JP7235618B2 - 吸着力推定方法、吸着力推定装置、および、吸着力推定プログラム - Google Patents

吸着力推定方法、吸着力推定装置、および、吸着力推定プログラム Download PDF

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Description

本発明は、永久磁石の磁力を利用して吸着対象物に吸着する吸着装置に適用される技術に関する。
近年、ドローンと呼ばれる、プロペラ(回転翼)を有する無人飛行体を利用して、人が直接に検査することが難しい構造物(例えば、橋梁)等の検査を行わせることが試みられている。これにあたって、無人飛行体に磁力を利用した吸着装置を搭載しておき、これを構造物に吸着させることで無人飛行体を構造物に対して固定して、その詳細な検査を行わせることが考えられている。こうすれば、検査が行われる間、無人飛行体のプロペラを回転させ続けて揚力を維持する必要がないため、長時間に亘る検査も難なく行うことが可能となる。
ところで、橋梁等の構造物の多くは、鋼鉄材料で形成された基体部分の表面に、塗装が施されている。また、構造物の表面には、汚れが付着していたり、錆びが発生していたり、凹凸が存在していたりすることも多い。磁力を利用した吸着装置をこのような箇所に吸着させた場合、基体部分と磁石が十分に接近することができないために、十分な吸着力が発揮されない可能性がある。十分な吸着力が発揮されていない状態で、無人飛行体のプロペラが停止されてしまうと、最悪の場合、無人飛行体が墜落してしまう。
このような事態を回避するためには、吸着装置で発揮されている吸着力を推定する技術が必要となる。
これに関し、例えば特許文献1では、電磁石を利用した吸着装置(吊上電磁石)において、電磁石の吸着面に磁気感応素子を埋め込み、これで吸着面の磁束密度を検出して、下記の演算式を用いて、吸着力を算出することが提案されている。
F=BS/(2μ×9.8) [kg]
ただし、この演算式において、「B」は吸着面の磁束密度であり、「S」は吸着面の有効当たり面積であり、「μ」は透磁率である。
また例えば特許文献2では、永久磁石とその磁力を打ち消す磁力を発生する電磁石とを組み合わせた吸着装置において、電磁石における電圧の時間変化に基づいて、吸着力を推定することが提案されている。
特開昭56-33379号公報 特開2017-168562号公報
特許文献1の技術は、電磁石の特性に基づく演算式で吸着力を算出するものである。したがって、当然のことながら、永久磁石を利用した吸着装置に特許文献1の技術を適用しても、実用に足る十分な精度で吸着力を推定することはできない。また、特許文献2の技術は、その適用範囲が、永久磁石とその磁力を打ち消す磁力を発生する電磁石とを組み合わせた吸着装置に限定されてしまう。このように、永久磁石を利用した吸着装置に幅広く適用できる汎用性を有する吸着力の推定技術は、従来存在しなかった。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、永久磁石を利用した吸着装置に幅広く適用できる汎用性を有する吸着力の推定技術の提供を目的としている。
本発明は、上記の目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
すなわち、本発明は、永久磁石の磁力を利用して吸着対象物に吸着する吸着装置において発揮されている吸着力を推定する吸着力推定方法であって、
発揮されている吸着力を推定するべき対象状態における前記永久磁石の磁束密度を取得する取得工程と、
前記対象状態における前記永久磁石の磁束密度と、吸着対象物に吸着していない非吸着状態における前記永久磁石の磁束密度との差分を算出して、磁束密度変化量として取得する差分算出工程と、
前記磁束密度変化量に基づいて、前記対象状態で発揮されている吸着力を推定する吸着力推定工程と、
を備えることを特徴とする。
この構成は、永久磁石が強磁性体に吸着している状態と吸着していない状態とで、永久磁石の周囲に形成される磁束の流れが異なるという事実に着目して、磁束密度変化量に基づいて吸着力を推定するものである。したがって、永久磁石を利用した吸着装置に幅広く適用することができる。特にここでは、対象状態の磁束密度を単独で用いて吸着力を推定するのではなく、対象状態と非吸着状態の各磁束密度との差分である磁束密度変化量を算出して、これを用いて吸着力を推定する。こうすることで、各磁束密度に共通して含まれる誤差成分を除去することが可能となり、吸着力の推定精度を高めることができる。
好ましくは、前記吸着力推定方法は、
前記吸着力の推定値に基づいて、前記対象状態における吸着状態の良否を判定する判定工程、
をさらに備えることを特徴とする。
この構成によると、対象状態における吸着状態の良否が判定されるので、吸着装置が吸着対象物に適切に吸着していない場合に、その事実をオペレータが容易に知得することができる。
好ましくは、前記吸着力推定方法は、
前記吸着力推定工程において、
前記磁束密度変化量と前記吸着力との関係に基づいて規定される推定式を用いて、前記吸着力の推定値を算出する、
ことを特徴とする。
この構成によると、推定式を用いて吸着力の推定値を算出するので、例えばテーブル方式で吸着力の推定値を特定する場合等と比べて、吸着力を簡易に推定することができる。
好ましくは、前記吸着力推定方法において、
前記推定式が、前記永久磁石の磁力方向の長さに基づいて算出される係数を有する一次関数である、
ことを特徴とする。
この構成によると、吸着力を、十分な精度を担保しつつ、特に簡易に推定することができる。
また別の態様に係る本発明は、永久磁石の磁力を利用して吸着対象物に吸着する吸着装置において発揮されている吸着力を推定する吸着力推定装置であって、
前記永久磁石の磁束密度を測定するセンサと、
前記センサが取得した測定値に基づいて、吸着力を推定する吸着力推定部と、
を備え、
前記吸着力推定部が、
発揮されている吸着力を推定するべき対象状態において前記センサが取得した測定値と、吸着対象物に吸着していない非吸着状態における前記永久磁石の磁束密度との差分を算出して、磁束密度変化量として取得し、該磁束密度変化量に基づいて、前記対象状態で発揮されている吸着力を推定する、
ことを特徴とする。
