本開示に係る燃料供給システムの一実施の形態について、ガソリンスタンド等の給油所に設置され、給油ノズルの筒先を車両等の給油口に挿入し、ガソリン、軽油といった燃料を車両等に補給する給油装置を例に説明する。
図1は、本開示に係る燃料供給システムの一実施形態としての給油装置の一実施例の概略構成図である。
図2は、給油装置に設けられたポンプユニットの概略構成を示す模式図である。
図1において、給油装置1は、地上設置式の給油装置を示している。給油装置1は、給油装置本体2内に、ポンプモータ12により駆動されるポンプ11、ポンプ11から吐出された燃料の液量を計測する流量計13が収納されている。また、給油装置本体2からは、流量計13の流出側と内部配管15を介して連通され、先端に給油ノズル17が接続された給油ホース16が導出された構造になっている。ポンプ11の吸い込み側は、地下配管21を介して、燃料油液を貯溜する地下タンク22内の液中に連通接続されている。
給油装置1において、ポンプ11により地下タンク22内から汲み上げられた燃料油液は流量計13に供給され、その液量が計測される。流量計13には流量発信器14が付設され、流量発信器14からは、単位液量毎の燃料油液の流れに比例した流量パルスが出力される。
ここで、ポンプ11は、通常、流入口と流出口とが備えられた一の筐体ユニットに、空気分離器、フィルタ等のポンプ付設機器とともに一体的に設けられ、ポンプユニット110として構成されている。ポンプユニット110は、図2に示すように、上流側(地下タンク22側)から下流側(流量計13側)へ、ストレーナ111、流入側逆止弁112、ポンプ本体113、空気分離器114、フィルタ115、流出側逆止弁116が順次配置された構成になっている。加えて、ポンプユニットには、空気分離器114の流出側とポンプ本体113の流入側(吸い込み側)との間を連通するように気液分離器117が配置され、ポンプ本体113の吐出側であるフィルタ115の流出側とポンプ本体113の流入側との間を連通するように、リリーフ弁118を備えたリリーフ通路119が設けられた構成になっている。
また、給油ノズル17は、図示省略するが、ノズル本体内の流路中に配設された弁をノズルレバーの操作量に応じて開閉する弁機構、ノズルレバーの操作位置を一乃至は複数の所望位置に保持できるレバー保持機構、及び、供給対象の燃料油液の液面がノズル筒先に達したならば、ノズルレバーの開弁操作状態に関係なく弁機構を閉弁させる自動閉弁機構、等を備えている。作業者は、ノズルレバーをレバー保持機構の所望位置に保持しておくことによって、弁機構の開弁量(開弁位置)をこの所望位置に対応する開弁量に保持できる。
給油ノズル17は、図1に示すように、給油作業に使用されていないときは、給油装置本体2に設けられたノズル収納部18に格納されている。給油ノズル17は、給油作業時、作業者によってノズル収納部18から取り出され、作業者は、先端の吐出パイプを車両等の給油口に挿入し、ノズルレバーを操作して弁機構の弁を開弁することにより、車両等の燃料タンクに燃料の補給が行えるようになっている。ノズル収納部18には、給油ノズル17の取り出し及び掛け戻しを検知するためのノズルスイッチ19が設けられている。給油作業の際における給油量等の給油情報は、その表示面を給油装置本体2から外部に臨ませて設けられた表示器20に表示される。
給油装置本体2内には、ポンプ11、流量計13等といった機器に加え、給油装置各部を制御する制御装置23、制御装置23の指示に基づきポンプモータ12を駆動制御するポンプモータ駆動回路24が設けられている。制御装置23は、メモリ、入出力インタフェース等を備えたマイクロコンピュータ装置を含んで構成されている。制御装置23には、ノズルスイッチ19の検出信号、流量発信器14の流量パルス出力等が入力され、これら信号入力に基づいて、給油装置1の各部を制御する。
具体的に、制御装置23は、ノズルスイッチ19からの検出信号に基づき、給油ノズル17のノズル収納部18からの取り出しにより、ポンプモータ駆動回路24を介してポンプモータ12を駆動し、給油ノズル17のノズル収納部18への掛け戻しにより、ポンプモータ駆動回路24を介してポンプモータ12の駆動を停止させ、給油ノズル17への燃料油液の送液を制御する油液供給制御部として機能する。また、制御装置23は、流量発信器14からの流量パルスの入力に基づき、給油作業時の給油量を演算して表示器20に表示する給油量演算表示部としても機能する。
さらに、本実施例の給油装置1の場合、制御装置23は、燃料漏洩検査部としても機能できるようになっている。
制御装置23は、燃料漏洩検査部として、給油ノズル17がノズル収納部18への掛け戻されている状態、すなわち、車両等の燃料タンクの供給対象に対し、給油ノズル17を用いた給油作業が行われていない状態で、内部配管15、給油ホース16、給油ノズル17等といったポンプ11の下流側の燃料供給路を構成する機器や、これら機器相互の継手等の接続部から、燃料の漏れが生じているか否かを検査する。
そのために、本実施例の給油装置1では、制御装置23は、給油量演算表示部、油液供給制御部、及び燃料漏洩検査部として、給油装置1の各部を制御して、図3に示すような給油作業制御処理を行うようになっている。
図3は、給油装置の制御装置が実行する、給油作業制御処理のフローチャートである。
図3において、制御装置23は、給油所の始業に当たって給油装置1の装置電源が投入されると(S001)、制御装置23は自身に対する駆動電源の受電に基づいて、電源投入時処理を行う(S002)。
この場合、ステップS002で示した電源投入時処理には、通常の電源投入時のリセット処理等に加えて、後述する、電源の供給が断たれる際の電源切断時処理(S021、S034)によって制御装置23の記憶保持可能なメモリに退避記憶されている、直近の漏洩検査結果記録の読み出しも含まれる。そして、制御装置23は、電源投入時処理(S002)を完了すると、この読み出した直近の漏洩検査結果の記録内容が漏洩異常無しであるか、漏洩異常有りであるかを判別する(S003)。
制御装置23は、直近の漏洩検査結果記録の内容が漏洩異常無しである場合は、ステップS004,S005に示した処理を含む正常時装置起動処理を行う一方、直近の漏洩検査結果記録の内容が漏洩異常有りである場合は、ステップS031以降に示した異常時装置起動処理を行う。
本実施例の給油装置1の場合、制御装置23は、正常時装置起動処理では、まだ、給油ノズル17がノズル収納部18に収納され、供給対象に対しての燃料供給作業が行われていない状態で、まず、ポンプ11の下流側の燃料供給路について漏洩箇所の有無を検査する漏洩検査処理を行う(S004)。なお、この漏洩検査処理の具体的処理内容については、追って図4、図5を参照しながら詳述する。
