JP7225915B2 - 標示構造、並びに、路面標示、道路付属物および建造物 - Google Patents
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Description
また、本発明は、ミリ波または準ミリ波を用いたレーダーで長期に亘って良好にセンシングし得る路面標示、道路付属物および建造物を提供することを目的とする。
<1>導電部材を0.2mm以上40mm以下の間隔で繰り返し配置してなる繰り返し構造部を有し、
前記導電部材が電気伝導性を有する有機物を含む、標示構造。
<2>前記有機物が導電性ポリマーである、上記<1>に記載の標示構造。
<3>前記有機物が炭素材料である、上記<1>に記載の標示構造。
<4>前記炭素材料がカーボンナノチューブを含む、上記<3>に記載の標示構造。
<5>前記カーボンナノチューブは、平均長さが20μm以上である、上記<4>に記載の標示構造。
<6>前記導電部材は、導電率が1S/cm以上である、上記<1>~<5>の何れかに記載の標示構造。
<7>前記導電部材は、外接球の平均直径が0.03mm以上15mm以下である、上記<1>~<6>の何れかに記載の標示構造。
<8>ミリ波または準ミリ波に対して透過性を有し、且つ、前記繰り返し構造部を覆うカバー層を有する、上記<1>~<7>の何れかに記載の標示構造。
<9>前記カバー層は、前記繰り返し構造部を可視光および赤外光の少なくとも一方に対して隠蔽する層である、上記<8>に記載の標示構造。
<10>前記カバー層は、可視光および赤外光の少なくとも一方を吸収する、上記<8>に記載の標示構造。
<11>上記<1>~<10>の何れかに記載の標示構造を備える、路面標示。
<12>上記<8>~<10>の何れかに記載の標示構造を備え、
前記カバー層は、設置面よりも、可視光および赤外光の少なくとも一方の反射率が高い、路面標示。
<13>上記<1>~<10>の何れかに記載の標示構造を備える、道路付属物。
<14>上記<8>~<10>の何れかに記載の標示構造を備え、
前記カバー層は、設置面よりも、可視光および赤外光の少なくとも一方の反射率が高い、道路付属物。
<15>上記<1>~<10>の何れかに記載の標示構造を備える、建造物。
<16>上記<8>~<10>の何れかに記載の標示構造を備え、
前記カバー層は、設置面よりも、可視光および赤外光の少なくとも一方の反射率が高い、建造物。
また、本発明によれば、ミリ波または準ミリ波を用いたレーダーで長期に亘って良好にセンシングし得る路面標示、道路付属物および建造物を提供することができる。
本発明の標示構造は、電気伝導性を有する有機物を含む導電部材を0.2mm以上40mm以下の間隔で繰り返し配置してなる繰り返し構造部を有している。このように、導電部材を0.2mm以上40mm以下の間隔で繰り返し配置すれば、ミリ波または準ミリ波が導電部材で散乱・反射されてなる反射波が互いに強め合って伝搬するため、レーダーにおける反射波の受信強度を高めることができる。また、電気伝導性を有する有機物を用いて導電部材を形成すれば、導電部材として金属を使用した場合と比較し、繰り返し応力を受けた際の耐久性(耐疲労性)を高めることができる。従って、長期に亘って良好なセンシングが可能になる。
なお、標示構造は、繰り返し構造部を覆うカバー層を更に有していてもよい。
ここで、ミリ波および準ミリ波としては、周波数が20GHz以上300GHz以下であり、波長が1mm以上15mm以下である電磁波が挙げられる。具体的には、ミリ波としては、周波数が30GHz以上300GHz以下であり、波長が1mm以上10mm以下である電磁波が挙げられ、準ミリ波としては、周波数が20GHz以上30GHz未満であり、波長が10mm超15mm以下である電磁波が挙げられる。
また、繰り返し構造部は、所定の間隔で繰り返し配置された導電部材と、導電部材間に位置して導電率が導電部材とは異なる部分とを有している。具体的には、繰り返し構造部の形態としては、特に限定されることなく、例えば、設置面に導電部材を直接配設する場合には、(1)導電率が導電部材とは異なる設置面の上に複数の導電部材を所定の間隔で設置した形態、(2)導電率が導電部材とは異なる設置面の表層部に一部が表面に露出するように複数の導電部材を所定の間隔で埋設した形態、(3)設置面上に所定の間隔で配置した複数の導電部材の間に導電率が導電部材とは異なる部材を敷き詰めた形態、(4)設置面上に敷き詰めた導電部材の上に導電率が導電部材とは異なる部材を導電部材が所定の間隔で露出するように配置した形態、等が挙げられる。また、例えば、基材等を介して設置面に導電部材を設置する場合には、(5)導電率が導電部材とは異なる基材の上または内部に複数の導電部材を所定の間隔で設置した形態、等が挙げられる。
