JP7230499B2 - 積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、プレス成形等の圧縮成形に供することができる、主に強化繊維と熱硬化性樹脂とからなるプリプレグによる積層体に関するものである。より具体的に、本発明は、特に厚肉部や突起などの肉厚変化を有する繊維強化樹脂成形品の製造が容易であり、リブやボス、偏肉形状といった複雑形状へ追従することができ、かつ表面外観に優れた成形品が得られる、自動車構造材や航空機部材およびスポーツ用具等に好適に用いることが可能な、プリプレグによる積層体に関するものである。
繊維強化樹脂は、軽量かつ高強度、高剛性であるため、釣り竿やゴルフシャフト等のスポーツ・レジャー用途、自動車や航空機等の産業用途などの幅広い分野で用いられている。繊維強化樹脂の製造には、強化繊維等の長繊維からなる繊維補強材に樹脂を含浸した中間材料であるプリプレグを使用する方法が好適に用いられる。プリプレグを所望の形状に切断した後に積層、賦形し、金型内で加熱硬化させることにより繊維強化樹脂からなる成形品を得ることができる。(例えば特許文献1)
また、厚み変化の生じる箇所は良好な充填性を持つ材料で成形することが好ましく、リブなど形状の複雑な箇所一部だけにシートモールドコンパウンド(SMC)を配置し、プレス成形によりリブ付の形状を得ることが行われている。(例えば特許文献2)
特開2015-143343公報 特許第5950149号公報
ところが、プリプレグを所望の形状に裁断した後に積層、賦形してプリフォームとし、金型内で圧縮成形する方法において、同一形状の裁断体を積層して成形品の略形状としたプリフォームを用いてプレス成形を行う従来の方法では、生産性に優れるものの、プリフォーム形状と製品形状のミスマッチから、肉厚変化部や角部で強化繊維の突っ張りが発生して形状に沿わない場合や、型を閉じ切れずに製品形状を形成できない場合がある。このような場合、プリフォームの一部が局所的に加圧され、プリフォーム全体が十分に加圧されないことから、樹脂リッチや厚みムラ、ボイド等の成形欠陥が生じ、成形品として機械特性や意匠性が低下するという問題があった。
一方、同様の圧縮成形の方法において、それぞれ異なる形状の裁断体を立体形状に積層、賦形して略成形品の立体形状としたプリフォームを用いてプレス成形を行う従来の方法では、裁断体の位置あわせに多くの時間が必要であった。さらに、立体形状に賦形させるには専用の位置決め治具や高度な技能が必要であり、プリフォームの製造に多くの時間とコストを要するという問題があった。
また別に、肉厚変化の生じる箇所のみにSMCなどの等方性で流動性に優れた短繊維強化樹脂材料を配置してからプレスし、成形品を得る方法では、プリプレグと短繊維強化樹脂材料との繊維含有率の違いから樹脂収縮が起こり製品にそりを生じる場合や、そもそも短繊維強化樹脂の機械特性がプリプレグに対して劣ることから、満足な機械特性を得にくい場合もあった。
したがって従来技術では、たとえ成形性の異なる材料を組み合わせて使用しようとも、生産効率と機械特性を両立させつつ、肉厚変化を有する成形品を得るのは極めて困難であった。
そこで本発明の目的は、上記のような問題点に着目し、厚肉部や突起などの肉厚変化を有する立体形状をプレス成形で得る場合であっても、生産性、機械特性、およびキャビティへの充填性に優れ、繊維のブリッジング(繊維の突っ張り)や樹脂リッチ、そりといった問題の回避に有効なプリプレグの積層体を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明は、以下のいずれかの構成を有する。
(1) 強化繊維と熱硬化性樹脂とを含むプリプレグの裁断体を2枚以上積層した積層体であって、少なくとも2枚の裁断体は、互いに異なる形状を有し、裁断体の面内における二方向に関して、前記少なくとも2枚の裁断体の端部の一部が揃うように積層されていることを特徴とする積層体。
(2) 前記積層体が段差部を有することを特徴とする、前記(1)に記載の積層体。
(3) 前記プリプレグは、強化繊維が連続繊維であり、かつ、該連続繊維を横切る複数の切り込みを有することを特徴とする、前記(1)または(2)に記載の積層体。
(4) 前記二方向が、裁断体の長手方向に直交する第1の方向と、該第1の方向に直交する第2の方向であることを特徴とする、前記(1)から(3)のいずれかに記載の積層体。
(5) 少なくとも1枚の前記裁断体が複数のプリプレグの層を有することを特徴とする、前記(1)から(4)のいずれかに記載の積層体。
(6) 前記複数のプリプレグの層は、少なくとも一部において、隣接する2層のプリプレグの繊維配向が互いに異なることを特徴とする、前記(5)に記載の積層体。
(7) 前記隣接する2層のプリプレグの繊維配向が、互いに直交していることを特徴とする、前記(6)に記載の積層体。
(8) 少なくとも一方の面に離型カバーを有することを特徴とする、前記(1)から(7)のいずれかに記載の積層体。
本発明に係る積層体によれば、立体形状、特に厚肉部や突起などの肉厚変化を有する形状であっても、プリプレグの裁断体を短時間で精度良く積層することが可能であり、プレス成形時には積層体全体を加圧することができ、成形品における欠陥発生の回避に有効であり、良好な成形品を得ることが可能となる。
