以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照しながら説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称及び機能も同じである。従って、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
<画像形成装置の全体構成>
図1は、本発明の実施の形態に係るローラ押圧変更装置を備えた画像形成装置200を正面から視た概略断面図である。なお、図1において、符号Xは、幅方向(奥行き方向)を示しており、符号Yは、幅方向Xに直交する左右方向を示しており、符号Zは、上下方向を示している。このことは、後述する図2以降の図面においても同様である。
図1に示す画像形成装置200は、画像読取装置90により読み取られた画像データ、又は、外部から伝達された画像データに応じて、記録用紙等のシートPに対して電子写真方式により多色及び単色の画像を形成するカラー画像形成装置である。なお、画像形成装置200は、モノクロ画像形成装置であってもよい。また、画像形成装置200は、他の形態のカラー画像形成装置であってもよい。
画像形成装置200は、原稿送り装置208と、画像形成装置本体210とを備えており、画像形成装置本体210には、画像形成部202とシート搬送系203とが設けられている。
画像形成部202は、露光装置1(具体的には書き込み光学系の露光ユニット)、複数の現像装置2~2(具体的には現像ユニット)、複数の感光体ドラム3~3、複数の感光体クリーナー部4~4、複数の帯電器5~5、1次転写ベルト装置6、複数のトナーカートリッジ装置21~21(具体的にはトナーカートリッジユニット)及び定着装置17(具体的には定着ユニット)を備えている。また、シート搬送系203は、給紙トレイ81、封筒等がセットされる手差し給紙トレイ82及び排出トレイ15を備えている。
画像形成装置本体210の上部には、原稿(図示省略)が載置される透明ガラスからなる原稿載置台92が設けられ、原稿載置台92の下部には原稿の画像を読み取るための前記画像読取装置90が設けられている。また、原稿載置台92の上側には前記原稿送り装置208が設けられている。画像読取装置90で読み取られた原稿の画像は、画像データとして画像形成装置本体210に送られ、画像形成装置本体210において画像データに基づき形成された画像がシートPに記録される。
画像形成装置200において扱われる画像データは、複数色(この例ではブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色)を用いたカラー画像に応じたものである。従って、現像装置2~2、感光体ドラム3~3、感光体クリーナー部4~4、帯電器5~5及びトナーカートリッジ装置21~21は、各色に応じた複数種類(この例では4種類)の画像を形成するようにそれぞれ複数個(この例では4個ずつ設けられ、それぞれブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)に設定され、これらによって複数(この例では4つ)の画像ステーションが構成されている。
画像形成装置200では、画像形成を行うにあたり、前記給紙トレイ81又は手差し給紙トレイ82からシートP等の被印刷物(以下、シートPという)を供給し、シート搬送路Sに沿って設けられた搬送ローラ12a~12aによってレジストローラ13までシートPを搬送する。次に、シートPと1次転写ベルト装置6において周回方向Mに周回移動される1次転写ベルト61上のトナー像を整合するタイミングで2次転写ベルト装置10によってシートPを搬送し、シートP上にトナー像を転写する。その後、シートPを定着装置17における定着ローラ(本発明でいう第2ローラ)171と加圧ローラ(本発明でいう第1ローラ)172との間に通過させることによってシートP上の未定着トナーを熱で溶融、固着し、搬送ローラ12a及び排出ローラ部31を経て排出トレイ15上に排出する。また、画像形成装置200において、シートPの表面だけでなく、裏面に画像形成を行う場合は、シートPを排出ローラ部31から反転経路Srへ逆方向に搬送して、搬送ローラ12bを経てシートPの表裏を反転させてレジストローラ13へ再度導き、シートPの表面と同様にして、シートPの裏面にトナー像を定着させて排出トレイ15へ排出する。こうして、画像形成装置200は、一連の印刷動作を完了する。
なお、4つの画像形成ステーションのうち少なくとも一つを用いて、モノクロ画像を形成し、モノクロ画像を1次転写ベルト装置6の1次転写ベルト61に転写することも可能である。このモノクロ画像も、カラー画像と同様に、1次転写ベルト61からシートPに転写され、シートP上に定着される。
<定着装置>
次に、本実施の形態に係るローラ押圧変更装置をベルト定着方式の定着装置17に適用した例について説明する。
定着装置17は、複数のベルトローラ(この例では定着ローラ171及び加熱ローラ174)と、複数のベルトローラに巻き掛けられた無端ベルト(この例では定着ベルト173)とを備えている。定着ベルト173は、加熱ローラ174から定着ローラ171へ熱伝達できるようになっている。定着装置17は、加圧ローラ172が定着ベルト173を介して定着ローラ171に押圧されるようになっている。また、定着ベルト173は、加熱ローラ174の内側に設けられた熱源178によって加熱され、温度検知手段177(具体的にはサーミスタ等の温度センサ)からの信号に基づき所定の定着温度に維持されるようになっている。
図2及び図3は、それぞれ、定着装置17の概略構成を示す正面図及び平面図である。また、図4は、定着装置17に備えられた各種のローラ(定着ローラ171、加圧ローラ172及び加熱ローラ174)を回転自在に支持している両側(ローラ軸心方向の両側)のローラ支持部のうち幅方向Xにおける正面側(図1における手前側)のローラ支持部を示す斜視図である。図5は、このローラ支持部における本体フレームFLを省略した斜視図である。図6は加圧ローラ172の支持部(加圧ローラ支持部)を示す斜視図である。図7はこの加圧ローラ支持部を正面から視た図(図6におけるVII矢視図)である。図8は加圧ローラ支持部の第1加圧レバー110aの一部を省略した斜視図である。図9は図8におけるIX矢視図である。
図5~図9に示すように、加圧ローラ172の支持構造の概略として、加圧ローラ支持部には、被動作部材110及び第2加圧レバー(本発明でいう第2加圧部材)130が配設されている。また、被動作部材110は、第1加圧レバー(本発明でいう第1加圧部材)110a及び着脱部材110bが一体的に組み付けられて構成されている。
第1加圧レバー110aは、加圧ローラ172を回転自在に支持すると共に、この加圧ローラ172を定着ローラ171に向けて押圧するための部材である。また、この第1加圧レバー110aは、後述する回動支軸113(本発明でいう回動支点部;図5及び図6を参照)によって回動自在に支持されている。この第1加圧レバー110aは、各ローラ171,172,174の軸心に沿う方向(以下、ローラ軸心方向という場合もある)において所定間隔を存して互いに平行に配設された外側プレート部110A及び内側プレート部110Bと、これらプレート部110A,110Bの下端縁同士の間に亘って配設された下側プレート部110Cとを備えている。そして、第1加圧レバー110aは、各プレート部110A,110B,110Cで囲まれた空間が第2加圧レバー130の収容空間として構成されている。また、この空間は、後述する第1カム(本発明でいう偏心カム)131の収容空間としても構成されている。
第2加圧レバー130は、加圧ローラ172を回転自在に支持すると共に、前記第1加圧レバー110aと同様に、加圧ローラ172を定着ローラ171に向けて押圧するための部材である。この第2加圧レバー130も、前記第1加圧レバー110aと同様に、後述する回動支軸113(図8及び図9を参照)によって回動自在に支持されている。この第2加圧レバー130は、前記空間(第1加圧レバー110aの各プレート部110A,110B,110Cで囲まれた空間)に収容されている。
着脱部材110bは、前記第1加圧レバー110aよりもローラ軸心方向の中央側に配設されている。
これら第1加圧レバー110a、第2加圧レバー130及び着脱部材110bの具体的な構成については後述する。
本実施の形態では、定着装置17は、定着ベルト173を間にして付勢部材175(この例では、コイルスプリング)によって定着ローラ171と加圧ローラ172とを相互に圧接した状態で、定着ベルト173と加圧ローラ172との間に定着ニップ域N(ニップ部の一例)を形成するようになっている。この定着ニップ域Nでのニップ圧(定着ローラ171に対する加圧ローラ172の押圧力:ローラ圧)を得るための前記付勢部材175は、本体フレームFLと、第1加圧レバー110aに備えられた係止部110gとの間に伸長された状態で架け渡されている。