なお、「導電率が導電部材とは異なる部分」および「導電率が導電部材とは異なる基材」は、通常、ミリ波または準ミリ波の反射率も導電部材とは異なる。そして、「導電率が導電部材とは異なる部分」および「導電率が導電部材とは異なる基材」は、ミリ波または準ミリ波を吸収するものであってもよい。また、標示構造は、繰り返し構造部を1つのみ有していてもよいし、複数有していてもよい。更に、上記(1)、(3)および(4)において、導電部材、並びに、導電率が導電部材とは異なる部材は、設置面上に直接設置または配置してもよいし、設置面上に接着層等を介して間接的に設置または配置してもよい。
ここで、導電部材は、電気伝導性を有する有機物を含む部材であり、通常、当該有機物によって導電性を発揮する。なお、導電部材は、電気伝導性を有する有機物のみで構成されていてもよいし、電気伝導性を有する無機物および非導電性物質の少なくとも一方と、電気伝導性を有する有機物とで構成されていてもよい。具体的には、例えば、導電部材は、電気伝導性を有する有機物で樹脂粒子または無機粒子の表面をコーティングしたものであってもよい。また、導電部材には、界面活性剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、分散剤、結着材などの添加剤が含まれていてもよい。
上述した中でも、導電性ポリマーとしては、PEDOTにPSSをドーピングしたPEDOT/PSSが好ましい。
そして、導電部材が線状の場合、導電部材の繰り返し方向は、線状の部材に交差する方向であることが好ましい。
そして、繰り返し配置されている導電部材の配置間隔は、0.2mm以上40mm以下であることが必要であり、0.5mm以上40mm以下であることが好ましく、1mm以上10mm以下であることがより好ましい。導電部材の間隔が上記範囲外の場合、反射波の受信強度を十分に高めることができない。
なお、本発明において、繰り返し方向に隣接する導電部材間で間隔が一定でない場合(例えば、隣接する導電部材同士が互いに平行に配置されておらず、導電部材の中央部同士の間と、導電部材の端部同士の間とで間隔が異なる場合など)には、導電部材の間隔とは、繰り返し方向に隣接する導電部材間の平均距離を指すものとする。
任意に使用し得る、導電率が導電部材とは異なる部材としては、特に限定されることなく、導電率が導電部材とは異なる材料からなる部材を使用することができる。ここで、導電部材の導電率は、導電部材を構成する材料の混合比を変更することによっても変化させることができる。
上述した部材を配置し得る設置面は、標示構造を付与する構造物の表面であってもよいし、標示構造を付与する構造物の表面に設けた下塗り層の表面であってもよい。即ち、繰り返し構造部は、構造物の表面または表層部、或いは、下塗り層の表面または表層部に上述した部材を配置して構成されている。
基材は、通常、ミリ波または準ミリ波の反射率が導電部材とは異なる部材よりなり、好ましくは、ミリ波または準ミリ波の反射率が導電部材よりも低い部材よりなる。そして、基材は、導電部材を担持可能なものであり、自己支持性を有している。
具体的には、特に限定されることなく、基材としては、樹脂フィルム、不織布、紙またはそれらの積層体を用いることができる。また、基材としては、例えば、表面にシリカ粒子を突出させた樹脂フィルム、表面に凹凸を施した樹脂フィルム、織物、編物などの凹凸を有する基材も好適に使用し得る。
そして、設置面や基材への導電部材の配設は、電気伝導性を有する有機物を蒸着する方法;電気伝導性を有する有機物をスパッタリングする方法;電気伝導性を有する有機物を含む塗料を塗布、噴霧または印刷する方法;電気伝導性を有する有機物を表面にコーティングした粒子を分散させた塗料を塗布、噴霧または印刷する方法;或いは、予め糸状または帯状に成形した電気伝導性を有する有機物を織り込み、編み込み、縫い込み、漉き込みまたは敷設する方法;等を用いて行い得る。
そして、上述した繰り返し構造部を有する標示構造としては、特に限定されることなく、例えば図1~8に示すような標示構造が挙げられる。
なお、反射波の受信強度を高める観点からは、導電部材1と導電部材1Cとは等間隔で配置することが好ましい。また、同様の理由により、導電部材1の長さは、ミリ波または準ミリ波の波長の半分よりも長く、導電部材1Cの長さは、ミリ波または準ミリ波の波長の半分よりも短いことが好ましい。
そして、本発明の標示構造において、繰り返し構造部は、ミリ波または準ミリ波に対して透過性を有するカバー層で覆われていてもよい。
