JP7234081B2 - 歯車装置 - Google Patents
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Description
潤滑剤中の異物を検出するための第1異物検出部と、
前記第1異物検出部が検出するものよりも大きい異物を検出するための第2異物検出部と、を備え、
前記第1異物検出部は、前記第2異物検出部よりも前記大きい異物が到達し難い位置に設置されるように構成した。
図1は、本発明の実施形態に係る歯車装置の断面図である。
この図に示すように、本実施形態に係る歯車装置1は、2つのアーム部材A1、A2を連結する関節部に設けられる減速装置である。つまり、本実施形態の歯車装置1は、被駆動装置として、2つのアーム部材A1、A2を有するロボットに取り付けられている。なお、本実施形態の歯車装置1が取り付けられる被駆動装置は特に限定されるものではなく、種々の被駆動装置の駆動に使用することができ、例えば工作機械や搬送台車の車輪に取り付けられてもよい。具体的に、歯車装置1は、モータ10と、モータアダプタ15と、減速機20と、2つの異物検出装置(第1異物検出装置40、第2異物検出装置50)とを備える。
また、モータアダプタ15の上端外周にはフランジが張り出しており、このフランジがアーム部材A1に固定される。
なお、以下の説明では、回転軸Axに沿った方向を「軸方向」、回転軸Axに垂直な方向を「径方向」、回転軸Axを中心とする回転方向を「周方向」という。
2つの異物検出装置(第1異物検出装置40、第2異物検出装置50)は、空間S内の潤滑剤中の異物を検出するためのものである。減速機20が作動すると、ハウジング25内の空間とモータアダプタ15内の空間Sとの間で潤滑剤の循環が生じる。この潤滑剤の循環により、減速機20内で発生した金属粉などの異物がモータアダプタ15内の空間Sに排出される。2つの異物検出装置はこの異物を検出する。
2つの異物検出装置のうち、第1異物検出装置40は、小さな異物Faを検出する(図2参照)。一方、第2異物検出装置50は、第1異物検出装置40が検出する小さな異物Faよりも大きい異物Fbを検出する(図3参照)。なお、以下の記載において、異物Fa及び異物Fbについての「小さい」又は「大きい」とは、互いの相対的な大きさを意味し、異物の絶対的な大きさを限定するものではない。
この図に示すように、第1異物検出装置40は、異物を検出する第1センサ部41と、異物が検出された場合に検出信号を出力する出力部45と、第1センサ部41と出力部45とに動作電圧を供給する電源47とを備える。
この第1センサ部41は、潤滑剤が流動するモータアダプタ15内の空間Sに配置される。具体的な設置位置は後述する。
この図に示すように、第2異物検出装置50は、異物を検出する第2センサ部51と、異物が検出された場合に検出信号を出力する出力部55と、第2センサ部51と出力部55とに動作電圧を供給する電源57とを備える。
具体的に、第1センサ部41及び第2センサ部51は、モータアダプタ15に取り付けられる。モータアダプタ15は、第1センサ部41及び第2センサ部51を取り付けるための第1装着部151及び第2装着部152を空間S内に有している。第1装着部151及び第2装着部152は、軸方向及び周方向の位置が互いに異なっており、第1装着部151が第2装着部152よりも鉛直方向上側に設けられる。第1装着部151には、支持部材44を介して第1センサ部41が取付けられる。第2装着部152には、支持部材54を介して第2センサ部51が取付けられる。また、第1装着部151及び第2装着部152は、第1センサ部41及び第2センサ部51のいずれも装着可能に構成されるのが好ましい。
例えば、第1異物検出装置40の第1センサ部41は、図4(a)に示すように、磁石48を用いて異物Faを集積するものであってもよい。この場合、第1検出部411及び第2検出部412は、導電性を有する金属板であり、互いに板面を対向させて配置される。磁石48は、例えば永久磁石であり、第1検出部411のうち第2検出部412とは反対側に固定(配置)されている。磁石48は、第1検出部411を磁化し、第1検出部411に磁性体の異物Faを引き付ける磁力を発生させる。あるいは、第1検出部411は、磁性体でなくてもよく、その場合、磁石48は、自らの磁力により、第1検出部411のうち第2検出部412に対向する面に磁性体の異物Faを引き付ける。このような構成であっても、前述した図2の第1異物検出装置40の検出動作と同様の作用を得ることができる。