それぞれ異なる形状を有する3枚の裁断体からなる従来の積層体の模式図であって、(a)3枚の裁断体それぞれの形状を示す図、(b)3枚の裁断体を積層して成形品の略形状とした積層体の正面図(b-1)、A-A´断面図(b-2)、およびB-B´断面図(b-3)である。 同一形状の3枚の裁断体からなる従来の積層体の模式図であって、(a)3枚の裁断体それぞれの形状を示す図、(b)3枚の裁断体を積層して成形品の略形状とした従来の積層体の正面図(b-1)、A-A´断面図(b-2)、およびB-B´断面図(b-3)である。 本発明の積層体の一例を示す模式図であって、(a)3枚の裁断体それぞれの形状を示す図、(b)3枚の裁断体を積層して成形品の略形状とした積層体の正面図(b-1)、A-A´断面図(b-2)、およびB-B´断面図(b-3)である。 本発明の積層体の別の一例を示す図であって、(a)4枚の裁断体それぞれの形状を示す図、(b)4枚の裁断体を積層して成形品の略形状とした積層体の正面図(b-1)、A-A´断面図(b-2)、およびB-B´断面図(b-3)である。 本発明の積層体のさらに別の一例を示す図であって、(a)3枚の裁断体それぞれの形状を示す図、(b)3枚の裁断体を積層して成形品の略形状とした積層体の正面図(b-1)、A-A´断面図(b-2)、およびB-B´断面図(b-3)である。 実施例で用いた型のキャビティ形状を示す図であって、(a)正面図、(b)A-A’断面図、(c)B-B’断面図である。 実施例で用いた型を示す図である。
繊維強化樹脂を用いた成形品として三次元的な複雑形状を所望するとき、一般的には、所望形状に裁断された複数の裁断体を積層し、製品形状に適した積層体を作製する。本発明の積層体は、そのようにして成形品を製造する際に用いる、強化繊維と熱硬化性樹脂とを含むプリプレグの裁断体を2枚以上積層した積層体であって、少なくとも2枚の裁断体が互いに異なる形状を有し、その少なくとも2枚の裁断体が、裁断体の面内における二方向に関して、端部の一部が互いに揃うように積層されている。
次に、本発明の実施形態の詳細を説明する。
[裁断体]
本発明で用いられる裁断体は、シート状のプリプレグを所定形状に裁断したものまたはテープ状のプリプレグを裁断体形状に配置したものである。プリプレグの形態としては、広幅のシート状物または細幅のテープ状物、さらにこれらを複数層積層した形態が好適な例として挙げられる。
1枚の裁断体を、2層以上のプリプレグの層で構成すると、裁断体の積層工程に要する時間を短縮できるため好ましい。このような複数層のプリプレグを積層した裁断体は、同一形状の1層の裁断体を複数積層する方法や、シート状のプリプレグを複数層積層した後に所望形状に裁断する方法や、テープ状のプリプレグを所望形状に複数層積層する方法により作製できる。
1枚の裁断体を複数のプリプレグで構成する場合、プリプレグの各層の繊維方向を互いに同一方向とすると、プレス成形時の繊維直交方向への流動性が向上し好ましい。
一方、1枚の裁断体を構成するプリプレグの各層の繊維方向を互いに異なる方向とすると、繊維強化樹脂として複数の方向に強化されることになるため、好ましい機械特性を示す。そのため、複数のプリプレグの層は、少なくとも一部において、隣接する2層のプリプレグの繊維配向が互いに異なるように配置することも好ましい。中でも、繊維強化樹脂は、通常、繊維方向の機械特性が繊維直交方向の機械特性よりも良好であるため、たとえば隣接する2層のプリプレグの繊維配向を互いに直交せしめることが好ましい。複数層からなるプリプレグの層のうち例えば隣接する2層のプリプレグの繊維方向を互いに直交せしめると、一方の層の繊維直交方向と他方の層の繊維方向が同一の方向となるため、良好な機械特性を効率的に発現することができる。
[プリプレグ]
本発明で使用されるプリプレグは、強化繊維と熱硬化性樹脂から構成される。
プリプレグを構成する強化繊維としては、例えば、連続繊維を用いることができる。強化繊維として連続繊維を用いたプリプレグによる積層体は、その成形品が負荷にさらされたときに繊維が持つ強度を利用しやすいため、高強度である構成として例示することができる。連続繊維を用いたプリプレグとしては、その連続繊維が同じ方向に並んだ一方向プリプレグや、連続繊維が織られた形態の織物プリプレグ、もしくは連続繊維が編まれたブレーディングに樹脂を含浸した構成を例示することができる。
強化繊維として連続繊維を用いたプリプレグにおいては、該連続繊維を横切るように複数の切り込みをいれることも好ましい(以下、このようなプリプレグを、切込挿入プリプレグという)。機械特性の観点からは、一方向プリプレグに切り込みをいれ、切込挿入プリプレグとして用いることがより好ましい。また、切込挿入プリプレグは、強化繊維を連続繊維としただけの、切り込みのはいっていない通常のプリプレグと併用して裁断体に使用することができる。
切込挿入プリプレグによると、切込挿入箇所に開口、ずれが生じやすくなり、プリプレグの強化繊維方向への伸張性が向上する。また、圧縮成形時の流動で切込挿入箇所が開放して強化繊維の繊維束同士が離反することで、プリプレグとして柔軟性を示すようになり、流動性が高まる。このようにしてプリプレグが流動できる構成とすることで、成形品端部にまで強化繊維が到達し、樹脂過多となる領域が減じられ、機械特性と外観に優れた成形品を得ることができる。なお、流動性の点から、前記切り込みは、プリプレグの厚み方向に亘って全域に入れることが好ましい。
