JP7237346B2 - 表面波探査解析装置及び表面波探査解析方法 - Google Patents

表面波探査解析装置及び表面波探査解析方法 Download PDF

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Description

本発明は、表面波探査解析装置及び表面波探査解析方法に関する。
地盤探査の一手法として表面波探査法が知られている。表面波探査法は、地面の振動により地中を伝わる表面波(特にレイリー波)が、硬い地盤ほど速く伝わり、柔らかい地盤ほどゆっくりと伝わるという性質を持ち、振動する周波数が変わると伝わる深さが変化するという性質を利用している。表面波探査法では、起振機で地面に微弱な振動を与えて地中を伝わる表面波の速さを、起振現場に配置した少なくとも2つの検出器で検出し、これらの検出信号を用いて表面波の伝わる伝搬状況と速度を解析する。
このような表面波探査法を利用した表面波探査解析装置の一例が地盤探査装置として特許文献1に記載されており、以下に簡単に説明する。
探査装置のオペレータは、地盤探査を必要とする場所に起振機を設置すると共に、その近くの地面には間隔をおいて少なくとも2つの加速度検出器を設置する。起振機により地表面を起振周波数で上下に起振することにより、その周囲に表面波を発生させる。2つの加速度検出器からの検出信号は、A(Analog)/D(Digital)変換等の信号処理機能を持つ計測部を通して加速度時系列信号A(t)、B(t)として出力される。計測部には、パーソナルコンピュータ等による解析装置が接続される。
解析装置は、計測部からの加速度時系列信号A(t)、B(t)を入力信号SA、SBとして受け、入力信号SA、SBに対してあらかじめ定められた解析プログラムに基づく信号処理を行い、伝搬平均速度Vrb(f)と深度D(f)とを算出する。なお、伝搬平均速度は、通常、伝搬速度を表わすVrの上に平均を意味するバーを付して示されるが、ここでは、特に断りを入れない限り、表記の便宜上、バーを付さずにVrbで示すこととする。
オペレータが、起振機による起振を、起振周波数を変化させながら繰り返し行うことにより、解析装置は深度D-伝搬平均速度Vrb曲線(以下、D-Vrb曲線と略称する)を生成し、それをモニターに表示する。D-Vrb曲線の生成過程については後述する。
オペレータは、モニターに表示されたD-Vrb曲線を確認し、D-Vrb曲線上において地盤の物理的な性質が変化していると判定した箇所を変曲点(複数個)として選定する。変曲点の選定についてはマニュアル化されており、選定作業はこのマニュアルに則って行われる。
D-Vrb曲線上のすべての変曲点の選定後、選定された変曲点情報を基に変曲点間の区間速度が算出される。区間速度は、地盤を、深度方向に対して物理的な性状が類似した範囲に区切り、各々の区間を地盤の物理的な性状を反映した表面波速度値によって示しており、地盤の速度構造を表すデータとなる。
表面波速度による速度構造を示すデータは、特許文献1に示す地盤探査装置の独自のものである。
特開2002-341048号公報 特開2018-077058号公報
足立格一郎著、「土質力学」、P.195:共立出版、2002年6月発行 Meyerhof, G.G. (1957):Discussion, Proc. 4th Int. Conf. on Soil Mechanics and Foundation Engineering, Vol.3 P.110
地中を伝搬する弾性波の速度は、地盤の物理的な性状に起因する。すなわち、地盤の剛性が高くなるにつれて弾性波の伝搬速度は高くなり、剛性が低くなるにつれて弾性波の伝搬速度は低くなる。表面波も弾性波の一種であり、地盤の物理的な性状と速度の関連について同様の関連性を示す。
一方、地盤には、深度に応じ、硬軟に加えて土荷重による土圧が作用する。一般に、土圧は鉛直方向だけでなく、水平方向からも作用し、土質その他の条件によって、鉛直方向と水平方向の度合いが異なる。土圧は拘束圧とも言われ、各々の深度における地盤の物理的な性質に少なからず影響を及ぼす。高い拘束圧は、外力に対する見かけの応力となる。
