JP4354837B2 - シート状電波吸収体 - Google Patents

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Description

本発明はシート状電波吸収体、特にAHS(Advanced Cruise-assist Highway Systems:走行支援道路システム、76GHz帯ミリ波を使用)へ適用し得るシート状電波吸収体に関する。
近年、ITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)に代表される交通インフラの情報化に伴い、ETC(Electronic Toll Collection systems:自動料金収受システム)などの無線通信システムの導入が拡大している。このような中で、上記AHSも今後の導入に向けて研究・開発が進められている。AHSにおいては偽像、障害物の誤認等といった不要散乱波によるシステムの誤動作が懸念されており、道路標識等に電波吸収体を布設することが検討されている。吸収すべき電波の周波数に対して、電波吸収体をどのような構造にすべきかについては、伝送線路理論によって教示される。
伝送線路理論によれば、対象とする電波の周波数が高くなるほど電波吸収体を薄くすべきなので、対象とする電波によっては電波吸収体の製造における厚さの精度の維持が困難になる。例えば、AHSで用いられるようなミリ波帯用の電波吸収体では、その厚みを数ミクロンオーダーでコントロールする必要がある。また、前記理論によれば、電波吸収体の背面には、金属板等からなる電波反射層を設ける必要があり、シートとしての柔軟性が損なわれるため、曲面等への布設が困難になる。
上記困難性を低減する従来技術として、電波吸収層の表面に凹凸構造を有する電波吸収体が提案された(特許文献1)。具体的には当該電波吸収体の表面に、三角錐状、四角錐状、六角錐状等の突起を配列させることによって上記凹凸構造が実現される。
AHSにおいては、道路の進行方向に対して垂直となる面に対する反射を抑制すべきとされているので、側壁などといった道路と平行な構造物よりも、道路標識などといった道路に対して垂直な面を有する構造物にこそ電波吸収体を布設すべきである。側壁と異なり、道路標識は夜間であっても自動車等の運転手から視認されなければならない。そして、道路標識は屋外に長期間設置されるので、高い耐候性を備えることが好ましい。
特開2001−339190号公報
上記特許文献1記載の電波吸収体は曲げに対する吸収強度を維持するための厚さが必要であるため電波吸収体の設計の自由度を狭めることになり、また、製品の運搬時や保管時に電波吸収体の表面に配列した突起の頂点で上下の電波吸収体と接するので積層管理が困難である。また、電波吸収性能のさらなる向上も求められている。本発明は、このような問題を軽減し得るシート状電波吸収体であって、夜間視認性に優れるものを提供することを主たる課題とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、シート状電波吸収体の少なくとも一つの主面に特定の形状の窪みを配列させ、その主面に再帰反射塗料を塗布することで、上記主たる課題を達成し得ることを見出して、以下の特徴を有する本発明を完成した。
(1)ゴムまたは樹脂を含有する組成物を成形してなるシート状成形物であって、
当該シート状成形物の少なくとも一方の主面には正四角錐状の窪みが配列しており、
前記正四角錐の底面の1辺の長さaと、その高さhとの比h/aが0.25〜4であり、
前記窪みが配列している主面にはガラスビーズが固着されている、
シート状電波吸収体。
(2)ガラスビーズを含む再帰反射塗料を上記主面に塗布することにより、前記ガラスビーズが主面に固着されてなる、上記(1)記載のシート状電波吸収体。
(3)上記再帰反射塗料が耐候剤をさらに含む、上記(2)記載のシート状電波吸収体。
(4)上記主面の法線に対して60°の角度で入射する周波数が76GHzの電波に対して、20dB以上の反射減衰量を呈する上記(1)〜(3)のいずれかに記載のシート状電波吸収体。
本発明のシート状電波吸収体は、電波吸収性能が高く、強度を維持しつつ薄くすることができ、積層管理が容易であり、夜間の視認性に優れ、好ましい態様においては優れた耐候性を有するものである。
