JP7228449B2 - ボールジョイントのボールシート固定構造 - Google Patents

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本発明は、車両の路面からの衝撃軽減等の役割を果たすサスペンションにおけるボールジョイントのボールシート固定構造に関する。
車両のサスペンションは、路面から車体に伝わる衝撃を軽減し、スタビライザは、車体のロール剛性(捩れに対する剛性)を高める。このサスペンションとスタビライザは、スタビリンクを介して連結されている。スタビリンクは、棒状のサポートバーの両端にボールジョイントを備えて構成されている。
図26に示すように、ボールジョイントJとして、金属製のカップ状のハウジング11内に、樹脂製のボールシート12を介して金属製のボールスタッド10のボール部10bを回転自在に収容(包含)した構成がある。
ボールスタッド10は、棒状のスタッド部10sの一端に球状のボール部10bが一体に連結された構造となっている。スタッド部10sには、雄ねじ10nが螺刻されており、この雄ねじ10nよりも先端側(ボール部10b側)に、周回状に拡がる鍔部10a1と小鍔部10a2とが離間して形成されている。鍔部10a1とハウジング11の上端部との間には、ダストカバー13が配設されている。ダストカバー13におけるハウジング11の上端部への接続部分には、鉄リンク13aが圧入固定されている。
ハウジング11の外周面には、金属製のサポートバー1aが固定されている。サポートバー1aを水平線Hに沿って水平とした際に、ボールスタッド10の軸芯が水平線Hに対して垂直線Vで示す垂直となるように構成されている。
ボール部10bを包含するボールシート12は、ハウジング11の上端部11aを折り曲げ、この折り曲げられた上端部11aで、C型ストッパリング14(リング14ともいう)を介して上方から下方へ向かってカシメられ、押圧固定されている。ボールシート12の上端部は、平坦面から内周側に傾斜するテーパ面を有する形状となっている。リング14は、ボールシート12の上端部を被覆する平坦面とテーパ面14aを有する形状となっている。テーパ面14aの傾斜角は、ボールスタッド10が揺動(矢印α1)した際に、ボールスタッド10の揺動角を満たす角度となっている。
ハウジング11の内面は、断面形状の縦壁がストレート形状となっており、この内面にボールシート12が収容されている。ボールシート12の内面は、ボール部10bの球状に沿った球形湾曲面12aの形状となっている。球形湾曲面12aをボールシート内球面12a又は内球面12aともいう。このような構成のボールジョイントとして、例えば特許文献1~3に記載のものがある。
ボールジョイントJでは、車両のサスペンションがストロークするに伴い、ボール部10bとボールシート内球面12aとが揺摺動するが、この揺摺動する際の特性が、揺動トルク及び回転トルク(各トルクともいう)と定義づけられる。ボール部10bの回転時の内球面12aへの摩擦力が増加して各トルクが高まると、乗り心地が悪化する。
ハウジング11内のボール部10bに対するボールシート12の締め代を減少させると、各トルクを下げることができるが、同時に弾性リフト量が上がる。弾性リフト量とは、ハウジング11内のボールシート12を介したボール部10bの移動量である。弾性リフト量が大きくなると、ボール部10bがハウジング11内でボールシート12を介して大きく移動し、ボールジョイントJにガタが発生し、車両走行中の異音の発生に繋がる。つまり、各トルクと弾性リフト量との間には、各トルクが低下すると、弾性リフト量が増大するといった相反関係がある。
特表2009-536122号公報 特許3168229号公報 特許3369659号公報
ボールジョイントJの製造工程においてハウジング11の上端部11Aでリング14を介してボールシート12を押さえているが、ハウジング11をカシメる際に、成形の都合上、カシメ工程が三段階となるため、タクトタイムが長くなり、ボールジョイントJの製造コストが高くなる問題があった。
本発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、リングを固定する工程を、短いタクトタイムで可能とし、コストを下げることができるボールジョイントのボールシート固定構造を提供することを課題とする。
前記した課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、構造体に一端部が連結されるスタッド部の他端部に、金属製の球体部が一体に接合されて成るボールスタッドと、当該ボールスタッドの球体部を揺動及び回転可能に支持し一方が開口した空間を有する金属製のハウジングと、当該ハウジングと前記球体部との間に介在される樹脂製のボールシートとを有し、当該ボールシートに覆われた前記球体部が前記ハウジングで包含されるボールジョイントのボールシート固定構造であって、前記ハウジングの開口端部の内側で且つ前記ボールシートの上に、当該開口端部よりも突出してセットされるリングを備え、前記リングと前記ハウジングとの境界の隅部がレーザ溶接で溶接固定されて成ることを特徴とするボールジョイントのボールシート固定構造である。
この構成によれば、ハウジング内のボールシート上のリングが外側のハウジングよりも突出しているので、ハウジングの外側からレーザ溶接を行い易くなる。また、ボールシート上のリングがハウジングよりも突出しているので、リングを上から押圧してボールシートを適正に圧縮することを容易にできる。レーザ溶接では短時間で溶接を行うことができる。これらの利点から、リングを固定する工程を、短いタクトタイムで可能とし、コストを下げることができる。