また、本実施形態の特徴の一つとして、前記ニップ圧(ローラ圧)を得るための付勢力を、第2付勢部材176(この例では、コイルスプリング)によっても得られるようにしている。この第2付勢部材176は、前記第1加圧レバー110aと第2加圧レバー130との間に架け渡され、第2加圧レバー130を加圧ローラ172に押圧することで、該加圧ローラ172を定着ローラ171に向けて移動させることによりニップ圧が得られるものとなっている。この第2付勢部材176のバネ定数は前記付勢部材(以下、第1付勢部材という)175のバネ定数に比べて十分に小さい(付勢力が小さい)ものとなっている。このため、第1付勢部材175の付勢力による第1加圧レバー110aからの押圧力及び第2付勢部材176の付勢力による第2加圧レバー130からの押圧力が共に加圧ローラ172に作用している状態にあっては、この加圧ローラ172から定着ローラ171への押圧力(ローラ圧)は第1付勢部材175の付勢力が支配的となる構成となっている。なお、第2加圧レバー130及び第2付勢部材176の機能については後述する。
定着装置17は、作動機構100を備えている。作動機構100は、後述するように、加圧ローラ172の定着ローラ171に対する圧接、圧力調整、圧接解除を行う手段として作用し、加圧ローラ172の揺動により定着ベルト173の片寄りを補正する手段として作用する。なお、作動機構100については、のちほど詳しく説明する。
定着ローラ171は、回転軸171aが定着装置17の本体(具体的には本体フレームFL)に軸受け171b,171b(図3を参照)を介して回転自在に設けられている。定着ローラ171は、加圧ローラ172と共に定着ベルト173を挟持した状態で定着ベルト173と加圧ローラ172との間のシートP上における未定着のトナー像T(図2を参照)に対向して未定着のトナー像Tを定着する。定着ローラ171は、シリコーンゴム等のゴム部材からなる弾性層171cを有している。
加圧ローラ172は、回転軸172aが被動作部材110(具体的には被動作部材110の第1加圧レバー110a及び第2加圧レバー130)に軸受け110d,110dを介して回転自在に設けられている。(第1加圧レバー110aおよび第2加圧レバー130には、軸受け110d、110dと係合する凹部(第1受部および第2受部)110c、110kがそれぞれ設けられている。)加圧ローラ172は、シリコーンゴム等のゴム部材からなる弾性層172bを有している。
定着ベルト173は、ニッケル等の金属からなる基材(図示せず)にシリコーンゴム等のゴム部材からなる弾性層(図示せず)を設けたものである。
また、加熱ローラ174は、回転軸174aが定着装置17の本体(具体的には本体フレームFL)に軸受け174bを介して回転自在に設けられている。加熱ローラ174は、ハロゲンヒータ等の熱源178を備えており、熱源178によって加熱されることで加熱ローラ174を介して定着ベルト173を加熱する。加熱ローラ174は、筒状の芯金を備えている。前記熱源178は加熱ローラ174の内側に設けられている。これにより、加熱ローラ174が熱源178によって加熱され、加熱ローラ174の熱が定着ベルト173に伝導されて定着ベルト173が加熱される。加熱ローラ174は、アルミニウム等の金属製の素管174cを有している。
以上説明した定着装置17では、画像形成装置本体210に装着された状態において、画像形成装置本体210側の作動機構(図示せず)からの回転駆動力がギヤ(図示せず)を介して定着ローラ171の回転軸171aに伝達されて、定着ローラ171が所定の回転方向E1に回転駆動される(図2を参照)。定着ローラ171の回転に伴い、定着ベルト173が定着ローラ171の回転方向E1と同じ周回りの周回方向Eに周回移動して加熱ローラ174が回転方向E1に回転し、更に加圧ローラ172が定着ローラ171の回転方向E1とは逆方向E2に従動回転する。そして、未定着のトナー像Tが形成されてシート搬送方向Hに搬送されるシートPを受け取り、シートPを定着ベルト173と加圧ローラ172との間に挟み込んで搬送し、定着ニップ域Nで加熱及び加圧する。
なお、定着装置17は、定着ベルト173の内側又は外側に配置され、且つ、定着ベルト173の張り力を付与するように定着ベルト173に対して外側又は内側へ押圧するテンションローラを備えていてもよい。定着装置17は、テンションローラに代えて或いは加えて、加熱ローラ174の回転軸174aにおける両端部に対して定着ローラ171とは反対側へ付勢力を付与する付勢部材(例えばコイルスプリング)を備えていてもよい。また、定着ローラ171及び/又は加圧ローラ172に、熱源178が設けられていてもよい。また、テンションローラが設けられる場合、テンションローラに熱源178が設けられていてもよい。また、定着ベルト173が更に他のローラに巻き掛けられる場合、他のローラの少なくとも一つに熱源178が設けられていてもよい。
図10は、定着装置17における作動機構100、駆動伝達機構180及び駆動部190を示す概略正面図である。この図10では、作動機構100、駆動伝達機構180及び駆動部190の理解を容易にするために、前記第1加圧レバー110aの外側プレート部110A及び第2加圧レバー130を省略している。また、この図10では加圧ローラ172の定着ローラ171への圧接解除状態を示している。なお、図2及び図3において、図10に示す定着装置17の一部の構成要素等は、図示を省略している。また、図10において、他方側(この例では背面側)の構成については、後述するように、加圧ローラ172を揺動方向Wに揺動させる構成を除いて他方側(この例では背面側)の構成と実質的に同様の構成であり、ここでは、図示を省略している。このことは、後述する図11以降の図面についても同様である。
<作動機構>
図10に示すように、本実施の形態において、作動機構100は、第1係合部(カム当接部)111及び第2係合部112を駆動するものであり、単一の回転軸(本発明でいうカム支軸)120(具体的には回転駆動軸)と、第1カム131と、第2カム132(揺動カムの一例;本発明でいう蛇行補正用偏心カム)とを備えている。
単一の回転軸120は、単一の駆動部190(具体的には回転駆動源)から駆動力が伝達される。第1カム131及び第2カム132は、第1係合部111及び第2係合部112を単一の回転軸120からの駆動力によりそれぞれ動作させる。
図11は、図10に示す作動機構100における第1カム131及び第1係合部111の周辺部を拡大して示す概略図である。図12は、図10に示す作動機構100における第2カム132及び第2係合部112の周辺部を拡大して示す概略図である。図13は、図10に示す作動機構100を他方側(この例では背面側)に向けて斜め上方から視た概略斜視図である。図14は、図10に示す作動機構100の幅方向Xにおける一方側(この例では正面側)の部分を一方側に向けて斜め上方から視た概略斜視図である。
図15は、図10に示す作動機構100における着脱部材110bを示す図である。図15(a)及び図15(b)は、それぞれ着脱部材110bの概略正面図及び概略背面図である。
図16は、図10に示す作動機構100の一方側において回転軸120に設けられた第1カム131及び第2カム132を一方側に向けて斜め上方から視た概略斜視図である。
図17は、図10に示す作動機構100における加圧ローラ172の定着ローラ171への圧接状態において加圧ローラ172の一方側が揺動方向Wにおける一方向W1に移動するように傾斜している状態を示す図である。図17(a)は、第1カム131及び第1係合部111の周辺部の概略図であり、図17(b)は、第2カム132及び第2係合部112の周辺部の概略図である。図18は、図17に示す作動機構100の動作状態を示す拡大図である。図18(a)は、図17(a)に示す第1カム131及び第1係合部111の周辺部を拡大して示す概略図であり、図18(b)は、図17(b)に示す第2カム132及び第2係合部112の周辺部を拡大して示す概略図である。
図19は、図10に示す作動機構100における加圧ローラ172の定着ローラ171への圧接状態において加圧ローラ172の一方側が揺動方向Wにおける他方向W2に移動するように傾斜している状態を示す図である。図19(a)は、第1カム131及び第1係合部111の周辺部の概略図であり、図19(b)は、第2カム132及び第2係合部112の周辺部の概略図である。図20は、図19に示す作動機構100の動作状態を示す拡大図である。図20(a)は、図19(a)に示す第1カム131及び第1係合部111の周辺部を拡大して示す概略図であり、図20(b)は、図19(b)に示す第2カム132及び第2係合部112の周辺部を拡大して示す概略図である。
