JP7237292B1 - 健康美容増進剤 - Google Patents

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Abstract

【解決手段】本発明は、受託番号FERM P-20747で特定される乳酸菌と、受託番号FERM P-20748で特定される乳酸菌と、受託番号FERM P-20749で特定される乳酸菌と、受託番号FERM P-20750で特定される乳酸菌との4種類の乳酸菌、又は、当該4種類の乳酸菌による発酵物を有効成分とし、全健康美容増進剤中の全乳酸菌の生菌数は、107cfu以上であり、健康美容増進剤のpHは、3.5~4.5の範囲内に設定され、IgA抗体の産出、睡眠の改善、角層水分量の増加、整腸作用及び血糖値上昇抑制を促進するための健康美容増進剤である。これにより、乳酸菌を用いて、IgA抗体の産出や睡眠の改善をすることが可能で、肌トラブルの発現を抑制し、整腸作用を有し、血糖値の上昇抑制により肌の糖化を抑え、老化防止や生活リズムの安定を促し、循環器系の疾病を予防することが可能となる。【選択図】図1

Description

IPOD FERM P-20747 IPOD FERM P-20748 IPOD FERM P-20749 IPOD FERM P-20750
特許法第30条第2項適用 令和4年5月31日に株式会社日本BBM研究所のHPにて電気通信回線を通じて公開
本発明は、健康美容増進剤に関する。
従来より、乳酸菌を用いてヒトの病気を改善したり予防したりして、ヒトの健康を増進するための技術は多種存在する。例えば、特開2008-239553号公報(特許文献1)には、植物系乳酸菌により免疫系が活性化することが記載されている。
ここで、乳酸菌には、植物由来乳酸菌(植物性乳酸菌、植物系乳酸菌)と、動物由来乳酸菌(動物性乳酸菌、動物系乳酸菌)とに分けることが出来る。植物由来乳酸菌とは、耐熱性、耐塩性、耐酸性を有する微好気性菌であり、腸内環境を改善できる善玉菌である。一方、動物由来乳酸菌とは、チーズやヨーグルトの生成に利用される嫌気性菌であるが、耐熱性、耐塩性、耐酸性のいずれも無く、ヒトを含む動物が摂取しても、胃酸やコール酸(胆汁)で死滅し、環境温度が41.9度以上になると細胞膜が損傷・破壊される。植物由来乳酸菌は、動物由来乳酸菌が自然の厳しい環境の下、植物細胞内で生き延びて嫌気性菌から微好気性菌に変異した特別な菌である。
又、植物由来乳酸菌には、更に、ホモ型乳酸菌とヘテロ型乳酸菌とに分けることが出来る。ホモ型乳酸菌とは、乳酸発酵による代謝物の100%が(炭酸ガスを除いて)乳酸である乳酸菌を意味する。一方、ヘテロ型乳酸菌とは、乳酸発酵による代謝物の50%以上が(炭酸ガスを除いて)乳酸であり、その他の代謝物が乳酸以外の有機酸(例えば、エタノール、酢酸、ギ酸等)である乳酸菌を意味する。
このような乳酸菌の種類に着目して、ヒトの健康を増進するための技術が開発されている。例えば、非特許文献1(Food Microbiology,2005年,Vol.22,p.53-61)には、ニンジンジュースを、ホモ型乳酸菌であるLactobacillus pentosus FSC1と、ヘテロ型乳酸菌であるLeuconostoc mesenteroides FSC2の共培養により乳酸発酵させ、pH3.6で、乳酸菌の生菌数が109cfu ml-1のものを得ることが開示されている。ここでは、共培養により乳酸発酵させた乳酸菌液をスターターとして用いて、発酵させたニンジンジュースを製造することで、健康に役立てることが開示されている。
又、特開2014-128216号公報(特許文献2)には、野菜又は果物の破砕物、磨砕物を、ホモ型乳酸菌であるラクトバチルス・プランタラムと、ヘテロ型乳酸菌であるラクトバチルス・ブレビスとの組合せを含む乳酸菌で発酵させた乳酸菌発酵食品素材が開示されている。ここでは、酵母エキス、ペプトン等を添加した還元脱脂乳培地等の公知の培地を用いて、スターターとなる乳酸菌を調製し、発酵の終点は、pH4.0~4.5、生菌数が107となった段階とし、実施例として、ニンニク、トマト、又はブロッコリーを加熱して粉砕したものを、ホモ型乳酸菌であるラクトバチルス・プランタラムと、ヘテロ型乳酸菌であるラクトバチルス・ブレビスの共培養により発酵させることが開示されている。
又、特開2009-100677号公報(特許文献3)には、乳酸菌として、受託番号FERM P-20747で特定される乳酸菌、受託番号FERM P-20750で特定される乳酸菌、受託番号FERM P-20748で特定される乳酸菌が開示され、乳酸菌を野菜や果物に導入することが出来るとしている。
又、特開2008-239553号公報(特許文献4)には、植物系乳酸菌ラクトバシラス・クルバータスKN-40(受託番号NITE P-335)の生菌体及び/或いは死菌体を、生体の免疫能昂進作用及び抗腫瘍作用を有する食性素材又は医薬品素材として使用する植物系乳酸菌ラクトバシラス・クルバータスKN-40の使用方法が開示されている。これにより、免疫賦活効果並びに腫瘍抑制効果を期待することが出来るとしている。
一方、本発明者の親族は、特開2017-099373号公報(特許文献5)に示すように、ホモ型植物由来乳酸菌と、ヘテロ型植物由来乳酸菌とを配合し、当該配合物を乳酸発酵することで得られた乳酸菌液を特許出願して、権利化している。又、本発明者の親族は、特開2022-061209号公報(特許文献6)に示すように、この乳酸菌粉末を、食肉に付着することで、乳酸菌を用いて、長期間にわたる抗大腸菌効果を発揮出来る食肉加工食品を特許出願している。
特開2008-239553号公報 特開2014-128216号公報 特開2009-100677号公報 特開2008-239553号公報 特開2017-099373号公報 特開2022-061209号公報
Food Microbiology,2005年,Vol.22,p.53-61
ところで、免疫系は、体内に侵入しようとする細菌やウイルス等の病原体や体内で生じた腫瘍細胞を排除する役割を担っている。この免疫系では、特定のタンパク質等の分子(抗原)を認識して結合する働きをもつ免疫グロブリン(抗体)が重要な役割を果たしている。ここで、免疫グロブリンの一種であるIgA抗体は、体内で最も多量に産生される抗体であり、腸管、気道及び口腔等の粘膜に分泌されている。腸内で産生されるIgA抗体は、病原性微生物の腸管上皮細胞への付着及び感染を阻止し、細菌由来毒素を中和する。又、IgA抗体は、腸内においてアレルゲンとなる食品由来の抗原と結合し、腸管壁の通過を阻止することで、食物アレルギーを抑制する。
ここで、近年、乳酸菌の種類によっては、IgA抗体の産生を促進する菌種や抑制する菌種があることが分かってきており、腸内でIgA抗体の産生を促進する乳酸菌を摂取すれば、ヒトの腸内細菌叢の改善に寄与し、感染症と食物アレルギーを予防することが出来ることが期待される。
その他に、乳酸菌は、睡眠の改善の可能性も示唆されている。睡眠は、ヒト等の高等動物にとって重要な生理機能のひとつであり、現代人は、ストレスの増加や生活習慣の変化から睡眠に対する満足度が減少し、5人に1人が睡眠に対して何らかの不満を持っていると言われている。従来、睡眠薬によって睡眠の改善が図られていたが、睡眠薬の副作用や医師の処方の必要性等から、安全で気軽に摂取可能な食品の探索が行われている。食品のうち、特定の乳酸菌を摂取することで、睡眠を改善することが出来る例も報告されてきており、免疫系の強化のみならず、睡眠の改善までも乳酸菌により解決出来る可能性が出てきている。
ここで、特許文献1-6や非特許文献1に記載の技術や非特許文献1に記載の技術には、IgA抗体の産出や睡眠の改善に有効な乳酸菌が開示されていない。