この構成によると、永久磁石を利用した吸着装置に幅広く適用することができるとともに、吸着力を精度よく推定することができる。
さらに別の態様に係る本発明は、永久磁石の磁力を利用して吸着対象物に吸着する吸着装置において発揮されている吸着力を推定する吸着力推定プログラムであって、
発揮されている吸着力を推定するべき対象状態における前記永久磁石の磁束密度を取得する取得工程と、
前記対象状態における前記永久磁石の磁束密度と、吸着対象物に吸着していない非吸着状態における前記永久磁石の磁束密度との差分を算出して、磁束密度変化量として取得する差分算出工程と、
前記磁束密度変化量に基づいて、前記対象状態で発揮されている吸着力を推定する吸着力推定工程と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする。
この構成によると、永久磁石を利用した吸着装置に幅広く適用することができるとともに、吸着力を精度よく推定することができる。
本発明によると、永久磁石を利用した吸着装置に幅広く適用されて、該吸着装置で発揮される吸着力を推定することができる。
永久磁石の周囲に形成される磁束の流れを模式的に示す図。 実験1を説明するための図。 測定により得られた磁束密度変化量を、隙間を横軸とするグラフ上にプロットした図。 実験2を説明するための図。 測定により得られた吸着力を、隙間を横軸とするグラフ上にプロットした図。 実験から導出された、磁束密度変化量と吸着力との関係を示す図。 実験から導出された関係の近似直線を示す図。 各近似直線の傾きを、永久磁石の磁力方向の長さを横軸にとったグラフ上にプロットした図。 推定式を実験から導出された関係に重ねて示す図。 実施形態に係る吸着力推定装置が搭載された無人飛行体を模式的に示す図。 吸着力推定装置の機能構成を示すブロック図。 吸着力推定装置で実行される一連の処理の流れを示す図。 変形例に係る吸着力推定装置の機能構成を示すブロック図。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
<1.吸着力を推定する原理>
実施形態に係る吸着力推定装置の具体的な構成を説明する前に、吸着力推定装置において吸着力を推定する原理について説明する。
図1は、永久磁石5の周囲に形成される磁束の流れを模式的に示す図であり、図1(a)には、永久磁石5が非吸着状態Q0にあるときに周囲に形成される磁束の流れが、図1(b)には、永久磁石5が完全吸着状態P0にあるときに周囲に形成される磁束の流れが、それぞれ示されている。ここで、「非吸着状態Q0」とは、永久磁石5が強磁性体である吸着対象物9に吸着しておらず、その周囲に他の強磁性体も存在しない状態、つまりは、永久磁石5が強磁性体の影響を受けていない状態である。一方、「完全吸着状態P0」とは、永久磁石5が、強磁性体である吸着対象物9に密着しつつ吸着している状態である。
図1に示されるように、非吸着状態Q0と完全吸着状態P0とでは、形成される磁束の流れが異なる。すなわち、非吸着状態Q0では、磁束が拡散して磁束の流れが広範囲に拡がっているのに対し、完全吸着状態P0では、磁束が吸着対象物9に集まり、磁束の流れが狭い範囲に閉じて密になっている。
本件の発明者達は、この事実に着目し、永久磁石5の表面やその近傍の磁束密度(以下、単に「永久磁石5の磁束密度」という)から、発揮されている吸着力を推定することを考えた。ここで、発明者達は、発揮されている吸着力を推定するべき状態(対象状態)における永久磁石5の磁束密度を単独で用いて吸着力を推定するのではなく、対象状態における永久磁石5の磁束密度から、非吸着状態Q0における永久磁石5の磁束密度を差し引いた差分値(すなわち、対象状態と非吸着状態Q0との間での磁束密度の変化量)を用いて吸着力を推定することとした。このようにした理由は後に明らかになる。
磁束密度の変化量を用いて吸着力を推定するためには、磁束密度の変化量と吸着力との関係を知る必要がある。このために、発明者達は、以下に説明する実験および考察を行った。
(1)実験1
まず、発明者達は、互いに異なる複数の吸着状態Pi(i=0,1,2,・・・)を、サンプル吸着状態として規定した。具体的には、図2(a)に示されるように、永久磁石5とその磁力方向の一方側に配置された吸着対象物9との間に、隙間が設けられない状態(すなわち、完全吸着状態)P0と、両者の間に互いに異なる寸法の隙間Gi(i=1,2,・・・)がそれぞれ設けられた状態Pi(i=1,2,・・・)とを、サンプル吸着状態Pi(i=0,1,2,・・・)として規定した。そして、発明者達は、これら複数のサンプル吸着状態Pi(i=0,1,2,・・・)の各々における永久磁石5の磁束密度Bpi(i=0,1,2,・・・)を測定した。
具体的な測定条件は次の通りである。永久磁石5としては、ネオジム磁石を用いた。吸着対象物9としては、幅100mm、奥行き100mm、厚さ20mmのSS400(一般構造用圧延鋼材)を用いた。隙間Giは、永久磁石5と吸着対象物9の間に、厚みが0.51mmのプラスチック板6を挟むことにより形成し、挟み込むプラスチック板6の枚数を変えることで、隙間Giの寸法を0~2.04mmの範囲において0.51mm刻みで変化させた(したがって、各サンプル吸着状態Piにおける隙間Giの寸法は、「0.51×i」で規定されることになる)。
磁束密度の測定は、永久磁石5における吸着対象物9と反対側の磁極面の側に配置したセンサ7で行った。センサ7には、GaAs(低ドリフト)ホール素子(旭化成エレクトロニクス株式会社製、品番HG-372A)を用いた。また、センサ7は、そのセンシングポイントが永久磁石5の中心軸を通るような位置に配置した。さらに、センサ7と永久磁石5の間には、隙間調整用の透明アクリル板71を介挿して、センサ7のセンシングポイントと磁極面との離間距離(センサ間距離)が所定の値(ここでは、2.49mm)となるように調整した。センサ7からの出力は、アナログ通信を介して、アナログデジタル変換回路(ADC)に入力されてデジタル信号に変換され、IC(Inter-Integrated Circuit)を介して、Arduinoボードに転送され、シリアル通信でパーソナルコンピュータに入力されるように構成した。