図21は、図10に示す作動機構100における加圧ローラ172の定着ローラ171への圧接状態において加圧ローラ172が定着ローラ171に対して平行になっている状態を示す図である。図21(a)は、第1カム131及び第1係合部111の周辺部の概略図であり、図21(b)は、第2カム132及び第2係合部112の周辺部の概略図である。図22は、図21に示す作動機構100の動作状態を示す拡大図である。図22(a)は、図21(a)に示す第1カム131及び第1係合部111の周辺部を拡大して示す概略図であり、図22(b)は、図21(b)に示す第2カム132及び第2係合部112の周辺部を拡大して示す概略図である。
なお、図17(b)、図19(b)及び図21(b)において、定着ローラ171、加圧ローラ172及び定着ベルト173等は図示を省略している。
また、図23は、本実施の形態に係る画像形成装置200における制御系の概略構成を示すシステムブロック図である。
本実施の形態において、第1カム131は、第1係合部111の動作状態を維持する動作状態維持領域γ1a(図11を参照)を有している。第2カム132は、第2係合部112の動作状態を変化させる動作状態変化領域γ2b(図12を参照)を有している。そして、第1カム131の動作状態維持領域γ1aで第1係合部111への一の動作(この例ではローラ圧接動作)の動作状態を維持するときに、第2カム132の動作状態変化領域γ2bで第2係合部112へのベルト片寄補正動作の動作状態を変化させる構成とされている。作動機構100は、第1カム131の動作状態変化領域γ1bで第1係合部111へのローラ圧接動作の動作状態を変化させるときに、第2カム132による第2係合部112へのベルト片寄補正動作を行わない構成とされている。第1カム131及び第2カム132は、例えば、第1カム131の径r1が変位する位相と第2カム132の径(半径r2)が変位する位相とが一致しない(ずれる)ように、回転軸120上に設けられている。作動機構100は、第1係合部111及び第2係合部112が設けられる前記被動作部材110を更に備えている。第1カム131は、被動作部材110を第1係合部111で一の往復移動方向(この例では回動方向V)に往復移動させる。第2カム132は、被動作部材110を第2係合部112で回動方向Vとは異なる他の往復移動方向(この例では揺動方向W)に往復移動させる。一の往復移動方向は、回転軸120の回転軸線β3方向(この例では幅方向X)と平行又は略平行な回動軸線β4周りに回動する回動方向Vを含んでいる。他の往復移動方向は、回動軸線β4と交差(具体的には直交又は略直交)する揺動軸線β5周りに揺動する揺動方向Wを含んでいる。そして、被動作部材110は、回動方向Vに回動自在、且つ、揺動方向Wに揺動自在となるように構成されている。こうすることで、被動作部材110を回動方向Vに回動させ、且つ、揺動方向Wに揺動させることができる。これにより、被動作部材110を互いに異なる複数方向に移動させることができる。被動作部材110は、第1係合部111が設けられる前記第1加圧レバー110aを備えている。また、前記着脱部材110bは、この第1加圧レバー110aに着脱可能に設けられ且つ第2係合部112が設けられている。被動作部材110は、回転軸120の両側に位置する一対の被動作部材110,110とされている。
ところで、被動作部材110は、回転軸120の両側に位置する一対の被動作部材110,110である場合において、第1カム131として単一のカムを用いると、一対の被動作部材110,110をそれぞれ回動方向Vにおける同じ方向に確実に往復移動させることが困難となる。この点、本実施の形態では、第1カム131は、回転軸120の両側に設けられた一対の第1カム131,131であり、回転軸120を回転軸線β3周りに回転駆動させるときに一対の被動作部材110,110をそれぞれ回動方向Vにおける同じ方向に往復移動させる構成とされている。こうすることで、回転軸120の両側に設けられた一対の第1カム131,131により回転軸120を回転軸線β3周りに回転駆動させるときに一対の被動作部材110,110をそれぞれ回動方向Vにおける同じ方向に確実に往復移動させることができる。これにより、一対の被動作部材110,110における第1係合部111,111を回転軸120の両側で回動方向Vにおける同じ方向に確実に動作させることができる。この場合、一対の被動作部材110,110において第1係合部111,111と少なくとも当接する部分を同一又は略同一形状とし、一対の第1カム131,131を同一又は略同一形状とし、一対の第1カム131,131の径r1,r1が変位する位相を何れも同一又は略同一の位相とすることができる。
ところで、被動作部材110は、回転軸120の両側に位置する一対の被動作部材110,110である場合において、第2カム132として、単一のカムを用いてもよいし、一対のカムを用いてもよい。本実施の形態において、第2カム132は、回転軸120の何れか片側(この例では正面側)に設けられた単一の第2カム132である。一対の被動作部材110,110のうち単一の第2カム132が設けられる側(この例では正面側)の被動作部材110を揺動方向Wに往復移動させる構成とされている。こうすることで、回転軸120の何れか片側に設けられた単一の第2カム132を用いても、単一の第2カム132により一対の被動作部材110,110のうち単一の第2カム132側の被動作部材110を揺動方向Wに確実に往復移動させることができ、これにより、被動作部材110における第2係合部112を回転軸120の片側で揺動方向Wに支障なく動作させることができる。
ここで、図示を省略したが、本実施の形態において、第2カム132は、回転軸120の両側に設けられた一対の第2カム132,132であり、回転軸120を回転軸線β3周りに回転駆動させるときに一対の被動作部材110,110をそれぞれ揺動方向Wにおける相反する方向W1,W2に往復移動させる構成とされていてもよい。換言すれば、一対の第2カム132,132は、一方の第2カム132が一方の被動作部材110を揺動方向Wにおける一方向W1に移動させ、且つ、他方の第2カム132が他方の被動作部材110を揺動方向Wにおける他方向W2に移動させる。また、一対の第2カム132,132は、一方の第2カム132が一方の被動作部材110を揺動方向Wにおける他方向W2に移動させ、且つ、他方の第2カム132が他方の被動作部材110を揺動方向Wにおける一方向W1に移動させる。こうすることで、回転軸120の両側に設けられた一対の第2カム132,132により回転軸120を回転軸線β3周りに回転駆動させるときに一対の被動作部材110,110をそれぞれ揺動方向Wにおける相反する方向W1,W2に確実に往復移動させることができる。これにより、一対の被動作部材110,110における第2係合部112を回転軸120の両側で揺動方向Wにおける相反する方向W1,W2に確実に動作させることができる。この場合、一対の被動作部材110,110において第2係合部112と少なくとも当接する部分を同一形状とし、一対の第2カム132,132を同一又は略同一形状とし、一対の第2カム132,132の径が変位する位相を互いに異なる位相とすることができる。
本実施形態において、第1カム131により定着ローラ171に対して加圧ローラ172を圧接するローラ圧接動作を行い、第2カム132により定着ベルト173の片寄りを補正するベルト片寄補正動作を行うように構成されている。こうすることで、ローラ圧接動作と、ベルト片寄補正動作とを好適に行うことができる。
<作動機構の詳細な構成>
次に、本実施の形態に係る作動機構100の詳細な構成について具体的に説明する。
作動機構100は、互いに対向する定着ローラ171及び加圧ローラ172を圧接した状態で互いに回転しつつ定着ベルト173を挟持する構成とされている。作動機構100は、定着ローラ171に対して、加圧ローラ172を軸線周りに回転自在に、且つ、定着ローラ171及び加圧ローラ172の回転軸線β1,β2を遠ざける一方向V1及び近づける他方向V2に移動自在に支持する前記被動作部材110を備えている。被動作部材110は、定着ローラ171に対して、加圧ローラ172の回転軸線β2と平行又は略平行な回動軸線β4周りに回動自在に支持されている。
