JP7226102B2 - 耐サワーラインパイプ用溶接鋼管の製造方法 - Google Patents

耐サワーラインパイプ用溶接鋼管の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、耐サワーラインパイプ用溶接鋼管及びその製造方法に関する。
世界的なエネルギー需要の高まりを背景に、原油や天然ガスの採掘量も年々増加しており、従来のような高品質な原油や天然ガスが徐々に枯渇し、硫化水素濃度の高い低品質の原油や天然ガスを使用する必要に迫られている。そのため、このような環境に敷設されるパイプラインには、安全性確保のために、耐HIC(Hydrogen Induced Cracking;水素誘起割れ)性能や耐SSC(Sulfide Stress Corrosion Cracking;硫化物応力腐食割れ)性能といった耐サワー性能に優れたラインパイプの適用が求められている。
さらに、パイプラインの長距離化や輸送効率向上のため、パイプラインに用いられる耐サワーラインパイプが厚肉、高強度化する傾向にある。そのため、強度グレードでAPI 5L X60~X65程度、管厚で25~40mm程度で、NACE-TM0284及びNACE-TM0177のA溶液環境において優れた耐サワー性能および優れたDWTT(Drop Weight Tear Test;落重引裂試験)性能を確保した厚肉高強度耐サワーラインパイプの需要家への安定供給が課題となっている。
また、DWTTの試験規格であるAPI RP 5L3では、厚さが28.6mm以上の溶接鋼管および厚鋼板のDWTT性能を19mm減厚試験片で評価する場合、試験温度を17℃低温側にシフトすることになっており、DWTT性能を確保することが難しくなっている。
耐サワーラインパイプを安定供給するためには、連続鋳造スラブを用いて、制御圧延と制御冷却を組み合わせた、いわゆるTMCP(Thermo-Mechanical Control Process)技術により製造した厚鋼板を鋼管素材として用いることが必須である。このような制約下において、耐HIC性能及び/又はDWTT性能を向上するための検討は、過去に盛んに行なわれている。
例えば、特許文献1では、厚肉高強度ラインパイプにおいて、スラブ再加熱時の加熱温度を、スラブ中のNbCNが固溶し、オーステナイト粒の粗大化ができるだけ抑制される条件にすることにより、優れたDWTT性能と耐HIC性能を両立する方法が開示されている。
また、特許文献2では、加速冷却後にオンライン急速加熱を行なうことで、ミクロ組織中に生成するMA(Martensite-Austenite constituent;島状マルテンサイト)を分解し、HICの伝播停止性能を高めることで、優れた耐HIC性能を確保する方法が開示されている。特許文献3では、加速冷却において初期の板厚中央の冷却速度を低くして表層温度を500℃以下まで下げ、続いて高い冷却速度で強度が確保できる板厚中心の冷却停止温度まで冷却することにより、表層硬さの低減と中心偏析部の硬化の抑制を実現し、優れた耐HIC性能を確保する方法が開示されている。
特開2010-189722号公報 特開2009- 52137号公報 特開2000-160245号公報
厚肉高強度耐サワーラインパイプにおいては、中心偏析部や介在物集積帯(垂直曲げ型連続鋳造機においては、スラブ表面側1/4t位置付近)に発生するHICに加えて、表層近傍に発生するHICが問題になることが多い。これは、(1)厚肉になるほど、UOEやプレスベンドなどの冷間加工による造管の際に受けるひずみ量が大きくなることや、(2)TMCPを用いる場合、加速冷却により強度を確保することになるが、強度を確保するためにより多くの合金元素を添加する必要があること、(3)厚肉になるほど表層と板厚中心の冷却速度の差が大きくなり、表層硬さが上昇しやすくなること、が原因として挙げられる。しかしながら、厚肉高強度耐サワーラインパイプの表層に発生するHICに対して、特許文献1には解決に対する手法が明確にされていない。特許文献2及び特許文献3において、表層硬さの低減方法については、それぞれオンライン急速加熱及び2段階加速冷却という手法が開示されているが、表層近傍に発生するHICの抑制に関してはさらに改善が要望されている。
また、厚肉になるほどDWTT性能を確保することが難しくなるが、特許文献2及び特許文献3には、厚肉における優れた耐サワー性能とDWTT性能を両立する方法が開示されていない。
