JP7226787B2 - ハイドロゲルおよびその作製方法 - Google Patents

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特許法第30条第2項適用 第67回 高分子学会年次大会予稿集 発行所:公益社団法人 高分子学会 発行日:平成30年5月8日
本発明は、ハイドロゲルおよびその作製方法に関する。
ハイドロゲルは、高分子鎖を架橋により連結させた三次元ネットワーク構造を有し、高い含水性と柔軟性から生体組織と非常に類似した性質を示す。そのため、ハイドロゲルは、医療材料や生体模倣材料などへの応用が期待されている。しかし、ハイドロゲルは、力学強度が非常に弱く、数倍の延伸や圧縮によって簡単に破壊される。軟骨などの生体組織と比較するとハイドロゲルの破壊エネルギーは1/100程度となる。この脆弱性を解消するためにさまざまな高強度ゲルが報告されている。例えば、ポリロタキサンを利用し、高分子鎖上を環状の架橋点が自由に移動することができるトポロジカルゲルが報告されている(例えば「Y. Okumura and K. Ito, Advanced Materials, 13, 485 (2001)」等参照)。このトポロジカルゲルは従来のフリーラジカル重合で合成したゲルと比較して10倍以上の延伸が可能となる。また、架橋点にナノクレイを用いたナノコンポジットゲルもトポロジカルゲルと同様に高い延伸を示す(例えば「K. Haraguchi and T. Takehisa, Advanced Materials, 14, 1120 (2002)」等参照)。さらには、2種類のネットワークからなるダブルネットワークゲル(DNゲル)は、高い延伸に加えて数10MPaの応力にも耐えることが可能である(例えば「J.P. Gong, Y. Katsuyama, T. Kurokawa and Y. Osad, Advanced Materials, 15, 1155 (2003) 」等参照)。このような高強度ゲルは軟骨組織の模倣材料や、新たなソフトマテリアルとして応用が期待される。これらの高強度ゲルは、特殊なネットワーク構造を設計することによって高い力学特性を有しており、上述のような特殊な合成法によって作製され得る。
Y. Okumura and K. Ito, Advanced Materials, 13, 485 (2001) K. Haraguchi and T. Takehisa, Advanced Materials, 14, 1120 (2002) J.P. Gong, Y. Katsuyama, T. Kurokawa and Y. Osad, Advanced Materials, 15, 1155 (2003)
ところで、上述のような高強度ゲルを実用化レベルに引き上げるためには、比較的シンプルな構造を有すると共に比較的容易に合成することができる高強度ゲルを開発する必要がある。
本発明の課題は、比較的シンプルな構造を有すると共に比較的容易に合成することができる生体適合性高強度ゲルを提供することである。
本発明の第1局面に係るハイドロゲル作製方法では、水中で、2.5mol/L以上10mol/L以下の範囲内の濃度の2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを含むモノマー成分と、そのモノマー成分に対して0.001mol%以上1.0mol%以下の範囲内の濃度で添加されるN,N’-メチレンビスアクリルアミドとがラジカル重合させられてハイドロゲルが作製される。なお、ここで、モノマー成分の濃度は5.0mol/L以上10mol/L以下の範囲内であることが好ましい。また、モノマー成分に対するN,N’-メチレンビスアクリルアミドの添加モル比率(濃度)は、0.001mol%以上0.25mol%以下の範囲内であることが好ましく、0.001mol%以上0.1mol%以下の範囲内であることがより好ましい。また、モノマー成分に含まれる2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン以外のモノマーとしては、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと重合反応し得るビニルモノマー(例えば、アクリレート系モノマーや、メタクリレート系モノマー等)等が挙げられる。