ところで、近年、高齢化の進行、生活習慣病患者やその予備軍の増加により、日本国においてヒトの健康寿命の延長が課題になってきている。ヒトの健康寿命の延長のためには、生活習慣の改善が必要であるが、具体的な改善方法の探索が求められており、国民の関心も高まっている。上述のように、IgA抗体の産出や睡眠の改善は、ヒトの健康寿命の延長に役立つところであり、現在、これらに寄与する有効な乳酸菌が求められている。更に、肌トラブルの防止や整腸作用、血糖値の上昇抑制についても、効果的な乳酸菌が求められている。
そこで、本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、乳酸菌を用いて、IgA抗体の産出や睡眠の改善をすることが可能で、肌トラブルの発現を抑制し、整腸作用を有し、血糖値の上昇抑制により肌の糖化を抑え、老化防止や生活リズムの安定を促し、循環器系の疾病を予防することが可能な健康美容増進剤を提供することを目的とする。
本発明は、受託番号FERM P-20747で特定される乳酸菌と、受託番号FERM P-20748で特定される乳酸菌と、受託番号FERM P-20749で特定される乳酸菌と、受託番号FERM P-20750で特定される乳酸菌との4種類の乳酸菌、又は、当該4種類の乳酸菌による発酵物を有効成分とし、全健康美容増進剤中の全乳酸菌の生菌数は、10cfu以上であり、健康美容増進剤のpHは、3.5~4.5の範囲内に設定され、IgA抗体の産出、睡眠の改善、角層水分量の増加、整腸作用及び血糖値上昇抑制を促進するための健康美容増進剤である。
本発明によれば、乳酸菌を用いて、IgA抗体の産出や睡眠の改善をすることが可能で、肌トラブルの発現を抑制し、整腸作用を有し、血糖値の上昇抑制により肌の糖化を抑え、老化防止や生活リズムの安定を促し、循環器系の疾病を予防することが可能となる。
本発明に係るホモ型植物由来乳酸菌とヘテロ型植物由来乳酸菌との顕微鏡写真と、これらの配合・乳酸発酵により得られた4種類の乳酸菌による発酵物の写真である。 試験例1において、実施例1と比較例1のそれぞれの服用前後の糞便中のIgA抗体の量とp値とを示す表と、各被験者毎の服用前後の糞便中のIgA抗体の量の変化を示すグラフである。 試験例1において、実施例1の腸内細菌メタゲノム解析による服用前後の糞便中の各腸内細菌の割合を示す表である。 試験例1において、実施例1の服用前後において糞便中の各腸内細菌の割合をまとめた棒グラフである。 試験例1において、比較例1の腸内細菌メタゲノム解析による服用前後の糞便中の各腸内細菌の割合を示す表である。 試験例1において、比較例1の服用前後において糞便中の各腸内細菌の割合をまとめた棒グラフである。 試験例1において、実施例1と比較例1のそれぞれの服用後の体調・精神面の変化のアンケートの結果を示す棒グラフである。 試験例1において、実施例1と比較例1のそれぞれの服用後の睡眠の質の改善のアンケートの結果を示す棒グラフである。 本発明に係る健康美容増進剤の粉体と加工食品の一例を示す写真である。 試験例5において、実施例5の摂取1週間後と摂取2週間後の角層水分量の結果を示す表である。 試験例5において、実施例5の摂取前1週間と摂取1週間後と摂取2週間後の各質問のスコアとスコアの合計の結果を示す表である。 試験例5において、実施例5の摂取前1週間と摂取1週間後と摂取2週間後の便の回数とその合計の結果を示す表である。 試験例5において、実施例5の摂取前1週間と摂取1週間後と摂取2週間後の便の形状に関するスコアと1回当たりスコアの結果を示す表である。 実施例6の健康美容増進剤の経口摂取前の血糖値と分析値の結果を示す表である。 実施例6の健康美容増進剤の経口摂取後の血糖値と分析値の結果を示す表である。 実施例6の健康美容増進剤の経口摂取前後の分析値の結果を示す表である。
以下に、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
本発明者は、長年、植物由来乳酸菌を研究しており、特に、ホモ型植物由来乳酸菌の受託番号FERM P-20750で特定される乳酸菌と、受託番号FERM P-20747で特定される乳酸菌との2種類と、ヘテロ型植物由来乳酸菌は、受託番号FERM P-20749で特定される乳酸菌と、受託番号FERM P-20748で特定される乳酸菌との2種類に着目して研究を進めてきた。これらの植物由来乳酸菌は、Bacteroides属(ラクトバチルス桿菌属)である。
4種類の植物由来乳酸菌のうち、Lacticaseibacillus casei(受託番号P-20750)は、整腸作用・免疫改善・抗アレルギー・歯周病予防・口臭予防・発癌リスク軽減作用を有すると言われており、Lacticaseibacillus paracasei(受託番号P-20747)は、免疫改善・抗アレルギー・体内免疫細胞Th1とTh2のバランス改善作用を有すると言われている。又、Levilactobacillus brevis(受託番号P-20748)は、整腸作用・NK細胞活性化免疫改善・発癌リスク軽減効果を有すると言われており、Schleiferilactobacillus perolens(受託番号P-20749)は、血糖低下・免疫改善・抗アレルギー作用を有すると言われている。
本発明者は、この4種類の植物由来乳酸菌をバランス良く配合することで、細胞活性による、あらゆる生物の健康美容増進、免疫力向上等を図ることが出来ることを示してきたが、今回、IgA抗体の産出や睡眠の改善、肌トラブルの発現の抑制、整腸作用、血糖値の上昇抑制等にも効果があるのではないかと考え、後述する実施例に基づいて、本発明を完成させたのである。
即ち、本発明に係る健康美容増進剤は、図1に示すように、受託番号FERM P-20747で特定される乳酸菌と、受託番号FERM P-20748で特定される乳酸菌と、受託番号FERM P-20749で特定される乳酸菌と、受託番号FERM P-20750で特定される乳酸菌との4種類の乳酸菌、又は、当該4種類の乳酸菌による発酵物を有効成分とし、全健康美容増進剤中の全乳酸菌の生菌数は、10cfu以上であり、IgA抗体の産出、睡眠の改善、角層水分量の増加、整腸作用及び血糖値上昇抑制を促進するための健康美容増進剤である。ここで、発酵物は、4種類の乳酸菌を糖質及び蛋白質に作用させて乳酸発酵することで得られるものを意味し、4種類の乳酸菌の代謝産物が含まれる。
ここで、上述の4種類の乳酸菌又は発酵物を経口摂取すると、4種類の乳酸菌は、胃内で死滅せず、小腸まで生菌のまま運ばれ、プロバイオティクス効果を発揮する。特に、4種類の乳酸菌は、ホモ型植物由来乳酸菌とヘテロ型植物由来乳酸菌とのそれぞれの機能の違いを相互に補完して、単一菌では得ることが出来ない複数菌の相乗効果を発揮する。この4種類の乳酸菌が機能を補完して共存している状態を補完共存状態と言う。そして、4種類の乳酸菌は、腸内環境を整えるのである。尚、プロバイオティクスとは、概ね、腸内細菌叢のバランスを改善することにより、ヒトに有益な作用をもたらす生きた微生物を意味する。
ここで、ヒトの腸内でのプロバイオティクス効果を確実に得るためには、摂取する4種類の乳酸菌の生菌数は、10cfu以上の必要がある。ヒトの腸内では、善玉菌と日和見菌と悪玉菌とのバランスにより腸内環境が調整されており、一定のバランスが保たれた均衡状態を腸内細菌叢と呼ぶ。小腸の腸内細菌叢では、嫌気性、好気性等、様々な細菌が生存している。このような小腸の腸内細菌叢に、4種類の乳酸菌の良好な影響を及ぼすためには、十分な生菌数を必要とするのである。
そして、本発明では、4種類の乳酸菌がヒトの腸内細菌叢を顕著に改善することで、免疫グロブリンの一種のIgA抗体の産出が顕著に発揮される。ここで、IgA抗体は、主に、体内の粘膜部分の粘膜免疫で中心的な役割を果たす免疫グロブリンであり、例えば、ヒトが呼吸や食事等を行うと、空気中や食品中に含まれるウイルスや細菌等の病原体が体内に入り込み、体内中の粘膜部分に最初に接触する。粘膜部分には、IgA抗体等の粘膜免疫がバリア機能を発揮することで、体内への病原体の入り込みを阻害する。粘膜免疫力が低下すると、病原体が体内へ入り込み易くなり、病原体による感染症を患ったり、食物アレルギー等を引き起こしたりする。本発明では、4種類の乳酸菌が腸内細菌叢を顕著に改善することで、IgA抗体の産出を促進し、感染症と食物アレルギーの予防に寄与することが出来るのである。