この例では、被動作部材110は、加圧ローラ172が定着ローラ171に対して一方向V1及び他方向V2に回動するように加圧ローラ172を支持する。作動機構100は、被動作部材110を介して加圧ローラ172を前記第1付勢部材175及び前記第2付勢部材176により定着ローラ171に向けて圧接し、圧力調整し、更に、定着ローラ171に対して被動作部材110を介して加圧ローラ172の圧接を解除する構成とされている。被動作部材110(具体的には第1加圧レバー110a)は、加圧ローラ172の回転軸172aを回転自在に支持し、且つ、加圧ローラ172の回転軸172aと平行又は略平行な回動支軸113(具体的には回動ピン)の回動軸線β4周りに回動自在に設けられている。被動作部材110は、加圧ローラ172の幅方向Xにおける両端部の外方において加圧ローラ172の回転軸172aに直交又は略直交する方向に沿って設けられた一対の被動作部材110,110(この例では、被動作板、具体的には支持板)とされている。一対の被動作部材110,110は、加圧ローラ172の両回転軸172a,172aと対向する側に凹部110c,110cを有しており、凹部110c,110cに軸受け110d,110dを介してそれぞれ加圧ローラ172の両回転軸172a,172aを回転自在に支持している。一対の被動作部材110,110において定着ローラ171の回転軸線β1と加圧ローラ172の回転軸線β2との間の加圧ローラ172の周辺部(図10に示す例では加圧ローラ172の左斜め下側)には、回動軸線β4方向に沿って貫通した貫通長孔(図10では第1加圧レバー110aの内側プレート部110Bに設けられている貫通長孔110e,110eを示している)が設けられている。この貫通長孔110e,110eは、揺動方向W又は略揺動方向Wに延びている。この貫通長孔は、図5及び図6に示すように、第1加圧レバー110aの外側プレート部110Aにあっては、長円形状の非開放(ローラ軸心方向に対して直交する方向において非開放)の孔110hで成っており、図10に示すように、第1加圧レバー110aの内側プレート部110Bにあっては、下側に開放された孔110eで成っている。また、図8及び図9に示すように、第2加圧レバー130にあっても、下側に開放された孔110jで成っている。回動支軸113は、定着装置17の本体(具体的には本体フレームFL)に回転自在に支持されている。貫通長孔110e,110h,110jは、回動支軸113に揺動方向Wに沿って移動自在に係止される。これにより、一対の被動作部材110,110を回動方向Vに回動自在、且つ、揺動方向Wに揺動自在となるように構成することができる。
ここで、揺動方向Wは、回動軸線β4と直交又は略直交する揺動軸線β5周りの方向であるが、この例では、揺動軸線β5は、回動軸線β4と直交又は略直交し、且つ、定着ローラ171の回転軸線β1又はその近傍と加圧ローラ172の回転軸線β2又はその近傍とを通る軸線〔より具体的には加圧ローラ172の回転軸線β2における片側端部又は中央若しくは略中央(この例では背面側端部)に位置する軸線〕とされている。こうすることで、加圧ローラ172を定着ローラ171に対して捻れ方向に揺動させることができる。例えば、加圧ローラ172と定着ローラ171との軸間距離を一定に維持しながら、加圧ローラ172を定着ローラ171に対して捻れ方向に揺動させることができる。なお、揺動方向Wは、回転軸線β2又はその近傍を通り、且つ、前記した揺動軸線β5及び回転軸線β2に双方に直交又は略直交する揺動軸線(より具体的には加圧ローラ172の回転軸線β2における片側端部又は中央若しくは略中央に位置する軸線)周りに揺動する方向であってもよい。この場合、加圧ローラ172は、定着ローラ171に対して回転軸線β2における一方側と他方側とで定着圧力が異なるように揺動するが、加圧ローラ172の傾斜量は微量であるため、定着性の悪化は許容できるレベルとすることができる。また、何れにしても、定着ローラ171は、回転軸線β1における片側端部(この例では背面側端部)から駆動力を受けるために定着ローラ171の回転軸線β1における片側端部に駆動伝達機構180が設けられるという観点から、揺動軸線β5は、加圧ローラ172の駆動伝達機構180が設けられる側端部に位置することが有効である。
前述した如く、貫通長孔110e,110eは、外方(この例では下方)に開放した開放部110e1を更に有している(第1加圧レバー110aの内側プレート部110B及び第2加圧レバー130における貫通長孔110e,110j)。これにより、一対の被動作部材110,110を回動支軸113に簡単に且つ容易に着脱することができ、一対の被動作部材110,110の回動支軸113への取り付け作業性を向上させることができる。
具体的には、貫通長孔110e,110jは、加圧ローラ172側とは反対側の端部が開放したU字状の形状とされている。回動支軸113は、貫通長孔110e,110jに対応した形状とされている。一対の被動作部材110,110(この例では第1加圧レバー110a及び着脱部材110b)において回転軸120に対応する位置には、回転軸線β3方向に沿って貫通した貫通長孔110f,110fが設けられている。貫通長孔110f,110fは、回動方向Vに又は略回動方向Vに延びている。貫通長孔110f,110fは、回転軸120を挿通する。これにより、回転軸120を回動方向Vに又は略回動方向Vに往復移動させることができる。また、貫通長孔110f,110fは、外方(この例では上方)に開放した開放部110f1を更に有している。これにより、回転軸120を貫通長孔110f,110fに簡単に且つ容易に着脱することができ、回転軸120の貫通長孔110f,110fへの取り付け作業性を向上させることができる。
具体的には、貫通長孔110f,110fは、第1係合部111側とは反対側の端部が開放したU字状の形状とされている。また、一対の被動作部材110,110において加圧ローラ172を間にして回動支軸113とは反対側の端部(図10中の加圧ローラ172の右斜め上側、着脱部材110bの上部)には係止部110g,110g(例えば取り付けボス)が設けられている。一対の第1付勢部材175,175は、一端部175a,175aが係止部110g,110gに係止される一方、他端部175b,175bが定着装置17の本体(具体的には本体フレームFL,FL)の係止部FLa,FLaに係止される。着脱部材110bは、一対の被動作部材110,110のうち一方側の第1加圧レバー110aに揺動方向W又は揺動方向W側方向(この例では揺動方向W側方向)に移動可能に固定されている。この例では、図14に示すように、着脱部材110bには、揺動方向W又は揺動方向W側方向(この例では揺動方向W側方向)に沿った長孔110b1が設けられており、第1加圧レバー110aには、長孔110b1に対応して雌孔110a1が設けられている。着脱部材110bは、第1加圧レバー110aに回転軸線β3方向における内側からビス等の固定部材SC,SCが長孔110b1を介して雌孔110a1に螺合することにより固定されている。
(第1カム及び第1係合部)
一対の第1カム131,131は、回転軸120の両端部に設けられている。図11に示すように、一対の第1カム131,131における動作状態維持領域γ1a,γ1aは、一対の第1カム131,131の周方向において、径r1が一定又は略一定となる領域である。一対の第1カム131,131における動作状態変化領域γ1b,γ1bは、一対の第1カム131,131の周方向において、径r1が次第に大きく又は小さくなる領域である。第1係合部111,111は、それぞれ、一対の第1カム131,131と当接する当接部111aを有する。この例では、第1係合部111,111は、円柱形状のものとされている。第1係合部111,111は、円柱形状の外周面の当接部111aで一対の第1カム131,131と当接する。
具体的には、一対の第1カム131,131は、回転軸120とは別体のものとされており、回転軸120に固定されている。第1係合部111,111は、外輪111b,111bが回転軸120の回転軸線β3方向と平行又は略平行な回転軸線β6周りに回転するボールベアリングを構成している。第1係合部111,111は、一対の被動作部材110,110における第1加圧レバー110a,110aにおいて、それぞれ、一対の第1カム131,131における動作状態維持領域γ1a,γ1aの第1係合部111,111を動作させる位置で加圧ローラ172が定着ローラ171に対して圧接状態となる位置に設けられている。ここで、圧接状態とは、基準となる基準定着圧力の状態(この例では標準紙等の標準的なシートを定着する最大定格圧力の状態)である。加えて、第1係合部111,111は、一対の被動作部材110,110における第1加圧レバー110a,110aにおいて、それぞれ、一対の第1カム131,131における動作状態変化領域γ1b,γ1bの第1係合部111,111を動作させる位置で加圧ローラ172が定着ローラ171に対して圧力調整状態及び/又は圧接解除状態となる位置に設けられている。ここで、圧力調整状態とは、基準定着圧力より低くなるように調整した低定着圧力の状態(この例では封筒や厚紙等の厚手のシートを定着する最小定格圧力の状態)であり、圧接解除状態とは、第1付勢部材175による加圧ローラ172から定着ローラ171に向けて圧力が加わっていない状態である。なお、封筒に対して印刷を行う場合のローラ圧の設定動作については後述する。
第1カム131は、動作状態維持領域γ1a,γ1aの第1係合部111,111を動作させる位置において、定着ローラ171に対する加圧ローラ172の定着圧力を基準定着圧力にする構成とされている。
