発明の詳細な説明
添付の図面を参照して、本発明の原理を例証する態様および実験を次に議論する。
モノPEG化タンパク質組成物
本発明は、モノPEG化タンパク質組成物を提供するための方法に関する。本発明は、少なくとも90%のモノPEG化タンパク質を含むタンパク質組成物を提供するための方法に関する。特に、本発明は、少なくとも90%のモノPEG化EPOを含むEPO組成物を提供するための方法を提供する。
本文脈において、モノPEG化タンパク質組成物とはタンパク質を含む組成物であり、組成物中に存在するタンパク質の相対的に高い割合が、モノPEG化タンパク質として存在する。モノPEG化タンパク質組成物は、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、少なくとも約99.9%、または少なくとも約99.99%のモノPEG化タンパク質を含み得る。
少なくともx%のモノPEG化タンパク質を含むタンパク質組成物とは、その組成物中に存在するタンパク質の少なくともx%がモノPEG化されている、タンパク質組成物を指す。例えば、少なくとも99%のモノPEG化タンパク質を含むタンパク質組成物は、組成物中に存在するそのタンパク質の少なくとも99%がモノPEG化されている、タンパク質組成物である。本発明の方法によって生成されるタンパク質組成物は、少なくとも約90%、少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、または99.99%のモノPEG化タンパク質を含み得る。
特に、本文脈において、モノPEG化EPO組成物は、EPOを含む組成物であり、組成物中に存在するEPOの相対的に高い割合が、モノPEG化EPOとして存在する。少なくとも「x%」のモノPEG化EPOを含むEPO組成物とは、その組成物中に存在するEPOの少なくとも「x%」がモノPEG化されている、EPO組成物を指す。例えば、少なくとも99%のモノPEG化EPOを含むEPO組成物は、組成物中に存在するEPOの少なくとも99%がモノPEG化されている、EPO組成物である。本発明の方法によって生成されるEPO組成物は、少なくとも約90%、少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、または99.99%のモノPEG化EPOを含み得る。本発明の方法によって生成されるEPO組成物は、少なくとも約98%のモノPEG化EPOを含み得る。本発明の方法によって生成されるEPO組成物は、少なくとも約99%のモノPEG化EPOを含み得る。
純度の決定のための方法は、当業者に公知である。非PEG化タンパク質、モノPEG化タンパク質、またはオリゴPEG化タンパク質の純度は、任意の適している分析の方法(例えば、ゲル上のバンド強度、ELISA、HPLCなど)によって決定されてもよい。純度の決定は、既知の純度の参照物質を用いて作成された標準曲線を用いることを含んでもよい。純度はまた、重量/重量ベースで決定されてもよい。パーセンテージに換算した(%の)本明細書において表される非PEG化タンパク質またはPEG化タンパク質の純度は、例えば、相対的な「曲線下面積」の値を用いて決定されてもよく、これは、典型的には、HPLCクロマトグラムなどのクロマトグラムにおけるピークについて取得することができる。純度を決定する方法は、RP-HPLCおよびサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を含む。
クロマトグラフィー
タンパク質の「等電点」または「pI」とは、タンパク質がゼロの正味の全体的な電荷を有するpHである。すなわち、タンパク質のpIとは、タンパク質が同等数の正電荷および負電荷を有するpHである。任意の所与のタンパク質についてのpIの決定は、等電点電気泳動などの十分に確立された技術に従って行うことができる。EPOのpIは、4.0~5.5の範囲にある。pIを測定する代替法は、わずかに異なる値を与える可能性があり、例えば、マイクロチップ等電点電気泳動は、約3.5~4.0の見かけのpIを与える(Vlckova 2008)。EPOの正確なpIは、例えば、グリコシル化およびシアル酸残基の程度、または電荷バリアントの存在に依存する可能性があり、これは次に、それが生成されている手段(例えば、組換え発現に用いられる宿主細胞)に依存する可能性がある。
イオン交換クロマトグラフィーは、分子を、その正味の表面電荷における違いに基づいて分離する。これは、タンパク質分子を分離するために用いることができる。イオン交換クロマトグラフィーにおいては、関心対象のタンパク質を含む混合物に、電荷を保有するイオン交換材料を通過させ得る。イオン交換材料が負電荷を有する場合、プロセスはカチオン交換クロマトグラフィー(CEC)と称され、イオン交換材料が正電荷を有する場合、プロセスはアニオン交換クロマトグラフィー(AEC)と称される。関心対象のタンパク質は、タンパク質とイオン交換材料との間の電荷ベースの相互作用を操作することによって、混合物の残りから分離され得る。これは、典型的には、イオン交換材料を通過させる混合物の、およびまたは緩衝液のイオン強度または伝導率を操作することによって、行われる。
本明細書において用いられるイオン交換クロマトグラフィー(IEC)という用語は、カチオン交換クロマトグラフィー(CEC)またはアニオン交換クロマトグラフィー(AEC)を指し得る。プロセスが複数のIECステップを含む場合、それらは、すべてAECステップまたはすべてCECステップのいずれかである。同様に、IECフロースルー溶液またはIEC材料への言及は、CECフロースルー溶液またはAECフロースルー溶液のいずれか、およびCEC材料またはAEC材料を指し得る。プロセスが、AECステップであるIECステップを含む場合、すべてのIECステップはAECステップであり、IEC材料はAEC材料であり、IECフロースルー溶液はAECフロースルー溶液であり、任意のIEC溶出液はAEC溶出液である。プロセスが、CECステップであるIECステップを含む場合、IECステップはCECステップであり、IEC材料はCEC材料であり、IECフロースルー溶液はCECフロースルー溶液であり、かつ任意のIEC溶出液はCEC溶出液である。
例えば、関心対象のタンパク質を含有する混合物を、イオン交換材料上にロードしてもよい。ローディング条件(および、用いられる場合には洗浄条件)は、イオン交換材料に対する混合物のある特定の成分のみの結合を促進するために選択される。
例えば、ローディング条件は、イオン交換材料に対する関心対象のタンパク質の結合を促進してもよく、混合物の望まれない成分(例えば、混入物)を除去するために、イオン交換材料を次いで、洗浄緩衝液で洗浄してもよく、最終的に、緩衝液のイオン強度(伝導率)を増加させることによって、関心対象のタンパク質を溶出させても(イオン交換材料から除去しても)よい。関心対象のタンパク質がイオン交換材料に結合し、次いで溶出されるため、このタイプの手順は、「結合および溶出」モードとして公知である。溶出ステップにおいてマトリックスから離れ、かつ関心対象のタンパク質を含有する溶液は、溶離液または溶出液として公知であり得る。
あるいは、ローディング条件は、混合物の望まれない成分(例えば、混入物)の結合を促進してもよい。このモードにおいて、関心対象のタンパク質は、イオン交換材料のマトリックスを通り過ぎて、収集されてもよい。このタイプの手順は、「フロースルー」モードとして公知である。イオン交換材料のマトリックスを通り過ぎた後に収集される組成物は、「フロースルー」または「フロースルー溶液」である。マトリックスから離れ、かつ関心対象のタンパク質を含有するフロースルー溶液はまた、「流出液」とも称され得る。関心対象のタンパク質をカラムから溶出させるために伝導率および/またはpHにおける変化を含む「結合および溶出」モードとは異なり、「フロースルー」モードは、均一濃度条件下で行われる。フロースルー溶液は、画分として収集されてもよく、これは、フロースループールを提供するためにプールされてもよい。
EPOなどのタンパク質は、酸性残基および塩基性残基を含むアミノ酸から構成される。低いpH(高いH+濃度)では、タンパク質のカルボン酸基は、無電荷(-COOH)である傾向があり、その窒素を含有する塩基性基は、完全に電荷を有し(-NH3
+)、大部分のタンパク質に正味の正電荷を与える。高いpHでは、カルボン酸基は負電荷を有し(-COO-)、塩基性基は、無電荷(-NH2)である傾向があり、大部分のタンパク質に正味の負電荷を与える。
タンパク質の等電点(pI)とは、正電荷と負電荷とが釣り合うため、タンパク質がいかなる正味の電荷も有さないpHである。
イオン交換クロマトグラフィーは、正味の表面電荷とpHとの関係が特定のタンパク質に特有であるという事実を利用する。タンパク質は、その等電点よりも下のpHで、全体的な正電荷を有し、したがって、負電荷の材料に(すなわちCECにおいて)結合することになる。タンパク質は、その等電点よりも上のpHで、全体的な負電荷を有し、したがって、正電荷の材料に(すなわちAECにおいて)結合することになる。
関心対象のタンパク質(または混入物、例えば、望まれないタンパク質)が、正味の負電荷を有し、したがって、正電荷のアニオン交換材料に結合するため、これが、AECにおいて、相対的に高いpHのタンパク質混合物(ロード組成物)および洗浄緩衝液が概して用いられる理由である。関心対象のタンパク質がアニオン交換材料に結合する場合、これは、混入物を除去するために任意で洗浄されてもよく、次いで溶出させることができる。混入物(望まれないタンパク質など)がアニオン交換材料に結合する場合、これは、混合物から除去され、それによって、関心対象の1つまたは複数のタンパク質をフロースルーにおいて精製する。
関心対象のタンパク質(または混入物、例えば、望まれないタンパク質)が、正味の正電荷を有し、したがって、負電荷のカチオン交換材料に結合するため、これが、CECにおいて、相対的に低いpHのタンパク質混合物および洗浄緩衝液が概して用いられる理由である。関心対象のタンパク質がカチオン交換材料に結合する場合、これは、混入物を除去するために任意で洗浄されてもよく、次いで溶出させることができる。混入物(望まれないタンパク質など)がカチオン交換材料に結合する場合、これは、混合物から除去され、それによって、関心対象の1つまたは複数のタンパク質をフロースルーにおいて精製する。
疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)は、分子を、その表面疎水性の違いに基づいて分離する。これを、タンパク質分子を分離するために用いることができる。HICにおいて、関心対象のタンパク質を含む混合物を、HIC材料を通過させてもよい。タンパク質とHIC材料との間の相互作用は、ある特定の塩の存在によって変更される。塩濃度の増加は、相互作用を増大させ、塩濃度の低減は、相互作用を低減させる。選択的溶出のために、塩濃度を低下させてもよく、混合物の成分は、疎水性の順に溶出し、最も疎水性の成分が最後に溶出する。HICは、上記にイオン交換クロマトグラフィーについて記載されるように、フロースルーモードにおいてまたは結合および溶出モードにおいて実施されてもよい。
アニオン交換材料またはHIC材料などの、本文脈におけるクロマトグラフィー「材料」とは、固定相または固相を指す。これはまた、樹脂またはマトリックスまたは媒体とも呼ばれ得る。本文脈における「材料」は、関心対象のタンパク質などの混合物の成分が結合し得る、マトリックスを提供する。材料は、カラム、例えば、膨張床カラムまたは充填床カラムであってもよいか、またはそれを含んでもよい。材料は、離散性の粒子またはビーズの形態であってもよい。材料は、膜の形態であってもよい。本文脈において、移動相は、固定相を通り過ぎ、それでのクロマトグラフィーによって分離される材料を保有する。移動相は、第1もしくは第2の混合物などの混合物、またはフロースルー溶液などの溶液である。溶出緩衝液または洗浄緩衝液などの緩衝液もまた、移動相である。
本文脈において、「ローディング」という用語は、混合物または組成物をクロマトグラフィー材料上に接触させるステップを指す。クロマトグラフィー材料は、ローディングステップの前に平衡化されてもよい。
平衡化は、クロマトグラフィー材料に平衡化緩衝液をアプライすることを含む。平衡化緩衝液のpH、イオン強度、伝導率、および/または塩濃度は、タンパク質混合物がクロマトグラフィーマトリックス上にロードされた場合に、所望の結合および/またはフロースルーまたは特定のタンパク質または混入物が達成されることを確実にするように選択される。
アニオン交換材料またはカチオン交換材料または疎水性相互作用材料などのクロマトグラフィー材料からの溶出は、勾配溶出または段階溶出を用いて、緩衝液のイオン強度、pH、伝導率、または塩濃度を変化させることによって達成されてもよい。勾配溶出、または直線勾配溶出は、個々の関心対象の多くの成分が、材料に結合しており、かつ異なるように溶出され得る場合に、および高分解能分離のために用いられ得る。段階溶出は、クロマトグラフィー材料から単一の成分を除去する(または特定の群の成分を一緒に除去する)ために有用である。段階溶出は、相対的に速く、より少ない緩衝液を消費する。段階出は、関心対象のタンパク質をクロマトグラフィー材料から、相対的に濃縮された形態で溶出させるために用いられ得る。上昇するイオン強度の勾配は、一般的に、AECにおけるおよびCECにおける溶出に用いられる。下降する塩濃度の勾配は、一般的に、HICにおける溶出に用いられる。
モノPEG化タンパク質組成物の生成
本発明は、モノPEG化タンパク質組成物を生成するための方法を提供する。本発明は、非PEG化タンパク質とモノPEG化タンパク質とオリゴPEG化タンパク質とを含む混合物からモノPEG化タンパク質を精製するための方法を提供する。
モノPEG化タンパク質組成物を提供するためにCECを用いる先行技術方法と比較して、本明細書に開示される方法は、より生産的である。モノPEG化EPOの生成のための先行技術方法は、WO 2009/010270に記載されている。
本発明は、以下の工程を含む、少なくとも約90%のモノPEG化タンパク質を含むタンパク質組成物を生成するための方法を提供する:(a)非PEG化タンパク質とPEG化タンパク質とを含む第1の混合物を提供する工程であって、該PEG化タンパク質が、モノPEG化タンパク質およびオリゴPEG化タンパク質を含む、工程;(b)第1の混合物に比べてPEG化タンパク質の画分が増大しているイオン交換クロマトグラフィー(IEC)フロースルー溶液を提供するために、第1の混合物をIECステップに供する工程であって、該IECステップが、非PEG化タンパク質の結合に適している条件下で第1の混合物をIEC材料にアプライすることを含む、工程;(c)モノPEG化タンパク質とオリゴPEG化タンパク質とを含む第2の混合物を提供するために、工程(b)からIECフロースルー溶液を収集する工程;ならびに(d)第2の混合物に比べてモノPEG化タンパク質の画分が増大しているタンパク質組成物を提供するために、第2の混合物を疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)ステップに供する工程であって、該タンパク質組成物が、少なくとも約90%のモノPEG化タンパク質を含む、工程。IECステップは、AECステップまたはCECステップであってもよい。
例えば、本発明は、以下の工程を含む、少なくとも約90%のモノPEG化タンパク質を含むタンパク質組成物を生成するための方法を提供する:(a)非PEG化タンパク質とPEG化タンパク質とを含む第1の混合物を提供する工程であって、該PEG化タンパク質が、モノPEG化タンパク質およびオリゴPEG化タンパク質を含む、工程;(b)第1の混合物に比べてPEG化タンパク質の画分が増大しているアニオン交換クロマトグラフィー(AEC)フロースルー溶液を提供するために、第1の混合物をAECステップに供する工程であって、該AECステップが、非PEG化タンパク質の結合に適している条件下で第1の混合物をAEC材料にアプライすることを含む、工程;(c)モノPEG化タンパク質とオリゴPEG化タンパク質とを含む第2の混合物を提供するために、工程(b)からAECフロースルー溶液を収集する工程;ならびに(d)第2の混合物に比べてモノPEG化タンパク質の画分が増大しているタンパク質組成物を提供するために、第2の混合物を疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)ステップに供する工程であって、該タンパク質組成物が、少なくとも約90%のモノPEG化タンパク質を含む、工程。図1~3は、本開示に従う方法の態様を示す。
第1の混合物の提供
本発明の方法は、第1の混合物を提供する工程(工程a)を含む。本発明の方法は、非PEG化タンパク質とモノPEG化タンパク質とオリゴPEG化タンパク質とを含む第1の混合物を用いて実施される。第1の混合物は、非PEG化タンパク質およびPEG化タンパク質を含み、該PEG化タンパク質は、モノPEG化タンパク質およびオリゴPEG化タンパク質を含む。タンパク質は、EPOであってもよい。
本発明の方法は、非PEG化タンパク質、モノPEG化タンパク質、およびオリゴPEG化タンパク質を含み、オリゴPEG化タンパク質の割合が相対的に低い、第1の混合物を用いて実施される。第1の混合物は、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、または約1%未満のオリゴPEG化タンパク質を含んでもよく、オリゴPEG化タンパク質は、オリゴPEG化EPOであってもよい。第1の混合物は、約10%未満のオリゴPEG化タンパク質を含み得る。第1の混合物は、約10%未満のオリゴPEG化EPOを含み得る。
第1の混合物は、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、または少なくとも約70%の非PEG化タンパク質を含み得る。第1の混合物は、約20~70%、約40~60%、約45~55%の非PEG化タンパク質を含み得る。
第1の混合物は、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、または少なくとも約70%のモノPEG化タンパク質を含み得る。第1の混合物は、約30~70%、約40~60%、または約45~55%のモノPEG化タンパク質を含み得る。
第1の混合物は、(A)40~60%の範囲の非PEG化タンパク質、および(B)40~60%の範囲のモノPEG化タンパク質、および(C)1~10%の範囲のオリゴPEG化タンパク質を含んでもよく、(A)、(B)、および(C)の合計は100%である。第1の混合物は、(A)45~55%の範囲の非PEG化タンパク質、および(B)45~55%の範囲のモノPEG化タンパク質、および(C)1~5%の範囲のオリゴPEG化タンパク質を含んでもよく、(A)、(B)、および(C)の合計は100%である。
第1の混合物は、(A)非PEG化タンパク質、および(B)モノPEG化タンパク質、および(C)オリゴPEG化タンパク質を含み得る。非PEG化タンパク質、モノPEG化タンパク質、およびオリゴPEG化タンパク質は、A:B:Cの比で存在してもよく、Aが約40~60であり、Bが約30~50であり、かつCが約1~10であるか;またはAが約45~55であり、Bが約35~45であり、かつCが約1~10であるか;またはAが約35~55であり、Bが約35~45であり、かつCが約1~25である。非PEG化タンパク質、モノPEG化タンパク質、およびオリゴPEG化タンパク質は(A+B):Cの比で存在してもよく、(A+B):Cは、約19:1、約9:1、または約9~19:1である。
比は、重量比または質量比であってもよい。比は、モル比であってもよい。
第1の混合物を提供する工程は、PEG化反応を実施することを含んでもよい。PEG化反応を実施することは、(非PEG化タンパク質であってもよい)タンパク質をPEG化試薬と反応させることを含む。タンパク質は、EPOであってもよい。PEG化反応は、EPOのPEG化に関連して上記のように実施されてもよい。PEG化反応は、約7.0~9.0のpHで実施されてもよく、PEG/タンパク質のモル比は、約0.6~1.0である。
PEG化反応は、約7.0~9.0、または約7.5~8.5、または約8.0のpHで実施されてもよい。PEG化反応は、(NHS)活性化PEG試薬を用いて、約7.0~9.0、または約7.5~8.5、または約8.0のpHで実施されてもよい。PEG化反応が実施されるpHは、用いられるPEG試薬に依存し得る。PEG試薬は、mPEG-NHS、mPEG-SPA、mPEG-SVA、またはmPEG-CIであってもよい。PEG化反応速度とpHとの間の関係は、Pfister 2016に概説されている。PEG化反応のための他の試薬は、当技術分野において公知である。PEG化反応のpHは、結果として生じた混合物(第1の混合物)をIEC材料上に直接ロードすることができるように選択されてもよく、したがって、PEG化反応のpHは、用いられるタンパク質のpIおよびIEC材料のタイプ(AECまたはCEC)に基づいて選択されてもよい。