そこで本発明は、上記課題に鑑み、厚肉であっても優れた耐HIC性能及びDWTT性能を両立させた耐サワーラインパイプ用溶接鋼管と、その有利な製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記の課題を解決するために、ミクロ組織を均一なベイナイトに造りこんだ溶接鋼管の管厚方向各位置に発生するHICについて個別に検討を行い、以下の知見を得た。まず、中心偏析部に発生するHICに関しては、厚肉材についても従来の知見が適用でき、中心偏析部のビッカース硬さを250以下に抑え、かつ、MnSの生成を抑制することにより抑制可能であることが分かった。
中心偏析部については、ミクロ組織がベイナイト単相である場合、後述の式(2)の指標を1.05以下にすることで、ビッカース硬さを250以下に制御できることがわかった。また、MnSの発生抑制については、Ca最適量添加が有効であり、従来から種々の式が提案されている。しかし、最近の低O、極低S鋼については、後述の式(3)に示すACRMとの相関が高く、ACRMを1.0以上にすることで、中心偏析部におけるMnSの生成を抑制できることがわかった。
次に、垂直曲げ型連続鋳造機で発生する介在物集積帯に発生するHICについては、Ca/Oを2.5以下にすることでCaクラスタの生成が抑制でき、加えて鋼管表層のビッカース硬さを230以下にすることで、その発生を抑制できることがわかった。溶接鋼管において表層硬さを230以下にする手法について種々検討を加えた結果、表面から深さ1mmの位置の700℃から600℃までの平均冷却速度を120℃/s以下にすれば、加速冷却ままでも達成可能であることがわかった。
次に、上述の制約のもとでDWTT性能を確保する方法を検討した。その結果、スラブ再加熱段階でNbCを適正量固溶させた後に、Ar3点よりも高い温度域の中でできるだけ低い温度で圧延を終了することによってDWTT性能が向上し、なおかつ、鋼材のAr3点が低いほどDWTT性能が向上することがわかった。さらに、DWTT性能と相関する鋼材特性を調査した結果、(211)面集積度が最も良い相関を持つことが明らかになった。
上記知見に基づき完成された本発明の要旨構成は以下のとおりである。
[1]質量%で、C:0.03~0.06%、Si:0.5%以下、Mn:0.8~1.6%、P:0.008%以下、S:0.0015%以下、Al:0.08%以下、Mo:0.05~0.50%、Nb:0.005~0.050%、Ti:0.005~0.020%、Ca:0.0010~0.0040%、N:0.008%以下、及びO:0.0030%以下を含有し、式(1)で示されるCeqが0.32以上であり、式(2)で示されるPHICTが1.05以下であり、式(3)で示されるACRMが1.0以上であり、Ca/Oが2.5以下であり、残部がFe及び不可避的不純物からなる成分組成を有し、
式(4)で示されるAr3Oが780以下であり、
管厚方向で、内表面から深さ2mmの位置から外表面から深さ2mmの位置までのミクロ組織が、面積分率で95%以上のベイナイトを含み、
中心偏析部を除く箇所のビッカース硬さHV10が230以下であり、
中心偏析部のビッカース硬さHV0.05が250以下であり、
X線回析により得られる管厚中心位置での圧延面の(211)面の集積度が1.5以上であり、
引張強さが535MPa以上である
ことを特徴とする耐サワーラインパイプ用溶接鋼管。
[2]前記成分組成が、Cu:0.50%以下、Ni:1.00%以下、Cr:0.50%以下、及びV:0.060%以下からなる群から選ばれる1種以上をさらに含有する、上記[1]に記載の耐サワーラインパイプ用溶接鋼管。
[3]質量%で、C:0.03~0.06%、Si:0.5%以下、Mn:0.8~1.6%、P:0.008%以下、S:0.0015%以下、Al:0.08%以下、Mo:0.05~0.50%、Nb:0.005~0.050%、Ti:0.005~0.020%、Ca:0.0010~0.0040%、N:0.008%以下、及びO:0.0030%以下を含有し、式(1)で示されるCeqが0.32以上であり、式(2)で示されるPHICTが1.05以下であり、式(3)で示されるACRMが1.0以上であり、Ca/Oが2.5以下であり、残部がFe及び不可避的不純物からなる成分組成を有するスラブを連続鋳造にて製造する工程と、
前記スラブを、式(5)を満足する温度Tに再加熱する工程と、
その後、前記スラブを、未再結晶温度域での全圧下率が50~90%、及び式(4)で示されるAr3Oを用いて、最終圧延温度が(Ar3O+50)℃以下の条件で熱間圧延して、厚鋼板を得る工程と、
前記厚鋼板を、冷却開始温度:鋼板表面温度でAr3O℃以上、冷却停止温度:鋼板表面温度で250~550℃、板厚方向で表面から深さ1mmの位置から深さ3/16tの位置までの領域の700℃から600℃までの平均冷却速度:120℃/s以下、及び板厚中心における700℃から600℃までの平均冷却速度:20℃/s以上の条件で制御冷却する工程と、