また、モノマー成分における2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンの含有率は、30mol%以上であることが好ましく、50mol%以上であることがより好ましく、70mol%以上であることがさらに好ましく、90mol%以上であることが特に好ましい。また、モノマー成分における2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンの含有率は100mol%であってもよい(かかる場合、モノマー成分の全てが2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンである。)。なお、本発明において、モノマー成分における2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンの含有率は、得られるハイドロゲルの生体適合性を損なわない範囲で調整されなければならない。
本願発明者の鋭意検討の結果、上述のハイドロゲル作製方法により、異なる仕込み濃度で作製されたハイドロゲルよりも強度的に優れるハイドロゲルを作製することができることが明らかとなった。また、上述のハイドロゲル作製方法では、ラジカル重合を行うことにより所望のハイドロゲルを作製することができる。このため、このハイドロゲルは、比較的シンプルな構造を有することになる。また、このハイドロゲルにおいて高分子網目体が2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン由来単位を含むため、このハイドロゲルは生体適合性を有する。したがって、本発明に係るハイドロゲル作製方法では、比較的シンプルな構造を有する生体適合性高強度ゲルを比較的容易に合成することができる。
本発明の第2局面に係るハイドロゲル作製方法は第1局面に係るハイドロゲル作製方法であって、同ハイドロゲル作製方法では、ハイドロゲルの含水率が50質量%以上95質量%以下の範囲内に調整される。なお、ハイドロゲルの含水率は50質量%以上80質量%以下の範囲内であることが好ましく、50質量%以上70質量%以下の範囲内であることがより好ましく、50質量%以上60質量%以下の範囲内であることがさらに好ましい。
本願発明者らの鋭意検討により、上述の含水率を有するハイドロゲルが、上記数値範囲外の含水率を有するハイドロゲルよりも強度的に優れることが明らかとなった。このため、本発明に係るハイドロゲル作製方法を利用することによって、より高強度のハイドロゲルを作製することができる。
本発明の第3局面に係るハイドロゲルは、水中で、2.5mol/L以上10mol/L以下の範囲内の濃度の2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを含むモノマー成分と、そのモノマー成分に対して0.001mol%以上1.0mol%以下の範囲内の濃度を有するN,N’-メチレンビスアクリルアミドとをラジカル重合させて成っている。なお、ここで、モノマー成分の濃度は5.0mol/L以上10mol/L以下の範囲内であることが好ましい。また、モノマー成分に対するN,N’-メチレンビスアクリルアミドの添加モル比率(濃度)は、0.001mol%以上0.25mol%以下の範囲内であることが好ましく、0.001mol%以上0.1mol%以下の範囲内であることがより好ましい。また、モノマー成分に含まれる2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン以外のモノマーとしては、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと重合反応し得るビニルモノマー(例えば、アクリレート系モノマーや、メタクリレート系モノマー等)等が挙げられる。また、モノマー成分における2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンの含有率は、30mol%以上であることが好ましく、50mol%以上であることがより好ましく、70mol%以上であることがさらに好ましく、90mol%以上であることが特に好ましい。