以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(インバータ回路,トランスの個数が2個(N=2)の場合の例)
2.第2の実施の形態(整流素子をローサイドに配置した場合の例)
3.第2の実施の形態の変形例
変形例1(インバータ回路,トランスの個数が3個(N=3)の場合の例)
変形例2(インバータ回路,トランスの個数が4個(N=4)の場合の例)
4.その他の変形例
<1.第1の実施の形態>
[構成]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るスイッチング電源装置(スイッチング電源装置1)の概略構成例を、回路図で表したものである。このスイッチング電源装置1は、バッテリ10(第1のバッテリ)から供給される直流入力電圧Vinを直流出力電圧Voutに電圧変換し、図示しない第2のバッテリに供給して負荷9を駆動する、DC-DCコンバータとして機能するものである。ここで、スイッチング電源装置1における電圧変換の態様としては、アップコンバート(昇圧)およびダウンコンバート(降圧)のいずれであってもよい。なお、直流入力電圧Vinは、本発明における「入力電圧」の一具体例に対応し、直流出力電圧Voutは、本発明における「出力電圧」の一具体例に対応している。
スイッチング電源装置1は、2つの入力端子T1,T2と、2つの出力端子T3,T4と、入力平滑コンデンサCinと、後述する2つのインバータ回路21,22を含むインバータ回路2と、2つのトランス31,32と、整流平滑回路4と、駆動回路5とを備えている。入力端子T1,T2間には直流入力電圧Vinが入力され、出力端子T3,T4の間からは直流出力電圧Voutが出力されるようになっている。なお、入力端子T1,T2は、本発明における「入力端子対」の一具体例に対応し、出力端子T3,T4は、本発明における「出力端子対」の一具体例に対応している。
入力平滑コンデンサCinは、入力端子T1に接続された1次側高圧ラインL1Hと、入力端子T2に接続された1次側低圧ラインL1Lとの間に配置されている。具体的には、後述するインバータ回路2と入力端子T1,T2との間の位置において、入力平滑コンデンサCinの第1端が1次側高圧ラインL1Hに接続されると共に、入力平滑コンデンサCinの第2端が1次側低圧ラインL1Lに接続されている。この入力平滑コンデンサCinは、入力端子T1,T2から入力された直流入力電圧Vinを平滑化するためのコンデンサである。なお、図1に示した回路構成例では、後述するインバータ回路2内の2つのコンデンサC51,C52もそれぞれ、入力平滑コンデンサとして機能することから、この入力平滑コンデンサCinを設けないようにしてもよい。
(インバータ回路2)
インバータ回路2は、入力端子T1,T2と、後述するトランス31,32における1次側巻線311,321との間に、配置されている。このインバータ回路2は、4つのスイッチング素子S1~S4と、2つのコンデンサC51,C52とを有している。また、インバータ回路2は、2つのスイッチング素子S3,S4および2つのコンデンサC51,C52を含むインバータ回路21と、2つのスイッチング素子S1,S2および2つのコンデンサC51,C52を含むインバータ回路22と、を有している。つまり、インバータ回路21は、2個のスイッチング素子S3,S4と2個のコンデンサC51,C52とを含む、ハーフブリッジ回路により構成されている。また、インバータ回路22は、2個のスイッチング素子S1,S2と2個のコンデンサC51,C52とを含む、ハーフブリッジ回路により構成されている。このような2つのインバータ回路21,22は、上記した入力端子T1,T2と1次側巻線311,321との間において、互いに並列配置されている。
インバータ回路21では、スイッチング素子S3,S4の第1端同士が、接続点P2において互いに接続され、コンデンサC51,C52の第1端同士が、接続点P3において互いに接続されている。また、スイッチング素子S3およびコンデンサC51の第2端第2端同士が、1次側高圧ラインL1H上において互いに接続され、スイッチング素子S4およびコンデンサC52の第2端同士が、1次側低圧ラインL1L上において互いに接続されている。なお、接続点P2,P3間には、後述するトランス31の1次側巻線311が挿入配置されている。このような構成によりインバータ回路21では、後述する駆動回路5から供給される駆動信号SG3,SG4に従って各スイッチング素子S3,S4がオン・オフ動作を行うことで、以下のようになる。すなわち、入力端子T1,T2間に印加される直流入力電圧Vinを交流電圧(電圧Va)に変換して、トランス31(1次側巻線311)へと出力するようになっている。
インバータ回路22では、スイッチング素子S1,S2の第1端同士が、接続点P1において互いに接続され、コンデンサC51,C52の第1端同士が、接続点P3において互いに接続されている。また、スイッチング素子S1およびコンデンサC51の第2端同士が、1次側高圧ラインL1H上において互いに接続され、スイッチング素子S2およびコンデンサC52の第2端同士が、1次側低圧ラインL1L上において互いに接続されている。なお、接続点P1,P3間には、後述するトランス32の1次側巻線321が挿入配置されている。このような構成によりインバータ回路22では、後述する駆動回路5から供給される駆動信号SG1,SG2に従って各スイッチング素子S1,S2がオン・オフ動作を行うことで、以下のようになる。すなわち、直流入力電圧Vinを交流電圧(電圧Vb)に変換して、トランス32(1次側巻線321)へ出力するようになっている。
なお、スイッチング素子S1~S4としては、例えば電界効果型トランジスタ(MOS-FET;Metal Oxide Semiconductor-Field Effect Transistor)やIGBT(Insulated Gate Bipolor Transistor)などのスイッチ素子が用いられる。スイッチング素子S1~S4としてMOS―FETを用いた場合には、各スイッチング素子S1~S4に並列接続されるコンデンサおよびダイオード(図示せず)をそれぞれ、このMOS―FETの寄生容量または寄生ダイオードから構成することが可能である。また、このようなコンデンサをそれぞれ、ダイオードの接合容量で構成することも可能である。このように構成した場合、スイッチング素子S1~S4とは別個にコンデンサやダイオードを設ける必要がなくなり、インバータ回路21,22の回路構成を簡素化することが可能となる。
(トランス31,32)
トランス31は、1次側巻線311および2次側巻線312を有しており、2次側巻線312は、2つの2次側巻線312a,312bにより構成されている。1次側巻線311は、第1端が接続点P2に接続され、第2端が接続点P3に接続されている。2次側巻線312aでは、第1端が後述する整流平滑回路4内の接続点P40に接続され、第2端が整流平滑回路4内の接続点P42に接続されている。また、2次側巻線312bでは、第1端が整流平滑回路4内の接続点P40に接続され、第2端が整流平滑回路4内の接続点P44に接続されている。このトランス31は、インバータ回路21によって生成された交流電圧(トランス31の1次側巻線311に入力される電圧Va)を電圧変換し、2次側巻線312(312a,312b)の端部から交流電圧を出力するようになっている。なお、この場合の電圧変換の度合いは、1次側巻線311と2次側巻線312(312a,312b)との巻数比によって定まる。
トランス32は、1次側巻線321および2次側巻線322を有しており、2次側巻線322は、2つの2次側巻線322a,322bにより構成されている。1次側巻線321では、第1端が接続点P1に接続され、第2端が接続点P3に接続されている。2次側巻線322aでは、第1端が後述する整流平滑回路4内の接続点P41に接続され、第2端が出力ラインLOに接続されている。また、2次側巻線322bでは、第1端が整流平滑回路4内の接続点P43に接続され、第2端が接地ラインLGに接続されている。2次側巻線322では、第1端が後述する整流平滑回路4内の接続点P43に接続され、第2端が接地ラインLGに接続されている。このトランス32は、インバータ回路22によって生成された交流電圧(トランス32の1次側巻線321に入力される電圧Vb)を電圧変換し、2次側巻線322(322a,322b)の端部から交流電圧を出力するようになっている。なお、この場合の電圧変換の度合いも、1次側巻線321と2次側巻線322(322a,322b)との巻数比によって定まる。
(整流平滑回路4)
整流平滑回路4は、トランス31,32における2次側巻線312,322と、出力端子T3,T4との間に配置されている。この整流平滑回路4は、6個の整流ダイオード411,412,421,422,431,432と、1個のチョークコイルLchと、1個の出力平滑コンデンサCoutとを有しており、いわゆる「センタタップ型」の整流平滑回路となっている。また、この整流平滑回路4では、整流ダイオードの個数が、上記したように6個(={2×(2+1)}個)となっている。
なお、整流ダイオード411,412,421,422,431,432はそれぞれ、本発明における「整流素子」の一具体例に対応している。また、出力平滑コンデンサCoutは、本発明における「容量素子」の一具体例に対応している。
