JP7237825B2 - 血中におけるrnaの安定性の改善剤および投与方法 - Google Patents

血中におけるrnaの安定性の改善剤および投与方法 Download PDF

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Description

本発明は、血中におけるRNAの安定性の改善剤および投与方法に関する。
治療用核酸の送達は、現在難治である様々な疾患の治療を実現する可能性を有しているため注目を集めている。核酸による治療はDNAやmRNAといった核酸を疾患に運ぶことで治療用タンパクを得ることや、siRNAやアンチセンスオリゴ核酸などを疾患に運び原因遺伝子をダウンレギュレーションすることで達成される。しかしながら核酸は生体内で分解されやすい物質であるゆえ、疾患部位まで活性を保ちつつ送り届けることは一般的に困難である。特にmRNAは、非分裂細胞に対しても遺伝子発現が可能、またDNAのようにゲノムインテグレーションを誘起しないことから有用な治療用核酸として注目を集めているのだが、その生体内安定性は極めて低く、疾患部位までmRNAの活性を保ちつつ運ぶことがmRNAによる治療実現に際するボトルネックであると言えよう。
治療用核酸の送達に関して、各種技術が開発されている。例えば、mRNAを効率良く生体内に送達できるポリイオンコンプレックスとして特許文献1が開発されている。この技術においては、mRNAとカチオン性ポリマーと含むポリイオンコンプレックス型ミセルを体内に投与する。また、特許文献2では、カチオン性ポリアミノ酸セグメントと親水性ポリマー鎖セグメントとを有するブロックコポリマーと、核酸とを含む構造体が開示され、この構造体中では、該カチオン性ポリアミノ酸セグメントの正電荷と該核酸の負電荷とが相殺されて電気的に中性であり、該核酸が該親水性ポリマー鎖セグメントに覆われているものが開示されている。
WO2017/022665 WO2013/162041
本発明は、血中におけるRNAの安定性の改善剤および投与方法を提供する。
発明者らは、カチオン性ポリマーを先行投与した対象にRNAを投与すると、RNAの血中安定性が劇的に向上することを見出した。本発明者らはまた、RNAを薬剤送達用キャリアに内包させ、得られたRNA内包キャリアとカチオン性ポリマーとを混ぜて投与すると、RNAの血中安定性が向上することも見出した。発明者らはさらに、過剰量のカチオン性ポリマーがmRNAの血中安定性の向上に必要であることを見出した。本発明はこのような知見に基づく発明である。
すなわち、本発明によれば以下の発明が提供される。
(1)RNAの血中安定性を向上させることに用いるための組成物であって、カチオン性ポリマーを含む、組成物。
(2)RNAを内包した薬剤送達用のキャリアと併用される、上記(1)に記載の組成物。
(3)裸のRNAと併用される、上記(1)に記載の組成物。
(4)上記(1)~(3)のいずれかに記載の組成物であって、RNAの投与に先だって投与されることを特徴とする、組成物。
(5)カチオン性ポリマーが、非電荷親水性ポリマーブロックとのブロック共重合体の形態である、上記(1)~(4)のいずれかに記載の組成物。
(6)非電荷親水性ポリマーブロックが、ポリエチレングリコールブロックである、上記(5)に記載の組成物。
(7)カチオン性ポリマーが、アミノ基を側鎖に有するアミノ酸を単量体単位として含むペプチドである、上記(1)~(6)のいずれかに記載の組成物。
(8)薬剤送達用のキャリアに内包されたRNAとカチオン性ポリマーとを含む、医薬製剤。
(9)薬剤送達用のキャリアに内包されたRNAとカチオン性ポリマーとの組合せ。
(10)血中の裸のRNAの安定性を向上させることに用いるための、カチオン性ポリマーを含む組成物。
(11)血中の薬剤送達用のキャリアに内包されたRNAの安定性を向上させることに用いるための、カチオン性ポリマーを含む、組成物。
図1Aは、分岐PEGを有するカチオン性ポリマーが血中で不安定であるmRNAの血中安定性を向上させることを示す。 図1Bは、分岐PEGを有するカチオン性ポリマーがmRNAの投与よりも先に投与された場合でもmRNAの血中安定性を向上させることを示す。 図2Aは、分岐PEGを有するカチオン性ポリマーが薬剤送達用のキャリアに内包させたmRNAの血中安定性を向上させることを示す。 図2Bは、分岐PEGを有するカチオン性ポリマーがRNAを内包したキャリアの投与よりも先に投与された場合でも、薬剤送達用のキャリアに内包させたmRNAの血中安定性を向上させることを示す。 図3Aは、分岐PEGを有するカチオン性ポリマーが用量依存的にmRNAを安定化させることを示す。 図3Bは、添加したカチオン性ポリマーがmRNAの安定化効果と血中濃度減少速度を低下させる効果を示す。 図4は、PEG部分の形状および/またはカチオン部分の長さが異なるカチオン性ポリマーがいずれもmRNAの血中安定性を向上させることを示す。 図5は、異なる構造と化学的性質を有するカチオン性ポリマーでも、mRNAの血中安定性を向上させることを示す。
発明の具体的な説明
本明細書では、「対象」とは、ヒトを含む哺乳動物である。対象は、健常の対象であってもよいし、何らかの疾患に罹患した対象であってもよい。
対象は、哺乳動物、例えば、ヒトであり、特に、本発明の改善剤やRNA溶液の投与が有益である哺乳動物、例えば、ヒトであり得る。
本明細書では、「血中安定性」とは、血中における安定性を意味する。RNAの場合は、血中安定性が低いことが知られているが、これは、血中に大量に存在するRNA分解酵素によりRNAが迅速に分解されていることが主要な原因と考えられている。
本明細書では、「血中安定性の改善剤」または「血中における安定化剤」とは、血中安定性を改善する、または向上させることに用いられる薬剤を意味し、「血中安定性を改善することに用いるための組成物」、「血中安定性を改善することに用いるための医薬組成物」、「血中において安定化することに用いるための組成物」、または「血中において安定化することに用いるための医薬組成物」と同義であり、これら用語と相互互換的に用いられる。
本明細書では、「キャリア」とは、薬剤送達用のキャリアを意味し、薬剤を内包できる微粒子、例えば、小胞、デンドリマー、ハイドロゲルおよびナノスフェアなどが挙げられる。薬剤輸送体は、一般的には、直径10nm~400nmの大きさを有する。
本明細書では、「薬剤送達用の」とは、生体適合性であること、および、薬剤を小胞に内包できることを意味する。本明細書では、「薬剤送達用の」とは、薬剤の血中残存時間を、裸の薬剤の血中残存時間と比べて長期化する用途などを意味することがある。本明細書では、特にRNAの送達に適したキャリアに対して、「RNA送達用の」キャリアと述べることがある。