本発明のシート状電波吸収体は、ゴムまたは樹脂を含有する組成物を成形してなるシート状成形物であって、また、その少なくとも一方の主面に特定の形状の窪みが配列した構造を有していて、さらにその主面にはガラスビーズが固着されている。ここで、シート状成形物の主面とは、シート状成形物の表面のうち、シートの厚み方向に垂直な2つの面をいう。
本発明のシート状電波吸収体は、その少なくとも一方の主面に後述する形状の窪みを有する。シート状電波吸収体の両面方向から不要電波が入射し得る場所へ布設する等といった場合には、他方の主面にも(すなわち、シート状電波吸収体の表裏両面に)窪みを配列させればよい。
図1は本発明のシート状電波吸収体を簡略化して示す図であって、図1(A)はシートの一主面を示す図であり、同図(B)および(C)はそれぞれ同図(A)の矢印Bおよび矢印Cの方向からみた厚み方向の切断面を示す図である。同図(A)における紙面斜め方向の直線同士の交点は、錐状の「窪み」の頂点(紙面の奥行き方向に窪んだ点)を示す。従来技術における電波吸収体(錐状の「突起」が形成されている)よりも、錐状の窪みが配列した電波吸収体の方が優れているのは以下の理由による。
・電波吸収特性
図2は従来技術のシート状電波吸収体を簡略化して示す図であって、図2(A)はシートの一主面を示す図であり、同図(B)および(C)は同図(A)の矢印Bおよび矢印Cの方向からみた厚み方向の切断面を示す図である。このシート状電波吸収体2の電波吸収層の表面には錐状の突起21が配列している。同図(A)における紙面斜め方向の直線同士の交点は、先に参照した図1(A)の場合とは異なり、錐状の突起21の頂点(紙面手前方向に出っ張った点)を示す。この場合には、白抜き矢印で示すような、電波吸収層が存在しない部分が連続的に存在する。この場合、当該部分から不要電波が「抜け」てしまい、充分な電波吸収特性が得難くなる。また、格子状の配列を一列ごとに半ピッチ(半周期)ずらして突起21を形成することにより不要電波の「抜け」は低減できるが完全にはなくならない。また、電波吸収層が存在しない部分を埋めるように異なる大きさの錐状の突起を形成するなどの方法では製造が困難になったり、端部の形状を電波吸収性能を維持する程度にまで整える必要がある。一方、本発明(図1参照)のように窪みが配列した構造であれば、電波吸収層の存在しない部分が連ならないので、不要電波が「抜け」難くなる。
・強度
電波吸収層の表面に錐状の突起が配列した電波吸収体は、曲げに対する強度を維持するためにある程度の厚さや基板が必要となるが、窪みを配列した構造にする場合は、そのような窪みを形成できるだけの厚さがあれば、構造上充分に強度を有するので曲げによる破損が起こり難くなる。
・積層性
錐状の突起が配列した電波吸収体は製品の片面に錐の頂点が現れるので、製品の保管・運搬等に際し、複数枚の積層管理がし難い。逆に、錐状の窪みを配列した電波吸収体は錐の頂点は表面に現れないので複数枚の積層管理が容易であり、保管スペースも少なくてよい。
上記窪みのうちでも正四角錐が優れている理由は、四方が囲まれ、全面に隙間なく窪みを配列することができる点、どの方向から入射してくる電波に対しても良好に電波吸収し得る点および、型枠(主面に窪みをつける為の金型)の製造が容易であるという点である。ここで、正四角錐とは、底面が正方形(当該正方形の一辺の長さをaとする)であり、底面の中心と頂点を結ぶ直線が底面に垂直である角錐をいう。前記底面の中心と頂点との距離を、正四角推の高さhとする。
斜入射特性(様々な方向から入射する不要電波を良好に吸収する特性)や対象とする電波の周波数(例えば、76GHzが想定される。)を考慮して、上述の長さ、高さの比(h/a)は、0.25〜4である必要があり、好ましくは0.6〜1.0である。
上記窪みの深さ、すなわち正四角錐の高さhは、吸収を意図する電波の波長と同程度かそれより大きいことが好ましい。具体的には、周波数76GHzの電波(波長:3.95mm)の吸収を意図する場合、上記h/aの範囲内で、前記hは、好ましくは2〜8mmであり、より好ましくは4〜6mmである。また、当該四角錐の底面の1辺の長さaは、好ましくは2〜8mmであり、より好ましくは4〜6mmである。