この整流平滑回路4では、前述した2次側巻線312,322aの第1端同士の接続点(接続点P40)が、チョークコイルLchを介して、出力ラインLO上の接続点P6に接続されている。また、この出力ラインLOは出力端子T3に接続されているとともに、出力端子T4は接地ラインLGに接続されている。そして、これらの出力ラインLOと接地ラインLGとの間(出力端子T3,T4の間)には、出力平滑コンデンサCoutが接続されている。
整流平滑回路4ではまた、整流ダイオード411,421のアノード同士が、接続点P41において2次側巻線322aの第1端に接続され、整流ダイオード412,422のアノード同士が、接続点P43において2次側巻線322bの第1端に接続されている。整流ダイオード411のカソードは、接続点P42において2次側巻線312aの第2端に接続され、整流ダイオード421のカソードは、上記した接続点P40に接続されている。整流ダイオード412のカソードは、接続点P44において2次側巻線312bの第2端に接続され、整流ダイオード422のカソードは、上記した接続点P40に接続されている。なお、2次側巻線322a,322bの第2端はそれぞれ、接地ラインLGに接続されている。また、整流ダイオード431のカソードは、上記した接続点P42に接続され、整流ダイオード432のカソードは、上記した接続点P44に接続され、これら整流ダイオード431,432のアノードはそれぞれ、接地ラインLGに接続されている。
このようにして整流平滑回路4では、直流出力電圧Voutの出力ラインLOと接地(接地ラインLG)との間の複数の経路上にそれぞれ、整流ダイオード411,412,421,422,431,432が、個別に1段ずつ配置(直列配置ではなく、並列配置)されている。また、これら複数の経路上ではそれぞれ、整流ダイオードと2次側巻線とが、互いに直列配置されている。具体的には、整流ダイオード411と2次側巻線312a,322aとが互いに直列配置され、整流ダイオード421と2次側巻線322aとが互いに直列配置され、整流ダイオード431と2次側巻線312aとが互いに直列配置されている。また、整流ダイオード412と2次側巻線312b,322bとが互いに直列配置され、整流ダイオード422と2次側巻線322bとが互いに直列配置され、整流ダイオード432と2次側巻線312bとが互いに直列配置されている。したがって、これら複数の経路のうちの一部の経路上では、N個の2次側巻線(この例では、2個の2次側巻線312a,322aまたは2個の2次側巻線312b,322b)が、互いに直列配置されている。
このような構成の整流平滑回路4では、整流ダイオード411,412,421,422,431,432により構成される整流回路において、トランス31,32から出力される交流電圧を整流して出力するようになっている。また、チョークコイルLchおよび出力平滑コンデンサCoutにより構成される平滑回路において、上記整流回路によって整流された電圧を平滑化することで、直流出力電圧Voutを生成するようになっている。なお、このようにして生成された直流出力電圧Voutは、出力端子T3,T4から前述した第2のバッテリ(図示せず)に出力され、給電されるようになっている。
(駆動回路5)
駆動回路5は、インバータ回路21,22内のスイッチング素子S1~S4の動作をそれぞれ制御する、スイッチング駆動を行う回路である。具体的には、駆動回路5は、スイッチング素子S1~S4に対してそれぞれ駆動信号SG1~SG4を供給することで、各スイッチング素子S1~S4のオン・オフ動作を制御するようになっている。
ここで、このような駆動回路5は、例えば、2個のインバータ回路21,22同士が位相差を持って動作するように、スイッチング駆動を行う。換言すると、この駆動回路5は、例えば、スイッチング素子S1~S4に対してスイッチング位相制御を行い、上記位相差を適切に設定することで、直流出力電圧Voutを安定化させるようになっている。あるいは、この駆動回路5は、2個のインバータ回路21,22(4個のスイッチング素子S1~S4)に対して、PWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)制御を行うようにしてもよい。
駆動回路5によって、このようなスイッチング駆動が行われることで、スイッチング電源装置1における整流平滑回路4内の平滑回路への入力電圧(後述する電圧Vd)が、複数レベル(複数段階)に設定されるようになっている(マルチレベル出力)。この際に駆動回路5は、2個のインバータ回路21,22から、2個のトランス31,32における1次側巻線311,321に対してそれぞれ、所定のパルス電圧または所定の電圧値が印加されるように、スイッチング駆動を行う。このようなスイッチング駆動がなされることで、2個のトランス31,32および6個の整流ダイオード411,412,421,422,431,432を用いて、上記した電圧Vdが複数レベルに設定されるようになっている。
なお、このような駆動回路5は、本発明における「駆動部」の一具体例に対応している。
[動作および作用・効果]
(A.基本動作)
このスイッチング電源装置1では、インバータ回路2(21,22)において、入力端子T1,T2から供給される直流入力電圧Vinがスイッチングされることで、交流電圧(電圧Va,Vb)が生成される。この交流電圧は、トランス31,32における1次側巻線311,321へ供給される。そして、トランス31,32では、この交流電圧が変圧されることで、2次側巻線312(312a,312b),322(322a,322b)から、変圧された交流電圧が出力される。
整流平滑回路4では、トランス31,32から出力された交流電圧(変圧された交流電圧)が、整流ダイオード411,412,421,422,431,432によって整流された後、チョークコイルLchおよび出力平滑コンデンサCoutによって平滑化される。これにより、出力端子T3,T4から直流出力電圧Voutが出力される。そして、この直流出力電圧Voutは、図示しない第2のバッテリに給電されて、その充電に供されるとともに、負荷9が駆動される。
(B.詳細動作)
続いて、図1に加えて図2~図9を参照して、スイッチング電源装置1の詳細動作について、比較例1(図2,図3,図9)と比較しつつ説明する。
(B-1.比較例1の構成)
図2は、比較例1に係るスイッチング電源装置(スイッチング電源装置100)の概略構成例を、回路図で表したものである。この比較例1のスイッチング電源装置100は、図1に示した本実施の形態のスイッチング電源装置1において、整流平滑回路4の代わりに整流平滑回路104を設けるようにしたものに対応しており、他の構成は基本的に同様となっている。
整流平滑回路104は、前述したセンタタップ型の整流平滑回路4とは異なり、以下説明する複数本(この例では3本)のアームを有する、整流平滑回路となっている。この整流平滑回路104は、6個の整流ダイオード411,412,421,422,431,432と、1個のチョークコイルLchと、1個の出力平滑コンデンサCoutとを有している。
この整流平滑回路104では、同じ向きで互いに直列配置された2個ずつの整流ダイオードによって、3本のアームが形成されている。換言すると、整流平滑回路104では、前述した整流平滑回路4とは異なり、以下説明するように、出力ラインLOと接地ラインLGとの間の複数(3本)の経路上にそれぞれ、整流ダイオードが個別に2段ずつ配置(2個の整流ダイオードが互いに直列配置)されている。
具体的には、整流ダイオード411,412によって第1のアームが形成され、整流ダイオード421,422によって第2のアームが形成され、整流ダイオード431,432によって第3のアームが形成されている。また、これら第1~第3のアームは、出力端子T3,T4間において互いに並列配置されている。具体的には、第1~第3のアームの第1端同士の接続点(接続点Px)が、チョークコイルLchおよび出力ラインLOを介して出力端子T3に接続され、第1~第3のアームの第2端同士の接続点が、出力端子T4から延伸する接地ラインLGに接続されている。
第1のアームでは、整流ダイオード411,412のカソードがそれぞれ、この第1のアームの上記第1端側に配置されていると共に、整流ダイオード411,412のアノードがそれぞれ、この第1のアームの上記第2端側に配置されている。具体的には、整流ダイオード411のカソードが接続点Pxに接続され、整流ダイオード411のアノードと整流ダイオード412のカソードとが接続点P7において互いに接続され、整流ダイオード412のアノードが接地ラインLGに接続されている。
同様に、第2のアームでは、整流ダイオード421,422のカソードがそれぞれ、この第2のアームの上記第1端側に配置されていると共に、整流ダイオード421,422のアノードがそれぞれ、この第2のアームの上記第2端側に配置されている。具体的には、整流ダイオード421のカソードが接続点Pxに接続され、整流ダイオード421のアノードと整流ダイオード422のカソードとが接続点P8において互いに接続され、整流ダイオード422のアノードが接地ラインLGに接続されている。
同様に、第3のアームでは、整流ダイオード431,432のカソードがそれぞれ、この第3のアームの上記第1端側に配置されていると共に、整流ダイオード431,432のアノードがそれぞれ、この第3のアームの上記第2端側に配置されている。具体的には、整流ダイオード431のカソードが接続点Pxに接続され、整流ダイオード431のアノードと整流ダイオード432のカソードとが接続点P9において互いに接続され、整流ダイオード432のアノードが接地ラインLGに接続されている。