本明細書では、「小胞」とは、物質を内包できる微粒子や中空微粒子を指す用語を意図して用いられる。小胞は、好ましくは生体適合性の外殻または修飾を有する。
本明細書では、「ミセル」とは、高分子などの分子が集合して形成される小胞を意味する。ミセルは、通常は1層の分子膜により形成される。ミセルとしては、界面活性剤などの両親媒性分子により形成されるミセル、および、ポリイオンコンプレックスにより形成されるミセル(PICミセル)が挙げられる。ミセルは、生物学的利用能の改善の観点では、その外表面をポリエチレングリコール等の親水性ポリマーで修飾することが好ましい。
本明細書では、「リポソーム」とは、2層の分子膜により形成される小胞を意味する。分子膜は通常はリン脂質による二重膜である。
本明細書では、「ポリイオンコンプレックス型ポリマーソーム」(以下、「PICsome」ともいう)とは、ポリイオンコンプレックスにより形成される中空の微粒子を意味する。PICsomeは、生物学的利用能の改善の観点では、その外表面をポリエチレングリコール等の親水性ポリマーで修飾することが好ましい。
本明細書では、「PEG」とは、ポリエチレングリコールを意味する。本明細書では、「分岐PEG」とは、2本以上のPEGを有するPEGを意味する。本明細書では、「分岐PEG」と対比する際に、1本のPEG鎖のみを有するPEGを1本鎖PEGと呼ぶことがある。
本明細書では、「分子量」または「平均分子量」は、ポリマーに関する文脈においては、特に断りの無い限り、数平均分子量を意味する。
本明細書では、「重合度」または「平均重合度」は、ポリマーにおける単量体単位の数(数平均重合度)を意味し、「平均重合度」は、特に断りのない限り数平均重合度を意味する。
本明細書では、「RNA」は、リボ核酸を意味する。RNAとしては、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、リボソームRNA(rRNA)、ノンコーディングRNA(ncRNA)、siRNA、shRNA、アプタマー、アンチセンスオリゴ核酸、および二本鎖RNA、並びにRNAの誘導体が挙げられる。本明細書では、遊離状態のRNAを意味する用語として、「裸のRNA」という用語を用いる。
本明細書では、「カチオン性ポリマー」とは、カチオン性の単量体を含む単量体単位を重合させて得られ、全体としてカチオン性であるポリマーを意味する。カチオン性ポリマーには、ホモカチオン性ポリマー、およびホモカチオン性ポリマーとPEGなどの非電荷親水性ポリマーとが連結したポリマー等が挙げられる。カチオン性ポリマーが他のポリマーとブロック共重合体を形成しているとき、カチオン性ポリマー部分は、カチオン性ブロックと呼ばれることがある。本明細書では、カチオン性ポリマーは、薬学的に許容されるカチオン性ポリマーである。
本明細書では、「親水性ポリマー」とは、分子全体として親水性であるポリマーを意味する。本明細書では、「非電荷親水性ポリマー」とは、ポリマーが局所的にも全体的にも中性の電荷を有し、かつ、水性媒体に対して溶解性を示すポリマーを意味する。非電荷親水性ポリマーは、局所的にも全体的にも電荷が中和されている限り、極性原子を有していてもよい。本発明では、非電荷親水性ポリマーは、薬学的に許容される非電荷親水性ポリマーである。
本明細書では、「PEGを有する」または「分岐PEGを有する」という用語は、特に断りのない限り、ポリマーの一端においてPEGを有する、または分岐PEGを有し、他端には有しないことを意味する。
本明細書では、「併用」または「併用する」とは、ある薬剤を他の薬剤と組み合わせて対象に投与することを意味する。「併用」は、ある薬剤と他の薬剤とが同時に投与されること、および別々に(連続的にまたは逐次的に)投与されることの両方を含む意味で用いられる。
血中にはRNA分解酵素が含まれており、RNAは血中では極めて迅速に分解されることが知られている。従って、従来の手法では、RNAをキャリアに内包させて物理的バリアをRNAに与え、予めRNAを保護した上で投与することで、RNA分解酵素がRNAにアクセスすることを防ぐ戦略が採用されていた。しかし、本発明者らは、カチオン性ポリマーを先行投与した対象にRNAを投与すると、RNAの血中安定性が劇的に向上することを見出した。
また、本発明者らは、RNAを薬剤送達用キャリアに内包させ、得られたRNA内包キャリアとカチオン性ポリマーとを混ぜて投与すると、RNAの血中安定性が向上することも見出している。この場合にも、カチオン性ポリマーを先行投与し、その後、RNA内包キャリアを投与しても、RNAの血中安定性は向上した。このことから、カチオン性ポリマーは、薬剤送達用キャリアに内包させたRNAの血中安定性を向上させる効果を有することが明らかとなった。
本発明では、カチオン性ポリマーを含む、RNAの血中安定性の改善剤が提供される。
RNAの血中安定性の改善作用には、カチオン性ポリマーが嵩の大きな非電荷親水性ポリマーとのブロック共重合体の形態であることが好ましいことが明らかとなった。従って、本発明では、RNAの血中安定性の改善剤に含まれるカチオン性ポリマーは、非電荷親水性ポリマーの共重合体、特にPEGとの共重合体、好ましくは分岐PEGとの共重合体であり得る。ここで、非電荷親水性ポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、ポリアルキレングリコール、ポリ(2-オキサゾリン)、ポリサッカライド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリ(2-メタクロイルオキシエチルホスホリルコリン)挙げられる。非電荷親水性ポリマーとしては、ポリアルキレングリコール、ポリ(2-オキサゾリン)が好ましく用いられ、ポリアルキレングリコールが特に好ましく用いられ得る。ポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコールが好ましく用いられ得る。
上記カチオン性ポリマーとPEGを含む共重合体においては、PEG部分の平均分子量は、例えば、10kD以上、15kD以上、20kD以上、30kD以上、または40kD以上とすることができ、好ましくは、20kD以上であり、より好ましくは30kD以上である。カチオン性ポリマーは、平均重合度15以上、20以上、30以上、または40以上であり得る。PEG部分の嵩を増す観点では、PEG部分は、平均分子量の大きな、例えば、40kD以上、50kD以上、60kD以上、または70kD以上の平均分子量を有する一本鎖PEGとすることもできるし、10kD以上、15kD以上、20kD以上、30kD以上、または40kD以上の平均分子量を有するPEG鎖を複数本有する分岐PEGとすることもできる。PEG部分の嵩を増加させる観点では、分岐PEGは好ましく用いられ得る。