このようにシート状電波吸収体が窪みを有することによって、略平坦なシート状電波吸収体とは異なり、厚みの制約が解消され、広帯域にわたり良好な吸収特性が得られる電波吸収体が実現される。詳しく述べると、略平坦なシート状電波吸収体では、高周波数、特にミリ波帯への使用に際し、吸収すべき電波の周波数によってその厚みを数ミクロンオーダーでコントロールする必要があることから、製造上の制約が生じる。本発明のシート状電波吸収体では、上記のように主面に窪みの配列による凹構造を有するようにすることで、厚み精度が要求されなくなるのである。ここで、主面に突起を設けるよりも、窪みを設けることの利点は上述したとおりである。
本発明のシート状電波吸収体の厚みは、上記窪みを形成できる程度の厚みが確保されていれば特に限定はないが、重量、可撓性、省スペース性、取り扱い性の観点から、好ましくは0.8〜10mmであり、より好ましくは3〜8mmである。ここで、シート状電波吸収体の厚みとは、シートの主面と垂直な方向にシートの表裏両面を結ぶ直線のうち、最長の直線の長さ(図1における長さH)をいう。
シート状電波吸収体の主面の表面に上述したような窪みを形成する方法としては、特に限定されるものではなく、当分野において従来から広く行われている加工方法が挙げられる。例えば、凹凸構造のないシート状電波吸収体を、エンボス付きのロールに通す、あるいはエンボス付きのプレス加工を行う方法がある。窪みの配列の仕方は特に限定はなく、例えば、格子状等が挙げられる。
本発明のシート状電波吸収体は、上述の窪みが形成された主面に吸収すべき電波が入射するような向きで布設されることを意図している。本発明のシート状電波吸収体の背面(電波の入射を意図する面とは反対側の面)には、金属製の板または箔といった電波反射層を設けてもよいし、設けなくてもよい。図3は、本発明のシート状電波吸収体の布設の一態様を示す図である。本態様においては、円柱状のポール3の外周面に本発明のシート状電波吸収体1が布設されており、当該図面は前記ポール3の高さ方向に垂直な断面図である。この図に示すように、円柱状のポール3といった平面でない場所にも本発明のシート状電波吸収体1を布設することができる。これは、電波反射層を設けない場合には、シート状電波吸収体は樹脂やゴム本来の柔軟性を活かして、布設すべき非平面の形状に対する追随性を有するからである。このように、本発明のシート状電波吸収体には電波反射層を設けないことが好ましいが、従来公知のアルミニウム板などからなる電波反射層を設けることを敢えて否定するものでもない。
図4は、本発明の別の態様のシート状電波吸収体を示す図である。図4に示すように、シート状電波吸収体1の表裏両面に窪みを設けることで、対向する双方向からの電波を吸収させることができる。シートの一方の主面と他方の主面とに設ける窪みの形状は同一であっても、異なっていてもよい。
本発明のシート状電波吸収体は、ゴムまたは樹脂を含有する組成物を成形してなるものである。本発明のシート状電波吸収体は、上記構造に起因して優れた電波吸収性能を呈するので、材料として特に厳しい要求はない。本明細書中の「ゴムまたは樹脂を含有する組成物」は、有機高分子を含有し上述のような形状を成形することができる組成物を意味する。
上記ゴムまたは樹脂の好ましい態様には、流動性を有し固化可能なゴム、例えば、アクリロニトリル−ブタジエン系共重合体(NBR)ラテックスまたはスチレン−ブタジエン系共重合体(SBR)ラテックス、クロロプレンラテックス等が挙げられ、別の好ましい態様には、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂の中でもエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂(EVA系樹脂)は、耐低温脆性、耐候性、耐薬品性に優れているため、特に寒冷地に布設する場合、炎天下のもとに布設される場合、あるいは交通量の多い(排気ガスが多い)場所へ布設する場合に好ましく用いることができる。EVA系樹脂は、従来公知の方法で製造してもよいし、市販されているもの(例;三井デュポンポリケミカル(株)製エバフレックスEV45LX(VA比は46重量%)等)をそのまま用いてもよい。ここで、「VA比」とは、エチレン−酢酸ビニル共重合体における酢酸ビニル成分の重合比率である。
