図1は、蓋4を閉じた状態における印刷装置1の平面図である。図2は、蓋4を開けた状態における印刷装置1の平面図である。以下、図1及び図2を参照しながら、印刷装置1の構成について説明する。
印刷装置1は、被記録媒体40が有する感熱テープ42に印刷を行うラベルプリンタである。以降では、感熱テープ42を使用する感熱方式のラベルプリンタを例にして説明するが、印刷方式は特に限定されない。印刷装置1は、インクリボンを使用する熱転写方式のラベルプリンタであってもよい。また、ラベルプリンタである印刷装置1は、サーマルプリンタに限らない。例えば、インクジェットプリンタ、レーザプリンタなどであってもよい。また、印刷装置1は、シングルパス(ワンパス)方式で印刷を行ってもよく、マルチパス(スキャン)方式で印刷を行ってもよい。
印刷装置1は、図1に示すように、装置筐体2と、入力部3と、開閉自在な蓋4と、窓5と、表示部6と、を備えている。また、図示しないが、装置筐体2には、電源コード接続端子、外部機器接続端子、記憶媒体挿入口等が設けられている。
入力部3は、装置筐体2の上面に設けられている。入力部3は、入力キー、十字キー、変換キー、決定キーなどの種々のキーを備える。蓋4は、装置筐体2上に配置されている。利用者は、ボタン4aを押下してロック機構を解除することで、図2に示すように、蓋4を開けることができる。蓋4には、蓋4が閉じた状態でも印刷装置1に被記録媒体40が収容されているか否かを目視で確認可能とするために、窓5が形成されている。また、蓋4は、表示部6を有している。
表示部6は、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(electro-luminescence)ディスプレイなどである。表示部6は、入力部3からの入力に対応する文字等、各種設定のための選択メニュー、各種処理に関するメッセージ等、を表示する。なお、表示部4はタッチパネル付きのディスプレイであってもよく、入力部3の一部として機能しても良い。
装置筐体2は、図2に示すように、蓋4の下方に、媒体アダプタ収容部2aと、プラテンローラ7と、サーマルヘッド8を備えている。媒体アダプタ収容部2aには、被記録媒体40を収容した媒体アダプタ10が収容される。なお、媒体アダプタ10及び被記録媒体40については、後述する。
プラテンローラ7は、感熱テープ42を搬送する搬送部である。プラテンローラ7は、図示しない搬送用モータの回転により回転する。搬送用モータは、例えば、ステッピングモータ、直流(DC)モータなどである。プラテンローラ7は、媒体アダプタ10から繰り出された感熱テープ42をサーマルヘッド8との間に狭持しながら回転することで、感熱テープ42を搬送方向に搬送する。
サーマルヘッド8は、感熱テープ42に印刷を行う印刷ヘッドである。サーマルヘッド8は、感熱テープ42の搬送方向に直交する主走査方向に配列された複数の発熱素子を有し、発熱素子で感熱テープ42を加熱することにより一ラインずつ印刷を行う。
図3は、媒体アダプタ10の斜視図である。図4は、被記録媒体40の構成を説明するための図である。図5は、感熱テープ42の構成を説明するための図である。以下、図3から図5を参照しながら、媒体アダプタ10及び被記録媒体40の構成について説明する。
媒体アダプタ10は、被記録媒体40を収容するための媒体アダプタであり、利用者が被記録媒体40を交換できるように、被記録媒体40を収容する。つまり、媒体アダプタ10は、利用者が媒体アダプタ10に対して被記録媒体40を出し入れすることを前提に設計されている。
媒体アダプタ10は、図3に示すように、アダプタ本体20と、アダプタ蓋30と、を備えている。被記録媒体40は、アダプタ本体20とアダプタ蓋30とで区画された媒体アダプタ10の内部空間内に収容される。アダプタ本体20については、後述する。アダプタ蓋30は、アダプタ本体20に対して開閉自在に取り付けられている。
また、媒体アダプタ10は、被記録媒体40が有する感熱テープ42のテープ幅に合わせて設計されている。媒体アダプタ10が収容すべき感熱テープ42のテープ幅は、アダプタ本体20の領域20aに表示されている。この例では、媒体アダプタ10は、テープ幅6mmのテープ用の媒体アダプタである。
印刷装置1では、被記録媒体40を収容した媒体アダプタ10が印刷装置1に収容されることで、被記録媒体40が印刷装置1に収容される。
