JP7229665B2 - セメントクリンカの製造方法及び製造装置 - Google Patents

セメントクリンカの製造方法及び製造装置 Download PDF

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Description

本発明はセメントクリンカの製造方法及び製造装置に関する。
セメントは、中間製品であるセメントクリンカと、石膏とを混合する工程を経て製造される。セメントクリンカは、その原料に石灰石(CaCO)を含み、原料を焼成する際、石灰石の脱炭酸反応によって二酸化炭素が発生する。これに加え、原料を焼成するための熱エネルギーとして、重油や石炭粉、廃プラスチックなどの炭素含有熱エネルギーが使用される。そのため、セメントクリンカの製造に伴って二酸化炭素が発生する。
普通ポルトランドセメントは、セメント組成物中にセメントクリンカを95質量%程度含むものである。これに対し、混合セメントは、高炉スラグや石炭灰(フライアッシュ)等の混合材を使用するため、セメント組成物に含まれるセメントクリンカの比率を引き下げることができ、二酸化炭素の排出量削減に寄与する。特許文献1~4には高炉スラグを含むセメント組成物が開示されている。
特開2004-137318号公報 特開2002-265241号公報 特開平10-218657号公報 特開2016-5997号公報
上述のように、混合セメントはセメントクリンカの配合量の削減によって二酸化炭素の排出量削減に寄与するものの、セメントクリンカの製造過程における二酸化炭素を削減するものではない。本発明は、二酸化炭素の発生量を十分に低減できるセメントクリンカの製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
本発明に係るセメントクリンカの製造方法は、セメントクリンカ用の原料を調製する工程と、原料を焼成炉に供給する工程と、炭素含有熱エネルギー及びアンモニアを焼成炉に供給する工程と、焼成炉内において、炭素含有熱エネルギー及びアンモニアの燃焼熱によって原料を焼成してセメントクリンカを得る工程とを含む。
本発明の製造方法によれば、セメントクリンカを焼成するための熱エネルギーとして、炭素含有熱エネルギーとアンモニアとを併用、あるいは、アンモニアのみを使用することで、従来と比較して炭素含有熱エネルギーの使用量を削減でき、これにより、セメントクリンカの製造過程における二酸化炭素の排出量を削減できる。例えば、焼成炉内において、熱量比率で、炭素含有熱エネルギーを0~99%、アンモニアを1~100%で燃焼させる。セメントクリンカを焼成するための熱エネルギーの少なくとも一部として、アンモニアを使用することは当業界において知られておらず、本発明は本発明者らの独自の検討及び実験に基づくものである。
なお、特開2000-130742号公報(特許文献5)は「アンモニア態窒素含有廃棄物」を使用する燃焼方法を開示する。この燃焼方法は「アンモニア態窒素含有廃棄物」から生じるアンモニアをNOx発生量の低減に利用するものであり、アンモニアを熱エネルギーとして使用するものではないし、二酸化炭素発生量の低減を目的としたものでもない。特開2006-160569号公報(特許文献6)は、熱分解によってアンモニアガスが発生する「廃棄粉末消火薬剤」をセメントクリンカ製造用のロータリーキルンに投入することを特徴とするセメントの製造方法を開示する。この製造方法は「廃棄粉末消火薬剤」を時間やコストを最小限に抑えて処理しつつセメントを製造することを目的としたものであり、アンモニアを熱エネルギーとして使用するものではないし、二酸化炭素発生量の低減を目的としたものでもない。
本発明によって製造されるセメントクリンカは、例えば、ボーグ式で算定されるCS量が45~65質量%であり、CS量が10~35質量%であり、CA量が1~15質量%であり、CAF量が7~15質量%である。かかるセメントクリンカによれば、圧縮強度など特性が従来品と比較して遜色ないセメント組成物を得ることができる。
本発明の製造方法は、第1の供給機構から焼成炉に対してアンモニアと酸素とを供給する工程と、第2の供給機構から焼成炉に対して炭素含有熱エネルギーを少なくとも含む他の熱エネルギーと酸素とを供給する工程とを含んでもよい。これらの工程を含む製造方法によれば、焼成炉内におけるアンモニアの燃焼を十分に促進させることができる。更に、この製造方法においては、NOx発生量の低減の観点から、以下の条件を満たすように燃焼を行うことが好ましい。
<条件>
V01:第1の供給機構から供給されるアンモニア及び第2の供給機構から供給される他の熱エネルギーを燃焼させるために必要な理論酸素量(体積)、
V02:焼成炉に供給される全酸素量(体積)、
V11:第1の供給機構から供給されるアンモニアを燃焼させるために必要な理論酸素量(体積)、
V12:第1の供給機構から供給される酸素量(体積)、
としたときに、
(V12/V11)/(V02/V01)が0.75以上となるように燃焼を行う。