また、これら第1~第3のアームのうちの互いに隣接するアーム同士の間にはそれぞれ、トランス31,32における2次側巻線312,322が、個別にHブリッジ接続されている。具体的には、互いに隣接する第1のアームと第2のアームとの間に、トランス31の2次側巻線312がHブリッジ接続されている。また、互いに隣接する第2のアームと第3のアームとの間に、トランス32の2次側巻線322がHブリッジ接続されている。より具体的には、第1のアーム上の接続点P7と第2のアーム上の接続点P8との間に、2次側巻線312が挿入配置されていると共に、第2のアーム上の接続点P8と第3のアーム上の接続点P9との間に、2次側巻線322が挿入配置されている。
このような第1~第3のアームと出力平滑コンデンサCoutとの間には、チョークコイルLchが配置されている。具体的には、これら第1~第3のアームにおける上記第1端同士の接続点(接続点Px)と、出力平滑コンデンサCoutの第1端との間には、出力ラインLOを介してチョークコイルLchが挿入配置されている。また、第1~第3のアームにおける上記第2端同士の接続点は、接地ラインLG上において、出力平滑コンデンサCoutの第2端に接続されている。
このような構成の整流平滑回路104では、整流ダイオード411,412,421,422,431,432により構成される整流回路において、トランス31,32から出力される交流電圧を整流して出力するようになっている。また、チョークコイルLchおよび出力平滑コンデンサCoutにより構成される平滑回路において、上記整流回路によって整流された電圧を平滑化することで、直流出力電圧Voutを生成するようになっている。
ここで、図3,図4はそれぞれ、このような比較例1のスイッチング電源装置100および実施の形態のスイッチング電源装置1における各部の電圧波形を、タイミング波形図で表したものである。なお、これらの図3,図4に示した各電圧波形は、前述したスイッチング位相制御およびPMW制御のうち、スイッチング位相制御が各スイッチング素子S1~S4に対して行われた場合の例について、示している。
これらの図3,図4において、図3(A),図4(A)は、前述した駆動信号SG1,SG2の各電圧波形を示し、図3(B),図4(B)は、前述した駆動信号SG3,SG4の各電圧波形を示している。なお、各駆動信号SG1~SG2がH(ハイ)状態を示す期間において、各スイッチング素子S1~S4がオン(ON)状態となり、L(ロー)状態を示す期間において、オフ(OFF)状態となるものとし、以下同様である。また、図3(C),図4(C)は、前述した1次側巻線311に印加される交流電圧(電圧Va)の電圧波形を示し、図3(D),図4(D)は、前述した1次側巻線321に印加される交流電圧(電圧Vb)の電圧波形を示している。図3(E),図4(E)は、チョークコイルLchの手前の地点での電圧Vd(図1,図2参照)を示している。なお、図3,図4における横軸は、時間tを示しており、各電圧の方向は、図1,図2中において矢印で示した方向を正方向としている。
また、図5~図8はそれぞれ、図4中に示した各タイミング(タイミングt0~t4)の間におけるスイッチング電源装置1の動作状態を、回路図で模式的に表したものである。具体的には、図5は、タイミングt0~t1の期間における動作状態を示し、図6は、タイミングt1~t2の期間における動作状態を示し、図7は、タイミングt2~t3の期間における動作状態を示し、図8は、タイミングt3~t4(=t0)の期間における動作状態を示している。
ここで、図4に示した本実施の形態での動作例は、タイミングt0~t2(前半の半周期分)の動作例と、タイミングt2~t4(後半の半周期分)の動作例とを合わせて、1周期分の動作例となっている。同様に、図3に示した比較例1での動作例も、タイミングt100~t102(前半の半周期分)の動作例と、タイミングt102~t104(=t100)(後半の半周期分)の動作例とを合わせて、1周期分の動作例となっている。なお、タイミングt100~t104はそれぞれ、タイミングt0~t4に相当するタイミングとなっている(図3,図4参照)。
(B-2.本実施の形態の詳細動作)
スイッチング素子S1~S4の駆動信号SG1~SG4(図4(A),(B))についてみると、以下のようになっている。すなわち、これらスイッチング素子S1~S4は、スイッチング動作のいかなる状態においても、直流入力電圧Vinが印加された入力端子T1,T2が電気的に短絡されない組み合わせおよびタイミングで駆動される。具体的には、スイッチング素子S3,S4同士は、同時にオンとなることはなく、また、スイッチング素子S1,S2同士も、同時にオンとなることはない。これらが同時にオンとなるのを回避するためにとられる時間的間隔は、「デッドタイム」と称される。また、2個のインバータ回路21,22同士は(スイッチング素子S1,S2とスイッチング素子S3,S4とは)、例えば図4中に示したように、所定の位相差を持って動作する。つまり、駆動回路5は、これらのスイッチング素子S1~S4に対し、前述したようにスイッチング位相制御を行うようになっている。
(タイミングt0~t1の期間)
まず、図5に示したタイミングt0~t1の期間では、スイッチング素子S1,S3がオン状態になっていると共に、スイッチング素子S2,S4がオフ状態となっている(図4(A),(B)参照)。ちなみに、比較例1においても、対応するタイミングt100~t101の期間において、スイッチング素子S1,S3がオン状態となると共に、スイッチング素子S2,S4がオフ状態となる(図3(A),(B)参照)。
この際に、トランス31,32の1次側(インバータ回路21,22)では、以下のような電流I1が流れる。すなわち、スイッチング素子S1、1次側巻線321およびコンデンサC51をそれぞれ、この順に経由して流れるとともに、スイッチング素子S3、1次側巻線311およびコンデンサC51をそれぞれ、この順に経由して流れる。
一方、トランス31,32の2次側(整流平滑回路4)では、以下のような電流I2aが流れる。すなわち、2次側巻線322b、整流ダイオード412、2次側巻線312bおよびチョークコイルLchをそれぞれ、この順に経由する電流I2aが流れる。
(タイミングt1~t2の期間)
次に、図6に示したタイミングt1~t2の期間では、スイッチング素子S1,S4がオン状態になっていると共に、スイッチング素子S2,S3がオフ状態となっている(図4(A),(B)参照)。ちなみに、比較例1においても、対応するタイミングt101~t102の期間において、スイッチング素子S1,S4がオン状態となると共に、スイッチング素子S2,S3がオフ状態となる(図3(A),(B)参照)。
この際に、トランス31,32の1次側では、以下のような電流I1が流れる。すなわち、スイッチング素子S1、1次側巻線321、1次側巻線311およびスイッチング素子S4をそれぞれ、この順に経由して流れる。
一方、トランス31,32の2次側では、以下のような電流I2bが流れる。すなわち、2次側巻線322b、整流ダイオード422およびチョークコイルLchをそれぞれ、この順に経由するとともに、整流ダイオード431、2次側巻線312aおよびチョークコイルLchをそれぞれ、この順に経由する電流I2bが流れる。
(タイミングt2~t3の期間)
続いて、図7に示したタイミングt2~t3の期間では、スイッチング素子S2,S4がオン状態になっていると共に、スイッチング素子S1,S4がオフ状態となっている(図4(A),(B)参照)。ちなみに、比較例1においても、対応するタイミングt102~t103の期間において、スイッチング素子S2,S4がオン状態となると共に、スイッチング素子S1,S3がオフ状態となる(図3(A),(B)参照)。
この際に、トランス31,32の1次側では、以下のような電流I1が流れる。すなわち、1次側巻線321、スイッチング素子S2およびコンデンサC52をそれぞれ、この順に経由して流れるとともに、スイッチング素子S4、コンデンサC52および1次側巻線311をそれぞれ、この順に経由して流れる。
一方、トランス31,32の2次側では、以下のような電流I2cが流れる。すなわち、2次側巻線322a、整流ダイオード411、2次側巻線312aおよびチョークコイルLchをそれぞれ、この順に経由する電流I2cが流れる。
(タイミングt3~t4の期間)
次に、図8に示したタイミングt3~t4の期間では、スイッチング素子S2,S3がオン状態になっていると共に、スイッチング素子S1,S4がオフ状態となっている(図4(A),(B)参照)。ちなみに、比較例1においても、対応するタイミングt103~t104の期間において、スイッチング素子S2,S3がオン状態となると共に、スイッチング素子S1,S4がオフ状態となる(図3(A),(B)参照)。
この際に、トランス31,32の1次側では、以下のような電流I1が流れる。すなわち、スイッチング素子S3、1次側巻線311、1次側巻線321およびスイッチング素子S2をそれぞれ、この順に経由して流れる。
一方、トランス31,32の2次側では、以下のような電流I2dが流れる。すなわち、2次側巻線322a、整流ダイオード421およびチョークコイルLchをそれぞれ、この順に経由するとともに、整流ダイオード432、2次側巻線312bおよびチョークコイルLchをそれぞれ、この順に経由する電流I2dが流れる。
以上で、図4~図8に示した一連の動作(タイミングt0~t4の各期間での動作)の説明が、終了となる。
(C.作用・効果)