表面波探査法の課題として、より深部を探査対象とした場合、拘束圧の影響を受けることがあげられる。上述の表面波探査法によって得られる複数の区間速度値のうち、より深部の値は地盤の剛性率による弾性的要素に加え、外力に対して拘束圧による見かけの応力による影響を受ける。このため、地盤探査法によって得られる区間速度値は、審査対象の深度が深くなるにつれて、当該地盤の有する物理的な性状に起因する速度値よりも大きな値を示す。これは、探査対象の深度が深くなるにつれて、探査精度が低下することを意味している。
このような事情により、表面波探査法において探査深度を10m以深とする場合には、拘束圧の影響を十分に考慮して探査計画や解析業務を行う必要がある。
そこで、本発明の課題は、表面波探査法により得られるD-Vrb曲線から、地盤の深度に応じた拘束圧を考慮して補正された区間速度値を算出できる表面波探査解析装置及び表面波探査解析方法を提供することにある。
本発明の第1の態様によれば、地表面を上下に起振することにより、その周囲に発生する表面波の上下振動を検出して、地盤探査を行う地盤探査システム用の表面波探査解析装置であって、
該表面波探査解析装置は、
前記表面波の上下振動を検出するために間隔Lをおいて起振現場に配置される少なくとも2つの加速度検出器と、
前記2つの加速度検出器からの検出信号を受けて加速度時系列信号A(t),B(t)を出力する計測部と、
前記加速度時系列信号A(t),B(t)を入力信号SA、SBとして受信し、受信した前記入力信号SA、SBを処理して表面波の伝搬平均速度Vrb(f)と深度D(f)とを算出し、前記伝搬平均速度Vrb(f)と前記深度D(f)とを算出する処理を繰り返して深度D-伝搬平均速度Vrb曲線を生成した後、生成した深度D-伝搬平均速度Vrb曲線に対して複数の変曲点を選定し、選定した複数の変曲点間の区間速度を算出する解析部とを含み、
前記解析部はさらに、複数の変曲点の間にそれぞれ、地盤表面側から順に第1層~第n層の地盤層を設定して、各地盤層に作用する土被り圧を算出すると共に、算出した土被り圧に基づいて層別に前記区間速度の補正係数を算出し、算出した補正係数に基づいて前記区間速度を補正することにより、前記土被り圧が区間速度に及ぼす影響を補正することを特徴とする表面波探査解析装置が提供される。
本発明の第2の態様によれば、地表面を上下に起振することにより、その周囲に発生する表面波の上下振動を検出して、地盤探査を行う表面波探査解析方法であって、
前記表面波の上下振動を検出するために、間隔Lをおいて少なくとも2つの加速度検出器を起振現場に配置し、
地表面を上下に起振した時の前記2つの加速度検出器からの検出信号を受けて加速度時系列信号A(t),B(t)を生成し、
前記加速度時系列信号A(t),B(t)を入力信号SA、SBとして受信して、受信した前記入力信号SA、SBを処理して表面波の伝搬平均速度Vrb(f)と深度D(f)とを算出し、
前記伝搬平均速度Vrb(f)と前記深度D(f)とを算出する処理を繰り返して深度D-伝搬平均速度Vrb曲線を生成し、
生成した深度D-伝搬平均速度Vrb曲線に対して複数の変曲点を選定して、選定した複数の変曲点間の区間速度を算出し、
さらに、複数の変曲点の間にそれぞれ、地盤表面側から順に第1層~第n層の地盤層を設定して、各地盤層に作用する土被り圧を算出し、
算出した土被り圧に基づいて層別に前記区間速度の補正係数を算出し、
算出した補正係数に基づいて前記区間速度を補正することにより、前記土被り圧が区間速度に及ぼす影響を補正することを特徴とする表面波探査解析方法が提供される。
本発明によれば、表面波探査法により得られる区間速度値に対して深度に応じた拘束圧を考慮した補正を行うことができるので、探査精度を上げ、より深部を対象とした地盤探査への適用を広げることができる。
本発明が適用され得る、地盤探査装置(表面波探査解析装置)の構成例を示した図である。 図1に示された起振機に与えられる電力の周波数バンドの一例(図a)と、図1に示された解析装置(パーソナルコンピュータ)で生成されるD-Vrb曲線の一例(図b)を示した図である。 本発明が適用され得る区間速度の算定例を説明するための図である。 本発明により、D-Vrb曲線から、地盤の深度に応じた拘束圧を考慮した補正を行って算出された複数の区間速度値の第1の例を示す図である。 本発明により、D-Vrb曲線から、地盤の深度に応じた拘束圧を考慮した補正を行って算出された複数の区間速度値の第2の例を示す図である。 本発明により、D-Vrb曲線から、地盤の深度に応じた拘束圧を考慮した補正を行って算出された複数の区間速度値の第3の例を示す図である。 本発明により、D-Vrb曲線から、地盤の深度に応じた拘束圧を考慮した補正を行って算出された複数の区間速度値の第4の例を示す図である。