このように、本実施例の給油装置1では、給油装置1の装置電源が投入され(S001)、給油装置1が正常に装置起動されたときには(S002、S003:YES)、まず、ポンプ11の下流側の燃料供給路についての漏洩検査処理(S004)が行われる。そして、給油装置1の装置起動時の漏洩検査処理(S004)が実行され、漏洩異常無しが確認されると、制御装置23は、装置内に設けられた漏洩検査の実行時間間隔を測定する検査インターバルタイマをリセットし、検査インターバルタイマによる漏洩検査の実行時間間隔の新たな計時を開始させる(S005)。
その後、本実施例の給油装置1では、制御装置23は、次の漏洩検査の実行時期になったか否か(S006)、次の漏洩検査の即時実行が指示されたか否か(S007)、給油所の終業時等により給油装置1の装置電源の切断操作がなされたか否か(S008)、及び、新たな供給対象に対しての給油作業の実行開始がなされたか否か(S009)、をそれぞれ監視する。そして、次の漏洩検査の実行(S006,S007)、給油作業の実行開始(S009)、及び装置電源の切断操作(S008)の中の何れかが検出されるまで、制御装置23は、ステップS006-S009に示した各処理を繰り返し実行し、給油装置1は待機状態になっている。
具体的に、制御装置23は、次の漏洩検査の実行時期になったか否か(S006)を、前述した検査インターバルタイマの計時が所定時間に達しているか否かに基づいて行う。また、制御装置23は、次の漏洩検査の即時実行が指示されたか否か(S007)を、例えば、給油装置1の図示省略した設定器に設けられた漏洩検査実行スイッチが給油所の係員やメンテナンス作業者により操作され、その操作入力が検出されたか否かに基づいて行う。また、制御装置23は、新たな供給対象に対しての給油作業の実行開始(S009)を、例えば、ノズルスイッチ19のスイッチ出力に基づくノズル収納部18からの給油ノズル17の取り出し検出によって行う。また、制御装置23は、給油装置1の装置電源の切断操作がなされたか否か(S008)を、装置電源スイッチの切断操作が入力されたか否かに基づいて行う。
これにより、本実施例の給油装置1では、制御装置23は、次の漏洩検査の実行時期になったとき(S006:YES)、又は、漏洩検査実行スイッチが給油所の係員等により操作されたとき(S007:YES)にも、前述のステップS004で示した漏洩検査処理を行うようになっている。すなわち、本実施例の給油装置1では、装置の起動時(S002)に、また装置の起動後は、所定時間間隔を開けて定期的に(S006)、漏洩検査実行スイッチの操作に基づく所望のタイミングで、ポンプ11の下流側の燃料供給路についての漏洩検査処理(S004)が行われるようになっている。
なお、本実施例の給油装置1の場合は、装置電源(S001)の投入に基づく給油装置1の稼働開始時に1日1回、ポンプ11の下流側の燃料供給路についての漏洩検査処理が行われるので、それ以外では、例えば日中、夜間といった1日の中でも環境状態が異なる時期に行われるのが好ましい。そのため、検査インターバルタイマは、図示したような検査と検査の間の時間間隔を計測するものであってもよいし、1日の中の予め設定された一又は複数の定刻を検出するものであってもよい。
一方、給油装置1の待機状態で、給油所の係員若しくはセルフサービス給油所の場合は顧客によって、給油ノズル17がノズル収納部18から取り出され、作業者による給油ノズル17を使用した燃料供給作業の実行開始を、制御装置23がノズルスイッチ19の出力に基づき検出すると、制御装置23は、油液供給制御部及び給油量演算表示部として、ステップS010-S013に示した、給油ノズル17の操作に基づいた給油作業時処理を開始する。
給油作業時処理では、制御装置23は、まずノズルスイッチ19からの検出信号に基づき給油作業の開始を検出すると、給油作業開始処理を行う(S010)。給油作業開始処理では、油液供給制御部として、給油ノズル17の開弁操作による実際の燃料供給に備えてポンプモータ駆動回路24を介してポンプモータ12を起動したり、給油量演算表示部として、供給対象に対する燃料供給量を流量発信器14から出力される流量パルスの計数に基づき演算するための燃料供給量カウンタをゼロリセットしたり、顧客に給油情報を報知するための表示器20の表示をリセットしたりする。
そして、制御装置23は、ステップS010に示した給油作業開始処理を行うと、給油作業中処理(S011)、及び給油作業の終了監視処理(S012)を行う。給油作業中処理(S010)では、制御装置23は、燃料供給量カウンタを用いて、供給対象に対する燃料供給量である給油量等を流量パルスの入力に応じて遂次演算したり、この遂次演算される給油量等の給油情報を表示器20に表示したりする。給油作業の終了監視処理(S012)では、この給油作業中の間、ノズルスイッチ19の出力に基づき給油ノズル17がノズル収納部18に掛け戻しされたか否かを並行して監視し、給油ノズル17がノズル収納部18に掛け戻しされて給油作業の終了を検出した場合は、給油作業中処理(S011)を終了させる。
その後、制御装置23は、ポンプモータ駆動回路24を介してポンプモータ12を駆動停止させる等の給油作業終了処理(S013)を行った後、ステップS006-S009に示した処理を繰り返し実行するようになる。これにより、給油装置1は、給油ノズル17がノズル収納部18に収納されている状態で、給油ノズル17の操作に基づく燃料供給作業が行われていない、次の燃料供給作業に備えた待機状態に戻る。
一方、このステップS006-S009の繰り返し実行で示した待機状態で、給油装置1の装置電源の切断が指示されたときには(S008)、制御装置23は、電源切断時処理を実行する(S021)。この場合、この電源切断時処理には、電源が断たれても記憶保持可能な制御装置23のメモリに、直近の漏洩検査結果記録の内容として直近に実行された漏洩検査処理(S004)の結果情報を退避記憶する等の処理が含まれる。
ところで、制御装置23は、給油装置1の装置電源が投入された後に(S001)、読み出した直近の漏洩検査結果記録の内容が漏洩異常有りである場合には(S003:NO)、給油作業受付禁止処理を行う(S031)。給油作業受付禁止処理が行われると、制御装置23は、ポンプ11の下流側の燃料供給路に漏洩異常が生じていることを、表示器20や図示省略したブザー等の警報器を用いて報知出力するとともに、その後は、例え、給油ノズル17がノズル収納部18から取り出されても、ポンプモータ駆動回路24を介してポンプモータ12を起動しないようにして、給油作業の受付を禁止する状態になる。
それから、制御装置23は、漏洩異常が発生していることに基づいて、給油装置1の使用を禁止するため給油所係員によって装置電源の切断が指示されたか否か(S032)、及び給油装置1の修理を行うためにメンテナンス作業者によってメンテナンス作業の実行開始が設定されたか否か(S033)を監視する。そして、制御装置23は、装置電源の切断が指示されると、電源切断時処理を行って終了し(S034)、メンテナンス作業の実行開始が設定されると、メンテナンス作業モードに移行する。メンテナンス作業モードでは、制御装置23は、故障修理や故障修理後の検査確認のために、例えば、メンテナンス作業者の命令操作に応じて、給油装置1全体や装置各部のメンテナンスのための作動を許容する。