本発明に係るセメントクリンカの製造装置は、セメントクリンカ用の原料を焼成してセメントクリンカを得る焼成炉と、炭素含有熱エネルギー及びアンモニアを焼成炉に供給する供給機構とを備える。本発明の製造装置によれば、供給機構によって、炭素含有熱エネルギー及びアンモニアが焼成炉に供給され、これらが燃焼することによって原料が焼成されてセメントクリンカを得ることができる。従来と比較して炭素含有熱エネルギーの使用量を削減でき、これにより、セメントクリンカの製造過程における二酸化炭素の排出量を削減できる。
上記製造装置の供給機構は、焼成炉に対してアンモニアと酸素とを供給する第1の供給機構と、焼成炉に対して炭素含有熱エネルギーを少なくとも含む他の熱エネルギーと酸素とを供給する第2の供給機構とを有するものであってもよい。かかる構成を採用することで、焼成炉内におけるアンモニアの燃焼を十分に促進させることができるとともに、NOx発生量の低減の観点から、上記の条件を満たすように燃焼を行うことができる。
本発明によれば、二酸化炭素の発生量を十分に低減できるセメントクリンカの製造方法及び製造装置が提供される。本発明によって製造されたセメントクリンカによれば、圧縮強度など特性が従来品と比較して遜色ないセメント組成物を得ることができる。
図1は本発明に係るセメントクリンカの製造装置の一実施形態を示す模式図である。 図2は図1に示す製造装置が有するキルンバーナを示す模式断面図である。 図3は図2のキルンバーナの変形例を示す模式的断面図である。 図4はロータリーキルン内部のシミュレーション結果の一例を示すグラフである。 図5は各実験例における(V12/V11)/(V02/V01)とNOxとの関係を表すグラフである。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。以下の実施形態は単なる例示であり、本発明は実施形態に何ら限定されない。実施形態等において参照する各図面において、実質的に同一の機能を有する部材は同一の符号で参照することとする。また、実施形態等において参照する図面は、模式的に記載されたものである。図面に描画された物体の寸法の比率などは、現実の物体の寸法の比率などとは異なる場合がある。図面相互間においても、物体の寸法比率等が異なる場合がある。具体的な物体の寸法比率等は、以下の説明を参酌して判断されるべきである。
<セメントクリンカの製造装置>
図1に示す製造装置100は、セメントクリンカ用の原料を焼成することによってセメントクリンカを得るためのものである。製造装置100は、原料を予熱・仮焼するためのタワー型のサスペンションプレヒータ10と、原料を焼成してセメントクリンカを得るためのロータリーキルン30(焼成炉)と、ロータリーキルン30の排出側に設けられたクリンカクーラ40とを備える。
サスペンションプレヒータ10は、複数のサイクロンC1~C4と、これらサイクロンC1~C4の下部付近に配置された仮焼炉20とを有し、ロータリーキルン30からの高温排ガスの熱と仮焼炉20からの熱とを利用してセメント原料の予熱・仮焼を行う。サイクロンC1~C4は4段に構成されており、ダクトを介して直列に接続されている。上段の2つのサイクロンC3,C4を接続するダクトの途中には原料供給部15が設けられており、ここから原料が投入される。なお、サスペンションプレヒータ10は、4段のものに限らず、例えば、5段であってもよい。また、サスペンションプレヒータ10は仮焼炉20を有しないものであってもよい。
ロータリーキルン30は、回転窯とも呼ばれるものであり、横長円筒状であって僅かに勾配を付けて配置されている。ロータリーキルン30の一端側(相対的に低い側)には、ロータリーキルン30内を加熱するためのキルンバーナ32が設けられている。ロータリーキルン30の他端側(相対的に高い側)には、入口フッド25aが設けられている。
入口フッド25aは、サスペンションプレヒータ10によって予熱された原料(仮焼原料)の受入れ通路として機能するとともに、高温排ガスの通路としても機能する。入口フッド25aの上端部には、入口フッド25aと仮焼炉20とを連絡するライジングダクト25bが設けられている。ライジングダクト25bは、ロータリーキルン30からの高温排ガスを、仮焼炉20を介してサスペンションプレヒータ10に供給するためのものである。
ロータリーキルン30が有するキルンバーナ32について説明する。図2はキルンバーナ32の構成を示す模式断面図である。キルンバーナ32は、バーナ本体部33と、第1の供給機構35aと、第2の供給機構35bとを備える。バーナ本体部33は、その先端部がロータリーキルン30内に位置するように、ロータリーキルン30の一端側(相対的に低い側)に設けられている。バーナ本体部33は、二重管構造を有しており、第1の流路33aと、第2の流路33bとを有する。第2の流路33bが中心部に位置し、その周囲に第1の流路33aが設けられている。
第1の供給機構35aは、バーナ本体部33の第1の流路33aに対して、アンモニアと酸素とを供給するためのものである。なお、第1の供給機構35aは、アンモニア及び酸素以外を更に供給するものであってもよい。酸素は、空気として供給されてもよい。
第2の供給機構35bは、バーナ本体部33の第2の流路33bに対して、アンモニア以外の熱エネルギー(以下、「他の熱エネルギー」とする。)と酸素とを供給する。なお、第2の供給機構35bは、他の熱エネルギー及び酸素以外を更に供給するものであってもよい。酸素は、空気として供給されてもよい。