このようにして本実施の形態のスイッチング電源装置1では、図1に示した回路構成となっていると共に、図4~図8に示した動作がなされることで、例えば前述した比較例1(図2,図3)の場合と比べ、以下の作用・効果が得られる。
(C-1.比較例1の動作)
すなわち、まず、この比較例1のスイッチング電源装置100では、図2に示した回路構成となっていると共に、図3に示した動作がなされることで、前述した電圧Vd(平滑回路への入力電圧)の大きさが制御され、複数レベルに設定されるようになっている。ちなみに、この比較例1では後述する本実施の形態と同様に、電圧Vdが3段階のレベル(3レベル)に設定されている(図3(E)中に示した、電圧V0,V1,V2の3レベルを参照)。
具体的には、比較例1における駆動回路5は、2個のインバータ回路21,22同士が所定の位相差を持って動作するように、スイッチング駆動を行う。そして、この際に駆動回路5は、2個のトランス31,32に含まれる2次側巻線312,322同士の接続状態が切り替わる(所定の時比率にて切り替わる)ようにスイッチング駆動を行うことで、直流出力電圧Voutの大きさを制御する。
ここで、図9(A)~図9(C)に示した模式図を参照して、比較例1での上記した接続状態の切り替わりによる直流出力電圧Voutの制御について、詳細に説明する。
この比較例1における駆動回路5は、2次側巻線312,322同士の接続状態が、2並列接続状態(図9(B)参照)と2直列接続状態(図9(C)参照)との間で切り替わるように、各インバータ回路21,22に対するスイッチング駆動を行う。換言すると、2つのトランス31,32の出力同士が同一位相のときと反対位相のときとで、このような2並列接続状態あるいは2直列接続状態を切り替えていることになる。
なお、2並列接続状態では、図9(B)中に示したように、2次側巻線312,322にはそれぞれ、実線または破線にて示した組合せの方向にて、電流I2p1,I2p2が互いに並列的に流れる。具体的には、図9(A)に示した整流平滑回路104の構成を参照すると、実線で示した電流I2p1は、整流ダイオード412、2次側巻線312および整流ダイオード421をそれぞれ、この順序で経由するように流れる。また、破線で示した電流I2p1は、整流ダイオード422、2次側巻線312および整流ダイオード411をそれぞれ、この順序で経由するように流れる。同様に、実線で示した電流I2p2は、整流ダイオード432、2次側巻線322および整流ダイオード421をそれぞれ、この順序で経由するように流れる。また、破線で示した電流I2p2は、整流ダイオード422、2次側巻線322および整流ダイオード431をそれぞれ、この順序で経由するように流れる。
一方、2直列接続状態では、図9(C)中に示したように、2次側巻線312,322にはそれぞれ、実線または破線にて示した組合せの方向にて、電流I2sが直列的に流れる。具体的には、図9(A)に示した整流平滑回路104の構成を参照すると、実線で示した電流I2sは、整流ダイオード412、2次側巻線312、2次側巻線322および整流ダイオード431をそれぞれ、この順序で経由するように流れる。また、破線で示した電流I2sは、整流ダイオード432、2次側巻線322、2次側巻線312および整流ダイオード411をそれぞれ、この順序で経由するように流れる。
このようにして、比較例1のスイッチング電源装置100では、2個のトランス31,32に含まれる2次側巻線312,322同士の接続状態を切り替えることで、前述した電圧Vdの大きさが制御され、複数レベル(3レベル)に設定されることになる。
(C-2.本実施の形態の作用・効果)
これに対して本実施の形態のスイッチング電源装置1では、まず、整流平滑回路4において、出力ラインLOと接地ラインLGとの間の複数の経路上にそれぞれ、整流ダイオード411,412,421,422,431,432が、個別に1段ずつ配置されている。そして、駆動回路5は、インバータ回路2(21,22)に対して前述したスイッチング駆動を行うことにより、2個のトランス31,32および6個の整流ダイオード411,412,421,422,431,432を用いて、前述した電圧Vdを複数のレベルに設定する。
このような回路構成および動作(スイッチング駆動)により、本実施の形態のスイッチング電源装置1では、上記したように、電圧Vdが複数段階のレベルに設定される(マルチレベル出力)。具体的には、本実施の形態では、電圧Vdが、0レベル(図4(E)中に示した電圧V0)から1レベル(同図中の電圧V1)、2レベル(同図中の電圧V2)までの3段階のレベル(電圧V0,V1,V2の3レベル)に設定される。
ここで、前述した比較例1のスイッチング電源装置100(図2,図3,図9参照)では、電圧Vdを上記した複数段階のレベルに設定するうえで、整流平滑回路104が、前述した3本のアームと、6個の整流ダイオード411,412,421,422,431,432とを含む、回路構成となっている。そして、この比較例1の整流平滑回路104では、前述したように、出力ラインLOと接地ラインLGとの間の複数(3本)の経路上にそれぞれ、整流ダイオードが個別に2段ずつ配置されている。このようにして、整流平滑回路104内の整流ダイオードがそれぞれ、2段構成となっていることから、これらの整流ダイオードでの導通損失が増大する結果、この比較例1のスイッチング電源装置100では、電力変換効率が低下してしまうおそれがある。
これに対して本実施の形態のスイッチング電源装置1では、電圧Vdを上記した複数段階のレベルに設定するうえで、整流平滑回路4が以下のような構成となっている。すなわち、この整流平滑回路4では、出力ラインLOと接地ラインLGとの間の複数の経路上にそれぞれ、整流ダイオード411,412,421,422,431,432が、個別に1段ずつ配置されている。このようにして、整流平滑回路4内の整流ダイオードがそれぞれ、1段構成となっていることから、本実施の形態では上記比較例1の場合と比べ、整流ダイオードでの導通損失が抑えられる。
以上のようにして本実施の形態では、スイッチング電源装置1が図1に示した回路構成となっていると共に、図4~図8に示した動作がなされるようにしたので、例えば比較例1の場合と比べ、整流ダイオードでの導通損失を抑えることができる。その結果、本実施の形態では比較例1等と比べ、スイッチング電源装置1における電力変換効率を向上させることが可能となる。
<3.第2の実施の形態>
続いて、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、以下では、第1の実施の形態における構成要素と同一のものには同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
[構成]
図10は、第2の実施の形態に係るスイッチング電源装置(スイッチング電源装置1A)の概略構成例を、回路図で表したものである。
本実施の形態のスイッチング電源装置1Aは、第1の実施の形態のスイッチング電源装置1(図1参照)において、以下のようにしたものとなっている。すなわち、このスイッチング電源装置1Aは、整流平滑回路4の代わりに整流平滑回路4Aを設けるようにしたものに対応しており、他の構成は基本的には同様となっている。なお、本実施の形態では、トランス31における2次側巻線312は、4つの2次側巻線312a,312b,312c,312dにより構成されており、トランス32における2次側巻線322は、4つの2次側巻線322a,322b,322c,322dにより構成されている。
(整流平滑回路4A)
整流平滑回路4Aは、整流平滑回路4(図1参照)において、6個の整流ダイオード411,412,421,422,431,432の配置位置等を変更したものに対応している。また、この整流平滑回路4Aも、前述した「センタタップ型」の整流平滑回路となっている。なお、整流平滑回路4AにおけるチョークコイルLchおよび出力平滑コンデンサCoutの配置位置はそれぞれ、整流平滑回路4における配置位置と同じであるため、説明を省略する。
この整流平滑回路4では、整流ダイオード411,421,431,412,422,432のアノード同士が、接地ラインLGに接続されている。整流ダイオード411のカソードは、2次側巻線312cを介して上記した接続点P40に接続され、整流ダイオード421のカソードは、2次側巻線322a,312aを介して接続点P40に接続され、整流ダイオード431のカソードは、2次側巻線322cを介して接続点P40に接続されている。また、整流ダイオード412のカソードは、2次側巻線312dを介して接続点P40に接続され、整流ダイオード422のカソードは、2次側巻線322b,312bを介して接続点P40に接続され、整流ダイオード432のカソードは、2次側巻線322dを介して接続点P40に接続されている。
このようにして、整流平滑回路4Aにおいても整流平滑回路4と同様に、出力ラインLOと接地ラインLGとの間の複数の経路上にそれぞれ、整流ダイオード411,412,421,422,431,432が、個別に1段ずつ配置されている。また、これら複数の経路上ではそれぞれ、整流ダイオードと2次側巻線とが、互いに直列配置されている。
具体的には、整流ダイオード411と2次側巻線312cとが互いに直列配置され、整流ダイオード421と2次側巻線322a,312aとが互いに直列配置され、整流ダイオード431と2次側巻線322cとが互いに直列配置されている。また、整流ダイオード412と2次側巻線312dとが互いに直列配置され、整流ダイオード422と2次側巻線322b,312bとが互いに直列配置され、整流ダイオード432と2次側巻線322dとが互いに直列配置されている。したがって、これら複数の経路のうちの一部の経路上では、N個の2次側巻線(この例では、2個の2次側巻線322a,312aまたは2個の2次側巻線322b,312b)が、互いに直列配置されている。