更に、本発明では、腸内細菌叢のうち、Bacteroides属を有意に増加させる。ここで、腸内細菌叢のBacteroides属は、そのヒトの睡眠の質に関係しており、腸内細菌叢のBacteroides属が増加することで、そのヒトの睡眠の改善にも役立つのである。
そして、本発明では、4種類の乳酸菌の経口摂取により、口腔内環境の改善にも効果的である。口腔内は、腸内と同様に様々な細菌が生存している。本発明では、4種類の乳酸菌を経口摂取することで、口腔内の細菌叢を改善し、常在菌のうち、善玉菌の数を増やし、口腔内細菌叢の改善に伴って、皮膚の保湿を高めたり、健康な肌にしたりする美肌効果を得ることが出来る。例えば、口腔内のジンジバリス菌が唾液とともに胃や腸へ流れ込むと、腸内細菌叢がバランスを崩し、腸のバリア機能が低下し、血中に細菌由来の毒素量が増加する。そこで、口腔内細菌叢を改善することで、腸内細菌叢の不良を防止し、全体としての免疫系の強化につなげることが出来る。
更に、口腔内細菌叢や腸内細菌叢の改善により、皮膚の弾力性、乾燥及び鱗屑の程度が改善され、肌の角層水分量の増加を促進し、キメ密度を改善することが出来る。その他にも、腸内細菌叢と口腔内細菌叢の改善によって、整腸作用が促進され、快食、快便、新陳代謝、美白肌、健康爪等の促進、頭髪や日焼け等の改善にもつながる。
又、本発明では、4種類の乳酸菌は、大腸菌、サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌等の悪玉菌と作用して、24時間程度で死滅させることが出来るため、4種類の乳酸菌による制菌、殺菌等のバイオプリザベーション効果も発揮することが可能となる。バイオプリザベーションとは、植物、動物並びに微生物起源の抗菌作用をもつ物質で、何らの有害作用もなく、食品として、或いは食品と共に長期間食べられてきたものを利用して食品を保存する方法を意味する。本発明では、4種類の乳酸菌は、腸内細菌叢に送られ、増殖することで、腸内細菌叢の悪玉菌を低減させ、善玉菌を増加させることで、腸内細菌叢の改善に寄与する。
又、本発明では、4種類の乳酸菌が、腸内において、血液へ運ばれる糖を吸収・分解することで、血糖値の上昇を抑制することが可能であり、肌の糖化を抑制することが出来る。そのため、本発明は、4種類の乳酸菌の経口摂取で、糖吸収抑制による老化防止に寄与するとともに、睡眠の改善による生活リズムの安定、肌トラブルの発現の抑制を期待することが可能である。
特に、4種類の乳酸菌は、わずかな量で食品中で増殖させることも可能であることから、4種類の乳酸菌を用いた発酵物の食品の経口摂取により、4種類の乳酸菌の菌数をヒトの腸内で効果的に自然発生的に増殖させることが可能であり、4種類の乳酸菌による発酵物でも、上述した作用効果を期待することが出来る。
又、4種類の乳酸菌を用いた発酵物の食品では、4種類の乳酸菌起源の抗菌作用を持つため、人工的な抗菌添加物を添加する必要が無く、ヒトに対して無害な食品とすることが可能である。又、本発明での食品は、長期間食べられてきた4種類の乳酸菌を利用しており、抗菌作用を有することから、食品の保存性にも優れており、且つ、人工的な化学物質を使用しない、安心安全な食品として提供することが可能である。
ここで、本発明に係る健康美容増進剤の形態に特に限定は無いが、例えば、4種類の乳酸菌又は発酵物を含む液体、-4度~4度の範囲内で4種類の乳酸菌又は発酵物がフリーズドライされた粉体、4種類の乳酸菌又は発酵物を含む加工食品を挙げることが出来る。ここで、フリーズドライとは、水分を含んだ食品を、例えば、-30度程度で急速に凍結し、更に減圧して真空状態にして、水分を昇華させて乾燥させることを意味する。本発明では、-4度~4度の範囲内で4種類の乳酸菌又は発酵物がフリーズドライされると、4種類の乳酸菌が生菌のまま安定保存されることから、この粉体を経口摂取することで、体内で粉体が解凍した際に、4種類の乳酸菌が生菌のまま体内に取り込まれる。そのため、このような粉体を経口摂取することは、4種類の乳酸菌を生菌のまま経口摂取することと同義になる。
ここで、健康美容増進剤が液体の場合は、4種類の乳酸菌が口腔内及び腸内に浸透し易いことから、上述した効果を得やすくする。又、健康美容増進剤が粉体の場合は、保存性と携帯性が優れ、いつでもどこでも健康美容増進剤を経口摂取することが可能になる。例えば、粉体は、液体と比較して、長期的に(2年以上)安定して保存することが可能となる。又、粉体を他の食品に添加することで、4種類の乳酸菌を含む食品を簡単に作ることが出来る。粉体は、例えば、カプセルに入れたサプリメントとして用いたり、粉末を清涼飲料水等の液体に溶かして用いたりすることが出来る。又、健康美容増進剤が加工食品の場合は、普段の食事で4種類の乳酸菌を含む加工食品を一緒に摂取することが可能となり、継続摂取を容易にする。
尚、健康美容増進剤は、pHが3.5~4.5の範囲内の弱酸性に設定される。健康美容増進剤が特定のpHの範囲内に設定されることで、4種類の乳酸菌が補完共存状態になり、口腔内及び腸内へ生菌のまま存在し易くなる。一方、pHが3.5未満の場合、又は、pHが4.5を超える場合、4種類の乳酸菌は、液体中で生存し難いことから、上述の効果が得難くなるため、好ましくない。
又、本発明に係る健康美容増進剤中の全乳酸菌の生菌数は、10cfu以上であれば、特に限定は無いが、例えば、10cfu~10cfuであれば好ましく、10cfu~10cfuであると更に好ましく、10cfu~1012cfuであると最も好ましい。全乳酸菌の生菌数が増加する程、ヒトの腸内細菌叢を顕著に改善し、IgA抗体の産出を促進するとともに、Bacteroides属を顕著に増加させて、睡眠の改善を促すことが出来る。更に、全乳酸菌の生菌数が一定以上あることで、肌トラブルの発現抑制、整腸作用、血糖値の上昇抑制、肌の糖化抑制、老化防止、生活リズムの安定、循環器系の疾病の予防に効果的である。
又、本発明に係る健康美容増進剤は、4種類の乳酸菌が乳酸発酵可能な糖質及び蛋白質を含有し、当該4種類の乳酸菌の増殖を継続させることが可能であると好ましい。即ち、4種類の乳酸菌は、生菌のまま、本健康美容増進剤に含有されているが、これに糖質及び蛋白質を含有させることで、生菌である4種類の乳酸菌が増殖を継続する。4種類の乳酸菌の増殖によって、乳酸やその他の有機酸が増加し、健康と美容の効果を高めることが出来る。
又、健康美容増進剤が、4種類の乳酸菌と糖質と蛋白質とを併存した状態にすることで、ヒトが経口摂取した際に、口腔から腸内まで4種類の乳酸菌の生存と増殖を継続することが可能であるため、口腔内や腸内で4種類の乳酸菌が生菌として届き、健康と美容の効果を更に高めることが出来る。一方、4種類の乳酸菌だけの単体摂取では、生菌としての存続が危ぶまれる可能性がある。
特に、本発明に係る健康美容増進剤を含む加工食品では、4種類の乳酸菌と糖質と蛋白質とが併存することで、乳酸やその他の有機酸の増加により、加工食品中に含まれる蛋白質を、加熱処理や凝固物質(ゼラチンやにがりなど)の添加をすることなく、収縮して凝固させることが可能となる。この効果は、加工食品の加熱処理の省略や凝固物質の低減や削減などに役立ち、経済性を高めることが出来る。又、生菌の増殖により、更に、バイオプリザベーションによる食品の安全性と保存性を向上させ、化学的物質の不使用による健康不安を減らし、ゼラチンなどを動物由来原料を不使用として、ヴィーガン食品にも貢献させることが可能である。