本発明の実施形態について説明する前に、図1、図2を参照して、特許文献1に記載されている地盤探査装置について説明する。この地盤探査装置は、本発明に係る表面波探査解析装置としても適用されるので、以下では表面波探査解析装置と呼ぶことがある。
図1において、本表面波探査解析装置は、起振現場の地盤に設置される少なくとも2つの加速度検出器11A、11Bと、これらの加速度検出器11A、11Bからの加速度検出信号を受ける計測部12と、を含む。計測部12は、地震計部12-1、A/D変換部12-2、通信部12-3を有する。本実施形態においては、計測部12はさらに、発振部12-4を備える。発振部12-4からの励振信号は電力増幅器14で増幅されて起振機15に与えられる。地震計部12-1は、ローパスフィルタ回路を内蔵し、加速度検出器11A、11Bで検出されるアナログの加速度検出信号から加速度時系列信号を生成する。A/D変換部12-2は、地震計部12-1からのアナログの加速度時系列信号をディジタルの加速度時系列信号A(t)、B(t)に変換するためのもので、入力感度の自動調整機能を有する。
通信部12-3は、ディジタルの加速度時系列信号A(t)、B(t)を、計測部12に接続される機器、例えばモニター付きのパーソナルコンピュータ(以下、PCと略称する)13に送信する。PC13は加速度時系列信号A(t)、B(t)を入力信号SA、SBとして受け、内蔵メモリにあらかじめインストールされている解析プログラムソフトに基づいて入力信号SA、SBの処理を行う機能を有し、地盤解析を行うための解析装置(解析部)として機能する。ここで、(t)は、時系列に沿って変化する任意の値を示す。
次に、本表面波探査解析装置の動作について説明する。まず、探査場所に起振機15、加速度検出器11A、11Bを一直線上に設置する。加速度検出器11A、11B間の距離をL(m)とする。起振機15を使って地表面を上下方向に起振することにより、起振機15の周りに表面波を発生させる。地表面付近を伝搬する表面波(レイリー波)の上下振動を、加速度検出器11A、11Bで検出する。加速度検出器11A、11Bからの加速度検出信号は、地震計部12-1のローパスフィルタ回路を通すことで、アナログの時系列信号となり、A/D変換部12-2に入力される。A/D変換部12-2でA/D変換された時系列信号A(t)、B(t)は通信部12-3からPC13へ転送される。
PC13では、インストールされている解析プログラムに基づいて入力信号SA、SBのパワースペクトルGAA(f)、GBB(f)、クロススペクトルGBA(f)、伝達関数H(f)、コヒーレンス関数γ(f)等を計算する。これらのパワースペクトルGAA(f)、GBB(f)、クロススペクトルGBA(f)、伝達関数H(f)、コヒーレンス関数γ(f)等は、内蔵のハードディスクに保存される。PC13ではまた、伝達関数H(f)より加速度検出器11A、11B間の位相差Δθ(f)を求め、続いてその時間差Δt(f)を求める。ここで、(f)は、周波数軸にそって変化する任意の値を示す。
PC13では更に、時間差Δt(f)と加速度検出器11A、11B間の間隔L(m)より、表面波の伝搬平均速度Vrb(f)と深度D(f)とを求める。
上記のパワースペクトルGAA(f)、GBB(f)、クロススペクトルGBA(f)、伝達関数H(f)、コヒーレンス関数γ(f)等の計算過程については本発明の要旨ではなく、特許文献1に記載されているので省略するが、表面波の伝搬平均速度Vrb(m/sec)と深度D(m)はそれぞれ、以下の式により算出する。
Vrb=L/Δt(f)=2π×F×L/-Δθ(f)
D=λ/2=Vrb/2F=π×L/-Δθ(f)
但し、Fは励振(起振)信号の周波数、λは加速度検出信号の波長である。
上記の算出は所望のD-Vrb曲線が得られるまで繰り返し行われる。すなわち、計測を1回行う毎に起振機15に与える励振信号の周波数を変化させる。つまり、表面波の伝搬速度と逆数関係にある伝達関数H(f)の位相差Δθ(f)が、周波数別に計測される。次に、この位相差と周波数の関係から伝搬平均速度Vrbと深度Dとを計算し、繰り返し計測を行った結果としてモニター上にD-Vrb曲線が生成、表示される。