上記組成物は導電性カーボン、粉末グラファイト、フェライト等をさらに含有することが好ましい。導電性カーボンとしては、ファーネスブラック(例;昭和キャボット(株)製VULCAN XC−72V等)などが例示される。上記組成物はクレー、タルクなどといった充填材および/またはアラミド、セルロースなどといった有機繊維をさらに含有していてもよい。本発明で用いる組成物には、電波吸収性能および難燃性が著しく低下しない範囲で、膨張黒鉛、ポリリン酸アンモニウム、酸化防止剤、滑材等をさらに含んでいてもよい。
上述した組成物をシート状に成形する方法は従来技術等を適宜参照してもよいが、例えば、熱プレスによる加工、凸構造を有する金型によるプレス加工、凸構造を有するロールによるロール加工(圧延加工)等が挙げられる。具体的な形成方法の例は後述の実施例に記載する。
本発明のシート状電波吸収体は、上記窪みが配列している主面にガラスビーズが固着されている。ガラスビーズによってシート状電波吸収体が再帰反射性を呈するようになる。再帰反射性とは入射光が光源に向って戻るように反射させる性質である。このようにガラスビーズをシート状電波吸収体の主面に固着させることで、当該電波吸収体は夜間でも自動車のライト等によって視認性が向上する。そのため、当該電波吸収体をそのまま道路標識として使用することができる。
上記ガラスビーズの平均粒径は好ましくは100μ以下である。この平均粒径が100μmより大きいと固着面の仕上がり状態がざらついて、埃等が付着し易い傾向にある。また、表面の滑らかさ、取り扱い性の観点からこの平均粒径は、より好ましくは30〜80μmであり、さらにより好ましくは40〜70μmである。この平均粒径は、溶液中に測定すべきガラスビーズを分散させ、電気抵抗を測定することにより粒径を算出するコールターカウンター法により求められる。具体的には、コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)を使用して得られる、1万個の粒子の測定値(粒径)の個数平均値を以って平均粒径とする。
再帰反射性の観点から、上記ガラスビーズの屈折率は好ましくは1.8〜2.6であり、ガラスビーズの形状は好ましくは球状である。
上記のようなガラスビーズは公知の方法で得ることもできるし、市販品をそのまま用いてもよい。市販品としては、例えば、WGBシリーズ、HGBシリーズ(いずれも、旭テクノグラス社製)が挙げられる。また、ガラスビーズ単体のみならず、後述する再帰反射塗料の形態で入手することもできる。
このようなガラスビーズが、シート状電波吸収体の「主面に固着」されているとは、少なくとも用時に剥がれ落ちない程度に、ガラスビーズが上述した主面に付着されていることをいう。固着の方法は特に問わず、例えば、接着剤によってもよいし、後述する再帰反射塗料に含まれる樹脂が電波吸収体の主面に層を形成してその層にガラスビーズの少なくとも一部が埋め込まれることによってもよい。ガラスビーズの固着量は特に問わないが、再帰反射性と製品寿命の観点から、シート状電波吸収体の単位面積あたり、好ましくは2000〜20000個/cmであり、より好ましくは5000〜10000個/cmである。ガラスビーズは主面の全面に固着される必要はなく、少なくとも一部に固着していればよい。
ガラスビーズをシート状電波吸収体の主面に固着させる一方法として、固着すべきガラスビーズを含む再帰反射塗料を上記主面に塗布することが挙げられる。「再帰反射塗料」とは、ガラスビーズを含む懸濁液である。この懸濁液は溶媒および好ましくは樹脂をさらに含む。再帰反射塗料を用いてガラスビーズを主面に固着させる方法は、固着すべき主面にガラスビーズを容易に均一に固着できる点等で優れている。ここで、「均一に固着」とは、固着すべき主面内で、固着するガラスビーズの分布(分散度)の程度が一様である、という意味である。
再帰反射塗料に使用する溶媒は特に問わず、通常公知のシンナー、ラッカーなどの有機溶剤等を使用できる。