PEG化反応におけるPEG/タンパク質のモル比は、1.0以下であってもよい。PEG化反応におけるPEG/タンパク質のモル比は、約0.8であってもよい。PEG/タンパク質のモル比は、約0.25~1.0、約0.3~1.0、約0.4~1.0、約0.5~1.0、約0.6~1.0、または約0.7~1.0であってもよい。PEG/タンパク質のモル比は、約0.25~1.2、約0.3~1.2、約0.4~1.2、約0.5~1.2、約0.6~1.2、または約0.7~1.2であってもよい。PEG/タンパク質のモル比は、約0.25~1.5、約0.3~1.5、約0.4~1.5、約0.5~1.5、約0.6~1.5、または約0.7~1.5であってもよい。PEG/タンパク質のモル比は、約0.4、約0.5、約0.6、または約0.7の下限を有してもよく、かつ0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、または1.5の上限を有してもよい。
イオン交換クロマトグラフィー
第1の混合物は、イオン交換クロマトグラフィー(AEC)ステップに供される(工程b)。これは、第1の混合物に比べてPEG化タンパク質の画分が増大しているIECフロースルー溶液を提供する。これは、第1の混合物に比べて非PEG化タンパク質の画分が減少しているIECフロースルー溶液を提供する。IECステップは、AECステップまたはCECステップであってもよい。
アニオン交換クロマトグラフィー
第1の混合物は、アニオン交換クロマトグラフィー(AEC)ステップに供されてもよい(工程b)。これは、第1の混合物に比べてPEG化タンパク質の画分が増大しているAECフロースルー溶液を提供する。これは、第1の混合物に比べて非PEG化タンパク質の画分が減少しているAECフロースルー溶液を提供する。
本開示の文脈において、増大している画分は、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約100%の量、増大していてもよい。増大している画分は、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約5倍、または少なくとも約10倍、増大していてもよい。
本開示の文脈において、減少している画分は、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約100%の量、減少していてもよい。減少している画分は、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約5倍、または少なくとも約10倍、増大していてもよい。
AECステップは、第1の混合物をアニオン交換材料と接触させること、または第1の混合物をアニオン交換材料にアプライすることを含む。AECステップは、第1の混合物を、アニオン交換材料を含むカラム上にロードすることを含んでもよい。アニオン交換材料は、PEG化EPOなどのPEG化タンパク質に対して低い結合能力を有する。すなわち、AEC材料は、モノPEG化組成物が望ましいタンパク質種のPEG化バージョンに対して相対的に低い結合能力を有する。アニオン交換材料に対する非PEG化タンパク質の結合に適しているAEC条件が、用いられる。アニオン交換材料を通り過ぎる溶液は、AECフロースルー溶液である。PEG化タンパク質に対するアニオン交換材料の低い結合能力は、PEG化タンパク質の大部分がアニオン交換材料を通り過ぎ、したがってAECフロースルー溶液中に存在する効果を有する。アニオン交換材料に対する非PEG化タンパク質の結合に適している結合条件は、(アニオン交換材料に対する結合によって)非PEG化タンパク質の大部分が除去され、かつフロースルー溶液中に存在しない効果を有する。
AEC材料は、PEG化タンパク質と有意には結合しない材料であってもよい。これは、AEC材料が、それにアプライされるPEG化タンパク質の約10%未満、約5%未満、約2%未満、約1%未満、約0.5%未満、約0.1%未満、または約0.01%未満と結合することを意味し得る。アニオン交換材料に対するPEG化タンパク質の結合はまた、多量の非PEG化タンパク質をアニオン交換材料にアプライすることによって低減させることもできる。このように、結合したPEG化タンパク質は、非PEG化タンパク質によって置き換えられる。アニオン交換材料にアプライされる非PEG化タンパク質の量は、アニオン交換材料の動的ブレークスルー能力の約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、約110%、または約120%であってもよい。アニオン交換材料にアプライされる非PEG化タンパク質の量は、アニオン交換材料の動的ブレークスルー能力の約70~110%、約80~100%、または約85%~95%の範囲であってもよい。アニオン交換材料にアプライされる非PEG化タンパク質の量は、アニオン交換材料の動的ブレークスルー能力の約80~95%の範囲であってもよい。
AECフロースルー溶液は、モノPEG化タンパク質およびオリゴPEG化タンパク質を含む。AECフロースルー溶液はまた、非PEG化タンパク質を含んでもよく、ここで、非PEG化タンパク質の割合は、相対的に低いかまたはゼロに近い。AECフロースルー溶液は、ゼロの非PEG化タンパク質、または検出限界よりも下の非PEG化タンパク質の量を含み得る。タンパク質は、EPOであってもよい。フロースルー溶液は、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、約1.5%未満、約1.0%未満、約0.5%未満、または約0.1%未満の非PEG化タンパク質を含み得る。フロースルー溶液は、約2%未満の非PEG化タンパク質を含み得る。フロースルー溶液は、約2%未満の非PEG化EPOを含み得る。
AECフロースルー溶液は、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約99.9%のPEG化タンパク質を含み得る。
AECフロースルーは、約80%のモノPEG化タンパク質および約20%のオリゴPEG化タンパク質を含み得る。AECフロースルー溶液は、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、または少なくとも約80%のモノPEG化タンパク質を含み得る。フロースルー溶液は、約60~90%、約70~90%、または約75~85%のモノPEG化タンパク質を含み得る。AECフロースルー溶液は、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、または少なくとも約40%のオリゴPEG化タンパク質を含み得る。フロースルー溶液は、約10~40%、約10~30%、または約15~25%のオリゴPEG化タンパク質を含み得る。
AECフロースルー溶液は、(A)0.1~5%の範囲の非PEG化タンパク質、および(B)60~90%の範囲のモノPEG化タンパク質、および(C)10~40%の範囲のオリゴPEG化タンパク質を含んでもよく、(A)、(B)、および(C)の合計は100%である。フロースルー溶液は、(A)0.1~1.5%の範囲の非PEG化タンパク質、および(B)75~85%の範囲のモノPEG化タンパク質、および(C)15~25%の範囲のオリゴPEG化タンパク質を含んでもよく、(A)、(B)、および(C)の合計は100%である。
AECフロースルー溶液は、(A)非PEG化タンパク質、および(B)モノPEG化タンパク質、および(C)オリゴPEG化タンパク質を含み得る。非PEG化タンパク質、モノPEG化タンパク質、およびオリゴPEG化タンパク質は、A:B:Cの比で存在してもよく、Aが約1~5であり、Bが約10~20であり、かつCが約5~15であるか;またはAが約1~3であり、Bが約25~35であり、かつCが約5~10である。非PEG化タンパク質、モノPEG化タンパク質、およびオリゴPEG化タンパク質は、A:(B+C)の比で存在してもよく、A:(B+C)は、約1:25;約1:50;約1:100;約1:150、約1:200、または約1:100~200である。比は、重量比または質量比であってもよい。比は、モル比であってもよい。
AECステップは、非PEG化タンパク質がAEC材料に結合するのに適している条件下で実施される。非PEG化タンパク質の結合に適している条件は、AEC材料、または平衡化緩衝液のpH、伝導率、塩含量、もしくは緩衝剤含量のうちの1つまたは複数をスクリーニングすることによって、経験的に決定されてもよい。
イオン交換材料上の官能基は、その電荷を決定する。本文脈における「強」および「弱」という用語は、官能基のイオン化状態がpHの変動と共に変わる程度を指す。強イオン交換体は、pHの変化でイオン交換能力にほとんど変動を示さないかまたは全く変動を示さない。強イオン交換体は、広いpH範囲にわたって完全に電荷を有するままである。弱イオン交換体は、pH依存的な機能を示し、より狭いpH範囲にわたって最適な性能を発揮する。
強アニオン交換材料は、四級アンモニウム基(Q)、または四級アミノエチル基(QAE)を含み得る。弱アニオン交換材料は、ジエチルアミノエチル残基(DEAE)を含み得る。強アニオン交換材料を用いる利点は、電荷の損失がないため、高いpHまたは低いpHで結合能力が維持されることである。
AEC材料は、正電荷を有するリガンドまたは官能基で、すなわち、塩基性のリガンドまたは官能基で官能基化されている樹脂を含み得る。
本発明の方法において用いられるアニオン交換材料は、強アニオン交換材料であってもよい。アニオン交換材料は、好ましくは強アニオン交換材料である。これは、四級アンモニウム基(Q)を有し得る。これは、Q基で官能基化されたヒドロキシル化ポリメタクリックポリマービーズであってもよい。これは、50~150 nm、70~120 nm、70~100 nm、または90~110 nmの孔サイズを有し得る。本明細書における孔サイズとは、平均孔サイズを指し得る。これは、40~150μm、40~120μm、40~100μm、40~80μm、または約60、約65、約70、約80、もしくは約90、約100μmの粒子サイズを有し得る。粒子サイズ(またはビーズサイズ)とは、平均粒子サイズを指し得る。これは、70~100 nmの孔サイズおよび35~100μmのビーズサイズを有し得る。これは、100 nmの孔サイズおよび65μmのビーズサイズを有し得る。これは、Toyopearl Super Q 650M(Tosoh Bioscience LLC;製品番号43205)であってもよい。本発明の方法において用いられるアニオン交換材料は、製造業者の説明書に従って用いられ得る。
本発明の方法において用いられるアニオン交換材料は、弱アニオン交換材料であってもよい。これは、三級および/または二級のアミン官能基を有し得る。これは、一級アミン官能基を有し得ない。これは、1つのタイプのみのアミン基を有してもよいか、または2つまたはそれ以上のタイプのアミン基を有してもよい。
アニオン交換材料は、カラム、例えば、膨張床カラムまたは充填床カラムであってもよいか、またはそれを含んでもよい。アニオン交換材料は、連続向流タンジェンシャルクロマトグラフィーシステム(continuous countercurrent tangential chromatography system)であってもよいか、またはそれを含んでもよい。アニオン交換材料は、離散性の粒子またはビーズの形態であってもよい。アニオン交換材料は、膜の形態であってもよい。アニオン交換材料は、官能基を有するフィルター、または官能基を有する繊維、フリース、もしくはメッシュの形態であってもよい。アニオン交換材料は、官能基を保有することができるかまたはアニオン交換特性を呈する任意の他の固体支持体の形態であってもよい。
アニオン交換体の例には、Toyopearl Super Q 650C、Toyopearl Super Q 650S、Toyopearl GigaCap Q 650M、GigaCap Q 650S、Toyopearl Q-600C AR、Toyopearl DEAE 650S、Toyopearl DEAE 650M、およびToyopearl DEAE 650C、Toyopearl Super Q 650、Toyopearl Super Q 650 QAE、Toyopearl Super Q 550C、Macroprep High Q、Fractoprep TMAE、Q Hyper DF、Capto Q、Q-Sepharose FF、Q-Sepharose BB、Q-Sepharose XL、Q-Sepharose HP、MiniQ、MonoQ、MonoP、DEAE Sepharose FF、Source SQ、Source 30Q、ANX Sepharose 4 FF(high sub)、Streamline DEAE、Streamline QXL、Poros HQ、Poros PI、Poros D、DEAEHyperD、Q Ceramic Hyper D、Fractogel DMAEが含まれる。
本発明の方法におけるAEC材料は、タンパク質のPEG化型に対して低い結合能力を有するアニオン交換材料であってもよい。特に、これは、PEG化EPOに対して低い結合能力を有するアニオン交換材料であってもよい。アニオン交換材料は、PEG化EPOに対して低い結合能力、例えば、約0.5 g/L未満、約0.05 g/L未満、約0.01 g/L未満、もしくは約0.001 g/L未満の、または0 g/Lに近い結合能力を有するToyopearl Super Q 650 Mであってもよい。アニオン交換材料は、PEG化EPOに対して、pH 8.0で、25 mMビシン、7.5 mM Na2SO4で平衡化されたToyopearl Super Q 650 Mと実質的に同じ結合能力を有するアニオン交換材料であってもよい。
AEC材料は、20~50 g/L、30~40 g/L、または約35 g/Lの、非PEG化タンパク質、例えば非PEG化EPOに対する相対的に高い結合能力を有し得る。AEC材料は、少なくとも約35 g/Lの、非PEG化タンパク質、例えば非PEG化EPOに対する結合能力を有し得る。
アニオン交換材料は、第1の混合物がそれにアプライされる前に、平衡化されてもよい。AEC平衡化緩衝液は、Na2SO4などの塩および/またはビシンを含んでもよい。AEC平衡化緩衝液は、リン酸塩を含んでもよい。AEC平衡化緩衝液は、一級アミン基を有する化合物、例えば、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリス)を含み得ない。AEC平衡化緩衝液は、約6.5~9.5、約7.0~9.0、約7.5~8.5、または約8.0のpHを有し得る。AEC平衡化緩衝液は、約10~40 mM、約15~35 mM、約20~30 mMのビシン、または約25 mMのビシンを含んでもよい。AEC平衡化緩衝液は、約1~20 mM、約1~10 mM、約2.5~10 mM、約5~10 mMの塩、または約7.5 mMの塩を含んでもよい。AECにおける使用のための平衡化緩衝液は、約25 mMビシン、約7.5 mM Na2SO4、pH 8.0を含んでもよい。平衡化緩衝液は、約1~約8 mS/cm、約1~約5 mS/cm、約1.5~約3.0 mS/cm、約2.0~約3.0 mS/cm、または約1.0~3.0 mS/cmの伝導率を有し得る。第1の混合物が、平衡化緩衝液の伝導率範囲外の伝導率を有する場合には、平衡化緩衝液の伝導率範囲内であるか、または平衡化緩衝液の0.5 mS/cm以内もしくは0.05 mS/cm以内である伝導率を有する第1の混合物を提供するために、(例えば、塩および/または緩衝剤の添加によって)コンディショニングされてもよい。
非PEG化タンパク質とモノPEG化タンパク質とオリゴPEG化タンパク質とを含む第1の混合物は、平衡化緩衝液について上記で述べられるpH、緩衝剤、および塩の値を有する第1の混合物を提供するために、コンディショニングされてもよい。コンディショニングされた第1の混合物はまた、AECロード組成物またはロード溶液とも呼ばれ得る。AECロード溶液は、約10~30 mMビシン、約5.0~10.0 mM Na2SO4、pH 7.0~9.0における非PEG化タンパク質、モノPEG化タンパク質、およびオリゴPEG化タンパク質の水溶液であってもよい。AECロード溶液は、約25 mMビシン、約7.5 mM Na2SO4、pH 8.0における非PEG化タンパク質、モノPEG化タンパク質、およびオリゴPEG化タンパク質の水溶液であってもよい。
AECステップは、タンパク質のpIよりも少なくとも1.0~2.0 pH単位上のpHで実施されてもよい。多くのタンパク質は、5.5~7.5の範囲のpIを有し、したがって、本発明の方法は、モノPEG化タンパク質を生成するために用いられてもよく、ここで、AECステップは、約6.5~9.5、または約6.5~8.5、または約7.5~8.5のpHで実施される。
EPOのpIは、4.0~5.5の範囲にある。タンパク質がEPOであるプロセスは、タンパク質のpIよりも少なくとも2.0、少なくとも2.5、または少なくとも3.0 pH単位上で実施されてもよい。これにより、AEC材料に対する効率的なEPO結合が可能になる。モノPEG化EPO組成物を生成するためのプロセスは、少なくとも約7.0のpH、または約pH 7.0~10.0、もしくは約pH 7.0~9.0で実施されるAECステップを含んでもよい。pHは、約7.5~8.5、または約7.8~8.2、または約8.0であってもよい。
AECステップは、約1.0~3.0 mS/cm、約1.5~2.5 mS/cm、または約2.2 mS/cmの伝導率で実施されてもよい。AECステップの伝導率は、AEC平衡化緩衝液またはAEC洗浄緩衝液においてNaClまたはNa2SO4などの塩の濃度を調整することによって、調整されてもよい。AECステップは、約5.0~15 mM、約5.0~10 mM、または約7.5 mMのNa2SO4濃度で実施されてもよい。AECステップは、Na2SO4について本明細書において述べられるものと等価のイオン強度を提供する濃度で、他の塩を用いて、実施されてもよい。
第1の混合物またはAECロード溶液がAEC材料にアプライされた後、AEC材料は、洗浄されてもよい。AEC材料は、平衡化緩衝液で洗浄されてもよい。AEC材料は、洗浄緩衝液で洗浄されてもよい。洗浄緩衝液は、約10~40 mM、約15~35 mM、約20~30 mMのビシン、または約25 mMのビシンを含んでもよい。洗浄緩衝液は、約1~20 mM、約1~10 mM、約2.5~10 mM、約5~10 mMの塩、または約7.5 mMの塩を含んでもよい。これは、約25 mMビシン、約7.5 mM Na2SO4、pH 8.0を含んでもよい。洗浄緩衝液の緩衝剤は、約1~約8 mS/cm、約1~約5 mS/cm、約1.5~約3.0 mS/cm、約2.0~約3.0 mS/cmの伝導率を有し得る。AEC材料は、1~10、1~5、または約1、約2、約3、約4、もしくは約5カラム容量の平衡化緩衝液または洗浄緩衝液で洗浄されてもよい。AEC材料は、(例えば、UV分光法によって)フロースルー溶液のタンパク質含量をモニターすること、およびひとたびタンパク質含量が閾値よりも下になれば(例えば、UVシグナルがベースラインに戻る時に)、洗浄プロセスを中止することによって決定される、平衡化緩衝液または洗浄緩衝液の体積で洗浄されてもよい。フロースルー溶液、または流出液は、画分として収集されてもよく、これらのフロースルー画分のいくつかまたはすべては、プールされてもよい。
アニオン交換クロマトグラフィーを含むプロセスは、その下でEPOが相対的に安定である、相対的に高いpH条件の使用を可能にするため、モノPEG化EPOの生成に特に好ましい。
本発明の方法は、AEC材料がToyopearl Super Q 650 MであるAECステップを含んでもよく;AECステップは、約7.0~9.0のpHで実施され;AECステップは、約1.0~3.0 mS/cmの伝導率で実施され;かつ第1の混合物は、約10~30のmMビシンと約1~10 mMのNa2SO4とを含むAECロード溶液として、AEC材料にアプライされる。タンパク質は、エリスロポエチンであってもよい。
カチオン交換クロマトグラフィー
IECステップは、CECステップであってもよい。第1の混合物は、カチオン交換クロマトグラフィー(CEC)ステップに供されてもよい(工程b)。これは、第1の混合物に比べてPEG化タンパク質の画分が増大しているCECフロースルー溶液を提供する。これは、第1の混合物に比べて非PEG化タンパク質の画分が減少しているCECフロースルー溶液を提供する。
本開示の文脈において、増大している画分は、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約100%の量、増大していてもよい。増大している画分は、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約5倍、または少なくとも約10倍、増大していてもよい。
本開示の文脈において、減少している画分は、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約100%の量、減少していてもよい。減少している画分は、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約5倍、または少なくとも約10倍、増大していてもよい。