切り込みによって切断された強化繊維の長さは、好ましくは3mm以上100mm以下であり、より好ましくは5mm以上75mm以下であり、さらに好ましくは10mm以上50mm以下である。強化繊維の長さを上記好ましい範囲の下限値以上とすることで、成形品は十分な機械特性を発現する。一方、強化繊維の長さを上記好ましい範囲の上限値以下とすることで、積層体の各構成要素は成形時に十分な流動性を得られる。
切込長さは、切込方向とプリプレグの強化繊維の主軸方向の成す角によって異なるが、強化繊維の繊維直交方向への投影長さとして、好ましくは0.05mm以上25mm以下であり、より好ましくは0.1mm以上10mm以下であり、さらに好ましくは0.15mm以上5mm以下である。切込長さを上記好ましい範囲の下限値以上とすることで、切込挿入箇所の開放量が大きくなり、積層体の構成要素は十分な流動性を発現する。一方、切込長さを上記好ましい範囲の上限値以下とすることで、切込挿入箇所の開放が抑制され、外観品位や機械特性に優れた成形品を得られる。
プリプレグとして好ましい強化繊維の体積含有率は、好ましくは40%以上80%未満であり、より好ましくは45%以上75%未満であり、さらに好ましくは50%以上70%未満である。上述したように、一方向プリプレグや切込挿入プリプレグは、強化繊維の充填効率に優れることから、強化繊維の補強効果を引き出すのに好適であり、成形品の剛性を改善する上で効果的である。
プリプレグに含まれる強化繊維の量は、シート状物とした場合における強化繊維の目付け量として、50g/m以上1000g/m未満であることが好ましい。強化繊維束に熱硬化性樹脂を含浸した小片あるいはチョップド繊維束を前駆体とするプリプレグにおいては、目付け量が小さすぎると、プリプレグの面内に強化繊維が存在しない空孔を生じる場合がある。目付けを上記好ましい範囲の下限値以上とすることにより繊維強化樹脂おいて弱部となる空孔を排除することができるようになる。また、目付けが上記好ましい範囲の上限未満であれば、成形の予熱において内部へ熱を均一に伝えることができるようになる。目付けは、構造としての均一性と伝熱の均一性を両立させる上で、より好ましくは100g/m以上600g/m未満であり、さらに好ましくは150g/m以上400g/m未満である。強化繊維の目付け量の測定は、強化繊維のシート状物から10cm角の領域を切り出し、その質量を測り、面積で除することで実施する。測定は強化繊維のシート状物の異なる部位について10回行い、その平均値を強化繊維の目付け量として採用する。
プリプレグとして、熱硬化性樹脂が強化繊維に未含浸である部位を含んだプリプレグを用いることもできる。ここで未含浸の部位とは、強化繊維の表面に熱硬化性樹脂が付着していない部位のことである。プリプレグにおける樹脂未含浸の部位は、プレス成形等の圧縮成形を経ることにより他の部位から流動してきた熱硬化性樹脂が含浸し、健全な部位として所望の特性を発現しうる。
プリプレグに用いられる強化繊維としては、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、ボロン繊維、金属繊維、天然繊維、および鉱物繊維などを使用することができ、これらは1種または2種以上を併用することができる。中でも、比強度と比剛性が高く軽量化効果の観点から、PAN系、ピッチ系およびレーヨン系などの炭素繊維が好ましく用いられる。また、得られる成形品の導電性を高めるという観点から、ニッケルや銅やイッテルビウムなどの金属を被覆した強化繊維を用いることもできる。
プリプレグに使用される熱硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、エポキシ、フェノール、ユリア・メラミン、マレイミドおよびポリイミド等の樹脂、これらの共重合体、変性体、および、これらの少なくとも2種類をブレンドした樹脂が挙げられる。中でも、得られる成形品の力学特性の観点からエポキシ樹脂が好ましく用いられる。また、プリプレグは成形工程で硬化させるため、用いる熱硬化性樹脂の未硬化状態のガラス転移温度は、80℃以下であることが好ましく、より好ましくは70℃以下であり、さらに好ましくは60℃以下である。
[積層体]
本発明の積層体は、少なくとも2枚の裁断体が、互いに異なる形状を有し、かつ、裁断体の面内における二方向に関して、それらの端部の一部が揃うように積層されている。従来、例えば図1のように、それぞれ異なる形状の裁断体5を(a)、立体形状に積層、賦形して略成形品の立体形状とするにあたっては(b)、裁断体5同士の位置関係を把握するために定規で端部間の距離を測定したりプリプレグの繊維方向を見ながら角度をそろえたりと、裁断体5を1枚1枚積層する必要があり、多くの時間がかかっていた。また立体形状に賦形させるには高度な技能が必要で、積層体の製造に多くの時間とコストを要するという問題があった。対して、本発明の積層体においては、互いに異なる形状を有する少なくとも2枚の裁断体を積層するにあたって、端部の一部を、裁断体の面内における二方向に関して積層された際に揃うような形状とし、その端部をそろえることで裁断体同士の位置関係を定めて積層する。このため、積層時間を短縮できることができる。