図2(a)は、起振機15に与えられる励振信号の周波数バンドを示し、周波数f~fの領域を、ここではf~f(バンドB)、f~f(バンドB)、f~f(バンドB)の3つのバンドに分割している。この場合、図2(b)に示すように、バンドBでの計測でD-Vrb面には曲線Cが、バンドBでの計測で曲線Cが、バンドBでの計測で曲線Cがそれぞれ得られ、これらの曲線C~Cがモニター上に自動合成表示される。
図2(b)には、D-Vrb曲線に存在する変曲点のうち、以後の区間速度等の算出に必要とされる変曲点を○印で示している。以降の説明においては、特に断らない限り、D-Vrb曲線に存在する変曲点のうち、以後の区間速度等の算出に必要とされる変曲点のみを変曲点と呼ぶこととする。
いずれにしても、オペレータは、モニター上の図2(b)に示されるようなD-Vrb曲線に対して変曲点の選定を行う。選定は、カーソルによる指示や、タッチペンによる指定で行われる。尚、変曲点は、D-Vrb曲線が著しく変化している箇所が該当するが、計測する範囲において一番軟らかい地盤部分の速度を選択するため、D-Vrb曲線の変化の左端、すなわち速度Vrbが小さい箇所を変曲点として選定する。
変曲点の選定が終了すると、PC13は、選定された変曲点の情報を基に、区間速度等の算出を行う。
以上のように、本発明に係る表面波探査解析装置は、特許文献1に記載された地盤探査装置のPC13と同様のパーソナルコンピュータで実現することができ、入力信号SA、SB(時系列信号A(t)、B(t))の入力からD-Vrb曲線の生成までは、PC13に格納されている解析プログラムソフトと同じ機能を持つ解析プログラムソフトを搭載することで実現することができる。
なお、特許文献1に記載の地盤探査装置では、D-Vrb曲線上の変曲点の選定作業はオペレータにより行われるが、選定を自動的に行うこともできる。変曲点の自動選定を可能にした表面波探査解析装置は、特許文献2に記載されており、本発明に係る表面波探査解析装置においても適用され得るが、変曲点の自動選定は本発明の要旨ではないので詳しい説明は省略する。
図3は、区間速度の算定例を説明するための図である。ここでは、説明を簡単にするために、探査対象の地盤を深度方向に第1層~第4層に区分した例を示している。図3(a)に示すように、D-Vrb曲線から変曲点が選定(抽出)されると、地表面から第1層、第2層、第3層、第4層の4層の地盤が想定される。
区間速度の算定については、例えば図3に示す第2層について言えば、第2層の上位の変曲点における伝搬平均速度、計算深度、並びに第2層の下位の変曲点における伝搬平均速度、計算深度により算定する。
<第1の計算式>
区間速度の算定方法も特許文献2に記載されているので、詳しい説明は省略するが、区間速度に関する以下の3種類の第1の計算式(1-1)、(1-2)、(1-3)のいずれかが用いられる。
Figure 0007237346000001
Figure 0007237346000002
Figure 0007237346000003
なお、以降の説明では、伝搬平均速度と区間速度を区別するために、これまでの説明において使用した伝搬平均速度の表記を変更して、伝搬平均速度をVの上にバーを付けて表記すると共にVバーと呼ぶことにし、区間速度をVrj(jは正の整数で、地表面からの層番号を示す。)と表記する。例えば、第j層の上位の変曲点における伝搬平均速度をVバーと呼び、第j層の下位の変曲点における伝搬平均速度をVj+1バーと呼ぶ。また、第j層の上位の変曲点における深度をDと表記し、第j層の下位の変曲点における深度をDj+1と表記する。
上記第1の計算式(1-1)~(1-3)のいずれを用いるかは条件式に基づいて決定され、この条件式についても特許文献2に記載されているので説明は省略する。
上述した表面波探査の結果、深度方向に区分した層別の区間速度が得られる。これは地盤解析の結果、探査位置における地盤を、物理的な性状が類似した範囲(層)に深度方向に区分し、各層を、物理的な地盤性状を反映した表面波速度(区間速度)により示していることを意味する。
しかし、前述したように、深部になるにつれて得られる表面波速度(区間速度)は拘束圧の影響が増大してゆく。拘束圧は当該深度における土荷重によって表されるため、土質、水位などの情報をもとに、概略の大きさを算定することができる。表面波探査は、物理探査であり、破壊を伴わない地盤探査であることから、区間速度値以外の地盤情報は殆ど得ることはできない。