本実施例の給油装置1によれば、装置電源の投入(S001)に基づく給油装置1の稼働開始時、及び予め設定された漏洩検査の実行時期になったときには(S006)、ポンプ11の下流側の燃料供給路についての漏洩検査処理(S004)が自動で行われるようになっている。さらに、給油所係員が漏洩検査実行スイッチを操作することによって(S007)、所望の任意のタイミングでも、漏洩検査処理(S004)を行えるようになっている。これにより、検査漏れ(検査忘れ)が起こすことなく、適宜タイミングで的確に漏洩検査処理(S004)を行える。
次に、図3のステップS004で示した漏洩検査処理の具体的な処理内容について、図4、図5を参照しながら説明する。
図4は、図3に示した給油作業制御処理における漏洩検査処理の一実施例に係るフローチャートである。
図5は、図4に示した漏洩検査処理の一実施例に係るフローチャートの続きである。
図4に示すように、漏洩検査処理では、その処理を開始するに当たって、制御装置23は、まず、漏洩検査の実行開始準備を行う(S101)。本実施例では、漏洩検査の実行開始準備として、制御装置23は、第1の漏洩判定流量カウンタV1、第2の漏洩判定流量カウンタV2をゼロリセットするとともに、予めポンプ11の下流側の燃料供給路の構成(例えば、供給路長さ、供給路構成部材、設置環境等)に応じて設定されている第1の異常判定積算値α及び第2の異常判定積算値βを読み出す。
そして、制御装置23は、ポンプモータ駆動回路24を介してポンプモータ12の駆動を開始させるともに(S102)、流量発信器14から出力される流量パルスの出力間隔を計測する流量パルス出力間隔タイマのカウント値をゼロリセットしてその計時を開始して(S103)、漏洩検査を実行開始する。
ここで、漏洩検査モードが実行されるときは、図3で示したように、装置電源の投入に基づく給油装置1の稼働開始時(S001)であり、漏洩検査の所定の検査時期になったとき(S006)であり、給油所係員が漏洩検査実行スイッチを操作したとき(S007)である。そして、これら何れの場合も、給油装置1は、給油ノズル17の操作レバーが閉弁操作され弁機構が閉弁状態になっており、給油ノズル17はノズル収納部18に掛け戻された収納状態になっている。そのため、給油装置1は、漏洩検査処理を開始する際は、通常、ポンプ11の下流側の燃料供給路は、給油ノズル17の弁機構の閉弁によって燃料供給路はその先端側で流路が遮断された状態になっている。
したがって、この状態で、ステップS102の実行によってポンプモータ12が駆動開始されると、ポンプ11の下流側の燃料供給路内の燃料の液圧がポンプ11のリリーフ圧に達していれば、ポンプ11の吐出側から吐出される燃料は、ポンプ11の下流側の燃料供給路には供給されずに、ポンプユニット110のリリーフ通路119を介してポンプ11の吸い込み側に戻される。一方、ステップS102の実行によってポンプモータ12が駆動開始されとき、ポンプ11の下流側の燃料供給路内の燃料の液圧がポンプ11のリリーフ圧に達していなければ、ポンプ11の吐出側から吐出される燃料は、まず、ポンプ11の下流側の燃料供給路に供給され、ポンプ11の下流側の燃料供給路内の燃料の液圧を上昇させる。その後、ポンプ11の下流側の燃料供給路内の燃料の液圧がポンプ11のリリーフ圧に達すれば、ポンプ11の下流側の燃料供給路に供給されずに、ポンプユニット110のリリーフ通路119を介してポンプ11の吸込み側に戻される。
この場合、ポンプ11のリリーフ圧は、ポンプ11の吐出側と吸込み側をバイパスするポンプユニット110のリリーフ通路119に設けられたリリーフ弁118の開弁圧力に応じて決定される。リリーフ弁118は、例えばコイルバネのばね力によって、閉弁方向に常時付勢されている。そのため、リリーフ弁118は、ポンプ11の吐出側の液圧、すなわちポンプ11の下流側の燃料供給路内の燃料の液圧がコイルバネの付勢力よりも大きくなれば開弁し、コイルバネの付勢力よりも小さくなれば閉弁する。ポンプ11のリリーフ圧は、通常、給油ノズル17の弁機構が開弁状態でポンプ11から吐出された燃料が給油ノズル17から供給対象に供給されている状態のポンプ11の下流側の燃料供給路内の燃料の液圧よりも高い、大気圧以上の値に設定されている。具体的には、ポンプ11のリリーフ圧は、外部環境の変化に基づいてポンプ11の下流側の燃料供給路に収縮等が起きて内部の燃料液圧が上昇するような場合でも、給油ノズル17を含むポンプ11の下流側の燃料供給路に、燃料漏れ等の損傷を与えることを防げる圧力の大きさになっている。
その上で、給油ノズル17の弁機構の閉弁操作によらずにポンプモータ12の停止制御やポンプ11の下流側の燃料供給路に設けられた定量弁の閉弁制御で自動的に給油を終了させるといった、例えばプリセット給油等の自動給油が行われた場合、自動給油終了後のポンプ11又は定量弁の下流側の燃料供給路内の燃料の液圧は、給油ノズル17の弁機構の閉弁操作によって供給対象に対する給油を終了させる通常の燃料供給を行った場合よりも低くなる。
一方、長時間、給油装置1を給油作業に使用せず、その間の温度等の環境変化によって、ポンプ11の下流側の燃料供給路の状態が膨張変化したような場合も、ポンプ11の下流側の燃料供給路内の燃料の液圧は、ポンプ11の下流側の燃料供給路の状態変化に応じて、前回、給油装置1を使用して燃料供給作業を完了した直後に対して降下し、低くなる。
そこで、ステップS101に示した漏洩検査の実行開始準備で読み出される第1の異常判定積算値αは、ポンプ11の下流側の燃料供給路に漏洩箇所が無いにもかかわらず、ポンプモータ12が駆動開始した際に、上述した定量燃料供給後又はポンプ11の下流側の燃料供給路の状態変化によって下がった、ポンプ11の下流側の燃料供給路内の燃料の圧力をポンプ11のリリーフ圧に上昇させるため、ポンプ11からポンプ11の下流側の燃料供給路に供給される液量分を基に設定された値で、ポンプ11の下流側の燃料供給路に漏洩箇所が無いものとして許容することができるような液量値になっている。例えば、第1の異常判定積算値αは、ポンプ11の下流側の燃料供給路に、本来、漏洩箇所が無ければ、ポンプ11の下流側の燃料供給路内の燃料の圧力を、その燃料供給路内の燃料の圧力状態にかかわらず、ポンプ11のリリーフ圧に向けて上昇させることができるポンプ11からの供給液量に相当する値になっている。
これに対し、同じくステップS101に示した漏洩検査の実行開始準備で読み出される第2の異常判定積算値βは、ポンプ11の下流側の燃料供給路内の燃料の圧力が、その燃料供給路の膨張/収縮状態等にかかわらず、既に所定の圧力状態(例えば、ポンプ11のリリーフ圧)になっていることを前提にして、第1の異常判定積算値αよりも値が小さく、燃料供給路からの燃料の滲出等による僅かな漏洩量の検出も対応可能な値になっている。例えば、ポンプ11の下流側の燃料供給路内の燃料の圧力がポンプ11のリリーフ圧よりも低い場合に、その液圧をポンプ11のリリーフ圧に向けて上昇させるためのポンプ11からの供給液量よりも小さな値になっている。