ロータリーキルン30内において、第1の供給機構35a及び第2の供給機構35bからそれぞれ供給されるアンモニアと他の熱エネルギーが燃焼する。これらの熱エネルギーの少なくとも一部がバーナ本体部33によって燃焼することで熱量が発生し、加熱が行われる。
なお、本実施形態では、バーナ本体部33の中央(第2の流路33b)から他の熱エネルギーと酸素とが供給され、その外側(第1の流路33a)からアンモニアと酸素とが供給される構成を例示したが、かかる構成に限定されるものではない。第1の流路と第2の流路の位置関係は、第1の流路からの供給物と第2の流路からの供給物とが燃焼に寄与する範囲内であればよく、例えば、第1の流路と第2の流路とが離間して設けられていてもよい。
他の熱エネルギーは、例えば、気体、液体、固体のいずれの形態の熱エネルギーであってもよい。他の熱エネルギーが液体の場合は、液状の他の熱エネルギーは、第2の流路33bの先端部から噴霧される。他の熱エネルギーが固体の場合は、固形状の他の熱エネルギーは、例えば、500μm程度以下に粉砕されたり、更に微粉砕されたり、スラリーにされたりして、第2の流路33bの先端部から放出される。
他の熱エネルギーは、例えば、化石エネルギー、廃棄物、バイオマス等であってもよい。気体の化石エネルギーの具体例としては、例えば、天然ガス、メタンハイドレート、シェールガス等が挙げられる。その他の気体の炭素含有熱エネルギーとしては、メタン、エタン、プロパン等が上げられる。液体の化石エネルギーの具体例としては、例えば、重油、軽油、ガソリン等の石油精製液体エネルギー、化学的に合成された液状炭化水素、アルコール、グリコール等が挙げられる。固体の化石エネルギーの具体例としては、例えば、石炭、石油コークス、石炭コークスが挙げられる。これらのうち、揮発分が多く燃焼性に優れる観点から、微粉炭が好ましい。廃棄物由来の炭素含有熱エネルギーの具体例としては、例えば、廃プラスチック類、繊維くず、紙くず、廃油等が挙げられる。バイオマスの具体例としては、例えば、木くず、ヤシ殻、有機汚泥、食物残渣、動物の糞尿等が挙げられる。
本実施形態では、キルンバーナ32の加熱機構が第1及び第2の供給機構のみからなる場合を例示したが、かかる構成に限定されるものではない。例えば、キルンバーナ32は、第1及び第2の供給機構に加え、助燃剤及び熱エネルギーの少なくとも一方を含むものを供給する機構を更に有していてもよい。例えば、キルンバーナ32は、第1及び第2の供給機構に加え、空気を供給する第3の供給機構を更に備えていてもよい。
図3は、図2に示すバーナ本体部33の変形例である。図3に示すバーナ本体部34は、三重管構造を有する。バーナ本体部34は、中央部に第3の流路34cを有し、その周囲に第3の流路34c側から第2の流路34bと、第1の流路34aとをこの順に有する。第1の流路34aには、第1の供給機構35aが接続されている。第2の流路34bには、第2の供給機構35bが接続されている。第3の流路34cには、酸素を供給する第3の供給機構が接続されている。つまり、バーナ本体部34の中央から酸素が供給され、その外側から他のエネルギーと酸素とが供給され、更にその外側からアンモニアと酸素とが供給される。それぞれの酸素は、空気として供給されてもよい。
上述のとおり、バーナ本体部34は、内側から外側に向かって、第3の流路34c、第2の流路34b及び第1の流路34aがこの順に設けられたものである。かかる構成に限定されるものではなく、例えば、他の熱エネルギーと酸素が供給される第2の流路34bを中央部に設け、その外側に熱エネルギーを供給せず酸素を供給する第3の流路34cを設け、更にその外側にアンモニアと酸素を供給する第1の流路34aを設けてもよい。
<セメントクリンカの製造方法>
次に、製造装置100を使用してセメントクリンカを製造する方法について説明する。本実施形態に係るセメントクリンカの製造方法は、セメントクリンカ用の原料を調製する工程と、原料をサスペンションプレヒータ10に供給する工程と、サスペンションプレヒータ10における加熱及び仮焼を経た原料をロータリーキルン30に供給する工程と、炭素含有熱エネルギー及びアンモニアをロータリーキルン30に供給する工程と、ロータリーキルン30内において、炭素含有熱エネルギー及びアンモニアの燃焼熱によって原料を焼成してセメントクリンカを得る工程とを含む。
セメントクリンカ用の原料は、例えば、ミルを使用して以下の原料を粉砕するとともに混合することによって得ることができる。原料としては、石灰石、硅石、石炭灰、粘土、高炉スラグ、建設発生土、下水汚泥、ハイドロケーキ及び鉄源等が挙げられる。石炭灰は、石炭火力発電所等から発生するものであり、シンダアッシュ、フライアッシュ、クリンカアッシュ及びボトムアッシュが挙げられる。建設発生土は、建設工事の施工に伴い副次的に発生する残土や泥土、廃土等が挙げられる。下水汚泥としては、汚泥のほか、これに石灰石を加えて乾粉化したものや、焼却残渣等が挙げられる。鉄源としては、銅からみ、高炉ダスト等が挙げられる。