なお、印刷装置1は、異なるテープ幅に対応した媒体アダプタを収容することができる。印刷装置1は、具体的には、例えば、図3に示す6mmのテープ用の媒体アダプタ10の他に、9mmのテープ用の媒体アダプタ、12mmのテープ用の媒体アダプタ、18mmのテープ用の媒体アダプタなどを収容することができる。
被記録媒体40は、図4に示すように、紙管41と、感熱テープ42と、バラけ防止シート43と、アテンションシート44を備えている。
紙管41は、感熱テープ42が巻きつけられた筒部材であり、中空部分41aを有している。感熱テープ42は、長手方向に巻かれて筒形状を有した印刷用のテープであり、中空部分42aを有するように巻かれている。バラけ防止シート43は、感熱テープ42の環形状の側面の一方(側面42c)に貼り付けられた粘着シートである。アテンションシート44は、感熱テープ42の環形状の側面の他方(側面42b)に貼り付けられた粘着シートである。
紙管41は、感熱テープ42の中空部分42aに設けられる。紙管41は、少なくとも円柱形状の中空部分を有することが望ましく、図4に示すような円筒部材であれば更に望ましい。被記録媒体40が媒体アダプタ10に収容された状態では、紙管41の中空部分41aに、アダプタ本体20の突出部23(図6参照)が挿通される。紙管41は、感熱テープ42がプラテンローラ7により搬送されているときに、被記録媒体40を傷めることなく、被記録媒体40を媒体アダプタ10の内部でスムーズに回転させるのに有用である。
感熱テープ42は、例えば、図5に示すような5層構造を有している。即ち、セパレータL1と、粘着層L2と、基材L3と、発色層L4と、保護層L5とがこの順に積層されている。セパレータL1は粘着層L2を覆うように剥離可能に基材L3に貼り付けられている。セパレータL1の材料は、例えば、紙であるが、紙に限らず、PET(ポリエチレンテレフタレート)であってもよい。粘着層L2は、基材L3に塗布された粘着材である。基材L3の材料は、例えば、有色のPETである。発色層L4は、熱エネルギーの加熱により発色する感熱発色層である。保護層L5の材料は、例えば、透明なPETである。
感熱テープ42の構成は、図5に示す構成に限らない。感熱テープ42は、セパレータL1を有さず、粘着層L2が露出したものであってもよい。なお、この場合、バラけ防止シート43は省略されてもよい。また、感熱テープ42は、保護層L5を有さず、発色層L4が露出したものであってもよい。
感熱テープ42は、紙管41に巻きつけられた状態では、紙管41に応じた形状を有する。紙管41の形状が、図4に示すように、円筒形状であれば、感熱テープ42も円筒形状を有し、両側面(側面42b、側面42c)は円環形状を有する。紙管41の形状が中空六角柱形状であれば、感熱テープ42も中空六角柱形状を有し、両側面は六角形環形状を有する。
バラけ防止シート43は、感熱テープ42の形状を維持するための粘着シートである。感熱テープ42は湿度変化により膨張することがある。しかしながら、バラけ防止シート43を感熱テープ42の側面42cに貼り付けることで、膨張に伴う感熱テープ42の形状変化、つまり、感熱テープ42がバラけしてしまうこと、を抑制することができる。また、バラけ防止シート43は、被記録媒体40の落下等により感熱テープ42に衝撃が加わった場合にも、形状変化を抑制することができる。
バラけ防止シート43は、開口部43aと、粘着面43bと、を有している。開口部43aは、紙管41の中空部分41aと同じ大きさであるか、又は、紙管41の中空部分41aよりも大きい。また、開口部43aは、後述する開口部44aよりも大きい。また、開口部43aは、感熱テープ42の中空部分42aと同じ大きさであるか、又はそれよりも大きいことが望ましい。より詳細には、開口部43aの直径は、感熱テープ42の中空部分42aの内径以上であることが望ましい。バラけ防止シート43は、開口部43aが感熱テープ42の中空部分42aに対向するように側面42cに貼り付けられる。また、バラけ防止シート43は、感熱テープ42の側面42cを覆うような大きさを有することが望ましい。つまり、バラけ防止シート43は、側面42cよりも大きいことが望ましい。これにより、感熱テープ42全体を粘着面で保持することができるため、形状をより確実に維持することができる。