請求項2に係る発明は、前記リングは、一体に連続した環状を成すことを特徴とする請求項1に記載のボールジョイントのボールシート固定構造である。
この構成によれば、リングが一体に連続した環状であるため、加工時に歪み難く、形状及び寸法を安定させて加工することができる。また、従来のC形状のリングに比べ溶接時にリングの歪が生じ難くなる。
請求項3に係る発明は、前記リングの内径は、前記球体部の球径よりも大きいことを特徴とする請求項2に記載のボールジョイントのボールシート固定構造である。
この構成によれば、リングを球体部の下方側から挿通して上側に移動できる。このため、球体部に挿通されたリングをハウジング内に容易に載置できる。
請求項4に係る発明は、前記リングは、隙間が形成されたC形状を成すことを特徴とする請求項1に記載のボールジョイントのボールシート固定構造である。
この構成によれば、ボールスタッドの球体部が固定される先端のくびれた首部から、リングの隙間を通してボールシート上にセットできるので、セットが容易となる。
請求項5に係る発明は、前記リングの内径は、前記球体部の球径よりも小さいことを特徴とする請求項4に記載のボールジョイントのボールシート固定構造である。
この構成によれば、ボール部の球形が、この上のC形状のリングの内径よりも大きいので、レーザ溶接されたリングから、上方へ引っ張られるボール部が抜けない様にできる。
請求項6に係る発明は、前記ボールシートは、当該ボールシートの上端面に、前記リングの隙間に嵌合される凸部を備えることを特徴とする請求項4又は5に記載のボールジョイントのボールシート固定構造である。
この構成によれば、リングの隙間にボールシートの凸部を嵌合してセットすれば、リングの隙間が無くなるので、ボールスタッドが揺動した際に隙間を抜けてハウジングの内周面まで傾き、ボールスタッドが必要以上に(又は不適正に)傾いてしまうことを防止できる。
請求項7に係る発明は、前記ボールシートの凸部は、前記ハウジングの内部に組み込まれた当該ボールシート上の前記リングと、当該ハウジングとのレーザ溶接により下方に延びる溶込深さよりも深い位置に、当該凸部の上端面が位置する高さを備えることを特徴とする請求項6に記載のボールジョイントのボールシート固定構造である。
この構成によれば、ボールシートの凸部の上端面は、ハウジング内に組み込んだ際に、レーザ溶接で溶けない距離離間する高さとなっているので、レーザ溶接によるボールシートの溶融を防止できる。
請求項8に係る発明は、前記リングは、当該リングの内周面に予め定められた角度で傾斜するテーパ面を備え、前記ボールシートの凸部は、当該凸部の内周側に、前記リングのテーパ面と面一となるテーパ面を備えることを特徴とする請求項6又は7に記載のボールジョイントのボールシート固定構造である。
この構成によれば、リングとボールシート凸部との面一となる双方のテーパ面の角度を、ボールスタッドの予め定められた揺動角を満たす角度に設定すれば、ボールスタッドを予め定められた揺動角で適正に揺動できる。
請求項9に係る発明は、前記ボールシートの凸部は、当該凸部の外周面が前記ハウジングの内周面から径方向にレーザ溶接で溶けない距離離間していることを特徴とする請求項6~8の何れか1項に記載のボールジョイントのボールシート固定構造である。
この構成によれば、ボールシートの凸部をリングの隙間に嵌合してボールシートをセット後に、リングとハウジングとをレーザ溶接した際に、レーザ溶接の熱が凸部に届かない距離離間しているので、レーザ溶接によるボールシートの溶融を適正に防止できる。
請求項10に係る発明は、前記ハウジングの開口端部の内周に所定角度の第1テーパ形状部を設け、前記リングの外周下端部に、前記第1テーパ形状部と同じ角度で、当該第1テーパ形状部に当接可能な第2テーパ形状部を設けたことを特徴とする請求項1~9の何れか1項に記載のボールジョイントのボールシート固定構造である。
この構成によれば、リングをハウジング内に、第1テーパ形状部が第2テーパ形状部に当接する状態に満遍なく当接する状態にセットできるので、リングの中心に向かう求心力が働き(求心効果)、リングとハウジングとの同軸が保証される。このため、リングがガタつかなくなる。
請求項11に係る発明は、前記リングは、前記ハウジング内に前記第1テーパ形状部が前記第2テーパ形状部に当接してセットされた際に、当該ハウジングの上端より所定高さ突き出る高さを有することを特徴とする請求項10に記載のボールジョイントのボールシート固定構造である。
この構成によれば、リングをハウジング内に載置した際に、リングがハウジングから突き出ているので、載置されたリングを下方側に押し込んで容易にセットすることができる。リングを押圧子で押圧する際に、押圧子の位置がハウジングよりも高いので、押圧子がハウジングと接触や干渉しないようにできる。
本発明によれば、リングを固定する工程を、短いタクトタイムで可能とし、コストを下げるボールジョイントのボールシート固定構造を提供することができる。