そして、図4のステップS102,S103で漏洩検査が実際に開始されると、制御装置23は、流量計13に付設された流量発信器14から単位液量毎の流れに対応して出力される流量パルスが入力されているか否か(S104)、流量発信器14からの流量パルスの入力が一定時間ないか(S105)、給油ノズル17がノズル収納部18から取り外しされたか否か(S106)を監視している。その中、流量発信器14からの流量パルスの入力が一定時間ない場合は、ポンプ11の下流側の燃料供給路内の燃料の圧力が、その燃料供給路の膨張/収縮状態等にかかわらず、既に所定の圧力状態(例えば、ポンプ11のリリーフ圧)になり、ポンプより下流側の燃料供給路内が、燃料で充満されている状態(漏洩の有無が確認できる液圧状態)に該当する。
ここで、制御装置23は、流量発信器14から流量パルスが入力されたことを検出すると(S104:YES)、漏洩検査の実行開始準備(S101)でゼロリセットしてある第1の漏洩判定流量カウンタV1のカウント値をインクリメントして(S107)、そのカウント値が示す第1の漏洩判定流量が第1の異常判定積算値αを超えているか否かを判定する(S108)。
そして、制御装置23は、ステップS108の判定で第1の漏洩判定流量が第1の異常判定積算値αを超えていない場合は、ステップS104~S106の監視をまた繰り返し行うが、第1の漏洩判定流量カウンタV1のカウント値である第1の漏洩判定流量が第1の異常判定積算値αを超えている場合には、ポンプモータ12の駆動を即座に停止させ(S201)、ポンプ11の下流側の燃料供給路からの燃料漏洩による異常が生じたことを示す警報を出力して(図5、S203)、給油ノズル17を使用した燃料供給作業の受付を禁止状態にする(S204)。これにより、給油装置1では、その後、燃料供給作業を行うために給油ノズル17がノズル収納部18から取り出され、ノズルスイッチ19からその検出信号が入力されても、制御装置23は、ポンプ11の下流側の燃料供給路に燃料の漏洩が生じているとして、ポンプモータ12の駆動開始等を行わず、新たな給油作業を受け付けないようになる。なお、この場合に燃料供給路に生じている燃料の漏洩としては、例えば、ポンプ11のリリーフ圧よりも低くなっているポンプ11の下流側の燃料供給路内の燃料の圧力を上昇させるためにポンプ11から燃料を供給しても、ポンプ11の下流側の燃料供給路内の燃料の圧力をなかなか上昇させることができないような燃料の漏洩が該当する。
したがって、制御装置23は、その後は、漏洩異常が発生している(図4、S108:YES)との漏洩検査結果に基づいて、図3に示したように、給油装置1の使用を禁止するため給油所係員によって装置電源の切断指示が設定されたか否か(S032)、及び給油装置1の修理を行うためメンテナンス作業者によってメンテナンス作業の実行開始が指示されたか否か(S033)を監視することなる。
一方、制御装置23は、図4に示したステップS104~S106の監視で、流量発信器14からの流量パルスの入力が一定時間ないことを検出すると(S105:YES)、ポンプモータ12の駆動を一旦停止させる(S109)。本実施例では、流量発信器14からの流量パルスの入力が一定時間ないことを(S105:YES)、制御装置23は、図4のステップS103で計時を開始させた流量パルス出力間隔タイマが予め設定された所定時間を計時したか否かで判定する。この場合、所定時間は、ポンプ11から吐出される燃料のうち、ポンプ11の下流側の燃料供給路に供給される燃料の瞬時流量がゼロであるとの判定が可能な時間に相当する。
ここで、ポンプ11から吐出される燃料のうち、ポンプ11の下流側の燃料の瞬時流量がゼロであることは、ポンプ11(ポンプモータ12)が駆動中であっても、ポンプ11から吐出される燃料は、ポンプユニット110のリリーフ通路119を介してポンプ11の吸い込み側に還流され、ポンプ11の下流側の燃料供給路内の燃料の圧力が、ポンプ11のリリーフ圧に向けて上昇しないことに該当する。
したがって、ポンプ11から下流側の燃料供給路に流れる燃料の瞬時流量がゼロであるということは、ポンプ11の下流側の燃料供給路に、第1の漏洩判定流量カウンタV1のカウント値が第1の異常判定積算値αを超えるような大きな漏洩箇所が発生しておらず、ポンプ11の下流側の燃料供給路内の燃料の圧力が所定の大きさ、例えばポンプ11のリリーフ圧若しくはその近傍の値に達していることに該当する。
そのため、このステップS105における判定時間については、ポンプ11の下流側の燃料供給路内を漏洩の有無が確認できるような液圧状態にするためのポンプモータ12の駆動を区別することを目的としたものなので、後述の図5に示すステップS115~S117の監視処理で、ポンプ11の下流側の燃料供給路から燃料漏洩が生じていないことを高精度に流量パルスの入力で判定するための一定時間(S116)と同じ時間である必要はなく、この燃料漏洩に用いられる一定時間(S116)よりも短い時間に設定しておくことが可能になる。
そして、制御装置23は、ステップS109でポンプモータ12の駆動を一旦停止させると、装置内に設けられた漏洩検査におけるポンプ11の駆動のインターバル、すなわちステップS109で一旦駆動を停止させたポンプモータ12の停止時間が予め設定してある所定時間に達したことを計測する漏洩判定間隔タイマをリセットし、その計時を開始させる(S110)。
ここで、漏洩判定間隔タイマによって計時するポンプ11の駆動のインターバルは、ステップS102~S109の間のポンプモータ12の駆動でポンプ11の下流側の燃料供給路内の燃料の圧力がポンプ11のリリーフ圧若しくはその近傍の値になっている静圧状態の燃料に、例えば、ポンプ11の下流側の燃料供給路に亀裂等の微細な漏れ箇所があった場合にそこから燃料が滲出等することで、微小の圧力降下が表れるような時間(例えば、2~3分)である。
そこで、制御装置23は、ステップS110で漏洩判定間隔タイマに所定停止時間の計時を開始させると、この間、漏洩判定間隔タイマが所定停止時間を計時したか否か(S111)、及びノズルスイッチ19からの検出信号に基づき給油ノズル17がノズル収納部18から取り出されたか否か(S112)を並行して監視する。
そして、制御装置23は、漏洩判定間隔タイマが所定停止時間を計時する前に、給油ノズル17がノズル収納部18から取り出されたことを検知すると(S112:YES)、実施例の場合は、漏洩検査の実行途中であるので、取り出された給油ノズル17のノズル収納部18への収納を指示する警報を出力する等の検査中断処理を行い(S312)、取り出された給油ノズル17がノズル収納部18に戻されて収納されたか否かをノズルスイッチ19からの検出信号に基づき監視する(S313)。制御装置23は、取り出された給油ノズル17がノズル収納部18に戻されたことを確認すると(S313:YES)、警報の出力を停止する等の検査再開処理を行い(S314)、ステップS111、S112で示した漏洩判定間隔タイマによる所定停止時間の計時を継続再開する。
