JP7232734B2 - 姿勢矯正装置および姿勢矯正方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば飲料が充填される角筒状の容器の姿勢を矯正するのに好適な装置および方法に関するものである。
飲料を充填する設備においては、成形された複数の容器が連続的に搬送されながら飲料が充填され、飲料が充填された容器の口部にはキャップが施され、さらに容器の胴部にラベルが貼り付けられた後に、所定の数の容器が箱詰めされる。飲料充填設備においては、容器の成形部と飲料の充填部の間、ラベル貼り付け部と箱詰め部の間などで容器が搬送される。この搬送の途中で、容器はその中心軸線の周りに回転することがある。なお、以下では中心軸線の周りの回転を単に回転ということがある。
ここで、円筒状の容器、角筒状の容器など様々な外観形状の容器が存在する。円筒状の容器は、搬送方向に対して方向性がないので、回転したとしても中心軸線周りの姿勢は一定である。ところが、角筒状の容器は搬送の向きに対して方向性があるので、回転すると中心軸線周りの姿勢が一定ではない。つまり、搬送コンベアの幅方向に対して、容器の胴部の直線状の前縁(後縁)が平行になっていることもあれば、前縁(後縁)が交差していることもある。なお、容器の胴部の直線状の前縁(後縁)が幅方向に平行になっていることを正規の姿勢にあり、前縁(後縁)が幅方向に交差していることを姿勢が傾いているということにする。このように角筒状の容器の中心軸線周りの姿勢がまちまちだと、例えばラベルの貼り付け作業のときに、容器の必要な位置にラベルを貼り付けるのが容易ではないなど作業が円滑に行えないことがある。また、箱詰め作業のときに、箱詰めされた複数の容器の姿勢がまちまちなため正しい姿勢で箱に入らない、または美観を損なうことがある。
そこで、角筒状の容器について、正規の姿勢を揃えるための種々の提案がなされている。例えば、特許文献1には、一対の矯正ガイドが角筒状の容器の搬送方向と平行に、かつ、相対的に前後方向に往復動する姿勢矯正装置が開示されている。
特開2004-035001号公報
特許文献1の姿勢矯正装置によれば、一対の矯正ガイドの一方が前方に動くとともに他方のガイドが後方に動く。これにより、一対のガイドに接触する容器の対向する一方の角部に前方に向けた摩擦力が生じ、他方の角部に後方に向けた摩擦力が生じることで、容器の中心軸線の周りにモーメントを生じさせて容器の姿勢を矯正する。ところが、特許文献1の姿勢矯正装置によれば、正規の姿勢に矯正された容器が一対の矯正ガイドを通過する前に上述した摩擦力によるモーメントが生じ続けるおそれがある。これにより、姿勢が矯正された容器が再び傾くおそれがある。
以上より、本発明は、矯正された容器の姿勢を維持できる姿勢矯正装置および姿勢矯正方法を提供することを目的とする。
本発明の姿勢矯正装置は、一対の搬送ガイドと、姿勢矯正体と、物品支持体と、を備える。
一対の搬送ガイドは、搬送方向に沿って上流から下流に向けて搬送される物品が通過し、互いに対向して設けられる。
姿勢矯正体は、一対の搬送ガイドの一方から他方に向けて突き出し、物品が干渉すると物品の中心軸線周りのモーメントを物品に生じさせる。
物品支持体は、長手方向が搬送方向に交差し、姿勢矯正体により中心軸周りに姿勢が矯正された物品に面または線で接触する。
本発明の姿勢矯正装置において、好ましくは、物品支持体は、物品を下流に向けて押すことで、物品を搬送する。
本発明の姿勢矯正装置において、物品は角筒状の形状を有している場合、以下の式(1)、(2)が成り立つことが好ましい。
ただし、W1、W2(W2<W1)、D1およびD2は以下の通り定義される。
W2< D1<W1…式(1) D2<W2…式(2)
W1:一対の搬送ガイドの間の幅方向の寸法
W2:姿勢矯正体の設けられる領域における一対の搬送ガイドの間の幅方向の寸法
D1:物品における互いに対向する角部の間の寸法
D2:物品における互いに平行をなして対向する側面の間の寸法
本発明の姿勢矯正装置において、姿勢矯正体は、一対の搬送ガイドの一方に、一体的に形成されるか、または、着脱容易に設けられる。
本発明の姿勢矯正装置において、好ましくは、一対の搬送ガイドは、搬送方向に沿って直線状に延びる。