また、バラけ防止シート43の形状は、側面42cの形状に近似した形状であることが望ましい。つまり、側面42cが円環形状であれば、バラけ防止シート43も円環形状を有することが望ましい。これにより、感熱テープ42の形状維持に貢献しない領域を小さくすることができるため、バラけ防止シート43の大きさを小さくすることができる。また、粘着面の露出も少なくなるため、バラけ防止シート43への塵、埃などの付着も抑えることができる。
アテンションシート44は、被記録媒体40の種類(より厳密には、感熱テープ42の種類)を示す粘着シートである。感熱テープ42には、テープ幅、及び、被印刷面の色の違いにより、様々な種類が存在する。アテンションシート44には、種類を特定するための情報が含まれているため、アテンションシート44を感熱テープ42の側面42bに貼り付けることで、利用者は被記録媒体40の種類を容易に特定することが可能となる。
アテンションシート44は、開口部44aと、粘着面44bと、を有している。開口部44aは、感熱テープ42の中空部分42aよりも小さく、さらに、紙管41の中空部分41aよりも小さい。より詳細には、開口部44aの直径は、感熱テープ42の中空部分42aの内径よりも小さく、さらに、紙管41の中空部分41aの内径よりも小さい。アテンションシート44は、開口部44aが感熱テープ42の中空部分42aに対向するように側面42bに貼り付けられる。また、アテンションシート44は、例えば、被記録媒体40の販売時など、少なくとも被記録媒体40の使用が開始される前においては、感熱テープ42の側面42bよりも小さいことが望ましい。より詳細には、アテンションシート44の面積は、感熱テープ42の側面42bの面積よりも小さいことが望ましい。これにより、感熱テープ42の側面42bのうちアテンションシート44に覆われる領域が小さくなるため、感熱テープ42の残量の確認が容易になる。
紙管41、バラけ防止シート43、アテンションシート44の材料は、紙に限らない。ただし、これらの部材が紙製であれば、感熱テープ42を使い切った使用済みの被記録媒体40を可燃ゴミとして捨てることができる。このため、紙管41、バラけ防止シート43、アテンションシート44の材料は、紙であることが望ましい。
以上のように、被記録媒体40では、感熱テープ42の中空部分42aよりも小さな開口部44aを有するアテンションシート44が感熱テープ42の側面42cに貼り付けられている。このため、被記録媒体40を側面42b側から見たときの開口の大きさ(つまり、開口部44aの大きさ)と、被記録媒体40を側面42c側から見たときの開口の大きさ(つまり、開口部43aの大きさ)と、が異なっている。
被記録媒体40によれば、これらの開口の大きさの違いにより、媒体アダプタ10に被記録媒体40が誤った向きで収容されることを防止することができる。なお、印刷装置1では、被記録媒体40は媒体アダプタ10に装着されるが、被記録媒体40は、被記録媒体40を直接収容する印刷装置に用いられてもよい。その場合も、印刷装置に被記録媒体40が誤った向きで収容されることを防止することができる。従って、被記録媒体40によれば、被記録媒体40が誤った向きで装着されることを防止することができる。
図6は、アダプタ本体20の斜視図である。図7は、アダプタ本体20の平面図である。図8は、アダプタ本体20の断面図である。図9は、アテンションシート44を上に向けた状態における被記録媒体40の断面図である。図10は、バラけ防止シート43を上に向けた状態における被記録媒体40の断面図である。以下、図6から図10を参照しながら、誤った向きでの装着が防止されることについて、更に詳細に説明する。
アダプタ本体20は、図6に示すように、ガイド21と、媒体収容部22と、突出部23と、を備えている。ガイド21は、媒体収容部22から繰り出された感熱テープ42の搬送方向を規制する規制部材である。媒体収容部22は、媒体アダプタ10の内壁面の一部である底面22aを有し、底面22aにバラけ防止シート43を向けた状態で、被記録媒体40を収容する。突出部23については、後述する。
また、アダプタ本体20は、図7に示すように、複数のリブ26を有している。複数のリブ26は、底面22aに設けられていて、媒体収容部22に収容された被記録媒体40を支持する。これにより、媒体アダプタ10内部で被記録媒体40が回転するときの摩擦抵抗が減少するため、スムーズな回転が実現できる。特に、複数のリブ26が突出部23に対して放射状に設けられることで、被記録媒体40の径方向の各位置に均等に摩擦力を働かせることができる。