各原料の原単位(セメントクリンカを1トン製造するにあたり、使用される原料の質量)及び各原料の配合量は、所望の鉱物組成を有するセメントクリンカが得られるように適宜調整すればよい。
原料は、サスペンションプレヒータ10及び仮焼炉20を通過した後、ロータリーキルン30に供給される。原料は、ゆっくりと回転するロータリーキルン30内をクリンカクーラ40側へと移動する。この移動の間に原料は炭素含有熱エネルギー及びアンモニアの燃焼熱によって焼成され、所定の化学変化を伴ってセメントクリンカとなる。
本発明者らは、鋭意研究の結果、
V01:第1の供給機構35aから供給されるアンモニア及び第2の供給機構35bから供給される他の熱エネルギーを燃焼させるために必要な理論酸素量(体積)、
V02:バーナ本体部34に供給される全酸素量(体積)、
V11:第1の供給機構35aから供給されるアンモニアを燃焼させるために必要な理論酸素量(体積)、
V12:第1の供給機構35aから供給される酸素量(体積)、
としたときに、
(V12/V11)/(V02/V01)が特定の範囲内となるように制御することにより、NOxの発生を抑制できることに想到した。具体的には、本発明者らは、(V12/V11)/(V02/V01)を0.75以上とすることにより、アンモニアを用いることにより、炭素含有熱エネルギーの燃焼に由来して発生する二酸化炭素の発生量を抑制できるとともに、NOxの発生量を十分に抑制できることに想到した。
その理由としては定かではないが、(V02/V01)に対して、(V12/V11)を制御することにより、燃焼に寄与しないアンモニアがNOxに対して脱硝作用を奏し、NOxを窒素ガスに還元するからであると考えられる。(V12/V11)/(V02/V01)の上限は、NOxの発生量を抑制する観点から、例えば1.3以下であってもよい。
NOxの発生量をより効果的に抑制する観点からは、(V02/V01)が1.2未満であることが好ましい。この場合、NOxの発生量を抑制できる(V12/V11)の範囲を広げることができる。炭素含有熱エネルギーの燃焼を円滑にする観点から、(V02/V01)は、例えば1.0以上であってもよく、1.03以上であってもよい。アンモニアの燃焼を円滑にする観点から、(V12/V11)は、例えば0.8以上であってもよく、0.9以上であってもよい。
ロータリーキルン30内において、熱量比率で、炭素含有熱エネルギーを0~99%、アンモニアを1~100%で燃焼させることが好ましい。アンモニアの熱量比率が1%以上であることで、二酸化炭素排出量を十分に削減することができる。アンモニアの熱量比率の下限値は、二酸化炭素排出量の削減の観点から、5%又は10%であってもよい。他方、アンモニアの熱量比率の上限値は、90%、75%又は50%であってもよい。
セメントクリンカの焼成温度(ロータリーキルン30の出口付近におけるセメントクリンカの温度)は、好ましくは800~1700℃、より好ましくは900~1600℃、更に好ましくは1000~1500℃である。ロータリーキルン30内における焼成時間は、例えば30~40分である。
ロータリーキルン30からの排気ガスに含まれるNOx濃度は1700ppm以下であることが好ましく、1500ppm以下であることがより好ましく、1000ppm以下であることが更に好ましい。ロータリーキルン30からの排気ガスに含まれるCO濃度は14体積%以下であることが好ましく、13体積%以下であることがより好ましい。ロータリーキルン30からの排気ガスにアンモニアが実質的に含まれないことが好ましく、アンモニアが含まれないことがより好ましい。
キルンバーナ32において、炭素含有熱エネルギーに加えて、アンモニアを熱エネルギーとして使用する。このため、同量の熱量を発生させるために必要な炭素含有熱エネルギーの量を少なくすることができる。従って、キルンバーナ32における燃焼によって生じる二酸化炭素の量が少ない。仮焼炉20及びロータリーキルン30内の二酸化炭素濃度が低いことで、石灰石の脱炭酸反応(CaCO→CaO+CO)が促進されるという利点がある。これに加え、アンモニアを熱エネルギーの一部として使用することで以下の付随的な効果が奏される。
・炭素含有熱エネルギーとしての重油及び/又は微粉炭の使用量を削減でき、これらに由来の硫黄の持ち込み量を減らすことができる。これにより、系内の硫黄循環量が減ってコーチングトラブル等が生じにくくなる。
・最終製品であるセメント組成物の硫黄含有量が減少し、強度低下を抑制でき品質向上に繋がる。
・系内の硫黄循環量が減るために、硫黄源である廃石膏ボード等の処理量を増やすことができる。
・石炭焚き量を削減できるので石炭灰持ち込み量が減少する。これにより石炭灰や建設廃土などの処理量を増やすことができる。
ロータリーキルン30内で焼成されたセメントクリンカは、クリンカクーラ40へと排出され、クリンカクーラ40において急冷される。これにより、所望の鉱物組成を有するセメントクリンカが得られる。
セメントクリンカの鉱物組成は以下のボーグ式によって算出される。
・CS含有量(質量%)=4.07×CaO量(質量%)-7.60×SiO量(質量%)-6.72×Al量(質量%)-1.43×Fe量(質量%)
・CS含有量(質量%)=2.87×SiO量(質量%)-0.754×CS量(質量%)