本発明の姿勢矯正装置において、好ましくは、姿勢矯正体が設けられる一対の搬送ガイドと物品支持体とが、搬送方向に直交する幅方向(W)に複数列配列される。
本発明は、搬送路に沿って上流から下流に向けた搬送方向に搬送される、角筒状の物品の姿勢を矯正する方法を提供する。
この姿勢矯正方法は、第一ステップと第二ステップとを備えている。
第一ステップは、搬送される物品の角部を係止して中心軸線周りにモーメントを生じさせることで、物品の中心軸周りの姿勢を矯正する。
第二ステップは、第一ステップにより姿勢が矯正された物品について中心軸線周りのモーメントが生じるのを規制することで、矯正された姿勢を維持したままで物品を下流に搬送する。
本発明の姿勢矯正方法において、好ましくは、第一ステップの前に、物品を下流に向けて押すことで、物品を搬送し、第二ステップにおいて、物品を下流に向けて押すことで、物品を搬送する。
本発明の姿勢矯正方法の第一ステップにおいて、搬送方向に並んで搬送される複数の物品に順番にモーメントを加えることで姿勢を矯正することができる。
本発明の姿勢矯正装置によれば、一対の搬送ガイドの一方に姿勢矯正体を設けることにより物品の姿勢を矯正できる。しかも、本発明の姿勢矯正装置によれば、矯正された姿勢の物品と面または線で接触する物品支持体を備えているので、矯正された姿勢が維持される。したがって、例えば容器の箱詰めの直前に本発明を適用すれば、正規の姿勢に整列された容器を箱詰めすることができる。
本発明の実施形態に係る姿勢矯正装置の概略構成を示し、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図である。 本実施形態に係る姿勢矯正装置における幅方向の寸法と姿勢が矯正される容器の寸法の関係を説明する図である。 本実施形態に係る姿勢矯正装置において、傾いた姿勢の容器が正規の姿勢に矯正される様子を示す平面図である。 本実施形態に係る姿勢矯正装置において、傾いた姿勢の容器が正規の姿勢に矯正される様子を示す正面図である。 本実施形態に係る姿勢矯正装置において、正規の姿勢の容器が維持されたままで搬送される様子を示す平面図である。 本実施形態に係る姿勢矯正装置において、傾いた姿勢の複数の容器が正規の姿勢に矯正される様子を示す平面図である。 図6に続いて、本実施形態に係る姿勢矯正装置において、傾いた姿勢の複数の容器が正規の姿勢に矯正される様子を示す平面図である。 本実施形態に係る姿勢矯正装置において、胴部に括れの容器の例を示し、(a)~(c)は正規の姿勢の容器が維持されたままで搬送される様子を示し、(d)~(f)は傾いた姿勢の容器が正規の姿勢に矯正される様子を示す平面図である。 本実施形態に係る複数の姿勢矯正装置を並列に配置する例を示す平面図である。 本実施形態の姿勢矯正装置に適用される容器を示し、(a)は胴部に括れのない例を示し、(b)は胴部に括れのある容器の例を示す。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る姿勢矯正装置1および姿勢矯正装置1による姿勢矯正方法について説明する。姿勢矯正装置1は、飲料が充填される樹脂製の容器100を例にして説明するが、本発明は中心軸線周りの姿勢が問われる角筒状の物品に広く適用できる。
[姿勢矯正装置1の全体構成]
図1に示すように、姿勢矯正装置1は、容器100が載って搬送される搬送路3と、
搬送路3から高さ方向Vの上方に所定の間隔を設けて配置される一対の搬送ガイド5A,5Bと、を備える。また、姿勢矯正装置1は、一対の搬送ガイド5A,5Bの一方の搬送ガイド5Aの内側に設けられる姿勢矯正体7と、高さ方向Vにおける搬送路3と搬送ガイド5A,5Bの間に配置され、搬送方向Lの下流Dに向けて移動する容器支持体9と、を備える。
姿勢矯正装置1において、高さ方向V、幅方向Wおよび搬送方向Lは図1に示されるそれぞれの矢印の方向として定義されるものとし、互いに直交する。この高さ方向Vは鉛直方向と一致し、幅方向Wは水平方向と一致する。
また、姿勢矯正装置1において、図1に示すように、容器100が搬送される向きを基準にして上流Uおよび下流Dが特定される。上流Uおよび下流Dは相対的な意味を含んでいる。