又、本発明に係る健康美容増進剤において、糖質及び蛋白質を含有する場合、4種類の乳酸菌や糖質、蛋白質の濃度に特に限定は無いが、例えば、4種類の乳酸菌の濃度は、全健康美容増進剤に対して、0.5重量%~10.0重量%の範囲内であると好ましく、糖質の濃度は、全健康美容増進剤に対して、0.5重量%~50.0重量%の範囲内であると好ましく、蛋白質の濃度は、全健康美容増進剤に対して、0.5重量%~80.0重量%の範囲内であると好ましい。又、糖質及び蛋白質は、4種類の乳酸菌の濃度に応じて、糖質の濃度は、全健康美容増進剤に対して、1.0重量%~30.0重量%の範囲内であると更に好ましく、蛋白質の濃度は、全健康美容増進剤に対して、1.0重量%~50.0重量%の範囲内であると好ましい。これにより、4種類の乳酸菌と糖質と蛋白質がバランスよく保ち、4種類の乳酸菌の増殖や維持を行うことが可能となる。
又、4種類の乳酸菌と糖質と蛋白質のバランスについて、特に限定は無いが、例えば、4種類の乳酸菌と糖質と蛋白質との混合比率は、重量比で、1:1~5:1~10であると好ましく、1:2~4:3~8であると更に好ましい。具体的には、4種類の乳酸菌と糖質と蛋白質との混合比率は、1:3:5に設定される。これにより、4種類の乳酸菌の乳酸発酵の際に、糖質と蛋白質とを適度に消費して、生菌として存続し、且つ、増殖することが可能となる。
又、本発明に係る発酵物は、4種類の乳酸菌を糖質及び蛋白質に作用させて乳酸発酵することで得られるものであるが、この乳酸発酵の方法に特に限定は無い。例えば、通常の培養方法が利用される。具体的には、4種類の乳酸菌を培養釜に投入するとともに、4種類の乳酸菌の基質である糖質及び蛋白質を投入し、当該培養釜を所定の培養温度(例えば、40度)で所定の培養時間(例えば、24時間~36時間)保持する。基質に対する4種類の乳酸菌の接種量は、少量で構わない。
ここで、培養温度及び培養時間の条件は、例えば、乳酸発酵後の液体のpHが3.5~4.5となり、生菌数が10cfu/g以上となる条件に設定される。培養温度は、例えば、30度~55度の範囲内に設定され、培養時間は、例えば、10時間~48時間の範囲内に設定される。培養時間は、乳酸発酵後における積算培養温度に基づいて決定されるため、培養温度が高い場合は、培養時間は短く設定され、培養温度が低い場合は、培養時間は長く設定される。
更に、4種類の乳酸菌を糖質及び蛋白質で培養する際に、そのまま糖質及び蛋白質に接触させて培養しても良いし、糖質及び蛋白質を調理して味付けしたものに4種類の乳酸菌を接触させて培養しても良い。
基質となる糖質に特に限定は無いが、例えば、グルコース(ブドウ糖)、果糖、ガラクトース、ショ糖、麦芽糖、乳糖等の小腸吸収糖質やラフィノース(オリゴ糖)、希少糖等の小腸非吸収糖質、てんさい糖、砂糖大根等を挙げることが出来る。基質となる蛋白質に特に限定は無いが、例えば、大豆等の豆類、植物由来蛋白質、食肉、牛乳等を挙げることが出来る。蛋白質は、例えば、大豆の全粒粉を採用しても良い。これにより、大豆のポリフェノール(イソフラボン)を十分に利用することが出来る。
又、基質の糖質及び蛋白質の他に、他の素材を添加しても良い。例えば、葉野菜、根菜類、トマト等の実野菜等を粉砕して、粉砕物を基質に添加しても良い。又、基質として、例えば、豆乳等、糖質及び蛋白質を兼ね備える原材料を採用しても良い。
尚、4種類の乳酸菌の乳酸発酵では、ホモ型植物由来乳酸菌とヘテロ型植物由来乳酸菌とが基質に基づいて同時に乳酸発酵するため、基質の糖質が乳酸及び他の有機酸に変換され、基質の蛋白質が分子化し、ペプチド、アミノ酸に変換される。
又、4種類の乳酸菌又は発酵物に、黒ニンニクや黒ウコン(生姜)、高麗人参(黒人参)、黒ゴマ等のポリフェノールが豊富な食材を組み合わせることで、より免疫系の強化と睡眠の質の改善に寄与する健康美容増進剤を製造することが出来る。
さて、本発明に係る健康美容増進剤の液体は、そのまま乳酸菌飲料として利用することが出来るとともに、例えば、野菜サラダのドレッシング、魚介類のタルタルソース、味噌、醤油等の液状食品に利用することが出来る。又、本発明に係る健康美容増進剤の粉体は、そのまま経口用粉体として利用することが出来るとともに、例えば、添加物、調味料、香料等の粉体食品に利用することが出来る。更に、本発明に係る健康美容増進剤の加工食品は、例えば、プリン、ヨーグルト、豆腐、チーズ、餡、ゼリー、生クリーム、羊羹、どら焼き、三笠饅頭、鯛焼き等に利用することが出来る。例えば、加工食品が液状食品であれば、蛋白質を大豆豆乳を採用し、プリンであれば、蛋白質は卵を採用し、豆腐であれば、蛋白質は大豆を採用すれば良い。
ここで、プリンの製造方法について、例えば、溶いた卵液の30重量%~40重量%に、約40度程度に温めた乳原料、大豆豆乳又はナッツミルクの蛋白質20重量%~40重量%を添加し、更に、砂糖、てんさい糖又はオリゴ糖の糖質の5重量%~20重量%を添加して攪拌し、好みに応じて、水で溶いたゼラチン水を2重量%を添加して混合撹拌して、糖質と蛋白質を含有するプリン液が出来上がる。そのプリン液を容器に入れ、焼き又は蒸す等の加熱処理を行い、その後冷却して、好みに応じて、カラメルソースを添加して、加工食品のプリンが完成する。ここで、4種類の乳酸菌の添加タイミングは、例えば、プリン液の加熱処理前のタイミングでも、プリン液の加熱処理後、冷却処理前のタイミングでも構わない。プリン液の冷却処理時の冷却温度は、例えば、4種類の乳酸菌の至適温度帯(35度~50度)に設定することで、至適温度帯による4種類の乳酸菌の死滅が減少し、健康美容効果の高いプリンを提供することが出来る。又、例えば、加熱処理前のタイミングと冷却処理前のタイミングの両方のタイミングにプリン液に4種類の乳酸菌を添加しても良い。又、加熱処理を省略して、4種類の乳酸菌の乳酸発酵により乳酸の凝固作用を向上させて、プリン固形体又はプリン液体(飲めるプリン)にも応用することが出来る。又、卵やゼラチン、乳原料の動物性原料を使用しないで、大豆豆乳やナッツミルクを用いることで、動物性原料を使用しないヴィーガン食品のプリンにも応用することが出来る。
又、本発明に係る健康美容増進剤の加工食品のうち、プリンでも、免疫力向上に加えて美容効果も期待することが出来、健康長寿及び美容を実現することが可能である。加工食品のプリンでは、例えば、寒天とゼラチンと牛乳と卵に4種類の乳酸菌を少量混入して、一定の加熱処理を施すことで、全乳酸菌の生菌数を10cfu/g以上に増殖することが分かっている。必要に応じて、糖を添加することが出来る。ここで、4種類の乳酸菌では、100度以上まで加熱すると、死菌が生じるが、所定の温度の範囲内、例えば、50度又は55度以下であれば、生菌として生存し、そのまま生菌の加工食品として利用することが可能である。
又、本発明に係る健康美容増進剤の加工食品のうち、豆腐では、免疫力向上に加えて美容効果も期待することが出来、健康長寿及び美容を実現することが可能である。加工食品の豆腐では、例えば、全粒粉豆乳とカシューナッツとニンニク類にストレス菌的に培養時に4種類の乳酸菌を少量混入することで、全乳酸菌の生菌数は10倍から100倍、それ以上に増殖することが分かっている。
ここで、全粒粉豆乳は蛋白質が一般精製豆乳よりも豊富であり、血流を正常にする作用を有するレシチン・サポニンと、脳細胞の血流を助ける作用を有するコリンが含有されている。又、活性酸素が増え過ぎない作用を有する大豆イソフラボンが含有されている。又、カシューナッツは、蛋白質が豊富であるとともに、脳細胞に不可欠の不飽和脂肪酸のオメガ3(DHA)とオレイン酸が豊富である。又、オメガ3は、青魚に含まれるとともに、エゴマオイルやクルミに含まれ、認知症予防に寄与する。更に、カシューナッツは、4種類の乳酸菌を10倍増殖させるストレス菌的な役割を有している。加工食品の豆腐では、非加熱で利用可能で、4種類の乳酸菌の生菌をそのまま摂取可能であり、豆腐サラダや白和え、冷奴に利用出来る。その際に、4種類の乳酸菌を添加した土壌や水耕栽培で栽培された野菜を使用することで、二重の健康長寿及び美容を実現することが可能である。加工食品の豆腐では、生菌が死なない程度の加熱で利用可能で、麻婆豆腐やゴーヤチャンプル、揚げ出し豆腐、湯豆腐、味噌汁用の豆腐、すき焼き用の豆腐、豆腐ハンバーグに利用出来る。加熱処理された豆腐では、蛋白質が低分子化されて、アミノ酸化されており、熱に強いグルタミン酸が豊富に発生することから、美味しさを維持することが出来る。