複数枚の裁断体の位置あわせは、裁断体の面内における二方向で端部を揃えるようにすると、位置あわせ精度を向上させつつ位置あわせ時間を短縮させることが出来る。そのため、例えば、図3に示すように、裁断体5の長手方向3に直交する第1の位置あわせ部1と、長手方向に平行な第2の位置あわせ部2を設けることが好ましい(以下、位置合わせに供する端部を「位置合わせ端部」という)。この図3の態様のように全ての裁断体の位置あわせ端部を同じ位置とした場合は、積層工程において裁断体ごとに位置あわせ端部を確認する手間が省けるため、積層時間の短縮になり好ましい。
また、従来は、簡便に位置合わせをするため、図2に示すように全ての裁断体5を同じ形状にし、全ての裁断体5を全体で揃えて積層することが行われていたが、この場合は面方向の全域にわたって多くの裁断体が積層されることになるため厚みが大きくなり、また位置合わせに供しない部位の積層構成も位置合わせに供する部位の積層構成に制限されていた。しかしながら、本発明においては、少なくとも2枚の裁断体を、互いに異なる形状とするので、位置合わせ端部以外の領域では、裁断体の積層枚数、厚みを必要に応じて低減することが可能となる。例えば図4に示すように、位置あわせ端部の位置を、隣接する2枚の裁断体5ごとに変更させ、隣り合う裁断体5同士でのみ位置あわせ端部を共有させるということも可能となる。この場合は、位置あわせ端部以外の領域で、裁断体の積層枚数、厚みを減少させることができるだけでなく、繊維配向の異なる裁断体を配置して積層構成を変更するといった積層設計の自由度が増すため、好ましい機械特性の成形品を得ることが出来る。
以上のような本発明の積層体は、図3、図4に示すように、段差部10を有する。段差部を生じさせる結果、位置あわせ端部以外の領域で裁断体の積層枚数、厚みを減少することができる。そして段差部が金型キャビティの形状に対応して変形するため、積層体としての各領域における厚みを所望する成形品の各領域の厚みに近づけることができ、圧縮成形時の加圧によっては積層体全体を均等に加圧できる。その結果、プリプレグの繊維直交方向のみならず、繊維方向にも伸張性を発現できるようになり、少ない流動で積層体を所望する成形品の形状に沿わせることが出来る。なお、図2に示す従来の積層体においては、プリプレグが、その面に対する圧縮により、繊維直交方向へは容易に伸張できるものの繊維方向にはほとんど伸張できない。そのため、繊維の突っ張りが生じて、この部位で局所的な荷重伝達がなされることで、積層体全体の加圧が不十分になる。
段差部は、成形品の形状にもよるが、積層体全体を均等に加圧するという観点からは少なくとも2段以上であることが好ましく、4段以上であることがさらに好ましい。
本発明の積層体は、段差部において測定した熱硬化性樹脂の硬化度(α1(%))が、0.5%以上50%以下であることが好ましい。段差部における熱硬化性樹脂の硬化度(α1(%))が小さすぎると、ハンドリング時に積層体が容易に変形してしまい、型への配置精度が低下する可能性がある。該硬化度(α1(%))を上記好ましい範囲の下限値以上とすることで、積層体の配置精度が向上する。一方、該硬化度(α1(%))が大きすぎると、プレス成形の成形圧力によって積層体の流動が生じる前に、熱硬化性樹脂がゲル化してしまい、十分な流動性を得られない場合がある。該硬化度(α1(%))を上記好ましい範囲の上限値以下とすることで、積層体は成形時に十分な流動性を得られるようになる。
また、段差部において測定した熱硬化性樹脂の硬化度(α1(%))を、非段差部において測定した熱硬化性樹脂の硬化度(α2(%))以上とすることで、積層体が含む強化繊維の乱れをより抑制でき、機械特性に優れた成形品をより容易に得ることができる。そのため段差部において測定した熱硬化性樹脂の硬化度(α1(%))は、非段差部において測定した熱硬化性樹脂の硬化度(α2(%))との関係において、α1≧α2であることが好ましい。
熱硬化性樹脂の硬化度の測定は、例えば示差走査熱量計を用いて反応前後の発熱量を比較することで測定できる。すなわち、硬化度0%の熱硬化性樹脂の発熱量をH0(J)、測定する熱硬化性樹脂の発熱量をH1(J)とすると、硬化度α(%)は次の式で求めることができる。積層体のある領域の硬化度を測定する場合は、はさみやカッターなどを用いて積層体から熱硬化性樹脂を5mm角切り取り、測定対象とすればよい。
α={(H0-H1)/H0}×100
本発明の積層体は、最も肉厚の部分が、全体として4層以上のプリプレグを有していることも好ましく、8層以上のプリプレグを有していることがより好ましく、16層以上のプリプレグを有していることがさらに好ましい。一般に、圧縮成形においては、成形型と成形材料の間に生じる摩擦から、積層体の表面よりも内部の方が大きく流動する傾向となる。
本発明の積層体の厚みは、0.4mm以上50mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.8mm以上25mm以下であり、さらに好ましくは1.6mm以上12.5mm以下である。厚みが上記好ましい範囲内にあることにより、積層体内部にまで均一に熱を伝えることが容易となり、引いては外観に優れる成形品が得られるようになる。