姿勢矯正装置1は、傾いた姿勢の容器100を正規の姿勢に矯正する機能を姿勢矯正体7が担い、矯正された容器100の姿勢を維持する機能を容器支持体9が担う。姿勢矯正装置1は、極めて簡易な構成により、本発明の第一ステップに対応する姿勢矯正および本発明の第二ステップに対応する矯正された姿勢の維持を実現する。
[搬送路3]
搬送路3は、図1に示すように、容器100が載せられる搬送面3Aが幅方向Wと平行になるように配置されている。搬送路3は、一対の搬送ガイド5A,5Bの幅方向Wの間隔よりも幅が広い。本実施形態における搬送路3は、コンベヤ装置のようにそれ自身が駆動するものであってもよいし、駆動することなく固定されているものであってもよい。以下では搬送路3は駆動することなく固定されているものとし、容器100の搬送は容器支持体9が担うものとする。この場合、容器100は搬送面3Aを滑ることになるので、少なくとも搬送面3Aは摩擦係数の小さい例えばステンレス鋼で構成することが好ましい。耐食性の優れたステンレス鋼は、飲料を扱う姿勢矯正装置1の清潔さを保つうえでも好ましい。このことは、搬送ガイド5A,5B、姿勢矯正体7および容器支持体9についても適用される。なお、搬送路3が駆動される場合には、搬送路3の走行速度を容器支持体9の駆動速度よりも遅くする必要がある。容器支持体9が容器100よりも上流Uの側に離れてしまうのを防ぐためである。
[搬送ガイド5]
一対の搬送ガイド5A,5Bは、搬送される容器100が幅方向Wにずれて搬送路3から離脱するのを防ぐ。一対の搬送ガイド5A,5Bは、図1に示すように、それぞれが搬送方向Lに沿って直線状に延びて形成されており、搬送方向Lに沿ってその間隔が等しく設定されている。ただし、姿勢矯正体7が設けられている搬送方向Lの領域は、姿勢矯正体7の厚さの分だけ搬送ガイド5A,5Bの間隔が狭くなっている。
ここで示す搬送ガイド5A,5Bは、容器支持体9との干渉を避けるために、容器支持体9が移動する高さ方向Vの領域よりも上方に設けられているが、これはあくまで一例である。つまり、容器支持体9と干渉することがなく、かつ、容器100の幅方向Wへの搬送路3からの離脱を防ぐことができる限りその形態は任意である。
[姿勢矯正体7]
姿勢矯正体7は、傾いた姿勢で搬送されてきた容器100に中心軸線C(図2,図3,図4,図10)の周りに回転させるモーメントを生じさせる。姿勢矯正体7は、図1に示すように、一方の搬送ガイド5Aの内側に設けられ、他方の搬送ガイド5Bに向けてその厚さの分だけ突き出している。これにより、姿勢矯正体7が設けられる領域は他の領域に比べて一対の搬送ガイド5A,5Bの間隔が狭くなる。ここでいう容器100の中心軸線Cとは、容器100の高さ方向Vの異なる複数の横断面のそれぞれの中心を高さ方向Vに結んだ仮想線であり、容器100の回転軸と一致する。また、容器100が搬送されるとき、この中心軸線Cは鉛直方向に沿うことになる。
傾いた姿勢で搬送されてきた容器100は、その角部が姿勢矯正体7に干渉すると、当該角部における容器100の搬送方向Lの下流Dへの移動が妨げられる。しかし、容器支持体9が容器100を下流Dに向けて継続して押すとともに、姿勢矯正体7に干渉した角部101A(図3,図4)に対向する角部101C(図3,図4)は下流Dへの移動を妨げる力が小さい。したがって、容器100には反時計周りにモーメント(M)が生じる(図3)。この結果、容器100は中心軸線Cの周りに回転して正規の姿勢に矯正される。正規の姿勢に矯正された容器100は、姿勢矯正体7が設けられる領域における一対の搬送ガイド5A,5Bの間隔が狭いために、正規の姿勢のままで当該領域を通過する。以上の姿勢矯正の手順については、追ってより詳しく説明する。
姿勢矯正体7には、上流U側および下流D側に傾斜面7Aが設けられている。傾斜面7Aは、本実施形態の好ましい形態であり、容器100が姿勢矯正体7に干渉したときに傷が生じるのを抑制する。
また、姿勢矯正体7はボルト、ナットなどの締結手段などで搬送ガイド5Aに着脱が容易に設けられてもよいし、搬送ガイド5Aと一体的に形成されてもよい。
[容器支持体9]