又、本発明に係る健康美容増進剤の摂取量に特に限定は無いが、ヒトの場合、例えば、1回の摂取量は、1g~300gの範囲内であれば好ましく、1g~150gの範囲内であれば更に好ましい。本発明に係る健康美容増進剤が粉体の場合は、1回の摂取量は、1g~300gの範囲内となるが、本発明に係る健康美容増進剤が液体の場合は、1回の摂取量は、1ml~300mlの範囲内としても良い。摂取回数に特に限定は無いが、1日1回でも良いし、1日3回でも構わない。摂取回数は、例えば、朝・昼・夕の3回の食事時と、就寝前の1回で、1日4回、健康美容増進剤を継続して摂取すると好ましい。
又、本発明に係る健康美容増進剤の摂取期間は、必要に応じて、1週間、2週間、1ヵ月、3カ月、6ヵ月、1年等適宜設計すれば良い。本発明に係る健康美容増進剤の摂取には、医薬品と異なり、摂取量が多くても、単に排出されるだけで、体内に残らず、副作用が無いという利点がある。本発明に係る健康美容増進剤は、例えば、1g~300gの範囲内の摂取量で、1日1回の摂取回数で、少なくとも1ヵ月以上の摂取期間で継続して経口摂取されると、本発明の作用効果を得ることが可能となる。
又、本発明に係る健康美容増進剤中の4種類の乳酸菌の他に、目的に応じて、他の菌を添加しても構わない。例えば、受託番号FERM P-20888で特定されるバチルス・サブチルス菌(枯草菌)、真菌類、酵素菌等を適宜添加しても構わない。
又、本発明に係る健康美容増進剤は、ヒトに限らず、例えば、牛、豚、鶏等の家畜、愛玩動物、魚介類、貝類等の水産物、食用植物や鑑賞用植物等の植物にも適用することが可能である。
又、本発明に係る健康美容増進剤におけるIgA抗体の産出は、例えば、経口摂取したヒトの糞便中のIgA抗体の量を増加させることで評価される。ここで、増加されるヒトの糞便中のIgA抗体の量に特に限定は無いが、例えば、100μg/g以上増加させると好ましく、200μg/g以上増加させると更に好ましい。
又、本発明に係る健康美容増進剤におけるIgA抗体の産出は、例えば、経口摂取したヒトの糞便中の日和見菌のBacteroides属の割合を増加させるとともに、悪玉菌のClostridium subcluster XIVaの割合を減少させることで評価される。ここで、日和見菌のBacteroides属の割合の増加の程度に特に限定は無いが、例えば、2%以上であると好ましく、3%以上であると更に好ましい。又、悪玉菌のClostridium subcluster XIVaの割合の減少の程度に特に限定は無いが、例えば、2%以上であると好ましく、3%以上であると更に好ましい。
又、本発明に係る健康美容増進剤における睡眠の改善は、例えば、経口摂取したヒトへのアンケートによる結果で評価される。睡眠の改善の程度に特に限定は無いが、例えば、アンケートの結果のうち、「よく眠れるようになった」とか「快眠になった」等の回答の割合が増加すると好ましい。
又、本発明に係る健康美容増進剤における角層水分量の増加の程度に特に限定は無いが、例えば、3a.u.以上増加すると好ましく、5a.u.以上増加すると更に好ましい。
又、本発明に係る健康美容増進剤における整腸作用に特に限定は無いが、例えば、整腸に関する質問の回答結果をスコア化した方法(CAS-J)で評価される。この方法での整腸作用の評価の程度に特に限定は無いが、例えば、スコアの合計が低くなると好ましい。又、本発明に係る健康美容増進剤における整腸作用は、例えば、便の回数と便の形状に関するスコアで評価されても良い。この方法での整腸作用の評価の程度に特に限定は無いが、例えば、便の回数は、一日当たり1回以上が好ましく、便の形状に関するスコアは、普通の便の形状を示すスコアに近いと好ましい。
又、本発明に係る健康美容増進剤における血糖値上昇抑制に特に限定は無いが、例えば、血糖値の経時的変化から分析される分析値のCmax、△Cmax、IAUC、Tmaxで評価される。Cmax、△Cmax、IAUC、Tmaxは、それぞれ低い方が好ましい。
以下、実施例、比較例等によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
(実施例1)
ホモ型植物由来乳酸菌において、受託番号FERM P-20747で特定される乳酸菌と、受託番号FERM P-20750で特定される乳酸菌との2種類と、ヘテロ型植物由来乳酸菌において、受託番号FERM P-20748で特定される乳酸菌と、受託番号FERM P-20749で特定される乳酸菌との2種類とをそれぞれ採用し、通常の配合方法によりバランスよく配合し、その配合した配合物を市販の培養釜に入れ、通常の基質(糖質及び蛋白質)を追加し、40度の培養温度で24時間の培養時間だけ培養し、乳酸発酵させて、発酵物を作製した。乳酸発酵後の発酵物の全乳酸菌の生菌数は、10cfu/gであり、発酵物のpHが4.0であった。又、この発酵物には、糖質及び蛋白質が含有されたままで、4種類の乳酸菌は生菌のままである。その際の4種類の乳酸菌の濃度は、全健康美容増進剤に対して、1重量%であり、糖質の濃度は、全健康美容増進剤に対して、3重量%であり、蛋白質の濃度は、全健康美容増進剤に対して、5重量%であり、4種類の乳酸菌と糖質と蛋白質との混合比率は、1:3:5であった。この発酵物の液体を実施例1の健康美容増進剤とした。
(比較例1)
実施例1の発酵物の液体に所定の熱処理を加えて、4種類の乳酸菌を死滅させた発酵物の液体を比較例1の健康美容増進剤とした。
(試験例1)
健常者を被験者として所定人数(実施例1が7人、比較例1が6人)集めて、それぞれの被験者に、実施例1と比較例1の健康美容増進剤を1日1回当たり所定量(30ml)経口摂取することを28日間(約1か月)の試験期間だけ継続した。ここで、実施例1では、被験者数が7人、比較例1では、被験者数が6人となった。経口摂取させる実施例1の健康美容増進剤中の全乳酸菌の生菌数は、10cfu/g×30ml=約10cfuであった。一方、比較例1の健康美容増進剤中の全乳酸菌の生菌数は、0cfuであるが、死菌数は、10cfu/g×30ml=約10cfuとなる。1日の摂取時刻と摂取方法は、被験者の任意とし、被験者には、試験期間を通して、暴飲暴食を避け、規則正しい生活を送るように事前に指導した。又、試験期間中に、被験者が、発熱や発疹、気分不良等、何らかの異変を感じ、それ以上に服用が出来ないと、被験者自身又は研究責任者が判断した場合は、試験期間中であっても、実施例1と比較例1の健康美容増進剤の摂取を中止するように事前に指導した。
ここで、服用(試験)前と、試験期間経過の服用後において、被験者の糞便を採取し、その糞便中に含まれるIgA抗体の量(μg/g)を市販の分析装置で同定・定量して、服用前後において糞便中のIgA抗体の量の変化を算出した。そして、被験者の全員の数で服用前後における糞便中のIgA抗体の量の平均値を算出し、統計解析ソフト(Paired t-test 又は Wilcoxon signed-rank test)を用いて、p値を算出し、服用前後において糞便中のIgA抗体の量の変化に有意差があるか否かを判定した。