具体的には、一対の第1カム131,131における動作状態維持領域γ1a,γ1aの第1係合部111,111を動作させる位置では、一対の第1カム131,131を回転方向Rにおける一方向R1及び他方向R2に回転させても、第1係合部111,111の一対の第1カム131,131との当接部111aと回転軸120の回転軸線β3との距離dを所定の第1一定距離(例えば最小距離)に維持する構成とされている。これにより、加圧ローラ172の定着ローラ171への圧接状態を維持することができ、定着ローラ171の弾性層171cが必要以上に変形する(沈み込む)ことが無いようにするストッパ機能が発揮されることになる。
また、第1カム131は、動作状態変化領域γ1b,γ1bの第1係合部111,111を動作させる位置において、定着ローラ171に対する加圧ローラ172の定着圧力を調整する構成とされている。
具体的には、一対の第1カム131,131における動作状態維持領域γ1a,γ1aの第1係合部111,111を動作させる位置から動作状態変化領域γ1b,γ1bの第1係合部111,111を動作させる位置に向けて一対の第1カム131,131を回転方向Rにおける一方向R1に回転させて、第1係合部111,111の一対の第1カム131,131との当接部111aと回転軸120の回転軸線β3との距離dを可変距離(例えば最小距離よりも大きい且つ最大距離よりも小さい距離)にする構成とされている。これにより、加圧ローラ172を定着ローラ171に対して圧力調整状態にすることができる。
また、第1カム131は、動作状態変化領域γ1b,γ1bの第1係合部111,111を動作させる位置において、定着ローラ171に対する加圧ローラ172の定着圧力を解除する構成とされている。
具体的には、一対の第1カム131,131における動作状態維持領域γ1a,γ1aの第1係合部111,111を動作させる位置から動作状態変化領域γ1b,γ1bの第1係合部111,111を動作させる位置に向けて一対の第1カム131,131を回転方向Rにおける一方向R1に回転させて、第1係合部111,111の一対の第1カム131,131との当接部111aと回転軸120の回転軸線β3との距離dを第1一定距離よりも大きい所定の第2一定距離(例えば最大距離)にする構成とされている。これにより、加圧ローラ172を定着ローラ171に対して圧接解除状態にすることができる。
この例では、第1カム131は、定着ローラ171に対する加圧ローラ172の定着圧力を無段階の設定圧力に調整するようになっている。但し、それに限定されるものではなく、第1カム131は、定着ローラ171に対する加圧ローラ172の間の定着圧力を1又は複数段階の設定圧力に調整するようになっていてもよい。
(第2カム及び第2係合部)
第2カム132は、回転軸120の片側(この例では正面側)の端部に設けられている。図12に示すように、一対の第2カム132,132における動作状態変化領域γ2bは、第2カム132の周方向において、径(半径r2)が次第に大きく又は小さくなる領域である。第2カム132における動作状態維持領域γ2aは、第2カム132の周方向において、径(半径r2)が一定又は略一定となる領域である。第2係合部112は、第2カム132と当接する当接部112a,112aを有する。この例では、第2係合部112は、第2カム132の周方向に沿って略半周に亘って湾曲する湾曲部112b(具体的にはU字状の溝部)を有している。第2係合部112は、湾曲部112bの内周面の当接部112aで第2カム132と当接する。第2係合部112の対向する当接部112a,112a間のサイズは、第2カム132の直径より若干大きいサイズ(第2カム132を円滑に挿通できる程度のサイズ)となっている。当接部112aは、回動方向V又は略回動方向Vに沿って延びる延設部112a1を有している。これにより、第2係合部112は、当接部112aで第2カム132を確実に当接させることができる。また、第2係合部112は、湾曲部112bの底部とは反対側の端部が開放した開放部112cを更に有している。これにより、第2カム132を被動作部材110に簡単に且つ容易に着脱することができる。
具体的には、第2カム132は、回転軸120の径よりも小さい径で偏心している。第2カム132は、回転軸120に対して所定の加工を施した(具体的には切削加工した)ものであり、回転軸120と一体形成されている。第2係合部112は、一対の被動作部材110,110のうち一方側の被動作部材110における着脱部材110bにおいて、第2カム132における動作状態変化領域γ2bの第2係合部112を動作させる位置で加圧ローラ172が定着ローラ171に対して、一方側が揺動方向Wにおける一方向W1又は他方向W2に移動する(この例では高くなる又は低くなる)傾斜状態、或いは、平行状態となる位置に設けられている。
なお、加圧ローラ172の定着ローラ171に対する傾斜量としては、それには限定されないが、例えば、A4縦サイズの構成(具体的には300mm程度)で±0.5mm程度(傾斜角度で±0.09度程度)を挙げることができる。
第2カム132における動作状態変化領域γ2bの第2係合部112を動作させる位置では、第2カム132を回転方向Rにおける一方向R1に回転させると、第2係合部112を揺動方向Wにおける一方向W1に移動させることができる。これにより、加圧ローラ172を定着ローラ171に対して一方側が揺動方向Wにおける一方向W1に移動するように(この例では高くなるように)傾斜させることができる。また、第2カム132における動作状態変化領域γ2bの第2係合部112を動作させる位置では、第2カム132を回転方向Rにおける他方向R2に回転させると、第2係合部112を揺動方向Wにおける他方向W2に移動させることができる。これにより、加圧ローラ172を定着ローラ171に対して一方側が揺動方向Wにおける他方向W2に移動するように(この例では低くなるように)傾斜させることができる。更に、第2カム132における動作状態変化領域γ2bの第2係合部112を動作させる位置では、第2カム132を回転方向Rにおける一方向R1又は他方向R2から戻すと、第2係合部112を揺動方向Wにおける一方向W1又は他方向W2から戻すことができる。これにより、加圧ローラ172を定着ローラ171に対して平行又は略平行にすることができる。
ところで、定着ローラ171と加圧ローラ172との間の定着圧力が所定圧力以上又は所定圧力よりも大きいときに定着ベルト173が仮に一方側又は他方側に片寄って、定着ベルト173に近接する各種の部材(例えば定着ローラ171や加熱ローラ174のフランジ174d)に接触すると、定着ベルト173が破損し易い。一方、定着ローラ171と加圧ローラ172との間の定着圧力が所定圧力よりも小さい又は所定圧力以下のときに定着ベルト173が一方側又は他方側に片寄って、定着ベルト173に近接する各種の部材(例えば定着ローラ171や加熱ローラ174のフランジ174d)にたとえ接触しても、定着ベルト173の破損を回避することができる。この点、本実施の形態では、一対の第1カム131,131は、動作状態変化領域γ1b,γ1bの第1係合部111,111を動作させる位置において、加圧ローラ172を定着ローラ171に対して圧力調整状態及び/又は圧接解除状態にするときには、第2カム132は、第2係合部112へのベルト片寄補正動作を行わない。
詳しく説明すると、一対の第1カム131,131は、動作状態変化領域γ1b,γ1bの第1係合部111,111を動作させる位置において、一対の第1カム131,131により第2カム132を第2係合部112から退避させる。この例では、一対の被動作部材110,110のうち一方の被動作部材110(この例では着脱部材110b)には、第2係合部112に加えて、第2係合部112の回転方向Rにおける両端に連設された回転軸退避部114,114が設けられている。一対の第1カム131,131は、動作状態変化領域γ1b,γ1bの第1係合部111,111を動作させる位置において、第2カム132及び第2カム132に隣接する回転軸120の部分のうち少なくとも回転軸120の部分(この例では双方)を回転軸退避部114,114に退避させる。回転軸退避部114,114は、この例では、加圧ローラ172を定着ローラ171に対して平行又は略平行にする構成とされている。具体的には、回転軸退避部114,114は、加圧ローラ172を定着ローラ171に対して平行又は略平行にする位置で回転軸120を回動方向Vに往復移動可能に挿通する挿通部とされている。回転軸退避部114,114は、第1カム131の動作状態変化領域γ1bの第1係合部111,111を動作させる位置において、回転軸120が回動方向Vに往復移動するように被動作部材110(この例では着脱部材110b)に設けられている。回転軸退避部114,114間のサイズは、回転軸120の直径より若干大きいサイズ(回転軸120を円滑に挿通できる程度のサイズ)となっている。これにより、第1カム131の動作状態変化領域γ1bの第1係合部111,111を動作させる位置で第1係合部111の動作状態を変化させるときに、第2係合部112による第2係合部112への動作を行わないように構成することができると共に、回転軸120を回転軸退避部114,114に挿通させて加圧ローラ172を定着ローラ171に対して平行又は略平行にすることができる。