ある態様では、カチオン性ポリマーとPEGを含む共重合体は、PEG部分が、好ましくは、10kD以上、15kD以上、20kD以上、30kD以上、または40kD以上の平均分子量を有するPEG鎖を複数本有する分岐PEGであり、カチオン性ポリマー部分が平均重合度15以上、20以上、30以上、または40以上であり得る。この特定の態様において、カチオン性ポリマーとPEGを含む共重合体は、PEG部分が、好ましくは、20kD以上、30kD以上、または40kD以上の平均分子量を有するPEG鎖を複数本有する分岐PEGであり、カチオン性ポリマー部分が平均重合度20以上、30以上、または40以上であり得る。PEG部分の平均分子量の上限は、例えば、150kD、140kD、130kD、120kD、110kD、100kD、90kD、80kD、70kD、60kD、50kD、または40kDとすることができる。また、カチオン性ポリマー部分の平均重合度の上限は、100、90、80、70、60、50、40、30、または20とすることができる。ある1つの好ましい態様では、カチオン性ポリマーとPEGを含む共重合体は、PEG部分が、10kD~50kDの平均分子量を有するPEG鎖を複数哺乳する分岐PEGであり、カチオン性ポリマー部分が、10~40の平均重合度を有するカチオン性ポリマーであり得る。ある1つの好ましい態様では、カチオン性ポリマーとPEGを含む共重合体は、PEG部分が、15kD~45kDの平均分子量を有するPEG鎖を複数哺乳する分岐PEGであり、カチオン性ポリマー部分が、15~30の平均重合度を有するカチオン性ポリマーであり得る。
ある態様では、カチオン性ポリマーとPEGを含む共重合体は、PEG部分が、40kD以上、50kD以上、60kD以上、または70kD以上の平均分子量を有する一本鎖PEGであり、カチオン性ポリマー部分が平均重合度15以上、20以上、30以上、40以上、50以上、60以上または70以上であり得る。この特定の態様において、カチオン性ポリマーとPEGを含む共重合体は、PEG部分が、60kD以上、または70kD以上の平均分子量を有する一本鎖PEGであり、カチオン性ポリマー部分が平均重合度50以上、60以上または70以上であり得る。PEG部分の平均分子量の上限は、例えば、150kD、140kD、130kD、120kD、110kD、100kD、90kD、80kD、70kD、60kD、50kD、または40kDとすることができる。また、カチオン性ポリマー部分の平均重合度の上限は、100、90、80、70、60、50、40、30、または20とすることができる。ある1つの好ましい態様では、カチオン性ポリマーとPEGを含む共重合体は、PEG部分が、50kD~100kDの平均分子量を有する1本鎖PEGであり、カチオン性ポリマー部分が、10~40の平均重合度を有するカチオン性ポリマーであり得る。ある1つの好ましい態様では、カチオン性ポリマーとPEGを含む共重合体は、PEG部分が、60kD~90kDの平均分子量を有する1本鎖PEGであり、カチオン性ポリマー部分が、15~30の平均重合度を有するカチオン性ポリマーであり得る。
本発明では、カチオン性ポリマー、またはカチオン性ポリマーを含むRNAの血中安定性の改善剤は、RNA投与の前に投与しても、安定化効果を示す。従って、本発明では、カチオン性ポリマー、またはカチオン性ポリマーを含むRNAの血中安定性の改善剤は、RNA投与の前に投与する、カチオン性ポリマーを含むRNAの血中安定性の改善剤が提供される。ここで、カチオン性ポリマー、または上記改善剤は、RNA投与の直前に投与することができ、30秒以上前に投与することができ、1分以上、2分以上、3分以上、4分以上、または5分以上前に投与することができる。
カチオン性ポリマー、またはカチオン性ポリマーを含むRNAの血中安定性の改善剤は、投与直前にRNAと混合して、または混合せずに同時に投与してもよいであろう。
本発明によれば、カチオン性ポリマー、またはカチオン性ポリマーを含むRNAの血中安定性の改善剤は、薬剤送達用のキャリアに内包されたRNAの血中安定性をも向上させることができた。従って、本発明によれば、薬剤送達用のキャリアに内包されたRNAと同時にまたは別々に投与される、カチオン性ポリマー、またはカチオン性ポリマーを含むRNAの血中安定性の改善剤が提供される。
薬剤送達用のキャリアに内包されたRNAは、裸のRNAよりも高い安定性を有する。従って、薬剤送達用のキャリアに内包されたRNAと、カチオン性ポリマー、またはカチオン性ポリマーを含むRNAの血中安定性の改善剤の投与順序は、任意に決定することができる。ある態様では、例えば、薬剤送達用のキャリアに内包されたRNAを先に投与し、その後、カチオン性ポリマー、またはカチオン性ポリマーを含むRNAの血中安定性の改善剤を投与することができる。別のある態様では、例えば、カチオン性ポリマー、またはカチオン性ポリマーを含むRNAの血中安定性の改善剤を先に投与し、その後、薬剤送達用のキャリアに内包されたRNAを投与することができる。別のある態様では、例えば、薬剤送達用のキャリアに内包されたRNAとカチオン性ポリマー、またはカチオン性ポリマーを含むRNAの血中安定性の改善剤とを同時に投与することができる。ある態様では、カチオン性ポリマー、または上記改善剤は、RNAを内包した薬剤送達用のキャリア投与の直前に投与することができ、30秒以上前に投与することができ、1分以上、2分以上、3分以上、4分以上、または5分以上前に投与することができる。ある態様では、RNAを内包した薬剤送達用のキャリアは、カチオン性ポリマー、または上記改善剤の投与5分前、4分前、3分前、2分前、1分前、30秒前、または直前に投与することができ、キャリア投与からカチオン性ポリマーの投与までは短い方がよい。同時に投与する場合には、輸液バックに薬剤送達用のキャリアに内包されたRNAとカチオン性ポリマー、またはカチオン性ポリマーを含むRNAの血中安定性の改善剤と混入させて投与することができる。
輸液バックにRNAとカチオン性ポリマー、またはカチオン性ポリマーを含むRNAの血中安定性の改善剤と混入させる場合には、先にカチオン性ポリマーを含むRNAの血中安定性の改善剤を混入させ、その後、RNAを混入させると、RNAの分解を防ぐ意味では好ましい。
カチオン性ポリマー、またはカチオン性ポリマーを含むRNAの血中安定性の改善剤は、血中において用量依存的に、裸のRNAおよびキャリアに内包されたRNAを安定化させる。従って、カチオン性ポリマー、またはカチオン性ポリマーを含むRNAの血中安定性の改善剤は、例えば、0.1~1000mg/kg体重、より好ましくは1~100mg/kg体重で対象に投与され得る。カチオン性ポリマー、またはカチオン性ポリマーを含むRNAの血中安定性の改善剤の投与量は、対象の体重、年齢、性別、疾患の重篤度、該ポリマーの生体適合性の程度、または疾患の状態に基づいて医師により調整され得る。