容器支持体9は、容器100と面で接触することで、姿勢が矯正された容器100が再び傾くのを抑制する。また、容器支持体9は、搬送路3の上方を搬送方向Lの上流Uから下流Dに向けて移動しながら、容器100を押すことで容器100を下流Dに向けて搬送する。容器支持体9は、その長手方向(幅方向W)が搬送方向Lに交差、具体的には直交している。
容器支持体9は、図1に示すように、容器100と接触する側の支持面9Aが幅方向Wと平行をなしている。つまり、容器支持体9は、正規の姿勢をなす容器100と面で接触し、容器100に中心軸線Cの周りにモーメントが生じるのを規制することで、矯正された姿勢を維持したままで容器100を下流Dに向けて搬送できる。
なお、ここで例示する容器支持体9は棒状の形状をなしているが、正規の姿勢をなす容器100と面または線で接触する支持面9Aを有している限り、その他の部分の形状は任意である。
容器支持体9は、例えば、以下のような循環経路を移動する。図示を省略する駆動装置によって最も下流Dまで移動した後に、一対の搬送ガイド5A,5Bよりも上方に移動する。その後、上流Uにおける容器支持体9の始点に対応する位置まで移動してから下方に移動して、再び下流Dに向けて移動しながら容器100を押して搬送する。
ここで、図4に示すように、高さ方向Vにおいて、姿勢矯正体7と容器支持体9は近接して配置される。これは、姿勢矯正体7に突き当たった容器100が転倒するのを防ぐためである。つまり、容器100が姿勢矯正体7に突き当たると、容器100は上流Uの側に押されることになり、何も支えがければ転倒するおそれがある。しかし、本実施形態によれば容器支持体9が姿勢矯正体7に近接して配置されているので、容器支持体9が容器100を支持し、容器100が転倒するのを防止できる。一方、容器支持体9が姿勢矯正体7から下方に離れていると、容器100を支持できず、逆に転倒を誘起させてしまう。
[一対の搬送ガイド5A,5Bの間隔と容器100の寸法の関係]
次に、図2を参照しながら、一対の搬送ガイド5A,5Bの幅方向Wの寸法(幅)と容器100の寸法の関係について説明する。
図2に示すように、一対の搬送ガイド5A,5Bの幅をW1とし、姿勢矯正体7の設けられる領域における幅をW2(W2<W1)とする。つまり、姿勢矯正体7の厚さはW1とW2の差として特定される。また、容器100については、互いに対向する角部101A,101Cの最大の間隔をD1とし、互いに平行をなして対向する側面103,103の間の寸法をD2とする。
傾いた姿勢の容器100が一対の搬送ガイド5A,5Bの間を通過する必要があるので、寸法D1よりも幅W1を大きくする必要がある。つまり、D1<W1が成り立つ。ここでいう傾いた姿勢とは、正規の姿勢に対して45°傾いていることをいう。
次に、傾いた姿勢をなす容器100が姿勢矯正体7と対向する搬送ガイド5Bの間を通過するのが規制される必要があるので、寸法D1よりも幅W2を小さくする必要がある。つまり、D1>W2が成り立つ。
さらに、正規の姿勢をなす容器100が姿勢矯正体7と対向する搬送ガイド5の間を通過する必要があるので、寸法D2よりも幅W2を大きくする必要がある。つまり、D2<W2が成り立つ。
以上を整理すると、W1、W2、D1およびD2は以下の式(1)、(2)の関係を有する。一対の搬送ガイド5A,5Bは、搬送される容器100と式(1)、(2)の関係を有するように作製される。
W2<D1<W1…式(1)
D2<W2…式(2)
ここで説明した容器100は、図10(a)に示すように、胴部における寸法D1、D2が一定である。また、この胴部は容器100を平面視して正方形の形状を有している。
[姿勢矯正装置1の動作]
次に、図3および図4を参照して、姿勢矯正装置1により姿勢が矯正される動作を説明する。なお、図3において、破線による白抜きの矢印は容器100が搬送される方向を示している。
図3(a)および図4(a)に示すように、容器100は正規の姿勢に対して一例として45°だけ傾いた姿勢で下流Dに向けて搬送されてきたものとする。このとき、容器支持体9が容器100を押す力F0に対して容器100の中心軸線Cには上流Uに向けて反力F00が生じる。反力F00は容器100の質量と搬送面3Aとの間の摩擦係数により特定される。この質量および摩擦係数は小さいので、押す力F0は反力F00よりもはるかに大きい。