再帰反射塗料は樹脂を含んでいてもよい。樹脂の種類は特に問わないが、ポリウレタン樹脂またはアクリル樹脂は、電波吸収体の主面への密着性・接着性が良好であり、ガラスビーズが固着され易くなる点で好ましい。ポリウレタン樹脂とは、ウレタン結合(−NHCO−O−)を有するか、あるいは、乾燥中にウレタン結合を形成する樹脂である。アクリル樹脂とは、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルの重合体である(重合体は共重合体であってもよい)。これら、ポリウレタン樹脂やアクリル樹脂は公知のものを用いてよい。
再帰反射塗料は好ましくは耐候剤を含む。「耐候剤」とは、紫外線吸収剤に代表される光安定剤である。光安定剤とは、光エネルギーを吸収することができ、かつ、吸収した光エネルギーを自己消費して無害なエネルギー(例;輻射熱)として放出する機構を持ち合わせている物質である。「無害」とは、自己または周囲の化合物を劣化させ難い、ということである。紫外線吸収剤は、吸収すべき光が紫外線である光安定剤である。
具体的な紫外線吸収剤を以下に例示する。
サリチル酸系(例えば、フェニル サリシレート、p−tert−ブチルフェニル サリシレート等)、ベンゾフェノン系(例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン 3水和物、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−アクリロイルオキシエトキシベンゾフェノン、4−(2−アクリロイルエトキシ)−2−ヒドロキシベンゾフェノン、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾイル酸 n−ヘキサデシルエステル等)、ベンゾトリアゾール系(例えば、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3’’,4’’,5’’,6’’−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等)等。
再帰反射塗料をシート状電波吸収体の主面に塗布する方法は特に限定はない。シート状電波吸収体の材料に予め塗布してから電波吸収体を形成してもよいし、電波吸収体を形成した後に再帰反射塗料を塗布してもよい。
本発明の電波吸収体は、それ自身を道路通行者のための標識として用いることができる。標識としては、交通標識(制限速度標識等)、キロポストなどが挙げられる。文字・図形が記載された標識を製造するために、本発明の電波吸収体それ自体に、各種顔料を用いて文字・図形を記載してもよい。
図5は、本発明のシート状電波吸収体の一例である。この例では、電波吸収体それ自身が標識となっている。この電波吸収体(標識)においては、正四角錐状の窪みが配列した主面に塗料で「7」なる文字が記載されていて、さらに、上記主面のうち、文字「7」が記載されていない部分に上述した球状ガラスビーズ(図示せず)が固着している。但し、ガラスビーズはこの主面に固着されていればよいのであるから、上記文字上に固着されていてもよい。
本発明のシート状電波吸収体を用いるのに適した電波の周波数には特に限定はないが、通常50〜110GHz、特にはAHSに使用される周波数帯域、すなわち、70〜80GHz(より具体的には76GHz)である。上述の構成を有するシート状電波吸収体は、AHSに使用される周波数帯域において容易に高い反射減衰量を達成することができる。ここで、高い反射減衰量とは、上記主面の法線に対して60°の角度で入射する76GHzの電波に対して20dB以上の反射減衰量を呈することをいう。反射減衰量の上限は特定されるものではないが、一般的には35dB程度が挙げられる。
以下、実施例を示すことにより本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例の記載により何ら限定されるものではない。
[実施例1]