また、モノマー成分における2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンの含有率は100mol%であってもよい(かかる場合、モノマー成分の全てが2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンである。)。なお、本発明において、モノマー成分における2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンの含有率は、得られるハイドロゲルの生体適合性を損なわない範囲で調整されなければならない。
このハイドロゲルは、ラジカル重合により生成されている。このため、このハイドロゲルは、比較的シンプルな構造を有することになる。また、このハイドロゲルにおいて高分子網目体が2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン由来単位を含むため、このハイドロゲルは生体適合性を有する。したがって、本発明に係るハイドロゲルは、生体適合性高強度ゲルであって、比較的シンプルな構造を有すると共に比較的容易に合成することができる。
本発明の第4局面に係るハイドロゲルは、主として、高分子網目体および水から成っている。高分子網目体は、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン由来単位と、N,N’-メチレンビスアクリルアミド由来単位とを含んでいる。水は、高分子網目体に含まれている。そして、このハイドロゲルの含水率は50質量%以上95質量%以下の範囲内である。なお、ハイドロゲルの含水率は50質量%以上80質量%以下の範囲内であることが好ましく、50質量%以上70質量%以下の範囲内であることがより好ましく、50質量%以上60質量%以下の範囲内であることがさらに好ましい。
上述のハイドロゲルは、水中で2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを含むモノマー成分と、N,N’-メチレンビスアクリルアミドとをフリーラジカル重合させた後に、必要に応じてそのハイドロゲルを一定時間乾燥させることによって作製することができる。この結果、このハイドロゲルは、比較的シンプルな構造となる。また、このハイドロゲルにおいて高分子網目体が2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン由来単位を含むため、このハイドロゲルは生体適合性を有する。そして、本願発明者らの鋭意検討により、このハイドロゲルは、上記数値範囲外の含水率を有するハイドロゲルよりも強度的に優れることが明らかとなった。したがって、本発明に係るハイドロゲルは、生体適合性高強度ゲルであって、比較的シンプルな構造を有すると共に比較的容易に合成することができる。
実施例1~5に係るハイドロゲルを圧縮したときの応力-歪み曲線である。なお、図中、「a」で示される応力-歪み曲線が実施例1に係るハイドロゲルのものであり、「b」で示される応力-歪み曲線が実施例2に係るハイドロゲルのものであり、「c」で示される応力-歪み曲線が実施例3に係るハイドロゲルのものであり、「d」で示される応力-歪み曲線が実施例4に係るハイドロゲルのものであり、「e」で示される応力-歪み曲線が実施例5に係るハイドロゲルのものである。また、図中「×」の記号は破断点を示しており、同記号がないものは破断しなかったことを示す。 実施例2~4に係るハイドロゲルを引っ張ったときの応力-歪み曲線である。なお、図中、「b」で示される応力-歪み曲線が実施例2に係るハイドロゲルのものであり、「c」で示される応力-歪み曲線が実施例3に係るハイドロゲルのものであり、「d」で示される応力-歪み曲線が実施例4に係るハイドロゲルのものである。また、図中「×」の記号は破断点を示している。 実施例6~8に係るハイドロゲルを引っ張ったときの応力-歪み曲線である。なお、図中、「f」で示される応力-歪み曲線が実施例6に係るハイドロゲルのものであり、「g」で示される応力-歪み曲線が実施例7に係るハイドロゲルのものであり、「h」で示される応力-歪み曲線が実施例8に係るハイドロゲルのものである。