容器100は、図3(a)に示すように、一つの角部101Bが容器支持体9から押されることで搬送されている。他の角部101A,101Cはそれぞれ搬送ガイド5A,5Bに接触するので、接した角部101A,101Cには摩擦力F1が生じる。この摩擦力F1は押す力F0よりも十分に小さい。したがって、容器100は傾いたままで下流Dに向けて搬送される。
なお、図3(a)~(d)において、姿勢矯正装置1の動作を説明するのに必要な押す力F0、反力F00などを示されているが、容器100には現実にはここで示す以外の力も加わることがある。
容器100がさらに下流Dに向けて搬送されると、図3(b)に示すように、容器100の角部101Aが姿勢矯正体7に干渉する。角部101Aには黒丸を付すことで、他の101Bなどと区別している。角部101Aが姿勢矯正体7に干渉すると、角部101Aが姿勢矯正体7に係止されることにより、角部101Aの下流Dに向けた移動が妨げられる。しかし、容器支持体9による容器100の下流Dに向けた押し付けが継続して行われている。ここで、姿勢矯正体7に干渉した角部101Aに対向する角部101Cは搬送ガイド5Bとの間に摩擦力F1が生じるが、この摩擦力F1は容器支持体9が容器100を押す力F0より小さい。したがって、容器100には、図3(b)、(c)に示すように、図中の反時計回りであって中心軸線Cの周りにモーメントMが生じる。ここで、容器支持体9に干渉する角部101Bにも容器支持体9との間で摩擦力F2が生じるが、この摩擦力F2よりもモーメントMによる回転力が大きい。この結果、容器100は中心軸線Cの周りに回転して、図3(d)、図4(d)に示すように、容器支持体9の下流Dに向けた移動に従って正規の姿勢に矯正される。
正規の姿勢とされた容器100は、図3(d)に示すように、側面103が容器支持体9の支持面9Aと面で接触しており、容器100には中心軸線Cの周りにはモーメントが生じにくい。したがって、以後の搬送の過程で姿勢が傾くようなモーメントが意図的に加えられない限り、正規の姿勢が維持されたままで下流Dに向けて搬送される。特に、姿勢矯正体7が設けられる領域は一対の搬送ガイド5A,5Bの間隔が狭いために、傾いた姿勢になることができず、正規の姿勢のままで当該領域を通過する。
[正規の姿勢で搬送される場合の姿勢矯正装置1の動作]
次に、正規の姿勢で搬送されてきた容器100が姿勢矯正体7を通過する際の動作を、図5を参照しながら説明する。なお、ここでは正規の姿勢の容器100が姿勢矯正体7に干渉する典型例として、図5(a)に示すように、容器100が一方の搬送ガイド5Aに接しながら搬送されてきた例が示されている。
図5(b)に示すように、容器100の角部101Aが姿勢矯正体7に干渉すると、容器100には前述したのと同様にモーメントが生じようとする。しかし、容器100はその側面103が容器支持体9の支持面9Aと面で接触しており、容器100について中心軸線Cの周りにモーメントが生じるのを規制する。したがって、図5(c)、(d)に示すように、角部101Aには摩擦力F3が生じるが、この摩擦力F3は小さいため、容器100は正規の姿勢を維持したままで搬送ガイド5Bの側に移動する。その後は、図5(e)に示すように、容器100は姿勢矯正体7に接触しながら下流Dに向けて搬送される。
なお、ここでは容器100が姿勢矯正体7に干渉する例を示したが、容器100が姿勢矯正体7に干渉しないように、典型的には搬送ガイド5Bに接触しながら搬送されてきた場合には、正規の姿勢を維持したままで姿勢矯正体7と搬送ガイド5Bの間を通過する。
[姿勢矯正装置1の効果]
以上説明した姿勢矯正装置1によれば、以下の効果を奏する。
姿勢矯正装置1は、一対の搬送ガイド5A,5Bの一方に姿勢矯正体7を設けることにより容器100の姿勢を矯正できる。したがって、一対の搬送ガイドのそれぞれを前後に移動する機構を備える例えば特許文献1と比べて、極めて簡易な構造により容器100の姿勢を矯正できる。
しかも、姿勢矯正装置1は、矯正された正規の姿勢の容器100と面で接触する容器支持体9を備えているので、正規の姿勢に矯正された容器100が再び傾いた姿勢になるおそれがほとんどない。
したがって、容器100の箱詰めの直前に姿勢矯正装置1を設ければ、正規の姿勢に整列された複数の容器100を、商品価値を下げることなく箱詰めすることができる。