本発明に係る実施形態のボールジョイントの縦断面図である。 第1及び第2実施形態のハウジングの断面図である。 第1実施形態のO形状のストッパリングの平面図である。 図3のIV-IV断面図である。 第1実施形態のハウジングとストッパリングの境界を全周溶接した状態を示す平面図である。 第1実施形態のハウジングとストッパリングの境界を断続溶接した状態を示す平面図である。 第1実施形態のハウジングとストッパリングの境界をパルス溶接した状態を示す平面図である。 第1実施形態のレーザ溶接によるハウジングとストッパリングの境界の溶込深さを示す断面図である。 本発明に係る第2実施形態のボールジョイントの縦断面図である。 第2実施形態のストッパリングの平面図である。 図10のX-X断面図である。 第2実施形態のCリングの斜視図である。 第2実施形態のハウジングとCリング境界を全周溶接した状態を示す平面図である。 第2実施形態のハウジングとCリングの境界を断続溶接した状態を示す平面図である。 第2実施形態のハウジングとCリングの境界をパルス溶接した状態を示す平面図である。 第2実施形態のボールジョイントにおけるボールシートの第1変形例の構成を示す斜視図である。 ハウジング内に挿入されたボールシートの上にCリングを載置した場合の構成を示す斜視図である。 図17に示すハウジング、Cリング及びボールシートの組合せ構成の平面図である。 図17のV-V断面図である。 第2実施形態のボールジョイントにおけるボールシートの第2変形例の構成を示す斜視図である。 ハウジング内に挿入されたボールシートの上にCリングを載置した場合の構成を示す斜視図である。 図21に示すハウジング、Cリング及びボールシートの組合せ構成の平面図である。 図21のVII-VII断面図である。 Cリングの他の形状を示す断面図である。 ハウジングの他の形状を示す断面図である。 従来のボールジョイントの縦断面図である。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明に係る実施形態のボールジョイントの縦断面図である。図1において図26に示した構成要素と同一部分には同一符号を付し、その説明を適宜省略する。
図1に示す第1実施形態のボールジョイントJ1が、従来のボールジョイントJ(図26)と異なる点は、ハウジング21内のボール部10bに対するボールシート22の締め代が適正となるように、環状(O形状)のストッパリング(Oリングともいう)24でボールシート22を押圧してセットし、このセット状態で、当該Oリング24をハウジング21の上端部にレーザ溶接で固定したことにある。レーザ溶接は、図示せぬダイオードレーザ溶接装置等のレーザ溶接装置を用いて行う。上記環状とは、一体に連続した環状、又は幅狭のスリットが入った環状をいう。
また、上記適正な締め代とは、車両の乗り心地が向上するように揺動トルク及び回転トルクを低下させ、ボールジョイントJ1にガタが発生しないように弾性リフト量を小さくできる締め代のことである。この適正な締め代となるように、Oリング24でボールシート22を押圧して圧縮するセットを行い、このセットされたOリング24をハウジング21にレーザ溶接するようにした。本明細書に記載の「セット」の表現は、全てが上記セットと同じ意味を成す。
ボールジョイントJ1のハウジング21、ボールシート22及びOリング24の形状は、従来のボールジョイントJ(図26)のハウジング11、ボールシート12及びストッパリング14と後述のように異なる。なお、第1実施形態のボールジョイントJ1は、特徴構成を認識し易くするため、ダストカバー13を省略してある。また、ボールジョイントJ1のスタッド部10sは、図示せぬサスペンション又はスタビライザに固定されている。サスペンション又はスタビライザは、請求項記載の構造体を構成する。
ハウジング21は、鉄板等の金属板がプレス成形又は冷鍛によって、図2の断面図に示すようにカップ形状に成形されている。ハウジング21の開口側の開口端部21aは、開口端部21aの下側の胴部21bの板厚Tよりも、薄い板厚tとなっている。各板厚T,tは、次式(1)で示すサイズとするのが好ましい。

0.3≦t/T≦0.85 …(1)
開口端部21aの板厚tと、胴部21bの板厚Tとの間のハウジング21内面は、テーパ形状の段差部(テーパ段差部)P1となっている。このテーパ段差部P1をテーパ形状部(第1テーパ形状部)P1とも称す。テーパ形状部P1のテーパ角度θ1は、ハウジング21の加工性と後述する求心効果とのバランスを適正に保持するために、次式(2)で示す大きさとなっている。但し、テーパ角度θ1は、図1に示す水平線Hに対するハウジング21におけるテーパ形状部P1の傾斜角度である。

30°≦θ1≦60° …(2)
図3はOリング24の平面図、図4は図3に示すOリング24のIV-IV断面図である。
図4に示すOリング24の外周下端部は、ハウジング21のテーパ形状部P1と同じテーパ角度θ1のテーパ形状部(第2テーパ形状部)P2となっている。図3に示すOリング24の内径(リング内径)R1は、図1に示すボール部10bの球径(ボール球径)R3より僅かに大きいサイズとなっている。例えば、ボール球径R3がφ16.0の場合、リング内径R1はφ16.1となっている。このサイズは、Oリング24をボール部10bの下方側から挿入し、ボール部10bの上側に移動させるために定めたものである。
図3に示すリング外径R2は、ハウジング21の開口端部21aの内側にOリング24が挿入可能なサイズとなっている。図1に示すように、Oリング24をハウジング21内のボールシート22上に載置した際に、Oリング24の外周面とハウジング21の内周面との径方向のギャップが、0.25mm以下となるリング外径R2が好ましい。このギャップサイズは、レーザ溶接時のレーザスポット径や、溶接個所面積の制約によって定まる。
ハウジング21内にボールシート22を載置した場合、ボールシート22の上端がハウジング21の開口端部21aから突出するようになっている。このOリング24をボールシート22上に載置した状態では、Oリング24のテーパ形状部P2がハウジング21のテーパ段差部P1と上下に離間状態となる。