本発明の積層体は、該積層体の少なくとも一方の面に離型カバーを有することができる。離型カバーを有することで、搬送時にプリプレグの樹脂が手や搬送装置に付着することを防ぐことが出来るため、ハンドリング性が向上するばかりか、搬送中のプリプレグの繊維乱れや積層体の形状変化を防げるため、好ましい機械特性の成形品を得る上で好ましい。離型カバーは、成形前に剥がすことが好ましい。
離型カバーの材質としては、特に限定されるものではないが、熱硬化性樹脂の種類に応じて適宜選択すればよく、例えばポリオレフィンやポリエステル、ポリエステル、ポリプロピレン、フッ素樹脂などのフィルム、シリコーンなどの離型成分が表面にコートされた離型紙、アルミ、ステンレス、銅などの金属布帛が挙げられる。中でも、プリプレグとの密着性(貼りつきやすさと剥がしやすさ)の観点から離型紙が好ましく用いられる。
また、得られる成形品の意匠性を改善する観点から、積層体および/または積層体表面に、加飾フィルム、透明フィルムおよび色調フィルムなどからなる群から選択された少なくとも一種を接着することも好ましい。ここで、加飾フィルムとは、そのフィルム表面に、意匠および/または幾何学的紋様を有しているフィルムである。透明フィルムとは、そのフィルムの可視光線の透過率が80~100%であるフィルムである。色調フィルムとは、有機系および/または無機系の顔料や着色剤を含有するフィルムである。その他、必要に応じ、光沢フィルム、プリントフィルム、帯電防止フィルム、遮光フィルム、および耐熱フィルムなどを用いることもできる。
以上のような本発明の積層体は、三次元形状に予め賦形し、プリフォームとして、成形に供することが好ましい。プリフォームとしてから成形に供すると、積層体が型キャビティの形状に近い形状となるため、積層体のプレス成形中にプリプレグが流動することを抑制でき、積層体が含む強化繊維の乱れを抑制でき、その結果、機械特性に優れた成形品を得ることができる。さらに、プリフォームとしてから成形に供する場合、プリフォームの形状が成形品の形状と近い形状であるため、型キャビティへの積層体の配置が容易になる。
なお、賦形時や型キャビティへの配置時など、積層体を立体形状へ変形させる際には、積層体の位置合わせ端部を、例えば指で曲げたり押込むなどしてプリプレグの各層をずらしても良い。
本発明の積層体を用いて得られる成形品の用途としては、例えば、「パソコン、ディスプレイ、OA機器、携帯電話、携帯情報端末、ファクシミリ、コンパクトディスク、ポータブルMD、携帯用ラジオカセット、PDA(電子手帳などの携帯情報端末)、ビデオカメラ、デジタルビデオカメラ、光学機器、オーディオ、エアコン、照明機器、娯楽用品、玩具用品、その他家電製品などの筐体、トレイ、シャーシ、内装部材、またはそのケース」などの電気、電子機器部品、「支柱、パネル、補強材」などの土木、建材用部品、「各種メンバ、各種フレーム、各種ヒンジ、各種アーム、各種車軸、各種車輪用軸受、各種ビーム、プロペラシャフト、ホイール、ギアボックスなどの、サスペンション、アクセル、またはステアリング部品」、「フード、ルーフ、ドア、フェンダ、トランクリッド、サイドパネル、リアエンドパネル、アッパーバックパネル、フロントボディー、アンダーボディー、各種ピラー、各種メンバ、各種フレーム、各種ビーム、各種サポート、各種レール、各種ヒンジなどの、外板、またはボディー部品」、「バンパー、バンパービーム、モール、アンダーカバー、エンジンカバー、整流板、スポイラー、カウルルーバー、エアロパーツなど外装部品」、「インストルメントパネル、シートフレーム、ドアトリム、ピラートリム、ハンドル、各種モジュールなどの内装部品」、または「モーター部品、CNGタンク、ガソリンタンク、燃料ポンプ、エアーインテーク、インテークマニホールド、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、各種配管、各種バルブなどの燃料系、排気系、または吸気系部品」などの自動車、二輪車用構造部品、「その他、オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、ライトディヤー用ポテンショメーターベース、エンジン冷却水ジョイント、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、タービンべイン、ワイパーモーター関係部品、ディストリビュター、スタータースィッチ、スターターリレー、ウィンドウオッシャーノズル、エアコンパネルスィッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、バッテリートレイ、ATブラケット、ヘッドランプサポート、ペダルハウジング、プロテクター、ホーンターミナル、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ノイズシールド、スペアタイヤカバー、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケース、スカッフプレート、フェイシャー」、などの自動車、二輪車用部品、「ランディングギアポッド、ウィングレット、スポイラー、エッジ、ラダー、エレベーター、フェアリング、リブ、ステーターベーン、フィレット、エンジンフード」などの航空機用部品が挙げられる。