さらに、アダプタ本体20は、図7に示すように、複数のリブ26の間に、領域27を有している。領域27には、例えば、収容されるべき被記録媒体のテープ幅を特定するための情報が印刷されたシールが貼付される。つまり、領域27には、媒体アダプタ10がテープ幅何mmのテープ用の媒体アダプタであるかが示される。これにより、利用者は、媒体アダプタ10に被記録媒体40を装着するときに、領域27の情報とアテンションシート44の情報とを比較することで、被記録媒体40のテープ幅が媒体アダプタ10が対応しているテープ幅か否かをひと目で確認することができる。このためで、誤ったテープ幅を有する被記録媒体40を媒体アダプタ10に装着することを防止することができる。
突出部23は、媒体アダプタ10に被記録媒体40が収容された状態で、被記録媒体40が有する感熱テープ42の中空部分42aに挿通される。突出部23は、媒体収容部22の底面22aから延出した第1の突出部24と、第1の突出部24の先端面24aから延出した第2の突出部25と、を有している。
第1の突出部24は、感熱テープ42の中空部分42aよりも小さく、且つ、アテンションシート44の開口部44aよりも大きい。さらに詳細には、第1の突出部24は、紙管41の紙管41aよりも小さい。別の言い方をすると、図8に示す第1の突出部24の外径D1は、図9に示す感熱テープ42の中空部分42aの内径D42iよりも小さく、且つ、図9に示すアテンションシート44の開口径D44i(つまり、開口部44aの直径)よりも大きい。さらに、第1の突出部24の外径D1は、図9に示す紙管41の中空部分41aの内径D41よりも小さい。また、図10に示すように、バラけ防止シート43の開口径D43iは、紙管41の中空部分41aの内径D41と同等かそれ以上である。このため、第1の突出部24の外径D1は、バラけ防止シート43の開口径D43i(つまり、開口部43aの直径)よりも小さい。
第1の突出部24は、図8に示すように、底面22aを基準とした高さH1を有している。第1の突出部24の高さH1は、媒体アダプタ10が対応した感熱テープ42のテープ幅よりも低い。つまり、6mmよりも低い。
第2の突出部25は、アテンションシート44の開口部44aよりも小さい。別の言い方をすると、図8に示す第2の突出部25の外径D2は、図9に示すアテンションシート44の開口径D44iよりも小さい。
第2の突出部25は、図8に示すように、底面22aを基準とした高さH2を有し、且つ、先端面24aを基準とした高さH12を有している。第2の突出部25の高さH2は、媒体アダプタ10が対応した感熱テープ42のテープ幅よりも高い。つまり、6mmよりも高い。
その他、図9に示すように、アテンションシート44の外径D44oは、感熱テープ42の内径D42iよりも大きい。また、図9及び図10に示すように、バラけ防止シート43の外径D43oは、感熱テープ42の外径D42oと同等かそれ以上である。
突出部23のサイズと被記録媒体40のサイズが以上のような関係にあることで、バラけ防止シート43を底面22aに向けた場合であれば、突出部23が感熱テープ42の中空部分42aを挿通し、バラけ防止シート43が底面22aのリブ26に支持される。このため、安定した状態で、被記録媒体40を媒体アダプタ10に収容することができる。
その一方で、アテンションシート44を底面22aに向けた場合には、アテンションシート44は、先端面24aに接触してしまい、リブ26にまで達しない。この状態は、被記録媒体40が狭い先端面24aで支持された状態であり、非常に不安定である。このため、利用者は、被記録媒体40を装着する向きを誤ったことに直ぐに気が付くことができる。また、この状態では、アダプタ蓋30が被記録媒体40にぶつかってしまい、閉まらない。
従って、被記録媒体40及び媒体アダプタ10によれば、被記録媒体40が誤った向きに装着されることを防止することができる。
図11は、アダプタ本体50の断面図である。図12は、アダプタ本体60の断面図である。図13は、アダプタ本体70の断面図である。以下、図8及び図11から図13を参照しながら、対応するテープ幅の異なる媒体アダプタ間の差異について説明する。
図11に示すアダプタ本体50、図12に示すアダプタ本体60、図13に示すアダプタ本体70は、それぞれ、9mm、12mm、18mmのテープ用の媒体アダプタが有するアダプタ本体である。なお、これらの媒体アダプタのアダプタ蓋は、6mmのテープ用の媒体アダプタ10が有するアダプタ蓋30と同じである。