ただし、この整流平滑回路4Aでは整流平滑回路4とは異なり、上記した複数の経路上ではそれぞれ、整流ダイオードが2次側巻線と接地ラインLGとの間に配置されている(ローサイド配置:図10参照)。具体的には、整流ダイオード411が2次側巻線312cと接地ラインLGとの間に配置され、整流ダイオード421が2次側巻線312a,322aと接地ラインLGとの間に配置され、整流ダイオード431が2次側巻線322cと接地ラインLGとの間に配置されている。また、整流ダイオード412が2次側巻線312dと接地ラインLGとの間に配置され、整流ダイオード422が2次側巻線312b,322bと接地ラインLGとの間に配置され、整流ダイオード432が2次側巻線322dと接地ラインLGとの間に配置されている。
[動作および作用・効果]
(A.基本動作)
本実施の形態のスイッチング電源装置1Aにおいても、基本的には、第1の実施の形態のスイッチング電源装置1と同様にして、直流入力電圧Vinが電圧変換され、直流出力電圧Voutが生成される。
また、このスイッチング電源装置1Aにおいても、スイッチング電源装置1と同様にして、前述した電圧Vdが、複数段階のレベルに設定される(マルチレベル出力)。具体的には、本実施の形態においても第1の実施の形態と同様に、電圧Vdが、0レベル(電圧V0)から1レベル(電圧V1)、2レベル(電圧V2)までの、3段階のレベル(電圧V0,V1,V2の3レベル)に設定される。
(B.本実施の形態の詳細動作)
ここで、図11~図14はそれぞれ、第1の実施の形態で説明した、図4中に示した各タイミング(タイミングt0~t4)の間におけるスイッチング電源装置1Aの動作状態を、回路図で模式的に表したものである。具体的には、図11は、タイミングt0~t1の期間における動作状態を示し、図12は、タイミングt1~t2の期間における動作状態を示し、図13は、タイミングt2~t3の期間における動作状態を示し、図14は、タイミングt3~t4(=t0)の期間における動作状態を示している。
なお、本実施の形態のスイッチング電源装置1Aにおける、各部の電圧波形(タイミング波形図)は、図4で示した第1の実施の形態の場合と同様であるため、図示を省略する。
(タイミングt0~t1の期間)
まず、図11に示したタイミングt0~t1の期間では、スイッチング素子S1,S3がオン状態になっていると共に、スイッチング素子S2,S4がオフ状態となっている(図4(A),(B)参照)。
この際に、トランス31,32の1次側(インバータ回路21,22)では、以下のような電流I1が流れる。すなわち、第1の実施の形態(図5)と同様に、スイッチング素子S1、1次側巻線321およびコンデンサC51をそれぞれ、この順に経由して流れるとともに、スイッチング素子S3、1次側巻線311およびコンデンサC51をそれぞれ、この順に経由して流れる。
一方、トランス31,32の2次側(整流平滑回路4A)では、以下のような電流I2aが流れる。すなわち、整流ダイオード422、2次側巻線322b,312bおよびチョークコイルLchをそれぞれ、この順に経由する電流I2aが流れる。
(タイミングt1~t2の期間)
次に、図12に示したタイミングt1~t2の期間では、スイッチング素子S1,S4がオン状態になっていると共に、スイッチング素子S2,S3がオフ状態となっている(図4(A),(B)参照)。
この際に、トランス31,32の1次側では、第1の実施の形態(図6)と同様に、以下のような電流I1が流れる。すなわち、スイッチング素子S1、1次側巻線321、1次側巻線311およびスイッチング素子S4をそれぞれ、この順に経由して流れる。
一方、トランス31,32の2次側では、以下のような電流I2bが流れる。すなわち、整流ダイオード432、2次側巻線322dおよびチョークコイルLchをそれぞれ、この順に経由するとともに、整流ダイオード411、2次側巻線312cおよびチョークコイルLchをそれぞれ、この順に経由する電流I2bが流れる。
(タイミングt2~t3の期間)
続いて、図13に示したタイミングt2~t3の期間では、スイッチング素子S2,S4がオン状態になっていると共に、スイッチング素子S1,S4がオフ状態となっている(図4(A),(B)参照)。
この際に、トランス31,32の1次側では、第1の実施の形態(図7)と同様に、以下のような電流I1が流れる。すなわち、1次側巻線321、スイッチング素子S2およびコンデンサC52をそれぞれ、この順に経由して流れるとともに、スイッチング素子S4、コンデンサC52および1次側巻線311をそれぞれ、この順に経由して流れる。
一方、トランス31,32の2次側では、以下のような電流I2cが流れる。すなわち、整流ダイオード421、2次側巻線322a,312aおよびチョークコイルLchをそれぞれ、この順に経由する電流I2cが流れる。
(タイミングt3~t4の期間)
次に、図14に示したタイミングt3~t4の期間では、スイッチング素子S2,S3がオン状態になっていると共に、スイッチング素子S1,S4がオフ状態となっている(図4(A),(B)参照)。
この際に、トランス31,32の1次側では、第1の実施の形態(図8)と同様に、以下のような電流I1が流れる。すなわち、スイッチング素子S3、1次側巻線311、1次側巻線321およびスイッチング素子S2をそれぞれ、この順に経由して流れる。
一方、トランス31,32の2次側では、以下のような電流I2dが流れる。すなわち、整流ダイオード412、2次側巻線312dおよびチョークコイルLchをそれぞれ、この順に経由するとともに、整流ダイオード431、2次側巻線322cおよびチョークコイルLchをそれぞれ、この順に経由する電流I2dが流れる。
以上で、図11~図14に示した一連の動作(タイミングt0~t4の各期間での動作)の説明が、終了となる。
(C.作用・効果)
このようにして、本実施の形態のスイッチング電源装置1Aにおいても、図10に示した回路構成となっていると共に、図11~図14に示した動作がなされることで、例えば前述した比較例1の場合と比べ、以下の作用・効果が得られる。
すなわち、このスイッチング電源装置1Aにおいても、スイッチング電源装置1と同様に、電圧Vdを前述した複数段階のレベルに設定するうえで、整流平滑回路4Aが以下のような構成となっている。すなわち、この整流平滑回路4Aにおいても整流平滑回路4と同様に、出力ラインLOと接地ラインLGとの間の複数の経路上にそれぞれ、整流ダイオード411,412,421,422,431,432が、個別に1段ずつ配置されている。このようにして、整流平滑回路4A内の整流ダイオードがそれぞれ、1段構成となっていることから、本実施の形態においても、前述した比較例1の場合と比べ、整流ダイオードでの導通損失が抑えられる。
以上のようにして本実施の形態では、スイッチング電源装置1Aが図10に示した回路構成となっていると共に、図11~図14に示した動作がなされるようにしたので、例えば比較例1の場合と比べ、整流ダイオードでの導通損失を抑えることができる。その結果、本実施の形態においても比較例1等と比べ、スイッチング電源装置1Aにおける電力変換効率を向上させることが可能となる。
また、特に本実施の形態の整流平滑回路4Aでは、前述したように、上記した複数の経路上においてそれぞれ、整流ダイオードが2次側巻線と接地ラインLGとの間に配置されている(ローサイド配置)ようにしたので、例えば以下のような効果も得ることが可能となる。すなわち、整流平滑回路4A内における全ての整流ダイオード411,412,421,422,431,432をローサイド配置としたことで、例えば、第1の実施の形態(ハイサイド配置)の場合と比べ、いわゆる同期整流に好適な回路構成とすることができる。その結果、本実施の形態では、例えばそのような第1の実施の形態等と比べ、スイッチング電源装置1Aにおける低電圧化や大電流化などを、容易に実現することが可能となる。
<3.第2の実施の形態の変形例>
続いて、上記第2の実施の形態の変形例(変形例1,2)について説明する。なお、以下では、第1,第2の実施の形態における構成要素と同一のものには同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
[変形例1]
(構成)
図15は、変形例1(変形例1-1)に係るスイッチング電源装置(スイッチング電源装置1B1)の概略構成例を、回路図で表したものである。また、図16は、変形例1(変形例1-2)に係るスイッチング電源装置(スイッチング電源装置1B2)の概略構成例を、回路図で表したものである。
これらの変形例1-1,1-2のスイッチング電源装置1B1,1B2はいずれも、第2の実施の形態のスイッチング電源装置1Aにおいて、以下説明するように、インバータ回路およびトランスの個数をそれぞれ、3個の場合に適用したものとなっている。また、これらのスイッチング電源装置1B1,1B2ではそれぞれ、スイッチング電源装置1Aにおける整流平滑回路4Aの代わりに、以下説明する整流平滑回路4B1,4B2が設けられている。
具体的には、スイッチング電源装置1B1,1B2では、インバータ回路2(21,22)の代わりにインバータ回路2B(21,22,23)が設けられていると共に、2個のトランス31,32の代わりに3個のトランス(トランス31,32,33)が設けられている。