あるいは、第1異物検出装置40の第1センサ部41は、例えば、磁石(磁力)によって異物を電極間のギャップ部に集積させて、電極間の電気抵抗の変化によって潤滑剤中の異物の量を検出するセンサであってもよい。具体的には、図4(b)、(c)に示すように、この場合の第1センサ部41は、永久磁石413と、磁性材の電極414とを備えている。電極414は上面が開口した箱状に形成され、その内部に非磁性体(絶縁体)の保持部材415が配置されている。保持部材415の上部中央には永久磁石413が埋め込まれている。永久磁石413と電極414の各電極には出力ライン(信号線)が接続されている。永久磁石413と電極414との間にはギャップ部GAが形成されている。また、永久磁石413は図4(c)の左右方向に着磁されている。これにより、図中の破線矢印で示すような磁束経路が形成される。そのため、ギャップ部GAには永久磁石413の磁力によって異物が吸着される。そして、一定量を超える異物がギャップ部GAに集積すると、永久磁石413と電極414との間の電気抵抗が低下して(短絡して)、出力ラインの出力レベルが変化する。この電気抵抗の低下を検知することにより、異物の集積を検知することができる。
図1に示すように、歯車装置1では、減速機20が作動に伴う潤滑剤の流動により、減速機20内で発生した金属粉などの異物が潤滑剤とともにモータアダプタ15内の空間Sに排出される。空間S内の異物は、第1センサ部41及び第2センサ部51によって検出される。
また、第1センサ部41が第2センサ部51よりも大きい異物が到達し難い位置に設置されているので、第1センサ部41により小さい異物Faを、第2センサ部51により大きい異物Fbを、それぞれ好適に検出できる。
これにより、歯車装置1の姿勢毎に異なるモータアダプタを用意することなく、常に第1センサ部41を第2センサ部51よりも鉛直方向上側に設置できる。例えば、歯車装置1の姿勢が変更され、図1において紙面右方が鉛直上方、紙面左方が鉛直下方となった場合であっても、第1センサ部41と第2センサ部51の取り付け位置を入れ替えて、第1センサ部41を第2センサ部51よりも鉛直方向上側に設置できる。
上記実施形態では、第1センサ部が第2センサ部よりも鉛直方向上側に設置される場合について説明した。しかし、第1センサ部及び第2センサ部の設置位置はこれに限定されず、第1センサ部が第2センサ部よりも大きい異物が到達し難い位置に設置されていればよい。
例えば、第1センサ部及び第2センサ部は、モータアダプタ15内の空間Sと連通する減速機20の内部空間に配置されてもよい。ここでは、所謂振り分け型の偏心揺動型の減速機20内に配置した例について説明する。
この図に示すように、減速機20は、入力軸21と、偏心体31a、31bを有する偏心体軸31と、軸心からオフセットされた貫通孔に偏心体31aが通される第1の外歯歯車32Aと、軸心からオフセットされた貫通孔に偏心体31bが通される第2の外歯歯車32Bとを有する。偏心体軸31は、入力軸21と噛合する偏心体軸歯車33を有し、当該偏心体軸歯車33を介して入力軸21から回転が入力される。外歯歯車32A、32Bの貫通孔は、周方向の複数箇所(例えば3箇所)に設けられており、複数の偏心体軸31が通される。偏心体31a、31bは、偏心体軸受37Aを介して回転自在に外歯歯車32A、32Bの貫通孔に配置される。
そこで、相対的に大きい異物Fbを検出する第2センサ部51Aは、偏心体軸歯車33よりも偏心体軸受37Aに近い位置に配置されるのが好ましい。また、小さい異物Faを検出する第1センサ部41Aは、偏心体軸受37Aよりも偏心体軸歯車33に近い位置に配置されるのが好ましい。ここで「近い」とは、減速機20内の連通路における距離の短さをいう。つまり、単純な直線距離ではなく、摩耗粉が通過する最短距離のことをいう。本変形例では、第1センサ部41Aがモータアダプタ15内の空間Sに設けられ(具体的には、モータアダプタ15に取り付けられ)、第2センサ部51Aが出力軸22の貫通孔22b内の出力側端に設けられている(具体的には、出力軸22に取り付けられている)。なお、図5では、第1センサ部41A及び第2センサ部51Aを簡易的に示している。第1センサ部41A及び第2センサ部51Aは、設置位置以外は上記実施形態における第1センサ部41及び第2センサ部51と同様に構成されている。
なお、第2センサ部51Aは、第1センサ部41Aよりも偏心体軸受37Aから近い位置に配置されていればよい。したがって、第1センサ部41Aは、例えば出力軸22中央の貫通孔22a内の出力側端(図5の41A’の位置)などに設けられていてもよい。
続いて、第1センサ部及び第2センサ部を、センタークランク式の偏心揺動型の減速機60内に配置した例について説明する。
この図に示すように、減速機60は、出力軸62、減速部63、並びに、これらの周囲を覆うハウジング(ケーシング)65を備える。出力軸62とハウジング65との間には、潤滑剤を減速機60の内部に封入するオイルシールo2が設けられている。ハウジング65は上記変形例1のハウジング25に代えてモータアダプタ15に固定され、出力軸62は上記変形例1の出力軸22に代えてアーム部材A2に固定される(図1参照)。