・CA含有量(質量%)=2.65×Al(質量%)-1.69×Fe(質量%)
・CAF含有量(質量%)=3.04×Fe(質量%)
式中の「CaO」、「SiO」、「Al」及び「Fe」は、それぞれ、セメント組成物におけるCaO、SiO、Al及びFeのセメントクリンカの全体質量に対する含有割合(質量%)である。これらの含有割合は、JIS R5202「ポルトランドセメントの化学分析方法」あるいはJIS R5204「セメントの蛍光X線分析方法」により測定することができる。
セメントクリンカの鉱物組成は、例えば、以下のとおりである。
(CS含有量)45~65質量%、50~70質量%、51~67質量%、52~65質量%又は53~65質量%
(CS含有量)10~35質量%、3~25質量%、5~25質量%、8~22質量%又は8~21質量%
(CA含有量)1~15質量%、6~15質量%、8~13質量%、8~12質量%又は8~10質量%
(CAF含有量)7~15質量%、8~12質量%、8~11質量%又は8~10質量%
図4は、ロータリーキルン30内における生成鉱物と温度の関係を示すシミュレーション結果の一例を示すグラフである。横軸はキルンバーナ32からの位置を示す。なお、シミュレーションソフトとして、「KilnSimu」(VTT Technical Research Centre of Finland Ltd製)を用いた。
<セメント組成物>
上記のようにして得られたセメントクリンカと、石膏とを混合して粉砕することによってセメント組成物(普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント及び低熱ポルトランドセメント等)を得ることができる。石灰石や高炉スラグなどの混合材を配合してもよい。石膏としては、JIS R9151「セメント用天然せっこう」に規定される品質を満足することが望ましく、具体的には、二水石膏、半水石膏、不溶性無水石膏が好適に用いられる。
セメント組成物中のSO量は、好ましくは1.6~3.5質量%、より好ましくは1.7~3.0質量%、更に好ましくは1.8~2.4質量%となるように石膏を混合して粉砕する。粉砕方法としては、特に制限されないが、ボールミル等の粉砕機、セパレータ等の分級機を用いる方法が挙げられる。
セメント組成物のブレーン比表面積は、好ましくは2500~5000cm/gである。ブレーン比表面積が上記範囲内であると、優れた強度発現性を有するモルタルやコンクリートの製造が可能となる。セメント組成物のブレーン比表面積は、より好ましくは2800~4800cm/gであり、更に好ましくは3000~3800cm/gであり、特に好ましくは3000~3500cm/gである。
<アンモニアの燃焼実験>
(実験例1-1)
図3に示すような第1の流路、第2の流路及び第3の流路を有する重油燃焼バーナ(外径78mm)を備え、内壁寸法が300mm×300mm×1200mmである直方体状の燃焼室を用いて下記の条件で燃焼実験を行った。第1の供給機構から第1の流路にアンモニアと空気(これに含まれる酸素量はV12)を供給し、第2の供給機構から第2の流路にA重油と空気を供給した。また、第3の流路には空気のみを供給した。このようにしてアンモニア及びA重油の燃焼を行った。その際に発生した排気ガス中のNOx濃度を、ヤナコ社製窒素酸化物・酸素自動計測器 ECL-88A Liteを用いて測定した。結果を表1及び図5に示す。
条件:
熱エネルギー:A重油(発熱量37.2MJ/L)及びアンモニア
A重油の供給量:0.97L/h
A重油とアンモニア(燃焼熱:18.6MJ/kg_gas)の混合比(発熱量ベース):A重油:アンモニア=70:30
V02/V01:1.2
V12/V11:0.8
本実験例におけるV01は、第1の流路及び第2の流路に供給されるアンモニア及びA重油を燃焼させるために必要な理論酸素量(体積)である。V02は、第1の流路、第2の流路及び第3の流路から供給される空気に含まれる酸素量の合計である。V11は、第1の流路に供給されるアンモニアを燃焼させるために必要な理論酸素量(体積)である。V12は、第1の流路に供給される空気に含まれる酸素量である。
(実験例1-2)
V12/V11:0.9としたこと以外は、実験例1-1と同様にして燃焼実験を行い、その際に発生した排気ガス中のNOx濃度を実験例1-1と同様にして測定した。結果を表1及び図5に示す。
(実験例1-3)
V12/V11:1.0としたこと以外は、実験例1-1と同様にして燃焼実験を行い、その際に発生した排気ガス中のNOx濃度を実験例1-1と同様にして測定した。結果を表1及び図5に示す。
(実験例1-4)
V12/V11:1.1としたこと以外は、実験例1-1と同様にして燃焼実験を行い、その際に発生した排気ガス中のNOx濃度を実験例1-1と同様にして測定した。結果を表1及び図5に示す。
(実験例1-5)
V12/V11:1.2としたこと以外は、実験例1-1と同様にして燃焼実験を行い、その際に発生した排気ガス中のNOx濃度を実験例1-1と同様にして測定した。結果を表1及び図5に示す。
(実験例2-1)