インバータ回路2Bでは、3個のインバータ回路21,22,23がいずれも、前述したハーフブリッジ回路となっている。なお、新たに追加されたインバータ回路23は、2個のスイッチング素子S5,S6(図示せず)と2個のコンデンサC51,C52とを含む、ハーフブリッジ回路となっている。したがって、これらの変形例1-1,1-2における駆動回路5は、図15,図16に示したように、インバータ回路2B内のスイッチング素子S1~S6に対してそれぞれ、駆動信号SG1~SG6を供給することで、各スイッチング素子S1~S6のオン・オフ動作を制御するようになっている。
トランス31,32,33では、1次側巻線311,321,331がそれぞれ、第2の実施の形態と同様にして、3個のインバータ回路21,22,23に対して個別に接続されている。また、2次側巻線312は、スイッチング電源装置1B1(図15)では、4つの2次側巻線312a,312b,312c,312dにより構成されており、スイッチング電源装置1B2(図16)では、2つの2次側巻線312a,312bにより構成されている。一方、2次側巻線322は、スイッチング電源装置1B1,1B2のいずれにおいても、4つの2次側巻線322a,322b,322c,322dにより構成されている。同様に、2次側巻線332は、スイッチング電源装置1B1,1B2のいずれにおいても、4つの2次側巻線332a,332b,332c,332dにより構成されている。
上記した整流平滑回路4B1,4B2のいずれも、前述した「センタタップ型」の整流平滑回路となっている。整流平滑回路4B1は、8個の整流ダイオード411,412,421,422,431,432,441,442と、1個のチョークコイルLchと、1個の出力平滑コンデンサCoutとを有している。一方、整流平滑回路4B2は、4個の整流ダイオード421,422,441,442と、1個のチョークコイルLchと、1個の出力平滑コンデンサCoutとを有している。つまり、整流平滑回路4B1では、整流ダイオードの個数が、8個(={2×(3+1)}個)となっており、整流平滑回路4B2では、整流ダイオードの個数が、4個となっている。
なお、上記した整流ダイオード441,442もそれぞれ、本発明における「整流素子」の一具体例に対応している。また、整流平滑回路4B1,4B2におけるチョークコイルLchおよび出力平滑コンデンサCoutの配置位置はそれぞれ、整流平滑回路4における配置位置と同じであるため、説明を省略する。
整流平滑回路4B1では、整流ダイオード411,421,431,412,422,432,441,442のアノード同士が、接地ラインLGに接続されている。整流ダイオード411のカソードは、2次側巻線312cを介して上記した接続点P40に接続され、整流ダイオード421のカソードは、2次側巻線332a,322a,312aを介して接続点P40に接続されている。整流ダイオード431のカソードは、2次側巻線322cを介して接続点P40に接続され、整流ダイオード441のカソードは、2次側巻線332cを介して接続点P40に接続されている。また、整流ダイオード412のカソードは、2次側巻線312dを介して接続点P40に接続され、整流ダイオード422のカソードは、2次側巻線332b,322b,312bを介して接続点P40に接続されている。整流ダイオード432のカソードは、2次側巻線322dを介して接続点P40に接続され、整流ダイオード442のカソードは、2次側巻線332dを介して接続点P40に接続されている。
整流平滑回路4B2では、整流ダイオード421,422,441,442のアノード同士が、接地ラインLGに接続されている。整流ダイオード421のカソードは、2次側巻線332a,322a,312aを介して上記した接続点P40に接続され、整流ダイオード441のカソードは、2次側巻線332c,322cを介して接続点P40に接続されている。また、整流ダイオード422のカソードは、2次側巻線332b,322b,312bを介して接続点P40に接続され、整流ダイオード442のカソードは、2次側巻線332d,322dを介して接続点P40に接続されている。
このようにして、整流平滑回路4B1,4B2においても整流平滑回路4,4Aと同様に、出力ラインLOと接地ラインLGとの間の複数の経路上にそれぞれ、複数の整流ダイオードが、個別に1段ずつ配置されている。また、これら複数の経路上ではそれぞれ、整流ダイオードと2次側巻線とが、互いに直列配置されている。
具体的には、整流平滑回路4B1では、以下のようになっている。すなわち、整流ダイオード411と2次側巻線312cとが互いに直列配置され、整流ダイオード421と2次側巻線332a,322a,312aとが互いに直列配置されている。整流ダイオード431と2次側巻線322cとが互いに直列配置され、整流ダイオード441と2次側巻線332cとが互いに直列配置されている。また、整流ダイオード412と2次側巻線312dとが互いに直列配置され、整流ダイオード422と2次側巻線332b,322b,312bとが互いに直列配置されている。整流ダイオード432と2次側巻線322dとが互いに直列配置され、整流ダイオード442と2次側巻線332dとが互いに直列配置されている。したがって、これら複数の経路のうちの一部の経路上では、N個の2次側巻線(この例では、3個の2次側巻線332a,322a,312aまたは3個の2次側巻線332b,322b,312b)が、互いに直列配置されている。
この整流平滑回路4B1ではまた、整流平滑回路4Aと同様に、上記した複数の経路上ではそれぞれ、整流ダイオードが2次側巻線と接地ラインLGとの間に配置されている(ローサイド配置:図15参照)。具体的には、整流ダイオード411が2次側巻線312cと接地ラインLGとの間に配置され、整流ダイオード421が2次側巻線312a,322a,332aと接地ラインLGとの間に配置されている。整流ダイオード431が2次側巻線322cと接地ラインLGとの間に配置され、整流ダイオード441が2次側巻線332cと接地ラインLGとの間に配置されている。また、整流ダイオード412が2次側巻線312dと接地ラインLGとの間に配置され、整流ダイオード422が2次側巻線312b,322b,332bと接地ラインLGとの間に配置されている。整流ダイオード432が2次側巻線322dと接地ラインLGとの間に配置され、整流ダイオード442が2次側巻線332dと接地ラインLGとの間に配置されている。
一方、整流平滑回路4B2では、以下のようになっている。すなわち、整流ダイオード421と2次側巻線332a,322a,312aとが互いに直列配置され、整流ダイオード441と2次側巻線332c,322cとが互いに直列配置されている。また、整流ダイオード422と2次側巻線332b,322b,312bとが互いに直列配置され、整流ダイオード442と2次側巻線332d,322dとが互いに直列配置されている。したがって、これら複数の経路のうちの一部の経路上においても、N個の2次側巻線(この例においても、3個の2次側巻線332a,322a,312aまたは3個の2次側巻線332b,322b,312b)が、互いに直列配置されている。
この整流平滑回路4B2ではまた、整流平滑回路4Aと同様に、上記した複数の経路上ではそれぞれ、整流ダイオードが2次側巻線と接地ラインLGとの間に配置されている(ローサイド配置:図16参照)。具体的には、整流ダイオード421が2次側巻線312a,322a,332aと接地ラインLGとの間に配置され、整流ダイオード441が2次側巻線322c,332cと接地ラインLGとの間に配置されている。また、整流ダイオード422が2次側巻線312b,322b,332bと接地ラインLGとの間に配置され、整流ダイオード442が2次側巻線322d,332dと接地ラインLGとの間に配置されている。
(動作および作用・効果)
これらのスイッチング電源装置1B1,1B2においても、基本的には、第1,第2の実施の形態のスイッチング電源装置1,1Aと同様にして、直流入力電圧Vinが電圧変換され、直流出力電圧Voutが生成される。また、これらのスイッチング電源装置1B1,1B2においても、スイッチング電源装置1,1Aと同様にして、整流平滑回路4B1,4B2内の平滑回路への入力電圧(後述する電圧Vch)が、複数段階のレベルに設定される(マルチレベル出力)。
図17,図18はそれぞれ、変形例1-1,1-2のスイッチング電源装置1B1,1B2における各部の電圧波形を、タイミング波形図で表したものである。なお、これらの図17,図18に示した各電圧波形は、前述したスイッチング位相制御およびPMW制御のうち、スイッチング位相制御が各スイッチング素子S1~S4に対して行われた場合の例について、示している。
これらの図17,図18において、図17(A),図18(A)は、駆動信号SG1,SG2の各電圧波形を示し、図17(B),図18(B)は、駆動信号SG3,SG4の各電圧波形を示し、図17(C),図18(C)は、駆動信号SG5,SG6の各電圧波形を示している。また、図17(D),図18(D)は、1次側巻線311に印加される交流電圧(電圧V11)の電圧波形を示し、図17(E),図18(E)は、1次側巻線321に印加される交流電圧(電圧V12)の電圧波形を示し、図17(F),図18(F)は、1次側巻線331に印加される交流電圧(電圧V13)の電圧波形を示している。図17(G),図18(G)は、チョークコイルLchの手前の地点での電圧Vch(図15,図16参照)を示している。なお、図17,図18における横軸は、時間tを示しており、各電圧の方向は、図15,図16中において矢印で示した方向を正方向としている。