その後、前記厚鋼板を筒状に冷間加工し、その突合せ部を溶接して、溶接鋼管を得る工程と、
を有し、
前記溶接鋼管のAr3Oが780以下であることを特徴とする耐サワーラインパイプ用溶接鋼管の製造方法。
[4]前記成分組成が、Cu:0.50%以下、Ni:1.00%以下、Cr:0.50%以下、及びV:0.060%以下からなる群から選ばれる1種以上をさらに含有する、上記[3]に記載の耐サワーラインパイプ用溶接鋼管の製造方法。
なお、式(1)~(5)は以下のとおりである。
式(1)
Ceq=C+Mn/6+(Cu+Ni)/15+(Cr+Mo+V)/5
式(2)
PHICT=(4.46C+0.395Mn+0.116Cu+0.113Ni+0.236Cr+0.390Mo+0.348V+22.36P)[{7396.2(C+0.0023Si+0.0344Mn-0.2652P+2.5275S-0.0616Al+0.02Cu+0.06Ni+0.02Cr-0.02Mo-0.04Nb-0.04V+0.021Si・Mn-1.525Mn・S)-8.9423}/700]
式(3)
ACRM={Ca-(1.23O-0.000365)}/(1.25S)
式(4)
Ar3O=910-310C-80Mn-20Cu-55Ni-15Cr-80Mo+0.35(t-8)
式(5)
6780/(2.26-log(Nb(C+12N/14)))-293≦T≦6780/(2.26-log(Nb(C+12N/14)))-223
ここで、上記式(4)中のtは管厚又は板厚(mm)であり、上記式(1)~(5)及び上記Ca/O中の元素記号は、前記成分組成における各元素の含有量(質量%)を表し、該元素が含有されていない場合には0とする。
本発明の耐サワーラインパイプ用溶接鋼管は、厚肉であっても優れた耐HIC性能及びDWTT性能を両立されている。
本発明の耐サワーラインパイプ用溶接鋼管の製造方法によれば、厚肉であっても優れた耐HIC性能及びDWTT性能を両立させた耐サワーラインパイプ用溶接鋼管を製造することができる。
(耐サワーラインパイプ用の厚鋼板及び溶接鋼管)
以下、本発明の耐サワーラインパイプ用の厚鋼板及び溶接鋼管について説明する。なお、溶接鋼管は溶接部とそれ以外の鋼管母材とを有するところ、以下の説明では、特に断らない限り、溶接部ではなく鋼管母材を対象とする。
[成分組成]
まず、本発明の厚鋼板及び溶接鋼管の成分組成とその限定理由について説明する。なお、成分組成における元素の含有量の単位はいずれも「質量%」であるが、以下、特に断らない限り単に「%」で示す。
C:0.03~0.06%
Cは、中心偏析部に濃化する元素であり、さらに中心偏析部での他の元素の偏析を助長する元素であるため、耐HIC性能確保の観点からは低減した方がよい。この観点から、C量は0.06%以下とし、好ましくは0.05%以下とする。一方で、Cは、安価かつ高強度化に非常に寄与する元素であるため、強度を確保する観点からは添加することが望ましい。よって、所定の強度を得る観点から、C量は0.03%以上とする。
Si:0.5%以下
Siは、脱酸に用いる元素であり、介在物を低減するためにはある程度の含有は避けられない。また、高強度化に寄与する元素であり、耐HIC性能に対してそれほど大きな影響はないため、Si量は0.05%以上とすることが好ましい。一方で、Si量が0.5%を超えると、溶接熱影響部(Heat Affected Zone;HAZともいう)の靭性が著しく劣化し、溶接性も劣化する。このため、Si量は0.5%以下とし、好ましくは0.4%以下とする。
Mn:0.8~1.6%
Mnは、中心偏析部に顕著に濃化するため、耐HIC性能確保の観点からは低減する方が望ましい。Mn量が1.6%を超えると、他の合金元素の調整を行なっても中心偏析部の硬さが高くなり、耐HIC性能が確保できない。よって、Mn量は1.6%以下とし、好ましくは1.5%以下とする。一方で、Mnは、安価でかつ高強度化に非常に寄与する元素であり、なおかつ、冷却中のフェライトの生成を抑制する元素である。これらの効果が得る観点から、Mn量は0.8%以上とし、好ましくは1.0%以上とする。
P:0.008%以下
Pは、中心偏析部に顕著に濃化する元素であり、中心偏析部の硬さを著しく増加させることで耐HIC性能を劣化させる。このため、P量は0.008%以下とし、好ましくは0.006%以下とする。ただし、製鋼コストの観点から、P量は0.001%以上とすることが好ましい。
S:0.0015%以下
Sは、中心偏析部に顕著に濃化する元素であり、中心偏析部でMnSを形成し、耐HIC性能を顕著に劣化させる。このため、S量は0.0015%以下とし、好ましくは0.0008%以下とする。ただし、製鋼コストの観点から、S量は0.0001%以上とすることが好ましい。