V02/V01:1.09とし、V12/V11:0.9としたこと以外は、実験例1-1と同様にして燃焼実験を行い、その際に発生した排気ガス中のNOx濃度を実験例1-1と同様にして測定した。結果を表1及び図5に示す。
(実験例2-2)
V12/V11:1.0としたこと以外は、実験例2-1と同様にして燃焼実験を行い、その際に発生した排気ガス中のNOx濃度を実験例1-1と同様にして測定した。結果を表1及び図5に示す。
(実験例2-3)
V12/V11:1.1としたこと以外は、実験例2-1と同様にして燃焼実験を行い、その際に発生した排気ガス中のNOx濃度を実験例1-1と同様にして測定した。結果を表1及び図5に示す。
(実験例2-4)
V12/V11:1.2としたこと以外は、実験例2-1と同様にして燃焼実験を行い、その際に発生した排気ガス中のNOx濃度を実験例1-1と同様にして測定した。結果を表1及び図5に示す。
(実験例3-1)
V02/V01:1.05とし、V12/V11:0.9としたこと以外は、実験例1-1と同様にして燃焼実験を行い、その際に発生した排気ガス中のNOx濃度を実験例1-1と同様にして測定した。結果を表1及び図5に示す。
(実験例3-2)
V12/V11:1.0としたこと以外は、実験例3-1と同様にして燃焼実験を行い、その際に発生した排気ガス中のNOx濃度を実験例1-1と同様にして測定した。結果を表1及び図5に示す。
(実験例3-3)
V12/V11:1.1としたこと以外は、実験例3-1と同様にして燃焼実験を行い、その際に発生した排気ガス中のNOx濃度を実験例1-1と同様にして測定した。結果を表1及び図5に示す。
Figure 0007229665000001
(実験例4-1)
図2に示すような第1の流路と第2の流路を有する微粉炭燃焼バーナ(外径50mm)と補助バーナとを備え、実験例1-1と同じ燃焼室を用いて下記の条件で燃焼実験を行った。第1の供給機構から微粉炭燃焼バーナの第1の流路にメタンガスと空気を供給し、第2の供給機構から微粉炭燃焼バーナの第2の流路に微粉炭と空気を供給して燃焼を行った。また、これに併せて、微粉炭燃焼バーナの近傍に設けられる助燃用トーチにメタンガスと空気を供給して燃焼を行った。そして、その際に発生した排気ガス中のNOx濃度を実験例1-1と同様にして測定した。また、CO濃度を、ヤナコ社製 排ガス計測器 EIR-31Sを用いて測定した。結果を表2に示す
条件:
熱エネルギー:微粉炭(発熱量25.95MJ/kg)、メタンガス(発熱量36MJ/Nm
微粉炭の供給量:956g/h
助燃用トーチにおけるメタンガスの供給量:0.12Nm/h
微粉炭及び助燃用トーチに供給されるメタンガスの合計と第1の流路に供給されるメタンガスとの混合比(発熱量ベース) (微粉炭+メタンガス):メタンガス=70:30
本実験例におけるV01は、第1の流路に供給されるメタンガスと、第2の流路に供給される微粉炭と、助燃用トーチに供給されるメタンガスと、を燃焼させるために必要な理論酸素量(体積)である。V02は、第1の流路、第2の流路及び助燃用トーチから供給される空気に含まれる酸素量の合計である。
Figure 0007229665000002
表2に示すとおり、比較例に相当する実験例4-1では、COの発生量が多かった。
(実験例5-1)
微粉炭燃焼バーナ及び助燃用トーチとは別にアンモニア供給ノズルを設け、第1の流路をこのアンモニア供給ノズルで構成したこと、並びに、微粉炭燃焼バーナへのメタンガスの供給を行わなかったこと以外は、実験例4-1と同様にして燃焼実験を行った。すなわち、本実験例における微粉炭燃焼バーナは、第2の流路のみを有していた。
第1の供給機構から、第1の流路を構成するアンモニア供給ノズルにアンモニアと空気(これに含まれる酸素量はV12)を供給し、第2の供給機構から微粉炭燃焼バーナの第2の流路に微粉炭と空気を供給して燃焼を行った。また、これに併せて、微粉炭燃焼バーナ及びアンモニア供給ノズルの近傍に設けられる助燃用トーチにメタンガスと空気を供給して燃焼を行った。そして、その際に発生した排気ガス中のNOx濃度及びCO濃度を、実験例4-1と同様にして測定した。結果を表3に示す。表3の備考欄には、実施例及び比較例の種別を示した。
条件:
熱エネルギー:微粉炭(発熱量25.95MJ/kg)、メタンガス(発熱量36MJ/Nm)及びアンモニア
微粉炭の供給量:956g/h
メタンガスの供給量:0.12Nm/h
微粉炭及びメタンガスの合計とアンモニア(燃焼熱:18.6MJ/kg_gas)との混合比(発熱量ベース) (微粉炭+メタンガス):アンモニア=70:30
V02/V01:1.2
V12/V11:1.2
本実験例におけるV01は、第1の流路に供給されるアンモニアと、第2の流路に供給される微粉炭と、助燃用トーチに供給されるメタンガスとを燃焼させるために必要な理論酸素量(体積)である。V02は、第1の流路、第2の流路及び助燃用トーチから供給される空気に含まれる酸素量の合計である。V11は、第1の流路に供給されるアンモニアを燃焼させるために必要な理論酸素量(体積)である。V12は、第1の流路に供給される空気に含まれる酸素量である。
(実験例5-2)
V12/V11が1.1になるようにV12を調節したこと以外は、実験例5-1と同様にして燃焼実験を行い、その際に発生した排気ガス中のNOx濃度及びCO濃度を実験例5-1と同様にして測定した。結果を表3に示す。