CECステップは、第1の混合物をカチオン交換材料と接触させること、または第1の混合物をカチオン交換材料にアプライすることを含む。CECステップは、第1の混合物を、カチオン交換材料を含むカラム上にロードすることを含んでもよい。カチオン交換材料は、PEG化EPOなどのPEG化タンパク質に対して低い結合能力を有する。すなわち、CEC材料は、モノPEG化組成物が望ましいタンパク質種のPEG化バージョンに対して相対的に低い結合能力を有する。カチオン交換材料に対する非PEG化タンパク質の結合に適しているCEC条件が、用いられる。カチオン交換材料を通り過ぎる溶液は、CECフロースルー溶液である。PEG化タンパク質に対するカチオン交換材料の低い結合能力は、PEG化タンパク質の大部分がカチオン交換材料を通り過ぎ、したがってCECフロースルー溶液中に存在する効果を有する。カチオン交換材料に対する非PEG化タンパク質の結合に適している結合条件は、(カチオン交換材料に対する結合によって)非PEG化タンパク質の大部分が除去され、かつフロースルー溶液中に存在しない効果を有する。
CEC材料は、PEG化タンパク質と有意には結合しない材料であってもよい。これは、CEC材料が、それにアプライされるPEG化タンパク質の約10%未満、約5%未満、約2%未満、約1%未満、約0.5%未満、約0.1%未満、または約0.01%未満と結合することを意味し得る。カチオン交換材料に対するPEG化タンパク質の結合はまた、多量の非PEG化タンパク質をカチオン交換材料にアプライすることによって低減させることもできる。このように、結合したPEG化タンパク質は、非PEG化タンパク質によって置き換えられる。カチオン交換材料にアプライされる非PEG化タンパク質の量は、カチオン交換材料の動的ブレークスルー能力の約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、約110%、または約120%であってもよい。カチオン交換材料にアプライされる非PEG化タンパク質の量は、カチオン交換材料の動的ブレークスルー能力の約70~110%、約80~100%、または約85%~95%の範囲であってもよい。カチオン交換材料にアプライされる非PEG化タンパク質の量は、カチオン交換材料の動的ブレークスルー能力の約80~95%の範囲であってもよい。
CECフロースルー溶液は、モノPEG化タンパク質およびオリゴPEG化タンパク質を含む。CECフロースルー溶液はまた、非PEG化タンパク質を含んでもよく、ここで、非PEG化タンパク質の割合は、相対的に低いかまたはゼロに近い。CECフロースルー溶液は、ゼロの非PEG化タンパク質、または検出限界よりも下の非PEG化タンパク質の量を含み得る。タンパク質はEPOであってもよい。フロースルー溶液は、約20%、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、約1.5%未満、約1.0%未満、約0.5%未満、または約0.1%未満の非PEG化タンパク質を含み得る。フロースルー溶液は、約2%未満の非PEG化タンパク質を含み得る。フロースルー溶液は、約2%未満の非PEG化EPOを含み得る。
CECフロースルー溶液は、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約99.9%のPEG化タンパク質を含み得る。
CECフロースルーは、約80%のモノPEG化タンパク質および約20%のオリゴPEG化タンパク質を含み得る。CECフロースルー溶液は、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、または少なくとも約80%のモノPEG化タンパク質を含み得る。フロースルー溶液は、約60~90%、約70~90%、または約75~85%のモノPEG化タンパク質を含み得る。CECフロースルー溶液は、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、または少なくとも約40%のオリゴPEG化タンパク質を含み得る。フロースルー溶液は、約10~40%、約10~30%、または約15~25%のオリゴPEG化タンパク質を含み得る。
CECフロースルー溶液は、(A)0.1~5%の範囲の非PEG化タンパク質、および(B)60~90%の範囲のモノPEG化タンパク質、および(C)10~40%の範囲のオリゴPEG化タンパク質を含んでもよく、(A)、(B)、および(C)の合計は100%である。フロースルー溶液は、(A)0.1~1.5%の範囲の非PEG化タンパク質、および(B)75~85%の範囲のモノPEG化タンパク質、および(C)15~25%の範囲のオリゴPEG化タンパク質を含んでもよく、(A)、(B)、および(C)の合計は100%である。
CECフロースルー溶液は、(A)非PEG化タンパク質、および(B)モノPEG化タンパク質、および(C)オリゴPEG化タンパク質を含み得る。非PEG化タンパク質、モノPEG化タンパク質、およびオリゴPEG化タンパク質は、A:B:Cの比で存在してもよく、Aが約1~5であり、Bが約10~20であり、かつCが約5~15であるか;またはAが約1~3であり、Bが約25~35であり、かつCが約5~10である。非PEG化タンパク質、モノPEG化タンパク質、およびオリゴPEG化タンパク質は、A:(B+C)の比で存在してもよく、A:(B+C)は、約1:25;約1:50;約1:100;約1:150、約1:200、または約1:100~200である。比は、重量比または質量比であってもよい。比は、モル比であってもよい。
CECステップは、非PEG化タンパク質がCEC材料に結合するのに適している条件下で実施される。非PEG化タンパク質の結合に適している条件は、CEC材料、または平衡化緩衝液のpH、伝導率、塩含量、もしくは緩衝剤含量のうちの1つまたは複数をスクリーニングすることによって、経験的に決定されてもよい。
イオン交換材料上の官能基は、その電荷を決定する。本文脈における「強」および「弱」という用語は、官能基のイオン化状態がpHの変動と共に変わる程度を指す。強イオン交換体は、pHの変化でイオン交換能力にほとんど変動を示さないかまたは全く変動を示さない。強イオン交換体は、広いpH範囲にわたって完全に電荷を有するままである。弱イオン交換体は、pH依存的な機能を示し、より狭いpH範囲にわたって最適な性能を発揮する。
強カチオン交換材料は、スルホン酸基を含み得る。弱カチオン交換材料は、カルボン酸官能基またはリン酸官能基を含み得る。強カチオン交換材料を用いる利点は、電荷の損失がないため、高いpHまたは低いpHで結合能力が維持されることである。
CEC材料は、負電荷を有するリガンドまたは官能基で、すなわち、酸性のリガンドまたは官能基で官能基化されている樹脂を含み得る。
CEC材料には、POROS HS材料、Fractogel S材料、Fractogel EMD SO3-(S)、Fractogel EMD SO3-(M)、Fractogel SMD SE HiCap (M)、Fractogel EMD COO- (M)、およびCapto S材料が含まれる。
本発明の方法において用いられるカチオン交換材料は、強カチオン交換材料であってもよい。これは、50~150 nm、70~120 nm、70~100 nm、または90~110 nmの孔サイズを有し得る。本明細書における孔サイズとは、平均孔サイズを指し得る。これは、40~150μm、40~120μm、40~100μm、40~80μm、または約60、約65、約70、約80、もしくは約90、約100μmの粒子サイズを有し得る。粒子サイズ(またはビーズサイズ)とは、平均粒子サイズを指し得る。これは、70~100 nmの孔サイズおよび35~100μmのビーズサイズを有し得る。これは、100 nmの孔サイズおよび65μmのビーズサイズを有し得る。これは、SP Toyopearl 650 Mであってもよい。
カチオン交換材料は、カラム、例えば、膨張床カラムまたは充填床カラムであってもよいか、またはそれを含んでもよい。カチオン交換材料は、連続向流タンジェンシャルクロマトグラフィーシステムであってもよいか、またはそれを含んでもよい。カチオン交換材料は、離散性の粒子またはビーズの形態であってもよい。カチオン交換材料は、膜の形態であってもよい。カチオン交換材料は、官能基を有するフィルター、または官能基を有する繊維、フリース、もしくはメッシュの形態であってもよい。アニオン交換材料は、官能基を保有することができるかまたはアニオン交換特性を呈する任意の他の固体支持体の形態であってもよい。
本発明の方法におけるCEC材料は、タンパク質のPEG化型に対して低い結合能力を有するカチオン交換材料であってもよい。特に、これは、PEG化EPOに対して低い結合能力を有するカチオン交換材料であってもよい。カチオン交換材料は、PEG化EPOに対して低い結合能力、例えば、約0.5 g/L未満、約0.05 g/L未満、約0.01 g/L未満、もしくは約0.001 g/L未満の、または0 g/Lに近い結合能力を有するSP Toyopearl 650 Mであってもよい。
CEC材料は、20~50 g/L、30~40 g/L、または約35 g/Lの、非PEG化タンパク質、例えば非PEG化EPOに対する相対的に高い結合能力を有し得る。CEC材料は、少なくとも約35 g/Lの、非PEG化タンパク質、例えば非PEG化EPOに対する結合能力を有し得る。
第2の混合物の提供
上記のように、本発明の方法は、第1の混合物をアニオン交換クロマトグラフィー(AEC)ステップに供する工程(工程b)を含む。アニオン交換クロマトグラフィーステップ由来のフロースルーが、第2の混合物を提供するために用いられる(工程c)。例えば、第2の混合物は、1つまたは複数のAECステップ由来の収集されたフロースルーを含んでもよい。第2の混合物を提供する工程は、第2の混合物のバッチをHIC装置(例えば、HICカラム)に提供することを含んでもよい。あるいは、第2の混合物を提供する工程は、インライン接続を介してフロースルーをHIC装置(例えば、HICカラム)に提供することを含んでもよい。
第2の混合物を提供する工程(工程c)は、AECステップからフロースルー溶液を収集することを含む。第2の混合物を提供する工程は、2つ、3つ、4つ、または5つのAECステップ、または3つよりも多いAECステップ由来のフロースルー溶液をプールすることを含んでもよい。第2の混合物を提供する工程は、第2の混合物のコンディショニングを含んでもよい。第2の混合物のコンディショニングは、その中に含有されたオリゴPEG化タンパク質からモノPEG化タンパク質をHICによって分離するために、改善された適性を有するコンディショニングされた第2の混合物を提供し得る。コンディショニングされた第2の混合物は、HICロード組成物またはロード溶液と呼ばれ得る。第2の混合物のコンディショニングは、塩の添加、および/またはビシンの添加を含んでもよい。すなわち、工程(c)は、モノPEG化タンパク質とオリゴPEG化タンパク質とを含む第2の混合物を提供するために、工程(b)からのAECフロースルー溶液の収集、ならびに塩および/またはビシンの添加によるそれのコンディショニングを含んでもよい。AECフロースルー溶液の収集は、AECフロースルー溶液の画分またはバッチの収集を含んでもよく、それらはプールされてもよい。AECフロースルー溶液の収集は、第2の混合物をHIC材料に提供するために、インラインコンディショニングを伴うAECフロースルー溶液の直接送達または連続的な流れを含んでもよい。AECフロースルー溶液を含有するモジュールを、HIC材料を含有するモジュールに接続する、フィードラインなどの機構があってもよい。
疎水性相互作用クロマトグラフィー
HIC材料は、疎水性リガンドで官能基化されている樹脂を含んでもよい。HIC材料上の疎水性リガンドは、タンパク質の疎水性表面と相互作用し得る。HIC材料上のリガンドおよび置換の程度(高いかまたは低い置換「sub」)が、その最終的な疎水性に、およびそれによってその選択性に寄与し得る。リガンドは、アルキル基またはアリール基を含有し得る。HIC材料の疎水性は、リガンド系列:エーテル、ポリプロピレングリコール(PPG)、フェニル、ブチル、およびヘキシルを通して増大する。
本発明の方法において用いられるHIC材料は、フェニルリガンドを含んでもよい。これは、フェニルリガンドで官能基化されたメタクリック樹脂を含んでもよい。これは、フェニルリガンドで官能基化されたヒドロキシル化ポリメタクリックポリマービーズであってもよい。これは、50~150 nm、70~120 nm、70~100 nm、90~110 nmの孔サイズを有し得る。これは、40~150μm、40~120μm、40~100μm、40~80μm、または約60、約65、約70、約80、もしくは約90、約100μmの粒子サイズを有し得る。これは、70~100 nmの孔サイズおよび30~65μmのビーズサイズを有し得る。これは、100 nmの孔サイズおよび65μmのビーズサイズを有し得る。これは、Toyopearl Phenyl 650M(Tosoh Bioscience LLC;製品番号14478)であってもよい。本発明の方法において用いられるHIC材料は、製造業者の説明書に従って用いられ得る。
HIC材料は、カラム、例えば、膨張床カラムまたは充填床カラムであってもよいか、またはそれを含んでもよい。HIC材料は、多孔性モノリシック材料の形態であってもよい。HIC材料は、官能基を有する繊維、フリース、またはメッシュの形態であってもよい。HIC材料は、官能基を保有することができるか、またはHIC特性を呈する任意の他の固体支持体の形態であってもよい。
HIC材料には、Toyopearl Phenyl 650M、Toyopearl Phenyl 650S、Toyopearl PPG 600M、TSKgel Phenyl 5PW、Butyl Sepharose 4 FF、Butyl-S Sepharose FF、Octyl Sepharose 4 FF、Phenyl Sepharose BB、Phenyl Sepharose HP、Phenyl Sepharose 6 FF High Sub、Phenyl Sepharose 6 FF Low Sub、Source I SETH、Source 151 SO、Source 1 SPHE、Phenyl Sepharose BB、Phenyl Sepharose HP、Phenyl Sepharose 6 FF High Sub、Phenyl Sepharose 6 FF Low Sub、Source I SETH、Source 151 SO、Source 1 SPHE、Cellufine Butyl、Cellufine Octyl、Cellufine Phenyl、WP HI-Propyl (C3)、Macroprep t-Butyl、Macroprep methylが含まれる。
本発明の方法は、フロースルーモードにおけるHICステップを含んでもよい。フロースルーモードにおいて、第2の混合物は、モノPEG化タンパク質がHIC材料を通り過ぎ、したがってHICフロースルー溶液中に存在するのに適している条件下で、HIC材料にアプライされる。条件は、オリゴPEG化タンパク質がHIC材料に結合するのに適している。
本発明の方法は、結合および溶出モードにおけるHICステップを含んでもよい。結合および溶出モードにおいて、第2の混合物は、モノPEG化タンパク質およびオリゴPEG化タンパク質がHIC材料に結合するのに適している条件下で、HIC材料にアプライされる。モノPEG化タンパク質は、HIC材料から溶出される、減少する塩の勾配が、モノPEG化タンパク質を溶出させるために用いられる。オリゴPEG化タンパク質は、より低い塩濃度で、したがって、モノPEG化タンパク質とは別々の画分において溶出される。
HIC材料は、第2の混合物またはHICロード溶液がその上にロードされる前に、平衡化されてもよい。HIC平衡化緩衝液は、Na2SO4などの塩および/またはビシンを含んでもよい。HIC平衡化緩衝液は、約6.5~9.0、約7.5~8.5、または約8.0のpHを有し得る。HIC平衡化緩衝液は、約10~40 mM、約15~35 mM、約20~30 mMビシン、または約25 mMビシンを含んでもよい。HIC平衡化緩衝液は、約10~40 mM、約15~35 mM、約20~30 mMビシン、または約25 mM NaPO4を含んでもよい。
モノPEG化タンパク質がHIC材料を通り過ぎるが、オリゴPEG化タンパク質がHIC材料に結合するのに適している条件は、容易に決定することができる。平衡化緩衝液のpH、イオン強度、および組成は、タンパク質混合物がクロマトグラフィーマトリックス上にロードされた場合に、所望の結合および/またはフロースルーまたは特定のタンパク質または混入物が達成されることを確実にするように選択され得る。例えば、平衡化緩衝液のpH、イオン強度、および組成は、モノPEG化タンパク質がHIC材料を通り過ぎるが、オリゴPEG化タンパク質HIC材料に結合することを確実にするように選択され得る。
フロースルーモードにおけるHICステップが行われる前の平衡化のために、平衡化緩衝液は、約200~500 mM、約250~450 mM、約300~450 mM、約300~400 mM、約350~400 mMの塩、または約390 mMの塩、または約300 mMの塩を含んでもよい。フロースルーモードHICにおける使用のための平衡化緩衝液は、約25 mMビシン、約390 mM Na2SO4、pH 8.0を含んでもよい。フロースルーモードHICにおける使用のための平衡化緩衝液は、約25 mMビシン、約300 mM Na2SO4、pH 8.0を含んでもよい。フロースルーモードHICにおける使用のための平衡化緩衝液は、約25 mM NaPO4、約300 mM Na2SO4、pH 8.0を含んでもよい。フロースルーモードHICにおける使用のための平衡化緩衝液は、約30~70 mS/cm、約40~60 mS/cm、または約50 mS/cmの伝導率を有し得る。
前記方法が、フロースルーモードにおけるHICステップを含む場合、方法は、約300 mM Na2SO4および約25 mMビシンとして存在し得るか、または約390 mM Na2SO4および約25 mMビシンとして存在し得る、塩(Na2SO4など)およびビシンを含むコンディショニングされた第2の混合物を提供する工程を含んでもよい。コンディショニングされた第2の混合物は、HICロード溶液と呼ばれ得る。HICフロースルーモードにおける使用のためのコンディショニングされた第2の混合物は、約200~500 mM、約250~450 mM、約250~350 mMの塩、または約300 mMの塩、または約350~450 mMの塩、または約390 mMの塩を含んでもよい。塩は、Na2SO4であってもよい。コンディショニングされた第2の混合物は、約10~40 mM、15~35 mM、20~30 mMのビシン、または約25 mMのビシンを含んでもよい。コンディショニングされた第2の混合物は、約300 mM Na2SO4および約25 mMビシンを含んでもよい。
HICフロースルーモードにおいて、第2の混合物がHIC材料にアプライされた後、HIC材料は洗浄されてもよい。HIC材料は、フロースルーモードにおける使用に適している平衡化緩衝液で洗浄されてもよい。HIC材料は、約200~500 mM、約250~450 mM、約300~450 mM、約300~400 mM、約350~400 mMの塩、または約390 mMの塩、または約300 mMの塩を含んでもよいHIC洗浄緩衝液で、洗浄されてもよい。フロースルーモードHICにおける使用のための洗浄緩衝液は、約25 mMビシン、約390 mM Na2SO4、pH 8.0を含んでもよい。フロースルーモードHICにおける使用のための洗浄緩衝液は、約25 mMビシン、約300 mM Na2SO4、pH 8.0を含んでもよい。HIC材料は、1~10、1~5、または約1、約2、約3、約4、もしくは約5カラム容量の緩衝液で洗浄されてもよい。HIC材料は、(例えば、UV分光法によって)フロースルー溶液のタンパク質含量をモニターすること、およびひとたびタンパク質含量が閾値よりも下になれば(例えば、UVシグナルがベースラインに戻る時に)、洗浄プロセスを中止することによって決定される、平衡化緩衝液または洗浄緩衝液の体積で洗浄されてもよい。フロースルー溶液、または流出液は、画分として収集されてもよく、これらのフロースルー画分のいくつかまたはすべては、プールされてもよい。
第2の混合物は、ゼロの、またはゼロに近い非PEG化タンパク質を含み得る。第2の混合物は、約10%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、約1.5%未満、約1.0%未満、約0.5%未満、もしくは約0.1%未満の非PEG化タンパク質を含み得る。第2の混合物は、約2%未満の非PEG化タンパク質を含み得る。第2の混合物は、約2%未満の非PEG化EPOを含み得る。
本発明の方法が、フロースルーモードにおけるHICステップを含む場合、第2の混合物の非PEG化タンパク質含量は、最終的な治療用製品についての閾値規格よりも下であるべきである。