その結果、図2に示すように、実施例1において、被験者のうち、半分以上の服用後の糞便中のIgA抗体の量が急激に増加したことが理解される。ここで、実施例1において、服用前の糞便中のIgA抗体の量は、平均で291±250(μg/g)であり、服用後の糞便中のIgA抗体の量は、平均で527±362(μg/g)であり、p値は0.009であった。全身の粘膜組織で免疫を司るIgA抗体の増加は、すべての細菌に対抗する免疫力の向上を意味する。従って、実施例1の健康美容増進剤の経口摂取によって、服用後の糞便中のIgA抗体の量は、有意に増加することが明らかになった。一方、比較例1において、服用後の糞便中のIgA抗体の量が増加せず、逆に減少していることが理解される。ここで、比較例1において、服用前の糞便中のIgA抗体の量は、平均で670±1110(μg/g)であり、服用後の糞便中のIgA抗体の量は、平均で556±875(μg/g)であり、p値は0.563であった。p値が0.05を超えているため、服用前後における糞便中のIgA抗体の量の変化に有意差が無いと推定される。
このような結果から、実施例1の生菌の健康美容増進剤の経口摂取によって、感染予防効果を有する可能性があることが分かった。又、唾液をはじめとした全身の粘膜部分や粘液においてIgA抗体が増加し、風邪、インフルエンザ等の感染症のリスクの低減が期待される。一方、比較例1の死菌の健康美容増進剤の経口摂取では、IgA抗体の増加が見られないことが分かった。
又、実施例1と比較例1において、服用前後において被験者の糞便から、腸内細菌メタゲノム解析を行い、服用前後において被験者の腸内細菌叢の変化を確認した。解析した腸内細菌の種類は、Bifidobacterium属(善玉菌)、Coriobacteriaceae科(善玉菌)、Lactobacillales目(善玉菌)、Bacteroides属(日和見菌)、Prevotellaceae科(日和見菌)、Clostridium cluster IV(Ruminococcaceae科)(悪玉菌)、Clostridium subcluster XIVa(Lachnospiraceae科)(悪玉菌)、Clostridium cluster IX(Negativicutes綱 Akkermansia属)(悪玉菌)、Clostridium cluster XI(Peptostreptococcaceae科)(悪玉菌)、Clostridium cluster XVIII(Erysipelotrichaceae科)(悪玉菌)である。全体を100%として、各腸内細菌の割合(%)を算出した。そして、被験者の全員の数で服用前後における糞便中の各腸内細菌の割合の平均値を算出し、上述の統計解析ソフトを用いて、p値を算出し、服用前後において糞便中の各腸内細菌の割合の変化に有意差があるか否かを判定した。
その結果、図3に示すように、実施例1において、服用前後の善玉菌の割合はそれほど影響を受けていなかったものの、服用前後の日和見菌のBacteroides属の割合は大きく増加し、一方、服用前後の悪玉菌のClostridium subcluster XIVaの割合は大きく減少していた。服用前の日和見菌のBacteroides属の割合は、28.5±4.9(%)であり、服用後の日和見菌のBacteroides属の割合は、33.1±6.4(%)であり、p値は0.01であった。服用前の悪玉菌のClostridium subcluster XIVaの割合は、29.9±7.4(%)であり、服用後の悪玉菌のClostridium subcluster XIVaの割合は、27.7±5.6(%)であり、p値は0.34であった。尚、服用前後における日和見菌のBacteroides属の割合の増加に有意差は明確に見られていた。図4には、実施例1の服用前後において糞便中の各腸内細菌の割合をまとめた棒グラフを示す。図4に示すように、日和見菌のBacteroides属の割合が、3.9%増加するとともに、悪玉菌のClostridium subcluster XIVaの割合が3.5%減少したことが理解される。今回の試験では、善玉菌の割合の増加は明確に見られなかったものの、日和見菌の増加と悪玉菌の減少は、間接的に、善玉菌の割合が増加していると推定される。
又、比較例1においても同様に腸内細菌メタゲノム解析を行った。その結果、図5に示すように、比較例1において、実施例1と同様に、服用前後の善玉菌の割合はそれほど影響を受けていなかったものの、服用前後の日和見菌のBacteroides属の割合は大きく増加するとともに、服用前後の悪玉菌のClostridium subcluster XIVaの割合は大きく減少していた。服用前の日和見菌のBacteroides属の割合は、28.0±8.4(%)であり、服用後の日和見菌のBacteroides属の割合は、35.0±10.9(%)であり、p値は0.01であった。服用前の悪玉菌のClostridium subcluster XIVaの割合は、35.4±4.1(%)であり、服用後の悪玉菌のClostridium subcluster XIVaの割合は、29.5±4.4(%)であり、p値は0.03であった。尚、服用前後における日和見菌のBacteroides属の割合の増加と悪玉菌のClostridium subcluster XIVaの割合の減少に有意差は明確に見られていた。図6には、比較例1の服用前後において糞便中の各腸内細菌の割合をまとめた棒グラフを示す。図6に示すように、日和見菌のBacteroides属の割合が、7.0%増加するとともに、悪玉菌のClostridium subcluster XIVaの割合が5.9%減少したことが理解される。今回の試験では、比較例1は死菌であるにもかかわらず、日和見菌の増加と悪玉菌の減少が見られており、これは、4種類の乳酸菌が、死菌でも、潜在的に日和見菌の増加と悪玉菌の減少の能力を有することを示している。
従って、実施例1の健康美容増進剤の経口摂取によって、服用後の腸内細菌のうち、日和見菌が有意に増加し、悪玉菌が減少し、腸内細菌叢が改善されたことが明らかになった。
又、服用後において被験者に、アンケートを使って、服用後の体調・精神面の変化について、3段階(「あった」、「なんとなくあった」、「いいえ全く変わらなかった」)の回答と、睡眠の質について、3段階(「よく眠れるようになった」、「変わらなかった」、「寝つきが悪くなった」)の回答とを求め、集計して、服用後の体調・精神面の変化と睡眠の質の改善が見られたか否かを判定した。
その結果、図7に示すように、実施例1の服用後の体調・精神面の変化について、「あった」という良好な回答の割合が、3/7=42.9%であり、「なんとなくあった」という普通の回答の割合が、1/7=14.3%であり、「いいえ全く変わらなかった」という不良な回答の割合が、3/7=42.9%であり、全体の半分以上が、服用後の体調・精神面の変化があったと回答された。一方、比較例1の服用後の体調・精神面の変化について、「あった」という良好な回答の割合が、0/6=0%であり、「なんとなくあった」という普通の回答の割合が、2/6=33.3%であり、「いいえ全く変わらなかった」という不良な回答の割合が、4/6=66.7%であり、全体の半分以上が、服用後の体調・精神面の変化がなかったと回答された。
又、図8に示すように、実施例1の服用後の睡眠の質の改善について、「よく眠れるようになった」という良好な回答の割合が、2/7=28.6%であり、「変わらなかった」という普通の回答の割合が、5/7=71.4%であり、「寝つきが悪くなった」という不良な回答の割合が、0%であり、全体の28%以上が、服用後の睡眠の質の改善があったと回答された。一方、比較例1の服用後の睡眠の質の改善について、「よく眠れるようになった」という良好な回答の割合が、0/6=0%であり、「変わらなかった」という普通の回答の割合が、6/6=100%であり、「寝つきが悪くなった」という不良な回答の割合が、0%であり、全体的に服用後の睡眠の質の改善がなかったと回答された。
つまり、4種類の乳酸菌が生菌である実施例1の服用後に被験者には、体調・精神面の改善と睡眠の質の改善が感じられていたが、4種類の乳酸菌が死菌である比較例1の服用後の被験者には、体調・精神面の改善と睡眠の質の改善が感じられていなかった。従って、4種類の乳酸菌が生菌である実施例1の健康美容増進剤の経口摂取によって、服用後の糞便中のIgA抗体の量が増加し、服用後の腸内細菌のうち、日和見菌が有意に増加し、悪玉菌が減少し、服用後の体調・精神面の変化が起こり、睡眠の質が改善されたことが明らかになった。