また、図中「×」の記号は破断点を示している。 実施例9~11に係るハイドロゲルを圧縮したときの応力-歪み曲線である。なお、図中、「i」で示される応力-歪み曲線が実施例9に係るハイドロゲルのものであり、「j」で示される応力-歪み曲線が実施例10に係るハイドロゲルのものであり、「k」で示される応力-歪み曲線が実施例11に係るハイドロゲルのものである。また、いずれのハイドロゲルでも破断は確認されなかったため破断点を示す記号は付されていない。 実施例9~11に係るハイドロゲルを引っ張ったときの応力-歪み曲線である。なお、図中、「i」で示される応力-歪み曲線が実施例9に係るハイドロゲルのものであり、「j」で示される応力-歪み曲線が実施例10に係るハイドロゲルのものであり、「k」で示される応力-歪み曲線が実施例11に係るハイドロゲルのものである。また、図中「×」の記号は破断点を示している。 実施例3、実施例7および実施例10に係るハイドロゲル(全て架橋剤濃度が0.1mol%となっており、モノマー水溶液調製時におけるMPCの濃度が異なる)の応力-歪み曲線である。なお、図中、「c」で示される応力-歪み曲線が実施例3に係るハイドロゲルのものであり、「g」で示される応力-歪み曲線が実施例7に係るハイドロゲルのものであり、「j」で示される応力-歪み曲線が実施例10に係るハイドロゲルのものである。また、図中「×」の記号は破断点を示している。 実施例9の乾燥引張試験の結果を示す応力-歪み曲線である。なお、図中、「i0」で示される応力-歪み曲線が作製直後のハイドロゲルのものであり、「i2」で示される応力-歪み曲線が自然乾燥2日経過直後のハイドロゲルのものであり、「i4」で示される応力-歪み曲線が自然乾燥4日経過直後のハイドロゲルのものであり、「i5」で示される応力-歪み曲線が自然乾燥5日経過直後のハイドロゲルのものであり、「i7」で示される応力-歪み曲線が自然乾燥7日経過直後のハイドロゲルのものである。また、図中「×」の記号は破断点を示している。 実施例9に係るハイドロゲルの乾燥日数と含水率との関係を示す図である。 実施例9の作製直後のハイドロゲルを繰返引張試験に供したときの結果を示す応力-歪み曲線である。なお、図中、「i01」で示される応力-歪み曲線が作製直後のハイドロゲルの1回目の引張時のものであり、「i02」で示される応力-歪み曲線が作製直後のハイドロゲルの2回目の引張時のものである。 実施例9の自然乾燥4日経過直後のハイドロゲルを繰返引張試験に供したときの結果を示す応力-歪み曲線である。なお、図中、「i41」で示される応力-歪み曲線が自然乾燥4日経過直後のハイドロゲルの1回目の引張時のものであり、「i42」で示される応力-歪み曲線が自然乾燥4日経過直後のハイドロゲルの2回目の引張時のものである。 図8および図9の引張1回目の応力-歪み曲線を併せて示す図である。なお、図中、「i01」で示される応力-歪み曲線が作製直後のハイドロゲルの1回目の引張時のものであり、「i41」で示される応力-歪み曲線が自然乾燥4日経過直後のハイドロゲルの1回目の引張時のものである。 図8および図9の引張2回目の応力-歪み曲線を併せて示す図である。なお、図中、「i02」で示される応力-歪み曲線が作製直後のハイドロゲルの2回目の引張時のものであり、「i42」で示される応力-歪み曲線が自然乾燥4日経過直後のハイドロゲルの2回目の引張時のものである。
以下、実施例および比較例を示して本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されることはない。
(実施例1)
1.ハイドロゲルの合成
以下の化学式(A)に示される2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(以下「MPC」と略される場合がある。)の濃度が5mol/Lとなり、以下の化学式(B)に示されるN,N’-メチレンビスアクリルアミド(以下「MBAA」と略される場合がある。)の濃度が5.12×10-5mol/Lとなり、以下の化学式(C)に示されるN,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン(以下「TEMED」と略される場合がある。)の濃度が4.0×10-3mol/Lとなるように、MPC、MBAA、TEMEDおよび水を混合してモノマー水溶液を調製した(このとき、MPCに対するMBAAのモル比率(すなわち架橋剤濃度)は0.001mol%であった。)。