HICステップがフロースルーモードにおいて実施される場合、HICフロースルーは、モノPEG化タンパク質組成物を提供する。すなわち、HICフロースルーは、本明細書に記載されるようなモノPEG化タンパク質組成物である。HICフロースルーは、少なくとも90%のモノPEG化タンパク質を含み得る。
HICステップがフロースルーモードにおいて実施される場合、オリゴPEG化タンパク質は、例えば、0 mS/cmの伝導率での勾配溶出または段階溶出によって、HIC材料から溶出され得る。
結合および溶出モードにおけるHICステップが行われる前の平衡化のために、平衡化緩衝液は、約400~600 mM、約450~550 mMの塩、または約500 mMの塩を含んでもよい。結合および溶出モードHICにおける使用のための平衡化緩衝液は、約25 mMビシン、約500 mM Na2SO4、pH 8.0を含んでもよい。結合および溶出モードHICにおける使用のための平衡化緩衝液は、約40~80 mS/cm、約50~70 mS/cm、または約60 mS/cmもしくは約58 mS/cmの伝導率を有し得る。
前記方法が、結合および溶出モードにおけるHICステップを含む場合、方法は、前述の濃度の任意の組み合わせであってもよく、かつ約500 mM Na2SO4および約25 mMビシンとして存在し得る、塩(Na2SO4など)およびビシンを含むコンディショニングされた第2の媒体を提供する工程を含んでもよく、溶出ステップは、500 mMから0 mMまでのNa2SO4の減少する勾配での溶出を含んでもよい。コンディショニングされた第2の混合物は、HICロード溶液と呼ばれ得る。HIC結合および溶出モードにおける使用のためのコンディショニングされた第2の混合物は、約250~750 mM、約400~600 mM、約450~550 mMの塩、または約500 mMの塩を含んでもよい。塩は、Na2SO4であってもよい。NaClなどの、他の塩が用いられてもよい。他の塩は、Na2SO4濃度に等価のイオン強度を提供する濃度で用いられてもよい。コンディショニングされた第2の混合物は、約10~40 mM、約15~35 mM、約20~30 mMのビシン、または約25 mMのビシンを含んでもよい。コンディショニングされた第2の混合物は、約500 mM Na2SO4および約25 mMビシンを含んでもよい。
HICステップが結合および溶出モードにおいて実施される場合、モノPEG化タンパク質は、HIC材料から溶出される。溶出は、減少する塩勾配による。溶出は、500 mMから0 mMまでの塩、例えばNa2SO4の直線溶出勾配をアプライすることを含んでもよい。溶出は、約60 mS/cm~0 mS/cmの直線溶出勾配をアプライすることを含んでもよい。減少する塩勾配において、モノPEG化EPOは、およそ300 mM Na2SO4で溶出する(図6を参照されたい)。モノPEG化タンパク質をHIC材料から溶出させることは、モノPEG化タンパク質を提供するHIC溶出液を提供する。
HICステップがフロースルーモードにおいて実施される場合、HICフロースルーは、モノPEG化タンパク質組成物を提供する。すなわち、HICフロースルーは、本明細書に記載されるようなモノPEG化タンパク質組成物である。HICフロースルーは、少なくとも90%のモノPEG化タンパク質を含み得る。
第2の混合物は、HICステップのために1つまたは複数のバッチにおいてコンディショニングされてもよい。第2の混合物は、インラインでコンディショニングされてもよい。第2の混合物を提供する工程(工程c)は、コンディショニングされた媒体を直接IEC装置(例えば、AECカラムまたはCECカラム)からHIC装置(例えば、HICカラム)に提供するために、混合物のインラインでのコンディショニングを含んでもよい。例えば、第2の混合物を提供する工程(工程c)は、コンディショニングされた媒体を直接AEC装置(例えば、AECカラム)からHIC装置(例えば、HICカラム)に提供するために、混合物のインラインでのコンディショニングを含んでもよい。
室温は、約18~25℃、20~22℃、約20℃、約21℃、または約22℃であってもよい。本明細書に開示される方法は、室温で実施されてもよい。HICは、室温で実施されてもよい。HICは、15~25℃の温度で実施されてもよい。再現性のために、方法は、HICを特定のかつ安定した温度で実施されてもよい。安定した温度は、特定の温度±1.0℃または±1.0℃であってもよい。
本発明の方法は、第2の混合物に比べてモノPEG化タンパク質の画分が増大しているHICフロースルー溶液を提供するために、第2の混合物をフロースルーモードにおいてHICステップに供する工程であって、該HICステップが、オリゴPEG化タンパク質の結合に適している条件下で第2の混合物をHIC材料にアプライすることを含み、該HICフロースルーがモノPEG化タンパク質組成物を提供する、工程を含んでもよい。そのような方法において、HIC材料は、Toyopearl Phenyl 650Mであってもよく、HICステップは、約7.0~9.0のpH、および約30~40 mS/cmの伝導率で実施され;かつ第2の混合物は、約25 mMのビシンと約390 mMのNa2SO4とを含むHICロード溶液としてHIC材料にアプライされる。タンパク質は、エリスロポエチンであってもよい。
未反応タンパク質の再利用
前記方法は、第1の混合物を提供するために、PEG化反応を実施することを含んでもよい。そのような方法において、非PEG化(未反応)タンパク質は、それをその後のPEG化反応に含めることによって、再利用されてもよい。方法は、(a)PEG化反応を実施することによって第1の混合物を提供する工程、(b)IECステップを実施する工程、および(c)IECステップからフロースルーを収集することを含む、第2の混合物を提供する工程を含んでもよい。再利用を含む方法においては、工程a、b、およびcのサイクルが実施され、ここで、非PEG化タンパク質が工程bにおいて回収され;次いで、工程a、b、およびcのさらなるサイクルが実施され、かつここで、回収された非PEG化タンパク質が工程aのPEG化反応に用いられる。すなわち、さらなるサイクルが実施され、ここで、前のサイクル由来の非PEG化タンパク質が、そのさらなるサイクルのPEG化反応に用いられる。IECステップは、AECまたはCECであってもよい。
特に、前記方法は、工程(a)、(b)、および(c)を含む第1のサイクルの実施であって、工程(b)が、IEC溶出液を提供するために非PEG化タンパク質をIEC材料から溶出させることをさらに含む、実施、ならびに、工程(a)、(b)、および(c)の第2のサイクルの実施であって、第1のサイクルの工程(b)において溶出された非PEG化タンパク質が、工程(a)のPEG化反応に加えられる、実施を含んでもよい。方法は、3回、4回、または5回のサイクルを含んでもよく、各サイクルの工程(b)は、IEC溶出液を提供するために、非PEG化タンパク質をIEC材料から溶出させることを含み、かつ工程(b)において溶出された非PEG化タンパク質は、次のサイクルにおける工程(a)のPEG化反応に加えられる。IECステップは、AECまたはCECであってもよい。
前記方法は、サイクルの工程(b)由来のIEC溶出液を、次のサイクルの工程(a)のPEG化反応に直接加えることを含んでもよい。例えば、方法は、第1のサイクルの工程(b)由来のIEC溶出液を、第2のサイクルの工程(a)のPEG化反応に直接加えることを含んでもよい。本文脈における直接加えることとは、溶出液における非PEG化タンパク質を(例えば、透析ろ過または限外ろ過によって)精製するかまたは清浄にする、いかなる介在するステップもないことを意味する。むしろ、非PEG化タンパク質を含有するIEC材料由来の溶出液が、その後のPEG化反応に加えられる。
その後のPEG化反応に用いられる非PEG化タンパク質には、新たなタンパク質が補給されてもよい。前記方法は、IEC材料から回収された非PEG化タンパク質に加えて、新たなタンパク質をPEG化反応に加えることを含んでもよい。非PEG化タンパク質を再利用するステップは、IEC材料から回収された非PEG化タンパク質を、その後のPEG化反応に加えることを含み、これは、PEG化反応におけるタンパク質の出発濃度が実質的に一定であるように、新たなタンパク質をPEG化反応に加えることをさらに含んでもよい。本文脈における実質的に一定とは、第2のおよびその後のPEG化反応におけるタンパク質の出発濃度が、第1のサイクルのPEG化反応におけるものと実質的に同じであることを意味し得る。実質的に同じとは、±10%を意味し得る。新たなタンパク質とは、以前にPEG化反応に供されたことがないタンパク質を指す。
例えば、前記方法は、第1の混合物を提供するために、PEG化反応を実施することを含んでもよい。そのような方法において、非PEG化(未反応)タンパク質は、それをその後のPEG化反応に含めることによって、再利用されてもよい。方法は、(a)PEG化反応を実施することによって第1の混合物を提供する工程、(b)AECステップを実施する工程、および(c)AECステップからフロースルーを収集することを含む、第2の混合物を提供する工程を含んでもよい。再利用を含む方法においては、工程a、b、およびcのサイクルが実施され、ここで、非PEG化タンパク質が工程bにおいて回収され;次いで、工程a、b、およびcのさらなるサイクルが実施され、かつここで、回収された非PEG化タンパク質が工程aのPEG化反応に用いられる。すなわち、さらなるサイクルが実施され、ここで、前のサイクル由来の非PEG化タンパク質が、そのさらなるサイクルのPEG化反応に用いられる。
特に、前記方法は、工程(a)、(b)、および(c)を含む第1のサイクルの実施であって、工程(b)が、AEC溶出液を提供するために非PEG化タンパク質をAEC材料から溶出させることをさらに含む、実施、ならびに、工程(a)、(b)、および(c)の第2のサイクルの実施であって、第1のサイクルの工程(b)において溶出された非PEG化タンパク質が、工程(a)のPEG化反応に加えられる、実施を含んでもよい。方法は、3回、4回、または5回のサイクルを含んでもよく、かつ各サイクルの工程(b)は、AEC溶出液を提供するために、非PEG化タンパク質をAEC材料から溶出させることを含み、かつ工程(b)において溶出された非PEG化タンパク質は、次のサイクルにおける工程(a)のPEG化反応に加えられる。
前記方法は、サイクルの工程(b)由来のAEC溶出液を、次のサイクルの工程(a)のPEG化反応に直接加えることを含んでもよい。例えば、方法は、第1のサイクルの工程(b)由来のAEC溶出液を、第2のサイクルの工程(a)のPEG化反応に直接加えることを含んでもよい。本文脈における直接加えることとは、溶出液における非PEG化タンパク質を(例えば、透析ろ過または限外ろ過によって)精製するかまたは清浄にする、いかなる介在するステップもないことを意味する。むしろ、非PEG化タンパク質を含有するAEC材料由来の溶出液が、その後のPEG化反応に加えられる。
その後のPEG化反応に用いられる非PEG化タンパク質には、新たなタンパク質が補給されてもよい。前記方法は、AEC材料から回収された非PEG化タンパク質に加えて、新たなタンパク質をPEG化反応に加えることを含んでもよい。非PEG化タンパク質を再利用するステップは、AEC材料から回収された非PEG化タンパク質を、その後のPEG化反応に加えることを含み、これは、PEG化反応におけるタンパク質の出発濃度が実質的に一定であるように、新たなタンパク質をPEG化反応に加えることをさらに含んでもよい。本文脈における実質的に一定とは、第2のおよびその後のPEG化反応におけるタンパク質の出発濃度が、第1のサイクルのPEG化反応におけるものと実質的に同じであることを意味し得る。実質的に同じとは、±10%を意味し得る。新たなタンパク質とは、以前にPEG化反応に供されたことがないタンパク質を指す。
前記方法は、第1および第2のサイクルが実施され、第2のサイクルが最終サイクルであるように、工程a、b、およびcの1回のさらなるサイクルを含んでもよい。あるいは、本発明の方法は、第1、第2、および第3のサイクルが実施され、第3のサイクルが最終サイクルであるように、工程a、b、およびcの2回のさらなるサイクルを含んでもよい。方法は、工程a、b、およびcの2回よりも多いさらなるサイクルを含んでもよい。方法は、工程a、b、およびcの合計で1回、2回、3回、4回、または5回のサイクルを含んでもよい。
最終サイクルは、PEG/タンパク質のモル比が約1.4対1~約2対1である、PEG化反応を実施することを含んでもよい。PEG/タンパク質のモル比は、約1.4対1.0、約1.5対1.0、約1.6対1.0、約1.7対1.0、約1.8対1.0、約1.9対1.0、約2.0対1.0、約2.1対1.0、約2.2対1.0、約2.3対1.0、約2.4対1.0、または約2.5対1.0であってもよい。相対的に高いPEG/タンパク質の比は、最終サイクルにおいて有利であり得る。最終サイクル後には、未反応(非PEG化)タンパク質の再利用がなく、したがって、未反応タンパク質を最小化することによってタンパク質の廃棄を最小化することが、有利であり得る。すなわち、最終サイクルにおいては、タンパク質のPEG化、特にモノPEG化を最大化することが、有利であり得る。
最終サイクルは、約pH 7.0~9.0でPEG化反応を実施することを含んでもよい。PEG化反応は、約pH 7.5~8.5、または約pH 8.0で実施されてもよい。PEG化反応は、約15~25℃、または約20℃で実施されてもよい。PEG化反応は、30~120分または約60分の反応時間を有し得る。PEG化は、NHS活性化PEGを用いてもよい。
非PEG化タンパク質は、それをIEC材料から溶出させることによって、IECステップにおいて回収され得る。非PEG化タンパク質を回収することは、したがって、相対的に濃縮された形態および/または相対的に純粋な形態で非PEG化タンパク質を含む、溶出液を提供することを含み得る。溶出液は、少なくとも約95%の非PEG化タンパク質を含み得る。IECステップは、AECまたはCECであってもよい。例えば、非PEG化タンパク質は、それをAEC材料から溶出させることによって、AECステップにおいて回収され得る。非PEG化タンパク質を回収することは、したがって、相対的に濃縮された形態および/または相対的に純粋な形態で非PEG化タンパク質を含む、溶出液を提供することを含み得る。溶出液は、少なくとも約95%の非PEG化タンパク質を含み得る。
非PEG化タンパク質をIEC材料から溶出することは、IEC材料を溶出緩衝液と接触させることを含んでもよい。IECステップは、AECステップまたはCECステップであってもよく、したがって、溶出緩衝液は、AEC溶出緩衝液またはCEC溶出緩衝液であってもよい。溶出緩衝液は、約70 mM未満、約60 mM未満、約50 mM未満、もしくは約45 mM未満または約70 mM、約60 mM、約50 mM、もしくは約45 mMの塩を含んでもよい。溶出緩衝液は、約45 mM未満または約45 mMの塩を含んでもよい。溶出緩衝液は、約40~100 mM、約50~90 mM、約60~80 mM NaCl、または約70 mM NaCl、または約20~60 mM、約40~50 mM、もしくは約45 mM NaCl、または少なくとも約40 mM、少なくとも約50 mM、少なくとも約60 mM、もしくは少なくとも約70 mM NaClを含んでもよい。溶出緩衝液は、約45 mM未満または約45 mMのNaClを含んでもよい。溶出緩衝液は、約20~50 mM、約25~45 mM、約30~40 mM Na2SO4、または約35 mM Na2SO4、または少なくとも約20 mM、少なくとも約25 mM、少なくとも約30 mM、もしくは少なくとも約35 mM Na2SO4を含んでもよい。他の塩が、溶出緩衝液における使用に適している可能性があり、これは、NaClおよびNa2SO4について示されている濃度範囲と同じ量の、負電荷を有するイオンを提供し得る。例えば、溶出緩衝液は、約70 mM NaClまたは約35 mM Na2SO4を含有してもよい。溶出緩衝液は、約20~30 mM、または約25 mMのビシンを含んでもよい。溶出緩衝液は、約7.0~9.0、約7.5~8.5、または約8.0のpHを有し得る。溶出緩衝液は、約35 mM Na2SO4、約25 mMビシン、pH約8.0を含んでもよい。
非PEG化タンパク質をAEC材料から溶出することは、AEC材料を溶出緩衝液と接触させることを含んでもよい。溶出緩衝液は、約70 mM未満、約60 mM未満、約50 mM未満、もしくは約45 mM未満または約70 mM、約60 mM、約50 mM、もしくは約45 mMの塩を含んでもよい。溶出緩衝液は、約45 mM未満または約45 mMの塩を含んでもよい。AEC溶出緩衝液は、約40~100 mM、約50~90 mM、約60~80 mM NaCl、または約70 mM NaCl、または約20~60 mM、約40~50 mM、もしくは約45 mM NaCl、または少なくとも約40 mM、少なくとも約50 mM、少なくとも約60 mM、もしくは少なくとも約70 mM NaClを含んでもよい。溶出緩衝液は、約45 mM未満または約45 mMのNaClを含んでもよい。溶出緩衝液は、約20~50 mM、約25~45 mM、約30~40 mM Na2SO4、または約35 mM Na2SO4、または少なくとも約20 mM、少なくとも約25 mM、少なくとも約30 mM、もしくは少なくとも約35 mM Na2SO4を含んでもよい。他の塩が、AEC溶出緩衝液における使用に適している可能性があり、これは、NaClおよびNa2SO4について示されている濃度範囲と同じ量の、負電荷を有するイオンを提供し得る。例えば、溶出緩衝液は、約70 mM NaClまたは約35 mM Na2SO4を含有してもよい。溶出緩衝液は、約20~30 mM、または約25 mMのビシンを含んでもよい。溶出緩衝液は、約7.0~9.0、約7.5~8.5、または約8.0のpHを有し得る。溶出緩衝液は、約35 mM Na2SO4、約25 mMビシン、pH約8.0を含んでもよい。
溶出緩衝液は、約60 mM未満、約55 mM未満、約50 mM未満、約45 mM未満、約40 mM未満、もしくは約35 mM未満または約60 mM、約55 mM、約50 mM、約45 mM、約40 mM、もしくは約35 mMの量の塩を含有してもよい。溶出緩衝液は、約60 mM、約55 mM、約50 mM、約45 mM、または約40 mM未満の量の塩を含有してもよい。塩は、Na2SO4であってもよい。塩は、Na2SO4を含む塩の混合物であってもよい。溶出緩衝液は、約5~20 mS/cm、約5~15 mS/cm、または約8~10 mS/cmの伝導率を有し得る。溶出緩衝液は、約20 mS/cm未満、約15 mS/cm未満、もしくは約10 mS/cm未満または約20 mS/cm、約15 mS/cm、もしくは約10 mS/cmの伝導率を有し得る。
AEC材料のための溶出緩衝液は、約60 mM未満、約55 mM未満、約50 mM未満、約45 mM未満、約40 mM未満、もしくは約35 mM未満または約60 mM、約55 mM、約50 mM、約45 mM、約40 mM、もしくは約35 mMの量の塩を含有してもよい。溶出緩衝液は、約60 mM未満、約55 mM未満、約50 mM未満、約45 mM未満、または約40 mM未満の量の塩を含有してもよい。塩は、Na2SO4であってもよい。塩は、Na2SO4を含む塩の混合物であってもよい。feluAEC材料のための溶出緩衝液は、約5~20 mS/cm、約~15 mS/cm、または約8~10 mS/cmの伝導率を有し得る。溶出緩衝液は、約20 mS/cm未満、約15 mS/cm未満、もしくは約10 mS/cm未満または20 mS/cm、約15 mS/cm、もしくは約10 mS/cmの伝導率を有し得る。
IEC(AECまたはCEC)溶出緩衝液における(または本明細書において議論される他の緩衝液における)使用のための、ビシンに対する代替物には、例えば、他の「グッドの緩衝液」が含まれる。約6~10のpKaを有する緩衝液が、用いられてもよい。リン酸塩またはHEPESが、用いられてもよい。一級アミンを含有しない緩衝液が、特に適している(一級アミンは、PEG試薬に対するパートナーとして作用し、いくつかのPEG化緩衝剤分子を結果としてもたらす可能性があるため)。
AEC溶出緩衝液における(または本明細書において議論される他の緩衝液における)使用のための、ビシンに対する代替物には、例えば、他の「グッドの緩衝液」が含まれる。約6~10のpKaを有する緩衝液が、用いられてもよい。リン酸塩またはHEPESが、用いられてもよい。一級アミンを含有しない緩衝液が、特に適している(一級アミンは、PEG試薬に対するパートナーとして作用し、いくつかのPEG化緩衝剤分子を結果としてもたらす可能性があるため)。
IEC(AECまたはCEC)溶出緩衝液における(または本明細書において議論される他の緩衝液における)使用のための、Na2SO4に対する代替物には、例えば、PO4
3-、SO4
2-
、CH3COO-、Cl-、Br-、NO3
-、ClO4
-、I-、SCN-から選択されるアニオン;およびNH4