このような結果から、実施例1の健康美容増進剤の経口摂取によって、腸内細菌叢を改善し、腸内環境を正常化し、主観的な体調・精神面と睡眠の質とを改善することが出来ることが分かった。これによって、IgA抗体の増加と睡眠の質の改善との相乗効果により、将来的に安全に生活習慣病予防に繋がる可能性があると考えられる。
(実施例2)
受託番号FERM P-20747で特定される乳酸菌と、受託番号FERM P-20750で特定される乳酸菌との2種類と、受託番号FERM P-20748で特定される乳酸菌と、受託番号FERM P-20749で特定される乳酸菌との2種類とをそれぞれバランスよく配合した4種類の乳酸菌液を作製した。乳酸菌液の全乳酸菌の生菌数は、10cfu/gであり、乳酸菌液のpHは3.5であった。その際の4種類の乳酸菌の濃度は、全健康美容増進剤に対して、8重量%であった。この4種類の乳酸菌を実施例2の健康美容増進剤とした。
(試験例2)
被験者に、実施例2の健康美容増進剤を1日1回当たり所定量(300ml)経口摂取することを28日間の試験期間だけ継続した。試験例1と同様の方法によって、服用前後において糞便中のIgA抗体の量の変化があるか否かを判定した。その結果、実施例2の健康美容増進剤の経口摂取によって、服用後の糞便中のIgA抗体の量は増加していた。又、試験例1と同様の方法によって、睡眠の質についてアンケートを実施し、服用後の睡眠の質の改善が見られたか否かを判定した。その結果、実施例2の健康美容増進剤の経口摂取によって、睡眠の質が改善されたという回答を得た。
(実施例3)
実施例1における発酵物を、-4度~4度の範囲内でフリーズドライした粉体を作製し、その粉体を実施例3の健康美容増進剤とした。図9には、健康美容増進剤における粉体の一例を示す。
(試験例3)
被験者に、実施例3の健康美容増進剤を1日3回当たり所定量(3g)経口摂取することを84日間(約3か月)の試験期間だけ継続した。試験例1と同様の方法によって、服用前後において糞便中のIgA抗体の量の変化があるか否かを判定した。その結果、実施例3の健康美容増進剤の経口摂取によって、服用後の糞便中のIgA抗体の量は増加していた。又、試験例1と同様の方法によって、睡眠の質についてアンケートを実施し、服用後の睡眠の質の改善が見られたか否かを判定した。その結果、実施例3の健康美容増進剤の経口摂取によって、睡眠の質が改善されたという回答を得た。
(実施例4)
寒天と、ゼラチンと、牛乳と、卵とを混合して、混合物を、4種類の乳酸菌が死なない程度の所定の温度まで加熱し、そこに実施例1における発酵物を全混合物の重量に対して1重量%~3重量%添加して、冷蔵庫で1か月間冷蔵することで、発酵物を含む加工食品としてプリンを作製し、その加工食品を実施例4の健康美容増進剤とした。その際の4種類の乳酸菌の濃度は、全健康美容増進剤に対して、約5重量%であり、糖質の濃度は、全健康美容増進剤に対して、約20重量%であり、蛋白質の濃度は、全健康美容増進剤に対して、約40重量%であり、4種類の乳酸菌と糖質と蛋白質との混合比率は、1:4:8であった。図9には、健康美容増進剤における加工食品の一例を示す。
(試験例4)
被験者に、実施例4の健康美容増進剤を1日1回当たり所定量(50g)経口摂取することを28日間(約1か月)の試験期間だけ継続した。試験例1と同様の方法によって、服用前後において糞便中のIgA抗体の量の変化があるか否かを判定した。その結果、実施例4の健康美容増進剤の経口摂取によって、服用後の糞便中のIgA抗体の量は増加していた。又、試験例1と同様の方法によって、睡眠の質についてアンケートを実施し、服用後の睡眠の質の改善が見られたか否かを判定した。その結果、実施例4の健康美容増進剤の経口摂取によって、睡眠の質が改善されたという回答を得た。
(実施例5)
実施例1における発酵物を、-4度~4度の範囲内でフリーズドライした粉体を作製し、その粉体をカプセルに入れて、サプリメントにして、実施例5の健康美容増進剤とした。
(試験例5)
10人の被験者に、実施例5の健康美容増進剤を1日当たり所定量(1.94g)経口摂取することで、14日間(2週間)の試験期間だけ継続した。経口摂取開始前に市販の測定装置で被験者の頬の角層水分量を測定し、経口摂取から1週間後に被験者の頬の角層水分量を測定し、最後に、経口摂取から2週間後に被験者の頬の角層水分量を測定した。その後、摂取前と摂取1週間後と摂取2週間後の角層水分量の平均値を算出し、摂取前と摂取1週間後の関係と、摂取前と摂取2週間後の関係をt検定(α=0.05)にてp値を算出した。その結果、図10に示すように、摂取前の角層水分量に比較して、摂取1週間後と摂取2週間後の角層水分量は、それぞれ3a.u.以上増加していた。又、摂取前と摂取1週間後の関係では、p値は0.0010であり、摂取前と摂取2週間後の関係では、p値は0.0063であり、p値が0.05未満であるため、摂取前と摂取1週間後における肌の角層水分量の増加と、摂取前と摂取2週間後における肌の角層水分量の増加とには、有意差が有ると推定される。これにより、4種類の乳酸菌では、角層水分量の増加を促進することが明らかになった。
又、試験例5における被験者について、整腸に関する8つの質問に回答してもらい、回答結果をスコア化して(CAS-J)、摂取前と摂取1週間後と摂取2週間後の整腸作用を確認した。8つの質問について、第一の質問(Q1)は「お腹が張った感じがする」であり、その回答の選択肢は「0=ない」、「1=少しある」、「2=とてもある」である。第二の質問(Q2)は「排ガス量(おなら)が少ない」であり、その回答の選択肢は「0=気にならない」、「1=少し気になる」、「2=とても気になる」である。第三の質問(Q3)は「便の回数が少ない」であり、その回答の選択肢は「0=問題ない」、「1=少ない」、「2=とても少ない」である。第四の質問(Q4)は「直腸に便が充満している感じがある」であり、その回答の選択肢は「0=全然ない」、「1=少しある」、「2=とてもある」である。第五の質問(Q5)は「排便時の肛門の痛みがある」であり、その回答の選択肢は「0=全然ない」、「1=少しある」、「2=とてもある」である。第六の質問(Q6)は「便の量が少ない」であり、その回答の選択肢は「0=普通または多い」、「1=少ない」、「2=とても少ない」である。第七の質問(Q7)は「便が硬くて出にくい」であり、その回答の選択肢は「0=問題ない」、「1=少し出にくい」、「2=とても出にくい」である。第八の質問(Q8)は「下痢または水様便がある」であり、その回答の選択肢は「0=ない」、「1=少しある」、「2=とてもある」である。各スコアが低くなるほど、整腸が良好になっていることを意味する。各質問の合計(T)を算出し、全体的に判断した。その結果、図11に示すように、摂取1週間後、摂取2週間後のスコアの合計が、摂取前1週間よりも低くなっており、且つ、摂取期間が長くなるほど、スコアの合計が低くなっていた。そのため、実施例5の健康美容増進剤の継続摂取によって整腸効果が表れていることが分かった。又、摂取前1週間と摂取1週間後の関係では、t検定(α=0.05)にて、p値は0.0972であり、摂取前1週間と摂取2週間後の関係では、p値は0.0440であり、p値が0.05未満であるため、摂取前1週間と摂取2週間後における整腸効果は、有意差が有ると推定される。これにより、4種類の乳酸菌では、整腸効果があることが明らかになった。