本発明では、カチオン性ポリマー、またはカチオン性ポリマーを含むRNAの血中安定性の改善剤と、RNAとを含むRNA溶液が提供される。本発明のRNA溶液では、溶液に含まれるカチオン性ポリマーは、例えば、0.1~1000mg/kg体重、より好ましくは1~100mg/kg体重となる量で含まれる。ある態様では、カチオン性ポリマー、またはカチオン性ポリマーを含むRNAの血中安定性の改善剤とRNAとの量比は、その電荷比において、例えば、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、または10以上であり得る。カチオン性ポリマーがアミノ基を側鎖に有するアミノ酸を単量体単位として含むペプチドの場合には、カチオン性ポリマーとRNAとの用量比は、N/P比において2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、または10以上であり得る。ある特定の態様では、RNAは、薬剤送達用のキャリアに内包されている。ある特定の態様では、RNAは、キャリアに内包されていないRNA(裸のRNA)である。ある態様では、本発明のRNA溶液は、薬剤送達用キャリアに内包されたRNAと、カチオン性ポリマーとを含む、RNA溶液である。ある態様では、本発明のRNA溶液は、薬剤送達用キャリアに内包されたRNAと、カチオン性ポリマーを含むRNAの血中安定性の改善剤とを含む、RNA溶液である。ある態様では、本発明のRNA溶液は、薬剤送達用キャリアに内包されたRNAと、カチオン性ポリマーとを混合して得られた、RNA溶液である。ある態様では、本発明のRNA溶液は、薬剤送達用キャリアに内包されたRNAと、カチオン性ポリマーを含むRNAの血中安定性の改善剤とを混合して得られた、RNA溶液である。ある態様では、本発明のRNA溶液は、薬剤送達用キャリアに内包されたRNAと、カチオン性ポリマーとを混合して得られた、RNA溶液であり、ここで、薬剤送達用キャリアの構成要素としてカチオン性ポリマーが含まれる。ある態様では、本発明のRNA溶液は、薬剤送達用キャリアに内包されたRNAと、カチオン性ポリマーを含むRNAの血中安定性の改善剤とを混合して得られた、RNA溶液であり、ここで、薬剤送達用キャリアの構成要素としてカチオン性ポリマーが含まれる。本発明のある態様では、本発明のRNA溶液は、薬剤送達用キャリアに内包されたRNAと、カチオン性ポリマーとを混合して得られた、RNA溶液であり、ここで、薬剤送達用キャリアの構成要素としてカチオン性ポリマーが含まれ、当該薬剤送達用キャリアの構成要素としてのカチオン性ポリマーと、本発明の改善剤としてのカチオン性ポリマーとは、同一であるか、または異なる{当該薬剤送達用キャリアの構成要素としてのカチオン性ポリマーまたは本発明の改善剤としてのカチオン性ポリマーが複数種のポリマーを含む場合、構成成分の全てが同じであるか、一部が同じであり、かつ他の一部が異なるか、または全てが異なる}。本発明のある態様では、本発明のRNA溶液は、薬剤送達用キャリアに内包されたRNAと、カチオン性ポリマーを含むRNAの血中安定性の改善剤とを混合して得られた、RNA溶液であり、ここで、薬剤送達用キャリアの構成要素としてカチオン性ポリマーが含まれ、当該薬剤送達用キャリアの構成要素としてのカチオン性ポリマーと、本発明の改善剤としてのカチオン性ポリマーとは、同一であるか、または異なる{当該薬剤送達用キャリアの構成要素としてのカチオン性ポリマーまたは本発明の改善剤としてのカチオン性ポリマーが複数種のポリマーを含む場合、構成成分の全てが同じであるか、一部が同じであり、かつ他の一部が異なるか、または全てが異なる}。
本発明では、カチオン性ブロックとしては、例えば、カチオン性天然アミノ酸およびカチオン性非天然アミノ酸、例えば、ヒスチジン、トリプトファン、オルニチン、アルギニンおよびリジンなどのカチオン性天然アミノ酸、および/または、-(NH-(CH22p-NH2で表される基{ここで、pは1~5の整数である。}を側鎖として有するポリマーブロック、例えば、上記カチオン性の側鎖を有するカチオン性非天然アミノ酸のポリマーブロック、例えば、上記カチオン性の側鎖を有するアスパラギン酸またはグルタミン酸などのカチオン性非天然アミノ酸のポリマーブロックが挙げられる。本発明のある態様では、ポリカチオンブロックは、-(NH-(CH22p-NH2で表される基{ここで、pは1~5の整数である。}を側鎖として有するポリマーブロックである。ここで、カチオン性天然アミノ酸としては、好ましくはヒスチジン、トリプトファン、オルニチン、アルギニンおよびリジンが挙げられ、より好ましくはアルギニン、オルニチンおよびリジンが挙げられ、さらに好ましくはオルニチンおよびリジンが挙げられ、さらにより好ましくはリジンが挙げられる。本発明のある態様では、カチオン性ポリマーは、ポリリジンまたはポリオルニチンとすることができる。
ポリカチオンブロックには、カチオン性アミノ酸およびカチオン性の側鎖を有するアミノ酸が混在していてもよい。すなわち、本発明のある態様では、ポリカチオンブロックは、カチオン性天然アミノ酸、カチオン性非天然アミノ酸、または、カチオン性天然アミノ酸およびカチオン性非天然アミノ酸を含むモノマー単位の重合体である。本発明のある態様では、ポリカチオンブロック中のモノマー単位間の結合はペプチド結合である。本発明の好ましい態様では、カチオン性非天然アミノ酸が、側鎖として-(NH-(CH22p-NH2で表される基{ここで、nは1~5の整数である}を有するアミノ酸である。また、本発明のある態様では、ポリカチオンブロックは、カチオン性天然アミノ酸並びに-(NH-(CH22p-NH2で表される基{ここで、pは1~5の整数である。}で修飾されたアスパラギン酸およびグルタミン酸が任意の順番で重合してなるポリカチオンブロックとすることができる。本発明のある態様では、ポリマー中のモノマー単位の40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%または100%が側鎖として-(NH-(CH22p-NH2で表される基{ここで、pは1~5の整数である。}を有する。
本発明のある態様では、ポリカチオンブロックとしては、ポリ(Asp(ジエチルトリアミン))(以下「ポリ(Asp(DET))」という)が用いられる。
本発明のある側面では、薬剤送達用のキャリアに内包されたRNAとカチオン性ポリマーとを含む、医薬製剤が提供される。医薬製剤は、薬学的に許容可能な賦形剤を含んでいてもよい。医薬製剤は、適正製造基準(GMP)準拠であり、通常は、該製剤に含まれる有効成分等の薬学的意義を有する成分の合成途上で生じる副産物を除去して得られる(但し、医薬製剤は、除去できないレベルの夾雑物または検出限界以下の夾雑物を含みうる)。医薬製剤は、静脈内投与用、筋肉内投与用、腫瘍内投与用、皮下投与用、脳室内投与用、心室内投与用などの非経口投与用に調製され得る。本発明の医薬製剤においては、カチオン性ポリマーは、例えば、上記で定義されたPEGとのブロック共重合体の形態でありうる。カチオン性ポリマーは、キャリアの構成成分としてのカチオン性ポリマーとは同一であっても異なっていてもよい。