このような状況下、本実施形態においては、他の調査結果等の既存資料より、必要な地盤定数を設定する。そして、これらの地盤定数と、以下に説明する、<第2の計算式>あるいは<第3の計算式>を用いて、表面波探査によって得られた区間速度に対して、拘束圧の影響を補正する計算処理を行う。勿論、この計算処理も、PC13のメモリにあらかじめ格納されている補正プログラムに基づいて実行される。本実施形態に関連して使用される地盤定数としては、地盤の単位体積重量、ポアソン比、地下水位等が挙げられる。
基本的には、後述する<第2の計算式>、<第3の計算式>のうちの<第3の計算式>を用いる。しかし、近隣(探査現場の周囲500m以内)において他の調査方法による探査が既に行われており、その中で特に検層(速度検層及び密度検層)が実施されて、そのデータが既存資料として参考にできる場合は、<第2の計算式>を用いる。また、既存資料が少なく、地盤定数についての情報が乏しい場合は、以降の<第2の計算式>、<第3の計算式>の説明に示した地盤定数を用いるものとする。表面波探査に先立ち、オペレータは、PC13を通して<第2の計算式>、<第3の計算式>のいずれを用いるかを指定しておく。
<第2の計算式>
図3で説明したように、地表面から、第1層、第2層、・・・第n層(図3では、n=4)と層序が構成されている場合、第n層には、第n-1層までの有効土被り圧σ´が作用する。第n層に作用する有効土被り圧σ´は、第1層~第n-1層までの各層の層厚と各層の単位体積重量の積の総和で表される。地盤の剛性は、拘束圧の平方根に比例することから、補正係数C(但し、C>1の場合はC=1とする)を以下の式(2-2)のように設定し、以下の式(2-1)により、拘束圧の影響を補正した表面波速度(区間速度)Vrn´を算定する。式(2-2)は、非特許文献1に記載されている。
Figure 0007237346000004
Figure 0007237346000005
ここで、Vrn:第n層の表面波探査結果による区間速度(m/s)、C:第n層における区間速度の補正係数、Vrn´:第n層の補正後の区間速度(m/s)、σon´バー:以下の式(2-3)、(2-4)に基づいて得られる式(2-5)、(2-6)により算出される、第n層に作用する平均有効土被り圧(kN)。
Figure 0007237346000006
Figure 0007237346000007
Figure 0007237346000008
Figure 0007237346000009
ここで、σxn´:第n層のX軸方向の有効土被り圧(kN)、σyn´:第n層のY軸方向の有効土被り圧(kN)、σzn´:第n層のZ軸方向の有効土被り圧(kN)、ν:第n層のポアソン比、h:第1層~第n-1層の各層の層厚(m)、γ:第1層~第n-1層の各層の単位体積重量(kN/m3)。なお、記号γがコヒーレンス関数を示す場合と単位体積重量を示す場合とで重複しているが、単位体積重量を下付きの添え字付きのγとすることでコヒーレンス関数と区別している。ポアソン比νは、他の調査結果等の既存資料より決定しても良い。この場合、ポアソン比νは、表面波探査の都度、PC13を通して入力される。情報が不足している場合は、以下の値を適用する。以下の値は、あらかじめ解析プログラム中に含まれており、PC13を通して指定する。
砂質土:0.4~0.3、代表値としてν=0.35
粘性土:0.5~0.4、代表値としてν=0.49
単位体積重量γは、他の調査結果等の既存資料より決定する。この場合、単位体積重量γは、表面波探査の都度、PC13を通して入力される。情報が不足している場合は、単位体積重量γiは以下の式(2-7)、(2-8)により算定する。以下の式(2-7)、(2-8)も、あらかじめ解析プログラム中に含まれており、どちらの式を採用するかを、PC13を通して指定する。
Figure 0007237346000010
但し、Vriは、第i層の表面波探査結果による区間速度である。
地下水位以深の層においては、単位体積重量は(γ-9.8)とするのが望ましい。地下水位の有無について、既存資料などから情報が得られない場合は、標高0m以深には地下水位があるものとする。この場合、調査位置の標高によって調査データに対する地下水の有無を確定させることができる。例えば、標高20mの位置で計測を行い、地盤情報が不足している場合、深度20m以浅は地下水無しとして単位体積重量γをそのまま用い、20mより深い範囲については地下水有りとして単位体積重量は(γ-9.8)を用いる。
