象物Sからの光が入射する位置に配置された受光器4と、受光器4からの出力信号をスペクトルに変換する演算手段5とを備えている。
演算手段5は、プロセッサ51や記憶部(ハードディスク、メモリ等)52を備えている。記憶部52には、受光器4からの出力信号を処理して吸収スペクトルを算出する測定プログラム53やその他の必要なプログラムがインストールされている。
そして、対象物Sを経た光を受光器4に入射させた際、受光器4からの出力はAD変換器41を経て同様に各時刻t1,t2,t3,・・・の値(測定値)としてメモリに記憶される(v1,v2,v3,・・・)。各測定値は、基準スペクトルデータと比較され(v1/V1,v2/V2,v3/V3,・・・)、その結果が吸収スペクトルとなる(必要に応じて逆数の対数を取る)。上記のような演算処理をするよう、測定プログラム53はプログラミングされている。
尚、広帯域パルス光源装置10の特性や受光器4の感度特性が経時的に変化する場合、基準スペクトルを取得する測定(対象物Sを配置しない状態での測定)を行い、基準スペクトルを更新する校正作業が定期的に行われる。
尚、対象物に対して高い照度で光照射できる点は、吸収の多い対象物の吸収スペクトルを測定する場合等に特に有利となる。
図12に示すように、第二の実施形態の分光測定装置では、広帯域パルス光源装置10からの光路を分岐させる分岐素子7が設けられている。分岐素子7としては、この実施形態では、ビームスプリッタが使用されている。
分岐素子7は、広帯域パルス光源装置10からの光路を、測定用光路と参照用光路に分岐させるものである。測定用光路には、第一の実施形態と同様、受け板6が配置され、受け板6上の対象物Sを透過した光を受光する位置に測定用受光器4が配置されている。
第二の実施形態の分光測定装置を使用した第二の実施形態の分光測定方法では、リアルタイムで基準スペクトルデータが取得されるので、定期的な基準スペクトルデータの取得は行われない。この点を除き、第一の実施形態と同様である。
尚、900nm~1300nmの波長範囲に含まれるある波長幅に亘って連続スペクトルであることは、材料分析等に特に有効な近赤外域での光測定用として好適なものにする意義がある。但し、分光測定はこの波長範囲以外も種々のものがあり、分光測定装置や分光測定方法としては、この波長範囲に限られるものではない。
10 広帯域パルス光源装置
11 超短パルスレーザ
12 非線形素子
2 伸長ファイバモジュール
21 分割素子
22 第一の伸長ファイバ(シングルモードファイバ)
23 第二の伸長ファイバ(分散シフトファイバ)
24 合波素子
3 照射光学系
4 受光器
5 演算手段
53 測定プログラム
6 受け板
7 分岐素子
8 参照用受光器
Claims (12)
- 広帯域パルス光源と、
広帯域パルス光源からの広帯域パルス光のパルス幅をパルス内の経過時間と光の波長とが1対1で対応するように伸長する伸長ファイバモジュールとを備えており、
伸長ファイバモジュールは、
広帯域パルス光源からの広帯域パルス光を波長に応じて空間的に分割する分割素子と、
単位長さあたりの波長分散特性が異なる二つの伸長ファイバと
を備えており、
各伸長ファイバの入射端は、分割素子によりが空間的に分割された各波長範囲の光が入射する位置に配置されており、
各伸長ファイバは、伸長されて出射する各広帯域パルス光が時間的に完全には重ならない波長分散特性及び長さを有していることを特徴とする広帯域パルス光源装置。 - 前記各伸長ファイバの出射端は、伸長されて出射する各広帯域パルス光が同一の照射領域に重なって照射されるよう配置されていることを特徴とする請求項1記載の広帯域パルス光源装置。
- 前記各伸長ファイバの出射側には、伸長されて出射する各広帯域パルス光を重ね合わせて同一の光路に沿って進ませる合波素子が配置されていることを特徴とする請求項1記載の広帯域パルス光源装置。
- 前記二つの伸長ファイバは、伸長された広帯域パルス光が時間的に分離されて出射する波長分散特性及び長さを有していることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の広帯域パルス光源装置。
- 前記二つの伸長ファイバは、伸長された広帯域パルス光が20ピコ秒以上の隔たりを持って出射する波長分散特性及び長さを有していることを特徴とする請求項4記載の広帯域パルス光源装置。
- 前記二つの伸長ファイバは、伸長された前記広帯域パルス光の全体の波長帯域において、時間対波長の最も大きな傾きをaとし、時間対波長の最も小さな傾きをbとしたとき、a/bは2以下となる波長分散特性及び長さを有していることを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の広帯域パルス光源装置。
- 前記二つの伸長ファイバのうちの一つはシングルモードファイバであり、他の伸長ファイバは分散シフトファイバであることを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載の広帯域パルス光源装置。
- 前記広帯域パルス光源は、スーパーコンティニウム光源であることを特徴とする請求項1乃至7いずれかに記載の広帯域パルス光源装置。
- 前記伸長されて出射する広帯域パルス光が時間的に重ならない時間範囲は、波長に対応させた場合に100nm以上であることを特徴とする請求項1乃至8いずれかに記載の広帯域パルス光源装置。
- 請求項1乃至9いずれかに記載の広帯域パルス光源装置と、
広帯域パルス光源装置から出射された広帯域パルス光が照射された対象物からの光を受光する受光器と、
受光器からの出力信号をスペクトルに変換する処理を行う演算手段とを備えていることを特徴とする分光測定装置。 - 請求項1乃至9いずれかに記載の広帯域パルス光源装置から出射された広帯域パルス光を対象物に照射する照射ステップと、
照射ステップにおいて広帯域パルス光が照射された対象物からの光を受光器で受光する受光ステップと、
受光器からの出力信号を演算手段によりスペクトルに変換する処理を行う演算ステップとを備えていることを特徴とする分光測定方法。 - 前記照射ステップは、前記広帯域パルス光源装置からの光を測定光と参照光に分割し、測定光を対象物に照射するステップであり、
前記受光ステップは、測定光が照射された対象物からの光を受光器で受光するステップであり、
参照光を前記対象物を経ることなく参照用受光器で受光する参照光受光ステップと、参照用受光器からの出力信号を演算手段によりスペクトルに変換して基準スペクトルデータとする基準スペクトルデータ取得ステップとを備えていることを特徴とする請求項11記載の分光測定方法。
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