本発明のある側面では、対象にRNAを投与する方法であって、対象にカチオン性ポリマーを投与することと、対象にRNAを投与することとを含む、方法が提供される。本発明のある態様では、カチオン性ポリマーとRNAとは別々に投与される。本発明のある態様では、カチオン性ポリマーは、RNAと同時に、またはRNAよりも先に対象に投与され得る。
本発明のある側面では、対象にRNAを投与する方法であって、対象にカチオン性ポリマーを投与することと、対象にRNAを内包した薬剤送達用のキャリアを投与することとを含む、方法が提供される。本発明のある側面では、対象の組織にRNAを送達する方法であって、対象にカチオン性ポリマーを投与することと、対象にRNAを内包した薬剤送達用のキャリアを投与することとを含む、方法が提供される。本発明のある態様では、カチオン性ポリマーは、RNAを内包した薬剤送達用のキャリアと同時にまたは別々に投与され得る。
本発明のある側面では、カチオン性ポリマーを含む、RNAまたはRNAを内包した薬剤送達用のキャリアと併用するための組成物または医薬組成物が提供される。本発明の別の側面では、RNAまたはRNAを内包した薬剤送達用のキャリアを含む、カチオン性ポリマーと併用するための組成物または医薬組成物が提供される。本発明の組成物または医薬組成物は、投与後のRNAの血中安定性を高める効果を奏し得る。併用の方法は、上述の通りである。
本発明のある側面では、RNAまたはRNAを内包した薬剤送達用のキャリアと、カチオン性ポリマーを含む組成物または医薬組成物との組合せが提供される。本発明の組合せは、投与後のRNAの血中安定性を高める効果を奏し得る。併用の方法は、上述の通りである。
本発明では、カチオン性ポリマーやこれを含む組成物は、薬学上許容されるものである。「薬学上許容される」とは、許容されない毒性を奏しないこと、および/または、許容されない毒性を奏しない用量で投与されることを意味する。
実施例1:分岐PEGを有するブロックカチオマーによるmRNAの血中安定性
分岐PEG(分子量37000×2)を有するブロックカチオマー、分岐ポリ(エチレングリコール)-b-ポリ(L-リジン) (重合度20) (以下、「bPEG-b-PLL」または「PEGasus-PLL」とも称する)、および、分岐ポリ(エチレングリコール)-b-ポリ(L-オルニチン) (重合度20) (以下、(bPEG-b-PLO)または「PEGasus-PLO」とも称する)を合成した。
日油より購入した末端に一級アミンの構造を持つBranchPoly(ethyleneglycol)(分子量37000×2)を開始剤として、非特許文献(J. Polym. Sci. Part A Polym. Chem. 2003, 41 1167-1187)に則りFuchs-Farthing法により合成したLysine(TFA)-NCA、Ornithine(TFA)-NCAをそれぞれ重合した後、塩基で処理することで得られる。
具体的には、bPEG-PLLの合成では、まず一級アミンを持つbPEG(740 mg, 0.010mmol)をナカライ社より購入したベンゼンにより凍結乾燥した。続いて反応溶媒として、シグマアルドリッチ社より購入したチオウレア(TU)を関東化学社より購入した脱水N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解させて1Mの濃度に調製したDMF(1M TU)を用意した。凍結乾燥させたbPEGは10 mLのDMF (1M TU)に溶解させた。続いて、Lys(TFA)-NCAをArバック中で59 mg (0.22 mmol)フラスコに測り、DMF 2 mLに溶解させた。調製したLys(TFA)-NCA溶液をAr雰囲気下でbPEG溶液に加え、25 ℃で3日間撹拌した。反応溶液は、メタノール(シグマアルドリッチ社)とジエチルエーテル(昭和エーテル社)の1:9混合溶液300 mLに対して滴定し、共重合体bPEG-PLL(TFA)を再沈殿させた。 得られたbPEG-PLL(TFA)を濾過によって回収し、真空乾燥した。得られたbPEG-PLL(TFA)を500 mg測りとり、25 mLのメタノールに溶解させた。続いてこのbPEG-PLL(TFA)溶液に1M NaOH を7.5 mL加えて35 ℃で12時間撹拌し、TFA基の脱保護を行った。反応後は、0.01 M HClに対して3回透析を行った後、水に対して3回透析を行い、凍結乾燥によりbPEG-PLLを回収した。得られたbPEG-PLLはGEヘルスケア社のカラムsuperdex 200を用いた SEC(LC2000 system, 日本分光社)、1H-NMR(ESC400, JEOL)により解析した。bPEG-PLOについても同様の工程で合成した。
mRNAは、テンプレートのDNAをmMESSAGE mMACHINE T7 Ultra Kit (Ambion社) を用いてin vitroトランスクリプションする、またpoly(A) tail kit(Ambion社)を用いてpoly(A)修飾を施すことで調製した。またテンプレートのDNA作成には、New England Biolabs社より購入したpCMV-Gluc control plasmidを用いた。
マウスに対して、尾静脈より200 ng/μLのmRNA溶液200 μLと、12.5 mg/mLのPEGasus-PLLまたはPEGasus-PLO溶液100 μL(すなわち、62.5 mg/kg体重)を混合して投与した。投与後2.5、5、10分後に尾の静脈より2.0 μLの血液を採取し、1%のメルカプトエタノールを含んだRLTバッファー350 μLに加えた。その後、RNeasy kit(Qiagen社)のプロトコールに則りRNAを抽出した。抽出したRNAはReverse Transfection kit (TOYOBO社)を用いてcDNAに逆転写した後、qRT-PCR(Biorad社)により定量した。陰性対照として、マウスに対して尾静脈より200 ng/μLのmRNA溶液200 μLを投与した。
血中における投与後2.5、5、10分後のmRNAの残存率(%)は、図1Aに示される通りであった。図1Aに示されるように、陰性対照では、僅か2.5分でmRNAは0.01%未満に急速に分解されたが、PEGasus-PLLまたはPEGasus-PLOと混合してから投与した群では、mRNAが顕著に安定化された。
実施例2:分岐PEGを有するブロックカチオマーの先行投与によるmRNAの血中安定性