+、Rb+、K+、Na+、Cs+、Li2
+、Mg2
+、Ca2
+、Ba2
+から選択されるカチオンを含む塩が含まれ得る。Na2SO4に対する代替塩には、NaCl、KCl、NaHPO4、LiCl、およびKSCNが含まれ得る。
AEC溶出緩衝液における(または本明細書において議論される他の緩衝液における)使用のための、Na2SO4に対する代替物には、例えば、PO4
3-、SO4
2-
、CH3COO-、Cl-、Br-、NO3
-、ClO4
-、I-、SCN-から選択されるアニオン;およびNH4
+、Rb+、K+、Na+、Cs+、Li2
+、Mg2
+、Ca2
+、Ba2
+から選択されるカチオンを含む塩が含まれ得る。Na2SO4に対する代替塩には、NaCl、KCl、NaHPO4、LiCl、およびKSCNが含まれ得る。
AECステップおよびHICステップの実施
本発明の方法におけるIECステップおよびHICステップは、順次実施されてもよい。例えば、本発明の方法におけるAECステップおよびHICステップは、順次実施されてもよい。すなわち、方法は、以下の順次の工程を含んでもよい:(a)非PEG化タンパク質とPEG化タンパク質とを含む第1の混合物を提供する工程であって、該PEG化タンパク質が、モノPEG化タンパク質およびオリゴPEG化タンパク質を含む、工程;(b)第1の混合物に比べてPEG化タンパク質の画分が増大しているアニオン交換クロマトグラフィー(AEC)フロースルー溶液を提供するために、第1の混合物をAECステップに供する工程であって、該AECステップが、非PEG化タンパク質の結合に適している条件下で第1の混合物をAEC材料にアプライすることを含む、工程;(c)モノPEG化タンパク質とオリゴPEG化タンパク質とを含む第2の混合物を提供するために、工程(b)からAECフロースルー溶液を収集する工程;ならびに(d)第2の混合物に比べてモノPEG化タンパク質の画分が増大しているモノPEG化タンパク質組成物を提供するために、第2の混合物を疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)ステップに供する工程であって、該モノPEG化タンパク質組成物が、少なくとも約90%のモノPEG化タンパク質を含む、工程。
「順次」という用語は、いかなる介在するクロマトグラフィーステップも、工程a~dのいずれかの間に起こらない(工程(a)と(b)、(b)と(c)、(c)と(d)の間にいかなるクロマトグラフィーステップもない)ことを意味する。「順次」という用語は、いかなる介在するクロマトグラフィーステップも、請求項のいずれか一項において列挙される工程のいずれかの間に起こらないことを意味する。本発明の方法の工程は、直接実施されてもよく、例えば、工程(b)~(d)の各々が、前の工程後に直接実施されることを意味する。工程(b)~(d)は、不連続的にまたは連続的に実施されてもよい。工程(b)~(d)は、順次かつ不連続的に、または順次かつ連続的に実施されてもよい。連続的にとは、AEC材料とHIC材料とが直接接続されているか、または、AEC材料とHIC材料との間に連続的な流れを可能にするいくつかの他の機構があることを意味する。不連続的にとは、AEC材料とHIC材料との間に連続的な流れがないこと、例えば、第2の混合物を提供するために、AECフロースルー溶液または流出液が収集されてプールされることを意味する。連続的なステップの実施とは、方法全体について同じ流速が用いられることを意味し得る。
IECフロースルー溶液は、HIC材料に直接アプライされ得る。好ましくは、HIC材料にコンディショニングされた第2の混合物を直接提供するために、コンディショニングステップが実施される。IEC材料およびHIC材料は直接接続されてもよい。例えば、IEC材料がIECカラムに含まれていてもよく、HIC材料がHICカラムに含まれていてもよく、IECカラムは、HICカラムに直接接続されている。IECカラム由来のIECフロースルー溶液は、HICカラムに直接送達されてもよい。IECカラムとHICカラムとの間に、インライン接続があってもよい。IECカラムとHICカラムとの間に、連続的な流れを可能にする機構があってもよい。方法の工程は、連続的に実施されてもよい。方法の工程は、並行して実施されてもよく、すなわち、工程(b)および(d)が並行して進むように、工程(d)は、工程(b)が完了する前に開始されてもよい。すなわち、HICステップとIECステップとは、並行して進められてもよい。方法を連続的に(または並行して)実施することは、相対的に速く、かつ効率的であるため、有利である。
IECステップがCECステップである場合、上記にAECステップおよびHICステップについて記載されるように、CECステップおよびHICステップは、順次実施することができ、かつ/または連続的にもしくは不連続的に実施することができる。
本明細書に開示される方法は有利である
本発明の方法は、タンパク質のPEG化型に対して相対的に低い結合能力とタンパク質の非PEG化型に対して相対的に高い結合能力とを有するIEC材料を用いる。これは、非PEG化タンパク質のPEG化タンパク質からの迅速な分離を容易にするため、有利である。カラムの結合能力の多くは、タンパク質の非PEG化型に対する結合のために用いられ、これは、相対的に小さいカラムを用いた、第1の混合物(非PEG化タンパク質とモノPEG化タンパク質とオリゴPEG化タンパク質とを含む混合物)の相対的に大きな体積の処理を容易にする。これは、第1の混合物が、概して、(IEC結合材料がそれに対して相対的に高い結合能力を有する)非PEG化タンパク質が相対的に低く、かつ(IEC結合材料がそれに対して相対的に低い結合能力を有する)PEG化タンパク質が高いためであり、このことは、作動中に、本明細書に開示される方法が、IECステップにおいて相対的に大きな体積の第1の混合物を処理できることを意味する。非PEG化タンパク質のPEG化タンパク質からの相対的に迅速な分離は、非PEG化タンパク質の迅速な再利用、および全体的なプロセス効率を促進する。
本発明の方法は、透析ろ過または限外ろ過ステップを実施せずに、非PEG化タンパク質を再利用することを含んでもよい。これは、非PEG化タンパク質の再利用を含むが、非PEG化タンパク質画分からの塩の除去または低減を必要とする方法と比較して、より高い生産性を可能にする、より速い方法を提供する。
本発明の方法はまた、WO 2009/010270において開示されているものなどの先行技術方法と比較して、相対的に高い収率を有する。非PEG化(未反応)タンパク質の再利用は、全体的な収率を増加させる。下記の実施例において議論されるように、本明細書に開示される方法は、WO 2009/010270において開示されている方法のものよりも40%より多く高い、モノPEG化タンパク質の収率を提供する。本明細書に開示される方法の生産性は、WO 2009/010270において開示されているタイプの先行技術方法のものの少なくとも2倍であることが期待され、何倍も高い可能性がある。本明細書に開示される方法の生産性は、同等サイズの器具を用いた場合、WO 2009/010270において開示されているタイプの先行技術方法のものの少なくとも2倍であることが期待され、何倍も高い可能性がある。
Pfister (Biotech and BioEng 2016; 113) において開示されている方法と比較して、本明細書に開示される方法は、およそ2倍生産的である(およそ1.7倍、より生産的である)と算出される。生産性の増大は、主として、その後のPEG化反応への添加によって再利用できる前の、非PEG化(未反応)EPOの時間を浪費する透析ろ過の必要性を回避する結果である。本開示の方法において、未反応EPOが、より早く回収されるため、全体的な生産性は、より大きい。本明細書に開示される方法はまた、より速いPEG化反応を含む。本明細書に開示されるPEG化方法は、Pfisterにおいて開示されている方法よりも、反応当たり20~33%多いモノPEG化EPOを生成すると算出される。
WO 2009/010270において開示されている方法と比較して、本明細書に開示される方法は、より生産的であり、かつモノPEG化タンパク質のより高い収率を有する。
結合能力
クロマトグラフィー材料の結合能力とは、定義された実験条件下で媒体に結合することができるタンパク質の量を指す。本明細書における結合能力とは、動的結合能力を指し得る。動的結合能力とは、移動相(または緩衝液)の流速を含む定義された実験条件下で、媒体に結合することができるタンパク質の量を指す。結合能力は、流速を含まない定義された実験条件を指す、静的結合能力を指し得る。
特定のタンパク質に対する動的結合能力は、従来の技術を用いて決定されてもよい。特定のタンパク質に対する動的結合能力は、有意な量のタンパク質が「ブレークスルー」し始める前に結合したタンパク質の量を確立するために、既知の濃度のその特定のタンパク質を含有する試料をロードすること、およびフロースルー溶液中のタンパク質濃度を測定することによって、決定されてもよい。これは、定義された実験条件下でクロマトグラフィー材料についての「ブレークスルー曲線」を作成することによって、達成されてもよい。その下で動的結合能力が測定される実験条件は、作動条件であってもよい。実験条件は、モノPEG化タンパク質組成物を提供するために用いられるプロセスにおいて用いられる条件であってもよい。クロマトグラフィー材料を使用するプロセスにおいて、クロマトグラフィー材料のオーバーローディングを回避するために、関心対象のタンパク質がクロマトグラフィー材料の「ブレークスルー」能力未満の範囲でアプライされるように、ローディング条件がこうして調整されてもよい。
本明細書における動的結合能力についての言及は、クロマトグラフィープロセスまたはステップのために選択された条件下での、動的結合能力を指す。特定のタンパク質についての特定のクロマトグラフィー条件下でのクロマトグラフィー媒体の動的結合能力は、不必要なタンパク質の損失を引き起こさずにクロマトグラフィー媒体上にロードすることができる、そのタンパク質の最大量として考えることができる。それは、「ブレークスルー」を引き起こさずにロードすることができる、関心対象のタンパク質の最大量である。タンパク質ブレークスルーは、例えば、280 nmでの分光光度法(A280)によってモニターされてもよい。ブレークスルー閾値は、10%であってもよい。クロマトグラフィー条件は、pH、伝導率、および流速、ならびに、任意の塩または移動相への他の添加物の濃度であってもよい。クロマトグラフィー材料の動的結合能力は、関連性のあるクロマトグラフィーステップのための作動条件(そのために選択された条件)下で決定される。例えば、AEC材料の動的結合能力は、本発明の方法のAECステップのための作動条件下で決定される。
本文脈において、結合能力は、モノPEG化タンパク質組成物を調製するために用いられるクロマトグラフィー条件下での動的結合能力を指し得る。例えば、AEC材料の結合能力は、25 mMビシン、約7.5 mM Na2SO4、pH 8における、200 cm/hの流速、3.3分の滞留時間でのAEC材料の動的結合能力を指し得る。
HIC材料の結合能力は、フロースルーモードにおいて約5 g/L PEG化タンパク質、結合および溶出モードにおいて2 g/L PEG化タンパク質であり得る。フロースルーモードにおいて用いられるHIC材料のオリゴPEG化タンパク質に対する動的結合能力は、少なくとも約2 g/L、少なくとも約3 g/L、少なくとも約4 g/L、もしくは少なくとも約5 g/L、または約2~8 g/L、約3~7 g/L、約4~6 g/L、または約5 g/Lであり得る。結合および溶出モードにおいて用いられるHIC材料のPEG化タンパク質に対する動的結合能力は、少なくとも約0.5 g/L、少なくとも約1 g/L、少なくとも約2 g/L、少なくとも約3 g/L、少なくとも約4 g/L、もしくは少なくとも約5 g/L、または約0.5~4 g/L、約1~3 g/L、または約5 g/Lであり得る。結合能力は、25 mMビシン、約300 mM Na2SO4、pH 8.0における、150 cm/hの流速、3.3分の滞留時間での、または、25 mMビシン、約390 mM Na2SO4、pH 8.0における、150 cm/hの流速、3.3分の滞留時間でのHIC材料のPEG化タンパク質に対する動的結合能力を指し得る。
イオン交換クロマトグラフィーステップがアニオン交換クロマトグラフィーである態様において、AECステップは、非PEG化タンパク質がAEC材料に結合するのに適している条件下で実施される。条件の適性は、動的結合能力に関して考慮することができる。AECステップは、フロースルーモードにおいて実施される。本発明の方法におけるAECのためのフロースルーモードにおいて、PEG化タンパク質は、AEC材料に相対的に弱く結合し、非PEG化タンパク質は、相対的に強く(堅く)結合する。そのような条件において、非PEG化タンパク質に対するAEC材料の動的結合能力は、相対的に高く、PEG化タンパク質に対するAEC材料の動的結合能力は、相対的に低い。クロマトグラフィー条件は、非PEG化タンパク質に対する動的結合能力を最大化するように、選択することができる。クロマトグラフィー条件は、PEG化タンパク質に対する動的結合能力を最小化するように選択することができる。クロマトグラフィー条件は、非PEG化タンパク質がAEC材料上に保持され、かつPEG化タンパク質がフロースルー溶液において回収されるために、PEG化タンパク質および非PEG化タンパク質に対するAEC材料の動的結合能力を調整するかまたは最適化するように選択することができる。AEC材料は、約2.5 g/L未満、約1.5 g/L未満、もしくは約1.0 g/L未満、または約1.0~2.5 g/Lの、PEG化タンパク質に対する動的結合能力を有し得る。例えば、AEC材料は、約1.5 g/L未満の、PEG化タンパク質に対する動的結合能力を有し得る。
したがって、本発明の方法において、第1の混合物をAECステップに供することは、非PEG化タンパク質に対するAEC材料の動的結合能力とほぼ同等であるロードで、またはそれよりも低いロードで、第1の混合物をAEC材料上にロードすることを含んでもよい。これは、(非PEG化材料がAEC材料上に保持されるように)非PEG化タンパク質に対するAEC材料の動的結合能力よりも少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも25、または少なくとも30倍低いロードで、第1の混合物をAEC材料上にロードすることを含んでもよい。アニオン交換材料にアプライされる非PEG化タンパク質の量は、アニオン交換材料の動的結合能力の約80~95%の範囲であってもよい。第1の混合物は、(PEG化タンパク質がAEC材料由来のフロースルー溶液または流出液において回収されるように)PEG化タンパク質に対するAEC材料の動的結合能力よりも高いか、または少なくとも2、少なくとも5、少なくとも20、少なくとも25、もしくは少なくとも30倍高いロードで、AEC材料上にロードされてもよい。
非PEG化タンパク質のAEC材料からのその後の溶出は、非PEG化タンパク質に対するAEC材料の動的結合能力が相対的に低い条件下で行われる。これは、ロード緩衝液および/または洗浄緩衝液と比較して相対的に高い伝導率の溶出緩衝液をアプライすることによって、達成されてもよい。
HICステップは、フロースルーモードにおいて実施されてもよい。本発明の方法におけるHICステップのフロースルーモードにおいて、関心対象のタンパク質(この場合にはモノPEG化タンパク質)は、HIC材料に相対的に弱く結合し、望まれないタンパク質(または混入物、この場合にはオリゴPEG化タンパク質)は、相対的に強く(堅く)結合する。そのような条件において、オリゴPEG化タンパク質に対するHIC材料の動的結合能力は、モノPEG化タンパク質に対するHIC材料の動的結合能力よりも高い。クロマトグラフィー条件は、オリゴPEG化タンパク質に対する結合の強度を最大化し、かつ/またはモノPEG化タンパク質に対する結合の強度を最小化するように、選択することができる。
HICステップは、結合および溶出モードにおいて実施されてもよい。本発明の方法におけるHICステップ中の結合および溶出モードにおいて、関心対象のタンパク質(この場合にはモノPEG化タンパク質)は、HIC材料に相対的に弱く結合し、望まれないタンパク質(または混入物、この場合にはオリゴPEG化タンパク質)は、HIC材料に相対的に強く(堅く)結合する。モノPEG化タンパク質は、減少する塩勾配を用いて、オリゴPEG化タンパク質の前に、HIC材料から溶出させることができる。
イオン交換クロマトグラフィーステップがカチオン交換クロマトグラフィーである態様において、CECステップは、非PEG化タンパク質がCEC材料に結合するのに適している条件下で実施される。条件の適性は、動的結合能力に関して考慮することができる。CECステップは、フロースルーモードにおいて実施される。本発明の方法におけるCECのためのフロースルーモードにおいて、PEG化タンパク質は、CEC材料に相対的に弱く結合し、非PEG化タンパク質は、相対的に強く(堅く)結合する。そのような条件において、非PEG化タンパク質に対するCEC材料の動的結合能力は、相対的に高く、PEG化タンパク質に対するCEC材料の動的結合能力は、相対的に低い。クロマトグラフィー条件は、非PEG化タンパク質に対する動的結合能力を最大化するように、かつ/またはPEG化(もしくはモノPEG化)タンパク質に対する動的結合能力を最小化するように選択することができる。クロマトグラフィー条件は、非PEG化タンパク質がCEC材料上に保持され、かつPEG化タンパク質がフロースルー溶液において回収されるために、PEG化タンパク質および非PEG化タンパク質に対するCEC材料の動的結合能力を調整するかまたは最適化するように選択することができる。CEC材料は、約2.5 g/L未満、約1.5 g/L未満、もしくは約1.0 g/L未満、または約1.0~2.5 g/Lの、PEG化タンパク質に対する動的結合能力を有し得る。例えば、CEC材料は、約1.5 g/L未満の、PEG化タンパク質に対する動的結合能力を有し得る。
したがって、本発明の方法において、第1の混合物をCECステップに供することは、非PEG化タンパク質に対するCEC材料の動的結合能力とほぼ同等であるロードで、またはそれよりも低いロードで、第1の混合物をCEC材料上にロードすることを含んでもよい。これは、(非PEG化材料がCEC材料上に保持されるように)非PEG化タンパク質に対するCEC材料の動的結合能力よりも少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも25、または少なくとも30倍低いロードで、第1の混合物をCEC材料上にロードすることを含んでもよい。アニオン交換材料にアプライされる非PEG化タンパク質の量は、アニオン交換材料の動的結合能力の約80~95%の範囲であってもよい。第1の混合物は、(PEG化タンパク質がCEC材料由来のフロースルー溶液または流出液において回収されるように)PEG化タンパク質に対するCEC材料の動的結合能力よりも高いか、または少なくとも2、少なくとも5、少なくとも20、少なくとも25、もしくは少なくとも30倍高いロードで、CEC材料上にロードされてもよい。
非PEG化タンパク質のCEC材料からのその後の溶出は、非PEG化タンパク質に対するCEC材料の動的結合能力が相対的に低い条件下で行われる。これは、ロード緩衝液および/または洗浄緩衝液と比較して相対的に高い伝導率の溶出緩衝液をアプライすることによって、達成されてもよい。
クロマトグラフィー条件
クロマトグラフィー材料上にロードされるタンパク質の量は、材料の結合能力に依存し得る。例えば、AEC材料が、約35 g/Lの非PEG化EPOに対する結合能力を有し、かつ第1の混合物におけるEPOの約50%が、非PEG化である場合には、AEC材料にアプライされる(総タンパク質に換算した)第1の混合物の最大ロードは、約70 g/Lであることになる。
クロマトグラフィーステップのための流速は、従来の技術に従って選択され、かつ調整されてもよい。より速い流速は、結合能力を減少させることになり、これは、特に大きな体積の分離されるべきタンパク質混合物をアプライした時に、最大動的結合能力の達成と速い分離との間でバランスがとられ得ることを意味する。適している流速は、50~400 cm/hであり得る。滞留時間は、用いられるクロマトグラフィー材料に依存して、3~5分、または恐らくそれ未満であり得る。全体的なプロセスの生産性を改善するためには、より速い流速およびより短い滞留時間が、望ましい可能性がある。
クロマトグラフィーステップは、特定のタンパク質(またはタンパク質のPEG化型)の「結合に適している」条件下で実施され得る。当業者は、クロマトグラフィー技術に精通しており、その共通一般知識を用いてかつ本開示に手引きされて、特定のタンパク質の結合に適している条件を経験的に見出すことができる。クロマトグラフィーにおいて特定のタンパク質(またはタンパク質のPEG化型)の結合に適している条件を提供するために、クロマトグラフィー材料、塩のタイプおよび/または濃度、pH、緩衝剤、温度、ならびに流速などのパラメータはすべて、変更することができる。