Al:0.08%以下
Alは脱酸により介在物を低減するために必須の元素である。よって、Al量は0.01%以上とすることが好ましい。一方で、Al量が0.08%を超えると、HAZ靭性の劣化、溶接性の低下、さらには連続鋳造時の浸漬ノズルのアルミナ詰りなどの問題が生じる。このため、Al量は0.08%以下とし、好ましくは0.05%以下とする。
Mo:0.05~0.50%
Moは、高強度化に寄与する元素であり、中心偏析部への濃化も少ない元素である。厚肉の耐サワー材において、強度、耐HIC性能及びDWTT性能を全て得るために添加は必須である。よって、Mo量は0.05%以上とし、好ましくは0.10%以上とする。一方で、Mo量が0.50%を超えると、溶接性及びHAZ靭性の劣化を招く。よって、Mo量は0.50%以下とし、好ましくは0.35%以下とする。
Nb:0.005~0.050%
Nbは、固溶Nbとして存在すると制御圧延時の未再結晶温度域を拡大し、靭性確保に寄与する。その効果を得るため、Nb量は0.005%以上とし、好ましくは0.010%以上とする。一方で、Nbは中心偏析部に濃化し、凝固時に粗大なNbCN又はNbTiCNを晶出し、これがHICの起点となって耐HIC性能を劣化させる。このため、Nb量は、0.050%以下とし、好ましくは0.040%以下とする。
Ti:0.005~0.020%
Tiは、TiNとして溶接熱影響部の組織を微細化するため、高強度ラインパイプ用途の溶接部性能を確保するためには、添加が必須の元素となる。Ti量0.005%未満ではTiNが十分に生成しないため、Ti量は0.005%以上とする。また、Ti量が0.020%を超えると、生成したTiNが粗大化して、溶接熱影響部の十分な靭性が得られないため、Ti量は0.020%以下とする。
Ca:0.0010~0.0040%
Caは、中心偏析部に生成するMnSを抑制し、耐HIC性能を向上させる。その効果を得るためには、Ca量は0.0010%以上とする。一方で、Caを過剰に添加すると、表層近傍や介在物集積帯でCaクラスタが生成し、耐HIC性能を劣化させるため、Ca量は0.0040%以下とする。
N:0.008%以下
Nは、不純物元素であるが、N量が0.008%以下であれば、靭性や耐HIC性能を劣化させない。よって、N量は0.008%以下とする。ただし、HAZ靭性確保のため、N量は0.002%以上とすることが好ましい。
O:0.0030%以下
Oは、不純物元素であり、AlやCaOSの生成量が増えることによって、表層や介在物集積帯での耐HIC性能を劣化させる。よって、O量は0.0030%以下とし、好ましくは0.0020%以下とする。ただし、製鋼コストの観点から、O量は0.0001%以上とすることが好ましい。
上記した基本成分に加えて、任意成分として、Cu:0.50%以下、Ni:1.00%以下、Cr:0.50%以下、及びV:0.060%以下からなる群から選ばれる1種以上をさらに含有してもよい。
Cu:0.50%以下
Cuは、高強度化に寄与する元素であるが、中心偏析部に濃化する元素でもあるので過度な添加は控えるべきである。また、Cu量が0.50%を超えると、溶接性及びHAZ靭性の劣化を招くため、Cuを添加する場合、Cu量は0.50%以下とする。
Ni:1.00%以下
Niは、高強度化に寄与する元素であるが、中心偏析部に濃化する元素でもあるので過度な添加は控えるべきである。また、Ni量が1.00%を超えると、溶接性の劣化を招き、またNiは高価な元素であるため、Niを添加する場合、Ni量は1.00%以下とする。
Cr:0.50%以下
Crは、高強度化に寄与する元素であるが、中心偏析部に濃化する元素でもあるので過度な添加は控えるべきである。また、Cr量が0.50%を超えると、溶接性及びHAZ靭性の劣化を招くため、Crを添加する場合、Cr量は0.50%以下とする。
V:0.060%以下
Vは、高強度化に寄与する元素であるが、中心偏析部に濃化する元素でもあるので過度な添加は控えるべきである。また、V量が0.060%を超えると、溶接性およびHAZ靭性の劣化を招くため、Vを添加する場合、V量は0.060%以下とする。
上記以外の残部はFe及び不可避的不純物である。
Ceqが0.32以上
上記式(1)で示されるCeqは、強度を確保するために必要な合金元素量を表す指標である。所望の強度を確保する観点から、Ceqは0.32以上とする。Ceqの上限は特に限定しないが、溶接性の観点からCeqは0.40以下とすることが好ましい。
PHICTが1.05以下