このように、第1カム131の動作状態変化領域γ1bの第1係合部111,111を動作させる位置で第1係合部111の動作状態を変化させるときに(具体的には加圧ローラ172の定着ローラ171への圧力調整状態のときに)、第2係合部112による第2係合部112への動作(具体的にはベルト片寄補正動作)を行わないように構成しても、定着ローラ171と加圧ローラ172との間の定着圧力が所定圧力よりも小さい又は所定圧力以下のときに定着ベルト173がたとえ片寄って定着ベルト173に近接する各種の部材(例えば定着ローラ171や加熱ローラ174のフランジ174d)に接触したとしても、定着ベルト173の破損を回避することができる。また、第1カム131の動作状態変化領域γ1bの第1係合部111,111を動作させる位置で第1係合部111の動作状態を変化させるときに(具体的には加圧ローラ172の定着ローラ171への圧力調整状態のときに)、加圧ローラ172を定着ローラ171に対して平行又は略平行にすることができ、これにより、定着ベルト173の片寄りを極力発生させないようにすることができる。また、この例では、回転軸退避部114,114と当接部112a,112aとの間には、回転軸退避部114,114に位置する第2カム132を当接部112a,112aに案内する案内部115,115が設けられている。詳しく説明すると、案内部115,115は、対向する案内部115,115間のサイズが回転軸退避部114,114から当接部112a,112aに行くに従って次第に小さくなるように形成されている。
(駆動伝達機構)
本実施の形態において、定着装置17は、回転駆動力を回転軸120に伝達する駆動伝達手段として作用する駆動伝達機構180と、駆動伝達機構180を介して回転軸120を回転駆動する駆動手段として作用する駆動部190とを更に備えている。駆動伝達機構180は、駆動部190からの第1回転方向A1への回転駆動力及び第2回転方向A2への回転駆動力を回転軸120に伝達する構成とされている。
詳しく説明すると、駆動伝達機構180は、複数のギヤを含むギヤ列とされている。具体的には、駆動伝達機構180は、駆動部190の回転軸191に連結される第1ギヤ181と、回転軸120に連結される第2ギヤ182と、第1ギヤ181からの回転駆動力を第2ギヤ182に伝達する中継ギヤ群180aとを備えている。中継ギヤ群180aは、互いに外径(歯数)の異なるギヤを同軸上に結合した複数(この例では3つ)の結合ギヤ〔この例では第1結合ギヤ183、第2結合ギヤ184及び第3結合ギヤ185〕を備えている。第1結合ギヤ183は、大径のギヤが第1ギヤ181と噛合する一方、小径のギヤが第2結合ギヤ184の大径のギヤと噛合する。第2結合ギヤ184は、大径のギヤが第1結合ギヤ183の小径のギヤと噛合する一方、小径のギヤが第3結合ギヤ185の大径のギヤと噛合する。第3結合ギヤ185は、大径のギヤが第2結合ギヤ184の小径のギヤと噛合する一方、小径のギヤが第2ギヤ182と噛合する。第1結合ギヤ183、第2結合ギヤ184及び第3結合ギヤ185は、それぞれの回転軸183a,184a,185aが画像形成装置本体210(具体的には図示しない本体フレーム)に対して回転自在に固定されて支持されている。
(制御部)
図23に示すように、画像形成装置200は、画像形成装置200全体の制御を司る制御部220を更に備えている。なお、制御部220は定着装置17やベルト片寄補正装置300に備えられていてもよい。制御部220は、CPU(Central Processing Unit)等のマイクロコンピュータからなる処理部221と、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリ、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリを含む記憶部222とを有している。制御部220は、処理部221が記憶部222のROMに予め格納された制御プログラムを記憶部222のRAM上にロードして実行することにより、各種構成要素の作動制御を行うようになっている。
-回動位置検知-
図4及び図24に示すように、回転軸120の一端部(正面側の一端部)には被検知部120aが設けられている。この被検知部120aは、回転軸120の回転位置を検知する回転位置検知部186によって位置検知される。被検知部120aは、この例では、回転軸120の回転軸線β3から外方に突出した突起部とされている。
回転位置検知部186は、透過型フォトセンサで構成されている。この回転位置検知部186は、光を出射する発光部186aと、該発光部186aからの光を受光する受光部186bとを有している。被検知部120aは、回転軸120の回転に伴って、回転位置検知部186に対する透光位置(図4に示す位置)と遮光位置(図24に示す位置)との間で回動自在となっている。回転位置検知部186は、被検知部120aが図24に示す位置(ホームポジション)になって光が遮断されることでオンする一方、被検知部120aが図24に示す位置以外の位置になって光が遮断されない状態でオフする。ここでいうホームポジションとは、回転軸120に回転一体に取り付けられている第1カム131が、前記距離d(図11を参照)を最大にする回転位置である。
回転位置検知部186は、制御部220の入力系に電気的に接続されている。これにより、制御部220は、被検知部120aによって光が遮断されることでオン信号を回転位置検知部186から受け取り、これによって、回転軸120のホームポジション(原点位置)を検出(認識)することができる。駆動部190(この例ではステッピングモータ)は、回転軸191が回転軸線β3方向に向くように画像形成装置本体210(具体的には図示しない本体フレーム)に固定されて設けられている。駆動部190は、制御部220の出力系に電気的に接続されている。
-ローラ圧接動作-
制御部220は、回転位置検知部186によって得られた回転軸120のホームポジション(原点位置)を基準として回転軸120の回転位置(回転角度)を示す作動信号(具体的にはパルス信号)を駆動部(回転駆動源)190に出力し、一対の第1カム131,131の回転の開始及び停止を制御するようになっている。これにより、制御部220は、駆動部190により駆動伝達機構180及び回転軸120を介して一対の第1カム131,131を回転させることにより加圧ローラ172を定着ローラ171に対して圧接、圧力調整、圧接解除を行うことができる。
-ローラ圧自動調整装置-
次に、本実施形態の特徴であるローラ圧自動調整装置について説明する。このローラ圧自動調整装置は、前記第1カム131の回転に伴って被動作部材110の第1加圧レバー110aを回動させた場合に、この第1加圧レバー110aが加圧ローラ172に当接する状態と該第1加圧レバー110aが加圧ローラ172から所定位置まで後退する状態との間でこの第1加圧レバー110aを前記回動支軸113周りに回動させることにより、第1加圧レバー110a及び第2加圧レバー130それぞれから加圧ローラ172への押圧力を変化させて前記ローラ圧を変化させるようにするものである。
具体的には、前述したように、第1付勢部材175は、本体フレームFLと第1加圧レバー110aに備えられた係止部110gとの間に伸長された状態で架け渡されている。また、第2付勢部材176は、第1加圧レバー110aと第2加圧レバー130との間に架け渡されている。第1付勢部材175の付勢力は、第1加圧レバー110aを加圧ローラ172に向けて押圧する押圧力となっており、第2付勢部材176の付勢力は、第2加圧レバー130を加圧ローラ172に向けて押圧する押圧力となっている。
第2加圧レバー130は、その一端側(図9における左端側)が前記回動支軸113の回動軸線β4周りに回動自在に支持されている。つまり、この第2加圧レバー130は、第1加圧レバー110aと同一の回動軸線β4周りに回動自在となっている。また、この第2加圧レバー130は、その他端側(図9における右端側)に第2付勢部材176が係止される係止部130aを備えている。この係止部130aは、前記第1加圧レバー110aの下側プレート部110Cに形成されている開口部110C1を通って、該下側プレート部110Cの下側(第1加圧レバー110aの下側)に延在されている。