これに対し、ステップS104~S106の監視において、制御装置23は、給油ノズル17がノズル収納部18から取り出されたことを検知すると(S106:YES)、この場合は、漏洩検査の実行途中であり、ポンプモータ12は漏洩検査のために駆動状態になっているので、ポンプモータ12の駆動を停止させる(S301)。また、制御装置23は、流量発信器14からの流量パルスの入力が一定時間ないことを計時する流量パルス出力間隔タイマの計時を停止させてそのカウント値をリセットしたり、取り出された給油ノズル17のノズル収納部18への収納を指示する警報を出力する等の検査中断処理を行い(S302)、取り出された給油ノズル17がノズル収納部18に戻されて収納されたか否かをノズルスイッチ19からの検出信号に基づき監視する(S303)。制御装置23は、取り出された給油ノズル17がノズル収納部18に戻されたのを確認すると(S303:YES)、流量発信器14からの流量パルスの入力が一定時間ないことを計時する流量パルス出力間隔タイマの計時を再開させ、警報の出力を停止する等の検査再開処理を行い(S304)、ポンプモータ12を駆動し(S305)、ステップS104~S106の監視を再開する。
一方、制御装置23は、ステップS105での流量発信器14からの流量パルスの入力が一定時間ないことの確認に基づき(S105:YES)、ポンプモータ12の駆動を停止して(S109)、ポンプ11の下流側の燃料供給路に大きな漏洩箇所が発生していないことが取り敢えず確認されると、ポンプ11の下流側の燃料供給路内の燃料が、例えばホース16の亀裂やシールの劣化等による微細な漏れ箇所から滲出等することで、ポンプ11の下流側の燃料供給路内の燃料の圧力に微小の圧力降下が生じているか否かを確認するための漏洩無し確認処理を行う。
この漏洩無し確認処理では、図5に示すように、制御装置23は、まず、ポンプモータ駆動回路24を介してポンプモータ12の駆動開始させるともに(S113)、流量発信器14から出力される流量パルスの出力間隔を計測するための流量パルス出力間隔タイマをゼロリセットして計時開始し、漏洩検査を実行開始する(S114)。
図5のステップS113,S114で漏洩確認処理が実行開始されると、制御装置23は、流量計13に付設された流量発信器14から単位流量毎の流れに対応して出力される流量パルスが入力されたか否か(S115)、流量発信器14からの流量パルスの入力が一定時間ないか(S116)、給油ノズル17がノズル収納部18から取り外しされたか否か(S117)を監視する。なお、ここで、図5のステップS113における、流量パルスの入力がないかを判定するための一定時間は、図4のステップS105における、流量パルスの入力がないかを判定のための一定時間と、時間の大きさを同じにすることも異ならせることも可能である。例えば、図4のステップS105における流量停止(瞬時流量ゼロ)判断のための一定時間の方を短く、図5のステップS113における流量停止判断のための一定時間の方を長くしておけば、図4のステップS105では迅速な流量停止判断を行うことができ、図5のステップS113では精緻な流量停止判断を行うことができる。
そして、制御装置23は、流量発信器14から流量パルスが入力されたことを検出すると(S115:YES)、漏洩検査の実行開始準備(S101)でゼロリセットしてある第2の漏洩判定流量カウンタV2のカウント値をインクリメントして(S118)、そのカウント値である第2の漏洩判定流量が第2の異常判定積算値βを超えているか否かを判定する(S119)。
制御装置23は、ステップS119の判定で、第2の漏洩判定流量が第2の異常判定積算値βを超えていない場合は、ステップS114に戻り、再び、流量パルス出力間隔タイマをゼロリセットして計時開始した後、また、ステップS115~S117の監視を繰り返し行う。
制御装置23は、第2の漏洩判定流量カウンタV2のカウント値が第2の異常判定積算値βを超えている場合には、ポンプモータ12の駆動を即座に停止させ(S202)、ポンプ11の下流側の燃料供給路からの燃料漏洩による異常が生じたことを示す警報を出力して(S203)、給油ノズル17を使用した燃料供給作業の受付を禁止状態にする(S204)。これにより、給油装置1では、例えば燃料供給作業を行うために給油ノズル17がノズル収納部18から取り出され、ノズルスイッチ19からその検出信号が入力されても、制御装置23は、ポンプ11の下流側の燃料供給路に燃料の漏洩が生じているとして、ポンプモータ12の駆動開始等を行わず、新たな給油作業を受け付けないようになる。
その上で、制御装置23は、漏洩検査処理を終了し、漏洩異常が発生していること(図5、S119:YES)に基づいて、図3に示したように、給油装置1の使用を禁止するため給油所係員等によって装置電源の切断指示が設定されたか否か(S032)、及び給油装置1の修理を行うためにメンテナンス作業者によってメンテナンス作業の実行開始が設定されたか否か(S033)を監視する。そして、制御装置23は、装置電源の切断指示が設定されると、電源切断時処理を行って終了し(S034)、メンテナンス作業が設定されるとメンテナンス作業モードに移行する。
一方、制御装置23は、図5に示したステップS115~S117の監視で、流量発信器14からの流量パルスの入力が一定時間ないことを検出すると(S116:YES)、ポンプモータ12の駆動を停止させる(S120)。本実施例では、流量発信器14からの流量パルスの入力が一定時間ないことを(S116:YES)、制御装置23は、図5のステップS114で計時を開始させた検査インターバルタイマが予め設定された所定時間を計時したか否かで判定する。この場合、所定時間は、ポンプ11から下流側の燃料供給路に流れる燃料の瞬時流量がゼロであると判定可能な時間に相当する。本実施例では、ステップS116での瞬時流量がゼロであることを判定するために使用される所定時間は、前述したステップS105でのポンプ11の下流側の燃料供給路内を漏洩の有無が確認できるような液圧状態になったことを判定するために使用される所定時間よりも長く設定されており、燃料供給路からの燃料の滲出等による僅かな漏洩にも対応可能になっている。
そして、制御装置23は、ステップS120でポンプモータ12の駆動を停止させると、ポンプ11の下流側の燃料供給路から燃料漏洩が生じていないことを示す正常確認を出力して(S121)、給油ノズル17を使用した燃料供給作業の受付を許容状態にして(S122)、漏洩検査処理を終了する。これにより、給油装置1では、図3に示したように、例えば、燃料供給作業を行うために給油ノズル17がノズル収納部18から取り出され、ノズルスイッチ19からその検出信号が入力されると(S009:YES)、制御装置23は、ポンプ11の下流側の燃料供給路に燃料の漏洩が生じておらず正常であるとして、ポンプモータ12の駆動開始等を行い、新たな給油作業を行い得るようになる(S009-S013)。