この上下離間状態で、Oリング24を上から押圧することでボールシート22が圧縮され、Oリング24のテーパ形状部P2がテーパ段差部P1に当接してこれ以上、下がらないセット状態となる。このセット状態は、Oリング24をやや押圧してボールシート22が前述した適正な締め代となれば、テーパ形状部P2がテーパ段差部P1に当接しなくてもよい。つまり、Oリング24がボールシート22上に載置された位置と、テーパ形状部P2がテーパ段差部P1に当接する位置との間の高さ位置で、ボールシート22の適正な圧縮が可能となっている。
また、Oリング24を上から押圧した際に、テーパ形状部P2がテーパ段差部P1に当接するとこれ以上、下がらないので、ボールシート22のオーバー圧縮を防止可能となっている。
図4に示すOリング24の下面24aから上面24bまでの高さh1は、図1に示すようにOリング24をハウジング21内に載置した際に、Oリング24がハウジング21の上端21c(図2)から僅かに突き出る高さとなっている。この高さh1は、載置されたOリング24を下方側に押し込んでセットした場合も、僅かに突き出る高さとする。このセット後のOリング24が突き出る高さは、後述のレーザ溶接のために0.05mm以上であることが好ましい。
また、ハウジング21のテーパ段差部P1にOリング24のテーパ形状部P1が当接した場合、Oリング24の中心に向かう求心力が働き(求心効果)、Oリング24とハウジング21との同軸が保証される。このため、Oリング24がガタつかなくなる。
図4に示すOリング24は、ハウジング21内へのセット状態で垂直線V(図1)に対して角度θ2で傾斜するテーパ面24cを、Oリング内周側に有する。このテーパ面24cの傾斜角θ2は、図1に示すボールスタッド10が揺動(矢印α1)した際に、ボールスタッド10の揺動角を満たす角度となる。
次に、図1に示すOリング24をハウジング21内にセットした後、矢印Y1で示すように、Oリング24とハウジング21が当接した境界の隅部をレーザ溶接する。
レーザ溶接は、ハウジング21の中央にボールスタッド10が立設するので、ハウジング21の内側からは適正に行えず、このため外側から行うようになっている。この外側からのレーザ溶接を行い易くするため、外側のハウジング21が内側のOリング24よりも低くなっている。この高さ関係によって、Oリング24を押圧子(図示せず)で押圧する際に、押圧子の位置がハウジング21よりも高いので、押圧子のハウジング22への接触や干渉を防止可能となっている。
レーザ溶接の温度は、ハウジング21の素材の融点以上とする。その素材が例えば鉄である場合、鉄の融点以上(1300℃以上)とする。レーザ溶接は、アーク溶接のようにスパッタが出ず、タクトタイムも早いといった利点がある。
レーザ溶接は、ハウジング21を回転させながら後述のように全周、断続的、パルス状等で行う。図5にOリング24とハウジング21の境界を太線で示す全周溶接31した状態を示す。図6に上記境界を断続的に溶接(断続溶接)32した状態、図7に上記境界をパルス状に溶接(パルス溶接)33した状態を示す。断続溶接32又はパルス溶接33は、レーザ溶接装置のレーザ出力を断続的又はパルス状にして行う。
図8にレーザ溶接による境界の溶け込みの深さ(溶込深さ)d1を示す。溶込深さd1は、Oリング24の下側の樹脂製ボールシート22がレーザ溶接時の電熱量によって変形や溶解しない適正な深さとする。この適正な溶込深さd1とするために、レーザ溶接の強度を調整する。また、レーザ溶接では、ボールシート22の素材、Oリング24の高さ(即ち電熱距離)に応じて溶込深さd1の限界が決まる。更に、レーザ溶接は、ハウジング21を高速回転もしくはレーザー出力側の高速移動により行うため、単位時間当たりの熱量が少なく、ボールシート22への熱影響が軽減される。
必要な破壊荷重(Oリング24が外れない強度)を満足するために全周溶接が必要な溶け込み深さを仮にd1とした場合、溶け込み深さをd1の1.5倍にすれば、必要な溶接長さは2/3周、d1の2倍とすれば1/2周で済む。あまりに深いと樹脂製ボールシート22に影響が生じる。
このため、レーザ溶接は、ボールシート22とOリング24の接触面積が変わらないことを前提に、溶込深さd1×溶込み長さ(全周、断続的、パルス状等の平面長さ)が、必要な破壊荷重を満たせば如何なる溶接形態も可能である。
<第1実施形態の効果>
このような第1実施形態のボールジョイントのボールシート固定構造の効果について説明する。ボールジョイントJ1は、構造体としてのサスペンション又はスタビライザに一端部が連結されるスタッド部10sの他端部に、金属製のボール部10bが一体に接合されて成るボールスタッド10と、ボールスタッド10のボール部10bを揺動及び回転可能に支持し一方が開口した空間を有する金属製のハウジング21と、ハウジング21とボール部10bとの間に介在される樹脂製のボールシート22とを有し、ボールシート22に覆われたボール部10bがハウジング21で包含されて成る。この構成のボールジョイントJ1のボールシート固定構造を次の特徴構成とした。
(1)ハウジング21の開口端部21aの内側で且つボールシート22の上に、当該開口端部21aよりも突出してセットされるOリング24を備え、Oリング24とハウジング21との境界の隅部がレーザ溶接で溶接固定されて成る構成とした。