また、姿勢矯正装置1は、容器100の姿勢の矯正が姿勢矯正体7への干渉、より具体的には角部101が姿勢矯正体7に係止されることにより生じるモーメントMにより実現される。したがって、特許文献1のように摩擦力に頼った姿勢の矯正に比べると、姿勢矯正の効果が安定して得られる。つまり、摩擦力による姿勢矯正は、摩擦を生じさせる搬送ガイドの摩耗状態によって摩擦力が変動するので、経過時間とともに姿勢矯正の効果が減少する。
また、姿勢矯正装置1は、一対の搬送ガイド5A,5Bが直線状をなしており、さらに、特許文献1のように搬送ガイド5A,5Bを駆動させる機構が必要ない。したがって、姿勢矯正装置1はその幅方向Wの寸法を小さくできる。
また、姿勢矯正装置1において、姿勢矯正体7を着脱自在にしておけば、円筒状の容器など多様な容器、その他の物品に適用できる。
[付記]
以上、本発明の好ましい形態を説明したが、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることができる。
[容器100の搬送手段]
本実施形態は、容器支持体9が容器100の搬送を担っているが、本発明はこれに限定されない。
例えば、搬送路3をコンベア装置で構成することにより容器100の搬送を搬送路3で担う。一方で、容器支持体9は、容器100の搬送には積極的に関わらず、搬送路3による容器100の搬送に追従するのに留める。例えば、搬送路3により容器100の搬送速度と容器支持体9の移動速度を同じにして、容器支持体9を容器100に追従するだけにする。この場合でも、容器支持体9が容器100と面で接触して支持すれば、正規の姿勢に矯正された容器100が再び傾いた姿勢に戻るのを防ぐことができる。
また、搬送路3が容器100の搬送を担う代わりに、例えば容器100の首部に搬送の向きに駆動力を与えて容器100の搬送を担うこともできる。一例として、特許文献1に記載されるエアコンベヤが該当する。つまり、本実施形態における容器支持体9は、容器100を搬送する機能と、姿勢が矯正された容器100の姿勢を維持する機能と、を兼ねているが、容器100を搬送する機能を容器支持体9から分離することができる。ただし、容器支持体9が容器100を搬送する機能を担えば、容器100を搬送する装置を省くことができる利点がある。
[複数の容器100の連続する姿勢矯正]
次に、以上で説明した実施形態においては、一本の容器100の姿勢を矯正する例を説明したが、本発明はこれに限定されず、搬送方向Lに並んで搬送される複数の容器100のそれぞれを矯正することができる。以下、図6および図7を参照してこの例を説明する。
図6(a)に示すように、それぞれ姿勢の傾いた三本の容器100が搬送されてきたものとする。図6(b)および(c)に示すように、先頭(一番目)の容器100が姿勢矯正体7に干渉することにより、容器100は正規の姿勢に矯正される。この一番目の容器100の姿勢の矯正が二番目の容器100の姿勢に影響を与えることはない。
容器100の下流Dに向けた搬送が進むと、図7(a)に示すように、二番目の容器100の姿勢が矯正される。さらに搬送が進むと、図7(b)、(c)に示すように、三番目の容器100の姿勢も矯正される。
以上のように、姿勢矯正装置1によれば、複数の容器100が相前後して接触しながら搬送されてきても、それぞれの容器100の姿勢を順番に矯正できる。しかも、このように容器100の姿勢を順番に矯正することにより、以下説明するように、傾いた姿勢に戻りにくい。
二番目の容器100の姿勢が矯正されると、図7(a)に示すように、一番目の容器100と二番目の容器100は面で接触する。また、三番目の容器100の姿勢が矯正されると、図7(c)に示すように、二番目の容器100と三番目の容器100は面で接触する。そうすると、一番目の容器100と二番目の容器100は互いに相手の回転を規制するので、一番目と二番目の容器100,100は姿勢が維持され傾いた姿勢になりにくい。同様に、二番目の容器100と三番目の容器100は互いに相手の回転を規制するので、二番目と三番目の容器100,100は姿勢が維持され傾いた姿勢になりにくい。
[括れのある容器100への対応]