一方で、発明者達は、図2(b)に示されるように、永久磁石5の周囲に吸着対象物9および他の強磁性体が存在しない状態(すなわち、非吸着状態)Q0を、サンプル非吸着状態として規定し、このサンプル非吸着状態Q0における永久磁石5の磁束密度Bqを測定した。この測定は、吸着対象物9を永久磁石5から十分に離間させた以外は、サンプル吸着状態Piの磁束密度Bpiの測定と同じ条件で行った。
そして、発明者達は、複数のサンプル吸着状態Pi(i=0,1,2,・・・)の各々について測定された各磁束密度Bpi(i=0,1,2,・・・)から、サンプル非吸着状態Q0について測定された磁束密度Bqを差し引いて、各サンプル吸着状態Piについて磁束密度の変化量(磁束密度変化量)ΔBiを算出した(すなわち、ΔBi=Bpi-Bq)。
発明者達は、サイズおよび形状が異なる複数の永久磁石5について上記の実験を行って、各永久磁石5について、各サンプル吸着状態Piの磁束密度変化量ΔBiを取得した。そして、各永久磁石5について取得された一群の磁束密度変化量ΔBi(i=0,1,2,・・・)を、隙間Giを横軸とするグラフ上にプロットして、図3に示されるグラフを得た。なお、図3に示されるのは、サイズが異なる複数の直方体状の永久磁石5の各々を用いて取得されたデータであり、「凡例」には、使用された各永久磁石5のサイズ(幅×奥行×厚さ)が示されている(図5~図7、図9の「凡例」においても同様)。ただし、ここでは、「厚さ」が磁力方向の長さに相当している。発明者達は、サイズが異なる複数の円柱状の永久磁石5についても同様の実験を行っているが、これらから得られるデータは、直方体状の各永久磁石5から得られるデータと基本的に同じ傾向を示すものであるので、図示を省略している(後述する「実験2」においても同様)。
(2)実験2
続いて、発明者達は、実験1と同じ複数のサンプル吸着状態Pi(i=0,1,2,・・・)を規定し、各サンプル吸着状態Piにおいて発揮されている吸着力Fi(i=0,1,2,・・・)を測定した。
具体的な測定条件について、図4を参照して説明する。永久磁石5、吸着対象物9、および、隙間Giを形成するためのプラスチック板6には、実験1と同じものを用いた。また、ここでは、吸着対象物9を載置台81に対してネジ止めにより固定した。一方、永久磁石5における吸着対象物9と反対側の磁極面に、非磁性体のリング部材82を接着した。そして、このリング部材82にフォースゲージ83(株式会社イマダ製、品番Z2-500N)のフックを引っ掛けて、該フックにかかる力、すなわち、永久磁石5で発揮されている吸着力Fiを測定した。
発明者達は、実験1と同様、サイズおよび形状が異なる複数の永久磁石5について上記の実験を行って、各永久磁石5について、各サンプル吸着状態Piにおいて発揮されている吸着力Fiを測定した。そして、各永久磁石5について取得された一群の吸着力Fi(i=0,1,2,・・・)を、隙間Giを横軸とするグラフ上にプロットして、図5に示されるグラフを得た。
(3)磁束密度変化量と吸着力との関係の導出
実験1から、隙間の大きさと磁束密度変化量との関係が実験的に求められた(図3)。一方、実験2から、隙間の大きさと発揮される吸着力との関係が実験的に求められた(図5)。続いて、発明者達は、実験1と実験2からそれぞれ得られたデータを、隙間の大きさ毎(すなわち、サンプル吸着状態Pi毎)に対応付けることで、磁束密度変化量と吸着力との関係を導出した(図6)。
このようにして、磁束密度変化量と吸着力との関係を実験により導出することができた。このようにして導出された関係を用いることで、実験を行った各永久磁石5について、磁束密度変化量から吸着力を推定することができる。
(4)定式化
次に、発明者達は、実験から導出された磁束密度変化量と吸着力との関係の定式化を試みた。具体的には、発明者達は、実験から導出された関係を、各種の態様で近似することを試み、何らかの定性的な性質が表れるような近似線を試行錯誤で模索した。その結果、発明者達は、実験から導出された関係を最小二乗法で直線近似したときに、厚さが同じ永久磁石5について得られる各近似直線が、互いにほぼ等しい傾きを有することを見出した(図7)。
これは、磁束密度変化量に対する吸着力の変化率が、永久磁石5の磁力方向の長さのみに依存し、磁極面の形状や面積には依存しないことを意味している。このような知見は、磁束密度変化量と吸着力との関係の定式化にあたって非常に有意義であり、この知見に基づくことで、汎用的な定式化が可能となり、実験を行っていない永久磁石5についても、磁束密度変化量と吸着力との関係を推定することが可能となる。仮に、磁束密度変化量と吸着力との関係ではなく、磁束密度と吸着力との関係を定式化しようとした場合、このような汎用的な定式化は不可能であった。ここに、磁束密度変化量を用いて吸着力を推定する意義の1つがある。
発明者達は、上記の知見に基づき、磁束密度変化量から吸着力を推定するための推定式の導出を試みた。上記の通り、磁束密度変化量と吸着力との関係は、(式1)のような一次関数で近似できるものであり、(式1)中の係数αと係数βの値がわかれば、吸着力の推定式が得られることになる。ただし、(式1)中の「F」は、吸着力の推定値であり、「ΔB」は磁束密度変化量である。
F=αΔB+β ・・・(式1)
係数αは、上記の通り、永久磁石5の磁力方向の長さに依存し、磁極面の面積には依存しない値であると考えられる。そこで、発明者達は、サイズが異なる複数の永久磁石5について得られた各近似直線(図7)の傾きを、永久磁石5の磁力方向の長さ(永久磁石5の厚さ)を横軸にとったグラフ上にプロットして、図8に示されるグラフを得た。ここに示されるように、永久磁石5の磁力方向の長さと近似直線の傾きとの関係は、一次関数で精度良く近似されるものであり、発明者達は、この関係を最小二乗法で直線近似することにより、下記の(式2)を得た。ただし、(式2)中の「L」は、永久磁石5の磁力方向の長さである。
α=0.0385L-0.147 ・・・(式2)