上記で示された通り、関心対象のタンパク質(または混入物、例えば、望まれないタンパク質)が、正味の負電荷を有し、したがって、正電荷のアニオン交換材料に結合するように、AECにおいては、相対的に高いpHのタンパク質混合物(ロード組成物)および洗浄緩衝液が、概して用いられる。逆に、関心対象のタンパク質(または混入物、例えば、望まれないタンパク質)が、正味の正電荷を有し、したがって、負電荷のカチオン交換材料に結合するように、CECにおいては、相対的に低いpHのタンパク質混合物および洗浄緩衝液が、概して用いられる。
本発明の方法は、タンパク質が約8.0またはそれ以下、または約7.0またはそれ以下、または約6.0またはそれ以下のpIを有するモノPEG化タンパク質組成物を生成するために、用いられてもよい。本発明の方法は、6.0またはそれ以下のpIを有するタンパク質に、特に適している。この場合には、イオン交換クロマトグラフィーステップは、AECステップであってもよく、AEC条件は、タンパク質のpIよりも高い、好ましくは、タンパク質のpIよりも少なくとも0.5、少なくとも1.0、少なくとも1.5、少なくとも2.0、少なくとも2.5、少なくとも3.0、少なくとも3.5、または少なくとも4.0 pH単位高いpHである。本文脈において、pIは、タンパク質組成物における、タンパク質の最も塩基性のアイソフォームのpI、またはタンパク質の最も豊富なアイソフォームのpIを指し得る。
本発明の方法は、タンパク質が約8.0またはそれ以上のpIを有するモノPEG化タンパク質組成物を生成するために、用いられてもよい。この場合には、イオン交換クロマトグラフィーステップは、CECステップであってもよく、CEC条件は、タンパク質のpIよりも低い、好ましくは、タンパク質のpIよりも少なくとも0.5、少なくとも1.0、少なくとも2.0、または少なくとも3.0 pH単位低いpHである。本文脈において、pIは、タンパク質組成物における、タンパク質の最も酸性のアイソフォームのpI、またはタンパク質の最も豊富なアイソフォームのpIを指し得る。タンパク質は、約2.0~6.0、約2.5~5.5、約3.0~5.5、約3.5~5.0、または約3.5~4.5のpIを有し得る。
本発明の方法は、タンパク質が約6.0~8.0のpIを有するモノPEG化タンパク質組成物を生成するために、用いられてもよい。この場合には、イオン交換クロマトグラフィーステップは、AECまたはCECステップであってもよく、pH条件は、AECについてはタンパク質のpIよりも低い、CECについてはタンパク質のpIよりも高いpHであるように選択される。好ましくは、イオン交換ステップのpHは、タンパク質のpIから少なくとも0.5、少なくとも1.0、少なくとも2.0、または少なくとも3.0 pH単位離れて(異なって)いる。本文脈において、pIは、タンパク質組成物における、タンパク質の最も酸性のもしくは塩基性のアイソフォームのpI、またはタンパク質の最も豊富なアイソフォームのpIを指し得る。イオン交換クロマトグラフィーは、確立された技術であり、したがって、当業者は、本発明の方法を実践するのに適しているpH条件の選択(すなわち、イオン交換材料に対する非PEG化タンパク質の結合に好都合であり、かつ、PEG化タンパク質が、フロースルー溶液において回収されるように材料を通り抜ける/通過することを可能にするpH条件の選択)においていかなる困難も感じないであろう。
PEG化反応のpHは、イオン交換ステップ(AECステップまたはCECステップ)のpHと実質的に同じであってもよい。PEG化反応のpHは、PEG化反応から結果として生じたタンパク質混合物がイオン交換材料上に直接ロードされるように、イオン交換ステップのpHと実質的に同じであるように選択されてもよい。本文脈において、実質的に同じとは、1.0、0.9、0.8、0.6、0.7、0.5、0.4、0.3、0.2、または0.1 pH単位以内を意味する。そのような方法において、第1の混合物は、PEG化反応から結果として生じる反応生成物の混合物である。そのような方法は、相対的に効率的であり、かつ速い。本文脈において、「直接ロードされる」とは、反応生成物の混合物がイオン交換クロマトグラフィーステップに供される前に、いかなるそのpH調整も行われないことを意味する。PEG化反応のための緩衝液は、イオン交換ステップのための緩衝液と同じであってもよい。
PEG化反応は、約6.5~9.5のpHで実施されてもよい。反応生成物の混合物が、タンパク質の結合に好都合であるpHで、イオン交換材料上に直接ロードされ得るように、PEG化反応のpHは、タンパク質のpIから少なくとも0.5、少なくとも1.0、少なくとも2.0、または少なくとも3.0 pH単位離れているように選択されてもよい。本文脈において、相対的に中性のpH(例えば、約7.5のpI)を有するタンパク質は、約pH 9.5での反応においてPEG化することができ、反応生成物の混合物を、AECステップに供することができる。あるいは、約7.5のpIを有するタンパク質は、約pH 6.5での反応においてPEG化することができ、反応生成物の混合物を、CECステップに供することができる。PEG化反応のpHは、タンパク質のpIから少なくとも0.5、少なくとも1.0、少なくとも2.0、または少なくとも3.0 pH単位離れているように選択することができ、イオン交換クロマトグラフィー(AECまたはCEC)のモードは、それに応じて選択することができる。このように、反応生成物の混合物を、イオン交換クロマトグラフィーステップに供することができる。
本文脈において、クロマトグラフィーステップ(例えば、AEC、CEC、またはHIC)は、混合物(例えば、第1の混合物または第2の混合物)から「混入物」を除去することができ、ここで、混入物はタンパク質の所望ではない形態である。混入物はまた、不純物とも呼ばれ得る。例えば、本文脈におけるタンパク質の所望の形態は、モノPEG化タンパク質であるため、クロマトグラフィーステップは、非PEG化タンパク質またはオリゴPEG化タンパク質を除去し得る。クロマトグラフィーステップはまた、他の混入物、例えばタンパク質凝集物、またはPEG化反応物も除去し得る。
本開示は、非PEG化タンパク質を、非PEG化タンパク質とPEG化タンパク質とを含む混合物から除去するための、AEC媒体またはCEC媒体の使用を提供する。タンパク質は、EPOであってもよい。AEC媒体の使用は、本明細書に開示されるような、モノPEG化タンパク質を調製するための方法において行われてもよい。
本発明を行うためのクロマトグラフィー条件およびクロマトグラフィー材料は、スクリーニングプロセスを用いて選択されてもよい。スクリーニングプロセスは、結合の選択性のスクリーニングを可能にし得る。結合の選択性は、有利である。例えば、イオン交換材料および条件は、AEC材料に対する非PEG化タンパク質の結合、およびイオン交換材料に対するPEG化タンパク質の非結合に好都合である、選択性についてスクリーニングすることができる。例えば、HIC材料およびフロースルー条件を、オリゴPEG化タンパク質の結合およびモノPEG化タンパク質の非結合に好都合である、選択性についてスクリーニングすることができる。AEC材料またはCEC材料などのイオン交換材料のためのスクリーニングプロセスは、非PEG化タンパク質、モノPEG化タンパク質、およびオリゴPEG化タンパク質の混合物を、相対的に低い伝導率でイオン交換材料にアプライすること、次いで、増加する伝導率(例えば、塩)勾配を材料にアプライすること、ならびに、溶出液における非PEG化、モノPEG化、およびオリゴPEG化の出現をモニターすることを含んでもよい。このプロセスは、いくつかの異なるpH値で実施することができる。HIC材料のためのスクリーニングプロセスは、非PEG化タンパク質、モノPEG化タンパク質、およびオリゴPEG化タンパク質の混合物を、相対的に高い塩濃度条件下でHIC材料にアプライすること、次いで、減少する塩勾配を材料にアプライすること、ならびに、溶出液における非PEG化、モノPEG化、およびオリゴPEG化の出現をモニターすることを含んでもよい。クロマトグラフィー材料および条件は、UVクロマトグラフィーによって溶出液を分析すること、ならびに、クロマトグラムにおいてピークの良好な分離を提供する材料および条件をスクリーニングすることによって、結合の選択性について評価されてもよい。
PEG
ポリ(エチレングリコール)すなわちPEGは、中性親水性ポリエーテルである。ポリマー化合物としてのPEGは、規定された分子量では得られないが、実際のところ分子量分布を有するため、本文脈における(kDaでの)「分子量」という用語は、PEGの平均分子量として理解されるべきであり;「約」という用語は、いくらかのPEG分子または残基は、示される分子量よりも重く、いくらかはそれよりも軽いことを示し、すなわち、本文脈における「約」という用語は、その中のPEG分子の95%が示される分子量の+/-10%以内の分子量を有する、分子量分布を指し得る。例えば、30 kDaの分子量は、27 kDa~33 kDaの範囲を表し得る。
PEG残基は、PEG化分子の化学合成から結果として生じた、または分子の一部の最適な距離のためのスペーサーである、結合反応に必要であるさらなる化学基を含有することができる。これらのさらなる化学基は、PEG残基の分子量の算出のためには用いられない。加えて、そのようなPEG残基は、互いに共有結合されている1つまたは複数のPEG鎖からなることができる。1つよりも多いPEG鎖を有するPEG残基は、マルチアームまたは分枝状PEG残基と呼ばれる。分枝状PEG残基は、例えば、グリセロール、ペンタエリスリオール(pentaerythriol)、およびソルビトールを含む様々なポリオールへのポリエチレンオキシドの付加によって調製することができる。分枝状PEG残基は、例えば、EP 0 473 084、US 5,932,462において報告されている。
PEG化反応に用いられるPEG分子、およびPEG化タンパク質上のPEG残基は、各々、少なくとも約12 kDa、または少なくとも約20 kDa、約20 kDa~40 kDa、または約30 kDaの分子量を有し得る。PEG残基は、20 kDa~35 kDaの分子量を有し、かつ直鎖状PEG残基であってもよい。PEG残基は、35 kDa~40 kDaの分子量を有し、かつ分枝状PEG残基であってもよい。
モノPEG化EPOは、少なくとも約12 kDa、または少なくとも約20 kDa、約20 kDa~40 kDa、約20 kDa、または約30 kDaの分子量を有する単一のPEG残基を含んでもよい。PEG残基は、少なくとも約20 kDaの分子量を有し得る。
モノPEG化タンパク質は、単一のPEG残基を含むタンパク質である。すなわち、モノPEG化タンパク質は、1つのPEG残基のみを有する。オリゴPEG化タンパク質は、少なくとも2つのPEG残基を含む。例えば、オリゴPEG化タンパク質は、ジ、トリ、またはテトラ-PEG化タンパク質であってもよい。オリゴPEG化タンパク質(またはポリPEG化タンパク質)という用語は、変動する程度のPEG化(2つ、3つ、またはそれよりも多いPEG残基)を有するオリゴPEG化タンパク質分子の群を指し得る。PEG化タンパク質という用語は、モノPEG化タンパク質およびオリゴPEG化タンパク質を指す。PEG化タンパク質という用語は、モノPEG化タンパク質およびオリゴPEG化タンパク質からなるタンパク質を指し得る。非PEG化タンパク質は、いかなるPEG残基も含まないタンパク質である。非PEG化タンパク質はまた、PEG化反応の文脈において未反応タンパク質とも呼ばれ得る。非PEG化タンパク質は、ネイティブタンパク質、または未PEG化タンパク質、またはフリータンパク質と呼ばれ得る。
「PEG化」という用語は、PEG残基とタンパク質との共有結合を意味する。特に、これは、ポリペプチドのN末端、および/または内部リジン残基での共有結合を指し得る。タンパク質のPEG化は、最先端技術において広く知られており、例えば、Veronese, F.M., Biomaterials 22 (2001) 405-417によって概説されている。PEGは、様々な官能基、および様々な分子量を有するポリエチレングリコール、直鎖状および分枝状PEG、ならびに様々な連結基を用いて連結することができる(Francis, G.E., et al., Int. J. Hematol. 68 (1998) 1-18;Delgado, C., et al., Crit. Rev. Ther. Drug Carrier 30 Systems 9 (1992) 249-304もまた参照されたい)。エリスロポエチンのPEG化は、例えば、WO 00/44785に記載されているようなPEG化試薬を有する水溶液において、1つの態様においては、5 kDa~40 kDaの分子量のNHSで活性化された直鎖状または分枝状のPEG分子を用いることによって、実施することができる。PEG化はまた、Lu, Y., et al., Reactive Polymers 22 (1994) 221-229に従って、固相で実施することもできる。ランダムではない、N末端のPEG化ポリペプチドはまた、WO 94/01451に従って生成することもできる。PEG化反応はまた、WO 2009/010270およびWO 2012/035037においても概説されている。
適しているPEG誘導体は、約5~約40 kDa、または約20~約40 kDaの平均分子量を有する、活性化PEG分子である。PEG誘導体は、1つの態様において、直鎖状PEGまたは分枝状PEGである。PEG-タンパク質およびPEG-ペプチドコンジュゲートの調製における使用に適している多種多様のPEG誘導体を、Shearwater Polymers(Huntsville, AL, U.S.A.; www.nektar.com)から入手することができる。活性化PEG誘導体は、当技術分野において公知であり、例えば、Morpurgo, M., et al., J. Bioconjug. Chem. 7 (1996) 363-368に記載されている。
PEG化反応は、約6.5~9.5、約7.0~9.0、または約7.5~8.5、または約8.0のpHで実施されてもよい。PEG化反応が実施されるpHは、用いられるPEG試薬に依存し得る。PEG試薬は、mPEG-NHS、mPEG-SPA、mPEG-SVA、またはmPEG-CIであってもよい。PEG化反応は、(NHS)活性化PEG試薬を用いて、約7.0~9.0、または約7.5~8.5、または約8.0のpHで実施されてもよい。PEG化反応は、約15~25℃、または約18~22℃、または約20℃で実施されてもよい。PEG化反応は、少なくとも約20、少なくとも約30、少なくとも約40、少なくとも約50、もしくは少なくとも約60分間、または約30~90もしくは約30~60分間、または約40、約50、もしくは約60分間、行われてもよい。
PEG化反応は、塩および緩衝剤を含む溶液において実施されてもよい。塩はNa2SO4であってもよく、緩衝剤はビシンであってもよい。塩は、5~10 mM、または約7.5 mMの量で存在してもよい。緩衝剤は、約10~50 mM、約20~30 mM、または約25 mMの量で存在してもよい。PEG化反応は、7.5 mM Na2SO4および25 mMビシンにおいて実施されてもよい。
EPO
「エリスロポエチン」およびその略語である「EPO」という用語は、SEQ ID NO: 1もしくはSEQ ID NO: 2のアミノ酸配列を有するタンパク質、またはそれに対して実質的に相同なタンパク質もしくはポリペプチドを指し、その生物学的特性は、骨髄における赤血球産生の刺激ならびにコミットした赤血球前駆細胞の分裂および分化の刺激に関する。組換えエリスロポエチンは、組換えDNA技術によって、または内在性遺伝子活性化によって、真核細胞、例えば、CHO細胞、またはBHK細胞、またはHeLa細胞における発現を介して調製されてもよく、すなわち、エリスロポエチン糖タンパク質は、内在性遺伝子活性化によって発現される。例えば、US 5,733,761、US 5,641,670、US 5,733,746、WO 93/09222、WO 94/12650、WO 95/31560、WO 90/11354、WO 91/06667、およびWO 91/09955を参照されたい。EPOは、ヒトEPOであってもよい。EPOは、グリコシル化EPOであってもよい。
ヒトEPOは、SEQ ID NO: 1またはSEQ ID NO: 2に述べられるアミノ酸配列を有し得る。ヒトEPOは、SEQ ID NO: 1に述べられるアミノ酸配列を有し得る。「EPO」という用語はまた、例えば、EP 1 064 951またはUS 6,583,272において報告されているような、1個または複数個のアミノ酸残基が、変化しているか、欠失しているか、または挿入されており、かつ改変されていないタンパク質に匹敵する生物活性を有する、SEQ ID NO: 1またはSEQ ID NO: 2のタンパク質のバリアントも表す。変化しているか、欠失しているか、または挿入されているアミノ酸の数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1~50、1~40、1~30、1~20、または1~10個であってもよい。EPOという用語は、SEQ ID NO: 1もしくはSEQ ID NO: 2に述べられるアミノ酸配列またはそのバリアントを含むかまたはそれからなる、タンパク質を表す。バリアントは、グリコシル化のための1~6個の追加的な部位を有する、ヒトエリスロポエチンのアミノ酸配列を有し得る。PEG化エリスロポエチンの特異的活性は、当技術分野において公知の様々なアッセイによって測定することができる。精製されたPEG化エリスロポエチンの生物活性は、ヒト患者への注射によるタンパク質の投与が、対象の非注射群または対照群と比較して、骨髄細胞が網状赤血球および赤血球の産生を増大させることを結果としてもたらすようなものである。本明細書に報告されるような方法に従って取得され、精製されたPEG化エリスロポエチンの生物活性は、Bristow, A, Pharmeuropa Spec. Issue Biologicals BRP Erythropoietin Bio 97-2 (1997) 31-48による方法によって試験することができる。
EPOのアミノ酸配列バリアントは、EPOをコードするヌクレオチド配列中に適切な改変を導入することによって、またはペプチド合成によって調製することができる。そのような改変には、例えば、エリスロポエチンのアミノ酸配列からの欠失、および/またはその中への挿入、および/またはその内の残基の置換が含まれる。最終構築物がヒトEPOに匹敵する生物活性を所有するという前提で、最終構築物に達するために、欠失、挿入、および置換の任意の組み合わせを行うことができる。
保存的アミノ酸置換を、「好ましい置換」という項目の下で以下の表に示す。より実質的な変化は、「例示的な置換」という項目の下で、およびアミノ酸側鎖クラスに関連して下記のように提供される。アミノ酸置換は、ヒトエリスロポエチン中に導入されてもよく、生成物が、ヒトエリスロポエチンの生物活性の保持についてスクリーニングされてもよい。
非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーを別のクラスに交換することを必然的に伴う。
EPOは、バリアントEPOであってもよい。EPOは、別のタンパク質との融合タンパク質に含まれてもよいか、またはPEGに加えて別の部分にコンジュゲートされてもよい。
エリスロポエチンの化学的PEG化は、概して、リジン残基の1個もしくは複数個のε-アミノ基で、および/またはN末端アミノ基でPEG化されているエリスロポエチンを含むタンパク質調製物を、結果としてもたらす。N末端アミノ酸での選択的PEG化は、Felix (1997)に従って実施することができる。選択的N末端PEG化は、ペプチド鎖のN-1末端アミノ酸に対するNα-PEG化アミノ酸誘導体のカップリングによって、固相合成中に達成することができる。側鎖PEG化は、伸長する鎖に対するNε-PEG化リジン誘導体のカップリングによって、固相合成中に実施することができる。組み合わされたN末端PEG化および側鎖PEG化が、上記のように固相合成内で、または活性化PEG試薬をアミノ脱保護ペプチドにアプライすることによる液相合成によって、実現可能である。
アミノ酸は、一般的な側鎖特性に従って群分けされてもよい:
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:His、Lys、Arg;
(5)鎖の配向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro;
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーを別のクラスに交換することを必然的に伴う。
タンパク質
本発明の方法は特に、モノPEG化EPO組成物を生成するのに適している。本明細書におけるタンパク質または関心対象のタンパク質への言及は、EPOを指し得る。