試験例5における被験者について、便の回数と便の形状に関するスコアを回答してもらい、1回当たりの便の形状に関するスコアを算出して、便における整腸作用を確認した。図12は、試験例5において、実施例5の摂取前1週間と摂取1週間後と摂取2週間後の便の回数とその合計の結果を示す表である。その結果、図12に示すように、摂取1週間後、摂取2週間後の便の回数とその合計が、摂取前1週間よりも適度に増加しており、且つ、摂取期間が長くなるほど、便の回数の合計が適度に増加していた。そのため、実施例5の健康美容増進剤の継続摂取によって便の回数の増加を促していることが分かった。又、摂取前1週間と摂取1週間後の関係では、t検定(α=0.05)にて、p値は0.4495であり、摂取前1週間と摂取2週間後の関係では、p値は0.1578であり、明確な有意差は見られなかったものの、一部の被験者には便の回数の増加の効果があった。
又、図13には、試験例5において、実施例5の摂取前1週間と摂取1週間後と摂取2週間後の便の形状に関するスコアと1回当たりスコアの結果を示す表である。便の形状に関するスコアは、ブリストル便形状スケールに基づいて決定する。例えば、硬くてコロコロの兎糞状の便を「コロコロ便」として「1」とし、ソーセージ状であるが硬い便を「硬い便」として「2」とし、表面にひび割れのあるソーセージ状の便を「やや硬い便」として「3」とし、表面がなめらかで軟らかいソーセージ状、あるいは蛇のようなとぐろを巻く便を「普通便」として「4」とし、はっきりとしたしわのある軟らかい半分固形の便を「やや軟らかい便」として「5」とし、境界がほぐれて、ふにゃふにゃの不定形の小片便、泥状の便を「泥状便」として「6」とし、水様で、固形物を含まない液体状の便を「水様便」として「7」としてスコア化する。「コロコロ便」では、消化管の通過時間が非常に遅く、約100時間であり、「水様便」では、消化管の通過時間が非常に早く、約10時間である。健康な便は、「やや硬い便」と「普通便」と「やや軟らかい便」とされるため、スコアが「3」から「5」であれば、健康な便と判断出来る。その結果、図13に示すように、摂取1週間後、摂取2週間後のスコアと1回当たりスコアが、摂取前1週間と比較して、健康な便の「3」から「5」に近づいており、且つ、摂取期間が長くなるほど、1回当たりスコアが、健康な便の「3」から「5」の範囲に接近していた。そのため、実施例5の健康美容増進剤の継続摂取によって便の1回当たりスコアを、普通の便の形状を示すスコアに接近させていることが分かった。又、摂取前1週間と摂取1週間後の関係では、t検定(α=0.05)にて、p値は0.3139であり、摂取前1週間と摂取2週間後の関係では、p値は0.0209であり、p値が0.05未満であるため、摂取前1週間と摂取2週間後における便の1回当たりスコアの最適化には、有意差が有ると推定される。これにより、4種類の乳酸菌では、便の1回当たりスコアを最適化させ、整腸作用があることが明らかになった。
(実施例6)
実施例1における発酵物の液体を実施例6の健康美容増進剤とした。この発酵物の全乳酸菌の生菌数は、10cfu/gであり、発酵物のpHが4.0であった。
(試験例6)
10人の被験者に、実施例6の健康美容増進剤の経口摂取前の血糖値と、実施例6の健康美容促進剤(100g)の経口摂取後の血糖値とをそれぞれ測定して、血糖値の測定値から、Cmax、△Cmax、IAUC、Tmaxの分析値を算出して、血糖値の上昇抑制効果を確認した。ここで、Cmaxは糖負荷後の最大血糖値であり、△Cmaxは糖負荷後の血糖値の最大変化量であり、IAUCは糖負荷後の時間経過に伴う血糖値の増加量の面積のことで、血糖値の上昇を比較するための指標であり、IAUCが低いことは、糖質の吸収が抑えられた、又は生体内で 糖の利用が亢進したことを意味する。Tmaxは糖負荷後の最高血糖値到達時間である。図14は、実施例6の健康美容増進剤の経口摂取前の血糖値と分析値の結果を示す表であり、図15は、実施例6の健康美容増進剤の経口摂取後の血糖値と分析値の結果を示す表であり、図16は、実施例6の健康美容増進剤の経口摂取前後の分析値の結果を示す表である。その結果、図16に示すように、同一の被験者で分析値を確認すると、それぞれの分析値が低下している被験者が存在し、一定の被験者には、実施例6の健康美容増進剤に血糖値の上昇抑制を有することが分かった。複数の機関において乳酸菌による抗糖尿病の研究が進んでいるため、本発明の4つの乳酸菌においても血糖値低減効果とその作用機序の解明を目指して研究を進める。
(実施例7)
受託番号FERM P-20747で特定される乳酸菌と、受託番号FERM P-20750で特定される乳酸菌との2種類と、受託番号FERM P-20748で特定される乳酸菌と、受託番号FERM P-20749で特定される乳酸菌との2種類とをそれぞれバランスよく配合した4種類の乳酸菌に糖質及び蛋白質を添加し、乳酸菌液を作製した。乳酸菌液の全乳酸菌の生菌数は、10cfu/gであり、乳酸菌液のpHは4.0であった。その際の4種類の乳酸菌の濃度は、全健康美容増進剤に対して、約10重量%であり、糖質の濃度は、全健康美容増進剤に対して、約40重量%であり、蛋白質の濃度は、全健康美容増進剤に対して、約40重量%であり、4種類の乳酸菌と糖質と蛋白質との混合比率は、1:4:4であった。この乳酸菌液を実施例7の健康美容増進剤とした。
(試験例7)
被験者に、実施例7の健康美容増進剤を1日1回当たり所定量(300ml)経口摂取することを28日間の試験期間だけ継続した。試験例1と同様の方法によって、服用前後において糞便中のIgA抗体の量の変化があるか否かを判定した。その結果、実施例7の健康美容増進剤の経口摂取によって、服用後の糞便中のIgA抗体の量は増加していた。又、試験例1と同様の方法によって、睡眠の質についてアンケートを実施し、服用後の睡眠の質の改善が見られたか否かを判定した。その結果、実施例7の健康美容増進剤の経口摂取によって、睡眠の質が改善されたという回答を得た。
以上のように、本発明に係る健康美容増進剤は、食品分野はもちろん、医薬分野、健康分野、衛生分野、美容分野、畜産分野、養殖分野等に有用であり、乳酸菌を用いて、IgA抗体の産出や睡眠の改善をすることが可能な健康美容増進剤として有効である。
FERM P-20747
FERM P-20750
FERM P-20748
FERM P-20749
FERM P-20888

Claims (4)

  1. 受託番号FERM P-20747で特定される乳酸菌と、受託番号FERM P-20748で特定される乳酸菌と、受託番号FERM P-20749で特定される乳酸菌と、受託番号FERM P-20750で特定される乳酸菌との4種類の乳酸菌、又は、当該4種類の乳酸菌による発酵物を有効成分とし、
    全健康美容増進剤中の全乳酸菌の生菌数は、10cfu以上であり、
    前記健康美容増進剤のpHは、3.5~4.5の範囲内に設定され、
    IgA抗体の産出、睡眠の改善、角層水分量の増加、整腸作用及び血糖値上昇抑制を促進するための健康美容増進剤。
  2. 本健康美容増進剤は、前記4種類の乳酸菌又は前記発酵物を含む液体、-4度~4度の範囲内で前記4種類の乳酸菌又は前記発酵物がフリーズドライされた粉体、前記4種類の乳酸菌又は前記発酵物を含む加工食品のいずれかである、
    請求項1に記載の健康美容増進剤。
  3. 本健康美容増進剤は、前記4種類の乳酸菌が乳酸発酵可能な糖質及び蛋白質を含有し、前記4種類の乳酸菌の増殖を継続させることが可能である、
    請求項1に記載の健康美容増進剤。
  4. 前記4種類の乳酸菌の濃度は、全健康美容増進剤に対して、0.5重量%~10.0重量%の範囲内であり、
    前記糖質の濃度は、全健康美容増進剤に対して、1重量%~30重量%の範囲内であり、
    前記蛋白質の濃度は、全健康美容増進剤に対して、1重量%~50重量%の範囲内である、
    請求項2に記載の健康美容増進剤。
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令和3年度研究報告書 ABM乳酸菌の機能性の解明に関する研究レポート,2022年06月24日,pp.1-9

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