上記式(2)で示されるPHICTは、中心偏析部の硬さを定量化するために本発明者らが創出したパラメータである。中心偏析部の硬さを定量化する式は、過去に様々提案されているが、いずれも成分の硬度に及ぼす影響と成分の偏析部での濃化度に基づいて定式化されている。一方で、PHICTは、これまでに考慮されていなかった形成される偏析粒の大きさに及ぼす成分の影響を考慮しており、従来の式よりもより高精度に中心偏析の硬さが予測可能となった。この値が大きいほど中心偏析部の硬さが高くなり、管厚中心でのHIC発生を助長する。このPHICTが1.05以下であれば、中心偏析部の硬さHV0.05を250以下にでき、耐HIC性能を確保できるため、本発明ではPHICTを1.05以下とし、好ましくは1.02以下とする。PHICTの下限は特に限定しないが、強度確保のため、PHICTは0.50以上とすることが好ましい。
ACRMが1.0以上
上記式(3)で示されるACRMは、CaによるMnSの形態制御を定量化するための指標である。ACRMが1.0以上であれば、中心偏析部でのMnSの生成が抑制されて、管厚中心での耐HIC性能が改善される。よって、ACRMは1.0以上とする。一方、ACRMが4.0を超えると、CaOクラスタが生成しやすくなり、HICが発生しやすくなるため、ACRMは4.0以下とする。
Ca/Oが2.5以下
Ca/Oは、CaによるCaクラスタ発生限界を定量化するための指標である。Ca/Oが2.5を超えるとCaクラスタが生成しやすくなり、表層近傍や介在物集積帯での耐HIC性能が劣化する。よって、Ca/Oは2.5以下とし、好ましくは2.3以下とする。Ca/Oの下限は特に限定しないが、耐HIC性能の確保のため、Ca/Oは0.5以上とすることが好ましい。
Ar3Oが780以下
上記式(4)で示されるAr3Oは、鋼材のAr3点に及ぼす成分の影響を数式化したものであり、計算された数値がその鋼材の推定Ar3点(℃)を示す。鋼材のAr3点が低いほど、同じ圧延条件で圧延したときの厚鋼板の靭性が向上し、780以下にすることで所望のDWTT性能が得られるため、Ar3Oは780以下にする。Ar3Oは、好ましくは770以下であり、より好ましくは760以下である。Ar3Oの下限は特に限定しないが、耐HIC性能確保のため、Ar3Oは730以上とすることが好ましい。
[ミクロ組織]
ベイナイトの面積分率:95%以上
本発明の厚鋼板及び溶接鋼管のミクロ組織は、耐HIC性能確保の観点から、単相組織にすることが望ましく、所望の強度を得るためには、ベイナイト単相にする必要がある。ベイナイトの面積分率は100%とすることが望ましいが、フェライト、セメンタイト、及びMAの1種以上からなるその他の組織が面積分率で5%以下含まれていても、耐HIC性能は確保される。よって、ベイナイトの面積分率は95%以上とする。なお、ベイナイトラス内に含まれるセメンタイトはベイナイトの一部とみなす。
上記「ミクロ組織」は、厚鋼板の場合、板厚方向で、片方の表面から深さ2mmの位置から他方の表面から深さ2mmの位置までの領域に関し、溶接鋼管の場合、管厚方向で、内表面から深さ2mmの位置から外表面から深さ2mmの位置までの領域に関する。すなわち、本発明における「ベイナイトの面積分率」は、以下の方法により求めるものとする。鋼管の内表面から2mmの位置、外表面から2mmの位置、及び管厚中央の計3箇所について、ナイタールエッチングをしたサンプルを作製し、光学顕微鏡で観察してベイナイトの面積分率を測定し、3箇所で最も低いベイナイトの面積分率を採用する。
[硬さ]
中心偏析部を除く箇所のビッカース硬さHV10:230以下(溶接鋼管)
厚肉高強度ラインパイプでは、表層近傍のHICが問題となるため、表層近傍など中心偏析部を除く箇所の硬さは低い方が望ましい。Caクラスタの発生を抑制した前提においては、中心偏析部を除く箇所のビッカース硬さを230以下にすることで、耐HIC性能が確保可能である。よって、本発明の溶接鋼管において、中心偏析部を除く箇所のビッカース硬さHV10は230以下とし、好ましくは220以下とする。中心偏析部を除く箇所のビッカース硬さHV10の下限は特に限定されないが、本発明では、当該硬さは概ね200以上となる。なお、本発明において「鋼管の中心偏析部以外の硬さ」は、荷重10kgのビッカース硬さ試験機により、圧延方向に直角な断面を、内表面から深さ1mmの位置から外表面から深さ1mmの位置にかけて厚さ方向に1mmピッチ(ただし、管厚中央の中心偏析部は除く)で測定し、その最大値を用いる。
中心偏析部を除く箇所のビッカース硬さHV10:210以下(厚鋼板)