本発明の方法は、他のタンパク質、特に治療用タンパク質のモノPEG化組成物を生成するのに適している可能性がある。例えば、インターロイキン-2(IL-2)、ペグインターフェロンα-2a、ヒト成長ホルモン(hGH)、骨形成タンパク質2(BMP-2)、骨形成タンパク質7(BMP-7)、骨形成タンパク質15(BMP-15)、ニューロトロフィン-3(NT-3)、フォン・ウィルブランド因子(vWF)プロテアーゼ、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、組織型プラスミノーゲンアクチベーター(IPA)、レプチン、ヒルジン、ウロキナーゼ、ヒトDNアーゼ、インスリン、B型肝炎表面タンパク質(HbsAg)、キメラジフテリア毒素-IL-2、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)、甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)、α-ガラクトシダーゼ、α-L-イズロニダーゼ、β-グルコシダーゼ、α-ガラクトシダーゼA、酸性a-グルコシダーゼ(酸性マルターゼ)、アンチトロンビンIII(AT III)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、グルカゴン様ペプチド-I(GLP-1)、グルカゴン様ペプチド-2(GLP-2)、線維芽細胞増殖因子7(FGF-7)、線維芽細胞増殖因子21(FGF-21)、線維芽細胞増殖因子23(FGF-23)、第X因子、第XIII因子、プロキネチシン(prokinetisin)、エクステンディン(extendin)-4、CD4、腫瘍壊死因子受容体(TNF-R)、a-CD20、P-セレクチン糖タンパク質リガンド-I(PSGL-I)、補体、トランスフェリン、グリコシル化依存性細胞接着分子(GlyCAM)、神経細胞接着分子(N-CAM)、INF受容体-IgG Fe領域融合タンパク質。 そのようなタンパク質はまた、呼吸器合胞体ウイルス、呼吸器合胞体ウイルスのタンパク質F、INF-a、糖タンパク質IIb/IIIa、CD20、VEGF-A、PSGL-1、CD4、a-CD3、EGF、がん胎児性抗原(CEA)、TNFα、およびIL-2受容体のいずれか1つに対するモノクローナル抗体などの、抗体も含む。
本発明の方法は、ホルモン、サイトカイン、酵素、または抗体などのタンパク質のモノPEG化組成物を生成するのに適している可能性がある。そのようなタンパク質は、エリスロポエチンであってもよい。タンパク質は、インターフェロン-α-2aまたはインターフェロン-α-2bであってもよい。タンパク質は、顆粒球コロニー刺激因子、ヒト成長ホルモン、または尿酸オキシダーゼであってもよい。
PEG化は、インビボ循環半減期を増加させるため、本発明は、相対的に短い半減期を有する治療用タンパク質のために、特に有用である。概して、ホルモンおよびサイトカインは、相対的に短い半減期を有する。より小さい生体分子は、相対的に短い半減期を有する傾向がある。相対的に小さい生体分子の薬物動態プロファイルは、PEG化によって改善される可能性があり、そのため、本発明はまた、相対的に小さい治療用タンパク質のために、特に有用であり得る。概して、およそ70 kDaよりも小さいタンパク質およびペプチドは、より大きいタンパク質よりも、腎臓ろ過によって排出される可能性がより高い。より小さい生体分子またはタンパク質は、約70 kDa未満の分子量を有するものとして定義され得る。エリスロポエチンは、約37 kDaの分子量を有する。本発明は、(その非PEG化型において)約70 kDa未満の分子量を有する治療用タンパク質のために有用である。本発明は、約70 kDa未満、約60 kDa未満、約50 kDa未満、もしくは約40 kDa未満の分子量を有する、または約10~70 kDa、約20~60 kDa、約20~50 kDa、もしくは約30~40 kDaの分子量を有する治療用タンパク質のために有用である。本発明は、約70 kDa未満、約60 kDa未満、約50 kDa未満、もしくは約40 kDa未満の分子量を有する、または約10~70 kDa、約20~60 kDa、約20~50 kDa、もしくは約30~40 kDaの分子量を有するホルモンまたはサイトカインのために有用である。
前記タンパク質は、抗体であってもよい。抗体は、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体であってもよい。抗体は、生物学的に機能性の抗体断片であってもよい。抗体断片には、Fab、Fab'、F(ab')2、scFv、(scFv)2、単一ドメイン抗体(sdAb、またはdAB)、相補性決定領域断片、直鎖状抗体、一本鎖抗体分子、ミニボディ(minibody)、ダイアボディ(diabody)、および抗体断片から形成された多重特異性抗体が含まれる。多くの抗体断片が、インビボで相対的に短い半減期を有し、これは、その相対的に小さいサイズおよびそれらがもはやFc領域を有さないことに起因する。本発明は、単一ドメイン抗体、Fab、Fab'、およびscFvなどの相対的に小さいサイズを有する抗体断片のために、特に有用である。本発明は、約70 kDa未満、約60 kDa未満、約50 kDa未満、もしくは約40 kDa未満の分子量を有する、または約10~70 kDa、約20~60 kDa、約20~50 kDa、もしくは約30~40 kDaの分子量を有する抗体断片のために有用である。
モノPEG化タンパク質組成物は、薬学的組成物として製剤化されてもよい。本明細書に開示される方法によって生成されるモノPEG化タンパク質組成物は、1つもしくは複数の薬学的に許容される賦形剤と共に製剤化されてもよく、かつ/または、生理食塩水などの生理学的に許容される緩衝液において製剤化されてもよい。HICステップの平衡化緩衝液、洗浄緩衝液、または溶出緩衝液において用いられる塩および/または緩衝剤は、モノPEG化タンパク質組成物を薬学的組成物として製剤化する前に除去されてもよい。例えば、モノPEG化タンパク質組成物は、透析されてもよい。モノPEG化タンパク質組成物のモノPEG化タンパク質は、凍結乾燥されてもよい。モノPEG化タンパク質組成物のモノPEG化タンパク質は、単離され、薬学的組成物において再製剤化されてもよい。
本明細書に開示される方法は、工業規模の方法であってもよい。工業規模の方法は、バッチ当たりまたはサイクル当たり、少なくとも約5 g、少なくとも約10 g、少なくとも約25 g、少なくとも約50 g、少なくとも約100 g、少なくとも約250 g、または少なくとも約500 gを生成する方法であってもよい。本文脈におけるバッチまたサイクルは、本明細書に開示されるような工程(a)~(d)のすべてを含む方法であってもよい。工業規模の方法は、AECステップに供される(非PEG化タンパク質、モノPEG化タンパク質、およびオリゴPEG化タンパク質を含む)第1の混合物の体積が、少なくとも100 L、少なくとも500 L、少なくとも1000 L、少なくとも5000 L、少なくとも10000 L、少なくとも50000 L、または少なくとも100000 Lである方法であってもよい。本発明は、説明される局面および好ましい特徴の組み合わせを、そのような組み合わせが明らかに許されないかまたは明白に回避される場合を除いて、含む。
前述の説明においてまたは添付の特許請求の範囲においてまたは添付の図面において開示され、それらの具体的な形態で、または開示される機能を実行するための手段に関してもしくは開示される結果を得るための方法もしくはプロセスに関して、示される、特徴は適宜、別々に、またはそのような特徴の任意の組み合わせにおいて、本発明をその多様な形態で実現するために利用されてもよい。
本発明が、上記の例示的な態様とともに説明されているが、本開示が与えられた場合、多くの等価の改変および変形が、当業者に明らかであろう。したがって、上記に示される本発明の例示的な態様は、例証となるものであり限定的ではないと考えられる。説明される態様に対する様々な変更が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、なされてもよい。
いかなる疑いも回避するために、本明細書に提供される任意の理論的説明は、読者の理解を改善する目的で提供される。本発明者らは、これらの理論的説明のいずれにも束縛されることを望まない。
本明細書において用いられるセクションの見出しは、組織化が目的であるだけで、記載される内容を限定すると解釈されるべきではない。
添付の図面を参照して、本発明の局面および態様を一例として次に説明する。さらなる局面および態様が、当業者に明らかであろう。本文において述べられるすべての文書は、参照により本明細書に組み入れられる。
添付の特許請求の範囲を含み本明細書を通して、文脈が別段必要としない限り、「含む(comprise)」および「含む(include)」という単語、ならびに「含む(comprises)」、「含むこと(comprising)」、および「含むこと(including)」などの変形は、述べられている整数もしくは工程、または整数もしくは工程の群の包含を含意するが、任意の他の整数もしくは工程、または整数もしくは工程の群の排除は含意しないように理解されるであろう。
本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられる場合、単数形である「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈が明らかに別段の指図をしない限り、複数の指示物を含むことが注意されなければならない。範囲は、本明細書において、「約」1つの特定の値から、かつ/または「約」別の特定の値までとして示されてもよい。そのような範囲が示される場合、別の態様は、一方の特定の値から、かつ/または他方の特定の値までを含む。同様に、値が、「約」という先行詞の使用によって、概数として示される場合、特定の値が別の態様を形成することが理解されるであろう。数値に関連する「約」という用語は、任意であり、かつ例えば+/-10%を意味する。
上述のすべての参照文献は、参照により本明細書に組み入れられる。
実施された実験および達成された結果を含む以下の実施例は、例証目的でのみ提供され、このような特許請求の範囲が権利を与える等価物の完全な範囲と共にすべての可能な態様を含むと解釈されるべきではない。
実施例1
非PEG化EPOとモノPEG化EPOとオリゴPEG化EPOとを含む第1の混合物を提供するために、EPOを、NHS活性化PEG試薬(約30 kDaの分子量)を用いてpH 8.0で、25 mMビシンおよび7.5 mM Na2SO4においてPEG化した。
第1の混合物を、pH 8.0、25 mMビシン、7.5 mM Na2SO4で、AECに供した。AEC樹脂は、Toyopearl SuperQ 650Mであった。これは、約34 g/Lの、EPOに対する動的結合能力を有する。溶出は、pH 8での25 mMビシン、35 mM硫酸ナトリウムまでの段階溶出によって行った。溶出から回収された非PEG化EPOを、その後のPEG化反応中へ再利用し、その生成物(その後の「第1の混合物」)を、第2のAECステップに供した。このプロセスが、PEG化およびAECステップの3回のサイクルを含むように、プロセスを再び繰り返した。
AECステップにおけるタンパク質溶出を示すクロマトグラフを、図4に示す。3つのAECステップを示す3つのクロマトグラフを、図5に示し、これは、第2のサイクルにおけるEPOの量が、第1のサイクルにおけるよりも少なく、第3のサイクルにおけるEPOの量が、第2のサイクルにおけるよりも少ないことを示す。
表1は、様々な中間組成物の含量を示す。PEG化生成物は、「第1の混合物」であり、生成物プールは、AECフロースルー溶液であり、epoプールは、AEC溶出液である。
モノPEG化EPOをオリゴPEG化EPOから分離するHICの能力を、次いで、結合および溶出モードならびにフロースルーモードの両方において調べた。
結合および溶出モードにおいて、HIC樹脂は、Toyopearl Phenyl-650Mであった。樹脂を、pH 8.0の25 mMビシンおよび500 mM Na2SO4で平衡化した。樹脂にアプライした混合物は、試験目的で、非PEG化EPO、モノPEG化EPO、およびオリゴPEG化EPOを含んでいた。混合物を、pH 8.0の25 mMビシンおよび500 mM Na2SO4でコンディショニングして、HIC樹脂にアプライした。500 mMから0 mMまでのNa2SO4の減少する塩濃度の溶出勾配を、アプライした。図6は、EPOがフロースルー中にあること、および、モノPEG化EPOは、相対的に高い塩濃度で溶出されるが、オリゴPEG化EPOは、相対的に低い塩濃度で溶出されることを示すクロマトグラムである。
フロースルーモードにおいて、HIC樹脂は、Toyopearl Phenyl-650Mであった。樹脂を、pH 8.0の25 mMビシンおよび390 mM Na2SO4で平衡化した。樹脂にアプライした混合物は、モノPEG化EPOおよびオリゴPEG化EPOを含んでおり、有意な量の非PEG化EPOを含有しておらず、したがって、本発明による「第2の混合物」を代表する。混合物を、pH 8.0のビシンおよびNa2SO4でコンディショニングして、HIC樹脂にアプライした。塩濃度を、390 mMに調整した。図7は、モノPEG化EPOがフロースルー中にあることを示すクロマトグラムである。オリゴPEG化EPOは、減少する塩勾配を用いて溶出された。
実施例2
EPOのPEG化
EPOストック溶液を融解し、3 kDa Centricon遠心フィルターを用いて6.5 g/lに濃縮して、25 mMビシン、pH 8において緩衝化した。7.7 mlのこの溶液を、次いで、50 ml Falconチューブに移して、0.3 mlの25 mMビシン、pH 8緩衝液と混合した。96 mgのPEG試薬を、秤量し、3 mlの1 mM HClに溶解して、PEG化溶液を調製した。
PEG化反応を、EPO溶液への2 mlのPEG化溶液(約30 kDaの分子量)の添加によって開始した。反応を、水浴において20℃で50分間行った。
循環的なPEG化、およびイオンクロマトグラフィーを用いた精製
第1のステップとして、PEG化EPOを、上記で概要を述べたように生成させた。1 mlのPEG化EPO溶液を、Eppendorfカップに移して、残りの9 mlを、50 mlシリンジを用いて150 ml Superloop中に注入し、アニオン交換クロマトグラフィーを開始した。
1 cmの直径を有する16 ml Toyopearl SuperQ-650Mを、アニオン交換クロマトグラフィーカラムとして用いた。カラムを、25 mMビシン、7.5 mM Na2SO4、pH 8緩衝液で平衡化した。溶出を、pH 8での25 mMビシン、35 mM硫酸ナトリウムまでの段階溶出によって行った。対応するクロマトグラムを、図8Aに示す。
1 mlの画分1B3を取り出して、その組成をHPLCによって測定した。その後、画分1B3~1C1を合わせて、この混合された画分の1 ml試料の組成もまた、RP HPLCによって測定した。タンパク質濃度を、測光法で測定し、1.25の吸光係数で、0.097 g/lであった。この混合された画分(AEC溶出液)は、溶出ステップ由来である。
混合された画分の残りの21 mlを、50 ml Falconチューブ中に移し、新たなPEG化のために、20℃の水浴に置いた。1 mlの26.89 g/l PEG化試薬溶液を添加して、第2のPEG化反応を開始した。
AEC溶出液(EPO画分)は、上記で概要を述べた、第1のクロマトグラフィーの溶出緩衝液と同じ条件(35 mM硫酸ナトリウム)である。反応溶液を、50分後に25 mMビシン緩衝液で4.66の係数によって希釈し、こうして平衡化条件に調整した。結果として生じた97.9 mlの試料を再び、150 ml Superloop中に注入して、第2のクロマトグラフィーを開始した。クロマトグラフィー法を、より大きい試料体積に関してのみ変化させた。他のパラメータおよび構成要素はすべて、変化させないままであった。対応するクロマトグラムを、図8Bに示す。
画分2A3~2A5を、再びプールして、上記の手順を、第3のサイクルとして繰り返した。
第3のクロマトグラフィーの画分1A1~1C5を合わせて、3 kDa Centricon遠心フィルターを用いて濃縮した。濃縮物および画分2A1~2A3のプールを、RP HPLCによって測定した。対応するクロマトグラムを、図8Cに示す。
PEG化反応および希釈ステップのピペットで移した体積すべてを、表2に列記する。
結果および考察
RP HPLC分析の測定された結果を、表3に示す。循環的にPEG化されたEPOプールにおけるEPOの質量によるパーセンテージは、平均して約95%である。
(表3)
PEG化反応およびクロマトグラフィー分離の前および後の組成
各サイクルについておよびプロセス全体についての物質収支を、表4に列記する。生成物プールについての情報は、測定された値に基づかず、算出されていることに、注意しなければならない。
前記プロセスの終わりには、すべての試料にわたって95.5%の回収があった。総タンパク質の4.5%の損失は、試料採取および分析論のために観察された。EPOプール1およびEPOプール2は、PEG化2および3において消費された。最初のEPOの63.6%が、モノPEG-EPOに変換された。中間プールにおける82.0%モノPEG-EPO含量。
物質収支に基づいて、32.5 mgのモノPEG化EPOを、用いた50 mg未PEG化EPOから調製することができ、これは、1.4% Epo、82.0%モノPEG Epo、および16.6%オリゴ型の混合物として存在することが見られ得る。このように、AECステップは、82%モノPEG化EPOを含む溶液(AECフロースルー溶液)(82%純度)を生成した。
モノPEG-EPOの反応収率は、63.6%である。すなわち、プロセスの開始時のEPOタンパク質の量(50 mg)のうち、63.6%が、モノPEG化EPOに変換された(32.5 mg)。約44%の収率を有する、PEG化反応が1回のみ行われるWO 2009/010270の先行技術プロセスと比較して、これは、約44%の収率増加に対応する。
この実験における技術的理由で、第2のPEG化反応後のAEC上のフロースルーから、すべてのEPOを除去することは可能ではなかった。結果として生じた第2の反応の組成は、したがって、期待された値とは異なっている。PEG化1および3は、およそ50% EPO、40%モノPEG-EPO、および10%未満のオリゴPEG-EPOを産出した。第2のPEG化反応は、有効性がより低く、33%のみのモノPEG EPOおよび5%のオリゴPEG-EPOを生成した。
これらの結果は、AECが、未反応EPOをPEG化反応混合物から、PEG化型の多くを伴わずに単離し、回収できることを実証する。回収されたEPO画分におけるPEG化型の合計は、約5%であり、これは、この特定の実験において使用されたAECカラムのサイズが大きすぎた事実による可能性がある。サイズを合わせた場合、PEG化種に対する能力は、置き換え効果またはリガンドについての競合により、減少することが期待される。
これらの結果はまた、サイクル1およびサイクル3において、アニオン交換クロマトグラフィーにアプライすることによって、ほぼ定量的にEPOを除去することが可能であると示す。中間生成物は、フロースルーにおいてカラムを通り抜け、通常、約80%モノPEG-EPOおよび20%オリゴPEG-EPOの組成である。
実施例3
循環的なPEG化、AECクロマトグラフィーによるエリスロポエチンの除去、およびHICによるモノPEG EPOの精製
この実験の目的は、3回のサイクルにおいてEPOをPEG化すること、ならびに、アニオン交換クロマトグラフィー(AEC)およびHICを用いて、反応生成物(非PEG化EPO、単一PEG化EPO(モノPEG EPO)、およびEPOのオリゴPEG化型)を分離することである。
AEC段階においてEPOを除去するために、Tosoh Bioscience由来のToyopearl SuperQ-650Mを、吸着剤として用いた。これは、強アニオン交換体である。HIC段階においてモノPEG EPOをオリゴ型から分離するために、Tosoh Bioscience由来のToyopearl Phenyl-650Mを用いた。
AECカラムの設計
7 mmの内径および100 mmのベッド高を有するカラムに、Toyopearl SuperQ-650M吸着材料を充填して、200 cm/h(1.28 ml/分)の流速で作動させ、3.847 mlのカラム容量で約30分のプロセスステップ時間を結果としてもたらした。
循環的なPEG化、およびAEC
25 mMビシン、7.5 mM Na2SO4において12.5 g/lの濃度を有するEPOストック溶液を用いた。225 mg EPOに対応する、18 mlの出発体積の、このストック溶液を用いた。
第1のPEG化反応のために、18 mlのEPOストック溶液を、22.5 mlの25 mMビシン、7.5 mM Na2SO4と混合し、50 ml Falconチューブに置いた。
328 mgのPEG試薬(約30 kDaの分子量)を、15 ml Falconチューブ中に秤量し、4.97 mlの1 mM HClに溶解した。
反応を開始するために、4.5 mlのPEG試薬溶液を、40.5 ml EPO溶液中にピペットで移した。