実施例1では、mRNAとPEGasus-PLLまたは-PLOを混合してから同時に投与した。本実施例では、PEGasus-PLLまたは-PLOを先行投与し、その後にmRNAを投与した。
マウスに対して、尾静脈より12.5 mg/mLのPEGasus-PLLまたはPEGasus-PLO溶液100 μLを投与した(すなわち、62.5 mg/kg体重の投与量である)。5分後に、尾静脈より200 ng/μLのmRNA溶液200 μLを投与した。投与後2.5、5、10分後に尾の静脈より2.0 μLの血液を採取し、実施例1に記載される通りにmRNAを抽出して血中におけるmRNAの安定性を評価した。
結果は、図1Bに示される通りであった。図1Bに示されるように、PEGasus-PLLまたはPEGasus-PLOは、mRNAと同時に投与しなくても、先に投与することでmRNAの安定化効果を示した。なお、PEGasus-PLLまたはPEGasus-PLOは、125 mg/kgの用量で投与しても、マウスに対する毒性(肝毒性、腎毒性)は観察されなかった。また、同じ用量のPEGasus-PLLまたはPEGasus-PLOを先に投与し、その後mRNAを投与した上記実施例においても、マウスにおける毒性は観察されなかった。
mRNAは、実施例1とは異なり、PEGasus-PLLまたはPEGasus-PLOとは会合していない状態で血中に投与された。mRNAは血中では瞬時に分解されて消失することが知られている。したがって、従来は、mRNAは裸で血中に投与してはならないと考えられており、何らかの複合体に組込んで安定化させてから投与することが常識的であった。しかしながら、本発明では、カチオン性ポリマーを先行して対象に投与し、その後mRNAを投与してもmRNAの血中安定性が顕著に改善することを示すものである。
実施例3:分岐PEGを有するブロックカチオマーによる、キャリア中のmRNAの安定化
本実施例では、分岐PEGを有するブロックカチオマーが、キャリアに内包されたmRNAを安定化するかを確かめた。
キャリアとしては、以下のポリプレックスミセルを用いた。ポリプレックスミセルは、Biomacromolecules, 2016, 17, 354-361の記載の通りに調製した。具体的には、まず、親水性ブロック-温度応答性ブロック-カチオン性ブロックからなる三元型共重合体を合成して、これを4℃においてmRNAとの電荷比(カチオン/mRNA)が2となるよう混合し、その後、37℃で静置することにより疎水性保護層を持つポリプレックスミセルとした。
マウスに対して、尾静脈より200 ng/μLのmRNAを含むポリプレックスミセル溶液200 μLと、12.5 mg/mLのPEGasus-PLLまたはPEGasus-PLO溶液100 μLを混合して投与した(すなわち、6.25 mg/kg体重の投与量である)。投与後2.5、5、10分後に尾の静脈より2.0 μLの血液を採取し、実施例1に記載される通りにmRNAを抽出して血中におけるmRNAの安定性を評価した。陰性対照("without")としては、PEGasus-PLLまたはPEGasus-PLOを伴わずにポリプレックスミセル化したmRNAのみを投与した。
結果は、図2Aに示される通りであった。図2Aに示されるように、PEGasus-PLLまたはPEGasus-PLOと混合すると、キャリアに内包されたmRNAが安定化する様子が観察された。
実施例2と同様に、PEGasus-PLLまたは-PLOを先行投与し、その後にmRNAを内包したキャリアを投与した。具体的には、マウスに対して、尾静脈より12.5 mg/mLのPEGasus-PLLまたはPEGasus-PLO溶液100 μLを投与した(すなわち、62.5 mg/kg体重の投与量である)。5分後に、尾静脈より200 ng/μLのmRNAを含むポリプレックスミセル溶液200 μLを投与した。投与後2.5、5、10分後に尾の静脈より2.0 μLの血液を採取し、実施例1に記載される通りにmRNAを抽出して血中におけるmRNAの安定性を評価した。
結果は、図2Bに示される通りであり、PEGasus-PLLまたはPEGasus-PLOを先行投与してもキャリアに内包されたmRNAが安定化する様子が観察された。なお、キャリアとPEGasus-PLLまたはPEGasus-PLOとの物理的相互作用は検出できなかった。したがって、カチオン性ポリマーは、キャリアに取り込まれることによってRNAの安定化効果を発揮したとは考えられない。本実施例において、投与に起因するマウスにおける毒性は観察されなかった。
実施例4:過剰量の分岐PEGを有するブロックカチオマーによる、キャリア内mRNAの安定化
実施例3に記載の通り、PEGasus-PLL、PEGasus-PLOおよびポリプレックスミセルを調製した。200 ng/μLのmRNA濃度に調製したポリプレックスミセル 10 μLと、0, 2, 10 または20 mg/mLのPEGasus-PLO溶液10 μLを 3 μg/mL(血清濃度)のRNase A溶液100 μLに加え、37 ℃で1時間静置した。その後、RNeasy kit(Qiagen社)のプロトコールに則りRNAを抽出した。抽出したRNAはReverse Transfection kit (TOYOBO社)を用いてcDNAに逆転写した後、qRT-PCR(Biorad社)により定量した。
結果は、図3Aに示される通りであった。図3Aに示されるようにPEGasus-PLOは用量依存的にmRNAの血中安定性の改善効果を奏した。また、その改善効果は、PEGasus-PLOの濃度が高まるにつれて飛躍的に向上した。
また、33.3 ng/μL のmRNA濃度に調製したポリプレックスミセル 50 μLを37 ℃で10分間インキュベーションした。ここに25 μLの10 mM HEPESEバッファー、または12.5 mg/mLに調製したbPEG-b-PLL 溶液25 μLを加えた。続いて12 μg/mLのRNase A溶液25 μLを加え、37℃で静置した。10, 20, 30, 60, 90分後に10 μLサンプルを回収し、RNeasy kit(Qiagen社)のプロトコールに則りRNAを抽出した。抽出したRNAはReverse Transfectionkit (TOYOBO社)を用いてcDNAに逆転写した後、qRT-PCR(Biorad社)により定量した。
結果は図3Bに示される通りであった。図3Bに示されるようにmRNAは、PEGasus-PLOを添加した群において顕著に安定化されていた。また、図3-2に示されるようにカチオン性ポリマーの添加によりmRNAの分解速度が低下した。