厚肉高強度ラインパイプでは、表層近傍のHICが問題となるため、表層近傍など中心偏析部を除く箇所の硬さは低い方が望ましい。厚鋼板を溶接鋼管にするために冷間で曲げると、曲げの付加に伴って鋼管表面近傍の硬さが20程度増加する。よって、ラインパイプ用厚鋼板ではそれを見越した硬さに制御する必要がある。Caクラスタの発生を抑制した前提においては、厚鋼板の中心偏析部を除く箇所の硬さを210以下にすることで、造管後の耐HIC性能が確保可能である。よって、本発明の厚鋼板において、中心偏析部を除く箇所のビッカース硬さHV10は210以下とし、好ましくは200以下とする。中心偏析部を除く箇所のビッカース硬さHV10の下限は特に限定されないが、本発明では、当該硬さは概ね160以上となる。本発明において「厚鋼板の中心偏析部以外の硬さ」は、前段落に記載の方法に準じて測定する。
中心偏析部のビッカース硬さHV0.05:250以下(溶接鋼管/厚鋼板)
中心偏析部の硬さが上昇すると、耐HIC性能が劣化する。MnSの生成をCaで抑制し、NbやTiを本発明の範囲まで抑制した鋼であれば、中心偏析部のビッカース硬さを250以下にすることで、耐HIC性能が確保できる。よって、本発明の溶接鋼管及び厚鋼板において、中心偏析部のビッカース硬さHV0.05は250以下とする。中心偏析部のビッカース硬さHV0.05の下限は特に限定されないが、本発明では、当該硬さは概ね200以上となる。なお、本発明において「中心偏析部の硬さ」は、荷重50gの微小ビッカース硬さ試験機により中心偏析部の硬さを20点測定し、その最大値を用いる。
[管厚中心位置又は板厚中心位置での圧延面の(211)面の集積度]
ラインパイプで要求されるDWTT性能などの母材靭性は、鋼材のミクロ組織や集合組織の影響を受ける。本発明者らは、オーステナイトからベイナイトに変態する際に発達する、管厚中心位置又は板厚中心位置での圧延面の(211)面の集積度と母材靭性との間に良好な相関があることを見出した。上記集積度が1.5以上になると、母材靭性が良好になる。よって、上記集積度は1.5以上とし、好ましくは1.7以上とする。上記集積度の上限は特に限定されないが、本発明では、概ね3.0以下となる。
管厚および板厚中心位置での圧延面の(211)面の集積度は、圧延面が測定面となるように5mm厚の薄膜を採取し、X線回折装置を用いて、インバース法で測定した値を用いる。なお、ここで(211)面の集積度とは、対象材の(211)結晶面の集積度を表す数値で、対象材の管厚中心位置から鋼板圧延面に平行に採取した板面における(211)反射のX線回折強度(I(211))と、集合組織のないランダムな標準試料の(211)反射のX線回折強度(I0(211))との比(I(211)/I0(211))を指す。
[引張強さ]
本発明の厚鋼板及び溶接鋼管は、API 5LのX65MSの範囲である、535MPa以上760MPa以下の引張強さを有する。
[厚さ]
表層下での耐HIC性能及びDWTT性能の両立が問題となるのは、厚肉材の場合である。板厚及び管厚は、本発明では特に規定しないが、好ましくは28.6mm以上とし、より好ましくは30mm以上とする。
(耐サワーラインパイプ用の厚鋼板及び溶接鋼管の製造方法)
本発明の厚鋼板の製造方法は、上記成分組成を有するスラブを連続鋳造にて製造する工程と、前記スラブを所定の温度に再加熱する工程と、その後、前記スラブを、所定条件下で熱間圧延して、厚鋼板を得る工程と、前記厚鋼板を所定条件下で制御冷却する工程と、を有する。そして、本発明の溶接鋼管の製造方法は、前記制御冷却の後に、前記厚鋼板を筒状に冷間加工し、その突合せ部を溶接して、溶接鋼管を得る工程を有する。以下、各工程について説明する。
[スラブ再加熱]
スラブ再加熱温度T:式(5)を満たすものとする。
式(5) X-293≦T≦X-223
ただしX=6780/[2.26-log{Nb(C+12N/14)}]である。
スラブ再加熱温度Tは、低いほど結晶粒が微細化するが、Nb添加鋼の場合、下げすぎると熱間圧延時の固溶Nb量が減り、靭性が劣化する。Tが(X-293)℃以上であれば、固溶Nb量を確保できる。一方で、スラブ再加熱温度を上げると、強度は上昇するが、結晶粒が粗大化し靭性が劣化する。Tが(X-223)℃以下であれば、優れたDWTT性能を確保でき、好ましくは(X-243)℃以下とする。なお、この温度は加熱炉から取り出す際のスラブの厚さ平均温度であり、一般に炉内雰囲気温度実績から差分法などの熱伝導計算によって算出される。
[熱間圧延]
未再結晶温度域での全圧下率:50~90%
未再結晶温度域での圧下は、ミクロ組織を偏平化し、靭性を向上させる効果がある。その効果を得るために、全圧下率は50%以上とし、好ましくは60%以上とする。一方で、全圧下率が90%を超えると、耐HIC性能を劣化させることになる。よって、全圧下率は90%以下とし、好ましくは85%以下とする。