反応混合物を、300 rpmで混合し、温度を、低温維持装置によって20℃に調整した。
反応を、60分間進めた。次いで、濃度を280 nmで、測光法で測定し、250μlの試料を採取した。濃度は、5.56 g/lであった。伝導率を、残りの溶液から測定した。これは2.19 mS/cmであり、そのため、AEXクロマトグラフィーの平衡化条件(2.21 mS/cm)へのコンディショニングは全く実施しなかった。残りの44.8 mlの溶液を、AECによって精製した。これを、25 mMビシン、7.5 mM Na2SO4、pH 8で平衡化した。
溶出を、25 mMビシン、35 mM Na2SO4で、段階的に行った。画分1B1~1B4を、互いに合わせて16.5 mlにし、以下EPOプール1と呼ぶ。 EPOプール1の濃度は、測光法で5.263 g/lと測定された。200μlの試料を採取した。
画分1A1~1A5を、合わせて62.17 mlにし、以下生成物プール1と呼ぶ。この濃度は、2.27 g/lであった。500μlの試料を採取した。
EPOプール1の残りの体積を、第2のPEG化のために50 ml Falconチューブに移した。164.73 mgのPEG化試薬を秤量し、2.4 mlの1 mM HClで溶解した。1.62 mlのこの溶液をEPOプール1に添加して、第2のPEG化反応を開始した。反応は、再び、20℃で60分間行った。次いで、濃度を測定し、250μlの試料を採取した。濃度は、4.73 g/lであった。
残りの溶液の伝導率を、22 mlの25 mMビシン、pH 8緩衝液を用いて2.1 mS/cmの伝導率に調整し、クロマトグラフィーによって精製した。
第2のクロマトグラフィーの画分1B2~1B4を、合わせてEPOプール2にした。体積は、15 mlであった。500μlの試料を採取した。濃度測定は、2.5 g/lの濃度を与えた。
画分1A1~1A5を、62.7 mlの生成物プール2と合わせた。2 mlの試料を採取した。濃度は、0.75 g/lであった。
EPOプール2の残りの体積を、50 ml Falconチューブに移した。119.4 mgのPEG試薬を秤量し、1.9 mlの1 mM HClで溶解した。1.72 mlのこの溶液をEPOプール2に添加して、第3のPEG化反応を開始した。これは、再び20℃で行った。60分の反応時間後に、濃度を測定し、500μlの試料を採取した。濃度は、2.8 g/lであった。
反応生成物を、25 mMビシン緩衝液によって再び平衡化条件に調整し、クロマトグラフィーによって精製した。
画分1C2~1C5を、合わせて15 mlのEPOプール3にした。4 mlの試料を、これから採取した。濃度は、0.429 g/lであった。
画分1A1~1C1を、合わせて160.5 mlの生成物プール3にした。濃度は、0.15 g/lであった。10 mlの試料を採取した。
HICを用いたモノPEG EPOの精製
10 mmの内径を有する220 mm高のカラムを用いた。用いた吸着剤は、Tosoh由来のToyopearl Phenyl-650Mであった。カラムの容量は、17.27 mlであった。これを、150 cm/hの流速で作動させた。このカラムを用いて、標的生成物であるモノPEG EPOを、モノPEG EPOおよびオリゴの混合物から抽出した。
この目的で、2つの実験を行った。第1に、モノPEG EPOおよびオリゴを、カラム材料に結合させ、次いで、勾配を介して溶出させた。第2に、オリゴ型をカラム材料に結合させ、他方、モノPEG EPOは結合させなかった。
HIC結合および溶出モードにおける分離
上記の生成物プール1(本明細書に開示される方法による「第2の混合物」;2.27 g/lのタンパク質濃度)から、15 mlを採取し、20 mlの25 mMビシン、1 M Na2SO4、pH 8溶液を用いて56 mS/cmの伝導率に調整した。この試料を、150 ml Superloopを通して完全に分配した。
Phenyl-650Mカラムを平衡化するために、25 mMビシン、500 mM Na2SO4、pH 8緩衝液を用いた。溶出は、15 CVにわたる500 mM Na2SO4から0 mM Na2SO4までの勾配を用いて行った。対応するクロマトグラムを、図9に示す。
画分1A1~1B1、1B5~2A3、および2A4~2B4を、各々プールして、その組成についてRP-HPLCによって分析した。
HICフロースルーモードにおける分離
0.58% EPO、79.9%モノPEG EPO、および19.52%オリゴ型から構成される、47.03 mgのタンパク質レベルに対応する、完全な62.7 mlの生成物プール2(本明細書に開示される方法による「第2の混合物」)を、分離のための試料として用いた。試料の伝導率を、50 mS/cmの伝導率の標的まで、25 mMビシン、1 M Na2SO4、pH 8緩衝液によって調整し、150 ml Superloopを介して注入した。
HIC樹脂を、25 mMビシン、390 mM Na2SO4で平衡化した。溶出は、390 mM Na2SO4から0 mM Na2SO4までの勾配として行った。対応するクロマトグラムを、図10に示す。
実際には、試料は、意図せずに(標的の50 mS/cmではなく)56 mS/cmに調整された。したがって、段階的ブレークスルー曲線を、図10において見ることができる。初めのうちは、EPOのみが、フロースルー中にある。約80 ml後に、モノPEG-EPOのブレークスルーにより、UVシグナルがおよそ120 mAUまで上昇する。ロードからロード後平衡化までの移行期に伝導率が減少する場合に、より早く結合したモノPEG-EPOのピークが溶出される。オリゴPEG-EPO型は、その後の勾配において溶出される。それにもかかわらず、オリゴPEG-EPOからのモノPEG-EPOの分離が示されている。未反応EPOレベルが、製品規格についての標的値よりも高い場合には、フロースルーモードは適していない。
結果および考察
循環的なPEG化、およびAEC
表5は、個々の試料の組成、およびタンパク質の量の収支を示す。
(表5)
プロセスの最中の個々の試料の組成、質量、および体積
AEC上での第1のサイクルは、不注意でオーバーロードされた。このため、この実験における未反応EPOの回収は、約78%だけであった。カラムにEPOがオーバーロードされたため、溶出プールにPEG化型は全くない。これは、AECカラムの妥当なサイジングが、AEC溶出プールにおけるPEG化型の含量を低減させ、それによって、中間プールにおけるPEG化型の収率を最大化することを確証する。PEG化2および3後のAECランは、EPOを完全にはロードせず、したがって、両方の場合に2%未満の、少量のPEG化EPOが溶出プールにある。
PEG化1および2の結果は、反応の成果の一貫性を示す。選択された条件下で、結果は、約50% EPO、40%モノPEG-EPO、および10%未満のオリゴPEG-EPOである。
最終のPEG化としてのPEG化3は、可能である最大モノPEG-EPO含量の形成に好都合である、異なる条件を用いる。これは、46%モノPEG-EPO含量で、良好に働いた。
中間生成物プールの各々の組成は、異なっている。第1のフロースルー操作のプールは、約10% EPO(上述のブレークスルーのため)、72%のモノPEG-EPO、および16%のオリゴPEG-EPOからなる。EPOのブレークスルーがなければ、組成は、ラン2(80%モノPEG-EPOおよび20%オリゴPEG-EPO)と同一であったであろう。第3のランは、異なるPEG化条件を使用し、反応混合物において、より高い含量のオリゴPEG-EPOを結果としてもたらした。これは、59%モノPEG-EPOおよび41%オリゴPeg EPOのプール組成物と換言できる。
3回のサイクルの「PEG化反応+AECによるEPO回収」の後の中間プールにおけるモノPEG-EPOの総収率は、68.4%である。これは、元のプロセスよりも既に50%より大きく良好であるが、第1のAECランのフロースルーローディング中に、有意な量のEPO損失がなかったら、さらにより良好であることができたであろう。
HICによるモノPEG EPOの精製‐結合および溶出モードにおける分離
表5は、RP HPLC分析の結果を示す。
(表5)
結合および溶出モードにおけるHICのプールについてのRP-HPLC分析データ
EPOを含有していたAECラン1由来の中間プールの使用を、疎水性相互作用クロマトグラフィーによる最終精製ステップの性能を示すために用いた。EPOおよびモノPEG-EPOプールは、100%の純度である。少量のモノPEG-EPOが、オリゴPEG-EPOプールにおいて依然として見出され得る。
HICによるモノPEG EPOの精製‐フロースルーモードにおける分離
個々の画分の低いタンパク質濃度のために、いかなる有意義な結果も、RP HPLCによって生じ得なかった。しかし、クロマトグラムは、モノPEG化EPOの非PEG化型およびオリゴPEG化型からの分離が達成されたことを示す。
参照文献
本発明および本発明が属する技術分野の最先端をより完全に説明し、かつ開示するために、多数の刊行物が上記で引用されている。これらの参照文献の完全な引用を、下記に提供する。これらの参照文献の各々の全体は、本明細書に組み入れられる。
標準的な分子生物学技術については、Sambrook, J., Russel, D.W. Molecular Cloning, A Laboratory Manual. 3 ed. 2001, Cold Spring Harbor, New York: Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照されたい。
以下の番号付けした記載は、本開示の局面に関連し、かつ明細書の一部を形成する。
1. 以下の工程を含む、少なくとも約90%のモノPEG化タンパク質を含むモノPEG化タンパク質組成物を生成するための方法:
(a)非PEG化タンパク質とPEG化タンパク質とを含む第1の混合物を提供する工程であって、該PEG化タンパク質が、モノPEG化タンパク質およびオリゴPEG化タンパク質を含む、該工程;
(b)該第1の混合物に比べてPEG化タンパク質の画分が増大しているイオン交換クロマトグラフィー(IEC)フロースルー溶液を提供するために、該第1の混合物をIECステップに供する工程であって、該IECステップが、非PEG化タンパク質の結合に適している条件下で該第1の混合物をIEC材料にアプライすることを含む、該工程;
(c)モノPEG化タンパク質とオリゴPEG化タンパク質とを含む第2の混合物を提供するために、工程(b)から該IECフロースルー溶液を収集する工程;ならびに
(d)該第2の混合物に比べてモノPEG化タンパク質の画分が増大しているモノPEG化タンパク質組成物を提供するために、該第2の混合物を疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)ステップに供する工程であって、該モノPEG化タンパク質組成物が、少なくとも約90%のモノPEG化タンパク質を含む、該工程。
2. 前記IECステップが、アニオン交換クロマトグラフィー(AEC)ステップまたはカチオン交換クロマトグラフィー(CEC)ステップである、記載1による方法。
3. 前記IECステップがAECステップである、記載2による方法。
4. 以下の工程を含む、少なくとも約90%のモノPEG化タンパク質を含むモノPEG化タンパク質組成物を生成するための方法:
(a)非PEG化タンパク質とPEG化タンパク質とを含む第1の混合物を提供する工程であって、該PEG化タンパク質が、モノPEG化タンパク質およびオリゴPEG化タンパク質を含む、該工程;
(b)該第1の混合物に比べてPEG化タンパク質の画分が増大しているアニオン交換クロマトグラフィー(AEC)フロースルー溶液を提供するために、該第1の混合物をAECステップに供する工程であって、該AECステップが、非PEG化タンパク質の結合に適している条件下で該第1の混合物をAEC材料にアプライすることを含む、該工程;
(c)モノPEG化タンパク質とオリゴPEG化タンパク質とを含む第2の混合物を提供するために、工程(b)から該AECフロースルー溶液を収集する工程;ならびに
(d)該第2の混合物に比べてモノPEG化タンパク質の画分が増大しているモノPEG化タンパク質組成物を提供するために、該第2の混合物を疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)ステップに供する工程であって、該モノPEG化タンパク質組成物が、少なくとも約90%のモノPEG化タンパク質を含む、該工程。
5. 前記タンパク質がホルモンまたはサイトカインである、いずれかの前記記載による方法。
6. 前記タンパク質がエリスロポエチンである、いずれかの前記記載による方法。
7. 前記IEC材料が、約1.5 g/L未満の、前記PEG化タンパク質に対する結合能力を有する、前記記載のいずれかによる方法。
8. 前記AEC材料が、約1.5 g/L未満の、前記PEG化タンパク質に対する結合能力を有する、前記記載のいずれかによる方法。
9. i. 前記第1の混合物が、25%未満のオリゴPEG化タンパク質を含み;かつ/または
ii. 前記AECフロースルー溶液が、少なくとも90%のPEG化タンパク質を含み;かつ/または
iii. 前記モノPEG化タンパク質組成物が、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、もしくは少なくとも約99.9%のモノPEG化タンパク質を含む、
前記記載のいずれかによる方法。
10. 工程(a)が、前記非PEG化タンパク質とPEG化試薬との反応を含むPEG化反応を実施することをさらに含む、前記記載のいずれかによる方法。
11. 前記PEG化反応が約7.0~9.0のpHで実施され、かつPEG/タンパク質のモル比が約0.6~1.0である、記載10による方法。
12. 前記IECステップがAECステップである、記載11による方法。
13. 工程(a)が、前記第1の混合物を提供するために、前記非PEG化タンパク質とPEG化試薬との反応を含むPEG化反応を実施することを含み、該第1の混合物を前記IEC材料にアプライする前に、該第1の混合物のpHを調整するステップが存在しない、記載10または記載11による方法。
14. 工程(a)、(b)、および(c)を含む第1のサイクルの実施であって、工程(b)が、IEC溶出液を提供するために非PEG化タンパク質を前記IEC材料から溶出させることをさらに含む、該実施、ならびに
工程(a)、(b)、および(c)の第2のサイクルの実施であって、該第1のサイクルの工程(b)において溶出された前記非PEG化タンパク質が、工程(a)のPEG化反応に加えられる、該実施
を含む、記載10~13のいずれかによる方法。
15. 非PEG化タンパク質を前記IEC材料から溶出させることが、約45 mM未満または約45 mMの塩を含む溶出緩衝液を用いる、記載14による方法。
16. 工程(b)が、工程(a)、(b)、および(c)を含む第1のサイクルの実施であって、AEC溶出液を提供するために非PEG化タンパク質を前記AEC材料から溶出させることをさらに含む、該実施、ならびに
工程(a)、(b)、および(c)の第2のサイクルの実施であって、該第1のサイクルの工程(b)において溶出された前記非PEG化タンパク質が、工程(a)のPEG化反応に加えられる、該実施
を含む、記載10~15のいずれかによる方法。
17. 非PEG化タンパク質を前記AEC材料から溶出させることが、約45 mM未満または約45 mMの塩を含む溶出緩衝液を用いる、記載16による方法。
18. 前記方法が、3回、4回、または5回のサイクルを含み、かつ、各サイクルの工程(b)が、IEC溶出液を提供するために、非PEG化タンパク質を前記IEC材料から溶出させることを含み、かつ工程(b)において溶出された前記非PEG化タンパク質が、次のサイクルにおける工程(a)のPEG化反応に加えられる、記載14~17のいずれかによる方法。
19. サイクルの工程(b)由来のIEC溶出液が、次のサイクルの工程(a)のPEG化反応に直接加えられる、記載14~18のいずれかによる方法。
20. 前記方法が、3回、4回、または5回のサイクルを含み、かつ、各サイクルの工程(b)が、AEC溶出液を提供するために非PEG化タンパク質を前記AEC材料から溶出させることを含み、かつ工程(b)において溶出された前記非PEG化タンパク質が、次のサイクルにおける工程(a)のPEG化反応に加えられる、記載14~19のいずれかによる方法。
21. サイクルの工程(b)由来のAEC溶出液が、次のサイクルの工程(a)のPEG化反応に直接加えられる、記載14~20のいずれかによる方法。
22. サイクルの工程(b)において溶出された前記非PEG化タンパク質が、次のサイクルの工程(a)のPEG化反応に加えられ、かつ、各サイクルの工程(a)において実質的に一定のPEG化反応条件を維持するために新たな非PEG化タンパク質もまた工程(a)に加えられる、記載14~21のいずれかによる方法。
23. 工程(a)、(b)、および(c)の2回またはそれ以上のサイクルの実施を含み、
工程(c)が、プールされた第2の混合物である第2の混合物を提供するために、各IECステップから収集された前記フロースルー溶液をプールすることをさらに含み、かつ
工程(d)が、前記第2の混合物をHICステップに供することを含む、
前記記載のいずれかによる方法。
24. 工程(a)、(b)、および(c)の2回またはそれ以上のサイクルの実施を含み、
工程(c)が、プールされた第2の混合物である第2の混合物を提供するために、各AECステップから収集された前記フロースルー溶液をプールすることをさらに含み、かつ
工程(d)が、該第2の混合物をHICステップに供することを含む、
前記記載のいずれかによる方法。
25. i. AEC材料が、Toyopearl Super Q 650Mであり;かつ/または
ii. AECステップが、約7.0~9.0のpHで実施され;かつ/または
iii. AECステップが、約1.0~3.0 mS/cmの伝導率で実施され;かつ/または
iv. 第1の混合物が、約10~30 mMのビシンと約1~10 mMのNa2SO4とを含むAECロード溶液としてAEC材料にアプライされる、
前記記載のいずれかによる方法。
26. 前記タンパク質がエリスロポエチンである、記載25による方法。
27. 前記第2の混合物に比べてモノPEG化タンパク質の画分が増大しているHICフロースルー溶液を提供するために、工程(d)が、該第2の混合物をフロースルーモードにおいてHICステップに供することを含み、
該HICステップが、オリゴPEG化タンパク質の結合に適している条件下で該第2の混合物をHIC材料にアプライすることを含み、該HICフロースルーが前記モノPEG化タンパク質組成物を提供する、
前記記載のいずれかによる方法。
28.前記第2の混合物に比べてモノPEG化タンパク質の画分が増大しているHIC溶出液を提供するために、工程(d)が、該第2の混合物を結合および溶出モードにおいてHICステップに供することを含み、該HICステップが、
モノPEG化タンパク質およびオリゴPEG化タンパク質の結合に適している条件下で該第2の混合物をHIC材料にアプライすること、
該モノPEG化タンパク質を提供するHIC溶出液を提供するために、該モノPEG化タンパク質を該HIC材料から溶出させること
を含む、記載1~26のいずれかによる方法。
29. i. HIC材料が、Toyopearl Phenyl 650Mであり;かつ/または
ii. HICステップが、約7.0~9.0のpHで実施され;かつ/または
iii. HICステップが、約30~40 mS/cmの伝導率で実施され;かつ/または
iv. 第2の混合物が、約25 mMのビシンと約390 mMのNa2SO4とを含むHICロード溶液としてHIC材料にアプライされる、
記載27による方法。
30. i. 前記HIC材料が、Toyopearl Phenyl 650Mであり;かつ/または
ii. 前記HICステップが、約7.0~9.0のpHで実施され;かつ/または
iii. 前記モノPEG化タンパク質をHIC材料から溶出させるステップが、約50 mS/cmから0 mS/cmまでの勾配をアプライすることを含み;かつ/または
iv. 前記第2の混合物が、約25 mMのビシンと約500 mMのNa2SO4とを含むHICロード溶液としてHIC材料にアプライされる、
記載28による方法。
31. i. IECステップおよびHICステップが、実質的に同じpHで実施されるか;または
ii. PEG化反応、IECステップ、およびHICステップが、実質的に同じpHで実施される、
前記記載のいずれかによる方法。
32. i. AECステップおよびHICステップが、実質的に同じpHで実施されるか;または
ii. PEG化反応、AECステップ、およびHICステップが、実質的に同じpHで実施される、
前記記載のいずれかによる方法。
33. モノPEG化タンパク質が、少なくとも約20 kDaの分子量を有するPEG残基を含む、前記記載のいずれかによる方法。
34. 薬学的組成物を提供するために、前記タンパク質組成物を薬学的に許容される担体と共に製剤化する工程をさらに含む、前記記載のいずれかによる方法。