一方、定数項である係数βは、個々の永久磁石5に固有の値であると考えられ、対象となる永久磁石5について、少なくともある特定の吸着状態における磁束密度変化量と吸着力との関係が判明すれば、該関係に基づいて決定することができる。以下において、係数βを決定するために用いるある特定の吸着状態を「特定吸着状態」とよぶ。また、特定吸着状態における磁束密度変化量を「特定磁束密度変化量ΔBt」とよび、特定吸着状態における吸着力を「特定吸着力Ft」と呼ぶ。対象となる永久磁石5における任意の吸着状態を特定吸着状態として選択することが可能である。例えば、完全吸着状態P0を特定吸着状態として選択する場合、特定磁束密度変化量ΔBtは、完全吸着状態P0の磁束密度と非吸着状態Q0の磁束密度との差分(最大変化量)ΔBmaxとなり、特定吸着力Ftは、完全吸着状態P0において発揮される吸着力(最大吸着力)Fmaxとなる。
特定磁束密度変化量ΔBtおよび特定吸着力Ft(上記の例の場合、最大変化量ΔBmaxおよび最大吸着力Fmax)が判明すれば、係数βを決定することができる。特定磁束密度変化量ΔBtとしての最大変化量ΔBmaxを知るためには、例えば、非吸着状態Q0と完全吸着状態P0について実験1を行って各磁束密度を測定してその差分をとればよい。あるいは、特定磁束密度変化量ΔBtとしての最大変化量ΔBmaxは、理論的に算出することもできる。一方、特定吸着力Ftとしての最大吸着力Fmaxを知るためには、例えば、完全吸着状態P0について実験2を行って吸着力を測定すればよい。あるいは、特定吸着力Ftとしての最大吸着力Fmaxは、磁石メーカのカタログや仕様書に表されている磁石カタログ値から特定してもよい。
このようにして、(式1)における係数αおよび係数βの値が決定されることで、吸着力の推定式を得ることが可能となり、このようにして得られた推定式を用いることで、実験を行っていない永久磁石5についても、磁束密度変化量から吸着力を推定することが可能となる。
図9は、このようにして得られた推定式を、実験から導出された関係(図6)に重ねて示した図である。ただし、ここに示される各推定式の係数αは、(式2)から決定された値である。また、係数βは、実験1で取得された最大変化量ΔBmaxの値を特定磁束密度変化量ΔBtとして用い、実験2で取得された最大吸着力Fmaxの値を特定吸着力Ftとして用いて、決定された値である。このような推定式を用いて推定される吸着力と、実験で測定された吸着力との間の誤差は、最大で16.5%程度であり、この推定式を用いることで、実用に足る十分な精度で吸着力を推定できることがわかる。
ただし、磁束密度の値は、これを測定する位置(つまりは、センサ間距離)に応じて微妙に変化する。センサ間距離がどのようなものであっても、磁束密度変化量と吸着力との関係を上記の(式1)のような一次関数で定性的に近似できることには変わりなく、(式1)における係数αが永久磁石の磁力方向の長さに依存し磁極面の面積に依存しないことも変わりはないが、(式1)における係数α(具体的には、係数αを規定する(式2)に現れる各係数)の具体的な値、および、係数βの具体的な値は、センサ間距離が変わると微妙に異なる値になる。
例えば、上述した実験では、センサ間距離を「2.49mm」としているので、この実験に基づいて取得された係数αの値は、「2.49mm」とのセンサ間距離においては十分に信頼できる値ではあるものの、センサ間距離がこれから相違する場合はその信頼度が低くなる。同様に、係数βの値も、特定磁束密度変化量ΔBtを得るための実験(あるいは計算式)で採用されたセンサ間距離(上記の場合「2.49mm」)の下においては、十分に信頼できる値であるものの、センサ間距離がこれから相違する場合はその信頼度が低くなる。つまり、センサ間距離「2.49mm」の下で決定された係数α,βを有する推定式は、センサ間距離が「2.49mm」であるような使用環境下において、特に高い精度で吸着力を推定することができるものの、センサ間距離がこれから相違する場合は推定の精度が低くなる。したがって、推定精度を特に高める必要がある場合は、推定式が実際に用いられる使用環境におけるセンサ間距離(具体的には例えば、後述する無人飛行体1における、永久磁石21の磁極面とセンサ31のセンシングポイントとの離間距離)と一致するようなセンサ間距離の下で実験等を行って係数αおよび係数βの値を決定することが好ましい。
<2.吸着力推定装置>
<2-1.構成>
次に、本発明の実施形態に係る吸着力推定装置の構成について、図10を参照しながら説明する。図10は、実施形態に係る吸着力推定装置3が搭載された無人飛行体1を模式的に示す図である。
無人飛行体1は、複数のプロペラ(回転翼)11の回転により飛行可能に構成された装置であり、ドローン等とも呼ばれる。無人飛行体1は各種の用途に用いられるが、ここでは、無人飛行体1が、人が直接に検査することが難しい構造物(例えば、橋梁)等の検査に用いられる場合を例にとって説明する。この場合、無人飛行体1には、検査に必要な各種の要素(例えば、振動を測定するための加速度センサ、カメラ、等)が搭載されている。また、無人飛行体1には、各種の情報や指示の入力を受け付ける入力受付部12が設けられている。入力受付部12は、操作ボタン、タッチパネル等を含んで構成されてオペレータからの入力操作を直接的に受け付けるものであってもよいし、オペレータが操作盤等を介して行った入力操作を受信することによって該入力操作を間接的に受け付けるものであってもよい。
無人飛行体1には、吸着装置2と、吸着力推定装置3とが搭載される。
吸着装置2は、永久磁石21の磁力を利用して吸着対象物9に吸着する装置である。具体的には、吸着装置2は、1個の永久磁石21(ここでは例えばネオジム磁石)と電磁石(図示省略)とが組み合わされて、電磁石への通電状態により吸着力のオン/オフを切り替え可能に構成されている。吸着装置2が吸着対象物(ここでは、検査対象となる構造物)9に吸着することで(図10(b))、無人飛行体1が吸着対象物9に対して固定される。プロペラ11の回転が停止されて吸着装置2の吸着力だけで吸着対象物9に固定された状態となれば、無人飛行体1では姿勢維持のために動力源をほとんど消費しなくてすむので、長時間の検査を行うことができる。また、吸着装置2の吸着力が適切に発揮されていれば、無人飛行体1は吸着対象物9に対して強固に固定されるため、無人飛行体1は風の影響等をほとんど受けずに検査を行うことができる。
吸着力推定装置3は、吸着装置2に搭載されて、ここで発揮されている吸着力を推定する装置であり、センサ31と、制御部32とを備える。