この構成によれば、ハウジング21内のボールシート22上のOリング24が外側のハウジング21よりも突出しているので、ハウジング21の外側からレーザ溶接を行い易くなる。この逆にハウジング21の内側からは、ハウジング21内にボールスタッド10が立設しているため、レーザ溶接を行うことが困難である。また、ボールシート22上のOリング24がハウジング21よりも突出しているので、Oリング24を上から押圧してボールシート22を適正に圧縮することが容易となる。レーザ溶接では短時間で溶接を行うことができる。これらの利点から、Oリング24を固定する工程を、短いタクトタイムで可能とし、コストを下げることができる。
(2)Oリング24は、一体に連続した環状を成す構成とした。
この構成によれば、Oリング24が一体に連続した環状であるため、加工時に歪み難く、形状及び寸法を安定させて加工できる。また、従来のC型のリング14に比べ溶接時にOリング24の歪が生じ難くなる。
(3)ハウジング21の開口端部21aの内周に所定角度の第1テーパ形状部P1を設け、Oリング24の外周下端部に、第1テーパ形状部P1と同じ角度で、当該第1テーパ形状部P1に当接可能な第2テーパ形状部P2を設ける構成とした。
この構成によれば、Oリング24をハウジング21内に、第1テーパ形状部P1が第2テーパ形状部P2に満遍なく当接する状態にセットできるので、Oリング24の中心に向かう求心力が働き(求心効果)、Oリング24とハウジング21との同軸が保証される。このため、Oリング24がガタつかなくなる。
(4)Oリング24は、ハウジング21内に第1テーパ形状部P1が第2テーパ形状部P2に当接状態にセットされた際に、ハウジング21の上端より所定高さ突き出る高さを有する構成とした。
この構成によれば、Oリング24をハウジング21内に載置した際に、Oリング24がハウジング21から突き出ているので、載置されたOリング24を下方側に押し込んで容易にセットできる。Oリング24を押圧子で押圧する際に、押圧子の位置がハウジング21よりも高いので、押圧子がハウジング21と接触や干渉しないようにできる。
(5)Oリング24の内径は、ボール部10bの球径よりも大きい構成とした。
この構成によれば、Oリング24をボール部10bの下方側から上方側へ挿通できる。このため、ボール部10bに挿通されたOリング24をハウジング21内に容易に載置できる。
<第2実施形態>
図9は、本発明に係る第2実施形態のボールジョイントの縦断面図である。図9において図1に示した構成要素と同一部分には同一符号を付し、その説明を適宜省略する。
図9に示す第2実施形態のボールジョイントJ2が、第1実施形態のボールジョイントJ(図1)と異なる点は、Oリング24に代え、図12に示す隙間64gを有するC形状のストッパリング(Cリングともいう)64を用いたことにある。即ち、Cリング64でボールシート22を押圧してセットし、このセット状態で、Cリング64をハウジング21の上端部にレーザ溶接で固定したことにある。なお、Oリング24又はCリング64は、請求項記載のリングを構成する。
図10はCリング64の平面図、図11は図10に示すCリング64のX-X断面図、図12はCリング64の斜視図である。
図11に示すように、Cリング64の外周下端部は、ハウジング21のテーパ段差部P1と同じテーパ角度θ1のテーパ形状部(第2テーパ形状部)P2(図9参照)となっている。図10に示すCリング64の内径(Cリング内径)R1は、図9に示すボール部10bの球径(ボール球径)R3より僅かに小さいサイズとなっている。例えば、ボール球径R3がφ16.0の場合、Cリング内径R1はφ15.1となっている。このサイズは、ボール部10bが、この上にレーザ溶接されるCリング64から抜けない様にするために定めたものである。
更に、Cリング64(図1)は、従来のハウジングカシメのC型ストッパリング14(図26)と比較して、高さの高い断面形状を有する。このため、Cリング64では、断面係数が大きくなって、断面剛性が上がり強いカシメ強度を確保でき、スタッド抜け荷重が増大する。このCリング64には、SPCC(Steel Plate Cold Commercial:冷間圧延鋼板)やSPHC(SteelPlate Hot Commercial:熱間圧延軟鋼板)等の金属材料を使用できるが、より強度の高い金属材料を用いることで、上記強度をより強くできる。
図10に示すCリング外径R2は、ハウジング21の開口端部21a(図2)の内側にCリング64が挿入可能なサイズとなっている。また、Cリング64の隙間64gは、図9に示すスタッド部10sの先端側のボール部10bが固定された、くびれ部分の首部10dよりも大きいサイズとなっている。つまり、隙間64gを首部10dに通してCリング64を、ボールシート22上にセット可能となっている。
Cリング64をハウジング21内のボールシート22上に載置した際に、図9に示すCリング64の外周面64d(図11)とハウジング21の内周面との径方向のギャップが、0.25mm以下となるCリング外径R2が好ましい。このギャップサイズは、レーザ溶接時のレーザスポット径や、溶接個所面積の制約によって定まる。
ハウジング21内に挿入されたボールシート22の上にCリング64を載置した場合、Cリング64の上端部64bがハウジング21の開口端部21a(図2)から突出するようになっている。このCリング64をボールシート22上に載置した状態では、Cリング64のテーパ形状部P2がハウジング21のテーパ段差部P1と上下に離間状態となる。