血中では、PEGasus-PLLまたはPEGasus-PLOは、ミセルに内包したmRNAとは相互作用しておらず、遊離状態にあると考えられる。このような遊離状態のPEGasus-PLLまたはPEGasus-PLOは、裸のmRNAおよびミセルに内包させたmRNAの両方をRNaseによる分解から保護することができた。このことは、遊離状態のPEGasus-PLLまたはPEGasus-PLOがRNAの血中安定性を向上させる効果を有することを示唆する。本実施例において、投与に起因するマウスにおける毒性は観察されなかった。
実施例5:mRNAの安定化に対する分岐PEGを有するブロックカチオマーの種類の影響
重合度の異なるPEG、重合度の異なるカチオマー、および分岐無しのPEGと比較することで各ブロックのmRNA安定性改善効果に対する重要性を調べた。
PEGasus-PLLは、分子量37kの2本のPEGが重合度20のポリ(L-リジン)(PLL20)に結合しているので37×2-PLL20と表記する。37×2-PLL10および37×2-PLL40は分子量37kの2本のPEGが重合度10、40のPLLに結合したポリマーをそれぞれ示し、21×2-PLL20は分子量21kの2本のPEGが重合度20のPLLに結合したポリマー、42-PLL20および42-PLL75は、分子量42kのPEGが重合度20、75のPLLに結合したポリマーをそれぞれ示す。これらは、日油より購入した末端に一級アミンの構造を持つBranchPoly(ethyleneglycol)(分子量37000×2, 21000×2)、またはPoly(ethyleneglycol)(分子量42000)を開始剤として、非特許文献(J. Polym. Sci. Part A Polym. Chem. 2003, 41 1167-1187)に則りFuchs-Farthing法により合成したLysine(TFA)-NCAを重合、その後塩基で処理することで得られる。
具体的には、42-PLL75の合成では、まず一級アミンを持つPEG(420 mg, 0.010mmol)をナカライ社より購入したベンゼンにより凍結乾燥した。続いて反応溶媒として、シグマアルドリッチ社より購入したチオウレア(TU)を関東化学社より購入した脱水N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解させて1Mの濃度に調製したDMF(1M TU)を用意した。凍結乾燥させたPEGは6 mLのDMF (1M TU)に溶解させた。続いて、Lys(TFA)-NCAをArバック中で220 mg (0.82 mmol)フラスコに測り、DMF 2 mLに溶解させた。調製したLys(TFA)-NCA溶液をAr雰囲気下でPEG溶液に加え、25℃で3日間撹拌した。反応溶液は、メタノール(シグマアルドリッチ社)とジエチルエーテル(昭和エーテル社)の1:9混合溶液300 mLに対して滴定し、共重合体PEG-PLL(TFA)を再沈殿させた。得られたPEG-PLL(TFA)を濾過によって回収し、真空乾燥した。得られたPEG-PLL(TFA)を500 mg測りとり、25 mLのメタノールに溶解させた。続いてこのPEG-PLL(TFA)溶液に1M NaOH を7.5 mL加えて35℃で12時間撹拌し、TFA基の脱保護を行った。反応後は、0.01 M HClに対して3回透析を行った後、水に対して3回透析を行い、凍結乾燥によりPEG-PLLを回収した。得られたPEG-PLLはGEヘルスケア社のカラムsuperdex 200を用いた SEC(LC2000 system, 日本分光社)、1H-NMR(ESC400, JEOL)により解析した。他のポリマーシリーズの合成についても、Lys(TFA)-NCA重合反応時の開始剤、モノマーの量を調節の上、同様のプロセスを行うことで得た。
投与するmRNAに対して実施例3と同じカチオン濃度となるように上記各ポリマーを調製した溶液100μLをマウスの尾静脈に投与した。5分後、200 ng/μLのmRNA濃度に調製したポリプレックスミセル 10 μLをマウスの尾静脈に投与した。投与2.5分後、5分後、10分後に尾の静脈より2.0 μLの血液を採取し、mRNAを実施例1記載の通りに抽出してqRT-PCRにより定量した。
結果は、図4に示される通りであった。図4に示されるように、いずれのポリマーを用いた場合であっても、mRNAの血中安定性の向上効果が確認された。中でも、カチオマーブロック長が20以上であるか、PEGが分岐PEGであるとmRNAの安定化効果が高いことが明らかとなった。カチオマーブロック長が20以上であり、かつ、PEGが分岐PEGである場合にも非常に高いmRNAの血中安定性の向上効果が観察された。
実施例6:ブロックカチオマーにおけるカチオンの種類とmRNAの安定化効果との関係
mRNAの安定化効果が、カチオンの種類に関わらず奏されるかを確認した。
カチオマーとしては以下のポリマーを用いた。
PLO24は、ポリ(L-オルニチン)が重合度24で連結したホモポリマーである。シグマアルドリッチ社より購入した11-azido-3,6,9-trioxaundecan-1-amineを開始剤として用い、非特許文献(J. Polym. Sci. Part A Polym. Chem. 2003, 41 1167-1187)に則りFuchs-Farthing法により合成したOrnithine(TFA)-NCA(Orn(TFA)-NCA)を重合、その後塩基で処理することで得られる。具体的には、開始剤(55 mg, 0.25 mmol)をDMF (1M TU)に2 mLに溶解させた。別途Arバック中でOrn(TFA)-NCA(1.7 g, 6.3 mmol)をフラスコに測りとり、15 mLのDMF(1m TU)に溶解させた。調製したOrn(TFA)-NCA溶液を、Ar雰囲気下で開始剤溶液に加え、25℃で2日間撹拌して重合反応を行った。反応溶液を水に対して5回透析したのち、凍結乾燥することでPoly(L-ornithine)(TFA) (PLO(TFA))を得た。 得られたPLO(TFA)を500 mg測りとり、25 mLのメタノールに溶解させた。続いてこのPEG-PLL(TFA)溶液にWako社より購入した1M NaOH を7.5 mL加えて室温で12時間撹拌し、TFA基の脱保護を行った。反応後は、0.01 M HClに対して3回透析を行った後、水に対して3回透析を行い、凍結乾燥によりPLOを回収した。