第1加圧レバー110aにおける係止部110iは、第2加圧レバー130の係止部130aの上方に位置しており、これら係止部110i,130a同士の間に第2付勢部材176が架け渡されている。また、図5に示すように、第1加圧レバー110aには、係止部110i(110i1,110i2,110i3)が上下方向に亘って3箇所設けられている。これら係止部110i(110i1,110i2,110i3)のうち最上部の第1係止部110i1は上側に開放した溝で成っている。この第1係止部110i1の下側に位置する第2係止部110i2及び該第2係止部110i2の更に下側に位置する第3係止部110i3はそれぞれ円形の開口で成っている。これら係止部110i1,110i2,110i3のうち一つを選択して第2付勢部材176の一端を係止することにより、該第2付勢部材176の初期撓み量(第1加圧レバー110aが加圧ローラ172に当接する状態における初期撓み量)を変更することが可能である。つまり、第2付勢部材176が第2加圧レバー130に付与する付勢力を変更することが可能である。
このため、第1加圧レバー110aが加圧ローラ172に当接する状態にあっては、前記第1付勢部材175からの付勢力が第1加圧レバー110aを介して加圧ローラ172に作用すると共に、前記第2付勢部材176からの付勢力が第2加圧レバー130を介して加圧ローラ172に作用する状態(本発明でいう第2押圧状態)となる。また、第1加圧レバー110aが加圧ローラ172から後退する状態にあっては、前記第1付勢部材175からの付勢力が第1加圧レバー110aを介して加圧ローラ172に作用することはなく、前記第2付勢部材176からの付勢力のみが第2加圧レバー130を介して加圧ローラ172に作用する状態(本発明でいう第1押圧状態)となる。そして、この場合、第1加圧レバー110aの回動位置に応じて第2付勢部材176の係止部110iの位置が変化(移動)することに伴って第2付勢部材176の撓み量が変化することになり、この第2付勢部材176からの付勢力が第2加圧レバー130を介して加圧ローラ172に作用する押圧力も変化する構成となっている。具体的な押圧力を変更する動作については後述する。
以上の構成により、本発明でいう第1加圧部材回動手段(第1加圧部材が第2ローラに当接する状態と該第1加圧部材が第2ローラから所定位置まで後退する状態との間で、第1加圧部材を回動支点周りに回動させる第1加圧部材回動手段;第1加圧部材位置変更部)が構成されている。
-ベルト片寄検知-
定着ベルト173の幅方向Xにおける一方側(この例では正面側)の外側には、定着ベルト173の周回方向Eに直交する幅方向Xにおける所定の基点を検知する単一の基点検知部187(図14を参照)が設けられている。基点検知部187は、この例では、透過型フォトセンサ187aと、可動部187b(具体的にはアクチュエータ)とを備えている。透過型フォトセンサ187aは、光を出射する発光部187a1と、発光部187a1からの光を受光する受光部187a2とを有している。可動部187bは、透過型フォトセンサ187aに対する透光位置と遮光位置との間で回動軸187cの軸線周りの回動方向Qに回動自在に回動軸187cに支持されている。可動部187bは、回動軸187cに回動自在に設けられた本体部187b1と、本体部187b1に設けられた被検知部187b2と、本体部187b1に被検知部187b2と周方向における異なる角度で設けられた当接部187b3とを有している。本体部187b1は、円筒状の部材とされており、回動軸187cに設けられた一対の規制部材187c1,187c1により軸線方向の移動が規制されている。被検知部187b2は、回動方向Qにおける一方向Q1又は他方向Q2に旋回することで、回動方向Qにおいて透過型フォトセンサ187aにおける発光部187a1から受光部187a2への光を遮る遮光位置と、発光部187a1から受光部187a2へ光を透過させる透光位置とをとる。当接部187b3は、定着ベルト173の幅方向Xにおける一方側(この例では正面側)の端部に当接する。可動部187bは、付勢部材187d(具体的には巻バネ)により当接部187b3が定着ベルト173に当接する方向(この例では一方向Q1)に付勢されている。
そして、基点検知部187(具体的には透過型フォトセンサ187a)は、制御部220の入力系に電気的に接続されている。これにより、制御部220は、被検知部187b2の遮光位置又は透光位置での受光部187a2にオフ信号又はオン信号を基点検知部187から受け取ることで、定着ベルト173における一方側の端部(基点の一例)の有無を検出(認識)することができる。
一ベルト片寄補正動作一
制御部220は、一対の第1カム131,131における動作状態維持領域γ1a,γ1aの第1係合部111,111を動作させる位置において、基点検知部187によって得られた定着ベルト173の片寄りの有無に基づいて回転軸120の回転位置(回転角度)を示す作動信号(具体的にはパルス信号)を駆動部190に出力し、第2カム132の回転の開始及び停止を制御するようになっている。
詳しくは、制御部220は、基点検知部187により定着ベルト173が片寄っていることを検出したときには、先ず、一対の第1カム131,131における動作状態維持領域γ1a,γ1aの第1係合部111,111を動作させる位置において、第2カム132を回転方向Rにおける一方向R1に回転させて第2係合部112を揺動方向Wにおける一方向W1に移動させ、加圧ローラ172を定着ローラ171に対して一方側(この例では正面側)が揺動方向Wにおける一方向W1に移動するように(この例では高くなるように)傾斜させる。
次に、制御部220は、所定時間経過しても基点検知部187により定着ベルト173が基準位置に戻ったことを検出しないときには、一対の第1カム131,131における動作状態維持領域γ1a,γ1aの第1係合部111,111を動作させる位置において、第2カム132を回転方向Rにおける他方向R2に回転させて第2係合部112を揺動方向Wにおける他方向W2に移動させ、加圧ローラ172を定着ローラ171に対して一方側(この例では正面側)が揺動方向Wにおける他方向W2に移動するように(この例では低くなるように)傾斜させる。
そして、制御部220は、基点検知部187により定着ベルト173が基準位置に戻ったことを検出すると、一対の第1カム131,131における動作状態維持領域γ1a,γ1aの第1係合部111,111を動作させる位置において、第2カム132の回転を停止する。
これにより、制御部220は、一対の第1カム131,131における動作状態維持領域γ1a,γ1aの第1係合部111,111を動作させる位置において駆動部190により駆動伝達機構180及び回転軸120を介して第2カム132を回転させることにより定着ベルト173の片寄りを補正することができる。
また、制御部220は、一対の第1カム131,131における動作状態変化領域γ1b,γ1bの第1係合部111,111を動作させる位置(具体的には加圧ローラ172が定着ローラ171に対して圧力調整状態及び/又は圧接解除状態となる位置)において、第2カム132へのベルト片寄補正動作の制御を行わないようになっている。
なお、基点検知部187において定着ベルト173の片寄り方向を検知するようにし、制御部220にて定着ベルト173の片寄り方向を認識してベルト片寄補正動作を行うようにしてもよい。
-ローラ押圧変更動作-
次に、本実施形態において特徴とする動作であるローラ押圧変更動作について説明する。このローラ押圧変更動作は、前記第1カム131を回転させることに伴う被動作部材110の第1加圧レバー110aの回動により、第1加圧レバー110aが加圧ローラ172に当接する状態と該第1加圧レバー110aが加圧ローラ172から所定位置まで後退する状態との間でこの第1加圧レバー110aを前記回動支軸113周りに回動させることにより、第1加圧レバー110a及び第2加圧レバー130それぞれから加圧ローラ172への押圧力を変化させて前記ローラ圧を変化させるものである。
具体的には、被印刷物(前記シートPや封筒等)の厚さ寸法に応じて第1カム131の回動位置を変更し、それによって第1加圧レバー110aの回動位置を調整することによって前記ローラ圧を変化させるようにしている。例えば、画像形成装置200の操作パネル(図示省略)の操作によって被印刷物の厚さ寸法を指定し、その指定された被印刷物の厚さ寸法に応じて回転軸120が回転する(駆動部190が作動することによって回転する)。この回転軸120の回転に伴って第1カム131の回転位置が決定され、それに伴う第1加圧レバー110aの回動位置に応じて前記ローラ圧が被印刷物の厚さ寸法に応じた値に設定される。なお、被印刷物の厚さ寸法を自動的に検知できるようにしておき、その検知された被印刷物の厚さ寸法に応じて回転軸120が回転する構成となっていてもよい。
以下、厚さ寸法が比較的小さいシートPに対して画像を形成する(印刷する)場合、及び、2種類の封筒(厚さ寸法が比較的小さい(シートPよりも寸法が大きい)封筒、厚さ寸法が比較的大きい封筒)それぞれに対して印刷する場合のローラ押圧変更動作について説明する。
-シートのローラ押圧変更動作-