この上下離間状態で、Cリング64を上から押圧することでボールシート22が圧縮され、Cリング64のテーパ形状部P2がテーパ段差部P1に当接して、これ以上、下がらないセット状態となる。このセット状態は、Cリング64をやや押圧してボールシート22が前述した適正な締め代となれば、テーパ形状部P2がテーパ段差部P1に当接しなくてもよい。つまり、Cリング64がボールシート22上に載置された位置と、Cリング64のテーパ形状部P2がテーパ段差部P1に当接する位置との間の高さ位置で、ボールシート22の適正な圧縮が可能となっている。
また、Cリング64を上から押圧した際に、テーパ形状部P2がテーパ段差部P1に当接するとこれ以上、下がらないので、ボールシート22のオーバー圧縮を防止可能となっている。
図11に示すCリング64の下面64aから上面64bまでの高さh2は、図9に示すようにCリング64をハウジング21内に載置した際に、Cリング64がハウジング21から僅かに突き出る高さとなっている。この高さh2は、載置されたCリング64を下方側に押し込んでセットした場合も、僅かに突き出る高さとする。このセット後のCリング64が突き出る高さは、後述のレーザ溶接のために0.05mm以上であることが好ましい。
また、ハウジング21のテーパ段差部P1にCリング64のテーパ形状部P2が当接した場合、Cリング64の中心に向かう求心力が働き(求心効果)、Cリング64とハウジング21との同軸が保証される。このため、Cリング64がガタつかなくなる。
図11に示すCリング64は、ハウジング21内へのセット状態で垂直線V(図9)に対して角度θ2で傾斜するテーパ面64cを、Cリング内周側に有する。このテーパ面64cの傾斜角θ2は、図9に示すボールスタッド10が揺動(矢印α1)した際に、ボールスタッド10の揺動角を満たす角度となる。
次に、図9に示すCリング64をハウジング21内にセットした後、矢印Y1で示すように、Cリング64とハウジング21が当接した境界の隅部をレーザ溶接する。このレーザ溶接は、前述したOリング24と同様に行われる。但し、レーザ溶接を行う場合、必要に応じて、押圧子(図示せず)で上方からCリング64に荷重を掛け、Cリング64のテーパ形状部P2とハウジング21のテーパ段差部P1との密着性を上げたり、ボールシート22を適正量圧縮したりする。
レーザ溶接は、ハウジング21を回転させながら後述のようにCリング64の全周、断続的、パルス状等で行う。図13にCリング64とハウジング21の境界を太線で示すC型全周溶接31cした状態を示す。図14に上記境界を断続的に溶接(断続溶接)32した状態、図15に上記境界をパルス状に溶接(パルス溶接)33した状態を示す。
レーザ溶接の溶込深さd1は、図8を参照して前述した通りである。要求される破壊荷重(Cリング64が外れない強度)を安全にクリアするために、溶込深さd1は、所定の深さが所定の周回範囲に渡って必要である。例えば、必要な破壊荷重を安全にクリアできる溶込深さd1が0.2mmでは全周に渡って必要である場合、溶込深さd1が0.3mmでは2/3周で済み、0.4mmでは1/2周で済む。あまりに深いと樹脂製ボールシート22に影響が生じる。
このため、レーザ溶接は、ボールシート22とCリング64の接触面積が変わらないことを前提に、溶込深さd1×溶接長さ(全周、断続的、パルス状等の平面長さ)が、必要な破壊荷重を満たせば如何なる溶接形態も可能である。
また、ボールシート22、Cリング64、ハウジング21の組合せ状態に応じて、Cリング64がハウジング21の先端より相対的に沈んでいる場合、レーザ溶接でCリング64が狙えないため、レーザ溶接の狙いをハウジング21とするのが好ましい。この内容は、Oリング24においても同様である。
<第2実施形態の効果>
このような第2実施形態のボールジョイントJ2のボールシート固定構造の効果について説明する。
(1)ハウジング21の開口端部21aの内側で且つボールシート22の上に、当該開口端部21aよりも突出してセットされるCリング64を備え、Cリング64とハウジング21との境界の隅部がレーザ溶接で溶接固定されて成る構成とした。
この構成によれば、ハウジング21内のボールシート22上のCリング64が外側のハウジング21よりも突出しているので、ハウジング21の外側からレーザ溶接を行い易くなる。この逆にハウジング21の内側からは、ハウジング21内にボールスタッド10が立設しているため、レーザ溶接を行うことが困難である。また、ボールシート22上のCリング64がハウジング21よりも突出しているので、Cリング64を上から押圧してボールシート22を適正に圧縮することが容易となる。レーザ溶接では短時間で溶接を行うことができる。これらの利点から、ハウジング21内でボール部10bを締め付けるボールシート22を適正な締め代となるように押圧固定する工程を、短いタクトタイムで行うことができ、これにより製造コストを下げることができる。
(2)ハウジング21の開口端部21aの内周に所定角度の第1テーパ形状部P1(テーパ段差部P1)を設け、Cリング64の外周下端部に、第1テーパ形状部P1と同じ角度で、当該第1テーパ形状部P1に当接可能な第2テーパ形状部P2を設ける構成とした。
この構成によれば、Cリング64をハウジング21内に、第1テーパ形状部P1が第2テーパ形状部P2に満遍なく当接する状態にセットできるので、Cリング64の中心に向かう求心力が働き(求心効果)、Cリング64とハウジング21との同軸が保証される。このため、Cリング64がガタつかなくなる。
(3)Cリング64は、ハウジング21内に第1テーパ形状部P1が第2テーパ形状部P2に当接状態にセットされた際に、ハウジング21の上端(又は上端面)21cより所定高さ突き出る高さを有する構成とした。