EVA樹脂(三井デュポンポリケミカル(株)製エバフレックスEV45LX(VA比は46重量%))100重量部に対し、10重量部のポリリン酸アンモニウム(クラリアントジャパン(株)製Exolit AP 750)、15重量部の膨張黒鉛(東ソー(株)製GREP−EG)、100重量部の水酸化マグネシウム(協和化学工業(株)製キスマ5A)および10重量部の導電性カーボン(ファーネスブラック;昭和キャボット(株)製VULCAN XC−72V)を混練し、混練した組成物を熱プレス(130℃、2.0MPa)に供して厚さ5mmの平滑なシートを製造した。このシートに対して底面が4mm×4mmの正方形で高さが4mmの正四角錐の突起が格子状に配列した押型を用いて熱プレス(130℃、2.0MPa)して、電波吸収体の片方の主面に深さ4mmの正四角錐状の窪みによる凹構造を形成した。この主面に以下の構成の再帰反射塗料をスプレー方式にて塗布して、シート状電波吸収体のサンプルを得た。
(再帰反射塗料の構成)
有機溶媒にアクリル樹脂、ガラスビーズ(平均粒径65μm、屈折率1.93)、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(耐候剤)を配合させたものを用いた。
[実施例2]
実施例1の場合と同様に混練した組成物を用いて厚さ9mmの平滑なシートを製造した。このシートに対して実施例1と同様の押型を用いて、電波吸収体の両方の主面に深さ4mmの正四角錐状の窪みによる凹構造を形成した。この両方の主面に実施例1と同様の再帰反射塗料をスプレー方式にて塗布して、シート状電波吸収体のサンプルを得た。
[評価]
上記各実施例にて製造したシート状電波吸収体のサンプルを以下の評価に供した。
(再帰反射特性)
懐中電灯の入射光45度近傍で反射光強度を目視により評価した。
以下のような再帰反射特性の評価基準に基いたとき、実施例1、実施例2の両サンプルとも○の評価を得た。
○:かなり強い再帰反射光が観察された。
△:弱い再帰反射光が観察された。
×:再帰反射光が観察されなかった。
(周波数特性)
各サンプルを100mm×100mmに切り取り、自由空間法にて40°、50°、60°の3点について76GHzの周波数特性を評価した。その結果、実施例1の電波吸収体は40°で22dB、50°で27dB、60°で25dBの反射減衰量を示し、実施例2の電波吸収体は、40°で25dB、50°で24dB、60°で21dBの反射減衰量を示した。
(耐候性)
加速度的に曝露試験(スガ試験機(株)社製 カーボンアークサンシャインウエザオメータ(型番:WEL−SUN−DC−B)で1000時間)を行った後に再帰反射特性、周波数特性を上記と同様に測定したが、特性の低下はなく、また表面に割れ等は確認されなかった。
本発明のシート状電波吸収体を簡略化して示す図であって、図1(A)はシートの一主面を示す図であり、同図(B)および(C)は同図(A)の矢印Aおよび矢印Bの方向からみた厚み方向の切断面を示す図である。 従来技術のシート状電波吸収体を簡略化して示す図であって、図2(A)はシートの一主面を示す図であり、同図(B)および(C)は同図(A)の矢印Aおよび矢印Bの方向からみた厚み方向の切断面を示す図である。 本発明のシート状電波吸収体の布設の一態様を示す図である。 本発明の別の態様のシート状電波吸収体を簡略化して示す図であって、シートの厚み方向の切断面を示す図である。 本発明のシート状電波吸収体の一態様を示す図である。
符号の説明
1 シート状電波吸収体
2 シート状電波吸収体
21 突起
3 ポール

Claims (4)

  1. ゴムまたは樹脂及び導電性カーボン、粉末グラファイトまたはフェライトを含有する組成物を成形してなる厚みが0.8〜10mmのシート状成形物であって、当該シート状成形物の少なくとも一方の主面には正四角錐状の窪みが配列しており、前記正四角錐の底面の1辺の長さaと、その高さhとの比h/aが0.6〜1.0であり、前記窪みが配列している主面には平均粒径が100μm以下のガラスビーズが固着されていて、それ自身が交通標識として用いられる、交通標識用のシート状電波吸収体。
  2. ガラスビーズを含む再帰反射塗料を上記主面に塗布することにより、前記ガラスビーズが主面に固着されてなる、請求項1記載のシート状電波吸収体。
  3. 上記再帰反射塗料が耐候剤をさらに含む、請求項2記載のシート状電波吸収体。
  4. 上記主面の法線に対して60°の角度で入射する周波数が76GHzの電波に対して、20dB以上の反射減衰量を呈する請求項1〜3のいずれかに記載のシート状電波吸収体。
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