センサ31は、永久磁石21の磁束密度を検出するためのものであり、具体的には例えば、ホールセンサ、サーチコイル、等から構成される。センサ31は、永久磁石21における吸着面を構成する磁極面とは逆側の磁極面の近傍に配置される。また、センサ31は、そのセンシングポイントが永久磁石21の中心軸を通るような位置に配置される。
制御部32は、吸着力推定装置3で行われる一連の処理を統括的に制御するものであり、例えばマイクロコンピュータにより構成される。制御部32の実体は、各種のモジュールが実装されたプリント基板であり、該プリント基板に、中央演算処理装置であるCPU、RAM等から構成されるメモリ、EEPROM等から構成される記憶部320(図11参照)、センサ31との通信を行う通信インターフェイス、等が実装される。また、CPUが記憶部320に格納されたプログラム(吸着力推定プログラム)Prをメモリに読み出して実行することによって、後述する各機能部301~305が実現される。もっとも、これら各機能部301~305の一部あるいは全部は、該機能を実現するための回路モジュールが実装されることにより実現されてもよい。
<2-2.機能ブロック>
次に、吸着力推定装置3の機能構成について、図11を参照しながら説明する。図11は、吸着力推定装置3の機能構成を示すブロック図である。
吸着力推定装置3は、第1磁束密度取得部301と、第2磁束密度取得部302と、差分取得部303と、推定部304と、判定部305とを備える。上記の通り、これら各部301~305は、例えば、制御部32を構成するマイクロコンピュータで、記憶部320に格納された吸着力推定プログラムPrが実行されることにより実現される。
第1磁束密度取得部301は、非吸着状態Q0における永久磁石21の磁束密度(非吸着磁束密度)Bqを取得する。ここでは、記憶部320に、磁力方向の長さLが異なる複数の永久磁石について、各々の非吸着状態Q0の磁束密度(候補非吸着磁束密度)が、該長さLと対応付けて、格納されているものする。そして、オペレータが、入力受付部12を介して、吸着装置2に搭載されている永久磁石21の磁力方向の長さLを入力すると、第1磁束密度取得部301が、該入力された長さLと対応付けられている候補非吸着磁束密度を記憶部320から読み出して、これを非吸着磁束密度Bqとして取得する。ただし、上記の通り、磁束密度の値は、センサ間距離に応じて微妙に変化するところ、記憶部320に予め格納されている一群の候補非吸着磁束密度はいずれも、吸着装置2におけるセンサ間距離(すなわち、永久磁石21の磁極面とセンサ31のセンシングポイントとの実際の離間距離)の下で取得された値となっている。
第2磁束密度取得部302は、発揮されている吸着力を推定するべき状態(対象状態)における、永久磁石21の磁束密度(対象磁束密度)Bpを取得する。対象磁束密度Bpは、具体的には、永久磁石21が対象状態にあるときに、センサ31が永久磁石21の磁束密度を測定して取得した値であり、第2磁束密度取得部302は、センサ31から測定値を取得することによって、対象磁束密度Bpを取得する。
差分取得部303は、第2磁束密度取得部302が取得した対象磁束密度Bpから、第1磁束密度取得部301が取得した非吸着磁束密度Bqを差し引いて両者の差分を算出し、得られた値を磁束密度変化量ΔBとして取得する。
推定部304は、差分取得部303が取得した磁束密度変化量ΔBに基づいて、対象状態で発揮されている吸着力を推定する。ここでは、推定部304が、磁束密度変化量と吸着力との関係に基づいて規定される推定式Kを生成して予め記憶部320に格納しているものとし、推定部304は、この推定式Kを用いて(具体的には、差分取得部303が取得した磁束密度変化量ΔBをこの推定式Kに代入することによって)、吸着力の推定値を算出する。
上記の通り、推定式Kは、(式1)および(式2)で規定される式、すなわち、永久磁石21の磁力方向の長さLに基づいて算出される係数αを有する一次関数である。記憶部320には、(式2)が予め格納されており、オペレータが、入力受付部12を介して、吸着装置2に搭載されている永久磁石21の磁力方向の長さLを入力すると、推定部304が、該入力された値を記憶部320に格納された(式2)に代入することによって係数αの値を決定する。ただし、ここで用いられる(式2)に含まれる各係数は、吸着装置2におけるセンサ間距離と同じセンサ間距離の下で行われた実験によって決定された値となっている。これらの各係数は、オペレータが、入力受付部12を介して入力するものとしてもよい。
また、推定式Kは、特定磁束密度変化量ΔBtおよび特定吸着力Ftに基づいて規定される係数βを定数項として有する。オペレータが、入力受付部12を介して、特定磁束密度変化量ΔBtおよび特定吸着力Ft(具体的には例えば、特定磁束密度変化量ΔBtとしての最大変化量ΔBmaxと特定吸着力Ftとしての最大吸着力Fmax)の各値を入力すると、推定部304が、該入力された値に基づいて係数βの値を決定する。ただし、オペレータが入力する各値は、吸着装置2におけるセンサ間距離と同じセンサ間距離の下で行われた実験等によって決定された値となっている。
こうして各係数α,βが決定された推定式Kが、記憶部320に格納される。
このように、第1磁束密度取得部301、第2磁束密度取得部302、差分取得部303、および、推定部304は、センサ31が取得した測定値に基づいて吸着力を推定する吸着力推定部300を構成する。
判定部305は、推定部304が取得した吸着力の推定値に基づいて、対象状態における吸着状態の良否を判定する。ここでは、オペレータが入力受付部12を介して入力する等した閾値Wが記憶部320に格納されているものとし、判定部305は、この閾値Wを記憶部320から読み出して、推定部304が取得した吸着力の推定値がこの閾値Wよりも大きいか否かに基づいて、吸着状態の良否を判断する。すなわち、判定部305は、吸着力の推定値が閾値Wよりも大きい場合は、吸着状態が良好であると判断し、吸着力の推定値が閾値W以下である場合は、吸着状態が不良であると判断する。閾値Wの値は、オペレータ等が任意に設定できるものとする。閾値Wの設定にあたって、推定式Kから得られる吸着力の推定値に含まれる誤差を加味して閾値Wを大きく見積もっておくことで、十分な安全性を担保することができる。
<2-3.動作の流れ>