図4に、補正前の区間速度を点線で示し、上記第2の計算式による補正後の区間速度の一例(第1の例)を実線で示す。
なお、上記第2の計算式では、補正係数Cを式(2-2)により算出しているが、補正係数Cの変形例として以下の式(2-2´)を用いても良い。この式(2-2´)は、非特許文献2に記載されている。
Figure 0007237346000011
図5には、補正前の区間速度を点線で示し、上記第2の計算式において補正係数Cの変形例を用いて補正された区間速度の一例(第2の例)を実線で示す。
<第3の計算式>
前述したように、地表面から第1層、第2層、・・・第n層と層序が構成されている場合、第n層には、第n-1層までの有効土被り圧σ´が作用する。第n層に作用する有効土被り圧σ´は、第1層~第n-1層までの各層の層厚と単位体積重量の積の総和となる。地盤の剛性は、拘束圧の平方根に比例することから、補正係数C(但し、C>1の場合はC=1とする)を以下の式(3-2)のように設定し、以下の式(3-1)により、拘束圧の影響を補正した表面波速度(区間速度)Vrn´を算定する。式(3-2)は、非特許文献1に記載されている。
Figure 0007237346000012
Figure 0007237346000013
ここで、Vrn:第n層の表面波探査結果による区間速度(m/s))、C:第n層における区間速度の補正係数、Vrn´:第n層の補正後の区間速度(m/s)、σ´:以下の式(3-3)で算定される第n層の有効土被り圧(kN)。
Figure 0007237346000014
ここに、hi:第i層の層厚(m)、γi:第i層の単位体積重量(kN/m3)。
単位体積重量γiは、他の調査結果等の既存資料より決定する。この場合、単位体積重量γiは、表面波探査の都度、PC13を通して入力される。前述した第2の計算式の場合と同様、情報が不足している場合は、単位体積重量γiは以下の式(3-4)、(3-5)により算定する。以下の式(3-4)、(3-5)は、前述した式(2-7)、(2-8)と同じであり、あらかじめ解析プログラム中に含まれており、どちらの式を採用するかを、PC13を通して指定する。
Figure 0007237346000015
地下水位以深の地盤層においては、単位体積重量は(γ-9.8)とするのが望ましい。地下水位の有無について、既存資料などから情報が得られない場合は、標高0m以深には地下水位があるものとする。
図6に、補正前の区間速度を点線で示し、上記第3の計算式による補正後の区間速度の一例(第3の例)を実線で示す。
なお、上記第3の計算式では、補正係数Cを式(3-2)により算出しているが、変形例として以下の式(3-2´)を用いても良い。この式(3-2´)は、非特許文献2に記載されている。
Figure 0007237346000016
図7には、補正前の区間速度を点線で示し、上記第3の計算式において補正係数Cの変形例を用いて補正された区間速度の一例(第4の例)を実線で示す。
以上説明してきたように、本発明の実施形態によれば、表面波探査法により得られる区間速度値に対して深度に応じた拘束圧を考慮した補正を行うことができるので、探査精度を上げ、より深部を対象とした地盤探査への適用を広げることができる。
本発明による表面波探査解析装置及び表面波探査解析方法は、地盤探査への適用に適している。
11A、11B 加速度検出器
12 計測部
13 パーソナルコンピュータ

Claims (4)

  1. 地表面を上下に起振することにより、その周囲に発生する表面波の上下振動を検出して、地盤探査を行う地盤探査システム用の表面波探査解析装置であって、
    該表面波探査解析装置は、
    前記表面波の上下振動を検出するために間隔Lをおいて起振現場に配置される少なくとも2つの加速度検出器と、
    前記2つの加速度検出器からの検出信号を受けて加速度時系列信号A(t),B(t)を出力する計測部と、
    前記加速度時系列信号A(t),B(t)を入力信号SA、SBとして受信し、受信した前記入力信号SA、SBを処理して表面波の伝搬平均速度Vrb(f)と深度D(f)とを算出し、前記伝搬平均速度Vrb(f)と前記深度D(f)とを算出する処理を繰り返して深度D-伝搬平均速度Vrb曲線を生成した後、生成した深度D-伝搬平均速度Vrb曲線に対して複数の変曲点を選定し、選定した複数の変曲点間の区間速度を算出する解析部とを含み、