アダプタ本体50は、図11に示すように、突出部53を有している。突出部53は、底面52aから延出した第1の突出部と、第1の突出部から延出した第2の突出部を有する。アダプタ本体60は、図12に示すように、突出部63を有している。突出部63は、底面62aから延出した第1の突出部と、第1の突出部から延出した第2の突出部を有する。アダプタ本体70は、図13に示すように、突出部73を有している。突出部73は、底面72aから延出した第1の突出部と、第1の突出部から延出した第2の突出部を有する。
第1の突出部の外径D1と第2の突出部の外径D2は、媒体アダプタによらず共通である。また、第1の突出部の先端面を基準とした第2の突出部の高さH12も、媒体アダプタによらず共通である。第1の突出部の高さH1と、底面を基準とした第2の突出部の高さH2は、媒体アダプタ毎に異なる。
図8に示す6mmテープ用のアダプタ本体20については、第1の突出部24の高さH1は、アダプタ本体20が対応するテープ幅である6mmよりも低い。また、第2の突出部25の高さH2は、アダプタ本体20が対応するテープ幅である6mmよりも高く、且つ、アダプタ本体50が対応するテープ幅である9mmよりも低い。
図11に示す9mmテープ用のアダプタ本体50については、第1の突出部の高さH1は、アダプタ本体50が対応するテープ幅である9mmよりも低い。また、第2の突出部の高さH2は、アダプタ本体50が対応するテープ幅である9mmよりも高く、且つ、アダプタ本体60が対応するテープ幅である12mmよりも低い。
図12に示す12mmテープ用のアダプタ本体60については、第1の突出部の高さH1は、アダプタ本体60が対応するテープ幅である12mmよりも低い。また、第2の突出部の高さH2は、アダプタ本体60が対応するテープ幅である12mmよりも高く、且つ、アダプタ本体70が対応するテープ幅である18mmよりも低い。
図13に示す18mmテープ用のアダプタ本体70については、第1の突出部の高さH1は、アダプタ本体70が対応するテープ幅である18mmよりも低い。また、第2の突出部の高さH2は、アダプタ本体70が対応するテープ幅である18mmよりも高い。
つまり、第1の突出部の高さH1は、対応するテープ幅よりも低く、第2の突出部の高さH2は、対応するテープ幅よりも高い。また、第1の突出部の高さH1は、対応するテープ幅よりも短い他の媒体アダプタに対応するテープ幅よりも高い。換言すると、第1の突出部の高さH1は、予め決められた複数のテープ幅(6mm、9mm、12mm、18mm)に含まれる対応するテープ幅よりも短いテープ幅と比較して高い。
突出部のサイズ(高さ、外径)が以上のような関係にあることで、被記録媒体40が、媒体アダプタが対応するテープ幅を有する場合であれば、突出部が感熱テープ42の中空部分42aを挿通し、バラけ防止シート43がリブに支持される。このため、安定した状態で、被記録媒体40を媒体アダプタに収容することができる。
その一方で、被記録媒体40が、媒体アダプタが対応するテープ幅よりも短いテープ幅を有する場合であれば、たとえ正しい向きで装着する場合であっても、アテンションシート44が第1の突出部の先端面に接触してしまい、バラけ防止シート43はリブにまで達しない。この状態は、被記録媒体40が狭い先端面で支持された状態であり、非常に不安定である。このため、利用者は、媒体アダプタが対応するテープ幅とは異なるテープ幅の被記録媒体40を装着したことに直ぐに気が付くことができる。
また、被記録媒体40が、媒体アダプタが対応するテープ幅よりも長いテープ幅を有する場合であれば、被記録媒体40のテープ幅が第2の突出部の高さH2よりも長くなり、突出部が感熱テープ42の中空部分42aを完全に挿通した状態とはならない。また、第2の突出部の高さは、媒体アダプタの内部空間の高さに略等しい。このため、被記録媒体40がアダプタ蓋にぶつかってしまい、アダプタ蓋が閉まらない。
従って、被記録媒体40及び媒体アダプタによれば、媒体アダプタに対応するテープ幅とは異なるテープ幅の被記録媒体40が装着されることを防止することができる。