一方、制御装置23は、図5に示したステップS115~S117の監視において、給油ノズル17がノズル収納部18から取り出されたことを検知すると(S117:YES)、この場合は、漏洩検査の実行途中であり、ポンプモータ12は駆動状態になっているので、ポンプモータ12の所定時間の駆動を停止させ(S321)、流量発信器14からの流量パルスの入力が一定時間ないことを計時する流量パルス出力間隔タイマの計時を停止させ、取り出された給油ノズル17のノズル収納部18への収納を指示する警報を出力する等の検査中断処理を行い(S322)、取り出された給油ノズル17がノズル収納部18に戻されて収納されたか否かを、ノズルスイッチ19からの検出信号に基づき監視する(S323)。制御装置23は、取り出された給油ノズル17がノズル収納部18に戻されたのを確認すると(S323:YES)、流量発信器14からの流量パルスの入力が一定時間ないことを計時する流量パルス出力間隔タイマタイマの計時を再開させ、警報の出力を停止する等の検査再開処理を行い(S324)、ポンプモータ12を駆動状態に戻し(S325)、ステップS104~S106の監視を再開する。
これにより、本実施例の給油装置1では、装置の起動時(S002)、装置の起動後は、所定時間間隔を開けて定期的に(S006)、漏洩検査実行スイッチの操作に基づく所望のタイミングで(S007)、ポンプ11の下流側の燃料供給路について、図4,図5で示したような漏洩検査処理(S004)が行われる。
そして、その漏洩検査処理(S004)も、図4,図5で示したように、ステップS104及びS105による第1の漏洩判定流量カウンタV1のカウント値と第1の異常判定積算値αとの比較による第1の漏洩検出処理と、ステップS115及びS116による第2の漏洩判定流量カウンタV2のカウント値と第2の異常判定積算値βとの比較による第2の漏洩検出処理とが、漏洩判定間隔タイマの計時に基づくポンプ11の送液停止期間をおいて区別されて実施される構成になっている。これにより、ポンプ11の下流側の燃料供給路における漏洩箇所の大きさや数等に関係なく、検査時に生じる不要な燃料の漏洩やポンプモータ12の不要な駆動電力を抑制するようにして、正確、迅速な燃料漏洩検査が行える。
なお、本実施例の第2の漏洩判定では、ポンプ11の下流側の燃料供給路内を漏洩の有無が確認できるような液圧状態になった後、ポンプ11を再び駆動させて漏洩の有無を判定する構成としたが、これに限らず、ステップS111による所定間隔時間経過後、ポンプ11を再び駆動させずに、ポンプ11の下流側の燃料供給路に設けた圧力計の計測出力を基に、給油作業が行われていない状態のままで、ポンプ11の下流側の燃料供給路内の液圧変化(例えば、液圧が所定値以上の圧力降下速度で低下しているか否か、等)を監視することにより、漏洩の有無を判定してもよい。また、本実施例では、ポンプ11の下流側の燃料供給路内を漏洩の有無が確認できるような液圧状態にするためのポンプモータ12の駆動を漏洩判定のためのポンプモータ12の駆動と明確に区別し、かつ、ポンプ11の下流側の燃料供給路に亀裂等の微細な漏れ箇所があった場合でも、漏洩判定のためのポンプモータ12の駆動を開始するに当たって微小の圧力降下が表れるようにするために、ステップS111に示すように所定間隔時間の経過を計測するようにした。しかし、ポンプモータ12の駆動について、ポンプの下流側の燃料供給路の流路状態の違いにかかわらず両者を区別でき、両者それぞれの漏洩判定のための異常判定積算値α,βを設定できる構成だけをみれば、所定間隔時間の経過を待たずとも、漏洩の有無を判定するためのポンプ11の駆動を、ポンプ11の下流側の燃料供給路内を漏洩の有無が確認できるような液圧状態にするためのポンプモータ12の駆動に引き続き、インターバルをゼロ(インターバル無し)で行う構成とすることも可能である。
次に、図4,図5で示した漏洩検査処理の変形例として、図1に示すように、ポンプ11の下流側の燃料供給路内の燃料の圧力を計測するための圧力センサ25(図1参照)が設けられた給油装置1における漏洩検査処理の実施例について、図6、図7を参照しながら説明する。
本実施例の給油装置1では、図3において、前述した実施例のように、装置の起動時(S002)、装置の起動後は、所定時間間隔を開けて定期的に(S006)、漏洩検査実行スイッチの操作に基づく所望のタイミングで(S007)、ポンプ11の下流側の燃料供給路内の燃料の圧力が予め定められた所定値ΔPだけ低下したのを検知して、図6、図7に示した漏洩検査処理を、制御装置23は実行する構成になっている。
そのために、本実施例の給油装置1では、図3において括弧書きで示したように、制御装置23は、供給対象に対する給油作業を終了すると(S013)、圧力センサ25からポンプ11の下流側の燃料供給路内における現在の燃料の圧力値Pcを読み込み、ポンプ11の下流側の燃料供給路内における、給油作業が終了した直後の比較基準圧力値Pbとして、次回、ポンプ11が駆動されるときまで(例えば、次回の給油作業でポンプ11が駆動され、待機状態で漏洩検査のためにポンプ11が駆動されるときまで)、記憶保持するようになっている(S014)。
そして、本実施例の給油装置1では、給油作業が行われていない待機状態で、制御装置23は、この比較基準圧力値Pbを基にして、図6、図7に示した漏洩検査処理を行うようになっている。図6、図7に示した漏洩検査処理は、図4、図5で示した漏洩検査処理の、別の実施例に係るものである。
図6は、本実施例の給油装置で行われる漏洩検査処理のフローチャートの一部分である。
図7は、本実施例の給油装置で行われる漏洩検査処理のフローチャートの残り部分である。
本実施例の漏洩検査処理は、給油作業が行われていない待機状態の間に、制御装置23が予め定期的に実行する漏洩検査タイミングで行われる。
図6に示すように、漏洩検査処理では、その処理を開始するに当たって、制御装置23は、まず、漏洩検査の実行開始準備を行う(S501)。本実施例では、漏洩検査の実行開始準備として、制御装置23は、漏洩判定流量カウンタV1をゼロリセットするとともに、予めポンプ11の下流側の燃料供給路の構成(例えば、供給路長さ、供給路構成部材、設置環境等)に応じて設定されている第1の異常判定積算値α、第1の異常判定圧力下降値(第1の所定圧力値)ΔPα、及び第2の異常判定圧力下降値ΔPβ(第2の所定圧力値)を読み出す。
そして、前回の給油作業が終了した直後におけるポンプ11の下流側の燃料供給路内の燃料の圧力値である比較基準圧力値Pbを読み出すとともに、圧力センサ25からポンプ11の下流側の燃料供給路内における現在の燃料の圧力値Pcを読み込み(S502)、両者の圧力差、すなわち、ポンプ11の下流側の燃料供給路内における現在の燃料の圧力に係り、前回の給油作業が終了した直後からの圧力変化ΔP=Pb-Pcを演算する(S503)。
その上で、制御装置23は、圧力変化ΔPが第1の異常判定圧力下降値ΔPαよりも小さいか否かを判別し(S504)、圧力変化ΔPが第1の異常判定圧力下降値ΔPαよりも小さいときには(S504:YES)、ポンプ11の下流側の燃料供給路内の燃料の圧力は、前回の給油作業が終了した直後とほとんど変わりなく、ポンプ11の下流側の燃料供給路には漏洩箇所は生じていないものとして、今回の漏洩検査タイミングでの漏洩検査処理を終了する。これに対し、制御装置23は、圧力変化ΔPが第1の異常判定圧力下降値ΔPαよりも大きいときには(S504:NO)、ステップS505以下の漏洩検査処理を続行する。