以上で説明した実施形態においては、図10(a)に示される胴部の寸法(D1、D2)が一定の容器100を前提としていたが、本発明は、図10(b)に示すように胴部に括れ105を有する容器100にも適用できる。
括れ105を有する容器100が正規の姿勢で搬送されてきたとすると、図8(a)~(c)に示すように、姿勢矯正体7が括れ105を通過することができる。これによって、容器100は正規の姿勢を維持したままで下流Dに向けて搬送される。
括れ105を有する容器100が傾いた姿勢で搬送されてきたとすると、図8(d)~(f)に示すように、姿勢矯正体7が括れ105において容器100と干渉することで、容器100の姿勢を矯正できる。
[姿勢矯正装置1の複数列配列]
以上で説明した実施形態においては、一列だけ姿勢矯正装置1を備える例を説明したが、本発明は図9に示すように、複数列の姿勢矯正装置1を配列することもできる。
この場合、隣接する姿勢矯正装置1は、搬送ガイド5を共用できる。また、図9に示すようにそれぞれの姿勢矯正装置1が共通する容器支持体9を用いることができる。この場合、容器支持体9はそれぞれの姿勢矯正装置1において同期して移動することになる。または、図示を省略するが、独立して移動する容器支持体9をそれぞれの姿勢矯正装置1が備えることもできる。
[面で接触の形態]
以上で説明した実施形態においては、容器100の側面103の幅方向Wの全長にわたって容器支持体9の支持面9Aが接触する例を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、幅方向Wの1/2以上の長さにわたって支持面9Aが側面103と接触していれば、姿勢が矯正された容器100が傾いた姿勢に戻るのを防ぐことができる。
また、以上の実施形態においては、容器支持体9の横断面が矩形を有することを前提として、容器100と容器支持体9が面接触すると説明したが、容器支持体9の横断面が円形または多角形の場合には、容器100との接触の形態は線接触といえる。この線接触であっても、正規の姿勢に矯正された容器100が再び傾いた姿勢に戻るのを防ぐことができる。
1 姿勢矯正装置
3 搬送路
3A 搬送面
5A,5B 搬送ガイド
7 姿勢矯正体
7A 傾斜面
9 容器支持体
9A 支持面
100 容器
101,101A,101B,101C,101D 角部
103 側面
105 括れ

Claims (4)

  1. その中心軸線が鉛直方向に沿った状態で搬送方向に沿って上流から下流に向けて搬送される角筒状の形状を有する物品が通過し、互いに対向して設けられる一対の搬送ガイドと、
    一対の前記搬送ガイドの一方から他方に向けて突き出し、前記物品が干渉すると前記物品の前記中心軸線周りのモーメントを前記物品に生じさせる姿勢矯正体と、
    長手方向が前記搬送方向に交差し、前記姿勢矯正体により前記中心軸線周りに姿勢が矯正された前記物品に前記長手方向において面または線で接触する物品支持体と、を備え、
    以下の式(1)、(2)が成り立ち、かつ、
    前記物品支持体が、前記上流から前記下流に向けて移動するとともに、前記上流の側から前記物品を押すことで、前記物品を搬送する姿勢矯正装置。
    W2<D1<W1…式(1) D2<W2…式(2)
    W1:一対の前記搬送ガイドの間の幅方向の寸法
    W2:前記姿勢矯正体の設けられる領域における一対の前記搬送ガイドの間の幅方向の寸法
    D1:前記物品における互いに対向する角部の間の寸法
    D2:前記物品における互いに平行をなして対向する側面の間の寸法
  2. 前記姿勢矯正体は、
    一対の前記搬送ガイドの一方に、一体的に形成されるか、または、着脱容易に設けられる、
    請求項1に記載の姿勢矯正装置。
  3. 一対の前記搬送ガイドは、前記搬送方向に沿って直線状に延びる、
    請求項1または請求項2に記載の姿勢矯正装置。
  4. 前記姿勢矯正体が設けられる一対の前記搬送ガイドと前記物品支持体とが、前記搬送方向に直交する幅方向(W)に複数列配列される、
    請求項1~請求項のいずれか一項に記載の姿勢矯正装置。
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