また、力学特性の観点から、電気、電子機器用の筐体、土木、建材用のパネル、自動車用の構造部品、および航空機用の部品に好ましく用いられる。
次に、実施例により本発明の積層体とその成形品について、さらに詳細に説明する。本発明の実施例で用いた評価方法は、次のとおりである。
(1)裁断体の積層時間:
裁断体5を積層して所望する構成の積層体を得るのにかかった時間をストップウォッチで1秒単位で計測した。
(2)積層体の寸法:
積層体の最大厚みをマイクロメーターを用いて0.1mm単位で測定した。
(3)成形品の充填性:
図6に示す型キャビティを持つ、図7に示す型(1)を用いて、積層体それぞれのプレス成形を実施した。成形品における充填状態は、成形品端部の断面を研磨観察して次の基準で評価した。◎と○を合格とした。
◎:成形品に充填不良による欠けが見られず、かつ、成形品の端部において強化繊維と熱硬化性樹脂がともに存在する。
○:成形品に充填不良による欠けが見られないが、成形品の端部において熱硬化性樹脂のみしか存在しない。
×:成形品に充填不良による欠けが見られる。
(4)成形品の表面外観:
成形品の表面外観は、目視により、凹凸が見られないものを○、凹凸が確認できるものを×として判別した。表面に成形不良に起因する黄変や樹脂リッチによる凹凸が生じたものについても×と分類した。ここで○を合格とした。
実施例、比較例で用いたプリプレグは、次のとおりである。
[プリプレグ]
プリプレグとして、一方向プリプレグP3432S-20(東レ株式会社製)を用いた。このプリプレグの特性は次の通りである。以降、プリプレグ(A)とする。
・炭素繊維密度:1.80g/cm
・炭素繊維引張強度:4.9GPa
・炭素繊維引張弾性率:230GPa
・糸目付:200
・樹脂含有率:33%
・厚み:0.19mm
・離型カバー:表面にポリエチレンフィルム、裏面に離型紙を貼付。
[切込挿入プリプレグ]
プリプレグAに自動裁断機を用いて平均の切込長さ(強化繊維の繊維直交方向への投影長さ)が0.24mm、切込方向とプリプレグの強化繊維の主軸方向の成す角が14°の切込を挿入することで、切断された強化繊維の平均長さが25mmの切込挿入プリプレグを作製した。なお、切込はプリプレグの厚み方向に貫通させた。切込以外の特性は前述の一方向プリプレグと同様である。以降、プリプレグ(B)とする。
(実施例1)
プリプレグ(A)を図3(a)に示す3種類の裁断体5の形状に裁断した。このとき、それぞれの形状において各裁断体5における積層構成が[45/-45/0/90]となるように8枚ずつ裁断し、それらを積層し、裁断体5とした。なお、[45/-45/0/90]における各数字は、裁断体の長手方向3を0°方向とし、該裁断体の長さ方向と強化繊維の主軸方向との成す角の大きさ(°)を表し、「s」とは、[ ]内の組合せを繰り返して積層したものと、この順序と逆順に積層したものとを準備し、これらを対称となるように積層した態様を示す。また、裁断体5を得る際、裁断体5の表裏面のみに離型紙(図示しない)を残すように、不要な離型紙とポリエチレンフィルムをプリプレグから剥がしながら積層した。
続いて、3種の形状の裁断体5を、第1の位置合わせ端部1と第2の位置合わせ端部2を参照しながら、裁断体の長手方向3と裁断体の長手方向に直交する方向4に位置合わせをして積層し、図3(b)に示す積層体とした。その際、積層体の表裏面のみに離型紙(図示しない)を残して離型カバーとした。また、裁断体5を積層して積層体を得るのにかかった時間および積層体の寸法を前述の方法で測定した。
上述の作業を3回繰り返し、裁断体の積層時間および積層体の厚みをそれぞれ平均値で評価した。
その後、得られた3つの積層体を1つの袋に入れ、積層作業エリアからプレス作業エリアまで移動した。次いで、1つの積層体を袋から取り出し、積層体表裏面の離型カバーを剥がし、150℃の温度に温調した図7に示す上下型からなる両面型(キャビティ形状:図6)に配置した。次いで、上型と下型を近接させて、積層体を5MPaで加圧しながら型内で10分加熱し、成形品を得た。得られた成形品について、充填性、表面外観を評価し、結果を表1に示す。
(実施例2)
プリプレグ(B)を用いた以外は、実施例1と同様にした。評価結果を表1に示す。
(実施例3)
プリプレグ(A)を図4(a)に示す4種類の裁断体5の形状に裁断した。このとき、(a-1)と(a-2)の形状については、各裁断体5における積層構成が[0/45/-45/0/90]となるように10枚ずつ裁断し、それらを積層し、裁断体5とした。さらに、(a-3)の形状については、裁断体5における積層構成が[45/―45/45]となるように3枚、また、(a-4)の形状については、裁断体5における積層構成が[90/45/90]となるように3枚裁断し、それらを積層し、裁断体5とした。なお、各裁断体5を得る際、裁断体5の表裏面のみに離型紙(図示しない)を残すように、不要な離型紙とポリエチレンフィルムをプリプレグから剥がしながら積層した。