厚さ寸法が比較的小さいシートPに対して印刷する場合のローラ押圧変更動作について説明する。この場合、ローラ圧は比較的高く設定されることになる。
具体的には、図9に示すように、第1カム131の回動位置としては、前記動作状態維持領域γ1aが第1係合部111に当接する回動位置とされる。この状態では、第1加圧レバー110a及び第2加圧レバー130が共に加圧ローラ172の軸受け110dに当接しており、第1付勢部材175の付勢力による第1加圧レバー110aからの押圧力及び第2付勢部材176の付勢力による第2加圧レバー130からの押圧力が共に加圧ローラ172に作用している。つまり、加圧ローラ172に高い押圧力が作用している。前述したように、第1付勢部材175のバネ定数は第2付勢部材176のバネ定数に比べて十分に大きいため、加圧ローラ172に作用する押圧力は第1付勢部材175の付勢力が支配的となっている。つまり、加圧ローラ172から定着ローラ171への押圧力(ローラ圧)も第1付勢部材175の付勢力が支配的となっている。
このようにローラ圧が高く設定されることにより、定着ローラ171の弾性層171cが押し潰されることにより得られるニップ幅は比較的大きく確保されている(図9における寸法NW1を参照)。
なお、このように第1加圧レバー110a及び第2加圧レバー130が共に加圧ローラ172の軸受け110dに当接している状態を維持しながら第1加圧レバー110aを回動させることによってローラ圧を変更する(第1付勢部材175の付勢力を変化させることによってローラ圧を変更する)ことが可能である。
-厚さ寸法が比較的小さい封筒のローラ押圧変更動作-
厚さ寸法が比較的小さい封筒に対して印刷する場合のローラ押圧変更動作について説明する。この場合のローラ圧は、前記シートPに対して印刷する場合のローラ圧よりも低く設定されることになる。
具体的には、図25に示すように、第1カム131の回動位置としては、前記動作状態変化領域γ1bが第1係合部111に当接する回動位置とされる。より具体的には、この動作状態変化領域γ1bは、周方向に亘って前記距離d(第1係合部111における当接部111aと、回転軸120の回転軸線β3との距離d)が変化しているが、この距離dが比較的短い領域が第1係合部111に当接する回動位置とされる。
この状態では、第1付勢部材175の付勢力に抗して第1加圧レバー110aはV1方向に回動されることになり、凹部110cは加圧ローラ172の軸受け110dから後退する。つまり、第1付勢部材175の付勢力による第1加圧レバー110aからの押圧力が解除される。このため、第2付勢部材176の付勢力による第2加圧レバー130からの押圧力のみが加圧ローラ172に作用している。つまり、加圧ローラ172に比較的低い押圧力が作用している(前述したシートPに対して印刷する場合のローラ押圧変更動作における押圧力よりも低い押圧力が作用している)。第2付勢部材176の付勢力は、該第2付勢部材176の撓み量が小さいほど小さくなっていくが、図25の状態にあっては、第1カム131の回動量は比較的小さいため、第2付勢部材176の撓み量は比較的大きくなっている。このため、第2付勢部材176の付勢力もある程度大きく確保されており(後述する、厚さ寸法が比較的大きい封筒のローラ押圧変更動作の場合に比べて大きく確保されており)、加圧ローラ172から定着ローラ171への押圧力(ローラ圧)もある程度大きく設定されることになる。
このようにローラ圧がある程度大きく設定されることにより、定着ローラ171の弾性層171cが押し潰されることにより得られるニップ幅は、前述したシートPに対して印刷する場合のローラ押圧変更動作の場合に比べて小さく設定されることになる(図25における寸法NW2を参照)。
-厚さ寸法が比較的大きい封筒のローラ押圧変更動作-
厚さ寸法が比較的大きい封筒に対して印刷する場合のローラ押圧変更動作について説明する。この場合のローラ圧は、前述した厚さ寸法が比較的小さい封筒に対して印刷する場合のローラ圧よりも更に低く設定されることになる。
具体的には、図26に示すように、第1カム131の回動位置としては、前記動作状態変化領域γ1bが第1係合部111に当接する回動位置とされる。より具体的には、前述したように動作状態変化領域γ1bは、周方向に亘って前記距離dが変化しているが、この距離dが比較的長くなる領域が第1係合部111に当接する回動位置とされる。
この状態では、第1付勢部材175の付勢力に抗して第1加圧レバー110aはV1方向に大きく回動されることになり、凹部110cは加圧ローラ172の軸受け110dからより大きく後退する。つまり、第1付勢部材175の付勢力による第1加圧レバー110aからの押圧力が解除されている。このため、第2付勢部材176の付勢力による第2加圧レバー130からの押圧力のみが加圧ローラ172に作用している。つまり、加圧ローラ172に比較的低い押圧力が作用している。第2付勢部材176の付勢力は、該第2付勢部材176の撓み量が小さいほど小さくなっていくが、図26の状態にあっては、第1カム131の回動量は比較的大きいため、第2付勢部材176の撓み量は比較的小さくなっている。このため、第2付勢部材176の付勢力も小さくなっており、加圧ローラ172から定着ローラ171への押圧力(ローラ圧)も小さくなっている(前述した厚さ寸法が比較的小さい封筒のローラ押圧変更動作の場合に比べてローラ圧は小さくなっている)。
このようにローラ圧が小さく設定されることにより、定着ローラ171の弾性層171cが押し潰されることにより得られるニップ幅は、前述した厚さ寸法が比較的小さい封筒に対して印刷する場合のローラ押圧変更動作の場合に比べて更に小さく設定されることになる(図26における寸法NW3を参照)。
-実施形態の効果-
前述したように本実施形態では、第1付勢部材175からの付勢力によって加圧ローラ172を押圧する第1加圧レバー110aを所定の回動軸線β4周りに回動させることにより、この第1加圧レバー110aから加圧ローラ172への押圧力、及び、該第1加圧レバー110aとの間に第2付勢部材(第1付勢部材175よりも小さい付勢力を有する第2付勢部材)176が架け渡された第2加圧レバー130から加圧ローラ172への押圧力それぞれを変化させて、加圧ローラ172から定着ローラ171へのローラ圧を変化させることを可能にしている。このため、第1加圧レバー110aの回動位置に応じてローラ圧を連続的に変化させることができ、各ローラ171,172間で挟持して搬送する被印刷物の種類(厚さ)に応じて第1加圧レバー110aの回動位置を規定することにより、多種類の被印刷物それぞれに対して最適なローラ圧を得ることができる。その結果、例えば複数種類の封筒それぞれに対して印刷を行う場合であっても、各封筒が定着ベルト173と加圧ローラ172との間を通過する際の皺の発生を抑制することができる。
また、第2付勢部材176のバネ定数は小さく設定されている(第1付勢部材175のバネ定数に比べて十分に小さく設定されている)ため、この第2付勢部材176の付勢力のみによってローラ圧を変更する場合には、該ローラ圧を微調整することが可能である。
(その他の実施の形態)
なお、本実施の形態では、本発明に係るローラ押圧変更装置を画像形成装置200の定着装置17に適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、画像形成装置200における他のユニット(2次転写ベルト装置10等)に適用することも可能である。また、画像形成装置200以外の装置に対しても本発明は適用可能である。
また、本実施の形態では、ベルト片寄補正装置300をベルト方式の定着装置17に適用したが、ベルト方式の搬送装置(例えば1次転写ベルト装置6や2次転写ベルト装置10等)に適用してもよい。
また、本実施の形態では、無端ベルト(定着ベルト173)を2つのベルトローラ(定着ローラ171及び加熱ローラ174)に巻き掛けられるようにしたが、3つ以上のベルトローラに巻き掛けられるようにしてもよい。
また、本実施の形態では、第2付勢部材176の係止位置を可変とするための複数の係止部110i(110i1,110i2,110i3)を第1加圧レバー110aに設けていたが、第2加圧レバー130に設けるようにしてもよい。
また、本実施の形態では、被印刷物としてシートPおよび封筒に対して印刷を行う場合について説明したが、その他の被印刷物(例えばクリアファイル等)に対して印刷を行う場合であっても前述した効果を奏することが可能である。
本発明は、以上説明した実施の形態に限定されるものではなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、かかる実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。更に、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。