ここで、このような変形例1-1,1-2のスイッチング電源装置1B1,1B2においても、スイッチング電源装置1,1Aと同様に、前述した電圧Vch(平滑回路への入力電圧)を前述した複数段階のレベルに設定するうえで、整流平滑回路4B1,4B2が、以下のような構成となっている。すなわち、整流平滑回路4B1,4B2においても整流平滑回路4,4Aと同様に、出力ラインLOと接地ラインLGとの間の複数の経路上にそれぞれ、複数の整流ダイオードが、個別に1段ずつ配置されている。このようにして、整流平滑回路4B1,4B2内の整流ダイオードがそれぞれ、1段構成となっていることから、変形例1-1,1-2においても、前述した比較例1の場合と比べ、整流ダイオードでの導通損失が抑えられる。その結果、これらの変形例1-1,1-2においても、比較例1等と比べ、スイッチング電源装置1B1,1B2における電力変換効率を向上させることが可能となる。
また、これらの変形例1-1,1-2においても、上記した複数の経路上においてそれぞれ、整流ダイオードが2次側巻線と接地ラインLGとの間に配置されている(ローサイド配置)ようにしたので、例えば以下のような効果も得ることが可能となる。すなわち、整流平滑回路4B1,4B2内における全ての整流ダイオードをローサイド配置としたことで、第2の実施の形態と同様に、同期整流に好適な回路構成とすることができる。その結果、スイッチング電源装置1B1,1B2における低電圧化や大電流化などを、容易に実現することが可能となる。
更に、特に変形例1-2においては、変形例1-1における整流平滑回路4B1の場合と比べ、整流平滑回路4B2に含まれる整流ダイオードの個数が(8個から4個に)削減されていることから、以下のようになる。すなわち、複数レベルの電圧Vch(平滑回路への入力電圧)を生成する際に、部品コストの抑制や装置の小型化を図ることができる。その結果、この変形例1-2では、複数レベルの電圧Vchを容易に生成することが可能となる。
[変形例2]
(構成)
図19は、変形例2(変形例2-1)に係るスイッチング電源装置(スイッチング電源装置1C1)の概略構成例を、回路図で表したものである。また、図20は、変形例2(変形例2-2)に係るスイッチング電源装置(スイッチング電源装置1C2)の概略構成例を、回路図で表したものである。
これらの変形例2-1,2-2のスイッチング電源装置1C1,1C2はいずれも、第2の実施の形態のスイッチング電源装置1Aにおいて、以下説明するように、インバータ回路およびトランスの個数をそれぞれ、4個の場合に適用したものとなっている。また、これらのスイッチング電源装置1C1,1C2ではそれぞれ、スイッチング電源装置1Aにおける整流平滑回路4Aの代わりに、以下説明する整流平滑回路4C1,4C2が設けられている。
具体的には、スイッチング電源装置1C1,1C2では、インバータ回路2(21,22)の代わりにインバータ回路2C(21,22,23,24)が設けられていると共に、2個のトランス31,32の代わりに4個のトランス(トランス31,32,33,34)が設けられている。
インバータ回路2Cでは、4個のインバータ回路21,22,23,24がいずれも、前述したハーフブリッジ回路となっている。なお、新たに追加されたインバータ回路24は、2個のスイッチング素子S7,S8(図示せず)と2個のコンデンサC51,C52とを含む、ハーフブリッジ回路となっている。したがって、これらの変形例2-1,2-2における駆動回路5は、図19,図20に示したように、インバータ回路2C内のスイッチング素子S1~S8に対してそれぞれ、駆動信号SG1~SG8を供給することで、各スイッチング素子S1~S8のオン・オフ動作を制御するようになっている。
トランス31,32,33,34では、1次側巻線311,321,331,341がそれぞれ、第2の実施の形態と同様にして、4個のインバータ回路21,22,23,24に対して個別に接続されている。また、スイッチング電源装置1C1(図19),1C2(図20)のいずれにおいても、各2次側巻線が、4つの2次側巻線により構成されている。具体的には、2次側巻線312は、4つの2次側巻線312a,312b,312c,312dにより構成され、2次側巻線322は、4つの2次側巻線322a,322b,322c,322dにより構成されている。同様に、2次側巻線332は、4つの2次側巻線332a,332b,332c,332dにより構成され、2次側巻線342は、4つの2次側巻線342a,342b,342c,342dにより構成されている。
上記した整流平滑回路4C1,4C2のいずれも、前述した「センタタップ型」の整流平滑回路となっている。整流平滑回路4C1は、10個の整流ダイオード411,412,421,422,431,432,441,442,451,452と、1個のチョークコイルLchと、1個の出力平滑コンデンサCoutとを有している。一方、整流平滑回路4C2は、6個の整流ダイオード411,412,421,422,451,452と、1個のチョークコイルLchと、1個の出力平滑コンデンサCoutとを有している。つまり、整流平滑回路4C1では、整流ダイオードの個数が、10個(={2×(4+1)}個)となっており、整流平滑回路4C2では、整流ダイオードの個数が、6個となっている。
なお、上記した整流ダイオード451,452もそれぞれ、本発明における「整流素子」の一具体例に対応している。また、整流平滑回路4C1,4C2におけるチョークコイルLchおよび出力平滑コンデンサCoutの配置位置はそれぞれ、整流平滑回路4における配置位置と同じであるため、説明を省略する。
整流平滑回路4C1では、整流ダイオード411,421,431,412,422,432,441,442,451,452のアノード同士が、接地ラインLGに接続されている。整流ダイオード411のカソードは、2次側巻線312cを介して上記した接続点P40に接続され、整流ダイオード421のカソードは、2次側巻線342a,332a,322a,312aを介して接続点P40に接続され、整流ダイオード431のカソードは、2次側巻線322cを介して接続点P40に接続されている。整流ダイオード441のカソードは、2次側巻線332cを介して接続点P40に接続され、整流ダイオード451のカソードは、2次側巻線342cを介して接続点P40に接続されている。また、整流ダイオード412のカソードは、2次側巻線312dを介して接続点P40に接続され、整流ダイオード422のカソードは、2次側巻線342b,332b,322b,312bを介して接続点P40に接続され、整流ダイオード432のカソードは、2次側巻線322dを介して接続点P40に接続されている。整流ダイオード442のカソードは、2次側巻線332dを介して接続点P40に接続され、整流ダイオード442のカソードは、2次側巻線332dを介して接続点P40に接続されている。
整流平滑回路4C2では、整流ダイオード411,412,421,422,451,452のアノード同士が、接地ラインLGに接続されている。整流ダイオード411のカソードは、2次側巻線312c,322cを介して上記した接続点P40に接続され、整流ダイオード421のカソードは、2次側巻線342a,332a,322a,312aを介して接続点P40に接続され、整流ダイオード451のカソードは、2次側巻線342c,332cを介して接続点P40に接続されている。また、整流ダイオード412のカソードは、2次側巻線312d,322dを介して接続点P40に接続され、整流ダイオード422のカソードは、2次側巻線342b,332b,322b,312bを介して接続点P40に接続され、整流ダイオード452のカソードは、2次側巻線342d,342dを介して接続点P40に接続されている。
このようにして、整流平滑回路4C1,4C2においても整流平滑回路4,4A,4B1,4B2と同様に、出力ラインLOと接地ラインLGとの間の複数の経路上にそれぞれ、複数の整流ダイオードが、個別に1段ずつ配置されている。また、これら複数の経路上ではそれぞれ、整流ダイオードと2次側巻線とが、互いに直列配置されている。
具体的には、整流平滑回路4C1では、以下のようになっている。すなわち、整流ダイオード411と2次側巻線312cとが互いに直列配置され、整流ダイオード421と2次側巻線342a,332a,322a,312aとが互いに直列配置され、整流ダイオード431と2次側巻線322cとが互いに直列配置されている。整流ダイオード441と2次側巻線332cとが互いに直列配置され、整流ダイオード451と2次側巻線342cとが互いに直列配置されている。また、整流ダイオード412と2次側巻線312dとが互いに直列配置され、整流ダイオード422と2次側巻線342b,332b,322b,312bとが互いに直列配置され、整流ダイオード432と2次側巻線322dとが互いに直列配置されている。整流ダイオード442と2次側巻線332dとが互いに直列配置され、整流ダイオード452と2次側巻線342dとが互いに直列配置されている。したがって、これら複数の経路のうちの一部の経路上では、N個の2次側巻線(この例では、4個の2次側巻線342a,332a,322a,312aまたは4個の2次側巻線342b,332b,322b,312b)が、互いに直列配置されている。