中でも、カバー層は、繰り返し構造部を可視光および赤外光の少なくとも一方に対して隠蔽する層であることが好ましい。繰り返し構造部を可視光および赤外光の少なくとも一方に対して隠蔽すれば、運転者、並びに、自動車に搭載された他のセンサ(例えば、可視光カメラ、赤外線カメラ、赤外光のレーザーレーダー等)に誤認識を与えることを防ぐことができる。なお、繰り返し構造部を可視光および赤外光の少なくとも一方に対して隠蔽する層は、染料、顔料または光散乱性を有する材料を含有させることで形成することができる。
また、カバー層は、可視光および赤外光の少なくとも一方を吸収する層であることが好ましい。可視光および赤外光の少なくとも一方を吸収すれば、運転者、並びに、自動車に搭載された他のセンサ(例えば、可視光カメラ、赤外線カメラ、赤外光のレーザーレーダー等)に誤認識を与えることを防ぐことができる。なお、可視光および赤外光の少なくとも一方を吸収する層は、染料または顔料を含有させることで形成することができる。
上述した標示構造は、例えば、上述した態様(1)~(4)のように設置面に導電部材を直接配設することにより施工してもよいし、上述した態様(5)のように基材等を介して設置面に導電部材を設置することにより施工してもよい。
そして、標示構造の施工に使用し得る標示用シートの一例は、例えば、標示用シート100の、導電部材が繰り返し配置される方向(以下、「繰り返し方向」と称することがある。)に沿う断面の構造を図11(a)に示すように、基材20と、基材20上に導電部材1を0.2mm以上40mm以下の間隔で繰り返し配置してなる繰り返し構造部10とを備えている。
また、標示用シートの他の例は、例えば、繰り返し方向に沿う断面の構造を図11(b)に示すように、基材20と、基材20内に導電部材1を0.2mm以上40mm以下の間隔で繰り返し配置してなる繰り返し構造部10とを備えている。
更に、標示用シートの別の例は、例えば、繰り返し方向に沿う断面の構造を図11(c)に示すように、基材20と、一部が外部へと露出するように導電部材1を基材20内に0.2mm以上40mm以下の間隔で繰り返し配置してなる繰り返し構造部10とを備えている。
なお、図11(a)~(c)において、繰り返し方向は左右方向である。そして、基材に導電部材を設ける方法としては、特に限定されることなく、例えば、蒸着;スパッタリング;有機物(電気伝導性を有する有機物)含有インクを用いた印刷;並びに、糸状または帯状の有機物(電気伝導性を有する有機物)の織り込み、編み込み、縫い込みおよび漉き込み;などが挙げられる。また、標示用シートは、任意に、被覆層および/または接着層を更に備えていてもよい。
中でも、被覆層は、繰り返し構造部を可視光および赤外光の少なくとも一方に対して隠蔽する層であることが好ましい。繰り返し構造部を可視光および赤外光の少なくとも一方に対して隠蔽すれば、標示構造を形成した際に、運転者、並びに、自動車に搭載された他のセンサ(例えば、可視光カメラ、赤外線カメラ、赤外光のレーザーレーダー等)に誤認識を与えることを防ぐことができる。なお、繰り返し構造部を可視光および赤外光の少なくとも一方に対して隠蔽する層は、染料、顔料または光散乱性を有する材料を含有させることで形成することができる。
また、被覆層は、可視光および赤外光の少なくとも一方を吸収する層であることが好ましい。可視光および赤外光の少なくとも一方を吸収すれば、標示構造を形成した際に、運転者、並びに、自動車に搭載された他のセンサ(例えば、可視光カメラ、赤外線カメラ、赤外光のレーザーレーダー等)に誤認識を与えることを防ぐことができる。なお、可視光および赤外光の少なくとも一方を吸収する層は、染料または顔料を含有させることで形成することができる。
なお、再帰反射材や赤外光反射材は、特に限定されることなく、標示用シートの表面を構成する基材または被覆層に含有させることができる。
なお、図10および図12(a)では導電部材1が路面Gとは反対側に位置するように標示用シート100を固定する場合を示したが、図12(b)に示すように、標示用シート100は導電部材1が路面G側に位置するように固定することもできる。この場合、接着層40の厚みを導電部材1の厚みよりも厚くすればよい。
そして、上述した標示構造を設ける構造物としては、特に限定されることなく、例えば、走行路の区画線や停止線等の路面標示;縁石、遮断機、防護柵(ガードレール、ガードパイプ等)、ラバーポール、距離標、照明灯、電柱、信号機、信号柱、道路標識および道路標識柱等の道路付属物;並びに、塀や外壁等の建造物;などが挙げられる。