次に、無人飛行体1の動作について、図10を参照しながら説明する。
無人飛行体1を用いて吸着対象物(検査対象となる構造物)9を検査するにあたって、オペレータは、無人飛行体1を飛行させる前に、これに各種の情報を入力する。具体的には、オペレータは、無人飛行体1に設けられた入力受付部12を介して、吸着装置2が備える永久磁石21に関する各種の情報(具体的には、永久磁石21の種類、磁力方向の長さL、特定磁束密度変化量ΔBtとしての最大変化量ΔBmax、特定吸着力Ftとしての最大吸着力Fmax、等)を入力する。またさらに、オペレータは、必要に応じて、入力受付部12を介して、吸着状態の良否を判定するための閾値Wを入力する。
続いて、オペレータは、手元の操作盤等を操作して遠隔操作により無人飛行体1を制御して、これを吸着対象物9の近傍まで飛行させる(図10(a))。無人飛行体1が吸着対象物9の近傍に到達すると、オペレータは、無人飛行体1を、ここに搭載されている吸着装置2の永久磁石21(具体的には、その吸着面)が、吸着対象物9と対向するような姿勢とし、該姿勢のまま無人飛行体1を吸着対象物9に接近させる。そして、吸着装置2の吸着力を発揮させて吸着対象物9に吸着させる(図10(b))。ただし、オペレータは、この段階では、まだプロペラ11の回転を停止させず、無人飛行体1の揚力を維持し続ける。
吸着装置2の吸着力が発揮されると、オペレータは、遠隔操作により、吸着力推定装置3に一連の処理を開始させる旨の指示を与える。吸着力推定装置3は、該指示に応じて一連の処理を開始する。
吸着力推定装置3で実行される一連の処理の流れについて、図12を参照しながら説明する。図12は、該処理の流れを示す図である。
ステップS1:まず、第1磁束密度取得部301が、非吸着磁束密度Bqを取得する。具体的には、第1磁束密度取得部301は、オペレータから予め入力された永久磁石21の磁力方向の長さLと対応付けられている候補非吸着磁束密度を記憶部320から読み出して、これを非吸着磁束密度Bqとして取得する。
ステップS2:また、第2磁束密度取得部302が、センサ31から測定値を取得することによって、対象磁束密度Bpを取得する。言うまでもなく、ステップS1とステップS2の処理はどちらが先に行われてもよいし、並行して行われてもよい。
ステップS3:続いて、差分取得部303が、ステップS2で取得された対象磁束密度Bpから、ステップS1で取得された非吸着磁束密度Bqを差し引いて両者の差分を算出し、得られた値を磁束密度変化量ΔBとして取得する。
ステップS4:続いて、推定部304が、ステップS3で取得された磁束密度変化量ΔBに基づいて、対象状態で発揮されている吸着力を推定する。具体的には、推定部304は、オペレータから予め入力された情報に基づいて係数αおよび係数βを決定して、得られた推定式Kを記憶部320に格納している。推定部304は、記憶部320に格納された該推定式Kを読み出し、ステップS3で取得された磁束密度変化量ΔBをこの推定式Kに代入して、吸着力の推定値を算出する。これによって、対象状態で発揮されている吸着力の推定値が特定される。
ステップS5:続いて、判定部305が、ステップS4で取得された吸着力の推定値に基づいて、対象状態における吸着状態の良否を判定する。具体的には、判定部305は、記憶部320に格納された閾値Wを読み出し、ステップS4で取得された吸着力の推定値がこの閾値Wよりも大きいか否かを判定する。ここで、吸着力の推定値が閾値Wよりも大きいと判定された場合は、吸着状態が良好であると判断し、吸着力の推定値が閾値W以下であると判定された場合は、吸着状態が良好でない(不良)と判断する。
ステップS6:ステップS5で吸着状態が良好であると判断された場合、判定部305は、その旨をオペレータに知得させるための報知処理を行う。この報知処理は、例えば、所定の信号をオペレータの手元にある操作盤に送信することにより行われる。
ステップS7:一方、ステップS5で吸着状態が良好でないと判断された場合、判定部305は、その旨をオペレータに知得させるための報知処理を行う。この報知処理は、例えば、所定の信号をオペレータの手元にある操作盤に送信することにより行われてもよいし、アラーム音の鳴動、ランプの点灯、等によって行われてもよい。
無人飛行体1のオペレータは、吸着状態が良好である旨の報知を受けた場合、プロペラ11の回転を停止させて、無人飛行体1に吸着対象物9を検査させる。一方、吸着状態が良好でない旨の報知を受けた場合、オペレータは、プロペラ11の回転を停止させずに(すなわち、無人飛行体1の揚力を維持したまま)、吸着装置2の吸着力を一旦消滅させる。そして、無人飛行体1を別の場所に移動させた上で、再び吸着装置2の吸着力を発揮させて吸着対象物9に吸着させる。その後、吸着力推定装置3に一連の処理を開始させる旨の指示を再度与えれば、該指示に応じて吸着力推定装置3が上述した一連の処理を実行する。
<3.効果>
上記の実施形態に係る吸着力推定方法は、永久磁石21の磁力を利用して吸着対象物9に吸着する吸着装置2において発揮されている吸着力を推定するにあたって、発揮されている吸着力を推定するべき対象状態における永久磁石21の磁束密度(対象磁束密度)Bpを取得する取得工程(ステップS2)と、対象状態における永久磁石21の磁束密度Bpと、吸着対象物9に吸着していない非吸着状態Q0における永久磁石21の磁束密度(非吸着磁束密度)Bqとの差分を算出して、磁束密度変化量ΔBとして取得する差分算出工程(ステップS3)と、磁束密度変化量ΔBに基づいて、対象状態で発揮されている吸着力を推定する吸着力推定工程(ステップS4)と、を備える。
この構成は、永久磁石21が強磁性体に吸着している状態と吸着していない状態とで、永久磁石21の周囲に形成される磁束の流れが異なるという事実に着目して、磁束密度変化量ΔBに基づいて吸着力を推定するものである。したがって、永久磁石21を利用した吸着装置2に幅広く適用することができる。
また、この構成では、対象状態の磁束密度Bpを単独で用いて吸着力を推定するのではなく、対象状態と非吸着状態の各磁束密度Bp,Bqとの差分である磁束密度変化量ΔBを算出して、これを用いて吸着力を推定する。こうすることで、各磁束密度Bp,Bqに共通して含まれる誤差成分(例えば、各磁束密度Bp,Bqの取得に用いられるセンサ31の特性に由来する誤差成分、等)を除去することが可能となり、吸着力の推定精度を高めることができる。