次に、バラけ防止シート43の変形例について説明する。図14は、感熱テープ42がある程度消費された状態における被記録媒体80の斜視図である。図15は、バラけ防止シート83の平面図である。図16は、バラけ防止シート83側から見た被記録媒体80の平面図である。図17は、バラけ防止シート83の一部を切り取る様子を示した図である。
図14に示す被記録媒体80は、変形例に係るバラけ防止シート83を有する被記録媒体である。被記録媒体80は、紙管41と感熱テープ42とバラけ防止シート83を有している。被記録媒体80は、バラけ防止シート43の代わりにバラけ防止シート83を有する点、アテンションシート44を有しない点が、被記録媒体40とは異なる。
被記録媒体80では、図14に示すように、感熱テープ42の消費が進むと、バラけ防止シート83の粘着面のうち露出している部分が大きくなるため、塵、埃などが付着しやすくなる。また、粘着面が露出している部分が大きくなると、被記録媒体80を交換するときに、粘着面が手につくなど、被記録媒体80の取り扱いが難しくなる。しかしながら、被記録媒体80は、このような事態への対処が可能である。
以下、被記録媒体80について更に詳細に説明する。被記録媒体80が有するバラけ防止シート83は、開口部を有し、その開口部が感熱テープ42の中空部分に対向するように感熱テープ42の環形状を有する側面の一方に貼り付けられる点は、バラけ防止シート43と同様である。バラけ防止シート83は、図15に示すように、ミシン目83aと、切欠き83bと、第1シート部83cと、第1のシート部83cと分離可能な第2シート部83dと、を備える点が、バラけ防止シート43とは異なっている。
ミシン目83aは、環状に配列された複数の孔からなる切り取り線であり、第1シート部83cと第2シート部83dとの境界を示す線である。ミシン目83aは、感熱テープ42の巻き目に沿って形成されている。つまり、開口部を中心とした円環状に形成されている。より厳密には、ミシン目83aは、感熱テープ42の中空部分42a又はバラけ防止シート83の開口部の少なくとも一方と同心円状に形成されている。ミシン目83aが形成される径方向の位置は、残量が予め決められた量になったときの感熱テープ42の外周位置である。図15では、ミシン目83aの位置は、感熱テープ42の残量が50%となったときの感熱テープ42の外周位置である。
切欠き83bは、バラけ防止シート83の外周部から、例えば開口部に向かって、延びている。より具体的には、切欠き83bは、外周部からミシン目83aまで延びている。
被記録媒体80では、感熱テープ42の残量が50%以上であれば、図16に示すように、切欠き83bから感熱テープ42の存在を確認することができる。一方で、感熱テープ42の残量が50%未満になると、切欠き83bから感熱テープ42の存在を確認することができなくなる。このため、利用者は、切欠き83bから感熱テープ42の存在が確認できるか否かによって、感熱テープ42の残量が50%以上か未満かを判断することが可能であり、感熱テープ42の残量を大まかに把握することができる。
以上のように構成された被記録媒体80では、バラけ防止シート83にミシン目83aが形成されているため、感熱テープ42の消費が進み、バラけ防止シート83の粘着面の露出量が大きくなったときに、図17に示すように、ミシン目83aに沿ってバラけ防止シート83の一部(第2シート部83d)を切り取ることができる。これにより、消費に伴って大きくなった粘着面の露出量を小さくすることができる。このため、粘着面への塵、埃などの付着を抑制することができる。また、被記録媒体80の取り扱いやすさを維持することができる。
また、被記録媒体80では、切欠き83bが外周部からミシン目83aまで延びているため、ミシン目83aに沿って容易にバラけ防止シート83を切り取ることができる。さらに、利用者は、図17に示すように、切欠き83bから感熱テープ42の存在を確認することができなくなった場合に、ミシン目83aに沿ってバラけ防止シート83の一部(第2シート部83d)を切り取ってもよい。このようなタイミングでバラけ防止シート83を切り取ることで、バラけ防止シート83が感熱テープ42の側面よりも小さくなることを防止することができる。このため、一部を切り取った後でもバラけ防止シート83により感熱テープ42の形状を維持することができる。
従って、被記録媒体80によれば、扱いやすさを失うことなく被記録媒体の形状を維持することができる。