この構成によれば、Cリング64をハウジング21内に載置した際に、Cリング64がハウジング21から突き出ているので、載置されたCリング64を下方側に押し込んで容易にセットできる。Cリング64を押圧子で押圧する際に、押圧子の位置がハウジング21よりも高いので、押圧子がハウジング21と接触や干渉しないようにできる。
(4)Cリング64の内径は、ボール部10bの球径よりも小さい構成とした。
この構成によれば、ボール部10bの球形が、この上のCリング64の内径よりも大きいので、レーザ溶接されたCリング64から、上方へ引っ張られるボール部10bが抜けない様にできる。
<ボールシートの第1変形例>
図16は第2実施形態のボールジョイントJ2におけるボールシート22Aの第1変形例の構成を示す斜視図である。図17はハウジング21内に挿入されたボールシート22Aの上にCリング64を載置した場合の構成を示す斜視図である。図18は図17に示すハウジング21、Cリング64及びボールシート22Aの組合せ構成の平面図である。図19は図17のV-V断面図である。但し、図19には、ボールシート22A内のスタッド部10sの先端側のボール部10bを記載している。
図16に示す第1変形例のボールシート22Aが、上述したボールシート22(図9参照)と異なる点は、ボールシート22Aの上端面22uに、Cリング64の隙間64g(図17)に嵌合される凸部22bを設けたことにある。この凸部22bが、Cリング64の隙間64gが埋まるので、次のように防止できる。即ち、スタッド部10sが揺動した際に隙間64gを抜けてハウジング21の内周面まで傾き、ボールスタッド10が必要以上に(又は不適正に)傾いてしまうことを防止できる。
図16に示す凸部22bの横幅w1は、Cリング64の隙間64g(図17)に満遍なく嵌る寸法となっている。また、凸部22bの上端面22cは、図17に示すように、ハウジング21にボールシート22Aを組み込んだ際に、ハウジング21の上端21cよりも低くなる高さにしてある。
詳細には、凸部22bの上端面22cは、図19に示すように、ハウジング21にCリング64をレーザ溶接した際の溶込深さd1よりも、更に下方側の深さ位置d2となる高さh3にしてある。この高さh3は、ボールシート22Aの底面から凸部22bの上端面22cまでの高さである。言い換えれば、凸部22bの上端面22cは、ハウジング21内に組み込んだ際に、レーザ溶接で溶けない距離離間する高さh3とされている。これによって、レーザ溶接によるボールシート22Aの溶融を防止できる。
また、図19に示すように、ボールシート22Aの凸部22bは、この内周側に、Cリング64のテーパ面64cと面一となるテーパ面22d(図16及び図17参照)が形成されている。これによって、図9に示すボールスタッド10が揺動(矢印α1)した際に、ボールスタッド10の予め定められた揺動角を満たす角度θ2のテーパ面64c,22dを構成できる。この構成により、ボールスタッド10を予め定められた揺動角で適正に揺動できる。
<ボールシートの第2変形例>
図20は第2実施形態のボールジョイントJ2におけるボールシート22Bの第2変形例の構成を示す斜視図である。図21はハウジング21内に挿入されたボールシート22Bの上にCリング64を載置した場合の構成を示す斜視図である。図22は図21に示すハウジング21、Cリング64及びボールシート22Bの組合せ構成の平面図である。図23は図21のVII-VII断面図である。但し、図23には、ボールシート22B内のスタッド部10sの先端側のボール部10bを記載している。
図20に示す第2変形例のボールシート22Bが、上述した第1変形例のボールシート22A(図16参照)と異なる点は、凸部22eの形状にある。ボールシート22Aの凸部22bは、図19に示すように、外周面がハウジング21の内周面に当接していた。しかし、第2変形例のボールシート22Bの凸部22eは、図23に示すように、外周面がハウジング21の内周面から径方向に距離d6だけ離間している。この離間距離d6は、レーザ溶接の熱が凸部22eに届かない距離となっている。この離間間隔の隙間を矢印22gで、図21~図23に指し示した。
図23では、凸部22eの外周面が、ボールシート22Bの本体の外周面と面一となっており、凸部22eの径方向の幅をd5で示した。
このようなボールシート22Bの凸部22eによれば、この凸部22eをCリング64の隙間64gに嵌合してボールシート22Bをセット後に、Cリング64とハウジング21とをレーザ溶接した際に、レーザ溶接の熱が凸部22eに届かない距離d6離れているので、レーザ溶接によるボールシート22Bの溶融を適正に防止できる。
この他、図24に示すように、ハウジング21Aの内周側面21Abをストレート形状とし、このハウジング21A内のボールシート22Cにおける上端面22Caの内周側にテーパ面22Cbを設ける。この上端面22Ca及びテーパ面22Cbに隙間なく当接する形状のCリング74を載置した構成としてもよい。
Cリング74は、図25に示すように、内周側がボールシート22Cのテーパ面22Cbに沿って下降するテーパ形状となっており、このテーパ形状の下面74eがボールシート22Cのテーパ面22Cbに当接している。そのテーパ形状の上面74cは、内周側が更に急角度のテーパ形状74fとなっている。このテーパ形状74fにすることでスタッド部10s(スタッドシャフト)とCリング74の干渉を回避し、上面74cと優先的に接するようにしている。Cリング74の外側面74dとハウジング21Aの内周側面のギャップは、0.25mm以下となるCリング外径が好ましい。このギャップサイズは、レーザ溶接時のレーザスポット径や、溶接個所面積の制約によって定まる。