DET56は、ポリ(アスパラギン酸-ジエチルトリアミン)が重合度56で連結したホモポリマーであり、中央化学製品株式会社より購入したBLA-NCAを重合して前駆体PBLAを合成、これに対してジエチレントリアミン(DET)によるエステルアミド交換反応(アミノリシス)により側鎖を修飾することで得られる。重合開始剤としては東京化成より購入したブチルアミンをナカライ社より購入したカルシウムハイドライドを乾燥剤として蒸留精製したものを用いた。ブチルアミン(7.4 mg, 0.10 mmol)を関東化学より購入した脱水ジクロロメタン20 mLに溶解した。Arバック中でモノマーBLA-NCA(1.6 g, 6.1 mmol)をフラスコに測りとり、関東化学より購入した脱水DMF 3mLに溶解した。Ar雰囲気下でBLA-NCA溶液を開始剤溶液に加え、35℃で3日間撹拌した。反応溶液をヘキサン/酢酸エチル=3/2の混合溶媒500 mLに滴定することでPBLAを沈殿させ、濾過および真空乾燥後に回収した。得られた前駆体PBLAを200 mgフラスコに測りとり、5 mLのNMPに溶解させた。続いて、ポリマー側鎖エステル構造のモル数に対して100等量のDETフラスコにとり、NMPで二倍に希釈した。Ar雰囲気下4℃のもと、DET溶液にゆっくりとPBLA溶液を加え、そのまま4 ℃で1時間撹拌し、アミノリシスを行った。アミノリシスに用いたNMPはWako社より購入、DETは東京化成より購入し、それぞれカルシウムハイドライド存在下で蒸留したものを用いた。氷上で塩酸を用いて反応溶液を中和、また0.01 M HClに対して透析を3回、水に対して透析を3回行った後、凍結乾燥によりDET56を回収した。
42-DET67は、ポリエチレングリコール(分子量42k)に重合度67のポリ(アスパラギン酸-ジエチルトリアミン)が連結したポリマーであり、日油より購入した一級アミン末端を有する分子量42kのPEGを開始剤として、中央化学製品株式会社より購入したBLA-NCAを重合して前駆体PEG-PBLAを合成、これに対してジエチレントリアミン(DET)によるエステルアミド交換反応(アミノリシス)により側鎖を修飾することで得られる。重合開始剤のPEG(840 mg, 0.020 mmol)は、ナカライ社より購入したベンゼンを用いて凍結乾燥した後、関東化学より購入した脱水ジクロロメタン10 mLに溶解した。Arバック中でモノマーBLA-NCA(370 mg, 1.5 mmol)をフラスコに測りとり、関東化学より購入した脱水DMF 1.5 mLに溶解した。Ar雰囲気下でBLA-NCA溶液を開始剤溶液に加え、35 ℃で3日間撹拌した。反応溶液をヘキサン/酢酸エチル=3/2の混合溶媒300 mLに滴定することでPBLAを沈殿させ、濾過および真空乾燥後に回収した。得られた前駆体PEG-PBLAを200 mgフラスコに測りとり、5 mLのNMPに溶解させた。続いて、ポリマー側鎖エステル構造のモル数に対して100等量のDETをフラスコにとり、NMPで二倍に希釈した。Ar雰囲気下4 ℃のもと、DET溶液にゆっくりとPEG-PBLA溶液を加え、そのまま4 ℃で1時間撹拌し、アミノリシスを行った。アミノリシスに用いたNMPはWako社より購入、DETは東京化成より購入し、それぞれカルシウムハイドライド存在下で蒸留したものを用いた。氷上で塩酸を用いて反応溶液を中和、また0.01 M HClに対して透析を3回、水に対して透析を3回行った後、凍結乾燥により42-DET67を回収した。
PEIは、ポリエチレンイミンであり、invitrogen社より購入したものを用いた。
合成したポリマーシリーズはGEヘルスケア社のカラムsuperdex 200を用いた SEC(LC2000 system, 日本分光社)、1H-NMR(ESC400, JEOL)により解析した。
マウスに対して、実施例3と同じカチオン濃度となるよう濃度を調整したカチオマー溶液を100 μL投与した。五分後に200 ng/μLのmRNA濃度に調整したポリプレックスミセル溶液200 μLをマウス尾静脈より投与した。投与後2.5分後、5分後、10分後に尾の静脈より2.0 μLの血液を採取し、実施例1に記載の通りmRNAを定量した。
結果は、図5に示される通りであった。図5に示されるようにいずれのカチオマーを用いた場合であっても陰性対照("without")に対してmRNAを安定化させた。このことから、カチオンの種類によらずカチオン性ブロックは、mRNAの安定化作用を有することが明らかとなった。
これらの実施例により、ポリカチオンの先行投与とそれに続くmRNAの投与実験においてインビボでmRNAの血中安定性の改善効果が確認された。ポリカチオンは、ミセルに内包したmRNAの血中安定性を向上させる効果を有した。ポリカチオンはミセルとは相互作用していなかったことから、ポリカチオンは、キャリアに組込まれて機能を発揮したとは考えられず、この考えは、裸のmRNAの血中安定性をも改善させたことによって支持されるものである。いずれにしても、ポリカチオンは、裸のmRNAおよびキャリアに内包されたmRNAの血中安定性を向上させるものであった。

Claims (5)

  1. 対象において遊離状態のRNAの血中安定性を向上させることに用いるための組成物であって、カチオン性ポリマーブロックとポリエチレングリコール(PEG)ブロックとのブロック共重合体を含み、前記PEGブロックは、15kDa~45kDaの平均分子量をそれぞれ有するPEG鎖を2本有する分岐PEGであり、分岐PEGは、カチオン性ポリマーブロックの一端に存在し、前記カチオン性ポリマーブロックが、15~30の重合度を有し、前記遊離状態のRNAとは別々に前記対象に投与される、組成物。
  2. 対象において薬剤送達用のキャリアに内包されたRNAの血中安定性を向上させることに用いるための組成物であって、カチオン性ポリマーブロックとポリエチレングリコール(PEG)ブロックとのブロック共重合体を含み、前記PEGブロックは、15kDa~45kDaの平均分子量を有するPEG鎖を複数本有する分岐PEGであり、前記カチオン性ポリマーブロックが、15~30の重合度を有し、前記RNAとは別々に前記対象に投与される、組成物。
  3. 対象においてRNAの血中安定性を向上させることに用いるための組成物であって、
    RNA、および
    カチオン性ポリマーブロックとポリエチレングリコール(PEG)ブロックとのブロック共重合体を含む、組成物であって、
    前記RNAは、薬物送達用のキャリアに内包されており、薬物送達用のキャリアはカチオン性ポリマーを含み、
    前記ブロック共重合体は、15kDa~45kDaの平均分子量を有するPEG鎖を複数本有する分岐PEGであり、前記カチオン性ポリマーブロックが、15~30の重合度を有し、
    前記薬物送達用のキャリアが含むカチオン性ポリマーと前記ブロック共重合体とは異なる、
    組成物。
  4. 請求項1または2に記載の組成物であって、RNAの投与に先だって投与されることを特徴とする、組成物。
  5. カチオン性ポリマーブロックが、アミノ基を側鎖に有するアミノ酸を単量体単位として含むペプチドである、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
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