この場合、第1の異常判定圧力下降値ΔPαの大きさは、予め、ポンプ11の下流側の燃料供給路に漏洩箇所が無い正常状態で、外部環境の変化に基づいてポンプ11の下流側の燃料供給路に膨張が起きて内部の燃料液圧が減圧変化した場合の最大変化値よりも小さな値に設定されている。
そして、制御装置23は、圧力変化ΔPが第1の異常判定圧力下降値ΔPαよりも大きいときには(S504:NO)、漏洩検査処理の続行に当たって、まず、ポンプ11の下流側の燃料供給路内の燃料の圧力をこの圧力変化ΔP分だけ上昇させるために必要なポンプモータ12の駆動時間が設定されているポンプ駆動タイマをリセットスタートし(S505)、ポンプモータ12を駆動開始する(S506)。
図6のステップS505,S506で漏洩検査の続行が実際に開始されると、制御装置23は、流量計13に付設された流量発信器14から単位液量毎の流れに対応して出力される流量パルスが入力されているか否か(S507)、ポンプ駆動タイマが所定時間を計時したか否か(S508)、給油ノズル17がノズル収納部18から取り外しされたか否か(S509)を監視している。
ここで、制御装置23は、流量発信器14から流量パルスが入力されたことを検出すると(S507:YES)、漏洩検査の実行開始準備(S501)でゼロリセットしてある漏洩判定流量カウンタV1のカウント値をインクリメントして(S510)、そのカウント値が示す第1の漏洩判定流量V1が第1の異常判定積算値αを超えているか否かを判定する(S511)。
そして、制御装置23は、ステップS511の判定で第1の漏洩判定流量V1が第1の異常判定積算値αを超えていない場合は、ステップS507~S509の監視をまた繰り返し行う。しかしながら、漏洩判定流量カウンタV1のカウント値である第1の漏洩判定流量が第1の異常判定積算値αを超えた場合には、制御装置23は、ポンプモータ12の駆動を即座に停止させ(S601)、図7に示すように、ポンプ11の下流側の燃料供給路からの燃料漏洩による異常が生じたことを示す警報を出力して(S603)、給油ノズル17を使用した燃料供給作業の受付を禁止状態にする(S604)。これにより、給油装置1では、その後、燃料供給作業を行うために給油ノズル17がノズル収納部18から取り出され、ノズルスイッチ19からその検出信号が入力されても、制御装置23は、ポンプ11の下流側の燃料供給路に燃料の漏洩が生じているとして、ポンプモータ12の駆動開始等を行わず、新たな給油作業を受け付けないようになる。
この場合、制御装置23は、その後、漏洩異常が発生していること(図6、S511:YES)に基づいて、図3に示したように、給油装置1の使用を禁止するため給油所係員等によって装置電源の切断が指示されたか否か(S032)、及び給油装置1の修理を行うためメンテナンス作業者によってメンテナンス作業が指示されたか否か(S033)を監視することなる。
一方、制御装置23は、図6に示したステップS507~S509の監視で、ポンプ駆動タイマが所定時間を計時したことを検出すると(S508:YES)、ポンプモータ12の駆動を停止させる(S513)。本実施例では、ポンプ駆動タイマの計時終了は、ポンプ11から下流側の燃料供給路に実際に供給される燃料の瞬時流量がゼロであること、すなわち、ポンプ11の下流側の燃料供給路内の燃料の圧力が、圧力変化ΔPを解消するようにΔP又はΔP近傍の値分だけ、ステップS502で読み込んだ現在の燃料の圧力値Pcが上昇したことに該当する。
そして、制御装置23は、ステップS513でポンプモータ12の駆動を停止させると、図7においてステップS514以降で示した、ポンプ11から燃料が送出されていない静圧状態での、ポンプ11の下流側の燃料供給路の漏洩検査処理を行う。
また、制御装置23は、図6に示したステップS507~S509の監視で、ステップS508でポンプ駆動タイマが所定時間を計時したことを検出する前に、給油ノズル17がノズル収納部18から取り出されたことを検知すると(S509:YES)、この場合は漏洩検査の実行途中であり、ポンプモータ12も駆動状態になっているので、ポンプモータ12の所定時間の駆動を一旦停止させ(S701)、ポンプ駆動タイマの計時を停止させて、取り出された給油ノズル17のノズル収納部18への収納を指示する警報を出力する等の検査中断処理を行う(S702)。その後、制御装置23は、取り出された給油ノズル17がノズル収納部18に戻されて収納されたか否かをノズルスイッチ19からの検出信号に基づき監視する(S703)。制御装置23は、取り出された給油ノズル17がノズル収納部18に戻されたのを確認すると(S703:YES)、ポンプ駆動タイマの計時を再開・継続させ、警報の出力を停止する等の検査再開処理を行うとともに(S324)、ポンプモータ12を駆動状態に戻して(S705)、ステップS507~S509の監視を再開する。
一方、図7における、ステップS514以降で示した、ポンプ11から燃料が送出されていない静圧状態での、ポンプ11の下流側の燃料供給路の漏洩検査処理では、制御装置23は、ステップS513でポンプモータ12の駆動を一旦停止させると、現在のポンプ11の下流側の燃料供給路内における燃料の圧力、すなわちポンプモータ12の駆動を一旦停止させた直後のポンプ11の下流側の燃料供給路内における燃料の圧力を圧力センサ25から読み込み、比較基準圧力値Pbを更新する(S514)。そして、制御装置23は、この状態でのポンプ11の下流側の燃料供給路において、漏洩箇所が有るか否かを監視するための監視時間を規定する圧力監視タイマをリセットし、その計時を開始させる(S515)。
ここで、圧力監視タイマによって計時する監視時間は、ステップS506~S513の間のポンプモータ12の駆動でポンプ11の下流側の燃料供給路内の燃料の圧力がポンプ11のリリーフ圧若しくはその近傍の値になっている静圧状態の燃料に、例えば、ポンプ11の下流側の燃料供給路に亀裂等の微細な漏れ箇所があった場合に、ポンプ11の下流側の燃料供給路内の燃料がその微細な漏れ箇所に滲出等することで、微小の圧力降下が起きるような時間(例えば、2~3分)である。
その上で、制御装置23は、圧力監視タイマの計時が規定の監視時間(例えば、2~3分)内における予め定められた圧力監視タイミングになったか否か(S516)、圧力監視タイマが規定の監視時間を計時したか否か(S517)、及びノズルスイッチ19からの検出信号に基づき給油ノズル17がノズル収納部18から取り出されたか否か(S518)、を監視する。