Figure 0007226787000001
Figure 0007226787000002
Figure 0007226787000003
次に、以下の化学式(D)に示される過硫酸アンモニウム(以下「APS」と略する場合がある。)に水を加えてAPS水溶液を調製した。
Figure 0007226787000004
続いて、モノマー水溶液およびAPS水溶液に対して凍結脱気処理を施してモノマー水溶液およびAPS水溶液から溶存酸素を取り除いた。そして、モノマー水溶液中のAPSの濃度が0.47×10-3mol/Lとなるように、モノマー水溶液に対してAPS水溶液を加えてプレゲル溶液を調製した。そして、そのプレゲル溶液を円柱の鋳型(直径5mm,厚み5mm)に入れて25℃の温度条件下でMPCおよびMBAAの重合を行って目的のハイドロゲルを得た。
2.圧縮試験
上述の通りして得られたハイドロゲルを圧縮試験に供したところ、図1に示される応力-歪み曲線(a)が得られた。なお、この圧縮試験は、株式会社島津製作所製の小型卓上試験機EZ Test(SMTI-2-N)を用いて温度25℃、湿度70%環境下、圧縮荷重の最大値を100Nに設定し、クロスヘッドスピード50mm/分でハイドロゲルを圧縮することによって行われた。
(実施例2)
1.ハイドロゲルの合成
モノマー水溶液調製時におけるMBAAの濃度を5.00×10-4mol/Lに代えた以外は、実施例1に示される通りにして目的のハイドロゲルを得た。なお、このときのMPCに対するMBAAのモル比率(すなわち架橋剤濃度)は0.01mol%であった。
2.圧縮試験
上述の通りにして得られたハイドロゲルを、実施例1と同様にして圧縮試験に供したところ、図1に示される応力-歪み曲線(b)が得られた。
3.引張試験
プレゲル溶液をダンベル型の鋳型(全体厚み1.76mm,長方形板部の幅5mm,長方形板部の長さ20mm、長方形板部の両端に設けられる円板部の直径10mm)に入れて25℃の温度条件下でMPCおよびMBAAの重合を行って引張試験用のハイドロゲル試験片を得た。そして、そのハイドロゲル試験片を引張試験に供したところ、図2に示される応力-歪み曲線(b)が得られた。なお、この引張試験は、株式会社島津製作所製の小型卓上試験機EZ Test(SMTI-2-N)を用いて温度25℃、湿度70%環境下、クロスヘッドスピード50mm/分でハイドロゲルを引っ張ることによって行われた。
(実施例3)
1.ハイドロゲルの合成
モノマー水溶液調製時におけるMBAAの濃度を5.00×10-3mol/Lに代えた以外は、実施例1に示される通りにして目的のハイドロゲルを得た。なお、このときのMPCに対するMBAAのモル比率(すなわち架橋剤濃度)は0.1mol%であった。
2.圧縮試験
上述の通りにして得られたハイドロゲルを、実施例1と同様にして圧縮試験に供したところ、図1に示される応力-歪み曲線(c)が得られた。
3.引張試験
実施例2と同様にして本実施例のプレゲル溶液から引張試験用のハイドロゲル試験片を得、実施例2と同様にしてそのハイドロゲル試験片を引張試験に供したところ、図2に示される応力-歪み曲線(c)が得られた。
(実施例4)
1.ハイドロゲルの合成
モノマー水溶液調製時におけるMBAAの濃度を2.56×10-2mol/Lに代えた以外は、実施例1に示される通りにして目的のハイドロゲルを得た。なお、このときのMPCに対するMBAAのモル比率(すなわち架橋剤濃度)は0.25mol%であった。
2.圧縮試験
上述の通りにして得られたハイドロゲルを、実施例1と同様にして圧縮試験に供したところ、図1に示される応力-歪み曲線(d)が得られた。
3.引張試験
実施例2と同様にして本実施例のプレゲル溶液から引張試験用のハイドロゲル試験片を得、実施例2と同様にしてそのハイドロゲル試験片を引張試験に供したところ、図2に示される応力-歪み曲線(d)が得られた。
(実施例5)
1.ハイドロゲルの合成