(実験例5-3)
V12/V11が1.0になるようにV12を調節したこと以外は、実験例5-1と同様にして燃焼実験を行い、その際に発生した排気ガス中のNOx濃度及びCO濃度を実験例5-1と同様にして測定した。結果を表3に示す。
Figure 0007229665000003
表3に示すとおり、実験例5-1~5-3では、排ガス中のNOx及びCOの発生を抑制できることが確認された。
<実施例>
[セメントクリンカの製造]
石灰石、粘土、珪石などを混合してセメントクリンカ用の原料を調製した。この原料を一辺が約10mmの立方体に成型した。成型後の原料(2kg)を2つの白金製トレイ(190×240×15mm)にそれぞれ1kgずつ載せた状態とし、小型工業炉(炉内寸法:300×300×1500mm)を用いて焼成した。
(焼成条件)
熱エネルギー:A重油(発熱量37.2MJ/L)及びアンモニア
A重油とアンモニア(燃焼熱:18.6MJ/kg_gas)の混合比(発熱量ベース):A重油:アンモニア=70:30
熱量:20kW相当
バーナ:図2に示すバーナと同様の構成を有するものを使用
V02/V01:1.2
V12/V11:0.9
温度条件:1400℃に達してから30分保持した。1400℃で30分保持した後、炉内へ外部空気を流入させて急速冷却した(1450℃から500℃となるまで60分程度)。
小型工業炉からの排出ガスの二酸化炭素濃度は14.2体積%であり、NOx濃度(10%O換算)は1124ppmであった。得られたセメントクリンカについて、化学分析による鉱物組成の同定を行った。表4に結果を示す。
<比較例>
熱エネルギーの一部にアンモニアを使用せず、重油専焼(熱量:20kW相当)としたことの他は実施例と同様にしてセメントクリンカを製造した。小型工業炉からの排出ガスの二酸化炭素濃度は19.8体積%であり、NOx濃度(10%O換算)は1620ppmであった。得られたセメントクリンカについて、化学分析による鉱物組成の同定を行った。表4に結果を示す。
Figure 0007229665000004
表4に示すように、実施例(重油-NH混焼)においても比較例(重油専焼)と同等の品質のセメントクリンカが得られた。アンモニアを熱エネルギー一部として使用することで、二酸化炭素発生量を削減したセメントクリンカの製造が可能であることが示された。また、実施例に係る排ガスのNOx濃度は、比較例と比較して十分に低かった。これは、アンモニアを熱エネルギー一部として使用したことによる脱硝効果であると推察される。
[セメント組成物の製造]
実施例及び比較例に係るセメントクリンカに、セメント組成物中のSO含有量が2質量%となるように二水石膏をそれぞれ混合し、ミルでブレーン比表面積が3200cm/g程度(3000~3400cm/g)になるように粉砕し、実施例及び比較例に係るセメント組成物をそれぞれ得た。
実施例及び比較例に係るセメント組成物をそれぞれ使用して調製したモルタルについて、曲げ強さ及び圧縮強度をJIS R5201:1997(セメントの物理試験方法)に記載の方法に準じて測定した。表5に結果を示す。表5に示されたとおり、実施例に係るセメント組成物は、曲げ強さ及び圧縮強度について、比較例に係るセメント組成物と比較して遜色ないものであった。
Figure 0007229665000005
30…ロータリーキルン(焼成炉)、32…キルンバーナ、33,34…バーナ本体部、33a,34a…第1の流路、33b,34b…第2の流路、34c…第3の流路、35a…第1の供給機構、35b…第2の供給機構、100…セメントクリンカの製造装置

Claims (6)

  1. セメントクリンカの製造方法であって、
    セメントクリンカ用の原料を調製する工程と、
    前記原料を焼成炉に供給する工程と、
    第1の供給機構からバーナの第1の流路に、アンモニアと酸素とを供給する工程と、
    第2の供給機構から前記バーナの第2の流路に、炭素含有熱エネルギーを少なくとも含み且つアンモニアを含まない他の熱エネルギーと酸素とを供給する工程と、
    前記焼成炉内において、アンモニア及び前記他の熱エネルギー源を前記バーナで燃焼ささることによって生じる燃焼熱によって前記原料を焼成してセメントクリンカを得る工程と、
    を含み、
    前記バーナは、前記焼成炉内に位置する先端部を有するとともに、前記第2の流路が中心部に位置し、前記第2の流路の外側に前記第1の流路が設けられた二重管構造を有し、
    下記不等式で表される条件を満たすように、前記焼成炉内においてアンモニア及び前記他の熱エネルギー前記バーナで燃焼させ
    前記焼成炉内において、熱量比率で、前記炭素含有熱エネルギー源を10~99%、アンモニアを1~90%で燃焼させるとともに、前記焼成炉からの排気ガスにアンモニアが含まれない、セメントクリンカの製造方法。
    (V12/V11)/(V02/V01)≧0.75