制御装置23は、ステップS516~S518の監視で、圧力監視タイマの計時が規定の監視時間(例えば、2~3分)内における予め定められた圧力監視タイミングになったことを検出すると(S516:YES)、ステップS513でポンプモータ12の駆動を停止させた直後のポンプ11の下流側の燃料供給路内における燃料の圧力である比較基準圧力値Pbを読み出すとともに、圧力センサ25からポンプ11の下流側の燃料供給路内における現在の燃料の圧力値Pcを読み込み(S519)、両者の圧力差、すなわち、ポンプ11の下流側の燃料供給路内における現在の燃料の圧力に係り、ステップS513でポンプモータ12の駆動を停止させた直後からの圧力変化ΔP=Pb-Pcを演算する(S520)。
そして、制御装置23は、圧力変化ΔPが第2の異常判定圧力下降値ΔPβよりも小さいか否かを判別し(S521)、圧力変化ΔPが第2の異常判定圧力下降値ΔPβよりも小さいときには(S521:YES)、ポンプ11の下流側の燃料供給路内の燃料の圧力は、ステップS513でポンプモータ12の駆動を停止させた直後とほとんど変わりないものとして、ステップS516~S518の監視を繰り返す。これに対し、制御装置23は、圧力変化ΔPが第2の異常判定圧力下降値ΔPβよりも大きいときには(S521:NO)、ポンプ11の下流側の燃料供給路からの燃料漏洩による異常が生じたことを示す警報を出力して(図7、S603)、給油ノズル17を使用した燃料供給作業の受付を禁止状態にする(S604)。これにより、給油装置1では、その後、燃料供給作業を行うために給油ノズル17がノズル収納部18から取り出され、ノズルスイッチ19からその検出信号が入力されても、制御装置23は、ポンプ11の下流側の燃料供給路に燃料の漏洩が生じているとして、ポンプモータ12の駆動開始等を行わず、新たな給油作業を受け付けないようになる。
また、制御装置23は、図7に示したステップS516~S518の監視で、ステップS517で圧力監視タイマの計時が規定の監視時間(例えば、2~3分)を計時したことを検出すると(S517:YES)、ポンプ11の下流側の燃料供給路内の燃料の圧力は、この規定の監視時間の間、ステップS513でポンプモータ12の駆動を一旦停止させた直後と変わらず、ポンプ11の下流側の燃料供給路には、燃料の滲出等が起きるような微細な漏れ箇所もないことを確認する。そして、制御装置23は、ポンプ11の下流側の燃料供給路から燃料漏洩が生じていないことを示す正常確認を出力して(S522)、給油ノズル17を使用した燃料供給作業の受付を許容状態にして(S523)、漏洩検査処理を終了する。これにより、給油装置1では、図3に示したように、例えば燃料供給作業を行うために給油ノズル17がノズル収納部18から取り出され、ノズルスイッチ19からその検出信号が入力されると(S009:YES)、制御装置23は、ポンプ11の下流側の燃料供給路に燃料の漏洩が生じておらず正常であるとして、ポンプモータ12の駆動開始等を行ない、新たな給油作業を行い得るようになる(S009-S013)。
また、制御装置23は、図7に示したステップS516~S518の監視で、ステップS518でポンプ駆動タイマが所定時間を計時したことを検出する前に、給油ノズル17がノズル収納部18から取り出されたことを検知すると(S518:YES)、実施例の場合は、漏洩無し確認の実行途中であり、取り出された給油ノズル17のノズル収納部18への収納を指示する警報を出力する等の検査中断処理を行い(S712)、取り出された給油ノズル17がノズル収納部18に戻されて収納されたか否かをノズルスイッチ19からの検出信号に基づき監視する(S713)。制御装置23は、取り出された給油ノズル17がノズル収納部18に戻されたことを確認すると(S713:YES)、警報の出力を停止する等の検査再開処理を行い(S314)、ステップS516~S518で示した監視処理を継続再開する。
これにより、本実施例の給油装置1でも、装置の起動時(S002)、装置の起動後は、装置の起動時(S002)、所定時間間隔を開けて定期的に(S006)、漏洩検査実行スイッチの操作に基づく所望のタイミングで(S007)、ポンプ11の下流側の燃料供給路について、図6,図7で示したような漏洩検査処理(S004)が行われる。
そして、その漏洩検査処理(S004)も、図6,図7で示したように、ステップS507-S511による第1の漏洩検出処理と、ステップS516-S521による第2の漏洩検出処理とが実施される構成になっている。これにより、ポンプ11の下流側の燃料供給路における漏洩箇所の大きさや数等に関係なく、検査時に生じる不要な燃料の漏洩やポンプモータ12の不要な駆動電力を抑制するようにした燃料漏洩検査が行える。
なお、本開示に係る燃料供給システムは、図1に示した地上設置式の給油装置に限らず、例えば懸垂式の給油装置等、各種燃料の燃料供給装置に適用に可能である。
また、上述した実施例では、給油ノズル17の操作による給油作業が行われていないときにポンプ11を駆動し、その後、ポンプ11の下流側の燃料供給路に供給される燃料の瞬時流量がゼロになったときはポンプ11の駆動を停止すること、又は、ポンプ11の下流側の燃料供給路内の液圧状態が比較基準圧力値Pbから所定圧力値ΔPαだけ低下した状態になったときに予め設定されている所定時間だけポンプ11を駆動することにより、ポンプ11の下流側の燃料供給路内が漏洩の有無が確認できる液圧状態の燃料によって充満された状態になったときに、ポンプ11の駆動を一旦停止させる構成とした。しかし、そのための、ポンプの下流側の燃料供給路の流路状態の違いにかかわらず、ポンプの下流側の燃料供給路内を漏洩の有無が確認できるような液圧状態にするためのポンプモータの駆動を、燃料漏洩検査において確認区別するための構成は、上述した実施例の構成に限定されるものではない。
また、上述した実施例では、ポンプ11の下流側の燃料供給路の液圧状態が漏洩の有無が確認できる状態になってポンプ11の駆動を完了させた後の、ポンプ11の下流側の燃料供給路の具体的な漏洩の有無についての判定は、ポンプ11を再び駆動した際における給油ノズル17へ供給される燃料の瞬時流量に応じて判定したり、ポンプ11を再び駆動することなしにポンプ11の下流側の燃料供給路の圧力変化に応じて判定する構成とした。しかし、ポンプ11の下流側の燃料供給路の液圧状態が漏洩の有無が確認できる状態になってポンプ11の駆動が完了した後の、ポンプ11の下流側の燃料供給路の具体的な漏洩の有無についての判定構成は、上述した実施例の具体的な構成に限定されるものではない。すなわち、ポンプ11の下流側の燃料供給路内が漏洩の有無が確認できる液圧状態の燃料によって充満された状態にした後に行われる、ポンプ11の下流側の燃料供給路の漏洩の有無についての判定構成の組み合せは、上述した実施例されず、様々な組み合せが可能である。
以上、本開示の燃料供給システムによれば、ポンプの下流側の燃料供給路についての燃料漏洩検査を行うに当たり、ポンプの下流側の燃料供給路内を漏洩の有無が確認できるような液圧状態にするためのポンプモータの駆動を区別したので、燃料漏洩検査のためのポンプモータの駆動時間をでき得る限り短くして、検査時に生じる不要な燃料の漏洩やポンプモータの不要な駆動電力消費を抑制し、かつ漏洩判定を正確、迅速に行える。