バラけ防止シート43の別の変形例について説明する。図18は、バラけ防止シート93の平面図である。図19は、バラけ防止シート103の平面図である。図20は、バラけ防止シート113の平面図である。図21は、バラけ防止シート123の平面図である。
図18に示すバラけ防止シート93は、環状に配列された複数の孔からなる切り取り線であるミシン目83aを備える点は、バラけ防止シート83と同様である。バラけ防止シート93は、切欠き83bの代わりに、バラけ防止シート93の外周部から開口部まで延びる切欠き93bを備えている点が、バラけ防止シート83とは異なる。また、バラけ防止シート93は、第1シート部93cと、第1のシート部93cと分離可能な第2シート部93dと、を備えている。
バラけ防止シート93を備える被記録媒体によっても、被記録媒体80と同様に、扱いやすさを失うことなく被記録媒体の形状を維持することができる。また、バラけ防止シート93を用いた場合でも、ミシン目83aに沿ってバラけ防止シート93の一部を容易に切り取ることが可能であり、また、感熱テープ42の外周位置とミシン目83aを比較することで、大まかな残量を把握することも可能である。このように、切欠きは少なくともミシン目83aまで延びていればよく、ミシン目83aを越えて更に奥へ延びていてもよい。
図19に示すバラけ防止シート103は、径方向の異なる位置に複数の切り取り線(ミシン目83a、ミシン目103a)を有している点がバラけ防止シート93とは異なる。その他の点は、バラけ防止シート93と同様である。また、バラけ防止シート103は、第1シート部103cと、第1のシート部103cと分離可能な第2シート部103dと、第2のシート部103dと分離可能な第3シート部103eを備えている。
バラけ防止シート103を備える被記録媒体によっても、被記録媒体80と同様に、扱いやすさを失うことなく被記録媒体の形状を維持することができる。また、複数のミシン目が形成されていることで、粘着面の露出量を細かく調整することができる。また、例えば、ミシン目83aは残量50%、ミシン目103aは残量20%など、各ミシン目を感熱テープ42の残量と関連付けることで、被記録媒体80によりも細かく感熱テープ42の残量を把握することができる。
図20に示すバラけ防止シート113は、環状に配列された複数の孔からなる切り取り線であるミシン目83aを備える点は、バラけ防止シート83と同様である。バラけ防止シート113は、切欠き83bの代わりに、ミシン目113aを備えている点が、バラけ防止シート83とは異なる。また、バラけ防止シート113は、第1シート部113cと、第1のシート部113cと分離可能な第2シート部113dと、を備えている。ミシン目113aは、バラけ防止シート113の外周部からミシン目83aに向かって配列された複数の孔からなる切り取り線である。
バラけ防止シート113を備える被記録媒体によっても、被記録媒体80と同様に、扱いやすさを失うことなく被記録媒体の形状を維持することができる。また、バラけ防止シート113を用いた場合でも、ミシン目113aとミシン目83aに沿ってバラけ防止シート113の一部を容易に切り取ることが可能である。
図21に示すバラけ防止シート123は、環状に配列された複数の孔からなる切り取り線であるミシン目83aを備える点は、バラけ防止シート83と同様である。バラけ防止シート123は、切欠き83bの代わりに、ミシン目123aと切欠き123bを備えている点が、バラけ防止シート83とは異なる。また、バラけ防止シート123は、第1シート部123cと、第1のシート部123cと分離可能な第2シート部123dと、を備えている。
ミシン目123aは、切欠き123bからミシン目83aに向かって延びる切り取り線である。また、切欠き123bは、バラけ防止シート123の外周部から延びる切欠きであるが、ミシン目83aまで達していない点が、切欠き83bとは異なる。
バラけ防止シート123を備える被記録媒体によっても、被記録媒体80と同様に、扱いやすさを失うことなく被記録媒体の形状を維持することができる。また、バラけ防止シート123を用いた場合でも、ミシン目123aとミシン目83aに沿ってバラけ防止シート123の一部を容易に切り取ることが可能である。また、ミシン目123aを形成することで、切欠き123bの大きさを自由に設計することが可能となる。これにより、切欠き123bから感熱テープ42の存在を確認することで把握することができる感熱テープ42の残量と、粘着面の露出量が大きくなったためバラけ防止シート123の一部を切り取るタイミングと、を個別に設定することができる。