このような構成によって、Cリング74に求心効果を持たせることができる。また、ハウジング21Aの内周側面21Abを、前述したハウジング21の上端21c(図1)のようにテーパ段差部P1を介して段差状に加工する必要がなくなるので、製造が容易になるメリットがある。
その他、具体的な構成について、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
本発明のボールシート固定構造のボールジョイントJ1は、産業用ロボットや人型ロボット等のロボットアームの関節部分や、ショベルカーやクレーン車等のアームが関節部分で回転する装置に適用可能である。
1a サポートバー
10 ボールスタッド
10b ボール部(球体部)
10s スタッド部
21 ハウジング
21c ハウジングの上端又は上端面
22,22A,22B ボールシート
22b,22e ボールシートの凸部
22c ボールシートの凸部の上端面
24 O形状のストッパリング(Oリング)
64 C型ストッパリング(Cリング)
64a Cリングの下面
64b Cリングの上面
64c Cリングのテーパ面
64g Cリングの隙間
d1 溶込深さ
J1,J2 ボールジョイント
P1 ハウジングのテーパ段差部(第1テーパ形状部)
P2 Cリングの第2テーパ形状部

Claims (10)

  1. 構造体に一端部が連結されるスタッド部の他端部に、金属製の球体部が一体に接合されて成るボールスタッドと、当該ボールスタッドの球体部を揺動及び回転可能に支持し一方が開口した空間を有する金属製のハウジングと、当該ハウジングと前記球体部との間に介在される樹脂製のボールシートとを有し、当該ボールシートに覆われた前記球体部が前記ハウジングで包含されるボールジョイントのボールシート固定構造であって、
    前記ハウジングの開口端部の内側で且つ前記ボールシートの上に、当該開口端部よりも突出してセットされるリングを備え、
    前記リングの外周面は、前記ハウジングの内周面と平行に前記ハウジングの上端よりも上方まで延びており、
    前記リングの外周面と前記ハウジングの内周面との境界が深さ方向にレーザ溶接で溶接固定されて成る
    ことを特徴とするボールジョイントのボールシート固定構造。
  2. 前記リングは、一体に連続した環状を成す
    ことを特徴とする請求項1に記載のボールジョイントのボールシート固定構造。
  3. 前記リングの内径は、前記球体部の球径よりも大きい
    ことを特徴とする請求項2に記載のボールジョイントのボールシート固定構造。
  4. 構造体に一端部が連結されるスタッド部の他端部に、金属製の球体部が一体に接合されて成るボールスタッドと、当該ボールスタッドの球体部を揺動及び回転可能に支持し一方が開口した空間を有する金属製のハウジングと、当該ハウジングと前記球体部との間に介在される樹脂製のボールシートとを有し、当該ボールシートに覆われた前記球体部が前記ハウジングで包含されるボールジョイントのボールシート固定構造であって、
    前記ハウジングの開口端部の内側で且つ前記ボールシートの上に、当該開口端部よりも突出してセットされるリングを備え、
    前記リングと前記ハウジングとの境界の隅部がレーザ溶接で溶接固定されて成り、
    前記リングは、隙間が形成されたC形状を成しており、
    前記ボールシートは、当該ボールシートの上端面に、前記リングの隙間に嵌合される凸部を備える
    ことを特徴とするボールジョイントのボールシート固定構造。
  5. 前記リングの内径は、前記球体部の球径よりも小さい
    ことを特徴とする請求項4に記載のボールジョイントのボールシート固定構造。
  6. 前記ボールシートの凸部は、前記ハウジングの内部に組み込まれた当該ボールシート上の前記リングと、当該ハウジングとのレーザ溶接により下方に延びる溶込深さよりも深い位置に、当該凸部の上端面が位置する高さを備える
    ことを特徴とする請求項4又は5に記載のボールジョイントのボールシート固定構造。
  7. 前記リングは、当該リングの内周面に予め定められた角度で傾斜するテーパ面を備え、
    前記ボールシートの凸部は、当該凸部の内周側に、前記リングのテーパ面と面一となるテーパ面を備える
    ことを特徴とする請求項4~6の何れか1項に記載のボールジョイントのボールシート固定構造。
  8. 前記ボールシートの凸部は、当該凸部の外周面が前記ハウジングの内周面から径方向にレーザ溶接で溶けない距離離間している
    ことを特徴とする請求項4~7の何れか1項に記載のボールジョイントのボールシート固定構造。
  9. 前記ハウジングの開口端部の内周に所定角度の第1テーパ形状部を設け、
    前記リングの外周下端部に、前記第1テーパ形状部と同じ角度で、当該第1テーパ形状部に当接可能な第2テーパ形状部を設けた
    ことを特徴とする請求項1~の何れか1項に記載のボールジョイントのボールシート固定構造。
  10. 前記リングは、前記ハウジング内に前記第1テーパ形状部が前記第2テーパ形状部に当接してセットされた際に、当該ハウジングの上端より所定高さ突き出る高さを有する
    ことを特徴とする請求項に記載のボールジョイントのボールシート固定構造。
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