モノマー水溶液調製時におけるMBAAの濃度を5.00×10-2mol/Lに代えた以外は、実施例1に示される通りにして目的のハイドロゲルを得た。なお、このときのMPCに対するMBAAのモル比率(すなわち架橋剤濃度)は1.0mol%であった。
2.圧縮試験
上述の通りにして得られたハイドロゲルを、実施例1と同様にして圧縮試験に供したところ、図1に示される応力-歪み曲線(e)が得られた。
(実施例6)
1.ハイドロゲルの合成
モノマー水溶液調製時におけるMPCの濃度を10mol/Lに代えると共にMBAAの濃度を10.00×10-4mol/Lに代えた以外は、実施例1に示される通りにして目的のハイドロゲルを得た。なお、このときのMPCに対するMBAAのモル比率(すなわち架橋剤濃度)は0.01mol%であった。
2.引張試験
実施例2と同様にして本実施例のプレゲル溶液から引張試験用のハイドロゲル試験片を得、実施例2と同様にしてそのハイドロゲル試験片を引張試験に供したところ、図3に示される応力-歪み曲線(f)が得られた。
(実施例7)
1.ハイドロゲルの合成
モノマー水溶液調製時におけるMPCの濃度を10mol/Lに代えると共にMBAAの濃度を10.00×10-3mol/Lに代えた以外は、実施例1に示される通りにして目的のハイドロゲルを得た。なお、このときのMPCに対するMBAAのモル比率(すなわち架橋剤濃度)は0.1mol%であった。
2.引張試験
実施例2と同様にして本実施例のプレゲル溶液から引張試験用のハイドロゲル試験片を得、実施例2と同様にしてそのハイドロゲル試験片を引張試験に供したところ、図3に示される応力-歪み曲線(g)が得られた。
(実施例8)
1.ハイドロゲルの合成
モノマー水溶液調製時におけるMPCの濃度を10mol/Lに代えると共にMBAAの濃度を5.00×10-2mol/Lに代えた以外は、実施例1に示される通りにして目的のハイドロゲルを得た。なお、このときのMPCに対するMBAAのモル比率(すなわち架橋剤濃度)は0.25mol%であった。
2.引張試験
実施例2と同様にして本実施例のプレゲル溶液から引張試験用のハイドロゲル試験片を得、実施例2と同様にしてそのハイドロゲル試験片を引張試験に供したところ、図3に示される応力-歪み曲線(h)が得られた。
(実施例9)
1.ハイドロゲルの合成
モノマー水溶液調製時におけるMPCの濃度を2.5mol/Lに代えると共にMBAAの濃度を2.5×10-4mol/Lに代えた以外は、実施例1に示される通りにして目的のハイドロゲルを得た。なお、このときのMPCに対するMBAAのモル比率(すなわち架橋剤濃度)は0.01mol%であった。
2.圧縮試験
上述の通りにして得られたハイドロゲルを、実施例1と同様にして圧縮試験に供したところ、図4に示される応力-歪み曲線(i)が得られた。
3.引張試験
実施例2と同様にして本実施例のプレゲル溶液から引張試験用のハイドロゲル試験片を得、実施例2と同様にしてそのハイドロゲル試験片を引張試験に供したところ、図5に示される応力-歪み曲線(i)が得られた。
4.乾燥引張試験
上述の引張試験におけるハイドロゲル試験片の作製方法に従って5つのハイドロゲル試験片を用意した。そして、作製直後にその1つを、実施例2と同様にして引張試験に供し、自然乾燥2日経過直後にその1つを、実施例2と同様にして引張試験に供し、自然乾燥4日経過直後にその1つを、実施例2と同様にして引張試験に供し、自然乾燥5日経過直後にその1つを、実施例2と同様にして引張試験に供し、自然乾燥7日経過後に最後の1つを、実施例2と同様にして引張試験に供した。その結果、図7に示される応力-歪み曲線(i0,i2,i4,i5,i7)が得られた。なお、引張試験に供した5つのハイドロゲル試験片それぞれの含水率は図8に示される通りであった。
5.繰返引張試験
上述の引張試験におけるハイドロゲル試験片の作製方法に従って2つのハイドロゲル試験片を用意した。そして、作製直後にその1つを繰返引張試験に供し、然乾燥4日経過直後にその1つを繰返引張試験に供した。その結果、図9~図12に示される応力-歪み曲線(i01,i02,i41,i42)が得られた。なお、繰返引張試験は、株式会社島津製作所製の小型卓上試験機EZ Test(SMTI-2-N)を用いて温度25℃、湿度70%環境下、引張荷重の最大値を100Nに設定し、クロスヘッドスピード50mm/分でハイドロゲル試験片を繰り返し引っ張ることによって行われた。なお、本繰返引張試験では、引張荷重が100Nに達したハイドロゲル試験片は存在しなかった。