最終圧延温度:(Ar3O+50)℃以下
最終圧延温度が低いほど、DWTT性能が向上する。所望のDWTT性能を得るために、最終圧延温度は(Ar3O+50)℃以下とすることが重要であり、好ましくは(Ar3O+40)℃以下とする。最終圧延温度の下限は特に限定されないが、耐HIC性能確保のため、最終圧延温度はAr3O℃以上とすることが好ましい。
[制御冷却]
冷却開始温度:鋼板表面温度でAr3O℃以上
耐HIC性能を確保するためには、均一なベイナイト組織にする必要がある。そのためには、冷却開始温度をAr3O℃以上にする必要があり、好ましくは(Ar3O+10)℃以上とする。冷却開始温度の上限は特に限定されないが、DWTT性能確保のため、冷却開始温度は850℃以下とすることが好ましい。
冷却停止温度:鋼板表面温度で250~550℃
冷却停止温度は低いほど高強度化が可能となる。一方で、冷却停止温度が250℃未満になると、ベイナイトのラス間がMAに変態し、さらには、中心偏析部がマルテンサイト変態することにより耐HIC性能が劣化する。よって、冷却停止温度は250℃以上とし、好ましくは300℃以上とする。ただし、冷却停止温度が550℃を超えると、未変態オーステナイトの一部がMAに変態し、耐HIC性能を劣化させる。よって、冷却停止温度は550℃以下とし、好ましくは530℃以下とする。
表層部における700℃から600℃までの平均冷却速度:120℃/s以下
表層部における冷却速度が速いと、表層硬さが上昇して耐HIC性能が劣化する。造管後の表層硬さを230以下にするためには、表層部の平均冷却速度を120℃/s以下にする必要がある。表層部の平均冷却速度の下限は特に限定されないが、耐HIC性能確保のため、表層部の平均冷却速度は10℃/s以上とすることが好ましい。なお、ここで言う「表層部」とは、板厚方向で表面から深さ1mmの位置から深さ3/16tの位置までの領域(一対の領域)である。
板厚中心における700℃から600℃までの平均冷却速度:20℃/s以上
板厚中心の冷却速度が速いほど高強度が実現できる。厚肉材において所望の強度を得るために、板厚中心の平均冷却速度を20℃/s以上とする。板厚中心の平均冷却速度の上限は特に限定されないが、耐HIC性能確保のため、板厚中心の平均冷却速度は60℃/s以下とすることが好ましい。
なお、鋼板内部の温度は、物理的に直接測定することはできないが、放射温度計にて測定された冷却開始時の表面温度と目標の冷却停止時の表面温度をもとに、例えばプロセスコンピューターを用いて差分計算により板厚断面内の温度分布をリアルタイムに求めることができる。当該温度分布の経時変化に基づいて、「表層部」の平均冷却速度と「板厚中心」の平均冷却速度を求めることができる。
[冷間加工・溶接]
制御冷却後の厚鋼板を、プレスベンド成形、ロール成形、UOE成形等で筒状に冷間加工した後、その突合せ部を溶接することにより、溶接鋼管を得ることができる。また、鋼管の真円度を改善するために、溶接鋼管を拡管することが可能である。
表1に示す成分組成(残部はFe及び不可避的不純物)の鋼を連続鋳造法によりスラブとし、表2に示す条件でスラブを再加熱し、表2に示す条件で熱間圧延して厚鋼板を得て、さらに表2に示す条件で加速冷却した後、空冷した。さらに、厚鋼板をUOE成形で造管し(Oプレス圧縮率=0.25%、拡管率=1.00%)、溶接鋼管とした。
[ミクロ組織の特定]
既述の方法で、ベイナイトの面積分率を求めた。結果を表3に示す。
[硬さの測定]
既述の方法で「中心偏析部以外のビッカース硬さHV10」と「中心偏析部のビッカース硬さHV0.05」を測定した。結果を表3に示す。
[(211)面集積度の測定]
既述の方法で、管厚中心位置での圧延面の(211)面の集積度を求めた。結果を表3に示す。
[引張強度の測定]
引張試験は、API 5Lに規定される全厚試験片を溶接鋼管の周方向に採取し、API 5L X65MSの引張強度範囲である、535-760MPaを合格とした。結果を表3に示す。
[DWTT性能の評価]
DWTT性能は、試験片厚19mmに加工した減厚DWTT試験片によって行った。API-5Lに準拠した長手方向がC方向となるプレスノッチ型DWTT試験片を採取し、管厚28.6~35.0mmの溶接鋼管は-37℃、管厚35.0mm超の溶接鋼管は-27℃で、各2本試験し、破断した破面の延性破面率(SA)を求めた。延性破面率の平均が85%になるものを合格とした。結果を表3に示す。
[耐HIC性能の評価]
HIC試験は、NACE TM0284-2003の溶液Aを用いて各3本実施(管厚が32mm超のものは規格規定に準じて、板厚方向から30mm厚の試験片を採取)し、鋼管の割れ長さ率(CLR)評価で最大値が10%以下のものを合格とした。結果を表3に示す。