続いて、4種の形状の裁断体5を、第1の位置合わせ端部1と第2の位置合わせ端部2を参照しながら、裁断体の長手方向3と裁断体の長手方向に直交する方向4に位置合わせをして積層し、図4(b)に示す積層体とした。その際、積層体の表裏面のみに離型紙(図示しない)を残して離型カバーとした。また、裁断体5を積層して積層体を得るのにかかった時間および積層体の寸法を前述の方法で測定した。
上述の作業を3回繰り返し、裁断体の積層時間および積層体の厚みをそれぞれ平均値で評価した。
その後、得られた3つの積層体を1つの袋に入れ、積層作業エリアからプレス作業エリアまで移動した。次いで、1つの積層体を袋から取り出し、積層体表裏面の離型カバーを剥がし、実施例1と同様の条件で成形を実施し、評価した。評価結果を表1に示す。
(実施例4)
プリプレグ(B)を用いた以外は、実施例3と同様にした。評価結果を表1に示す。
(実施例5)
プリプレグ(A)を図5(a)に示す3種類の裁断体5の形状に裁断した。このとき、それぞれの形状において各裁断体5における積層構成が[45/-45/0/90]となるように8枚ずつ裁断し、それらを積層し、裁断体5とした。なお、裁断体5を得る際、裁断体5の表裏面のみに離型紙(図示しない)を残すように、不要な離型紙とポリエチレンフィルムをプリプレグから剥がしながら積層した。
続いて、3種の形状の裁断体5を、第1の位置合わせ端部1と第2の位置合わせ端部2を参照しながら、裁断体の長手方向3と裁断体の長手方向に直交する方向4に位置合わせをして積層し、図5(b)に示す積層体とした。その際、積層体の表裏面のみに離型紙(図示しない)を残して離型カバーとした。また、裁断体5を積層して積層体を得るのにかかった時間および積層体の寸法を前述の方法で測定した。
上述の作業を3回繰り返し、裁断体の積層時間および積層体の厚みをそれぞれ平均値で評価した。
その後、得られた3つの積層体を1つの袋に入れ、積層作業エリアからプレス作業エリアまで移動した。次いで、1つの積層体を袋から取り出し、積層体表裏面の離型カバーを剥がし、実施例1と同様の条件で成形を実施し、評価した。評価結果を表1に示す。
(実施例6)
プリプレグ(B)を用いた以外は、実施例5と同様にした。評価結果を表1に示す。
(実施例7)
プリプレグ(A)を図4(a)に示す4種類の裁断体5の形状に裁断した。このとき、(a-1)と(a-2)の形状については、各裁断体5における積層構成が[0/45/-45/0/90]となるように10枚ずつ裁断し、それらを積層し、裁断体5とした。さらに、(a-3)の形状については、裁断体5における積層構成が[45/―45/45]となるように3枚、また、(a-4)の形状については、裁断体5における積層構成が[90/45/90]となるように3枚裁断し、それらを積層し、裁断体5とした。なお、各裁断体5を得る際、全ての離型紙とポリエチレンフィルムをプリプレグから剥がしながら積層した。
続いて、4種の形状の裁断体5を、第1の位置合わせ端部1と第2の位置合わせ端部2を参照しながら、裁断体の長手方向3と裁断体の長手方向に直交する方向4に位置合わせをして積層し、図4(b)に示す積層体(離型カバーなし)とした。このとき、裁断体5を積層して積層体を得るのにかかった時間および積層体の寸法を前述の方法で測定した。
上述の作業を3回繰り返し、裁断体の積層時間および積層体の厚みをそれぞれ平均値で評価した。
その後、得られた3つの積層体(離型カバーなし)を1つの袋に入れ、積層作業エリアからプレス作業エリアまで移動した。次いで、1つの積層体を袋から取り出し、実施例1と同様の条件で成形を実施し、評価した。評価結果を表1に示す。
(実施例8)
プリプレグ(B)を図5(a)に示す3種類の裁断体5の形状に裁断した。このとき、それぞれの形状において各裁断体5における積層構成が[0]となるように8枚ずつ裁断し、それらを積層し、裁断体5とした。なお、裁断体5を得る際、裁断体5の表裏面のみに離型紙(図示しない)を残すように、不要な離型紙とポリエチレンフィルムをプリプレグから剥がしながら積層した。
続いて、3種の形状の裁断体5を、第1の位置合わせ端部1と第2の位置合わせ端部2を参照しながら、裁断体の長手方向3と裁断体の長手方向に直交する方向4に位置合わせをして積層し、図5(b)に示す積層体とした。その際、積層体の表裏面のみに離型紙(図示しない)を残して離型カバーとした。また、裁断体5を積層して積層体を得るのにかかった時間および積層体の寸法を前述の方法で測定した。
上述の作業を3回繰り返し、裁断体の積層時間および積層体の厚みをそれぞれ平均値で評価した。
その後、得られた3つの積層体を1つの袋に入れ、積層作業エリアからプレス作業エリアまで移動した。次いで、1つの積層体を袋から取り出し、積層体表裏面の離型カバーを剥がし、実施例1と同様の条件で成形を実施し、評価した。評価結果を表1に示す。
(比較例1)
プリプレグ(A)を図1(a)に示す3種類の裁断体5の形状に裁断した。このとき、それぞれの形状において、各裁断体5における積層構成が[45/-45/0/90]となるように8枚ずつ裁断し、それらを積層し、裁断体5とした。なお、裁断体5を得る際、裁断体5の表裏面のみに離型紙(図示しない)を残すように、不要な離型紙とポリエチレンフィルムをプリプレグから剥がしながら積層した。