また、上記の実施形態に係る吸着力推定方法は、吸着力の推定値に基づいて、対象状態における吸着状態の良否を判定する判定工程(ステップS5)、を備える。
この構成によると、対象状態における吸着状態の良否が判定されるので、吸着装置2が吸着対象物9に適切に吸着していない場合に、その事実をオペレータが容易に知得することができる。
また、上記の実施形態に係る吸着力推定方法は、吸着力推定工程(ステップS4)において、磁束密度変化量ΔBと吸着力との関係に基づいて規定される推定式Kを用いて、吸着力の推定値を算出する。
この構成によると、推定式Kを用いて吸着力の推定値を算出するので、例えばテーブル方式で吸着力の推定値を特定する場合等と比べて、吸着力を簡易に推定することができる。
また、上記の実施形態に係る吸着力推定方法は、推定式Kが、永久磁石21の磁力方向の長さに基づいて算出される係数αを有する一次関数である。
この構成によると、吸着力を、十分な精度を担保しつつ、特に簡易に推定することができる。
また、上記の実施形態に係る吸着力推定装置3は、永久磁石21の磁力を利用して吸着対象物9に吸着する吸着装置2において発揮されている吸着力を推定する装置であり、永久磁石21の磁束密度を測定するセンサ31と、センサ31が取得した測定値に基づいて、吸着力を推定する吸着力推定部300と、を備える。そして、吸着力推定部300が、発揮されている吸着力を推定するべき対象状態においてセンサ31が取得した測定値(対象磁束密度)Bpと、吸着対象物9に吸着していない非吸着状態Q0における永久磁石21の磁束密度(非吸着磁束密度)Bqとの差分を算出して、磁束密度変化量ΔBとして取得し、該磁束密度変化量ΔBに基づいて、対象状態で発揮されている吸着力を推定する。
この構成によると、永久磁石21を利用した吸着装置2に幅広く適用することができるとともに、吸着力を精度よく推定することができる。
また、上記の実施形態に係る吸着力推定プログラムPrは、永久磁石21の磁力を利用して吸着対象物9に吸着する吸着装置2において発揮されている吸着力を推定するプログラムであり、発揮されている吸着力を推定するべき対象状態における永久磁石21の磁束密度(対象磁束密度)Bpを取得する取得工程(ステップS2)と、対象状態における永久磁石21の磁束密度Bpと、吸着対象物9に吸着していない非吸着状態Q0における永久磁石21の磁束密度(非吸着磁束密度)Bqとの差分を算出して、磁束密度変化量ΔBとして取得する差分算出工程(ステップS3)と、磁束密度変化量ΔBに基づいて、対象状態で発揮されている吸着力を推定する吸着力推定工程(ステップS4)と、をコンピュータに実行させる。
この構成によると、永久磁石21を利用した吸着装置2に幅広く適用することができるとともに、吸着力を精度よく推定することができる。
<4.変形例>
磁束密度の値は、これを測定するセンサ31の温度や、永久磁石21の温度に影響を受ける可能性があるため、温度条件を加味した補正を行うことで、吸着力の推定精度をより向上させることができる。このような考え方に基づく変形例に係る吸着力推定部3aの機能構成が、図13に示されている。なお、以下において、上記の実施形態と同じ要素については同じ符号で示すとともに、その説明を省略する。
この変形例では、永久磁石21の近傍およびセンサ31の近傍に温度センサ41が設けられるとともに、吸着力推定装置3aの制御部32において、該温度センサ41から測定値を取得する温度取得部306が実現される。もっとも、温度センサ41は、永久磁石21の近傍のみに設けてもよいし、センサ31の近傍のみに設けてもよい。
この変形例では、上記のステップS2の処理に先立って、温度取得部306が、現時点(吸着力を推定する時点)における永久磁石21およびセンサ31(あるいは、これらのうちの一方)の近傍の測定温度を温度センサ41から取得して、該取得した測定温度を第2磁束密度取得部302に通知する。
そして、この変形例では、上記のステップS2の処理(第2磁束密度取得部302による対象磁束密度Bpの取得)は、次のように行われる。すなわち、まず、第2磁束密度取得部302が、センサ31から磁束密度の測定値を対象磁束密度Bpとして取得する。続いて、第2磁束密度取得部302は、該取得した対象磁束密度Bpと、温度取得部306から取得した測定温度に基づいて、該取得した対象磁束密度Bpを基準温度における磁束密度に変換する。こうして得られた値を、補正対象磁束密度Bpとして取得する。ここで、「基準温度」とは、推定式Kにおける係数α,βの決定に用いられる磁束密度、および、記憶部320に格納される候補非吸着磁束密度が、測定された際の温度条件である。磁束密度の変換は、具体的には例えば、センサ31の温度依存特性を表すデータ、永久磁石21の温度依存特性を表すデータ、等を予め記憶部320に格納しておき、該データを用いて行えばよい。
この変形例では、ステップS3において、補正対象磁束密度Bpから非吸着磁束密度Bqが差し引かれて両者の差分が算出され、得られた値が磁束密度変化量ΔBとして取得される。このようにして得られる磁束密度変化量ΔBは、基準温度における磁束密度変化量となっている。そして、ステップS4において、この基準温度における磁束密度を用いて決定された係数α,βを有する推定式Kを用いて、吸着力が推定される。このようにすることで、センサ31および永久磁石21が温度の影響を受けることに起因する誤差を除去して、吸着力の推定精度(ひいては、吸着状態の判定制度)を十分に高めることができる。
上記の実施形態では、推定部304は、記憶部320に格納された推定式Kを用いて、吸着力の推定値を算出するものとしたが、吸着力を推定する態様はこれに限らない。例えば、使用される永久磁石21について、上述した実験1,2を行って磁束密度変化量と吸着力との関係を導出し(図6参照)、実験から導出された関係をテーブル化したデータを記憶部320に格納してもよい。この場合、推定部は、このテーブルを参照することで、磁束密度変化量から吸着力の推定値を特定することができる。また例えば、使用される永久磁石21について、上述した実験1,2を行って磁束密度変化量と吸着力との関係を導出し(図6参照)、実験から導出された関係を最小二乗法で直線近似した推定式(図7参照)を記憶部320に格納してもよい。この場合、推定部は、この推定式に基づいて、磁束密度変化量から吸着力の推定値を特定することができる。