(実施例10)
1.ハイドロゲルの合成
モノマー水溶液調製時におけるMPCの濃度を2.5mol/Lに代えると共にMBAAの濃度を2.5×10-3mol/Lに代えた以外は、実施例1に示される通りにして目的のハイドロゲルを得た。なお、このときのMPCに対するMBAAのモル比率(すなわち架橋剤濃度)は0.1mol%であった。
2.圧縮試験
上述の通りにして得られたハイドロゲルを、実施例1と同様にして圧縮試験に供したところ、図4に示される応力-歪み曲線(j)が得られた。
3.引張試験
実施例2と同様にして本実施例のプレゲル溶液から引張試験用のハイドロゲル試験片を得、実施例2と同様にしてそのハイドロゲル試験片を引張試験に供したところ、図5に示される応力-歪み曲線(j)が得られた。
(実施例11)
1.ハイドロゲルの合成
モノマー水溶液調製時におけるMPCの濃度を2.5mol/Lに代えると共にMBAAの濃度を1.25×10-2mol/Lに代えた以外は、実施例1に示される通りにして目的のハイドロゲルを得た。なお、このときのMPCに対するMBAAのモル比率(すなわち架橋剤濃度)は0.25mol%であった。
2.圧縮試験
上述の通りにして得られたハイドロゲルを、実施例1と同様にして圧縮試験に供したところ、図4に示される応力-歪み曲線(k)が得られた。
3.引張試験
実施例2と同様にして本実施例のプレゲル溶液から引張試験用のハイドロゲル試験片を得、実施例2と同様にしてそのハイドロゲル試験片を引張試験に供したところ、図5に示される応力-歪み曲線(k)が得られた。
<まとめ>
圧縮試験では、1.0mol%の架橋剤濃度を有するハイドロゲルは70%程度圧縮されることにより破断したが、0.001mol%~0.25mol%の架橋剤濃度を有するハイドロゲルは90%程度圧縮されても破断せず良好な強度(靭性)を示した。また、0.01mol%~0.25mol%の架橋剤濃度を有するハイドロゲルは引張試験でも良好な結果を示した。また、図6に示される通り、架橋剤濃度が同一である場合、モノマー水溶液調製時におけるMPCの濃度が高くなる程、引張強度が高くなることが明らかとなった。これは、モノマー水溶液調製時におけるMPCの濃度が高くなる程、分子鎖同士の絡み合いが多くなり、その結果、エネルギー散逸効果が高くなるためであると考えられる。
また、実施例9の乾燥引張試験の結果、ハイドロゲルは、自然乾燥日数4日程度まで(含水率が50%程度に下がるまで)歪み(伸び)および引張強度が向上したが、それ以降(含水率が更に下がると)、引張強度は高くなるものの歪み(伸び)が小さくなった。
さらに、作製直後のハイドロゲルおよび自然乾燥4日経過直後のハイドロゲルには、共にヒステリシスは認められなかった。
本発明に係るハイドロゲル作製方法は、比較的シンプルな構造を有する生体適合性高強度ゲルを比較的容易に合成することができるという特徴を有するため、例えば、コンタクトレンズ等の医療材料の製造に応用することができる。

Claims (3)

  1. 水中で、2.5mol/L以上10mol/L以下の範囲内の濃度の2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを含むモノマー成分と、前記モノマー成分に対して0.001mol%以上1.0mol%以下の範囲内の濃度で添加されるN,N’-メチレンビスアクリルアミドとをラジカル重合させてハイドロゲルを得る、ハイドロゲル作製方法。
  2. 前記ハイドロゲルの含水率を50質量%以上95質量%以下の範囲内に調整する、請求項1に記載のハイドロゲル作製方法。
  3. 水中で、2.5mol/L以上10mol/L以下の範囲内の濃度の2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを含むモノマー成分と、前記モノマー成分に対して0.001mol%以上1.0mol%以下の範囲内の濃度を有するN,N’-メチレンビスアクリルアミドとをラジカル重合させて成る
    ハイドロゲル。

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