続いて、3種の形状の裁断体5を、積層図面を参照し、それぞれの裁断体5の輪郭の間隔を定規で測定しながら、裁断体の長手方向3と裁断体の長手方向に直交する方向に位置合わせをして積層し、図1(b)に示す積層体とした。その際、積層体の表裏面のみに図示しない離型紙を残して離型カバーとした。また、裁断体5を積層して積層体を得るのにかかった時間および積層体の寸法を前述の方法で測定した。
上述の作業を3回繰り返し、裁断体の積層時間および積層体の厚みをそれぞれ平均値で評価した。
その後、得られた3つの積層体を1つの袋に入れ、積層作業エリアからプレス作業エリアまで移動した。次いで、1つの積層体を袋から取り出し、積層体表裏面の離型カバーを剥がし、実施例1と同様の条件で成形を実施し、評価した。評価結果を表1に示す。
(比較例2)
プリプレグ(B)を用いた以外は、比較例1と同様にした。評価結果を表1に示す。
(比較例3)
プリプレグ(A)を図2(a)に示す裁断体5の形状(3つ全て同一形状)に裁断した。このとき、各裁断体5における積層構成が[45/-45/0/90]となるように8枚ずつ裁断し、それらを積層し、裁断体5とした。なお、裁断体5を得る際、裁断体5の表裏面のみに離型紙(図示しない)を残すように、不要な離型紙とポリエチレンフィルムをプリプレグから剥がしながら積層した。
続いて、同一形状である3つの裁断体5を角が揃うように位置合わせをして積層し、図2(b)に示す積層体とした。その際、積層体の表裏面のみに離型紙(図示しない)を残して離型カバーとした。また、また、裁断体5を積層して積層体を得るのにかかった時間および積層体の寸法を前述の方法で測定した。
上述の作業を3回繰り返し、裁断体の積層時間および積層体の厚みをそれぞれ平均値で評価した。
その後、得られた3つの積層体を1つの袋に入れ、積層作業エリアからプレス作業エリアまで移動した。次いで、1つの積層体を袋から取り出し、積層体表裏面の離型カバーを剥がし、実施例1と同様の条件で成形を実施し、評価した。評価結果を表1に示す。
(比較例4)
プリプレグ(B)を用いた以外は、比較例3と同様にした。評価結果を表1に示す。
Figure 0007230499000001
表1に示すように、実施例1~8は、裁断体を短時間で積層して積層体を製作することができた。さらに、段差部を有する積層体により、積層体が良流動となり、端部まで欠けが無い成形品が得られるとともに、表面外観に優れ、かつ、ボイドや樹脂リッチがほとんどない力学的特性の良好な成形品が得られた。また、実施例7においては、離型カバーが無い複数の積層体を袋につめて持ち運んだ際、積層体同士が貼り付き、1つの積層体を袋から取り出す際にそれらを引き剥がす必要があったが、その他の実施例においては、各積層体に離型カバーを設けていたので、複数の積層体を袋に入れて持ち運んでも積層体同士が貼り付くことが無かった。さらに、実施例2、4、6においては、切込挿入プリプレグを用いたことにより、成形品の充填性がさらに向上した。
一方、比較例1、2では、互いに異なる形状で、かつ、端部が揃わない構成の裁断体から積層体を構成したため、裁断体の位置あわせに多くの時間が必要であり、積層に同じ枚数の裁断体を使用する実施例(実施例1、2、5、6、8)と比較して裁断体の積層に2倍以上の時間を要した。比較例3では、同一形状の裁断体を積層して積層体を構成したため、成形品末端に欠けが見られたことに加え、成形品末端で流動が阻害されて大きな樹脂リッチが生じたり、成形品中央部が十分に加圧されず表面外観に劣る結果となった。また、比較例4では、切込挿入プリプレグを用いたことで比較例3よりも充填性は改善したものの、成形品中央部が十分に加圧されず表面外観に劣る結果となった。
1 第1の位置合わせ端部
2 第2の位置合わせ端部
3 裁断体の長手方向
4 裁断体の長手方向に直交する方向
5 裁断体
10 段差部

Claims (6)

  1. 強化繊維と熱硬化性樹脂とを含むプリプレグの裁断体を2枚以上積層した積層体であって、前記プリプレグは、強化繊維が連続繊維で、かつ、該連続繊維を横切る複数の切り込みを有し、少なくとも2枚の前記裁断体は、互いに異なる形状を有し、裁断体の面内における二方向に関して、前記少なくとも2枚の裁断体の端部の一部が揃うように積層されており、かつ、前記二方向が、裁断体の長手方向に直交する第1の方向と、該第1の方向に直交する第2の方向であることを特徴とする積層体。
  2. 前記積層体が段差部を有することを特徴とする、請求項1に記載の積層体。
  3. 少なくとも1枚の前記裁断体が複数のプリプレグの層を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の積層体。
  4. 前記複数のプリプレグの層は、少なくとも一部において、隣接する2層のプリプレグの繊維配向が互いに異なることを特徴とする、請求項に記載の積層体。
  5. 前記隣接する2層のプリプレグの繊維配向が、互いに直交していることを特徴とする、請求項に記載の積層体。
  6. 少なくとも一方の面に離型カバーを有することを特徴とする、請求項1からのいずれかに記載の積層体。
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