そこで、相対的に大きい異物Fbを検出する第2センサ部51Bは、小さい異物Faを検出する第1センサ部41Bよりも、偏心体71a、71b、71c(偏心体軸受77a、77b、77c)から近い位置に配置されるのが好ましい。ここで「近い」とは、減速機60内の連通路における距離の短さをいう。本変形例では、第2センサ部51Bが出力軸62の出力側の凹部62a内の外周側に設けられている。一方、第1センサ部41Bは偏心体軸71の出力側のキリ穴71d内に設けられ、第2センサ部51Bよりも偏心体71a、71b、71cから遠い位置に設置されている。なお、図6では、第1センサ部41B及び第2センサ部51Bを簡易的に示している。第1センサ部41B及び第2センサ部51Bは、設置位置以外は上記実施形態における第1センサ部41及び第2センサ部51と同様に構成されている。
また、第2センサ部51Bを減速機60の内部空間に配置し、第1センサ部41Bをモータアダプタ15内の空間Sに配置してもよい。
以上、本発明の実施形態及びその変形例について説明した。しかし、本発明は上記の実施形態及び変形例に限られない。
例えば、上記実施形態及びその変形例では、第1センサ部が第2センサ部よりも大きい異物が到達し難い位置に設置される場合について説明した。しかし、第1センサ部は第2センサ部よりも大きい異物が到達し難いように構成されていればよい。例えば図7に示すように、第1検出部411と第2検出部412の間(もしくは第1センサ部全体)をフィルタ49で覆った第1センサ部41Cとしてもよい。フィルタ49は、例えば小さい異物Faは通過させるが大きい異物Fbは通さないメッシュ粗さのものとすればよい。この場合、第1センサ部及び第2センサ部の設置位置は特に限定されない。
その他、実施の形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
10 モータ
15 モータアダプタ
20、60 減速機
21 入力軸
22、62 出力軸
31、71 偏心体軸
31a、31b、71a~71c 偏心体
32A、32B、72A~72C 外歯歯車
33 偏心体軸歯車
37A、77a~77c 偏心体軸受
40 第1異物検出装置
41、41A、41B、41C 第1センサ部(第1異物検出部)
49 フィルタ
50 第2異物検出装置
51、51A、51B 第2センサ部(第2異物検出部)
151 第1装着部
152 第2装着部
A1 アーム部材
A2 アーム部材
Ax 回転軸
Fa 小さい異物
Fb 大きい異物
S モータアダプタ内の空間
Claims (7)
- 潤滑剤が封入された歯車装置であって、
潤滑剤中の異物を検出するための第1異物検出部と、
前記第1異物検出部が検出するものよりも大きい異物を検出するための第2異物検出部と、を備え、
前記第1異物検出部は、前記第2異物検出部よりも前記大きい異物が到達し難い位置に設置される、
歯車装置。 - 当該歯車装置が被駆動装置に取り付けられた状態において、前記第1異物検出部が、前記第2異物検出部よりも鉛直方向上側に設置される、
請求項1に記載の歯車装置。 - 当該歯車装置における軸方向及び周方向の位置が互いに異なる第1装着部及び第2装着部を有し、
前記第1装着部及び前記第2装着部は、前記第1異物検出部及び前記第2異物検出部のいずれも装着可能に構成されている、
請求項1又は請求項2に記載の歯車装置。 - 歯車装置本体と、モータと、前記歯車装置本体及び前記モータの間に配置されるモータアダプタと、を有し、
前記第1異物検出部は前記歯車装置本体に配置され、前記第2異物検出部は前記モータアダプタに配置される、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の歯車装置。 - 外歯歯車と、外歯歯車を揺動させる偏心体を有する偏心体軸と、偏心体と外歯歯車の間に配置される偏心体軸受と、を有し、
前記第2異物検出部は、前記第1異物検出部よりも前記偏心体軸受から近い位置に配置される、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の歯車装置。 - 前記偏心体軸に回転を入力する偏心体軸歯車、をさらに有し、
前記第1異物検出部は、前記偏心体軸受よりも前記偏心体軸歯車に近い位置に配置され、
前記第2異物検出部は、前記偏心体軸歯車よりも前記偏心体軸受に近い位置に配置される、
請求項5に記載の歯車装置。 - 前記第1異物検出部及び前記第2異物検出部の各々は、間隔を空けて配置された一対の検出部を有し、
前記第1異物検出部の検出部は磁化されている一方、前記第2異物検出部の検出部は磁化されていない、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の歯車装置。
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