    [式中、V01は前記第1の供給機構から前記第1の流路に供給されるアンモニア及び前記第2の供給機構から前記第2の流路に供給される前記他の熱エネルギー完全燃焼させるために必要な理論酸素量(体積)を示し、V02は前記第1の流路及び前記第2の流路に供給される全酸素量(体積)を示し、V11は前記第1の供給機構から前記第1の流路に供給されるアンモニアを完全燃焼させるために必要な理論酸素量(体積)を示し、V12は前記第1の供給機構から前記第1の流路に供給される酸素量(体積)を示す。]
  2. 前記焼成炉内において、熱量比率で、前記炭素含有熱エネルギー源を10~95%、アンモニアを5~90%で燃焼させる、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記セメントクリンカは、ボーグ式で算定されるCS量が45~65質量%であり、CS量が10~35質量%であり、CA量が1~15質量%であり、CAF量が7~15質量%である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. セメントクリンカの製造装置であって、
    セメントクリンカ用の原料を焼成してセメントクリンカを得る焼成炉と、
    アンモニアと、炭素含有熱エネルギーを少なくとも含み且つアンモニアを含まない他の熱エネルギーとを前記焼成炉に供給する供給機構と、
    前記焼成炉内において、アンモニア及び前記他の熱エネルギーを燃焼させるバーナと、
    を備え、
    前記バーナは、第1の流路と、第2の流路とを有し、前記第2の流路が中心部に位置し、前記第2の流路の外側に前記第1の流路が設けられた二重管構造を有し、
    前記供給機構は、アンモニアと酸素とを前記第1の流路に供給する第1の供給機構と、前記他の熱エネルギーと酸素とを前記第2の流路に供給する第2の供給機構とを有し、
    前記供給機構は、下記不等式で表される条件を満たすように、酸素、アンモニア及び前記他の熱エネルギーの供給量を制御するとともに、前記焼成炉内において、熱量比率で、前記炭素含有熱エネルギー源が10~99%、アンモニアが1~90%で燃焼するように、酸素、アンモニア及び前記炭素含有熱エネルギー源の供給量を制御し、前記焼成炉からの排気ガスにアンモニアが含まれないようにする、セメントクリンカの製造装置。
    (V12/V11)/(V02/V01)≧0.75
    [式中、V01は前記第1の供給機構から前記第1の流路に供給されるアンモニア及び前記第2の供給機構から前記第2の流路に供給される前記他の熱エネルギー完全燃焼させるために必要な理論酸素量(体積)を示し、V02は前記第1の流路及び前記第2の流路に供給される全酸素量(体積)を示し、V11は前記第1の供給機構から前記第1の流路に供給されるアンモニアを完全燃焼させるために必要な理論酸素量(体積)を示し、V12は前記第1の供給機構から前記第1の流路に供給される酸素量(体積)を示す。]
  5. セメントクリンカの製造装置であって、
    セメントクリンカ用の原料を焼成してセメントクリンカを得る焼成炉と、
    アンモニアと、炭素含有熱エネルギーを少なくとも含み且つアンモニアを含まない他の熱エネルギーとを前記焼成炉に供給する供給機構と、
    前記焼成炉内において、アンモニア及び前記他の熱エネルギーを燃焼させるバーナと、
    を備え、
    前記バーナは、第1の流路と、第2の流路と、第3の流路とを有し、前記第3の流路が中心部に位置し、前記第3の流路の外側に前記第2の流路が設けられ、前記第2の流路の外側に前記第1の流路が設けられた三重管構造を有し、
    前記供給機構は、アンモニアと酸素とを前記第1の流路に供給する第1の供給機構と、前記他の熱エネルギーと酸素とを前記第2の流路に供給する第2の供給機構と、酸素を前記第3の流路に供給する第3の供給機構とを有し、
    前記供給機構は、下記不等式で表される条件を満たすように、酸素、アンモニア及び前記他の熱エネルギーの供給量を制御するとともに、前記焼成炉内において、熱量比率で、前記炭素含有熱エネルギー源が10~99%、アンモニアが1~90%で燃焼するように、酸素、アンモニア及び前記炭素含有熱エネルギー源の供給量を制御し、前記焼成炉からの排気ガスにアンモニアが含まれないようにする、セメントクリンカの製造装置。
    (V12/V11)/(V02/V01)≧0.75
    [式中、V01は前記第1の供給機構から前記第1の流路に供給されるアンモニア及び前記第2の供給機構から前記第2の流路に供給される前記他の熱エネルギー完全燃焼させるために必要な理論酸素量(体積)を示し、V02は前記第1の流路、前記第2の流路及び前記第3の流路に供給される全酸素量(体積)を示し、V11は前記第1の供給機構から前記第1の流路に供給されるアンモニアを完全燃焼させるために必要な理論酸素量(体積)を示し、V12は前記第1の供給機構から前記第1の流路に供給される酸素量(体積)を示す。]
  6. 前記供給機構は、前記焼成炉内において、熱量比率で、前記炭素含有熱エネルギー源が10~95%、アンモニアが5~90%で燃焼するように、酸素、アンモニア及び前記炭素含有熱エネルギー源の供給量を制御する、請求項4又は5に記載のセメントクリンカの製造装置。
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