また、吸着力推定装置3が搭載される吸着装置2は、永久磁石の磁力を利用して吸着対象物に吸着する装置であればどのようなものであってもよく、上述したものに限らない。すなわち、吸着力推定装置3は、永久磁石の磁力を利用するものである限り、どのようなタイプの吸着装置であっても有効に吸着力を推定することができる。例えば、吸着力推定装置3が搭載される吸着装置は、複数の永久磁石とその周囲に設けられたコイルとが組み合わされて、コイルにパルス電流を流すことにより吸着力のオン/オフを切替可能に構成されたもの(いわゆる、EPM)であってもよい。また、永久磁石の磁力を単純に利用して吸着対象物に吸着するものであってもよい。
また、上記の実施形態において、吸着力推定装置3が搭載される吸着装置2は、無人飛行体1に搭載されたものであったが、吸着装置2が搭載される対象は無人飛行体1に限らない。例えば、吸着力推定装置が搭載される吸着装置は、水平面や傾斜面等を走行可能に構成された移動体、ロボットのハンド、等に搭載されたものであってもよい。例えば、ロボットのハンドに搭載された吸着装置に吸着力推定装置が搭載される場合、該吸着装置がハンドで保持するべき吸着対象物に吸着した状態において、吸着力推定装置がその吸着力を推定し、さらに、その吸着状態の良否を判定する。そして、吸着状態が良好であるとの判断が得られた上で、ハンドを動かすようにする。こうすれば、ロボットが吸着対象物を落としてしまうといった事故の発生を未然に防止することができる。
また、上記の実施形態において、第1磁束密度取得部301は、永久磁石21が非吸着状態Q0にあるときにセンサ31が永久磁石21の磁束密度を測定することによって得られた測定値を、非吸着磁束密度Bqとして取得してもよい。
また、上記の実施形態においては、係数βを特定するために用いる特定吸着状態として、完全吸着状態P0を用いた(すなわち、特定磁束密度変化量ΔBtとして最大変化量ΔBmaxを用い、特定吸着力Ftとして最大吸着力Fmaxを用いた)が、特定吸着状態は完全吸着状態P0に限られるものではない。すなわち、任意の吸着状態における磁束密度変化量と吸着力とを実験あるいは計算により求めて、これらを特定磁束密度変化量ΔBtおよび特定吸着力Ftとして使用してもよい。
また、上記の実施形態において、永久磁石21としてネオジム磁石を使用したが、永久磁石21の種類はこれに限られるものではなく、その他の各種の磁石(例えば、アルニコ磁石)を使用することができる。
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
1 無人飛行体
11 プロペラ(回転翼)
2 吸着装置
21 永久磁石
3 吸着力推定装置
31 センサ
32 制御部
300 吸着力推定部
301 第1磁束密度取得部
302 第2磁束密度取得部
303 差分取得部
304 推定部
305 判定部
9 吸着対象物
Q0 非吸着状態
P0 完全吸着状態
Bq 非吸着磁束密度
Bp 対象磁束密度
ΔB 磁束密度変化量
K 推定式
W 閾値
Pr 吸着力推定プログラム
S2 取得工程
S3 差分算出工程
S4 吸着力推定工程

Claims (6)

  1. 永久磁石の磁力を利用して吸着対象物に吸着する吸着装置において発揮されている吸着力を推定する吸着力推定方法であって、
    発揮されている吸着力を推定するべき対象状態における前記永久磁石の磁束密度を取得する取得工程と、
    前記対象状態における前記永久磁石の磁束密度と、吸着対象物に吸着していない非吸着状態における前記永久磁石の磁束密度との差分を算出して、磁束密度変化量として取得する差分算出工程と、
    前記磁束密度変化量に基づいて、前記対象状態で発揮されている吸着力を推定する吸着力推定工程と、
    を備えることを特徴とする、吸着力推定方法。
  2. 請求項1に記載の吸着力推定方法であって、
    前記吸着力の推定値に基づいて、前記対象状態における吸着状態の良否を判定する判定工程、
    をさらに備えることを特徴とする、吸着力推定方法。
  3. 請求項1または2に記載の吸着力推定方法であって、
    前記吸着力推定工程において、
    前記磁束密度変化量と前記吸着力との関係に基づいて規定される推定式を用いて、前記吸着力の推定値を算出する、
    ことを特徴とする、吸着力推定方法。
  4. 請求項3に記載の吸着力推定方法であって、
    前記推定式が、前記永久磁石の磁力方向の長さに基づいて算出される係数を有する一次関数である、
    ことを特徴とする、吸着力推定方法。
  5. 永久磁石の磁力を利用して吸着対象物に吸着する吸着装置において発揮されている吸着力を推定する吸着力推定装置であって、
    前記永久磁石の磁束密度を測定するセンサと、
    前記センサが取得した測定値に基づいて、吸着力を推定する吸着力推定部と、
    を備え、
    前記吸着力推定部が、
    発揮されている吸着力を推定するべき対象状態において前記センサが取得した測定値と、吸着対象物に吸着していない非吸着状態における前記永久磁石の磁束密度との差分を算出して、磁束密度変化量として取得し、該磁束密度変化量に基づいて、前記対象状態で発揮されている吸着力を推定する、
    ことを特徴とする、吸着力推定装置。
  6. 永久磁石の磁力を利用して吸着対象物に吸着する吸着装置において発揮されている吸着力を推定する吸着力推定プログラムであって、
    発揮されている吸着力を推定するべき対象状態における前記永久磁石の磁束密度を取得する取得工程と、
    前記対象状態における前記永久磁石の磁束密度と、吸着対象物に吸着していない非吸着状態における前記永久磁石の磁束密度との差分を算出して、磁束密度変化量として取得する差分算出工程と、
    前記磁束密度変化量に基づいて、前記対象状態で発揮されている吸着力を推定する吸着力推定工程と、
    をコンピュータに実行させることを特徴とする、吸着力推定プログラム。
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