Figure 0007226102000001
Figure 0007226102000002
Figure 0007226102000003
本発明例の溶接鋼管はいずれもラインパイプとして必要とされる引張強度、DWTT性能を満たしつつ、優れた耐HIC性能を満たしている。一方で、比較例の溶接鋼管は、それらのいずれかの特性を満たしていない。
本発明の溶接鋼管及び本発明の製造方法により製造される溶接鋼管は、優れた耐HIC性能及びDWTT性能が求められる耐サワーラインパイプの用途に適している。

Claims (2)

  1. 質量%で、
    C :0.03~0.06%、
    Si:0.5%以下、
    Mn:0.8~1.6%、
    P :0.008%以下、
    S :0.0015%以下、
    Al:0.08%以下、
    Mo:0.05~0.50%、
    Nb:0.005~0.050%、
    Ti:0.005~0.020%、
    Ca:0.0010~0.0040%、
    N :0.008%以下、及び
    O :0.0030%以下
    を含有し、
    式(1)で示されるCeqが0.32以上であり、
    式(2)で示されるPHICTが1.05以下であり、
    式(3)で示されるACRMが1.0以上であり、
    Ca/Oが2.5以下であり、
    残部がFe及び不可避的不純物からなる成分組成を有するスラブを連続鋳造にて製造する工程と、
    前記スラブを、式(5)を満足する温度Tに再加熱する工程と、
    その後、前記スラブを、
    未再結晶温度域での全圧下率が50~90%、及び
    式(4)で示されるAr3Oを用いて、最終圧延温度が(Ar3O+50)℃以下
    の条件で熱間圧延して、厚鋼板を得る工程と、
    前記厚鋼板を、
    冷却開始温度:鋼板表面温度でAr3O℃以上、
    冷却停止温度:鋼板表面温度で250~550℃、
    板厚方向で表面から深さ1mmの位置から深さ3/16tの位置までの領域の700℃から600℃までの平均冷却速度:120℃/s以下、及び
    板厚中心における700℃から600℃までの平均冷却速度:20℃/s以上
    の条件で制御冷却する工程と、
    その後、前記厚鋼板を筒状に冷間加工し、その突合せ部を溶接して、溶接鋼管を得る工程と、
    を有し、
    前記溶接鋼管のAr3Oが780以下であり、前記溶接鋼管は、管厚方向で、内表面から深さ2mmの位置から外表面から深さ2mmの位置までのミクロ組織が、面積分率で95%以上のベイナイトを含み、中心偏析部を除く箇所のビッカース硬さHV10が230以下であり、中心偏析部のビッカース硬さHV0.05が250以下であり、X線回析により得られる管厚中心位置での圧延面の(211)面の集積度が1.5以上であり、引張強さが535MPa以上であることを特徴とする耐サワーラインパイプ用溶接鋼管の製造方法。
    式(1)
    Ceq=C+Mn/6+(Cu+Ni)/15+(Cr+Mo+V)/5
    式(2)
    PHICT=(4.46C+0.395Mn+0.116Cu+0.113Ni+0.236Cr+0.390Mo+0.348V+22.36P)[{7396.2(C+0.0023Si+0.0344Mn-0.2652P+2.5275S-0.0616Al+0.02Cu+0.06Ni+0.02Cr-0.02Mo-0.04Nb-0.04V+0.021Si・Mn-1.525Mn・S)-8.9423}/700]
    式(3)
    ACRM={Ca-(1.23O-0.000365)}/(1.25S)
    式(4)
    Ar3O=910-310C-80Mn-20Cu-55Ni-15Cr-80Mo+0.35(t-8)
    式(5)
    6780/(2.26-log(Nb(C+12N/14)))-293≦T≦6780/(2.26-log(Nb(C+12N/14)))-223
    ここで、上記式(4)中のtは管厚(mm)であり、上記式(1)~(5)及び上記Ca/O中の元素記号は、前記成分組成における各元素の含有量(質量%)を表し、該元素が含有されていない場合には0とする。
  2. 前記成分組成が、Cu:0.50%以下、Ni:1.00%以下、Cr:0.50%以下、及びV:0.060%以下からなる群から選ばれる1種以上をさらに含有する、請求項に記載の耐サワーラインパイプ用溶接鋼管の製造方法。
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