ここで、上述した標示構造を用いた路面標示としては、例えば、図13に車両の走行方向と平行な断面を示すような路面標示が挙げられる。図13に示す路面標示は、路面20上に設けた下塗り層2の表面に導電部材1を車両の走行方向が繰り返し方向になるように繰り返し配置し、更に、カバー層となる白線4を下塗り層2および導電部材1の上に設けてなる。また、白線4の表層部には、白線4の視認性を高める観点から、ガラスビーズ5等の可視光の再帰反射材や赤外光反射材(図示せず)が設けられている。
また、上述した標示構造を用いた道路付属物としては、特に限定されることなく、例えば、図14に示すようなガードレール300、図15に示すような縁石400、図16に示すような電柱500が挙げられる。
そして、このガードレール300では、走行する車両からミリ波レーダーや準ミリ波レーダーなどのレーダーを用いてセンシングを行うことにより、強度の高い反射波を得ることができる。
そして、この縁石400では、走行する車両からミリ波レーダーや準ミリ波レーダーなどのレーダーを用いてセンシングを行うことにより、強度の高い反射波を得ることができる。
そして、この電柱500では、走行する車両からミリ波レーダーや準ミリ波レーダーなどのレーダーを用いてセンシングを行うことにより、強度の高い反射波を得ることができる。
また、本発明によれば、ミリ波または準ミリ波を用いたレーダーで長期に亘って良好にセンシングし得る路面標示、道路付属物および建造物を提供することができる。
2 下塗り層
3 カバー層
5 ガラスビーズ
10,10A,10B,10C,10D,10E,10F,10G,10H,10I,10J,10K,10L,10L’,10M,10N,10P 繰り返し構造部
20 基材
30 白線(カバー層)
40 接着層
100 標示用シート
200 路面
300 ガードレール
400 縁石
500 電柱
S 設置面
G 路面
Claims (16)
- 導電部材を0.2mm以上40mm以下の間隔で繰り返し配置してなる繰り返し構造部と、
ミリ波または準ミリ波に対して透過性を有し、且つ、前記繰り返し構造部を覆うカバー層と、
を有し、
前記カバー層は、前記繰り返し構造部を可視光および赤外光の少なくとも一方に対して隠蔽する層であり、
前記導電部材が電気伝導性を有する有機物を含む、標示構造。 - 前記有機物が導電性ポリマーである、請求項1に記載の標示構造。
- 前記有機物が炭素材料である、請求項1に記載の標示構造。
- 前記炭素材料がカーボンナノチューブを含む、請求項3に記載の標示構造。
- 前記カーボンナノチューブは、平均長さが20μm以上である、請求項4に記載の標示構造。
- 前記導電部材は、導電率が1S/cm以上である、請求項1~5の何れかに記載の標示構造。
- 前記導電部材は、外接球の平均直径が0.03mm以上15mm以下である、請求項1~6の何れかに記載の標示構造。
- 請求項1~7の何れかに記載の標示構造を備える、路面標示。
- 請求項1~7の何れかに記載の標示構造を備える、道路付属物。
- 請求項1~7の何れかに記載の標示構造を備える、建造物。
- 導電部材を0.2mm以上40mm以下の間隔で繰り返し配置してなる繰り返し構造部と、ミリ波または準ミリ波に対して透過性を有し、且つ、前記繰り返し構造部を覆うカバー層とを有し、前記導電部材が電気伝導性を有する有機物を含む標示構造を備え、
前記カバー層は、設置面よりも、可視光および赤外光の少なくとも一方の反射率が高い、路面標示。 - 導電部材を0.2mm以上40mm以下の間隔で繰り返し配置してなる繰り返し構造部と、ミリ波または準ミリ波に対して透過性を有し、且つ、前記繰り返し構造部を覆うカバー層とを有し、前記導電部材が電気伝導性を有する有機物を含む標示構造を備え、
前記カバー層は、設置面よりも、可視光および赤外光の少なくとも一方の反射率が高い、道路付属物。 - 導電部材を0.2mm以上40mm以下の間隔で繰り返し配置してなる繰り返し構造部と、ミリ波または準ミリ波に対して透過性を有し、且つ、前記繰り返し構造部を覆うカバー層とを有し、前記導電部材が電気伝導性を有する有機物を含む標示構造を備え、
前記カバー層は、設置面よりも、可視光および赤外光の少なくとも一方の反射率が高い、建造物。 - 前記カバー層は、可視光および赤外光の少なくとも一方を吸収する、請求項11に記載の路面標示。
- 前記カバー層は、可視光および赤外光の少なくとも一方を吸収する、請求項12に記載の道路付属物。
- 前記カバー層は、可視光および赤外光の少なくとも一方を吸収する、請求項13に記載の建造物。
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