    前記解析部はさらに、複数の変曲点の間にそれぞれ、地盤表面側から順に第1層~第n層の地盤層を設定して、各地盤層に作用する土被り圧を算出すると共に、算出した土被り圧に基づいて層別に前記区間速度の補正係数を算出し、算出した補正係数に基づいて前記区間速度を補正することにより、前記土被り圧が区間速度に及ぼす影響を層別に補正するものであり、
    地表面から第1層、第2層、・・・第n層と地盤層が構成され、前記解析部が、前記第n層の区間速度としてV rn を算出した場合、前記解析部はさらに、下記の式(2-5)、(2-6)により第n層に作用する平均有効土被り圧を算出した後、下記の式(2-2)により第n層の補正係数C を算出し、続いて下記の式(2-1)により第n層の補正された区間速度V rn ´を算出することを特徴とする表面波探査解析装置。
    Figure 0007237346000017
    Figure 0007237346000018
    但し、σ on ´バーは第n層に作用する平均有効土被り圧(kN)
    Figure 0007237346000019
    但し、ν は第n層の地盤のポアソン比、σ zn ´は第n層のZ軸方向の有効土被り圧(kN)
    Figure 0007237346000020
    但し、h は第i層の層厚(m)、γ は第i層の単位体積重量(kN/m 3 )
  2. 請求項に記載の表面波探査解析装置において、前記式(2-2)に代えて、下記の式(2-2´)により第n層の補正係数Cを算出することを特徴とする表面波探査解析装置。
    Figure 0007237346000021
  3. 地表面を上下に起振することにより、その周囲に発生する表面波の上下振動を検出して、地盤探査を行う地盤探査システム用の表面波探査解析装置であって、
    該表面波探査解析装置は、
    前記表面波の上下振動を検出するために間隔Lをおいて起振現場に配置される少なくとも2つの加速度検出器と、
    前記2つの加速度検出器からの検出信号を受けて加速度時系列信号A(t),B(t)を出力する計測部と、
    前記加速度時系列信号A(t),B(t)を入力信号SA、SBとして受信し、受信した前記入力信号SA、SBを処理して表面波の伝搬平均速度Vrb(f)と深度D(f)とを算出し、前記伝搬平均速度Vrb(f)と前記深度D(f)とを算出する処理を繰り返して深度D-伝搬平均速度Vrb曲線を生成した後、生成した深度D-伝搬平均速度Vrb曲線に対して複数の変曲点を選定し、選定した複数の変曲点間の区間速度を算出する解析部とを含み、
    前記解析部はさらに、複数の変曲点の間にそれぞれ、地盤表面側から順に第1層~第n層の地盤層を設定して、各地盤層に作用する土被り圧を算出すると共に、算出した土被り圧に基づいて層別に前記区間速度の補正係数を算出し、算出した補正係数に基づいて前記区間速度を補正することにより、前記土被り圧が区間速度に及ぼす影響を層別に補正するものであり、
    地表面から第1層、第2層、・・・第n層と地盤層が構成され、前記解析部が、前記第n層の区間速度としてVrnを算出した場合、前記解析部はさらに、下記の式(3-3)により第n層に作用する有効土被り圧を算出した後、下記の式(3-2)により第n層の補正係数Cを算出し、続いて下記の式(3-1)により第n層の補正された区間速度Vrn´を算出することを特徴とする表面波探査解析装置。
    Figure 0007237346000022
    Figure 0007237346000023
    但し、σ´は第n層の有効土被り圧(kN)
    Figure 0007237346000024
    但し、hは第i層の層厚(m)、γは第i層の単位体積重量(kN/m3)
  4. 請求項に記載の表面波探査解析装置において、前記式(3-2)に代えて、下記の式(3-2´)により第n層の補正係数Cを算出することを特徴とする表面波探査解析装置。
    Figure 0007237346000025
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