この整流平滑回路4C1ではまた、整流平滑回路4A,4B1,4B2と同様に、上記した複数の経路上ではそれぞれ、整流ダイオードが2次側巻線と接地ラインLGとの間に配置されている(ローサイド配置:図19参照)。具体的には、整流ダイオード411が2次側巻線312cと接地ラインLGとの間に配置され、整流ダイオード421が2次側巻線312a,322a,332a,342aと接地ラインLGとの間に配置され、整流ダイオード431が2次側巻線322cと接地ラインLGとの間に配置されている。整流ダイオード441が2次側巻線332cと接地ラインLGとの間に配置され、整流ダイオード451が2次側巻線342cと接地ラインLGとの間に配置されている。また、整流ダイオード412が2次側巻線312dと接地ラインLGとの間に配置され、整流ダイオード422が2次側巻線312b,322b,332b,342bと接地ラインLGとの間に配置され、整流ダイオード432が2次側巻線322dと接地ラインLGとの間に配置されている。整流ダイオード442が2次側巻線332dと接地ラインLGとの間に配置され、整流ダイオード452が2次側巻線342dと接地ラインLGとの間に配置されている。
一方、整流平滑回路4C2では、以下のようになっている。すなわち、整流ダイオード411と2次側巻線312c,322cとが互いに直列配置され、整流ダイオード421と2次側巻線342a,332a,322a,312aとが互いに直列配置され、整流ダイオード451と2次側巻線342c,332cとが互いに直列配置されている。また、整流ダイオード412と2次側巻線312d,322dとが互いに直列配置され、整流ダイオード422と2次側巻線342d,332b,322b,312bとが互いに直列配置され、整流ダイオード452と2次側巻線342d,342dとが互いに直列配置されている。したがって、これら複数の経路のうちの一部の経路上においても、N個の2次側巻線(この例においても、4個の2次側巻線342a,332a,322a,312aまたは4個の2次側巻線342b,332b,322b,312b)が、互いに直列配置されている。
この整流平滑回路4C2ではまた、整流平滑回路4A,4B1,4B2と同様に、上記した複数の経路上ではそれぞれ、整流ダイオードが2次側巻線と接地ラインLGとの間に配置されている(ローサイド配置:図20参照)。具体的には、整流ダイオード411が2次側巻線322c,312cと接地ラインLGとの間に配置され、整流ダイオード421が2次側巻線312a,322a,332a,342aと接地ラインLGとの間に配置され、整流ダイオード451が2次側巻線332c,342cと接地ラインLGとの間に配置されている。また、整流ダイオード412が2次側巻線322d,312dと接地ラインLGとの間に配置され、整流ダイオード422が2次側巻線312b,322b,332b,342bと接地ラインLGとの間に配置され、整流ダイオード452が2次側巻線332d,342dと接地ラインLGとの間に配置されている。
(動作および作用・効果)
これらのスイッチング電源装置1C1,1C2においても、基本的には、第1,第2の実施の形態のスイッチング電源装置1,1Aと同様にして、直流入力電圧Vinが電圧変換され、直流出力電圧Voutが生成される。また、これらのスイッチング電源装置1C1,1C2においても、スイッチング電源装置1,1Aと同様にして、前述した電圧Vchが、複数段階のレベルに設定される(マルチレベル出力)。
ここで、このような変形例2-1,2-2のスイッチング電源装置1C1,1C2においても、スイッチング電源装置1,1Aと同様に、電圧Vchを前述した複数段階のレベルに設定するうえで、整流平滑回路4C1,4C2が、以下のような構成となっている。すなわち、整流平滑回路4C1,4C2においても整流平滑回路4,4Aと同様に、出力ラインLOと接地ラインLGとの間の複数の経路上にそれぞれ、複数の整流ダイオードが、個別に1段ずつ配置されている。このようにして、整流平滑回路4C1,4C2内の整流ダイオードがそれぞれ、1段構成となっていることから、変形例2-1,2-2においても、前述した比較例1の場合と比べ、整流ダイオードでの導通損失が抑えられる。その結果、これらの変形例2-1,2-2においても、比較例1等と比べ、スイッチング電源装置1C1,1C2における電力変換効率を向上させることが可能となる。
また、これらの変形例2-1,2-2においても、上記した複数の経路上においてそれぞれ、整流ダイオードが2次側巻線と接地ラインLGとの間に配置されている(ローサイド配置)ようにしたので、例えば以下のような効果も得ることが可能となる。すなわち、整流平滑回路4C1,4C2内における全ての整流ダイオードをローサイド配置としたことで、第2の実施の形態と同様に、同期整流に好適な回路構成とすることができる。その結果、スイッチング電源装置1C1,1C2における低電圧化や大電流化などを、容易に実現することが可能となる。
更に、特に変形例2-2においては、変形例2-1における整流平滑回路4C1の場合と比べ、整流平滑回路4C2に含まれる整流ダイオードの個数が(10個から6個に)削減されていることから、以下のようになる。すなわち、複数レベルの電圧Vch(平滑回路への入力電圧)を生成する際に、部品コストの抑制や装置の小型化を図ることができる。その結果、この変形例2-2では、複数レベルの電圧Vchを容易に生成することが可能となる。
ちなみに、この変形例2-2および前述した変形例1-2における整流平滑回路4B2,4C2の回路構成を、インバータ回路およびトランスの個数がそれぞれ、N個(N:2以上の整数)の場合に一般化すると、以下のようになる。すなわち、その場合の整流平滑回路における整流ダイオードの個数は、Nの値によらず、4個(Nが奇数の場合)または6個(Nが偶数の場合)となる。このようにして、Nの値(インバータ回路およびトランスの個数)によらず、整流平滑回路における整流ダイオードの個数が、常に4個または6個となることから、以下のようになる。すなわち、スイッチング電源装置におけるNの値が増加、つまり、電圧Vch(平滑回路への入力電圧)におけるレベル数を増加させた場合であっても、整流ダイオードの個数が増加しない(常に4個または6個で済む)ことから、そのような場合であっても、複数レベルの電圧Vchを容易に生成することが可能となる。
<4.その他の変形例>
以上、実施の形態および変形例をいくつか挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。
例えば、上記実施の形態等では、インバータ回路の構成を具体的に挙げて説明したが、上記実施の形態等の例には限られず、インバータ回路として他の構成のものを用いるようにしてもよい。具体的には、上記実施の形態等では、インバータ回路が、2個のスイッチング素子を含むハーフブリッジ回路の場合について説明した。しかしながら、これらの場合には限られず、4個のスイッチング素子を含むフルブリッジ回路や、ハーフブリッジ回路とフルブリッジ回路とを組み合わせた回路など、他の構成のインバータ回路を用いるようにしてもよい。
また、上記実施の形態等では、整流平滑回路の構成(センタタップ型の回路構成)を、具体的に挙げて説明したが、上記実施の形態等の例には限られず、整流平滑回路として他の構成のものを用いるようにしてもよい。具体的には、例えば、整流平滑回路内の各整流素子を、MOS-FETの寄生ダイオードにより構成するようにしてもよい。また、その場合には、このMOS-FETの寄生ダイオードが導通する期間と同期して、MOS-FET自身もオン状態となる(同期整流を行う)ようにするのが好ましい。より少ない電圧降下で整流することができるからである。なお、この場合、MOS-FETにおけるソース側に、寄生ダイオードのアノード側が配置されると共に、MOS-FETにおけるドレイン側に、寄生ダイオードのカソード側が配置されることになる。
更に、上記実施の形態等では、インバータ回路およびトランスの個数がそれぞれ、2個,3個,4個の場合(整流平滑回路内の整流素子の個数が、6個,8個,10個,4個の場合)を例に挙げて説明したが、それらの個数は、この場合の例には限られない。具体的には、本発明は、インバータ回路およびトランスの個数がそれぞれ、N個(N:2以上の整数)の場合に適用することが可能である。つまり、上記実施の形態等で説明したN=2,3,4の場合だけでなく、N=5以上の任意の数の場合についても同様にして、本発明を適用することが可能である。なお、上記実施の形態等で説明した、インバータ回路やトランス、整流素子の個数としては、物理的な個数には限られず、等価回路に存在する個数を意味している。
加えて、上記実施の形態等では、駆動回路による各スイッチング素子の動作制御(スイッチング駆動)の手法を、具体的に挙げて説明したが、上記実施の形態等の例には限られず、スイッチング駆動の手法として、他の手法を用いるようにしてもよい。具体的には、例えば、前述したスイッチング位相制御およびPMW制御の手法や、前述した前述した電圧Vd,Vchの複数レベル(マルチレベル)の設定手法等については、上記実施の形態等の手法には限られず、他の手法を用いるようにしてもよい。また、電圧Vd,Vchを複数レベルに設定する際のレベル数(段階数)についても、上記実施の形態等で説明したレベル数(3レベルまたは4レベル)の例には限られず、5レベル以上の任意の数で設定するようにしてもよい。
また、上記実施の形態等では、本発明に係るスイッチング電源装置の一例として、DC-DCコンバータを挙げて説明したが、本発明は、例えばAC-DCコンバータなどの、他の種類のスイッチング電源装置にも適用することが可能である。
更に、これまでに説明した各構成例等を、任意の組み合わせで適用してもよい。