上述した実施形態は、発明の理解を容易にするために具体例を示したものであり、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。被記録媒体は、特許請求の範囲の記載を逸脱しない範囲において、さまざまな変形、変更が可能である。
上述した実施形態では、アテンションシート44が感熱テープ42の側面42bよりも小さい例を示したが、アテンションシート44は、側面42bよりも大きくてもよい。この場合、アテンションシート44は、バラけ防止シート43と同様の効果を有する。
また、上述した実施形態では、感熱テープ42の側面の一方にバラけ防止シートを、他方にアテンションシート44を貼り付けた例を示したが、両側面にバラけ防止シートを貼り付けてもよい。両面にバラけ防止シートを貼り付ける場合でバラけ防止シートにミシン目がない場合には、感熱テープ42の消費が進んだときに、バラけ防止シート同士が接触する可能性がある。バラけ防止シート同士が接触すると、媒体アダプタ内での被記録媒体の回転が妨げられてしまうことがあるため、バラけ防止シートにはミシン目が形成されていることが望ましい。
また、上述した実施形態では、バラけ防止シートの第1のシート部と第2のシート部との境界を示す線として、複数の孔が配列したミシン目を例示したが、境界を示す線は、ミシン目に限らない。境界を示す線は、例えば、第1のシート部と第2のシート部が予め分離されていて、分離された第1のシート部と第2のシート部の間の空間であってもよい。また、境界を示す線は、切り取り位置を示すために印刷された線(つまり、切り取り線)であってもよく、また、印刷された線は、実線に限らず、点線や破線であってもよい。また、境界を示す線は、ミシン目、切り取り線(実線、点線、破線を含む)のうちの少なくとも1つを含んでも良い。
また、上述した実施形態では、バラけ防止シートの外周部から境界を示す線に向かってミシン目を設ける例を示したが、ミシン目の代わりに又はミシン目に加えて、外周部から境界を示す線に向かって切り取り線が設けられてもよい。
また、上述した実施形態では、入力部3と表示部6を有する印刷装置1を例示したが、印刷装置は、入力部や表示部を有しなくてもよく、例えば、コンピュータなど、印刷装置とは別の電子機器から印刷データが入力されても良い。
また、上述した実施形態では、対応するテープ幅の異なる媒体アダプタ毎に、第1の突出部の高さH1と第2の突出部の高さH2がそれぞれ異なる例を示したが、媒体アダプタによらず、第1の突出部の高さH1と第2の突出部の高さH2はそれぞれ同じであってもよい。
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
中空部分を有するように巻かれているテープと、
開口部を有し、前記開口部が前記テープの前記中空部分に対向するように前記テープの側面の一方に貼り付けられた粘着シートと、を備え、
前記粘着シートは、第1のシート部と、前記第1のシート部と分離可能な第2のシート部と、を少なくとも有し、
前記第1のシート部と前記第2のシート部との境界を示す線が設けられている
ことを特徴とする被記録媒体。
[付記2]
付記1に記載の被記録媒体において、
前記線は、前記中空部分または前記粘着シートの前記開口部の少なくとも何れか一方と同心円状に形成される
ことを特徴とする被記録媒体。
[付記3]
付記1又は付記2に記載の被記録媒体において、
前記粘着シートは、前記粘着シートの外周部から延びる切欠きを有する
ことを特徴とする被記録媒体。
[付記4]
付記3に記載の被記録媒体において、
前記切欠きは、前記外周部から前記線まで延びる
ことを特徴とする被記録媒体。
[付記5]
付記1又は付記2に記載の被記録媒体において、
前記粘着シートは、さらに、前記粘着シートの外周部から前記線に向かって切り取り線又はミシン目の少なくとも何れか一方を有する
ことを特徴とする被記録媒体。
[付記6]
付記1乃至付記5のいずれかに1つに記載の被記録媒体において、
前記線は、切り取り線、ミシン目、点線、及び破線のうちの少なくとも1つを含む
ことを特徴とする被記録媒体。
[付記7]
付記1乃至付記6のいずれか1つに記載の被記録媒体において、
前記粘着シートの面積は、前記側面の面積よりも大きい
ことを特徴とする被記録媒体。